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【2次】漫画SS総合スレへようこそpart24【創作】

1 :作者の都合により名無しです:05/02/22 23:14:20 ID:Ag9nb1zd0
元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇
SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart23【創作】
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1107193485/
まとめサイト 
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm

2 :連載中作品:05/02/22 23:17:04 ID:Ag9nb1zd0
※ほぼ連載開始・復活順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室(VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ドラえもん のび太の地底出来杉帝国(うみにん氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dekisugi/01.htm
4×5・AoB(ユル氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/4x5/1-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/yuru/03-1.htm
ラーメンマン青年記(パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/ra-men/01.htm
ザク(ザク氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/zaku/01-raou.htm
超格闘士大戦(ブラックキング氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kakuto/01.htm
ディオの世界(殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
空手小公子愚地克己(メカタラちゃん氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/mekatara/01.htm
上/輪廻転生 中/帰ってきたドラえもん外伝 下/オーガのリング(草薙氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/rinnne/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/kaedora/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kusanagi/o-01.htm

3 :連載中作品:05/02/22 23:18:00 ID:Ag9nb1zd0
のび太と大ローマ(名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ro-ma/00.htm
虹のかなた(ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
蟲師(ゲロ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/01.htm
オムニバスSS劇場(バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
ギャグSS日和 下/殺人鬼とオーガの鬼事(サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/02-1.htm
忍者の証(青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/aopi/01.htm
『犬と猫』(サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/sanada/06-1.htm
バキ外伝 デスゲーム(五氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1107193485/192
Z戦士への入門(Z戦士氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/z-fighter/01.htm
ヘルニア戦隊ダッチョリアン (名無し氏)
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1107193485/540

4 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/02/22 23:31:26 ID:8rhw++Xe0
前作・殺人鬼とオーガの鬼事 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/02-1.htm

「いーちゃんいーちゃん。範馬勇次郎っての、知ってるかな?」
ここは京都・城咲の超高級マンションの最上階である三十二階の一室。その部屋の主(というか三十一階と
三十二階の全フロアの主)は、たまたまやってきたぼくにそんなことを言った。
「・・・範馬勇次郎?誰なんだ、そいつ」
知らない名前だったのでぼくは目の前にいる娘に素直にそう聞いた。
こいつの名前は玖渚友(くなぎさ とも)。幼女のような体躯とあどけない容貌に青い髪、そしてその頭の中には
世界最高峰の脳髄を持つ<青色サヴァン>。
世界を裏で支配していると言っても過言ではないほどの超絶的な一族<玖渚機関>直系のオジョウサマにして、
かつて自分を含めて9人の仲間とともに電脳世界を荒らしまわった究極のテロリスト―――そんな超人と、
平平凡凡たる戯言遣いに過ぎないぼくが何故友人であるのか、という疑問はさておいて、ぼくは玖渚の語った
範馬勇次郎という人物に興味の方向を向けた。
「うに。範馬勇次郎ってのはねー、まあ何だろ・・・陳腐な言い方だけど、<地上最強の生物>ってとこだね」
「最強?」
その言葉を聞いてぼくはある女性を連想した。最強とは、まさに彼女の代名詞のはず―――なのに。
「あ、いーちゃん今潤ちゃんのことを思い出してたね?そう、範馬勇次郎ってのはね、この世で唯一潤ちゃんと
同じ―――<最強>の名で呼ばれる生物なんだよ」
「・・・なんか変な話じゃないか、友?なんで最強が二人もいるんだよ。矛と盾じゃあるまいし」
「そうだね。普通に考えればおかしいよね。・・・けど、仕方ないんだよ。その範馬勇次郎だって―――
まさに、最強としか言い様がないんだ。だから、その矛盾は成り立たない。頂点が二人いるという本来ありえない
ことをありえるように捻じ曲げる―――それほどまでに最強なんだよ、潤ちゃんと範馬勇次郎は」
はあん。なんだかよく分からない話だ。ぼくには正直あの一人アストロ球団みたいな哀川さんと並び立てるほど
強い存在なんて想像もつかない。それ以前にあんな傍迷惑な人材がもう一人いるなんて想像もしたくない。
「で?なんでそんな人の話をするんだ?そんな人とぼくとの間には、まるでさっぱり全然全く論外に関係がない
と思うんだけど」
「うん、それがね。言いにくいんだけどさあ、いーちゃんって変人変態を集める才能があるじゃん。・・・あ、
別にこれが言いにくいことじゃないよ?いーちゃんに変人変態を集める才能があるだなんてもはや世界的な
常識だもんねー」

5 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/02/22 23:32:12 ID:8rhw++Xe0
「・・・・・・・・・・・・」
いつの間にぼくのそんな部分が世界の常識になりましたか。
「で?結局なんなんだ?」
玖渚は少々渋ったような顔で言った。
「・・・その範馬勇次郎がね、来てるんだよ。京都に」
「・・・・・・」
「正直、不安になるよ。いーちゃんとそんな怪物が出会ったら―――どうなるのか」
「・・・・・・」
玖渚は―――本当に不安そうだった。
「いーちゃん、ちょっとこっち来て」
「ん?」
ぼくが傍によると、玖渚はぼくの身体に腕を伸ばし、いつものように抱きついた。
「・・・・・・」
「じゅーでーんちゅう」
ぼくはされるがままになってやった。そのまましばらく時が過ぎる。
「へい、いーちゃん」
玖渚が口を開いた。
「なんだ、友」
「えっちいことしようぜ」
「一人でやってろ」
「ケチンボ」

6 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/02/22 23:33:04 ID:8rhw++Xe0
玖渚のマンションを出て愛用の白いベスパのヴィンテージモデルに跨り、愛すべき我が家(家賃一万円のこちらも
ヴィンテージな四畳半のボロアパート)の帰路に着く。夕焼けが眩しい。
「そこはかとなく叙情的だな・・・。剣呑剣呑」
うーむ。やっぱりぼくは剣呑剣呑の使い方を間違っている気がする。しかしそんなこととは関係なくベスパを走らせ、
アパート前の駐車場に停めた。
そしてそのままアパートに向かうと、住人の一人であるDJじじいの隼荒唐丸(はやぶさ こうとうまる)さんがいた。
彼は老人らしからぬ日焼けした逞しい肉体を誇らしげに見せびらかしつつ、両手でダンベルを持って体操をしている。
片方20キログラムのダンベルというのが常人と一線を画すところだ。
「・・・・・・・・・・・・」
世の中には果敢に立ち向かう勇気と見なかった振りをする勇気に二種類あると思う。ぼくは後者を選択した。
声はかけずに通り過ぎる。
ああ、いい夕焼けだ。眩しくて何も見えないや。きっとあのじいさんは夕陽が見せた幻なんだ。
ふとアパートの脇に小さな人影があった。こちらにはきっちりと声をかける。
「やあ、崩子ちゃん」
「お帰りなさい、戯言遣いのお兄ちゃん」
その人影の正体は女の子―――このアパートに腹違いの兄と共に住む家出兄妹の片割れ、
闇口崩子(やみぐち ほうこ)ちゃんだ。
十三歳の色白でおかっぱ頭の良く似合う、当アパートきっての清純派だ。彼女は地面にかがみ込んで
なにやら熱心にやっている。
「何してるんだい?」

7 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/02/22 23:33:51 ID:8rhw++Xe0
「ええ、蟻の巣があったから、熱湯を注いでるんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・あ、そう」
闇口崩子、十三歳。趣味、下等生物の殺害。
あくまでも清純派だ(強調)。
「じゃあ、頑張ってね」
「はい、頑張ります」
崩子ちゃんは熱心に蟻を殺害しているため、ぼくの方を見ずに応える。
「あ、戯言遣いのお兄ちゃん。ちょっといいですか?」
「・・・何?」
崩子ちゃんはぼくを引き止める。
「お兄ちゃん、一週間くらい部屋から出ないほうがいいと思います」
「どうして?」
「外に出たら、きっと怪物に遭遇してしまいます」
「・・・そう。ぼくもそんな気がするよ」

ぼくにとってこの日は、特になんてことのない、平凡な日常のはずだった。
その夜までは―――少なくとも。

8 :サマサ ◆2NA38J2XJM :05/02/22 23:39:48 ID:8rhw++Xe0
投下完了。そして>1さん乙です。

今回の話は以前連載した<鬼事>の京都編に当たります。
ちなみに戯言遣いは<ざれごとつかい>とよびます(たわごとではありません)。

原作読んでる人へ。今作品は時系列が結構メチャクチャです。原作の時系列でいくと
いーちゃんは月ごとに事件に巻き込まれ、その合間にはたいてい大怪我しててまともな行動が出来ないという
トンデモな主人公なので・・・。
とにかく頑張って書きます。

ちなみにこのアパートの連中はかのしけい荘とも張り合えるほどの個性派揃いです。

9 :作者の都合により名無しです:05/02/22 23:46:34 ID:Ag9nb1zd0
サマサさん新スレ一番乗り&新連載スタートおめ!

前作、というか前章の鬼事も好きだったんですよ。
原作の戯言師はまったく知りませんが。
玖渚友をはじめ、のっけから個性的な面々が登場しますね。
期待してますので頑張って下さい!

10 :作者の都合により名無しです:05/02/23 00:43:06 ID:fvglwPnw0
みいこさんと本部のどっちが強いか気になる
柳と奇野頼知も

11 :作者の都合により名無しです:05/02/23 00:55:10 ID:1x91MZj+O
サマサさん乙です。 いーちゃんはたしか「特殊な女の子をかどわかし、「固有名詞」を持つ人間を戯言で破滅させる」能力を持っているんでしたっけか。勇次郎に戯言が通用するのか楽しみです。

12 :◆89aIROQ50M :05/02/23 01:54:06 ID:uQgW2C0/O
投稿し忘れたのがあったので、深夜の6UP敢行します…orz
1さんお疲れさまです。

13 :バキ外伝デス・ゲーム第二十四話:05/02/23 02:01:32 ID:uQgW2C0/O
花山対争銘、スペック対ウィリアムの死闘が行われた翌日の昼。

都心から離れた郊外に有る、典型的な古い瓦屋根の日本家屋。そこが達人・渋川剛毅の自宅兼道場だった。
その一室の広い稽古場で、二人の男が正座で向かい合っていた。
地下闘技場の現王者にして、先の大会の覇者である、範馬 刃牙と達人・渋川だ。
二人の間にはまるで、今から殺し合いでも始めるかの様な緊張が張り詰めていた。
普段の陽気さからは、とても想像出来ないような厳格な表情のまま、達人が口を開いた。

「バキさん、儂はあんたの実力を疑っておるわけでは無い。しかし、じゃ。
あんたは『殺し合い』が出来るかね?相手を再起不能な迄に追い込まねば、こちらが全てを、命迄も失う闘いを。」

バキは答える事が出来なかった。考えてみれば、自分の闘いで相手を廃人や死に追い込んだ事は無かった。
夜叉猿戦で片目を奪った事はあったが、再起不能にはしていない。ガイア戦や花山戦、ジャック戦にしても相手は殺す気で向かって来ているのに。
唯一、烈海王との死闘では相手を殺しかけたが、それは範馬一族の『血』が目覚めて正気を半ば失っていたからに過ぎない。
重々しい沈黙を続けるバキ。返答を待たずに渋川が説く。
「ええか、花山にしろ独歩にしろ、無論儂も……余程力量の差が無い限り、相手には、殺す気で向かっておる。
プロレスの巽や丹波の事はよく知らんが、北辰館の松尾象山だって儂らと同じじゃ。
無論、あんたが越えようとする範馬 勇次郎ものぅ。」

その言葉を聞き、バキの体が僅かながら、無意識に強張った。
「そういう『殺してしまうかも知れん』という覚悟を持つ、儂らでさえ不覚を取る事が有る。バキさん……見てみぃ。」

そう言うなり、達人はいきなり自身の左目の瞼へ指をこじ入れた。更に指は奥へ入る。くちゅり、という音を立てて義眼が取り出された。
常人なら顔を背ける光景だが、バキはじっと達人の顔を見据えていた。

「儂の左目が義眼だという事は知っとるな?問題は、儂の目を奪った男じゃ。
空師・柳 龍光。闘技場で会った、あの連中の中に居た小男じゃよ。」

14 :バキ外伝第二十四話続き:05/02/23 02:08:45 ID:uQgW2C0/O
バキの脳裏に、あの20人の中でも、一際どす黒い妖気と冷気が混じり合ったような気を放っていたその男が蘇った。

「他の連中も恐らくは、ほぼ全員が柳と同類じゃ。相手の将来や命なんざ考えもせん。手段や方法すらも問わんじゃろう。」

「ええか、『殺せ』とは言わん。しかし『殺す気で行け』。
否が応でも奴等はあんたを狙うじゃろう。恋人にしろ、友人にしろ、無論人生や命も……自分で護る他無いんじゃよ。」

達人が一呼吸置き、手の中の義眼を見ながら言った。「失いたくないのなら、な。」

ふと、バキは勇次郎に殺された母・朱沢 江珠を思い出した。(そうだ……もう、誰も失うわけには…いかない。)
無言で両の拳を握り締める。

それを見て、達人がいつもの笑顔に戻り、立ち上がった。「すまんかったのぅ、こんな昼に呼び出して。」「いえ、今日は学校休みなんで。」
「そうか……。ま、茶でも飲んでったらええ。その後は…」達人がニカッと笑う。
「組み手でもやって見ようや。」「はは…。お手柔らかに。」苦笑するバキ。
その和やかな雰囲気は、突然破られた。
トン。
道場の引き戸が開け放たれ、金の長髪の西洋人が入ってきた。
張り詰めた緊張の糸が緩んだ直後、突然の侵入者により再び引きちぎれんばかりに張る。
「お取り込み中すまないね。まぁ、大体の用件はわかるだろう?」
流暢な日本語だった。無言でバキが侵入者へ歩を進める。
「グレゴリオという者だ、簡潔に言おう。闘いに来」
「失せろっ!!」最後まで言わせずに、何時の間にか目前まで肉迫したバキが先手を取った。
全体重を乗せたワイルドパンチが、グレゴリオの顔面へ飛ぶ。
虫を払うような動作でバキの拳がはたかれた。
(え!?)同時にバキが宙をふわりと舞い、背中から床へ叩きつけられた。
「く…てめぇ…っ!」素早く体勢を立て直し、水平蹴りを放つ。
その足を、グレゴリオは動じる事なく同じく足で払う。
それだけの事で、バキはバランスを崩して後頭部を床へしたたかに打ちつけた。
「〜〜〜っ!?」混乱するバキの喉へ、足刀がめり込む。
ひゅう、と呼気を漏らしてバキはうずくまった。
バキを軽くあしらった金髪の青年が、達人を見据える。「探したよ、マスター渋川。」

15 :バキ外伝第二十五話:05/02/23 02:16:27 ID:uQgW2C0/O
「ぬしゃあ……」義眼をはめ込み、達人が身構える。グレゴリオがゆっくりと歩を進める。
双方の距離2mといった所でそれは止まった。

「日本じゃあ、コレを合気って言うんだって?……がっかりしたよ。俺のオリジナルだと思ってたのになぁ。
で、あの大会のビデオを見たんだが、あんたもコレを使うんだろう?」

やはり。渋川の背中を汗が伝う。「そうじゃ。まぁあんたは儂に比べりゃ、ひよっこってトコじゃの。」
嘘だ。自分だってあれ程簡単にバキを投げるのは難しいだろう。
不安をかき消すように茶化す。「しかし良いセンスしとるわ。弟子にならんか?」
「俺に敗北をくれたなら、考えるよ。」
その言葉を合図に二人がじりじりと接近する。
双方の射程圏に入った。………しかし、どちらも手が出ない。
敵も自分も合気使い。相手の攻撃を利用して自分の力を上乗せし、返す。迂闊には仕掛けられない。

……双方が様子見のまま、5分が過ぎようとしていた。既にバキは立ち上がり、背後で戦況を見守っている。
グレゴリオは苛立っていた。
(この爺さん、何時になったら仕掛けてくるんだ?そもそも本当に合気が使えるのか?まさか……、あのビデオは合成映像なんて事は…)

