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ストーリーを教えてもらうスレ Part13

1 :マロン名無しさん:2005/07/30(土) 23:25:16 ID:uO9ggPiz
暇がない、金がない、手に入らない、等の事情により、読めない漫画のストーリーを教えてもらうスレです。
次スレは>>950か、容量が450を越えた時にお願いします。

前スレ:ストーリーを教えてもらうスレ Part11
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1111715626/
まとめサイト(※全過去ログ保管済み)
http://f30.aaa.livedoor.jp/~malon/
未解決リクエスト表(※予約&進行中タイトルリスト含む)
http://f30.aaa.livedoor.jp/~malon/mikaiketu.htm

【リクエストされる方へ注意点】
その漫画が既出である場合があります。要望を出す前に、未解決リクエスト表にてご確認下さい。
どの程度のネタバレを希望するか、一言添えていただけると、書き手も書きやすいです。
(例:科白を含む等、出来るだけ詳しく・大まかな粗筋・←を混成したメリハリの利いたもの・ラストのみ)
この板は一般板なので、18禁の漫画のストーリーの要望はご遠慮下さい。
即レスは期待せず、気長にお待ちください。

【教えてくれる方へ注意点】
要望が出ている漫画のストーリーはどんどん書いて下さい(※解説が終了した作品の加筆・修正も大歓迎)。
ただ、要望が出ていないものは敬遠される傾向にあります。
この板は一般板なので、18禁の漫画のストーリーの紹介はご遠慮下さい。
名前欄に作品名を入れていただけると、まとめやすくありがたいです。
時間を置いて数回に分けて投稿する際には、混交を防ぐため、最後に「続く」とお書き下さい。
書く際は予め予約していただけると、投稿の重複が防げて大変ありがたいです(※必須ではありません)。
また、書くのはよそうと思われた時には、面倒でも予約の取り消しをお願いします。


2 :マロン名無しさん:2005/07/30(土) 23:26:12 ID:???
ドラ書いてたものですが。スレの容量が500オーバーしてしまい書き込めなくなったので
新スレたててみましたがこれでよかったでしょうか…あわわ。
スレたてるの初めてなんですっていうか>1にちゃんと450こえたら新スレってかいてあったのに
全然気づかず書き込みつづけてすいませんでした。
ちょっとこれでいいのかわからないので様子見ます。あほですいません。

3 :マロン名無しさん:2005/07/30(土) 23:27:49 ID:???
民明書房

4 :マロン名無しさん:2005/07/30(土) 23:57:19 ID:uO9ggPiz
うああ、>>1のテンプレ、前スレのアドレスが前のままになってる
正しくは
前スレ:ストーリーを教えてもらうスレ Part12
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1119630090/

です。もうホントにすみません_l ̄l〇

5 :マロン名無しさん:2005/07/31(日) 00:07:37 ID:???
ドラの人です。ええと、どうしよう。
誘導とかないまま新スレになっちゃってホントにすみません_l ̄l〇
もうどうしたらいいでしょうって感じですが、とにかく
前スレで投下途中だったやつを、もう一回落としてしまおうと思います。


6 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:08:25 ID:???
川で魚を捕っている少年。
大物がとれ喜んで帰ろうとするが、遠くに火があがっているのを見つけ、慌てて駆け出す。
辿りついた村は、焼け果て村人は誰一人としていなくなっていた。泣き叫ぶ少年。
と、その時。空に黒い穴が開いたかと思うと、少年はその穴に吸い込まれ姿を消した。


本気で家出することを決意したのび太。
独立した人生を歩んでみせると息巻きドラえもんを感心させるが、結局道具は持っていく。
のび太はまず、空き地に住むことににするが、皆はどうせ続かないだろうとバカにする。
怒るのび太だが、空き地からは早々に地主に追い立てられてしまう。
次は裏山に行ってみるが、そこも宅地にするための工事が始まりやっぱり追い出されることに。
家に帰りドラえもんに泣きつくのび太。これが最後といってどこでもドアを出してもらう。
一度行ったことのある無人の村に行き、さっそく新生活を始めようとするが
今度は村がダムになるため、水の底に沈んでしまう。
あきらめろと言われても、どうしても家出したいのび太は外に飛び出し。ジャイアン、スネ夫、しずかに会う。
三人はさっきは散々バカにしたくせに、自分達も親と喧嘩したもんだからのび太を頼って家出してきたのだ。
さらに、家で預かることになったハムスターに怯え飛び出してきたドラえもんも家出仲間に加わることになった。

しかし家出しようにも場所がない。そこで五人はまだ人間が住んでいないころの日本に行くことにする。
タイムマシンに乗り込み、史上最大の家出といってはしゃぐのび太たち。
ところが突然四次元空間に時空乱流が発生する。早く行き先を決め、抜け出さなければ。
そこで既に人がいたと考えられている三万年前の倍の六万年前に更に一万年足した、七万年前の日本に行くことにする。
まず「原始生活キット」で原始人ルックに着替え、武器も装備することに。
次に家にするために洞穴を掘ることにするが、これはジャイアンが引き受けることにする。
花畑を作るのはしずか、畑の世話はスネ夫に決定するが、のび太には何をやらせたものかとドラえもん。
そこで、アンプルを注入するだけでできる簡単なペットを作る仕事をのび太に任せることにする。
バカにされたことを怒るのび太。しかし皆をあっと驚かせるようなアイデアを思いつく。

7 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:08:57 ID:???

そのころ、のび太たちの町の上空にあの黒い穴が現れた。穴から放り出され裏山に落ちる少年。
もちろんそんなことはまったく知らないのび太たち。
それぞれ自分の仕事に精を出し、それをサポートするドラえもん。
のび太の作ったタマゴからも、無事ペットが誕生した。
なんとのび太は複数の動物のアンプルを混入し、ペガサス・グリフィン・ドラゴンを作り出したのだ。
自分の計画が大成功したことに喜ぶのび太は、大きく育つまでは皆には内緒にしていくことにする。
洞窟の家も完成し、畑で取れた食事にも満足したのび太たちは、このへんで一度家に帰ってみることにする。
今日のことは誰にも秘密と約束し、家に帰っていく仲間たち。
その晩のび太の家の屋根の上には、悲痛な叫びをあげる少年の姿があった。

翌日学校で、家出だって一日に少しずつすればいいんだよと話し合うのび太たち。
これからはきちんと宿題を終えてから遊びに行くことにする。
家に帰り早速宿題を終わらせるが、なぜか家の冷蔵庫が空っぽになっており買い物を言いつけられてしまう。
その間にやってきたジャイアンとスネ夫は、のび太たちの帰りを待つ間に着替えておくことにする。
そのとき押入れから原始ルックの見知らぬ少年が現れ、いきなり2人に襲い掛かってきた。
なんとかやっつけたジャイアンは、しずかを連れ部屋に戻ってきたのび太とドラえもんに
なんで勝手に仲間を増やしたんだと怒るが、のび太たちも少年に見覚えはなかった。
とりあえず気絶した少年も乗せ、タイムマシーンで家出先に向かうことにする。

少年の衣装や武器が本物なことから、まさかこの子は本物の原始人なのではとの考えに至った五人。
ドラえもんは、恐らく時空乱流に巻き込まれて現代に飛ばされてきたのだろうという。
この時代の日本にすでに人が住んでいたことにがっかりするが、
ドラえもんはこの子がどの時代からやってきたのかを正確に調べることにし
怪我の手当てはしずか、この辺りの村の探索はジャイアンとスネ夫の2人で行うことにする。
おミソになったのび太は自分のペットの様子を見に行くことに。
すっかり大きく育ち、ちゃんとのび太のことを覚えていて甘えてくる三匹。

8 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:09:38 ID:???
村も見つからず、川で遊んでいたジャイアンとスネ夫はそこで突然ワニに襲われてしまう。
もうだめかと思った時、のび太と三匹のペットがワニを倒し助け出してくれた。
そのまま洞穴に帰ったのび太は皆にペットのお披露目をし、ようやく名誉挽回をする。
皆が出て行っている間に少年も意識を取り戻し、しずかの看病によりかなり回復していた。
ホンヤクコンニャクにより会話ができるようになった少年は、自分はヒカリ族のククルと名乗った。
ククルは魚をとって帰る途中に空の穴に吸い込まれたのだが、村人たちは川に行っている間に
ずっと前から狙われていたクラヤミ族にさらわれたらしい。
戦おうにも向こうには不死身の精霊王ギガゾンビがついているため、とてもかなわないと話すククル。
それはきっとまじない師のようなものだろう、とドラえもん。そんな迷信みたいなのが相手なら大丈夫と
息巻くのび太たちだが、ククルはギガゾンビの魔力はインチキなんかじゃないという。
しかしだからといってククルや捕まった村人たちをほっておくわけにはいかない。
ククルの村の場所が今でいう中国だと突き止めた一同は、明日大陸に出動することにする。

翌朝、一人で村に行くと言って出て行こうとするククル。
凶暴なクラヤミ族と精霊王相手の危険な戦いに皆を巻き込みたくないという。
そこでドラえもんは「風の精霊に命じて君を飛ばす」といってタケコプターでククルを飛ばしてみせる。
驚くククルに、ドラえもんは実はドラゾンビという偉いまじない師なんだよと続けるスネ夫。
だから安心して俺達にまかせろ、というジャイアンに、ようやくククルは心を開いた。
こうして一同はククルと共に村人救出のため中国大陸に向かうことになった。
今回はのび太のペットたちに乗っての旅なので、タケコプターの電池の心配はない。
その晩ククルの村に到着するが、やはりそこには誰一人として残っている者はいなかった。
悲しみにくれるククルに、捕まえられたなら取り返せばいいと励ます五人。
夜が明けると早速クラヤミ族のあとを追いかけることにする。
ここからは目立つといけないから、ペガサスたちはここに置いてタケコプターの旅である。
クラヤミ族に村人たちが連れて行かれたのは四日前。まだ間に合う距離のはずだと急ぐ六人。

9 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:10:46 ID:???
縄に繋がれクラヤミ族に引っ立てられながら歩きつづけるヒカリ族の村人たち。
途中で倒れてしまい乱暴を振るわれた長老をかばい、手を縛られながらも戦うヒカリ族の男に対し、
クラヤミ族の男が担いでいる神輿の中から「手ムカウ者ハ殺シテシマエ」と声がする。
そこに、ドラゾンビに扮したドラえもんが現れた。
のび太やククルたちも加わり、クラヤミ族を追い払うことに成功する。
ところが残った神輿の中から、突然土偶が飛び出してきた。
この土偶こそがさっきの声の主・ツチダマである。
衝撃波を出して攻撃してくるツチダマだが、なんとか攻撃を跳ね返し粉々にすることができた。
なぜこんな土の塊が動いたり喋ったりしたのだろうと不思議に思う一同。
解放されたヒカリ族。ククルは両親と再会できた。皆一様に頭を下げドラえもんに感謝を捧げる。
村人たちを安全な日本に連れて行くことにした五人は、どこでもドアを出し移動を始める。
全員くぐり終わり扉を閉めるのび太。
だがその直後、なんと砕けたはずのツチダマが元の姿に戻り、どこかに姿を消していった。

日本に戻る前に、途中で置いていったペガサスたちを迎えにいったのび太たち。
しかし三匹の姿はどこにも見つからない。心配するのび太。
きっとあの三匹なら自分達の力で生きていけるだろうと慰められ、そのまま日本に戻ることにする。
日本についたヒカリ族の村人は、さっそく村の再建を始めることに。
ジャイアンたちもそれを手伝うが、のび太の姿がどこにもみえない。
ククルが探しに行くと、のび太は三匹を育てた川原でエサを持ってぼんやりしていた。
昔飼っていた狼の子が、いなくなって一月以上してから無事に帰ってきた話をのび太にするククル。
その話に励まされたのび太は、ようやく元気を取り戻す。
その晩、村人の祝いの祭りに招待された五人。もちろんドラゾンビは特等席である。
新しい村の順調な走り出しに安心した五人は、翌朝現代に一旦帰ることにする。
三匹のエサをククルにたくすのび太。
またすぐ戻ってくると村人に約束すると、タイムマシンに乗り込んだ。

10 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:11:35 ID:???
そのころ、吹雪の吹き荒れる山にあるどこかでギガゾンビがツチダマを叱咤していた。
トコヤミの宮を完成させるにはもっと奴隷が必要だと怒るギガゾンビに、ドラえもんのことを報告するツチダマ。
それを聞いたギガゾンビはドラえもんの行方を探すようツチダマに命じる。

