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ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1

1 :名無しかわいいよ名無し:2005/06/29(水) 00:05:24 ID:vUy70jEX
このスレは週刊少年ジャンプのキャラクターで所謂バトルロワイアルのパロディをしようという企画スレです。
これはあくまで二次創作企画であり、集英社や各作品の作者等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。

※ここはSS投下専用スレになります。感想、議論は下のスレでお願いします。
ジャンプキャラバトルロワイアル PART.4
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1119876007/

前スレ
ジャンプキャラ・バトルロワイアル準備スレ PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1116767239/
ジャンプキャラ主人公&ヒロインバトルロワイアル
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1115216913/
ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1117638620/l50

2 :参加キャラ一覧:2005/06/29(水) 00:06:17 ID:0s9W763r
4/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /○中川圭一 /○大原大次郎
4/4【NARUTO】○うずまきナルト /○春野サクラ /○大蛇丸 /○奈良シカマル
4/4【DEATHNOTE】○夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /○火口卿介
4/4【BLEACH】○黒崎一護 /○藍染惣右介 /○更木剣八 /○朽木ルキア
4/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /○ニコ・ロビン /○ウソップ /○道化のバギー
4/4【銀魂】○坂田銀時 /○神楽 /○沖田総悟 /○志村新八
4/4【いちご100%】○真中淳平 /○西野つかさ /○東城綾 /○北大路さつき
4/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /○竜崎桜乃 /○跡部景吾 /○乾貞治
4/4【アイシールド21】○小早川瀬那 /○蛭魔妖一 /○姉崎まもり /○進清十郎
4/4【HUNTER×HUNTER 】○ゴン・フリークス /○ヒソカ /○キルア・ゾルディック /○クロロ・ルシルフル
5/5【武装錬金】○武藤カズキ /○津村斗貴子 /○防人衛(C・ブラボー) /○ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
5/5【SLAM DUNK】○桜木花道 /○流川楓 /○赤木晴子 /○三井寿 /○仙道彰
4/4【北斗の拳】○ケンシロウ /○ラオウ /○アミバ /○リン
4/4【キャプテン翼】○大空翼 /○日向小次郎 /○石崎了 /○若島津健
4/4【キン肉マン】○キン肉スグル /○ウォーズマン /○ラーメンマン /○バッファローマン
4/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /○エリザベス・ジョースター(リサリサ) /○ブローノ・ブチャラティ
4/4【幽遊白書】○浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /○戸愚呂兄
4/4【遊戯王】○武藤遊戯 /○海馬瀬人 /○城之内達也 /○真崎杏子
4/4【CITY HUNTER】○冴場遼 /○伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /○野上冴子
4/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /○マァム /○フレイザード
5/5【魁!!男塾】○剣桃太郎 /○伊達臣人 /○富樫源次 /○江田島平八 /○雷電
4/4【聖闘士星矢】○星矢 /○サガ /○一輝 /○デスマスク
4/4【るろうに剣心】○緋村剣心 /○志々雄真実 /○神谷薫 /○斎藤一
6/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○クリリン /○ブルマ /○桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
4/4【封神演義】○太公望 /○蘇妲己 /○竜吉公主 /○趙公明
4/4【地獄先生ぬ〜べ〜】○鵺野鳴介 /○玉藻京介 /○ゆきめ /○稲葉郷子
4/4【BLACK CAT】○トレイン・ハートネット /○イヴ /○スヴェン・ボルフィード /○リンスレット・ウォーカー
4/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】○ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /○ガラ /○ティア・ノート・ヨーコ
5/5【ジャングルの王者ターちゃん】○ターちゃん /○ジェーン /○アナベベ /○ペドロ・カズマイヤー /○エテ吉
4/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /○勝利マン /○友情マン /○世直しマン
4/4【世紀末リーダー伝たけし!】○たけし /○ボンチュー /○ゴン蔵 /○マミー

130/130 (○生存/●死亡)

3 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:11:08 ID:0s9W763r
 目が覚めるとそこは薄闇の中だった。視界は、酷く不明瞭だ。
目覚めたというより『覚まされた』というような気分がする。
例えるなら電化製品にスイッチを入れた時の様な、とでも言おうか、「急激な変化に襲われた」、そんな実感がある。
この覚醒とそれに先立つ覚えの無い睡眠に、自分以外の何者かの介入があった事を、
体を起こした青年、夜神月(やがみ・らいと)は直感していた。
「……どこだ、ここは?」
「目が覚めましたか?月君」
月の隣に座っている、不健康そうな男が声をひそめて話しかけてきた。
椅子の上に体操座りというなんとも変わったポーズで、男はつまらなそうに前髪を弄っている。
「なんなんですかね?この状況は」
「エ……」
男の名をそう呼びそうになるも、直前で口をつぐむ。
先刻まで虚空を彷徨っているようにすら見えた酷い『くま』の出来た目が、打って変わって射抜くような鋭さで月を見据えていた。
「ここがどこなのか分からない以上、軽率な発言は出来ません。私の事は、『いつも通りに』呼んで下さい」
「そう、だな。すまない、『竜崎』」
『竜崎』と呼ばれた男、世界最高の探偵『L』は、中空に眼差しを戻すと小さく頷いた。
「何なんだ、ここは?そんな記憶はないが、君が僕を連れて来たのか?」
「いいえ、違います。……多分。私もどうにも記憶が曖昧で……。
 実際、月君が目覚めるほんの少し前に起きただけですし。私にも状況は良く分かっていません」
「父さんや、松井さん達は?」
「見当たりません。側にいないだけかも知れませんが、こう暗くては。……でも、気付いてますよね?」
「ああ。僕らの他にも、かなりの人数が居るようだな」
重苦しい暗闇の向こう側から、微かな衣擦れや囁き声が聞こえてくる。
その内容までは聞き取れないものの、それらの全てに、
今月とLが感じているのと同じ種類の感情が込められている事は分かる。
それは『不安』であり、『とまどい』であり、そして……『恐怖』。
「事態が飲み込めないが……。何か、嫌な感じがするな」
「ええ。こんな言葉、ホントは使いたくありませんが」
Lは、いつもの人を食ったような無表情のまま、体をゆらゆらと左右に揺らして、言葉を続けた。
「悪い『予感』、しますね」


 まるでその言葉がスイッチであったかのように、突然視界が明るくなっていく。
先程までは気付かなかったが、どうやら壁に沿って幾つも燭台があるようだ。
それらに次々と火が灯されていき、何十という数の炎が、煌々と猛りながら、月達の周りを取り囲む。
檻の中に囚われた、そんな思いを抱きながらも、確保された明かりを頼りに、月は注意深く辺りを観察する。
石造りの壁に囲まれたこの場所は、瀟洒な洋風の大広間を彷彿とさせる。
飾り気こそ無いものの、澄んだ無機的な美しさを持ったその『広間』には、 予想以上に多くの人間が迎えられたようだった。
うずくまる者や立ちすくむ者、抱き合い震えている者達もいる。
(……まさか、死神の仕業なのか?いや、奴らはこんな回りくどい事しはしない……)
眉間に皺を寄せ、月は思考を巡らせる。こんな状況であっても、死神云々はLには聞かせられない。
「……月君。月君。月君」
三度続けて名を呼ばれ、Lを振り返る。
「どうした、竜崎?」
「見て下さい」
Lの指し示した指の先を見て、月は絶句した。
「……怪獣がいます」
『怪獣』は、洒落たタキシードを身にまとい、ピンと背筋を伸ばし、静かに笑みを浮かべて立っていた。
それだけなら、彼の堂々たる姿は女王陛下に拝謁する英国紳士に見えなくも無い。
が、彼が怪獣と呼ばれた理由は、その顔にあった。紳士の首から上には、場違いな程黄色い『三日月』が生えていた。
より正確に言うなら、『男の顔が三日月で出来ている』のだ。まるで痘痕のように、クレーターさえ浮かんでいる。
「……」
「……ね?」
「……」
「……話しかけてみますか?」
「馬鹿な事を言わないでくれ」
「意外と仲良くなれるかもしれませんよ?同じ『月』同士」
「ふざけてる場合か!」

4 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:12:41 ID:0s9W763r
思わず大声を上げ、そのはずみにふと気付く。
(『怪獣』……?)
Lに悟られぬ様に、周囲を見回す。無論、三日月男より凄い怪獣を見つけたい訳ではない。
(居ない。どういう事だ?……リュークが居ない)
魂を刈り取る死神の呪具、『デス・ノート』を手にした日からこれまで、ずっと自分に取り憑いていた『死神』リュークが居ない。
(どういう事だ?ここがどんなに隔絶された場所だったとしても、リュークにはそんな事無意味だ。どういう事だ?僕は夢でも見ているのか?)
先刻の月のLへの怒声が呼び水となったのだろうか。それまでは細々と、憚る様に続いていた囁きが、
徐々に大きなざわめきへと変わっていく。混乱のあまりか泣き出す少女がいる。不安を紛らわす為か壁を殴りつける巨漢がいる。
囁きがざわめきになり、それが恐慌の叫び声へと変わりかけた時、突然の轟音が響き渡った。
隕石の墜落の現場に居合わせたなら、あるいは猛スピードで疾駆する大型トラックに跳ね飛ばされたなら、それ程の音がするのかも知れない。
自然、月とLの思考は中断され、音のした方向に目が向けられる。
再び訪れた静寂の向こう、先程までは確かに何も無かった空中に、三つの人影が浮かんでいる。
その内の一つ、ゆったりとしたローブを身に纏った痩身が、人々へ向けて口を開いた。

「よく来てくれた、諸君。遠路はるばるの足労、嬉しく思う」

 低く穏やかな声。何十年も寝かされた極上の葡萄酒に譬えようか、そんな、確実に重ねた年月の重みを感じさせる声だった。
「対面を祝い合い、酒でも酌み交わしたい所だが……残念ながらそうも行かん。早速だが、用件に入らせて頂こう」
老人を捉えた目が、他所を向く事を許されない。
『新世界の神』。かつて何度も口にしたその言葉が、この老人の前では酷く滑稽なものに思え、月は奥歯を噛み締めた。
そんな月の事など目にも入らぬとばかりに、老人は言葉を続ける。
「諸君らに今日この場に集まって貰ったのは、他でもない。今日は、諸君らに……」
老人の声音がわずかに上ずった。月は、人がそんな声を出すのがどういう時なのか、自分の経験で知っている。
物事が思い通りに運び、嬉しくてたまらない時、人はこの種の声を出す。

「殺し合いを、してもらう」

老人の言葉は、静まり返った広間に反響し、いつまでも響き続けた。
「バーン!」
大音声が、残響を打ち払った。小柄な、見慣れない衣服を身に着けた少年が、精悍な眼差しで老人を睨み付けている。
「久しいな、竜の騎士。しかし、相変わらず無礼だな。まだ余の話は終わっておらんぞ?」
「お前の話なんて聞くもんか!どこだ、ここは!?皆をどこへやった?」
「光栄に思え。お前は選ばれたのだ。類稀なる勇者達の一翼に。取るに足らぬ雑魚どもは『置いて来た』。彼らと再び見えたければ、
 大人しく余の話を聞いておることだ。まあ、武器を取り上げられたお前に何が出来るでもなかろうが、な」
少年は、はっとした表情で背中に手をやる。そこにはただ、皮製と思しきベルトがあるだけだった。
「『オレの剣』…!……武器なんか、無くったって!」
言い捨て、少年は跳躍した。その全身を、光り輝く金色の蒸気のようなモノが包み込んでいる。
もと居た場所から一瞬で掻き消え、月が気付いた時にははるか上空にいる。それは人間の限界など無視したような動き。
月の常識からすれば、自分よりかなり年下に見えるその少年に為せる芸当とは思えない。
月に許されたのは、ただ事態の推移を見守る事だけ。
十数mの距離を一瞬で詰め、少年は拳を固める。金色が、少年の右拳に収束していく。
唸りを上げて襲い掛かる少年の豪拳は、老人の顔面を正確に捉えている。
歯を食いしばった少年の表情を見れば、手加減など一切存在していない事が分かる。
それは敬老精神の欠如の故ではなく、ただ純粋に、少年に取ってこの老人が、手加減の出来る相手ではないだけなのだろうと思われた。
命中し、振りぬけば、老人の細首を頭蓋骨ごと薙ぎ倒す事すら容易に思えた少年の渾身の拳は、しかし、停止する。

指。少年の拳は、横合いから突き出されたわずか一本の指に阻まれ、完全に速度を失い目標を捕らえる事が出来なかった。

5 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:13:52 ID:GAjvs5pm
しかし元皇帝といういわゆる頂点に居た男にとって、このような問題など悩む必要はないことだった。

「ふ……これしきの危険を乗り越えられんようでは、魔女討伐など不可能だな」
「まずは臭いの元からか」
「そうだな……」
 三人は城の中をゆっくり進んでいく。
 次第に濃くなる血の臭いの中を。
 廊下に散らばった食料。異常があった証。
 そして恐らく臭いの元であると思われる部屋――サラの寝室へとたどり着いた。
 そこで見た物は、ソレは本当に人間であったのだろうかと問いかけたくなる程の『残骸』であった。
 部屋全てが血で装飾された中にぽつんと在るこの光景は、ただ普通に相手を殺しただけでは到底出来るものではなかった。
 純粋な殺意だけだ、この部屋というキャンバスに描かれた感情は。 
「二人共、警戒しろ」
「分かっている……! こんな物を見せられて警戒するなという方が無理だ!」
 人間なら――余程恨みを持った相手ならともかく、ただ対立しただけの相手を殺した後に更に痛めつけるなどという馬鹿な真似はしない。
 ましてやベッドの上に転がっていた残骸とは別の『残骸』が、部屋の隅に転がっていたのを見れば余計にその異常さは分かる。
 四肢は引き千切られ、首も当然のように切り離された挙句、何か重い物でも落とされたように頭蓋骨はひしゃげていた。
 片方の目玉がなかったが、恐らく飛び出した後踏みつけられたのだろう。その残骸の手前に少し白さが混じっていた。
 更に警戒する理由たりえたのが、血がほとんど乾いていなかった事だ。
「あまり大声を出すな」
「分かっているが……」
 これはとても、『人間』に出来る芸当ではない。
 アグリアスはそう言いたかったし、マティウスもそれは感じていた。
「あまり信じたくはないが、これを実行した者はまず人間だ」
「そう……だな」
 これだけの血がこびり付いた部屋から全くの返り血も無しに出る事は不可能だ。
 当然、外に足跡は残っていた。革靴の足跡だ。だが消そうとした跡は全く無い。
 足跡を残した所で、窓からでも出ればいいだけの話だが――人の気配はそこから確かにある。
「そこまで気が回らなかったのか……?」
「獲物が来るのを待っているのかもしれんな。あまりに不用意過ぎる」


6 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:14:18 ID:0s9W763r
指の主は、空中に浮かぶ三人の異形の内の一人だった。他の二人に比べるとかなり小柄だが、異様さは随一だ。
あえて例えるなら爬虫類のような……しかしそれは地球上の生き物であえて言うなら、というだけの話だ
。このような生き物を、月は他に知らない。
ゴムのように見える肌を奇妙な形のプロテクターで多い、薄笑いを浮かべる顔の横からは、
不釣合いな程巨大で黒々とした、一対の『角』が生えていた。
日頃リュークを見慣れている月でさえその異容には目を背けたくなる。Lはポカンと口を広げたまま、人差し指で頬を掻いている。
「ほほほ。元気の良い坊やですねぇ。バーンさんとは何か因縁がお有りの様ですが、
 ふふ……あまり『お痛』が過ぎるようだと、怪我では済みませんよ?」
言うや、少年の拳を指で弾く。ただそれだけの動作で、少年の体は吹き飛ばされ、地面に向かって落下する。
月とLの二人は咄嗟に少年を受け止めた。
「おやおや。怪我をしなくて良かったですねぇ、坊や。世の中には、一杯、一杯、危険な事があるんですよ?ふふふ」
「くそ…!」
なおも覇気を失わず、空中に向き直る少年を、月が制す。
「やめるんだ。君がいくら強かろうと、とても敵う相手には思えない」
「でも…!」
食い下がる少年を押し退けて、Lが口を開いた。
「バーン、さん、でしたっけ?質問、いいですか?」
老人の目がほんの少し見開かれた。月は、この表情も知っている。たとえば動物園で、猿が芸を見せた時に、人間の浮かべる表情だ。
「ふふ。人間界最高の頭脳とやらは、伊達じゃないということか、なあ、『L』?よかろう、質問とやらを聞こうか」
老人の言葉に、少なからず衝撃を受けたのはLだけではなかった。
(こいつ、『L』の事を…!『竜崎』が『L』だって事は世界中でほんの数人しか…)
「どうして私の事を知っているのかも気になりますが、それよりまず聞きたいのは」
言葉を区切ったLの眼に、いつもとは違う色が浮かぶ。
飄々とした掴み所の無い男だが、今浮かんだ『色』こそが、『夜神月』の最高のパートナーにして『キラ』の最大の障害たる所以だ。
それは、悪を憎む、『正義の色』。

「殺し合いとは、どういう意味ですか?」
「そのままだ、L。その言葉通りの意味だ。出会う者同士すべからく殺し合い、最後の一人になるまで『ゲーム』は続く」
「……『殺人ゲーム』?そんな事が、許されるとでも?」
「それを決めるのはお前ではない。許す許さぬなど、お前たちの云々するべき問題ではないのだよ。
 お前達はただ、命ぜられるままに戦い、『死んだり死なせたりすればいい』」
そのフレーズが可笑しかったのか、角の異形がクスクスと声を上げて笑う。耳障りな、勘に触る笑い声だ。
奇妙な事だが、甲高いそいつの声が、何故か大型の肉食恐竜の咆哮を思い起こさせる。
慇懃な口調を突き破り総身から迸る、圧倒的な『暴』の空気の故、か。
「いいですね、それ。『死んだり死なせたり』…ほほほほ……。貴方達虫けらにぴったりの言葉ですよ。
 ねえ?そう思いませんかハーデスさん」
残る一人に声をかけるも、黒衣の男は目を伏せたまま、答えようとしない。
「おやおや……相変わらず物静かな方だ。私なんて年甲斐もなく何かうきうきしてしまって……うふふふ」
「説明を続けてもよろしいかな、フリーザ王」
苦笑を浮かべて老人が声をかける。
「ああ、私とした事が……失礼しました。よろしければ私の方で説明を引き継ぎましょうか?
 こう申し上げてはなんですが……バーンさんの説明は、いささか回りくどい」
そう言われては苦笑いを続ける他無いのだろう、老人は掌を向け、受諾の意を示す。
「では、僭越ながら。どこまで話しましたっけ?ああ、そう、皆さんに最後の一人になるまで殺し合いをして頂く、という所でしたね。
 私達の設定したフィールドの中で、一定のルールに従って行動して頂きます。『スポーツ』と一緒ですよ。
 ルールを守って爽快な汗を…ふふふ、失礼。ちゃんとね、ご褒美も用意してるんですよ、ご褒美。嬉しいでしょ?
 えと、お名前、なんと仰るんでしたっけ?熱心に質問して下さった、あなた」
「Lです。お望みと有らばエラルド・コイルでもドヌーブでも竜崎でも、お好きな名前で呼んで下さって結構です。
 ただ、別に熱心な訳じゃないですけどね」

7 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:15:01 ID:0s9W763r
「おい、竜崎!」
「構いませんよ、そんな事。今の状況からしてみれば、瑣末な事です。どうせ筒抜けでしょう」
「ふふ、では、Lさん。Lさんとお呼びしましょう。それでLさん、実際どうですか?今の説明聞いて、あなた、殺し合います?」
「ません」
「ほほほ、気持ちのいい方だ。そうでしょうね。
 きっと貴方方の中には『殺し合いなんて出来ません』と言うような、いけない子も、沢山混じっているんでしょうね。
 そこの坊やみたいに」
少年の歯軋りが聞こえる。当然だ。突然『殺し合え』と言われた所で誰がそんな言葉に従うのか。
「そこでね。ご褒美だけじゃなくてもっと身の入るモノをこちらでご用意させていただきました。……それではバーンさん、お願いします」
その言葉を受けて老人は目を閉じ、何事かを呟く。
Lの顔に困惑の表情が浮かぶ。はっと、月の方を振り返り、次いで自分の首筋に触れる。

そこには、首輪が嵌められていた。

Lの様を見て、恐る恐る手を伸ばした自分の首にも、同様の首輪が装着されていることに、月は気が付いた。
しかし、一体いつの間に……。
「驚きましたか?こちらのバーンさんのお力でね、着けて頂いたんです、それ。ふふふ、中々お似合いですよ?」
二人と同様の首輪が、推移を見守っていた他の者達の首にも出現したのだろう、あちこちで戸惑いの声が上がる。
中には、力任せに引き千切ろうとしている輩もいる。
「あ、あ、あ〜!お止めなさい、お止めなさい。その中には『爆弾』が入っています!」
宣言を受け、大半の人間が反射的に首輪から手を離す。
「無理に外そうとすると……結構痛いですよ?」
「……」
「首輪の爆破には条件があります!一つ、首輪に大きな衝撃を与えたり無理に取り外そうとする事!
 一つ、我々の指定する『禁止エリア』に止まる事!そしてもう一つ、最も重要なルール!
 ゲーム開始から『24時間』の間に誰も死亡しなかった場合……」
一旦言葉を区切ると、舌なめずりをしそうなほどの笑顔を浮かべて、続けた。

「全員の首輪が、爆発します」

ざわめきが、爆発した。恐慌が、広間の全てに充満していった。

8 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:15:48 ID:GAjvs5pm
「正直、オレにもわかんネェよ。
 何となくヤベェってのがわかって、せめてコイツだけは庇おうと思って抱きかかえてうずくまってよ……」
彼は片目を抑えているリルムを地面に降ろし、言葉を続ける。
「気がついたら二人とも無事だったから、フツーに歩いて帰ってきた」
「……それ、ちっとも説明になってないっつーの」
「だからオレにもわかんネェっつったじゃねーか」
呆れ顔のティーダに言い返した後、ゼルはまだ泣き続けていたアーヴァインの肩を軽く叩いた。

――本当は、ゼルにはわかっていた。
何で自分達が助かったのか。

一つは、G.F.ディアボロス。
勝手に発動して、自分を庇って消滅してしまった。いくら挑戦しても召喚できなかったのに、最期の最期で。
――何かの理由で、魔女の封印が解けて、それで召喚できたのだろうか。
暴走した魔力が封印に干渉して、一時的に弱まってくれたのかもしれない。
……あるいは、ゼル自身の思いにG.F.が応えて起こった奇跡だったのか。
『リルムを守りたい』。もうダメだと悟った時、本気で、心から願ったのはそれだった。
もしかしたらその願いが届いて、ディアボロスが力を貸してくれたのかもしれない。
己を犠牲にしてでも、守ろうと――そう、してくれたのかもしれない。

もう一つは、ロラン。
いくらディアボロスが庇おうと、二度も三度も魔法を喰らってたら、やはり死んでいただろう。
誰かが止めたのだ。敵と呼べる存在がいなくなるか、発動者が意識を失うまで止まらないはずのヴァリーを。
……あの時、自分は逃げろと叫んだ。
けれどロランのことだから、逃げるよりも戦う事を選んでしまったのだろう。
だから、止まったのだ。魔法が一度放たれただけで止まったのだ。
きっと、『あの』ロランだから、彼自身の身がどうこうではなく。
ただフルート達やリルムやユウナ達や自分を生かそうとして――


9 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:16:25 ID:0s9W763r
>>8は無効です。

「そりゃ、どうゆうことですかい!!」
突然、ダミ声が響く。声の主は、2mはあろうかという禿頭の大男だった。月の所からは良く見えないが、
どうやら男は、角の異形と同じプロテクターを身に着けている。
「フリーザ様?!一体全体なんの冗談です!?どうして俺の首にまで……こんな!!」
「お静かになさい、見苦しいですよ、ナッパさん」
冷たい声に、ナッパと呼ばれた大男は一瞬怯むものの、なおも食い下がる。
「……俺はこれまでずっと、あんたの命令に従って来たじゃないか?!なあ、フリーザ様!なんだって、俺が!」
「丁度良い、ナッパさん、こちらへいらっしゃい。皆さんに、首輪の威力をご覧にいれましょう」
「な……!」
会話の内容からしてこの二人はどうやら主従の関係にあるようだが、主の物とはとても思えぬその言葉に、ナッパは息を呑む。
「どうしました?早くおいでなさい。皆さんによく見えるように、前の方へ」
がちがちと、ナッパの歯の根が噛み合わない。顔中に脂汗を浮かべ、その巨躯は小刻みに震えている。
「ほら、早く……来なさいってば」
「……い、いやだ」
ナッパは、搾り出す様にそれだけ言うと、また俯いた。
「いい加減にしないと、怒りますよ?ナッパ!!!」
フリーザの恫喝に、ナッパの理性が切れた。フリーザに向けて右手の人差し指と中指を向けると、雄叫びとともに指を振るう。

「クンッ」

指の音と共に、フリーザの足元から衝撃波が巻き起こる。広間全体が、揺れる。もうもうと立ち込める土煙を睨み付け、荒い息を吐くナッパ。
しかし。通常の人間なら、とても生きてはいられないだろうその爆発の中、煙の切れ間から怒りを湛えたフリーザの双眸がナッパを射抜いていた。
「う、ううう、うわああああああああああ!!!!」
耳まで裂けるとは、この事だろうか。恐怖の叫びを迸らせるナッパの口は、顎が外れた様に限界まで開いていた。
しかし、その「カパッ」と開いた口こそ、ナッパの最大の攻撃のモーションに直結している。叫びにエネルギーを与えたが如く、ギラギラと輝く光線がナッパの口腔から放たれる。
一直線にフリーザへと向かう破壊のエネルギー。だが、しかし。
ナッパの放った光線は、フリーザの体に命中する前にすっと掻き消えた。
「あ、あ、あ……」
あまりの力の差を見せ付けられ、最早言葉にならない。
「ナッパ……。さようなら」
優しくすらある呟きが、ナッパの耳に届く前に、ナッパの体は中に浮く。
「皆さん、良くごらんさい!逆らう者の末路を!」
「あ、ああ、ああああ!べジーーーーーーーーーーーーーーターーーーーー!!!」
断末魔の叫びを、爆音が掻き消し、ナッパは、粉微塵になって死んだ。

10 :役立つ支給品 1/2:2005/06/29(水) 00:18:02 ID:0s9W763r
気がつけば一面銀世界。
肌を切る吹雪の中、大原大次郎は木陰に隠れて身体を震わせていた。
「ああ……悪夢だ、悪夢としか言いようがない……」
頭を抱えて唸る大原。
今までも悪夢のような出来事は両津のおかげで数多く経験してきたが、さすがに殺し合いの経験などない。
市民を守る警察官として日々努力している彼は、凶悪犯を捕らえるため柔道や剣道、射撃の特訓も十分している。
何か打開策を考えねばと、まずは支給された鞄を開けてみた。
「水とパン、コンパス、筆記用具、地図……日本地図!? ここは日本なのか!」
大原や目を丸くし地図を食い入るように見る。
地図に赤い点がひとつついているが、もしや自分が今いるのはその点の位置なのだろうか?
ならばこの寒さと雪もうなずける。赤い点がついているのは北海道北部なのだから。
「しかし日本列島で殺し合いなど、あの場にいた参加者で行うには広すぎ……おや?」
縮約に目を留めた大原は首をかしげた。その数字を信じるならば、この日本は東京都よりもずっと狭いのだから。
「むう……実際に歩いてみないと詳しい事は分からんな。他には……」
鞄をあさると、参加者名簿と五枚のカードが出てきた。
参加者名簿を見て両津達もこのゲームに参加しているのか確かめようとも思ったが、
それよりこの五枚のカードを調べる手間の方がずっと短く済むだろうと思い手に取る。

「何だこれは? 怪物の絵が描いてあるが……」
そういえば、と大原は思い出す。
孫がこんな感じのカードを集めてはいなかったか? というかむしろ、両津の馬鹿も集めていたような気がする。
確か集めたカードで対戦して遊ぶものだったはずだ。
「何でこんな物が……」
子供のおもちゃを支給されて困惑する大原だが、カードに添えられているメモ用紙に気づき、目の色を変えた。

『支給品名:マジック&ウィザーズのカード
 世界的大ヒットをしているカードゲーム。
 モンスター、マジック、トラップカードなどを活用し、互いのライフポイントを削って戦う。
 このカードを掲げながら名前を叫ぶと、カードが実体化して助けてくれる。
 モンスターカードを使用すれば、召喚されたモンスターが15分間戦ってくれる。
 マジック・トラップカードを使用すれば、書かれている通りの効果が発動する。
 一度カードを使用すると24時間使用不可能となる』

11 :プロローグ:2005/06/29(水) 00:18:07 ID:GAjvs5pm
「ぎゃーぎゃー騒いでんじゃねぇよ、バカ野郎!」

――どこかで、誰かが言った。

「あ……?」
アーヴァインの、涙でぶれた視界の向こうに、金色の輝きが映る。
最初は目を疑った。幻を見ているのではないかと。
それから自分の頭を疑った。現実を受け入れられずに、気が狂ってしまったのではないかと。
――けれど、その人影は確かにそこにあり。
声も、紛れもなく空気を震わせて返ってきた。
「ケッ、テメーに泣かれたって嬉かねーよ。リノアやユウナならともかく」
「そーそー。モヤシ男なんかに心配される義理はないからね」

ティーダも、ユウナも、プサンまでもが目を見開く。
すぐそこまで、歩いて来ていた。
相変わらずの憎まれ口を叩くリルムを腕に抱えて。
閃光に飲み込まれたはずのSeed――ゼル・ディンが、呆れたように四人を見ていた。

「あ……あ、ああ・……」
ぐしゃぐしゃに汚れた顔を上げながら、アーヴァインが言葉にならない声を上げる。
「落ち着けってんだよ、バカ野郎。
 オレ様があの程度で死ぬわけねーだろうが」
「いやいやいやいや、フツーは死ぬッスよ!?」
ぶんぶん首を振りながら、幽霊を見たかのような表情でティーダは叫ぶ。
ユウナとプサンも、ティーダに同意するかのように頷いた。
「な、何で……無事だったの?」
ユウナの問いかけに、ゼルは「死んだ方が良かったかよ?」と口を尖らせながらも答える。


12 :役立つ支給品 2/2:2005/06/29(水) 00:18:49 ID:0s9W763r


カードゲームのルールはよく分からない大原だが、支給品の使い方は理解した。
「なるほど、これは頼りになる。つまりこのカードの名前を叫べば……えぇと、これは青眼の白竜と言うのか」
その瞬間大原野持つカードが輝き出し、眼前に巨大な影が現れた。
雪に溶けるような白い身体を持つ巨大な竜。最強の称号を持つ伝説のモンスター。
「なっ、な……わしは別に使おうと思って言った訳では……」
巨大な異形に腰を抜かしそうになっている大原は、何とかこのモンスターをしまえないかとメモ用紙を読み直す。
が、戻す方法など書いてはない。15分間、このモンスターは大原を守り続けるのだ。
「ま、まあ……味方ならば心強いが……」
どうしたものかと悩みながら、とりあえず二枚目のカードを調べる。
人造人間サイコ・ショッカー。間違って召喚してしまわないよう、大原はきつく口をつぐんだ。
どうやらこっちのモンスターは罠カードを破壊する能力があるらしい。
これは現実に存在するあらゆる罠も破壊してくれると判断していいのだろうか? だとすれば非常に頼りになる。
なかなか役立つ支給品を引いたようだ。だが、こういった支給品を使いこなす自信は大原には無かった。
「両津なら要領よくこういった物を使えるのだろうが……」

呟く大原に向かって、突然青眼の白竜は口腔を開き強烈な光を溜め出した。
「なっ、何だ!?」
自分を守ってくれるはずのモンスターの予想外の行動に驚きつつ、大原は咄嗟に横っ飛びに逃れた。
次の瞬間、破壊の閃光が大原のいた位置……よりやや上を貫く。先ほどまで吹雪を防いでいてくれた木が倒れた。
雪面が大きくえぐれ、土までも削られる。こんなものをまともに食らえば、普通の人間など一瞬で灰と化してしまう。
青眼の白竜は再び口を開いた。大原が「ヒッ!」と悲鳴を上げながら身をすくめた瞬間、背後の雪が盛り上がった。
>>11は無効です。

「クハハハハハハハッ!!」
高らかな笑い声に振り返った瞬間、氷の手が大原の顔面を鷲掴みにした。
「ぐわっ……あっ!」
「おーおー、すっげぇモンスターだな。あんたを守ろうとしてるみてぇだが……」
大原を盾にしながら氷の手の持ち主、氷炎将軍フレイザードは、ニタリと残酷な笑みを浮かべた。
破壊の閃光を消した青眼の白竜は唸りながらかぎ爪をフレイザードに向けている。
「クックック、分かってるようだな。無理に助けようとすればこいつも巻き込まれる。だが……」
吹雪を上回る冷気が大原を包み、全身を氷漬けにした。
「ぐっ……」
「お前が何もしなくてもこいつは死ぬ。残念だったな」
フレイザードが右手に力を込めると、凍りついた大原の頭が粉々に砕け散った。
すると青眼の白竜の姿が薄れ、雪に溶けるように消え去る。
主のライフポイントが0になれば敗北、召喚されたモンスターも消えてしまう。
大原が死んだ今、青眼の白竜がこの場に存在する理由は無かった。
フレイザードはしばし大原の死体の腕を砕くと、氷の中から五枚のカードを取り出した。
「……なるほど、このカードから出やがったのかあのモンスターは」
五枚のカードとメモ用紙を確認しながら、フレイザードは裂けた口をさらに裂いて笑う。
あれほどの力を持つモンスターが配下になるとは、なんと役に立つ支給品だ。
フレイザードは大原の残りの荷物を焼き払うと、ゆっくりと雪原を歩き出した。

【フレイザード
 所持品:荷物一式(フレイザードの支給品は不明だが、本人はすでに確認済み)
     遊戯王カード『青眼の白竜(次の0時過ぎまで使用不能)・サイコショッカー(罠破壊)・他三枚』
 現在地:北海道の北部の雪原
 基本行動方針:南に向かいながら出会った参加者を出来る限り殺す。ダイ、ポップ、マァムを優先。
 最終行動方針:優勝してバーン様から勝利の栄光を】

【大原大次郎 死亡】
【残り129人】




13 :焦熱の大地:2005/06/29(水) 00:21:38 ID:0s9W763r
広島。かつて原爆によって二十万もの命を奪われながら、すさまじい復興を果たし、
現在では中四国唯一の百万都市として君臨している。
しかし、そこにかつての面影はなかった。
死体こそ無かったものの、草木は生えておらず、岩肌が露出し、
建物といえば鉄筋コンクリートのビルと半壊した原爆ドームが立っているのみだった。
秋風が吹き荒れる広島で両津はこの光景に驚きはしたが、元来彼はのんきな性格である。
すぐに荷物を確認し、装備を固めようとした。
ホイポイ・カプセルの中には、
「おおっ。マグナムじゃないか!!これならどんなヤツが相手でも戦えるぞ」
警察官である両津にとって銃火器の扱いはお手のものだ。
そのとき、背後の建物から石が落ちたような物音が聞こえた。
両津は振り向き、マグナムを構え、
「そこに誰がいるんだ。わしは戦う気はない。答えてくれ」
数々の修羅場を潜り抜けてきた両津にとって今回の出来事は特別なものではなかった。
「あの男信用できるのか?」
男は半信半疑の気持ちから投降か交戦か決められずにいた。
「俺の武器は・・・・・・いや、武器と呼べるものではないだろう。このレーダーでは。
鬼の手もこの間合いでは使えない。しかし、あいつが騙そうとしていないとも考えられる。さて、どうする?」
二つの気持ちが葛藤している鵺野に両津は、
「わしは警察官だ。市民を傷つけるような真似はしない。
 もしもわしが信じられないのならこのまま逃げてくれてもかまわない。しかし、
 もしわしを攻撃するつもりなら自己防衛のために戦わせてもらう」
(殺し合いをするつもりなら逃げろなどというはずが無い。この男は信用できるな)
鵺野は両津の言葉を信じて姿を現した。その表情は覚悟を決めた男らしいものだった。
姿を現した鵺野に銃を向けながら
「一応聞いておこう。お前はこのゲームに参加する意志があるのか?」
両津はいつものだらしない言い方ではなく警察官らしいしっかりとした口調で言った。
「俺は小学校の教師だ!生徒を守るためなら殺すこともあるかもしれない。
また、生徒のためなら死ぬ覚悟もある。だが、こんな糞ゲームに参加する気などない!」
まさに教師の鏡と言える言葉である。両津も感心して銃を下ろした。
「なるほど。確かに立派な意見だ。しかし、わしたち公務員は社会全体の奉仕者だ。
 このゲームに参加する意志を持たない全ての人を救う義務がある」
正義感溢れる二人が理解し合うのに時間はかからなかった。二人は簡単な自己紹介をした後、今後の方針について話し合った。
「両津さん。俺のレーダーでは、広島県に俺たち以外の人はいないみたいだ。
 わがままを言ってすまないが兵庫まで一緒に行ってくれないだろうか?」
両津は静かに、
「そこに、生徒がいるんだな?」
鵺野は頷き、今のところの目標が決定した。

チーム【公務員】を結成しました。
両津【持ち物】支給品一式、マグナムリボルバー残弾6予備弾24【状態】健康
鵺野【持ち物】支給品一式、スカウター【状態】健康
現在地→広島県
第一目標→兵庫県に行き、響子を助ける。

14 :月触:2005/06/29(水) 00:22:45 ID:0s9W763r
夜の帳の中、異形のものが一人、双眼鏡を手に辺りを伺っていた。

ソレの名はムーンフェイス。人間だった頃はルナール・ニコラエフと呼ばれていた。
現在、ソレは人ではなく人喰い。錬金術の結晶とも呼ぶべき、人型ホムンクルスである。
「むーん、核鉄もないし、これから一体どうしたものかね」
ここで死ぬ気はない。かといって、積極的に狩りにまわるほど愚かにもなれない。
ムーンフェイスの真骨頂は、自らの武装錬金を活かした消耗戦にある。故に、個人としての
戦闘能力は決して高いとはいえない。一般人に遅れをとるとは思わないが、広間には、自分を含め
明らかに人ではないものが多数存在していた。無策で挑んでも勝算は低い。それに加え、
自分に支給されたコレはどうみても武器ではない。性能はよさそうだが、あくまで単なる双眼鏡だ。
とても殺し合いの役に立つとは思えない。誰か、強力な攻撃能力を有するものと組んで初めて、
威力を発揮するタイプのアイテムだろう。
「やれやれ、まぁ、私はどちらかというと副官、補佐型なんだけどね」
現在、自分が持っている最強の攻撃方法は捕食。手のひらで掴んだ人間を、肉体ごと吸収するという
人型ホムンクルス固有の能力。だが、間合いを詰める、掴む、捕食するという3アクションは、致命的に長い。
相手が拳銃や、それに類する武器、能力を持っていた場合、もうそれだけでアウトだ。
ホムンクルスは錬金術以外の力を受け付けないはずだが、主催者たちもそれぐらいのことは先刻承知しているだろう。
確実ではない。が、支給されている武器でも、ホムンクルスにダメージを与えることができると考えておいたほうが無難だ。
なにせ、武装錬金が使えない今の自分の本体は一人。体を張って確認するにはリスクが大きすぎる。

だから自分は探す。自分が力を貸すに値する存在を。そう、私は月。私は常に在る。が、誰かに照らされて、
はじめてその価値を示すことができる。100年前は蝶野爆爵に。そして今回は・・・・・・

そこで見つけた。一人の男を。広間で主催者と問答をしていた男で、名は、確かLといったか。
パピヨンやバタフライといった、一種の天才が持つオーラを、その男も確かに持っていた。知らず、自分の顔に薄い
笑みが張り付く。

「さて、月夜の散歩は必ずいいコトがあるものだけど」
人型ホムンクルス、ムーンフェイスは歩を進める。世界最高と謳われた頭脳に向かって。
「むーん、この出会いはどうなのかな?」


「いい月夜だね、キミもそう思わないかい」

【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス) :武装錬金
 状態:健康
 現在地:静岡県
 所持品:荷物一式、双眼鏡
 第一行動方針:Lとの接触。条件次第でLを補佐
 基本行動方針:生き残る】

【 L(竜崎):デスノート
 状態:健康
 現在地:静岡県
 所持品:荷物一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
行動方針:不明(次の書き手さんに任せます)】


15 :勇者、起つ! 1/2:2005/06/29(水) 00:24:13 ID:0s9W763r
故郷を思い起こさせる濃厚な夏の匂いが漂っていた。
ただ違うのは、空気も海が故郷より濁っている事か。
デルムリン島にいるブラスと友達を思い、そして次に、このゲームに参加している仲間を思った。
「ポップ……マァム……」
漆黒の海が波打つ海岸にて、勇者ダイは寂しげに夜空を見上げる。
どうしてこんな事になってしまったのか。
仲間同士で殺し合い? 冗談じゃない。
何とかしてこのゲームから脱出し、主催者である大魔王バーン達を倒さなくては。
勇者の力強い決意に応えるように、彼の手には鈍い輝きがあった。

肉を裂くために造られた物。
刃が広く厚く、先の尖った凶器。
一振りすれば人の命を奪い取る事も出来るだろうが、それは元々他者の命を奪うための物ではない。
だのに、それを造り出した者達の意図とは異なる最悪の使い方……殺し合いのためにそれは支給された。
だが案ずる事はない、その刃は平和を愛し人を守る勇者の手に握られているのだから。

そう、勇者ダイが支給された武器。
その名は……!!


 出 刃 包 丁 。


魚や鶏肉のあらぎりに用いる。by広辞苑

……まあ、剣やナイフを得意とするダイにとってはどちらかと言うと当たりの支給品かもしれない。
アバン流刀殺法は問題無く使えるだろう。しかし、竜闘気を使った場合、こんな包丁など一瞬で燃え尽きてしまう。
「おれの剣があれば……」
ため息をつきながらダイは出刃包丁を見下ろす。
雑魚相手の場合は出刃包丁で済むが、強敵相手の場合は素手で竜闘気を使った方がマシだ。
竜の騎士の持つ超戦闘能力、竜闘気のパワーに耐え切れる物など、ダイの世界においてはオリハルコンしか存在しない。
「……はぁっ、これからどうしよう? 何とかポップとマァムと合流できればいいんだけど」

16 :勇者、起つ! 1/2:2005/06/29(水) 00:24:54 ID:0s9W763r

聡い方ではないダイはうんうんと唸り声を上げて悩み、とりあえず海岸を歩き出す。
すると、波の音に混じってかすかに女性の声が聞こえる。
耳をすまし、周囲を見渡し、出刃包丁を握る手に力を込める。
暗闇の中、砂浜に埋もれる巨石の影でわずかに動く影をダイは見つけた。
気配を断ちながら慎重に近づくと、髪の長い女性が胸を押さえて苦しんでいるのだと分かった。
ダイは出刃包丁を握ったまま走り出し、女性はそれに気づいた。
「……何者……!?」
苦しげな、けれど気丈な声。
ダイは包丁を腰のベルトにかけ、無邪気な笑顔を浮かべた。
「安心して、おれは殺し合いなんてする気はないよ」
「……ハァ……ハァ、その言葉、偽りでは……うっ」
突然咳き込みだした女性の元へ駆けつけたダイは、優しい手つきで彼女の背中を撫でる。
「大丈夫かい?」
返事は無い。女性は呼吸を乱したままダイに身をゆだね、五分ほど経った頃に落ち着きを取り戻した。
「……すまぬ。下界の空気は私にとって毒のようなものでな、だいぶ慣れてはきたが……」
「空気が毒? そうか、確かにこの辺の空気は汚れてる気がする。山の方にでも行けば楽になるかな?」
「……おぬしは優しい子じゃな。名は?」
美女の背中を撫で続けながら、小さな勇者は元気よく答えた。
「おれの名前はダイ。元の世界じゃ一応勇者って呼ばれてる」
「ふふっ、頼りがいのありそうな勇者じゃな」
ダイの言葉を信じたのか、それとも冗談か何かと思ったのか、美女はクスクスと笑った。
彼女の笑顔があまりにも綺麗なので、ダイは思わず赤面する。
「私は竜吉公主と申す。ダイよ、よければ太公望という男を捜すのを手伝ってはくれぬか?
 そやつは頭が冴える。この状況を何とかしてくれるやも……コホッ、コホッ」
「竜吉公主さんっ、無理して喋らないで」
再び咳き込みだした竜吉公主のため、ダイは自分の鞄から貴重な飲み水を取り出した。
竜吉公主は申し訳無さそうな顔をしながらも、水を二口ほど飲む。
わずかに咳が静まった美女は、「公主でよい」と微笑んだ。

【ダイ
 所持品:荷物一式 出刃包丁】
【竜吉公主(少し息苦しい程度・体力常時微消耗)
 所持品:荷物一式(支給品不明)】
【現在地:高知県南部の海岸
 第一行動方針:空気の綺麗な山などへ行く。
 基本行動方針:仲間を集める。ポップ、マァム、太公望優先。
 最終行動方針:ゲームを脱出し主催者を倒す】


17 :闇の帝王vs最強の馬鹿 1/2:2005/06/29(水) 00:26:18 ID:0s9W763r
「ゴムゴムの……!」
ルフィは力強く握った拳を凄まじいスピードで何度も何度も打ち出し、その回転を上げていった。
岩をも砕く拳の弾幕が張られ、目の前の不気味な男に迫る。
「ガトリング!!」
咆哮とともに肉薄し雨のような拳の連打を放つルフィだったが、
金髪の白人男性、DIOは唇に小さな弧を浮かべて己のスタンドを繰り出した。
「フフンッ、無駄無駄無駄」
スタンドは、ルフィの放つ拳の一発一発に向けて、同様に拳を繰り出した。
二人の間で拳の衝撃が弾け、ルフィは反動でジリジリと後ずさった。
「こんのやろぉっ……」
負けるものかとルフィはさらに回転を上げ、麦藁帽子の下で鋭い眼光を放つ。
が、DIOはその殺気をむしろ楽しむように微笑んでいる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
何十、何百と放たれる拳のすべてが空中でぶつかった。
だが互角ではない。ルフィの拳の皮が少しずつめくれ、血が滲み出している。
「くぅっ……」
「貧弱、貧弱ゥ!」
DIOは笑いながら前進を始め、拳を打ち合っていた分身とともに拳の雨を掻い潜る。
「貴様もそうとうやるようだが、我がザ・ワールドは最強のスタンド! WRRRYYYYYYYYYYYY!!」
ついにルフィの眼前まで迫ったDIOは、残忍な笑みを浮かべながらルフィの拳にザ・ワールドの拳を叩き込む。
常人なら腹を突き抜けるほどの威力ではあったが、ゴム人間のルフィはその衝撃を見事に吸収し、後ろに吹っ飛ぶだけですんだ。
「ムッ……」
殴り合ってる最中からルフィの身体が普通ではないと感じていたDIOだが、今の一撃で確信に変わった。
ゴムのような弾力を持つ麦藁帽子の男は、背後にあった高い木に叩きつけられる。
「奇妙な身体をしているな、小僧……このDIOの一撃を食らって生きているとは賞賛に値するぞ」

始まりは食事だった。長野県の山中、いくつかのログハウスを見つけたルフィは大喜びで走り出した。
大食いの彼にとって、支給された食料など一食分にもならない。だから家から食べ物を探そうと思ったのだ。
同様に、支給された食料が役に立たない男も獲物を待ち伏せするため、ログハウスへ向かっていた。
だが二人はログハウスにたどり着く前、偶然出会った。
「おい、お前……」
ルフィが声をかけると同時にDIOは血を吸おうと指を突き出し、ルフィは間一髪で逃れた。
こうして戦いが始まったのだ。

腹部を殴られたルフィは、外傷こそ無いものの、凄まじい衝撃に内臓を痛めていた。
後々まで響くようなダメージではないが、体力が回復するのに数十分はかかるかもしれない。
「くそっ……」
毒づくルフィを見つめながら、DIOは自身の鞄から無数のクナイを取り出した。

DIOに支給された物は忍具で、手裏剣、クナイ、まきびしがそれぞれ20個ずつ入っていたのだ。
普通、忍具といえばそんな偏った組み合わせはありえない。
まきびしを投げれば手裏剣の代わりになるし、クナイは穴掘り投擲接近戦と使い道は多い。
だからもっとかぎ爪とか縄梯子とか煙幕とか火薬とか色々入ってるはずなのだ。
もっともそんな事イギリス人のDIOが知るはずないし、異世界から来たルフィも知らないし、
チャクラを用いた忍術で忍具が必要ないほど様々な事ができる持ち主の忍者も知らない。

18 :闇の帝王vs最強の馬鹿 2/2:2005/06/29(水) 00:27:01 ID:0s9W763r


DIOはクナイをナイフのように投げる。
精密な動きをするスタンドを使ったせいか、一度に投げられたクナイの数は十本!
衝撃を吸収するゴムとはいえ刃物では傷つく。ルフィは避けようとしたが、腹の痛みに膝をついてしまった。
「チェックメイトだ!」
勝利宣言をするDIO。
迫るクナイを絶望的に見つめるルフィ。
そして手のひらから閃光を放つ最強の男!!
すべてのクナイを一瞬で吹き飛ばした閃光は、そのまま後方にあるログハウスまで飛んでいき爆発を起こした。
「何だ!?」
「何ィ!?」
ルフィとDIOは、同時に閃光の放たれた方向を振り向いた。
そこには山吹色の道義を来た黒髪の青年が、両手を出して構えている。
「やめろ! おめえら、こんな馬鹿なゲームに乗る気か?」
青年の問いにルフィは怒気を孕んだ声で返す。
「んな訳ねぇだろ! そいつがいきなり襲ってきやがったんだ!」
今度はDIOが二人の視線を一身に浴びる番だった。

この時、ルフィと青年……孫悟空はあらゆる面で酷似していた。
まず、二人ともこのゲームに乗る気が無いという点。
そして明らかにゲームに乗っている男、DIOを倒そうと考えている点。
ルフィも悟空も強い正義感を持っている点。

異なるのは……悟空には敵を殺す覚悟があるが、ルフィは殺す気が無いという点だった。
どんな悪党だろうと、殴り飛ばしてそれでおしまいのルフィ。
果たしてDIOを倒した時、殺す覚悟を持てるかどうか……それはまだ分からない。

ちなみに、二人にはもう一点似ている部分がある。
それはとんでもない大食らいだという事。
この二人にかかっては、支給された食料など、一食分どころかおやつにもならない。

【DIO
 所持品:荷物一式 忍具セット(クナイ×10 手裏剣・まきびし×20)
 現在地:長野県の山にある別荘地
 第一行動方針:目の前の二人を殺し、可能なら血を吸う】

【ルフィ(腹部にダメージ、数十分休むか肉を食えば回復する程度)
 所持品:荷物一式(支給品不明)
 現在地:長野県の山にある別荘地
 第一行動方針:DIOを倒す。
 第二行動方針:飯を探す】
【孫悟空
 所持品:荷物一式(支給品不明)
 現在地:長野県の山にある別荘地
 第一行動方針:DIOを倒す。
 最終行動方針:フリーザ達を倒す】

19 :夜の街、人のいない街:2005/06/29(水) 00:28:04 ID:0s9W763r
夜の繁華街を歩く男が一人。
「――よりによってここかい」
東京都歌舞伎町。
しかし、今夜は人っ子一人いない。
呼び込みを行うお姉さんもそれに鼻の下を伸ばしながら着いていくいい年こいた大人もいない。
「人がいないだけでこんなにもつまらないとはね……」
女性のいない街には興味が無いとばかり、早くも次の街に人を求めて進もうとする冴場遼。
しかし、その彼の足音は同じく歌舞伎町の街から聞こえてくる足音によって止められた。
バックの中から支給された獲物、黒い装飾銃ハーディスを取り出し構える。
「――へっ、お前もこんな街に最初に飛ばされてきたのかよ」
声の先には体格の良い男が一人。
「この場で俺に向かって銃を向けるとは良い根性だ」
男は半歩引いて重心を下ろし身構えるとなにやら呟き始めた。
超美形大魔法使いダークシュナイダー。
彼もまたこの奇妙な街に飛ばされてきた男だった。
遼には魔法という存在は未だに信じられなかったが、その危険さは何となくわかる。
両者の間に緊張が走る。

「やめた、やめた。俺は男には興味ないんでね、こっちからは願い下げだよ」
ハーディスを一回転させながらバックにしまい肩をすくめる。
「俺に助けを求めているレディの所に駆けつけてご褒美を貰った方が面白い」
「同感だ、俺も男には興味はない……だが」
男はそのまま詠唱を続ける。
「お前を見過ごすわけには行かない!この世の女は全員俺様の物だ!」
詠唱終了。
渾身の力で魔法をぶっ飛ばした――が手応えはない。
「糞ッ!力が封じられて思うように威力が出ない」
自分の魔法によって生じた煙に包まれながらダークシュナイダーは冴場遼を探す。

チュィン!

ダークシュナイダーの頬を銃弾が掠める。
「案外、此処も悪くはないね」
煙の向こうの建物に隠れダークシュナイダーを再び狙う。
「俺を待ってくれているレディ達に君のような男と合わせるわけにはいかない」
魔法なんてアホらしい物は使えないがこの地形ならスナイパー冴場遼の独壇場だ。
女好きの似たもの同士がお互いに牙をむく。
似たような性格を目の前にすると嫌になるとも良く言うが、それ以上に彼らの頭の中は自分を待っている女性達のことで一杯だった。

【冴場遼(@CITY HUNTER)
 所持品:荷物一式 装飾銃ハーディス(@BLACK CAT)
 第一行動方針:女性を護り、助ける
 基本行動方針:女性を探す
 最終行動方針:槇村香、野上冴子、ついでに伊集院隼人を探す】

【ダークシュナイダー (@BASTARD!! -暗黒の破壊神-)
 所持品:荷物一式(支給品不明)
 第一行動方針:女性と犯る
 基本行動方針:女性を探す
 最終行動方針:今のところ無し】

【現在地:東京都歌舞伎町】

20 :剣客:2005/06/29(水) 00:28:55 ID:0s9W763r
月下の下に男が二人。剣客が二人。
「よう、包帯男。いい夜だな」
頭から口元まで走る大きな傷跡を持った男は、懐かしい旧友に出合ったかのように嬉しそうに声をかけた。
「そうだな、いい月だ。酒でもありゃ最高なんだがな」
全身を包帯に包んだ男は、空に浮かぶ月を見上げながらそう言った。
「全くだ、こんな夜に酒も用意できねぇなんて、風情のわからねえヤツはこれだからいけねぇ」
そうぼやき、傷の男も同じように月を眺めた。

暫く無言で月を見ていた二人は、ゆっくりと視線を下ろし、互いの姿を見つめる。
「それじゃあ、早速だがよ。殺し合おうぜ」
傷の男が抑えられないと言わんばかりに、殺気を解放する。
心弱き者ならば、その殺気に当てられただけで、動くことはおろか、呼吸すら殺されてしまう程の凄まじい殺気。
それをそよ風のように受け流し、男は包帯に包まれた口元を歪ませる。
「…いいぜ、来いよ」
答えるように包帯男も殺気を放つ。
ぶつかり合った殺気は、空気を歪め、木々を揺らす。

「…と、言いたいところだが、獲物がねえ」
「…俺もだ」
そう言って二人はあっさりと殺気を収める。
同時に木々のざわめきが止まり、辺りは静けさを取り戻した。

「互いに獲物が見つかるまで、勝負はお預けといくか」
「チッ、仕方ねえ。やっぱ戦いってのは、互いに最高の状態で楽しめねえといけねえよなぁ」
「弱え奴等をバンバン切るのも楽しいが。まあ、そういうのも面白れえよな」
互いにそう言い、二人は実に楽しそうに笑った。
「ヘヘ…さっきから気がうじゃねえか。お前さん名は?」
「志々雄真実だ。唯の人斬りだよ」
「そうか、俺は更木剣八だ。なあに、俺も唯の死神さ」

【更木剣八(@BLEACH)
 所持品:荷物一式 サッカーボール(@キャプテン翼)
 第一行動方針:刀を探す(出来れば斬魄刀)
 基本行動方針:志々雄と決着を付ける
 最終行動方針:強いヤツと戦う】

【志々雄真実 (@るろうに剣心)
 所持品:荷物一式 核鉄(LXX)(@武装錬金)
 第一行動方針:刀を探す
 基本行動方針:剣八と決着を付ける
 最終行動方針:全員殺し生き残る】

【現在地:長崎中部】

21 :運命の舞台:2005/06/29(水) 00:29:37 ID:0s9W763r
「あら、趙公明ちゃんじゃない」
およそ殺し合いの場にはふさわしくない、色香を持った女の声が夜に響いた。
「おお…妲己、このような殺し合いの舞台で偶然出会おうとは、戦いはやはり我々の運命なのか」
趙公明と呼ばれた男はそう言い、まるで舞台役者のような大げさなアクションを取る。
「あらん運命なんて、か弱い女の子を守ってくれないの? 金鰲島からの貴方と私の仲じゃない」
宣戦布告ともとれるその言葉にも態度を変えず、相変わらずの軽い乗りで妲己と呼ばれた女は言い放つ。
「残念だが、袂を分けた我々が出会ってしまった以上、それは戦う運命なのだよ!」
高々とそう言い放ち、超公明は力強く拳を握りしめ、まつげの長く伸びた瞳から大量に涙を流した。
「まあ、酷い! 何て酷い運命…」
ヒラヒラとした服の端で口元を押さえ、同じく演技がかった大げさな動きでその場に崩れ落ちた。

一見冗談めかしたやり取りだが、二人の間に流れる力は間違いなく本物だ。
全くの本気で、互いに息の根を止めようとしているのがわかる。
その力は巨大にして強力、人を寄せ付けぬ迫力を持っていた。

「自分の宝貝じゃないのが残念だけど、これでお相手するわん」
そう言って立ち上がった妲己は、短い棒のような物を取り出した。
それは妲己の宿敵たる太公望の宝貝『打神鞭』、その効果は風を巻き起こし敵を引き裂く。

対する趙公明は長い棒を構え、妲己に向かい構えを取る。
「私も不慣れな武器だが、これも運命! いくぞ妲己くん!」
二人は対峙し、戦いが始まろうとしていたが。

「止ぁめぇろおおぉぉぉ!!」
それは一つの怒声によって打ち切られた。

二人が声の発せられた方向を見つめると、遠くからものすごい勢いで走ってくる少年が一人。
見ればその手には、刃物のついた小手のようなものが装備されているのがわかる。

「殺し合い何て馬鹿な真似は止めろ! そんな馬鹿な行為は止めるし、このゲームも止めてやる!」
二人の間に割り込んできた学生服の少年は、二人の圧力も意に介さず高々と咆える。

「あらあら…可愛い子…」
黄金に輝く獣の瞳が、少年を捕えた。

【蘇妲己(@封神演義)
 所持品:荷物一式 打神鞭(@封神演義)
 第一行動方針:趙公明を倒す、カズキをどうするかは不明】

【趙公明(@封神演義)
 所持品:荷物一式 如意棒(@DRAGON BALL)
 第一行動方針:妲己を倒す】

【武藤カズキ(@武装錬金)
 所持品:荷物一式 ドラゴンキラー(@ダイの大冒険)
 第一行動方針:殺し合いを止める
 基本行動方針:仲間を探す(斗貴子、ブラボー優先)
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【現在地:大阪難波】

22 :運命の舞台:2005/06/29(水) 00:30:11 ID:GAjvs5pm
巨木から北に向かってしばらく行った先の木の上にエドガーは居た。
笑いながら眼下を駆け去っていくデールを確認し、一言呟く。
「蜂蜜のように大甘だよ、お坊ちゃん」
場慣れしていないのが丸わかりだ。
冷静に相手を見極めればそれが素人かどうかはすぐに判別できる。
最もあの狂気を前にすれば言うほど簡単なことではないだろうが。
しかし相手の戦場経験の浅さを見越しそれを利用したとは言え、
こんな単純な誘導トラップに簡単に引っ掛かってくれるとは思わなかった。
最悪一戦交える覚悟もしていたというのに。
だがそんな危険を冒す必要がなくなって僥倖だった。
シンシアの下に急いで戻らなければ。
エドガーは片手で器用に木を降りて、駆け出した。

【シンシア 所持品:万能薬(ザックその他基本アイテムなし)
 第一行動方針:リュカの傷の手当てをする
 第二行動方針:仲間を探す 最終行動方針:ゲームの脱出】
【リュカ(右肺刺傷、両腕被弾) 所持品:お鍋の蓋 ポケットティッシュ×4 アポカリプス
 第一行動方針:?
 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】
【現在地:カズス北西の森の巨木の根元】

【エドガー(右手喪失) 所持品:天空の鎧 ラミアの竪琴 イエローメガホン 血のついたお鍋
 第一行動方針:シンシアとリュカの下へ戻る。
 第二行動方針:仲間を探す 第三行動方針:首輪の研究 最終行動方針:ゲームの脱出】
【デール 所持品:マシンガン(残り弾数1/4)、アラームピアス(対人)
 ひそひ草、デスペナルティ リフレクトリング 賢者の杖 ロトの盾 G.F.パンデモニウム(召喚不能)
 第一行動方針:リュカを殺す為追いかける(サスーン城へ向かう)
 第二行動方針:皆殺し(バーバラ[非透明]とヘンリー(一対一の状況で)が最優先)】
【現在地:サスーン城東の森付近】


23 :震え:2005/06/29(水) 00:30:56 ID:0s9W763r
「怖いよ……ぬ〜べ〜、広〜。助けてよ……」

長い髪を頭の両側で括った少女、稲葉郷子は震えていた。

「なんでこんなことになっちゃったんだろ……」

少女の言葉に答える声はない。その事実が、さらに彼女の不安を煽りたてる。
たった24時間前、昨日までは自分は日常の世界にいたはずだ。いや、平均的な
小学生と比べると、少し刺激的な日常だったかもしれないが。幽霊や妖怪に遭った
ことのある小学生なんて、そうそういるものでもないだろう。

そんな彼女から見ても、今の事態は異常だった。目が覚めると、見たこともない広間に
寝かされていた。見たこともない人たち(明らかに人ではないモノもいたが)が、大勢
集められていた。そこに見たこともない怪人たちが現れ、見たこともないほど強そうな
スキンヘッドの男性を、埃を払うように呆気なく、見たこともないような無残な死体に変えた。

「うう……」

稲葉郷子は震えていた。自分の支給品を抱きかかえて震えていた。
いま、彼女は一人だ。いつも自分に勇気を分け与えてくれた友人たちも、恩師も、傍にはいない。
一人、いや、独りであるということはこんなにも心細いことなのか。

稲葉郷子は震えていた。誰もいない駅構内で震えていた。物陰に身を潜めて震えていた。孤独に侵されつつも
震えていた。そのせいかも知れない。彼女の支給品、2mはありそうな刀(斬魂刀というものだと郷子は知らない)が
まるで彼女の墓標のように、身を潜めている物陰から顔を出していることに気付けなかったのは。
そのせいかも知れない。ここ、駅構内は様々な人間が集まるであろうことに気付けなかったのは。
少なくとも、彼女の後ろに立つ男に、そして彼が一抱えもありそうな岩を頭上に掲げていることに気付けなかったのは
郷子が孤独に耐えることに夢中になっていたからに他ならなかった。


火口卿介は震えていた。自分の幸運に震えていた。最初に自分の支給品を見たとき、冗談のようなその品物、
使い古したテニスラケットを見たときには自分の運のなさを呪ったものだった。だが、幸運にも、誰にも会うことなく
少し大きすぎるきらいはあるが、立派な武器を、刀を手に入れることが出来た。
未だ心細いことに変わりはないが、自分には剣道五段の腕前がある。そうそう遅れはとらないだろう。
だが駅は危険だ。自分のようなものがきっと大勢集まってくるだろう。そういうところに頭を働かせないと、
この子供の様に、独り、無残な死体をさらすことになる。

火口は足元に倒れふす少女、稲葉郷子に一瞥もくれることなく、足早にその場をあとにした。


【火口卿介
 状態:健康
 所持品:荷物一式 斬魂刀 テニスラケット
 現在地:兵庫県 姫路:姫路の駅の側
 基本行動方針: 生き残るための道具を回収してまわる。奪えそうなときには強奪も辞さない。
 最終行動方針:生き残って、強い権力を手中に収める】


【稲葉郷子 死亡】
【残り128人】

24 :前門の虎:2005/06/29(水) 00:31:12 ID:GAjvs5pm
サスーン城へと到着し、扉を開けたマティウス達。
 殺気などは無いものの、微かに香る血の臭いに戦慄した。
「……これは」
「誰かが戦っているか、戦った跡か。どちらにせよ、危険な事に変わりはないが」
 マティウスは意見を求めようと二人を一瞥する。
 が、二人共全く表情を変える事はなかった。
「城へ行くと決めたなら行けばいいだけの事だ。
 どちらにせよ、ここには安全な場所など皆無だからな」
「物真似をしている以上、マティウスの意見に私も賛成する」
 魔女と対立するのなら――安全などという物を追う意味などない。
 追ったところで意味もなかろう。最終的に死ぬか魔女を倒すかしなければこの円環の世界は終わらないのだから。
 しかしそれでも、思考の内に魔女と会う為には参加者が減ってから動くべきではという物が少なからずあったのも事実だった。
 どちらかを選択しなければならない。
 危険を承知で臭いの元へと駆けるか、惹かれるままに来たこの城から一旦退くか。
 それぞれメリットもデメリットもある。
 もしこのまま進んだ場合、戦いの勝者が潜んでいる可能性がある。
 勝者が襲われて反撃したのかそれとも進んで襲ったのかはすぐには分からないから、対応を遅らせて死を招く事も有り得る。
 敗者の遺留品のような物が残っている可能性もある。しかし大抵は勝者が持ち去るだろう、これは望み薄だ。
 それを加味して考えれば、その勝者を倒す・もしくは仲間に迎える場合一挙に最低二人分のアイテムを手にする事になる。
 どちらにもならなくとも、勝者の行動方針も大体は把握出来るだろう。
 好戦的であった場合は殺せばいい。最終的に被害者を減らせるのだから、仲間が増える可能性も増える。
 ハイリスクハイリターンだ。
 逆に引き返す場合、結局誰が戦い誰が勝利したのかがわからない。
 誰が好戦的で、誰が非好戦的なのかという情報は非常に重要だ。
 それだけでも分かれば対策も立つというものなのだが。
 但し今しばらくの安全は買えるだろう。少なくとも今回の戦いの勝者に遭遇する可能性は減る。
 このまま魔女討伐を目指すなら、人数が減るのは極力避けたい。
 百人以上居た参加者を前に笑っていられるような相手だ。力の程は計り知れない。


25 :傷者、2人:2005/06/29(水) 00:32:39 ID:0s9W763r
>>22は無効です。

地図と参加者名簿を頭に叩き込み終えた津村斗貴子は、コンパスを手に東西南北を確かめる。
彼女の考えた選択肢は三つ。
一つ、東へ行き東京で仲間を探す。
二つ、西へ行き大阪で仲間を探す。
三つ、ここに名古屋に待機し仲間が来るのを待つ。
参加者の多くは街を目指すだろう、人探しをするなら大都市で行うべきだ。

畳の上に置いた鞄にコンパスを戻した斗貴子は、今度は鞄から小振りな剣を取り出した。
とても軽そうな剣だが、どんなに力を込めても抜けない。
一緒に入っていたメモ用紙に記されていたのは、たったの二行の文だった。

『ダイの剣
 オリハルコンで作られた地上最強の剣』

この言葉を信じるならば、これは数ある支給品の中でも最高クラスの性能だろう。
だが、なぜ抜けない?
『ダイの剣』という名に見覚えがあった斗貴子は、参加者名簿を読み直し確認する。
参加者の中にダイという名前がある。この剣はこのダイという人物の武器だろう。
そして……。

――『オレの剣』…!……武器なんか、無くったって!――

あの大魔王バーンという老人に飛び掛った少年。
バーンから『勇者』『竜の騎士』と呼ばれ、金色の光を放っていたあの少年。
彼こそ『ダイ』ではないだろうか? この剣の持ち主ではないだろうか?