「阿呆ぅっ!!」グレゴリオの『虚』を突き、達人が飛び込む。
(…やられたっ!)予想外の行動に反射的にジャブを放つ。二発、三発とすり抜ける様に避け、前傾姿勢で達人が更に懐へ。
その顎を狙い、刃の様な膝が飛んだ。
(これじゃあ)首を捻って膝をかわし、膝の皿と脹ら脛の辺りへ両手を添える。
その瞬間、ぶおん、と音を立て、巨大な何かに背中を叩かれたようにグレゴリオは宙を舞った。
(出た…合気だ!)バキが息を飲む。しかし……バキは見てしまった。
宙を舞うグレゴリオの口の端が、吊り上がっていたのを。

渦巻く力の流れに逆らわずに、全身を脱力させて…着地。
「ぬっ」達人の口から驚嘆の声が漏れ、心に焦りと困惑が生まれる。それが、次の行動を起こす判断を数瞬、鈍らせた。
右手が掴まれ、ゆっくりと達人の目に指が迫っていた。異常な程に、遅く。
それをとっさに払いのける。再び人体が宙を舞った。
(しまった。アレは…誘いか!)無重力の感覚の中、達人は心中で舌打ちした。
バキは絶句する。達人が、投げられたのだ。それも一生を費やした分野で。

16 :バキ外伝第二十五話続き:05/02/23 02:33:47 ID:uQgW2C0/O
宙を舞う達人の背中に手を添え、腕を振るう。それだけで、達人の体が空中で縦回転を始めた。
更に腕を振るって加速させる。更に加速。また加速。もはや、その体は高速で回転する風車の様だった。

(まずい……、あの状態じゃ脱力して着地どころか、受け身も意味を為さないっ。)バキの額を冷や汗が伝う。
「死」の一文字がバキの脳裏に浮かび上がった。そして。
ズグッ。ミシィッ。背筋の凍る音が、道場に響いた。

奇妙な光景だった。達人の回転が止まり、空中で静止している。
加速に加速を重ね、今まさに達人を床に叩きつけようとしていたグレゴリオが、青ざめた顔で震えている。

達人は浮遊していたわけでは無い。
右足をグレゴリオの左肩……鎖骨辺りに着地させて立っている。
その踵が、深々と刺さるようにめり込んでいた。明らかに鎖骨を砕いている。

「ぐ…ぬぅぅ……!!」絶叫を飲み込み、達人を睨むグレゴリオ。激痛に歯を食いしばり、顔には大量の脂汗が浮かんでいる。
それを見やり、涼しい顔で達人が踵を捻り込む。
「オオォッ!!」痛みに耐えかね、振り落とそうと首を振り回す。
全く抵抗せずに、すとん。と達人が降りた。
痛みで平常心を失い、グレゴリオは迂闊に

17 :バキ外伝第二十六話:05/02/23 02:41:03 ID:uQgW2C0/O
「す、すっげぇ………」呆けた表情で達人を見つめるバキ。「べ〜け野郎、合気で儂には勝てんわ。さ、救急車と警察でも呼んでやるかの。」からからと笑う達人・渋川。
その足元には左肩が不自然に歪み、白目を剥いたグレゴリオが、頭部から流血して倒れている。
「電話電話っ…と。」道場の出口へ達人が歩いていく。

…電話をしに行く必要は無かった。倒れているグレゴリオがもぞもぞと動き、懐から携帯を取り出したからだ。
バキがその様子を見、愕然とする。(う、動けるのか…!?)
驚くのも無理は無い。傍目から見ても、あの投げは達人の見せたそれの中でも、相手を死なせかねない程の高威力だった。

折り畳み式の携帯を取り出し、震える手で開ける。目は焦点が合っていない。
横になったまま、達人に携帯を向ける。…まるで、TVをリモコンで操作する様に。

ドンッ

バキの目の前で、達人が脇腹に赤い華を咲かせ、ゆっくりと膝を着いて………倒れこんだ。
グレゴリオの『携帯』からは、アンテナ部分が消失し、そこには硝煙が立ち上る穴が開いていた。
「所詮、スポーツだな。」にやり、と血に染まった顔で笑ってみせ、グレゴリオは『携帯』をしまいこんだ。

「テメェェェッッ!!」鎖を解かれた猛獣の如く、バキが飛びかかった。
だるそうに上体を起こし、バキを迎えるグレゴリオ。
バキが一気に間合いを詰め、顔面へサッカーボールキックを放つ。
(お前じゃ相手にならんよ、馬鹿が。)冷めた表情で攻撃をいなし、投げる。
脱力して衝撃を殺し、バキが着地する。身を屈め、体を後ろへ反らして頭突きを放つ。
(順応は速いらしいが…所詮は餓鬼か。)最早、侮蔑を露わにした表情で頭突きをいなすべく、右手を走らせる。
バキの額が近づいて来る。もう少しで、合気のタイミングだ。
もう少し、あと少し。(来い、来い、来い…っ!)
…と、迫り来るバキの顔面が止まった。口を開け、軌道を合気使用の為に掲げた右の手首へ。その動作、二秒余り。

グジュッ、ブチリ。
「あ…」余りに突飛な行動に、グレゴリオの思考と行動は空白化していた。
噛まれた。いや、皮膚と皮下組織、それに血管を少々喰いちぎられた。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」夥しい流血。それを見て、思い出した様に叫んだ。

18 :バキ外伝第二十六話続き:05/02/23 02:45:59 ID:uQgW2C0/O
「あぁ…あ…」流血する手首を見つめ、半ば放心状態のグレゴリオ。
その顔面へ肌色の大砲が、素早く、正確に発射された。
砲弾が顔面に突き刺さり、数本の歯と、もはや何処からの出血かもわからない血を飛び散らして、その体を吹っ飛ばした。
砲弾の正体は、バキが低空で放ったドロップキックの両足だったのだが、喰らった本人は知る由も無い。
床をごろごろと転がり、庭へ通じる引き戸をなぎ倒し、転がり落ちてやっと、その勢いは治まった。

数秒、死んだように倒れていたが、必死で体を起こす。
追撃が来ないのを確認すると、服を破って腕と頭部の止血を行った。
(見直したよ、チャンプ。)薄く笑い、道場へ踏み入る。
しかし、そこにはバキはおろか、達人の姿も無かった。


必死に走るバキ。その背には銃弾で傷を負った達人を背負っている。
達人の腹には、着ていた和服を破って施した応急処置がなされている。
林道を抜け、街へ入り、国道へ。
「…バ、バキさん…」「喋っちゃ駄目だ!」
「大丈夫じゃ…少しかすっただけじゃよ……それより…奴を…」
「あいつはしっかり潰す!今病院に連れてくから、心配するなっ!」
通りかかったタクシーを、立ちふさがるように止める。

19 :バキ外伝第二十七話:05/02/23 02:52:47 ID:uQgW2C0/O
凄まじい速度で迫り来る、黒のワゴン車。徐々に距離が狭まるにつれ、グレゴリオの表情が読み取れた。
怒りとも憎悪とも狂気とも取れる、鬼の顔だ。
既にバキ達の乗るタクシーと、グレゴリオのワゴン車は追突すれすれの距離まで肉薄していた。
ガシャアッ!!
一気に加速して、ワゴン車が追突する。
「ひ、な、何だよあれはぁ!」「いいから黙って運転してろ!」
バキに怒鳴られ、運転手が必死に目的地へ運転を続ける。

ゴッ。ガツッ。ゴッ。メキッ。追突される度に、タクシーが右へ左へブレる。
運転手が必死の形相で事故を避けるが、それも限界に近い。
橋にさしかかった所で、ワゴン車が対向車線へ乗り出し、併走し始めた。
橋の左右には、細い貧弱そうな欄干のみ。恐らくは転落させるつもりなのだろう。
「オッサン。」「な、何だよ」
「必ずその人を病院に連れてってくれよ。それと弁償は、後で徳川グループから連絡が有るから。」
「徳川ぁ!?あんた一体…」運転手の言葉を待たず、ドアを蹴り開けてバキが消えた。

(ハリウッドばりだな…)グレゴリオが苦笑する。
バキがボンネットに飛びつき、しがみついていた。そのまま右腕を振り上げる。
一撃でフロントガラスを突き破り、拳が顔をかすめた。
グレゴリオの顔から笑みが剥がれ落ち、振り落とすべく左右にハンドルを切る。
……落ちない。全く落ちる気配が無い。そうしている間にも、バキの拳が次々とガラスに穴を作りだす。
バキの体が視界を塞ぎ、片腕では運転がままならなくなってきた。
(こいつ……やってくれるじゃないか)
唇を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべる。
急に車が軌道を変え、バキが異変を感じ取った。後ろを振り返ると、その先には橋の縁に備えられた欄干。
とっさに視線を戻すが、既に運転席はもぬけの空だった。

運転席から飛び出したグレゴリオが、路上を転がる。
達人に合気で叩きつけられた全身…特に折られた鎖骨に激痛が走る。
服が敗れ、全身に無数の打撲と擦過傷、切傷が加わる。
余りの痛みにしばらくの間うずくまり…………ようやく顔を上げた。
車はとうに橋の数十m下の川へ落下していた。

20 :バキ外伝第二十七話続き:05/02/23 02:59:54 ID:uQgW2C0/O
全身を灼く痛みを堪え、這いずるようにして歩道へ避難する。
突き破られた欄干のそばまで辿り着き、無事な部分に右肩を預けてよりかかった。
「は…はは。俺の勝ちだ。チャンプだかなんだか知らんが、所詮はガキじゃないか…」力なく言葉を吐き、懐から煙草を取り出す。
勝利の一服。次々と通過する一般車から、投げかけられる罵声や視線も気にならない。
勝利の安堵と達成感。そして、敗北できなかった事への僅かな失望。
複雑だが、心地良い感情を噛み締め、紫煙を吐き出す。
(さて…面倒な事にならない内に離れるか)すっかり短くなった煙草を投げ捨てる。

妙な事に気付いた。自分が這いずって出来た血痕。
別の血痕が、破壊された手すりから、大きく背後へ周りこむように、点々と染みている。それは、自身の背後まで続いていた。

嫌だ。見たくない。そこに何があるか、いや、居るのか想像したくない。

怖じ気を屈服させ、体を捻る。(…畜生、生きてやがる。)
バキが居た。同じく全身に無数の傷があるものの、冷たい目でこちらを見据える様子には、ダメージは感じられない。

待てよ。噛みつきには面食らったが、同じ手は二度は喰わない。で、ある以上こいつは俺に傷一つ付けられない。警戒する必要も無いのだ。

目の前でバキが構える。左手を広げ、掌を逆さにして腰だめに。右手で拳を作り前へ。両足はやや開き気味に。
(正拳突きか?俺に打撃は通じないのに?全く持って救いがたい馬鹿だな。)グレゴリオが嘲笑い、右手を構える。
同時にバキの左手が消滅した。

パンッ。破裂音と同時に顔面に鋭い痛み。飛び散る血。歪む視界。
(これは…ビデオで見た)パパパンッ!
腹部へ衝撃。もはや痛みは麻痺して知覚出来ない。
(音速拳…?)パパパパパパァッン!!
機関銃に似た破裂音が響き渡り、視認すらできない音速の拳が全身を打ち抜いた。
(弟子入り、か…退職届け出さなきゃなぁ……)そんな事を考えながら、グレゴリオの意識は闇へ溶けていった。

21 :◆89aIROQ50M :05/02/23 03:04:58 ID:uQgW2C0/O
完了です。

改行削りと謎の電源落ちにより、またえらく時間が掛かってしまいました。
次の投稿は受験終了後なので、またしばらく間が空きそうです。

まだ3人しか脱落してない……。
すごい長編になってしまいそう…。orz

22 :◆89aIROQ50M :05/02/23 03:15:35 ID:uQgW2C0/O
>>16訂正。
文章切れの先はこうなっております。
お見苦しいものを見せてしまいすみません。
「迂闊に」の続き↓

も達人へ無事な右拳を振り下ろしてしまった。
「甘いのぉ、若いの。」そう呟き、直後にグレゴリオの体躯が浮き上がる。
先の攻防の再現だった。しかし、投げる者と投げられる者は完全に逆転している。
やられた。そう思うほか無かった。
本来合気は地に足が着いた状態でしか、使えないのだ。
それをこの老人は、受け身も床への着地も不可能と見るや、よりによって相手の肩へ『着地』した。
その結果、加速させ続けて膨れ上がった力の流れは、他ならぬ自身へ返ってきた。
しかし、もはや同じ手段で逃れは出来まい。グレゴリオは諦観の念に捕らわれながら苦笑した。

なぜなら、達人は先の自分を遥かに凌駕するペースで回転を加速させていたからだ。
もはや床や天井の区別も付かない。床・天井の木の色と、蛍光灯の白色が混じった不思議な風景が流れるだけ。

達人の手が顎に触れ、天井から視界が遠ざかった。
床板の割れる音、肉が叩きつけられる音が道場に響いた。

23 :◆89aIROQ50M :05/02/23 03:29:11 ID:uQgW2C0/O
>>17も文章切れ起こしてますね。ほんっとに度々申し訳無い。
↓が続きです…。


「危ないだろ!何考えてんだアンタ!」
「ごちゃごちゃうるせぇっ!!早くこの人を病院に連れてけっ!!」
「は、はいぃっ!」バキの迫力に押され、二人を乗せて急発進するタクシー。


「おいっ!!まだなのかよ!」発進してからまだ1分弱だ。
「そんなに怒らんでもこっからすぐだよ…」運転手は半泣きになっている。
(……全くなんて客なんだ。今日は道路も空いてるからまだ良いけど、混んでたら殺されそうな雰囲気じゃないか…
大体、これはタクシーだぞ!?救急車と勘違いし……)
運転手の思考が止まった。きちんと運転しつつも、視線がサイドミラーに釘付けになる。
雰囲気の変化を感じ取り、バキもそれに視線を移す。

背後から、黒のワゴン車が猛スピードで走って来る。
フラフラと左右に揺れながら、しかし他車と衝突せずに。

「あの野郎…っ」
そのワゴン車の運転手はやはり、グレゴリオだった。

24 :作者の都合により名無しです:05/02/23 10:29:44 ID:WF62ICmb0
>>1
よく頑張った! 乙!

>サマサさん
一番乗り乙かれい。
予想外に早い次作開始ですね、読む側にとってはとても嬉しいですけれど。
原作は未読派ですが、皆個性的な面々ですね。
戯言遣いの力が(>>11の説明でも)よく分からないので、どんな描写になるのか、それも楽しみです。


>五さん
やはりキャラに思い入れがあるからでしょうか、オリキャラなのにバキや渋川と同じくらい
気合が入ってる感じですね。単なるやられキャラになっていない。
そろそろ次くらいから餓狼キャラも出てきそうですし、残り17人(死刑囚含)、同じ
クオリティで書き切って下さることを期待しています。
(五さんはキャラに思い入れが強いようですので、投げ出しは無いと思っていますが)
受験も頑張って下さい。
こっちに力入れすぎて失敗しないようにw

25 :作者の都合により名無しです:05/02/23 11:16:43 ID:Tj3aqv2E0
サマサ氏
おお、京都編早速の開始ですか。新キャラも充実で楽しい展開になりそうですね。
裕次郎がどう絡んでくるか楽しみです。

五氏
いつも思いますが、携帯からの書き込みすごいな。文章も洗練されていく感じです。
でも、オリキャラにバキキャラが負けるのはみたくないなw

26 :作者の都合により名無しです:05/02/23 12:52:36 ID:lkvyyHVX0
ひさびさに来たら戯言シリーズのSSがあってビビった。

>>11
《あらゆる美少女をかどかわす、ただしみんなバラバラ死体に》、みたいなっ!