翌日、学校から帰ってきたのび太。なにやらドラえもんは深刻な顔をしている。
ドラえもんはツチダマの手首を拾ってきたのだが、それが砕いてもまた元の状態に戻ることに気づいたのだ。
これが石器時代にあるはずもない「形状記憶セラミック」だと気づいたドラえもん。
ギガゾンビはただのまじない師なんかではない。
ヒカリ族の身を案じた五人は、すぐにタイムマシンに乗って村に行ってみるが一足遅く、
村は焼け落ち、そこにはククルや他の村人の姿はなくなっていた。
そこにギガゾンビの映像が現れ「村人を返してほしくばトコミヤの宮にやってこい」と言うと姿を消した。
五人は昨日村人を助け出した場所まで戻ると、村人を助け出すための旅を始めた。

タケコプターで飛びつづける五人。
どんどん北に向かっているため、寒さが厳しくなってきた。
タケコプターを休ませるために歩かねばならず、早く走る道具を使うことにする(電車ごっこみたいなの)。
ハイスピードで走りつづけるが、吹雪で進めなくなったため洞穴に避難することにした一同。
そのとき、のび太がいなくなっていることに気づく。振り落とされてしまったのだ。
すぐさま探しに行こうとするが、この吹雪では皆も遭難してしまうだろう。
そこで、ドラえもんの道具にのび太の答案を着け捜索をさせることにする。
勢い良く飛び出していった道具に希望を託す四人。
だが、直後にそれを発見したツチダマによって道具は壊されてしまう。

11 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:12:21 ID:???
待っている間に、洞穴の奥に地下に続いていく階段を発見した四人。
どんどん地下に下りていくと、そこで一人のクラヤミ族の男を発見する。
ここがトコヤミの宮であることを確信した五人は更に進んでいき、
遂に捕まった人たちが働かされている場所を発見する。
殴られそうになったククルを見つけて、時間の流れをストップさせたドラえもん。
まず先に皆を逃がす脱出ルートを用意しようと、通り抜けフープを使うと
ちゃんと地上に通じているかどうか、一人で確認のために穴に入っていくことに。
しかし歩いても歩いてもなかなか出口がなく不思議に思ったころ、
ようやく出た所はこの時代にあるはずもないコンピュータールームだった。
驚くドラえもんだが、さらに不思議なことに、時を止めたはずなのに扉の向こうから誰かが来るではないか。
やってきたのはギガゾンビだった。タイムロックは解除したという。
そこでドラえもんはギガゾンビが未来人で、歴史を作り変えようとしている時間犯罪者なことに気づく。
思ったとおり、ギガゾンビはここを根城にした永久王朝を作ろうと企んでいた。
捕まえてタイムパトロールに引き渡してやろうと立ち向かうドラえもん。
しかしギガゾンビは23世紀からやってきた未来人だったため、ドラえもんが敵うはずもなく
他の三人もすぐさま捕らえられてしまった。

一方、吹雪の中に取り残されたのび太は一人彷徨っていた。
しかし意識が朦朧として幻が見えるようになってき、遂には倒れてしまう。
意識を失ったのび太。自分が何かを飲んでいることに気づき目を覚ます。
そこにいたのはマンモスだった。栄養ドリンクのようなものを飲ませてくれたらしい。
マンモスが何かを言っているようだが、幻だと思ったのび太はただ眠たく、何も聞こうとしない。
何かを探しているようなことを言うと、小箱をのび太に渡しマンモスは去っていった。
次にのび太が目を覚ましたときには吹雪はすっかりおさまっていた。
なんだか変な夢を見たことしか思い出せないが、しかし体はすっかり回復している。
さっそく皆を探そうと歩き始めたのび太の前に現れたのは、
なんといなくなっていた三匹のペットたちだった。再会に涙を流して喜ぶのび太。
その後捜索に出た道具が落としていった答案を発見し、ドラえもんたちがこの近くにいることを知る。

12 :のび太の日本誕生:2005/07/31(日) 00:13:05 ID:???
捕らえられたドラえもんたち四人は、生贄としてサーベルタイガーのエサにされそうになっていた。
そこに飛び込んできたのは、三匹に乗ってやってきたのび太である。
お互いの無事を喜び合う五人は、ペットに乗って地上に逃げようと飛び立つ。
追いかけてくるツチダマも破壊し、今度は復活封じもすませるが
それを見ていたギガゾンビに落盤を起こされ地下に閉じ込められてしまう。
通り抜けフープは置いてきてしまったため脱出することができない。
そのときのび太は、夢でみたマンモスに貰った小箱を持っていることに気づく。
ふたを開け中のボタンを押してみるが、ピコピコ鳴りつづけるだけで何も起こらない。
絶望する五人。

そのころ、発信音をきいたマンモスの中からタイムパトロールの船が現れた。
実はあのマンモスは、ギガゾンビの基地を突き止めようと変装していたタイムパト―ロールだったのだ。
すぐさま機動隊が駆けつけてくると、瞬く間にギガゾンビは逮捕され、のび太たちは救出された。

こうして、ククルたちヒカリ族は再び日本に戻ることができた。
立派な村を作ると約束する村人たち。ここから「日本」が始まるのだ。
ペガたちは空想サファリパークに連れて行かれることになった。
架空の動物はどの時代にもおいておくわけにはいかないのだ。
「未来の子供達にかわいがってもらうんだよ」
のび太が別れを告げると、三匹を乗せたタイムパトロールの船は去っていった。

その後、気になってククルの20年後をタイムテレビで見た五人。
ククルは立派に成長し族長となり、村人たちに尊敬されていた。
それ以前の日本にも人間はいたようだ。だが彼ら(旧人)はやがて全滅したらしい。
だからあのとき、ククル一族(新人)が住み着いた瞬間こそが“日本誕生”だったのだ。
それから、ペガたち三匹も空想サファリパークで可愛がられ、幸せに暮らしている。

《完》

13 :マロン名無しさん:2005/07/31(日) 03:19:12 ID:???
生徒諸君!
生徒諸君!教師編
をお願いします。
詳しい方がいいです。

14 :マロン名無しさん:2005/07/31(日) 03:35:25 ID:???
大丈夫よ〜てかやっぱり新スレは早めに立てるが吉って感じね。スレ立て乙。ドラも乙!

15 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 00:54:28 ID:???
卓球戦隊ぴんぽん5とテレプシコーラの続きはまだかー

16 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 01:23:53 ID:???
ドラ乙

17 :天使禁猟区 44:2005/08/01(月) 02:07:13 ID:???
怒りで襲いかかろうとするラジエルをセヴィーは跳ね飛ばすと、
シャマイム爆破を手引きしした者だと偽り連行させようとした。
そこへザフィケルが飛びこみ、自分に免じてどうかお慈悲をと土下座をした。
それでは自分が犯人だと認めるようなものだと訴えるラジエルの頬をザフィケルは叩く。
「あの大惨事を招いたのは君です。援助品として君が申請したケーキやおもちゃの数々…
 誰でなくともIチャイルドのためだとわかります。あそこに罪深き子供たちが隠れているのだと!
 なのに君は不用意にも最高会にあの地へ入る大義名分を与えてしまった。
 彼らのためにいい事をしていると自己満足に浸りながら、君の愚かさがあの子達を惨殺したのです!」
冤罪は免れたが、ラジエルはその場に泣き崩れた。

ラジエルはザフィケルのもとへ訪れる。
「僕一人があんなところでわめいたって犯人に仕立て上げられ処刑されるのがオチだった…
 でも…あの時僕はあの方に頭を下げるより、潔白を叫びながら殺された方がどんなにか良かった!
 座天使長の名をこれ以上傷つけないためにも僕はここから出ていきます」
それほど決心が強いのなら面白いものを見せてあげよう、それからでも遅くはないと
言いながらザフィケルは服を脱いだ。ザフィケルの胸元には堕天使の烙印が押されていた。
一度堕天した者が上級天使になれるわけがない。どういう事ですかとラジエルは問う。
「知りたいでしょう本当の事を。見せてあげましょう、君の能力ならばたやすい事です」
そう言われ、ラジエルはザフィケルの胸の烙印に手を伸ばした。

ラジエルの頭の中にかつてのザフィケルの姿が浮かぶ。
ザフィケルはアナエルという女天使と密かに愛し合う一方で、
彼女の止める声も聞かずに兎狩りに精を出し虐殺を楽しみ、
アナエルの友人のライラにちょっかいをかけたりしていた。
「貴方の目はなんの真実も映し出さないのね…
 こうして触れ合っているだけでわかればいいのに…!
 貴方が見捨ててしまったこの世界にもまだ何かが残っている事を…」
最高会から命令されて行っている悪魔の研究≠ニさえ称される
プロジェクトに恐れを抱き始めていたアナエルは時折ザフィケルにそう言った。
しかしザフィケルが行動を改める事はなかった。

18 :天使禁猟区 45:2005/08/01(月) 02:09:41 ID:???
ザフィケルは極秘任務としてある叛乱軍を制圧する事になった。
ターゲットは赤髪を逆立てた若い女。彼女は言葉が不自由だ。
薄闇の中、言葉にならないわめき声をあげながら銃をこちらに向ける女。
ためらう事無くザフィケルは彼女を殺した。
その途端女は座っていた椅子ごと倒れた。
女からカツラが落ち美しい金髪があらわになった。彼女はアナエルだったのだ。
直後、叛乱軍の住処が何者かに爆破された。


「アナエルは叛乱組織に拉致されていた。それを根城ごと爆破するなどもってのほか。
 お前の部下も一人として生き残らなかった。この責任はお前の死をもって償ってもらう。
 自害しろザフィケル。もうこれ以上座天使長の名を汚さぬよう。2度と転生の道など辿れぬよう」
アナエルが拉致されていたなど聞いておらず、爆弾を仕掛けたのもザフィケルではなかった。
ザフィケルが踏み込んだ時には既に叛乱軍は何者かに制圧されていたのだ。
アナエルを暗闇で別人に見せるための赤いカツラ、濃い化粧。
天使軍用の見なれた手錠を紐で無理矢理手にくくりつけ、
そして首には声を失わせるための一本の針が刺されていた。
全てはザフィケルを失脚させるためのセヴィーの策略だった。
だがそれはもうどうでもよかった。
暗闇とはいえ愛する者を見分ける事の出来なかった自分をザフィケルはなにより憎んだ。
「もとより転生の道など望んではいない…!こんな世になんの未練があるか。
 我が死に様を見届けるがいい神の奴隷共!!」ザフィケルは自らの首を刃物で刺した。
激痛で唸り声をあげるザフィケルのもとに強い光を持つ何者かが一瞬姿を現した。
その光を浴びた途端ザフィケルの首の傷は癒え、命を取り留めた代りに失明した。
それが後にも先にもザフィケルがはじめて見たセラフィタの姿だった。
その場にいた最高会の長老は正気を失い、全ての実権はセヴィフォタルタへと渡った。
彼は証人や資料が全て失われたこの事件をもみ消し、
代りにザフィケルに服従を迫り自らの手でザフィケルに刻印を刻んだ。
「この痛みを覚えておけ。お前は私のものだ」

アナエルは『サンダルフォン』と呼ばれるプロジェクトに参加していた。
それはメタトロンの死産した双子の弟と同じ名だ。

19 :天使禁猟区 46:2005/08/01(月) 02:12:55 ID:???
アナエルはそのプロジェクトを恐れ、密かに叛乱組織と通じていた。
失明後のザフィケルはアナエルの意志を継ぎ叛乱組織の影の頭目となった。
全てを明かされたラジエルは、腐敗した天界に立ち向かおうとするザフィケルにより一層の忠誠を誓った。
「それでは…貴方に重大な任務を託します」

(ところ変わって元の体に戻った刹那)
九雷は刹那の体から取ったピアスは地獄でなくしてしまった。
その事を謝ると、ピアスは吉良にもらった物でまだ二つ残っているからいいと刹那は言った。
ウリエルがラファエルを呼び出せたのは、密かに連絡を取り合っているザフィケルからの
情報もあっての物なのだという。ウリエルは刹那がザフィケルと連絡を取れるように
通信機を渡して再び幽界へ帰っていった。加藤は刹那のもとに残った。
しばらくしてザフィケルからの連絡がきた。使いの者をよこすとの事だ。

ザフィケルの命令により刹那のもとへ訪れたラジエル。
通信装置により刹那とザフィケルは対峙する。
現在、天界で紗羅は裁判にかけられ処刑されようとしている。
『地水火風』を司る四大天使は一人でも亡くなると自然界の理は崩れ世界は乱れる。
ただし裁判により定められた死刑ならば、死の前に四大天使の力を他者に明渡す事ができる。
セヴィフォタルタは元素界を壊さずに合法的に紗羅を消そうとしているのだ。
紗羅を救うために、ラジエルがアナグラへ来る時に使った魔方陣から天界に行こうとする刹那。
しかしこの魔方陣は一人があと一回使うので精一杯だ。
刹那が使ったらラジエルが帰れなくなってしまう。ラジエルは反対する。
しかしザフィケルは、自分を信頼してもらうための人質としてラジエルを預ける、
ラジエルを残してこちらに来いと刹那に言う。
天界でライラに会えるかもしれないからと、幽界で廃竜に渡された種を手に刹那は魔方陣に入った。

(所変わってセヴィーに幽閉されている紗羅)
幽閉されてから、紗羅には聖巫女(シスター)がお付きとして常に傍にいる。
上級天使は身の回りの世話をさせるために、許可を取りグリゴールに肉体を与えている。
お付きの少女はその一人で元グリゴールなため、名前がない。
少女がよく紗羅に持ってくる、月の光を吸って咲く花・月神草(ムーンリル)から取り、
紗羅は少女にリルと名づけた。

20 :天使禁猟区 46:2005/08/01(月) 02:14:12 ID:???
続く。
今更ですがスレ立て乙です

21 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 04:14:35 ID:???
天使禁猟区とHoney Roseは全何巻でしょうか?