津村斗貴子は考える。
もしこの剣が、本当に地上最強の剣なら――勇者と呼ばれたあの少年なら――。
一つの結論に達した斗貴子ではあったが、だからといってこれから取る行動が変わる訳ではない。
結局は、探すべき人物が一人増えただけだ。
武藤カズキ、Cブラボーに加え、勇者ダイを探す。
人を探すためには大都市にいるべきだ。
ならばここ名古屋か、大阪か、東京か、選択肢は三つのままだ。

しばし考え――斗貴子は名古屋に留まる事にした。
手がかりもなく移動し、無駄に体力を消耗し、危険に身を晒すより、何らかの情報が得られるまでここにいるべきだ。
ここを移動する時はカズキ達の情報を得た時か、もしくは――。


26 :傷者、2人 2/2:2005/06/29(水) 00:33:26 ID:0s9W763r
>>24は無効です。
斗貴子は鞘に収められたままの剣を持って立ち上がり、構えた。
人の気配がする、それもすぐ近くに。
張り詰めた空気の中、斗貴子は視線を巡らせた。
(誰だ? どこだ?)
殺気を放ち威嚇するも、相手は微塵も気配を晒さない。
背中から冷たい汗が噴出した刹那、暗闇から指が飛び出し斗貴子の右腕を突いた。
痺れるような衝撃に戸惑いながら、斗貴子は鞘のついたままの剣を襲撃者に向かって振るう。
だが突然右腕に力が入らなくなり、剣は襲撃者の服を小さく裂くだけに終わった。
「待ってくれ」
襲撃者は素早く後ろに下がって距離を取り、斗貴子を制止する。
斗貴子がそれに従ったのは、右腕の感覚が完璧に無くなってしまったからだ。
このまま戦い続けるのは得策ではない。
「すまない、念のため右腕の神経を一時的にマヒさせてもらった。……君に訊きたい事がある」
「……何だ」
「戦う意志はあるか?」
「このゲームを開催した者と、このゲームに乗った者となら」
「そうか……」
男はゆっくりと斗貴子に歩み寄った。
天守閣の窓から入り込む月明かりに、男の姿があらわになる。
長身で筋肉質な男の胸には、北斗七星のような傷があった。
男が斗貴子の右腕を軽く指で押すと、電気が流れるような刺激の後、腕の感覚が戻ってくる。
「オレの名はケンシロウ。リンという少女を探している……君も誰かを探しているのなら協力しないか?」
斗貴子はしばし考え、ケンシロウの澄んだ瞳を見、うなずく。
「武藤カズキという少年と、Cブラボーという男を探している。
 それからダイという名の……恐らく、バーンという老人に向かっていった少年だ」

【津村斗貴子
 所持品:荷物一式、ダイの剣(ダイの大冒険)
 第一行動方針:ケンシロウと話す。
 基本行動方針:カズキ、ブラボーを探す。勇者ダイの情報を集める】

【ケンシロウ
 所持品:荷物一式、支給品不明。
 第一行動方針:斗貴子と話す。
 基本行動方針:リンを探す】

【現在地:愛知県、名古屋城】

27 :太公望と富樫(仮) 1/2:2005/06/29(水) 00:35:17 ID:0s9W763r
「おい……てめえ、いい加減真面目にしろよ」
「嫌じゃ」
「おいこら…一体誰のせいでこんなことになったと思ってやがるんだ」
―――太公望と富樫源次。二人は今、食料調達のため海岸にて釣りをしている。
…厳密に言えば富樫一人だが。太公望も一見釣りをしているように見えるのだが、
よくよく見てみれば、釣り針がただの木の小枝である。魚を獲る気が無いのは明白。
割とまじめに頑張っている富樫の釣竿も竿が木の枝で、釣り針がデイバックの金属を無理矢理折り曲げて
作った急造品なので十中八九釣れないだろう。
「大体てめえが俺の食料を奪おうとするから全部海に落ちたんじゃねえか」
「わしの目の前で桃を出すおぬしが悪いのだ」
事の発端はこうである。海岸でデイバックの中身を確認していた富樫が
食料の桃の缶詰を手にした時に運悪く太公望に発見されてしまい、
奇声を発しながら缶詰を奪おうとする太公望とすったもんだの末、食料袋を
海に落としてしまったのだ。食料を失った富樫は怒りの赴くままに太公望を
どつきまわしていたのだが、一緒に食料を探す、という太公望の提案で怒りを静めたのである。
「またたんこぶが増えたではないか…」
「てめえが約束どおりに食料を集めねえからじゃねえか。
 今の状況わかってんのかよ」
どうやらまた殴られたらしい。しかし富樫の言うとおりである。
今現在殺し合いが行われているであろうこの見知らぬ土地で、のんびりと釣りをしている。
全く似つかわしい行為をしているこの二人。一応物陰に隠れて釣りをしていうとはいえ、
いつ狙われてもおかしくない。しかし食料の問題は楽観視できず、今、食料を調達できる場所と
いえば、目の前の海しかない。仕方なしに富樫は太公望の提案を呑んだのである。
「……うむ、考えがまとまった」
「?急にどうしたんだよ」
太公望の顔つきが変わったことに驚きを隠せない富樫。これからの話が今までの無駄話とは
違うことを察した富樫は静かに太公望の次の言葉を待った。
「この島はおぬしが住んでいた国の形と瓜二つなのだな?」
「ああ、そうだぜ。ただ大きさは全く違うけどな」
「この地球で、いや、たとえ違う星だとしてもある特定の国と全く同じ形をした土地が
 存在することはもはや天文学的な数字だ。また、ご丁寧に縮図の入った地図まで用意しておる。
 本物を知る人間に、島の大きさが違うということを知らせるためだろう。
 これはこの島のことを理解していないと用意できないものだ。これらのことからこの島が
 主催者と名乗る彼奴等が意図的に作った人工物だということが容易に想像できよう」
…おいおい、これがさっきの奇声を発して俺の缶詰を奪おうとした野郎かよ。
富樫はそう思いながら、静かに耳を傾けていた。
「更に言えば、人工物であるこの島に生息する動物や植物は本物だ。
 人工物とはいえ、この巨大な島全体に本物の生物を根付かせるのは至難。
 このようなものを生み出せる主催者という彼奴等、侮れまいぞ。
 ……もっとも、それはこの首輪やわしらをここに飛ばしたこと時から分かっていたがのう」
「…それは分かったけどよお、結局、てめえは何が言いたいんだ?」
太公望はそう言われると苦笑いをし、静かに目を閉じ、そして言った。
「後半は完全に蛇足になったが、つまりわしが言いたいのは脱出できるということだ。
 全てが作られた世界であるこの島、いかに本物に演出しようとしても所詮は人が作ったものだ。
 完璧ではない。必ず穴があるはずだ。それに…」
目を閉じ、重苦しい表情で語っていた太公望の顔が笑顔になる。
「彼奴等が言った『ゲーム』という要素にこの島から脱出する術があるはずだ」
「どういうことだ?もう俺は訳がわからねえんだがよ…」
太公望は笑顔を崩さないまま、また語り始める。
その笑顔からは絶え間なく希望という名のオーラが滲み出ていた。
「わしらが一番最初に連れてこられたあの場所。あの場所で色々な能力を持つ人間を見たはずだ。
 禿げの大男が繰り出した光線に、小柄な少年の体に光り輝いていた謎の紋章。
 更に人間界最高の頭脳を持つと呼ばれていたLという者。
 どれもわしが見たことも聞いたこともないこと  ばかりだった。」

28 :時間の支配者:2005/06/29(水) 00:35:25 ID:GAjvs5pm
「――時よ止まれ! ザ・ワールドッッ!!」
 高らかな叫びと同時に、鵺野と両津の動きが、いや世界の時間が止まった。
 凍った時間の世界で、ディオ・ブランドーは悠然と二人に近付いた。
「先ほどの手際は見させてもらった。中々の使い手だ。賞賛しよう」
 ディオは止まった二人の前に立ち、支給品の斬馬刀を振りかぶった。
「だが! 生き残るのはお前たちでも空条承太郎でもない!
 このディオ・ブランドーただ一人なのだッッッ!!」
 超腕力で振り下ろされた斬馬刀が、鵺野を縦に両断した。
 返す刀で横薙ぎに振った斬馬刀が、両津を横に両断した。
 殺戮を終えて、ディオはスタンドを解除した。血の臭いが立ち込めている。
 ディオは自分についた返り血を一舐めして――すぐにそれを吐き出した。
「まずい。やはりこの身に馴染むのはジョースターの血脈しかないか――」
 転がっている両津の頭を踏み潰して、ディオは王者の足取りでその場を立ち去った。

【ディオ・ブランドー
 所持品:荷物一式、斬馬刀
 第一行動方針:空条承太郎の捜索、殺害。
 最終行動方針:優勝する】


29 :太公望と富樫(仮) 2/2:2005/06/29(水) 00:36:01 ID:0s9W763r
>>28は無効です。

富樫は思い出す。確かにあのとき、様々な人間がいた。
太公望が述べた者以外でも、富樫の周りには奇妙な服装の人間、人間ですらない奴もいた。
「おそらく彼奴等がゲームを楽しむことを考えて様々な能力を持つ人間を集めたのだろう。
 自分たちの力があれば何も恐れることは無い、という自信のもとでのう」
「でもよ、それがなんで脱出できることに繋がるんだよ」
「ゲームというのは全て自分が知っているとつまらんもんだからのう。
 …彼奴等はよりゲームを見て楽しむために、能力、人種、国籍、その他もろもろにおいて
 全てランダムに集めているはずだ。よほど自分の力に自信があると見える」
富樫はようやく理解した。つまり主催者と名乗る奴らが知らない、この島から脱出する術を持つ
人間がいるかもしれないという事実に。そいつを仲間に入れれば脱出も夢ではない!
「すげえよおめえ。尊敬するぜ」
「伊達に100余年生きておらんわい」

…100年?
あえて聞き流した富樫は粗末な釣竿をその場に捨て、立ち上がり、太公望の前に向かった。
「そういや自己紹介がまだだったな。俺は男塾一号生、富樫源次だ」
「わしは崑崙の道士、太公望だ」
ここにきてようやくお互いの名を知った二人。
その顔には微かな笑顔とがっちりと握られたお互いの手があった。
「富樫、わしと組まんか?」
「あ?」
「おぬしは先刻から隙だらけであったわしを殺そうとするばかりか、まるで仲間であるように接した。
 おぬしは信頼に足る男だ。わしは心からおぬしと組みたいと思っている」
富樫は何故か後ろに振り向くと、誰も見ていないのにも関わらず更に顔を隠すためか、深く学生帽を被り直した。
恐らく照れ隠しだろう。そのことを察した太公望は声も無く笑うと、二人は荷物を持ち、別の場所へ移動を始めた。
「ところでよ、俺の食料はどうすんだ?魚も一匹も釣れちゃいないんだがよ」
「悪いがわしは仙道なので生物は食べてはいけないのだ。あの釣りはわしが考え事をするときに
 よくすることなのだ。そもそも保存の仕様が無い魚を手に入れてどうするつもりだったのだ」
    ゴツン
またげんこつを食らったらしい。太公望はうずくまっている。
…果たしてこの二人の行く末はどうなることだろうか。

【富樫源次
 所持品:荷物一式、支給品不明
 第一行動方針:太公望と組み、脱出の術を持つ人物を探す。
 基本行動方針:男塾の仲間を探す】

【太公望
 所持品:荷物一式、支給品不明。
 第一行動方針:富樫と組み、脱出の術を持つ人物を探す。
 基本行動方針:竜吉公主を探す】

30 :出会い、別れ:2005/06/29(水) 00:36:44 ID:GAjvs5pm
兵庫へ向かう両津と鵺野。その道中に、アクシデントが起こった。
「ん?」
「どうした?鵺野先生?」「どうもこのスカウターという機械が壊れてしまったようだ。」
鵺野はもう一度説明書を読んでみた。
【スカウター】人の強さ、所在地が分かる。但し、個人名までは分からない。
そして小さく下の方に
注.故障しやすい。
と書かれてあった。
二人はがっかりしながら広島駅へ向かった。そこも市内と同じくぼろぼろで、みすぼらしい所だった。
まもなく電車がやってきた。
二人は警戒しながら乗り込んだ。誰かが待ち伏せしているかもしれないからである。
(こんな時にスカウターがあればな)等と思ったが幸い攻撃を受けることは無かった。
しかし、電車内は無人ではなかった。客席の奥に一人の少年が座っていたのである。


31 :出会い、別れ2:2005/06/29(水) 00:37:26 ID:GAjvs5pm
「どうする?両津さん?」鵺野はためらっていた。相手が子供でも、殺し合いをする奴だったら戦わなければならないからだ。教師である鵺野にとって子供を殺すことなどできない。
「わしが行こう。こういう時は警察官であるわしがいくのが当たり前だろう」
両津は扉を開け、少年の方を見た。もちろん少年も両津をじっと睨んでいる。
「坊主、心配するな。わしはこのゲームに乗る気はない。お前の他にこの電車に乗っている奴はいるのか?」
5秒でどんな人とも友人になれると自負していた通り、その話術で少年の緊張を解いた。
「おーい。この坊主は戦う気はないみたいだ。入ってきても大丈夫だぞ」
鵺野も客室に入り、少年に尋ねた。
君はこれからどうする?俺たちと行動しないか?」
「俺はハーデスを倒すための仲間を集める為に、大阪へ行く。一緒には行けない。」
少年は二人が予想もしていないような発言をした。
「ハーデスってあの時フリーザと一緒にいた奴か?」両津が尋ねると、
「あぁ、奴は恐ろしい力を持っている。あなた達は力の衰えを感じないか?」
両津は首を横に振ったが、鵺野は、
「そういえば鬼の手に力が感じられない。なぜだ?」「それがハーデスの力だ。奴は結界を張り異常な力を持つ人のパワーを束縛しているのだ」


32 :史上最高に不幸な男:2005/06/29(水) 00:37:29 ID:0s9W763r
「ついてねぇーーーーーーーーーーー!!」
天を仰ぎ男は叫んだ。
彼、追手内洋一は世界一運の無い男だ。
現に今も最初に飛ばされた場所が富士の樹海と言う時点で終わっている。
手元にある配られた食料には限りがある。
「こんな所に飛ばすんだったら武器じゃなくて食料でも入れてろっていうんだ……」
そう愚痴りながらもバックの中を漁る。
しかし、おかしい。
バックの中には武器らしい武器すらない。
あげくには鞄の中を全て地面の上に並べてみたがこれと言って武器らしい武器はない。
食料に水、コンパスに地図そして一冊のノート。
「それにしても趣味悪い柄だなぁ」
ぺらぺらとページを捲っている内にある重大な事実が解った。
どうやらこれは名前を書いただけでその人を殺せるノートらしい。
「おぉラッキー!今日の俺はついてるジャン!」
早速この馬鹿げた事態を引き起こしたバーンと言う名前を書き込んでみる。
「そしてこの馬鹿げた事を俺が終わらしたって事を宣伝して……ぐふふふふ」
いつも冴えない自分だったが今度こそ一躍ヒーローとしてもてはやされ、そして女の子が憧れの目で見てくれるようになってくれる筈。
「そして……見代ちゃんと……」
「この変態がー!!」
後ろを振り返ると5トンと書かれたハンマーを軽々しく持ち上げていた女性が仁王立ちしていた。
「げげーっ!」
慌てて逃げ出す洋一だったが至る所に張り巡っている木の根に躓き転んでしまう。
しかも勢い良く転んだ拍子に右手が身体の下になってしまったらしく鈍い音が静かな森に木霊した。

「ごめん、本当にごめん!!」
両手を合わせ謝る槇村香。
「あはは、君の出しているオーラが知っている奴と似ていたからさ……つい」
「ついで人を叩きつぶすんですか……」
すると香は自分のハンマーについて解説し出す。
「――要はフライパンと黒いビニールと金具と木で出来たがらくたですか……」
それを聞いて今度は自分のノートの存在を教えた。
「それって凄いじゃん!もしそれが本当だったらみんな争わずに済むんだし!」
「だけど、本当に終わったかどうかは次の放送まで解らないけどね……正直時間が経つに連れこのノートの効果も嘘臭く思ってきたし」
あまりにも強すぎるノート。
洋一はその存在を疑っていた。
偽物のハンマーが出回るくらいだ、別に偽った効果のただのノートが支給されていても不思議じゃない。
本当はそのノートはデスノートと言う紛れもない当たりアイテムであったりするのだが、彼の運のなさはそれを疑ってしまう所にも影響していた。
それと勿論主催者側の名前を書いても効果はないとルール欄に書いてあったりするのだが
それを見落としていたり、しかも既に一回書いてしまったので次の0時まで利用できなかったりもする。
詰まりはとんでも無く運のない男なのだ。

右腕を犠牲にしてまで必死になって避けた自分。
現れたのは心強い仲間ではなく配布された獲物も外れの怖い女性。
そして、その前にぐるぐると針が回っているコンパスで此処を脱出できるのかどうか……
洋一は今の自分を振り返ってみて再び天を仰ぎながら叫んだ。
「俺ってやっぱりついてねぇーーーーーーーーーーー!!!」
彼はまだこの樹海が自分の思っているより小さいということには気がついていなかった。

【追手内洋一(@とっても!ラッキーマン)
 状況:右腕骨折
 所持品:荷物一式 デスノート(@DEATHNOTE)
 第一行動方針:らっきょを探すためにも森を脱出する
 基本行動方針:らっきょ探し】

【槇村香(@CITY HUNT)
 所持品:荷物一式 ウソップパウンド (@ONE PIECE)
 第一行動方針:洋一と行動する】

【現在地:山梨県、富士樹海】

33 :出会い、別れ3:2005/06/29(水) 00:38:35 ID:GAjvs5pm
流石に少年の発言がショックだったのだろう、二人は呆然としていた。
「じ、じゃあどうやってハーデスを倒すんだ?」
両津が沈黙を破った。
「それは俺にも分からない。ただ、このミニ日本に俺を含む聖闘士と呼ばれる戦士が四人いる。それに賛同者を加えた数で話し合ってみる。そうすれば打開策が見つかるかもしれない」
この言葉に鵺野は、
「そうだ。決して諦めてはいけない。何か、何か方法があるはずだ。俺たちも目的が達成できれば君と合流したい」
少年は喜び、
「そうか。ありがとう。そういえばまだ名を名乗っていなかったな。俺は星矢。ペガサス星矢だ。あなたたちの名は?」
「わしは両津勘吉、こっちが鵺野冥介。…おっと。もう兵庫県か。じゃあな、星矢。また会おう」
二人は電車を降り、星矢一人を乗せ大阪へ…



34 :惨劇:2005/06/29(水) 00:39:16 ID:0s9W763r
「俺は必ずたけしやボンチューを倒して優勝してやるぞー!」
岩手の海岸線。一人の男が吠えている。いや、男というより、子供といった表現のほうが相応しいかもしれない。
ゴン蔵は愛する小次郎のためにも絶対に負けるわけにはいかなかった。
しかし、皮肉なことに彼の発した大声は近くにいた参加者の耳に入っていたのだ。
「まずは、たけしを探し、決着を付けてやるか」
「残念ながらそれは不可能だよ」
突然何者かがゴン蔵の背後から襲ってきた。そして振り向くゴン蔵に男は太刀を浴びせた。
「あ、俺の7年の、人生は・・・・・・」
薄れゆく意識の中最後に目にしたのはその男の嘲笑う姿であった。
「ククク、一人減ったな。この桃白白様に殺されたのだ一億の価値があるぞ」
桃白白はゴン蔵の荷物を拾い上げ、中を確認した。
「チッ。バスケットボールだと?このガキ!こんな物で優勝する気だったのか。まぁいい。とりあえず飯だけは確保できたからな。」桃白白は荷物をかっさらうと南へと消えた。

【桃白白】状態→健康
所持品→自分の支給品一式とゴン蔵の食料、脇差し
第一行動→南へ向かいできるだけ殺す
最終目標→優勝する
現在地→岩手

【ゴン蔵死亡】
【残り127名】

>>30-31 >>33は無効です。

35 :名無しかわいいよ名無し:2005/06/29(水) 00:39:17 ID:ZjJDOHUG


GAjvs5pm
のは全部無効です。



36 :出会い、別れ3:2005/06/29(水) 00:40:05 ID:GAjvs5pm
電車を降りた二人はどこから探そうか決めようとしたがそれも電車が通り過ぎるまでの間だった。
先に異変に気が付いたのは両津だった。
「鵺野先生!向こうのホームに女の子が倒れているぞ!!」
次の瞬間、鵺野の顔は青ざめ、汗がだらだら流れているのが感じられた。
「郷子ぉーーーっ!!」
鵺野は我を忘れて郷子の所まで、いや、かつて郷子と呼ばれた物の所まで走った。そして、脈を見たあと、鵺野はその場で泣き崩れた。
「郷子、許してくれ。助けられなくて。くそっ。俺は、俺は、教師失格だ。俺は教え子一人守れない無能だ!!」
鵺野が泣き崩れている所にぬっと一人の男が現われた。
「ひゃーっはっはっはっ。貴様、何を泣いているんだ。そんなに人の命が大切か。馬鹿め!ここでは己の命より大事なものなんてねえんだよ。そんなに悲しけりゃ貴様も地獄に送ってやるよ。」
男はナイフを取り出し、鵺野めがけて振り上げた。
その時、両津のマグナムが火を吹き、男の腹に直撃した。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!いてぇぇぇぇぇ」
男はその場にうずくまり、悶えた。
「止めだ」
両津が銃口を男に向けると、
「まてっ!あいつは…あいつは…おれが…殺す!」
鵺野は立ち上がり、転がっている男に近づいた。その目はまるで鬼が宿っているかのようだ。
「ひぃぃぃっ。この道化のバギー様がこんな所で死ぬわけにはいかん。仕方がない。パーツは捨てよう。バラバラ緊急脱出っ!」
銃痕が残る下腹部を切り離し、バギーは逃げようとした。しかし、
「逃がさん。貴様のような奴を逃がせば第二、第三の郷子が生まれてしまう」
――だから、俺が負けるわけにはいかねえんだ!
バギーの目から七色の光線が飛び出した!
「ぉぎょいあういぎゃああがかが」
それを受けた両津と鵺野の身体は…溶けていく、溶けていく。


両津、鵺野、郷子死亡

【バギー
 所持品:荷物一式 支給品不明
 最終行動方針:優勝】


37 : クレイジー翼:2005/06/29(水) 00:40:40 ID:0s9W763r
「そこのヤツ、殺る気がないなら出てきな。あるんならそのままでいいぜ」
闇夜の中、空条承太郎は建物の影に向かって声をかけた。
「僕は人を殺す気なんてないよ」
その声の後、建物の影から、一人の青年が両手を挙げながら現れた。
「OK、手を下げな。俺もこんなゲームに乗るつもりはないからな」
承太郎は相手に敵意がないことを確認すると、青年のほうに近づいていった。

「僕の名前は大空翼、君は?」
「俺は空条承太郎だ、JOJOとでも呼んでくれ」
「うん、わかったよJOJOくん」
翼は爽やかに笑い、片手を差し出した。
僅かに躊躇った後、承太郎はそれを握り返した。

「もう一度確認するが、お前はゲームにのってないんだな?」
「うん、こんなことは間違ってる! 11人の仲間を集めてあの3人を倒すんだ!」
拳を握り、翼は高らかにそう叫ぶ。
「ああ、仲間を集めるのは良いとして、何で11人なんだ?」
「? 決まってるじゃないか、サッカーは11人でやるものだよ?」
その言葉の意味がわからず、承太郎は眉をひそめる。
「おいおい、ふざける場合じゃあないだろ。こんなときに下らない玉遊びの話をしてどうする」
呆れたように言い放つ。
「…下らない玉遊びだって?」
そう呟き、翼は俯きナワナワと震え始めた。
「どうした…? 翼」
突然の様子の変化に、承太郎は僅かに戸惑い翼に声をかけた。

「サッカーを…」
翼の足が、異常と言っていい高さまで振り上げられる。
「馬鹿にするなぁ!!」
叫びと共に、ものすごい勢いの蹴りが承太郎に襲い掛かる。
その蹴りは速さ、タイミング、高さ、どれをとっても一級品。
いくら承太郎といえど、完全に不意を付かれた形でこの蹴りはかわせない。

しかし、確実に当たると思われたその蹴りは空を切った。
僅かに承太郎の目の前を掠めるにとどまった。

(なんて蹴りだ…思わず、僅かに0.2秒ほどだが、時を止めちまったぜ…)
その蹴りの威力、そして突然の豹変に承太郎は戸惑いを隠せない。
「OKキャプテン、サッカーは最高のスポーツだ」
両腕を軽く上げ、降参の意を表し承太郎はそう言った。

「うん! わかってくれてうれしいよJOJOくん」
その言葉に、先ほどとは打って変わってスポーツマンらしい爽やかな笑顔を向ける。
「それじゃあ行こうか。メンバーを探しに!」
元気の良い声でそういいながら、翼は歩き始めた。

「やれやれ…まったくクレイジーだぜ」
承太郎はそう呟き帽子を深く被りなおすと、翼を追って歩き始めた。

【大空翼(@キャプテン翼)
 所持品:荷物一式 禁鞭(@封神演義)
 第一行動方針:11人の仲間を集める
 最終行動方針:主催者を倒す】

【空条承太郎(@ジョジョの奇妙な冒険)
 所持品:荷物一式 らっきょ(@ラッキーマン)
 第一行動方針:翼と行動する】

【現在地:新潟】

38 :名無しかわいいよ名無し:2005/06/29(水) 00:41:09 ID:iaIBq4og
投下し終わったあとで

プロローグ>>○○

などと有効なものだけタイトル別にレスアンカーで指定しておけばいいかと

39 :変態二人:2005/06/29(水) 00:42:11 ID:0s9W763r
『!』

 どことも知れない森の中、二人の男は出会い、そして同時に思う。

(怪しい奴!)
「おい お前はこのゲームとやらに参加する気か?」

 蝶々仮面をつけた細身の男…パピヨンが尋ねる。

「んー…どちらかと言えば 参加する気は無い、かな」

 異様な服装に身を包んだ男…奇術師ヒソカは答え、続ける。

「ボクは戦いが好きだし、人を殺すのはもっと大好きだ
 だが…ボクは自分の獲物は自分で選ぶ。
 それに、あの主催者達の自分は最強なんだよって目…気に入らないね
 ああゆうのこそ、ボクの手で殺してやりたいね」

 パピヨンはその男の異様な雰囲気に圧され、一瞬恐怖する。
 彼もまた、彼自身が言った様に「自分は最強なんだよって目」をしていた。

「なるほど どこかの偽善者の言葉よりよっぽど信用に値する
 …よければ手を組まないか? オレもこんなくだらないゲームはさっさと終了したいんでな」
「いいよ ボクとしても断る理由は無いし、さすがにあの3人を同時に相手はできないだろうしね
 とりあえずは知ってる名前と合流したいんだが…」
「決まりだな まずは人の集まりそうな場所を目指すか
 どうもこの世界はオレがもといた国を縮小したものらしいんでな、案内しよう」
「それは助かるよ、ボクには何も解らない未開の土地なんでね」

 互いの腹の内を隠したまま、二人は静かに歩き出す。

「ところで…」
「なんだ?」

 ヒソカはパピヨンの顔を指差し、好奇の目をしながらこう言った。

「それ、とても素敵だね」

 その言葉に、パピヨンは笑みを浮かべずにはいられなかった。

【パピヨン@武装錬金
 所持品: 荷物一式 支給品不明
 第一行動方針: 知り合いとの合流、ヒソカと行動
 第二行動方針: 核鉄を手に入れる】

【ヒソカ@HUNTER×HUNTER
 所持品: 荷物一式 支給品不明
 第一行動方針: 知り合いとの合流、パピヨンと行動
 最終行動方針: 主催者を殺す】

【現在地:佐賀】

40 :変態2人:2005/06/29(水) 00:43:59 ID:GAjvs5pm
『!』

 どことも知れない森の中、二人の男は出会い、そして同時に思う。

(怪しい奴!)
「おい お前はこのゲームとやらに参加する気か?」

 蝶々仮面をつけた細身の男…パピヨンが尋ねる。

「んー…どちらかと言えば 参加する気は無い、かな」

 異様な服装に身を包んだ男…奇術師ヒソカは答え、続ける。

「ボクは戦いが好きだし、人を殺すのはもっと大好きだ
 だが…ボクは自分の獲物は自分で選ぶ。
 それに、あの主催者達の自分は最強なんだよって目…気に入らないね
 ああゆうのこそ、ボクの手で殺してやりたいね」

 パピヨンはその男の異様な雰囲気に圧され、一瞬恐怖する。
 彼もまた、彼自身が言った様に「自分は最強なんだよって目」をしていた。

「なるほど どこかの偽善者の言葉よりよっぽど信用に値する
 …よければ手を組まないか? オレもこんなくだらないゲームはさっさと終了したいんでな」
「いいよ ボクとしても断る理由は無いし、さすがにあの3人を同時に相手はできないだろうしね
 とりあえずは知ってる名前と合流したいんだが…」
「決まりだな まずは人の集まりそうな場所を目指すか
 どうもこの世界はオレがもといた国を縮小したものらしいんでな、案内しよう」
「それは助かるよ、ボクには何も解らない未開の土地なんでね」

 互いの腹の内を隠したまま、二人は静かに歩き出す。

「ところで…」
「なんだ?」

 ヒソカはパピヨンの顔を指差し、好奇の目をしながらこう言った。

「それ、とても素敵だね」

 その言葉に、パピヨンは笑みを浮かべずにはいられなかった。

【パピヨン@武装錬金
 所持品: 荷物一式 支給品不明
 第一行動方針: 知り合いとの合流、ヒソカと行動
 第二行動方針: 核鉄を手に入れる】

【ヒソカ@HUNTER×HUNTER
 所持品: 荷物一式 支給品不明
 第一行動方針: 知り合いとの合流、パピヨンと行動
 最終行動方針: 主催者を殺す】

【現在地:佐賀】


41 :武装強化 1/2:2005/06/29(水) 00:44:05 ID:0s9W763r
しばらく歩くと吹雪が止み、見通しがよくなった。
そして真っ白な世界の中、その黒い肌はよく目立った。
その隣には三つ編みの髪を二本垂らした少女。
「クカカカカ……ガキ一匹に黒いの一人か。つまらねぇ獲物だ、せめていい武器を支給されていてくれよ。オレのためにな」
フレイザードは雪の中へその身体を沈め、獲物目掛けて動き出した。

「俺の名はアナベベだ」
「わ、私は竜崎桜乃といいます……」
怯えを孕んだ呟いた桜乃は、地図を見下ろしながら周囲を見回した。
一面の銀世界は美しいとは思うけれど、慣れないせいかやっぱり怖い。
早く関東にある青春学園へ行き、参加者名簿にあった越前リョーマと合流したい。
このアナベベという黒人と偶然出会った時、桜乃は死の恐怖に怯えたが、アナベベは涙を滝のように流しながら許しを請うたのだ。
どうやら桜乃を凶悪な殺人鬼と勘違いしたらしい、ずいぶんと小心者だ。
「……ところでアナベベさんの支給された物は何なんですか?」
「何か変な鉄だよ。役に立たねぇ」
残念そうに鞄から取り出したのは、LXIと記された奇妙な鉄の塊だった。
それが何なのかは桜乃にも分からなかったが、
「あの……説明書が入ってるはずなんですけど」
「え、マジ!?」
慌てて説明書を取り出したアナベベは、鉄の塊が核鉄という錬金術で生み出された道具だと知る。
これを使えば治癒力が増し、さらに真に使いこなす事ができる者にはさらなる力を与えてくれるらしい。
真の力を引き出す方法は分からないが、治癒力が増すというのはありがたい話だ。
「治癒はいいから、とりあえずこの寒さを何とかして欲しいぜ」
「そうですね」
「俺、一応アフリカ出身よ? ま〜家に帰りゃゴ〜ジャスな服がいっぱい……おっと、そういや桜乃ちゃんの武器は?」
桜乃は苦笑を浮かべながら鞄を開け、重たそうに支給品を取り出す。
彼女の武器は赤い刀身を持つ『炎の剣』だった。
蟲惑的な輝きを称える剣に、アナベベの目は釘付けになる。
「すっ、すっげー! すっげーカッコイー!」
瞳を輝かせるアナベベは、全身から「俺に使わせてくれ」というオーラを発していた。
桜乃はしばし考え、ため息とともに炎の剣をアナベベに差し出す。
「いいよ。私じゃ重くて使えないし……」
実は(あんまり頭はよくなさそうだけど、悪い人じゃなさそうだし)と思ってる桜乃だったが、
「うおおっ! サンキュー!!」
アナベベは無論、そんな事に気づかない。
アナベベが炎の剣に黒い手を伸ばすと、剣の柄を力強く握り締めた――赤い岩石の手が。
「クックック、ありがとよお嬢ちゃん」
手は、雪の下から生えていた。雪が盛り上がると、今度は氷と炎の身体を持つ化け物が現れる。

「なっ、何だー!?」
「キャアアッ!」
剣を握り締めたフレイザードはニンマリと笑いながら、慌てふためく二人を見た。
「こりゃあいい、どうやら魔術的な武器らしいぜ。やけに左半身が熱くなりやがらァ」
ゴウッと音を立ててフレイザードの身体から発せられている炎が膨れ上がり、アナベベの右手を焦がした。
「アチチッ! な、何だてめぇは!? 返しやがれ!」
裕福になってハングリー精神を失ったとはいえ、アナベベは元ウポポ族の戦士。腕に自慢はあった。
「うりゃあ!!」
常人離れした威力とスピードのパンチが、フレイザードの脇腹の岩を砕いた。
「グガッ!? てめえ……!」
フレイザードの振り下ろした炎の剣を間一髪で避けたアナベベだったが、フレイザードの右手にすぐ捕まってしまう。
すると凄まじい冷気がアナベベの身体を包んだ。
「何じゃこりゃー!?」
「このまま氷漬けにしてやるぜ、ギャーッハッハッハァ!!」
桜乃は化け物に怯え、パニックに陥っていた。
頭の中を「逃げなきゃ」という叫びと「助けなきゃ」という叫びが交差する。
自分でも訳の分からぬまま、桜乃はアナベベが左手で持っていた核鉄に視線を向け、それを掴み取る。
それから――。

42 :武装強化 2/2:2005/06/29(水) 00:44:49 ID:0s9W763r
「ウオッ!?」
フレイザードの右腕に、核鉄の角がわずかに突き刺さる。
核鉄の強度は普通の金属とは比べ物にならないほど高い。
「やるねぇお嬢ちゃん、ご褒美に実験台になってもらおうか」
桜乃の非力な力を悟ったフレイザードは、ちょうどいいと右手を振りかざした。
氷の岩石のつなぎ目から、水の塊が浮かび出る。
フレイザードの能力はあくまで炎と『氷』であって、水ではない。
「クックックッ! これがオレの支給品、操作系宝貝……霧露乾坤網!!」
今まで右腕の中に隠していた武器。使い慣れぬため、青眼の白竜を従えていた大原を殺す時には使わなかった。
本来は仙女竜吉公主の宝貝なのだが、氷の呪文に精通したフレイザードとは思いのほか相性がいいらしい。
人気のない所で2〜3度訓練しただけで、そこそこは使えるようになっている。あとは実戦レベルまで上げるだけ。
「なっ、何なのこれ!?」
「さあ! 水遊びと行こうかァ!!」
蜘蛛の巣のように広がって桜乃に襲い掛かる水の凶器。
フレイザードの技量では人を一人捕らえる程度の網しか張れないが、それでも効果は抜群だ。
霧露乾坤網は桜乃の全身を覆い、捕縛した。
パニック状態の桜乃は、顔まで水に覆われているにも関わらず呼吸しようとしてしまい、大量の水を飲み込んでしまう。
「さ、桜乃ちゃん!」
上半身がほとんど凍りついているアナベベは、必死に氷を砕こうと身体に力を込める。
だがそれを嘲笑うかのように、フレイザードは口からさらに凍てつく息を吹きかけた。
「ぐっ……ああ……!!」
「よお、便利な支給品をくれたお礼をしてやろう。今まで寒かったろうから、焼き殺してやるぜ」
氷漬けになって動けなくなったアナベベに向かって、フレイザードは炎の剣を突き出した。
鋭い刃がアナベベの腹部を貫通し、魔力が体内に送り込まれ燃え上がる。
口まで凍っているアナベベは悲鳴すら上げられるまま、内側から焼かれる苦しみに震え、絶望のまま意識を手放した。

黒コゲの残骸になるアナベベ。
そして、そのすぐ側には溺死した桜乃の遺体が転がる。
フレイザードは核鉄も回収すると、残った二人の荷物を炎の剣で焼き払った。
「クックック、いいねぇ。氷をサポートする霧露乾坤網に、炎をサポートする炎の剣。そして」
己の幸運に酔い、邪悪な喜悦に歪んだ声でフレイザードは高らかに叫んだ。
「核鉄だったか? 宝貝の使用で疲れた身体を癒してくれるたぁ、最高じゃねぇか! クハハハハハハハハハハハ!!」
順調にゲームが進み、順調に自身の武装が強化されている。しかも自分と相性のいい武器が。
天運が味方してくれているのか、それともバーン様が己の近くに鴨を配置してくれたのか。
どちらにせよ、フレイザードにとって都合がいい事に変わりはない。

「ククク……クカカカカ、カーッハッハッハァ!!」

フレイザードは笑い続けた。
今回の獲物は雑魚だったが、素晴らしい支給品を得た。
これなら格上の相手とだって戦える。
自分を倒した時より大幅にレベルアップしているだろう勇者ダイだって、上手くやれば倒せるかもしれない。
なぜならこちらも強くなっているからだ、この殺し合いという状況下の中でレベルアップしているからだ。
生後一歳ほどのフレイザードは、いまだ成長期の内にある。

【フレイザード(体力微消耗)
 所持品:荷物一式 霧露乾坤網(封神演義) 炎の剣(バスタード・炎属性強化)
     核鉄LXI(武装錬金・治癒力向上)
     遊戯王カード『青眼の白竜(次の0時まで使用不能)・サイコショッカー(罠破壊)・他三枚』
 基本行動方針:南に向かいながら出会った参加者を出来る限り殺す。ダイ、ポップ、マァムを優先。
 最終行動方針:優勝してバーン様から勝利の栄光を。
 備考:成長期です】

【場所:北海道中部】

【アナベベ 死亡確認】
【竜崎桜乃 死亡確認】
【残り125人】

43 :武装強化:2005/06/29(水) 00:45:59 ID:GAjvs5pm
しばらく歩くと吹雪が止み、見通しがよくなった。
そして真っ白な世界の中、その黒い肌はよく目立った。
その隣には三つ編みの髪を二本垂らした少女。
「クカカカカ……ガキ一匹に黒いの一人か。つまらねぇ獲物だ、せめていい武器を支給されていてくれよ。オレのためにな」
フレイザードは雪の中へその身体を沈め、獲物目掛けて動き出した。

「俺の名はアナベベだ」
「わ、私は竜崎桜乃といいます……」
怯えを孕んだ呟いた桜乃は、地図を見下ろしながら周囲を見回した。
一面の銀世界は美しいとは思うけれど、慣れないせいかやっぱり怖い。
早く関東にある青春学園へ行き、参加者名簿にあった越前リョーマと合流したい。
このアナベベという黒人と偶然出会った時、桜乃は死の恐怖に怯えたが、アナベベは涙を滝のように流しながら許しを請うたのだ。
どうやら桜乃を凶悪な殺人鬼と勘違いしたらしい、ずいぶんと小心者だ。
「……ところでアナベベさんの支給された物は何なんですか?」
「何か変な鉄だよ。役に立たねぇ」
残念そうに鞄から取り出したのは、LXIと記された奇妙な鉄の塊だった。
それが何なのかは桜乃にも分からなかったが、
「あの……説明書が入ってるはずなんですけど」
「え、マジ!?」
慌てて説明書を取り出したアナベベは、鉄の塊が核鉄という錬金術で生み出された道具だと知る。
これを使えば治癒力が増し、さらに真に使いこなす事ができる者にはさらなる力を与えてくれるらしい。
真の力を引き出す方法は分からないが、治癒力が増すというのはありがたい話だ。
「治癒はいいから、とりあえずこの寒さを何とかして欲しいぜ」
「そうですね」
「俺、一応アフリカ出身よ? ま〜家に帰りゃゴ〜ジャスな服がいっぱい……おっと、そういや桜乃ちゃんの武器は?」
桜乃は苦笑を浮かべながら鞄を開け、重たそうに支給品を取り出す。
彼女の武器は赤い刀身を持つ『炎の剣』だった。
蟲惑的な輝きを称える剣に、アナベベの目は釘付けになる。
「すっ、すっげー! すっげーカッコイー!」
瞳を輝かせるアナベベは、全身から「俺に使わせてくれ」というオーラを発していた。
桜乃はしばし考え、ため息とともに炎の剣をアナベベに差し出す。
「いいよ。私じゃ重くて使えないし……」
実は(あんまり頭はよくなさそうだけど、悪い人じゃなさそうだし)と思ってる桜乃だったが、
「うおおっ! サンキュー!!」
アナベベは無論、そんな事に気づかない。
アナベベが炎の剣に黒い手を伸ばすと、剣の柄を力強く握り締めた――赤い岩石の手が。
「クックック、ありがとよお嬢ちゃん」
手は、雪の下から生えていた。雪が盛り上がると、今度は氷と炎の身体を持つ化け物が現れる。

「なっ、何だー!?」
「キャアアッ!」
剣を握り締めたフレイザードはニンマリと笑いながら、慌てふためく二人を見た。
「こりゃあいい、どうやら魔術的な武器らしいぜ。やけに左半身が熱くなりやがらァ」
ゴウッと音を立ててフレイザードの身体から発せられている炎が膨れ上がり、アナベベの右手を焦がした。
「アチチッ! な、何だてめぇは!? 返しやがれ!」
裕福になってハングリー精神を失ったとはいえ、アナベベは元ウポポ族の戦士。腕に自慢はあった。
「うりゃあ!!」
常人離れした威力とスピードのパンチが、フレイザードの脇腹の岩を砕いた。
「グガッ!? てめえ……!」
フレイザードの振り下ろした炎の剣を間一髪で避けたアナベベだったが、フレイザードの右手にすぐ捕まってしまう。
すると凄まじい冷気がアナベベの身体を包んだ。
「何じゃこりゃー!?」
「このまま氷漬けにしてやるぜ、ギャーッハッハッハァ!!」
桜乃は化け物に怯え、パニックに陥っていた。
頭の中を「逃げなきゃ」という叫びと「助けなきゃ」という叫びが交差する。
自分でも訳の分からぬまま、桜乃はアナベベが左手で持っていた核鉄に視線を向け、それを掴み取る。
それから――。




44 :正義の流星:2005/06/29(水) 00:46:40 ID:0s9W763r
その男は怒っていた。
殺し合いなどという馬鹿げた行為に。
その男は激怒していた。
そんな残酷な舞台に、力無き子供達を巻き込んだことに。
その男、防人衛ことキャプテンブラボーは怒りに燃えながら町を歩く。

守るべくは正義、貫くも正義。
悪を打ち倒し、罪無き者を守る。
例えシルバースキンがなくとも、自分にはこの鍛え抜かれた戦士の肉体がある。
この信念を貫き通すのに何の問題もない。

「いやあぁぁぁぁ!!」
突然、闇を裂くような少女の悲鳴が響き、ブラボーの思考は中断された。
そして、その声を聞いたCブラボーは、迷うことなく悲鳴の聞こえた方向に向かって走り出した。

「いや…! 来ないでッ! 誰か! 真中、助けて!」
少女は叫びながらリュックを振り回す。
小柄な男はそれを全く意に介さず、ゆっくりと少女に近づいてゆく。
「ククク…安心しろ、女はすぐには殺さん。ゆっくりと、少しずつ、少しずつ。
 その肉を剥ぎ、目玉を潰し、歯を全て抜き取り、俺愛用のおもちゃにしてやる」
「ヒッ…!」
その男の地獄の底のような笑みを見た少女は、余りの恐怖に顔を引きつらせる。

ゆっくりと小柄な男が、卑屈に顔を歪ませ少女に迫る。
そして、その手が少女に届こうとした瞬間。

「流星・ブラボー脚!!」

上空から突然声が響いた。
同時に闇夜から流星の如く一人の男が降り注ぐ。
迫り来る男は踏み潰され、文字通りその場に押し潰された。

「怪我は無いか」
その場に着地し、少女を背にしながらCブラボーは少女の身を案じる。
少女は腰を抜かしたのか、その場に座り込み、声を出すことすらできずにいた。

「…貴様、人の楽しみの邪魔をするなぁあ!」
踏み潰されたはずの男は起き上がり、叫ぶ。
その顔は潰れ、左目が飛び出しかかっているが、そんなことは全く意に介していない。

「楽しみだと? そんな理由で罪無き少女を襲うなど、断じて私が許さん!」
力強く敵を睨みつけ、Cブラボーは支給品であるトンファーを構えた。

【防人衛(@武装錬金)
 所持品:荷物一式 ディオスクロイ(@BLACK CAT)
 第一行動方針:少女を守る
 最終行動方針:主催者を倒す】

【戸愚呂兄(@幽遊白書)
 状態:多少のダメージ(即再生)
 所持品:荷物一式 不明
 第一行動方針:目の前の男を殺す
 第二行動方針:少女で楽しむ】

【北大路さつき(@いちご100%)
 所持品:荷物一式 不明
 第一行動方針:目の前の男から逃げる】
 最終行動方針:真中との合流】

【現在地:福井県】

45 :煌めく少女は粉雪と共に:2005/06/29(水) 00:47:54 ID:0s9W763r
ここは秋田。外界は一面の雪景色。山小屋の中、青年、夜神月は明かりも点けずに思索に没頭していた。
屈辱だった。新世界の神となる自分が、一山幾らの命として扱われているという現実が。
許せなかった。主催者と名乗る怪人に投げかけられた、蔑むような、哀れむような、不遜な視線が。
信じられなかった。殺し合いをさせられるというのに、こんな支給品を引き当ててしまった自分の運のなさが。
生きて帰らなければならない。例え、誰を始末してでも。生きて、生きて帰りさえすれば、自分のノート、
生き物の生殺与奪を司るデスノートで、あの倣岸な化け物どもに一泡吹かせてやることも出来る。

そして、このゲームとやらはまたとない好機でもある。竜崎、いや、Lを、名前を聞き出すことなく始末することが出来る。
法から外れている、今の状況だからこそつけられる決着。だが、正面から挑むのは得策ではない。
Lは、このふざけたゲームから脱出する方法を考えているだろう。そして、思い出すたびに不愉快になるが、広間で、主催者の一人に
人間界最高の頭脳とまで絶賛されている。彼の仲間になりたいと考える人物は、決して少なくはないはずだ。
自分にも道具がいる。適度に馬鹿で、適度な強さを持つ、操りやすい道具が。

そこまで思考が及んだとき、唐突にドアが開かれた。

二人の少女が山小屋を見つけたのは、単なる偶然だったが、僥倖といっても差し支えはなかった。
雪女の少女、ゆきめと、ナノマシンを操る少女、イヴ。彼女らは、互いに戦う意思がない事を知り、心細さから、
行動を共にしていたのだ。が、ここは雪国。雪女、ゆきめにとっては何の問題もないが、イヴにはこの寒さは
辛いのではないか。そう考えていた矢先に、見つけた山小屋。ゆきめは迷わずドアを押し開いた。
無造作に扉を開いたゆきめの隣でイヴは警戒していた。この山小屋の中には誰かがいる。
掃除屋(見習い)としての自分の勘がそういっている。ゆきめは、こういった命を奪い合う場に慣れてはいないのだろう。無理もない。
だけど、今、ここは戦場。とてつもない憎悪が蠢く呪われた場所。自分の手には悪意が形になったような鋸刀。
私はこの空気を知っている。兵器として作られた私は。だから、私が守らなければ……

「失礼ですが、貴方たちはゲームに乗っているんですか?」
月の選択は、無防備に姿を現すことだった。侵入者は人の良さそうな女性が一人、幼い少女が一人。
飛び道具を携帯している様子もない。万が一襲い掛かられても、逃げ切ることも返り討つこともできる。
できるなら仲間に引き入れたい。彼女たちをうまく使えば、ネズミ算式に仲間を募ることも可能だろう。
そこまで計算して、青い髪の女性に声をかける。

「いえ、乗っていません。……貴方は?」
「僕もこんなふざけたゲームに乗ってはいません。むしろ、腹を立てているくらいですよ」
穏やかな笑みを見せながら言葉を繋ぐ。自分が警察官の息子であるということ、キラ事件の調査を
手伝っていることなどを伝え、彼女らの興味を引く。どうせ使い捨てにする駒だ。情報は惜しくはない。
「僕はこのゲームを止めたい。でも、支給品がこんなもので、途方にくれていたところなんです」
そう。新世界の神たる、夜神月に支給されたのは苺がプリントされた女性用下着。サバイバルではとても使い物にならない。
だから、ここで緊張をほぐすために使う。

「厚かましいとは承知しています。罪もない人を守るため、僕に力を貸していただけませんか?」

夜神月の交渉は続く……

【夜神月@DEATHNOTE
 所持品: 荷物一式 いちご柄のパンツ(女性用)@いちご100%
 第一行動方針:使えそうな人物との接触
 最終行動方針:竜崎を始末し、ゲームから生き残る 】

【ゆきめ@地獄先生ぬ〜べ〜
 所持品: 荷物一式 不明
 第一行動方針:鵺野鳴介との合流
 最終行動方針:ゲームから脱出する 】

【イヴ@BLACK CAT
 所持品: 荷物一式 無限刃@るろうに剣心
 第一行動方針:トレイン・ハートネット、スヴェン・ボルフィードとの合流
 最終行動方針:ゲームの破壊 】

【現在地:秋田県】

46 :名無しかわいいよ名無し:2005/06/29(水) 00:48:48 ID:0s9W763r
ID:GAjvs5pmのレスは全て無効です。

47 :太公望と富樫(仮)訂正:2005/06/29(水) 00:53:28 ID:0s9W763r
状態表訂正

【富樫源次
 所持品:荷物一式、支給品不明 (食料無し)
 第一行動方針:太公望と組み、脱出の術を持つ人物を探す。
 基本行動方針:男塾の仲間を探す】

【太公望
 所持品:荷物一式、支給品不明。
 第一行動方針:富樫と組み、脱出の術を持つ人物を探す。
 基本行動方針:竜吉公主を探す】

【現在地:岡山県、海岸沿い】

48 :王者と聖衣:2005/06/29(水) 01:53:06 ID:ZjJDOHUG
「ここはいったいどこなのだ」
腰みの一枚の男ターちゃんは、鞄をあさって地図を見つけると、さっそくその場に広げてみた。
多分ここは日本という国で、赤い点の場所に自分がいるのだろう。
アフリカにはない木々に囲まれた山中は、ターちゃんにとっては都会より居心地のいい場所だ。
だからここに飛ばされたのは幸運だったのだろう。
気になるのは、自分の仲間がどこにいるのかだ。
親友アナベベ、愛弟子ペドロ、養父エテ吉。
そして最愛の妻ヂェーン。元は美しい妻だったが、今は色々あって太ってしまい、
見てくれはかなり悪くなってしまっている。
それでもターちゃんにとって、ヂェーンは愛する妻である事に変わりはない。
「まずはこの島を走り回って、ヂェーン達がいないか確かめてみるべきだな」
地図をしまったターちゃんは、再び鞄をあさり荷物を確かめる。
「何だ、食料はこれだけか。ヂェーンなら一回で食べつくしてしまうのだ。……おや?」
鞄の中から小さなカプセルを取り出したターちゃんは、いったい何だと思いながら、
スイッチがあったのでとりあえず押してみる。
するとカプセルはボンッと煙を放って、大きな四角い箱に変わった。
「うわっ、これは!?」
丈夫そうな箱は不思議な金属でできており、表面には羽根の生えた馬の絵が彫られていた。
「むぅ〜……いったい何に使うものなのか。おや、紙が貼りつけてあるのだ。……説明書……?」

しばし説明書と向き合い、支給品がペガサスの聖衣だという事は分かった。
どうやら鎧らしいが、箱は開け口が無い。
「う〜む……とりあえず置いていく訳にもいかないし、これくらいの重さなら背負っても平気だな」
ヒョイッとペガサスの聖衣を背負ったターちゃんは、周囲に気を配りながら山中を走り出した。

【ターちゃん
 所持品:ペガサスの聖衣
 基本行動方針:アフリカの仲間を探す。悪い奴がいたらやっつける】

【現在地:愛媛の山中】

49 :七月は俺様の月だ:2005/06/29(水) 06:54:49 ID:9KLEbE99
最強。
俺が従うのは絶対的な強さを持った奴だけだ。
だからといってハーデスなんかに従うのは死んでもゴメンだ。やはり、教皇、サガだな。俺に命令できるのはあの方しかいない。
山口県に不気味な影が轟いた。彼の名はデスマスク。かつて地上の愛と正義のために、いや、彼の場合正義はあっても愛は無いだろう。
ククク。とりあえず日本の首都、東京にでも行ってみるか。そこなら教皇がいるかもしれない。もちろん俺に逆らう奴は皆殺しにしながら。
しかし、蟹座の黄金聖衣さえあればな。まっ。今はそんなことより、行動するほうが先だな。
よし、行くか。
闇夜の中、悪魔が東へと走りだした。主人の、サガの元を目指して。

【デスマスク】【聖闘士星矢】
状態→健康
持ち物→不明
現在地→山口県
第一行動方針できるだけたくさんの悪者を殺しなら東京を目指す。(弱いキャラには手を出さないが戦闘になれば巻き添えにしてしまうかもしれない。)
第二行動方針サガとの合流最終目標→主催者打倒

50 :暗き友情 1/4:2005/06/29(水) 07:37:07 ID:0s9W763r
「いやー、君の扮装をいきなり見たときは驚いたけどいい人で良かった!」
「扮装って…… 一応、これでも本物のヒーローなんだけどね。ともあれ、よろしくお願するよペドロくん」
「ああ、共に頑張って仲間を探し出し、この島を脱出しよう! 友情マン!」
「これで僕たちは友達というわけだ。この調子でどんどん友情の輪を広げていきたいね」
「もちろんさ!」

森の中でばったりと出会った二人。
突然このような殺し合いの場に放り出され、実直なペドロはかなり神経を張り詰めていたが
友情マンの友好的な態度に安堵し、現在は逆にかなりハイテンションになっていた。
「それで具体的な行動方針だけどこれからどうするんだ?」
「そうだね。ここから北に行くと街があるらしいんだ。
 人が集まりそうだからここで友達を増やそうじゃないか」
「OK!」
支給品の地図を眺めながら方針を示す友情マンの言葉に迷う間もなくペドロは頷く。
不安の裏返しであろうそのハイテンションに友情マンは気付いていたが、そのことには触れず
何気ない会話とともにペドロを連れて北上を始めた。

「そうか、ペドロくんは空手の達人なんだね」
「達人というほど自惚れちゃいないが、結構やるほうだと思うぜ?
 何しろ世界一といえる凄い先生の下にいるからな!」
「そいつは凄い。僕はヒーローと言っても後方支援が主で戦いは苦手だから
 君に護ってもらえるなら安心だなー」
「任せておけよ! HAHAHA!!」
ペドロのハイテンションは変わらないが、友情マンはそれに合わせて
おだて、持ち上げてしっかりと戦闘はペドロに任せられるように予防線を張っていく。
個別に支給されたアイテムもお互いに確認してみたが、どちらも戦闘用のアイテムではなかった。
そんな時、山道の前方から接近してくる一つの影に気がついた。
向こうはその前から気がついていたらしい。迷わずにこちらに向かってくる。
近づくにつれて姿がハッキリと見えてくる。
全身緑色のスキンヘッドで、2mを超える巨躯。頭に奇妙な触角のようなものがついている。
人型をしているが明らかに人間ではない。黒い道着のような服の中心に魔の文字が入っている。
その者の発する正に魔人というべき威圧感に思わず立ち止まり、戦闘態勢を整える二人。
まずはペドロが威嚇の声を上げる。
「待て、そこで止まってくれ! 俺たちに戦う意志はない!
 仲間を募り、この島を脱出する術を探しているんだ! 君もよければ俺たちの……」
しかしその緑色の男は意に介した様子もなく歩みを止めずに向かってくる。
その口元は嘲笑に歪んでいた。
「グフフ……虫けらどもが徒党を組んでこの島を脱出だと?
 可愛いことを考えおる。しかし……浅はかだな!」
言うが早いか、緑色の男はペドロに襲い掛かり、爪を翻らせる。
「くっ!」
ペドロ間一髪で避けるが、空を切った男の爪はペドロの背後にあった巨木を中ほどまでえぐりとってしまった。
「な、なんてパワーだ!?」
「ちぃっ、このピッコロ大魔王様の力がここまで制限されているとはな!」
その破壊力に驚愕する友情マンだが、男は悔しそうに吐き捨てる。
『あ、あれで制限されているだって?
 僕のヒーロパワーもいくらかは制限されているが……とてつもない化け物だな
 これは、勝てない』
「待ってくれ!あなたはこのゲームに乗るというのか?
 主催者の思惑に従うのか!王と名乗るものが!」
冷静に勝利を諦めた友情マンは咄嗟に逃走の隙を作るために問いを投げつける。
わずかな情報から導き出した相手が答えざるを得ないであろう問いを。
狙い通りピッコロは動きを止め、友情マンを見据える。
「わしはわし以外に王と名乗る者を許さん。奴らは必ず皆殺しにしてやるとも。
 しかし今、わしの命が奴らの掌の上にあることも事実だ――忌々しいことだがな。
 フン、奴らの思惑に乗るのは確かに気に喰わぬことである。
 だが奴らの元に行く手段がこれしかないのであればいたし方あるまい。
 この島の全員を殺しつくし、首輪を取り去った後に直々に奴らにわしの恐ろしさを思い知らせてやるわ!
 貴様らはその手始めだ!」

51 :暗き友情 2/4:2005/06/29(水) 07:38:08 ID:0s9W763r
「だったら、お前の方をこそ永遠に王を名乗れなくしてやる!」
その口上を聞いて逆上したのか、ペドロが隙を突いてピッコロに打ちかかる。
先ほどの友情マンとの会話で自分が戦わなければという観念もあったかもしれない。
しかしそれは余りにも無謀な突撃だった。
「よせ、ペドロくん!」
友情マンの静止も虚しく、ペドロの拳はピッコロに向かって打ち出される。
ドン!
「フフン、なんだそれは? 蚊に刺されたほどにも感じんぞ?」
「ぐあぁ! そ、そんな馬鹿な……」
まるで分厚いタイヤを殴ったような衝撃に逆にペドロのほうが拳を痛めてしまう。
「拳というのはな、こう撃つのだ!」
お返しとばかりのピッコロのアッパーカットをペドロは避けようとするが、避けきれずに左腕に喰らってしまう。
 メ ギ シ ャ ア 
なんとも嫌な音を鳴り響かせて、ペドロの左腕は肩口から千切れ飛んでしまった。
「うぎゃぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ペドロくん!」
絶叫を上げるペドロに追い討ちを喰らわせようと爪を振りかぶるピッコロ。
しかしその瞬間、友情マンがピッコロに向かって飛び蹴りを放った。
「ムッ!?」
予想外の鋭さを持った蹴りにピッコロは咄嗟にその場から後方に飛んで避ける。
間合いが開いた瞬間に友情マンは自分の頭についた太陽の形をした飾りを腕で囲むようなポーズをとった。
「太陽光線!」
飾りから眩いばかりの熱線がピッコロに向かって撃ちだされる。
眩しさに思わず眼を閉じたピッコロはすぐに両手を目の前にかざして身を守る。
衝撃。しかしその衝撃は自身に降りかかったものではなかった。
眼を開くとそこには朦朦と煙る土煙。
友情マンはピッコロの足元に光線を放ち、二重の眼晦ましを仕掛けていたのだ。
「おのれぃ! 小癪な真似を!」
土煙を掻き分けて、煙幕の外に飛び出すがそこにはもう二人は影も形も存在しなかった。

息を荒げながら森の木々を掻き分けて走る二人。
特に腕を失ったペドロは顔面を蒼白にし、息も絶え絶えの様相だ。
「大丈夫かペドロくん?」
「……ああ、こんなもの何ともないぜ……すまないな友情マン」
強がりながらも走り――それはもう殆ど歩みとなっていたが――を止めずに答える。
友情マンはその様子を見、ペドロの腕から血が絶え間なく滴り落ちているのを見て舌打ちする。
『チ、存外に役に立たない。これはもう……利用価値はないな』
友情マンは立ち止まり、表情だけは穏やかにペドロに腕を差し出す。
「ペドロくん、荷物をこっちに渡してくれ。
 手当てもしなければならないし、君の負担も減らさなくてはね」
「……だ、だが今は手当てをしている暇は……距離を稼がないと……」
逡巡するペドロに諭すように声をかける。
「いや、君はもう限界だ。それにここまでくれば大丈夫さ。
 手当てをしないと君が危ない。さあ、荷物を」

52 :暗き友情 3/4:2005/06/29(水) 07:39:34 ID:0s9W763r
「ありがとう、友情マン」
ペドロが弱弱しく、荷物を友情マンに渡す。そして荷物を受け取った瞬間――
 ザ ク
友情マンの貫手がペドロの胸板を貫いていた。
「な……ぜ、友……情マ、ン?」
まるで何かの冗談でも聞いたかのように呆然と友情マンを見るペドロ。
「君が余りに役に立たないからだよ、ペドロくん。
 せっかく逃げたのに君の血が道標となって敵を案内してしまうじゃないか。
 止血をしたところで今度は足手纏いを抱えることになるからね。
 それなら、いっそのことここで死んで僕のための囮となってくれたまえ」
「な、……友、情マン……貴様……!」
ペドロは最期の力を振り絞って友情マンの肩を掴む。
「友達だと…言ったじゃないか……あれは嘘だったのか……?」
すがるように友情マンにしがみつくペドロ。
しかし友情マンは冷徹にペドロを振りほどいた。
「触らないでくれないか、敵が臭いにも敏感だったらどうするんだ。
 それにね、友達と言ったのは嘘じゃあないさ。
 ペドロくん、君は考え違いをしているよ。 君は僕の友達なんだ。
 だ っ た ら 僕 の た め に 命 を 捨 て る の は 当 然 だ ろ う ?」
「そ、んな……」
「僕は君の尊い友情を快く受け取るよ。
 君のおかげで僕は救われる。君はそのことを誇りに思っていいんだ。そうだろう?」
「…………」
「君の友情は忘れない。
 さよなら、ペドロ=カズマイヤー」

 グ シ ャ

いつの間にか友情マンの手に握られていた石が振り下ろされ……ペドロは物言わぬ骸となった。
「ふう、やれやれ。早くここを離れないとな」
何でもないかのように呟いて友情マンは走り出す。
『それにしてもあんな化け物がいるとはね。
 その化け物にしてもどうしようもなくゲームに従うしかないときた。
 これは島の脱出は思った以上に困難だな』
ヒーローである自分は集められた者たちの中でもかなり強い方だと思っていた友情マンだが
その考えを改めることにする。
そしてその化け物にもゲームを強制させることの出来る主催者たちのことを思考に上らせた。
一人一人がとてつもない力を持っていることは最初の説明での顔合わせのときに推し量ることが出来た。
もともと友好関係が幅広く、人を見る眼には自信のある友情マンである。
しかしその眼力を以ってしても底の見えない彼らの強大さに
徒党を組んだところで到底勝てないことを彼は冷静に認める。
しかもそれが三人だ。
一人であったなら不意を突くことができたかもしれない。
二人であったなら軋轢を生むことができたかもしれない。
しかし三人ではいかなる隙も生まれることはないだろう。
主催者に逆らうことは不可能。ならばどうすればいいのか。
友情マンの口元が笑みの形に歪む。
「主催者達と友達になればいい。簡単なことだ。」
彼らが喜ぶことをして、認めてもらうのだ。
果たしてそれは何なのか?
「ゲームを成功させること」
この島にいる自分以外の129人を全て殺し、最後の一人になることだ。
「おっと、もう128人か。それとももっと減っているかな?」
自問自答を繰り返しながら友情マンは走り続ける。
しかしそれにも問題がある。先ほどであったピッコロのような化け物の存在だ。
彼らは例え隙を突こうとも容易に倒せる相手ではない。自分の兄も含めて。

53 :暗き友情 4/4:2005/06/29(水) 07:40:16 ID:0s9W763r
「仲間が必要だ」
強い仲間だ。ペドロのような役立たずではない、化け物と同格の強者の存在だ。
そんな存在を友情を結び、化け物にぶつける。
それを繰り返して最後に残った弱りし者を自分が倒す。
これが理想だが、そう上手くもいくまい。臨機応変に策を取る必要がある。
だが友情マンには確信があった。
自分はうまくやれる。必ず自分のいいようになる。
自分は強者ではない、賢者なのだ。賢きものこそがこの舞台で生き残ることができるのだ。
もう、彼の心からはヒーローに相応しい正義の心は完全に消え去っていた。
森を抜け、平野にでる。そこには街道を歩く人影が見えた。
友情マンは自分の身体に返り血がついていない事を確認し、極上の笑顔で語りかける。

「やあ、僕の名前は友情マン。早速だけど友達にならないかい?」

【現在地:青森県】

【友情マン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)、ペドロのデイパック
[思考]:強い者と友達になる。/最後の一人になる。

【ピッコロ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:ゲームに乗る。/最終的に主催者を殺す。

【ペドロ=カズマイヤー 死亡】
【残り124名】

54 :試合放棄:2005/06/29(水) 20:55:05 ID:9KLEbE99
「あの時、ナッパが殺された。フリーザによって」
開始まもなくしてクリリンは中国山地をさまよっていた。とにかく、悟空と会わなくては。悟空に会いさえすれば。
クリリンは、僅かな望みを持って、岡山へと進路をとった。
その道中、人が倒れているのを発見した。見たところまだ二十歳位の若い女性だ。
クリリンは急いで駆け寄り、
「おい、大丈夫か!目を覚ませ」
と、懸命に起こそうとしたもののその女性は右足を骨折しており、かつ血を吐いて、既にこと切れていた。「畜生。誰がこんな綺麗な娘を殺したんだ!」
クリリンは姿の見えない殺人者に怒りを顕にし、拳を地面に叩きつけた。すると、
「ん?なんだ?あの紙は?」
拾い上げて見てみると、それにはあまりにも悲しい内容が書かれていた。
「月へ。ゴメンね。私、足の骨を折っちゃったみたい。このままここにいても誰かに殺されるだけ。
乱暴な人が来て私を犯そうとするかもしれない。そんなのイヤ。ミサは…月だけのモノだもん。
それに、もし、月が来てくれても私は只の足手纏い。絶対あなたの足を引っ張るわ。
月、私ね、支給品に青酸カリが当たったの。これならあまり苦しまずに楽に死ねるわ。
笑っちゃうよね。まるで主催者はこうなることを予測してたみたいでさ。
月、死なないでね。私は天国から、あ、私、デスノート使っちゃったから天国には行けないんだっけ。
じゃあね。月。バイバイ。あなたのミサより」
クリリンはこれを見て激しい憤りを感じた。
「くそっ。俺が、後少し早く来ていれば。こんなことにはならなかったのに。…ミサさん。安心して眠ってくれ。この手紙、必ず月という人に届けるから」

初日00:30
クリリン
「状態」健康。ただしミサの自殺にショックを受けている。
「装備」無し
「道具」支給品一式(武器不明)ミサの手紙
「思考」第一岡山に行く。第二月にミサの手紙を渡す。第三悟空との合流
最終主催者打倒。基本悪人以外とは戦わない。
【弥海砂死亡確認】
残り123人

55 :名無しかわいいよ名無し:2005/06/29(水) 21:22:11 ID:9KLEbE99
54
状態表訂正
【クリリン】【DRAGONBALL】
現在地鳥取の山中

【弥海砂】【DEATH NOTE】死亡確認

56 :巧妙≠光明 1/2:2005/06/29(水) 23:02:16 ID:K0Fo58o4
二人の男が言葉を交わしている。一人は少年。どことなく覇気の感じられない表情ながら、その眼から
非常に理知的な雰囲気を漂わせている。一人は青年……なのか、年齢を読み取ることは難しい。
額に『大往生』という刺青を入れた偉丈夫である。猛々しい外見と共に、深く広い知識を持つもの独特の空気を
纏っている。彼らは、なんとかしてこのゲームから抜け出すことはできないかと話しているところのようだ。

そしてもう一人、闇の中、気配を消し、息を殺して二人の会話を窺っているものがいた。

「そりゃ、なにか便利なアイテムがあるに越したことはねぇけどな」
少年、奈良シカマルは、青年(?)雷電のもつ木刀を指差しながら、言葉を続けた。
「でもおっさん、オレに支給されたのはこれだけだぜ」
シカマルは、デイパックからなにやら小さいものを取り出す。そこに入っていたのは一粒の豆だった。
「主催者側の手違いか、それとも故意か、何の説明書もついてやしねぇ。まぁ、単なる豆なのかもしんねぇけど」
だが、男、雷電の見せた反応はシカマルの予想を大きく裏切るものであった。

「むぅ……それは世に言う仙豆!!」
「知っているのか!?雷電!!……さん」
「うむ、それは一粒食すだけで人体のあらゆる負傷、疾患を癒し、さらには失われた
 体力もすべて取り戻すことができるという奇跡の食物よ!!」


  豆腐、納豆、味噌、醤油など、現代日本において大豆が健康にいいという事実はもはや常識の域に達している。
 だが、医食同源を旨とし、四千年を超える長い漢方の歴史を持つ中国においても、豆製品は神が人間に賜れた
 崇高なる食物として崇拝されていたという事実はあまり知られていない。
 春秋戦国時代、斉の国では、秘伝の製法で栽培された豆を特製の薬品に浸けることにより、一口食べるだけで
 人体をたちまちベストコンディションに戻すことができる信じられないような効果をもった豆も
 造られていたという。斉の豆として斉豆と呼ばれていた。後の世に、仙人とも噂される太公望が封じられていた
 斉の国の豆という意で仙豆と呼ばれるようになったが、現在では一部の特殊な地域を除いてその製法は
 伝わっていない。                民明書房刊 『激震する現代医療!美味しい豆料理の作りかた200選』より


57 :巧妙≠光明 2/2:2005/06/29(水) 23:03:01 ID:K0Fo58o4

「仙豆……ねぇ。まぁ、すげぇ兵糧丸みたいなもんかな」

少年、奈良シカマルは考える。
どうやら、このゲームは思った以上に性質の悪いものらしい。この仙豆とやらは確かに素晴らしいものだが、一粒しか
支給されていない。考えたくも無いことだが、四人以上のパーティーを組んで、二人が重傷を負っても、助けられるのは
一人のみ、といことだ。また、このアイテムの存在を知られたら、ゲームに乗っていない連中からも狙われる可能性が高い。
近しい人が死にそうになっている。それだけで、形振り構わずこれを奪いに来る人間は少なくあるまい。
ゲームに乗った奴らも同様だ。一粒しかない完全回復アイテム。これは、明らかに個人行動をしているであろう
「乗った」奴等向けのアイテム。地獄のような深淵で僅かにもたらされた希望は、さらなる絶望を招き寄せる絶好の撒き餌と化す。
要点を掻い摘んで雷電に説明すると、少年は立ち上がった。

「めんどくせぇけど、早いとこ仲間と合流しねぇとな」
「うむ、では人が集まるであろう東京にいってみよう」
「トーキョー?どこだそりゃ?」

軽い会話を交わしながら、二人の影が闇に消えていく……

気配を殺し、彼らの会話を聞いていたものも、密やかに姿を闇に隠した。

【神奈川県 横浜付近/黎明(1日目)】

 【奈良シカマル@NARUTO】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式・仙豆(一粒)@DragonBall
 [思考]:知り合いとの合流(男塾メンバー含む)現在は東京方面に移動中
 
【雷電@魁!!男塾】
 [状態]:健康
 [装備]:木刀(洞爺湖と刻んである)@銀魂
 [道具]:支給品一式
 [思考]:知り合いとの合流(うずまきナルト、春野サクラ含む)現在は東京方面に移動中


58 :王者、起つ!? 1/4:2005/06/30(木) 01:19:13 ID:v8DjLxLM
自分の胸元に背が届くかどうかという少年の重荷になる自分が情けない。
身長差のせいで肩を貸す事も出来ない事を謝る少年の気遣いが、ますまず自分を惨めにさせる。
ダイは小さな手で竜吉公主の手を握り、山中をゆっくりと進む。
聞けばまだ12歳の少年であるのに、何と頼もしい少年なのだろうと竜吉公主は感心していた。
歩いては休み、歩いては休みを繰り返すうちに、2人は静かな山の中へと入っていく。
光源は月明かりのみの暗い森ではあるが、これならゲームに乗った者に見つかる心配も減る。
「公主さん、そろそろ一休みしようか?」
「そうじゃな……すまん」
ダイは背負っていた2人分の鞄を大木の根の窪みに置いた後、竜吉公主は幹に背中を預けて座り込んだ。
ダイは自分の鞄を開けて水の入ったペットボトルを取り出す。
すでに4分の1ほど減っているが、ダイはまだ一口も飲んではいない。疲れた竜吉公主に飲むよう強く勧めているのだ。
ペットボトルは1人2本あるようだが、このペースではすぐ尽きてしまう。

(――手を引いてもらい、荷物を持ってもらい、水まで恵んでもらっている。私は完全な足手まといじゃな)
純潔の仙女として強い力を持っている竜吉公主だが、
その力は宝貝と呼ばれる仙人用のアイテムが無ければ使う事ができない。
自身の霧露乾坤網があれば、清らかな水のバリアを張って人間界の空気から多少は身を守れるのに。
自然の豊富な山中に来てからだいぶ呼吸が楽になったものの、やはり彼女にとって毒である事に変わりはない。
(そう……長くはないかもしれぬ。このまま安静にしておったとしても、持って数日か……)
遠くない死期を悟りながらも、竜吉公主はダイに心配かけまいと平然を装っていた。
ダイは地図とコンパスを見ながら、何事かを考えている。
恐らく仲間のポップとマァムがどこにいるのか考えているのだろう。
だが見ず知らずの島を舞台にされているため、どこに行けば仲間と合流出来るのか検討がつかない。
頭脳労働は苦手なのか難しそうな顔をしているダイを見て、竜吉公主は軽くアドバイスをしてやる
「……ダイ。人を探したいのなら……人が集まる場所に行くのじゃ」
「でも、どこに人が集まるのかなんて……」
「私もこの島の事は知らぬが、大きな街を探すのがいいじゃろう。人は人の匂いのする場所に安らぎを見出す。
 私達のようにこんな山にやってくる者は少なかろう……」
「街かぁ……どこに街があるのか分からないから、完全に運頼みかな。
 トベルーラで空から探せば簡単だけど、それじゃあ敵に見つかる可能性があるし、
 こんな夜中じゃ暗くて街を見つけられない……」
「街の他にもうひとつ、人が集まる場所がある。それは道じゃ。例えば……北東にあるこの弓のような島。
 ここへ渡るには船や橋が必要じゃろう。ならばこの弓形の島側の海岸を回り、港か橋を探し、そこで人を待てばよい」
「なるほど!」
ダイは子供特有の純粋な笑顔を浮かべ、竜吉公主はフッと小さく微笑んだ。
(こういうところはまだ子供じゃな)
出会ってまだそれほど時間が経っていないにも関わらず、竜吉公主はダイに深い信頼を抱いていた。
だからこそ、負担でしかない自分が腹立たしい。
(いっそ、私を置いて行くよう諭してみようか)
一瞬脳裏をよぎった解決方法を、ダイは決して聞き入れはしないだろうとも理解している。
口にしてしまえば、ダイに余計な負担をかけてしまいかねない。
せめて、ダイに与えられた優しさの半分でも彼に返す事が出来たら……。
気持ちだけではなく、ダイの力になるように。

59 :王者、起つ!? 2/4:2005/06/30(木) 01:19:39 ID:v8DjLxLM
「ところで……」
「何じゃ?」
何気ない口調で、ダイは訊いた。悪意も無く、純粋な疑問として、竜吉公主がもっとも困るであろう問い。
「公主さんの支給品って、いったい何なんだい?」
「ッ……!!」
カッと赤くなった頬を隠すように公主はうつむいた。
「だっ、だから、たいした物ではないと言っているじゃろう。何の役にも立たぬ」
「でも、一応何が入ってたのか知りたいよ。
 もしかしたら一見役に立ちそうにないだけで、本当はすごい力を秘めたアイテムだってあるかもしれないのに」
「イヤッ……これは、その、そういうのとは無関係なものじゃ」
「……そこまで隠されると、逆に気になっちゃうんだけど」
2つ並んで置かれた鞄に目を向けるダイ。一方の鞄には、竜吉公主の支給品が入っている。
「だ、ダイよ。女性の荷物を勝手に覗くのはマナー違反じゃぞ」
「そんな事はしな……あれ? 公主さん、顔赤いよ? 具合が悪いのかい?」
「なっ、何でもない」
「無理はよくないよ。待ってて、今水を出すから」
言いながら、ダイは2つの鞄の前に座り込んだ。
こっそり竜吉公主の鞄を開ける可能性もあるが、心優しいダイに限ってそれはないだろう。
(むぅっ……どうしたものか)
竜吉公主は、頭を抱えて悩み込んだ。