27 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :05/02/23 21:00:33 ID:et35QyjC0
>>1
新スレ乙です。

風邪ひいたり、事故に巻き込まれたりと最悪です。今週中には続き書きたいと思うんですけどね……

28 :わかめ戦隊石立鉄男 第三話「胎動」:05/02/23 22:06:21 ID:k5JuwKWj0
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1107193485/559

 扉はびくともしなかった。自分で鍵をしめて溶接して封印までしたことを思
い出して、シコルスキーは若さゆえの自分の短慮をほんのちょっぴり悔いた。
しかし悔いても大金持ちになれる訳ではない。扉上部の覗き窓は塞いでいなか
ったので、そこから中の様子を窺った。
「おーい。生きてるかー」
 スペックはこっちを見ている。ベッドに横たわったままで、体をプルプル震
わせている。
「大擂台賽、出たいかー?」
 シコルスキーの問いかけに、スペックは嬉しそうな顔で答えた。
「………ウー………」
 ハイなんだかイイエなんだか分からない。聞きなおすのも面倒なので、シコ
ルスキーは話を続けた。
「出たいんだったら、自力で部屋から脱出しろー」
 スペックの笑い顔がいっそう皺くちゃになってとろけそうな笑顔になった。
と思ったら本当に溶けていた。スペックの体は緑色のアメーバ状になってベッ
ドからずり落ちて、床から扉へ這いずって移動した。覗き窓の鉄格子の間から
ところてんみたいにあふれ出して、シコルスキーの足元に落ちた。
「よし、よく頑張った」
 シコルスキーは別に驚かない。最凶死刑囚ならこのぐらいの芸当はできて当
たり前なのであった。アメーバのスペックは大きなボールの形になって跳ね回
って、中国に行ける喜びを体いっぱいに表現している。
「さあ、残りの三人を捜しにいこう」
「ウー」
 捜す当てもなければ金もない。あるのは鍛え上げた己の肉体と、役に立つだ
ろうと確保しておいた柳の毒手だけ。それでもシコルスキーとスペックは歩き
出した。そう、大擂台賽の舞台に立つために! その手に未来を掴むために!

29 :わかめ戦隊石立鉄男 第三話「胎動」:05/02/23 22:07:07 ID:k5JuwKWj0
「この辺だ! 探せ!」
 そこは一面のゴミの山だった。警視庁から出たゴミはこの埋立地に集められ
る。最終的な処分がまだならば、ドイルはこの山のどこかに眠っているはずで
あり、処分されていないことはシコルスキーには分かっていた。
「半径10メートル以内のゴミ袋だ! 片っ端から破りまくれ!」
 シコルスキーは大きな懐中時計のような機械を持っている。機械の盤面はス
クリーンになっていて、中央に黄色い光が点滅していた。行きがけの電器屋で
買ったドイルセンサーが大いに役に立っている。金は通りすがりの中学生から
もらった。
「うおー!」
 シコルスキーがもの凄い勢いでゴミ袋を破いて中身をぶちまけているところ
へ、警備員がやってきた。見るからに怪しげなロシア人とアメーバを交互に見
て、うさん臭そうに言った。
「あんたら、何してんの?」
「同僚の死刑囚が埋まっている! アンタも手伝ってくれ!」
「よし分かった!」
 意外と物分りのいい警備員だった。左手の小指を折り曲げてヒジから鋭い刃
を出して、流れるような動きでゴミ袋を切り裂いていった。実に鮮やかな手並
みである。
 シコルスキーと警備員がこんなに頑張っているのに、アメーバのスペックに
は手がないので何もできない。なんとなくそこら辺を這いずり回って、ゴミ袋
を粘液だらけにして遊んでいる。当然シコルスキーの罵声が飛んだ。
「何やってんだジジイ! つれて来てやったんだからちゃんと働け!」
 ジジイ呼ばわりがたいそうカチンときた。緑色だったスペックの体が怒りで
真っ赤に変色して、大きく伸び上がって何倍にも広がった。

30 :わかめ戦隊石立鉄男 第三話「胎動」:05/02/23 22:08:44 ID:k5JuwKWj0
「ウー!」
 咆哮を上げてシコルスキーと警備員の上に覆いかぶさった。すんでのところ
でかわした二人の目の前に猛烈な水蒸気が吹き上がり、スペックの下敷きにな
ったゴミ袋がみるみる内に溶けていった。止める間もあらばこそ、ゴミ袋は一
つ残らず溶けてなくなり土の地面がむき出しになった。もちろんドイルのドの
字も見当たらなかった。
「ドイルー!」
 ドイルはゴミ袋と共に露と消えた。シコルスキーは友の名を叫んで泣いた。
すっかり落ち着きを取り戻したスペックも緑色に戻って、自らの所業を悔いて
泣いている。力の及ばなかった警備員も嗚咽を漏らしながら、体中に仕込んだ
刃を出し入れしたり胸から火を噴いたりして死者の魂を弔っている。シコルス
キーは泣きながら傍らのゴミ袋を破いて中身を漁って、古ぼけたスリッパを手
に取った。泣きながら警備員の背後に回って、泣きながら後頭部をスリッパで
思い切り引っぱたいた。
「てめえがドイルだ! 何やってんだバカ!」
「話は聞いた! 私も中国に行くぞ!」
 なんのリアクションもなく、いきなり本題に切り込んだ。誰から話を聞いた
のかは分からないが、とにかくドイルも大擂台賽の参加を承知してくれた。こ
れで三人。残る最凶死刑囚は二人だ! 探せ!

31 :わかめ戦隊石立鉄男 第三話「胎動」:05/02/23 22:10:24 ID:k5JuwKWj0
つづく。

32 :作者の都合により名無しです:05/02/23 22:15:10 ID:WF62ICmb0
ワラタ。本当に。
一話もそうでしたが、今回のSSはベタな吉本臭がしますね。


33 :作者の都合により名無しです:05/02/23 22:51:22 ID:eHGIpjN00
>戦隊さん
ワロタ。もうそれしか言えない。
ここまで不条理な作品は久々だ。

>26
的確に戯言の本質を突いてるなw

34 :忍者の証:05/02/23 23:59:24 ID:oDs+ogD90
第七話 第一の結界 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/aopi/06.htmの続き

オレたちは森の中をてれてれと、自然を楽しみながら歩いて行く。
まあ、エルフの王様みたいなヤツをブッた斬るっていう目的があるこたァあるが、
奴さんは何十年も寝てたらしいから、少しくらい到着遅れたところで大差ねえだろう。
まあ、あっちも待っているとはとても思えねーし。

 もっり〜を越〜え行っこうよ〜 くち〜ぶえ〜吹きつ〜つ〜♪

問題はこのメイっていう嬢ちゃんだ。さっきからはしゃぐわ唄うわ五月蝿くてたまらん。
「あのなぁ嬢ちゃん、少しは落ち着いて歩けよおめーはよ」
だが嬢ちゃんはオレの言う事を聞きゃしねえ。どころか注意すると噛み付いてきやがる。
「アタシの勝手だもん。それにこんな天気が良い日に唄わないのはバチ当たるわよ」
どーやら、使命感は感じててもその面倒さは良く分かってないらしい。いい気なモンだ。
「アタシの歌どーよ? 魔法使いだけじゃなくてバード(吟遊詩人)も目指そーかな」

オレのこれ見よがしの溜息を、予想通りまったく気付かない嬢ちゃん。頭痛がしてくる。
「アタシねアタシね、村から遠出するの始めてなんだ。もう嬉しくて嬉しくて。
 でも。 ……最初の旅の連れがゴリラ忍者なんて。カッコ良い人が良かった」
逢って2日目で目上の人をゴリラ呼ばわりかい。流石にムッとする。メイがケラケラ笑う。
「ごめんごめん、ゴリラ忍者じゃなくて忍者ゴリラだったっけ? きゃははははは」

こりゃ敵わねーわ。オレは酷くなる頭痛を我慢しながら歩を速める。
「ちょ、ちょっとアンタ歩くの速過ぎっ。もっとゆっくり歩きなさいよゴリラマスター!」
より一層ぎゃんぎゃん喚く嬢ちゃんに、少し歩調を合わせるとようやく大人しくなる。
森が開けてきた。更にしばらく歩くと勾配が徐々に急になり、やがて頂上へ辿り着いた。

「ふわあ、すっごい眺め〜」
メイはお気楽に感動しているが、オレは少しこの話を引き受けたのに後悔し始めていた。
眼下の盆地には砂漠が広がっている。その中央辺りにピラミッドが建っていた。
そのピラミッドから、ここからでも感じる途轍もない妖気に、オレは眩暈を感じていた。


35 :忍者の証:05/02/24 00:00:18 ID:KN7zSitg0
生まれて初めて見る光景に興奮気味のアタシ。エルフの超視力で様子を一睨みっと♪
そんで、目の下に広がる砂漠にはおっきなピラミッドがひとつ。
その周りをぐるっと囲むように小さな祠が4つ。あ、ここが宝玉を封印してるトコね。
村長様は言ってたっけ。アタシの村に一番近い、南の祠から右周りに攻略しなさいって。
そして最後にピラミッドに乗り込んで、ン=ヴォスをやっつけて終〜わりっと。

あ、でもなんかガラの奴、すっごい顔でピラミッドを睨んでる。
きっとピラミッドに眠るお宝を強奪しようと思ってんのね。嫌らしいスケベゴリラめ。
「ねえガラ、そんな間抜け顔で睨んでても仕方ないじゃない。早く山を下りて祠に行こっ」
「ん、ああ。 ……仕方ねえから行くか、嬢ちゃん」
「いい加減に『嬢ちゃん』は止めて『メイ様』と呼びなさいよっ」
「……なんでおめーに様付けしなきゃならねーんだよ」

ガラはなんかブツクサ言ってたけど、アタシが無理やり引っ張って砂漠へ向けて出発した。
たっぷり3時間歩くと、ようやく目指した祠に到着した。体力無いエルフにはきついっす。
最初の『風の祠』の入り口の前から砂漠を見渡す。
しばらく先にピラミッドがでーん、と偉そうに鎮座してる。ゴクリ、と唾を呑むアタシ。
あそこに、エルフ史上2番目に天才の、すっごい大魔法使いが眠ってるんだ…。
(ちなみに一番は当然アタシ。まだ未熟だけどね、エヘヘ)

ガラがとアタシの頭を小突く。馴れ馴れしいゴリラだ。
「おい、とっとと済ませようや。入り口の魔法封印をさっさと解きな」
その言葉にムッとしながらも、祠の鉄門扉に施された魔法錠(ウィザード・ロック)を
開錠する呪文を、アタシは鈴の転がるような美しい声で唱え始めた。
「ブロン・ドーブ・セシオン……メイス(開門)!」


36 :忍者の証:05/02/24 00:01:26 ID:KN7zSitg0
祠の入り口の鉄門扉が、嬢ちゃんの魔法解除呪文でギイ、と音を立てて開いた。
「どう、アタシの呪文の腕前は? アタシと違ってなーんにも出来ないわね、キミは」
オレの前で胸を張るメイ。顔は童顔だが、胸はデカい。エルフの種族の成長はわからん。
「まあ、扉は動かねーし攻撃もしてこねーからな」
「もう、褒めてくれたっていいじゃないのよー」 
口を尖がらせて拗ねるメイ。やっぱりガキだ。オレは扉の中へと進入しようとした。
「ちょ、ちょっと待ってよ、何あるか分からないから、アタシの魔法探知で危険を……」
「嬢ちゃんの魔法探知で避けられる危険なら、そりゃ最初から危険じゃねえよ」
「バ、馬鹿にしてえ〜。このゴリラ忍者、ゴリラマスター!」

付き合いきれねえからゴネるメイを放っておいて祠の中に進む。恐々着いて来るメイ。
地下迷宮、というほどの高度な造りではなかった。ほぼ一本道。
魔物に出会う事も無く、ずんずん奥へ進むオレたち。そういやケイトが言ってたな。
最初の祠で苦戦するようなら、ン=ヴォスには相手にすらならねえって。
……つー事は、本番は次の祠以降って事か。

程なく、オレたちはダンジョンの深奥へ辿り着いた。
お約束通り祭壇が祭られており、その中央にピカピカと大振りの宝石が輝いている。
周りには悪魔の彫像が4体、祭壇を守るように不気味にオレたちを睨み付けていた。
「おいおい、この宝玉壊すのか。もったいねーな、売りゃ幾らになるのやら」
そう言いつつも、オレは背なのムラサメの柄に手を掛ける。その瞬間、彫像が動いた。
「ヒイイ、置き物が化けて出た、かい〜じゅう〜だ〜」
メイは彫像が急に動き出し、翼を広げてオレたちを威嚇し始めたのを見て腰を抜かす。
「おいおい嬢ちゃん、こりゃダンジョンのお約束だろ?」
スラリ、と背中のムラサメを引き抜き、生命を宿した悪魔の彫像へ殺気を放つ。
「ガーゴイル、かい……。最初の相手にしちゃ物足りねーな」


37 :忍者の証:05/02/24 00:02:25 ID:KN7zSitg0
普段は本当に不細工なんだけど、刀を抜くとコイツの顔付きは変わる。
そんなガラは余裕気に化け物に対峙してるけど、お嬢様育ちのアタシはついパニクる。
それでも健気なアタシは必死に、村長様に教わった魔物の知識を総動員をする。
えーと、この化け物は、えーと、そうだ名前はガーゴイルだっ。 えーと、えーと?
「こ、こいつの苦手な呪文は、炎撃系だったけ、雷撃系だったけ? それとも冷凍系?
 ああ、そう言えばアタシ、コールドの呪文使えな〜い! あわわわわ……」

ガラはそんなアタシを振り向かず、ガーゴイルたちをジッと見据えながら言った。
「危ないからオレに任せて下がってな、嬢ちゃん」
そのガラの言葉に冷静になるアタシ。するとガーゴイルの知識もスラスラ思い浮かぶ。
「ガーゴイルってばね、普段は地獄の第一層にいる有翼の下等悪魔だけど、
 強力な召還魔法の使い手が地獄から召還して、使い魔にする事もあるの♪」
「おめーは一体、誰に向かって解説してんだよ」

ガラが呆れ顔で振り返って言った。もう足元には一匹ガゴちゃんが転がってる。すげえ。
「え、アンタが知らないと思って…」
「いいから、危ないからずっと後ろの方で見てろって」
ムッとするような事を言って、また剣を振るバトルゴリラ。頑張れ、負けるなガーゴイル。
でも、コイツは本当にアタシの魔法を信用してない。ならば、アタシの取る道はひとつ。
「もう、馬鹿にしてッ。アタシが残りの3匹やっつけるから、アンタはどいてて。
 えーとえっーと、…タイ・ト・ロー 光弾よ敵を撃て 鋼雷破弾(アンセム)?」

あれ? アンセムの呪文の詠唱ってこれで良かったっけ? 途中で自信が無くなるアタシ。
それでも十数発のマジックミサイルは発射された。 ……アタシの狙いから45度は外れて。
たぶん自信なくて、呪文の言葉が最後、疑問形になっちゃったのがマズったかな?

ガーゴイルの横を抜け、掠りもせずに壁にぶつかり消えるマイマジックミサイル。とほほ。
あ、でも一発だけ当たった!! ……ガラの、背中に。


38 :青ぴー:05/02/24 00:10:04 ID:KN7zSitg0
ゲロさん事故に巻き込まれましたか。大変ですね。
私も昔、子供が急に飛び出して来て軽く跳ねちゃった事があるのですが、
その時は人生終わったと思ったな。
幸い、ブレーキが早くてお子さんはかすり傷程度で済みましたが。
しかし、その時子供の身を案ずるより、自分の保身が真っ先に浮かんだのは
我ながら嫌になった、後で。
皆さんも事故には気をつけて下さい。ゲロさん、お体に気をつけて。

39 :作者の都合により名無しです:05/02/24 02:02:15 ID:R1bHCxE40
メイ可愛いな。しかしメイが子供過ぎるのでガラが原作より落ち着いてみえる。
このコンビいいな。それとるろうに剣心の女忍者に性格似てるね。操だったけ?