22 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 06:39:34 ID:???
天使禁猟区は全20巻(単行本)
Honey Roseは解らないす

23 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 10:28:39 ID:???
Honey Roseは未刊行。
詳細つttp://www.ne.jp/asahi/orange/lamp/utr/rose.html

24 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 10:38:40 ID:???
>>15
俺もぴんぽん5待ち続けてる。
あのまとめてる人うまいと思ったんだけどなー。力尽きたか?

25 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:17:09 ID:???
ドラの方、スレ立て乙です!日本誕生も乙です!
私も容量の事すごいうっかりしてました。ほんと乙ですた!

天禁乙!長いから大変そうですね。頑張ってください!

はにろ第6話あらすじ投下します。
あと単行本に関しては>>23さんが説明されてますが、将来的にもし単行本出たら
前スレにも書いたのですが、今書いてるあらすじと話が変わるかもです。ではでは。

26 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:17:52 ID:???
フィオナは部屋の中で恐怖に身をすくませていた。
見知らぬ女が部屋の中に座っている。乱れた黒髪の間から見える顔には何の
表情も浮かんでいない。だが、その瞳からつう、と涙が流れるのが見えた。
首に浮かぶ縄の跡が痛々しい。
縄の、跡……。
(ロウランドは首吊り)
頭の中で誰かの言った言葉が、がんがんと鳴り響く。
窓の向こうには、南館屋上。華やかな顔立ちの女がフィオナの方を振り向いた。
そして唇をささやきの形にゆがめると、その場所から身を滑らす。
(キングは身投げ)
くるってなどいないわ。彼女は飛び降りる前にフィオナにそう呟いた。
「ひっ………」
腰をぬかしてベッドの上に手をつくフィオナ。
(スタンリーは……)
ビチャリ
フィオナの手が、何か濡れたものに触れた。
恐る恐る振り向いた彼女の後ろには横たわる女の姿。
その口からは、ごぼごぼと音を立てて真っ赤な血が溢れ出している。
彼女の口元も、首筋も、ベッドの上も血まみれだ。
「キャアアアアッ!!」
慌ててベッドから飛び出た彼女にロウランド夫人が近づく。
あまりの恐ろしさに動けない彼女の耳に唇を寄せて囁いた。
(しんじてはだめ)
背後からはスタンリーがだらだらと口から血を流しながらフィオナを追いかけてくる。
(くちにしてはだめ)
そう呟くとスタンリーは、血まみれの手を何回も窓に叩きつけた。
ガラスが激しく音をたて、真っ赤な手形がいくつもそこに残されていく。
「あ、あァアアアっ!」
フィオナは耳をふさぐが、亡霊たちの囁きは聞こえ続ける。

27 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:18:32 ID:???
(うたがってはだめ)
細い、すんなりとした指がフィオナの胸元に下がる銀貨に触れた。
顔をあげるとそこには、ライナス達と一緒に眠ったときに現れた女の姿。
彼女の胸元には撃たれたのか、ぽっかりと穿たれた穴があり、そこから流れる血が
女のドレスを汚していた。
(うしなってはだめ)
すでに叫ぶ事もできずに、ただ浅く呼吸を繰り返すフィオナ。
(もう、ておくれ)
女の傍らには小さな女の子。女はその子の小さな手をしっかりと握っていた。
「フィオナ様!?」
音を立ててフィオナの部屋の扉が開いた。尋常ではないフィオナの悲鳴を聞いて
女中達が何事かと駆けつけてきたのだ。
だが、彼女たちが見たのはベッドで一人うずくまるフィオナの姿だけだった。
放心しながら女中達を見つめ返すフィオナ。
「ア……アニー、……」
見知った侍女の姿にフィオナはすがりつく。
「今……いまっ、真っ赤で四人も、私に話しかけたの聞こえたの」
「フィオナ様」
悪い夢でも見たのでしょう、というアニーの言葉をフィオナはさえぎる。
「ロウランドさんと、キングさんと、レイチェルさんと……!!」
フィオナの言葉に女中頭のマージは顔色を変える。他の女中達もみな一様に顔をこわばらせている。
「ベッドを見て!スタンリーさんが吐いた血よ、これでも夢だって言うの!?」
思わず口元を押さえる女中の一人。
フィオナの示した場所には、血だまりはおろか染みひとつない。
「お嬢…様…」
思わずマージはフィオナに語りかけるが、フィオナはその響きにひそむ感情に気づいて訴えた。
「……狂ってなんか、いないわ」
フィオナはなおも言いつのる。

28 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:19:06 ID:???
「見たでしょ?黒い長い髪の女の人が。嘘じゃないの、ほんとなの。信じて、お願い……」
女中達は真っ青になりながら部屋を後にしていく。アニーだけが彼女の傍に残った。
「夢だったんですよ」
彼女はフィオナをベッドへと戻すとそう言い聞かせた。
「ライナス様がお迎えにあがった日から、伯爵の子供だったという事も。
お兄様がたご家族が居たという事も。何不自由ない暮らしも」
フィオナは四人の異母兄達がベッドで一緒に眠ってくれた時のことを思い出す。
あの時は怖い事なんか、何もなかった。兄さんたちがいてくれたから。
「何もかもが偽りの絵空事。こんな呪われた家の事は夢だと思って忘れておしまいなさい」
アニーはフィオナの頭を膝に乗せながらささやく。そしてもう限界だ、今すぐにでも馬車を
用意するから故郷に帰った方が良いと勧めた。平凡で貧しくとも自分らしく生きられる場所へ、と。
だがフィオナはぽつりと呟く。
「目が覚めたらまた、誰も私とお話してくれなくなっちゃう……」
セブンダイアルズの家。食卓を囲む店の主人達。笑いあう彼ら家族。
だが、フィオナは暗い廊下で一人、着古した服を着て寂しさと寒さに震えながら耐えている。
食べるものは固くなったパンひとつに、水だけ。すぐそばに温かい食べ物があるのに……。
「夢の中にいられるのなら、命なんかいらない」
アニーの膝の上でフィオナはそう言うと瞳を閉じた。彼女の頭に手を乗せてアニーは呟く。
「ばかなお嬢様」
夜が明けてライナスは自室に一人、座っていた。そしてテーブルの上の拳銃を手にする。
ずっと昔に彼の母から、誕生の祝いにと贈られたものだった。
それを額に当て目を閉じ、まるで祈るようにしながら聖書の文句を口にする。
「『知恵ある子は父を喜ばせ、愚かな子は母の悲しみとなる』」
そして目を開けると、ライナスはどこか遠くを見つめて呟いた。
「ごめん、母さん」
今日は正餐会だ。食堂には兄弟たちが集まっている。
「……定例通り午後七時より本館を使用。本日はアルバート伯が爵位を継いで初めての正餐会です。
客人の行動言動、すべてが伯爵の評価に結びつく事を忘れないよう。
常に最善の判断と対応を期待します。以上」
伯爵の代理を務めているウィリアムが兄弟達にそう告げた。

29 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:20:51 ID:???
トーマスが手をあげて彼に質問する。伯爵がもし、正餐会に間に合わなかった場合
今回引き取られる事になっていた三人の処遇はどうなってしまうのか。
「伯爵が不在であっても招待客の九割が出席していれば正餐会は行われます。
君たちをこの家に迎える意向は伯爵のものですが、それを許可するのは親族です」
「もし……許されなかったら?」
おずおずと尋ねるトーマスにウィリアムは冷静な面持ちで答える。
「今晩中に館からの退去を命じます」
「こ、今晩中!?」
動揺するトーマスにフィオナ。特にフィオナは不安で胸をいっぱいにする。
(正餐会で失敗したら、今日限りでお兄さんたちに会えなくなっちゃう。
そんなの嫌…、私まだ上手にお話もできないでいるのに……)
思わず兄達の方を見つめるフィオナ。するとウィリアムと目が合う。彼もフィオナを見ていたのだ。
「フィオナ」
ウィリアムに気を取られていたフィオナは、背後からかけられた声に驚いた。
ライナスだった。彼は明日、墓参りを兼ねてジョン牧師の家に遊びに行かないかと誘う。
「奥さんがぜひ君たちに会いたいんだって」
明日の予定。それは今日の正餐会が過ぎてからの事だ。返事をするのに戸惑うフィオナ。
「ほんと!? 僕いくよ。ね、フィオナ。エリオットも行こうね」
エリオットは答えない。その様子を気にするフィオナだったが、ライナスに再度誘われて答えた・
「あ、行きたい! 絶対行く……」
「じゃ、約束です。ふたり共、時間までよく復習しておいで。
エリオットの仕事はヴィンセントのお守りですよ」
だがライナスの言葉にエリオットは暗い顔で答える。
「ヴィンス、居ないよ……。五日前から従者も見てないって」
(逃げたか……?)
疑うライナスだったが、トーマスもフィオナも純粋に疑問に思っているようだ。
なぜ、と問われてもエリオットは、知らないよ、バカ!と叫んでどこかへ行ってしまった。

30 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:21:31 ID:???
「やれやれ……」
ライナスはため息をつくとフィオナの頭をいつものようになでた。
フィオナは自室で正餐会のためのドレスに着替えている。はりきって歌の練習にも励んでいた。
「歌えるじゃありませんか、お上手ですよ」
アニーは彼女を着替えさせながらそう言う。そしてバターミルクや練乳、砂糖でできた
病人のための飲み物、クミスを持ってくる。
「これなあに、牛乳の臭いがする……」
「クミスです、元気になりたけりゃ全部お飲みなさい」
変な味…、と言いながらもアニーはフィオナに言われクミスを全て飲み干す。
「さ!できました。まあかわいい!」
鏡の向こうに映るフィオナは可愛らしい淡い黄色のドレスを着て、頭にも薔薇の飾りをつけている。
まるで、お話に出てくるような伯爵令嬢そのものだ。
「あの、似、似合わないと思うの……」
もじもじとしながらアニーに言うが、反対に叱られてしまう。
「お嬢様はただでさえトロいんですから!外見でごまかすしかないでしょう!!」
着替えたフィオナを見て、トーマスはもうそんな時間なのかと驚いている。
彼もまた、フィオナと同じように正餐会が不安な様だった。
「僕、緊張すると真っ白になっちゃうんだ。テーブルマナーですら
頭から抜けちゃいそうだよ。あ〜ど〜しよ〜」
「メシなんざ、美味そうに食えばいいんだよ」
トーマスの話に私も、とフィオナが相槌をうっていると背後からそう声がかかった。
振り向いた二人が見たのは、グレゴリーに似てはいるが見知らぬ男。
しばし考えた二人が出した答えは、あなたはアルバートお兄さん? というものだった。
「何言ってんだ。アイザックじゃないか」
「えええっ!」
呆れたように言うエリオットの言葉に二人は声をあげて驚いた。
「ひ、ひげはどうしたの?」
「品が無いとか不精たらしいとか、婆さん連中に不評なんでな」
いつもの髭面から髭を落とすと彼はずっと若く見え、おまけにグレゴリーにそっくりだった。

31 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:22:54 ID:???
「今回はお前らの事もあるし大人しくしとくわ。ま、あとは自分らでうまくやんな」
「ありがとう兄さん!」
アイザックはフィオナ達三人のために、身の回りを整えてくれたのだ。その気遣いが嬉しかった。
「ようし、僕兄さんの期待に応えられるよう頑張るよ!」
「わたしも!」
着替えてくるから後でね、とトーマスはエリオットと共に部屋に向かう。
アイザックは何の気なしに窓の外を見ていたが、屋敷に彼らの伯母モルゴースの馬車が
到着したのを見つけてしまった。女中頭のマージがモルゴースの馬車に駆け寄る。
「まあ…お嬢様、お帰りなさいませ!!」
喜びもあらわにそう声をかけた。
「道中お疲れでしょう、すぐにお茶をお持ちしましょうね。
お嬢様のお部屋はちゃあんと暖めてありますよ」
「ありがとう、マージ……」
アイザックはそれを黙ってみていたが、苦々しげに呟く。
「まだ七時間前だぞ……早すぎるだろ」
そしてフィオナの方を見て真面目な顔をして言う。
「いいか嬢ちゃん。余計な因縁つけられる前に真っ直ぐ食堂へ行け。顔をあわせるな」
「え……」
戸惑うフィオナに、解ったか、とアイザックはくり返す。
そう言うなりアイザックはくるりと背中を向けて立ち去ってしまう。
馬車から降りてくるモルゴースを、フィオナは窓に手をつけながら見つめていた。
いつのまにか、その背後にスタンリーが現れる。彼女はモルゴースの姿を見て口を開いた。
――――――ッ!!
突然の叫びにフィオナは驚いて振り返る。スタンリーだけではない。キングも、ロウランドも
レイチェルも叫んでいる。その叫びを体で感じながらフィオナはうろたえて辺りを見回す。
(何……、どうしたっていうの)
慟哭。怨嗟。声。声。声。亡霊達が喉をのけぞらせて声をしぼりだしている。
「や……」
(やめて!)