彼女に支給された物……それを確認するべく、海岸を離れた後、竜吉公主は自分の鞄を開けてみた。
すると中に入っていたのは、ピンク色の薄い本が数冊。
表紙には金髪色白の女性の裸体。
恐る恐るページをめくると、そこでは男女の営みをしている写真がデカデカと載っていたのだ。
竜吉公主は慌てて鞄を閉じ、「何が入ってたの?」というダイの問いを誤魔化し、ここまでやってきた。

(あのような淫らな物、無垢な少年には毒じゃ)
いまだ頬を朱に染めたまま、竜吉公主はチラリとダイを見た。
ダイは水を取り出そうと、鞄を開けている最中。
(……まあ、ダイならば間違いでもしない限り私の鞄など開けぬじゃろう。隙を見てあの本は捨て……むっ?)
竜吉公主は首を傾げる。
根の窪みに置いた鞄、どっちがどっちのだったか?
ずっとダイが持ち歩いていてくれて、無造作にそこに置いたが、果たして区別はついているのか?
(まあ、自分の水ばかりを私に飲ませているし……区別はついているのだろう)
と、竜吉公主が前向きに考えていると、
「…………えっと……」
と、ダイが呟いて、
(……えっと? ………………まさか、自分の鞄がどちらか考えて!?)
と、竜吉公主が考えている間にダイは鞄のジッパーを開けた。
果たしてその鞄はダイの物か、竜吉公主の物か。
(マズイッ! あの本は思いっきり荷物の上側に……)
祈るような気持ちでダイを見つめる竜吉公主。その祈りが通じたのか、ダイは手を止め、出刃包丁を構えた。

60 :王者、起つ!? 3/4:2005/06/30(木) 01:19:58 ID:v8DjLxLM
「誰だ!?」
出刃包丁を森の影に向かって突き出し、双眸を鋭く研ぎ澄ます。
静かな闘気がダイの全身に漲り、臨戦態勢に入る。
ダイの剣が無い今、ダイは全力で戦う事ができない。
出刃包丁を使い、通常闘気と呪文で戦うか。
竜の紋章を使い、素手で戦うか。
後者は体力をかなり消耗する、できれば出刃包丁で倒せる相手であって欲しい。
いや、それよりもむしろ、戦う意志の無い者なら――。

「待ってくれ、私に戦う意志は無い」
闇夜から穏やかな声が流れる。
木々の陰からゆっくりと、しかし堂々と人影が出てきた。
「……誰だ?」
「私はジャングルの王者、ターちゃん。こんな馬鹿げたゲームに乗る気は無い、刃物をしまって欲しいのだ」
とてて人殺しをしそうにない優しい口調ではあったが、ダイは包丁をしまわなかった。
なぜなら、現れた男があまりにも不自然だったから。
背中に大きな箱を背負い、左手に支給された鞄を持っている。そこまではいい。
この人は何で腰みの一枚なんだと、ダイも竜吉公主も疑問に思った、

「信用してくれ、私は本当に戦うつもりは無い。私はジャングルの平和を守る……」
説得しようとするターちゃんの言葉が、唐突に途切れる。
同時に、聖人のように穏やかな眼差しが急に熱を持った。
視線は、ダイの後ろにいる竜吉公主に向けられている。
今までのは演技か!? か弱い女性である竜吉公主を狙っているのか!?
警戒心を強めるダイの眼前で、ターちゃんの身体が変貌を遂げた。
「なっ……!?」
「ヒッ……!」
ダイも竜吉公主も驚愕に目を見開き、ターちゃんを凝視した。
正確にはターちゃんの股間を。

彼の腰みのが大きく盛り上がり、股間から斜め上に棒状の何かがせり上がっている。
その先端はなぜか微妙に濡れていた。
「なっ、何だそれは!? まさか武器!?」
モンスターの養父に育てられ、ぱふぱふすら知らない無垢なダイは性的な知識など皆無に等しく、
第二次性徴期も迎えておらず、女性を性的な目で見た事も一度も無いため、その現象が何なのか分からなかった。
「ちっ、違うのだ。その人があまりに綺麗だったので、つい……」
「つい、何だ? 戦う気が無いんなら、腰みのの中の物を捨てろ!」
「これは元々生えているものだから無理なのだ」
「さっきまでは何も無かったじゃないか?」
「だからこれは……」

ターちゃんは竜吉公主に助けるような視線を送った。
まさか女性の口から説明させる気かと、竜吉公主は小さな怒りを覚える。
だがこのままでは流さなくていい血が流れてしまうかもしれない。
いきなり自分に欲情したこの男は危険かもしれないが、少なくとも敵意や殺気のようなものは感じられない。
まずは話をして、彼の人格を確かめるべきだ。

61 :王者、起つ!? 4/4:2005/06/30(木) 01:21:37 ID:v8DjLxLM
「ダイ、いったん刃を引け。その者をどうするか決めるのは話をしてからでも遅くはない」
「でも、アレは……」
「あ、アレは……武器とかではないから、安心しろ」
「公主さんはアレが何か知っているの?」
無知は罪。
しかし無垢は罪ではない。
ダイは悪くない、自分にそう言い聞かせる。
「……うむ……。危険……ではないから安心しろ」
(と言っても、女にとっては危険極まりないものなのじゃが)

羞恥に顔が真っ赤になっている竜吉公主を見たダイは、こう思った。
(あんなに具合が悪そうなのに、ああやって力になろうとしてくれているんだ。公主さんを信じよう)
ああ、純真無垢。
竜吉公主が赤面している真の理由など知る事もなく、ダイは出刃包丁を持つ手を下ろした。
「それじゃあ、ターチャンさんだっけ」
「ターちゃんでいいのだ」
「じゃあターちゃん。とりあえずそっち側の木の根にでも座って話をしよう」
「ありがとう」
ほがらかな笑顔を浮かべたターちゃんの股間が、安堵のおかげか縮み出した。
殺し合いにならずに済んだ事を心底喜んでいる様子を見て、竜吉公主は思う。
もしかしたらこの男も、ダイのように純粋な心の持ち主なのかもしれない。
だとしたら、彼とは仲間になれるかもしれない。心を許しあえる、硬い信頼で結ばれる仲間に。

ダイが公主のかたわらに寄り添い、ターちゃんが少し離れた位置に座ろうとした時、彼の目線がダイ達の鞄へ向く。
「あっ」
ダイが開けっ放しにしていた鞄から、ピンク色の雑誌が見えていた。
ターちゃんの声にダイも鞄を見、雑誌の存在に気づく。
「ああ〜っ! 私の愛用している恥ずかしい本ッ!!」
「愛用ッ!?」
我を忘れて鞄に駆け寄るターちゃん。悪意は無さそうなので、ダイは警戒は続けていたが止めようとはしなかった。
ターちゃんは竜吉公主の鞄から恥ずかしい本を取り出すと、パラパラとページをめくり、再び腰みのを盛り上がらせる。
……所々、恥ずかしい染みがついていた。

(わっ、私は……アレを素手で触ってしまったのか……)
飲み水は貴重だ。だが、竜吉公主は今ある水すべてを使って両手を洗いたいと心の底から思った。



 【高知北部の山中/黎明】

 【ダイ@ダイの大冒険】
 [状態]:健康
 [装備]:出刃包丁
 [道具]:荷物一式(水8分の1ほど減少)
 [思考]:1.ターちゃんと話をする。
     2.アバンの使途、太公望を探す。他、仲間になってくれそうな人を集める。
 【竜吉公主@封神演義】
 [状態]:疲労。普通の空気を吸っている限り、数日後には死んでしまう。
 [装備]:無し。
 [道具]:荷物一式 恥ずかしい染みのついた本(ジャングルの王者ターちゃん)
 [思考]:1.ターちゃんと話をする。
     2.アバンの使途、太公望を探す。他、仲間になってくれそうな人を集める。

 【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん】
 [状態]:勃起
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 ペガサスの聖衣(聖闘士星矢)
 [思考]:1.ダイ達と話をする。
     2.自分の仲間を探す。他、仲間になってくれそうな人を集める。

62 :冷静な男の怒り:2005/06/30(木) 08:18:58 ID:6bD21Zgz
京都の山中、ここにも一人この戦いに、主催者に、そして、何もできない自分に激しい怒りを感じている人間がいた。
男の名は海馬。彼は若干16歳でありながら大企業「海馬コーポレーション」の社長である。
「おのれえっ!俺をこんな目にあわせおって」
発した言葉こそ激しいものだったが、その音声は小さく、どうやら彼にはまだ理性が残っているらしい。
「さて。どうしよう。あの時、でかいハゲ野郎の放った衝撃波も主催者には通用しなかった。
しかも…あのハゲ野郎と同等、またはそれ以上の力を持つ者はごろごろいるだろう。
そんな状況で山を下りて見晴らしのよい所に行くなど自殺行為だ。
それに、俺の支給品は拳銃だ。銃が効かない化け物でもいないかぎり護身用としては十分だ。このまま山籠りを続けるとするか」
海馬は冷静であるが故に、あの混乱した状況の中でさえきちんと周りを確認していたのだ。
「それにしても…」
海馬はうなだれながら首輪をさわり、
(もしかしたら、盗聴されているのではないか?あのキチガイ野郎共なら殺し合いをするときのやりとりを楽しんでいたり、反乱分子のチェックも行なっているかもしれない)
海馬は用心に用心を重ね、これからは発言を控えることにした。
(とりあえず森を歩いてみるのも夜が明けてからだ)この暗い状況では待ち伏せされては対処の仕様がない。また、銃の命中率も落ちるだろう。
そう考えた海馬は緊張感を保ったまま、夜が明けるのを待つのであった。 初日深夜、京都の山中
【海馬瀬人@遊戯王】
【状態】軽く興奮しているが体に異常はない。
【装備】中川の拳銃@こち亀
【道具】支給品一式
【思考】1.朝まで動かない2.朝になると山中を探索する。最終.ゲームからの脱出

63 :太公望と富樫(仮):2005/06/30(木) 20:29:52 ID:vEB1oyPT
「ニョホホホホーーー」
「おい太公望…てめえ、さっきから気味悪いことしてんじゃねえよ」
太公望と富樫。二人は今、岡山県の海岸沿いから移動して同県の木々が生い茂る山の中にいる。
目的は富樫の食料調達。食料が豊富で、保存が利き、なおかつ魚のような強烈な匂いが無い物。
山菜や木の実などを求めて山にやってきたのだ。幸いにもこの山には食料が豊富にあり、
当分の間食料のことで悩まずに済むほど確保できた。……が。
気がつけば太公望が怪しげなものを作っていた。
「急に姿が見えなくなったと思ったら今度は訳の分からねえもん作りやがって。
 てめえ本当に仙人かよ?ほんとは魔女かなんかじゃねえのか?」
「たわけ!そんな輩と一緒にするでない。それに仙人ではなく道士だ」
太公望の足元には原型を留めていない、おそらく植物であったろう物体が散乱しており、
更に周りには一体何に使ったろう、ヘビが大量にいる。おかげで富樫は迂闊に近寄れない。
目を凝らして見ると、先ほどは気がつかなかったが大量にいるヘビはたった二種類しかいない。
一種類は長三角形の頭と全長40〜65cmくらいの太くて短く、体色は褐色で銭形のまるい模様が不規則な対になっている。
もう一種類は全長1〜1.2mくらいで、褐色の地色に黒と黄色と赤色の模様が入り混じっている。
別段ヘビに詳しくない富樫にはそれらがどんなヘビが全く検討がつかなかった。
雷電がいれば、あ、あれは!!!、と言って勝手に説明してくれるだろうに、と思った。
「いい加減何を作っているか言いやがれ」
「ニョホホホーーー」
馬の耳に念仏。暖簾に腕押し。太公望は一向に答えようとしない。
「かーかっかっか、あせるでない。完成したら教えるわい」
あとで覚えとけよこの野郎、富樫は頭に血管を浮き出しながら荷物を纏め始めた。
富樫は自分のデイバックの中身を今一度確かめる。
筆記用具、地図、コンパス、今しがた調達した食料、鍋などの調理用器具、そして支給品。
見た目は割りと滑々した拳大の大きさの石だ。太公望に見せたら、
それは宝貝というものだ。わしら仙道が使う武器だのう。
と言った。つまりこれは太公望の世界で使われた武器。ならばよく知っている太公望が使うべきだろう。
あとで渡そう。あいつは見た目貧弱そうだし、俺はなんとか生身でも戦ってきた。下手な拳法家相手じゃ負けねえ。
太公望を想ってのことだった。信頼できる仲間をみすみす死なすわけにはいかない。
「太公望、お前その格好なんとかならねえのかよ?」
「そうだのう…わしもなんとかせねばならんと思ってるのだが」
富樫は黒の学生帽と黒の学ラン。太公望は白い布を頭に当てていて、全体的に白と青の割合が多い服装である。
時間は深夜、場所は森。富樫は全く、むしろ風景に溶け込んでいるが、太公望はこの条件下では目立って仕方ない。
「あとで適当に枝を折って、全身に着けておくかのう」
「なんじゃそりゃ…まるで漫画じゃねえか。…緊張感のねえ野郎だぜ」
「しかしあながち悪くないぞ。森の一部を利用してカモフラージュするわけだからのう」

64 :太公望と富樫(仮):2005/06/30(木) 20:31:34 ID:vEB1oyPT
確かにそうだが…こいつがやるとなんでもいい加減に見えるぜ…あぁ、ニョホホとか意味分からん声が聞こえてきそうだぜ。
「んでよう、いつまでここにいるつもりなんだ?もう食料は俺とお前の分も十分確保したぜ」
「そんなにせかせかせんでもよい。わしらはいくら時間を費やそうとも、状況が許す限り万全に仕上げねばならん」
「今作ってるその怪しげなもんも関係あんのか?」
「そうだ。それに装備だけが万全でも、わしらの考えがバラバラでは意味が無い。
 それも統一せねばならん」
現在彼らの装備はあまりにもお粗末である。二人は武器といえる物は持ち合わせてはおらず、
また、生身で戦える拳法家でもない。富樫は今まで男塾で心身鍛え、様々な敵と戦ってきたが
この戦場に存在する上級の存在、人間外の者には歯が立たないであろう。
太公望に至っては論外である。彼は本来知略の人間であり、また、仙道であるがゆえに宝貝という武器を使って戦ってきた。
宝貝は富樫が持っているものがあるが、残念ながらそれは宝貝の中では最弱の部類のものだ。
泥酔拳という武術もあるが、これは酒が必要である。今の太公望はあまりにも貧弱なのだ。
「俺たちは自分の仲間を探しながら、このゲームから脱出する術を持っている奴を探すんだろ?」
「そこが問題なのだ。仲間を探すといってもどこにいるか皆目検討もつかんだろうし、それにどっちを優先的に
 探すのじゃ?」
彼らの仲間。竜吉公主、男塾の塾生達。それにこれから探さないといけない脱出に必要な人。
どちらを優先するか。
「……わしは脱出に必要な人間を探そうと考えておる」
―――竜吉公主。彼女は強力な仙女だ。だが、彼女の身体は仙人界の清浄な空気でないと生きていけない。
とても儚い存在なのだ。そして、恐らく宝貝も持っていないであろう。
彼女を一人ぼっちにはしておきたくはない。しかし、あまりにも情報が少ないのだ。
彼女には清浄な空気が必要。ならば都市圏にはいないだろう。いるとすれば自分たちがいるような自然に囲まれた場所。
だが、分かっているのはこれだけ。…これだけでは彼女を居場所は到底特定出来ない。
見捨てるわけではない。が、現状では探しようがないのだ。
…ならば皆が助かるかもしれない、脱出の術を持つ人を探すのが、彼女と再会する一番の近道なのだ。
「…俺も賛成だぜ。俺の仲間はそう簡単に死ぬような根性無しじゃねえ」
剣桃太郎、男塾一号生筆頭であり、富樫が誰よりも信頼する男。あいつはいつも通り気取った顔して
生きているに違いねえ。雷電や伊達だってそうだ。奴らとは驚羅大四凶殺で命を懸けて戦い、大威信八連制覇では
共に戦った戦友だ。あいつらの実力は俺がよく知っている。どいつもこいつも俺よりしっかりして強い連中だ。
大丈夫だ、俺が心配する必要はねえ。あいつらとはまた会える。きっとだ。
……塾長はあの台詞を言って回ってるんだろうな…むしろどこにいても声が聞こえてきそうだぜ。
「分かった。では次の議題だ。
 わしらの目的は脱出に必要な、なんらかの能力を持つ人間を探し出すことだ。
 つまり相手の情報を何も知らない状態で相手に接触せねばならん」
「そして、相手にどんな力を持っているか問い詰めるわけだな」
太公望は静かに首を振る。富樫はその真意が分からず、次の言葉を待つ。
「わしはすぐ接触するのではなく、しばらく監視、もとい観察するべきだと思う」
「なんでだよ?もしかして仲間になるかもしれねえやつにそんなことすんだよ」
「仲間にならなかった場合を考えてのことだ」
仲間にならなかった場合…考えても見なかった。
富樫は考える。その場合、相手はどんな人物なのか、を。
「ゲームに乗った奴だった場合のことだな」
「うむ、そうだ。ただ、ゲームに乗っていなくて、何らかの目的のために単独行動をとるやつもいるだろう。
 こやつらは問題ない。後に味方になるかもしれんからな。接触だけでもする価値はある。
 だが、問題なのはおぬしがいった連中だった場合だ。わしらは少なからず警戒して近づくが、相手にとっては
 格好の餌食だ。わざわざ獲物が近づいてくるんだからな。…最悪こちらの全滅も有りうる」

65 :太公望と富樫(仮):2005/06/30(木) 20:32:27 ID:vEB1oyPT
―――全滅。最悪の結果。これだけは避けたい。これは誰もが考えるだろうこと。
「富樫、わしらはこのゲームからの脱出、という目的を持って行動しておる。
 だが、それにはわしらが生き残らねばならん」
「ああ…」
「そのためにはわしらは非常になる必要がある。皆を助けるために。わしらが生き抜くためには」
太公望は本来、心優しき人間である。知性はあるものの、本来の彼は友人と談笑したり、一人でのんびりするような男である。
だが、仲間の命がかかると、そんな彼も非常な選択をしてきた。……今回の提案も仲間の命を守るべくしたものだった。
「で、更に言えば近いうちに場所を移動せねばならんが、都市などの人が集まる場所に行くつもりはない」
「はぁ!?んじゃどうやって人を探すんだよ!このままビビってここに立て籠もるつもりなのかよ!」
「落ち着くのだ富樫、そうは言ってはおらぬ」
太公望はデイバックから地図を取り出し、広げる。
「人は人を求めて都市へ向かう。だから人が集まるのじゃ。だが、人は生きている限り、もう一つのものを求める。
 それはなんだと思う?水だ。人は生きていく限り水は絶対に必要だ。つまり水源がある場所にも人が集まる」
「なら俺達の次の移動する場所は水のあるとこだな」
「そうじゃ、ただ、普通の池程度ではだめだ。規模が小さく、隠れる場所も少ないだろう。あくまでわしらは
 観察するのだから見つかっては不味い。その点も考慮せねばならん。富樫、おぬしの国で水源と言えばどこだった?」
主催者たちがわざわざ富樫の国を真似て作ったのならその施設も忠実に再現しているはず。
太公望は静かに富樫の言葉を待った。確信に近いものを覚えながら。
「…ダム、だろうな。でもダムっつったってたくさんあるぜ?
 隣の広島にもあるだろうし、関東のほうにもある。ダムが無い地方なんて無いぜ」
「ならこの島はどうじゃ?」
太公望は四国を指差した。富樫はまたもや太公望の意図が掴めず困惑する。
「あるこたぁあるだろうがよ。…なんでまた四国なんだよ」
太公望は満面の笑みで答える。その笑顔はいつの間にか立ち込めていた重い雰囲気を消し去っていた。
「この本州と呼ばれている島で水源がたくさんあるのならその分人も分散してしまうだろう。
 だが、この四国という島は本州より規模が格段に小さい。ダムの数も本州より少ないだろうから、より場所も特定できて
 人も発見しやすい。それに場所もここ岡山からほどほどに近い。網を張るには絶好の場所じゃ」
「なら早速出発か?」
「いや、早朝までここにおろう。装備やわしらの体調を整えてから出発じゃ」
ゲームが始まったばかりとはいえ、時間は深夜。この時間帯に木々が生い茂る山中を歩くのは思いの外体力を消費する。
それにいつどこで誰が襲ってくるか分からない状況だ。精神の疲労も軽いものではない。
「分かったぜ、ならお前が先に寝な。俺が見張っててやるぜ。少し時間がたてば交代でいいな?」
「うむ。任せたぞ富樫」
太公望はそういうと数分の間に眠りに落ちた。
「おい待て、寝るのはいいけどよ…この大量のヘビをなんとかしてから寝ろよ」
周りには大量のヘビが。……まぁ、死ぬことは無いだろうが、それでもこの数は怖いな、と思う富樫であった。


 【岡山県 北部山中/深夜】
【太公望@封神演技】
 [状態]:睡眠中
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(食料補充済み)支給品(不明) 
     怪しげな液体 宝貝五光石(富樫から譲り受けたもの)
 [思考]:黎明まで体を休め、脱出の術を持つ人物を探すため、四国へ渡る。

【富樫源次@魁!!男塾】
 [状態]:見張り中
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(食料補充済み)
 [思考]:黎明まで体を休め、脱出の術を持つ人物を探すため、四国へ渡る。

66 :逃げ馬、瀬那 1/3:2005/06/30(木) 21:14:09 ID:HSj6ghQ8
 小早川瀬那の天性は、明らかに「逃げ馬」であった。
これまでの十数年間の人生において、彼は痛みから逃げ不安から逃げ、ただただ逃走を続けてきた。
小柄で気弱な彼が得たモノは、いじめられっ子の汚名と、卑屈な笑顔だけだった。
そう思っていた。そう信じ込まされていた。
 そんな自分が、何故こんな目にあっているのか……
不安に張り裂けそうな気持ちを抑え、支給品を確認する。指先が震えて、バッグを広げる事すら難しい。
砂浜を見渡す限り、人影はないのだ、誰か来たらすぐ分かる。落ち着け。
まず、地図。九州北部、福岡県にあたる位置に印がある。
水と食料。量は充分とは言い難いが、今はとても喉を通るとも思えず、気にはならない。
何より恐怖したのは名簿を確認した瞬間だ。

蛭魔妖一、進清十郎、そして姉崎まもり。

闇雲に遁走するだけだった「逃げ馬」に、進むべき方向を示した人たち。
転機を与えてくれた人間と、尊敬する好敵手と、実の姉の様に大切に想う人。
彼らも、巻き込まれている。この異界のどこかに、彼らもいる。

セナはいつも、独りであることを嘆いて生きてきた。
しかし今彼は、何故自分一人だけで済まなかったのかと、胸を痛めている。
セナ自身気付いてはいないが、これを、成長と呼ぶ人もあるだろう。

……探そう、皆を。
環境は、苛酷。天才的な頭脳を持つ蛭間や、超人的な身体能力を誇る清はともかくとして、問題は姉崎まもりだ。芯は強くとも、肉体的にはか弱い少女に過ぎない。
まもり姉ちゃんは、自分が守らなければならない。
最優先に探し出し、その後、蛭間や清と合流する。
唇を噛み締めると、バッグを背負って立ち上がる。指先の震えは、消えていた。

67 :逃げ馬、瀬那 2/3:2005/06/30(木) 21:16:49 ID:HSj6ghQ8
 歩き出そうとした、まさにその時。小動物の様に敏感な(或いは臆病な)セナの感覚が、違和感を覚える。
これは、何の音だろう?聞き覚えのある、そう、それはまるで……
――掘削機のような……!
セナがとっさに背後に飛び退った瞬間、足元の砂中から巨大な何かが飛び出した。
一瞬先までセナの居た場所に、粉々に砕けた貝殻が舞う。
砂埃を巻き上げるそれは、腕。それも驚くべき事に、セナと変らない大きさの巨腕。
明らかに、人間のモノではない。セナの脳裏に広間に集まっていた人外の異形がかすめる。

化け物に、狙いを付けられたのか……!

甘かった。
あまりにも、甘すぎた。
一瞬でも、守るなんて誓ったこと自体、とても馬鹿げた行為に思えた。
怪腕は「ぎょろり」、手首から先をセナに向ける。その様は鎌首を擡げた大蛇。

そして自分は、蛙だ。

耳を突く不愉快な回転音を響かせて、五指がそれぞれ高速で回転を始める。

逃げろ、逃げろ、逃げろ。
今までだって、そうしてきたじゃないか。
自分はただちょっと人より足が速いだけの平凡な男だ。
だったら、使うしかない、それを。信頼に足るのは、この二本の足だけだ。
――『光速』をもたらす、この足だけが頼りだ。

踵を返してセナは駆け出す。グイと足元を踏みしめ、セナの右足は爆発的な加速を生む
――はずだった。
慣れない砂浜が、困惑した精神が、不良たちなど比べ物にならない恐怖が。
その全てが、船幽霊のようにまとわり憑き、セナの健脚を鈍らせた。
十歩にも届かず、セナは頭から砂浜に倒れ込む。
……もう、だめだ。

68 :逃げ馬、瀬那 3/3:2005/06/30(木) 21:18:51 ID:HSj6ghQ8
怪腕の、螺旋する指の駆動音が、セナの直近まで近寄って……こない。
頭を抱えて蹲ったセナも異変に気付く。もはや、駆動音すら響かない。
恐る恐る背後を振り返ると、屹立した怪腕は静止していた。
好機とばかりに立ち上がり、駆け出そうとするセナの背中に、聞き覚えのある声が響いた。
「待ちやがれ!糞チビ!」
もはや反射だ。刷り込まれた反射。
この声に怒鳴られると、体が硬直する。でも、そこには微塵も嫌悪はなくて。
「まだよく慣れてなくてよ。練習だ、練習。ビビッてんじゃねえよ。ケケケ」
「ヒル……!」
砂中から姿を現した、腕の主である化け物
――【着る操り人形『参號夷腕坊』】の大きく開いた口の中には、『デビルバッツ』蛭魔妖一が、いつもの悪魔的な笑いを浮かべて立っていた。

【福岡県 北部海岸沿い/黎明(1日目)】

【小早川瀬那@アイシールド21】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式(含、未確認個別支給品)
 [思考]:姉崎まもりと合流し、守る。蛭魔と行動を共にする。
 
【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:健康。ただし、夷腕坊の使用は負荷をもたらす。
 [装備]:参號夷腕坊@るろうに剣心(習熟中)
 [道具]:支給品一式
 [思考]:姉崎、進との合流。ゲームを脱出する。

69 :赤と青、黒、そして銀髪 1/3:2005/06/30(木) 21:28:54 ID:/yPbAdc1
「君臨者よ!」
 雪深い林の中、凛とした少女の声が響く。
「血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠する者よ!」
 少女と相対するのは化け物。左半身が炎、右半身が氷で覆われた異形のもの、氷炎将軍フレイザード。
「真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ!!」

「破道の三十三!蒼火墜(そうかつい)!!」

 少女の掌から光が迸り、フレイザードの顔面が突如爆炎に包まれた。予想外の攻撃に、たまらず、数歩たたらを踏む。

「……やったか?」

 少女は安堵の息をつく。彼女、朽木ルキアは追われていた。初撃こそなんとか避けることができたものの、
その後は防戦一方。加え、ここは極寒の地。足場も雪に覆われているうえ、至るところに大小さまざまな岩石が顔を覗かせている。
こちらは逃げ回るだけでも体力を大きく消耗してしまう。逆に、相手の怪物は体力の衰えをいささかも感じさせない。
いや、消耗を上回るスピードで体力を回復している……と言った方が正確か。
長期戦は不利!起死回生の望みをかけて己が能力、死神のみが使える破道を放ったのだ。だが。

「クカカカカッ!なんだぁ、その呪文は!?軽いねぇ、スカスカだぜぇ!」

 爆炎の向こうからフレイザードが顔を出す。間髪入れずに、左手に握られた炎の剣が振り下ろされた!
横っ飛びに転がり、辛くもその一撃を回避する……ハズであったが、避けきれず、右腕に軽い火傷を負ってしまう。

「くッ!」
「どうしたどうしたァ!気合い入れて逃げねぇと、スグ死んじまうぞォ!」

フレイザードが迫る。ルキアは身を翻そうとする、が、直ぐに悟る。……間に合わないッ!

ガツッ!

何者かがフレイザードの顔面に一抱えはある岩を投げつけた!その隙を逃さず、ルキアは後ろに跳び、怪物から距離をとる。


70 :赤と青、黒、そして銀髪 2/3:2005/06/30(木) 21:29:35 ID:/yPbAdc1

「おいおいアンタ、こんな状況で追いかけっこプレイたぁ、ちょっとハードすぎやしねぇか」

 現れたのは白髪の男。峰と刃が逆になった、奇妙なカタナを片手に帯びている。油断なく怪物を見据えながら、あまり
緊張感の窺えない声でルキアに声をかけてくる。

「なぁ、アンタ」
「なんだ?」
「なんでこんなコトになっちまったんだと思う?やっぱ、この前借りたAV、ついつい延滞しちまったからバチあたったのかな?」
「莫迦者!今はそんなことを言っている場合では……!!」
「でもなぁ、やっぱりナース服の魅力には逆らえねぇし…こんなことならスッチーのにしとくんだったか」
「たわけ!まずはあの怪物をどうするか考えろ!!」
 あの怪物が襲い掛かってきたら……と考えるが、一人増えたことで警戒しているのか、すぐに飛び掛ってくる気配はない。
 しばらくこちらを窺っていたフレイザードが、揶揄するかのような声を発した。
「なんだぁ、アンタ、人の温もりが恋しいのかい!ならオレサマが抱きしめてやるぜ!」
 怪物、フレイザードは嘲りながら、炎の左半身、氷の右半身を見せつけるかのように両腕を広げる。
「いや、ムリ。あんたじゃ、例えミニスカ警官のコスプレしててもムリだわ」
「悲しいねぇ、このオレサマの魅力がわからないとは」
「ウルセー。こんな寒々しい雪景色のなかで、なんですか?床屋の看板気取りですかこのヤロー!天パーなめんなよ」

 銀の男と、青と赤の怪物は互いに軽口をぶつけ合う。

 だが、ルキアは気付いてしまった。軽口を叩きあいながらも、化け物は緩やかに前進し、白髪の男は少しづつ
後退しているということに。あの化け物は強い。幾つも支給品を持っている、ということは、既に何人もの参加者を
その手にかけている証拠。見過ごすことはできないが、今の自分で対抗するには力が足りない。

 男、坂田銀時も、自分と相手の力の差に気付いていた。が、流石に少女が嬲り殺されるのを見過ごすことはできず、
助けに入ってしまったのだ。
(少し早まったかな……)
 この場はどうにかしてあの怪物を振り切りたい。なら、どうするべきなのか……

 怪物、フレイザードは歓喜に震えていた。まただ。またカモがきた。こいつらを殺し、支給品を奪うことで
俺はまた一つ強くなり、また一つ栄光の座に近づく。絶対に逃がせない!

 三者三様の思惑をのせて、一陣の風が粉雪を散らす……


71 :赤と青、黒、そして銀髪 3/3:2005/06/30(木) 21:30:24 ID:/yPbAdc1

【場所:北海道南部/黎明〜早朝(一日目)】

【フレイザード@ダイの大冒険】
 [状態]:体力微消耗:戦闘能力の成長期
 [装備]:炎の剣@バスタード(炎属性強化) 霧露乾坤網@封神演義(水分操作)
 [所持品]:荷物一式 ・核鉄LXI@武装錬金(治癒力向上)
      遊戯王カード@遊戯王(『青眼の白竜(次の0時まで使用不能)・サイコショッカー(罠破壊)・他三枚』)
 [思考]:1.南に向かいながら出会った参加者を出来る限り殺す。ダイ、ポップ、マァムを優先。
     2.優勝してバーン様から勝利の栄光を。


【朽木ルキア@Bleach】
 [状態]:体力微消耗:右腕に軽度の火傷
 [装備]:不明
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.目の前の怪物への対処
     2.黒崎一護との合流


【坂田銀時@銀魂】
 [状態]:健康
 [装備]:逆刃刀・影打@るろうに剣心
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.朽木ルキアの保護
     2.目の前の怪物からの逃走

72 :噛ませすらになれなかった漢:2005/06/30(木) 22:05:08 ID:DOJGlRT6
「くそっ!何でこんなのに巻き込まれるんだよ!」
男は闇の中を唯ひたすらに駆けていた。
「あのレベルの強さでさえ相手になってなかったじゃないか……」
いとも簡単にやられたナッパを思い出す。
いつもは身の程もわきまえず強がってみせる彼だが、今回ばかりは違った。
明らかに自分より強い奴が黒幕に楯突いたのだがあっという間にやられてしまったという事実。
そう、最初の噛ませ犬の役を取られた時点で彼の演ずるべき役目はもう残ってはいなかった。
「――どうせ俺がいたって足手まといさ」
逃げて逃げて逃げて何とか生き延びる。
「そうさ、今回だって悟空達がなんとかしてくれる!」
それまで逃げ切るのが自分に出来るただ一つのこと。
こんな所で変なヒーローっ気を出し死にたくはない。
取り敢えず目に入った民家に隠れることにした。
走って逃げるよりも隠れていた方が生き延びられる気がしたからだ。
「早くなんとかしてくれよ、悟空」

73 :噛ませすらになれなかった漢:2005/06/30(木) 22:05:39 ID:DOJGlRT6
民家に逃げ込んだ彼の最初にすることは状況整理だった。
現在地は京都。
実際は県名なんて彼には関係はなかったが、逃げるときに逃げ道が多い方が良いわけでなるべく他県と隣接している地域。
そして東西南北危なくない方に逃げられる為この配置は運が良かった方なのだと考える。
そして支給された武器はと言うと……
「超神水ね……」
説明によると自分の中に隠された力が湧き出るが、猛毒で体力の無い人が飲むと死んでしまうと言う代物らしい。
「いらねーもん引いちまったな」
自分が飲むのは怖くてとてもじゃないが出来ない。
それに眠っている力がどれだけあるかってのも謎だ。
だからといって毒として使う分にはあまり魅力的ではない。
体力が無い一般人レベルなら自分でさえ勝てる自信はある。
噛ませやなんだと言われてもあれは超人の中にいるからなのだ。
伊達に修行はしていない。
そして逆に強い奴に毒を盛ろうとして失敗したら敵が更に強くなって襲いかかってくる可能性もある。
その上、こんな良いアイテムならば悪人が存在を知ったら是が非でも奪いに来るだろう事は目に見えていた。
「むしろ便利なのはこちらの方か……」
手にした空のホイポイカプセルを見つめる。
多少かさばる物でも中に入れられる便利な道具。
彼はため息をつくとバックの中の物を全てカプセルに移動させた。
武器みたいに即座に取り出さないと負ける物が支給されていない場合カプセルに移して身を軽くした方が少しでも有利だと考えたからだ。

74 :噛ませすらになれなかった漢:2005/06/30(木) 22:05:58 ID:DOJGlRT6
「取り敢えず休憩するか……」
危険になるまでこの民家で隠れていようとしたが、外から女性と思われる悲鳴が聞こえてくる。
「ちっ!早くも危険なのかよ!」
三十六計逃げるにしかず。
身近に危険が迫ったのならば隠れているよりも逃げながら隠れた方が良い。
隠れていても気を感じて探しに来る奴がいるかも知れないし、レーダー系を支給されていると一発でアウトだ。
しかし、彼の頭の隅に先程木霊した声が引っかかった。
「あの声からするとまだ若いだろうなぁ……」
基本的に良い格好しいの彼は先程の超神水を思い出す。
彼――ヤムチャは女性の前で目立つのと自分の命を本気で天秤にかけて悩んでいた。



【京都府 (1日目)/黎明】

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:バックを除く支給品一式 超神水(@ドラゴンボール)
 [思考]:1悟空達が何とかしてくれると信じそれまで逃げて生き延びる
     2悲鳴が聞こえた女性を助けに行くかどうか思案中

75 :豹変1/3:2005/06/30(木) 23:38:42 ID:RXNiJkOi
 東城綾は、木を背凭れに体育座りをしながら、視線を目の前に投げ打った。
 視線の先に映るのは、視界いっぱいに立ち並ぶ、木。
 人の気配は無い。だが、人の気配があった方がいいのか、ない方がいいのか、
 彼女にその判断は出来なかった。
 人がいなければ、弱い自分はずっとこのまま。
 人がいても、その人がいい人とは限らない。
 殺し合いなんて出来ないししたくない。でも、自分の身を守れる何かがあるかもしれないと思って、
 支給品を覗いてみた。
 ――だめだった。こんなものは、とても使えない。
 この極めて異常な状況では、彼女の持つ学力も文才も何の役にも立たなかった。
「真中くん・・・」
 弱弱しく、呟かれた。
 その瞳に透明な液体が浮く。
 今まであったことが頭に浮かんでくる。目が覚めたら違う場所、あきらかに人じゃあない容貌を持つ者たち、
 恐ろしい雰囲気を持った3人、わけのわからない「ゲーム」の説明。
 呼び出された剃髪の大男、爆発、爆発、塵になった大男。
 見知った顔――西野さん、北大路さん、真中くん――真中くん、真中くん、真中くん。
「真中くん…真中くん、真中くん……!」
 涙をぼろぼろと零しながら、来るはずもない助けを呼んでいた。
 身体が震え、木に張りつけられてしまったかのようだった。
 逢いたい。
 誰かに逢いたい。
 あたしは、1人じゃ何もできません。でも、誰かが手を差し伸べてくれるなら、きっと、あたしは頑張って
 生きていきます。ですから、お願いです。誰でもいいから、優しい方をあたしにめぐり合わせて下さい。
 神様。カミサマ。
 乱暴な人はイヤです。優しくて頼りになる方と巡り合せてください。もし出来るなら、真中く―――
 手を組みながら俯き、ひたすら涙を流して祈りを捧げていたその時。
 タイプライターのそれを乱暴にしたような音が鳴り響き、彼女の両足が、跳ね上がった。

「あ……」
 一瞬、何が起こったか分からない衝撃。
 何故、どうして、あたしの足が跳ね上がったのか。それに、今の音は?
「チクショ〜、ハデに狙いを外しちまったじゃあねぇか。銃はあんまり得意じゃあねーんだよな」
 ぼやきながら、木々の向こうから、男が歩いてきた。
 海賊帽を被り、海賊のような格好をしたピエロ。あたしが受けた印象だった。
「まぁ、足はもう使えねぇし、何よりこんなガキだ――ちくっと楽しんで行くかぁ」
 その男からは、怖い――優しくて、頼りになる方とはまるで無縁の雰囲気を感じた。
 不意に、足に目が向いた。
 赤い何かが流れていた。何で? 良く見れば、あたしの足に、いくつもの穴ぼこが穿たれていた。
 足元に出来てきた水溜りが、脹脛にぬるい感触を与える。
 男が手に持っているものと、足を何度も見比べた。
 穴ぼこ、機関銃、穴ぼこ、機関銃、穴ぼこ、機関銃。
 痛覚が戻ってくるのは、唐突だった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

76 :豹変2/3:2005/06/30(木) 23:40:08 ID:RXNiJkOi
 あたしの喉元を大声が突き破った。
 パンツを見られた時だって、こんなに叫んだりはしなかった。
 ――その絶叫は、あたしのお腹を思い切り殴りつけた機関銃の逆側で、止められた。
「ガキぃ、大声出して、この道化のバギー様を困らせるんじゃあねーぞ!」
 そんな小さめの怒鳴り声を、しかしあたしは咳き込むのに夢中でまともに聞き取れない。
 咳き込むのを止めたあたしの目に、また、自分の足が入ってきた。
「……あ、か…い……」
 何でこんなことを言うのか、自分でも分からなかった。
 今度は、頭を殴りつけられた。
「だ・れ・の・鼻が赤いだとォォォ!?」
 バギーの頭には血が昇っていた。それも、全くの勘違いで。
「悪かったなぁ!? これが自前で悪かったなぁぁ!?
 テメェみてぇな小娘までデカッ鼻って馬鹿にすんのか!?
 あぁ!? コラぁ!!」
 全く、周囲に気を配ることなく、何度も、何度も。
 最初に、すぐさま留めを刺さなかったのは、犯すなりいたぶるなりして、時間と状況が許す限り
 遊ぶのが目的だった。しかし、バギーの頭には、もうそんなことは残っていない。
 東城は、ただ殴られるがままだった。
 上着を引き裂き、背凭れの木から身体がずり落ち、血溜まりに沈んでいく。
 いやだ。
 彼女の心に生まれたのは、はっきりとした拒否だった。
 死にたくない。
 死にたくない。
 西野さんに逢いたい。北大路さんに逢いたい。でも、誰よりも何よりも、真中くんにまた逢いたい。
 彼女がいたっていい。ずっと友達のままだっていい。ただ、あたしの小説を彼が読んで、
 彼がそれを映画にして。そんな日々がずっと続けば―――
 逢いたい。
 死にたくない。
 生きたい。
 そんな想いが、彼女の手を、デイパックへと伸ばさせた。怒り心頭のバギーの目には入らなかった。
 取り出した『それ』が、顔を覆い、血に染まる。

 ふたつの音を聞いた。

 いい加減、飽きたバギーの銃弾があたしのお腹を打ち抜くところ。
 耳の外側より、内側から響くような、何かが音を立てて幾数も突き刺さる音。

 最初に感じたのは、充実感だった。
 カーテンを開けたら、晴々と朝日が入り込んできたような爽快感。
 あれだけ痛かった足はもう痛くない。お腹だって。顔だって。
 みるみるうちに、痕が残りそうな怪我は塞がり消えていった。
 顔から『それ』を剥ぎ取る腕は、自分でも驚くほどよく動く。思わず握りつぶしてしまいそうなほどに。
 華奢な両足が、地面を掘り返さんばかりに力強くあたしを支えてくれる。
 殺したと思い込んで、あたしのデイバックに手をかけていた男が、慌てて後ろに後ずさる。
 喉が渇いた。
 ひどく喉がからからで、今すぐ飲みたいと思っている。
 何を飲めばいいのかは、自然とあたしには分かった。
 男の方を焦がれるような目で見て、あたしはあたしを解き放つように、咆哮を上げた。

「UUUURRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」

77 :豹変 3/3:2005/06/30(木) 23:40:54 ID:RXNiJkOi
【福井県(1日目)/黎明】

【東城綾@いちご100%】
 [状態]:吸血鬼化。至って健康。
 [装備]:特になし
 [道具]:荷物一式と、 支給品の石仮面(ジョジョの奇妙な冒険)は、近くに放っている。
 [思考]:1.バギーの生き血を吸う。
      2.知り合い(真中を優先)に会う。

【道化のバギー@ONE PIECE】
 [状態]:健康。 東城の変化にかなり面食らっている。
 [装備]:ヒル魔のマシンガン(アイシールド21)
 [道具]:荷物一式。
 [思考]:1.東城を殺す。
      2.ゲームに乗る。

78 :琉球毒蛇と狼と1/3:2005/07/01(金) 02:29:37 ID:qDmbTpeK

 闇の中、一人の男がひとりごちつつも歩いていた。瘴気のような気配を身に纏った、毒蛇のような男が。
「ウフフ……アイツラが誰だか分からないけど、感謝しなければね」
 この舞台は大掛かりな蟲毒のようなもの、と大蛇丸には写っている。自分が転生するために行う術法、それの
準備とこの状況は非常に似通っているために。
「サスケ君も捨てがたいけど、この場にも面白そうなコがたくさんいたわ……」
 ならば自分のすることは決まっている。色々な術のデータを集めながら、最後に生き残った一人を自分の
新しい身体となすのだ。無論、その身体が自分の眼鏡に適えば、だが。
大蛇丸は思考を楽しみながら、ゆっくりと自分の歩を進める。目前にはフェリー乗り場。
近づくにつれ、どうやらあれはより大きな島へと渡る手段だと見えてくる。お誂え向きに、大きな船が一艘、
夜の闇の中に浮かんでいた。


「ここは琉球か」
「そうみたいですねィ」
 剣客二人、新撰組の斎藤一、真選組の沖田総悟は、本州に渡る手段を探している。
「旦那の支給品は一体なんなんですかィ」
 沖田の呼びかけに応じ、斉藤は自分の支給品、青雲剣というらしいそれを眼前に掲げる。説明書によれば、
一振りで無数の切っ先を作り出す、妖しの剣らしい。
「俺の?俺のはこれでさァ。って、まぁ、見れば分かるか」
 沖田はその身を鎧で包んでいる。鎧の魔槍、それが彼に与えられた武器の名称であった。
「お互い、武器が支給されたのは重畳でしたねィ」
「フン。こんなくだらないゲームに巻き込まれた時点で、重畳も何もなかろう」
「違えねェ」
 口を開けばこの調子だが、意外と二人はウマがあった。聞けば、世界の違いがあるとはいえ、共に”シンセングミ”という
名称の組織に属していたこと。互いに警察のような仕事をしてきたこと。剣客であること。等と、偶然にしては
出来すぎているかのような共通点があったためであろう。

「琉球は広い。二手に分かれて船を探す」
「了〜解」
 どうやら、議論の結果、二手に分かれて脱出方法を探すことになったようだ。斉藤は北に。沖田は南に。


79 :琉球毒蛇と狼と2/3:2005/07/01(金) 02:30:37 ID:qDmbTpeK

 そして。
「「!」」
 先に沖縄からの脱出手段を発見したは斉藤。彼は、前方に大きな船、そして蛇のような男を見つけた。
身構えつつも、蛇のような男、大蛇丸に声をかける。戦闘は避けられないであろうという予感を抱きながら。

 大蛇丸は、船着場に近付いてくる一人の男を見つけた。チャクラは感じないが、なにか変わった空気を持つ
剣のような、杭のようなものを携えている。少し、興味を引かれ、相手の出方を待つと、出し抜けに声をかけられた。

「貴様はゲームにのっているのか?」
「えぇ。このゲームは私にとって願ってもないコト。そういうアナタはどうなのかしら?」
「阿呆が……」

 やはり、戦闘は避けられなかった。一触即発の空気が重くたちこめる。
一薙ぎの風が流れ……

「「行くぞ!」」

 二人の男は同時に構え、地をける。先手を取ったのは斉藤。自分の唯一、そして絶対の武器、片手平突き”牙突”。
猛々しい獣の牙のように、刃が、大蛇丸を食い千切らんと迫る!迅い!だが、大蛇丸にとっては、その攻撃は充分に
回避可能、反撃も容易い範囲の一撃……のはずであった。が。

「何ッ!!影分身かッ!」
大蛇丸は一瞬、己が目を疑う。刃が自分に到達しようとしたその時、無数の剣閃に増殖したのだ。
避けきれない!!驟雨のような剣戟に襲われ、数条の傷を負う。たまらず、横方向に跳び、回避をしようとするが…
「詰めが甘い!」
斉藤の剣閃が、間髪入れずに横薙ぎへと変化し、大蛇丸の後を追う。横方向への回避は不可能!ならば!
上に跳ぶッ!!少しでも長い時間、回避し続けることさえできればッ!!

「見え見えなんだよ、阿呆が……!?」
 牙突参式、対空迎撃用の牙突で追撃をかけようとした瞬間、突然、斎藤の膝が笑った。その様子を尻目に、
悠々と大蛇丸は大地に降り立つ。泰然と構えながら。不気味な笑みを浮かべると、斉藤に向かって話し掛けた。

「あら、その様子じゃ気付いていなかったのね。その武器、どうやら使用者の命を吸って力を発揮しているみたいよ」
「……フン」
「まぁ、チャクラも使えないのに、1対1でここまでやれたのは褒めてあげるわ。それじゃ、さようなら」

 攻守反転!刹那の間をおいて大蛇丸の腕から毒蛇が流れ出す。全ての蛇は、あやまたず斉藤の喉笛に。


80 :琉球毒蛇と狼と3/3:2005/07/01(金) 02:31:31 ID:qDmbTpeK

「じゃ、1対2ならどうですかィ」

━━━━━━一閃!!

斎藤に喰いつこうとした無数の蛇が、肉片になって宙を舞った。
毒蛇を切り払ったのは槍。槍を駆るは鎧に身を包んだ男。金髪のその男、沖田総悟。

「旦那ァ、そんな恐い顔しなさんな。あっちの方にボートがありましたぜィ」
「あそこには船がある」
「……。ま、まぁ、同じシンセングミ同士、仲良く行きましょうや」
「……。フン、阿呆が……」

斎藤一は立ち上がり、武器を構える。狼の牙、今、大蛇の喉笛を喰い破るために。
沖田総悟は身構えて、槍を構える。侍の刃、今、大蛇の肢体を引き裂くために。

大蛇はいまだ、不敵な笑みを浮かべ続けている……

【場所:沖縄南部/黎明(一日目)】

【大蛇丸@NARUTO】
 [状態]:全身に軽傷(戦闘続行に問題なし)
 [装備]:不明
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.斉藤たちの実力を見る(今はまだ、殺すことには執着しない)
     2.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする


【斎藤一@るろうに剣心】
 [状態]:体力消耗
 [装備]:青雲剣@封神演義
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.大蛇丸の殺害
     2.主催者達を悪・即・斬の信念に従い切り捨てる


【沖田総悟@銀魂】
 [状態]:健康
 [装備]:鎧の魔槍@ダイの大冒険
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.大蛇丸を倒す
     2.主催者の打倒




81 :二頭の狼、一匹の蛇:2005/07/01(金) 14:34:18 ID:qDmbTpeK
>>78-80は以下のように修正します


 闇の中、一人の男がひとりごちつつも歩いていた。瘴気のような気配を身に纏った、死人のような男が。
毒蛇を連想させるその男、名を大蛇丸という。
「ウフフ……アイツラが誰だか分からないけど、感謝しなければね」
 この舞台は大掛かりな蟲毒のようなもの、と大蛇丸には写っている。自分が転生するために行う術法、それの
準備とこの状況は非常に似通っているために。
「サスケ君も捨てがたいけど、この場にも面白そうなコがたくさんいたわ……」
 ならば自分のすることは決まっている。色々な術のデータを集めながら、最後に生き残った一人を自分の
新しい身体となすのだ。無論、その身体が自分の眼鏡に適えば、だが。
大蛇丸は思考を楽しみながら、ゆっくりと自分の歩を進める。目前には巨大な橋が一つ、闇の中浮かび上がっている。
近づくにつれ、どうやらあれはより大きな島へと渡る手段だと見えてくる。お誂え向きだ。ここで張っていれば、
確実に他の参加者と接触できるだろう。


「ここは四国か」
「そうみたいですねィ」
 剣客二人、新撰組の斎藤一、真選組の沖田総悟は、本州に渡る手段を探している。
「旦那の支給品は一体なんなんですかィ」
 沖田の呼びかけに応じ、斉藤は自分の支給品、青雲剣というらしいそれを眼前に掲げる。説明書によれば、
一振りで無数の切っ先を作り出す、妖しの剣らしい。
「俺の?俺のはこれでさァ。って、まぁ、見れば分かるか」
 沖田はその身を鎧で包んでいる。鎧の魔槍、それが彼に与えられた武器の名称であった。
「お互い、武器が支給されたのは重畳でしたねィ」
「フン。こんなくだらないゲームに巻き込まれた時点で、重畳も何もなかろう」
「違えねェ」
 口を開けばこの調子だが、意外と二人はウマがあった。聞けば、世界の違いがあるとはいえ、共に”シンセングミ”という
名称の組織に属していたこと。互いに警察のような仕事をしてきたこと。剣客であること。等と、偶然にしては
出来すぎているかのような共通点があったためであろう。

「時間が惜しい。二手に分かれて本州へ行く方法を探す」
「了〜解」
 どうやら、議論の結果、二手に分かれて脱出方法を探すことになったようだ。斉藤は東に。沖田は西に。


82 :二頭の狼、一匹の蛇:2005/07/01(金) 14:35:02 ID:qDmbTpeK

 そして。
「「!」」
 先に本州へ渡る手段を発見したのは斉藤。彼は、前方に大きな橋、そして異様な存在感を持つ男を見つけた。
身構えつつも、その蛇のような男、大蛇丸に声をかける。戦闘は避けられないであろうという予感を抱きながら。

 大蛇丸は、自分に近付いてくる一人の男を見つけた。チャクラは感じないが、なにか変わった空気を持つ
剣のような、杭のようなものを携えている。少し、興味を引かれ、相手の出方を待つと、出し抜けに声をかけられた。

「貴様はゲームにのっているのか?」
「えぇ。このゲームは私にとって願ってもないコト。そういうアナタはどうなのかしら?」

 一呼吸分の沈黙。全ての音を覆い尽くすかのように、空気が重さを増していく。

「阿呆が……」

一薙ぎの風が流れ……

「「行くぞ!」」

 二人の男は同時に構え、地をける。先手を取ったのは斉藤。自分の唯一、そして絶対の武器、片手平突き”牙突”。
猛々しい獣の牙のように、刃が、大蛇丸を食い千切らんと迫る!迅い!だが、大蛇丸にとっては、その攻撃は充分に
回避可能、反撃も容易い範囲の一撃……のはずであった。が。

「何ッ!!影分身かッ!」
大蛇丸は一瞬、己が目を疑う。刃が自分に到達しようとしたその時、無数の剣閃に増殖したのだ。
チャクラを消費し、刃を増殖させる!これがあの武器の能力!これは……避けきれない!!
驟雨のような剣戟に襲われ、数条の傷を負う。たまらず、横方向に跳び、回避をしようとするが…
「詰めが甘い!」
斉藤の剣閃が、間髪入れずに横薙ぎへと変化し、大蛇丸の後を追う。横方向への回避は不可能!ならば!
上に跳ぶッ!!少しでも長い時間、回避し続けることさえできればッ!!

「見え見えなんだよ、阿呆が……!?」
 牙突参式、対空迎撃用の牙突で追撃をかけようとした瞬間、突然、斎藤の膝が笑った。その様子を尻目に、
悠々と大蛇丸は大地に降り立つ。泰然と構えながら。不気味な笑みを浮かべると、斉藤に向かって話し掛けた。

「あら、その様子じゃ気付いていなかったのね。その武器、どうやら使用者の命を吸って力を発揮しているみたいよ」
「……フン」
「まぁ、チャクラも使えないのに、1対1でここまでやれたのは褒めてあげるわ。それじゃ、さようなら」

 攻守反転!刹那の間をおいて大蛇丸の腕から毒蛇が流れ出す。全ての蛇は、あやまたず斉藤の喉笛に。


83 :二頭の狼、一匹の蛇:2005/07/01(金) 14:35:31 ID:qDmbTpeK








「じゃ、1対2ならどうですかィ」

━━━━━━一閃!!

斎藤に喰いつこうとした無数の蛇が、肉片になって宙を舞った。
毒蛇を切り払ったのは槍。槍を駆るは鎧に身を包んだ男。金髪のその男、沖田総悟。

「旦那ァ、そんな恐い顔しなさんな。あっちの方には山しかありませんでしたぜィ」
「あそこに橋がある」
「マジでか。ま、まぁ、同じシンセングミ同士、仲良く行きましょうや」
「……。フン、阿呆が……」

斎藤一は立ち上がり、武器を構える。狼の牙、今、大蛇の喉笛を喰い破るために。
沖田総悟は油断なく、槍を構える。侍の刃、今、大蛇の肢体を引き裂くために。

大蛇はいまだ、不敵な笑みを浮かべ続けている……

【場所:香川北部/黎明(一日目)】

【大蛇丸@NARUTO】
 [状態]:全身に軽傷(戦闘続行に問題なし)
 [装備]:不明
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.斉藤たちの実力を見る(殺すことに躊躇はないが、執着しない)
     2.人の通りそうな場所(今は瀬戸大橋)に網を有り、より多くの参加者のデータを集める
     3.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする


【斎藤一@るろうに剣心】
 [状態]:体力消耗
 [装備]:青雲剣@封神演義
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.大蛇丸の殺害
     2.主催者達を悪・即・斬の信念に従い切り捨てる


【沖田総悟@銀魂】
 [状態]:健康
 [装備]:鎧の魔槍@ダイの大冒険
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:1.大蛇丸を倒す
     2.真選組として主催者を打倒する




84 :天才 1/3 ◆Wf0eUCE.vg :2005/07/01(金) 20:03:10 ID:+9KbAcB9
「晴子すわぁん! どこっすかぁ!?」
赤い髪を短く丸めた青年が、叫びながら夜の街中を走っていた。
「この桜木花道、今すぐお傍に行きますからね!」
叫ぶこの男、桜木花道は焦っていた。
突然訳のわからない場所につれて来られたかと思うと、おかしな三人組に殺し合えと命じられ、極めつけは大男の首が爆発する始末だ。
いくら花道といえど、この状況が異常なのは嫌というほど理解できた。
その後移動させられ、群馬県に降り立った花道は、まず支給品を確認し、参加者名簿を開いた。
そして、その名を見つけた瞬間、体は走り出していた。

可憐で繊細なあの人がこんな状況に耐え切れるわけが無い、きっとどこかで怯えている。
そして待っているはずだ、自分のことを。
すぐにでも自分がそばに行って守らねばならない。

「晴子さぁん! どこっすかぁ!?」
大声を張り上げながら花道は走る。
だが、その花道の足元に、突然建物の影から何者かが滑り込んできた。
全力で走っていた花道は避けきれず、足を引っ掛け派手に地面に転がった。

「動くな」
背後からの声と同時に腕を固められ、花道は動きを封じられる。
そして、地面に突っ伏した花道の背中に、ゆっくりと硬い何かが突きつけられた。

うつ伏せながら、首だけを動かし花道は襲撃者を睨む。
かろうじて見えたその顔は、自分と同年代ほどの、日に焼けた狼の様な髪型の青年だった。
「…晴子さんが、俺を待ってるんだよ。こんなことしてる場合じゃえんだ、この野郎」
銃を突きつけられたこの状況だというのに、気丈にも花道は咆える。
だが、睨みを利かせ凄んでみるても、銃を突きつけられたこの状況では変わらない。
流石に動けばどうなるかくらいはわかる、このままではどうすることも出来ない。

男は花道を値踏みするようにマジマジと見つめ、考えるような素振りを見せた。
男は暫くしそうしていたが、何か納得したように口を開いた。
「お前は殺し合いをする気は無いんだな?」
「あたりまえだ」
「そうか、じゃあ行けよ」
そう言って男は、花道の背中から銃を下げ拘束を解いた。
「なぬ?」
余りのあっさりとした解放に、思わず間の抜けた声を上げてしまう。

「俺だって殺し合いなんてする気はねえよ。ただ、黙ってやられる気もねえんでな、身を守ためとは言え、悪かったな」
男はショットガンを肩にかけ、バツが悪そうにそう言った。
「う、うむ、わかればいいんだ。急ぐんでな、じゃあな」
片腕を上げ、花道は早々に走り出した。
「待てよ、名前くらい名乗ってけ。オレは日向小次郎だ、お前は?」
その言葉に、走り出そうとした花道はピタリと止まり、振り向き胸を張ってこう答えた。
「ふふん、よくぞきいてくれた。この私こそ天才、桜木…」

パン

突然響き渡る小さな銃声、花道の言葉は銃声によって遮られた。
同時に花道の右肩から血が噴出す。

突然の襲撃、だが超一流のスポーツ選手としての反射神経と判断力が反射的に体を動かす。
咄嗟に二人は、近くの建物の影に身を隠した。

「ん? 仕損じたかな。まあいい」
闇の中から、顎をさすりながら、小銃を持った白髪の男が現れた。
「ふむ、やはり銃はイカンな。フフ…この天才アミバ様の拳にかかれるのだ、光栄に思え餓鬼ども」
そう言いアミバは銃をしまい、日向たちの隠れた建物に向かってゆっくりと歩いていった。

85 :天才 2/3 ◆Wf0eUCE.vg :2005/07/01(金) 20:03:52 ID:+9KbAcB9
「おい、お前。こういう経験は?」
ショットガンを構え敵の様子を伺いながら、日向は花道に問いかける。
「喧嘩なら幾らでもある」
「チッ、それじゃオレと同じってとこか。支給品はなんだ?」
「…これだ」
花道は胸を張り、胸元に付けた、真ん中に『リ』と書かれたバッチを見せる。
「なんだそりゃ?」
「知らん」
「チッ、ようは、まともに使えるのはこれだけかよ」
再度日向は舌を打ち、ショットガンを強く握り締めた。

「よし、じゃあ俺が囮になってやる、その隙にそれで何とかしてくれ」
そう言って、花道は掌でこめかみから流れ落ちる汗をぬぐった。
「ああ、けどショットガンだからな、俺が合図出したら全力で弾の届く範囲から逃げろよ。出来るか?」
その言葉に、花道は迷いを振り切るように自信満々に胸を張った。
「フフン、誰に向かって口を聞いているのかね? この私こそ天才さ…」
「…来たぞ!」
日向が声を上げショットガンを構える。
花道は言葉を中断し、アミバに向かって駆け出した。

「まずは貴様か、赤頭?」
向かってくる花道に対し、アミバは構えも取らず余裕の笑みを浮かべる。
「フンフンフンフンフンフンフン」
近づいた花道は掛け声と共に、素早く左右上下に体を揺らし敵を翻弄する。
その動きのキレ、速さに常人ならば残像すら見えただろう。
だが、武道の天才アミバの目には、その程度の動きはなどは止まって見える。
「遅いわ!」
アミバの掌が花道を捉える。
胸元に底掌をもらった花道の体が大きく宙を舞う。

「チッ!」
それを見た日向は咄嗟にショットガンの引き金を引いた。
しかし、アミバは素早い動きでショットガンの攻撃範囲から離脱する。
「ククク、このアミバにそんなおもちゃは当たらんよ」
日向は何発もショットガンを乱射するもの、アミバは見事に全てかわしきり、ジリジリと間合いを詰めてくる。
「こざかしいわ!」
間合いに近づいたアミバは、叫びと共にショットガンを蹴り上げた。
ショットガンは日向の手元を離れ地面を転がる。
「クソッ!」
唯一の武器を失い日向は歯噛みする。

その様子を悠然と見つめ、アミバの腕が振り上げられた。
「ククク、この私の手にかかること光栄に思って死ね、小僧!」
突き出された二本の指が日向を襲う。
しかし、その攻撃は突然の後ろからの衝撃によって中断された。
何事かと、反射的にアミバは背を振り向く。
そこには先ほど吹き飛ばしたはずの花道が、空中で両足を揃えドロップキックをかましているのが見えた。

「な、何故赤頭がここにいるのだ!?」
耐え切れず、アミバの体は前のめりに倒れこむ。
「頭に乗るなよ餓鬼ど…も、がッ!?」
態勢を立て直そうとするアミバだったが、その目に高々と天高く振り上げられた一本の足が映った。
それは、アミバが倒れるであろう場所で待ち構えている日向の姿だった。

振り下ろされた足が地面を擦る。
「まッ…」
「ウオオオオォォォォ!!」
叫びと共に振りぬかれたその足は、アミバの顔面に突き刺さった。

86 :天才 3/3 ◆Wf0eUCE.vg :2005/07/01(金) 20:04:21 ID:+9KbAcB9
「大丈夫なのか?」
「うむ、攻撃はこのバッチに当たったんだが…。結構丈夫みたいだなこのバッチ」
攻撃を受け止めたにもかかわらず、変形すらしてないバッチを見つめ花道が呟いた。
「そうか。で、どうすんだコイツ。…殺すか?」
そう言って日向は、ショットガンを気絶した男に向ける。
「止めとけ、アホらしい」
「だな」
始めからそのつもりだったのか、日向はその言葉にあっさりと同意しショットガンを下ろした。
「でも、こんな危ねえ野郎、ほっとく訳にもいかねえだろ」
「ふふふ」
その日向の言葉に、花道はどこか自信ありげに笑いながら、どこで見つけたのか、ロープを取り出した。


「あんなもんどこで手に入れたんだ?」
夜の道を走りながら日向が疑問を口にする。
「ガソリンスタンド。ここら辺、生活観が無いわりに結構いろんなものがあるぞ」
花道は走りながら辺りを指差す。
「で、これからどうするんだ?」
「そんなもん決まってる、晴子さんを探すんだよ」
「当てはあんのか?」
「む…」
「まあ、そうだろうな。俺も手伝ってやるよ、人探し。俺も翼達と合流したいしな」
そう言って、二人は立ち止まり、固い握手を交わした。

「そういや結局、まだ名前聞けてなかったな」
その言葉に花道は、少し前の再現のように胸を張り、自らを指差しこう答えた。
「天才桜木花道だ、覚えておきたまえ日向小次郎君」

【群馬県(1日目)/黎明】

【チームスポーツマン】
【日向小次郎@キャプテン翼】
 [状態]:健康
 [装備]:ショットガン
 [道具]:支給品一式×2
 [思考]:知り合いとの合流、花道に協力 
【桜木花道@SLAM DUNK】
 [状態]:少しダメージ、右肩から軽い出血 リーダーバッチの効果により身体能力が少しだけ上昇
 [装備]:リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし! 、ワルサーP38(アミバの支給品)
 [道具]:支給品一式
 [思考]:晴子を探し合流する

【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:気絶、逆さ釣り
 [装備]:無し
 [道具]:無し
 [思考]:皆殺し

87 :赤木晴子について ◆eOk8ASmJiQ :2005/07/01(金) 21:21:29 ID:xk2j9yp6
「……あまりうろうろするんじゃあない。大人しく座っているんだ」
窓辺から外の様子を窺っていた赤木晴子は、背後から声をかけられ、素直に腰を下ろす。
「……すいません」
男は、答えない。腕を組んだまま目を閉じ、壁にもたれた姿勢を崩さない。休息を取りながらも、警戒の糸を、張り巡らしている。
沈黙が流れる。囲炉裏にくべた薪のはぜる音だけが、周囲の土壁に響いている。
(お兄ちゃん……心配してるだろうな)
ゆらゆら揺れる火を見つめ、晴子は兄を思い浮かべた。いつも守ってくれた兄はしかし、傍にはいない。
(桜木君に三井さん、無茶してなきゃいいけど……)
自分と同様に名簿に名を連ねた彼らの無事を祈り、晴子は目を閉じた。
脳裏にふと、男性の顔がよぎる。精悍な、でもどこか眠たげな、不思議な眼をした顔。
瞼の裏に映る顔は、この異常時でも普段と変わらない人のものだった。それが嬉しくて、晴子は笑みを浮かべた。
(――流川君。どこにいるんですか?)

――あの時。
大広間から、次々と『参加者』達が飛ばされて行った時。
恐怖に震える自分の腕を握っていてくれたのは、誰あろう流川楓その人であった。
普段なら、卒倒してしまう程に歓喜すべき事態。この悪夢じみた瞬間に、感謝すらした。
いつも通り無愛想でそっけない表情のままだったけれど、掌の温かさが、ただ嬉しかった。

「死んでも、いい」

普段なら、きっとそう口走っていただろう程に。
けれど、仮初の幸福は短かった。ルーチンに沿って、冷たい声が晴子の名前を読み上げる。
指を離すことの出来ない自分に、流川は軽く頷いた。
「心配するな」と言っている。晴子はそう感じた。
ひょっとしたら、「離せドアホウ」だったのかも知れないけれど……晴子は、それだけで涙をこぼした。
だって、いつも彼は、私を、チームを、その無表情のまま救ってくれたのだから。だから私は、大丈夫。

88 :赤木晴子について2/3 ◆eOk8ASmJiQ :2005/07/01(金) 21:25:36 ID:xk2j9yp6
浮遊する感覚の後、闇の中に放り出された。目の前には、古い農家の母屋があった。
一も二も無くその戸を開く。鍵はかかっていない。
「お、おじゃ、おじゃまします」
後ろ手に戸を閉め、家の中に上がり込む。なるたけ隅の方に居よう、誰か来ても見付かり難いように。
土足で上がるのは気が引けたが、かと言って万が一を考えると靴を脱ぐ訳にもいかず、膝をついて四つ足でスリスリと畳の上を進む。

しかし、目星をつけた場所に辿り着く前に、晴子の体は背後にグイと引き寄せられた。
首筋を握られ、無理矢理に上体を引き起こされたのだ。まずい。身動きが取れない。
冷たい声が降り注ぐ。

「俺は今からお前に質問をする。一度しか言わない。
 答えなかった時、或いは答えてもそれが俺の望む答えで無かった時、その時はこのまま、お前の首をへし折らせてもらう」

……とんでもないことを言われた。晴子の顔面が急速に蒼白になっていく。
「いいか、それでは質問だ」

何?何を聞かれるの?何と答えればいいの?