あと、戦隊の人って昔、マルチメディア書いてた人?VSさんかとも思ったけど。
新人さんなら一番うれしいけどね。

40 :輪廻転生 最終章:05/02/24 04:02:35 ID:rTLImjee0
天下一武道会 会場 選手控え室にて—-
「あのヤムチャが・・・。」ぽつりとクリリンは呟いた。
タバコを吹かし腕と足を組み椅子に腰掛けている。静かだが心中は
複雑である事がわかる。少なくとも仲間達にとっては。
「それなりに鍛錬を積めばウーブに勝つ事は可能だろう。
ウーブは若いし経験も浅い。ただ不可解な点が一つある。」18号が言う。
「何ですか?それ?」悟天が18号に尋ねる。
「ウーブは蹴りの後気弾を放つ事が出来なかった。蹴りを払われた直後にだ。
おかしい。この大会何かある。」
観戦の為に出て行こうとする18号達。
「18号さんでも見破れなかった。一体奴は何をしたんだ?」訝しげに呟くトランクス。

そして遂に本選が開始された。待ってましたと言わんばかりに沸く観客。彼らにしてみれば予選など前菜ですらないのだ。予選で盛り上がったとはいえやっとエンジンがかかった程度のモノだったのだ。
「今から年少の部 第一回戦!ブラ選手VSレイアス選手を開始します!」審判が叫ぶ。
レイアス=マーノリス。東洋系のムエタイ選手である。年齢は16歳。ブラと同い年である。


41 :輪廻転生 最終章:05/02/24 04:05:05 ID:rTLImjee0
「あの子ね。例の作戦通り・・。」ブラは呟いた。
レイアスは沈黙していた。ウォームアップは十分にした。後は集中するだけだ。
ドアを叩く音が聞こえた。誰だ?家族は遠い国にいる。襲撃なのか?
身構えるレイアス。そしてドアが開いた。
「こんにちは!ソープサービスの者でーす!」
レイアスは唖然とした。いきなりこれだ。いや色気作戦で油断させた所をズドンかもしれない。目の前の金髪美女のバニーガールを警戒しなくてはならない。
「出て行ってくれないか?試合直前なのでね・・。」レイアスが呟いた。
レイアスの言葉が終わるか終らないかの内に突風が巻き起こった。
レイアスは目の前の光景に唖然としていた。自分は今ズボンを下ろされ陰茎をしゃぶられている。
「おうっ。あ・・・あ・・・イ・・ク・・。」
レイアスは尻餅を突くと同時に射精した。続いて陰茎が指によっていじられる。
「う・・・あ・・・。」
二度目の射精が起こった。
「じゃあね。バイバイ。」微笑みながら言うバニーガール。
バニーガールが扉から出て行くのを見送った後レイアスはズボンを上げると同時に呆然としていた。今のは一体何だったのだ。策略なのか?精を奪われたという事なのか?


42 :輪廻転生 最終章:05/02/24 04:06:17 ID:rTLImjee0
「行こう。」マリアスは呟いた。
集中力には欠けているかもしれない。だがやるしかない。それが今なのだ。


「ブラ選手VSマリアス選手!開始ィー!」審判がマイクに向かって大声で叫んだ。
レイアスはぼーっとしていた。先刻射精してから数分後、自分では落ち着いたと思っていた。だが違った。既に若い女を見れば興奮してしまうようになっていたのだ。ブラの
姿はヴィーナスに見えていた。
「ハァハァ・・・イイねぇ。君。今度ホテルで・・・。」
興奮して顔を赤らめながら言うマリアス。そしてそれに歩み寄るブラ。
「あーっと!ブラ選手!接近する!関節技を仕掛けるのか!」実況が叫ぶ。
「こんな時にアソコを膨らまして・・・恥ずかしくないのッ!?」ブラが叫ぶ。
「ソコッ・・・キモチイイ・・。」
ブラはレイアスの股間を掴んで優しく揉みしだいていた。次第に我慢汁が出てくる。
今さっき射精したばかりなのに。
「臭いけど・・・これって戦いなのよね!」ブラが叫ぶ。
マリアスが射精するのとブラがレイアスの袋の一つを握りつぶすのが同時だった。
「最も最も最も最も最も最も手ごわい相手・・・それは・・オンナァーーー!!!」
絶叫しながら倒れるレイアス。そしてそのままテンカウントが取られた。
「勝者!ブラ選手―!」審判が叫んだ。


その頃、第二控え室にて—---
「ククク・・・やりやがるな。プーアルを買収してか。」ヤムチャが呟いた。
そして水を口に含む。
「あのジイさんの技を使えばあいつ皆終わりなんだけどな・・・。」猫が言った。
ヤムチャが特殊能力を手に入れてから行動を共にしている猫は自らをDIO
と名乗った。


43 :輪廻転生 最終章:05/02/24 04:07:46 ID:rTLImjee0
今回の投稿はこれで終わりです。

44 :作者の都合により名無しです:05/02/24 12:49:34 ID:RqN6YMLNO
輪廻サソお疲れ様。
これから大規模な攻城戦が始まる感じデツネ。セルが暗躍してていい感じデツ。

45 :作者の都合により名無しです:05/02/24 15:08:17 ID:hJaI785E0
メイはイタさと可愛さのギリギリの境界線で綱渡りしてるな。
なんとなくふらーりみたいだ。いや、この作品もふらーりも好きですけどねw

46 :作者の都合により名無しです:05/02/24 16:27:50 ID:bTT0YDmt0
話の流れがよくわからないんだけど、
一体ブラは誰と戦ってるの?

47 :作者の都合により名無しです:05/02/24 17:16:04 ID:ZUWKYBDzO
>草薙さん
年少の部、16歳以下と記しておいて性的なものに持ち込むのはモラル的にどうかと思うのですが・・・。
変なケチつけてすみません、あまりにも気になったもので・・・。

48 :作者の都合により名無しです:05/02/24 18:01:40 ID:4uGxzJcy0
>輪廻さん
いつの間にブラの相手は改名したんだw

49 :魔法戦隊ネギま! 第四話「焦燥」:05/02/24 22:16:44 ID:XqNiGrLs0
>>30
 柳は公園で消息を絶ったらしい。その後の行方は杳として知れない。手がか
りを求めて、三人は公園へ向かうことにした。
 埋立地から公園まで一時間ほどの道のりで、ドイルは七回車にはねられた。
最凶死刑囚なのでケガはないが、明らかに足取りがおかしい。七回目の事故の
直後、シコルスキーは思い切ってドイルに疑問をぶつけてみた。
「アンタ、ひょっとして目が見えないんじゃないか?」
「見えん」
 毒のせいだろう。オリバがドイルのことを毒に冒されてばっちいと評してい
たが、ばっちい上に役に立たない。シコルスキーはドイルへの友情が急速に薄
れていくのを感じた。そんな空気を察したのか、ドイルは胸を反らして言って
みせた。
「大丈夫。目が見えなくても、私は常人と変わらず動くことができる」
 だったら車もよけやがれ、とシコルスキーもスペックも周りの野次馬も思っ
たが、みんな優しいので口には出さない。ドイルは起き上がって赤信号の横断
歩道を歩きだした。
「さあ、目指す公園はすぐそこだ! 張り切っていこう!」
 言ってるそばからまた車にひかれたら面白いのに、何事もなく渡りきった。
ドイルのそういう空気を読まないところも、シコルスキーは大嫌いだった。

 公園に到着した。よく晴れた午後の公園にはすべり台で遊ぶ子供がいて犬を
散歩させている女性がいてベンチでくつろぐ老人がいて、柳と本部が死闘を演
じたことなどまるで感じさせないのどかな風景であった。
「よし」
 シコルスキーは柳の毒手を取り出して、のどかな広場のど真ん中に置いた。
こうしておけば、柳は必ず大事な毒手を取り戻しにくる。罠を仕掛けて待つこ
とにした。

50 :魔法戦隊ネギま! 第四話「焦燥」:05/02/24 22:17:37 ID:XqNiGrLs0
「ところでシコルスキーくん」
 茂みの中に身を隠すとドイルが声をかけてきた。心なしか顔が青ざめている。
「ん?」
「私の目が見えないのは、ヤ・ナーギの毒のせいなんだがね」
「ん」
「ヤ・ナーギが現れたら、ただちに殺しても構わないね?」
 構うに決まっている。五人揃えて大擂台賽に参加しようというのだから、一
人欠けただけでも計画がパーになる。
「ダメ。我慢しろ」
「いやだ。私はやる」
 シコルスキーは天を仰いでため息をついた。首尾よく柳を確保したとして、
隣のバカの暴発をどうやって食い止めようか、考えただけで頭が痛くなった。
 しばらくして、頭の悪そうなガキが近づいてきた。毒手のそばにしゃがみこ
んで、不思議そうに棒で突付いている。
「ヤ・ナーギか!」
 目の見えないドイルが立ち上がった。シコルスキーはドイルの頭を押さえつ
けて無理やり座らせた。
「違う」
「そうか」
 ドイルのせいでこちらの存在がガキにバレた。鼻水を垂らしてこちらを見つ
めるガキに、シコルスキーは小石を投げて追っ払った。
 またしばらくして、今度は野良犬がやってきた。毒手の匂いを嗅いで、すぐ
に興味を失って毒手に小便を引っ掛けた。
「ヤ・ナーギか!」
「違う」
「そうか」
 立ち上がりかけたドイルはしょんぼりして腰を下ろした。犬と人の気配の区
別もつかないようだった。シコルスキーは念を飛ばして犬を追っ払った。
 更にしばらくして、柳がやってきた。自分の毒手を発見して、しかしすぐに
は拾わなかった。罠を警戒しているようだ。

51 :魔法戦隊ネギま! 第四話「焦燥」:05/02/24 22:18:35 ID:XqNiGrLs0
「今度こそヤ・ナーギか!」
「違う」
「そうか」
 ドイルはシコルスキーのウソに何の疑惑も持たなかった。柳は辺りに目を配
って、そしてニヤリと笑った。毒手のすぐそばにつっかえ棒があって、巨大な
ザルが立てかけてあるのを発見したのだ。
「そんな幼稚な罠に引っかかるか! バカめ!」
 柳はつっかえ棒を蹴倒した。ザルは誰もいない毒手の上に覆いかぶさって、
そのザルを素早くのけて中の毒手に手を伸ばした。その時だった。
「ウー!」
 柳には何が起こったのか分からなかった。目の前が突然緑色の幕に覆われて、
それきり気を失った。

52 :魔法戦隊ネギま! 第四話「焦燥」:05/02/24 22:19:23 ID:XqNiGrLs0
 目が覚めると、シコルスキーとドイルと変なアメーバ状の物体が自分を取り
囲んでいた。
「よーしスペックえらいぞ、ご褒美だ」
「ウー!」
 スペックはシコルスキーに貰った骨付き肉をうまそうに体内に取り込んでい
る。すっかりペットの分際に落ちぶれている。緑色の幕の正体はスペックで、
ザルとスペックの二重の罠を張っていたことは言うまでもない。シコルスキー
は意識の回復した柳に言った。
「捜したぜ、ヤ・ナーギさん」
「やはりヤ・ナーギか!」
「だから違うって」
「そうか」
 柳はシコルスキーとドイルの訳の分からないやりとりをぼんやりと聞いてい
る。奪還した毒手を見つめて、次に三人に視線を移して口を開いた。
「何事だこれは」
「実はだな」
「そうか、そういう事か」
 シコルスキーが何も言わない内に、柳はすべてを理解した。最凶死刑囚同士
だから話が早くて助かる。柳も大擂台賽の参加には大乗り気だった。
「しかし、わざわざ罠を張らんでも声をかけてくれればよかったのに」
「行方をくらましているんだから、のこのこ出て行ったら逃げられると思った」
「ははは、違いない」
 シコルスキーは柳と一緒に笑ったがすぐに真顔になって、柳の左手を強く握
った。
「頼りにしてるぜ、ヤ・ナーギさん」
「さてはヤ・ナーギか!」
「違うって何度も言ってんだろ。しつこいな」
「そうか」

53 :魔法戦隊ネギま! 第四話「焦燥」:05/02/24 22:20:17 ID:XqNiGrLs0
 最凶死刑囚たちの最初の出会いは地下闘技場だった。世に敵はなしとうそぶ
いていた彼らはその後それぞれに敗北を味わって、ある者は自我が崩壊しある
者は毒手を失い、ある者は人間を捨ててアメーバになった。キラ星のごとき最
凶死刑囚たちは心も肉体も打ち砕かれて、輝きを忘れた星屑となった。しかし
時を経てここに邂逅を果たし、一つの巨星として復活を遂げつつあるのだった。
 星屑の最後の一片は中国にある。四人の到着をいまや遅しと待ちながら、孤
独な闘いを続けている。
「さあ! ドリアンを迎えに行くぞ!」
「あちょー!」
 四人は意味不明の奇声を発して飛行機に勇躍乗り込んだ。いざ、中国へ!

54 :魔法戦隊ネギま! 第四話「焦燥」:05/02/24 22:22:06 ID:XqNiGrLs0
つづく。

55 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:37:08 ID:3UNcKpwR0
誰 と 打 つ ?

01:ケンシロウ
02:ISAMI組
03:出木杉英才
04:K
05:
06:
07:
08:
09:
10:
11:
12:

56 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:38:04 ID:3UNcKpwR0
「お前は誰だー!」
 のび太は大きく跳躍して、雀卓の上でゴーゴーを踊っていたKに巨大な万点
棒を振り下ろした。Kは上下に揺さぶる両手で万点棒をお手玉しながら、のび
太に愛の言葉を囁いた。
「ボクだよ! のび太くんの親友でスーパー優等生のKだよ! 忘れてんじゃ
ねーよ!」
「ウソつけ! ボクの知ってるKくんはもっとクソチビでツルッパゲで、給食
のお釜に青酸カリを混ぜる超問題児だい!」
 今のKは日本の小学生ではなく、本来のハリウッドスターのキアヌ・リーブ
スに戻っている。
「あ、そうか」
 Kは気がついて、ゴーゴーをやめて雀卓から飛び降りた。支えを失った万点
棒は空を切って雀卓に当たり、雀卓は真っ二つに割れて爆発して蒸発した。
「のび太くん、これならどうだい?」
 Kはのび太の手から万点棒を引ったくり、バトン代わりに振りながらバレエ
みたいにクルリと一回転した。Kの体が光に包まれて、光が消えるとのび太の
よく知るKの姿になっていた。
「Kくーん!」
 のび太は泣きながらKに抱きついて、Kの顔中をなめ回した。
「帰ってきてくれたんだねKくん! 会いたかったよKくん!」
「のび太くん、ボクがこの雀荘に来た時にKくんって言ってたじゃねーか」
「ボク、知らない人を見たらまずKくんって呼ぶことにしてるんだよ!」
「ははは。のび太くんのそういう所、ボク大っ嫌いだよ。離せバカ」
 Kはのび太を蹴り倒して、元の姿に戻って手近の椅子に座った。つば臭い顔
をハンカチで拭いて、高級そうな葉巻に火をつけた。
「しかし何だね。ボクの素顔を見てお前は誰だってのはご挨拶だね。のび太く
ん、キアヌ・リーブスを知らない訳じゃないだろ?」
「知らね」
 のび太は鼻クソをほじりながら事もなげに言い放った。知っている方がどう
かしている、といった傲慢極まりない顔をしている。

57 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:39:56 ID:3UNcKpwR0
「うへー! 天下のキアヌ様を知らないのかい!」
 Kも鼻クソをほじりながら、涼しい顔で葉巻をふかしている。声の割にはあ
まり驚いた風ではない。
「大ヒット映画のマトリックスに主演したキアヌ・リーブスだよ! 本当に知
らないの!?」
「オツカレッスだのケアナだの、そんなもん誰も知らねーっつの。青酸カリの
給食で学校がどんだけえらい騒ぎになったと思ってんだよ」
「みなさーん!」
 Kはのび太の糾弾をハリウッド仕込みの華麗なテクでシカトして、雀卓の上
にのぼってメガホンで周りの人間に呼びかけた。
「キアヌ・リーブスを知っている人、手を挙げてー!」
 のび太をのぞく全員が手を挙げた。Kはさらに呼びかけた。
「はい、ウソをついている人は手を下ろしてー!」
 全員が手を下ろした。結局、誰もキアヌ・リーブスのことは知らなかった。
「コラ」
 Kは向こうの雀卓のアカギにメガホンを投げつけた。アカギが生意気にもよ
けたので、メガホンは床に落ちて奥の厨房へ滑っていった。
「他の奴らはともかくとして、お前がオレを知らないのはあんまりだろ。アカ
ギもマトリックスに出演してるだろうが。犯すぞ」
 アカギとKはマトリックスで共演している。ただしアカギは単なるエキスト
ラなので、アカギがKを覚えていても主役のKがアカギを覚えていることはない
ように思える。しかし多数のハリウッド映画でエキストラをこなすアカギは、
収録後にスタッフや共演者をつかまえて麻雀でケツの毛までむしり取って、主
演俳優の何倍ものギャラを稼いで日本に凱旋帰国するのを常としている。一介
のエキストラとはいえ、ハリウッドの裏のボスとも言うべき存在なのであった。