32 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:23:25 ID:???
その声は周りに怒りと苦痛を轟かせている。痛い、痛い、痛い、痛い……!!
それに気づいているのかいないのか、モルゴースの暗い瞳が、フィオナの瞳を……。
「お嬢様」
フィオナの肩に手を置いてそう彼女を呼んだのはアニーだった。
その声に振り向いたときには、女達は誰も居なくなっていた。
「どうかなさったんですか」
「……な、何も……」
怪訝そうな顔をしながらも、アニーはフィオナに伝えるべき事を伝えた。
「ウィリアム様が、お嬢様をお呼びだそうです。ですがその……、場所が……」
「南館……屋上?」
キングが、身を投げた場所。
「どうして……? だって……」
―― もう二度と、ひとりでここへ来てはいけない。
ウィリアムは確かにそう言った。フィオナは思わず頬を押さえて考え込んでしまう。
「私も人づてに伺いましたので、詳しい事は存じませんの……。
何でしたら、私が代わりに承って参ります」
だが、フィオナはアニーの言葉にも反応せず、思いつめた様子を見せた。
「お嬢様?」
「アニー、アニー」
そして彼女の傍に来て、瞳をつぶるとアニーにある事を頼んだ。
「今すぐぎゅっとして。お願いお願い」
(こわい)
「はあ」
どういう事か良く分かっていない顔をしながらも、アニーは彼女を強く抱きしめる。
アニーの胸に顔をうずめながらフィオナは決意した。
「私、行く!」
(ウィリアムお兄さんなら何かを知ってる、きっと……)
暗い階段を上りながらフィオナは屋上へと向かう。子供の手には固い引き戸を
力をこめてぐぐ、と少しずつ開いた。闇の中に光がさしていく。

33 :Honey Rose:2005/08/01(月) 20:23:58 ID:???
その時、ウィリアムは自室にいた。彼の前に小さな女の子、アリスが現れている。
アリスはどこかを、その小さな指で指差した。彼女が指差すその場所は。
「ライナス・キングを呼びなさい」
彼らしくもなく慌てた様子でウィリアムは部屋を飛び出し、周りの使用人たちにそう伝える。
「ライナス」
ウィリアムは自身でも、異母弟の名を呼びまわった。
そして南館屋上ではフィオナが思わぬ人物を前に、驚いた顔でその人物を見上げていた。
彼女の額に押し付けられる銃口。
「ロンドンへ帰れ」
その拳銃の引き金には指がしっかりとかかり、今にも引かれようとしていた。

―― 『Honey Rose』第六話 完。

34 :サバス・カフェ:2005/08/01(月) 22:13:25 ID:???
聖ジョージ・インターナショナルスクールに転校してきたシカゴ帰りの四布木大(よのぎ・だい)。
彼はいつも人から距離を置いていた。しかしひょんな事からクラスメイとのデリィの家に遊びに行く事になり、
そのお返しとして家にスクールメイトを呼ぶ羽目になってしまった。メンバーは4名。
デリィ    8年生(中2)。大と同学年。金髪の美男子。
ジェニー  大と同学年。おしゃべりな白人の少女。
マーティ  大と同学年。手先が器用な黒人の少年。
ホーマー  10年生(高1)。巨漢のフットボール選手。女の子が苦手と言いつつ惚れっぽい。
マイク    大と同学年。カメラ好き。影が薄い。
好んで一人でいるくせに賑やかに騒ぐ連中をいつも辛そうに見ている大を、
どんな家庭で育ったのかとデリィは思っていたが、大の両親はごく普通の日本人だ。
優しくもてなされ「ひねくれてるのはあいつだけか」とつぶやきながら帰るデリィ。
彼らが出ていった後に、大は先ほどまで両親を演じてもらっていた男女に金を渡す。
二人は大が雇った なんでも屋だった。二人も帰った後、大はパソコンに向かい、
ケン≠ニいう人物とパソコンを通じて会話をする。
『大 君のつくったソフトにまた買い手がついたぞ。
 なんと今度はJ・K社だ!最初の契約として50ドルだ!』
『まかせたよ。僕はもう十分持っている。後はケンが使うといい』
大はパソコンの前で、はじめて笑顔を見せた。

その日マーティは涙を浮かべながら登校してきた。
父親が、彼のつくったパペットを全て捨ててしまったのだという。
「マーティのパペットは映画に出せそうなぐらい上手なのよ。
 専門の学校に行って勉強すればプロだって夢じゃないわ。
 でも、マーティのパパは彼に別な将来を期待しているみたい」
ジェニーの説明を聞きながら大は思う。
どんな気がするものだろう。自分の望むもののために争うというのは

その夜、大は夢に見た。幼き日に「土曜日に迎えに来る」と言ったまま消えた人の事を。

35 :サバス・カフェ 2:2005/08/01(月) 22:17:44 ID:???
夢のせいで遅刻した大はバスに乗り遅れ、雨の中自転車で登校した。
マーティはゴミ置場からパペットを発見できたとの事で昨日とは一変笑顔だ。
パペットと一緒に捨てられたサバス・チャイルド≠ニいうアメリカで大人気の
ゲームソフトも見つかった。そのゲームは貴重品で、皆がうらやましがった。
まずはじめに六つの扉を選ぶ。そこから進んでキィ・ワードを拾いながら
サバス・チャイルドを見つけるという趣旨のゲームだ。

笑顔のマーティの一方で、デリィは不機嫌だ。友人思いの彼は
昨日マーティの父親を説得しに言ったのだが、相手にもされなかっのだ。
大事な物を守ろうと必死なマーティを冷めた目で見る大に苛立ち、
デリィは半ば八つ当たりで大と言い争い、その末に大を殴った。
家に帰ってから大はケンとの会話のためまたパソコンに向かう。
『ケン サバス・チャイルドのソフトをいくつか送ってくれないか?』
『作った本人の頼みだからきっと会社はいくらでも用意するぞ』

雨の中自転車に乗ったせいか、大は熱を出し三日も学校を休んだ。
俺が殴ったせいか、と心配したデリィとマーティが見舞いに来た。
大の熱はかなり高く、病人を置いて親はどこに行ったんだとデリィは怒る。
「大…この間僕たちがあったのは君の本当の両親?
 僕は人の顔の形や造りに興味があって――
 あの人は君と似ているところが一つもなかった」
マーティの問いに、熱に浮かされながら大は言う。
「父親はいない。肉親は母さんだけで、彼女ももう死んだ。
 あの人たちはお金を出して芝居をしてもらっただけだ」
「じゃあお前一人で暮らしているのか?」驚くデリィ。
「一人は気にならないんだ。ずっとそうしてきたから。
 ただ不便なのはこの事が知られたら 13歳で保護者がいない事が知られたら…
 僕はここにいられなくなる。ほんとに…平気なんだ。一人で生きてくコツは知ってる」
そう一気に言うと大は眠りに落ちた。目覚めると、マーティからの置手紙が残されていた。
それには大への心配が書かれていた。手紙の横にはマーティのつくったパペットが残されていた。
パペットの仕掛けを面白がり大は思わず爆笑した。
ケン 自分の事を話したのは熱のせいだけではないような気がするよ=@続く

36 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 23:05:32 ID:???
>サバス・カフェ
なんだかおもしろそう。がんばれ。

37 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 23:32:39 ID:???
はにろ乙です
いつも楽しみに読んでます

38 :マロン名無しさん:2005/08/01(月) 23:47:30 ID:???
はにろ乙!あと3話ですね。楽しみです。
続きが待ち遠しい

39 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 01:15:50 ID:???
サバス・カフェをリクエストした者です。
書き手さんが登場してくださって嬉しいです。
続きを楽しみにしています。

40 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 04:27:48 ID:???
インターナショナルスクールとはなんぞや?

41 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 05:13:25 ID:???
面白そうなスレですね。
実家に未解決リストの作品がいくつかあるので、盆に帰省したら参加できるかも。

一話完結のコメディものは、ひとつひとつ説明するのではなく
キャラクターと設定、根本のストーリーだけでいいんですよね?

42 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 07:20:53 ID:???
>>41
いいんです。どんどん書いてくださいな。

43 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 09:31:13 ID:???
>>41
一話完結ものでも、個人的には何個かは書いて欲しい

44 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 11:14:41 ID:???
>>41
リク主から特に注文がなければ、好きなように書いていいじゃないかな。
とりあえずひとつ書いてみて投下して様子見るってのもありか。
新しい書き手さん、大歓迎です。

45 :マロン名無しさん:2005/08/02(火) 22:21:34 ID:???
サバスカフェ乙です。
なんか面白そう。続きワクワク(・∀・)

今夜はドラもはにろも
天禁とかも投下ないのかな???
チョト残念だけどワクワクテカテカ待つとしよう。

46 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:45:42 ID:???
サバス・カフェ面白そうですね。続き楽しみ。

>>40
インターナショナルスクールってのは、確か色んな国の子が一緒になって
英語で授業を受ける学校だった気がする。日本だったら、日本に住んでる外国の子とかが
通ってたはず(英語力つけたい日本のことかも通うけど)。
海外に住んでる日本人の子とかもその国のインターナショナルスクールに通ったりとか。
間違ってたらごめんなさい。

ではでは、はにろ第七話投下。

47 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:46:20 ID:???
南館屋上でフィオナは、銃口の冷たさを額に感じながら体をこわばらせていた。
「今なら黙って見逃そう。選べ。裏に用意してある馬車で今すぐロンドンに
帰るか。ここから身を投げて五人目の女となるか」
夕陽を背にフィオナにそう言ったのは、ロレンスだった。
「心配するな。田舎娘が貴族社会に怖じ気づいて逃げ出すのは不自然じゃない。
身投げなら『嗚呼、五人目の女か』、それで納得する。お前がおかしいのは、皆知ってる」
そう言ってロレンスはフィオナに拳銃をつきつけ続ける。
「い……今の私は……、お兄さんの望むような理想的な妹には程遠いのでしょうけれど。
今日だけ、あと少しだけ。もし、認めてもらえなくても後悔したくないの。お願いです」
フィオナは震えながらロレンスに言った。
「駄目だ。正餐会に出席させるわけにいかない」
「ずっと勉強を教えてくれたライナス兄さんに褒めてもらいたいの。がっかりさせたくないの」
フィオナの口から出たライナスの名に、ロレンスは叫ぶ。
「俺の知っているライナス・キングは誰も愛さない。必要としない。関心を持たない!
……全てはまやかしだ。魔法は解けた。夢は終わりだ。
灰にまみれたぼろをまとって七つ辻にさあ、帰れ!!」
あざ笑うロレンスの言葉にフィオナは目を見開く。灰色?
「どうして灰色だって知ってるの。ぼろを着た私を、どこで……。いつ見たの!?」
「フィオナ?」
彼女の声が聞こえたのか、コツコツと屋上の扉を叩きながら
ライナスが彼女の名を呼んだ。
「外から鍵が……」
ライナスと共に屋上へと向かったアニーが扉に触れて呟く。
「そこに居るなら返事をしなさい、フィオナ」
「…………っ」
ライナスの言葉にフィオナは必死に助けを求めようとした。
だがロレンスに口を塞がれ、追い詰められた。
「さあ選べ!」