「お前は、ゲームに乗る気はあるか?」
……。予想に反した質問だった。意図が、読めない。
乗る?ゲームに、乗る?それはつまり、主催者達の命令通り、殺し合うか、ということか。
「……いいえ。わ、私は、そんなこと、し、し、したく、ない、です」
搾り出すようにそれだけ何とか口に出した。偽らざる率直な気持ち。やろうと思っても、そんな事、出来ようはずもない。
首筋にかかる力は、変わらない。男が再び声をかける。
「では二つ目の質問だ。お前はこのゲームで、死んでしまうつもりなのか?」
首筋に当てられた掌の感覚。あの時の、流川の掌が思い出される。
死ぬ?私が?流川君にも桜木君にもお兄ちゃんにも二度と会うことなく、首を折られて、死ぬ?
………!
それは、それだけは、絶対に……嫌だ!強い感情が、胸の奥で弾ける。
「死に、ません!死にたくない、です!死なないです、私は!私は、皆の、い、る……!皆のいる!湘北高校に絶対、絶対、帰ります!」
「そう、か」

スッと、首筋にかかっていた力が緩められた。

「『無闇に殺したくない』。『死にたくもない』。……『故郷に、帰りたい』」
そう呟いた男性の声には、先刻までとは打って変わって、人を安心させ得る響きがあった。
「『年齢』も、『性別』も、『人種』すら違うようだが……、その三つの点で、俺と君は『同一』だ」
長身の、あちこちに『ジッパー』の付いた奇妙なスーツを着たその男は、晴子に向かって深々と頭を下げた。
「警戒していたとはいえ、非礼を詫びたい。痛い思いをさせてすまなかった。
 俺の名前は、ブローノ・ブチャラティ。イタリアのネアポリスで、どうしようもないゴロツキをやっている。『ギャング』だ」
「ギャ、ング、ですか」
男の明け透けな物言いに、体の緊張がほぐれていく。
この人は、信用できる。何故か晴子は直感していた。
過去にどんな事があったのだとしても、その人が本当はどんな人なのか、目を見れば分かる。
三井さんの目に似てる。桜木君も、本当に時々だけど、こういう目をする時がある。それに――流川君だって……
「赤木、晴子と、言います。えと、高校一年生です」
晴子は、仲間達に似た目をしたイタリアのギャングに向かって、深々と頭を下げた。

89 :赤木晴子について2/3 ◆eOk8ASmJiQ :2005/07/01(金) 21:27:07 ID:xk2j9yp6
【岩手県(1日目)/深夜〜黎明】

【チームおかっぱ】
【赤木晴子@SLAM DUNK】
 [状態]:健康(急速を取りながら、夜明けを待っている)
 [装備]:不明
 [道具]:支給品一式
 [思考]:ブチャラティと行動を共にする。流川、桜木、三井を探す。 
【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:健康(警戒しながら、夜明けを待っている)
 [装備]:不明
 [道具]:支給品一式
 [思考]:生き残り、故郷に帰る。

90 : ◆eOk8ASmJiQ :2005/07/01(金) 21:28:42 ID:xk2j9yp6
タイトルミス…すいません。
>>87が「1/3」、>>89が「3/3」です。

91 :呪縛:2005/07/01(金) 21:59:22 ID:+9KbAcB9
一人闇に潜み、緋村剣心は思考していた。

殺し殺されを命じられるのは慣れっこだが。
このような状況は初めてだ。
こんな行為に、いったい何の意味があるというのだ?
理想も信念も無い、まるで遊戯だ。

だが、ここでいくら考えても主催者の意図は掴めないだろう。
頭を切り替え剣心は現状を確認する。

潮の香りがする、海岸が近くにあるようだ。
夜だというのにこの蒸し暑さ、かなり南の方だろう。
おそらくは九州か四国辺りか。
おおよその位置をつかんだ剣心は、続いて至急品を確認する。

「これは…斉藤の刀か」
幸か不幸か、取り出したそれは使い慣れた日本刀。
逆刃などではない、正真正銘の刀…。

なにがあるかわからない状況だ、流石に使わない訳にも行かないだろう。
躊躇いながらも、剣心は日本刀を腰に差した。

逆刃刀とは重心が微妙に違うこの重み。
それだけで、昔の感覚を呼び起こさせる。
天誅の名の下に人を切り続けるあの日々。
その信念に後悔は無いが、人斬りという事実は消えないし、その罪も許されはしない。
剣心は頬の十字傷に触れる。
自分はいつまでも、人斬り抜刀斎の呪縛から逃げられないのか。

いけない。
剣心は迷いを払うように首を振る。

迷っている場合ではない。
薫殿を探さねばならない。
斉藤もこのようなことで悪即斬の信念を曲げる男では無い、合流できれば心強いだろう。
問題は…
「志々雄か…できれば、会いたくない相手でござるな」
死したはずのあの男。
ここに書かれている志々雄真実が、あの志々雄真実であるのならば、出会えば戦いは避けられないだろう。
そうなればこの刀を抜かざる得ない。

自分が酷く不安定なのは知っている。
おそらく一度人を切ってしまえば、後はズルズルと堕ちてゆくことだろう。
そうでなくともこの殺し合いという状況に、自分の中の人斬り抜刀斎が疼いている。
戦闘は避けるべきだ。
だが、襲われている人間がいたならば、放置しておける訳も無い。
どうする…?
迷いながら、剣心は腰に差した日本刀を見つめた。

【鹿児島県(1日目)/深夜】

【緋村剣心@るろうに剣心】
 [状態]:精神不安定
 [装備]:日本刀@るろうに剣心
 [所持品]:荷物一式
 [思考]:薫、斉藤を探す、人を切らない

92 :林の中での遁走曲1/3:2005/07/01(金) 23:15:40 ID:qDmbTpeK
 「いい加減、しつこいアルヨ、このハゲ!」
 逃げる、逃げる、少女は逃げる。その足取りは羽毛のように、そのスピードは獣のように。
 「ったく、あのコ、なんて速さなんだよ」
 駆ける、駆ける、青年は駆ける。彼の姿は少年のようで、彼の気配は死神のようで。

 ━━━遡ること半刻ほど前━━━

 青年、クリリンは考えていた。自分たちを争わせている、張本人達について。
フリーザ…奴は強すぎる。奴ほどの禍々しい気は感じたことは無い。 正直、今になっても、震えが治まる気配が無い。
奴がナッパを爆破したときの笑顔…寒気を通り過ぎて思考が停止した。あの顔は子供が花火で無邪気で遊ぶ子供の顔だった。
命をおもちゃにしている…まるでそれが当たり前のように。やつを止めなくては。このままでは、たくさんの人が死ぬ。
だが、自分はフリーザには敵わない。では、いったいどうすればいいのか。どうやったらフリーザを止められるのか。
支給された名簿をみて、仲間になってくれそうな、フリーザを止めることができそうな人物名を探す。
(悟空…ヤムチャさん…ピッコロ……ピッコロ?!)
その時、クリリンの頭に天啓のごとき考えが閃いた。

「そうだ!死んでも、生き返らせればいいんだ!」
(そうだそうだそれがいい!フリーザを止める必要なんて無い!ゲームに参加すればいい!そのあと、生き返らせればいいんだ!
 いや、ゲーム自体を無かったことにすればいい!そうドラゴンボールに願えばいい!そうだ、そうしたらみんな幸せだ!
 でも、ピッコロが死んじまったら、ドラゴンボールが消えちまうんだよな……なら、ピッコロが優勝すればいい!
 それがいい!それがいい!ピッコロ以外、全員を倒していって、最後に自害すればいいんだ!そうしたら
 ピッコロが皆生き返らせてくれる!うん!あいつは強面だけどいいやつだ!悟空たちも話せばきっと分かってくれる!
 そうだ、これなら殺された人みんなが助かる!そうしよう!そうしよう!!そう、そうしないといけない!!!!)
 
 今後の方針が決まると、行動は迅速だった。早速、自分の支給品をデイパックから取り出す。それは、胴着。

 普段着のまま呼び出されたのでこの支給品はありがたい。スタジャンとジーンズ、動きやすいことに変わりは無いが、
やはり胴着には敵わない。惜しむらくはそれが親友の息子、孫悟飯のものあることだが、自分と彼はそう背格好が変わらない。
「ていうか、悟飯の胴着なのに、サイズがピッタリなのってどうよ」
 希望に満ちた、燦々と輝く朝日を見つけたような気分で、悟飯の胴着に袖を通す。
その背面には、大きく「魔」の一文字が染め抜かれていた。青年、クリリンは闇の中から駆け出していく。


 神楽に支給されたのは、眼も眩むような金銀財宝であった。現在の自分が置かれている状況も忘れ、彼女は歓喜した。
(これだけあれば、家賃も払える。新八も、銀ちゃんも、きっとよろこんでくれるネ。酢昆布だって好きなだけ買える)
今まで慎ましい生活を送らざるを得なかった彼女には、その財宝の価値を正確に測ることなどできなかった。ただ、
それが彼女の大切な人を喜ばせることができるだろう、という漠然とした思いだけを抱いていた。
無くさないように、丁寧に財宝をしまいなおす。

 次に彼女が考えたことは、このゲームに巻き込まれている知り合いのこと。
……銀ちゃん。銀ちゃんはダイジョーブネ。殺しても死なないヨ。
……新八。メガネは…う〜ん…死んで無いといいアルが。
……沖田。あいつは別にどうでもいい。
(でもダイジョーブ。皆私が守って見せるヨ)
 彼女に流れるのは、戦闘民族、夜兎の血。昔はその血を恨んだこともあった。が、今は。壊すためではなく、守るために
戦うことを決意した今ならば。その血は頼もしいことこの上ない。
顔をあげ、少女、神楽は歩き出す。


93 :林の中での遁走曲2/3:2005/07/01(金) 23:16:37 ID:qDmbTpeK


 ━━━そして、数分前。林の中。神楽が出会ったものは、「完全にゲームに乗った者」の、底冷えするような笑顔だった。

 逃げる、逃げる、少女は逃げる。戦闘民族、夜兎の血が導くままに。
 駆ける、駆ける、青年は駆ける。眼前の獲物を確実に仕留めんがために。

(クソッ、このままじゃ逃がしちまう!目立つからまだ使いたく無かったけど…)
青年が突き出した右腕から一条の光線が伸び、少女の斜め前方に着弾した。足を止める、威嚇のための一撃。
効果は覿面で、少女の足はそこで縫い付けられたかのようにとまろうとし、勢いを殺しきれず転倒した、

 神楽は、一瞬、放心していた。一体何が?数瞬後、後ろから光線で狙撃されたのだと思い当たる。
 後ろのハゲ男が放った熱線。広間で殺されたスキンヘッドの放った怪光線。神楽の思考回路が導き出した結論は……
(実はハゲはビームを撃てるアルか!!なら私のパピーもそろそろ赤外線ぐらいは出せそうネ)
 逃げ切れない!神楽はクリリンに向き直ろうとする。そう、今、自分を守るために戦おう、と。
「ソレ一体ナニアルか!光るのはそのハゲだけで充分ヨ!」
「いや、これ剃ってるだけなんだけどな……」

 しかし、青年、クリリンは、神楽が体勢を立て直すのを待つつもりは微塵も無かった。

「……ゴメンな。皆を助けるために、キミを殺さないといけない」
クリリンの右手に光、いわゆる「気」が集中していき……



……少女の悲鳴が静寂を破る……




 クリリンは、少女のデイパックを漁り、食料を見つけ出すと自分のポイポイカプセルの中に移し変えていく。
あくまでも、死体は見ない。いや、見ることができない。搾り出すような声音で、呟く。

「クソッ、フリーザの野郎、後味のわりぃことさせやがる……」

 足元に伏すのは少女だったものの遺体。

「ホント、ゴメン。後で、絶対に生き返らせてあげるから」

 遺体の傍らに立つのは、鼻と髪が無い男。出来る限り少女の惨状が目に入らないように、丁寧に屍体を埋葬している。

 クリリンは知らない。このゲームに参加しているのが”先代”ピッコロ大魔王であることを。
彼が、そのような頼みを聞くはずが無いということを。そして、そのピッコロが死んだ場合でも、ドラゴンボールは
消滅してしまうということを。

 魔の一文字を背負った男が、京都の山中を走り抜けていく……




94 :林の中での遁走曲3/3:2005/07/01(金) 23:17:11 ID:qDmbTpeK

【京都府 (1日目)/黎明】

【クリリン@ドラゴンボール】
 [状態]:健康:精神不安定
 [装備]:悟飯の胴着(背中に”魔”と言う文字が入っている)@ドラゴンボール
 [道具]:支給品一式(二人分の食糧所持)
(※神楽の支給品、”六億円相当の財宝@ジョジョの奇妙な冒険”はその辺に放置してあります。)
 [思考]:1出来る限りの参加者を脱落させる
     2仲間(孫悟空、ピッコロ、ヤムチャ)との合流(写真が無いため、ピッコロが”先代”だと知らない)
     3ピッコロを優勝させ、ドラゴンボールでゲーム自体をなかったことにしてもらう


【神楽 死亡確認】

95 :サッカーボールと少年:2005/07/01(金) 23:49:53 ID:R+vm7kWf
「あんたのその格好、サッカーをやっているのかい?」
「あぁ、そうだよ。ディフェンダーやってるんだぜ俺!」
少年と坊主が二人。
彼らの名は星矢と石崎了。二人は今、鳥取県南部ののどかな田舎にある小学校で身を休めていた。
彼らの間にはメラメラと火が燃えており、その火を談笑をしていた。
「俺と翼の日本代表はワールドユースで優勝したんだぜ!」
彼は笑顔で語る。余程嬉しいのだろう。過去、血と汗と涙を流し、幾つもの苦難を乗り越えて得た優勝カップ。
それは自らの誇りであり、仲間との絆でもある。そのことを語るのに何故笑顔無しで語れるだろうか。
「俺はサッカーやったことないけど、仲間と一緒に何かをやり遂げるのって良いよな」
「へへへ」
仲間。熱き血潮の兄弟達。一輝とサガ…一応デスマスクも。彼らは今どこにいるのだろう。果たして無事でいるのだろうか。
それだけが気がかりだ。そしておそらく、彼、石崎君も同じことを考えているはずだ。
「星矢。俺さ、もしもこのゲームで生き残れたら、もう一度サッカーがやりたいよ」
「チッチッチ、だぁ〜いじょ〜ぶだって!俺が守ってやるさ。こう見えても俺、中々強いんだぜ?」
彼は人差し指を左右に振りながら、少しふざけて言ってみせた。
しかし、それはあながち冗談では無かった。彼は今まで様々な者と戦ってきた。
黄金聖闘士ほどではないが、自分はこの参加者のなかでは強いほうだ。きっと彼を守れる。そう思っていた。
「さーて、俺はもう少し薪を拾ってくるよ。石崎さんはここで待っていてくれ」
「分かったぜ星矢。でも寂しいから早く帰ってきてねぇ〜ん、へへへ」
馬鹿野郎、と言い返し、薪を拾いに行く星矢。星矢を見送ると石崎はそこらへんに落ちている小石で
リフティングの真似事を始めた。例えボールが無くても、それでもサッカーをしていたかったのだ。

96 :サッカーボールと少年:2005/07/01(金) 23:50:27 ID:R+vm7kWf
星矢は持てる限りの薪を持ち、石崎の元に戻っていた。
よく見ると、彼の脇には汚れていて、所々破けてあり、空気もあまり残っていないサッカーボールがあった。
昔、子供たちが遊んでいてここで失くしたのだろうか。ともかく、星矢はサッカーボールを見つけたのだ。
石崎のやつ、こんなボールでも喜ぶだろうなぁー、と石崎の喜ぶ顔を思い浮かべながらさきほどに近い場所についた。
「おーい、石崎さーん!戻ったぜー。それに良い物も見つけてきたぞー」
…おかしい、返事が無い。ここからなら声も聞こえているはず。それなのに何故返事がないのだろう?
それになんだこの匂いは…生き物が焼けたような匂い…一体どこからだ?
妙な胸騒ぎを覚え、小走りで石崎の姿が確認できる場所まで急ぐ。
「……石崎さん!!!」
倒れている。そんな馬鹿な。さっきまで一緒に話していたじゃないか。なんでだ?なんでだよ?
星矢は目の前で倒れている石崎を抱き上げ、驚愕する。
…先ほど感じた匂いは…彼から匂っていたのだ。右半身がハンバーグみたいになっている。
「石崎!石崎!!!しっかりしろ!俺だ、星矢だ!一体何があったんだ!目を開けるんだぁ!!!」
星矢は叫ぶ。人目を気にせずに。もしかしたら石崎を襲った者に聞こえるかもしれない、そんなことすら考えていなかった。
「星矢…わりい、俺達のデイバック盗られちゃったよ…へへへ」
石崎は微かに目を開け、話し出した。しかし、その声は限りなく小さい。彼の声はいまや燃え尽きる前の灯火のように小さく感じられた。
「あいぜん、ってやつにやられちゃったぜ…白い袴に髪がオールバックのやつ…あっちのほうにいった」
「もういい、喋っちゃだめだ。傷に触る。こんな傷がなんだ。あんたはこのゲームから脱出して仲間とサッカーするんだろ?」
星矢は分かっていた。しかしそれは決して認めたくない事実。辛い現実。…彼はもう助からない。
「へへへ…星矢、俺、もう一度みんなとサッカーしたかったよ…」
「石崎さん、ほら、サッカーボールだぞ?さっき森の中で見つけたんだ。一緒にサッカーしようぜ?
 俺さ、今までサッカーなんてやったことないんだ。だから教えてくれよ?なぁ?なぁ!」
「星矢…へへへ…二人でサッカーなんてできねえよ…ボール抱いていいかい?」
石崎はその真っ黒になった手でボールを求めた。とても汚かったボールが綺麗に見える。
星矢は一瞬躊躇し…彼にボールを渡した。石崎は大事そうボールを受け取ると両手で握り
胸に抱え…息絶えた。
「石崎さん…ごめんな…ごめんな…」
星矢は自責の念に囚われた。守ってやると言ったのに、何故彼の側を離れたのだろう。
自分がそこそこ強いからってなんなんだ。彼には関係ないじゃないか。彼は弱い。何故その事実に気づかなかった!
彼とは今日、数時間前にあったばかりだ。だが、死んだ。彼との思い出はたったの数時間分しかない。
なのに、なんでこんなに重く感じるのだろう。石崎了はこの数時間、ずっとサッカーの話をしていた。
それも楽しそうに嬉しそうに。…彼はサッカーが心の底から好きだった。
そんな彼はもう二度とサッカーは出来ない。ボールに触れられない。仲間とプレイすることも出来ない。
その事実が星矢に重く圧し掛かっているのだ。
「仇はとってやるからね。…終わったら新しいボール持ってくるよ。それまで待っていてくれ」
星矢は走り出す。その小さな体に抑えきれぬ怒りを抱えて。彼が向かう先は岡山。
石崎がその黒こげた手で指し示してくれた方向。星矢の目に映るのは…
オールバックで袴の男………愛染ただ一人。

97 :サッカーボールと少年:2005/07/01(金) 23:50:57 ID:R+vm7kWf
【鳥取県南部/深夜】

【星矢@聖闘士星矢】
 [状態]:追跡中
 [装備]:無し
 [道具]:無し 
 [思考]:愛染を倒す

【石崎了 死亡確認】
【残り122人】

98 :切り札 1/2:2005/07/02(土) 00:32:53 ID:/PuCIBtY
「霊剣!!」
「おおー、素晴らしい!」
桑原の手に金色の刃が生まれるのを見て、友情マンは小さく拍手をした。
「いやぁ、本当にすごいよ桑原くん。これなら武器が無くても存分に戦えるね!」
「ワッハッハ! まぁな。そういう訳だから、そいつはお前が使ってくれていいぜ」
桑原が支給された武器は、モンスターを召喚できる『遊戯王カード』だった。

ブラックマジシャン……攻撃力が高く、魔法カードとのコンボが強力なモンスターカード。
ブラックマジシャンガール……ブラックマジシャンが墓地にある時、攻撃力が上昇するモンスターカード。
千本ナイフ……ブラックマジシャンが場にいる時、千本のナイフで相手を攻撃する魔法カード。
光の封札剣……相手のカード1枚を3ターン封印する魔法カード。これは相手に支給された武器に対しても有効である。
落とし穴……指定した相手の足元に落とし穴を生み出す罠カード。

このすべてが友情マンの手に握られていた。頭の悪い桑原と違い、友情マンなら使いこなす事ができるだろう。
「すまないね、私も戦いに役立つ物を支給されていればよかったんだが……」
「いいって、気にすんなよ。信用できる仲間ができただけで十分だぜ」
「ありがとう桑原君。君と友達になれて本当によかったよ」

時はわずかにさかのぼる。
桑原が青森県の平野を歩いていると、友情マンと名乗る正義のヒーローが現れた。
その外見はいかにもヒーロー、少年漫画にでも出てきそうなヒーロー。
友情マンは名前の通り友情に厚いヒーローらしく、出会ったばかりの桑原に好意的に接してきてくれた。
顔も髪型も完璧な不良である自分にこうも馴れ馴れしくしく声をかけるのは危険じゃないかと桑原が心配するほどに。
2人は近くにあったリンゴ農園の倉庫に入り、互いの情報交換をし、友情を深めたのだった。

「それにしても、そのピッコロって化け物……何とか倒さねぇとヤバイな」
「ええ。友達のペドロさんが身をていして守ってくれなければ、私も危な……うっ、すみません」
友情マンは目頭を押さえてうつむき、涙をこらえるように震えた。
自分同様、出会ったばかりのペドロという男のために涙するとは。まさにヒーローの鑑。
「よぉしっ! ペドロって奴の仇を討つためにも、何とかピッコロって奴を倒そうじゃねぇか!」
「はいっ! ですが奴の強さは相当のものです、桑原君からもらったカードがあっても倒せるかどうか……。
 ここはやはり、強くて頼りになって信頼できる仲間を集めるべきです!」
「それならいい奴がいるぜ! 浦飯と飛影って奴らだが、こいつらの強さは相当のもんだ。
 まぁ、片方は性格悪くて悪人面で、協力してくれるか分かんねーけど……」
「なるほど。君の友達の浦飯君と飛影君も、君のような力が使えるのかい?」
「ああ。浦飯は霊気を弾丸にして撃ったり、飛影は……」

自分達の事を何でもかんでも教える桑原の話を聞きながら、友情マンは嬉しそうにうなずく。
強い仲間は多いに越した事はない。この桑原という男もそれなりに強いが、彼よりもっと強い男も仲間になるかもしれない。
そうやってたくさんの仲間が集まれば……。

「仲間が集まればこのゲームから抜け出して主催者の糞野郎どもをぶちのめしてやるぜ!」
「ええっ! みんなで力を合わせで脱出しましょう!!」

99 :切り札 2/2:2005/07/02(土) 00:33:30 ID:/PuCIBtY
こうして――友情マンは桑原の知るほぼすべての事を知った。
浦飯という男は相当の強者だが、桑原同様単純馬鹿。利用するのは簡単だろう。
飛影という奴は信用しがたいが、変にプライドが高いらしいのでその辺を突いて操作できるかもしれない。
その二人に加えて桑原の得意技や戦法も理解した。
仮に、あくまでも仮に彼等と戦う事になったとしても、友情マンは非常に有利な立場に立てる。

そして桑原は友情マンの真実を何一つ知らない。
仲間を集めるのは脱出のためではなく、自分を守らせ最後に皆殺しにするためだという事。
ペドロにとどめを刺したのは他ならぬ友情マンだという事。
そして――。

「それにしても災難だったな、せっかく支給された武器を落としちまうなんて」
「ええ。でもペドロさんの荷物が無事でよかったですよ」

桑原にはそう説明してある、ピッコロに襲われた時に自分の支給武器を落としてしまったと。
友情マンに支給された武器、それは青酸カリだった。
匂いがあるため、毒に詳しい者や匂いに敏感な者には使えまい。
だがこの桑原という男を殺すくらいは簡単にできる。
青酸カリの入ったビンは、自分の鞄の奥底に隠してある。必要な時がくれば、ビンの蓋を開ける事になるだろう。

そしてペドロの鞄に入っていた支給品は大量の食料が入った冷蔵庫だった。
今はホイポイカプセルにしまってあるが、これだけの食料があればゲーム終了まで尽きる事はあるまい。
全員に支給されているだろう食料と違い、冷蔵庫の中には肉、魚、野菜、果物、お菓子、ジュースと、様々な物がそろっている。
これを餌に食糧不足で悩む者を仲間にする事もできる。
また、これだけ材料があれば、美味しい料理も作れるだろう。
例えば匂いが濃い料理や、アーモンド臭を隠せるような料理が。ちなみに青酸カリからはアーモンド臭がする。

友情マンは何一つ、重要なカードを教えていない。
自分が優勝者になろうと思っている事も、青酸カリを持っている事も、自分が本当は勝利マンのように強い事も。
切り札はこちらにある。友情マンは心の内で邪悪な笑みを浮かべていた。

しかし、これは桑原にも自覚が無い事だが、彼には次元刀という能力がある。
今はまだその能力に覚醒しておらず、使いこなす事はできない。
次元刀に目覚めた時、桑原はゲーム脱出の切り札となるのだ。


 【青森県南東部、リンゴ農園/黎明】

 【チーム名:偽りの友達】
 【友情マン@ラッキーマン】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)
 [道具]:荷物一式、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分)、青酸カリ。
 [思考]:1強い者と友達になる。
      2最後の一人になる。

 【桑原和馬名@幽遊白書】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1ピッコロを倒す仲間を集める。浦飯と飛影を優先。
      2ゲームを脱出する。

100 :月下の誓い 1/4 ◆zOP8kJd6Ys :2005/07/02(土) 01:25:11 ID:rlZx+THM
京都の一角にある河原に降り立ったサガはずっと考え込んでいた。
自分はどう動くべきなのかを。
地上の愛と正義を守るアテナの聖闘士。
その中でも最上位の黄金聖闘士にして黄道十二星座の一つ、双子座を司るサガ。
かつて邪悪な意志の介入により、善と悪の二面性を持った彼は
アテナに叛き聖域を混乱に陥れた過去がある。
その反動か過去に一度冥王ハーデスによって甦った時は命も誇りをも捨ててアテナに尽くした。
そして今再び生を受けサガは思う。
今度こそは自らに恥じぬ戦いをしようと。
一度目の生は自らの心の内の悪に負け、アテナに刃を向けた。
二度目の生は裏切り者の汚名を受け、盟友に拳を向けた。
ならばこの三度目の生こそはアテナの聖闘士として誇りを持って戦おうと。
サガは立ち上がる。
弱者を守り、悪を討つ。
その決意を込めて。

デイパックから参加者名簿を取り出し眺めてみる。
知っている名は三つ。
星矢、一輝、デスマスク。
この内、星矢と一輝は自分と同じ行動を取るだろう。
しかしデスマスク……彼はどうだろうか。
力を信奉する彼はこのゲームに乗ってしまうかもしれない。
だが腐ってもアテナの聖闘士――そのようなことはないと思いたいが。
「まずはデスマスクを探すか」
どちらにしろ仲間は必要だし、もし万が一のことがあるなら
彼が誰かを手にかけてしまう前に自分が諫めなければなるまい。
かつてデスマスクを配下としていた自分の責任として。
地図を確認し、京都の街の方向へと足を踏み出したその時、
背後から足音がしてサガは振り向いた。
そのこには女学生と思われる少女が驚いた顔でこちらを見つめている。
サガも予想外に接近されていたことに驚きを隠しきれない。
『この世界で力を制限されていることは感じていたが
 ここまで感覚が鈍るとは……いささか事態を侮っていたな
 今のままではハーデスに抗するべくもないということか……』
サガはことの深刻さに戦慄する。
そして沈黙に耐えられなくなったのか少女が話しかけてきた。
「あの……私は姉崎まもりといいます。
 私に戦う意志はありません。少しお話できませんか?」
彼女は震えを必死に押さえながら、しっかりとした意志を持って
こちらを見つめてきている。
『現状を理解しながらも恐怖に負けず行動できる、強く気高い女性だ』
まもりの意志の強さに感嘆し、サガも警戒を解く。
「私はサガ。
 こちらにも戦闘の意志はない。
 話し合いにも異論はないよ」
そういって証明の為に両の掌を広げ、相手に見せる。
その時、まもりの目が細められた気がした。
「ぬ?」
常人にしては感嘆に値する速度でデイパックから奇妙な形のナイフを取り出し
まもりはサガに斬りつける。
しかしサガも制限されているとはいえ、最強の聖闘士なのだ。
あっさりと彼女の攻撃を見切り、ナイフを避けて手首を掴む。
「あ!?」
僅かに力を込めるだけでまもりは声を上げ、ナイフを落とした。
「残念だ。あなたのような人がゲームに乗っているとは」
サガは勤めて平静に声を絞り出した。
このような女性まで狂気に駆り立てるこのゲームと
主催たるハーデスめらに改めて怒りが湧き上がる。
ふと気付くと彼女の手首を締める自分の指に赤い筋が生まれていた。
ナイフが刃が掠っていたのだ。

101 :月下の誓い 2/4 ◆zOP8kJd6Ys :2005/07/02(土) 01:25:55 ID:rlZx+THM
『警戒を解いていたとはいえ……何たる未熟な』
「痛っ……ああ!」
まもりの苦痛の声を聞いて慌てて力を緩める。
ハーデスへの怒りと自戒の念に我を忘れ力を入れすぎてしまったようだ。
今度は激しい自責に駆られるが、今はそれどころではないと思い直し、
冷静にまもりに理由を問う。
「何故だ?
 見たところ闘争には縁のない人間と見受けるが
 何故このゲームに乗ろうとした?」
まもりは悔しそうに歯を食いしばり、俯いた
そして静かに話はじめる。
「私は……セナを守りたいんです。
 セナは私の弟のような存在です。とても大切な……。
 彼を日常に帰すのが私の望みです。
 こんなゲーム、許せないけど……乗りたくないけど!
 でもこの首輪がある限り逃げられない……。
 だったら、セナ以外の人を全員殺して私も死ぬしかないって……」
俯いた彼女の表情は見えない。
しかし地面に涙の雫がポツポツと零れた。
「そうか……だが、ぐぅ!!」
説得の言葉を紡ごうとしたサガの口が苦痛に歪む。
突然、全身が苦痛と共に脱力し、成すすべなくサガは地面に突っ伏した。
背負っていたデイパックも放り出してしまう。
「こ、これは……一体?」
力を振り絞って顔を上げると、そこには未だ涙を流すまもりがサガを見下ろしていた。
彼女はゆっくりとした動作でナイフを拾い上げ、デイパックに仕舞い込む。
「まだ喋れるなんて凄いですね。
 このナイフは後期型のベンズナイフといって
 鯨でも0.1mgで動けなくする毒が仕込まれているそうです。
 即効性と書かれていたのに効果が遅くてとても心配でした」
「…ふ、不覚……」
意識が朦朧とし、声を出すのも億劫になってくる。
しかしこんな場所で倒れるわけにはいかない。
唇を噛み破り、血を流しながらも毒に抗おうとする。
そうしている間にもまもりは拳大の石を拾い上げ、振りかぶる。
「ごめんなさい、許されるとは思っていません……
 でもセナを護るために私は殺さなくちゃいけないんです……
 本当にごめんなさい」
そういってまもりはサガの頭部目掛けて石を振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした。
振り下ろした………そして。


102 :月下の誓い 3/4 ◆zOP8kJd6Ys :2005/07/02(土) 01:26:49 ID:rlZx+THM




………ぬとり。

血の糸を引いて赤く染まった石を、ようやくまもりは取り落とした。
肩で息をして、その場にうずくまる。
目の前には綺麗だった銀髪を紅に染めたサガの死体。
殺した。
ついに殺してしまった。
全身に震えが走り、冷や汗が噴出してくる。
まもりは寒さを堪えるように自らの肩を抱いた。
涙がポロポロとあふれ出してくる。
駄目だ。こんなんじゃ駄目だ。
まだ100人以上いるのに最初からこんなことでは先が無い。
セナ。
自分の弟も同然の少年のことを思う。
彼の名を呟くだけでまもりの心は少しずつ平静を取り戻していく。
『セナ……震えているかな。
 泣いているかな……。
 大丈夫だよ。私がきっと元の世界に戻してあげるからね』
その時、フッと月明かりに影が射した。
何かと思ってまもりが顔を上げるとそこには、………サガが立っていた。

「きゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ほとばしる絶叫。
まもりは尻餅をつき、そのまま後ろへと身体を引きずる。
サガは頭部を鮮血に染め、全身を時々痙攣させながらも一歩、また一歩とまもりに近づいてきた。
「死ねない……私はまだ死ねない……
 アテナの聖闘士として……まだ成すべきことがあるのだ」
全身を麻痺毒に侵されているのに、頭蓋を砕かれているのに
彼の信念は自分の身体に再び黄泉の眠りにつくことを許さなかった。
だがその瞳にもはや理性の色はなく、虚ろにまもりの姿を写すだけである。
「ひぃぃっ、いや、いや……」
殺される。
まもりは後ずさりながらそう確信する。
今更ナイフで刺したところで効果があるとはとても信じられない。
素手で殴りかかるなんてことは尚更考えられない。
抵抗する術は無い。
「駄目! そんなの!」
顔を恐怖で引きつらせながら、彼女は必死で生きる術を模索する。
その時、視界にサガのデイパックが映った。
咄嗟にデイパックを拾い上げ、中身を探る。
そして間もなくホイポイカプセルを探し当て、すぐさまスイッチを押して開放した。
中から現れたのは、奇妙な装飾が施された中折れ式の銃だった。
まもりは考える前に銃口をすぐ目の前にいるサガに向けて引鉄を引いた。


103 :月下の誓い 4/4 ◆zOP8kJd6Ys :2005/07/02(土) 01:28:53 ID:rlZx+THM

ドォォオオン

その銃は轟音を響かせて光を放ち、その光はサガに直撃すると同時に爆炎を生み出した。
爆風に煽られてまもりは吹っ飛ばされる。
しかし持ち前の運動神経で咄嗟に受身を取り、被害は少々の擦り傷のみで済んだ。
身を起こして前を見るとそこでサガは炎に包まれていた。
肉を焦がす臭いが漂ってくる。
サガは朱に包まれながら空を見上げた。
すがるように両手を天へと伸ばす。
「……アテ…ナ…よ……無念、です……」
その言葉を最期にサガの意志は永遠に消え去った。
炎はそれから程なくして消え、後には人の形をした炭が横たわるだけだった。
まもりはその一部始終を呆然と見つめ、しばらくしてようやく全てが終わったことを悟る。
途端に吐き気が込み上げ、まもりはその場にバシャバシャと胃液を吐瀉した。
「ぅくぁ、ハァッハァッ……」
立ち上がることも出来ず四つん這いになって河の淵まで移動し、流水で口を拭う。
そしてその場に座り込み、まもりは空を見上げた。
真円を描く月が白く輝いている。

「セナ……私頑張るからね……
 きっとセナを家に帰してあげるからね……」

決意を夜の風に乗せて、まもりは立ち上がる。
重い身体を引き摺り、彼女は後戻りの出来ぬ道を踏み出した。


【京都府 河原/深夜→黎明】

【姉崎まもり@アイシールド21】
 [状態]:精神的、肉体的に疲労
 [装備]:魔弾銃@ダイの大冒険 空の魔弾×1
      メラミ×1 ヒャダルコ×2 イオラ×2 キアリー×2 ベホイミ×2 
 [道具]:後期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター
     支給品一式、食料二人分
 [思考]:セナ以外の全員を殺害し、最期に自害

【サガ 死亡確認】
【残り121人】

104 :飛ぶ影:2005/07/02(土) 02:07:14 ID:zFwSiDo0
木々を蹴り闇を飛ぶ影が一つ。

その名を飛影。
炎の力を扱う邪眼士、そして本物の妖怪である。

闇を飛びながら飛影は笑う。
このゲームは飛影には都合が良かった。
丁度馴れ合いには飽き飽きしてた頃だ。
このゲームは幽助と決着を付けるいい機会だろう。
それにこのゲームには、自分の知らない未知の強さを持った奴等がゴロゴロといるようだ。
そんな奴等と戦うのもいい。
飛影は獲物を捜し求めていた。

木の上に立ち止まり飛影は鉢巻を外す。
そして両目を瞑り、第三の目を解放した。

視界の狭い森の中、その上見通しの悪い深夜だが。
そんなことはその目には一切関係が無い。
一瞬で辺り一面の景色が飛影の目に写りこんできた。

そして、その目が一人の男を発見した。

この男、間違いなく強い。
抜き身の刀のような気が、邪眼を通して伝わってくる。
腕試しにはもってこいだろう。

標的を決定し、飛影は男のほうに向かい闇を駆けた。

素早い動きで一瞬で森を抜けた飛影は、上空から降り立ち男前に立つ。
男は全く動じた様子も見せず、飛影を見つめ口を開いた。
「よう、チビ助。この俺になんか用かい?」
朗らかに笑う鉢巻を巻いたその男こそ、男塾一号生筆頭、剣桃太郎その人であった。

 【山形県の山中】

 【剣桃太郎@魁!!男塾】
 [状態]:健康
 [装備]:不明
 [道具]:荷物一式
 [思考]:飛影の様子を見る

 【飛影@幽遊白書】
 [状態]:健康
 [装備]:不明
 [道具]:荷物一式
 [思考]:桃太郎を倒す、幽助と決着を付ける、強いやつと戦う。

105 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/02(土) 02:09:18 ID:zFwSiDo0
>>104
修正

【山形県の山中/深夜→黎明】


106 :漆黒の瞳、歪な瞳、救われない瞳:2005/07/02(土) 04:11:39 ID:BzUkNxic
「どんな時でも俺は勝ーーーつ!!!」
男は森の中で叫んだ。
「勝負を挑んできた者には勿論勝つ!そしてあの黒幕をぶっ倒して勝つ!!……ふふふ完璧だ、完璧すぎる」
細かいことは考えず、取り敢えず何にしろ勝とうと目標に掲げる。
そのヒーローの名は勝利マン。

ガサッ

近くの茂みがわずかに揺れる。
「誰だっ!出てこい!」
勝利マンはいつでも戦闘に入れるように構える。
どんな奴にでも勝つ自信はある。
勝つためなら何をやったって良いのだから。
正義は勝つ。
つまり勝つ即ち其れ正義!!
「降参よ、つまりは貴方の不戦勝で良いわ」
そう言って木の陰から黒い服の女性が両手を上げて出てきた。
手にはバックすらない完璧に無防備な状態だ。
「――わかった」
勝利マンも歴としたヒーローの一人。
この状態で人殺しゲームに乗っていない女性を攻撃する技は持ってはいない。
しかし、非戦闘員を護っていたらこれから襲いかかってくる厄災に勝てなくなるかも知れない。
多少考えた後に勝利マンは決断を下した。
「残念だが、俺は君を常に護ると言うことは出来ない。悪魔で安全な場所まで送るだ……」


107 :漆黒の瞳、歪な瞳、救われない瞳:2005/07/02(土) 04:12:46 ID:BzUkNxic
背中が熱い。

目の前の女性と話している内にどうやら刃物で後ろから切られたようだった。
しかし殺気も気配も全く感じてはいない。
「だ……だれだ……」
振り向けば其処――自分の背中に生えている一本の手。
そしてそれに握られている一降りの剣。
「ば、馬鹿な……この俺が……しかし、まだ死んだわけではない!つまり負けてはいない!!」
叫びながら当たりを見回す勝利マン。
彼の瞳にはまだ勝利の念が燃えていた。
そして視線を目の前に戻したときに、その女の笑みが目に入った。
「ごめんなさいね、でも決して殺した訳じゃないわ」
次第に勝利マンの顔から精気が失われていく。
「私の手伝いをして貰うわよ」
背中に生えた手は消え、どさりと剣が落ちる。
その剣の名前は降魔の剣。
斬った物を魔物に変える霊界の三大秘宝の一つ。
もう勝利マンは彼女――ニコ・ロビンの手下となっていた。
「別に気にする事じゃないわ……これは不意打だから勝負は貴方の勝ちのまま」
そしてまだ暗い夜空を悲しげな目で見つめながら呟いた。
「――私だって、生き延びたいのよ……」
自分を利用価値云々の前に信じてくれ絶対に裏切らない仲間。
小さい頃からお尋ね者の彼女はただそれが欲しかっただけ。
それでいて、強く死なない仲間。
もう疫病神を演ずるのには疲れてしまった。
それが彼女の歪な理由。
そして彼女の夜空のような瞳から零れた涙を見た者は、勝利マンの頭の上で固まっている勝利(かつとし)くん唯一人。


108 :漆黒の瞳、歪な瞳、救われない瞳:2005/07/02(土) 04:13:08 ID:BzUkNxic



 【群馬県/黎明】

 【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
 [状態]:健康
 [装備]:降魔の剣@幽遊白書
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1絶対に裏切らない(妖怪化)仲間を増やす
     2死にたくない

 【勝利マン@とっても!ラッキーマン】
 [状態]:妖怪化
 [装備]:勝利くん
 [道具]:荷物一式 支給武器は不明
 [思考]:妖怪化しロビン絶対

109 :物々交換、そして賭け死合 1/2:2005/07/02(土) 12:44:56 ID:okRwijF8
佐賀県北側海辺の崖をヒソカとパピヨンが歩いていると、突然声をかけられた。
警戒しながら振り向いた二人が見たのは、全身包帯の男と黒い着物を着た眼帯の男。
「よぉ、そこの変なマスクの兄ちゃん。いい物持ってるじゃねぇか、俺にくれよ」
「いきなり何だお前は」
ぶしつけな頼みに眉をひそめたパピヨンは、手に持っていたムラサメブレードを構えた。
ホムンクルスの強靭な肉体とはいえ、病はまだ身体を蝕んでいる。素手での戦いは避けたいところだ。
なのに武器をくれとこの男は言う。ふざけるなとパピヨンは思った。
「見たところ侍か何からしいが、そんな奴にホイホイ刀をやる馬鹿がいると思うか?」
「別に力ずくで奪い取ってやってもいいんだぜ」
張り詰めた空気の心地よさに、更木とヒソカは小さく微笑んだ。
「なかなか美味しそうな男だ? パピヨン、その剣をプレゼントして上げたらどうだい?
 何ならボクがすぐ取り返して上げるよ、力ずくでね◆」
「おうおう、そっちの兄ちゃんいい度胸してるじゃねぇか。気に入ったぜ」
ヒソカは余裕たっぷりの態度ではあったが、静かな殺気が瞳にギラギラとただよっていた。
それに気づいた志々雄は、念のためにと核鉄を取り出す。
これを持っていれば体力が回復するらしい。長時間全力で戦えない自分にとってはありがたい物だ。
そのありがたい物を見たパピヨンの目の色が変わる。
「核鉄……ッ!! LXX、ご先祖様のか!!」
「アン?」
ドブ川が腐ったようなドス黒い瞳で核鉄を見られた志々雄は、ふと説明書に書かれていた事を思い出した。
核鉄は治癒力を向上する他、真の力を発揮する事で強力な武器になるらしい。
武器にする方法が分からないためそのままにしていた志々雄だが、
核鉄を知っているこの蝶々パスクの男は真の力を発揮できる者という事か。
ならば、と志々雄は笑った。
「お前、これが欲しいのか」
「別にくれなくてもいい。どこぞの臆病者のように譲ってくれなどと頼まず、腕ずくでいただくからな」
「何んだとッ!?」
更木は怒気を孕んだ声を投げつけるが、パピヨンは微塵も反応しなかった。
ターゲットは志々雄一人。核鉄さえ手に入ればそれでいいのだから。
刀を狙う更木、核鉄を狙うパピヨン、心躍る戦いを欲するヒソカ。
三者が睨み合う中、志々雄は無防備にパピヨンへ歩み寄った。
「まあそう言うなよ。どうせなら物々交換といこうぜ」
「物々交換?」
その場にいる全員がいぶかしげに志々雄を見つめた。
視線を気にせず志々雄はパピヨンの前まで行き、核鉄を差し出す。
「俺達は刀が欲しい、お前はこの鉄の塊が欲しい、だったら交換すりゃいいじゃねぇか」
「……いいだろう」
互い右手に持った獲物を差し出し、左手で同時に掴み、引き下がる。
志々雄の手にムラサメブレードが、パピヨンの手に核鉄が握られた。
「よかったじゃねぇか志々雄、これで後一本ありゃぁお前とやれるな」
「更木、よかったらこの刀、お前に貸すぜ」
受け取ったばかりのムラサメブレードを、志々雄は更木の足元へ投げた。
魔性の刃は岩石で構築された地面にいとも簡単に突き刺さる。
「いいのか?」
「やりたいんだろ? こっちの男と」

110 :物々交換、そして賭け死合 2/2:2005/07/02(土) 12:45:08 ID:okRwijF8
志々雄は親指をクイッと上げてヒソカを指した。
更木とヒソカは嬉しそうに唇を釣り上げる。
「くくく、ありがてぇ。志々雄とやりあうための準備運動としゃれ込もうか」
「準備運動か? 悪くないね?」
鞄を地面に下ろしたヒソカは、ズイッと前に踏み出した。
「そうだ、どうせなら一つ賭けをしないかい?」
「賭け?」
「君が勝ったらボクの支給品を上げよう、支給品は何かは秘密だけどね?」
「ほぉ……で、お前が勝ったら何をやりゃぁいいんだ?」
「そうだな、別に刀なんて必要無いし……君達の食料でももらおうかな? 彼、意外と大食いらしいんだよね?」
チラリとパピヨンに視線を向けながら言う。ホムンクルスの彼は人間より食事の量が多い。
もっとも――本来ホムンクルスは人間を食べるものなのだが、不完全なホムンクルスであるパピヨンは人喰いの衝動が無い。
それが何を意味するのかは謎である。もしかしたら特に意味など無いのかもしれないが。
「ククク、いいだろう。楽しく戦おうじゃねぇか」

構え合う更木とヒソカを鋭い眼差しで見つめる志々雄。一挙手一投足を見逃すまいと意識を集中していた。
いずれ戦うだろう更木の戦いを見ておきたい、そういう気持ちがあった。
それに更木がヒソカと戦いたいと思っていなくとも、志々雄は交換した刀を更木に渡すつもりだった。
自分は全身大火傷のおかげで発汗作用を失い体温調節ができない。
15分以上全力で戦ったらもう限界だ。
無理すれば限界を迎えても戦う事は可能だろうが、その結果自分の身体がどうなるかは分からない。
ならば戦いは自分以外の誰かに任せるべきだ。
国取りだって、本来は志々雄一人で十分に行えた。
しかし己の身体がそれを許さぬため、十本刀や多くの配下をそろえたのだ。
まあそれはそれとして、今はいずれ決着をつける男の戦い振りをこの目に焼きつけよう。

(見せてみろ更木。お前の剣の腕を)

殺気がほとばしるさなか、パピヨンは考え事をしていた。
核鉄はもう手に入れた、ならばこんな茶番に付き合う必要はない。
しかしヒソカは自分同様主催者打倒を考えている男だし、何よりこのマスクのオシャレを理解でいる奴だ。
もしヒソカが負けた場合、もしくは負けそうになった場合、どう行動したものか。


 【佐賀県 北部海辺の崖/黎明】

 【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1ヒソカが負けた場合の行動を考えながら観戦 2知り合いとの合流、ヒソカと行動

 【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(支給品不明)
 [思考]:1更木と遊ぶ 2知り合いとの合流、パピヨンと行動

 【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:健康
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1ヒソカと遊ぶ 2志々雄と決着を付ける 3強いヤツと戦う

 【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1更木の戦いを見る 2刀を探す 3剣八と決着を付ける 4全員殺し生き残る

111 :物々交換、そして賭け死合 1/2:2005/07/02(土) 12:49:06 ID:okRwijF8
ヒソカのセリフのスペード、ダイヤ、ハートが?になっちゃってるんで修正。2chじゃ使えないのか……残念。

佐賀県北側海辺の崖をヒソカとパピヨンが歩いていると、突然声をかけられた。
警戒しながら振り向いた二人が見たのは、全身包帯の男と黒い着物を着た眼帯の男。
「よぉ、そこの変なマスクの兄ちゃん。いい物持ってるじゃねぇか、俺にくれよ」
「いきなり何だお前は」
ぶしつけな頼みに眉をひそめたパピヨンは、手に持っていたムラサメブレードを構えた。
ホムンクルスの強靭な肉体とはいえ、病はまだ身体を蝕んでいる。素手での戦いは避けたいところだ。
なのに武器をくれとこの男は言う。ふざけるなとパピヨンは思った。
「見たところ侍か何からしいが、そんな奴にホイホイ刀をやる馬鹿がいると思うか?」
「別に力ずくで奪い取ってやってもいいんだぜ」
張り詰めた空気の心地よさに、更木とヒソカは小さく微笑んだ。
「なかなか美味しそうな男だ。パピヨン、その剣をプレゼントして上げたらどうだい?
 何ならボクがすぐ取り返して上げるよ、力ずくでね」
「おうおう、そっちの兄ちゃんいい度胸してるじゃねぇか。気に入ったぜ」
ヒソカは余裕たっぷりの態度ではあったが、静かな殺気が瞳にギラギラとただよっていた。
それに気づいた志々雄は、念のためにと核鉄を取り出す。
これを持っていれば体力が回復するらしい。長時間全力で戦えない自分にとってはありがたい物だ。
そのありがたい物を見たパピヨンの目の色が変わる。
「核鉄……ッ!! LXX、ご先祖様のか!!」
「アン?」
ドブ川が腐ったようなドス黒い瞳で核鉄を見られた志々雄は、ふと説明書に書かれていた事を思い出した。
核鉄は治癒力を向上する他、真の力を発揮する事で強力な武器になるらしい。
武器にする方法が分からないためそのままにしていた志々雄だが、
核鉄を知っているこの蝶々パスクの男は真の力を発揮できる者という事か。
ならば、と志々雄は笑った。
「お前、これが欲しいのか」
「別にくれなくてもいい。どこぞの臆病者のように譲ってくれなどと頼まず、腕ずくでいただくからな」
「何んだとッ!?」
更木は怒気を孕んだ声を投げつけるが、パピヨンは微塵も反応しなかった。
ターゲットは志々雄一人。核鉄さえ手に入ればそれでいいのだから。
刀を狙う更木、核鉄を狙うパピヨン、心躍る戦いを欲するヒソカ。
三者が睨み合う中、志々雄は無防備にパピヨンへ歩み寄った。
「まあそう言うなよ。どうせなら物々交換といこうぜ」
「物々交換?」
その場にいる全員がいぶかしげに志々雄を見つめた。
視線を気にせず志々雄はパピヨンの前まで行き、核鉄を差し出す。
「俺達は刀が欲しい、お前はこの鉄の塊が欲しい、だったら交換すりゃいいじゃねぇか」
「……いいだろう」
互い右手に持った獲物を差し出し、左手で同時に掴み、引き下がる。
志々雄の手にムラサメブレードが、パピヨンの手に核鉄が握られた。
「よかったじゃねぇか志々雄、これで後一本ありゃぁお前とやれるな」
「更木、よかったらこの刀、お前に貸すぜ」
受け取ったばかりのムラサメブレードを、志々雄は更木の足元へ投げた。
魔性の刃は岩石で構築された地面にいとも簡単に突き刺さる。
「いいのか?」
「やりたいんだろ? こっちの男と」

112 :物々交換、そして賭け死合 2/2:2005/07/02(土) 12:49:43 ID:okRwijF8
志々雄は親指をクイッと上げてヒソカを指した。
更木とヒソカは嬉しそうに唇を釣り上げる。
「くくく、ありがてぇ。志々雄とやりあうための準備運動としゃれ込もうか」
「準備運動か、悪くないね」
鞄を地面に下ろしたヒソカは、ズイッと前に踏み出した。
「そうだ、どうせなら一つ賭けをしないかい?」
「賭け?」
「君が勝ったらボクの支給品を上げよう、支給品は何かは秘密だけどね」
「ほぉ……で、お前が勝ったら何をやりゃぁいいんだ?」
「そうだな、別に刀なんて必要無いし……君達の食料でももらおうかな。彼、意外と大食いらしいんだよね」
チラリとパピヨンに視線を向けながら言う。ホムンクルスの彼は人間より食事の量が多い。
もっとも――本来ホムンクルスは人間を食べるものなのだが、不完全なホムンクルスであるパピヨンは人喰いの衝動が無い。
それが何を意味するのかは謎である。もしかしたら特に意味など無いのかもしれないが。
「ククク、いいだろう。楽しく戦おうじゃねぇか」

構え合う更木とヒソカを鋭い眼差しで見つめる志々雄。一挙手一投足を見逃すまいと意識を集中していた。
いずれ戦うだろう更木の戦いを見ておきたい、そういう気持ちがあった。
それに更木がヒソカと戦いたいと思っていなくとも、志々雄は交換した刀を更木に渡すつもりだった。
自分は全身大火傷のおかげで発汗作用を失い体温調節ができない。
15分以上全力で戦ったらもう限界だ。
無理すれば限界を迎えても戦う事は可能だろうが、その結果自分の身体がどうなるかは分からない。
ならば戦いは自分以外の誰かに任せるべきだ。
国取りだって、本来は志々雄一人で十分に行えた。
しかし己の身体がそれを許さぬため、十本刀や多くの配下をそろえたのだ。
まあそれはそれとして、今はいずれ決着をつける男の戦い振りをこの目に焼きつけよう。

(見せてみろ更木。お前の剣の腕を)

殺気がほとばしるさなか、パピヨンは考え事をしていた。
核鉄はもう手に入れた、ならばこんな茶番に付き合う必要はない。
しかしヒソカは自分同様主催者打倒を考えている男だし、何よりこのマスクのオシャレを理解でいる奴だ。
もしヒソカが負けた場合、もしくは負けそうになった場合、どう行動したものか。


 【佐賀県 北部海辺の崖/黎明】

 【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1ヒソカが負けた場合の行動を考えながら観戦 2知り合いとの合流、ヒソカと行動

 【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(支給品不明)
 [思考]:1更木と遊ぶ 2知り合いとの合流、パピヨンと行動

 【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:健康
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1ヒソカと遊ぶ 2志々雄と決着を付ける 3強いヤツと戦う

 【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1更木の戦いを見る 2刀を探す 3剣八と決着を付ける 4全員殺し生き残る

113 :天に立つ男 地に倒れる男:2005/07/02(土) 14:02:14 ID:l3Y/YKPS
「私の名は藍染惣右介。君の名前を教えてくれないか?」
「…キルア」
「キルア君か、良い名だ。」
ここは岡山県。石崎了を殺害し、山に入った藍染惣右介はゴンを探すために近場の都市に向かっていた
キルアと遭遇した。
「私はこのゲームに乗る気なんてさらさら無い。その気になれば今すぐにでも脱出できる。
 だが…このゲームの支給品というものは実に興味深い。」
「…!!!あんた、この世界から脱出できるのか?」
キルアは藍染の言葉に耳を疑う。ゲームから脱出できる。そんなことが出来るなんて。
それが奴の支給品の力なのか、奴が持っている能力なのかは分からない。
しかし、奴は確実にその術を持っている。奴の自信に溢れたその顔を見ればすぐに理解できる。
だが…
「ああ、そうだ。私にとって、この隔離された世界は小さな柵で囲まれたようなものだ。いつでも乗り越えられる。」
藍染は話を続ける。
「だが、今の私はそんなことに興味は無い。今の私の関心を引くのはこの支給品という存在だけだ。
 私に支給されたものは、ただの本なのだが、これが実に興味深い。」
彼がデイバックから取り出した書物…キルアには分からないが、それはアバンの書と呼ばれる物だった。
「我々が全く異なる世界から集められたのは服装を見れば容易に想像がつくが、集められたのは人だけじゃないらしい」
このゲームには様々な物が支給されている。一般の民家にあるような極普通のものや、専門家じゃなければ扱いの難しい
科学薬品、各種武器防具、その世界にしか存在しない摩訶不思議な物まで。
「この書物はどうやら私の知らない異世界の物らしくてね。実に興味深いことばかり書いてある。」
アバンの書。それは異世界の勇者が己の全ての知識を書き連ねたこの世に一冊しか存在しない貴重な物。
この書物を読破すればアバンの世界、つまりはダイのいた世界のことはほとんど理解できるだろう。
「その中に書いてあった、二つの項目。神の涙、破邪の洞窟」
神の涙…所有者の願いを叶えるという伝説のアイテム。
破邪の洞窟…最深部に近づくにつれて、より強大な力を得ることが出来る洞窟
この二つを有効に使えば…「虚の死神化」はおろか、私が天に立つことが可能!
「まぁ君言っても無駄なのだがね。要約するとこの書物があった世界に行きたいわけなのだよ
 しかし、私はこの世界からは脱出できても、あちらの世界に行き来は出来ない。
 …そこでこの書物に書かれているキメラの翼、というものを探しているのだよ」
キメラの翼…本人が望むところに行ける魔法のアイテム。藍染はこれを使い、脱出したあとに
ダイの世界に向かおうとしているのだ。
「さて、本題に入ろうか。君の持っている支給品をこちらに渡してもらいたい。
 たとえ私が望んでいる品じゃなくとも、この書物のように素晴らしいアイテムである可能性があるからな」
「…」
キルアにはほとんどの話が聞こえていなかった。いや、聞いていなかったのだ。
彼の頭は愛染が言った、脱出、という言葉だけだった。
脱出できる方法があるんだ…俺とゴンはこのゲームから脱出できる…!
だが…あいつは決して友好的じゃない。…だとすれば方法は一つ。
あいつを倒し、拷問をしかけ、無理矢理にでも脱出の方法を吐かせる!!!
そう考えた瞬間、キルアは藍染の前から姿を消した。否、高速でいどうしたのだ
「…ほう」
藍染は感心した表情だ。予想以上の身体能力だ。これは思ったより手を焼きそうだ。
だが、試すにはちょうど良い。…藍染はどす黒く笑った。
「奴の背後を取れば…!!!」
キルアは手にオーラを溜め、電気に変えた。スタンガンのように奴に押し付け、一気に戦闘能力を奪い、
そのまま拷問へ移行しようとしたのだ。
しかし、それは不可能だった。キルアが目にも留まらぬ速さで藍染の横を曲線状に通過しようとしたとき
奴から衝撃はが飛んできた。やばい、早い!避けなければ!
キルアは瞬時にとまり、後方に跳び、なんとか避けれた。

114 :天に立つ男 地に倒れる男:2005/07/02(土) 14:02:58 ID:l3Y/YKPS
「あれがあいつの技か。剣技を使うなら接近戦は避けたほうが良いな…」
キルアは冷静に判断する。剣を使うなら離れて戦えばなんとかなるはず。
そこらへんの小石でもキルアがオーラを込めて連続して投げれば、そのうちダメージを与えられる。
だが、キルアは一つだけ間違っていた。
「(これが海波斬か…中々のスピード、射程距離は中距離程度…使えるな。)」
藍染が使用した技、それはアバンの書に載っていたアバン流刀殺法…海波斬。
海波斬は猛スピードの剣圧で炎や敵の呪文を切り裂く剣技。
藍染は本に書かれてあるコツを読んだだけで海波斬を繰り出したのだ。
そして彼が持つ武器…海賊狩りロロノア・ゾロが愛用している「雪走り」
業物と呼ばれる優れた和刀で、軽く、切るもの全てがなめらかに切れてしまう。
彼ら死神と呼ばれる物たちが使っていた刀と体系が同じであることから藍染にとっては
とても喜ばしい支給品だった。
「(次は…この呪文を使ってみるか)」
キルアは素早く小石を拾うと、近くの林に身を隠していた。
藍染が近づいてくる…今だ!キルアはオーラを込め、連続で石を投げつけると瞬時に場所を移動する。
居場所を悟られては駄目だ。奴は剣のほかにも力を持っているかもしれない。この闇夜の森林に身を隠せば見つかることも無い。
一番のベストは見つかることなく勝つこと…!
「メラ」
愛染は超高速で近づいてくる小石群に向かって唱える。…が、発動しない。
失敗したことを悟ると藍染は瞬時に頭を切り替え、自らの技を繰り出す。
「破道の三十一 赤火砲」
本来、破道と呼ばれる呪文は詠唱が必要なのだが、上級の力を持つものなら詠唱破棄という呪文の文句を
読み上げないで破道を行うことが出来る。その分威力は減少してしまうが。
藍染の指先から炎が繰り出される。あの石崎を殺害した炎だ。人一人を燃やし尽くすほどの威力だ。
が、キルアのオーラが込められた小石を焼き尽くすにはいささか力が足りなかったようだ。
小石群は炎を突き抜けると藍染に向かって突き進んだ。藍染は刀でいくつかを切り捨てるが、一発だけ被弾する。
「ぐ…やるな。この私に血を怪我を負わせるとは中々だ。」
愛染はわき腹を負傷した。おそらくわき腹の一本、骨にひびが入っただろう。
「…馬鹿な、なんであんな軽症で済むんだ。俺はオーラを込めて投げたんだぞ…それに奴は念でガードもしていない」
「キルア君、君は気づいていないようだが、この世界、強い力を持つものは多少制限されるみたいなのだよ」
キルアは舌打ちをする。そうだったのか。力が制限されているのならそれを数で補わないといけないのに…くそ!
「(しかし剣技を取得できても、呪文体系の違う魔法を扱うのは今しばらくかかりそうだな…一番扱いやすいメラでさえこの様か)」
藍染は無表情でそう考える。急ぐことはない、時間はある。もともと違う世界のものだ。そう簡単にはいくまい。
この書物の世界の呪文を取得すれば、より天に近づくであろう。あせるな。確実に天は近づいてきている。
「キルア君、君と戦えて色々よかった。だが、もう終わりにしよう。」
「(なんだと…奴に居場所はばれていない。…どうするつもりだ!?)」
藍染は袴の袖から黒い球体を取り出した。刀をしまうと両手でそれを持ち、力を込め始めた。
「(一番試したかったのはこれなのだよ…キルア君、存分に味わってくれたまえ)」
…あいつは何をしているんだ?黒い球体のようなものを持って、何かをしているようだが…。
おそらく広範囲に攻撃が可能な武器だろう。ならば心配ない。この闇夜の森林にいるかぎり
盾となる木々はたくさんある。それに超人的な足を持つ俺ならなんなく切り抜けれるはずだ。
いざとなれば「硬」を木にして強靭な盾にすればいい。
「(これは持っているだけで力を消費してしまう強力な武器…今の私でどれほど使いこなせるか)」
藍染が持っている球体が分裂を始めた。異様な光景である。黒い球体はいまや両手で覆いきれないほどの大きさになっており、
その周りにはコポコポと音を立てながら小さく黒い球体が生成され始めている。
「あの球で攻撃するつもりか…もしかしたら自動追尾かもしれないな…ここは足で避けるか」
キルアは音を立てないようにして歩き出す。…が、足取りが重い。何故だ。疲労は全く無い。
それなのに何故だ…体が重い。まさかもう攻撃が始まっているのか!?

115 :天に立つ男 地に倒れる男:2005/07/02(土) 14:05:12 ID:l3Y/YKPS
「キルア君…喰らい給え。これこそがスーパー宝貝と呼ばれる『盤古幡』の力を!!!」
…!!!重い、なんだこの重さは!…何かが圧し掛かれているような重さではな…自分自身が…重い!
駄目だ、このままでは自分自身の体重によって押し潰される。なんとかしなければ…!
「今、君にかかっているのは普段の15倍の重力だ。歩くだけで骨が砕けかねるぞ」
オ、オーラを全身の骨にまわす…そうすれば体を動かせるはず…!
キルアは全身全霊でオーラを練り、全身の骨に行き渡らせる。そして歩き出した。
「ほう…君の能力も実に興味を引かれる…この世界は私にとって宝の山だよ」
もう少しだ…もう少しであいつを攻撃できる距離に…
キルアは残ったオーラで電気を練っていた。…一撃で奴を失神させる。そうすればこの重力も収まる!
「だが、キルア君、私もこれを使用するのに力を使うのでね…一気に決めさせてもらうよ」
…重力50倍!
…ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
オーラで補強した骨ですら耐え切れない。そう悟ったキルアは地面に倒れた。立っているよりか体の負担は軽くなるはず。
そう思って地面に前のめりに倒れたのだが…一向に変わらない。…この武器は全身に、平等に重力を与えるのか。
「恐ろしい武器、いや、宝貝だ…。使用者には一切重力の刃はかからず、対象とその周辺のみ重力を変化させるとは」
(…ゴン、ごめん…俺もう駄目かもしれない…友達のお前を守れなくてごめんな…)
キルアはゴンとの思い出を走馬灯にて思い出していた。いつも頑固で一度決めたらずっと突っ走ってきたゴン。
あいつはこのゲームでも同じだろう…俺がいなかったらどうなるんだよあいつ…。
(駄目だ…あいつじゃこのゲームで生き残れない…俺はここで死ぬわけにはいかない…!!!)
キルアは必死に考える。50倍もの重力を加えられた頭で必死に。考えるだけで酷く頭痛がする。
細胞一つ一つにも50倍もの重力が加えられているのだろうか、とくだらないことを考えながら。
「た、助けてくれ…」
キルアは命乞いをした。もちろんそれは本心からの命乞いではない。しかし、プライドの高いキルアにとってそれは
屈辱そのものである。…彼は唯一の友達、ゴンを守るためにプライドさえ捨てた。
「あんたの命令に従う…俺の力の秘密も教える…俺はこのゲームから脱出したいだけなんだ。
 あんたからその方法を聞き出せれば、脱出できると思ったんだ…頼む」
50倍もの重力がかかっている今、言葉を口にすることすら命がけである。
そんな中で発したこの言葉。キルアはこんな状況でさえ冷静に分析していた。
あいつがあの本を手にし、色々語ったことからあいつは色々な能力を手にしたいらしいこと。
あいつはこのゲームから脱出する術を持っている。俺とゴンがこの世界から脱出するにはあいつの力が必要不可欠。
まずはあいつが欲しがっている能力をちらつかせ、その後俺が脱出するためにはあいつの力が絶対必要ということを
説明し、明らかにすることであいつ俺より絶対上位にいることを再認識させる。
…俺が逆らえないことを知れば、奴は能力の秘密を知るために俺を利用するだろう。
「…良いだろう」
…重力が通常に戻った。助かった。だが、同時にそれは藍染の軍門に下ったことを意味する。
「キルア君、まず君に聞きたいのは、君の支給品、それとこの名簿の中から君と能力体系が同じものを教えなさい」
「俺の支給品はただのサッカーボールだよ…この名簿で俺と同じ能力を使えるのは、ヒソカとクロロだけだ」
ゴンの名は出さなかった。出せば必ずゴンも狙うだろう。それだけは防がなければならない。
キルア、彼の目的はゴンを守ることなのだから。
「(今に見ていろよおっさん…隙を見つけて必ず締め上げて吐かせてやる…脱出の方法を!)」

キルアは知らない…この岡山には藍染を追ってきている星矢、脱出の方法を探している太公望と富樫がいることを。


116 :天に立つ男 地に倒れる男:2005/07/02(土) 14:06:12 ID:l3Y/YKPS
【岡山県北西/深夜】
【藍染惣右介@BLEACH】
 [状態]:わき腹負傷。骨一本にひび
 [装備]:刀「雪走り」 アバンの書
 [道具]:荷物一式(食料三人分)スーパー宝貝「盤古幡」
 [思考]:出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害
     特にキメラの翼を求めている。

【岡山県北西/深夜】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:重症。戦闘は可能
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 サッカーボール
 [思考]:藍染の手下にはなったが、従うつもりは毛頭無い。
     隙を見つけ、拷問にかけるつもりでいる。
     また、脱出の術を持っている者、探している者と出会えば
     そちらに寝返る可能性が高い。

117 :おしゃぶり:2005/07/02(土) 15:18:20 ID:BzUkNxic
「こいつはまた奇妙なことに巻き込まれたのか……」
がっくりと肩を落とす長鼻の男海賊ウソップ。
人の気配が無いところにまで逃げてきたは良いが其処から先は思い浮かばない。
今までも口先と嘘で相手を騙し騙し倒してきたが、この島にはルフィ並に強い奴がごろごろしていた。
「俺には無理だろうなぁやっぱり」
見たところ一般人も巻き込まれていて、許せないという怒りの感情は湧いてきているのだがどうしても保身の案しか思い浮かばない。
「取り敢えず、アイテムを確認して行動を決めるか」
今まで色んな物を分解して改造してきた。
その物の特徴を100%理解し使いこなすのが彼の強みだった。

118 :おしゃぶり:2005/07/02(土) 15:18:48 ID:BzUkNxic
ウソップはカプセルを投げた。
「――紙切れか?」
出てきたのは三枚のカードと説明書。
仕組みは解らないがどうやらカードをアイテムにして利用しろって事らしい。
「まぁアイテム3つ配られてと考えりゃ、大当たりな方か……だが信じて良いのかこれ?」
カードの中には『死者への往復葉書』とか書かれている物も存在した。
雲の上の国とかは見てきたが流石に死者とやりとりできる手紙なんて聞いたこと無い。
だが雲の上の国だって最初は信じられない存在だった事は確か。
って事はもしかしたら自分が知らなかっただけで、この広い世界にはそんなアイテムもあるのかも知れない。
「……縁起でもねぇ」
仲間が死んだ時を想像したが慌ててそれを否定する。
そのカードは早々とポケットにしまい、次のカードと説明書を見比べた。
「こ、これは――これからの行動は決まった」
カードと説明書を握りしめ彼は立ち上がった。
「ゲインッ!!」
説明書に書かれてある言葉を唱えそのカードをアイテムに戻す。
そしてそのアイテムを身につけ残りはカプセルに仕舞うと駆けだした。
何処に向かうかはこのアイテム次第。
アイテムに導かれた方向に足を向ける。


119 :おしゃぶり:2005/07/02(土) 15:19:10 ID:BzUkNxic
そして足が止まったのは小さな洞窟の入り口。
ごくりと唾を飲み込みその洞窟に足を踏み入れていく。
(人の気配がする……って事はこのアイテムは信用して良いのか?)
ポケットに入れたアイテムを緊張と疲れで汗にまみれた手で握りしめる。
これで最初に危ない奴が出てきたらそれで終わり。
ろくな武器もないままここでリタイアする羽目になる。
だが、進まないと話しも進まない。
ウソップは再びアイテムを握りしめると更に一歩踏み出した。
手にしたアイテムは『賢者のアクアマリン』。
説明書には『所有している者は、一生を通して付き合えることが出来る、知性豊かな友人を何人も得るだろう。』と書いてあった。


「俺は、数千の手下を持つ海賊!キャプテンウソップ様だ!!」
構える武器もなくただ胸を張ってそう叫ぶ。
その先にはおしゃぶりをくわえた緑色の魔法使いが驚きながらこちらを見ていた。
彼の名は魔法使いポップ。
この島の中でもトップレベルの知性と勇気を備え持つ頼りになる人物だ。
だがウソップがそんなことを直ぐに見分けられる筈もなく、ただただ目線はおしゃぶりの方に行っていた。


120 :おしゃぶり:2005/07/02(土) 15:19:34 ID:BzUkNxic
【鹿児島県/早朝】

【ウソップ@ONE PIECE】
 [状態]:普通
 [装備]:賢者のアクアマリン@HUNTER×HUNTER
 [道具]:荷物一式 死者への往復葉書ともう一枚のグリードアイランドのカード
 [思考]:アイテムを信じて心強い仲間を捜す

【ポップ@ダイの大冒険】
 [状態]:普通
 [装備]:魔封環@幽遊白書
 [道具]:荷物一式
 [思考]:不明


121 : ◆VRxUa0jeM. :2005/07/02(土) 16:00:29 ID:52MLX0ha
 気づいた時、彼の身に纏っているものは全てなかった。
 ラッキーマンとの戦いの後、長年の傷も癒え、もう忌み嫌った身体ではなくなったが、やはり格好が気になる。
「私に与えられた支給品はこれか……。この状況ではありがたいな」
 何か着るものが欲しい、と早速荷物の中からカプセルを取り出し支給品を見る。
 それはかつて彼がヒーロー神から奪い去った事のあるもの。
 読心マシーンだった。
 これがあれば、ゲームに乗ったものを直ぐに判別する事ができる。
「ううむ……。しかしこの姿ではあまり人に会いたくない気が……っ!?」

―――誰かいるな。

 何者かの気配を察知したのと心の声が聞こえてくるのが重なる。
「誰だ!?」
 気配と声を感じる方へと世直しマンは振り向く。
 その先には……
「バレちまったか。まぁ、コソコソやるのは俺らしくねぇ」
 二本の角を持った屈強な超人、バッファローマンがいた。



「ボボンチュー!!!!!!!!!!」
 威声と共に繰り出される目にもとまらぬ殴打。
 常人から見れば無数に手が増えたかのような連撃。
「子供だましだな」
 だがそれすらもこの目の前の怪物には通用しない。
 全て片手一本で防がれると、デコピン一発で弾き飛ばされた。

122 : ◆VRxUa0jeM. :2005/07/02(土) 16:01:01 ID:52MLX0ha
 その前、森を彷徨っていたボンチューにとあるものが目に入った。
「こいつは……」
 左腕は千切れ、無残にも頭を潰された青年の死体。
 ソレは、このゲームを理解させるに十分過ぎるもの。
「ほう、追ってきて見れば既に死んでいたか。
 そして新しいザコか」
「!?」
(俺が気配を感じ取れなかった!?)
 突如、湧き上がる圧倒的で邪悪な殺意の塊。
 冷や汗がでるのが自分でも解る。
 ボンチューの本能が告げる。
 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。
「殺す前に聞いておくが、変なハート型の顔をしたやつを見なかったか?」
 足がじりっと後退するのを踏みとどまる。

 ふざけるな。負けるな。俺はもう絶対に負けないと誓ったんだ!

「さぁしらねぇな。知っててもてめぇなんかに教えるかよ!」
「いい度胸だ。後悔させてやろう」 


 そして時間は現在に戻る。
「がはぁっ!!」
 吹き飛ばされたボンチューが後方の木に叩きつけられる。
「何度やっても無駄だ」
 蟻を弄ぶかのようにピッコロ大魔王はボンチューで遊んでいる。
 貴様の命などいつでも消す事ができると。
 幾度となく、ボンチューが持てる力を振り絞り突撃をするが、目の前の怪物には通用しない。
(諦めてたまるか!)
 闘志は不屈なりも身体には蓄積されたダメージ。
(立て、立ってくれ!)
 必死に立とうとするも体が思うように動かない。

123 : ◆VRxUa0jeM. :2005/07/02(土) 16:01:58 ID:52MLX0ha
 必死に立とうとするも体が思うように動かない。
「最後に聞いておこう。先ほどいったやつを知らないか?」
 ゆっくりとピッコロ大魔王が近づいてくる。
 彼の腕の筋肉が膨れ上がり、手に光が灯り始める。
 それでも、ボンチューは信念を曲げなかった。
 嘘でもいいから言えば、少しは延命できるかもしれない。
 だがどんな事があろうともこんなヤツの言いなりになる彼ではない。
「言っただろ? しらねぇってよ……」
「では、さらばだ」
(たけし、ゴン蔵……後を頼む!)
 ピッコロの手がボンチューに向かって振られると閃光が走り、爆発が起きる。
 必殺の爆力魔波だ。


「しかし、助かったぞ。バッファローマン、お前の支給品がまさか私の鎧だったとはな」
「いやなに気にするな。俺には無用の長物だからな」
 読心マシーンのおかげでバッファローマンにゲームに乗る気がないのを読み取った世直しマン。
 直ぐさま、彼に自分も戦う意志がないのを伝えた。
「あの野郎どもをぶったおすために強いパートナーが欲しかった所だ。
 その点、世直しマンは合格だ」
 ただ素直に信じ、認めたバッファローマンではない。
 見るとバッファローマンの頬には一発の拳の跡がついていた。
 そう彼等は殴り合って互いを認め合ったのだ。
「さて、これからどうする? いきなりヤツラを倒しに行くわけにもいくまい」
「そうだな。俺は小難しいことは解らないが、まずはこの首輪を解除しねぇとな」
「首輪を解除か……」
 あいつならどうするだろう? ラッキーマン、彼の持つ運ならきっと首輪も解除しているのではないか?