58 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:41:30 ID:3UNcKpwR0
 このネタを書いているのは2005年の二月で、マトリックス最新作の「マトリ
ックス・レボリューションズ」が公開されてから一年以上もたつ。この時点で
すでに知らない人がいるかもしれないし、西暦3000年にこれを読んでいる人間
だっているかもしれない。「マトリックス」について、簡単におさらいしてお
こう。
 マトリックスとは、主人公のネオがロープにぶら下がって悪と戦うハリウッ
ドの映画である。すごく人気があった。
 以上。より詳細なストーリーが知りたい方は、2005年二月現在DVDが発売さ
れているのでそちらをお買い求めいただきたい。西暦3000年の人は知らん。

59 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:42:35 ID:3UNcKpwR0
「冗談だ」
 アカギはクククと笑ってまた手を挙げた。裏ボスだからといって言っていい
冗談と悪い冗談があるが、これは別にどうでもいい冗談であった。
「ここにいる連中は知らないみたいだけどなー」
 厨房からセワシがやってきた。カレーまみれのメガホンを口に当てて、ピー
ピーガーガーいいながら喋っている。
「のび太なー、キアヌ・リーブスっつったら、実際かなりの有名人なんだぞー」
「セワシくん、カレーの中にメガホンを落としただろ」
 ドラえもんがドスのきいた声でセワシに言った。セワシは黙っている。
「最初から作り直せよ。少しでもメガホンの味がしたら独裁スイッチだかんな」
「カレーのことはオレに任せろ! 素人の口出しは許さん!」
 セワシの声があまりに大きかったので、震動でメガホンのカレーがドラえも
んにはねた。ドラえもんが元の黄色いドラえもんに戻ったので、セワシは安心
して話を続けた。
「マトリックスもすごい人気映画でなー。オレはこないだ未来でマトリックス
のパート70を見たぞー」
「うへー。マトリックスってそんな長寿シリーズになってんだ。すごいねー」
 Kが他人事みたいに感想を言った。雀荘の雰囲気にすっかりなじんで、浴衣
に着替えて日本酒をあおっている。
「そのパート70は、誰が主人公なのかな。まだボクがやってたりして。うへへ」
 セワシはちょっと気の毒そうな目でKを見た。しばらく考えて、やがて意を
決して口を開いた。
「主人公は19代目のキアヌ・リーブスでなー。初代キアヌ、つまりお前は今か
ら二年後に死ぬんだー」
「うへー! ボク、あと二年で死ぬのー!」
 Kはビックリしてコップを宙に放り投げ、頭を抱えてよろよろと歩き出した。
うへーと叫びながら歩き続けて、のび太たちの雀卓までやってきて空いている
椅子に座ってサイコロを回した。3と4で対7だった。Kは上から落ちてきたコッ
プをキャッチして日本酒をうまそうにグビリとやった。
「ま、死んじまうもんはしゃーねーわな。麻雀やろうぜ」
「へーい」
 半荘スタート。東一局、親はドラえもん。

60 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:43:56 ID:3UNcKpwR0
「しかしKくんも物に動じないというか、つくづく感情に波のない人間だよね
え。そんなんで演技なんかできるの?」
 ドラえもんが第一打の西を切ってKに言った。名優Kの答えはこうだった。
「全然問題ないよ。演技なんて全部スタントにやらせりゃいいんだから」
「ふーん。俳優って楽な商売なんだねえ」
「リーチ!」
 せっかくの白熱トークだったのに、のび太が話の腰を折った。なんかリーチ
とか言っちゃって、第一打の五筒を横に曲げていきがっている。
「のび太くん、ダブリーかあ。相変わらず麻雀をなめてるねー」
 Kはのび太のアホ面を横目で見ながらツモを引いた。のび太は圧倒的優位に
立った気楽さで、スーパースターのK様にタメ口で話しかけた。
「そういえば、Kくんはしばらくお別れだって言ってボクの家を出て行ったけ
ど、どうしてすぐに戻ってこれたの?」
「どーでもいいし興味もない。さっさと誤ロンしてチョンボ代払ってくれよ」
 Kの第一打、一索。

61 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:45:16 ID:3UNcKpwR0
三四四四五(789)23567

「ロン! ダブリー一発ピンフドラ1!」
「聞いてくれよのび太くん!」
 Kは雀卓をひっくり返して麻雀牌をぶちまけて、のび太の手を握りしめて熱
く語り出した。
「ウチのボスったらひどいんだよ! 新作映画を撮るからすぐ戻って来いって
んで、大好きなのび太くんとお別れしてまで飛行機に乗ったのに、ギャンブル
で負けて金がないから映画撮れないって! 日本に戻って盆栽でもいじってろ
って! ひどいよボス! ねえ、のび太くんもひどいと思うだろ?」
「八千点」
「そうだろ、ハッセ・ンテーンの神様だって怒るよな! のび太くんならきっ
と分かってくれると思ってた! ボクたちは今日からブラザーだ!」
「いいから八千点払え。牌はグチャグチャになってもアガリは有効だ」
 のび太はごまかされなかった。Kは点棒を払う気など毛頭なかった。一触即
発の張り詰めた空気が室内に漂い始めた、その時だった。
「キアヌー!」
 窓ガラスを蹴破って、異形の大男が雀荘に飛び込んできた。

62 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/24 22:48:29 ID:3UNcKpwR0
つづきはまだ書いてないんですが、今考えている通りに
ネタを進めていった場合、テキストオンリーのバキスレでは
表現不可能な形式になってしまうかもしれません。その時は
これ以降はホームページのみの掲載になってしまう可能性も
あります。なんとか修正はしてみますが、ダメだったら
ごめんちゃい。

63 :作者の都合により名無しです:05/02/24 22:57:42 ID:ZbrMQMVj0
復帰おめ。頑張ってここで完遂してちょーだい。


64 :蟲師 虚仮風:05/02/25 11:09:57 ID:y7LreNAL0
前スレ>>481より続き



65 :蟲師 虚仮風:05/02/25 11:11:18 ID:y7LreNAL0
「恐ろしいだろう」
 ギンコと娘は、件の大風の全容を見通せる開けた丘に居た。ギンコの言葉に娘は頷き、
「あの時は弟のことで必死であまり感じなかったけれど……こうして改めて見ると、まるで全身の毛が逆立つような
恐怖があります。とにかく圧倒的で、あの中にもし入ってしまったら一体どうなるのか……」
「そう、思うよな。大概の人間は。無論、俺だって怖い。本能が警告を発している。『あれには近付くな』とな。だが、
それこそがあの蟲の強みでもあり、弱みなのさ」
 ギンコはそう言うと、背負っていた大型の木箱を下ろし、何やらごそごそと探し始めた。
「虚仮風≠ヘな、その名の通り、嘘っ八の風だ。だから、あの中に入っても体は何ともないんだよ……お、あった。
これを奥歯に挟んどけ。万一のこともある」
 ギンコが取り出したのは、気付け薬だった。意識を失いそうになった時に噛むと、大変刺激のある味で意識を無理
矢理繋ぐものだ。



66 :蟲師 虚仮風:05/02/25 11:12:26 ID:y7LreNAL0

 そして二人は、大風の真前までやって来た。
「どうだ、こうして近くまで来ると、そんなに恐怖を感じないと思わないか?」
 ギンコは娘に言う。
「そうですね……ギンコさんの言う『嘘っ八の風』って意味が、なんとなく分かります。目の前で風が吹いてるように見
えるけど、実際体に風を感じない。こんなに大きな風に近付いたら、ただではいられない筈なのに――」
「遠くで見ているときは、視覚情報が主に恐怖を伝える経路なワケだ。だがこうして近付くと、それ以外の感覚で判断
しようとする。そうなると、この風が『風』の要素を持ちえていないということがよく分かる。こいつに出来得る抵抗は、
遠くの者の精神に威圧を与え、この中に入ってこさせないようにすることだけ。成る程、虚仮だな」
 だが、中は違う。ギンコはそう言い、続ける。
「一緒に入ってくるのなら、気を強く持て。油断すると、吹き飛ばされる」
「え? だって、この風は嘘の風だって――」
「俺は『体は何ともない』と言った。あくまで体は、だ。中に入るとな、こいつは拒否反応を起こすんだよ。ヒトの肉体は
飛ばせないから、代わりに精神を吹き飛ばそうとする。気をつけろ。常に何かを想っているんだ。そうすれば、耐えら
れる。ところで、名前は?」
「え?」
 娘は、脈絡も無く名を訊かれ、少し戸惑った。目を伏せて、
「…キク、です。あの、ところで、さっきのお話を聞くと、弟はどうなんで……」
 キクが前を見ると、ギンコはもう居なかった。風の中から、声がする。
「キクか。もしお前が危うくなったら、大声でその名を呼ぶからな。起きろよ」
「ちょ、ちょっと置いてかないで! 一人で行かないで下さい!!」
 キクが遅れて、風の中に入った。



67 :蟲師 虚仮風:05/02/25 11:13:58 ID:y7LreNAL0
調子悪いけど、何か悶々とするんでこんなん書いてます。短くてすいません。

前スレ>>483
あまり都合の良すぎるハッピーエンドはどうかと思いますが、自然な形ならいいですね。

>>534
最近、精神的な方に傾きすぎていると思うんで、ちょっと傾向を変えて行きたかったのですが……
どうしても「なんかデカイのが出てきて大変だー」的な(ハリウッド的な)話が書けない。
ゲームは、一歳位からやってたような。そりゃ目も悪くなるわ。最近は別にそんなにやんないですが。

>>38
どうも。焦りました……
幸い、関わった人全員怪我もなく済んだようですが、事故ってのは日常の中の非日常ですね。
いつでも起こり得る事柄なのに、どこか常軌を逸しているあの感覚。まさか自分が(完全被害者とはいえ)関わるとは。
俺も身の保身が一番のダメな男なのですが、とにかく加害者には絶対ならないようにしよう、と思うばかりです。

では、そのうち。次回『虚仮風』完結。

68 :作者の都合により名無しです:05/02/25 21:05:16 ID:T3SCckNaO
つ旦

69 :作者の都合により名無しです:05/02/25 21:55:10 ID:QIB+vpQG0
VSさん復活して、ゲロさんもとりあえず事故が大事無かったか。
一応めでたいな。お2人ともこれからもがんばってください。

70 :ためいき戦隊あーあレンジャー 最終話「浪漫」:05/02/25 22:52:44 ID:Ip+Ny1GJ0
>>53
 大擂台賽の会場では、勇次郎とヨボヨボの爺さんが闘っていた。爺さんがあ
まりに弱そうでいたたまれなかったので四人は試合から目を背け、手分けして
ドリアンの捜索にかかった。

「ウー!」
 スペックが通路でドリアンを発見した。通路に突っ立って独り言を呟いてい
たドリアンは、気配に気づいてスペックを見た。ドリアンは日本で烈に負けた
ショックでクルクルパーになって、子供の頃大好きだったキャンデーのことし
か考えられなくなっていた。だからきれいな緑色のボールになって跳ね回るス
ペックも、ドリアンの目には
「キャンデー!」
 にしか見えなかった。よだれの飛沫をあげてスペックにむしゃぶりついて、
海王のスーパーバキュームで一滴残らず吸い取ってしまった。
「コレ、キャンデーチガウ。ドリアン、ベリベリガッカリ」
 ドリアンは歯に挟まった金属の塊をペッと吐き出してどこかに歩いていった。
ドリアンの吐いた金属はロケットだった。スペックが肌身離さず身につけてい
たロケットの蓋は開いて、ドリアンの写真がなんだか寂しそうに笑っていた。
スペック、戦線離脱。

 柳もドリアンを捜している。柳の後ろにはドイルがいて、両側の壁に頭をゴ
ンゴンぶつけながら執拗に柳を追いかけている。
「アンタ」
 ドイルが柳を呼んだ。ドイルの狙いはもちろん柳への復讐で、柳もそのこと
をよく分かっていた。柳は前方を見たまま答えた。
「なんだ」
「アンタ、本当はやっぱりヤ・ナーギだろう」
「そうだ。私が柳龍光だ」
「死ねー!」
 光の線が横に走った。ドイルの繰り出した刃の一撃を柳は間一髪でかわし、
刃は柳の前にいた大男の衣服を切り裂いた。大男は中国の毒手使いの李海王だ
った。

71 :ためいき戦隊あーあレンジャー 最終話「浪漫」:05/02/25 22:53:41 ID:Ip+Ny1GJ0
「キサマこそ死ねー!」
 全裸になった李はドイルの横面を毒手で張り飛ばした。この李海王、大擂台
賽の一回戦で刃牙と闘って敗れている。柳の毒に冒されていた刃牙は李の毒を
存分に食らって、なんと毒同士が中和して完全復活してしまった。専門用語で
「毒が裏返る」という。ドイルも柳の毒を受けていたので、李の毒が中和剤と
なって毒が裏返った。
「見える! 目が見える!」
 ドイルの目は治った。光を取り戻した目に殺気をたたえて、憎き柳と全裸の
李を交互に見た。
「どっちがヤ・ナーギだ!」
 ドイルは柳の顔を忘れていた。柳と李は黙って窓の外を指さした。道路の向
こうから、何匹もの豚を積んだトラックがアクセルべた踏みで爆走してくる。
「あの豚がぜんぶ柳だ」
「きさまらがヤ・ナーギかー!」
 ドイルは柳の生物分類も人数も忘れていた。窓ガラスを破って飛び降りて、
真下にさしかかったトラックに着地して豚に向かって正義の刃をふるった。
「ヤ・ナーギ! おおヤ・ナーギ!」
 ドイルと豚を乗せたトラックは速度を緩めることなく、砂煙をあげて地平線
の彼方に走り去った。ドイル、戦線離脱。
「さて李海王よ」
 柳は李に向き直った。中国一の毒手の使い手である李海王の名は、同じく毒
手業界に身を置く柳の耳にも届いている。やることは一つだった。
「世界一の毒手使いの座を賭けて、勝負!」
 李の顔面目がけて投げつけた自慢の毒手を、李は必殺の毒バットで窓の外に
かっ飛ばした。ドイルが消えたのと反対側の車線から子牛を満載した荷馬車が
マッハのスピードで走ってきて、毒手はその荷馬車の上に落ちた。
「私の毒手ー!」
 柳も毒手を追って荷馬車に飛び降りた。子牛と毒手とかわいそうな柳を乗せ
た荷馬車は音速の壁を突き破って、風吹く地平線の彼方に消えていった。柳龍
光、戦線離脱。

72 :ためいき戦隊あーあレンジャー 最終話「浪漫」:05/02/25 22:54:46 ID:Ip+Ny1GJ0
「ドリアーン! キャンデーやるぞー!」
 シコルスキーはバケツいっぱいのキャンデーを抱えてドリアンを捜し回って
いる。選手控え室の前までやってきて、ふいに背後から声をかけられた。
「何やってんの、シコルスキーさん」
 忘れもしない声だった。シコルスキーは振り返って、血走った目で刃牙を睨
みつけた。思えばシコルスキーの転落は、刃牙とのタイマンに負けた瞬間から
始まった。刃牙の鼻の下のスケベボクロにうなされた夜も一日や二日ではない。
すぐにでも仕返ししてやりたいところだが、シコルスキーはそれどころではな
かった。
「うっさいボケ。いま忙しいからあっち行け」
「知ってるよ。最凶死刑囚を集めてオレたちとやりあおうってんだろ」
 シコルスキーは何も言ってないのに、刃牙は事情を知っていた。まさか刃牙
も最凶死刑囚なのか、と考えたがそんな訳はない。おそらく園田から連絡がい
ったのだろう。刃牙は人を小馬鹿にしたような目つきでシコルスキーを見てい
る。鼻の下のスケベボクロもシコルスキーをあざ笑っているように見える。
「アンタらカスが何人集まったって、格闘エリートのオレたちに勝てる訳ない
じゃん。死刑囚は死刑囚らしく刑務所に帰って、便所のフタでも磨いてろよ」
 刃牙のあからさまな挑発に、シコルスキーの怒りが爆発した。
「いい加減にしろクソガキ! あんまり調子こいてっとふしゅるぞ!」
「ふしゅる?」
 刃牙は不思議そうに聞き返した。当のシコルスキーにも意味はよく分からな
い。そういえば刃牙にコテンパンにやられたショックで言語能力が低下して、
ふしゅるとしか言えなくなった時期がシコルスキーにはあった。
「ところでシコルスキーさん、アンタの持ってるそれは何?」
 刃牙は話題の矛先を変えた。シコルスキーはこの質問には真面目に答えた。
「見りゃ分かるだろ。ドリアンの好きなキャンデーだ」
「いや、キャンデーじゃなくて、入れ物の方」
「入れ物? バケツのことか?」
「バケツ?」
 それは確かにバケツだった。刃牙はシコルスキーとの闘いで、油断したシコ
ルスキーにバケツをかぶせてボコボコに殴りつけたのだった。
「キャンデーってさ。丸くて小さくて、何かの形に似ていないかい?」