48 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:46:56 ID:???
開かないドアに業を煮やしたアニーがスカートをたくし上げる。
その下には、スカートを膨らませるためのクリノリン。
そしてアニーはクリノリンに仕込んだ拳銃を取り出した。
大きく、破壊力のあるものだ。
「年頃の女の子がそんな……」
思わずライナスが呟いた。拳銃の事か、ガーターベルトを巻いた太ももが見えるほど
スカートをたくし上げた事か。
「御免くださいまし」
アニーは言うなり銃で扉の鍵を撃つ。何度も何度も、狙いを定めて撃った。
「『我が身の果てはただ絶望のみ……』」
芝居の台詞をそらんじながらロレンスはフィオナの頭に銃口をぐい、と押し付けた。
間近に迫る死の恐怖に震えるフィオナ。
その瞬間だった。激しい音を立てて扉が開く。銃で鍵を壊したアニーが扉を蹴破ったのだ。
「ち……!」
思わず舌打ちをするロレンスに、アニーとライナスが揃って銃を向けた。
「弟を撃てるのか」
「口実次第」
キングの血を引く兄と弟が厳しい表情で向かい合う。
「正直になれよ」
そう言うとロレンスは傍らのフィオナの髪の毛を引き掴み、いらだたしげに叫んだ。
「アーサー・ロウランドがもっとも愛した女は、誇り高きキングでなければならない。
たかが女中のロザリンドなどではあってはならない。ましてやその娘がロウランドを名乗るなど!」
弟の叫びに対して、兄は静かに語った。
「私は母が愛した男の代弁人になる。それが私の選んだ贖罪。
その子を迎えることが、父の望みなら」
穏やかだが、強い瞳でライナスは言う。
「親父の子じゃなくてもか」
ロレンスは衝撃的な言葉を口にした。

49 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:47:39 ID:???
「……親父が俺だけに話したことがある。誰も知らない。あの親父が唯一手に入れ損ねた女、
それがローズ・ロザリンドだ。つまり、こいつの父親はアーサー・ロウランドじゃない」
フィオナはロレンスに髪を掴まれ、うなだれながらその言葉を聞いた。信じがたい言葉に顔色を変える。
「俺たちとは何の繋がりもない、他の男の言葉なんだ」
「……アルバートがそんなミスを。いや……、あのウィリアムが見逃すとは思えない。
頭を冷やせ、ロウ。お前はいつも感情に囚われて蛇の声を聴く」
ライナスはロレンスの言葉を信じない。そしてロレンスをそう言って諭した。
「兄ちゃんはいつもそうだ。いつも……、いつも!!」
ライナスの言葉にロレンスは唇を噛んだ。しばらく彼らの様子を見ていたアニーは
片眉をあげながらロレンスに銃を向け、ガチリと音を立てて撃鉄を引いた。
「兄弟喧嘩ならよそでやってくださいまし」
「!! 止め……」
思わずライナスがロレンスをかばい、アニーの銃を掴んで向きを変えさせた。
その隙をつき、ロレンスがフィオナを突き飛ばす。足が宙に浮き、踏みとどまれないフィオナ。
屋上の柵はフィオナの腰の辺りだ。フィオナの首に手をかけ、彼女のこめかみに銃口を向けるロレンス。
フィオナは声なき声で叫んだ。
「…………っ」
「お嬢様っ」
アニーが叫び、銃をロレンスに向ける。ライナスもまた、必死にロレンスを止めようと銃を向けた。
ロレンスがフィオナにつきつけた銃の引き金に、力をこめた。
響き渡る一発の銃声。
次の瞬間うずくまり、苦痛の声をあげたのはロレンスだった。フィオナは倒れてはいるが無事だ。
そしてロレンスを撃った人物は屋上の、壊れた扉の前で今だ煙の出ている銃を彼に向けていた。
ウィリアムだった。
撃たれたロレンスは、うめき声をあげながらも目の前の銃になおも手を伸ばしている。
「ロウ!!」
叫ぶライナス。だが、ウィリアムが銃を取ろうとしていたロレンスの頭に拳銃をつきつけた。
アニーはそれを、倒れたフィオナを抱きおこしながら厳しい表情で見つめる。
ウィリアムはロレンスに向かい、静かに言った。

50 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:48:09 ID:???
「くだらない……。嫉妬の感情だけが動機だと? 報酬があったから行動に移したのではないのか。
君に利益を約束したのは誰だ。ロレンス・キング、言いなさい。……これ以上、ライナス・キングに
恥をかかせるつもりかね?」
その言葉にロレンスは顔をゆがめる。
「汚ね……」
「私は確認したいだけだ。君が口にできないのなら私が言おう」
ライナスは困惑してウィリアムとロレンスを見つめている。そして思わず眉をひそめた。
「!!」
ロレンスは自身の頭を撃ち抜こうと銃を向けた。
だが、一瞬の差でアニーの撃った弾がロレンスを止めた。すかさずウィリアムがロレンスの横面を
殴打して昏倒させる。そこにライナスが飛び出してロレンスの体を抱きとめた。
「弟の躾を怠るからこのようなことになる」
眼鏡を直しながらそう言うウィリアムの言葉に、ライナスはただ謝るばかりだ。
「僭越ですが、ライナス様を責めるのは筋違いじゃございません?」
「庶子の問題は庶子の最年長である彼の責任だ」
ライナスはその言葉にもただ、うつむいていた。フィオナはその言葉に目を見開いた。
「……だから、私たちの面倒を見てくれたの?」
フィオナは思わずそう、ライナスに尋ねる。だがライナスは答えない。
気絶したロレンスを抱きしめたまま、振り向いてさえくれない。
(ほかの男の子供)
絶望的な言葉が思い出される。ロウランド以外の。ロザリンドの……。
(知りたかったのは、こんなことじゃないわ)
「私、いちども……お母さんからロウランドの名前を聞いたことがない。
お父さんに会ったことがない。顔も知らない、本当に……、私は伯爵様の子供なの?」
「フィオナ、何を馬鹿なことを」
ライナスにそう言われてもフィオナの疑問は止まらない。
「わたしは、誰ですか」
本当のことを教えてほしいと、フィオナは訴えた。

51 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:49:12 ID:???
「私は賢くないけれど、ほんとうの兄妹でもないのなら。伯爵様の子供でもないのなら」
思わずフィオナは立ち上がる。その胸にともる光は彼女自身の矜持だ。
「ご厚意だけで、あつかましく居座り続けられるほどの恥知らずじゃありません」
だがウィリアムは何も言わず、ただ懐から時計を取り出すとそれを眺めた。
「七時まであと五分もない。正餐会に出る準備をしなさい」
「出て……いいんですか。だって……」
「伯爵の意思がここでは絶対だと、前にも言ったはずだ」
「無茶です!」
そこでライナスが二人の元へ飛んできて叫んだ。
「狙われているのはフィオナですよ。正餐会に出たらどうなるかわからない。
ロウの後ろにいる者が誰かも」
「知りたくないのか?」
そのウィリアムの言葉にライナスの瞳に怒気が閃く。
「あなたは………!」
目の前の異母兄に対してライナスは叫んだ。
「フィオナは駒じゃない! あなたのような人間とは違う。
普通の、ちいさな女の子です!」
ライナスはそう言うと、フィオナの方へと向き直りその肩をつかんだ。
「フィオナ、荷物をまとめなさい。身の安全が保証されるまでこの家から離れよう。
大丈夫、落ち着けるまでは私が面倒をみます」
そう言い聞かせるが、フィオナは首を振る。
「正餐会は一族を名乗る許可を得るだけのもの。次の機会を待てばいい!」
だがフィオナはライナスの腕をつかむと、はっきりと言った。
「正餐会に出ます」
「……先に降りる。時間に遅れないよう来なさい」
ウィリアムは下に降りる階段の入り口に手をかけると、フィオナにそう伝えた。
そしてそのまま降りようとして、ふと立ち止まる。おもむろにフィオナを振り返り、聞いた。
「私を信じるか」
「はい」
フィオナの答えはただその一言だった。

52 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:50:36 ID:???
「……わかった」
ライナスは力なくそう呟くと、いつものようにフィオナの頭を撫でようと手を伸ばした。
だがフィオナは頭上にあげられた手に、びくりと身を震わせる。その姿にショックを受けるライナス。
「行ってください。ロレンスの手当てをしてから人目につかないように降りたい」
ライナスはそれだけ言った。そしてアニーと共に階段を下っていくフィオナを見送っていたが
彼女の背中に向かって声をかけた。
「フィオナ、何かあれば助けを求めなさい。私は君を助けるためにここにいる」
「……義務、だからですか」
フィオナは、ライナスの言葉にさみしげに呟く。だがその問いに対するライナスの答えは簡潔だった。
「兄妹だからだ」
西日を背に立ってそう答えた、彼の表情は逆光で見えない。
「自分の母が、一番愛された女であってほしい。他の女から生まれた子供を拒絶したい。
弟の気持ちを私には否定できない。だから、私は自分を騙す術を覚えた。
偽りも重ねれば、いつか真実と錯覚する。……君が、私を兄と慕ってくれたから」
フィオナはその言葉に、思わずライナスの方へ振り向いた。
「俺は君を妹だと思えた」
夕陽の眩しさと、階段の暗がりに慣れたフィオナの目がライナスの顔を映した。
さみしげな、切ない微笑みを浮かべた彼の顔を。
「………」
「いきましょう」
アニーに連れられてフィオナは屋敷の中を走っていた。
「まあ……、どうなすったんですか」
女中頭のマージに後ろから声をかけられ、どきりとするフィオナ。
だが傍らのアニーが心配ない、何でもないとマージをごまかした。
「急ぎましょう、お嬢様。時間がありませんわ。旧館のクローゼットなら
正餐会の準備で誰も居ないはずです。そこで替えのドレスを見繕って着替えましょう」
「うん。……ごめんねアニー。せっかくきれいに結ってくれたのに」
薔薇の髪飾りをつけて綺麗に結い上げたフィオナの髪は、先ほどの騒動で
飾りも取れ、すっかりほどけてしまっていた。

53 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:52:48 ID:???
「髪よりドレスです。出席者は老人ばかりというからわざわざ年代物を
仕立て直しましたのに。よくもあのドラ息子」
「ド……」
アニーの言い方に思わずフィオナは目を点にする。
そしてフィオナはアニーに手を引かれながら旧館へと向かっていたが、
そのアニーに明るい笑顔を見せると言った。
「あのねアニー…、助けに来てくれてありがとう」
フィオナの言葉にアニーは答えず、浮かべた笑みをただ深くした。
その時、トーマスはエリオットに、正餐会に出ないかと再び声をかけていた。
「亀のスープだよ?」
「めずらしかない。僕出ない」
だがエリオットは頑なに言い張る。トーマスはうーん、と呟くと彼に言った。
「もしほんとにこの家に居たくないのならさ。
正餐会に出てちゃんと伯爵にそう言うべきじゃないかなあ」
そう言うとトーマスは、アニーに連れられ傍らを駆けていくフィオナを見て、声をかけた。
「あれぇ? どうしたの? お花、可愛かったのに」
「あの……転んじゃったの」
「えっ、大丈夫?」
トーマスは心配そうだ。
「ん……私、着替えてくるから」
「じゃあ僕たち、先に食堂で待ってるね。ちょっと遅れても僕が説明しておくから大丈夫だよ」
トーマスは少しも疑問に思わないようで、笑顔でフィオナにそう言った。
だが、勘の良いエリオットは何かがおかしい、と直感的に感じたようだった。
走り去るフィオナとアニー。
影。影。廊下に映った二つの影が、影絵のように過ぎ去っていく。
フィオナはアニーに手を引かれながら妙な息苦しさを感じていた。
「………アニー」
目の前の侍女の名を呼ぶが、彼女は構わずフィオナを引っ張っていく。
「私ね……、セブンダイアルズで育ちましたの」

54 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:53:18 ID:???
アニーは突然そんな事を言い始めた。
「だから……」
(痛い…、体に力が入らない……)
フィオナは体中に走る痛みと脱力感に思わずその場にしゃがみ込んだ。
そんなフィオナをアニーは見下ろすと静かに言った。
「あら、やっとですの。お嬢様ったら本当にお丈夫。効きが悪くて難儀しましたわ」
フィオナはアニーに腕を引かれ、無理やりに立たされる。だが、抵抗する力すらない。
「お嬢様のお気持ちは解らなくもないんです。でも引き際を間違えましたわね」
アニーはフィオナを引きずりながら旧館の扉を開ける。
誰もいない、見捨てられたような館の扉を。
その扉が開く音を聞き、何者かが館の中の一室で目の前に置かれた銃を愛おしげに撫でた。
「なぜこのロウランドにひとりも女の姉妹がいないのか、不思議に思ったことは?」
館の中で、暗い部屋へとフィオナを引きずりいれながらアニーはフィオナに聞いた。
そしてアニーはその答えをフィオナへと教えた。恐ろしい答えを。
「産まれなかったんじゃない。間引かれていたからですわ。この館で産まれた女の子は全て。
アーサー・ロウランドの血を引くかもしれない。理由はそれだけ」
アニーの顔が暗がりにとけこんでいく。
「マージ様ならもっとご存知でしょうけど。……私は偶然息を吹き返したんですってよ。
だから、女中だった母は赤子の私を抱いて人知れず逃げ出した。誰ひとり私の存在を知らない」
そう言うとアニーは部屋の奥にある、両開きの扉へと向かった。そして扉の片側へと掴んだ
フィオナの腕を押し付ける。アニーの右手には、にぶく光るナイフが握られていた。
「でもそれでいいんですの。こんな狂った家など私から願い下げ」
アニーはナイフをフィオナの腕の、ドレスの袖へと勢い良く突き立てる。
「私の願いはただ一つ」
廊下から何か音がする。カツン、カツン、と幾度も乾いた、固い音が聞こえてくる。
「奥様はご自分の手で……お望みですの」
音が止まるとフィオナがいる扉の、反対側の扉が開いた。何者かが部屋に入ってくる。
闇にまぎれてその姿は影のよう。その手にはそこだけはっきりと分かる、握られた大振りの銃。
細く、大きな影がフィオナの見開いた瞳に映る。

55 :Honey Rose:2005/08/03(水) 18:53:54 ID:???
カツーン。
靴の踵が床を打つ、その音が部屋の中に響いた。
カツーン。カツーン。
禍々しく響きながら、音はどんどんフィオナへと近づいてくる。
「う、う……」
フィオナは必死に逃げようと身をよじる。だが力の入らない手では繋ぎとめられた
ナイフからどうしても逃れることが出来ない。アニーはそんなフィオナの姿を眺めながら
微笑みを浮かべると、部屋から出ていってしまった。
「…………!!」
カツーン。
音がひときわ高く響く。フィオナはおびえ、震えると、力の入らない手で
必死に壁を叩いてアニーの名を呼んだ。
「……ア、ニー。……ニー、アニー、アニー、アニー……」
扉の向こうでアニーは、フィオナの声を心地よく浴びるように聞いていた。
微笑んで扉に優しく手を触れると、そっと扉に口付けた。
そしてフィオナに最後の言葉を贈る。
「さよなら、私の……可愛いフィオナ」

―― 『Honey Rose』第七話 完。

56 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 19:50:17 ID:???
はにろ乙です!
恐いけど楽しみ!