124 : ◆VRxUa0jeM. :2005/07/02(土) 16:02:51 ID:52MLX0ha
「私の知り合いに一人思い当たるのがいる」
「お、本当か? そいつは有り難いな」
「そちらで探すべき仲間はいるか?」
 返されたバッファローマンも考える。
 キン肉マン、あいつの火事場のクソ力は邪悪な神すらもノックアウトしたものだ。
 戦力としてはこれほど心強い仲間はいない。
 ラーメンマン、かつてモンゴルマンとして共にタッグを組んだ仲間。
 冷静な彼の持つ戦術と知識は、きっと役に立つ。
 そしてウォーズマン。
 しかし、首輪の解除やハーデス達の場所行く方法、脱出方法となると分野が違う。
 ここは世直しマンの仲間を優先するべきだろう。
「いや、心強い仲間はいるんだが、首輪の解除と脱出を優先すべきだな。
 まずはその世直しマンの知り合いを探そう」
「解った……。そいつの名前はラッキーマンと言うのだが……」
 ドーン!! と大気が揺れるような爆発音が聞こえる。
「この音は!」
「戦闘か? 行ってみよう」
 こちらには読心マシーンがある。
 相手がゲームに乗ってるものか、乗ってないものか調べるには打ってつけだ。
 そしてどちらとも腕に自信はある。
 1000万パワー、今は制限されてるとはいえ本来は光速で動けるバッファローマン。
 此方も制限されてるとはいえ本来の全力世直し波は惑星すらも砕き、神すら一度は倒した世直しマン。
 彼等は爆発音のした方へと向かっていった。

「ゴミクズの癖に煩わせおって……。
 しかし大分威力が落ちているな……」
 本来なら都市ごと破壊する広範囲の爆力魔波も目の前程度の威力に落ちている。
「まぁ、いい次のザコを探すか……」

125 : ◆VRxUa0jeM. :2005/07/02(土) 16:03:34 ID:52MLX0ha
 次なる獲物を探すべく身体を翻そうとしたその時だった。
 土煙が晴れて様子が明らかになる。
「ば、ばかなっ!? アレを喰らって無事だというのか!?」
 影だ。
 何かがボンチューを守っている。
「こ、こいつは……」
 死を覚悟したボンチューの前に光り輝く何かがある。
(そうだ。これは俺の支給品―――蟹座(キャンサー)の黄金聖衣(ゴールドクロス)!!!)
「ええい、ならば今度はそれごと吹き飛ばしてくれるわ!!」
 ピッコロが再び爆力魔波を放とうとする。
 まるでそれを再び防ぐかのようにゴールドクロスが光り輝いた。
「おのれ!」
 光が辺りを包み、眩く輝く。
「こ、これは!?」
 分解され、一つ一つのパーツが次々とボンチューの身体に装着されていく。
 目の前の悪を倒そうとするボンチューの心にクロスが反応し、仮の主と認めたのだ。
 かつて星矢が射手座の聖衣を借りた時のように。
「今更、鎧を纏った所でどうとなるわけでもあるまい!」
 間髪いれず、ピッコロは爆力魔波を放つ。
 爆音が再び巻き起こり、噴煙が巻き起こる。

「ボボボンチュー!!!!!!」
「な、なんだと!?」
 ピッコロの後ろからボンチューが掛け声と共に連打を入れ込む。
 先ほどと比べ物にならない程の速度と威力で。
 さしものピッコロもそれを受けて前へ飛ばされる。
(身体が羽のように軽い! 力が全員から湧き上がってくる! いける!)
「ぐぅ!? 今のは驚いたぞ! だが付け焼刃でどうとなることでないのを教えてやろう!」
 ピッコロが全力を出す。目の前の人物がもう遊びで殺す事はできないと判断したのだ。
 彼等の戦いは、今正に本当に始まろうとしていた。

126 : ◆VRxUa0jeM. :2005/07/02(土) 16:03:51 ID:52MLX0ha
【現在地:青森県】

【ピッコロ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:ゲームに乗る。/最終的に主催者を殺す。

【ボンチュー】
[状態]:ダメージ大(クロスのおかげで動ける)
[装備]:蟹座の黄金聖衣
[道具]:デイパック(荷物一式)
[思考]:ピッコロを倒す。ゲームからの脱出。


【世直しマン】
[状態]:健康
[装備]:世直しマンの鎧、読心マシーン
[道具]:支給品以外の荷物一式
[思考]:ラッキーマンを探す。ゲームから脱出しハーデス達を倒す。

【バッファローマン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品以外の荷物一式
[思考]:ラッキーマンを探す。ゲームから脱出しハーデス達を倒す。

127 :天に立つ男 地に倒れる男:2005/07/02(土) 19:53:49 ID:l3Y/YKPS
修正SS
修正箇所は以下の通りです。

113=128
115=129
116=130

128 :天に立つ男 地に倒れる男(修正):2005/07/02(土) 19:56:28 ID:l3Y/YKPS
「私の名は藍染惣右介。君の名前を教えてくれないか?」
「…キルア」
「キルア君か、良い名だ。」
ここは岡山県。石崎了を殺害し、山に入った藍染惣右介はゴンを探すために近場の都市に向かっていた
キルアと遭遇した。
「私はこのゲームに乗る気なんてさらさら無い。その気になれば今すぐにでも脱出できる。
 だが…このゲームの支給品というものは実に興味深い。」
「…!!!あんた、この世界から脱出できるのか?」
キルアは藍染の言葉に耳を疑う。ゲームから脱出できる。そんなことが出来るなんて。
それが奴の支給品の力なのか、奴が持っている能力なのかは分からない。
しかし、奴は確実にその術を持っている。奴の自信に溢れたその顔を見ればすぐに理解できる。
だが…
「ああ、そうだ。私にとって、この隔離された世界は小さな柵で囲まれたようなものだ。いつでも乗り越えられる。」
藍染は話を続ける。
「だが、今の私はそんなことに興味は無い。今の私の関心を引くのはこの支給品という存在だけだ。
 私に支給されたものは、ただの本なのだが、これが実に興味深い。」
彼がデイバックから取り出した書物…キルアには分からないが、それはアバンの書と呼ばれる物だった。
「我々が全く異なる世界から集められたのは服装を見れば容易に想像がつくが、集められたのは人だけじゃないらしい」
このゲームには様々な物が支給されている。一般の民家にあるような極普通のものや、専門家じゃなければ扱いの難しい
科学薬品、各種武器防具、その世界にしか存在しない摩訶不思議な物まで。
「この書物はどうやら私の知らない異世界の物らしくてね。実に興味深いことばかり書いてある。」
アバンの書。それは異世界の勇者が己の全ての知識を書き連ねたこの世に一冊しか存在しない貴重な物。
この書物を読破すればアバンの世界、つまりはダイのいた世界のことはほとんど理解できるだろう。
「その中に書いてあった、二つの項目。神の涙、破邪の洞窟」
神の涙…所有者の願いを叶えるという伝説のアイテム。
破邪の洞窟…最深部に近づくにつれて、より強大な力を得ることが出来る洞窟
この二つを有効に使えば…「虚の死神化」はおろか、私が天に立つことが可能!
「まぁ君言っても無駄なのだがね。要約するとこの書物があった世界に行きたいわけなのだよ
 しかし、私はこの世界からは脱出できても、あちらの世界に行き来は出来ない。
 …そこでこの書物に書かれているキメラの翼、というものを探しているのだよ」
キメラの翼…本人が望むところに行ける魔法のアイテム。藍染はこれを使い、脱出したあとに
ダイの世界に向かおうとしているのだ。
だが、藍染は知らない。このキメラの翼には一つのルールが存在することを。
それは、一度行ったことのある町にしかいけないこと。そのことはアバンの書にはかかれていない。
キメラの翼はダイの世界では極一般的なもので、そのルールは誰もが理解している。
ゆえにアバンの書にはその説明が省かれていたのだろう。
「さて、本題に入ろうか。君の持っている支給品をこちらに渡してもらいたい。
 たとえ私が望んでいる品じゃなくとも、この書物のように素晴らしいアイテムである可能性があるからな」
「…」
キルアにはほとんどの話が聞こえていなかった。
彼の頭は愛染が言った、脱出、という言葉だけだった。
脱出できる方法があるんだ…俺とゴンはこのゲームから脱出できる…!
だが…あいつは決して協力してくれないだろう。雰囲気で分かる。…だとすれば方法は一つ。
あいつを倒し、拷問をしかけ、無理矢理にでも脱出の方法を吐かせる!!!
そう考えた瞬間、キルアは藍染の前から姿を消した。否、高速で移動したのだ
「…ほう」
藍染は感心した表情だ。予想以上の身体能力。これは思ったより手を焼きそうだ。
だが、試すにはちょうど良い。…藍染はどす黒く笑った。
「奴の背後を取れば…!!!」
キルアは手にオーラを溜め、電気に変えた。スタンガンのように奴に押し付け、一気に戦闘能力を奪い、
そのまま拷問へ移行しようとしたのだ。
しかし、それは不可能だった。キルアが目にも留まらぬ速さで藍染の横を曲線状に通過しようとしたとき
奴から衝撃破が飛んできた。やばい、早い!避けなければ!
キルアは瞬時にとまり、後方に跳び、なんとか避けれた。

129 :天に立つ男 地に倒れる男(修正):2005/07/02(土) 19:58:04 ID:l3Y/YKPS
「キルア君…喰らい給え。これこそがスーパー宝貝と呼ばれる『盤古幡』の力だ!!!」
…!!!重い、なんだこの重さは!…何かが圧し掛かれているような重さではな…自分自身が…重い!
駄目だ、このままでは自分自身の体重によって押し潰される。なんとかしなければ…!
「今、君にかかっているのは普段の15倍の重力だ。歩くだけで骨が砕けかねるぞ」
オ、オーラを全身の骨にまわす…そうすれば体を動かせるはず…!
キルアは全身全霊でオーラを練り、全身の骨に行き渡らせる。そして歩き出した。
「ほう…君の能力も実に興味を引かれる…この世界は私にとって宝の山だよ」
もう少しだ…もう少しであいつを攻撃できる距離に…
キルアは残ったオーラで電気を練っていた。…一撃で奴を失神させる。そうすればこの重力も収まる!
「だが、キルア君、私もこれを使用するのに力を使うのでね…一気に決めさせてもらうよ」
…重力50倍!
…ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
オーラで補強した骨ですら耐え切れない。そう悟ったキルアは地面に倒れた。
「恐ろしい宝貝だ…。使用者には一切重力の刃はかからず、対象とその周辺のみ重力を変化させるとは」
(…ゴン、ごめん…俺もう駄目かもしれない…友達のお前を守れなくてごめんな…)
キルアはゴンとの楽しかった日々を思い出していた。いつも頑固で一度決めたら、人の意見も聞かないでずっと突っ走るゴン。
あいつはこのゲームでも同じだろう…俺がいなかったらどうなるんだよあいつ…。
(駄目だ…あいつじゃこのゲームで生き残れない…ゴンを守るために俺はここで死ぬわけにはいかない…!!!)
キルアは必死に考える。50倍もの重力を加えられた頭で必死に。考えるだけで酷く頭痛がする。
細胞一つ一つにも50倍もの重力が加えられているのだろうか、とくだらないことを考えながら。
「た、助けてくれ…」
キルアは命乞いをした。もちろんそれは本心からの命乞いではない。しかし、プライドの高いキルアにとってそれは
屈辱そのものである。…彼は唯一の友達、ゴンを守るためにプライドさえ捨てた。
「あんたの命令に従う…俺の力の秘密も教える…俺はこのゲームから脱出したいだけなんだ。
 あんたからその方法を聞き出せれば、脱出できると思ったんだ…頼む」
50倍もの重力がかかっている今、言葉を口にすることすら命がけである。
そんな中で発したこの言葉。キルアはこんな状況でさえ冷静に分析していた。
あいつがあの本を手にし、異世界のことを語ったことからあいつは自分が知らない、未知の情報、能力を手にしたいらしい。
あいつはこのゲームから脱出する術を持っている。俺とゴンがこの世界から脱出するにはあいつの力が必要不可欠。
まずはあいつが欲しがっている能力をちらつかせ、その後俺が脱出するためにはあいつの力が絶対必要ということを
説明し、明らかにすることであいつは俺より絶対上位にいることを再認識させる。
…俺が逆らえないことを知れば、奴は能力の秘密を知るために俺を利用するだろう。
「…良いだろう」
…重力が通常に戻った。助かった。だが、同時にそれは藍染の軍門に下ったことを意味する。
「キルア君、まず君に聞きたいのは、君の支給品、それとこの名簿の中から君と能力体系が同じものを教えなさい」
「俺の支給品はこの符、爆砕符っていうやつだよ…この名簿で俺と同じ能力を使えるのは、ヒソカとクロロだけだ」
ゴンの名は出さなかった。出せば必ずゴンも狙うだろう。それだけは防がなければならない。
キルア、彼の目的はゴンを守ることなのだから。
「(今に見ていろよおっさん…隙を見つけて必ず締め上げて吐かせてやる…脱出の方法を!)」

キルアは知らない…この岡山には藍染を追ってきている星矢、脱出の方法を探している太公望と富樫がいることを。

130 :天に立つ男 地に倒れる男(修正):2005/07/02(土) 19:58:24 ID:l3Y/YKPS
【岡山県北西/深夜】
【藍染惣右介@BLEACH】
 [状態]:わき腹負傷。骨一本にひび
 [装備]:刀「雪走り」@ONE PIECE アバンの書@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(食料三人分)スーパー宝貝「盤古幡」@封神演技
 [思考]:出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害
     特にキメラの翼を求めている。

【岡山県北西/深夜】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:重症。戦闘は可能
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 爆砕符@NARUTO
 [思考]:藍染の手下にはなったが、従うつもりは毛頭無い。
     隙を見つけ、拷問にかけるつもりでいる。
     また、脱出の術を持っている者、探している者と出会えば
     そちらに寝返る可能性が高い。

131 :坊っちゃん:2005/07/02(土) 20:30:03 ID:Sa1TaBWL
「ぼくは…何をしているんだ?」
ゲーム開始から三十分、中川圭一は未だ自分の置かれた状況を理解できずにいた。
幸いにもここ、山口西部の森に、他の参加者の影は確認されていない。
そして一時間が経過し、木々がざわめき、夜が深まった所で彼の記憶は少しずつよみがえってきた。
突然洋館の様な所に飛ばされたこと。
そこで異星人のような男に殺し合いをしろと言われたこと。
その男に逆らった大男が殺されたこと。
最後に自分がここに飛ばされたこと。
警察官である中川だが、命の危機に一人で直面したことはない。
そのため、自らの命を挺して市民を守る。という警察官本来の目的も、己の生存を優先するあまり忘れてしまったのだ。
「そうだ。水、食料、武器!この三つがないと生き残れない!」
ゲーム開始から一時間と二十分。ようやく彼は自分の置かれている状況を理解し、アイテムを確認しはじめた。
水、食料があることを確認し、ここがどこであるかも理解した彼は、祈るような気持ちでカプセルを投げ付けた。
お目当ての武器は銃だ。
「(僕はアメリカの大会で何度も優勝している。だから銃さえあればどんな敵が出てきたところで瞬殺できる)」
中川の強運は並大抵の物ではない。
例えばリアル人生ゲームではどんな設定でも金持ちになったし、大貧民をしたときは最小の手札は11だった。
さらに数人の参加者が殺されている現在でさえ彼は安全な所に出現した。
そして今回も幸運の女神は彼に微笑んだ。中川が手にした武器、それは…
スナイパーライフルだ。
「おおっ。神よ。感謝します。やはりこの僕に優勝しろ。と言うんですね?」
中川はライフルを手に取り、天に向かって何度も礼をした。
そして不意に立ち上がり、西へ向かって走りだした。その目つきは獣のように鋭い。
「とりあえず。福岡へ。近くの街へ。ビルへ。大会社の社長の僕にこんな薄汚い場所は似合わない」
彼の目は欲望で渦巻いており、さわやかな警官のイメージのかけらも無くしていた。
そう、彼もまた、優勝するために人を殺すバトル・ロワイアルの参加者の一人となったのだ。

132 :坊っちゃん:2005/07/02(土) 20:39:02 ID:Sa1TaBWL
【山口県西部の森(一日目)深夜】
【中川圭一@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
「状態」精神が不安定
「装備」スナイパーライフル
「所持品」荷物一式
「思考」1福岡へ行き、ビルを占拠する。2優勝する。

133 :公主の説得 1/3:2005/07/03(日) 02:14:29 ID:gDBJCNE7
(ああ……情けない)
公主は両手を地面に投げ出した状態で脱力し、木の幹に背中を預けて天を仰いでいた。
木々の隙間からは星々のきらめきがかすかに見える。
夏特有の湿った空気が肌にまとわりついてくるが、夜風だけは心地よかった。
「うーむ……これはよくないのだ。どこか休める場所を探すべきだ、町へ行ってベッドで休ませるとか」
「公主さんは綺麗な空気を吸っていないとこうなっちゃうんだ、町へ行ったら逆効果だよ」
自分の前で相談を続けている2人の間に入って何かを言う気力は無かった。
空気の悪さや夏の暑さのせいもあるが、何より今は、ターちゃん愛用の本に触れてしまった件が大きい。
純潔の仙女として仙界でも特に清らかな場所で暮らしていた公主にとって、あの本の染みの影響は大きかった。
(手を洗いたい……手を洗いたい……)
それどころじゃないと分かっている。水不足の問題も分かっている。でも、いくら仙人とはいえ、公主も女性なのだ。
「このままじゃ水ももたない……川か池があればいいんだけど」
「そういえば西で水の溜まったダムがあった、そこに行けば水は使いたい放題なのだ」
「それじゃあそこに行って水を補給しよう。入れ物があれば今よりもっと水を持てる」
「公主さん、聞こえてるかい? 私達はダムに行こうと思う」
公主は小さく、ホッとしたようにうなずいた。
水がたくさんあるのなら、手を洗うくらいしても問題ないだろう。
自分が余計に消費している飲み水問題も解消だ。
公主に反対する理由は無い。
問題は今の状態でダムまで歩いて行けるかだが……。

「では私が公主さんを背負って行こう、ダイ君は私の箱を頼む」
「えっ」

思わず声が出た公主に、2人の視線が向けられる。
一応理由は分かっていた。身長の低いダイでは公主を背負えない、しかし大人のターちゃんなら背負える。
ターちゃんの背負っていた箱、ペガサスの聖衣とやらは、ダイでも背負えるサイズだ。
少年ながらも桁外れの体力を持つダイなら問題無く背負って歩ける。
だから、実に理論的な方法だと公主も納得していた。
だが、
公主を見るやいなや勃……興奮し、さらに恥ずかしい染みのついた本などを持っている男に背負われるというのは、ちょっと。
そんな事を言って迷惑をかける訳にはいかないと、公主も重々承知している。自分が我慢するしかない。
「いや……何でもない。ダムに行こう」
無理して笑みを作る好手を励ますように、ダイは無邪気に、何気なく言う。
「よかったね公主さん、水がいっぱいあったら水浴びだってできるかもしれないよ。汗をかいてるみたいだから流さないと」
次の瞬間、ペガサスの聖衣を置いて自分の荷物を持とうとしていたターちゃんの股間が高く天を突く。
(うっ……ああ……。不安だ……)

134 :公主の説得 2/3:2005/07/03(日) 02:15:09 ID:gDBJCNE7
話してみて分かった事だが、ターちゃんはとても純粋な心を持った大人だった。
動物を愛し、自然を愛し、仲間を愛し、平和を愛する男。
しかし人並み外れた性欲を持っているのが問題だ。
純粋なまま大人になって性欲を持ったら、ターちゃんのようになるのだろうかと、公主は不安げにダイを見た。
まあ未来の事は分からないとして――やっぱりターちゃんの存在は公主を不安にさせる。
信頼にたる人物だ、格闘技を習得し優れた筋力を持つ戦士だ、妻がいるらしいから公主に手は出さないだろう。
でもターちゃんがそういう目で公主を見てしまう事は、ターちゃんですらどうにも出来ない本能レベルの事だ。
(水浴び……か。どちらかというとしたいが、身の危険を感じる。覗き……などしないじゃろうな?
 まあ、ダイに上手く頼んで見張っていてもらえば安心じゃが……)
そう、ダイなら安心だ。ターちゃんが悪いという訳ではないが、苦手意識を抱いてしまうのは女として仕方ない。
だからダイと一緒なら――。
ダイは自分の荷物を左手で持ち、聖衣を背中に背負う。
ターちゃんは自分と公主の荷物を左腕にかけ、公主の前で背中を向けてしゃがんだ。
「さあ」
公主はせめてターちゃんに背負われている最中に、自身の胸が彼の背中に触れぬよう注意しようなどと心に誓いながら、
ゆっくりと身体を起こしてターちゃんの肩に手を伸ばした。
その時。

北の方角から何かが崩れる音がした。岩や建物のような、重量のある何かが崩れる音が。
「何だ!?」
ダイもターちゃんも、鋭敏な神経を北一方へと向ける。
この世界では相手の闘気などを察知する機能も非常に弱まっているから、確信を持って言う事は出来ない。
しかし、北で誰かが戦っているのではとダイもターちゃんも思った。

「誰かがゲームに乗った奴に襲われているのかもしれない、行かなくちゃ!」
「しかし公主さんを連れては行けないのだ……」
ダイはぎゅっと右拳を握り締めた。一瞬、公主とターちゃんはダイの拳の甲が光ったように見えた。
「……ターちゃんは公主さんを連れてダムに行ってくれ、おれは北に行く」
「それなら私が行くのだ。私は明かりのないサバンナで暮らしていたから夜目が効く」
「夜目が効くのなら公主さんの側にいて守っててくれ。俺だって島暮らしだったから夜目は効く方だよ」
「しかしダイ君一人であそこに行くのは危険なのだ」
「大丈夫、おれこう見えても強いから。それに公主さんを連れて行けない以上……」

ダイの言葉がふいに止まり、ターちゃんから視線をそらす。
そこにはダイの服を掴む公主の姿があった。

「……ダイ……お主が行くのなら、私も行く……」
「公主さん、無茶は駄目だよ!」
「水があるのは西のダムだけではあるまい……頼む、私から離れないでくれ…………」

135 :公主の説得 3/3:2005/07/03(日) 02:15:51 ID:gDBJCNE7
公主は、ここに来るまでの間、ダイの負担であり続けていた。
これ以上ダイに迷惑をかけたくない、そう強く強く願っていた。
ここでダイと一緒に行くというのは迷惑をかけるというのと同じ意味。
しかし、それでも、公主はダイと一緒にいたかった。
ターちゃんと2人きりになるという不安もあるだろうが、ダイが自分の目の届かない場所に行くのが怖かった。
今まで自分を守ってくれたダイ。自分の知らないところで何かあったらと思うと、不安で胸が押し潰されそうだった。
だから――ダイとともに行く。
北で戦っている者が何者かは分からないが、もしかしたら宝貝を持っているかもしれない。
宝貝さえあれば自分も戦える。近接戦闘系の宝貝ではろくに使えぬだろうが、太公望の打神鞭や楊ゼンの三尖刀のような物なら。
いっそ自分の霧露乾坤網を持っていたら……公主はそんな希望をわずかに抱いていた。
もっとも打神鞭はあの妲己に支給され、霧露乾坤網は極北で暴虐を尽くす悪魔に支給されているのだが、それを知る由は無い。

「頼む……ダイ、行くのなら私も一緒に連れて行ってくれ……!」
「公主さん……」
「もしかしたら、北で戦っておる者が宝貝を持っているかもしれぬ。
 あの聖衣というもののように参加者の武器が支給されているのなら、私の霧露乾坤網も支給されているかもしれぬ。
 宝貝を得れば己の身を守れるし、ダイの力にもなれる。霧露乾坤網ならある程度空気を浄化できる……頼むっ」

ダイとターちゃんは公主の必死な表情を見た後、互いの顔を見合わせた。
公主は先ほどよりもわずかに力を取り戻しているように見える。
実のところターちゃんの本を触った事により精神的な問題が大きかった公主は、
ダイとともに行きたいという強い願いでその問題を克服した。
今の公主なら背負って移動するくらい大丈夫だろう。問題は、北の戦場で彼女を守りきれるかだ。
よっぽどの相手じゃない限り公主を守る自信がダイにはある。
また、一度離れ離れになったら再会するのが難しいかもしれない。ダイ自身公主を置いて行きたくない気持ちがある。

――ダイの背中にあるペガサスの聖衣は、ダイの勇気と優しさを感じ取っていた。
――ダイがどういった選択をするにせよ、ダイが正義のために戦うのならば。

ペガサスの聖衣はダイを仮初の主と認めつつあった。

 【高知北部の山中/黎明】

 【ダイ@ダイの大冒険】
 [状態]:健康
 [装備]:出刃包丁
 [道具]:荷物一式(水4分の1ほど減少) ペガサスの聖衣@聖闘士星矢(ダイを仮初の主と認めつつある)
 [思考]:1.公主を連れて行くかどうか決め、北の戦場に向かう。
     2.アバンの使途、太公望、アフリカの仲間を探す。他、仲間になってくれそうな人を集める。

 【竜吉公主@封神演義】
 [状態]:疲労。普通の空気を吸っている限り、数日後には死んでしまう。
 [装備]:無し。
 [道具]:無し。
 [思考]:1.ダイを説得し、北へ連れて行ってもらう。
     2.宝貝を手に入れてダイの力になる。
     3.アバンの使途、太公望、アフリカの仲間を探す。他、仲間になってくれそうな人を集める。

 【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 公主の荷物一式 恥ずかしい染みのついた本。
 [思考]:1.ダイの決断に従う。
     2.アバンの使途、太公望、アフリカの仲間を探す。他、仲間になってくれそうな人を集める。

136 :月夜の出会い:2005/07/03(日) 14:34:44 ID:kUTa1nvQ
Lと呼ばれる彼は当惑した。
このゲームには人智を超えた怪物が多数参加していることは承知していた。
しかし……まさか月と会話することになろうとは…
「……ええ、そうですね」

見知らぬ相手との接触に対し特に構えていなかったのは不用意からではない。
そのあまりに特徴的な顔を認識する前から、既に自分に近づく気配に殺意がないことを察知していたからだ。
(早い動きではないな…)  非常にシンプルな理由。それだけで充分だった。
もし殺人者であるにせよ、何らかの問答を自分に期待しているであろうことが読み取れる移動スピード。
ならば、自分の能力があれば殺し合いをしないように持っていくことは造作もない。
このゲームを主催する人物に対し取った行動はスタンドプレーではなく、
今近づきつつあるようなタイプの人物に対するアピールでもあったのだ。

「なぜ私に声を?」 答えの出ている問いを投げかける。
「いや何、月が綺麗だからね。こういう夜はいい出会いがあるものなのさ」
そう言ってムーンフェイスは微笑んでいる。Lの意図する答えではないが、
それはLの意図を汲み取れていないが故の発言ではない。軽い自己紹介のようなものだ。
「僕は仲間を探しているんだ。お互いのためになる仲間をね」
「……貴方の目的は何ですか?」
「そうだねえ…とりあえず自分が生き残れればいいかな」
「人殺しは?」
「別にどちらでも。あえて隠す必要もないから言うけど、僕は人食いの化物なんだ。
 ただ、食欲を満たす以上の殺しを望むことはない。必要な時に必要なだけ殺すだけさ」

137 :月夜の出会い2/2:2005/07/03(日) 14:35:59 ID:kUTa1nvQ
Lは決して清廉潔白な君子ではない。大事の前の小事を地で行く性格である。
大量殺人鬼キラを捕まえるためなら大罪を犯した者を死の危険のある状況に置くことも辞さない。
今回のゲームでも、積極的に殺しを行う者に対し躊躇するつもりはなかった。
そういう意味では目の前の怪物の考え方は自分とある程度似ていた。

「人食い……ですか…少なくとも私の知る限りの生き物ではないですね……」
ならば彼らにとって殺しは食事。それを許すことが出来るのか…裁く権利はあるのか……
瞬時に答えが出る類の問題ではないことを認識したLは、当面の状況を解決することに重点を置くことにした。
「私は人間ですが、私を食べないという保証は?」
「む〜ん…困ったね、ちょっと証明のしようがないよ。僕の人物で判断してもらうしかないな」

ムーンフェイスは出来る限りLの期待に応えようとしていた。
これまでの問答で何度かLの人物を見定める言葉を投げかけ、彼を補佐に回るのに値する人間と感じていた。
人殺しや人食いを否定も肯定もしないこと。あの武藤少年のように異常なほどの正義漢でも
制御に苦しむほどの好戦的性格でもなく、いたって論理的で中庸な物事の考え方。
そして言葉の端々から見て取れるその思考レベルの高さ。文句のつけようがなかった。
「………では、私達が組むメリットは?」
まるでどこかの面接のような質問が飛んできて、ムーンフェイスは少し笑った。
「そうだねえ…僕は普通の人間より丈夫だから、行動や監視が楽になるかな?
 あとは僕の世界の情報。僕は君の頭脳をアテにしたいんだ」

数瞬の沈黙の後、世界最高の頭脳は答えを弾き出した。
「……わかりました。貴方の名前を教えてください」
「む〜ん。ムーン・フェイスさ」
三日月型の頭をした素敵なホムンクルスは、そう言って満面の笑みを浮かべた。

【静岡県/深夜】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:静岡県
 [道具]:荷物一式、双眼鏡
 [思考]:Lを補佐する。最終的に生き残るなら後は割とどうでもいい。

【 L(竜崎)@デスノート 】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
 [思考]:1.ムーンフェイスの観察と現状に応じた方針の決定
      2.ゲームの出来るだけ早い中断

138 :月夜の出会い2/2:2005/07/03(日) 15:01:54 ID:kUTa1nvQ
Lは決して清廉潔白な君子ではない。大事の前の小事を地で行く性格である。
大量殺人鬼キラを捕まえるためなら大罪を犯した者を死の危険のある状況に置くことも辞さない。
今回のゲームでも、積極的に殺しを行う者に対し躊躇するつもりはなかった。
そういう意味では目の前の怪物の考え方は自分とある程度似ていた。

「人食い……ですか…少なくとも私の知る限りの生き物ではないですね……」
ならば彼らにとって殺しは食事。それを許すことが出来るのか…裁く権利はあるのか……
瞬時に答えが出る類の問題ではないことを認識したLは、当面の状況を解決することに重点を置くことにした。
「私は人間ですが、私を食べないという保証は?」
「む〜ん…困ったね、ちょっと証明のしようがないよ。僕の人物で判断してもらうしかないな」

ムーンフェイスは出来る限りLの期待に応えようとしていた。
これまでの問答で何度かLの人物を見定める言葉を投げかけ、彼を補佐に回るのに値する人間と感じていた。
人殺しや人食いを否定も肯定もしないこと。あの武藤少年のように異常なほどの正義漢でも
制御に苦しむほどの好戦的性格でもなく、いたって論理的で中庸な物事の考え方。
そして言葉の端々から見て取れるその思考レベルの高さ。文句のつけようがなかった。
「………では、私達が組むメリットは?」
まるでどこかの面接のような質問が飛んできて、ムーンフェイスは少し笑った。
「そうだねえ…僕は普通の人間より丈夫だから、行動や監視が楽になるかな?
 あとは僕の世界の情報。僕は君の頭脳をアテにしたいんだ」

数瞬の沈黙の後、世界最高の頭脳は答えを弾き出した。
「……わかりました。貴方の名前を教えてください」
「む〜ん。ムーン・フェイスさ」
三日月型の頭をした素敵なホムンクルスは、そう言って満面の笑みを浮かべた。

【静岡県/深夜】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、双眼鏡
 [思考]:Lを補佐する。最終的に生き残るなら後は割とどうでもいい。

【 L(竜崎)@デスノート 】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
 [思考]:1.ムーンフェイスの観察と現状に応じた方針の決定
      2.ゲームの出来るだけ早い中断


>>137修正

139 :微かな希望 1/4 ◆69CR6xsOqM :2005/07/03(日) 20:08:44 ID:7TzXQAAc
「うーん、どうするか……」
仙道彰は富士山麓に降り立ち、どうするかを考えていた。
彼の姿は綾南のユニフォーム上にジャージの上下という試合用の出で立ちである。
最も富士山と言ってもこの日本を模した小さな島では標高400mに満たない小さな山だ。
夜間の登山は危険といわれるが、頂上までの道のりは月明かりに煌々と照らされいる。
「ま、下山して夜の樹海に入るよりは日が昇るまで山頂で身を隠していた方がいいな」
桜木や流川たち知り合いを探しに行くのはそれからだ。
それに朝になって山頂から見渡せば、誰かを見つけることが出来るかもしれない。
そう判断して上へと進路を取る。
一応、山道は舗装されていたのでそう時間をかけることも疲労することもなく山頂に辿りついた。
その時――――

ヒュオ ガコォンッ

風を切り裂く音がしたかと思うと仙道の一歩隣の地面が破裂する。
「うおぉぉ!?」
まともに喰らっていればおそらく重傷を負っていたか下手すれば死んでいたであろう威力の攻撃だ。
仙道は衝撃で転倒するが、反射的に起き上がり音がした方向を見る。
月下、岩を椅子にして不敵に笑い仙道を見つめる銀髪の男が居た。
その男の発する重圧を感じ取り、仙道はその場を動かない。
どんな攻撃をしてきたのかは判らないが、背を向けて逃げ出せば後ろから撃たれると確信していた。
「ほぉ、逃げないかい。まずは合格だな」
「?」
相当な距離があるため仙道には相手がなんと言ったのか聞こえない。
そしてその場に身を伏せたまま、数十秒の時が流れた。
脂汗が仙道の頬を伝う。
『……おかしいな。何で追撃しないんだ?
 俺は動いてないんだからそのまま攻撃すればいいのに……』
銀髪の男から発せられている重圧は未だ変わらぬ強さで仙道を縛る。
といっても動けないというわけではなく、相手が攻撃動作を見せたら
すぐさま走って傍の巨岩に身を隠すつもりだった。
しかし相手はニヤニヤとこちらを見つめたまま微動だにしない。
こちらを嬲るつもりだろうか。
もし、そうならお手上げだ。
仙道は最初に主催者に対面したときに、自分達の常識では計り知れない存在が
このゲームに参加していることを知った。
理解、無理解の問題ではなく、「そういうもの」として割り切らなくては
ここでは生き延びられないと肌で感じていたのだ。
そして今対峙している相手はまさに「そういうもの」であることは疑いようが無い。
自分ではどうあがいても倒すことなど出来ない相手。
しかし……。
「む?」
不意に銀髪の男は訝しむ。
身を伏せていた仙道が無造作に立ち上がり、こちらに向かって歩いてくるからだ。
その瞳には意志の光が宿っている。
決して諦めたわけではないことはその瞳が語っている。
「フフン♪」
男は愉しげに鼻を鳴らすと、まだ相当な距離があるにも拘らず仙道に向かって拳を繰り出した。
空を切り裂く音と同時にまた仙道の右手前の地面が破裂する。
仙道はギョッとするが、自分に当たっていないことを確認するとすぐさま気を取り直して歩みを再開する。
すると今度は連続で来た。
仙道の周囲の地面に男の拳から繰り出される威力が次々に炸裂する。
炸裂するたびに仙道の心臓が跳ねる。
それでも仙道はジャージの胸元、心臓の辺りをギュッと握り締めながら銀髪の男に近づいていく。
そして……ついに仙道は男の座る岩の前へと立った。
見つめあう両者。
「おい、小僧。何故逃げずに向かってきた?
 それとも逃げ切れないと思って玉砕覚悟か?」
男からの重圧はさらに増して仙道に圧し掛かってくる。
仙道はそれに全力で対抗しながらも答えた。

140 :微かな希望 2/4 ◆69CR6xsOqM :2005/07/03(日) 20:09:41 ID:7TzXQAAc
「いや、あんたが俺を殺す気がないとわかったから……
 それに逃げたら後ろからやられると思ったし……」
「いつからだ?」
男は嬉しそうな表情で質問を重ねてくる。
「最初の攻撃で俺が伏せた後、二回目の攻撃が全然来ないときにもしかしたらと思った。
 歩いてくる途中であんたが一度しか攻撃できないわけじゃなかったこと、
 二度目の攻撃が俺に当たらなかったことで確信した。その後も……ヒヤヒヤもんだったけど」
すると突然男は笑い出した。
「ぐわっはっはっはっはっはっはっは」
そして岩から飛び降りて、仙道の前に立つ。
「60点だ。
 俺に攻撃を当てる気が無いことは最初の時点で見抜いてなきゃいけねえぜ。
 それに身を晒す賭けに出るにはちと根拠が弱かったな。
 まぁ度胸と勘は認めてやる。ちと辛いが合格だ」
いつの間にか男から発せられていた重圧が消えている。
それに気付いた仙道は安堵と共にその場にへたり込んだ。


満月を見上げながらその男は語りだした。
男の名はデスマスク。もちろん本名ではない。
ある理由から付けられた通り名だが、こちらが定着してしまい
誰も本名で呼ばなくなってしまったそうだ。
後で知ったそうだが、誰も彼の本名を知らなかったため
慰霊地の墓碑名も通り名で刻まれてしまっていたらしい。
「笑い話さ」
彼はそういって自嘲気味に笑う。
デスマスクは過去に一度甦った経験があるという。
彼はアテナの聖闘士として地上の正義を守るために戦う戦士だった。
しかし従うべきアテナを殺害しようとしたサガを彼は正当と認め、
アテナ抹殺と教皇に成り代ったサガの覇権拡大の為に尽力したそうだ。
「一度目の人生はそりゃ愉しかったぜ?
 力だけが正義。それが俺様の信念だった。
 正義の名の下に鍛え上げた力で悪をぶっ殺すのは快感だった。
 その過程で女子供が巻き添えになろうと気にもならなかった。
 最期こそ不本意だったが俺はその人生を後悔しちゃいねえ……」
そして彼はアテナの宿敵、ハーデスによって仮初めの命を与えられ復活した。
永遠の命を餌にアテナの首を取れと命じられて。
「そん時は俺が認めたサガも前教皇シオンも一緒に甦らされちまってた……
 あいつらはアテナの為に冥王に釣られたふりをして牙を剥いた。
 俺も冥王は気に入らなかったからな、奴らの尻馬に乗って一矢報いてやろうとしたさ。
 これが……結構気持ちいいもんだった。悪役は慣れてたしよ。
 気に喰わない後輩どもを先輩面して導いてやるのも……悪くなかった。
 こんな生き方もアリだな……そう思ったぜ」
仙道は黙ってデスマスクの話を聞いている。
デスマスクも気にした様子もなく話を続ける。
「そして今回また甦っちまってよ。
 正直迷っちまってるんだな、この俺様としたことが。
 星矢たちがしくじっちまったのか冥王の野郎が勝手に甦ったのかは判らんが
 冥王は確実に今存在している。異様なおまけまでつけてな。
 しかし奴らの思惑に乗るのも気に喰わねぇ。
 かといってこの糞ゲームを抜け出す妙案もわかねえ。
 だから、情けねえ話だが誰かに下駄を預けちまおうってな。
 最低限てめえのことはてめえで決断できる野郎に付いていこうってよ。
 それがお前だ」
デスマスクは仙道を睨み付ける。
「仙道っつったな。オメーは俺様に何を望む?」
「え?」
話を振られた仙道は戸惑う。

141 :微かな希望 3/4 ◆69CR6xsOqM :2005/07/03(日) 20:10:35 ID:7TzXQAAc
「ぶっちゃけ俺様も自分が弱っちい考え方してると思うぜ。
 だが自分ではどうにも答えがでねえ。
 一度目も二度目も生き方に後悔なんざしてねえからな。
 三度目なんていわれても今更って感じがして心が萎えちまってるんだ。
 だからもう一度聞くぜ。
 仙道、お前は俺に何を望む? 俺はどう動けばいい?」
「いや、いきなりそんなこと言われても……う〜〜ん」
仙道は腕を組んで考え込み始めた。
デスマスクはその場に座り込み目を閉じて仙道の答えを待つ。
そして数分の時が流れ……仙道はデスマスクを見据えた。
「デスマスクさん」
「答えが出たか」
デスマスクは立ち上がる。
「はい、デスマスクさん。俺を助けてください。
 俺はゲームに乗って誰かを殺すなんて出来ないし、殺されたくもない。
 知り合いも何人かこの島にいるようだから、合流したいし
 できるなら守りたいっす。でも俺にそんな力はない。
 取り得といったらバスケだけだけどここでは役に立たないし……
 だから、デスマスクさんが俺の力になってくれると嬉しいっす」
仙道は姿勢を正し、デスマスクに向かって頭を下げる。
「お前の知り合いを探して、守って、それからどうする?
 それだけじゃこの首輪ははずれねーぜ?」
「外せる人を探します。あの広間には常識では考えられない人たちが大勢いました。
 その中にはこの首輪をどうにかできる人がいるかも知れないっす。
 可能性は低くても……俺にはそれしか思いつけませんから」
仙道は顔を上げ、デスマスクを見つめてくる。
『へっ、迷いのない面してやがるぜ……生意気な
 だが、それでこそだ』
デスマスクは肩を竦め両手を挙げた。
「OKだ。おめーに付き合うぜ」
「あ、ありがとうございます!」
仙道は再び頭を下げ、こうして今はまだ二人だけの同盟がここに誕生した。

「ところでよ、オメーの支給品はなんだったんだ?
 それ次第で動き方変わるぜ?」
「え、はぁそれが……」
デスマスクに問われ、仙道はデイパックからホイポイカプセルを取り出す。
中から現れたのは巨大な鉄製のボールボーガンだった。
ボールは二個付属している。
「ほぉ、中々に年代物じゃねーか。威力も高そうだ」
「いや、それがこの弦、固くって引けやしないんす。
 指が裂けるかと思うくらい引っ張ってもビクとも動きやしない。
 これじゃ使い物に為んないっすよ」
恨めしそうに仙道はボーガンを見やる。
「まぁ普通のボーガンも滑車を使って弦を引くらしいからな。
 どれ、貸してみな」
ボーガンを受け取ったデスマスクは渾身の力を込めて弦を引く。
ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、……ガチン!
見事弦は引かれ、カタパルトにはまる。
「すげっ」
「へっ見たか。これが黄金聖闘士の実力よ」
余裕の表情を見せるデスマスクだが、内心では焦燥が生まれていた。
『ちっ、思った以上に力が出せねえ!
 弦を引くのにこんな時間かかってちゃ戦闘では使いにくいぜ。
 それにこれじゃあ俺の冥界波もまともに撃てるかわからねえな……』
ならば力の不足は武器の威力で補うしかない。
内心を押し殺し、デスマスクはボーガンにボールをセットして
20mほど先にある巨岩に照準をつける。
撃った。

142 :微かな希望 4/4 ◆69CR6xsOqM :2005/07/03(日) 20:11:24 ID:7TzXQAAc

バヒュンッ ヒュゴッ バゴォォン!!!

鉄球は巨岩を粉々に粉砕し、貫通してどこかへと飛んで行ってしまった。
「おーすげー!
 でも二個しかないボールどっかに飛んでっちゃいましたよ……」
「ふん、まぁまぁの威力だな。
 それにボールのことなら心配いらねぇよ」
そういってデスマスクは掌を目の前にかざし、念を凝らし始めた。
すると、デスマスクの手に突然先ほど飛んでいった筈の鉄球が現れ、その手に握られる。
「テレポーテイションだ。この世界じゃあ俺様自身や他人を飛ばす芸当はできねえみたいだが
 これくらいの代物なら充分に回収可能みたいだな」
最もそれも念を凝らす時間が必要になるので戦闘中には使えないだろうが。
だが使い方次第でこの武器は戦力になる。
「俺には使えないし、そのボーガンはデスマスクさんに上げますよ。
 でも……」
「わかってるよ。普通の奴に当てたら木っ端微塵にしちまうからな。
 使いどころはわきまえるさ」
その言葉に仙道は安堵する。
そしてデスマスクはボーガンをカプセルに戻し、代わりに別のカプセルをデイパックから取り出した。
「礼と言っちゃあなんだが、代わりにコイツをくれてやる。
 マニュアルを読んだが、使い方次第じゃあ強力だぜ?」
そのカプセルの中身は……5枚のカードだった。
「トレーディングカード?」
五枚のカードを見比べてみる。それぞれ特殊な効果があるようだ。
確かに使い方次第では文字通り強力な切り札になるだろう。
「真紅眼の黒竜」
「光の護封剣」
「闇の護風壁」
「六紡星の呪縛」
「ホーリーエルフの祝福」
怪物カードは一枚だけだが魔法カード、罠カードが充実している。
デスマスクをサポートするのに相応しい手札といえた。
「よし」
仙道はカードを懐に入れた後、両手で髪を撫でつけ気合を入れる。
「さ、いこーか」
夜は白み始めていた。

そんな仙道を見てデスマスクは思う。
『こんな異常な状況だってーのに、一般人にしてはえらく肝が据わってやがる野郎だ……
 パニックにならずに飄々とマイペースを貫いてやがる。
 なんだか妙な期待を持っちまうぜ。
 コイツなら……コイツならきっとなんとかしちまうんじゃねえかってな……』

【静岡県 富士山頂/黎明】
【仙道彰@スラムダンク】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード
     「真紅眼の黒竜」「光の護封剣」「闇の護風壁」「六紡星の呪縛」
     「ホーリーエルフの祝福」
 [道具]:支給品一式
 [思考]:知り合いを探す/首輪を解除できる人を探す

【 デスマスク@聖闘士星矢 】
 [状態]:健康
 [装備]:アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険
     アイアンボール×2
 [道具]:支給品一式
 [思考]:仙道に付き合う

143 :死帳万華鏡 1/5:2005/07/03(日) 20:37:08 ID:cBOclJ7q

「あ〜ん、もう、服ぐちゃくちゃ〜」
 霧雨の中、女性、弥海砂(アマネ・ミサ)は不満を垂れ流していた。今、彼女がいるのは滋賀県、琵琶湖のほとり。
 彼女と共にいるのは少年。名を城之内達也という。
「だーっ、もう!ミサさん少しは静かにしてくださいよ!」
 幸運にも(殺し合いの状況下で幸運というのも皮肉なことだが)ミサに支給されたのは傘。戦闘民族、夜兎がもつ、
石突が銃身となっている特殊な仕込み傘である。ただ、それ故に普通の傘よりもかなり重い。これで完全に雨露を防げというのは、
普通の女性たるミサには少しばかり酷なことであった。

 彼女が今行っていること。それは、彼女の恋人、夜神月の捜索。豪胆なのか、危機感が欠如しているのか、恐れる様子もなく
辺りをを歩き回っては声をあげている。その余りに無防備な様子に、放って置けなくなった城之内が共に行動することを
余儀なくされている、というのが今の図式である。

「まあまあ、そんなにカッカしないの!あ〜ん、月〜、一体何処にいるの〜」
「その月って野郎、そんなに信頼できるんスか?」
「月はすっごいんだから。あの三人のオバケたちが束になっても、月のほうがずぅ〜っと頭イイよ」
「はぁ……」

 少年、城之内は心配していた。彼の仲間たる人たちのことを。だから、考える。

(遊戯は強い。俺よりも、ずっと。そう、なによりも、そのココロが。
 海馬は死なない。というか、アイツを殺せる奴なんていたら会ってみてぇくらいだぜ。
 でも、杏子は……。こんな殺し合いの場で、一体どうしているのだろう。あいつは、誰かが守ってやらねぇと。
 もし、杏子が死んじまったら、遊戯にあわせる顔がねぇ。でも、一体何処にいるのか見当もつかねぇ。
 なら、その月ってヤツがそんなに切れるんだったら、そいつに賭けてみるのもわるかぁない。)

 勿論、自分にとっては、仲間達と合流するのが最優先だが、人探しをしているもの同士、ミサと一緒に行動してもいいだろう。
それに、こんな所に女性一人を置いていけるような腑抜けにはなれない。彼女は純真だ。月のことを語る時の目でわかる。
悪いヤツではない。そう、城之内は考えていた。その考えが何を招くのか、今の時点では誰も知らない。

 弥海砂は信頼していた。彼女の全てでもある青年、夜神月のことを。彼なら、きっとこの状況をなんとかしてくれる。
でも、もし、月が優勝を狙っているのだとしたら……。……何の問題も無い。その時は、私もできるだけたくさん殺して、自殺しよう。
弥海砂が何より『優先』するのは、彼女の最愛の人、夜神月。それだけは、この異常な状況下でも小揺るぎもしていなかった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


144 :死帳万華鏡 2/5:2005/07/03(日) 20:37:48 ID:cBOclJ7q

「キミは少し休むといい。何、私は人ではなく人喰い。一晩二晩の徹夜など問題にならない」
「お言葉はありがたいんですが、少し考えを纏めてみようと思っています」
 互いの世界の情報を交換した結果、判明したのは、両名とも非常に似通った世界からきたということだけであった。
ムーンフェイスことルナール・ニコラエフは埼玉県から。竜崎ことLは東京都から。
いや、互いに知らなかっただけで、同じ世界から招待されたということも充分にありえる。
そして、両方の世界に共通して存在し、それをミニチュア化したようなこの世界に存在しないものが一つだけある。
「むーん、何か分かった事でもあるのかい?」
「いえ……ただ、47都道府県の中で、何故、沖縄だけが舞台に入っていないのかが気になっています」
「むん?それは参加者の逃亡を防ぐためではないのかね?船などを使って、海上に逃げられては追う術が無い」
「それも充分考えられます。現時点では推論になってしまうのは仕方がない。ですが、例えば橋を掛けてもいいし、航路を固定した
 連絡船の類を走らせてもいい。わざわざ排除している……という点は少し引っ掛かります。実際、北海道は舞台に入っている」
「北海道に渡るには、青函トンネルか連絡船を使うんだろうね」
「えぇ。まぁ、私は、十中八九、トンネルだと思いますがね。これも推測ですが」
「ふむ、つまりはもう少し情報が必要ということかな?」
「そうですね。夜神君と合流できれば心強いのですが」
「彼も信頼できる人物なのかね?」
「……警戒は必要です。が、彼は非常に有能だ。もし、私が死んだら、次のLは彼でしょう」
「むーん、お目にかかれるのが楽しみだ」
「ええ。……やはり、少し休息を取らせてもらいます。人間は明晰な思考を保つために睡眠も不可欠なので。見張りを頼みますね」
「勿論!さぁ、遠慮なく休みたまえ」

 ルナールは感嘆していた。過小評価していた覚えは無い。が、このLという男、思った以上の拾い物だ。
この男なら、月たる自分をこれまで以上に美しく照らし出し、輝かせてくれるだろう。
あとは、自分が竜崎にとって、思った以上の拾いものだと評価してもらえるだけの働きを見せねばなるまい。ヒトを超えたもの。
人間型ホムンクルスとしての誇りにかけて。

 そして、そのLが信頼し、同時に警戒している夜神月と言う人物……奇しくも同じ”月”同士。

 久方ぶりの心地よい緊張感に、ルナールはその月面のような顔が緩むのを抑え切れなかった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


145 :死帳万華鏡 3/5:2005/07/03(日) 20:38:21 ID:cBOclJ7q

 男、火口は自分の幸運を噛み締めていた。

「ククク……、運は私に味方している」
 火口卿介は、手に入れた刀(斬魂刀というものだと卿介は知らない)を素振りしながら、笑いを漏らす。
今、彼は、稲葉郷子を殺害した駅を離れ、手近な廃屋に身を隠していた。
このようなボロ家は自分の趣味ではないが、身を隠せる場所があるというだけで今は充分だ。自分はツいている。
そう、運は自分に味方している。最初はテニスラケットだった自分の武器が、何の抵抗の力も持たない少女を殺しただけで
こんなに立派な刀へと代わった。多少なりとも剣道の心得がある自分に誂えたかのような武器に。
贅沢を言うなら、重火器の類が欲しい。それが支給品に含まれているのかは知らないが。だが、自分ならば
絶対にそれを手に入れることができる。それは、予想ではなく、確信。
自分は勝利の女神に愛されている……

 一度死んだ自分。それが、よく分からない力で蘇えり、敗者復活戦を戦うことを許されている。なんという幸運!
そう、ここにきて、Lの顔も分かった。何億という金を使っても、影すら掴ませなかったのに。なんという幸運!
エラルドがLの別の顔だということも分かった。なんという幸運!
あれだけの力を持った怪物たちなら、自分に、人間では考えられないような栄誉を与えることも難しくないだろう。なんという幸運!

もう、エラルド・コイルなんかに高い金を払ってLを調査してもらう必要なんて無い。自分の、いや、自分の
仲間達の愚かさには、腹立ちを通り越して滑稽さまで感じる。まさか、Lとエラルドが同一人物だったとは!
道理で情報が筒抜けのはずだ。だが、その問題ももう解決した。自分が優勝した時には、既に、Lはこの世のものではないのだから。

 火口は自分の幸運を噛み締めていた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


146 :死帳万華鏡 4/5:2005/07/03(日) 20:38:51 ID:cBOclJ7q

「それでは、貴方達には探すべき人がいる、ということですか」
 外界には深々と降り積もる雪。山小屋の中で、青年、夜神月の勧誘は続いていた。
「僕が探すとしたら、まずは南に向かいますね」
「それは何故?」
 月の提案に、少女、イヴが疑問の声を返す。
「話を聞く限り、貴方達の探し人は人間のようです。ならば、このような極寒の地に放り出された場合、すこしでも
 暖を取ろうと南下するというのが普通の反応でしょう」
「でも、貴方……月君や私たちみたいに、山小屋などに避難していたりはしないんでしょうか」
「仰るとおりです。僕はこの山小屋のすぐ傍に飛ばされたから、避難することができました。しかし、録に視界の利かない
 この夜闇と雪の中、運良く山小屋を見つけることができる可能性は決して高くはありません」
「でも、私とイヴちゃんは……」
「それは、幸運だったからです。僕にとっても、貴方達にとっても」
 雪女、ゆきめが挙げる疑問の声に覆いかぶせるように、月は言葉を重ねる。
「夜が明けたら、全員で南に向かいましょう。貴方達の大切な人のためにも、ね」
実際のところ、どの方角に彼女達の探し人がいるのかは、今の時点では判断できない……と月は考えていた。
北国は何処も雪に降られているのか。雪を凌げる場所は、どのような間隔で配置されているのか。どちらも月には分からない。
彼の言葉は、ただ推論に推論を重ねただけのものである。そしてその推論は、「自分が生き残る」ということを土台としていた。
闇の中、雪に降り込められている今は致し方ないが、ここに篭城しているのは下策に他ならない。何せ、逃げ場が無い。
山小屋は目立つ。もし、ゲームに乗った奴が襲撃してきた場合、ゆきめとイヴでは、自分、夜神月の身を守りきれるか心もとない。
開けた場所であるならば、最悪、どちらかの駒を使い捨てにしてでも逃亡する目はあるだろうが、山小屋のなかではそれもままならない。
この問題は、雪国にいる限り、吹雪……天候の心配をしなければならない限り、ずっと自分に付きまとうだろう。
これは、自分の安全と彼女達の目的とを天秤にかけたうえでの妥協案。月としても、駒が増えるのは喜ばしいこと。
それに加え、Lを始末するという目的がある以上、こちらも早目に行動しなければなるまい。L、竜崎に有能な同士が現れる前に。
よしんば、既にLが仲間を捜し当てていたとしても。そして、Lの一行がとても強大な力を持っていたとしても。なんのことはない、
その時はLに協力を申し入れればいいだけのこと。その場合でも、こちらの仲間が多いのに越したことはあるまい。
自分がこれだけ多くの参加者の信頼を得ている……という証になるのだから。そう、夜神月は参加者の味方だ。故に、Lを
殺すことなどあり得ない……と。その後、優勝なり脱出なりをして、自分の世界に戻ればいいだけだ。

まぁ、ゲームから脱出できた場合、協力してくれた駒たちは、確実にデスノートで始末をつけねばなるまい。
新世界の神からの、心ばかりの謝礼として。駒たち全員に、感謝を込めた安逸な死を……


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


147 :死帳万華鏡 5/5:2005/07/03(日) 20:40:23 ID:cBOclJ7q
【滋賀県/黎明】
【弥海砂@DEATHNOTE】
 [状態]:健康
 [装備]:神楽の仕込み傘@銀魂
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.夜神月との合流
     2.夜神月の望むように行動

【城之内達也@遊戯王】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(支給品は不明だが、本人は確認済み・遊戯王カードではない)
 [思考]:1.仲間(武藤遊戯、海馬瀬人、真崎杏子)との合流
     2.弥海砂を保護する
     3.主催者の打倒

【静岡県/黎明】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 双眼鏡
 [思考]:Lを補佐する。最終的に生き残るなら後は割とどうでもいい。

【 L(竜崎)@DEATHNOTE】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
 [思考]:1.ムーンフェイスの観察と現状に応じた方針の決定
     2.ゲームの出来るだけ早い中断

【兵庫県 姫路/黎明】
【火口卿介@DEATHNOTE】
 [状態]:健康
 [装備]:斬魄刀
 [道具]:荷物一式 テニスラケット
 [思考]:1.生き残るための道具を回収してまわる。奪えそうなときには強奪も辞さない。
     2.生き残って、強い権力を手中に収める

【秋田県/黎明】
【夜神月@DEATHNOTE】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 いちご柄のパンツ(女性用)@いちご100%
 [思考]:1.使えそうな人物との接触
     2.竜崎を始末し、ゲームから生き残る 】

【ゆきめ@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
 [思考]:1.鵺野鳴介との合流
     2.ゲームから脱出する

【イヴ@BLACK CAT】
 [状態]:健康
 [装備]:無限刃@るろうに剣心
 [道具]:荷物一式 
 [思考]:1.トレイン・ハートネット、スヴェン・ボルフィードとの合流
     2.ゲームの破壊

148 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/03(日) 22:15:16 ID:cBOclJ7q
>>143-147の「城之内達也」を「城之内克也」に修正します

149 :蒼き虎と黒き龍 :2005/07/03(日) 23:31:07 ID:63+yrZxY
深夜の森に甲高い音が響く。
リズム良く火花を散らし、音色を奏でるそれは、刃物が奏でる戦闘曲。
闇の中、山口県の山中で、その戦いは繰り広げられていた。

飛影は闇に紛れ、一定の距離を保ちながら、飛び回るようにナイフで切りかかる。
対する桃は、その攻撃を巨大な円形の刀で受け止め反撃に転ずる。
どちらも譲らぬ一身一体の攻防。

桃の持つこの奇妙な刀。
名を燐火円礫刀と言う。
魔界整体師、時雨の愛刀であり。
皮肉にも、対峙する飛影に邪眼の手術を施した張本人の愛刀である。
その威力は斧が如く。
その切れ味は薄刀の如く。
並ぶもの無き無双の刀。
その奇妙な形状から、扱えるものはそうはいない。
だがこの扱い辛い刀を、桃はいとも簡単に使いこなしていた。

―強い。
その男の実力に、飛影は少なからず動揺を隠せずにいた。
あの男しか扱えないと思われた燐火円礫刀を、いとも簡単にこの男は扱う。
剣技は互角か。
いや、武器の面で自分が不利か。
だが自分には、第三の目と炎がある。
総合的には自分に分があるはずだ。

「――邪王炎殺剣」
飛影はナイフを柄とし、炎の剣を紡ぎだす。

これで武器は互角。
ならば、まだ炎の妖気がある自分が負ける道理が無い。

「ほう、炎か。いいね、燃える野郎は嫌いじゃないぜ」
その剣を見て桃は笑う。
戦闘中に浮かべるその実に楽しそうな笑みは、どこかの馬鹿を思い出させた。

「チッ」
気に食わない。
飛影は舌を打つ。

妙な人間、自分を変える。
そんなものはいらない、自分には戦いしかないのだから。
そうだ、戦いだ。
目の前には極上の獲物がいる。
なにを迷うことがある。

150 :蒼き虎と黒き龍 :2005/07/03(日) 23:31:25 ID:63+yrZxY
「…行くぞ」
飛影は炎の剣を構え一歩踏み出す。
「おう、来いチビ助」
桃は涼やかに笑い、飛影を迎え撃つ。

地面を蹴り、闇に同化した飛影は風のように駆ける。
同時に振り下ろされた炎の剣を、桃は円礫刀を傾け受け流す。
だが、既に飛影の左腕には炎の妖気が纏われていた。
「炎殺煉獄焦!」
突き出される炎の拳。
その炎の拳を、桃は素手で受け止めた。
「熱いね、だが、男塾の魂はもっと熱いぜ」
拳を受け止めながら、桃は飛影に蹴りを放った。
だが、飛影はその場から即座に離れ、蹴りを回避する。
そして再度、戦いは仕切りなおされた。

飛影が斬る。
桃が弾く。

桃が薙ぐ。
飛影がかわす。

飛影が燃やす。
桃が受ける。

桃が蹴る。
飛影が避ける。

どれほどそれを繰り返しただろう。
接近戦では埒か明かないと判断した桃は、斧が威力の円礫刀を強く振り、飛影を弾き飛ばした。
そして、距離をとった桃は必殺の構えを取る。

「王虎寺超奥義暹氣虎魂!!」
振り抜かれた円礫刀から青白いエネルギーが放たれた。
牙を剥き、爪を唸らすその姿はまさに虎。

「邪王炎殺黒龍波!!」
着地した飛影は、答えるように右手を突き出し、その腕から黒く燃える闇の龍を解き放った。

激しくぶつかり合う蒼き虎と黒き龍。
蒼き虎は全てを砕き。
黒き龍は全てを焼き尽くす。
暴れ狂う龍虎のエネルギーは、周囲の木々を薙ぎ払い辺りを更地に変えてゆく。
そして、散々暴れ狂ったエネルギーが辺りの景色を完全に変えきった頃、龍虎は上空で弾ける様に消滅した。

151 :蒼き虎と黒き龍 :2005/07/03(日) 23:31:44 ID:63+yrZxY
桃はじっとそれを見上げていたが、大きく息を吐くと口を開いた。
「ふう……俺の負けか」
そう呟き飛影に目を移す。
そこに立つ飛影の姿に、なんら変化は無いように見られた。
だが、桃ほどの実力者には理解できた。
飛影の纏う、その黒き力を。

先程の黒龍波は消滅したのではない、飛影が黒龍を食ったのだ。
アレほど爆発的なエネルギーを飲み込んだその器。
黒い炎に包まれた莫大なエネルギーが桃には見えた
もはや自分でアレにはかなわないだろう。

「と、言いたいところだが。諦めないのが男塾精神でね、精々足掻かせてもらうぜ」
燐火円礫刀を構え、このような状況だというのに桃は朗らかに笑う。
その目は強く輝き、諦めないという強い意志が篭っていた。
「それじゃま……行くぜッ!!」
駆け出した桃の怒声が、深夜の山に木魂した。


――――――――――――――――――。


闇を駆ける飛影は焦っていた。
あの男の実力は自分の想像以上だった。
まさか黒龍波を使う羽目になるとは。
このままでは副作用である冬眠が始まってしまう。
早急に安全な場所を探さなければならない。

頭が重い、ドロリとした眠気が意識を犯す。
もはや邪眼を開放するのすら辛い。
なんとか意識を奮い立たせ、飛影は邪眼を開放する。
そして人気の無い、安全そうな建物を発見した。
出来れば周囲の安全も確認したいが、もはやそんな余裕は無い。
急いで飛影はその建物に向かった。

 【山形県の山中/黎明】

 【飛影@幽遊白書】
 [状態]:極度の疲労と眠気
 [装備]:マルス@BLACK CAT
 [道具]:荷物一式、燐火円礫刀@幽遊白書
 [思考]:1冬眠する
 2幽助と決着を付ける、強いやつと戦う

【剣桃太郎 死亡確認】
【残り120人】

152 :魔力尽きる街 1/2:2005/07/04(月) 09:10:43 ID:ZqTPuoSm
マーン=シヘッド大陸において、ダーク・シュナイダーはかつてない窮地に立たされていた。
優勢だったはずの獣王バッハとの戦いに破れ、その臓腑のほとんどを喰らい尽くされる屈辱。
虫ケラ同然の弱さを持つ少女に救われたダーク・シュナイダーは、傷の治療に長い時を有した。
霊体が記憶している肉体構造をなぞり魔力を持って血肉を再生するなど、彼にとって造作もない事。
しかし地を這うナメクジのごとき遅々とした再生速度の中、ダーク・シュナイダーは死の淵に立っていた。
マーン=シヘッド大陸は本来大気中にあるはずの精霊力や魔素が非常に薄く、
ダーク・シュナイダーが本気で戦えば数分と持たず枯渇してしまう。
そうなれば当然身体の回復のための魔力も尽き、ダーク・シュナイダーは常人のように死んでしまうだろう。

酷似している。そう、100年ほど前に訪れたマーン=シヘッド大陸とここは非常に酷似している。
何らかの制限を受けて己の全力が出せないのもそうだが、この世界の精霊力や魔素は非常に希薄なのだ。
頭と心臓さえ無事なら難なく肉体再生をするダーク・シュナイダーでも、
こんな所では臓器の半分を引きずり出される程度で死んでしまうだろう。
もっともそれには魔力が尽きていたらという前提があるが。
故にダーク・シュナイダーは魔力を節約しようと心掛けていた。

魔力さえあれば臓器の大半を引きずり出されようが容易に再生出来る。
心臓をえぐり出されようとも仮死状態に陥る程度で済み、休息さえ取れば心臓でさえ再生する。
だから、万が一の場合に備え魔法を使う事は極力避けねばならない。
大気中の魔素を使い果たしたならば、ダーク・シュナイダーは体内にある魔力を消費して魔法を使わねばならないからだ。

「光弾よ 敵を撃て(タイ・ト・ロー)! アンセムッ!!」
目標に向かって必中する光弾を放つも、冴羽はオリハルコン製の銃身で受け止めた。
といってもその衝撃までは受け切れず、背後にある酒場の窓へと吹っ飛ばされる。
(チッ、威力も落ちてやがるのか? 出来ればこいつに使う魔法は2〜3発に抑えておきてぇんだが)
苛立ちながらダーク・シュナイダーは酒場へと向かう。冴羽が中から出てくる気配は無い。
(もうちょい強い魔法で建物ごとぶち壊して生き埋めにしてやるとするか)
残忍な笑みを浮かべながらダーク・シュナイダーは魔力を集める。
「ダムド!!!!」
高位の魔法使いだけが使える爆裂魔法により、建物一軒が瓦礫の山となるほどの大爆発が起こった。
爆音は空気を裂き近隣の県まで響く。
爆煙が晴れると、酒場はただのコンクリートの山と化していた。
勝利を確信したダーク・シュナイダーは、巨人すら殴り倒す怪力を発揮して瓦礫をどかして行った。
魔眼に魔力を込め、目的の物の位置はすでに察知している。
一際大きな瓦礫の下に、それはあった。
嬉々とした笑顔を浮かべてダーク・シュナイダーがそれをどかした瞬間、胸に赤い華が咲く。

153 :魔力尽きる街 2/2:2005/07/04(月) 09:11:10 ID:ZqTPuoSm
コンクリートの塊を持ち上げたまま、ダーク・シュナイダーはどかした瓦礫の下から上半身を出している冴羽を睨みつけた。
冴羽はハーディスの銃身を真っ直ぐダーク・シュナイダーの胸に向けている。
最初は「してやったり」と言うように唇を釣り上げていた冴羽だが、
ダーク・シュナイダーが倒れるどころか瓦礫を後ろに放り投げてピンピンしている様を見て、表情が陰る。
「クククッ。俺様が魔法を詠唱するのを見て、喋れなくしちまおうと肺を狙ったって訳か。
 いい腕してやがるぜ、左肺に綺麗な穴が空いちまった。もう閉じかけてるがな」
傷口に魔力が収束し、細胞が凄まじい速度で分裂を繰り返していく。
血はすでに止まり、外傷は完璧に消えた。体内では肺の表面だけはもう修復されている。
「ばっ……馬鹿な……」
「ハーッハッハッハッ! この超絶美形ダーク・シュナイダー様に傷を負わせた事は褒めてやるぜ!!」
笑いながらダーク・シュナイダー手を伸ばし、冴羽の銃を掴み取ろうとした。
慌てた冴羽が引き金を引いた瞬間、銃口から吐き出された弾丸をダーク・シュナイダーは伸ばしていた腕で受けた。
「馬鹿野郎が、弾の無駄使いすんじゃねぇよ」
ダーク・シュナイダーは面倒くさそうに冴羽からハーディスを取り上げて懐にしまった。
この銃を使えば魔力の節約になるだろう。
圧倒的な力を持つが故に世界がそれについていけず全力を出せないとは、皮肉な話だ。
こんな馬鹿げた所に放り込んだ主催者達に対し怒りが沸き上がる。
「ククク。奴ら、必ず俺様の手でぶっ殺してやる」
超絶美形ダーク・シュナイダー様に不可能は無い。
まずはこの世界にいる男共を皆殺しにし、女を全員ハーレムに加えてこのゲームを抜け出してやる。
さらに己の身にかけられた制約を解除して全力を出せるようにしてやるのだ。
その後主催者の糞野郎共を皆殺しにして悠々と元の世界に帰る。ハーレムを連れて。
「おい人間、俺様に傷を負わせた褒美に派手に死なせてやるぜ。ドラシュ・ガン!!!!」
ダーク・シュナイダーが叫んだ瞬間、地面が盛り上がり瓦礫を押し上げ冴刃の腹部へと到達した。
「ぐはっ!?」
盛り上がった地面は細長い円錐状の形をしており、冴羽の身体は天高く貫き上げられた。
「ハハハハハハッ!! モズのはやにえみてぇで似合ってるぞ!」
「ぐっ……畜生ォ……! ……かお……り…………」
最期に女の名を呟き、冴羽は力尽きた。隆起した岩の槍に血がしたたる。
「カオリ? こいつの女の名前か? 安心しろ、そいつも俺様のハーレムに加えてやるぜ」

ダーク・シュナイダーはモズのはやにえに背を向けて歩き出し、街の角を適当に曲がりながら当てもなく進む。
数分もする頃には、銃弾を受けた肺も腕も完全に治癒されていた。
しかしその代償として東京都にある魔素はほとんど枯渇してしまった。恐らく一日は立たないと元通りにはなるまい。
だからダーク・シュナイダーは移動する。東京都から離れれば、そこにはまだ使われていない精霊力や魔素があるのだから。

 【東京都、歌舞伎町/黎明】

 【ダーク・シュナイダー名@バスタード】
 [状態]:魔力微消耗(他県に移動すればすぐ回復)
 [装備]:装飾銃ハーディス(ブラックキャット)
 [道具]:荷物一式(支給品不明)
 [思考]:1 とりあえず東京から出る。
     2 男に会ったら殺す、女に会ったらハーレムに加える。アビゲイルとガラは手下にするつもり。
     3 ゲームの脱出方法を調べるつもりだが、男と協力する気はさらさら無い。
     4 参加している女を全員自分のハーレムに加えてゲームを脱出し主催者を皆殺しにする。

 【冴羽遼 死亡確認】
 【残り119人】

154 :魔力尽きる街 1/3:2005/07/04(月) 13:55:33 ID:ZqTPuoSm
>>152-153はダーシュが強すぎたんで加筆修正。足りなかったシーンを増やしてます。

マーン=シヘッド大陸において、ダーク・シュナイダーはかつてない窮地に立たされていた。
優勢だったはずの獣王バッハとの戦いに破れ、その臓腑のほとんどを喰らい尽くされる屈辱。
虫ケラ同然の弱さを持つ少女に救われたダーク・シュナイダーは、傷の治療に長い時を有した。
霊体が記憶している肉体構造をなぞり魔力を持って血肉を再生するなど、彼にとって造作もない事。
しかし地を這うナメクジのごとき遅々とした再生速度の中、ダーク・シュナイダーは死の淵に立っていた。
マーン=シヘッド大陸は本来大気中にあるはずの精霊力や魔素が非常に薄く、
ダーク・シュナイダーが本気で戦えば数分と持たず枯渇してしまう。
そうなれば当然身体の回復のための魔力も尽き、ダーク・シュナイダーは常人のように死んでしまうだろう。

酷似している。そう、100年ほど前に訪れたマーン=シヘッド大陸とここは非常に酷似している。
何らかの制限を受けて己の全力が出せないのもそうだが、この世界の精霊力や魔素は非常に希薄なのだ。
頭と心臓さえ無事なら難なく肉体再生をするダーク・シュナイダーでも、
こんな所で臓器の半分くらいを引きずり出されたら死んでしまうだろう。
もっともそれには魔力が尽きていたらという前提があるが。
故にダーク・シュナイダーは魔力を節約しようと心掛けていた。
大気中の魔素を使い果たしたならば、ダーク・シュナイダーは体内にある魔力を消費して魔法を使わねばならないからだ。