73 :ためいき戦隊あーあレンジャー 最終話「浪漫」:05/02/25 22:55:47 ID:Ip+Ny1GJ0
 刃牙はまた別の質問をした。シコルスキーは頭に靄がかかったようになって、
思考とは関係なく口が勝手にしゃべりだした。
「ああ、キンタマがちょうどこんな形をしているな」
「キンタマ?」
 バケツをかぶったシコルスキーは刃牙に股間を蹴り上げられて、キンタマを
片方潰された。そしてふしゅるとしか言えなくなった。
 バケツ、キンタマ、ふしゅる。忌まわしき過去のキーワードがすべて揃った。
そして過去が蘇った。
「うらー!」
 刃牙はシコルスキーの手からバケツをひったくって頭にかぶせた。シコルス
キーの足元に大量のキャンデーが転がった。
「でー!」
 もがくシコルスキーをボコボコにぶん殴った。視界を奪われたシコルスキー
に成す術はない。すべてのパンチが命中して、シコルスキーは立っているのが
やっとなほどに足元がふらついた。
「とどめー!」
 刃牙の蹴りがシコルスキーの股間に炸裂して、残り一つのキンタマは潰れた。
シコルスキーの脳裏に、刃牙のスケベボクロとかけおちしたキンタマの姿が浮
かんで消えた。
「ふしゅるー!」
 シコルスキーは断末魔の叫びをあげて、血の小便をまき散らしてひっくり返
った。そこへオリバがやってきた。
「おや刃牙くん。どうした」
「オリバさん、ゴミを捨てといてくんないかい」
 オリバはぶっ倒れているシコルスキーに気がついて、ニヤリと笑って刃牙に
言った。
「ああ、捨てようか」
 シコルスキーの首根っこを掴んで、通路の向こう側に思い切りぶん投げた。
シコルスキーはキャンデーの上を滑るように転がって、突き当たりのダストシ
ュートに飛び込んだ。ダストシュートは焼却炉とつながっており、間もなく焼
却炉の煙突から七色の煙がふしゅると立ち昇った。シコルスキー、戦線離脱。

74 :ためいき戦隊あーあレンジャー 最終話「浪漫」:05/02/25 22:56:51 ID:Ip+Ny1GJ0
「ドリアンモ、ヤル!」
 勇次郎と中国軍大将の郭海皇が死闘を繰り広げる試合場に、一人の男が現れ
た。ドリアンだ。いや、一人ではない。ドリアンの背後には四つの影が控えて
いる。影はすっくと立ち上がり、そして一斉に黒いマントを脱ぎ捨てた。
 中国の最凶死刑囚、張! 姦通罪!
 フランスの最凶死刑囚、アブシェ! ハイジャック!
 インドの最凶死刑囚、ナラーヤ! 放火及び万引き!
 ケニアの最凶死刑囚、ムガジボ! 肛門断裂罪!
「ドリアン、キャンデー五人集メタ! ドリアンモ闘ウ!」
 ドリアン海王を頭に抱いた最凶死刑囚軍団、ここに完成! よかったよかっ
た! というところに郭が歩いて来て、ドリアンに問うた。
「ドリアンくん、キミにとって大擂台賽とは一体何かね」
「キャンデー!」
「ほんじゃあキャンデーやるから家に帰んなさい」
「ドリアン、帰ル!」
 最凶死刑囚軍団、解散! お疲れさん!





75 :ためいき戦隊あーあレンジャー 最終話「浪漫」:05/02/25 22:57:49 ID:Ip+Ny1GJ0
おしまい。

76 :超格闘士大戦:05/02/25 23:18:01 ID:lWSnoRnz0
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kakuto/22.htm
の続き

77 :超格闘士大戦:05/02/25 23:18:46 ID:lWSnoRnz0
<23話>
 「我が盟友、冥王ゴルゴナよ!!そなたの帰還を待ち望んでいたぞ!」
台座の間から、ミストバーンの声が響いていた。門番であるガーゴイル2匹が、
その喜びに満ちているのであろう高鳴った声を、生唾を飲み込みながら耳にしていた。
厚さ数十センチ以上あろうかという、鋼鉄製の大扉を通り抜けて、その声は
彼らの耳に達しているのだ。ミストバーンの声が…である。
かつての魔王軍では、一度口を開いたらその後数十年は口を閉ざすとまで言われていた
その男、ミストバーン。新たな魔王軍の長となってからは、そのようなことはなくなっていたものの、
口数は少なく、しかしながらとてつもない威圧感に満ちたその声を、兵達はたのもしく思い…
または恐怖を感じていた。
今、そのミストバーンの高鳴った声を耳にしているガーゴイル2匹の感情は
そのどちらでもないだろう。聞いてはいけないものを聞いてしまった…。
そんな妙な罪悪感にとらわれていた。
2人はその後間もなくして、門番の職を放棄し、そそくさとその場を離れていった。
耳に入ってきた「ゴルゴナ」という人物の名前。それに関する噂を聞いていたからだ。
一年ほど前から、ミストバーンと通じるようになった人物で、今現在、
魔王軍において、ミストバーンに最も重要視されている新幹部の1人らしい。
「大魔王様の言葉は全てに優先する」それが旧魔王軍時代の、ミストバーンの口癖だった。
口癖というより、発する言葉の全てが、ほぼそれのみだった…と言ってもよい。
どんなことが起ころうとも、大魔王バーンの命を優先する。簡単に言えばそういうことだが、
それはミストバーンの、大魔王バーンへの忠誠の高さをしめしている言葉でもあった。
大魔王亡き今、今その言葉の主の部分は、「ゴルゴナ」に変わっているらしい。
もちろん、ゴルゴナに忠誠を誓っているわけではない。ゴルゴナという人物を信頼し、
誰よりも頼りにしているからこその言葉である。


78 :超格闘士大戦:05/02/25 23:19:54 ID:lWSnoRnz0
「グブブブブ…そう声を荒げるでないわ…そなたらしくないではないか…」
ミストバーンの興奮を見ながら、ゴルゴナが、低い声でそれを抑えるように言った。
 「フフフッ 盟友との再会だ。声を高鳴らせるぐらいさせてくれ…
 黄泉との戦いでバーン様が命を落とされてからはや1年…そなたがあの日私の
 もとへ現れてくれなかったら、私は恐らくバーン様の後を追っていただろう…」
 「それはお互い様だ…貴方と、そして今は無きバーン殿の存在を知らなければ
  こちらとてあのまま宇宙を漂っているだけであった…
  我のおらぬ間のそちらの様子…聞かせてもらおうかな…」
ミストバーンは、地上との通信用に使っている悪魔の目玉を呼び寄せて、
地上と映像を繋げた。写るのは、砂煙が巻き上がる赤土の上で、戦いを繰り広げる
魔王軍のモンスター軍団と、黄泉軍の妖怪達。一通りの映像をゴルゴナに見せると、
ミストバーンが口を開いた。
 「見ての通りだ。そなたの言うとおり、魔界と地上との結界が弱まり、我々は軍を派遣した。
 しかし、予想通り黄泉が邪魔をしにきた様子…。今はエアーズロックへの道を巡って
 戦闘中とのことだ…」
 「ぐぶぶぶぶ…事は…それなりに順調のようだな…」
 「そなたのほうはどうなのか?この計画の手回しをすると言って、姿を消してから
  数ヶ月…一体何をしていたのだ…?」
逆に問われたゴルゴナは、自ら配下としている悪魔の目玉を呼び寄せて、
ミストバーンの目の前に置いた。ゴルゴナが何かをぶつぶつ呟くと、目玉の中心が
ジジッ…と砂嵐状態になり、そして間もなく神殿のような建物が映し出された。
 「お忘れではあるまいな?以前、ミストバーン殿に話した、「聖戦士」の存在を…」
 「もちろん覚えている。魔の力を持った者が地上を我が物にせんとした時…
  聖衣に身を包んだ聖闘士…、宇宙からは光の巨人…、そして勇者ロトの血を引く竜の騎士が
  アテナのもとへと再び集う…」
 「その通り…だが我は、その3つの聖戦士のうち、2つの消滅を確認している…」


79 :作者の都合により名無しです:05/02/25 23:20:05 ID:QIB+vpQG0
お疲れ様でした。
最後までいい意味の「ヘン」さがよかったです。
また着てね!どうせ既存の職人さんだろうけどさw

80 :超格闘士大戦:05/02/25 23:20:43 ID:lWSnoRnz0
 「ほう…」
 「あの時…、遥か銀河のかなたからやって来たという光の巨人…
  奴らの母星は、現在宇宙で最も脅威的な力を持っている集団に攻め込まれている。
  恐らくは、地球に戦士を送る余裕などないはず…」
ミストバーンは何も言わず、ふわっと浮かび上がり、背後にある台座に腰をおろした。
 「それはいい…。しかし、残りの2つ…竜の騎士と聖闘士。そちらのほうはどうなのだ…?」
 「その一抹の不安を消してやろうと、我はここへ来たのだ…。見ろ…」
ゴルゴナは、鳥の骨のように細い腕を、悪魔の目玉のほうへむけ、ビシっと指を立てた。
その動きに呼応して、ミストバーンが首を同じ方向へ向けた。ゴルゴナが目玉に向けて言い放つ。
 「…来るがいい」
間もなくして、2人の眼前にある悪魔の目玉のスクリーンに、黒い法衣をまとい、
厳かな仮面をかぶった男が映し出された。男はこちらにいるゴルゴナの目を見て、
軽く首をコクリを傾けると、肘を突き、深々と頭を下げた。
 「参りましてございます…」
男は頭を垂れたまま、ゴルゴナに挨拶をした。そして同じ体勢のまま、頭を包む仮面を取り、
傍らに置いた。床にまでつくほどの長い黒髪が、仮面の中から姿を現し、男はそのまま顔をあげた。
おおよそ、ゴルゴナの身内とは思えぬ程の綺麗な顔が、悪魔の目玉ごしにミストバーンの目へ
入ってきた。つややかな肌に、綺麗に整えられていると思われる長い髪。
目こそどす黒く濁り、陰の臭気を匂わせているものの、その顔立ちの綺麗さは、ミストバーンの脳裏に
かつて自分たちの邪魔をした、浦飯幽助の仲間「蔵馬」の顔を連想させるに十分だった。
「こやつは何者…?」と言いかけたミストバーンの言葉を、ゴルゴナの、それに対する返答がかき消した。
 「双子座…ジェミニのサガ。先ほど話した、聖闘士どもの頂点にたつ男よ…」
かつてこの世に悪が現れた時、それに対抗する、戦いの神アテナのもとへ集い、
アテナを守るため、命を賭して戦う少年達がいた。それがアテナの聖闘士である。
「聖衣」と呼ばれる一種の鎧に身を包み、大地を砕き、海を裂く程の力を持つという聖闘士。
神話の時代に活躍した聖闘士の脈絡は、遥か時を越えて、現在にも受け継がれていた。


81 :超格闘士大戦:05/02/25 23:21:28 ID:lWSnoRnz0
ギリシャ、アテネ。数々のギリシャ神話の舞台になったこの地に、聖闘士の総本山と言える
聖域…「サンクチュアリ」が存在する。その場をおさめるのは、聖闘士の長である教皇…。
現在の教皇は、今ミストバーンとゴルゴナの前で膝をついているこの男、サガであった。
彼は黄金聖闘士と呼ばれる、聖闘士の中で最も位の高い者達の1人である。
青銅、白銀、黄金という順に、聖闘士の位は決まっており、上にあがるにつれてその実力も高くなる。
バキや烈らと共に、中国へ旅立った星矢や紫龍は、この中の青銅聖闘士であり、最も位の低い者達だ。
そしてポップや飛影を急襲した、カミュ、シャカといった者達は、黄金聖闘士であり、かなりの
実力を持っている。が、彼らが活躍するのは、まだ先の話である…。

 「聖闘士の頂点とな…。では率直に聞くが、サンクチュアリは、すでに我らの手中にある…
  と見てよいのか?」
 「言わずもがな…」
ミストバーンの問いに、ゴルゴナがそう即答した。
 「このサガという男、正義の偽善者集団の聖闘士にあって、異端児とも言える存在でな…
  正義感の中に、巨大な邪を眠らせていたのだ…。私の力で、それを引き出し、そして
  完璧なまでの「悪」にするのはたやすいことであった…。いや、最も我らにとっては正義だが…」
ゴルゴナはサガに向って、「ミストバーン殿に、挨拶がてら報告を…」と小声で告げた。
サガは唇を上向きに曲げながら、こくりと頷いた。
 「すでにサンクチュアリの聖闘士達は、私の幻朧魔皇拳によって、全て我が思いのまま…
  黄金聖闘士の中には、我が拳に対抗しようとついには発狂してしまった者もおりますが…
  おっしゃるとおり、サンクチュアリは落ちたと思ってもらって結構でございます…」
 「フフフッ さすがはゴルゴナ殿よ。手際がよいわ。私の知らぬ所で、ようここまで…」
ミストバーンは、ゴルゴナの仕事を褒め称えるかのように、少し声を大にして笑った。
 

82 :超格闘士大戦:05/02/25 23:23:04 ID:lWSnoRnz0
「ミストバーン様達が地上へ出てこられぬ間、地上の抵抗者達はほぼ排除されております。
  中国の東方不敗、日本の志々雄真実…。この者達とは同盟を結び、我らの計画に協力するとのこと。
  1年前のサイヤ人襲来の際、地上の各国の軍事能力はほぼ壊滅…
  残るは、範馬バキや烈海王という、人間界ではそこそこ名の知れた武道家がおり、日本にいる
  青銅聖闘士の餓鬼共と、手を組んでいるとの話ですが…これらは捨て置いて問題ないかと…」

完璧な報告だった。ミストバーン自身も、バキ達の力はとくに気に留めていなかった。
念の為、脱獄死刑囚を強化して日本に送り込み、バキ達を襲わせていたが、結果は失敗。
しかし、それでもとくに気にはとめていなかった。今のサガの報告を聞いた限りでは、
新魔王軍が地上に出る際の、障害となる勢力は、ほぼゼロと言っても過言ではない。
だが、サガの報告には続きがあった。
 
 「しかしながら、気がかりなことは多々ございます…。日本にいる城戸沙織とかいう小娘。
  確認は取れておりませんが、この小娘こそ、13年前にサンクチュアリから連れ出された
  アテナの化身である可能性がございます。
  ロトの守りの一部は、こちらの手にある故…問題は無用かとは思いますが…
  それから、今だ行方の分からぬ竜の騎士バランと、浦飯幽助らは今現在、我らにとって
  最も恐るべき敵かと思われます…」

直後、ミストバーンの様子が変わったのを、ゴルゴナはすぐに気づいていた。だがあえて何も言わない。
こぶしをギュッと握り締めて、身を震わせている。仮面の下の素顔はわからないが、
明らかに怒りに震えている。
 「浦飯に竜の騎士か…。あの時、あやつらが我々の邪魔をせねば…バーン様はお命を捨てずに
  すんだかもしれんものを…ッッ!!」
ゴルゴナはサガに対して、「もうよい。下がれ」と告げてサンクチュアリとの通信を切った。
通信が切れる直前、サガは「世界を、ミストバーン様の手に…」と言い残していった。
その言葉を聞いたミストバーンは、握っていた拳を開き、急に落ち着きを取り戻した。

83 :超格闘士大戦:05/02/25 23:23:48 ID:lWSnoRnz0
「あの男…知らないのか?」
ミストバーンが、ゴルゴナに尋ねた。
 「まさか、この世の全てを破壊するであろう破壊神のために、働く気にはなるまい…
  それは、そなたの部下に対する扱いと同じだと見受けるが…」
 「その通りよ。我ら2人だけでよいのだ…」
 「我はもうゆくぞ…浦飯幽助達には、奴らにとって宿敵とも言える連中をぶつけよう。
  こちらで手配しておく…そなたは、もうしばらくここでジッとしているがいい…」
ゴルゴナの姿がうっすらと消えていく。
ミストバーンは間髪いれず尋ねる。 「どこへ行く?」
 「少しばかり休息を頂く…冥界でな」
また会おうぞ…と言いかけた時、ゴルゴナの身体は、ミストバーンの前からすでに消えていた。  