57 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 20:32:45 ID:???
なんで男ばっかりと思ったらちゃんと理由があったんですか。
続きが気になります

58 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 20:48:17 ID:???
はにろ乙です。待ってました!
続き気になります。

59 :サバス・カフェ 3:2005/08/03(水) 21:23:35 ID:???
子供が一人だけで暮らすなんてさぞかし金に困っているだろうと気遣うデリィは、
別にいいよと断る大に無理矢理食べ物をおごるようになった。
困りながらも、自分を思うデリィの優しさに大は喜びを感じた。
九月から一年生になる、デリィの年の離れた妹のスウは大を
「マイ・スイート・ハート」と呼び、大に始終くっつくようになった。
ある日、デリィとマーティの話を盗み聞きしたホーマーによって
ジェニーとマイクにも大が一人暮しである事がばれてしまう。
皆は飲食物を持って大の家に集まった。
その時、シカゴから送られてきた大量の『サバス・チャイルド』が見つかった。
知り合いがゲーム会社に勤めているからもらったんだ、と嘘をつき
皆にゲームを渡す大。デリィは売って生活費にしろと騒ぐ。
「僕の叔父さんも勤めているけど、一個回すのが精一杯だって言ってたよ。
 叔父さんは、このゲームの製作者が僕と同い年の少年だって言ってた。
 社内でも知るのは一部の人間だけだって、笑いながらの話で…
 てっきり冗談だと思ってた――」大は自分がその製作者だと認めた。
大ヒットしたゲームの作者なら、金に困る事もない。
皆は口々にすごいと言い、「おごるんじゃなかったよ」とデリィはつぶやく。
ケン 僕はお金があったて欲しいものなんてなにもない
  でも おごってもらったハンバーガーやアイスが
  どれだけ美味しかったか どう言ったらわかってもらえるだろう 
大が居心地の悪さを感じていたら、ドアを激しく叩く音がした。
現れたのはスウだ。スウは大にクッキーをわたした。
「一つ確かめてもいいかしら。
 わたしって大の第1ガールフレンドよね?
 一番ってとってもたいせつなものなのよ」
スウのませた発言に皆が笑みをこぼし、場に明るい雰囲気が戻った。
ケン 僕にガールフレンドができたよ

もうすぐ夏休み。最後のテストでは皆成績が上がっていた。
何かと理由をつけては大の家に集まり、しょっちゅう勉強会を開いていたからだろう。
大はかなりいい点数を取った。前の学校でもさぞかし優等生だったのだろうと
うらやましそうに言うジェニーに、大は何も言わず顔をうつむけた。

60 :サバス・カフェ 4:2005/08/03(水) 21:26:52 ID:???
半ば無理矢理、アメリカンロックバンドのコンサートに連れていかれた大。
そのバンドのスタッフの中には、アメリカにいた頃に何度か顔を合わせた人物がいた。
「お前 字くらいは読めるようになったか? 学校に行ってないから読み書きが出来なくて…」
そこまで行ったところで彼は仲間に呼ばれて場を離れた。
ジェニーたちは先に会場に入っていた。聞いたのはデリィだけだ。
大は悲しみを隠すように笑いながらデリィに説明する。
「僕は日本に来るまで学校に行った事がないんだ。
 母の友人・知り合い、色んなところを転々として…
 4,5日から長くても1ヶ月、学校なんて行けるわけなかったから…
 こんなところで昔の僕を知ってる人に出会うとは思わなかったよ」
浮かない気分の大とデリィはコンサートを楽しむ事が出来なかった。

学校に行った事のなかった大が勉強を教わったのは、
最後に自分をあずかってくれたケンだという。
「読み書きどころかほとんどなにも知らない僕に毎日根気よく教えてくれた。
 いつも朝になると枕もとに教科書が積み重なってて、僕の一日はそれを読むことから始まるんだ」
一度に何年分もの知識を詰め込むなんてすごい、苦にならなかったのかとデリィは訊く。
「買い物を頼まれてもリストに書かれている事がわからない。
 おつりをごまかされている事すら気づけない。そんな経験君はないだろーね。
 昔 僕は空気みたいになりたかった。誰の邪魔にもならない空気のような存在。
 だけど毎日夢中になって本を読んでいるうちにそんな事は忘れた。
 実際そんな事考えてる暇はなかったものね。だから 僕は本当に楽しかったんだ」


夏休みがはじまり、大は自転車で旅に出る事にした。
「夜になると遠くで波の音が聞こえてくるの」
「長い坂道を下ると、向こうにキラキラまぶしいくらいに輝く海が見えた」
幼い大に幾度もそう語った母の生まれた場所を探すために。

続く

61 :サバス・カフェ 4:2005/08/03(水) 21:31:24 ID:???
>>46
説明ありがとうございます。
作中で詳しい説明はないので自分もよくわかってませんが、
それであっていると思います。

>>34の三行目、5名と書くべきだったところを4名と書いていました。
まとめサイトに載せる時に修正をお願いします。
投稿する直前までマイクの存在を忘れていたのでそのなごりです。

62 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 21:31:41 ID:???
はにろ乙です。
>「俺たちとは何の繋がりもない、他の男の言葉なんだ」
言葉?
子供、の間違いでしょうか?

63 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 21:32:55 ID:???
はにろ乙!
い、いったいこの先どうなっちまうんだぁ!!
続き楽しみだなー。

サバス乙!
大くん、なんか可愛いな。

64 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 21:41:05 ID:???
サバスカフェって谷地恵美子の本だったのか。
この人の「ヴィシャスのなんたら」という本を昔読んだ事があるが、
少年がヤクザの要人を殺しかける→ヤクザに原型を留めないぐらいボコられる→
逮捕→刑務所内でヤクザに手を回された男たちに掘られる→首吊り自殺
というえらく暗い話だったから、あんなのを書く人が友情がメインっぽい話も書いてたのかと思うとびっくりだ。

65 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 21:41:45 ID:???
>>62
ライナスはアーサーの代弁者だからそれで良いんじゃないか

66 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 21:44:21 ID:???
宮城とおこの「白桜の園」
TONOの「犬童医院繁盛記」お願いします。

67 :マロン名無しさん:2005/08/03(水) 23:49:27 ID:???
サバス乙です。おもしろい。

68 :マロン名無しさん:2005/08/04(木) 06:48:48 ID:???
はにろ、サバス・カフェ、乙です。

はにろ 続きがとても楽しみです。どうなるのかな。
サバス 雑誌掲載の頃、楽しみにしてました。懐かしい話に再会できて嬉しいな。


69 :はにろ投下者:2005/08/04(木) 08:54:50 ID:???
ちょっとこれだけ。

>>62
( д) ゜゜
そ、その通りです…。
打ち間違いです。うっかりしてますた_| ̄|○

という訳で
>>49
×「俺たちとは何の繋がりもない、他の男の言葉なんだ」
○「俺たちとは何の繋がりもない、他の男の子供なんだ」
です。あああ遂にやってしまった〜〜orz
まとめサイトでは直してもらえないですかね。。。

70 :マロン名無しさん:2005/08/04(木) 12:13:19 ID:???
頼めば普通に直してもらえるよ。
纏めサイトの管理人さんが気付いてくれればだけど

71 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 01:36:46 ID:???
フロイト1/2をお願い島s

72 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 02:16:32 ID:???
はじめちゃんが一番!という漫画のストーリーを教えてください。

>>71
たしか短編集の表題でもあり、短編のタイトルでもあるはず。
短編集をまるごと知りたいの?その短編だけ知りたいの?

73 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 05:50:17 ID:???
未解決リクエスト集から「.hack//黄昏の腕輪伝説」予約します。

74 :73:2005/08/05(金) 06:23:16 ID:???
書き忘れましたが、ゲームや小説とのリンクはどの程度注釈すべきでしょうか?  

75 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 08:59:27 ID:???
.hackの事だよね。>ゲームとかの注釈。

話の内容が、それを知らなきゃ分からないって事なら入れてほしいな。
でも基本的に書き手さんに委ねるよ。

入ってなくて、もしも話がつながらなかったら聞くかもしれないけど。

何にしてもガンガッテくだちい。

76 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 09:34:22 ID:???
ゲームやってない&アニメ見てない&小説読んでない俺でもわかるくらい
バリバリに詳しい注釈を希望するぜ

77 :Honey Rose:2005/08/05(金) 16:53:37 ID:???
.hackってちょっと気になってたので楽しみ。

>>70
一応まとめサイトの方でも訂正掲示板に書き込みしてきますた(・∀・)
レスどもです。

では、はにろ第八話投下です。

78 :Honey Rose:2005/08/05(金) 16:55:50 ID:???
フィオナの心に、幽霊の女達の言葉が響いていた。
(しんじてはだめ)
「アニー……アニー、アニー」
(くちにしてはだめ)
アニーが持ってきた食べ物、飲み物。クミス。
(うたがってはだめ)
兄さん、兄さん達……。
(うしなってはだめ)
影が、靴の音を響かせながらゆっくりとフィオナに近づいてくる。
早く逃げなくては。殺される。殺される。
(もう、ておくれ)
その言葉にフィオナは目を見開いた。私は、手遅れになんかならない!
フィオナはナイフに刺された袖を、力を振り絞って全身の体重をかけて引いた。
布が引き裂かれる音がして、フィオナの体が床に投げ出される。
その時食堂では、正餐会を控えて兄弟たちや招かれた客人たちが集っていた。
「あら、今度は何が見えるの?」
ロウランドの親類である老婦人たちが窓の外を眺めていたグレゴリーにそう尋ねた。
顔をこわばらせるグレゴリー。
「小さい頃から幽霊が幽霊がって、よく泣いてたのよね」
「ねえ」
その言葉にトーマスが驚きのあまり、思わずぱかりと口を開けてしまう。
普段恐い顔をしてばかりのグレゴリーが老婦人達を前にたじたじの様子だ。
「へえ、フィオナみたいだ」
「違うっ!」
わざとグレゴリーをからかうように言ったエリオットの言葉をグレゴリーが必死になって否定した。
エリオットはそんな風にして食堂で時間を過ごしていたが、ふと思い立った事があるのか席を後にした。
「どこいくの」
トーマスが慌ててそう聞くがエリオットは行き先を答えず、ただ言った。
「トムはグレッグが都合の悪い報告をしないように見張れ!」

79 :Honey Rose:2005/08/05(金) 16:56:47 ID:???
「なっ……、失敬な!」
慌てるグレゴリーに老婦人達は信用がないのね、せわしないこと、などと
思い思いの事を口にしていた。しばし騒然としたその場所に突然美しい音楽が響く。
イアンがピアノを奏で始めたのだ。
「わあ、私この曲大好き」
「素敵よねぇ」
老婦人たちも、その他の客人たちもその演奏に満足げだ。アイザックは客人のホスト役を
務めていたが、ヴォルテール兄弟の思わぬ手助けに思わず笑みを浮かべた。
そして廊下ではライナスがロレンスを背に背負って、歩いていた。
だが、突然後ろから切羽詰った様子で名を呼ばれ振り向く。
名を呼んだのは他でもない、数日の間姿を消していたヴィンセントだった。
「お前今まで……!?」
思わずそう言うライナスに、ヴィンセントは言葉を一瞬つまらせるが
必死にフィオナはどこにいるか、とライナスに尋ねた。
「フィオナならアニーと一緒に部屋へ……」
「部屋にはいないよ」
そう言ったのは食堂から出てきたエリオットだった。
言うとエリオットは窓から身を乗り出すようにして外を見て、こう続けた。
「……火薬と血の臭いだ。で? フィオナが何?」
フィオナは旧館の一室で死の恐怖と戦っていた。
今までフィオナが居た場所には既に三つの弾痕。
死の顎から一瞬の差で逃れ、フィオナは床に倒れこみながら必死に考えた。
(力が入らないだけ。重いけど体は動く。窓際へ。ガラスの割れる音で誰か……)
だがアニーはここに来る時にこう言ってはいなかったか。「誰もいない」と。
フィオナは力の入らない手を握り締め思った。誰にも気付かれずに皆こんな風に殺されたのか。
(事故? 自殺? 違うわ、狂ってなど)
首をくくったロウランド。屋上から身を投げたキング。
(どんなに辛くて寂しかっただろう)
二人だけじゃない。スタンリーや他の皆だってきっと。
(狂わされたんだ! 悲しい気持ちで追い詰められて、独りぼっちにされて!)