(ダメージを負った時、肉体の再生に魔力を回す事を考えると出来るだけ精霊魔術で戦った方がいいな)
周囲の精霊力や魔素を練り上げながら、ダーク・シュナイダーは獲物の隠れているビルを睨みつけた。
堂々と、己の身体を晒したまま。
冴羽の持っているハーディスの放つ小さな弾丸など、頭や心臓にでも当たらない限りたいしたダメージにはならない。
せめてショットガンやバズーカーなどなら胴体に当たっても肉を破り臓器を破壊し戦闘不能まで追い詰める事も可能なのだが、
冴羽は相手が魔法を使えるだけの人間だと思っている。
ビルの陰から一瞬身体を出した冴羽は、ダーク・シュナイダー目掛けて引き金を引き絞った。
しかし距離があり的も小さい事から、例え射撃が正確でもダーク・シュナイダーは少し身体を動かすだけで弾を避ける事が出来た。
普段ならあんな小さな鉛弾を食らっても針に刺された程度だが、今はそれなりにダメージを受けるかもしれない。
「ククク、そう簡単に食らっちゃやんねーぞ。だがお前はいとも簡単に俺様の魔法を食らって死ぬのだー! インテリペリ!!」
ダーク・シュナイダーが振り払った手から無数の小火球がビルを襲い、いくつかの火球がビルの隙間に入った。
慌てて奥に逃げ込む冴羽を追って、ダーク・シュナイダーもビルの隙間へと駆ける。
たいして威力の無い火球だったゆえ、まだ爆炎が残っているにも関わらずダーク・シュナイダーはかまわず進もうとした。
しかし予想外に熱かったため、魔法障壁を張って炎を突っ切る。
(クソッ、余計な魔法を使っちまったぜ。あと2〜3発も魔法を使えばこの辺の魔素は尽きちまうんじゃねぇか?
 だとしたら、とてもじゃねぇがエグ・ゾーダスやメガデスなんて使えねぇ。禁呪なんてもっての他だ)
舌打ちをしながらダーク・シュナイダーは冴羽を追った。
冴羽はビルの隙間にあった大きなゴミ箱の脇に身を屈め、銃でこちらを狙っている。
「光弾よ 敵を撃て(タイ・ト・ロー)!」
上等だと微笑を浮かべながら、ダーク・シュナイダーは詠唱を始めた。
その隙に放たれたハーディスの弾丸を、ダーク・シュナイダーの左腕で受けた。
常人離れした筋肉により弾丸は腕の半分ほどまでえぐった時点で止まる。
(イッテェッ!? 畜生ッ、こんな鼻クソみてぇな攻撃でこれほどダメージを受けるのか!?)
ふつふつと沸き上がる怒りで苦痛を押さえつけ、ダーク・シュナイダーは力強く叫んだ。
「アンセムッ!!」

155 :魔力尽きる街 2/3:2005/07/04(月) 13:56:53 ID:ZqTPuoSm
目標を追尾し必ず命中する光弾がダーク・シュナイダーの手から放たれる。
ゴミ箱の陰に隠れた冴羽だが、光弾はゴミ箱の上を通り過ぎると方向を変え、改めて冴羽に向かって飛来する。
「嘘だろ!?」
咄嗟に横っ飛びに避けるも、狭い路地だったためすぐ壁に背がついてしまった。
これ以上避けきれないと踏んだ冴羽はハーディスを前に突き出して、さらに方向転換をした光弾を銃身で受ける。
冴羽は知らない事だが、ハーディスはオリハルコンという特殊な金属で作られており、
銃は傷ひとつ負う事無く魔法の光弾を受け止めた。
といってもその衝撃までは受け切れず、手首に鈍い衝撃が走った。どうやら間接を痛めたらしい。
それは十分なダメージではあったものの、ダーク・シュナイダーは冴羽がまだ生きている事に苛立つ。
壁に叩きつけられた衝撃で背骨が砕け散ってもいいはずなのに、地面に倒れた冴羽はまだ致命傷を負っていない。
(チッ、威力も落ちてやがるのか?)
ダーク・シュナイダーは痛めた左腕に魔力を傷口に集めた。
常人では考えられぬほどのスピードで細胞分裂が始まり、傷口が閉じていく……はずだった。
(チッ、再生速度が遅ぇ。これじゃ完治すんのに数十分はかかるんじゃねぇか?)
苛立ちながらダーク・シュナイダーは獲物を睨みつける。
冴羽は手が痺れて銃が一時的に撃てない状況に陥っていたため、慌てて路地裏から出ようと走り出す。
(逃がすかよっ!)
残忍な笑みを浮かべながらダーク・シュナイダーは魔力を集めた。
「ダムド!」
高位の魔法使いだけが使える爆裂魔法により、冴羽の前で爆発が起こる。
本来なら一軒家くらい余裕で破壊する威力なのだが、ここではビルの壁の表面を破壊する程度だった。
それでも重い爆音は空気を裂き近隣の県まで響く。
爆煙が晴れると、冴羽は崩れたコンクリートの壁に挟まれていた。
周囲の精霊力ではなく、己自身が持つ魔力を傷口に回しながらダーク・シュナイダーはゆっくりと近づく。
これ以上ダメージを食らうのはゴメンだ。今度弾を撃ってきたら全部避けた方がいい。
腕なら構造の複雑な臓器より再生は容易だ。それでも憎らしい事に相応の魔力は消耗するだろうが。
瓦礫から上半身を出して喘いでいる冴羽は、ダーク・シュナイダーの接近を察知すると、慌てて銃を構えた。
しかし指を動かそうと思っても、手首の痺れはまだ残っていた。引き金を引く事など出来はしない。

「ちっ……畜生……」
「ハハハハハハッ! この超絶美形ダーク・シュナイダー様に傷を負わせた事は褒めてやるぜ」

156 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/04(月) 13:58:04 ID:ZqTPuoSm
魔力尽きる街 3/3
残忍な笑みを浮かべながらダーク・シュナイダー手を伸ばし、冴羽の銃を掴んだ。
腕がズキズキと痛むが、ダーク・シュナイダーにとって痛みなど行動の妨げにならない。
痛みがもたらすのは恐怖ではなく怒り。
しかしその半面でダーク・シュナイダーは冷静な分析をしていた。
ハーディスのような通常サイズの拳銃が放つ弾丸でこれほど痛むのなら、もっと威力の高い銃なら致命傷を負いかねない。
現代科学に関する知識はそう多くないが、インテリペリのように無数の弾を放つ銃が存在する可能性は考える事が出来た。
それでも普通の人間相手なら、この銃は非常に有利な武器となる。
ダーク・シュナイダーは面倒くさそうに冴羽からハーディスを取り上げて懐にしまった。
この銃を使えば魔力の節約になるだろう。
圧倒的な力を持つが故に世界がそれについていけず全力を出せないとは、皮肉な話だ。
こんな馬鹿げた所に放り込んだ主催者達に対し怒りが沸き上がる。
「ククク。奴ら、必ず俺様の手でぶっ殺してやる」
超絶美形ダーク・シュナイダー様に不可能は無い。
まずはこの世界にいる男共を皆殺しにし、女を全員ハーレムに加えてこのゲームを抜け出してやる。
さらに己の身にかけられた制約を解除して全力を出せるようにしてやるのだ。
その後主催者の糞野郎共を皆殺しにして悠々と元の世界に帰る。ハーレムを連れて。
「おい人間、俺様に傷を負わせた褒美に派手に死なせてやるぜ。ドラシュ・ガン!!!!」
ダーク・シュナイダーが叫んだ瞬間、周囲に残っていた精霊力のすべてが冴羽の下に集束した。
地面が盛り上がり冴羽の腹部を貫いて瓦礫を押しのけ天に向かって屹立する。
「ぐはっ!?」
成人男性の身長ほど盛り上がった地面は細長い円錐状の形をしており、冴羽の身体はくの字に折れていた。
「ゲラゲラゲラ! モズのはやにえみてぇで似合ってるぞ!」
「ぐっ……畜生ォ……! ……かお……り…………」
最期に女の名を呟き、冴羽は力尽きた。隆起した岩の槍に血がしたたる。
「カオリ? こいつの女の名前か? 安心しろ、そいつも俺様のハーレムに加えてやるぜ」

ダーク・シュナイダーはモズのはやにえから残りの弾丸を、鞄からは食料を回収すると、
すでに息絶えた男に背を向けて歩き出し、街の角を適当に曲がりながら当てもなく進む。
数分もする頃には腕の出血は止まっていたが、穴はまだ空いたままだった。力を込めればまた出血を始めてしまうだろう。
(たったあれっぽっちの魔法と、たったこれっぽっちの傷の出血を止める程度でこの辺の魔素が枯渇しちまったか)
体内に魔力は残っているものの、敵との戦闘を続けていてはすぐ尽きてしまう。
残りの魔力すべてを回復に当てるなど自殺行為も同然。それに仮に魔力をすべて使っても全快するかどうかは分からない。
周囲の魔素は恐らく一日以上立たないと元通りにはなるまい。いや、もっと時間がかかる可能性もある。
ここではもう精霊魔術を使うのは至難だろう。
だからダーク・シュナイダーは移動する。東京都から離れれば、そこにはまだ使われていない精霊力や魔素があるのだから。


 【東京都、歌舞伎町/黎明】

 【ダーク・シュナイダー名@バスタード】
 [状態]:左腕に銃創。魔力消耗。
 [装備]:装飾銃ハーディス(ブラックキャット)
 [道具]:荷物一式(食料×2 支給品不明)
 [思考]:1 とりあえず東京から出て魔力を回復する。
     2 男に会ったら殺す、女に会ったらハーレムに加える。アビゲイルとガラは手下にするつもり。
     3 ゲームの脱出方法を調べるつもりだが、男と協力する気はさらさら無い。
     4 参加している女を全員自分のハーレムに加えてゲームを脱出し主催者を皆殺しにする。

 【冴羽遼 死亡確認】
 【残り119人】

157 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/04(月) 14:12:18 ID:ZqTPuoSm
>>155
爆煙が晴れると、冴羽は崩れたコンクリートの壁に挟まれていた。
周囲の精霊力ではなく、己自身が持つ魔力を傷口に回しながらダーク・シュナイダーはゆっくりと近づく。
これ以上ダメージを食らうのはゴメンだ。今度弾を撃ってきたら全部避けた方がいい。
腕なら構造の複雑な臓器より再生は容易だ。それでも憎らしい事に相応の魔力は消耗するだろうが。
瓦礫から上半身を出して喘いでいる冴羽は、ダーク・シュナイダーの接近を察知すると、慌てて銃を構えた。
しかし指を動かそうと思っても、手首の痺れはまだ残っていた。引き金を引く事など出来はしない。

 を

爆煙が晴れると、冴羽は足に爆発を受けて動けなくなっていた。
周囲の精霊力ではなく、己自身が持つ魔力を傷口に回しながらダーク・シュナイダーはゆっくりと近づく。
これ以上ダメージを食らうのはゴメンだ。今度弾を撃ってきたら全部避けた方がいい。
腕なら構造の複雑な臓器より再生は容易だ。それでも憎らしい事に相応の魔力は消耗するだろうが。
芋虫のように地を這って逃げようとする冴羽は、ダーク・シュナイダーの接近を察知すると、慌てて銃を構えた。
しかし指を動かそうと思っても、手首の痺れはまだ残っていた。引き金を引く事など出来はしない。

に修正。


158 :油断:2005/07/04(月) 16:58:08 ID:YmOl1PN4
群馬の草原を駆け抜ける一人の少年がいた。
彼の名は真中淳平。
彼はこのゲームに参加させられた三人の女の子を探すために開始以来ずっと走り続けている。
(西野、東城、さつき、無事でいてくれ。)
そう念じ続けているが彼は運動不足の普通の高校生だ。そういつまでも走り続けられるはずがない。
加えて彼の右手には支給品のニューナンブが与えられている。重さはかなりのものだ。
はあっ。はあっ。
一時間ほど走り続けただろうか。彼の体力はすでに限界に達していた。
もう動けない。き、休憩を…
そのときふと彼の目の前に小さな小屋が出現した。
ここにいるよりかは安全だろう。
そう思い、ふらふらした足取りで小屋に向かう。全く警戒もしないで。
壊れかけたドアを開けると…もちろん中は真っ暗だった。
しかし、人がいる様子はない。
真中は安心し、部屋にあった椅子に腰掛けた。
そして、支給された水を少し飲み、食料を口のなかに入れた。
更にあろうことかそこで眠り始めた。よほど疲れていたのだろう。

時は流れる……
十分、二十分、三十分…
しかし、時は彼をいつまでも夢の中にいさせてはくれなかった。

バキィィィッ。

ドアの壊れる音。真中は兎のように跳ね上がってそちらに目をやった。
そこには…2メートルはある大男が腕を組みながら立っており、真中に目を向けている。
「俺の名はラオウ。一戦交えさせてもらおう。降伏は…許さん!」
強固な物言い、鋭い眼光。真中は蛇に睨まれた蛙のように圧倒され、しばらくの間何もできずにいた……

【群馬県の小屋@黎明】 【いちご100%@真中淳平】
【状態】寝起きで思考がはっきりしてない。ラオウに恐怖している。
【装備】ニューナンブ@こちら葛飾区亀有公園前派出所
【道具】水6分の1、食料1食分消費した支給品一式【思考】1この場を切り抜ける2東城達と合流する
【ラオウ@北斗の拳】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】不明
【思考】1真中と戦う。

159 :異常なる力―化け物の証 ◆c2GqfJBK2I :2005/07/04(月) 23:37:01 ID:lT1vX5jd
「――霊丸っ!!」
目の前の大木を狙い指先に霊気を込め打ち出した。
指先から放たれる光は幹を抉り中程で四散する。
「ちぇっ、これだけかよ」
幹に空いた直径5cm程の穴を見てそう呟いた。
此処に来る前までならばこの程度の木なら易々と撃ち抜けただろう。
いや、そもそも木の跡形も残らない位の威力は楽々と出来たはずだ。
その上やけに体力の消耗も激しい。
まるで昔の自分に逆戻りしたみたいだ。
浦飯幽助は手のひらを握ったり開いたりして感触を確かめた。
「だけど、これは変な武器よりゃ良いわ」
バックから六角形の物体――核金を取り出し握りしめた。
とたんに今消費した霊力と体力が回復するのが自分でも解る。
つまりは威力は弱くなったがその分回数に拘らず連射が出来る。
嫌な野郎と出会っても追い返す程度は十分だろう。
「――嫌な野郎か……」
馬鹿笑いした桑原の顔と無表情な飛影の顔が思い浮かんだ。
が、飛影の方はフンと鼻で笑うとそっぽを向いて消えてしまった。
「糞ー!思い出すだけでも嫌な野郎だ!」
だがあの飛影のことだ今頃殺し合いをしている人間をよそ目に木の上で寝ていたりするんだろう。
幽助は飛影が殺し合いを今頃楽しんでいるとは考えもしなかった。
彼が知る飛影は彼の傍にいて影響を受けたからこその姿だったとはつゆ知らず。
「とりあえずあの馬鹿でも探すか……」
あんな馬鹿でも死なれちゃ目覚めに悪い。
それにあいつの次元刀ならもしかしたら……
「俺は此処だ!気が付け桑原!!」
そう言いつつ上に向けて渾身の霊丸を放つ。
頭上に茂る枝葉を巻き込み夜空に煌めく一直線の柱。
それは脱出への期待を抱き桑原に送った狼煙だった。


160 :異常なる力―化け物の証 ◆c2GqfJBK2I :2005/07/04(月) 23:37:30 ID:lT1vX5jd
(刀か?!)
一瞬重なり合う飛影の姿。
勿論スピードは全然違うし、構えも違う。
だがその目と同じく鋭い殺気が獲物を物語っていた。
下段に構えてあったはずのソレがいつの間にか上段に切り替わっていて空中で弧を描きつつ幽助に襲いかかる。
紙一重の所で避け大気が切り裂かれる音を聞き少年の持っている獲物の正体が確信へと変わる。
「――火の玉みたいなのを打つ先輩や分身できる先輩なら知ってる。けどあんた達は根本的に何かが違う」
幽助が避けた方向へ時間をおかず二撃目、三撃目と襲いかかる。
素振り自体は根本的に剣のそれとは違い隙も多く実践では稚技に等しい。
幾らスピードが遅くなったとはいえ、間合いを一回掴んだ刀を避ける為の動体視力は未だ健在だった。
「最初の禿だって、それを殺した奴だってそうだ。そいつ等化け物が人を殺す」
「俺はむしろそいつ等をぶっ飛ばす方だ!」
少年、越前リョーマの見えない攻撃を避けながら幽助は叫んだ。
「――俺はまだ死にたくないんでね」
紙一重で避け続ける幽助の動作をステップを踏みながら瞬時に察し、その方向へと一撃を繰り出す。
「この分からず屋が!」
その一撃が額を掠め、遂に切れた幽助がリョーマの腹にフックを決める。
勿論手加減をしてる訳だがリョーマの軽い体は宙に浮いた。
「――が、がはっ……」
鳩尾に一発を喰らいその場で悶絶するリョーマ。
腹の中の物を全てその場でぶちまける。


161 :異常なる力―化け物の証 ◆c2GqfJBK2I :2005/07/04(月) 23:38:36 ID:lT1vX5jd
「テメェみたいな奴はどうとでもなりやがれ」
そう言い捨てて幽助はその場を去ろうとする。
「桑原に場所を伝えようとしたのが失敗だったか」
あまり物事を考えず行動してしまったことを後悔する。
だが、すぐさま気持ちを切り替えると桑原がいそうな方向を勘で探しそちらに進むことにする。
「!!」
だが後ろを向き一歩踏み出した所で後ろの変質した殺気を感じ取る。
さっきまでの殺気とは別人である。
まさかと思い後ろを振り向いた幽助だが、其処には意外な――否、思った通りリョーマが立っていた。
「お前も普通から比べれば十分化け物だぜ!」
手加減したとは言え先程のフックは常人なら数時間は起きあがれないだろう力はあったはずだ。
しかし、それをまともに喰らって尚、異常な殺気を向けるならば仕方がない。
左手で核金を握りしめながら、霊気を右の拳に集め始める。
核金の力により無制限となった霊気。
それの最低限の力だけ込め相手の方に拳を向けた。
「ショットガン!!」
拳から放たれる無数の光。
威力は霊丸のそれより弱く、狙いもつけにくいがその分数が多くかわすのがやっかいな必殺技だ。
流星の如く尾を引きながら何本かの光弾がリョーマに襲いかかる。
が、それを片足でスプリットステップをしながら瞬間的に横へと跳び逃げる。
そして着地する直前で何も無い筈の空間で刀を一直線に振るう。
だが同じような光景を一度目にしたことある幽助はそれの絡繰りを咄嗟に見抜き身体を半身捻る。
それと同時に自分が放ったはずの光弾が目の前を掠めて飛んでった。

162 :異常なる力―化け物の証 ◆c2GqfJBK2I :2005/07/04(月) 23:39:27 ID:lT1vX5jd
「――がっ!」
一瞬気を抜いた瞬間腹部に激痛が走る。
対するリョーマはそのまま刀が届かない筈の場所で着地した俯せの体勢のままこちらに手を伸ばしている。
「――糞っ、テメェの方が心の底から化け物だ……ぜ」
腹部から流れる血が直線を描きリョーマの方に続いている。
見えない刀の峰を伝いきる前にリョーマは刀を横へと振るい、胴を分断させると共に血を払った。
「You still have lots more to work on ... (まだまだだね)」
紅い線が次第に短くなりついには柄の前で消える。
そしてそれと共にリョーマの殺気は消え膝から地面に崩れ落ちる。
無我の境地と幻想虎徹(イマジンブレード)Lv1の同時使用。
いや、無我の境地があったからこそ幻想虎徹のLv1が使いこなせた訳なのだが、その消耗具合はリョーマの体力を極限まですり減らして尚十分おつりがくる代物だった。
(くっ……)
本能なのかそれとも核金がリョーマを呼んだのか、空っぽの体力のまま地面を這いながら幽助の方へと進んでいく。
土に汚れ、血に染まる服。
リョーマは核金を握りしめた幽助の手の上に右手を伸ばすと同時に気を失った。
二人の手の下では『XLIV』と描かれた核金が静かに次の時を待っていた。



 【宮城県の森/黎明】

 【越前リョーマ@テニスの王子様】
 [状態]:昏睡中(極度の疲労)(核金で少しずつ回復中)
 [装備]:幻想虎徹@BLACK CAT  核金『XLIV』@武装錬金
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1人じゃない(超えし)者を見つけ次第この世界の悪と見なし排除する

【浦飯幽助 死亡確認】
【残り119人】


163 :修正 ◆c2GqfJBK2I :2005/07/05(火) 00:07:39 ID:IE7KuWTQ
核金を全て核鉄に脳内修正でお願いします

164 :魁!!一護100%〜死兆星は危険な輝き〜 1/3:2005/07/05(火) 13:36:28 ID:isE2+Eos



 恐慌状態に陥った真中を覚醒させたのは、たった一つの思考だった。

(西野……東城……さつき……俺、こんなところじゃ死にたくない!)

 辛くも小屋の窓から逃げ出すものの、ラオウの腕の一振りでバランスを崩し、その場に転倒する。ひ……膝が笑って、立てない!!
泡を食いながらも体勢を立て直し、ラオウに向けて自分の支給品、警察用拳銃、ニューナンブを発砲するものの。
悲しいかな、真中淳平は悲しいまでの一般人。訓練も受けていないどころか、銃器に触れるのすら初めての彼では、
数メートル先の巨漢に銃弾を掠らせることすらままならない。逆に、銃器の反動で、自分の手首を痛めてしまう始末。
焦る真中をよそに、悠然とラオウは歩を進め、真中に近づいていく。
「フン……どのような強者がいるのかと思えば、単なる羽虫か」
 だが、その顔に張り付いているのは、これ以上ないほどの渋面。拳王たる自分が、このような塵掃除をさせられるとは!
「ウヌにこの拳王の拳は過ぎた土産ぞ!光栄に思い、死ねい!!」



「ったく、なんだってんだ!無事でいろよ、ルキア!!」
 銃声を聞き、駆けつけてきたのは一人の青年。名を黒崎一護。携えるものは白銀の盾、シャハルの鏡。
彼もまた、このゲームに放り込まれて、仲間を探しているものの一人。
(力が制限されて、霊絡が読めねぇ!更木のヤロウはゲームに乗っててもおかしくねぇし、あの藍染とかいうメガネまでいる。
 あのヤロウがまだルキアを狙ってやがったらッ!畜生、どこだ、ルキア!)
 彼の知り合いも、この『くそったれなゲーム』に招かれている。その面子をみて、一護は、このゲームが安全なものではないと
確信していた。ならば。自分に”護る”力を与えてくれた少女。朽木ルキアを、今度は自分が護ってやりたい。そして、例え、
自分と無関係な人間であろうと。目の前で襲われているのならば、そいつも護ってやりたい。青年、黒崎一護は、そう考えていた。

 そして、今。眼前に見えるのは、天を衝くような巨漢が、自分と同じ年頃の青年を殺害しようとする瞬間そのもの。

「クソッ!」

 弾かれたように、一護は速度を上げる。このままでは、あの青年は殺される。これは絶対だ。
だが……巨漢はあまりにも迅く、自分はあまりにも遠い位置にいる。見殺しにしたくはない……が、それは動かし難い事実。
(間にあわねぇ……ッ!せめて斬月が手元にあればッ!!)

そして……

「ムゥ、何奴!」

……結果として、一人の乱入者によって、真中は命を取り留めることになる。それが幸運なのかは誰も知らない。




「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!!」




165 :魁!!一護100%〜死兆星は危険な輝き〜 2/3:2005/07/05(火) 13:36:59 ID:isE2+Eos

 その場にいる、全ての存在の動きを一瞬止めたのは、銃声をも凌ぐ、鼓膜を張り裂かんばかりの大音声。

 現れたのは一護ではなかった。勿論、東城綾でも西野つかさでも北大路さつきでもない。
現れたのは。禿頭の偉丈夫、希代のカリスマ、私塾、男塾における絶対神、江田島平八その人であった。
絶対的な眼差しでラオウを見据えつつ、吼える。

「情けなくも抵抗の力の無い子供を嬲るなど、日本男児にあるまじき所業である!」
「この拳王相手にそこまで吼えるか。殺す前に、もう一度、ウヌの名を聞いておいてやろう」
「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」

 無論、平八にはこのような下らないゲームに乗るつもりなど毛頭ない。これからの日本を復興させるのは若者。
教育者としてその若者をを育成しようとして男塾という私塾の塾長となった平八にとって、数多くの若者の未来を摘み取る
このようなゲームは、決して看過できるものではなかったからだ。

 戦後はアメリカから「EDAJIMAが十人いたら戦争に負けていた」と言わしめた程の男、江田島平八を見てラオウは思う。
この男、目の前の餓鬼のような腑抜けではない!ククク、このゲームとやら、全く楽しませよるわ!
どれ、今、真に自分と戦うべき男であるのかを問うてやろう。

 既に、真中の如き羽虫の生死など、拳王、ラオウの頭からは抜け落ちていた。

「ウヌには北斗七星の脇に輝く、あの星が見えているか?」
 突然のラオウの言葉に、その場にいた全員が夜空を見上げる。
「……?何のことだ?」
 平八の心は水面の如く。
(……アレのこと?ムッチャ見えてるんですけど)
 真中は内心穏かではなく。
「フフフ……ハハハハハハハハハハ!!どうやら貴様はまだ俺と闘う運命には無いらしい!次に会う時まで、その命、預けておくぞ!」
 自分と戦えば、相手は間違いなく死ぬ。だが、平八に、死を告げる星、死兆星が見えていないということから、ラオウは判断する。
どうやら、今は闘うべき時ではないらしい。そして、平八の返事を待つこと無く、世紀末覇者は踵を返す。
威風堂々、その足取りは王者の如く。
「フフフ…いいよるわ」
 平八のラオウを見送る目、それは百年来の強敵(トモ)に出会ったかのようで。
「……俺、助かったの?????」
 真中の頭上の星、北斗七星の補星である「死兆星」は何故かさらにその輝きを増す。

「いや、ワケわかんねぇよ……」
 一護の呟きは、誰にも聞き取られること無く……




166 :魁!!一護100%〜死兆星は危険な輝き〜 3/3:2005/07/05(火) 13:37:40 ID:isE2+Eos

【群馬県の小屋周辺/黎明】

【いちご100%@真中淳平】
【状態】手首捻挫:放心状態
【装備】ニューナンブ@こちら葛飾区亀有公園前派出所
【道具】水6分の1、食料1食分消費した支給品一式
【思考】放心状態


【ラオウ@北斗の拳】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明
【思考】1.いずれ江田島平八と決着をつける
    2.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)

【江田島平八@魁!!男塾】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明
【思考】1.「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
    2.「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」

【黒崎一護@BLEACH】

【状態】健康 :半茫然自失(名簿に写真がないため、メガネ藍染かオールバック愛染かは知らない)
【装備】シャハルの鏡@ダイの大冒険
【道具】支給品一式
【思考】1.目の前で襲われている奴らがいたら助ける
    2.朽木ルキアとの合流



167 :いちご白書@ ◆J0AgZudC2w :2005/07/06(水) 02:02:06 ID:hGBv8PbR

――――ようやく町らしきものが見えてきた。
試合開始から約2時間。
雑木林や荒れ地を歩き続けてきた跡部景吾は、建物の集合体らしきものを視認しため息をついた。
現在地を確認するために地図を広げる。
(なんで俺様がこんな目に……)
舌打ちをし、地図とコンパスを照らし合わせる。
日本を縮小したようなこの島で、今、自分はどうやら九州・福岡の辺りにいるらしい。
用心深く周囲を見渡し人気がないことを確認した跡部は、町の端にあった派出所に入り込んだ。
適当な椅子に腰掛け、これからのことを思案する。
(冗談じゃねぇぜ…ったく…)
あの大広間に集められた参加者の中には、見た目からして明らかに人間とは思えないような奴らもいた。
おかしな力を使っていた禿の大男があっさり殺されたことから、見た目は人間でも不思議な力を持つ者も多くいるだろう。
(こんな所で死ぬなんざ、ごめんだぜ)
しかし現実問題、生き残るには非常に厳しい状況だと言わざるを得ない。
跡部は、テニスをやらせれば超人的だし普通の中学生よりは体力も知識もあり、頭の回転も早い。
だがそれはあくまでも“普通の中学生よりは”というレベルであって、この人外が多く集められた殺し合いの場では弱者の部類に入るだろう。
だからと言って誰かにむざむざと殺されるのは気にくわないし、自殺という選択肢も癪に障る。
決断力に優れる氷帝学園の帝王も、さすがにこの異常な状況下では自分のこれからの行動を決めかねていた。
二度目の舌打ちをし、少しだけ水を飲む。
大広間を出てすぐに確認した名簿には、知っている名が二つあった。
青春学園テニス部のデータマン・乾貞治と生意気なルーキー・越前リョーマである。
実はこの名簿には、もう一人、跡部と関わりのある人物である竜崎桜乃の名も載っていたのだが、生憎、跡部は彼女の顔も名前も知らなかった。
もっとも、知っていたところで彼女はすでにこの世の人ではなかったのだが……。
(とりあえず、乾と越前を捜すか)
目的もなく歩き回っては無駄に体力を消耗するだけだ。
殺し合いに参加するのか。
脱出を目指すのか。
決めるのは二人を見つけてからでも遅くないだろう。
(後は…武器と情報だな)
二人を捜すのに、現状の状況を把握していない状態では危険だ。
この殺し合いに乗っているヤツはいるのか。
脱出を目指しているヤツはいるのか。
誰がどういった力と武器を持っているのか。
こういった情報は持っていると持っていないとでは大違いだ。
それを得るためには人と接触した方がいいのだろうが、身を護るものが何もない今、それは自殺行為だろう。
ナルシストで性格悪、と評されてはいるがしっかりとした精神力を持っている跡部は、自身の状況を的確に判断していた。
三度目の舌打ちをして、制服の胸ポケットを探る。
跡部に支給されたのは、小さな石だった。
説明書には、
『アバンのしるし:アバンが弟子に卒業の証として与えた物。輝聖石で出来ている』
とあるが、まったく意味がわからない。
わかることといえば、この石が戦闘には何の役にも立たないということだけだ。
四度目の舌打ちをし、とりあえずアバンのしるしを再び胸ポケットにしまう。
支給された物が役に立たない以上、どこかで身を守るための武器を調達しなければならない。
ここは派出所だ。
拳銃の一つでも転がっていたら儲け物なのだが……。
立ち上がった跡部が屋内を見渡した時、微かに誰かの足音が聞こえた。
とっさに息を殺し、棚の影に身を潜める。
自分の知っている常識を遙かに超えた現状だ。用心に用心を重ねるにこしたことはない。

足音が、派出所の前で止まった。

168 :いちご白書@ ◆J0AgZudC2w :2005/07/06(水) 02:03:55 ID:hGBv8PbR
「其処にいるのは誰だ」

低い声で問いかけられ、跡部は身を硬くした。
「そこにいるのはわかっている。出てこい」
……なぜ、自分が居ることがわかったのか。
そもそも、本当に自分のいることがわかっているのだろうか。
はったりかもしれない。
だが、相手は人間外の存在だったら…。
一瞬だけ迷い、跡部は影から足を踏み出した。
今の跡部は、戦う術も身を守る術も、何も持っていない。
派出所の入り口で真っ直ぐに立っているこの男が、武器を持っていたり超常的な力を持っていたりした場合、自分は一瞬にして殺されてしまうかもしれない。
それでも跡部は臆することなくその男と向かい合った。
無様に逃げたりするくらいなら潔く死を選ぶ――――。
死にたくないとは思うが、醜態を晒すくらいなら死んだ方がマシだ。
200名から成る氷帝学園テニス部の頂点に立つ跡部の山よりも高いプライドが、そんな選択をさせたのだ。
「てめぇこそ誰だよ」
こんな状況に置いても、跡部の偉そうな態度は直ることはない。
だが相手はそれを気にする様子もなく、平然と口を開いた。
「俺は一輝。聖闘士だ」
そう名乗った目前の人物は、背格好は自分とそう変わらない男だった。
とりあえず、見た目は人間に見える。
「……色々とツッコミたいところだが、それは後にしておいてやるよ。……てめぇにいくつか聞きたいことがある」
「俺はアテナの聖闘士だ。ハーデスの野郎がどういう訳か生き返ったらしいな。今度こそ確実に倒してくれる」
……微妙に会話が噛み合わない。
この一輝という男、言語障害でもあるのか?
眉をひそめた跡部が更に質問を重ねようとしたその時。
「あ〜〜っ!!ハラへったってばよ〜!」
脳天気なんだか切羽詰まっているんだかわからない大声が聞こえてきた。
同時に、近づいてくる足音もする。
跡部は再び隠れるべきか迷ったが、目の前にいる一輝があまりにも平然としているので結局そのままの体勢をキープすることにした。
(チッ…どうとでもなりやがれ!)
五度目の舌打ちをし、覚悟を決める。
緊張感に欠ける大声を発しながら、足音は近づいてくる。
「……誰だ?」
足音が止まった。
一輝を挟んで跡部の目も前に現れたのは、金髪の少年だった。
跡部や一輝よりは少し小柄で、見た目は人間だ。……とりあえずは、だが。


跡部景吾、15歳。
一輝、15歳。
うずまきナルト、15歳。


奇しくも、同じ年の少年が揃った瞬間であった。

169 :いちご白書@ ◆J0AgZudC2w :2005/07/06(水) 02:05:07 ID:hGBv8PbR
【福岡県都心部の東端にある派出所前/出発から約2時間後】


【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
【思考】1.一輝から現状の情報を得る
     2.身を守る武器を手に入れる
     3.乾と越前を捜す


【一輝@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
【思考】ハーデスを倒す


【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】健康 ただし空腹
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み。支給品は不明だが、本人は確認済み)
【思考】1.食欲を満たす
     2.サクラ、シカマルを探す
     3.主催者をやっつける

170 :狼牙の受難 1/5:2005/07/07(木) 00:53:24 ID:hcCQ+ZQ5
女性の悲鳴が聞こえてから程なく、轟音がヤムチャの鼓膜を震わせた。
何かが爆発したような音だ。
悲鳴の主を助けに行こうか悩んでいたヤムチャだが、その爆音を聞いて頭を振る。
「畜生、やっぱ止めだ! 
 格好つけるより命が優先だぜ! 逃げる!!」
そして入り口のドアノブに手を掛け……思いとどまる。
先ほどの音は意外に近辺から聞こえてきた。
今外に出て発見されれば薮蛇もいいところだ。
ここは襲撃者が通りすぎるのを待つべきか……。
ふと気付く。
ここは京都の市街からははずれにある民家だ。
隠れるにはいい場所だが、襲撃者もそう思うのではないだろうか?
『……そうだ、この場所に襲撃者が目をつける可能性は高い』
発見されるのを覚悟で外に逃げるか、鉢合わせを覚悟で潜伏を続けるか。
どちらが正解の道なのか……ヤムチャは悩み続けてとうとう結論を出した。
椅子にドカリと座って、大きく溜息をつく。
潜伏を選んだ。
決断したわけではない。悩んでいるうちに時間ばかりが過ぎてしまったため、
今更逃げても意味はないと結論したからだ。
つまりは優柔不断の賜物であった。
一息つこうとテーブルの上の壷に付属していた湯呑みを手に取り、壷の中身を注ぐ。
そしてそれを口につけようとして……
「うおおおおおおっ!!
 あ、危ねぇ……思わず超神水を呑んじまうとこだったじゃねぇか……!」
何とか湯呑みをこぼさずにテーブルに置くと、全身から冷や汗が溢れ出てきた。
自分の間抜けさに呆れ果てる。
『足元どころか脳みそもお留守かよ俺は……とにかく落ち着け、俺』
必死に自分に言い聞かせ、深呼吸を数回繰り返す。
「よし、落ち着いた」
そしてヤムチャの心臓が―――

ガチャリ

――― 一回飛ばして打った。
全身を硬直させたまま、機械の様にギギギと首を回し入り口のドアノブを見やる。
しばらく見つめるが異常はない。
気のせいか――と、思った瞬間。

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャッ!!

ガタタンッ

今度は連続でノブが鳴り、ヤムチャは驚いて椅子を蹴飛ばしてしまう。
そしてそれと同時にノブも鳴るのをピタリと止めた。
ヤムチャは自分の愚かさをこの時ほど呪ったことはなかった。
全身から脂汗を噴出させてヤムチャはドアの前にいる存在に神経を集中させる。
チラリと後ろを見て、退路を確認してみる。1m四方の窓があった。
いざとなればその窓をぶち破って逃げ出すしかない。

―――コン、コン

ノックの音が響く。
ヤムチャは応えない。
猫足立ちに構え、いつでも動けるように体勢を整える。
すると――

「あの、夜分に申し訳ありません。私は姉崎まもりと申します。
 今、暴漢に襲われて逃げてきたところなんです。
 お願いします、警戒するのは解りますけれどどうか匿って貰えないでしょうか?」

171 :狼牙の受難 2/5:2005/07/07(木) 00:54:07 ID:hcCQ+ZQ5
若い女性の声。その声にヤムチャは聞き覚えがあった。
『さっきの悲鳴と同じ声……か?』
何分聞いたのが悲鳴なので判断が難しい。
それに何か違和感が粘りつくように頭の中に残る。その違和感の正体は判らないが。
しかし、その証言と状況は一致する。
ここは同一人物と判断してもいいかも知れない。
だが今ここで問題なのは、襲撃者だ。
ここでヤムチャは意を決して尋ねてみることにする。
「その、あんたを襲った暴漢とやらはどうした?」
「何とか……撒けたと、思います。
 しかし今も私を探しているでしょう。
 お願いです! 私を助けてください!」
最期の方は涙声になっていた。
流石に罪悪感と同情心がヤムチャに芽生える。
自分の身を優先する余りに、か弱い女性にこんな仕打ちをしてしまうとは……。
ヤムチャは自分の行いを上辺だけ恥じ、ドアノブに手を掛ける。
「すまない、不安だったろう。さぁ入って!」
ドアを開けるとそこにはヤムチャのストライクど真ん中の美少女が目に涙を溜めて立っていた。
余程怖かったのであろうか、そのままヤムチャの胸に飛び込んでくる。
『ウホッ♪』
ヤムチャは思わぬ役得に、相好を崩す。
「怖かっただろう……今からは俺が君を護るから安心して……」
まもりの肩に手を回そうとして、身体の動きが鈍いのに気が付いた。
「?」
何故だか脇腹の辺りが熱い。
それを自覚した瞬間、その熱さは灼熱へと変わりヤムチャの全身を貫く。
その灼熱がナイフで刺された痛みだと理解し、ようやくヤムチャは違和感に思い当たった。

『警戒するのは解りますけれどどうか匿って貰えないでしょうか?』

――今、暴漢とやらに襲われたばかりなのに
――こんな殺し合いなんて異常な状況に放り込まれているのに

 何 故 彼 女 の 方 が 警 戒 し な い ?

それは彼女の方が襲撃者だから――。
ヤムチャは自分の愚かさを海よりも深く後悔しながら、床に倒れ伏した。
まもりは扉を閉め、ヤムチャを部屋の中央まで引っ張っていく。
「……ぐっ、ち、畜生……頼む、助け……」
「あなたも、喋れるんですね。
 それともこういう毒なのかな?」
まもりはヤムチャから手を離すと、不思議そうに血の付いたナイフを見やる。
ヤムチャは全身が痺れ、感覚が殆ど無くなって意識も霞がかっていたが
いまだ気を失ってはいなかった。
痺れのおかげで痛覚も鈍くなり、何とか助かろうと考えをめぐらす。
しかし――まもりにナイフを喉元に突きつけられ、言葉を失くした。
「ごめんなさい……こんなこと本当はしたくないんですけど……仕方ないんです。
 質問に答えてください。あなたは小早川セナという少年を知っていますか?」
突然の質問にヤムチャはブルブルと慌てて首を振る。
そしてヤムチャは心底から震え上がった。
『ごめんなさい』
普通ならこの状況でこんな言葉をかけられても白々しいと考えるところだが、
ヤムチャには解ってしまった……この少女は 本 気 で謝っている!
それは彼女が正気であることの証明。
しかし行動そのものはこの殺人ゲームの狂気に囚われたとしか思えない。
狂気の領域にいながらにして正気を保っている。
その彼女の精神の危うさにヤムチャは絶望を垣間見る。

自分はもう――助からないかも知れない。

172 :狼牙の受難 3/5:2005/07/07(木) 00:54:54 ID:hcCQ+ZQ5
まもりはそのヤムチャの答えに落胆したようだが、次の質問を開始する。
「あなたの知り合いと、その弱点になり得ることを教えてください」
ヤムチャは考える。
この女は悟空たちも自分のように罠にはめて殺そうとしている。
なら嘘の情報を教えてしまえば……。
ヤムチャはニヘラ、と愛想笑いをして、偽情報をまもりに吹き込んでいく。
ヘラヘラと笑いながら調子に乗って喋っていると、突然右の小指を切り飛ばされた。
「うぎゃぁああああああ!?」
痛みは鈍い。しかし自分の指が目の前で切断されるのを見て正気でいられる筈もない。
怯えながらまもりを見ると、哀しそうな表情でこちらを見つめていた。
「ごめんなさい……でも、本当のことを教えてほしいんです。
 あなたの先ほどからの言葉は少しも信用ができませんでした……。
 仲間を想う気持ちは解ります。でも私も必死なんです。
 どうかお願いします――」
ペコリ、と頭を下げるまもりを見て。
ヤムチャは喋った。
今度こそ真実の情報を。
内から湧き出る恐怖に押し出されるかのごとく、湯水のように吐き出した。
その情報をまもりは脳内に書き込んでいく。
必要なことを全て記憶し、今度はヤムチャの支給品について尋ねた。
その時、ヤムチャの脳内に電球が浮かび上がる。
机の上の超神水。説明書は自分の胴着の懐だ。
まもりがその詳細を知るには自分の口をもってするしかない。
『よくもさんざん嬲ってくれたな。報いを受けさせてやるぜ!』
「つ、机の上にある壷に入った水がそうだ……
 飲むと自分の中に隠された力が目覚めるらしい。
 あ、あんたは見たところ普通の人間みたいだが
 その水を飲めば、超人になれるぜ?」
嘘は言っていない。
毒に耐えるだけの素質があれば超人になれるはずだ。
しかし目の前の少女にはどう見ても毒に耐性があるようには見えない。
「そうですか……」
まもりは机の上にあった湯飲みを手に取る。
『やった! こっちを疑っていない!
 そのまま飲んでくたばっちまえ!!』
ヤムチャは必死に頭の中で念じる。
すると、まもりはクルリとヤムチャのほうを振り向いた。
ビクっと硬直するヤムチャ。
「じゃあ、ヤムチャさん……これが最後のお願いです」
『最後? 最後ってことはこれで解放されるのか?』
僅かな希望に顔を輝かせる。
「この水を飲んでみてください」

――時が……止まった


……そして時は動き出す。
「え?」
「この水を飲んでくださいと言いました」
「え? いや、でも。
 それ飲むと俺の隠された力が目覚めてアンタに危害を加えるかも……」
「そうですね。でもあなたが強くなったからといって
 その全身を侵している毒を消せるとは思えないんです。
 どうかご心配なく」
まもりは湯飲みを手にしたままゆっくりとこちらへ近づいてくる。
状態を起こされ、湯呑みがヤムチャの唇に近づく。
「ま、待て! やめてくれ!」
「どうしてですか? これであなたは強くなれるんでしょう?」
「そ、それは……」

173 :狼牙の受難 4/5:2005/07/07(木) 00:55:47 ID:hcCQ+ZQ5
まもりの右手がヤムチャの左頬を撫でる。
その手がヤムチャから離れたとき、その手にはいつの間にかナイフと、
奇妙な何かが指の間に挟まれていた。

――それは……ヤムチャの左耳だった。

「うぉぉおおおおおおおおおおおおっ!!」
血がダラダラと顎を伝って胴着を朱に染める。
「どうしてですか? これであなたは強くなれるんでしょう?」
先ほどと一言一句同じ質問。しかし威圧感は全く別物だった。
観念したヤムチャは超神水の毒性も、説明書のことも全てを話す。
悟空だけしか成功者がいないと後から伝え聞いたことも。
「そうだったんですか……」
まもりは説明書に目を通しながら、深く頷く。
「それじゃあ、今度こそこの水を飲んでください」
「ちょ、ま、さっき説明しただろう?
 俺には超神水の毒に耐える自信なんてない!
 頼む、助け……」
「私もこの水の毒がどういったものなのか知る必要があるんです。
 私があなたに要求することはこれが最後です。
 どうかお願いします」
そう言いながら、まもりはヤムチャの鼻をつまみ超神水を
ヤムチャの口に流し込んでいく。
身体の自由が利かないヤムチャはろくに抵抗することも出来ない。
「がぼっ、ぐぼぼ……グクンッ――プハッ、ケホッケホッ」
飲み込んだ。そして少しの間咳き込む。
「あれ?」
なんともない。
『まさか俺には悟空に匹敵する才能があったのか!?
 いやっほ……』
脳内で歓声を上げようとして、突如襲ってきた激痛に思考が中断される。
最初にナイフに刺されたときの痛みなど比ではない、
全身を焼けた鉄串で滅多刺しにされるかのような激痛。
「がっ……!ぐあ、ぎぇええ……!!」
全身が麻痺しているため暴れることも出来ない。
身体を痙攣させながらヤムチャは必死に声を絞り出す。
まもりは少し離れた場所で恐ろしそうにヤムチャの様子を見守っていた。
涙を流し、鼻水をたらし、涎を垂れながらヤムチャは白目を剥いた。
時折、思い出したように身体がビクッと痙攣する以外は
もうピクリとも動かない。声も上がらない。
山吹色の胴着の股間あたりから湯気と液体が染み出してくる。
まもりは一つ、溜息をつくと超神水をカプセルに戻してデイパックの中に入れた。
入り口のドアを開け、思い出したかのように振り返る。
「ありがとうございました。
 嘘でも私を護るといってくれて嬉しかったです……さようなら。
 そして、本当にごめんなさい」
ヤムチャに向かって深々とお辞儀をする。
そして――

キィィィィーーーーパタン。

まもりはその場を後にした。



174 :狼牙の受難 5/5:2005/07/07(木) 00:56:55 ID:hcCQ+ZQ5


その時、まもりは一つのミスをしたと言えるかも知れない。
それはヤムチャの死を確認しなかったこと。
彼はここまで精神と肉体を蹂躙されながらも未だ生きていた。
麻痺毒で暴れることが出来ず、結果体力の消耗を抑えられたのが
一つの幸運だったかも知れない。
気絶して痛みを遮断できたのが一つの幸運だったかも知れない。
その結果、仮死状態となり身体機能が低下したため
傷口からの出血が止まったのが一つの幸運だったかも知れない。
そしてそれは……生きようとする狼の執念だったかも知れない。
ともかくヤムチャの命運は未だ尽きてはいなかった。
しかし例え目覚めても精神に傷を負っているかも知れない。
このまま彼が目覚めることなく黄泉の眠りにつくのか……
それとも新たな力に目覚め、立ち上がるのか……

それは誰も知らない。


【京都府 (1日目)/黎明】
【姉崎まもり@アイシールド21】
 [状態]:若干の疲労
 [装備]:後期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター
 [道具]:魔弾銃@ダイの大冒険 空の魔弾×1
     メラミ×1 ヒャダルコ×2 イオラ×2 キアリー×2 ベホイミ×2 
     超神水@ドラゴンボール
     支給品一式、食料3人分
 [思考]:セナ以外の全員を殺害し、最期に自害

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
 [状態]:仮死状態 麻痺毒 超神水の試練中 失禁
     右小指喪失 左耳喪失 左脇腹に創傷 中量の失血
     現在は止まっているが活動を再開すれば再び出血の可能性アリ
 [装備]:無し
 [道具]:バックと食料・水を除く支給品一式
 [思考]:………

※ヤムチャの麻痺毒は例え目覚めても解毒されませんが、解毒自体は可能です。
 超神水の毒は試練が終了するまで決して消えません。
 目覚めても精神的疾患を負っている可能性があります。

175 :狼牙の受難 状態表訂正:2005/07/07(木) 01:45:15 ID:hcCQ+ZQ5
【京都府 (1日目)/黎明】
【姉崎まもり@アイシールド21】
 [状態]:若干の疲労
 [装備]:後期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター
 [道具]:魔弾銃@ダイの大冒険 空の魔弾×1
     メラミ×1 ヒャダルコ×2 イオラ×2 キアリー×2 ベホイミ×2 
     超神水@ドラゴンボール
     支給品一式、食料・水3人分
 [思考]:セナ以外の全員を殺害し、最期に自害

【ヤムチャ@ドラゴンボール】
 [状態]:仮死状態 麻痺毒 超神水の試練中 失禁
     右小指喪失 左耳喪失 左脇腹に創傷 中量の失血
     現在は止まっているが活動を再開すれば再び出血の可能性アリ
 [装備]:無し
 [道具]:無し
 [思考]:………

※ヤムチャの麻痺毒は例え目覚めても解毒されませんが、解毒自体は可能です。
 超神水の毒は試練が終了するまで決して消えません。
 目覚めても精神的疾患を負っている可能性があります。



176 :暴走列島そのいち ◆XksB4AwhxU :2005/07/07(木) 23:01:30 ID:e33Mtx6A
「銀さああああァああん!!神楽ちゃあああーーーーん!!聞こえたら返事してくださーい!!」
1人の少年が風を切って走っていく。眼鏡が曇るほどに顔を上気させてペダルを漕いでいる。
鬼気迫る表情だった。滝のような汗。激しい呼吸の合間に声を上げ続ける。
「ドコですかァ!!聞こえたら返事してくださギブッ!!」
少年は舌を噛んだ。口の中に血の味が広がる。思わぬ痛みと勢いでバランスを崩した彼は
あっというまに自転車から放り出される。。
次の瞬間、芸人も真っ青で逃げ出すスピードで少年は荷物とともに道路を転がった。
自転車は土手を駆け上り一転二転して転げ落ちた。閑散とした道路にガシャーンと金属音が響く。

志村新八はゲーム開始から休みもとらずにかれこれ5時間近く支給品の自転車にまたがり爆走していた。
とにかく呼ぶ。呼んで探す。それしか浮かばなかった。思いつく前に新八は走り出していた。
銀さん、神楽ちゃん、沖田さん・・・途方に暮れるのは足腰立たなくなった後でいい。
体力の続く限り銀さん達を探そう―――。
探しながら全力でかぶき町を目指す。互いの居場所すらのわからない以上そこへ行くしかない。
万屋銀ちゃんの本拠地。関東の江戸。地図には何故か東京と表記されている場所に!
カラカラカラと倒れた自転車の後輪が回る。
「・・・・・・・・」
肺が、全身が焼けるように熱い。自分の汗の蒸気で眼鏡が曇って空も見えない。
ふいに孤独感が身体を突き抜けた。
ここは一体なんなんだ?地図と道路看板のおかげで自分の現在位置はなんとかわかるものの
支給された日本地図の不自然さに新八は疑問をもたずにはいられなかった。
あのバーンだかフリーザだかいう変な服装の天人が作り上げたのだろうか。
湿った夏の風が吹き新八の身体も冷えていく。
一心不乱に前だけを見て走ってきたが疲労に飲まれ止まってしまったいま
新八は自分が1人である事実に酷くこたえていた。
今日中に見つかるだろうか。夜になるまでに自分は彼等を探し出せるだろうか。
「銀さん・・・神楽ちゃん・・・早く出てきてよ・・・
僕がいないで誰がアンタらに突っこみするんだよ・・・・・」
心細さに再び眼鏡が曇る。


いつまでも休んでるわけにはいかない。向こうもきっと必死で僕を探している。
銀さん――糖分切れで廃人になっていないだろうか。
神楽ちゃん――酢コンブ切れで誰かを困らせてないだろうか。
いま、僕が行くからね。3人そろっての万屋じゃないか。
新八はなんとか呼吸を整えながら土手に転がっている自転車に向かう。


「良かった・・・どこも壊れてないみたいだ」
驚いた事に自転車にはかすり傷ひとつ付いていなかった。なんて頑丈な材質でできてるんだろう
新八はハンドルに手を伸ばした瞬間、自分の指が妙な方向に折れていることに気がついた。
「・・・・・・・・ぎゃあああああ!!曲がってるゥ!!曲がっちゃいけない方向向いちゃってるゥゥ!!」





177 :暴走列島そのに ◆XksB4AwhxU :2005/07/07(木) 23:04:27 ID:e33Mtx6A
越前リョ―マは山陽自動車道を京都方面に向かって北上していた。
4月にアメリカから帰国したばかりで日本の地理に関して
全く疎かった越前は思案のあげくこの国の血管ともいえる高速道路を選んだ。
案内板を見ながら進んでいけば最短の距離で迷うことなく東京に行ける。
そしてやけに山や森林が多い日本でこのウェイバーをより早く走らせるためにも
それが最適の道といえた。
「まったく全国大会前だってのに」
馬鹿馬鹿しい事に巻き込まれたな。越前はため息をつくとウェイバーのスピードを上げた。
タイヤすらついてない奇妙な乗り物だが慣れれば快適なものだ。
越前は前方に人間がいる事に気がついた。

「んだよチックショー!!僕が何したってんだよォォ!」
その眼鏡は・・・もとい眼鏡をかけた少年は怪我をしているのか右手を押さえて転げまわっていた。
越前はウェイバーを道に倒しておくと眼鏡少年の顔を覗き込んだ。
「・・・・・何やってんの?」
「うっうわらば!き、君こそ何やってんのォ!?こんなところでェ!!」
「あ・・・」
眼鏡もとい新八は反射的に立ち上がり後ずさるも足がもつれてまたコケた。コントのようだ。
「大丈夫っスか?」
あきれたような顔で越前は再び新八に近づいた。
「だ、大丈夫さ・・・むくくくく」
新八は痛みに顔をピクピクさせながら答えた。
「痩せ我慢は止めた方がいいっスよ。骨折してるじゃないスか、ソレ」
「言わないでよ!見ないようにしてるんだから言わないで!このまま無視させてェ!」
眼鏡から、いや眼鏡の下から滝のような涙が噴出している。鼻水も。越前は小さくため息をつくと
自分のデイパックからサービスエリアで失敬してきた観光名所の名前入り手ぬぐいをとりだす。
そして小さな爪きりで軽く端を切りそこから細かく裂き始めた。
「とりあえず固定するから痛くても我慢してください」
言うなり越前は新八の曲がった数本の指を無理矢理元に戻しこれまたサービスエリアで失敬してきた
観光名所ペンケースに動かないよう右手全体を手ぬぐいで縛り付けた。
「おんぎゃああああああああああ!!!」
「腕や脚も酷い擦過傷っスね。マキ○ンで洗うから静かにしててください」
「おんぎょおおおおおおおおお!!!やめて!せめて水でお願い!!」
「我慢してください。水は貴重っスから」
越前の冷たい声が響く。行動は親切だが容赦がない。
薬品より水が貴重とは変な話だが立ち寄ったどのサービスエリアでも水道が止められ
自動販売機(とりあえず石で壊してみたが)も中身はもぬけの殻であった。
食料を期待して立ち寄っただけにその事実は痛かったが、ないよりマシとばかりに
売店で詰めた小物が役に立ったのは幸運だ。護身用の武器になりそうな物も置いてなかった。
駐車場にある持ち主不在の自動車類も鍵がなければただの箱だ。

怪我人の多発するテニス部に所属している越前はスポーツ事故や障害に対しての
簡単な応急処置術は心得ていたし血には慣れていた。
ただ、大抵は手当てをしてもらう側なので処置に関しては多少強引であった。



178 :暴走列島そのさん ◆XksB4AwhxU :2005/07/07(木) 23:07:51 ID:e33Mtx6A
「ええ!?それじゃ君も江戸・・・じゃなかったヒガシキョウを目指してるの」
「ヒガシじゃなくてトウ。トウキョウと呼んでください」
「トウキョウねぇ」
東の京と書いて東京。右腕と左腕と右足左足両頬含め着物から出ている素肌の擦過傷の手当てを終え
半ミイラ男状態となった新八は越前と向かい合っている。群青と白の見慣れぬ洋装の少年。
「それでその・・・越前くんは住んでた東京に帰りたいと」
「この世界の東京にいったって家には帰れないでしょ。俺には俺と同じにこの世界に飛ばされた
仲間がいてどこにいるかわかんないから適当に東京目指して走ってるだけっスよ」
「見つけるアテはあるんですか?」
「なーんもないっス」
越前は無表情にそう言った。子供らしからぬ落ち着きだ。夢だと思ってるんじゃないか?
思わず新八は疑う。
「僕もつれがいて探してるんだけどなかなか見つからないんだ。若白髪で糖尿病持ちの銀さんて人と
神楽ちゃんていう怪力でツッコミの激しい、君と同じくらいの年の女の子。真選組の沖田さんて人も。
越前くん、走ってて誰か見かけなかった?」
「悪いけど俺、この世界で人間に会ったのはアンタが初めてです」
新八はがっくりと肩を落とした。
「こんな馬鹿なゲームで誰かが死ぬとは考えたくないけど、もし、万が一、帰るために
ゲームに賛同する人間がいたら・・・・」
自分は戦えるだろうか。剣術の腕前は褒められたものではないが万屋の仕事に関わっていくうちに
多くの荒事をこなしてきた。銀時ほどではないが乱闘には慣れている。
だが、殺し合いとなれば話は別だ。主催者に逆らわないまでも殺気を放ち続けた
狂相の化物たち。あいつらと戦う?僕が?マジで?丸腰で?

179 :暴走列島そのよん ◆XksB4AwhxU :2005/07/07(木) 23:10:00 ID:e33Mtx6A
神楽より年下の子供だっていたのに。
新八は震えた。このゲームが持つ本当の恐怖が見えた気がした。

「あああっもうっ!なんでこんなことに・・・」
「悩んでるとこ悪いんだけど――」
先進みませんか。越前は立ち上がる。帽子をかぶりなおすと倒してあったウェイバーを起こした。
「ここで休むのは暑いっスよ。次のサービスエリアまでこの自転車ロープで引っ張りますから
うまくついてきてください」
「は?引っ張ってくれるの?それは有り難いな」
越前は手際よくロープ(これは駐車場で失敬した物)でウェイバーと自転車を結ぶ。
「アンタを後ろに乗せてもいいけどこれ一人用なんだよね」
「いいよいいよ」
新八はふと越前の心遣いに感心した。見知らぬ相手に、それもこんなゲームに参加しているにも拘らず
警戒もせずに淡々と自分の話を聞いてくれた。傷の手当てだって当然のようにしてくれた。
新八は自分が礼を言っていないことに気づく。その時越前の口が開いた。
「こんなフザけた馬鹿みたいなゲームに参加するヤツなんかいないっスよ。
人の心配するより自分の心配しなよ。今アンタが倒れてもアンタの仲間は助けに来れないんだから」
少し苛ついてる口調で越前は言う。
「俺はとりあえず東京を目指すけど俺の仲間の情報が手に入ったら迷わずそっちに行く。
ずっとアンタの宅配するわけにはいかないんだよ」
宅配って人を荷物みたいに言うなよ・・・新八は心の中で突っこんだ。
「そこまで君に面倒見てもらおうなんて思っちゃいないよ!勝手に怪我したのは僕なんだ
自分の面倒は自分で見るさ!」
「そーして下さい」
越前はニヤリと笑った。なんだ、元気じゃん。と呟いたのが聞こえた。
「きみ・・・いい人だね」
「・・・・・・どーも」
越前は帽子で表情を隠した。照れ隠しがヘタだな。新八は微笑んで自転車にまたがった。
右手が動かないよう触れないように細心の注意をして。
「あーそれから新八さん。このウェイバーは風を噴出して走る仕組みらしいんすけど
眼鏡飛ばされないようにしてください」
「え?ブッ」
動き出したウェイバーの風が新八を直撃した。
眼鏡どころか身体ごと吹き飛ばされそうな勢いだ。右手の事など構っていられず新八は
あわてて自転車にしがみついた。越前のクールな「行きますよー」の声と同時に
「ノォォォォーーー!!」
新八の絶叫が道路に響いた。



【兵庫県(1日目) 山陽自動車道のどこか/出発から5時間】

【志村新八@銀球】
 [状態]:中度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 両さんの自転車@こち亀
 [思考]:仲間との合流。かぶき町(東京)を目指す。
    とりあえず休憩したい。

【越前リョ―マ@テニスの王子様】
 [状態]:心身ともに健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
    爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ)ウェイバー@ワンピース
 [思考]:仲間との合流。情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
    怪我人を休憩できるところへ送る。

180 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/07(木) 23:11:19 ID:Wjo28YGN
>159-162はNGです

181 :近づく誤解:2005/07/08(金) 18:00:59 ID:8SNAUdWV
神谷薫は震えていた。
唇を、怒りを、悲しみを噛み締めながら。血で真っ赤に染まった胴着のまま。

薫の目の前には少女が横たわっていた。瞳を閉じ、頭から血を流して。
脈は無い。薫が少女に気付き、駆けつけて抱きかかえたときにはもう手遅れだった。
まだ温かい体。けれど、徐々に冷たくなっていくのを感じる。
薫は少女、稲葉郷子の手を強く握り締めた。体温を少しでも分け与えようとするかのように。
恐怖はあった。困惑もあった。
けれどそれ以上に、薫の胸は怒りと悲しみでいっぱいだった。

きっと弥彦と同い年くらいだろう。まだ本当に子供だ。子供なのだ。
そんな子供が、どうして、こんな目に会わなければいけないのだろう。
弥彦のように、この子にも夢があったはずだ。
自分が弥彦を想うように、この子を大切に想っている人がいるはずだ。それなのに…。

郷子の頬を優しく撫でてから、薫は静かに立ち上がった。
このままここに居るわけにはいかない。
剣心や斎藤を探さなくてはいけないし、何らかの理由で犯人が戻ってくるかもしれない。
けれど、郷子をこのままにはして行く気にはなれなかった。
このまま死体を晒し続けるのは可哀想過ぎる。せめて埋葬ぐらいしてやらなくては。
そう考え、出入り口の方を見て―――ぎょっとした。
一人の男が、出入り口のど真ん中に立ち、こちらをじっと見つめていたからだ。
大柄ではないががっしりとした体躯。固く結ばれた口元。鋭い眼光が薫を睨んでいる。
まさか、犯人が戻って―――?
薫がその可能性を考えた瞬間、男は歩き出した。薫に向かって一直線に。

進清十郎は別に睨んではいなかった。元々こういう目付きなのだ。何やら物音がして、見たら薫が居たというだけのこと。
進清十郎は郷子に気付けなかった。死体が物影にあったからだ。彼が現在見ることができるのは、物影から姿を現した薫の上半身のみ。
進清十郎は薫に危害を加える気は毛頭なかった。郷子の血で染まった薫の服を見て、怪我をしていると思い歩み寄っているのだ。
それならば何か話しかけながら近づけばいいものを、進清十郎は残念なことに寡黙だった。

薫は傍に置いていた支給品、クライストを手にとった。
男の態度はどう考えても友好的ではない。
犯人。そうでなくともこのゲームに乗った人間だったとしたら。
殺す気は毛頭ないが、戦わなくてはならないだろう。自分のためにも、少女のような犠牲者を増やさないためにも。
武器が相手に見えないようにしながら、薫は身構えた。


互いに無言のまま、薫と進の距離が、少しずつ狭まっていく――――。

182 :近づく誤解:2005/07/08(金) 18:01:54 ID:8SNAUdWV
【兵庫県、姫路駅構内/黎明】


【神谷薫@るろうに剣心
 状態: 健康
 所持品: 荷物一式 クライスト@BLACK CAT
 第一行動方針: 目の前の男への対処
 第二行動方針: 郷子を埋葬する
 基本行動方針: 緋村剣心、斎藤一を探す】

【進清十郎@アイシールド21
 状態: 健康
 所持品: 荷物一式 (支給品は不明。本人は確認済み。)
 第一行動方針: 目の前の女の治療
 基本行動方針: 小早川瀬那、蛭魔妖一、姉崎まもりを探す】

183 :近づく誤解・修正:2005/07/08(金) 18:44:25 ID:8SNAUdWV
>181
薫は傍に置いていた支給品、クライストを手にとった。

薫は傍に置いていた支給品の西洋剣、クライストを手にとった。

に修正します。

184 :醤油、豚骨、味噌、そして塩。 1/3:2005/07/08(金) 19:12:27 ID:zrwDb2V2
最初は北を目指していた友情マンだが、ピッコロの強襲に遭って逃げた先は不運にも南だった。
しかし桑原という利用しやすい友達にめぐり合えたのは不幸中の幸い。
北にいるピッコロからさらに逃げるため、友情マンは南を目指す事にした。
やはり人が集まるのは東京だろう。そこなら頼りになる仲間をたくさん得、邪魔な者をたくさん殺せるに違いない。

友情マン達は偶然見つけた線路に沿って南へ向かい、岩手県にある駅へと到着した。
どうやら電車が走っているらしく、長距離移動にはもってこいなようだ。
それに駅を利用しようとする参加者に会えるかもしれない。
その参加者が友達になれそうなら友達になり、襲ってきたなら返り討ちにし、勝てそうにないなら桑原を囮にする。
駅を利用しようと決めた友情マンは、桑原を連れて駅員室を探した。
もしかしたらこの小さくなった日本での路線図や時刻表を入手出来るかもしれないし、
他にも役立ちそうな物や武器になりそうな物がある可能性は十分ある。
と思っていたのだが、まさかこんな物を武器にする者がいるとは思わなかった。

職員室の戸を開けた瞬間、友情マン達の鼻腔に美味しそうな匂いがただよった。
誰かいる。警戒心を高めた刹那、シャープペンやボールペンが飛んできたのだ。
驚くべきはその正確な狙いと速度。
2人とも咄嗟にペンを避ける事はできたものの、飛ばされた何本かのペンはそのまま背後の闇の中へと消えていってしまった。
まともに食らえば身体に浅く突き刺さっていただろう。
重量のあるナイフなどと違い、ペンを投げて人体に突刺すなどどれほどの力と技が必要なのかは分からない。
しかし、相手が相当の使い手だという事だけは確かだ。

「クソッ、どうする友情マン!? こう暗くっちゃ戦えねぇぞ!」
「分かってます。大声を出すと居場所がバレますから静かにしててください、霊剣も接近されるまで出さないで」
頭の悪い桑原に足を引っ張られまいと予防線を張った友情マンは、駅内を走りながら対応策を考えていた。
(さっきの奴がゲームに乗っているとは限らない、単なる自衛の可能性も十分あるからだ。
 後者なら説得の余地はある。ただのペンを凶器に変えるほどの参加者、ぜひとも友達になりたい!
 しかし戦う意志は無いと叫んだところで信用するだろうか? 奴が殺し合いをする気満々の可能性だってあるんだ。
 ……もったいないがカードを使うか? しかし相手の居場所が分からなければ魔法・罠カードは……)
プラットホームから線路に飛び降りて身を隠した友情マンは、神経を張り巡らせて相手の気配を探る。
駅には漆黒の闇が広がったままであり、人の気配など桑原のものしか感じられない。
長期戦になれば、襲われる側が神経を削り殺されてしまうのは明白。
(桑原君は幽助君と友達になるのに使える。モンスターカードを囮にして逃げるか?)
友情マンがブラックマジシャンガールのカードを取り出した瞬間、桑原の手が光り輝いた。
「霊剣!」
さっき使うなと言ったにも関わらず使った理由はひとつしか考えられない。
桑原が剣を向けた先を友情マンは見て敵の姿を探すのに2〜3秒経った瞬間、背中を蹴飛ばされカードを手落とした。

185 :醤油、豚骨、味噌、そして塩。 2/3:2005/07/08(金) 19:12:45 ID:zrwDb2V2
桑原が慌てて霊剣を友情マンの背後に向かって振るが、相手は半身身を引いただけで刃をかわす。
針のような殺気を桑原に放ち、自分がいた方向に気を取らせている間に凄まじいスピードで背後に回る、
しかも気配を微塵も感じさせず。
敵は明らかに格上だった。また、間違いなく闇の中での戦いに長けている。
友情マンの背後を取りながら致命の一撃を与えなかったのは殺しをする気が無いためか、
もしくは武器を支給されておらず徒手空拳で殺傷能力の高い技を持っていないためか。
どちらにせよ、自分の背中を蹴飛ばした男に対し友情マンが苛立ちを覚えた事に変わりはなかった。
(この私の顔に泥をつかせるなんて!)
地面にお尻をつけたまま振り返った友情マンは、額に両手をかざして叫んだ。
「太陽光線!」
高熱の光エネルギーが敵の姿を照らし出す。
一言で言うならば巨漢。
無駄な贅肉が1グラムも存在しないかのような鍛え上げられた肉体を黒っぽい服で包んでいる。
彼は太陽光線の熱エネルギーを前にしながら不適な笑みを浮かべていた。
友情マンの額から真っ直ぐに伸びる光線を、男は両手で挟むように 掴 ん だ 。
「光線白刃取りぃっ!!」
光線は白刃取りなどできないし掴むなんてもってのほか。
そんなツッコミを入れるのも忘れ、友情マンは目の前の状況に我を忘れていた。
つい冷静さを失い殺す気で放った太陽光線は、力が制限されていてもそれなりの殺傷力を持つはず。
それがまさか、こんなにも簡単に防がれるとは。
ヒーローの中でも非常に高い戦闘力を持つ実兄勝利マンとも、本気を出せば互角に渡り合える自分の攻撃が……。
「へっ、眩しいじゃねぇか。人に見つかったらどーする」
男はニヤリと笑いながら光線をホームの壁目掛けて投げ捨てる。光線はコンクリートの表面をわずかに焼いて消えた。
桑原は霊剣を構えながら男と友情マンの間に入り、相手の行動を見極めようとする。
「ったく。ラーメン食ってたところにいきなり入ってきたから驚いちまったじゃねぇか」
世間話でもするように男は言った。そこには殺意も敵意も微塵も感じられない。
「お前らアレか? 殺し合いに乗ってんなら相手してやるぜ、それはそれで面白いからな」
「そう言うてめぇはどうなんだよ!?」
桑原の問いに顎を掻きながら、男は少し考える。
「ん〜……俺は別に殺し合いする気は無いが、強ぇ奴と戦うのも面白いしなぁ……。
 ダーク・シュナイダーと改めて決着つけるのも悪かねぇが、あいつが面白ぇ事を企んでたらそれに乗るのもいいな」
どうやらこの男は積極的に殺しをするつもりは無いらしい。
それどころか面白いか面白くないかで己の行動を決めるような奴だ。
ならば――。
「でしたら、私達の仲間になりませんか?」
「あん?」
すでに友情マンの頭に怒りは無い、素晴らしく強い友達を得られるかもしれない喜びに震えている。
「私達はゲームを脱出し、主催者を倒そうと思っています。
 主催者は恐ろしい力を持っている……戦うのが楽しいというのなら、奴らと戦う事は」
「おいおい、こんな首輪つけられてるんだぜ? 戦う前に殺されるなんざお断りだ」
「で、ですが首輪を外す方法だってきっとあるはずです。みんなで力を合わせれば……」
「みんなって誰だよ? お前さんの仲間に首輪を外せるような奴がいるのか?」
「……ラッキーマンなら……ラッキーで何とかしてくれるかもしれない」
「ラッキー? 運頼みかよ」
「ラッキーマンはその名の通りラッキーを起こすヒーローです! ただの運頼みではありません!」

186 :醤油、豚骨、味噌、そして塩。 3/3:2005/07/08(金) 19:13:11 ID:zrwDb2V2
友情マンはラッキーマンについて説明をした。彼の起こしたラッキーについても。
それを聞いた男は面白そうにうなずき、話に聞き入った。
こんなラッキーで敵を倒した、あんなラッキーで仲間を守った。
とても興味深そうに男はうなずく。
「へぇ〜、面白い奴がいたもんだ。一度見てみてぇもんだな」
「でしたら一緒に行きましょう! 彼は私の友達ですから、絶対協力してくれるはずです!」

こうして友情マンは新たな友達を得る事に成功した。
友達の名はガラ。
忍者マスターである彼は闇夜の戦いやサバイバル技術に優れており、このゲームに打ってつけの人材だった。
しかも支給品は斬魄刀。ムラサメブレードという刀を愛用していたガラにとって使いやすい武器だ。
友情マンを斬殺せず蹴飛ばすだけにしたのは、こちらがまだ攻撃をしていなかったからだろう。
彼の持つ情報も非常に有益だ。
アビゲイルという魔法に詳しい男に、ヨーコという回復魔法の使い手。どちらも友達になれば非常に役立つ。
そしてダーク・シュナイダーという男の強さと性格。
もしかしたらゲーム最強のマーダーかもしれない男だが、ヨーコという女の前では犬コロに成り下がる。
ヨーコを仲間にしてからダーク・シュナイダーに会えば、ゲーム優勝とゲーム脱出、どちらも成功率がグンと上がるのだ。
聞けばダーク・シュナイダーも魔法に非常に詳しく、科学に関する知識も高いというのだから。
しかしもし、ヨーコを仲間にする前にダーク・シュナイダーにあったら殺されるかもしれない。
ヨーコにしばかれだいぶ丸くなったものの、やはり鬼畜で残忍で卑劣な男なのだ。警戒の必要がある。
こうして友情マンは有利な手札を増やしていくのだった。
その代償として、友情マンと戦ってたせいで職員室に置きっぱなしになっていたカップラーメンが伸びてしまったガラのために、
友情マンは冷蔵庫に入っていたラーメンを作ってやる事になったが。
ちなみに……冷蔵庫に入っていたラーメンは醤油、豚骨、味噌、そして塩がひとつずつ。
そのすべておラーメン大好きなガラは食べつくしてしまったのだ。
ラーメンを作るには水も必要だったが、それはガラの飲み水を全部使ったので問題無い。
鍛えてる忍者だから2〜3日くらい水を飲まなくても平気というのもあるが、冷蔵庫の中はちゃんと他の飲み物もあった。
ガラが役立つ友達でいる限り、友情マンは彼に飲み物を与えてくれるだろう。そう、役立つ友達でいる限り……。


 【岩手県北部の駅/黎明〜早朝】

 【チーム名:偽りの友達】
 【友情マン@ラッキーマン】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)
 [道具]:荷物一式、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分、ラーメン類品切れ)、青酸カリ。
 [思考]:1強い者と友達になる。ヨーコ優先。
      2ピッコロ、ダーク・シュナイダーに警戒。
      3最後の一人になる。

 【桑原和馬名@幽遊白書】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1ピッコロを倒す仲間を集める。浦飯と飛影を優先。
      2ピッコロ、ダーク・シュナイダーに警戒。
      3ゲームを脱出する。

 【ガラ@バスタード】
 [状態]:健康、満腹
 [装備]:斬魄刀
 [道具]:荷物一式(食料一食分消費、水無し)
 [思考]:1とりあえず友情マンについて行き、ラッキーマンのラッキーを拝んでみる。
      2ピッコロ、ダーク・シュナイダーに警戒。
      3脱出と優勝、面白そうな方に乗る。

187 :妖狐のプライド:2005/07/08(金) 23:50:12 ID:nSr1WQWT
広島と島根の県境、
街灯に照らされた深夜のハイウェイを両津と鵺野が兵庫に向け歩を進めていた時だった。

ピピピ!