84 :超格闘士大戦:05/02/25 23:26:53 ID:lWSnoRnz0
スノボー行くの控えます。
仕事も程々にします。

続く。

85 :作者の都合により名無しです:05/02/25 23:52:56 ID:QIB+vpQG0
格闘対戦もキター
しかしミストバーンとゴルゴナってよく考えればすごいなw
趣味や仕事のついででいいんでSSも頑張ってくらさい。

86 :作者の都合により名無しです:05/02/26 00:42:40 ID:Es1l+9dK0
おお、VS氏とブラックキング氏が復活してる。
これはうれしい。お二人ともがんばって絶対完結させて下さい。

87 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/26 10:37:22 ID:8ZWfA0fH0
>>61
 男はKの前に立って、何を考えているのか分からない顔でKをじっと見つめて
いる。
「おー、モーフィアス!」
 Kのファンのキチガイかと思いきや、どうやらKの知り合いらしい。のび太は
Kに尋ねた。
「なにコイツ」
「そうか、のび太くんはマトリックスを見てないのか。モーフィアスっつって、
マトリックスでボクの上司役をやったオッサンだ」
「ふーん。この人もマトリックスって映画に出てたんだ」

http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/img/dora2_021_04_turban1.gif

「えっと。インド人だよね?」
「インド人に決まってんだろ。モーフィアスなんだから」
「ふーん。なんだかすごいんだねえ」
「で、そのモーフィアスがボクになんか用? ソープなら一人で行ってこいよ」
 Kとのび太のやりとりの間、モーフィアスは宗教上の理由で江田島のハゲ頭
に濃厚なキスを重ねていたが、Kの声に気づいて戻ってきてKに言った。
「ボス、お金できた。今度こそ映画撮れる。キアヌ、今すぐアメリカ戻る」
「よし、帰ろうか」
 モーフィアスは腰を浮かせかけたKの頭を押さえつけて、無理やり椅子に座
らせた。
「キアヌ、わがままダメよ! ボスの言うこと聞かないと、明日から庭のダン
ボール箱でお泊りよ! おとなしくアメリカ行きのヘリに乗るよ!」
「だから帰るって言ってんじゃねーか。お前が窓から入ってきたってことは、
ヘリはこのビルの上に止まってるんだな? 行くぞオラ」
「そんなの許しませーん!」
 また一人、別の窓から雀荘に転がり込んできた。勢いあまって雀卓の角に腰
をぶつけてしばらく動けないでいたが、やがて起き上がってモーフィアスの隣
にやってきて喚き出した。

88 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/26 10:38:46 ID:8ZWfA0fH0
「ボスの命令は絶対ね! キアヌが帰りたくないっていっても、権力と時の流
れには逆らえないね! おとなしくお縄を頂戴してクソして寝るね!」
「オレはアメリカに帰るって何度言わすつもりだバーロ! てめえらこそ耳の
穴かっぽじってクソして寝ろ!」
「Kくん、これは誰?」
 のび太は呑気な顔をしてKに聞いた。Kは二人に組み付かれて身動きが取れず、
やっとの思いで答えた。
「トリニティだよ! マトリックスでオレの同僚役だった!」
「ふーん。この人もマトリックスの人なんだ」

http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/img/dora2_021_04_turban2.gif

「えーと、双子?」
「双子に決まってんだろ! 日本のテレビ番組にも二人揃ってバンバン出てた
じゃねーか!」
「うっそだー。こんなインド人、ボク一回も見たことないよ。本当にハリウッ
ドの役者さんなの?」
「セワシー!」
 のび太が根拠もなく疑うので、Kはセワシに確認を求めた。
「双子のインド人のモーフィアスとトリニティ、確かにマトリックスに出てた
よなー!」
「覚えてなーい」
 セワシはそっけなく答えて厨房に戻ってしまった。孤立無援となったKを、
モーフィアスとトリニティは必死になって説き伏せた。
「キアヌ、アメリカ戻るね! これ八萬ね!」
 モーフィアスはKに懇願しながら盲牌の練習をしている。
「スタッフみんなキアヌを待ってるね! 子の110符二翻は7,100点ね!」
 トリニティはKの手を握りしめて符計算の暗唱をしている。Kはようやく合
点がいった。
「てめえら、実は麻雀が打ちたいだけだろ!」
「そのとーり!」

89 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/26 10:39:50 ID:8ZWfA0fH0
 モーフィアスとトリニティはターバンをほどいて、Kの両方の鼻の穴に突っ
込んだ。
「くさーい!」
 それでKは気を失った。モーフィアスはKを担いでゴミ箱に投げ捨てて、空い
た席にはトリニティが座った。
「雀荘にきて麻雀打たないなんて、ハリウッドスターの名折れね! インドの
神様だって宗教と麻雀だったら迷わず麻雀選ぶね!」
「この部屋にもインドの神様いたから、ハゲ頭にいっぱいキスしてご機嫌とっ
ておいたね。だから全然心配ないね! ハハハ! ……ん?」
 モーフィアスとトリニティはそこまで言って、隣に座っているアカギに気が
ついて首をかしげた。覚えのある顔だった。
「お前、どこかで会ったか? 誰だっけ?」
「アカギだ」
「そーか、聞いておいて悪いけど全然興味ないよ! 悪いねボーイ!」
 二人は豪快に笑い飛ばしてアカギの肩をバシバシ叩いて、また喋りだした。
「みんな、ボサッとしてないで麻雀打つよ! アメリカではアカギにやられて
ケツの毛まで抜かれたけど、まさかこんな場末の雀荘にアカギはいないよ!」
「アカギさえいなけりゃワタシたち勝つよ! がっぽり稼いで億万長者になっ
て、ダンボール箱いっぱい買って庭に置くよ! ハハハ!」
「ハハハ! ……ん? アカギ?」
 自分たちの言ったアカギという言葉に気がついて黙り込んだ。しばらく考え
て、短冊にカタカナでアカギと書いて壁に貼りつけた。そしてアカギにもう一
度尋ねた。
「ボーイ、名前はなんと言ったっけ?」
「アカギだ」
 二人はその名前を口の中で反芻して、別の短冊にアカギと書いて、先ほどの
短冊の隣に貼りつけた。アカギと書いた二枚の短冊を交互に見て、ガンジスの
流れのごとき悠久の時が経過して、
「アカギだー!」
 真相に辿り着いてパニック状態に陥った。床を転がって悶絶するモーフィア
スとトリニティを、のび太とアカギとドラえもんは冷たい視線で見下ろしてい
る。床がピカピカになるまで転げ回って、二人は突然顔を上げた。

90 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/26 10:40:46 ID:8ZWfA0fH0
「この匂いは!」
「まさか!」
 起き上がって、鼻をひくつかせて部屋の中をうろつき出した。江田島のそば
まで行って匂いを嗅いで、ハゲ頭を思い切りはたいてこちらに戻ってきた。K
の呑み残しの日本酒を失敬していたまっ黄色のドラえもんの前で立ち止まって、
匂いを嗅いで嬉しそうに叫んだ。
「カレーだー!」
「いただきまーす!」
 ドラえもんの体中にこびりついたカレー汁を、二人で一気になめ尽くした。
青色に戻ったドラえもんはショックと呆れ返ったのとで、もうなんにも喋らな
かった。
「カレーさえ食べればワタシたち無敵よ! アカギにだって負けないよ!」
「キサマたち! ボサっとしてないで麻雀打つよ!」
「へーい」

91 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/26 10:41:48 ID:8ZWfA0fH0
 仕切りなおしの半荘スタート。東一局、親はモーフィアス&トリニティ。
「リーチ!」
 六巡目、モーフィアスたちにリーチが入った。ドラの北を暗カンしての、
親マン確定リーチである。
「ドラえもん、タケコプターってどうして髪の毛がからまないの?」
「それはねのび太くん、プロペラがまったく回ってないからだよ。だからタケ
コプターをつけても空なんか飛べないのさ」
 のび太とドラえもんはリーチなんか全然気にしないでくっちゃべっている。
「リーチ」
 直後のアカギにもリーチが入った。のび太とドラえもんは点箱入れのフタを
開けた。
「あーあ、一発ツモだなこりゃ。点棒用意しておこっと」
「ドラも六枚ぐらい乗ってるね。六千点で足りっかな」
「若人よー!」
 モーフィアスとトリニティはあまりの待遇格差に悔し涙を流して抗議した。
「ワタシたちもリーチかけてるよ! ワタシたちにもビックリしてよ!」
「ムリ。だってお前ら絶対にアガれない顔してるんだもん」
 のび太とドラえもんはアカギのリーチに対してベタおりして、モーフィアス
連合にツモ番が回ってきた。
「ハリウッドスターをなめたら後悔するよ! ワタシたちの幻惑殺法を喰らっ
て地獄に落ちるよ!」
 モーフィアスは手牌を伏せて立ち上がって、後方支援のトリニティと一緒に
便所に駆け込んだ。そしてすぐに戻ってきた。
「さあ、どっちがモーフィアスでどっちがトリニティか、もう誰にも分からな
いよ! モーフィアスを当ててよ!」
 双子で服装も同じなので、確かに見た目は瓜二つである。おまけに声までそ
っくりだから、全く区別がつかなかった。
「いや、必ずどこかに違いがあるはずだ!」
 のび太は目を凝らして二人のインド人を見比べた。間違いは決して許されな
い。ここは慎重に選ばなければならない。さあ、どちらがモーフィアスだ!?

92 :ドラえもんの麻雀教室 最終回その四:05/02/26 10:43:33 ID:8ZWfA0fH0
ここから先、どーしよー。あーどーしよー。

93 :作者の都合により名無しです:05/02/26 12:26:38 ID:/TNODLodO
調子に乗るな

94 :作者の都合により名無しです:05/02/26 13:59:02 ID:Jeh7kbhu0
VSさん復帰早々絶好調だな。なんとか戦隊も面白かったし。
格闘大戦も戻ってきてくれたし、また黄金期になりつつあるな俺的に。
惜しむらくは好きな蟲師がたった2レスだけだった事だが
まあ、ゲロ氏もなんか大変そうだし仕方ないか。

95 :作者の都合により名無しです:05/02/26 18:03:03 ID:dsL5hkemO
ブラキン氏は久々だなあ。(麻雀はもっと久々だったけど)
でも次回から更新が増えそうな感じのコメントが嬉しい。

あとはザク氏と黒猫が復活すれば完璧か。春先には戻ってくるかな?

96 :オーガのリング:05/02/27 00:32:23 ID:NAt9zULk0
日がとっぷりと暮れた中、中世に建てられたと思わしき城のすぐ近くでーーー
「そのディオって奴はまだ二十歳なんだな?」勇次郎がジョナサンに尋ねる。
「はい。あいつとはごく最近まで一緒に暮らしていました。あんな事さえなければ・・・!」ジョナサンが苦しげに言う。
ツェペリにはわかっていた。吸血鬼となり父親を殺害した友を殺すのは相当の勇気が要る。
波紋の修行は精神の修行にもつながる。今の彼に余計な言葉をかけるのはタブーだ。
「ジョジョよ。」勇次郎が呻くように言う。
「はい?」
「ディオとかいうガキを食ったら俺とも闘え。負傷しても波紋法とやらですぐに治るのだろう?」
ツェペリは絶句した。この男は何よりも戦闘に飢えている。食事よりも空気よりも性交よりも排泄よりも
闘いを重んじている。
「ケケケケ・・・。」
どこからともなく声が聞こえてきた。一斉にその声の方向に振り向くジョナサン達。
「ディオ様の命令でお前たちを倒しに来た。我が名はタルカス。」
中世の剣士の鎧を纏った巨漢がジョナサン達の目の前に立っていた。

97 :オーガのリング:05/02/27 00:33:26 ID:NAt9zULk0
ツェペリの鼻に腐敗臭が入り込んできた。それは目の前にいる巨漢がゾンビである証拠である。
「タルカス。歴史の教科書に載っていた中世の騎士。そのタルカスが僕に攻撃を仕掛けてくる!」
「大剣がメインか!だがジョジョ!例の作戦で行くぞ!」ツェペリが叫ぶ。
奇妙な構えをとるツェペリとジョジョ。そして二人を護るかの様にタルカスの前に立ちはだかる勇次郎。
やがて波紋法独特の呼吸音が聞こえ始めた。
「何だ、あれは。」タルカスが呟いた。
タルカスの目に植物の葉が空中に、正確にはジョナサン達の頭上に集まっていくのが見えた。
一枚一枚の葉が集まりそれは巨大な葉の形を形成し始めた。
「小癪なぁ!」
叫びながら突撃しようとするタルカス。直後、彼は液体が顔面にかかるのを覚えた。
「ぐぉっ!?何も見えない!?」
混乱して頭を振るタルカス。だが彼の視界は未だに回復しない。
「水ってのは波紋を伝え安いな・・・。」勇次郎が呟く。
「何?水だと?」タルカスが呟く。
「さっきお前があいつらの方を見た時お前の顔に向けて水を口から吐いた。一流同士はコンマ一秒の奪い合い。
お前を食うのには十分すぎる時間だった。もっともデザートはその小さい男しか無い様だがな・・。」
「うがっ!?」
タルカスは脚に異変を覚えた。吸血鬼である自分は再生能力のある体を持っている。多少のダメージは
あってもすぐに再生する筈であった。だが今回は違った。何と脚が溶け始めている。そしてその傷は再生しない。

98 :オーガのリング:05/02/27 00:35:19 ID:NAt9zULk0
「図体がデカイだけで何の役にも立ちはしなかったな・・。」勇次郎が呟く。
崩れゆくタルカスに悠然と背を向けて歩き出す勇次郎。ジョナサン達の頭上の葉は既に巨大なサイズに達していた。
「グォォォーッ!」
叫びながら腕を振りかぶるタルカス。ジョナサンは違和感を感じた。苦しみながらもがいているのではなく、明らかに
何かを狙った動きだ。奴の武器は大剣のはずだ。だとすれば狙いは一つしかない。
「ハンマ!危ない!」ジョナサンが叫ぶ。
だが心配は無用だった。タルカスの放った大剣が勇次郎の背中に刺さる前に剣は空中で破壊されたからだ。
「くくく・・腐っても戦士の誇りとやらは忘れてはいなかったらしいぜ・・・。」
タルカスは剣を投げた姿勢のまま溶けて行った。
「葉に触れてください。ハンマさん。そうすればアナタも空を飛べる。」
ジョナサン達と勇次郎を乗せた葉は上昇を始めた。城と大地の間にある溝を飛び越えようとするのが目的なのだ。
風の向きで方向がずれる可能性はあるが順調に行けそうだった。剣が葉を引き裂くまでは。
ビリッ。
奇妙な音を聞いて動揺するツェペリ。勇次郎も含めた自分ら3人の波紋呼吸法は完璧なはずである。
それがなぜ破られようとしているのか。答えは簡単だった。何者かが葉を切り裂いたのだ。
何か策を講じなければ落下する。下が断崖絶壁である。落下=死。
「くくく・・最後の悪足掻きという奴か。無駄だがな。」勇次郎がにやけながら言う。
ツェペリは見た。葉の破られた箇所が見る見る内に塞がっていくのを。自分たちの波紋では
葉を集める事が精一杯である。巨大な葉を作りだすだけでもかなりの高濃度な波紋が必要なのだ。
ならば範馬勇次郎は自分達以上の波紋使いであるという事だ。
「着いたぜ。」
ジョナサン達は城に着地した。
「奴はこの城の何処かにいる。探すぞ。」勇次郎が命令し始めた。
「待て!作戦を立てよう。私とジョジョ、ハンマとスピードワゴン。二組に分かれて探そう。」ツェペリは提案した。
「くくく。こいつのお守りか。まあいい。」

99 :オーガのリング:05/02/27 00:36:25 ID:NAt9zULk0
今回の投稿はこれで終わりです。

100 :作者の都合により名無しです:05/02/27 11:05:24 ID:BJcXWgJTO
この作品の投稿も、これで終りです。

101 :作者の都合により名無しです:05/02/27 14:43:26 ID:j9JK/KL60
俺はオーガのリングとドラえもん外伝はけっこう好きだけどな。
でもこの作品では勇次郎、まだ前面に出てないな。

102 :作者の都合により名無しです:05/02/27 17:08:30 ID:sTfSisLYO
草薙の書く3作品の中では一番出来はいいと思うけどね。>ジョジョ
まあ 輪廻の出来が酷過ぎるから、相対的に良く見える部分もあるな。


あと、不要なエロ描写はやめとけ。パオでさえ叩かれるんだ。

103 :作者の都合により名無しです:05/02/27 19:26:27 ID:BJcXWgJTO
太良ワ又サフラ、綿あ!
あやサを無き平又。
カならン湯血あタ明けサ船かタ?
カは知りワや那智赤に頑張ってください。

104 :作者の都合により名無しです:05/02/27 19:30:05 ID:jDo/30Gr0
>103の解読キボン

105 :作者の都合により名無しです:05/02/27 21:25:58 ID:Bjhx9eM20
>超格闘士大戦
あ〜、やっぱりカミュは狂っちゃってたのか。
サガがいるということは、作品としては聖域編くらいの位置なのかな?
(クロスオーバー物にそんな事を言うのは無粋かもしれませんが)
 >奴らの母星は、現在宇宙で最も脅威的な力を持っている集団に攻め込まれている。
何かの伏線ですかね。バルタン星人かフリーザか。

あ、あと仕事は手ェ抜かない方がいいよ、このご時世。

>ドラ麻雀
嫌なトリニティですな。モーフィアスは割としっくりくるけどw
HPの方も読んだけど、ここから更に話が分岐するんですか?
全話完結は再来年くらいになりそうですね。


>オーガのリング
ラストバトルはvsジョジョですか。これまでの話を読む限りでは、
オーガの勝ちは確定っぽいかな。
前の輪廻転生の時も思いましたが、元々オーガがいなくても問題無い話に
単にオーガを組み込んだだけでは、組み込まれたキャラの存在意義が希薄になり、
また敵が雑魚扱いになりやすいので気をつけて。
(今回もタルカスの強さが描かれていない点はマイナス)



106 :作者の都合により名無しです:05/02/27 21:28:08 ID:ayMF55Kk0
ふら〜りさんの感想マダー?