80 :Honey Rose:2005/08/05(金) 16:58:00 ID:???
「だめ…。こんな事、私で終わりにしなくちゃ……!」
顔を上げ、すぐ近くまでやってきた影に向かってフィオナは言う。
「……兄さんたちに言います。貴女がしてきた事を全部!」
影はフィオナを見下ろす。銃をかまえたその姿はフィオナたち兄妹の伯母モルゴース、その人だった。
「お父さんの事を大切に思うなら、何故お父さんが愛した人たちを傷つけたの?」
「アーサーがあんな低俗な女たちを愛する筈がありませんよ」
モルゴースはきっぱりと言うと、銃の引き金に再び手をかける。
「認めたくないんですね…。お父さんの好きなもの全部とりあげて
お父さんを独り占めできましたか? お父さんは……」
パァン!
鋭い音を立ててフィオナの耳元を弾がかすめた。思わず震え上がるフィオナ。
「お前の父親はアーサーじゃないわ。灰色の髪の陰気な男!
半年早く辞めていった同僚の侍従よ!」
モルゴースがいらだたしげに叫んだ。
(ほかの男の子供)
浮かび上がった言葉を必死にフィオナは否定する。
「う、嘘です!」
「生まれを詐称してまんまと上がりこんだ薄汚いドブネズミ!
お前の正体を知れば気高いあの子たちはどう思うかしらね!」
「嘘です、私信じません!だって兄さんが」
「証拠も無しに頭のいかれた裏切り者の言葉を誰が信じるというの」
証拠。証拠などない。それに証拠になるものは今頃全て処分されてしまっているだろう。
『誰も知らない。何も残ってない』
ライナスはそう言っていた。彼ですら真実に辿りつけなかったのだ。
モルゴースは残酷に言い放った。
「このロウランドにお前の味方など一人もいませんよ!」
フィオナは恐怖と悲しみにつぶれそうになる心を必死に支え続けた。
「わ、私は……」
(お父さんはお母さんが好きで。私は大好きな人の子供で。伯爵に望まれて)

81 :Honey Rose:2005/08/05(金) 16:59:18 ID:???
ここにいてもいい、信じてもいい。
―― 正餐会に出る準備をしなさい。
ウィリアムの言葉。胸にかかる銀貨。生きていてもいい。
「ウィリアム兄さんならきっと解ってくれます」
フィオナの言葉に、暗闇の中モルゴースの目だけがぎょろりと輝く。
モルゴースはくやしげに唇をかみしめて言った。
「もう…あの子を懐柔したというの……」
そして銃を振りかざし叫んだ。
「子供だと思っていたけれどやはり悪魔の血だわ! アーサーが私に逆らうようになったのは
お前のせいね! アーサーをどこへ隠したの!?」
モルゴースの叫びには、まぎれもない狂気がひそんでいた。それにおびえ涙を浮かべるフィオナ。
その時だった。モルゴースが入ってきた扉から、かたんと音がした。誰かが来たのか。
「………アーサー?」
モルゴースは弟の名を呼ぶ。そして入ってきたその姿を見て、狂気の笑みを
はりつかせたまま言った。
「どこに隠れていたの? 探したのよ、姉さんに心配かけて悪い子ね……。
今すぐ助けてあげますからね。これでお前は昔のような素直で好い子に戻れるわ」
「父を苦しめていたのは貴女です。二人きりの姉弟だから見捨てられなかっただけだ」
闇の中からそう言ったのは死んだアーサーではなく、ウィリアムだった。
フィオナは現れたウィリアムを呆然と見つめていたが、突然背筋に寒気を感じた。
(ざわざわする……)
誰かが後ろに立っている。頭ががんがんと響く。
(耳鳴り? 誰の声? 違う……。静かすぎる。何も聞こえない)
誰なの。振り向こうとしてフィオナは気づいた。
(体が動かな……)
光をうつさぬ瞳でウィリアムはモルゴースを見つめ、言った。
「何故、私の妻と娘を殺したんですか」
彼のその顔は絶望に縁取られていた。

82 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:00:34 ID:???
「まあ……、何を言い出すのウィリアム。お前の妻子は事故で死んだのよ。
でもね私は神様に感謝しましたよ」
穏やかに言っていたモルゴースの表情が突然激しいものに変わる。
「ガヴァネスの分際で……おぞましい! 天罰ですよ、お前を裏切ってほかの男の……」
「あれは私の娘です」
はっきりとした言葉でウィリアムは言った。
そう言うとウィリアムはフィオナを見た。モルゴースもウィリアムの視線の先を振り返る。
フィオナがゆっくりと身を起こしていた。だが、あげたその顔はフィオナのものではなかった。
あどけない小さな顔。ゆるく巻かれた肩までの黒い髪。小さな子供のつなぎのワンピース。
その子供は大粒の涙を流しながらウィリアムに言った。
「……ぱぱ…」
頭から血を流し、それでも必死に父親に訴えている。
「ひ……いああああ!」
モルゴースが叫び声をあげ、銃で子供の胸を撃った。
「アリス!!」
ウィリアムは悲痛な声で叫ぶと、小さなアリスに手を伸ばす。だがその手は届かない。
(ぱぱ)
のけぞりながらアリスとフィオナの姿が二重写しになる。倒れこむフィオナ。
だがアリスは倒れることはなく、その場に立ち上がると泣きながらモルゴースをにらみつけた。
(二度も撃った!)
アリスの叫びに応じるように、ごぉっと音をたてて炎が燃え上がり、モルゴースを取り囲んだ。
炎につつまれた部屋はアリスが見た最後の風景。
ウィリアムは銃を取り出し、モルゴースへと向けた。そして、彼の背後には
いつのまにか彼の妻レイチェルが現れ、長い黒髪を炎の中でなびかせていた。
彼女の胸元にはぽっかりと開いた穴。
そこから赤い血が流れていく。モルゴースが小刻みに震えながらそれを見開いた瞳で眺めた。
その、モルゴースの傍らにスタンリーが現れる。
スタンリーが喉を反らせて大量の血を吐くと、床に真っ赤な血溜まりができた。
炎と血が互いの色を深めていく。

83 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:02:23 ID:???
炎から顔をかばい、思わず一歩引いたモルゴースの足が血溜まりの中にどぼりと沈んだ。
足を取られて体勢を崩した彼女が見たのは、真っ逆さまに自分へと落ちてくるキングの姿だった。
そして驚きと恐怖に見開いたモルゴースの足元から細く、白い腕が出てきた。
血溜まりからその姿を現したのは、不快気に眉をひそめたロウランド夫人。
ぐっ、とロウランド夫人は後ろからモルゴースの首をしめる。
苦しげに身をよじる彼女の頭を、落ちてきたキングの手が押さえつけた。
ギャアアアアア!
モルゴースはのけぞりながら獣のような叫び声をあげ、床へと倒れこんだ。
すかさず彼女に銃を向けるウィリアム。
「撃つな!」
突然誰かがそう叫び、部屋中の明かりが一斉についた。
「フィオナ!!」
必死に彼女の名を叫びながらライナスが部屋の中に駆け込んできた。
「ウィル!やめろ。伯母上と『同じ』になりたいか?」
そう彼を制しながら部屋の中に入ってきたのは、髭をたくわえ車椅子に腰掛けた男。
彼こそはロウランドの兄弟たちの長兄、アルバート・ロウランド伯爵だった。
彼と共に入ってきた穏やかな顔立ちの黒髪の青年は、ヴィンセントの同腹の弟、ディックだ。
部屋の中には、彼らと共にヴィンセントにロレンス、エリオットも一緒に入ってきた。
女中頭のマージが彼らの後ろからついて来て、泣きそうな表情でモルゴースを見つめている。
ウィリアムはアルバートにそう言われながらも、ぐっと引き金に力をこめた。
「ウィル、俺がやめろと言っている」
アルバートのその言葉にようやくウィリアムは銃を下げた。そしてそれを彼に渡す。
「フィオナが死んじゃった!!」
エリオットがフィオナの傍らに座り込みそう叫んだ。ライナスはフィオナを心配そうに見つめている。
彼らの傍にディックが駆け寄ると、動かさないようにと鋭く注意した。
「ディック……」
ライナスが思わず呟き、フィオナの頭をそっとなでる。フィオナは大丈夫なのか。
「……僕にできるのは応急処置までです」
そう難しい表情で言いながら、撃たれたフィオナのドレスの胸元をハサミで切り開き始めた。

84 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:03:09 ID:???
するとディックは息を飲んだ。彼女は撃たれたにも関わらず無傷だった。
代わりに胸元のロケットと、その中の銀貨がひしゃげてその姿を変えている。
胸元を自由にしたことで息が入ったのか、ひゅっとフィオナの喉がなり激しく咳き込み始めた。
「フィオナ!」
彼女の異母兄たちがフィオナの名を呼ぶ。
「まるで奇跡だ……痛みは?」
ディックの問いにフィオナは黙って首を振る。
「骨に異常はなさそうですが後でお医者に見てもらいましょう」
そう言われ、思わずフィオナは胸元の銀貨を取り出した。sそしてゆがんだそれをそっと掴む。
(銀貨が……私を助けてくれたんだ……)
「お嬢様っ、お嬢様!」
するとマージがモルゴースに駆け寄って、抱き起こしながら泣き叫んだ。
エリオットはしばらくその姿を見て何か考えていたが、突然こう切り出した。
「……がっかりだ! 僕、ウィリアムお兄様はもっと道理の解る方だと思ったのに!
伯母様はこのロウランドを恥辱と堕落から救ったんだ! 誰よりも大切なお父様の為に!
僕たちの為に! フィオナにも、あの女たちにも僕たちが見抜けなかった殺されるだけの
理由があったに違いないよ! 自業自得だったんだ! そうですよね、伯母様!」
その言葉に思わずモルゴースは手を握り締め叫んだ。
「そうよ……私はアーサーを守ってあげたのよ。あの下賤で醜い女たちから!!」
「へえ……、やっぱりオバサンが殺したんだ?」
エリオットの言葉に引きずられて、モルゴースは幽霊の女たち、すなわち兄弟の母親たちを
殺したことを自分から言ってしまったのだ。その言葉に一斉にモルゴースに銃を向ける兄弟たち。
マージがおびえた顔で周りを見渡す。
「嘘だろ……」
銃を向けながらロレンスが顔色を変えて呟いた。
「兄さん?……何故教えてくれなかったんです」
ディックが静かにそう言って、ライナスに尋ねた。
「証明できない推理は妄想でしかないだろ」
ライナスは以前からその可能性を考えていたようだった。
「撃っていい?アル」
ヴィンセントは母を思ったのか、悲しげな顔でアルバートに聞いた。