スカウターがデジタル時計のアラームを思わせる様な小刻みな音を発し鵺野の足を止めた。
「どうした?鵺野先生」
鵺野の一歩後ろを歩いていた両津もそれと同時に足を止める。
「・・・何か来る」
身構えつつ鵺野は自身の切り札であり唯一の武器である鬼の手を封印した手袋に手をかけた。
「何かって・・・兵庫も近いしひょっとしたらあんたの生徒かもしれんぞ?」
警戒態勢を取る鵺野に両津は楽観的な物言いをする。
「いや、スカウターの示す数値が相当高い・・・敵かどうかは分からんが、俺の生徒じゃない事だけは確かだ」
敵の持つ強さ、即ち戦闘力を解析できる事がスカウターの最大のメリットである。
これを頼りに戦闘力の最も低いもの、つまり生徒がいるであろう兵庫を鵺野達は目指していたワケだが、
そこに辿り着く前に彼らは思わぬ障害に阻まれた。
(この戦闘力・・・もしも敵だったら・・・)
険しい顔をしながら鵺野は自分達が置かれた事態に心中で舌打ちする。
スカウターが捕捉した戦闘力は明らかに自分と同等かそれ以上、もしも戦う事になったら最悪の場合――
「お、おい鵺野先生、そんなにやばい奴がこの先にいるのか?」
鵺野の表情から事態を見て取った両津が声を掛ける。
「ああ、俺達二人掛かりでも勝てるかどうか分からん、もしも戦う事になったら―あんたはそのマグナムで援護してくれ」
鵺野のその言葉を聞いて両津も腰に下げたマグナムを手に掛ける。
場所は灯りに照らされた夜のハイウェイ、隠れる場所はどこにもない、迎え撃つしかない。
そしてコツコツとコンクリートを革靴で踏む足音が聞こえ両津と鵺野はゴクリと喉を鳴らす。
そして闇の中からシルエットが現れ段々と照らされたその姿は――

188 :妖狐のプライド:2005/07/08(金) 23:51:07 ID:nSr1WQWT
「おや?これは鵺野先生、こんな場所で出会うとは奇遇ですね」
出てきたのは金色の長髪に白衣のスーツを着た男―
「た、玉藻!!」
警戒態勢を取っていた鵺野が思わず素っ頓狂な声を上げる。
そこに居たのは鵺野鳴助最大のライバル、妖狐玉藻その人であった。
「お、お前こんなトコに居たのか!?、いや、それよりその格好は・・・」
しかし鵺野はこのサバイバルゲームの中初めて知り合いに出会えた喜びよりも玉藻の凄絶なその姿に気を奪われた。
上等そうな白衣のスーツは無残にも切り刻まれ、その白い生地の上にはまだ乾き切ってない血が点々と付着している
玉藻のその姿は間もないであろう戦闘の後を明らかに物語っていた。





事はほんの三十分程前までに遡る
岡山と程近い島根の山中に飛ばされた玉藻は今後の方針を決めあぐねていた。。
「さて、どうするか・・・鵺野先生なら恐らく、というか十中八九生徒を助ける為に行動を起こすだろうが」
玉藻は数分程思案する。
鵺野先生と合流するか?しかし合流してどうする?二人集まった所で日本を縮小模倣したこの島から脱出できるとは到底思えない。
それほどこの島を覆った結界は強固なモノだ。
おそらくあの大広間に居合わせた者誰一人この結界を突破出来はしないだろう、この馬鹿げた大会の主催者三人以外は――
ならばどうする?脱出が不可能ならいっそルールにのっとって・・・・
「フッ」
そこまで考えた所で玉藻は自身の心を自嘲する。
「私ともあろう者が何を追い詰められているのか・・・参加している人間がどうなろうが知った事ではないが、
 今はまだ様子見で問題はあるまい」
自分に言い聞かせる様に一人呟く玉藻、その時であった。
「オイ」
自身の背後から低くドスを聞かせたような声を掛けられ、反射的に玉藻はその場から飛びのく。
そしてガサガサと藪の中から男が一人――
玉藻はその男に二度驚愕させられる。
その男は自分に全く気取られず背後に近づき、あまつさえ声を掛けるまでそれに気づかせなかった事。
そしてその男の手に持った物が――
「く、首さすまたッッ!!」
かつて自分が愛用していた武器、妖狐の秘具、長棒の先に三又の鎌を持つ矛『首さすまた』であった事。
そしてその男は口を開いた。
「テメェはこのゲームに乗っているのか?乗っていねえのか?」
玉藻を射抜く様な目つきで男はそれだけを口にする。

189 :妖狐のプライド:2005/07/08(金) 23:52:14 ID:nSr1WQWT
「自分から何かをする気は無い、それよりも・・・」
玉藻の眼中は既に男にはなく男が持っている武器、『首さすまた』に釘付けだった。
「君が持っているそれ、元々は私の私物でね・・・あいにくだが返してもらおうか?」
玉藻とて無用な戦闘は避けたい、首さすまたを取り戻すのに言葉で事足りるならそれで良かったのだが―
「ほう、そいつは気の毒だったな、だが手に入れた獲物を『返せ』と言われて、素直に頷くほど俺はお人良しじゃねえ」
そして男は身体を構え玉藻に首さすまたの刃を向ける。

「欲しけりゃ力づくで奪ってみな・・・男ならよ」

―――この言葉が引き金だった。
そこまで言われて素直に退くほど玉藻もお人良しではない。
島根の奥深い山中で人知れず二人の男が戦闘を開始した。
「ヌンッ!!」
首さすまたを手に男は元々の持ち主である玉藻に襲い掛かる。
男は元来、槍の使い手なのだろうか?
厳密には槍と言うには矛先が少々違う作りをした首さすまただが、それを振るう男の姿は熟練した槍の名手である。
突き、斬り、薙ぎ払い、繰り出す攻撃全てが絶技といえる程、男は槍術に長けていた。
「く・・・」
気がつけば玉藻の着衣はボロボロ、無数の切り傷を刻まれ白衣は血に滲んでいた。
紙一重で直撃を避けているとはいえ、この調子ではいつ致命的な一撃を貰ってもおかしくない。
対して男は全く表情を変えず平然とその場に佇んでいる、それは余裕の表れなのかそれとも・・・
とかく男のそんな態度が癪に障ったのか、追い詰められた玉藻はついに奥の手を開放した。
「調子に乗るな!人間ッッ!!」
怒りをあらわにした玉藻の背後から、突如紅蓮に燃え盛る炎が発現、
それはまるで巨大な尾の様に玉藻の身体にとぐろを巻き、そして――
「自分の愚かさをあの世で悔いるがいい人間」
言葉の終わりと同時に、玉藻を取り巻いていた炎は大蛇が獲物を食らうが如く男に飛びつき瞬く間にその身に燃え広がる。
「妖狐火輪尾の術―まさか鵺野先生以外の人間にこれを使うとは・・・」
予想外の苦戦によほど疲労したのか、玉藻はその場でガックリと膝をついた。
しかし勝ちを確信した玉藻だったが、その数秒後に信じられないものを目撃する。
なんと男を焼き尽くした筈の炎が中心から押し広げられるようにその輪を大きくしていくのだ。
まるでそれは炎の竜巻といおうか、炎は螺旋を描き天空へと上昇していき、そして――
「覇極流槍術奥義 渦龍天棲嵐」
炎の中心から声が鳴り響き、それと同時に取り巻いていた炎を完全に消し飛ばしてしまった。
男は首さすまたを頭上で回転させ、それによって巻き起こる圧倒的な旋風で火輪尾の術を破ってしまったのだ。
「バ、バカな・・・」
自身の術をただの人間が霊力も用いずたった武器一つで打ち破ってしまった事に驚愕する玉藻。
流石に冷静さを欠いてしまった彼は無意識に男から数歩後ずさりした、自身の背後が崖であった事にも気づかず・・・
そして男は玉藻に再び刃を向ける。
「覇極流槍術奥義 千峰塵」
およそ人間の目では捉えきれぬ程の突きの嵐を男は放つ。
そしてそれは妖狐である玉藻にも目で追いきれず到底捌ききれるモノではなかった。
四方八方から降り注ぐ突きの雨から逃れるタメに玉藻は後方に飛びのく、そして――
「しまッ・・・ッ!!」
―――崖下へ落下。
見下ろす男の顔を、憐れむ様な男の目を、見上げながら玉藻は落ちていった。






190 :妖狐のプライド:2005/07/08(金) 23:53:53 ID:nSr1WQWT
「・・・というワケでしてね、私ともあろう者が少々油断してしまいましたよ。」
街灯に照らされた夜のハイウェイで玉藻が事の経緯を鵺野に説明する
「そうか、そんな事があったのか・・・しかしお前崖から落ちてよく無事だったな」
「生えていた木々が上手い具合にクッションになってくれましてね、
 ま、貴方の悪運が私にも伝染したという事ですか」
肩をすくめ、ほんの少し冗談めかしたジェスチャーで言う玉藻。
それを見て多少の切り傷は負っているものの大事ないようだと、鵺野は心中で安堵した。
「なんだなんだぁ?この色男は結局ワシらの敵じゃないのか?」
今まで黙って聞いていた両津が痺れを切らしたのか声を荒げる。
「あ?ああ、すまない両津さん、こいつは敵じゃないよ、むしろ心強い仲間さ!なぁ玉藻」
それを聞いた玉藻がピクっと眉を吊り上げた。
「それはどうですかね」
「なに?」
玉藻の意外な言葉に今度は鵺野が眉を吊り上げる。
「鵺野先生、貴方も知っているでしょう?この馬鹿げたゲームは一人しか生き残れないと」
「あ、ああ」
「そんな状況で仲間を作ってどうすると?寝首だって掻かれかねない、
 よしんば生き残れたとして最後に残った仲間同士で殺しあう事が貴方に出来ると?」
予想だにしてなかった玉藻の言葉に鵺野は思わず激情にかられた。
「何を馬鹿な事をッ!殺し合いなんて誰がするか!!俺達はこの糞ゲームから脱出するタメに!!」
「脱出?どうやって?」
「そ、それは今から考えて・・・」
「要するに貴方も現状で打開策は何も無し、という事でしょう?」
冷静というより冷酷に状況を分析する玉藻に鵺野は言葉も返せない。
しかしルールにのっとって殺し合いをするなど彼の正義感が決して許さなかった。
「玉藻・・・お前このゲームに乗るって言うんじゃないだろうな?もしそうなら俺はお前を・・・」
そう言って鵺野は玉藻を睨みつけながら左手の手袋に手をかける、
返答次第ではこの場での戦闘も辞さないといった構えだろう。
「事と状況次第ではそれもありうるという事ですよ、今はまだ『見』の段階と言った所です、他にやる事もありますしね」
「やる事?」
そう言って鵺野はハっとする。
「『首さすまた』か!?」
そう、玉藻は首さすまたを奪われたままなのだ、あまつさえその男に自身の武器で傷を負わされ崖下にまで落とされた。
普段は何事にも冷静で冷めた態度の玉藻だが、これを捨て置く筈が無い、何より精神的な屈辱が大きい。
「そういう事です、どの道私は鵺野先生とは一緒には行けません」
そう言って玉藻はその場を後にしようとする、その決意が頑なモノと悟った鵺野はそれ以上引きとめようとはしなかった。
「・・・・・玉藻!」
玉藻が数歩歩いた所で鵺野は最後に声をかける。
「俺達は兵庫にいる!もしお前が俺達と同じ気持ちになったらそこに来てくれ!大丈夫!こんな糞ゲーム絶対に脱出できるさ!!」
あくまでも希望を捨てない、そんな鵺野に玉藻は思わず微笑を浮かべた。
「相変わらずな人だ貴方は・・・だが、だからこそ私のライバル、か・・・鵺野先生ッ!」
その場から玉藻は鵺野に輪のようなものを放り投げる。
「こ、これは!?」
渡されたアイテムを見て鵺野が思わず声を上げた。
何故ならそれは彼が長年探し求めていた道具であり鬼の手を持つ者にとって必須のアイテムだったからだ。
「餞別です、妖怪の私にそれは相性が悪くてね」
そのアイテムの名は御鬼輪、鬼の力を封じ込め使いこなす事ができるアイテム。
「アディオス鵺野先生、お互い生きていたらまた会いましょう」
そう言い残し妖狐玉藻は月を背にして駆けていく、己の武器『首さすまた』を取り戻すタメに―

191 :妖狐のプライド:2005/07/08(金) 23:54:33 ID:nSr1WQWT
―――島根山中―――


男は木々に月の光が隠された闇の山中で静かに目を閉じていた。
全身に軽度の火傷を負っているが、男は意にも返さず黙々と精神を研ぎ澄ましている。
傍らには首さすまた、槍を得意とする彼にとって支給された武器がそれだったのはなんとも僥倖であった。
彼は思う。
あの崖から落ちた男・・・あの男はどうなっただろうか?生きていれば再び自分の前に立つだろうか・・・
いや、それよりも男塾の面々が気にかかる、あいつらは今一体どこにいるのか・・・
「簡単にくたばる様な連中じゃねえが・・・」
そして意を決したのか男は目を開けその場を後にした。
男の名は伊達臣人、男塾塾生であり関東豪学連総長。


【伊達臣人@魁!!男塾】
 [状態]:軽度の火傷、行動に支障無し
 [現在]:島根
 [装備]:首さすまた
 [道具]:荷物一式。
 [思考]:1男塾の仲間と合流。
     2ゲームに乗る気は無いが邪魔をするヤツとは躊躇なく戦う。

【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:服はボロボロ、多少の切り傷擦り傷、行動にはほぼ支障無し
 [現在]:島根
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、支給品は鵺野に渡す。
 [思考]:1伊達から首さすまたを取り戻す。
     2今の所ゲームに乗る気なし様子見。

【鵺野@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:健康
 [現在]:岡山
 [装備]:スカウター、御鬼輪(玉藻から貰った)
 [道具]:荷物一式。
 [思考]:1兵庫に行き生徒を助ける(響子の死は知らず)。

【両津@こち亀】
 [状態]:健康
 [現在]:岡山
 [装備]:マグナム
 [道具]:荷物一式。
 [思考]:1鵺野と共に兵庫に行く。

192 :闇と光の中で1:2005/07/09(土) 02:54:35 ID:BCNenYu4
 思い切って忍び込んだ家の中には、なにもなかった。窓からの光の中、西野は震える手で地図を開く。ライトアップされているため、読むのに不都合はない。
 現在位置はわかっている。緑の中の萱葺きの家々、ニュースや教科書で見知った世界遺産。岐阜、白川郷。
 だがしかし、ここは白川郷であって白川郷ではない。
 建物は完璧だが、人がいない。いた形跡すらない。つまりこの地図にあるすべてがこの『ゲーム』のために用意されたもの――どこかの離島か、それとも――。
 そこまで考えて、西野はやはり震える手でデイパックの中のペットボトルに手を延ばした。一口だけ水を含んで嚥下する。落ち着かなければならない。
 名簿には真中・東城・北大路の名前もあった。彼らと合流する事は出来るだろうか。交通機関、幹線道路もそのままに日本ならば、人の集まるところにも想像がつく。問題は『やる気になっている人間』も集まるだろう事だが。
 西野は一つ大きく息を吐くと、デイパックにペットボトル、名簿を入れて、コンパスを取り出した。
(とにかく家を出なくちゃ。暗い内に隠れて移動できる場所に…)
 白川郷があるのなら、名古屋の位置にはビルか城がある可能性が高い。名古屋まで南下して東海道を上るか下るか、それとも名古屋で彼等を待つか――。
 考える事に夢中で注意を怠ったと気付いたのは、家の扉を開けた時だった。
「――誰?」
 止まっていた震えが再び始まる。
「誰かいるの?」
 少女の声、同い年くらいだろうか。がくがくと震える体をそっと少しづつ動かして、西野は家を出た。大丈夫、声からして位置はそんなに近くない。そう思う反面、扉を開ける音が聞こえなかった筈もないと思う。
「誰かいるなら出て来て。私はやる気なんてないの」
 少女の声が響いて、西野は足を止めた。信じてもいいのだろうか? それとも、ただの撒き餌か?
「誰かいるなら見て、武器を置くわ。一緒にどうしたらいいか考えましょう。こんなゲーム――あんな人達の言い成りになって殺し合うなんて、間違ってる!」
 どさりとなにかが投げ出される音。デイパックだろうか。声も音も家の反対側から聞こえてくる事に気付き、西野はいつでも逃げ出せるよう構えつつ、家の陰からそっと声の主を伺った。
 真っ直ぐ伸びる道に佇んでいるのはやはり少女、そしてデイパックは足下に投げ出されている。少女はアニメかゲームの登場人物のような現実にはありえないスリットの入った武道着(しかも生足)を身に纏い、言葉通りなにも手にしていない。
「武器からも離れるわ。あなたもやる気がないのなら、信じて」
 少女からは西野の位置はわかっていないようだった。ぐるりと周りを見渡して声をあげ、そして言葉通りデイパックから一歩一歩離れていく。
 ――信じてもいいのだろうか?

193 :闇と光の中で2:2005/07/09(土) 02:57:50 ID:BCNenYu4
 罠かもしれない、そう頭の片隅が囁く。最初に見せられた殺戮はそれほどに西野の心を蝕んでいた。
 しかし、そう、もしも西野が『やる気』で飛び道具を持っていたのなら、彼女はとうに『ゲーム』から脱落している。実際に西野に支給された『武器』はなんの変哲もない三味線糸――解説にそう書いてなければなにかもわからなかった――だったのだが。
 西野は意を決した。
「――あの、私…」
 西野の言葉は最後まで口にされる事はなかった。突然背後から身体を――正確には首を――引かれたからだ。
 なにか滑らかな布が首輪の下にかけられて引かれた、そう理解した時には、すでに西野の身体はその何者かの手中にあった。
「無用心ね」
 今度は大人の女性――黒川先生と同じ位だろうか。顔は見えないが流れる黒髪は西野の目の端に映った。後ろの女性に押されるようにして武道着の少女が佇む道に歩み出た西野の正面で、少女は表情を固くした。
「あなたは…やる気なの」
「さあ、どうかしらね。この子はそうじゃなかったみたいだけれど」
「その子をどうする気?」
「月並みだけれど、『この子の命が惜しかったら、あなたの武器を渡しなさい』、というのはどう?」
「…それで、その子を放してくれるの?」
「信じてもらうしかないわね」
 西野の首にかけられた布が僅かに絞られると、西野ではなく少女の表情が険しくなった。
「…やめて」 西野は言った。「もしこの人がやる気だったら、どうせ私は助からない…。
だから、…言う事を聞いちゃ、ダメ…だと思う…」
 西野の後で、女性が笑った。
「この子だけならあなたのした事は正しかったわね。けれど、実際にはこうなっている。
それで、あなたはどうするの? この子を見捨てて、あなただけ生きる?」
 西野の視界の端、女性の胸元に白い燐光が光った。少女は答えた。
「いいえ。あなたを信じるわ」
 固くした表情をふと崩し、少女は続けた。
「――私たちを試したんでしょう?」
「何を言っているの?」
「それ…あなたの首飾り、『アバンのしるし』ですね。それは持ち主の心に反応するんです。
そんな人が、このゲームに乗るはずはないわ」
「……そんなことは説明に書いてなかったわ」
 少女が笑むのと、西野の首から布が取り去られるのとはほぼ同時だった。振り向いた西野に「怖がらせてごめんなさい」と言う女性の胸には滴型の石が下がっている。
 女性は淡々と言った。
「やる気の誰かが来る前にここを移動しましょう。殺すのも殺されるのも、
24時間後にみんなで一斉に死ぬのも嫌なら、やる事も考える事も沢山ある」
「ええ、よろしく。私はマァムです」
「リサリサよ」
「西野…つかさです」

194 :闇と光の中で3:2005/07/09(土) 02:58:44 ID:BCNenYu4
【岐阜県、白川郷/黎明】

 【西野つかさ@いちご100%】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、三味線糸
 [思考]:真中、東城、北大路との合流

【マァム@ダイの大冒険】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(支給品は不明。本人は確認済み)
 [思考]:1 ダイ、ポップとの合流
     2 その他協力者との合流

【リサリサ(エリザベス・ジョースター)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、アバンのしるし@ダイの大冒険
 [思考]:1 協力者との合流
     2 ゲームを壊して生還

195 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 04:26:14 ID:UL2nuWkE
泣くよりも文句を言うよりも先に、今はやるべきことがある――――。

春野サクラは林の中を慎重に歩き続けていた。
とてつもない、自分の知る物とは違う次元の強さを持った“主催者達”。
それに勝てないまでも、明らかに自分より強いと思われる参加者の面々。
(どうしてこんなことに…)
何度心の中で疑問を叫んだだろう。
気が付いたら飛ばされていた山中で、恐怖と孤独感に震える手を無理矢理に動かしデイバックを開く。
そうして名簿を確認したサクラの顔にはもう、涙は流れていなかった。
『うずまきナルト』
『奈良シカマル』
信頼できる仲間の名前を見つけたからだ。
シカマルは今や、里一番の切れ者と評されるほどの頭脳の持ち主だ。
ナルトは…ナルトは、かつてスリーマンセルを組んだ大切な仲間だ。
意外性ナンバー1忍者とも言われていたけど、ナルトは強い。技とかもだけど、何よりもその心が。
アイツならきっと、こんな状況でも諦めたりとか絶望したりはしない。
(……わたしだって)
サスケの里抜けを止められずに泣いてばかりいたあの頃とは違う。
(とにかく、ナルト達を見つけよう)
そして、どうにかしてこのゲームから脱出しよう。
そう決意し再び名簿を確認したサクラは、その中にもう一つ、知っている名を見つけた。
『大蛇丸』――――。
サスケに呪印を付け、彼の里抜けを促した張本人。
サクラの名簿を持つ手が、今度は怒りに震えた。
大蛇丸に会えればサスケの居場所もわかるはずだ。
もちろん自分があの化け物じみた元三忍に勝てるとは思わないが、ナルトやシカマルと一緒なら……。
深く息を吸い、吐き出す。
(どこかの町に行こう)
町にはきっと、人が集まるはずだ。
そこまで行けばナルト達の情報も得られるかもしれない。
もちろん、“その気になっている”人がいる可能性もあるけど…。
地図を広げコンパスを確認する。
どうやら一番近い町は“京都”という所のようだ。
ヘアバンド代わりの額あてを結び直し、サクラはしっかりとした足取りで歩き始め――――そして今に至る。
警戒の為に木々を飛び回るのはやめ、慎重に歩き始めてからすでに数時間が経っている。
サクラは自分の前方に人の気配を感じ、足を止めた。
息を殺し茂みの隙間からそちらを伺うと、木の根本に座り込んでいる男の背中が見えた。
何をしているのか、手を動かしながらブツブツと呟いている。
青を基調とした見慣れない服装。仕組みのよくわからないトゲトゲ頭。
座り込んでいる姿から推測するに、背はかなり高い。
(どうしよう……)
ゲームが始まってから初めて見つけた人間。
声をかけるべきか。でも…何て?
もし、彼が“その気になっている”人間だったら…。
その男はまだ、背後にいるサクラに気づいていない。
(とにかく確かめてみよう)
音を立てないように細心の注意を払いながら懐に手を伸ばす。
そこには、支給された武器であるコルトローマンMKVがある。
初めて見る物だが、恐らくこの引き金を引けば先端の穴から何かが飛び出るのだろう。
それがどんな威力を持つのかはわからないが、自分の忍具がない今、武器と呼べるものはこれしかない。
引き金に指をかけ、サクラは静かに静かに、その男に近づいた。



196 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 04:30:11 ID:pl/84id3
ぞべらぞべら

197 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 04:30:57 ID:UL2nuWkE



「もっと詳しいデータが必要だな…」
そう呟くと、乾貞治はパタンと手帳を閉じた。
自分がなぜこんな所にいてこんな状況に陥っているのか、訳がわからない。
わかっていることと言えば、自分の現在地が日本で言う兵庫県と京都府の境目辺りにある林の中であること。
名簿に越前リョーマ、竜崎桜乃、跡部景吾の3人の名前があったということ。
自分に支給された物が水、食糧、地図、コンパス、時計、名簿、鉛筆、そして…大小様々な大量の弾丸であることだけだ。
一応それらの事実を、いつも持ち歩いていてポケットに入れたままだった手帳に書き留める。
それが何の役に立つのかはわからないが、その行為は少なくとも乾を落ち着かせるという効果はあった。
指先で軽く首輪に触れる。
生憎、手鏡を持ち歩くような性分ではなかったのでどんな形状の物が付けられているのかはわからない。
(なんとして外せないだろうか)
機械には弱くない方だとは思う。
だが道具もなければ仕組みを確認できる物もない現状ではどうすることも出来なかった。
――――ゲーム開始からすでに数時間が経過している。
乾は未だ、誰とも会っていない。
そのせいなのか、どうしても自分が異常な状況に置かれているという現実感が乏しかった。
「とにかく…越前と竜崎先生のお孫さん、後は…跡部を見つけなくては」
名簿が本当のことである確率は半々だ。
だが、今はともかくこれを信用して数少ない知り合い達を探すべきだろう。
乾の後輩である越前と竜崎桜乃、それに氷帝学園の跡部は皆、東京に家がある。もちろん乾の家もだ。
それらのデータと、乾の頭にある彼らのデータから導き出される答えは…。
「彼らが東京を目指すであろう確率…92%」
それ故に、乾は東京を目指す。
脱出を考えるのはそれからだ。
少しの休憩を終え、乾は座り込んでいた木の根本から立ち上がろうとし――――失敗した。

「動かないで」

若い、女性の声。
後頭部に突きつけられている筒状の物。恐らくは――――拳銃。
(こういう場合はどうするべきなのか…)
初体験だな、とくだらない事実に気が付き、口元が笑う。
現実感がわかないせいなのか、声が女性の物だったせいなのか…乾は自分でも驚くほどに落ち着いていた。

198 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 04:31:59 ID:UL2nuWkE
【兵庫県と京都府の境目にある林/出発から数時間】

【春野サクラ@NARUTO】
 [状態]:健康
 [装備]:コルトローマンMKV(槇村香の拳銃)
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.目前の男が“ その気”なのか確かめる
     2.ナルト、シカマルと合流して脱出を目指す
     3.大蛇丸を見つける 


【乾貞治@テニスの王子様】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、手帳、弾丸各種
 [思考]:1.女性の次の言葉を待つ
     2.越前、竜崎桜乃、跡部との合流のために東京に行く


199 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 04:32:16 ID:pl/84id3
誤爆かつ中断すまぬ

タイトルもあった方がいいかと

200 :状態表訂正:2005/07/09(土) 08:27:17 ID:UL2nuWkE
【兵庫県と京都府の境目にある林/出発から数時間】

【春野サクラ@NARUTO】
 [状態]:健康
 [装備]:コルトローマンMKV(槇村香の拳銃)@シティーハンター
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.目前の男が“ その気”なのか確かめる
     2.ナルト、シカマルと合流して脱出を目指す
     3.大蛇丸を見つける 


【乾貞治@テニスの王子様】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式、手帳、弾丸各種
 [思考]:1.女性の次の言葉を待つ
     2.越前、竜崎桜乃、跡部との合流のために東京に行く



201 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 09:10:18 ID:7p3klfZp
どの作者が、って訳じゃないけど、全体的に同じ作品のキャラを信用しすぎだと思う。
最近のだと、乾→跡部、西野→北大路、進→ヒルマ辺り。
3人とも違う学校で深く相手の性格を知らないだろうし。

こういうこと言うと荒れる?

202 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/09(土) 09:51:24 ID:p81QLNhu
認識にも拠るんだろうが、絵柄に忠実な場合他作品のキャラは言葉の通じる宇宙人くらいに思ってるのかもしれん
外国でさほど親しくない知り合いと遭遇したらなんとなくお茶してしまうとかそういうレベル

だが荒れる荒れない以前に、ここは投下専用スレなんでそういうのはもう一つのスレに書いた方が良い
俺ももう書き込まない

203 :妖艶の妖狐 1/4:2005/07/09(土) 15:33:37 ID:uiIKagd/
「つまり君は殺し合いなんてやめてみんなで協力してこのエレガントなゲームを脱出しようと?」
「もちろんだ!」
趙公明は不敵な笑みをたたえながらカズキを見た。
見慣れない服を着た人間の少年からは、いくつもの死線を潜り抜けたと思われる強さを感じる。
だがあまりにも未熟、ハッキリ言って自分の敵ではないだろう。
「フフフッ、君の勇気には敬意を表するがお断りするよ。
 せっかく鍛えた力なのだから今ここで使わずしてどうするというんだい?」
「力は人を守るためにある! 殺し合いなんかに使っちゃ駄目だ!!」
「君とは話が合わないようだな、邪魔だから引っ込んでてくれたまえ」
趙公明は手の内で如意棒をクルリと一回転させると、棒先をカズキに向けた。
「伸びたまえ如意棒!」
赤い光を放ち矢のような速度で伸びる如意棒が、正確にカズキの首を狙う。
慌ててドラゴンキラーで受けようとした刹那、風の刃が如意棒を弾いた。
打神鞭を構えている魔性の美女は風を操りながら趙公明とカズキの間に入る。
「何の真似だい? 妲己」
「あはん。趙公明ちゃんには悪いけど、わらわはこの坊やの側につくわん。
 あなたなら知ってるでしょうけど、わらわは元の世界に戻ってジョカ様に協力しないといけないの。
 太公望ちゃんにもやってもらう事が残っているし、優勝して一人だけで帰っても仕方ないわん」
「太公望君か。彼とこの世界でゴージャスな戦いを繰り広げるのも悪くないね」
「悲しいわん、殷ではあんなに仲良くしていたのに、今はすっかり平行線ねぇ」
妲己はわざとらしく頬を涙で濡らしながら大気を練る。
仙道以外が使えば体力を大幅に消費する宝貝だが、妲己は仙道の中でも最強クラスの実力者だ。
いかに力を制限されたこの世界においても、打神鞭程度の宝貝を操るなど造作も無く、体力の消耗もほとんど無い。
しかし、打神鞭の威力が元の世界より大幅に落ちている今、趙公明を相手にどこまで戦えるだろうか?
あの如意棒という武器は非常に丈夫で伸縮自在、武器の扱いに長ける趙公明に持たれていてはやっかいだ。
カズキという少年と二人がかりでかかれば追い詰める事はできるだろうが、半妖体になられては返り討ちにあうだろう。
(ここは逃げた方がよさそうねん)
「逃がさないよ」
妲己の考えを読んだ趙公明は如意棒を振りかざして飛び掛ってきた。
「危ない!」
カズキは妲己を押しのけドラゴンキラーの刃で如意棒を弾く。
なかなかよい反応に趙公明は小さく笑った。
「ハハハ、暇つぶし程度にはなりそうだよ!」
趙公明はさらに攻撃を続ける。
真っ直ぐに顔を狙って突き出した如意棒をカズキに首だけ倒して避けられると、
そこから手首のスナップを利かせて横薙ぎに首を打つ。
威力こそほとんど無いもののバランスを崩してしまったカズキは倒れまいと踏ん張るが、腹部に趙公明の膝が叩き込まれる。
内臓を揺さぶる衝撃にカズキの視界が一瞬混濁する。
趙公明は続けざまに脳天へ如意棒を振り下ろそうとして、力いっぱい後ろに飛んだ。
刹那、趙公明のいた位置を鋭い輪状の風が切り裂く。
「あはん! わらわを忘れないでねぇん」
「さすがに二人相手じゃ分が悪いかな?」

204 :妖艶の妖狐 2/4:2005/07/09(土) 15:34:39 ID:uiIKagd/
互いに余裕の笑みを崩さないまま対峙する最強の仙道。
妲己は打神風を何発も連続で放つが、趙公明はそのすべてを如意棒で弾き飛ばした。
弾かれた風の刃は近くにあった建物の壁にぶつかり、傷ひとつ作る事無く霧散する。
「どうしたんだい妲己? 何やら奇妙な制限を受けているとはいえ、そんなそよ風しか起こせないのかな?」
「何なら趙公明ちゃんも宝貝を使ってみたらん? 悲しいくらい弱体化してるわよ」
「という事は、この棒を支給された僕はラッキーだったという事かな? そら、伸びるのだ!」
伸ばした如意棒を巧みに操り、勢いをつけた一撃を妲己の頭上に振り落とす。
妲己は軽やかに地を蹴って如意棒を避けると、カズキのかたわらに着地した。
「そういえばお名前をまだ聞いてなかったわねん。私は妲己ちゃん、向こうは趙公明ちゃんよぉん。あなたは?」
「お、俺は武藤カズキ。君達、中国っぽい名前だね」
「中国?」
おや? と妲己は首をかしげた。
ジョカ様の予定によれば、中華人民共和国が成立するのは数千年も後の事だ。
という事はこの少年、自分達のいる時代のはるか未来からこの世界に召喚されたらしい。
「ウフフ、面白いじゃない。カズキちゃん、後で色々お話しましょ」
蟲惑的にささやいた妲己は、カズキの頬を艶やかな指で撫でる。
するとカズキの頬がポッと朱に染まった。年上好きのカズキにとって妲己は非常に魅力的だった。
もっとも、妲己の実年齢が大幅に……という言葉さえ小さく思えるほど上回っているとは夢にも思わなかったが。

「妲己くん、お喋りは終わったかな?」
趙公明は伸びたままの棒を持ち上げ、力いっぱい横薙ぎに払う。
妲己はカズキの頭を地べたに押さえつけて棒を避け、地面スレスレを這う風の刃を放った。
本来の威力には及ばないが、まともに当たれば足に深い傷を負って動けなくなるだろう。
「おっと!」
趙公明は華麗なジャンプをしながら如意棒を縮め、空中でクルリと横に一回転した。
「アン・ドゥー・トロワ!!!」
回りながら再び伸ばした如意棒は十分な速度と遠心力を加えられており、
咄嗟にドラゴンキラーの甲で防いだカズキは自分を押さえていた妲己もろとも1メートルほど吹っ飛ばされた。
「うわっ!」
「キャアン!」
地面に倒れ身体に埃がついた事に苛立ちながら、妲己は頬に冷や汗を垂らしてた。
「さすが趙公明ちゃん……初めて使う武器なのにあそこまで使いこなすだなんて……」
「アハハハハ! 僕はゴージャスな戦いを演出するために様々な武器の扱いを習得しているのだよ!!」
着地した趙公明はすぐさま如意棒を縮め、伏したままの妲己とカズキに肉薄した。
接近戦じゃ分が悪いと妲己は逃げようとするが、さっきの衝撃で身体を上手く動かせない。
「さあ妲己くん! 年貢の納め時だよ!!」
「くっ……!」
敗北の予感に妲己は怒り、打神鞭を握り締めた。今さら風を撃っても趙公明の接近は止められまい。
せめて一矢報いてやろうと、相討ち覚悟で打風輪を生み出す。

205 :妖艶の妖狐 3/4:2005/07/09(土) 15:35:03 ID:uiIKagd/
だが妲己が打風輪を放つタイミングを見計らっているその時、カズキが吼えた。
「ウオオオオオオオオオオオ!!」
気力で立ち上がったカズキはドラゴンキラーを力いっぱい振り上げ趙公明に向かう。
普通の人間かと思ったが、身体能力は天然導士ほどではないにしろ常人離れしているらしい。
予想外の事態に趙公明は笑う。思ったより楽しめそうな相手じゃないか、この少年は。
(今だわっ!!)
喜悦に意識が傾いた刹那の瞬間、妲己は打風輪を趙公明目掛けて撃ち出した。
打風輪とドラゴンキラーの同時攻撃。
完璧なタイミングで放った妲己の一撃は、カズキの攻撃が到達するのと寸分たがわず趙公明を襲うだろう。
今さら立ち止まれない、避ける暇も無い、防げるのは片方だけだ。
だが趙公明は斜め下に如意棒を突き出し叫んだ。
「伸びろ!」
コンクリートの地面に接してなお伸びる如意棒に身体を持ち上げられた趙公明は、
走っていた勢いを殺さず棒高跳びの要領で飛び上がろうとしていた。
これなら両方の攻撃を避けられる。妲己は作戦の失敗を悟りながら、よろよろと立ち上がる。
「フハハハハ! 残念だったね妲……」
高笑いをする趙公明の左足に突然熱い感触が走る。
カズキのドラゴンキラーが趙公明の足に小さな傷を負わせたのだ。
如意棒に上空へ持ち上げられながら趙公明は感嘆する。
ただの人間かと思ったら、妲己の協力があったとはいえこの自分に傷を負わせるとは!
「ハハハハハ! カズキくんだったね、素晴らしい!」
全力で走っていた勢いが強かった事と、感動によって一瞬我を忘れたせいで必要以上に伸びた如意棒のせいで、
趙公明は予定していたよりも高く遠くへ飛んでしまった。
それを好機と見た妲己はカズキに向かって駆け出しながら、打神風を着地地点に向けて放つ。
「むっ」
風の刃を逃れるため趙公明はさらに如意棒を伸ばし刃が通り過ぎるのを待たなければならなかった。
その隙に、妲己はカズキの手を取って全力疾走する。
「しまった……」
打神風をやりすごした趙公明が着地した時にはもう、妲己とカズキは建物の陰に入っていた。
慌てて後を追う趙公明だが、結局二人の姿は見つからずじまい。
「フフフ……カズキくん。この借りは必ず返すよ……エレガントなゲームの中で!」

206 :妖艶の妖狐 4/4:2005/07/09(土) 15:35:47 ID:uiIKagd/
中国三大怪奇小説の中でももっともマイナーとされる『封神演義』をカズキは知らなかった。
超有名な妖怪、金毛白面九尾の狐の伝説も、中国から日本にそういう妖怪が来たという程度の知識しかない。
だからこの妲己という女性が何者なのか、名前を聞いても気づけなかった。
妲己が紀元前の中国から来た仙女であり、自分同様ゲームを脱出しようと思っている。
それだけ分かれば十分だとお人好しなカズキは思った。

大阪の街を縫って逃げた二人は、大阪郊外にある民家で身体を休めていた。
同室のベッドに妖艶な妲己と並んで腰掛けている現実に、カズキは緊張を覚える。
本当に古代中国から来たのかという際どい水着のような衣装は、仙女だからという理由で無理矢理納得した。
「あはん。よかったらカズキちゃんの事、詳しく教えてもらえないかしら?
 人間にしてはずいぶんと体力があるみたいだし、あなたの時代の人間はみんなそうなのん?」
「そうじゃないよ。俺は錬金の戦士の特訓を受けてるんだ」
カズキから情報を引き出しながら、妲己は時折うぶな少年の手を握ったり、
腕に胸が当たりそうなほど寄り添ったりと、巧みに少年の心を揺さぶる。
スーパー宝貝傾世元禳があればもっと簡単に誘惑できるが、傾世元禳が支給されているとは限らない。
しかしそれでも妲己は男を誘惑する術を学びつくしていた。
こういう純情そうな少年はあからさまな色仕掛けより、こういった何気ない仕草の方が効果的。
カズキはともに趙公明と戦った事もあって、妲己に心を許しつつあった。
少なくとも、妲己の本性を知るまでは全力で彼女の力になってくれるだろう。

「ねぇねぇ、よかったらあなたの時代の事や中国の歴史を知ってる範囲でいいから教えてくれないかしらん?」
「うっ、うん。でも中国の事はあまり詳しくないなぁ。日本史なら普通の高校生レベルの話は出来るけど……」
「わらわはこの国の事をよく知らないわん。地理でも歴史でも教えてちょうだい」
妲己はカズキの肩にそっと自身の頭を預けた。
美女の甘い香りがカズキの鼻腔をくすぐり、心臓が早鐘のように脈打つ。
……否。脈打っているのは心臓ではなく、武装錬金を封じられた黒い核鉄だった。
その真の力を秘めたまま、静かに開放の時を待つ魔性の金属。

恐らく過酷な未来が待っているだろうカズキだが、今は妲己とともに一時の安らぎを得ていた。
その安らさえ偽りを孕んだものだと知らず……。


 【黎明】

【大阪難波】
 【趙公明名@封神演義】
 [状態]:左足に軽傷。
 [装備]:如意棒@ドラゴンボール
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1 エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキを優先。



【大阪郊外の民家】
 【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:軽度の疲労
 [装備]:打神鞭@封神演義
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1 カズキと一緒に夜明けまで休む。
      2 どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。可能なら太公望も連れて戻る。

 【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:軽度の疲労
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1 妲己と一緒に夜明けまで休む。
      2 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー優先。
      3 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      4 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。


207 :守るべきもの:2005/07/09(土) 19:01:55 ID:EyGIn/HN
アイゼンと言う男を殺す。星矢の頭の中にはそのことしかなかった。
一刻も早く岡山へ。
焦る気持ちは疾風迅雷の速さで鳥取県を突き抜けた。しかし……
星矢の早さは警戒心を無視した無謀な突撃だった。
中国自動車道は左右を森に囲まれた潜伏するにはうってつけの場所だ。
「手を挙げなさい。坊や!!」
不意に森の方から声がした。そして機械音。相手は間違いなく銃をもっている。しかし、あの声は……
女性のものだ!!
「聞こえなかったの?手を挙げなさい!」
間違いない。あれは女性だ。
星矢は両手を挙げて、
「お、俺には殺し合いをする気なんかないよ。ほら、武器も持ってないし、
そっちこそ出てきてくださいよ!」
女の人とは戦いたくないよ……星矢の無垢な気持ちは女性の心を動かした。
「わかった。今出ます」
姿を現した女性の身長は180cm近くあり、長いブロンドの髪でかなりの美人だ。
その手にはサブマシンガンが握られている。
その姿を見て星矢は赤面した。
「フフッ。可愛い坊やね。赤くなっちゃって。」
「こ、子供扱いは止めてください。俺の名は星矢です。」
彼女の笑顔に星矢はもじもじしながら答えた。さすがの聖闘士も女には弱い。
「あら、ごめんなさい。私の名前は麗子。警察官よ。このマシンガンは私の支給品。運がいいのよね。私。」
支給品。その言葉を聞いて星矢の目から涙がこぼれた。石崎のことを思い出したのだ。
星矢は泣きながらこれまでの経緯を麗子に話した。
「ふーん。確かにアイゼンとかいう人は許せないわね。よーし、私も手伝ってあげる」
戦いは男の仕事。そう思っている星矢には麗子の言葉が信じられなかった。
「大丈夫。私は警察官だし、五輪でも金メダルとったことあるんだから。
そこらの男より頼りになるわよ」
男勝りの麗子の発言に戸惑いながらも、共闘を了承した聖矢。
(俺が今為すべきことは二つ。石崎さんの敵討ちと、麗子さんを守ることだ)

【岡山県北部初日黎明】
【マシンガンチーム】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考】1.麗子を守りつつ愛染を殺す。2.ハーデスを殺す
【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】健康
【装備】サブマシンガン
【道具】支給品一式
【思考】1.星矢に協力する。

208 :天に立つ男 地に倒れる男(修正):2005/07/10(日) 00:37:34 ID:oCk5acrh
「(思ったより力の消費が激しいな)」
男は近くの木に座り込み、デイバックの中に仕舞っている盤古幡を見つめ、考える。
私はこの宝貝、盤古幡をどこまで使いこなせるのか。
先刻の戦闘では重力を50倍に増加することが出来た。全力で行えば100倍は到底無理でも、それに近い出力が出るだろう。
攻撃を広範囲に行え、一方的に重力を倍増させることができるこの宝貝、支給品の中でも間違いなく最強の部類に位置する。
唯一つ問題があるとすれば、使用者の力を大量に消費すること。
スーパー宝貝であるこの盤古幡は通常、本来の持ち主である崑崙の教主元始天尊以外が使用すると1分で死に絶えるという恐ろしい物。
この世界では盤古幡の力が弱体化しており、その分、力の消費も抑えられている。
が、それでも盤古幡を使用した場合、極度の体力の消費を避けられないだろう。
「(50倍…あれでも余力を残したつもりだったが…予想以上に体力を消耗した。全力で発動すれば半日は確実に動けなくなるだろう)」
藍染は考えを改める。私はこの盤古幡を侮っていた、と。
例え動けるようになったとしても、恐らくまともな歩行すら困難だろう。1日回復に費やしてもどこまで元に戻るか分からない。
「(15倍の時点では平気だった。それでも鬼道を数発繰り出す程の力の消費なのだが。しかし50倍はその程度の消費では済まなかった)」
盤古幡の出力を50倍にまで上げたあのとき、愛染は体力の半分以上を持っていかれた。自分の意思で消費したのでない。
気がつけば吸い取られていたのだ。まるで盤古幡が愛染を殺そうとするかのように。
「(この宝貝…盤古幡には意思、のようなものを感じ取れた。そして、その意思は…)」
拒絶。この盤古幡は私を受け入れていない。故に私を殺そうとしたのか。なんと気位の高い武器だろう。
宝貝は本来、宝貝自身が主と認めない限り、仙道であろうがその手に持つだけで体力を吸収する。
更に使用するとなると、せいぜい数発が限度である。
この何もかもが制限されたこの世界、通常の宝貝であれば、主と認められていなくても使用する分では何も問題ないだろう。
威力は軽減されているが、その分、上記のデメリットもある程度軽減されている。それでも力の無いものが使えば有害だろうが。
しかし、このスーパー宝貝『盤古幡』は違う。この盤古幡も力を制限され、デメリットも軽減されているが、それでも格が違う。
主と認められていない者、力の無い者が持てばたちまち力を吸い取られる。更に使用するとなると、下手をすれば命さえ奪われるだろう。
その比は通常の宝貝とは全く異なる。藍染もそのことを理解していたからこそ、普段はデイバックに仕舞っているのだ。
今は平然と木に座り込んでいるが、その実は盤古幡を使用して消費した体力を少しでも回復させてようとしている。
藍染は決して弱くない。むしろ尸魂界、いや、護廷十三隊でも最強の部類に属するだろう。
しかしその藍染ですら盤古幡に主と認められず、その結果、休息を余儀なくされたのだ。
「(だが、いつかはこの盤古幡に私を認めさせ…いや、私に屈服させて使いこなしてみせよう。さすれば…)」

209 :それぞれの思惑:2005/07/10(日) 00:38:53 ID:oCk5acrh
「(外傷は無い。だけど体の内部、内臓にダメージがあるな…くそ)」
キルアは今、愛染の背後から数メートル離れた場所にいる。あの戦闘の後キルアは藍染の軍門に下った。
が、隙あらば藍染を拷問にかけ、この世界からの脱出方法を吐かせようとしている。
藍染の背後にいるのはそのためである。しかし、先程の戦闘でその全身に盤古幡の力を浴びたキルアにそれは出来ない。
いや、正確に言えば、ダメージのせいで動きが鈍くなっており、藍染に全く隙が見当たらない現状では不可能なのだ。
「(あのやろう…あんなとんでもないもん使っておいて、平然と本なんか読んでやがる…)」
キルアは知らないが、藍染は盤古幡を使用した代償として、半分近く体力を消費している。
しかし藍染はそれを全く悟られず、更に隙さえ見せていなかったのだ。
「(戦いの後、あいつは俺の能力『念』ついて訊いてきた。苦し紛れに『燃』を教えたが、あの野郎のことだ。
  すぐに気づくだろう)」
『燃』とは『念』の存在を隠すために方便として使われる教え。
その教えは大まかに言えば、心の中で強く念じることによって、力を得る、といったものである。
「(俺の念、オーラを電気に変える能力をあいつに見られていたら、即座に看破されていただろう)」
不幸中の幸いである。キルアが先程の戦いでその能力を見せていたらものの一瞬で嘘と見破られていただろう。
だが、石にオーラを込めて投げつけたことで『燃』では説明できない事象を見られてしまった。
…もしかしたらもう気づいているかもしれない。だが、あいつは今のところ、念に興味は無いみたいだ。
恐らく、あの本を読み終えてから本格的に念を調べ始めるのだろう。
もしそうなれば下手すれば俺の命が危ない。俺はあいつに嘘をついたから。
そうなる前に、脱出方法を聞きだして逃げなくては。だがどうする?現状ではそれは不可能。
なら今から逃げるか?…駄目だ、体はなんとか戦闘を行える状態に戻ったが、もう一度あの武器を使われたらおしまいだ。
あの武器がある限り一人で奴を締め上げるのは無理だ。…仲間が必要だ。数人、それも強力な力を持つ仲間が。
いくらあの武器が広範囲に攻撃が行えるとしても数人いれば…なんとかなるかもしれない。
希望的観測に近い考えである。それはキルアも分かっている、しかし一人では何も出来ないのも事実。
「(…今は体の回復に努めるか…)」
キルアは待つ。藍染の背中を見つめながら。…奴が隙を見せる一瞬を。

210 :それぞれの思惑:2005/07/10(日) 00:39:23 ID:oCk5acrh
「おい、あいつらどう思う?」
「う〜む…そうだのう」
藍染とキルアを遠くから見つめる影が二つ。それは太公望と富樫であった。
二人は四国へ向かうため下山していたが、近くから叫び声が聞こえたのでここまでやってきたのである。
幸いにも太公望たちは下山の途中であったため、森と街道の境目にいるキルアたちを見下ろす形になり、
キルアたちには決して居場所を悟られることが無い位置つくことができたのだ。
「わしらのような関係ではないということはたしかだのう」
「どういうこった?」
「純粋な協力関係ではないということじゃよ。あの子供を見るのだ。あの顔は明らかにダメージを負っている顔だ。
 見たところ出血は無いようだからおそらく内部のダメージだろう。そんな子供を放っといてあの袴の男は悠々と
 書物を読み耽っている。仲間なら心配して近寄ったり、介護するなりするものだ。おそらく主従関係に近い関係、
 どうやらあの袴が主で、あの子供は何らかの理由であの男の元におるのだろう」
太公望はその異様な光景を眺め、そう察した。
だが、太公望の関心はそれにはなく、彼らがゲームに乗っているか否か、どのような能力を持っているか。
その二点がひたすら気になっていた。どのような能力を有しているかは定かではないが、
あの子供がダメージを負っていることから彼らが戦闘を行った(どこで誰と戦ったかは分からないが)ことは明白。
それが自衛のためなのか自ら戦闘を仕掛けたのかはわからない。用心に越したことは無いだろう。
「富樫よ、多少予定が変わるが、ここでやつらを観察するぞ」
富樫は静かに頷く。ここはあの二人から多少距離があるとはいっても、どのような能力があるかは定かではない。
警戒のため声も最小限に抑えておく必要がある。居場所を悟られないためにも。
「(あやつらは今しばらくここで休憩をとるつもりだのう。行動を開始する前に見極められれば良いのだが)」
彼らが動き始めたとなると、必然的に追尾しなければならない。その場合、太公望と富樫の目的
四国へ渡ることを断念せざるを得ない。それはまだいい。一番危惧すべきことは彼らが都市へ向かうこと。
人を探すのならば都市へ向かうのは間違いではない。しかし太公望たちが一番に優先するのは自身の安全。
仲間を探す者、ゲームに乗った人間、その他の目的を持った人間、様々な人が集まり、
かつ山林に比べて身を隠す場所が少ない都市は武装が貧弱な太公望と富樫にとって危険極まりない場所である。
彼らがそのような場所へ向かうなら彼らの監視を中止せざるをえない。
太公望たちがあくまで監視を行うのは、自身の安全が極めて高い場所いることが絶対条件なのである。
「(さて、どうするかのう…彼奴等に何かしらのアクシデントでも発生すれば見極めれるのだが…)」

211 :それぞれの思惑:2005/07/10(日) 00:39:51 ID:oCk5acrh
目の前の美しい長髪の女性を見て思い出す。
アテナ……沙織さんは一体どうしているだろうか。
星矢はハーデスとの聖戦後のことを何も覚えていない。
エリシオンにて、星矢はハーデスの剣からアテナを守るためにその身を犠牲にし、心臓を貫かれた。
星矢は薄れゆく意識の中、確かに感じ取ったのだ。、壮大で心安らぐ小宇宙とアテナと地上の愛と平和を守ろうとする小宇宙、
アテナと一輝達の小宇宙がハーデスの邪悪な小宇宙を見事打ち倒すのを。
ハーデスが倒れたことによって漆黒の闇に彩られた冥界は崩壊し、地上は光を取り戻した。そして光溢れる地上へ帰ったのだ。
星矢が覚えているのはここまで。アテナと仲間と共に地上に帰ったあとの記憶は何も無い。
自分が生きているのか死んでいるのかさえ分からない。だが、今となってはそんなことはどうでもいい。
星矢の頭の中で渦巻いている疑念、それはハーデスが生きていたこと。
あのとき、俺たちはアテナと共に確かに冥王ハーデスを打ち倒した。それは間違いない。
なのになんであいつは生きている?なんであの場所にいた?
星矢は主催者と名乗る者たちの中にハーデスがいるのを見つけたとき、言葉を失った。
全身を黒衣のローブで覆っていて顔は確認できなかったが、あの禍々しくも、神々しく偉大な小宇宙…ハーデスに間違いなかった。
俺達の戦いは無駄だったのか?ヤツは何度でも蘇るのか?…様々な思いが脳裏に浮かぶ。
死してなお、地上の平和とアテナを守るためにその誇りすら捨ててハーデスの尖兵として蘇ったサガとデスマスク達。
サガ達の真意を知らずとはいえ、かつての仲間と命をかけて戦ったムウ達。
そして…神しか通れない嘆きの壁にて、アテナと俺達のために命を散らした十二人の黄金聖闘士。
彼らの死は無駄だったのか?俺達が流した血は意味が無かったのか?
…いいや、無駄じゃない。少なくとも俺達は生きている。一輝、サガ、デスマスクもいる。
必ずみんなの力を合わせて他の主催者もろとも倒す。これ以上の犠牲を出さないためにも。
「どうしたの?涙なんか流して…辛いことでも思い出したの?」
星矢はいつのまにか涙を流していた。思い出していたのはアテナと仲間達のことだけではない。
先程までサッカーを心底楽しそうに語っていた…石崎のことを思い出していた。
俺達があのときハーデスを確実に倒しておけば…石崎さんは死ぬことはなかった。
このゲームに参加することはなく、大好きなサッカーを続けられたはずなんだ…!
大好きな仲間と大好きなサッカーを……だけど石崎さんはもう二度とできないんだ…。
そう思うだけで涙が頬を伝う。止め処なく流れる涙。どうしようもない思い。
しかし星矢は涙を拭う。その後悔と悲しみの涙を決意に変えるために。
「いいや、なんでもないよ。ちょっと昔を思い出していただけだって」
そう、今度こそ守りきろう。この女性を。きっと守りきってみせる。
それが石崎さんへの罪滅ぼしと誓い。もうこれ以上平和を願う人を犠牲にはしない…!
「そう…辛かったらいつでも話してね。お姉さんが力になってあげるから。…あ」
目の前に二人組みが見えた。まだ年端も行かぬ子供と袴でオールバックの男……あれはアイゼン!
「麗子さんはここから銃でサポートしてください。…あいつは俺が倒す」
まだあの二人に気づかれていない。ここに麗子さんを置いていけば戦いに巻き込むことはないだろう。
そう考えた星矢は銃でサポートという名目で麗子をここに留めたのだ。
「分かったわ、でも無茶は駄目よ。危なくなったらすぐに逃げなさい。いいわね?」
普段の、正義感の強い麗子ならまだ子供である星矢を止めたのだが、星矢からは、常人の大人を超えた、
何か力強いものを感じた。だから星矢を信じたのである。
「ああ、分かったよ麗子さん。それじゃ行ってくるよ」
そう言うと星矢は静かに歩き出す。…アイゼンの元へ

……今、まさに戦いが始まろうとしていた。

212 :それぞれの思惑:2005/07/10(日) 00:40:32 ID:oCk5acrh
【岡山県北西/黎明】
【藍染惣右介@BLEACH】
 [状態]:わき腹負傷。骨一本にひび
 [装備]:刀「雪走り」@ONE PIECE アバンの書@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(食料三人分)スーパー宝貝「盤古幡」@封神演技
 [思考]:出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害
     特にキメラの翼を求めている。

【岡山県北西/黎明】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:回復中。戦闘は可能
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 爆砕符@NARUTO
 [思考]:藍染の手下にはなったが、従うつもりは毛頭無い。
     隙を見つけ、拷問にかけるつもりでいる。
     また、脱出の術を持っている者、探している者と出会えば
     そちらに寝返る可能性が高い。

【岡山県北西/黎明】
【太公望@封神演技】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 宝貝『五光石』@封神演技 怪しげな液体 支給品不明(本人確認済み)
 [思考]:目の前の二人組み(藍染とキルア)を見極める。

【岡山県北西/黎明】
【富樫源次@魁!!男塾】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 
 [思考]:目の前の二人組み(藍染とキルア)を見極める。

【マシンガンチーム】
【岡山県北西/黎明】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】なし
【思考】1.麗子を守りつつ愛染を倒す。2.ハーデスを倒す 。

【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】健康
【装備】サブマシンガン
【道具】荷物一式
【思考】1.星矢に協力する。


213 :思春期の少年少女:2005/07/10(日) 02:28:36 ID:6oIGs921
>>195>>197>>198>>200の修正・追加



泣くよりも文句を言うよりも先に、今はやるべきことがある――――。

春野サクラは林の中を慎重に歩き続けていた。
とてつもない、自分の知る物とは遙かに次元の違う強さを持った“主催者達”。
それに勝てないまでも、明らかに自分より強いと思われる参加者の面々。
(どうしてこんなことに…!)
何度心の中で疑問を叫んだだろう。
『殺し合いをしてもらう』と告げられた大きな部屋の中で恐怖と不安で滲んだ涙を拭っていたはずなのに気が付いたら山の中にいた。
恐怖と孤独感に震える手を無理矢理に動かしデイバックを開く。
支給品を一つ一つ確認し、サクラは最後に名簿を開いた。
そして……それを確認したサクラの顔にはもう、涙は流れていなかった。
『うずまきナルト』
『奈良シカマル』
信頼できる仲間の名前を見つけたからだ。
シカマルは今や、里一番の切れ者と評されるほどの頭脳を持っている。
ナルトは…ナルトは、かつて下忍時代にスリーマンセルを組んだ大切な仲間だ。
意外性ナンバー1忍者とも言われていたけど、ナルトは強い。技とかもだけど、何よりもその心が。
アイツならきっと、こんな状況でも諦めたりとか絶望したりはしない。
一緒にカカシ班として任務をこなしていた下忍時代はナルトを馬鹿にしたこともあったけど、今は、ナルトならきっと火影になれると信じてしまっている。
(……わたしだって)
サスケ君とナルトにいつも庇われていてあの頃とは違う。
サスケ君の里抜けを止められずに泣いてばかりいたあの頃とは違うのだ。
そう。
(今度は私が――――二人を助ける番!)
そう自分に誓った日から、それこそ血の滲むような努力を続けてきた。
大切な二人を助けるための力を身につけるために……!
(とにかく、ナルト達を見つけよう)
そして、どうにかしてこのゲームから脱出しよう。
そう決意し再び名簿を確認したサクラは、その中にもう一つ、知っている名を見つけた。
――――『大蛇丸』。
サスケに呪印を付け、彼の里抜けを促した張本人。
アイツがあの熾烈を極めた中忍選抜試験に現れたときから、何かがおかしな方向へ転がっていってしまったような気がする。
沸き上がる怒りに、名簿を持つサクラの手が震える。
大蛇丸に会えればサスケの居場所もわかるはずだ。
もちろん自分があの化け物じみた“元三忍”の一人に勝てるとは思わないが、ナルトやシカマルと一緒なら……。
深く息を吸い、吐き出す。
(どこかの町に行こう)
町にはきっと、人が集まるはずだ。
そこまで行けばナルト達の情報も得られるかもしれない。
もちろん“その気になっている”人がいる可能性もあるけど…そうしたら、全力で戦おう。
自分はこんなところで死んでいる場合じゃない。
自分にはやるべきことがある……!
地図を広げコンパスを確認する。
どうやら一番近い町は“京都”という所のようだ。
ヘアバンド代わりの額あてを結び直し、キッと前方を睨む。
地上よりも見つかりにくいだろうと考え、木々間の枝を飛んでいこうと決めたサクラは手近な木に足をかけた。



214 :思春期の少年少女:2005/07/10(日) 02:29:34 ID:6oIGs921
(……!!チャクラが練りにくい…!)
木を水平に登るためには、足の裏にチャクラを集めて木に吸着させる必要がある。
多すぎず少なすぎず、適量のチャクラを必要な時に必要なだけ練れるのは一人前の忍者としての必須条件だ。
足の裏は特にチャクラを集めにくいとは言われているが、サクラは基本的なチャクラコントロールは同期の中でも秀でている。
もちろん木を水平に登るなんてことは朝飯前だ。
更にサクラはこの二年半、綱手の元で緻密なチャクラコントロールを要求される医療忍者としての修行を積んでいるのだ。
そのサクラでさえ、チャクラを練るのにいつも以上の神経を使う。
この島では、何か、チャクラを妨害するような力が働いているのだろうか。
……九尾を封印されていて莫大なチャクラを内蔵するナルトはともかく、シカマルは大丈夫だろうか。
ふと過ぎった不安を頭を振って振り払うと、サクラは慎重に山中を歩き始めた。

そして――――。

それからすでに、数時間が経っている。
サクラは自分の前方に人の気配を感じ、足を止めた。
息を殺し茂みの隙間からそちらを伺うと、木の根本に座り込んでいる男の背中が見えた。
何をしているのか、手を動かしながらブツブツと呟いている。
青を基調とした見慣れない服装。仕組みのよくわからないトゲトゲ頭。
座り込んでいる姿から推測するに、背はかなり高い。
(どうしよう……)
ゲームが始まってから初めて見つけた人間。
声をかけるべきか。でも…何て?
もし、彼が“その気になっている”人間だったら…。
その男はまだ、背後にいるサクラに気づいていない。
(とにかく確かめてみよう)
音を立てないように細心の注意を払いながら懐に手を伸ばす。
そこには、支給された武器である奇妙な物があった。
コルトローマンMKV。
説明書にはそう記載されていた。
初めて見る物だが、恐らくこの引き金を引けば先端の穴から何かが飛び出るのだろう。
それがどんな威力を持つのかはわからないが、自分の忍具がない今、武器と呼べるものはこれしかない。
少しの間それを眺めていたサクラは、やがて意を決したように引き金に指をかけた。
男は未だ、サクラに気が付いていない。
静かに、静かに、サクラは男に近づく――――。

215 :思春期の少年少女:2005/07/10(日) 02:31:01 ID:6oIGs921



「もっと詳しいデータが必要だな…」
そう呟くと、乾貞治はパタンと手帳を閉じた。
自分がなぜこんな所にいてこんな状況に陥っているのか、訳がわからない。
わかっていることと言えば、自分の現在地が日本で言う兵庫県と京都府の境目辺りにある林の中であること。
もっと詳しく言えば、この林を抜けた辺りには山陽自動車道と呼ばれる高速道路があるということ。
それから、名簿に越前リョーマ、竜崎桜乃、跡部景吾の3人の名前があったということ。
自分に支給された物が水、食糧、地図、コンパス、時計、名簿、鉛筆、そして…大小様々な大量の弾丸であることだけだ。
一応それらの事実を、いつも持ち歩いていてポケットに入れたままだった手帳に書き留める。
それが何の役に立つのかはわからないが、少なくとも乾を落ち着かせるという効果はあった。
――――ゲーム開始からすでに数時間が経過していた。
地形や現在地を確かめるために歩きっぱなしだったため、テニス部で鍛えた足腰もかなり疲労している。
一応周囲を見回して人気がないことを確かめると、乾は近くの木の根本に腰を下ろした。
(杉の木…ということは、ここはやはり日本なのか?)
杉という木は確か、日本特産の針葉樹だったはずだ。
周辺の木々を見渡し、発覚した事実をまた手帳に書き込む。
普段から愛用しているマル秘ノートに比べるとこの手帳の余白は少ないが、仕方ないだろう。
デイバックを開き、水を少量摂取する。
(越前達は無事だろうか……)
この名簿が真実である可能性は50%程だろう。
だが今は、その確率を上下させられるほどのデータが手元にない。
有無を言わず、あの主催者達に従わざるを得ない状況だ。
従うと言っても、人を殺す気などさらさらないが……。
出発してからの数時間。乾は誰とも出会っていない。
そのせいなのか、どうも自分が異常な状況に置かれているという危機感が沸いてこない。
メガネをかけ直し、乾は再度水を含んだ。
「とにかく…越前と竜崎先生のお孫さんを見つけなくては」
乾の後輩である越前のデータは、ノートを持っていなくともそらで言えるくらい熟知している。
竜崎桜乃についてのデータは乏しいが、それでも乾は一つの答えを導く。
「彼らが東京を目指す確率…92%」
越前も、竜崎桜乃も、家は東京にある。
日本を象ったこの島で、自分の家や通っている学校がある地域を目指す可能性はかなり高い。
それ故に、乾は東京を目指す。
普段は飄々として、目が透けて見えない位の分厚いメガネの下で何を考えているかわからない乾だが、彼が実はかなり面倒見のいい先輩であることは青学テニス部に所属する

者なら誰でも知っている。
脱出を目指すにしても、それは自分一人ではあり得ない。
必ず、彼らも一緒に連れて行かなくては。
当たり前の事のように、乾はそう考えていた。

216 :思春期の少年少女:2005/07/10(日) 02:31:54 ID:6oIGs921
(脱出と言えば)
この首輪について考えなければならない。
生憎、手鏡を持ち歩くような性分ではなかったのでどんな形状の物が付けられているのか確認すらできていない。
(なんとかして外せないだろうか)
機械には弱くない方だとは思う。
だが道具もなければ形状すら確認できない現状では完全にお手上げだ。
「他に考えなければならないのは……跡部か」
乾と氷帝学園テニス部部長・跡部景吾との間に接点はほとんどない。
青学と氷帝は都大会で何度か対戦したことがあり、互いの顔と名前は知っているが、乾自身は跡部とそこまで話したことはなかった。
身体的な特徴やテニスの癖などのデータは持っているが……跡部の人柄についてはそこまで詳しくない。
……彼は、このゲームに乗るのだろうか。
氷帝テニス部200名による『氷帝コール』。
ジャージを放り投げながらの『勝つのは俺だ!』宣言。
そして『俺様の美技に酔いな』発言。
「まいったな…」
いいイメージがあまりない。
跡部に関する記憶を辿りながら、乾は表面上はあくまでも無表情に困った。
(この名簿に載っている跡部があの跡部なら、少なくとも人間であることは確かだ)
相手が人間なら、例え彼がゲームに乗っていたとしても、戦うなり逃げるなりは出来るはずだ。
逆に、彼がゲームに乗っていないのであれば仲間を一人増やすことが出来る。
そう結論付け、乾はこれからの行動方針を決めた。
(まずは近くにあるはずの山陽自動車道を探す。それから京都に向かい、可能ならば病院を探そう。何か役立つ物があるかもしれない。そして最終目的地は東京だ)
そうして少しの休憩を終え、乾は座り込んでいた木の根本から立ち上がろうとし――――失敗した。

「動かないで」

若い、女性の声。
後頭部に突きつけられている筒状の物。恐らくは――――拳銃。
(こういう場合はどうするべきなのか…)
初体験だな、とくだらない事実に気が付き、口元が笑う。
現実感がわかないせいなのか、声が女性の物だったせいなのか…乾は自分でも驚くほどに落ち着いていた。




217 :思春期の少年少女:2005/07/10(日) 02:33:01 ID:6oIGs921



「質問に答えてください」
そう言うサクラの声は凛としていた。
今自分が武器を突きつけている男は、身動き一つしない。
油断なく身構えながら、サクラはさらに質問を続けた。
「あなたは、このゲームに乗る気はあるんですか?」
「ないよ」
あっさりと拍子抜けするほどの即答が返り、サクラは困惑する。
「……本当ですか?」
「ああ。どう言えば信じてもらえるのかな」
人間の急所の一つである頭に武器を突きつけられているというのに、やけに冷静に……むしろ楽しそうに、男が答える。
(なんなのコイツ…もしかして、この武器、殺傷能力はまったくなくて、コイツはそれを知っているとか……)
サクラの支給された武器は、人間に対してはかなりの殺傷能力を持つ当たり武器だ。
もっともその武器は大幅に狂った照準に設定されていたのだが、それはサクラも、元々の持ち主である槇村香も知らないことであった。
予想外の男の態度に、拳銃の威力を知らないサクラは心中で様々な不安と憶測を渦巻かせる。
「君は乗る気なのか?」
「まさか!私は仲間を捜してるんです」
「奇遇だな。俺もだよ」
まるで世間話をするような気軽な口調。
この男は、信用できるのだろうか……?
「どうすれば信じてもらえる?」
サクラの心を読んだようなタイミングで、男が更に質問を重ねた。
「……」
「……よし、こうしよう」
妙な沈黙を破り、男が口を開いた。
「俺のことを話すから知ってくれ。そこから信用できるかできないか判断してくれないか」
「……はぁっ?!」
「俺の名前は乾貞治。青春学園中等部3年11組。テニス部所属。身長は184p。体重は62s。誕生日は……」
(なんなのこいつ――――っ!!?頭おかしい?てゆうか、キモい!!)