85 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:06:27 ID:???
「い……いけません、いけません!血の繋がった御家族じゃありませんか」
マージがモルゴースをかばうように抱きしめそう叫んだ。
「罰なら私が受けます。お嬢様のお望みのままに従った私の罪です。
どうぞ勘弁してください。お嬢様は誰よりもこのロウランドを思いやって……!」
「ふ…」
マージの言葉にアルバートの口から息がもれた。次の瞬間、彼が大爆笑する声が響き渡る。
見つめる兄弟たちの前で、すまんすまんと手をあげながら、なおも吹き出して言う。
「ふふふ、くくくくっ誰のロウランドだって?」
その響きにマージはぞっと身を震わせた。
「この家はもう俺のものだ」
アルバートは底知れない微笑みを浮かべながらそう言った。
そして伯母に銃を向けている異母弟たちに向かってこう言って制した。
「銃をおろせ! 可愛い甥っ子の手で、最愛の弟の元へ旅立てる伯母上の幸せを想像してみろ。
何故親父が伯母上を断罪しなかったのかは俺は知らん。敬愛する親父の選択を尊重しよう」
そして指をちょいちょいと動かしエリオットを呼び寄せる。
「だから俺は今この場で起きた事を裁く。さあフィオナ、銃を取れ」
エリオットはアルバートに渡された銃をフィオナに差し出した。
思わず顔をこわばらせるウィリアム。アルバートはフィオナへ言葉を続けた。
「たった今殺されかけた被害者のお前にだけ権利がある。
これは復讐じゃない。正当防衛ってやつだ」
「フィオナ、やめ……」
「誘導するな。彼女が決める」
思わず声をあげたライナスをアルバートが制した。フィオナはアルバートにそう言われ、思った。

86 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:07:20 ID:???
(怖かったけれど)
「私、ライナス兄さんが自分だけのお兄さんじゃないって思い知るたびにがっかりしてたの」
(愛してもらえない寂しさを私はよく知ってる)
思わぬ言葉にライナスは目を見開いた。屋上から飛び降りた彼の母の事をフィオナは思う。
妻も、娘も失ったウィリアムの事をフィオナは思う。
(伯母様を撃っても死んだ人は帰って来ない)
フィオナは決意して顔を上げた。
そして穏やかな、凄絶な、悲しい笑みを浮かべて銃を受け取った。
「フィオナ!! 離せ!ヴィンス」
必死にフィオナを止めようとするライナス。だがそんな彼を見てロレンスが言う。
「大丈夫。伯母上がおかしいのは皆知ってる」
フィオナはぎこちない手つきで撃鉄を引いた。誰も止めようとしない。
「お前らどうかしてる!」
ライナスの叫びにアルバートは呟く。
「狂気は母親譲りだ。なァ、マージ」
問われたマージはただ震え、泣くばかりだ。
(罪は幾つ重ねた時から神様に拒絶されるようになるの?)
「撃てば君は天国へ行けなくなる」
ライナスはフィオナを説得しようとそう言った。
(私は神様に赦されなくても。天国へ行けなくても)
「兄さんたちはこれで幸せになれる?」
そう言ってフィオナは笑った。フィオナがモルゴースを撃つのは自分のためですらないのだ。
それが分かってしまい、ライナスは思わず顔色を変えた。
(兄さんたちがいる。私の天国はここ)
心を決めて銃を構えたフィオナの後ろから、突然手が伸びてきて彼女が持った銃に触れた。
「もういい」
ウィリアムがそう言って、彼女から銃を取り上げた。
その瞬間、マージはモルゴースを抱きしめて泣き崩れた。
マージの腕の中でモルゴースは、ぎらぎらした目つきで兄弟たちを睨み付けて叫んだ。

87 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:08:24 ID:???
「お前たちはやはりあの女たちの子ですよ。悪魔の血が流れているんだわ!」
その言葉にアルバートは思わずため息を一つつくと、モルゴースを蹴り飛ばした。
にぶい音を立てて床に倒れこむモルゴース。そして見てみれば、彼女を蹴ったアルバートの左足は義足だった。
「ウィル、医者と施設の手配をしろ。伯母上は重症だ」
緊張の糸が切れたのか、思わずライナスがぺたりとその場にへたり込む。
フィオナは今になってガタガタと震えてきた手を一心に見つめていた。
深いため息を吐くとライナスはフィオナの元へ走り寄り、思い切りその頭を拳で叩いた。
「痛っ!?」
「この、ばか娘っ!」
その言葉に振り向いたフィオナの目に映ったのは、片手で目元を押さえながらも
こらえきれない涙を流したライナスの姿だった。
「お……お兄さ……」
フィオナが思わず声をかけるがライナスはそのままその場に座り込んでしまう。
そして、声もなく涙をこぼした。
うろたえるフィオナの頭を今度はエリオットが殴りつけた。
「痛い……」
「お前が泣かしたんだ!」
何とかしろと言わんばかりのエリオットの剣幕にフィオナは思わず言った。
「ど、どうして?」
「僕が知るもんか!!」
エリオットだけではなく、フィオナは背後に別の怒りを感じてびくりとした。
これはロレンスだ。ライナスの涙にものすごく怒っている。
(ど、どうしよう……)
「ごめんなさい……。ごめんなさい」
思わず謝ってみたフィオナだったがライナスは黙って泣くばかりだ。
フィオナはおろおろしながらも、いつもライナスがしてくれるように頭をなでてみる。
「おにいちゃん、ごめんね……」
顔を覗き込んで謝ってみるが、一度流れ出したライナスの涙は止まらない。
必死に頭をなでながらフィオナは謝り続けた。
「ごめんね、ごめんね」

88 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:09:09 ID:???
(うたがってはだめ)
あの言葉が胸にしみわたるように響いた。フィオナはライナスを抱きしめながら呟く。
「ごめんね……」
そしてフィオナはライナスの涙をドレスの袖でぬぐい始めた。
「ごめんねお兄ちゃん。ごめんね。ごめんね」
「…………」
ごしごしと力任せにこすられて遂にライナスが苦笑交じりにもう良い、と手で示した。
「ごめんね」
フィオナの胸に下がっている、ひしゃげた銀貨を見てアルバートがフィオナに聞いた。
「……代わりの新品の銀貨をやろうか?」
「いいえ……これでなくてはいけないんです」
アルバートの問いに、フィオナは命を救ってくれた銀貨を握り締めて答えた。
「思い出の品か! 誰にもらった?」
「名前は知りません。でも……」
「顔は覚えているか? よし!来い」
ヴィンセントがアルバートの車椅子を押しながら、フィオナを案内する。
その部屋には肖像画や写真が所狭しと飾られていた。
「うちに来た客はたいてい写真が残ってる。ちょっとした貴族名鑑てとこだ」
アルバートはそう言ってフィオナに、壁に飾られた写真を見せる。
「その人はいるか? お前が会った頃と年代が違えば多少印象は変わるかもしれん」
写真を眺めていたフィオナが突然立ち止まり、頬を紅潮させた。
「この人……、この人です」
その写真は飾られている写真の中でも大きな立派なもので、
そこに映っているのは穏やかそうな顔の紳士だった。
アルバートはそれを見るとフィオナに言った。
「……彼の名はアーサー・ロウランド伯爵。お前の……俺たちの父親だ」

―― Honey Rose 第八話完。

89 :Honey Rose:2005/08/05(金) 17:13:52 ID:???
上で書き忘れてた。
なんか変な所とか妙な変換とかあったら指摘お願いします。。。(´Д`;)

90 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 19:38:38 ID:???
はにろ乙!
あと一話ですね。面白かった〜

91 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 19:58:36 ID:???
はにろ乙です!
面白い!

92 :マロン名無しさん :2005/08/05(金) 20:13:46 ID:???
はにろ乙でした!
面白かったです!次も楽しみにしています

93 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 20:28:10 ID:???
はにろ乙!GJ!
面白かった〜。フィオナ良かったね、みたいな。

あと一回で最後か。
ちょとさみしいが楽しみにしてるんで書くのガンガってくれ!!

94 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 21:42:29 ID:???
おばさまが犯人だったんですか?
しかしライナスの性格に呆然・・・

95 :マロン名無しさん:2005/08/05(金) 23:50:41 ID:???
はにろ乙!!GJ!!

96 :マロン名無しさん:2005/08/06(土) 00:57:23 ID:???
>>94
情緒不安定ってとこは変わってないよ。
方向性は違うが・・・。

97 :マロン名無しさん:2005/08/06(土) 01:55:04 ID:???
>>72
短編だけでお願いします

98 :マロン名無しさん:2005/08/06(土) 02:12:46 ID:???
え? フロイト1/2って川原泉のだよね?
それだったら短編集ってのは違うと思うし、作品自体も短編というより中編だが。

川原泉のじゃなかったら知らんが。

99 :サバス・カフェ 5:2005/08/06(土) 03:18:36 ID:???
海辺の田舎町についた大は、人のいい和尚によって荒れ寺に泊まらせてもらう事になった。
金閣寺や五重塔などの立派な寺しか知らなかった大はこういうのも寺というのかと驚いた。
その寺には親の都合で一時的に預けられている少年がいた。
少年に大はかつての自分を重ね合わせた。
大は、荒れ寺には似つかわしくない立派な観音を見つけた。
それは慈母観音といって、子に対する母の深い愛情を司るのだという。
「母親は必ず子を愛してるものなんですか」
「当然じゃ。自分の血と肉をわけて生んだ子じゃもの。愛しくないわけがないでの」
和尚はそう答え、すぐにでも新たに旅立とうとしている大に、
夏は来年もあるのだからもう少しのんびりしなさいと言う。
「1年の約束で来たから今年の夏しかないんです」

和尚に言われるままに寺に留まりつづけていたある日、少年の母親が迎えに来た。
母の手をうれしそうに握る少年を見て、大は安心した。
自転車に乗って家路に着く大。そして、自分の母の事を思う。
もう大には、彼女がどんな顔でどんな声だったのかも思い出せない。

帰宅した大は、スウに言われて荒れ果てた庭の手入れをする事になった。
スウ一家はイギリスに里帰りをしたのだが、祖母の庭は大変きれいだったそうだ。
デリィは祖母のお気に入りなのでまだイギリスに引きとめられたままだという。
庭の草刈の最中に疲れで眠った大のくちびるに、スウはこっそりキスをした。

数日後、帰国したデリィは憤りながら叫ぶ。
「俺は一生髪を切らないぞっ 館のばーさまが切れと言ったからだ!」
デリィは幼い頃に床屋に誤って耳を切られたというトラウマがあり、
定期的に自分で切ってはいるものの、髪を耳より上に切った事がない。
しかし、父と祖父が通っていたイギリスの名門校にデリィも通わせようともくろんでいる祖母は
「そんなみっともない髪では入学できませんよ」と断髪を迫るのだ。
決められた名門校になど絶対に行くかと起こるデリィ。
そんな彼に父は「自分の道は自分で決めるべきだとあの人もわかっているさ。
だけど、あの人は好きな人間の困った顔が大好きでなあ」とニヤニヤしながら言う。
大は親子の様子を見ながら、何代もの繋がりがある家系を持つというのはどんなものなのだろうと思った。

100 :サバス・カフェ 6:2005/08/06(土) 03:21:10 ID:???
ハロウィン、感謝祭、クリスマス、ニュー・イヤー…日々は目まぐるしく過ぎていく。
その間に、ホーマーに彼女が出来たりマーティが失恋したりなど様々な事があった。
もうすぐ大が転入してきてから一年が経とうとしている。
昔はいつも無表情だった大も、今は豊かな表情を見せるようになった。

普通の高校に通うミーハー少女二人は、よく聖ジョージ学園の生徒たちの写真を隠し撮りしていた。
(ちなみに彼女たちは第一話からちょろちょろと登場している)
彼女たちが大の隠し撮り写真を雑誌に送ったところ、掲載されてしまった。
「あの子は誰?」と反響の手紙が多く届く。その中に一つ気になるものがあった。
少女たちは意を決してその手紙を大に渡しに行った。
『あの写真の少年の面差しは昔私が存じ上げた方にとても良く似ています。
 あの少年の母上様はもしかして四布木霖子様とおっしゃる方ではないでしょうか。
 不躾ではありますがご存知でしたら是非ご連絡いただきたく どうかお願い致します』
そう書かれながらもその手紙には差出人の住所も名前も書かれていない。
しかし文体は真面目で、母の名を知っている。悪戯ではないと大は確信した。
探偵に手紙の主を探すよう頼むが、手がかりはなかなか見つからない。
自分の写真をまた雑誌に載せればいいのだと、大はマイクに写真を撮らせる。
それで目立って一人暮しがばれたらどうするとデリィは言う。
しかし大は、学校を辞めさせられてもかまわないかのような態度だ。
なんでそこまで焦るのだとデリィたちは不審がった。

自分の写真を眺める大。
現像された写真の中には、デリィやマーティが映ったものもあった。
学校にいられなくなったって日本に住めなくなったって
  誰だろうとすぐに別れるんだ とうの昔に慣れた
  ぜんぜんかまわない――そう思ってたのに
それらの写真を眺めながら、雑誌に写真を載せるのをやめようと大は思った。
大は夜眠れなくなった。優等生だった大が授業中に居眠りをするまでになった。
心配するデリィたちに大は唐突に告げた。「今からシカゴに帰る」と。
もうすぐ大の二度目の夏休みがくる。それまで待てないのかと訊くが大は目を伏せるだけだ。
大はその日のうちにシカゴ行きの飛行機に乗った。
続く

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