内なるサクラの叫びは乾には届かず、彼の自己紹介はその後延々と30分以上続いた――――。


218 :思春期の少年少女:2005/07/10(日) 02:34:23 ID:6oIGs921
【兵庫県と京都府の境目にある林/出発から数時間】

【春野サクラ@NARUTO】
 [状態]:健康
 [装備]:コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準は滅茶苦茶)
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.目前の男が信用できるか確かめる(でもキモがっている)
      2.ナルト、シカマルと合流して脱出を目指す
      3.大蛇丸を見つける 


【乾貞治@テニスの王子様】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(水を少量消費済み)、手帳、弾丸各種
 [思考]:1.この女性(サクラ)に信用してもらう
      2.東京に向かい、越前、竜崎桜乃、跡部と合流する
       3.脱出を目指す

219 :不死身と不運と慢心と 1/2:2005/07/10(日) 13:37:36 ID:286lXKn3

 戸愚呂は歯噛みしていた。目の前に現れたこの男(数度の交錯の後、C・ブラボーと名乗った)。このふざけた名前の
男に苦戦しているという事実、そして自分の力、再生という力が予想以上に弱体化しているという現実に。

「直撃!ブラボー拳!」

 男、C・ブラボーが裂帛の気合いと共に拳を突き出す。戸愚呂はそれを後方へ跳ぶことで回避する。
C・ブラボーも、他の異能力者と同様、手刀で海を割れるほどの人間離れした身体能力は制限されている。故にそれは、
普段であれば回避ついでに体中から針を噴射し、邪魔者を串刺しにできる程度の一撃。だが。

(忌々しい!再生を上手く制御できん!)

 出会い頭の一撃。頭上から強襲してきたときに砕かれた左頭蓋。外見上は完璧に再生しているものの、内部の状態は
お世辞にも良好とはいえない。とてもそこまでの大掛かりな反撃に回せる力は残っていない。この男、弱くない。
全身に浅い傷を負わせる程度のことはできたものの、圧されているのは自分の方だ。
頭部の再生に力を割かねば遠からず自分は死ぬが、力を割いた状態で殺せる相手とも思えない。

 万全の状態なら、無類の生命力を誇る戸愚呂だが、再生能力が著しく制限されているこのゲームでは十全に自分の真価を
発揮できない。それに、対峙者であるC・ブラボーはその制限された身体能力を、オリハルコンでできた武器である程度
補完できているというのも大きい。徐々に、だが確実に、戸愚呂は押されていった。

 戸愚呂は苛立つ。本当なら、今、自分はあの女(北大路さつき)で楽しんでいるはずであったのに、と。
それなのに、現実では。女は未だ五体満足な状態で震えており、逆に自分が闖入者によって追い詰められている。

 そして、認める。一対一では目の前の男に勝てない―――ならば!!

ヒュッ―――

 残された力を振り絞り、両手の指を鞭状に変化させ、闖入者たる男と、その背後にいる獲物として見定めた女を共に薙いでやる。

(ククク……どうする?避けてもいいが、女は死ぬぞ!)

 その一撃をブラボーはトンファーで受け、力の方向を変えて受け流そうとする。が、この攻撃は直線ではなく、曲線。
流れのままに戸愚呂の指はトンファーに絡みつき、その武器の自由を奪う。そして、そのまま、ブラボーの心の臓を突き破らんとする
一撃へと軌道を変えた。男、C・ブラボーは抵抗することなく武器を胸元に引きつけると、無造作に武器から手を離し―――

 「両断!ブラボチョップ!」

 心臓にその指が到達する寸前、手刀で武器に絡みついた戸愚呂の指を切断。制限下では肉体から離れた指を操ることもできず、
切り離された指は単なる肉片と化す。その交錯の間で、戸愚呂は、この状況下においては、自分に勝ち目が薄いをいうこと確信する。


220 :不死身と不運と慢心と 2/2:2005/07/10(日) 13:38:33 ID:286lXKn3


 故に、自分の支給品の内の一つ、攻撃用の呪文カード、左遷(レルゲイト:行ったことのない場所に飛ぶ)を使うよう頭を切り替える。
これはもう少し温存したかった。自分の弟に匹敵するような実力者と出会ったときのために。だが。
現在の自分では勝てないと認めざるを得ないという事実は屈辱以外のなにものでもない。が、こんなところで無様な屍を晒すよりは
余程いい。自分はしぶとい。この場は乱入者を排除し、ゆっくりとこの女を手遊び殺してやる。そして、体力を回復させ、
万全の状態となった後で、ブラボーとかいう、人を食った名前の男の息の根を止めてやる。

 一呼吸の間をおいて、戸愚呂は、一枚のカードを取り出し、宣言する。

「左遷(レルゲイト)、使用!対象、『キャプテン・ブラボー』!!」




 ――戸愚呂のミスは逃走用の漂流(ドリフト)ではなく、攻撃用の左遷(レルゲイト)を選んでしまったということ。

 ――戸愚呂の不幸は、呪文カードが「対象者の名前を指定しないと発動しない」という性質を持っていたこと。
本来、呪文カードが存在するグリードアイランドで、対象者の名前を特定するために使われるバインダーが支給されなかったこと。
そして、C・ブラボーの本名が防人衛であることを知らなかったこと、の三つ。

 そして、何よりも不運だったのは、それらが全て不可抗力であったということ。

……結果として、呪文カードは発動しなかった。



 そして、それが致命的な時間を相手に与えてしまい……

「粉砕!ブラボラッシュ!」

 この言葉が、不死身のはずの男、戸愚呂(兄)が聞いた最期の言葉となる――




221 :不死身と不運と慢心と 3/3:2005/07/10(日) 13:39:18 ID:286lXKn3


【福井県/黎明】

【防人衛(C・ブラボー)@武装錬金】
 [状態]:体力消耗(大)完全回復には数時間が必要
     
 [装備]:ディオスクロイ@BLACK CAT
 [道具]:荷物一式 
 [思考]:1.一人でも多くの命を守る
     2.上記の思考の結論として、ゲームを中断させる。

【北大路さつき@いちご100%】
 [状態]:普通 (放心状態)
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式・支給品不明(本人も未確認)
 [思考]:不明

【グリードアイランドのスペルカード@HUNTER×HUNTER 】
     衝突(コリジョン):使用者をこのゲーム中で会ったことのない参加者の元へ飛ばす       ×1
     漂流(ドリフト) :使用者を行ったことのない場所(このゲームでは県単位で区切る)に飛ばす ×1
     左遷(レルゲイト):対象者を舞台上のランダムな位置に飛ばす                ×1
 は、発動しなかったため、スカアイテムと思われ戸愚呂の死体と共に放置してあります。

【戸愚呂兄 死亡確認】
 【残り118人】


2レスじゃ上手く収まりませんでした。すいません。

222 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/10(日) 13:53:29 ID:286lXKn3
不死身と不運と慢心と 2/2の
>故に、自分の支給品の内の一つ、攻撃用の呪文カード、左遷(レルゲイト:行ったことのない場所に飛ぶ)を使うよう頭を切り替える。

>故に、自分の支給品の内の一つ、攻撃用の呪文カード、左遷(レルゲイト:対象者を舞台上のランダムな位置に飛ばす)を使うよう頭を切り替える。
に修正します。

223 ::不死身と不運と慢心と 1/3(修正版):2005/07/10(日) 15:31:15 ID:286lXKn3
>>219-222を以下のように修正します

 戸愚呂は歯噛みしていた。目の前に現れたこの男(数度の交錯の後、C・ブラボーと名乗った。)
このふざけた名前の男(ざっと目を通した名簿にラーメンマンだとかキン肉マンだとか言う名前があるような世界では、
存外普通の名前なのかもしれない)に苦戦しているという事実、そして自分の再生という力が予想以上に弱体化しているという現実に。

「直撃!ブラボー拳!」

 男、C・ブラボーが裂帛の気合いと共に拳を突き出す。戸愚呂はそれを後方へ跳ぶことで回避する。
C・ブラボーも、他の異能力者と同様、手刀で海を割れるほどの人間離れした身体能力は制限されている。故にそれは、
普段であれば回避ついでに体中から針を噴射し、カウンターで串刺しにできる程度の一撃。だが。

(忌々しい!再生を上手く制御できん!)

 出会い頭の一撃。頭上から強襲してきたときに砕かれた左頭蓋。外見上は完璧に再生しているものの、内部の状態は
お世辞にも良好とはいえない。とてもそこまでの大掛かりな反撃に回せる力は残っていない。この男、弱くない。
全身に浅い傷を負わせる程度のことはできたものの、圧されているのは自分の方だ。
頭部の再生に力を割かねば遠からず自分は死ぬが、力を割いた状態で殺せる相手とも思えない。

 万全の状態なら、無類の生命力を誇る戸愚呂だが、再生能力が著しく制限されているこのゲームでは十全に自分の真価を
発揮できない。彼は、スピードやパワーではなく、異能としか呼びようの無いタフネスとトリッキーさを身上にするタイプだからだ。
それに、対峙者であるC・ブラボーはその制限された身体能力を、オリハルコンでできた武器である程度
補完できているというのも大きい。徐々に、だが確実に、戸愚呂は押されていった。

 戸愚呂は苛立つ。本当なら、今、自分はあの女(北大路さつき)で楽しんでいるはずであったのに、と。
それなのに、現実では。女は未だ五体満足な状態で震えており、逆に自分が闖入者によって追い詰められている。

 そして、認める。一対一では目の前の男に勝てない―――ならば!!

ヒュッ―――

 残された力を振り絞り、両手の指を鞭状に変化させ、闖入者たる男と、その背後にいる獲物として見定めた女を共に薙いでやる。

(ククク……どうする?避けてもいいが、女は死ぬぞ!)

 その一撃をブラボーはトンファーで受け、力の方向を変えて受け流そうとする。が、この攻撃は直線ではなく、曲線。
流れのままに戸愚呂の指はトンファーに絡みつき、その武器の自由を奪う。そして、そのまま、ブラボーの心の臓を突き破らんとする
一撃へと軌道を変えた。男、C・ブラボーは抵抗することなく武器を胸元に引きつけると、無造作に武器から手を離し―――

 「両断!ブラボチョップ!」

 心臓にその指が到達する寸前、手刀で武器に絡みついた戸愚呂の指を切断。制限下では肉体から離れた指を操ることもできず、
切り離された指は単なる肉片と化す。その交錯の間で、戸愚呂は、速さでは相手が自分を圧倒しているということ、
この状況下においては、自分に勝ち目が薄いをいうこと確信する。

224 :不死身と不運と慢心と 2/3(修正版):2005/07/10(日) 15:32:36 ID:286lXKn3

 故に、自分の支給品の内の一つ、攻撃用の呪文カード、左遷(レルゲイト:対象者をどこかに飛ばす)を使うよう頭を切り替える。
これはもう少し温存したかった。自分の弟や、それに匹敵する実力者と出会ったときのために。だが。
現在の自分では勝てないと認めざるを得ないという事実は屈辱以外のなにものでもない。が、こんなところで無様な屍を晒すよりは
余程いい。自分はしぶとい。逃げるのもいいが、この場は乱入者を排除し、ゆっくりとこの女を手遊び殺してやる。
邪魔者は確実に追いやる、もしくは絶対の安全を確保して逃げさる。これは、それを可能にする支給品なのだから。
そして、体力を回復させ、万全の状態となった後で、ブラボーとかいう、人を食った名前の男の息の根を止めてやる。

 一呼吸の間をおいて、戸愚呂は、一枚のカードを取り出し、宣言する。

「左遷(レルゲイト)、使用!対象、『キャプテン・ブラボー』!!」




 ――戸愚呂のミスは逃走用の漂流(ドリフト)ではなく、攻撃用の左遷(レルゲイト)を選んでしまったということ。

 戸愚呂はもう分かっていたからだ。このカードは、逃走用の漂流(ドリフト)と違い、と相手が複数の時には使いづらいということを。
ならば、一対一のこの状況で使う。今なら、美味しそうな獲物を独占できるというおまけ付きだ。

 ――戸愚呂の不幸は、呪文カードが「対象者の名前を指定しないと発動しない」という性質を持っていたこと。

 本来、呪文カードが存在するグリードアイランドで、対象者の名前を特定するために使われるバインダーが支給されなかったこと。
そして、C・ブラボーの本名が防人衛であることを知らなかったこと、の三つ。

 そして、何よりも不運だったのは、それらが全て不可抗力であったということ。

……結果として、呪文カードは発動しなかった。



 そして、それが致命的な時間を相手に与えてしまい……

「粉砕!ブラボラッシュ!」

 掛け声と共に放たれた怒涛の連撃は、戸愚呂の身体を、急所か否かに関係なく名の通り、粉に還すような勢いで蹂躙した。
遺されたのは元が人間であったのかどうかも怪しい肉塊の山。それは、かつて男、ブラボーが持つトンファーが、人狼を欠片に滅した
情景の再現の如く。

 不死の力、再生を奪われた異能者は。吸血鬼が塵に還るという伝承のように、血霞の中、その命を手放した。



225 :不死身と不運と慢心と 3/3(修正版):2005/07/10(日) 15:33:26 ID:286lXKn3


【福井県/黎明】

【防人衛(C・ブラボー)@武装錬金】
 [状態]:体力消耗(大)完全回復には数時間が必要
      全身に軽度の裂傷
 [装備]:ディオスクロイ@BLACK CAT
 [道具]:荷物一式 
 [思考]:1.一人でも多くの命を守る
     2.上記の思考の結論として、ゲームを中断させる。

【北大路さつき@いちご100%】
 [状態]:普通 (放心状態)
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式・支給品不明(本人も未確認)
 [思考]:不明

【グリードアイランドのスペルカード@HUNTER×HUNTER 】
     衝突(コリジョン):使用者をこのゲーム中で会ったことのない参加者の元へ飛ばす       ×1
     漂流(ドリフト) :使用者を行ったことのない場所(このゲームでは県単位で区切る)に飛ばす ×1
     左遷(レルゲイト):対象者を舞台上のランダムな位置に飛ばす                ×1
 は、発動しなかったため、スカアイテムと思われ戸愚呂の死体と共に放置してあります。

【戸愚呂兄 死亡確認】
 【残り118人】



226 :妲己ちゃんと愉快な武藤達 1/4:2005/07/10(日) 18:31:42 ID:5AABGkSw
武藤カズキは顔を真っ赤にしながらドラゴンキラーを握り締めていた。
なぜ真っ赤なのか。それは薄いガラス戸の向こうに肌色の人影があるからだ。

「趙公明ちゃんのせいで埃で汚れちゃったわん。汗も拭きたいし、お風呂はどこかしら?」
という妲己の言葉が事の始まり。
日本の簡単な地理や歴史、錬金の戦士に関する事柄を話し終え、
カズキが古代中国の仙人について訊ねようとしたその時、妲己は突然そう切り出したのだ。
古代中国から来た妲己では現代日本の風呂の使い方が分かるまいと思ったカズキは親切心で風呂場に案内したが、
残念な事に蛇口からは水もお湯も出てこなかった。
わざわざ飲み水が支給されているのだから、民家の蛇口から水が出ないのは当然かもしれない。
「仕方ないわぁん。せめてタオルで汗を拭う事にするから、カズキちゃんは見張りをよろしくねぇん」
蟲惑的なウインクをした妲己は洗面所で服を脱ぎ、今はタオルで埃や汗を拭っているだろう。
洗面所前の廊下に座り込みながら、カズキはチラリと後ろを見る。
磨りガラスの向こう、不鮮明な輪郭ながらも胸がボンッと突き出し、腰がキュッとくびれているのが分かる。
そして白いタオルでたわわに実った胸の辺りを拭いている最中だった。
「あぁん、水に余裕があればタオルを濡らすくらい出来るのに……残念」
バッとカズキは顔をそむける。
(だっ、駄目だ駄目だ。雑念を捨てて見張りに集中しないと。エロスはほどほどにと斗貴子さんにも……)
と、雑念を捨てようとした矢先カズキは思い出す。
学友の岡倉が持ってきた『Hでキレイなお姉さん』という名前の本。
それを知り、後に己の年齢を明かした時に「年上だと嬉しいか?」と訊いてきた斗貴子さん。
(うあぁ……)
カズキは軽い自己嫌悪に陥った。何だか自分がすごいエロスな男に思えてならない。
(斗貴子さん……)
斗貴子は分別のある方で、カズキも年頃の男の子だからとあの本の事をあまり気にしてはいなかった。
(妲己さんの場合、どうなんだろう……)
出会ったばかりの自分にいとも簡単に気を許し、汗を拭っている間見張りをしてて欲しいと頼む始末。
ちょっと危なっかしいところがある妲己を、何としても自分が守ろうとカズキは誓った。
無論斗貴子とブラボーの事も心配だったが、あの2人ならきっと大丈夫。
今はこの絶世の仙女を守る事が第一。だから――。

カズキはドラゴンキラーを握り締め、ゆっくりと立ち上がって呟く。
「妲己さん、用心して」
戸の鍵は閉めた。だが居間にあるガラス戸の存在までは失念していた。
確かに居間の方からカラカラという戸の開く音が聞こえた。
出来るだけ音を立てないよう、ゆっくりと開く音が。
(趙公明か? それとも……)
それとも別の敵か?
それとも殺し合いを恐れて民家に逃げ込もうとしている弱者か?
それとも錬金の戦士、斗貴子さんとブラボーのどちらかか? もしくは2人が?

227 :妲己ちゃんと愉快な武藤達 2/4:2005/07/10(日) 18:32:01 ID:5AABGkSw
最後に浮かんだ淡い期待をカズキは振り切る。そう都合よく仲間と合流出来るはずがない。
「カズキちゃん……」
「……ちょっと見てきます」
不安げな妲己を勇気づけるように、カズキは力強く静かな声で答えた。
足音を立てないよう用心しながら廊下を曲がり、居間に通じる戸へ向かう。
「はぁ……はぁ……」
ドア越しに聞こえてくる荒い息遣い。
恐怖に震え走ってきたのか? それとも何者かと戦い疲れているのか?
練磨された神経が少しずつ削れていく。
居間の戸にも一部磨りガラスが使われていたが、人影は見えない。
(ドアを開けるか? でもオレの存在に気づいて、いきなり襲ってくるかもしれない……)
ドアノブに伸ばした手が空中で震える。
自分の選択が生死に直結している。そして自分が殺されれば妲己も危ない。
誰かの命を背負う重さ。
幾度か背負った経験はあるものの、カズキはまだ極限時でも冷静さを維持出来るほどの鍛錬は積んでいなかった。
ゴクリとつばを飲み込み、ゆっくりとドアノブを握る。
刹那、ドアノブが下がり居間側へと引っ張られた。
「わっ!?」
突然の出来事に対処し切れなかったカズキはバランスを崩し、ドアに向かって倒れてしまう。
「えっ!?」
勢いよく開いたドアの向こう、自分よりも低いだろう身長の少年が一際大きな左腕を構えた。
身の危険を感じたカズキはそのまま床を転がり、ドラゴンキラーを少年に向ける。
「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
少年は悲鳴を上げながら、大きな手甲をつけた左拳を振り回した。
半ば恐慌状態にある少年の瞳に恐怖の色を感じ取ったカズキは、
少年がこのゲームの状況に怯え助けを求める弱者だと悟る。
「待ってくれ! オレは殺し合いなんてする気は……」
「あああっ!!」
少年は足をもつれさせてカズキに向かって倒れ込んできた。
手甲をドラゴンキラーで受けながらカズキは少年を抱き止めようとするが、勢いに押されて自分も倒れてしまう。
「落ち着いて! オレは……」
「カズキちゃん、何事!?」
突然、開きっ放しの戸から妲己が飛び込んできた。
カズキも少年も条件反射でそちらを見、赤面して固まる。
妲己は右手に打神鞭を持ち、左手でバスタオルを持ち、そのバスタオルで胸元から太ももの辺りまでを隠していた。
そして彼女は、バスタオル以外身に着けていない。
バスタオルからは、大きな胸が微妙にはみ出している。風が吹けばタオルが揺れて股間が丸見えになりそうだ。
白くムッチリとした扇情的な太ももは、もうバッチリ見えちゃっている。
「だだだだだ妲己さん!?」
「わっ、わっ、わー!?」
慌てふためく2人の純情少年の前で、妲己は「キャアンッ」とわざとらしい悲鳴を上げて廊下に引っ込んだ。

228 :妲己ちゃんと愉快な武藤達 3/4:2005/07/10(日) 18:32:47 ID:5AABGkSw
「ボクは武藤遊戯って言います」
「武藤?」
カズキは服を着た妲己と並んで、居間にあるテーブルに座っていた。
その対面に座っているのがさきほどの少年、武藤遊戯だった。
「奇遇だな。オレも武藤っていうんだ、武藤カズキ。こっちは妲己さん、古代中国から来た仙女なんだ」
「あはん。よろしくね、遊戯ちゃん」
3人は簡単な自己紹介を済ませる。
遊戯は童実野高校の一年生であり、二年のカズキよりひとつ下のようだ。
しかし外見は下手したら小学生と間違えてしまいそうなほど幼い。
服についているチェーンなんか明らかに似合ってないが、首から下げている逆三角形の首飾りはよく似合っていた。
それでもとあるカードゲームでデュエルキングになったという才能を持つ遊戯だったが、
そんな事がこの殺し合いゲームで役立つとは到底思えなかった。
また、彼の仲間達……城之内克也、真崎杏子も役に立ちそうにない。ライバルの海馬瀬人はそれなりに使えそうだが。
妲己は少々残念に思い、カズキは遊戯の仲間も守るべき者として認識し闘志を燃やした。

「遊戯ちゃんの支給品は魔甲拳っていうのねぇん」
「はい、これが説明書です」
遊戯に差し出された説明書には、魔甲拳は鎧化(アムド)と唱える事により鎧と化す特殊な武器とあった。
熱や吹雪、呪文を弾く作用もある優れた装備ではあるが、女性用だというので遊戯は鎧化しなかったらしい。
「女性用……ねぇ」
呟く妲己を見て、遊戯は魔甲拳を外した。
「あの、よかったらどうぞ」
決して肉体的には強くないものの、優しい心を持つ純朴な少年は、か弱い女性である妲己の身を思って魔甲拳を差し出す。
「いいのぉん? ありがとう、遊戯ちゃん」
妲己はパッと笑顔を輝かせて魔甲拳を受け取ろうとする。
が、その瞬間遊戯の手が一瞬止まった。
「……どうしたのん?」
「いえ、何でもありません」
いぶかしげに妲己は訊いたが、遊戯は誤魔化すように微笑んで魔甲拳を渡す。
さっそくつけてみようと、妲己は「鎧化」と言ってみる。
すると手甲の表面がヒュルヒュルと解けて、妲己の胴体と左半身を守る鎧と化した。
「ちょっぴり胸がきついけど、なかなか素敵ねぇん。ありがとう遊戯ちゃん」
妲己はとびっきり嬉しそうな笑顔を作って、遊戯の両手をぎゅっと握った。
カズキ同様純情そうな少年は頬を紅潮させてうつむく。
(なら、カズキちゃんと同じ方法で誘惑するのがいいわねぇん)
心の内で酷薄な笑みを浮かべた妲己は、遊戯の手を自身の胸の前へと導き、抱きしめるように握り締める。
「あなたみたいな優しい子にあえて本当によかったわぁん。これからもよろしくね」
「はっ、はい。こちらこそ」

229 :妲己ちゃんと愉快な武藤達 4/4:2005/07/10(日) 18:33:18 ID:5AABGkSw
――こうして、妲己の魅力に惑わされる2人目の少年が誕生した。
遊戯もまた、妲己の本性を知れば考えを改めるだろう。
しかししたたかな女狐はか弱い女性を演じ、心からカズキと遊戯に頼っているフリをする。
事実、妲己は2人を頼りにしていた。このゲームから脱出するための手駒として。

妲己は見抜いている、この武藤遊戯という少年がただ者ではない事を。
彼は言わなかったが、あの逆三角形の首飾りから不思議な力を感じる。
果たしてそれが自分にとって役立つものかどうかは分からないが、切り捨てると判断するには早計だ。
ただの人間かと思っていたカズキ同様、何らかの力を持って己を守ってくれるかもしれない。

(ウフフ。カズキちゃんに遊戯ちゃん、奇しくも同じ苗字を持つ子同士、仲良くわらわを守ってねぇん)

妲己は保護欲を駆り立てるような笑顔を武藤2人に向ける。
それを見た武藤2人は、妲己の力になろうと心から思うのだった。
しかし――。

(気をつけろよ相棒。あの女、何かヤバい感じがするぜ)
(もう一人のボク、考えすぎだよ。
 カズキ君だって妲己さんを信頼してるみたいだし、妲己さんも感じのよさそうな人だもの)
(……オレもこんな状況だから疑心暗鬼になってるのかもしれないが、用心するに越した事はない)
(心配性だなぁ。でも君がそこまで言うんなら、念のため気をつけておくよ)
武藤遊戯の内にあるもう一つの人格だけは、妲己の本性をかすかに嗅ぎ取っていた。



 【妲己ちゃんと愉快な武藤達】
 【大阪郊外の民家/黎明】

 【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義 魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1 カズキ、遊戯と一緒に夜明けまで休む。
      2 どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。可能なら太公望も連れて戻る。

 【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:軽度の疲労
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1 妲己、遊戯と一緒に夜明けまで休む。
      2 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、城之内、杏子、海馬を優先。
      3 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      4 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。

 【武藤遊戯@遊戯王】
 [状態]:軽度の疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1 妲己、カズキと一緒に夜明けまで休む。
      2 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、城之内、杏子、海馬を優先。
      3 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。

230 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/11(月) 00:35:37 ID:gxZ7qvGp
 ヒソカは更木と対峙するとおもむろにポケットからトランプを取り出した。
 更木はそれに一瞬怪訝そうな顔をしたがヒソカの殺気を感じ取り、口の端を
吊り上げ笑い、ムラサメブレードを持つ手に力を込める。
「簡単に、死ぬんじゃねぇぞ」
「それはこっちの台詞だヨ」
 ヒソカは一瞬でトランプに念を込め、更木はヒソカに向かって疾駆する。
 数度の、そして全てが一瞬の攻防。
 ムラサメブレードが地面を削る音が響き渡る。
 ヒソカのトランプをその身に受けようと意にもかけずに間合いを詰める更木
をヒソカが身をかわしてやり過ごす。
 それが数度繰り返され、更木の胸板には四枚のトランプが突き刺さっていた。更木はもう一度距離を詰めんと疾駆する。ヒソカはトランプを一枚投げ、四肢にオーラを漲らせた。
 再び更木の胸板にトランプが刺さる。だがそれでも、更木の動きは止まらない。更に距離を詰め、ブレードを振りかぶる。ヒソカは下がりながら
トランプを構える。横薙ぎの一撃を避けつつトランプで受けようとして、トランプごとヒソカの二の腕が切り裂かれた。
弾かれる様にヒソカは距離を取る。
 ヒソカは思っていた。力の劣化が激しいと。
 更木は気付いていた。自分の戦い方が保てなくなっていることに。
 それでも、ヒソカは狂気でもって笑い、更木は不服と表情を歪める。
「テメェ、チマチマと斬り合ってんじゃねぇ」
「心配いらない。実験は終わったヨ。予知しよう。君は踊り狂って死ぬ」
 その言葉に、その殺気に、その狂気に、更木は心のそこから狂喜する。





















231 :狂戦士2:2005/07/11(月) 00:37:59 ID:gxZ7qvGp
「へぇ、良いじゃねぇか。なら、殺しあおうぜ」
 更木は地を蹴り疾駆した。
 が、そこでヒソカの腕の傷がなくなっている事に気付く。
「この世界では力は劣化する。でも、特性は消えない」
 ヒソカは微笑む。
 瞬間、更木に向かって全方位からトランプが飛来した。
 更木の全身にトランプが突き刺さり、血が辺りに舞う。
 それでも、更木は止まらない。
「やるじゃねぇか……。外すぜ」
 更木は眼帯を外し、ブレードを振りかぶる。更木の気配が一瞬で圧倒的に大きくなった。
 念を修めたヒソカは本能で後退する。その足を、更木の左手が掴んだ。
「一体どうして逃げるんだ?何で、それだけ強くて苦痛を恐れる!?」
 更木は絶望的な程の狂気を剥き出しにして笑う。
 ヒソカの胸板に紅い線が奔った。

【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(支給品不明)
 [思考]:1更木と遊ぶ 2知り合いとの合流、パピヨンと行動

 【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:健康
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1ヒソカと遊ぶ 2志々雄と決着を付ける 3強いヤツと戦う
 
 前回タイトル忘れとりました。スマソ

232 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:40:40 ID:ciG0mswt
――長野山中の別荘地

「オイおめえ!」
山吹色の道着を纏った黒いツンツン髪の男、孫悟空はその視線の先に居る最悪の吸血鬼。
悪の帝王ことDIOをジっと睨み吸えていた。その悟空の険しい表情にいつもの陽気さは微塵も無い。
「こいつにいきなり襲い掛かったってのは本当か?こんな馬鹿なゲームに本気で乗る気なのか?」
悟空は傍らに横たわっているルフィにチラリと目線を配った後、その真意を確かめる様にDIOを問い詰めた。
「だとしたら、どうだと言うのだ?そこの小僧が死のうが他の参加者を殺そうが所詮は取るに足らぬ人間共、
 このDIOの知った事ではない」
事も無げに言い放つDIO、彼にとって自分以外の参加者など己の空腹を満たす餌でしかない。
主催者の意図に従う気は毛頭ないが腹が減れば参加者を殺し、その血を啜る。
詰まるところ今現在の彼の行動原理はそれだけであった。ただ本能に従い他者の命を吸い尽くす。
そんなDIOの言葉を聞いたルフィがブルブルと身体を震わせ彼を睨みつけた。
「コノヤロ〜!」
拳を握り締め今にも襲い掛からんと立ち上がったルフィだったが――
「やめろッッ!!」
悟空は手を前に突き出しルフィを静止させる。
「なんだよお前!?邪魔すんな!!」
「おめえじゃアイツには勝てねえ!殺されっぞ!」
先刻DIOと戦っていたルフィは悟空が割って入るまで一方的に痛めつけられ内臓にまでそのダメージを負っている。
悟空でなくともルフィに勝ち目がない事は誰の目にも明らかだった。
しかしその程度で引き下がるルフィではない、むしろ彼の性格を考えれば悟空の言葉は逆効果といえる。
「ンガー!!んなもんやってみなくちゃ分かんねえだろ!いいからそこどけよ!!」
悟空の言葉が癪に障ったのか、まるで駄々っ子のように食ってかかるルフィ、
悟空が譲らなければ延々と喚き続けるつもりだろう。
そして当然、隙だらけなその姿をDIOが見逃す筈もなかった。
「フン」
鼻を鳴らしクナイを二本、悟空とルフィそれぞれダーツの的の如く狙いを付け投げつけるDIO。
狙うは頭部、命中すれば百点満点ゲームセットだ。
「危ねえ!」
間一髪それに気づいた悟空が喚き散らしていたルフィを蹴飛ばし飛んでくるクナイからなんとか身を避わす。
「いってえな!急に何すんだーッ!」
助けられた事にも気づかず単に蹴飛ばされただけと勘違いしたルフィは相も変わらず喚き散らすが悟空は既に取り合わず――
「・・・どうやら言っても聞いちゃくれねえみてえだな?」
意識は既にDIOの方へと向けられ敢然と対峙していた。
「フン、まずは貴様からだ!その後でじっくりと、小僧の方も始末してくれる!」
そう言って悟空に向かい歩を進めるDIO、迎え撃たんと身構える悟空、そして――
「WRYYYYYYYYィィィィッーーーッッ!!」
射程距離2mまで近づいたDIOは己の分身、ザ・ワールドを発現させ散弾の如き怒涛のラッシュを悟空に繰り出した。
(な!ざ、残像拳じゃねえ!!なんなんだこりゃ!?)
突如DIOの身体から出現した不可思議な人型のヴィジョンに虚を突かれたのか、
ガードの隙間から数発まともにパンチを食らった悟空は体勢を立て直すタメ後方へと飛びのきDIOから距離を取る。
「むぅ・・・先程の小僧といい貴様も『スタンド』が見えるのか?」
明らかにザ・ワールドが見えている悟空のその反応にDIOは声を上げる。
「スタンド?」
DIOの疑問に首をかしげる悟空、だがそれも当然である。
彼の世界に『スタンド』などという概念はそもそも存在しないのだから。

233 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:42:21 ID:ciG0mswt
「フン、まぁどうでもいい、見えていても『それ』が使えないのであればな、所詮このDIOの敵ではない」
本来、『スタンド』は同じ『スタンド』使いでない限り見えないのが、そのルールだ。
しかし目の前の男は『スタンド使い』でも無いのにスタンドが見えているではないか。
これも、この島がもたらす現象の一つなのか?
しかし単に見えているだけでスタンド使いでないのならば最強のスタンドを持つ自分にとってなんら問題にはならない。
そう思ったDIOは再び重火器の一斉放射の如くザ・ワールドのラッシュを放つ。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーッ!!」

時速300km以上コンマ数ミリ秒で繰り出される超高速のラッシュが悟空を襲う。
しかし悟空、先程とはうって変って暴風の様に荒れ狂うパンチその全てをガードもせずに紙一重で避ける避ける避ける。
「む?こいつ!?」
原型も残さず葬るつもりで放ったラッシュが一撃も当たる事無く空振りに終わりDIOは思わず目の色を変えた。
「ひゅ〜、あっぶね!あぶねえ!さっきはつい驚いちまったけどよう、良く見りゃなんとか避わせっぞ!」
薄笑いを浮かべ挑発するかの様な悟空の台詞にDIOの顔が一層険しくなる。
しかし当の悟空は決して目の前の相手を挑発しているワケでも、ましてや侮っているワケでもなく、
それは未知の強敵に対する期待の表れ、つまりは『強いヤツがいるとワクワクする』彼の悪い癖だった。
「我が最強のスタンド、ザ・ワールドの攻撃を『良く見れば避わせる』だと?
 マグレで避わせたからといって、いい気になるんじゃあない!」
DIOは思う。
マグレに決まっている。
でなければザ・ワールドのラッシュをスタンドも持たないタダの人間がどうして避わせるというのだ?
「マグレなんかじゃねえって、それにそんくらいならオラにだって出来っぞ?」
そう言って腰を深く落とし構えを取る悟空、
独特ではあるが前傾姿勢なその構えは明らかに攻撃重視の型である。
「フン、ラッシュの速さ比べか?面白い」
その顔に再び余裕の色を宿らせDIOはザ・ワールドを発現させる。
相手は多少身体能力に優れているとはいえタダの人間。
今度こそ確実に葬り去ってくれる、そしてその血を貪って糧としてくれる。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ーッ!!」
三度、怒涛のラッシュが悟空を襲う、しかし悟空、今度はガードもせず避けもせず―――

「うおりゃああああああああああああああっっーーー!!」

独特の前傾姿勢から一足飛びで懐に飛び込み散弾銃の如しザ・ワールドのラッシュに応戦。
手足が分裂したかと見紛う程の悟空の攻撃は宙空でザ・ワールドのパンチとぶつかり合い
まるで金属音の様な硬物同士が激しくぶつかり合う音をひっきりなしに辺りに轟かせる
「すっげ〜」
轟音を響かせ激突する両者、その限界を超えた超人同士の戦いの光景は傍らで見ていたルフィのド肝を抜く。
DIOと悟空、その二人の攻防は全くの互角と言えた。
しかしその均衡が段々と崩れてくる、悟空がザ・ワールドのラッシュを押し返し始めたのだ。
「なにぃぃぃ〜〜〜っっ!バ、バカなこいつ!こいつのスピードッ!ザ・ワールドより!!」
悟空の息もつかせぬ連続攻撃に次第に防戦一方となるDIO、その顔には既に余裕の笑みは無い。
「りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃっっーーーっ!!」
その攻撃に既にガードすら間に合わなくなったDIOに対し止めと言わんばかりに悟空は蹴りを入れる
その蹴りを思い切り顔面に食らい後方の林まで吹っ飛ばされるDIO。
「ヌゥ、なんというヤツだ、ザ・ワールドのラッシュのスピードを上回るとは・・・」
すぐさま立ち上がるDIO、肉体的なダメージは思ったより少ないが完全に力負けした事実に心中穏やかではない。
「今のでわかったろ?わりいがオメエはオラに勝てねえ」
降伏を進める悟空の言葉だったがDIOは全く聞き耳持たず「フン!」と鼻を鳴らし悟空にゆっくりと近づいていく。
「まだやんのか?しょうがねえヤツだな」
半ば呆れた様に声を上げ再び構えを取る悟空、しかし次の瞬間彼にとって予想だにしてなかった事が起きる
それは射程距離まで近づいたDIOがザ・ワールドを発現させ繰り出したパンチに悟空がカウンターを合わせようとした瞬間だった。

234 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:43:00 ID:ciG0mswt
ドギャッ!!

後頭部からコンクリートを鈍器で叩いた様な鈍い音が鳴り響き悟空は前のめりにつんのめる。
振り向けば一瞬前まで前方にいた筈のDIOが悟空の死角、背後から後頭部を殴りつけたのだ。
「ク・・ど、どうなってんだ?スピードはオラの方が上だった筈なのに、なんでいきなり後ろに?」
確実に合わせられる筈だったカウンターを外され、その上視認する事もできず背後に回りこまれ殴られた。
その不可解な現象に膝をつきながら悟空はワケも分からずDIOを見る。
「チッ!煮崩れしたカボチャの様に頭を粉々にフッ飛ばすつもりだったのだが・・・・・・
 貴様が単に頑丈なだけなのか?それとも我がザ・ワールドが思いのほか弱体化しているのか?」
舌打ちしDIOは見下ろしながら持っていたクナイを一本悟空に投げつける。
「クッ」
飛んでくるクナイを避けるタメに悟空は膝をついた体勢からジャンプし空へと逃れ、次の瞬間――――

「世界(ザ・ワールド)!!」

――――時が止まった―――――

空へ飛んだ悟空はそのまま宙に固定されてしまった、木々のゆらめきも草葉のざわめきさえも止まってしまった。
この何もかもが静止された世界でただ一人DIOは悠々と口を開く
「フフフ、正に世界を支配する能力、これがザ・ワールドだ!もっとも貴様には見えもせず感じもしないだろうがな」
そして懐から残ったクナイ7本全て取り出し―
「さっきは仕留め損なったが、今度は逃さん!」
そのまま宙に固定された悟空目掛けその全てを投げつけ、悟空に刺さるほんの数センチ手前でクナイが動きを止める。
「クックック、チェックメイトだ!」
今にも悟空に襲い掛からんとするクナイの群れ、その恐ろしい光景を見てDIOが邪悪極まりない笑みを漏らす、そして――

「時は動きだす」

―――静止された世界が再び動きだした。

「いっ!!」

クナイを避けるタメに宙に逃れたはずなのに、目の前には突如出現したクナイの群れ、
またもや理解を越えたその現象に悟空は不思議に思う暇もなく今まさに襲い掛かるクナイからもはや死は免れぬかと思われた、
その瞬間―――――

「界王拳!!」

悟空がそう叫ぶと彼の身体は灼熱色に発光し、遅いかかるクナイから身を守るべく超反応で手足を突き出した。
数倍に高められた身体能力を駆使し死に至る急所だけは手足を盾にして防いだモノの数本のクナイはガードを掻い潜り悟空の胴体に無残にも突き刺さる。
「ぐぎ・・・」
そして空中から力無く地上に崩れ落ち気を失う悟空。
「フン!土壇場で何か妙な技を使って即死だけは免れた様だが・・・・ここまでだな」
勝利を確信したDIOが邪悪な笑みを浮かべ瀕死の悟空に一歩一歩詰め寄る、倒れ伏した悟空の血を啜るタメに・・・
しかし――
「ム?」
横から異常に伸びきった拳がDIOに襲い掛かりその進行を阻んだ、そして後方にバックステップするDIO。
「お前の相手は俺だぞぉ!!忘れんなぁっ!!」
見るとすっかりダメージから回復しきったルフィがそこに立ち、猛っていた―――――

235 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:43:51 ID:ciG0mswt
―――それは主催者の意図か、はたまた偶然か、
奇しくも長野の山中に飛ばされた彼は草葉の影で世にも恐ろしい光景を目の当たりにしていた。
手足が異常に伸びる麦わら帽子の男と刃物を投げつけ分身する金髪の男との殴り合い、
そしてそれに割って入ったツンツン頭の田舎クサイ男。

「ウキウキキキウキィーー!(訳:じょじょじょじょじょ冗談じゃないのだ!)」

彼は元々アフリカのサバンナに生きる野生の猿であった、気配を殺し気づかれない様にする芸当は得意な方である。
そうして彼は草葉の影に隠れ、事の一部始終を覗き見していた。

『・・・そいつがいきなり襲ってきやがったんだ・・・』
『・・・こんな馬鹿なゲームに本気で乗る気なのか・・・』
『・・・他の参加者を殺そうが・・・このDIOの知った事では・・・』

三人の会話の内容からして金髪の男が悪者である事は一目瞭然。
そして金髪男から麦わら帽子の男を助けようと割って入ったツンツン頭の男が刃物でメッタ刺しにされた。
それを見て復活した麦わら帽子の男も今再び金髪男に挑んでいるが――――

「ウ、ウウ、ちっくしょ〜っ!」

―――結果はご覧の通り、再戦虚しく麦わら帽子の男は金髪男の前に再び地を舐めた。

「フン!余計な手間をかけさせるな小僧!貴様のおかげでヤツの血が栓を空けたばかりの
 シャンパンみたいにドクドク外に溢れ出て勿体無いじゃあないか?」

―――既に麦わら帽子の男に興味は無いのか、金髪男は既に虫の息なツンツン頭の方に歩いていく、きっと彼の止めを刺すつもりに違いない。
 
「小僧・・・貴様は後でじっくりと料理してやる、この男の血を吸った後でな・・・おとなしくそこで待っているがいい」

―――ああ、どうしよう?やはり助けるべきなのだろうか?このままではツンツン頭が死んでしまう!
草葉に隠れて彼は自問自答していた、あの金髪男の得体の知れない力はあまりにも強大だ。
自分なんかが出て行った所でたちまちの内に殺されてしまうだけだろう。
しかしこの武器を使えば・・・・・あるいはあのツンツン頭を助けられるかもしれない!
そんな考えが頭をよぎり、彼は小脇に抱えた己の獲物をチラリと見やる。
そう、彼に支給された武器、それは・・・・・パンツァーファウスト!
およそ100mmもの弾頭直径を持つ弾を命中させれば、あの恐るべき金髪男だって一溜まりも無い筈。
しかし支給された弾はたった五発。
このまま黙って傍観に徹すれば、あの金髪男は草葉に紛れている自分に気づく事はあるまい。
麦わら帽子とツンツン頭の二人は殺されるだろうが、自分だけはまず助かる。
生き残りを考えるなら、たった五発しかない弾をこんな場面で使うのは愚の骨頂といえた。
しかし―――(もしターちゃんなら・・・・)

「フフフ、さよならだ!このDIOの血肉となり生きるがいい」
そう言って意識を失い仰向けになった悟空の前に立ち、血を吸うタメゆっくりと右手を振り上げるDIO。
もはや目の前の『餌』を食らう事しか頭になかった彼は、草葉の影からスコープで狙っている襲撃者の存在など予想もせず―――

ドォン!!

悟空に向け右手を振り下ろした瞬間だった。
雷鳴を思わせる様な凄まじい爆炸音が鳴り響きDIOの即頭部を中心に爆発!もうもうと白煙を上げた。
草葉に紛れていた襲撃者は寸分の狂いもなく見事ターゲットを、その100mm弾頭で撃ち抜いたのだ。

236 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:45:35 ID:ciG0mswt
「ウキ!!ウキキキキ!ウッキーーーーー!!(訳:やった!やった!!やったのだーーー!!!)」
そして草葉の影に隠れていた襲撃者がターゲットを仕留めた事に感極まったのか叫びその身を躍らせながら姿を現す。
「な、なんだぁ?アレお前がやったのか?」
大砲を持った猿がいきなり現れたのを見て尻餅をついていたルフィが声を上げる。
そのルフィの言葉に応えるように猿はエッヘンと言わんばかりに胸を張った。
しかし――――

「お、おのれぇ・・・」

立ち込める白煙の中、呪い殺す様な恐ろしい声が響いた。
「ウ、ウキ?」
「う、うそだろ?」
ルフィと猿が一緒になって目を白黒させる、白煙が晴れた中からまだ生きているDIOが姿を現したのだ。
ザ・ワールドの腕を交差させガードした奥から覗かせるDIOの顔は血が大量に滴り、その頭の四分の一は吹っ飛んでいる。
スプラッター映画さながらのその姿は通常の人間ではまず生きていられるモノではない、しかしDIOは生きていた。
そしてその眼光はギラリと襲撃者である猿に向けられていた。
「・・・・・猿?猿だとッ!?たかが猿如きがこのDIOに対してッッッ!!!」
怒りに震えるDIOの形相はまさしく悪鬼羅刹といった表現がピッタリであろうか?
そのドス黒い感情を惜しみなく表情に出しDIOはルフィ達に突撃していく。
「コンニャロ〜!来るなら来いってんだ!!」
DIOを迎え撃たんと迎撃体勢を取るルフィ。
対してDIOは懐から支給品である手裏剣を一本取り出しルフィに投げつける。
顔面目掛け飛んできた手裏剣を間一髪見極めなんとか肩口にそらして受けるルフィ。
「いってぇ!」
手裏剣に気を取られている隙に懐まで飛び込んだDIOはルフィを思い切り殴り飛ばし生い茂った林の奥までぶっ飛ばした。
「貴様は後で料理してやると言った筈だ・・・・・まずはその猿を殺さねば気がすまん!!」
そう言って恐ろしい形相でにじり寄ったDIOは猿の顔面を右手で掴み、その身体を宙吊りにする。
「ウ・・・ウキ・・・・」
「猿の血など吸うのも汚らわしい、このまま顔面を握りつぶしてくれる」
そしてDIOは猿の顔面を握りつぶさんとその凶手に力を込めた瞬間―――

ドォン!

握りつぶす前にDIOの背後が爆裂、その背中から白い煙が立ち上った。
「ぐ!今度はなんだぁ!?」
見ると数m離れた後ろについさっきまで気を失っていた筈の悟空がヨロヨロと左手を膝につけ
今にも倒れそうな姿勢で、しかし右の掌だけはしっかりとDIOに向け立っていた。
「貴様か・・・大人しく気を失っておけばいいものを・・・」
クナイにその身を無残に刺し貫かれ道着を己の血で真っ赤に染めながらも悟空の眼光は少しも揺らがない。
「へ、へへ・・・オラまだ死んじゃいねえぞ?」
「よかろう!ならば貴様の血でこの傷の燻蒸消毒してくれよう!」
頭を抑えながらDIOはその口元にある牙を光らせる。
「なぁ・・・血なんかよりもっといいモンくれてやろうか?」
「なに?いいものだと?」
「かめはめ波だ」
そう言って悟空は両手を合わせその手を光らせ始めた。

237 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:46:44 ID:ciG0mswt
「か」

(なんだ?・・・なにをするつもりだ?)

「め」

その姿を見たDIOが本能的に危険を察知したのか――

「は」

掴んでいた猿を放り投げ――

「め」

構えている悟空に突っ込みスタンドを発現させ手刀を振り上げ――

「なにか分からんが食らえ!!」
「波ーーーーッッ!!」

DIOの手刀よりも悟空の行動の方が一瞬だけ早かった。
両手を突き出したと同時にそこから放たれた光波がDIOの腹部をブチ破る。

「な!なぁぁぁにぃぃぃっっ〜〜〜〜っ!!」
叫び声を上げ腹から血を吹き上がらせながら遥か後方まで吹き飛ばされDIOはそのまま地面に倒れ伏した。
そして今の攻撃で全精力を使い果たしのかガックリと膝を突く悟空。
身体のあらゆる部位からは血が止まる事無く地面に滴り落ちている、精神も肉体も既に限界なのであろう
今のかめはめ波で仕留められなかったら自分にはもう打つ手が無い、頼むから起き上がってくれるな―――
しかし悟空のそんな願いも虚しくDIOは上半身をムクリと起き上がらせる。
「殺して・・・やる・・・・・」
幽鬼の様に呟き、悟空を睨み付けるDIO。
「ま、まいったなぁ・・・あれでもくたばらねえなんて・・・・」
笑いながら悟空は半ば諦めたかの様に言う。
頭の四分の一程が欠け腹にガッポリと大きな穴が開いているDIO
全身をクナイに刺され出血多量、そして気まで使い果たした悟空。
どちらも既に限界であったが、その不死身性においてDIOはまだまだ余力があった。
立ち上がり歩を進めるDIO、諦めた様に地面にヒザをつける悟空。
しかしその時林の奥からガサガサと・・・・・・
「ウガー!!もう怒ったぞ!!コンニャローーーッッ!!!」
ついさっきDIOに林の奥までぶっ飛ばされたルフィが両手を広げ怒り心頭に戻ってきた。

(チィ!小僧がいる事を忘れていた!!)
――DIOは考える。
この負傷でも小僧と戦えない事は無い。
しかし忌々しい島の影響でスタンド能力が弱体化し連続して時が止められない今
確実に時間を取られる上に更なる負傷も免れないやもしれん。
この場にいる二人と一匹を殺して血を吸えば傷などいくらでも癒せるが、
殺すのをもたついてる内に夜明けが来てしまうかもしれない。
このDIOにとってそれだけは避けねばならない――

238 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:47:20 ID:ciG0mswt
「チィ!仕方あるまい!」
DIOは身を翻しルフィに背を向け走り出して行った。
「あ!コンニャロ!逃げる気か!?」
当然それを追おうとするルフィ、しかし興奮するあまり足元にまで注意が向かなかった。
「イデデデデデデ!!」
DIOは逃げる際に支給された『まきびし』を用意周到に撒いていったのだ。
ルフィはその場にへたれ込みサンダルを脱ぎ素足にフーフーと息を吹きかける。
「ウキ!ウキキ!!」
「ん?どうした猿?」
ルフィがふと見ると猿が慌ただしく声を上げそしてその先には悟空がグッタリと横たわっていた。
「おい!大丈夫か!?死んじまったのか!?」
「ウキキキウキウキウキキキーー!?」
心配したルフィと猿が悟空に必死に声を掛ける。
「あ、ああ・・・・で、でえじょうぶだ・・・心配すんなって」
ブルブルと唇を震わせ何とか『大丈夫』な事をアピールする悟空、しかしその姿はどこから見ても『大丈夫』ではない
「ウキウキキキィウキィ・・・・・」
「へへ、そっかおめえエテ吉って名前なんか?
 サ、サンキュー、エテ吉・・・おめえのおかげであいつ追っ払う事が出来た」
言葉が分かるのか悟空は猿に礼を述べる。
「うっは〜、お前、猿と話しできんのか?」
猿――エテ吉と会話した悟空にキラキラと目を輝かせるルフィ
「あ・・・ああ、オラ、ガキの頃からずっと山で暮らしてたからさ・・・猿の言葉とか・・・大体分かんだ」
「へースッゲー!!スッゲー!!」
「へ、へへへ・・・そ、それよりおめえ名前なんてんだ?」
悟空の問いにルフィはスックと立ち上がり鼻をこすりながら答える。
「俺はルフィ!海賊王になる男だ!!」
自信満々に応えるルフィ、その目には一点の曇りも無い。
「そ、そっか・・・オラ孫悟空ってんだ、なぁルフィ、エテ吉、わ・・・わりいんだけどオラをあの家まで運んでって休ませてくんねえかな?
 オ、オラさっきのかめはめ波で力(リキ)全部使い果たしちまって・・・もう自分じゃ動けなくってさ・・・鼻糞ほじる力もねえんだ」
そう言って悟空はDIOとの戦闘で外観が少々破壊されたコテージをブルブルと震える指で指し示した。

239 :宇宙最強の男VS悪の帝王:2005/07/11(月) 00:49:32 ID:ciG0mswt
【長野のコテージ】
【チーム名=スーパーモンキーズ】
【孫悟空@ドラゴンボール】
 [状態]:出血多量、各部位に刺傷、極度の疲労、重傷のタメ早急に手当ての必要あり。
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、支給品不明
 [思考]:1、 フリーザ達を倒す。

【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
 [状態]:各部位に打撲、基本的に軽傷、疲労小、空腹。
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、支給品不明
 [思考]:1、食料を探す、悟空の治療。

【エテ吉@ジャングルの王者ターちゃん】
 [状態]:無傷、疲労小。
 [装備]:パンツァーファウスト(残弾数四発)@ドラゴンボール
 [道具]:荷物一式、100m弾頭×4
 [思考]:1、悟空の治療。
2、ターちゃん達と合流。



【長野の山中】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:即頭部を四分の一ほど損失、腹部に巨大な貫通傷、疲労中。
 [装備]:手裏剣×9
 [道具]:荷物一式、
 [思考]:1、夜が明けるまでに太陽から身を隠せる場所を探す。
     2、参加者の血を吸い傷を癒す。

240 :Scar Face ◆SD0DoPVSTQ :2005/07/11(月) 09:19:19 ID:EECBYnQr
「ちっ……変な事に巻き込まれちまったぜ」
舌を打ちながら小さな住宅街と思われる場所を移動する。
「――これからどうするか」
過去に一大勢力マミーファミリーを築いた男は悩んでいた。
あれから信用できる仲間――たけし、ボンチューと出会った。
彼らとなら何とかやっていける。
一緒にいる内にそう信じている自分がいた。
そしてその暖かい世界が新たな自分の定位置なんだと信じていた。

此処の世界に来るまでは。

「なんだありゃ、化物め」
口からビームみたいなのを放った男。
そしてそれをあっけなく倒した奴。
マミーが今までいた世界とは根本からして違ってる事を嫌でも認識させられた。
頭の中で囁く甘い誘惑。
再びファミリーを築き力で他から身を守る事。
強ければ信頼なんてどうでもいい。
信頼をしてそれが裏切られた時のダメージを考えると恐ろしくなった。
そう、顔に傷がありマフィアの一員に見える彼もまだ子供だった。
たけし達を信頼するべきか?
たけしならこの状況でもみんなを引っ張っていってくれると言う自信はあった。
だが、その力がこの世界でも通用するかどうかが問題だった。

241 :Scar Face ◆SD0DoPVSTQ :2005/07/11(月) 09:20:09 ID:EECBYnQr

悩んで頭の中がこんがらがりつつも歩みを止めないマミー。
彼が十字路の曲がり角で曲がろうとした時、何かにぶつかった。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
その声で思考を止め目線を前にすると、衝撃で後ろに転びつつも手と足で何とか距離を取ろうとする女性がいた。
「や、やい。ボクはキ、キミなんて怖くないぞ!」
座った状態で何かに負けないように虚勢を張ってる。
一瞬何かと考えたがすぐ察しはついた。
「あぁコレか」
自分の顔を右手でさすってみると至る所に凹凸を感じる。
つまりはこちらは何もしていないつもりでも顔の傷が勝手に相手を威圧していたらしい。
昔自分で付けた傷だったが、さすっている内にまた傷が痛み始める様な気がした。
いや違う、昔を思い出して心が痛んでいるのか。
マミーの中で昔と今の状態が重なり始める。

「――傷が痛むの?」
ふと意識を戻したら目の前の女性が起きあがってこちらを心配そうな顔で見ていた。
「これは昔の傷だ」
人を目の前にしなが心配されるような顔をしていたのかと思い、自分に苛立つ。
人に心配されるなんて俺らしくない。
そう突っぱねた筈だったがいつの間にか顔に柔らかい物が押しつけられる。
「――よく見たらキミ、まだ子供だもんね……」
「なっ……」
大きく包み込むように抱きしめられている。
反論しようにも強く抱きしめられている所為で巧く喋られない。
それどころか柔らかい物で呼吸すらままらななかった。
「キミもるーしぇクンと同じくらいの年だもんね……そんな子もこんな世界に飛ばされちゃってるなんて……許せないよ」


242 :Scar Face ◆SD0DoPVSTQ :2005/07/11(月) 09:20:28 ID:EECBYnQr
それから暫くして漸くマミーは彼女の胸から逃げだせた。
別に無理矢理放させようとすれば出来たのだが、先手を挫かれ調子が崩れた。
「――俺が怖くないのか?」
解放されてまず一言目にそれを聞いた。
「最初はゴメンね、でももう怖くないよ。この世界にきてパニックになっていただけだから」
彼女はてへっっと笑い、本当にゴメンと手を合わせて謝った。
「――何故俺を信用している?」
それが今の自分が一番求めている答えだった。
顔に傷がある男をこの世界で見て恐れよりも先に、此方に心配して抱きついてくるその答えが聞きたかった。
「ボクはキミに似た子をしっているからね」
「俺に?――先程のるーしぇって奴か?」
「うん。どうしようもない位もの凄く下品で乱暴でそれでいて我儘なんだけど、本当は優しくて臆病な不器用な男の子」
「はぁ?」
言われてみた通り想像してみたが全くパーツが組み合わさらない。
ましてやそれが自分に似ているなんてちゃんちゃら可笑しい。
「――それだけで、そんな事で人を信頼していいと思っているのか?」
阿保らしいと吐き捨てながら尋ねる。
「ボクは、ボクはずっと一緒に暮らしてきたるーしぇクンを信頼しているから」
照れてはにかみながら彼女はそうハッキリと答えた。

243 :Scar Face ◆SD0DoPVSTQ :2005/07/11(月) 09:20:54 ID:EECBYnQr
「けっ、信頼なんてそう簡単に口にするもんじゃねぇんだよ」
そう言いながらもマミーはいつの間にか心の痛みが消えていることに気が付いた。
「――やるよ」
マミーはポケットにあったカプセルを放り投げた。
「どうせ、そのるーしぇって野郎を探しに行くんだろ」
そう、たけしとボンチューを探しに行く自分のように。
「此処じゃないよりマシだろ」
カプセルから出てきたのはアタッシュケースとなにやら沢山の容器。
説明書に寄ればマシンガン、電磁ムチ、捕獲ネット、ウォーターカッター等の兵器が内蔵されているらしい。
「俺はこれで十分だからな」
そう言って容器を一つ手に取り楽々と握り潰してみせる。
中からは壁を失った液体が漏れてくる。
「うわー水だ、ありがとう!これだけあればお風呂だって毎日入れるよ!」
目を輝かせて沢山の容器を眺めている。
実際は水を圧縮して出す為大量に必要となる水の換えなのだが。
この辺には民家があるが水道、電機は通っていないらしい。
近くに川が流れていないことはないが汚くて風呂は兎も角、飲み水としては期待できそうになかった。
海水も飲料水として利用するのは面倒だろう。
その点水がこれだけあれば色んな事が出来きるのだろう。
この水の使い道を兵器として見出せなかった自分より似合ったいるのかも知れない。
マミーはそう思いながら相手が喜んでいる内に黙って後ろを向き去ろうとした。

244 :Scar Face ◆SD0DoPVSTQ :2005/07/11(月) 09:21:14 ID:EECBYnQr
「待って!ボクはヨーコ。大神官の娘ティア・ノート・ヨーコ」
去ろうとするマミーの腕を掴まえて彼女は捲し立てた。
それが自己紹介だったのだと気が付いたのはそれから少し経ってからだった。
「……マミーだ」
「待ってって言ったでしょ!」
去ろうとするマミーを引っ張って「めっ」っと叱る。
「子供を放っておけないよ。お姉さんも一緒に行くからね」
「待っててね」とヨーコは自分のカプセルを渡すと、散らばった水の容器を再びカプセルに収納しようと悪戦苦闘し始めた。
その様子を見ている内にマミーは此処に来て忘れていた物を完全に思い出した。
相手を信頼するからこそ、無理だと思った局面を乗り越えられてきたのだと。
彼の頭の中にはもう当初の迷いは消えていた。
「それ、ボクにはちょっとキツイからさ」
容器を一カ所に集めながらヨーコが言った。
収納に苦戦しているヨーコを後目にマミーはカプセルを放り投げる。
中から出てきたのは白と黄土色を基調にしたスーツ。
確かにこれでは女性は腰回りの露出を気にするかも知れない。
一緒に出てきた説明書を読むと『単純なエネルギー波やマグナム程度の威力なら無効にする柔軟力と衝撃吸収力を兼ね備えた防具』とある。
試しに握り潰してみようとしたがその柔軟力の前では無意味だった。
手足や頭など露出している部分は心許ないが胴体や腰、肩など覆われている面の防御力は信頼できる物なのだろう。
ただ一つの欠点は……
「だせぇ……」

245 :Scar Face ◆SD0DoPVSTQ :2005/07/11(月) 09:21:31 ID:EECBYnQr
「お待たせマミークン」
アタッシュケースを手にいつの間にか隣にヨーコが立っていた。
「待ってた訳じゃねぇ、そっちが付いてくるんだ」
「はいはい、それで良いから行こう」
マミーを軽くあしらうヨーコ。
ダークシュナイダーですら子供扱いの彼女の前ではどんなに威勢を張っても子供は子供だった。
「けっ」
それが面白くなくマミーは今日何度目かの舌を打った。



【東京都多摩地区/黎明】
【マミー@世紀末リーダー伝たけし!】
 [状態]:健康
 [装備]:フリーザ軍戦闘スーツ@ドラゴンボール
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ヨーコを信頼
     2、たけし、ボンチューとの合流

【ティア・ノート・ヨーコ@BASTARD!! -暗黒の破壊神-】
 [状態]:健康
 [装備]:アタッシュ・ウエポン・ケース@BLACK CAT
 [道具]:荷物一式、大量の水が入った容器
 [思考]:1、マミーを護ってあげたい
     2、るーしぇ(D・S)との合流

246 :変態:2005/07/11(月) 09:28:20 ID:Z+l/bcAH
 ヒソカは一瞬死を覚悟した。
 痛みと不自然な熱さが胸に奔る。
 だが、それは大したものではなかった。薄皮一枚とはいかなくても、オーラの集中で十分どうにかなる程度だ。ヒソカは困惑する。明らかに先程の斬撃は致命的だったはずだからだ。
 更木も困惑していた。ヒソカに黒い紋白蝶の様な羽が生えている。意味が分からない。いろんな意味で。
 だが、先程、更木の斬撃をヒソカはあの羽の爆発の反動で上体を逸らされて致命傷を避けたのだし、この羽はヒソカの能力ではない。
 ヒソカが自分の背中に付いた羽に気が付き、何故か嬉しそうに微笑む。更木は気分が萎えていくのを感じた。
「興ざめだぜ」
「なら、刀を下ろしてもらおうか?」
 事態を傍観していたパピヨンが前に歩み出る。パピヨンもヒソカと同じ羽を持っていた。
 更木は呆れたように目を細め、刀を下ろした。
「これは君の力だったのかい?センスの良い力だね」
 ヒソカが笑ってパピヨンに言う。
 事の成り行きを見守っていた志々雄は二人の蝶を見て思った。
 変態だ、と。




247 :変態2:2005/07/11(月) 09:29:41 ID:Z+l/bcAH
 パピヨンには考えがあった。力の限定されたこの空間ではカズキの黒い核金の力も限定されているはずだ。ならば、人間武藤カズキを蝶最高の俺が倒すことも可能かもしれない。
 それが出来ないのなら、自分も武藤もこの世界から脱出する術を考えなくてはいけない。
 戦闘はあっけないほど簡単に自分の乱入で終わりを迎えた。
「今回は僕の負け。でも、君は僕の獲物だ。またやろう」
「その格好をどうにかしろ」
 ヒソカが引き、更木も引いていた。
 落ち着いた所で、パピヨンは武装錬金を解き提案する。
「あの主催者共を殺したいと思わないか?」
「横槍とは無粋だね。でも、助かったよ。それに、その意見には賛成だ。あの態度、気に食わないね」
「賛成だな。奴らも強ぇえ」
「賛成だ。あんな奴らの下で踊る気はねぇ」
 全員が凶悪な笑みで答える。
 ここに、最狂のチームが完成した。

【佐賀県 北部海辺の崖/黎明】
 【チーム名=奇人変人】
 【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1カズキとの合流 2主催者を抹殺

 【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:微傷
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(支給品不明)
 [思考]:1更木と遊ぶ 2知り合いとの合流、パピヨンと行動  3主催者の抹殺

 【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:微傷
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1志々雄と決着を付ける 2強いヤツと戦う

 【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1刀を探す 2剣八と決着を付ける 3主催者の抹殺

248 :脱出への足掻き 1/2:2005/07/11(月) 09:51:04 ID:tx+kG+vN
「……ダメね。一見単純なように見えるけど複雑な造りだわ」
福島県都市部郊外、月明かりに照らされた女性が溜息をつく。その手は小柄な少年の首、もとい首輪に当てられている。
「そうですか…。じゃあ他の方法を探すしかないのかな…」
「相応の設備があればまだ分からんが……街の様子を見るに、電気が通っているとも思えんしな」
応じる少年と、スーツに帽子を被った紳士風の男性。紳士風の方は右目に眼帯を付けている。
「ええ。最低限の工具があれば分解なり何なり出来ると思ったけど…甘かったみたい。
それに設備があったとしても…肝心の電気が無いんじゃ話にならないわ……」
女性、ブルマは再び溜息をつく。メカに関して異常なまでの才能を持ち、天才の父にも劣らぬ頭脳を持つ彼女であったが、
この事態にはほとほと参っていた。
 
話は2時間ほど前に遡る。ブルマは住宅街の一角で泣いていた。
元々大金持ちで何不自由なく育ってきた彼女にとって、この異常なまでのゲームはとても耐えられるものでは無かった。
十代の頃はドラゴンボールを探す為に色々と無茶もしたが、若さ故の至りと悟空達の協力もあっての事だった。
あれから歳月が経ち、少女も大人になったがこの現実に直面できるほど強くはない。
泣いて暫く経った頃だろうか? 背後から突然声を掛けられた。ビクッと震え恐る恐る振り向くと……2人の男性が立っていた。
学ランを着た少年とスーツを着た男性。一見なんの変哲も無かったが、この極限下では目に映る者全てが恐怖の対象だった。
そして何より、スーツ姿の男性の右手に握られた、砲身が異様に大きい銃がそれに拍車を掛けた。
「嫌っ!来ないで!!殺さないでぇっ!!」
恐怖で顔を歪ませ、叫ぶ。死にたくない死にたくない。必死に叫び命乞いをした。
「落ち着け!!話を聞くんだ!!」
それを中断させる声。紳士風の男性のものだった。
「オレ達に敵意は無い。殺すなんてもっての他だ。この状況じゃ、疑心暗鬼になっても無理ねえが」
「あの…スヴィンさんの言う様に、ボク達は貴方を襲うつもりはありません。
ボク達は仲間の皆を…このゲームから脱出出来る人を探しているんです…。もし良かったら、ボク達と一緒に来ませんか?」

少年の名は武藤遊戯、紳士風はスヴィン・ボルフィード。偶然近くに居合わせた2人は、お互いに敵意が無い事、仲間を探している等、
目的の一致もあって行動を共にしているらしい。
最初は信じられなかった。だが分け隔てなく接してくれる2人に、徐々にブルマの猜疑心は消え失せていった。
互いの素性を大方話し終え、話題は首輪へと移る。
遊戯は機械について詳しいわけでは無かったし、スヴィンは武器の開発は出来るが首輪についてはお手上げだった。
よって、この面子で最も機械に強いブルマが確認したわけであるが…結果は冒頭の通りである。
これでは暗闇の中、苦労して工務店から拝借してきた工具も役に立たない。
街はまさにゴーストタウンと言って差し支えなかった。月明かりだけが頼りの無人の街。
それだけにブルマのすすり泣く声がホラー映画さながらだったのは遊戯とスヴィンのみが知る。

249 :脱出への足掻き 2/2:2005/07/11(月) 09:52:24 ID:tx+kG+vN
「…取り合えず、この件は一時保留だな」
スヴィンが呟く。極めて冷静に。確かに現時点では他にどうしようも無かった。
「そうですね…。今は当初の予定通りに、人探しに集中しましょう」
続けて遊戯。首輪が外れない事をあっさり流す2人を見てブルマが問う。
さっさとゲームから抜け出したい彼女にとっては、首輪が外れない事が残念極まりなかったからだ。
「ね、ねえ? 何であんたらそんなに落ち着いていられるの?」
「冷静さを失ったらそれこそ終わりだ。この程度のイレギュラーでいちいち動揺できないさ」
スヴィンのその言葉を最後に、それ以上は何も答えない2人だったが確固たる意志があった。
元国際捜査局、今は掃除屋の人間として活動するスヴィンにとって、冷静に努めるのは当然の事である。
トレインやイヴ、リンス達の安否も気掛かりだが、それ以上に彼等を信頼している。(リンスは微妙だが)
それもあってスヴィンは当面の問題に目をやっていた。
遊戯に関してもこれと同じ事が言える。彼もまた城之内達との交流の中で成長し、逆境にも立ち向かう強さを手に入れた。
例えバラバラになってもずっと仲間である事に変わりは無い。信頼も同じ事。
何よりも…今はもう居ない、もう一人の自分に誓って弱い自分は見せられない。
物言わぬ2人の胸中こそ知らないブルマだったが、この2人の強さは窺い知れた。

「じゃあ、これからどうするの?」
「遊戯の言った通りさ。仲間と協力者を探す。手っ取り早いのは街だろうな」
「けどボク達が探してみた限り、見つかったのはブルマさんだけだったし、探すとしたら他の街ですね」
言いながら遊戯が日本地図を広げる。今現在、自分達が居るのは福島県南部。これより更に南下した場所に街がある。
今後の方針は決まった。しかし不用意に動き回るのも得策ではない。夜間の移動はリスクも伴う。
これらの配慮と、ゲームの参加に気が休まらなかった事もあり、休息を取りつつ明朝に出発する事となった。

【福島県南部/黎明】

【スヴィン・ボルフィード@BLACK CAT】
[状態]健康
[装備]パワードガン@DRAGON BALL
[道具]荷物一式

【武藤遊戯@遊戯王】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]荷物一式(支給品は確認済み)

【ブルマ@DRAGON BALL】
[状態] 健康(やや泣き疲れ)
[装備] なし
[道具] 荷物一式(支給品は確認済み)
    ドライバー等の工具一式

[共通思考] 1:明朝、南下して街へ
      2:仲間と協力者を探す
      3:ゲームを脱出

250 :名無しかわいいよ名無し:2005/07/11(月) 10:15:06 ID:tx+kG+vN
248-249は無しでお願いします

251 :888:2005/07/11(月) 16:39:10 ID:YRxJ5TwV
>>246の修正
 ヒソカは全力で上体を反らす。
 痛みと不自然な熱さが胸に奔る。
 薄皮一枚とはいかなかった……。
 ヒソカは胸にオーラを集中し、出血を止める。だが、状況は絶望的だ。更木は返す刃でヒソカの腹を狙っている。
「さっさと斬って、終わりにするぜ」
 更木がそう言ってブレードを振りかぶった瞬間、更木の動きが止まる。
「剣を落とさないのは大したものだね」
 ヒソカのアッパーが更木の顎を撥ね上げる。ヒソカは先程切られた時に剣にオーラをつけていたのだ。
 だが、更木は笑みを深くした。
 更木はブレードを自ら捨てると、向かってきたヒソカの首を持って地面に打ち倒す。
 更木が更に拳を打ち出そうとした瞬間、更木の髪につけた鈴が爆発音と共に地面に落ちた。
「興ざめだぜ」
「なら、刀を下ろしてもらおうか?」
 事態を傍観していたパピヨンが前に歩み出る。その背には羽があり、いつのまにか更木とヒソカの周りには何羽もの黒い蝶が飛んでいる。二人とも、その蝶が威力は先程の爆発で知っている。そして、恐らく劣化した状態では耐え切れないだろうことも知っていた。

 事の成り行きを見守っていた志々雄はパピヨンの姿を見て確信する。
 この変態共は強い、と。

 パピヨンには考えがあった。力の限定されたこの空間ではカズキの黒い核金の力も限定されているはずだ。ならば、人間武藤カズキを蝶最高の俺が倒すことも可能かもしれない。
 それが出来ないのなら、自分も武藤もこの世界から脱出する術を考えなくてはいけない。 なにより、あの鼻持ちならない主催者共を生かしておく気もない。
 戦闘はあっけないほど簡単に終わりを迎えた。
「つまらねぇ幕引きだぜ。だが、お前との決着はまただ」
「そうみたいだね」
 ヒソカと更木、互いにパピヨンの方を、いやその後ろに視線を移動させて言う。
 パピヨンの身体能力はやはりこの二人には敵わないらしい。
 強襲に対する反応が致命的に遅れていた。
 背後からの強襲。
 黒い羽が引き毟られる。
「ちっ、向こうを先にやるぞ」
「良いよ。たまには共闘も悪くない」
 更木はつまらなそうに、ヒソカは嬉しそうに微笑んで、同時に地を蹴った。

【佐賀県 北部海辺の崖/黎明】
 【チーム名=奇人変人】
 【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:微傷
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1カズキとの合流 2主催者を抹殺

 【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:微傷
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(支給品不明)
 [思考]:1更木と遊ぶ 2知り合いとの合流、パピヨンと行動  3主催者の抹殺

 【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:微傷
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1志々雄と決着を付ける 2強いヤツと戦う

 【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1刀を探す 2剣八と決着を付ける 3主催者の抹殺

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