107 :作者の都合により名無しです:05/02/27 22:52:12 ID:j9JK/KL60
>>102
まあ、103を見る限りID:BJcXWgJTOは普通に荒らしだな。
草薙氏は初期に比べて本当に良くなっているよ。
そろそろフィルター外して見てやろうや。頑張れよ草薙氏。

108 :作者の都合により名無しです:05/02/27 23:41:42 ID:R4yRAp7OO
>>107
フィルター外したらそれこそ褒められなくなる気がするんですが。

109 :作者の都合により名無しです:05/02/27 23:52:34 ID:OB7wQh8S0
初期に比べてとかさー、下を見てどうすんだよ。
他作品と並べて見劣りするのは確かなんだからさー。

110 :作者の都合により名無しです:05/02/28 00:07:28 ID:ViXgxoqI0
>>105
麻雀教室最終回その四は、最後まで書き終わってます。
どうしても使いたい画像が二枚あって、それが見つかれば
すぐにでもアップするんですが。どこにもねーんだこれが。

111 :作者の都合により名無しです:05/02/28 01:28:59 ID:O87Z85nzO
麻雀より面白いぜ、草薙。

112 :ザク ◆3JowPutE8k :05/02/28 01:34:54 ID:mNjodItf0
うっお―――っ!! くっあ―――っ!! 看護師国家試験終了―――っ!
試験会場は都内に3ヶ所あるぜ――っ!!てめぇ… 必修問題なめとんのか?
マークシートに鉛筆はいらねぇ!魂のはいった解答なら―― どんな難題でも解きぬくぜーっ!!!!
う… ぎゃああーっ!! ごが ごががあっ!!ぜったい6割正答するから!!
カンニング殺法か!自分の手をよごして試験に挑んだてめぇこそ医療従事者にゃなれねぇだろ
男なら参考書一冊で勝負せんかい!
なにが状況設定問題だ てめえの考えたシチュエーションはでたらめだよ サニースタンダードプリコーション!!
遅刻は許されませんよーっ!こんな問題じゃあ 素人も落とせねえぞ――っ!!
て…てめえは受験生じゃねぇ…な… じゅ…受験生なら… 昼休みにカップルで出歩いたりし…ねえ…
いったい後ろの席の女はなにモンだ―――っ!?試験中にパチンパチン口を鳴らすな―――っっ!!
2日間しか勉強してない俺が去年から勉強してる同級生達に勝てるわけがない!!
素で出題者の意図が分からないからね うっぎゃああっ!やかましい!
すげえ合格祈願してやがる先生!! んなら合格ライン下げてみろやーっ!!!!
なめんじゃねえ… おれはまだ卒業見込のままだ 卒業決まってねえ――っ!!!
試験問題の復元・解答用意はきみと医師薬看護板住人にまかせる 試験監督の教えだーっ!!
いったいどんな不適切問題だよてめ―――っ!!こんな難題出すわきゃね―――っ!!あがるんじゃねーおれ――っ!!
う… ぎゃああーっ!!悪いな おれは医学生じゃねぇ 医師国家試験受験はできねぇ相談ってもんだ
うぎゃっ うぎゃっ うぎゃーっ!!いったいおれは受かるのか!?

  サ  ニ  ー  パ  ン  チ  3  
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/arc/1107857450/l50


看護師国家試験終了し、帰宅しました。
問題用紙の持ち帰りは不可とされているので、某スレでは住人達が協力して試験問題を思い出し復元、解答を
書き込んでいます。
必修問題とは30問中7問不正解となると即落ちるという恐ろしい問題ですが、医師薬看護板のスレを覗いた限り
6問不正解でぎりぎり首が繋がったようです。
残り210問は6割正解すれば合格なのですが、こちらは問題数が多すぎて問題の復元が追いついていません。
なので、合否は3月29日の発表を待つしかないという状況です。
合格・不合格に関わらずこれからはSS執筆の方をがんばっていきたいと思うのでよろしくお願いします。

113 :作者の都合により名無しです:05/02/28 01:52:21 ID:YJKLgonP0
まあ、おちつきなされよ。

SSの続き、期待してます。

114 :作者の都合により名無しです:05/02/28 02:23:52 ID:O87Z85nzO
うつ病は治ったの?ザクさん。
いい薬教えて。

115 :作者の都合により名無しです:05/02/28 11:49:17 ID:LAh3cczE0
ザク・・
SSはファンなのだが・・
とりあえずおちつけw
作品待ってますぜ。

116 :作者の都合により名無しです:05/02/28 12:05:47 ID:O87Z85nzO
うみにんは投げ出し…か?もう二ヶ月ぐらい見てないような…

117 :作者の都合により名無しです:05/02/28 14:03:23 ID:rsYfuWfx0
ザク氏、こんだけ書くの休んどいて勉強したの2日かよw
しかしいよいよみんな、復活を開始して嬉しいな。
一人変なレスあげるのいるのが気にかかるが。

118 :作者の都合により名無しです:05/02/28 19:12:31 ID:mNjodItf0
おちつけっちゅうか単なる改変コピペなんだけど・・・
まあいいや。がんばって書きます。

119 :作者の都合により名無しです:05/02/28 20:07:25 ID:O87Z85nzO
改変コピペだと知らない人がほとんどだろうが。
気を使ってよ。

120 :犬と猫:05/02/28 20:26:46 ID:fLZAGZ/U0
矜持

 大きく息を吸い込むギラン。次に、先より倍増したグルグルガムを吐き出す。が、クリ
リンとヤムチャは軌道を見切り、一斉にガムの上へと飛び乗る。
「クッ、グルグルガムヲ足場ニ……!」
 奇策に驚くギランに、空中から二つの拳が飛び込む。仰向けに倒れ込むギラン。
「ギラン。かつて悟空を苦しめただけあって、グルグルガムは厄介だ。でも、警戒さえ怠
らなけりゃ、大して怖くない。……降参しろ」
 今の攻防で、クリリンはギランの実力を見切っていた。ガムに注意すれば、二人掛かり
で十二分に倒せる相手だと。ヤムチャもまた同意見だった。しかし、ギランは殺気に満ち
た笑みで応える。
「笑ワセヤガル。命スライトワヌ俺タチガ、降参ナンテスルト思ウカ」
 先程より、さらにギランが大きく息を吸い込む。
「シカモ、アレデグルグルガムヲ攻略シタ気ニナッテンダカラナ!」
 またも吐き出されるガム。ところが、クリリンたちに飛ばすことはせず、足下に落とし
た。ギランはそれを右手で拾う。
「グヒヒヒ、行クゼ」
 ギランがガムを振るう。すると、ガムはしなやかに風を切り、二人へと打ちつけられた。
喰らった箇所は、皮膚ごと抉り取られている。率直に感想を述べるヤムチャ。
「ま、まるで鞭じゃねぇか……」
「正解ダゼ」
 重量と弾力とを兼ね備えた、ギランにのみ許された鞭。グルグルガムは拘束しか能がな
い訳ではない。応用すれば、武器にとて化けるのだ。
「サァ、カカッテ来イ」
 高速で振り回されるガム。威力は体感済みなだけに、なかなか近寄れない。

121 :犬と猫:05/02/28 20:27:45 ID:fLZAGZ/U0
 まさに攻防一体。鞭と化したガムは、ギランの前方を完全にカバーしている。うかつに
飛び込めば、ガムの餌食となってしまう。
「ちっ、仕方ない。ここは狼牙風風拳しかないな」
「大丈夫かよ、ヤムチャさん」
「心配するな。あれから半年、俺だって修行したんだぜ」
 ヤムチャが神経を研ぎ澄ませ、一気に突風のように駆け出す。ギランもガムを操って応
戦するも、絶妙な拍子ですり抜けられる。
「シ、シマッタ!」
 懐に入った。狼を連想させる咆哮とともに、機関銃をも超えた連打が唸る。渾身の掌底
打ちで、キャッスル外にまで吹っ飛ぶギラン。ダメージは大きい。
「ガ、ガハァッ……!」
「よし、全部吐き出させてやる!」
 クリリンがかめはめ波を撃つ。エネルギーは腹を直撃し、ギランが大口を開けてガムを
吐き出した。体内で生成され、蓄えられたガムが全て外へ出てしまう。ギランの体積を明
らかに超えているのが恐ろしい。
「もう終わりだ、ギラン。降参しろッ!」
「ウグッ……フザケルナ。俺ハ負ケラレネェンダッ!」
 その巨体からは想像出来ない速度で、ギランが特攻を仕掛ける。だが、クリリンとヤム
チャは冷静だった。息を整え、ゆっくりと正拳を握り込む。
「でりゃあああっ!」
「どりゃあああっ!」
 猛突進するギランに、二人がカウンター気味に拳を捻り込んだ──究極の二撃必殺。ガ
ムが混じった血を吐き、ギランがついに沈む。
 辛くも勝者となったクリリンとヤムチャが、互いの腕を絡め合う。
「やったな、クリリン!」
「おう、ヤムチャさん!」
 国王が使役する凶悪無比な怪物。その一角が亀仙流によって、切り崩された。

122 :犬と猫:05/02/28 20:29:02 ID:fLZAGZ/U0
 イエローと相対する天津飯は、一方的に攻め込んでいた。いや、イエローも武器で応戦
するのだが、まるで通じないのだ。
「ク、クソッ……」
 手榴弾を投げ付けるが、爆破が全て気合いによって掻き消される。
「どうした、爆弾はもうないのか」
「フザケヤガッテ、軍人ヲ舐メルナ!」
 刃渡り一メートルを超えるサーベルが、両手に握られた──二刀流。が、天津飯は全く
反応しない。
「フン、観念シタカ。バラバラニシテヤルゼッ!」
 各々異なる角度から、サーベルが肉体に触れる。刃は皮を裂き、肉を切り、骨をも断ち、
生命を奪い去っていく──はずだった。
「無駄だ」
 ──逆に砕け散るサーベル。
 刃物が生身に敗れ去った。予想だにしない結果に、イエローが呆然自失とする。もちろ
ん、そんな隙を天津飯が逃さぬはずもない。
 正中線に、打撃をダース単位で叩き込む。急所を通じ、衝撃は芯まで到達する。またも
やイエローが地に伏した。
「もう諦めろ。貴様如きでは、俺には勝てんと分かったろう」
「アァ……参ッタゼ。アンタノ強サハ本物ダヨ」
 ふらつきつつ、イエローもようやく天津飯を認める。が、手は口よりも正直に動いてい
た。閃光弾のピンを外し、炸裂させたのだ。激しい光が放射状に降り注ぐ。
「クハハハハ、バカメッ! 視界ガ眩ンデハドウシヨウモ──」
「ふん、もっと強烈な光を教えてやろうか」
「ナ……ッ!」
 両手を額にかざす天津飯。彼は閃光弾を見抜き、瞬時に目を瞑っていた。
「太陽拳!」
 閃光弾を遥かに上回る光が、辺りを包み込んだ。反射的に体を丸め、パニックに陥るイ
エロー。完全に無防備となった首筋に、天津飯が手刀を叩き込む──勝負あり。
「ふぅ、終わったか」
 倒れている餃子を安全な場所に避難させ、天津飯は最上階へと歩を進める。

123 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :05/02/28 20:30:38 ID:fLZAGZ/U0
前スレ>>538より。

124 :Going Under:05/02/28 23:22:49 ID:852zRj/v0
 だが、友のために命を投げ出せるだろうか?
 私にはできない。
 私は命を投げ出されてしまったからだ。
                 ――『騎士が剣を抜いたのは。』より
                    原題 L'epee du Dernier Chevalier

125 :Going Under:05/02/28 23:24:48 ID:852zRj/v0
 1 of 4

 おまえら幸せか?
 なんだっていい。
 小銭拾っただの、人がやさしくしてくれただの、恋人ができただの。
 なんかあったか?ええ?
 幸せってのはいいことだよな。
 まったく非の打ち所が無い。
 けどな。
 呑気してるなよ。
 俺の人生論によれば、幸福のあとには災難が待っている、とある。
 その逆も然りだ。なかなかうまいことに世の中なっている。
 せいぜい気をつけな。
 ふん。
 俺か?
 まあ、幸せだな。
 バイクで荒れた地面を掻っ切ってゆくのは気持ちがよい。
 多分、俺のバイクだ。スクーターやなんかじゃない。
 車名は忘れたが、200cc強でダートもしっかり走れるやつだ。
 そいつを今、俺はゴーグルだけをかけて転がしているのだ。
 俺の身体全体が車体と一体となっている。
 不定の振動も心地よかったし、顔面にかかる、やや強めの風も心地がよかった。
 さっき『まあ、幸せだな』といったのには訳がある。
 単車にのるのは楽しい。
 だが今は、休みの日に広々とした道路を、ただただ走ってるわけではないのだ。
 俺は、あのクソッたれの神父の『おつかい』に来てるのだ。
 俺の名前はまだいってなかったか?
 ヴェルサスだ。
 ドナテロ・ヴェルサスだ。 

126 :Going Under:05/02/28 23:26:58 ID:852zRj/v0
 俺がいたのはロンドン郊外のキャンプだ。
 出発して、もう1時間ほどたったか。俺は街の中心へ向かっている。
 俺のバイク(多分)なら、さらに30分ほどで目的地にまでつくだろう。
 さっきから多分多分といってるが、このバイク、実は俺のものではないかもしれないのだ。
 いや、俺のものではないのはわかってる。俺のものだったものかもしれないものだ。
 さらに実をいうと、俺はバイクの運転を一切していない。
 混乱するなよ。
 俺のスタンド能力は、掘ることだ。
 楽しい楽しいお砂遊びをするってわけじゃないぞ。
 地面から過去を掘り出すのだ。
 うむ。
 俺は口下手だ。説明下手なのだ。
 ろくに人と喋ったことじゃないからなのだ。
 どうだ。
 それにくわしく説明するのも面倒くさい。
 どうせ分かりはしないのだ。あんたがスタンド持ってるのなら別だけどな。
 まあいい。
 俺は、昔の俺が持っていたであろうバイクを掘り出した。
 とりあえずこれでいいだろう。
 このバイクという『過去』、勝手に走ってくれるのだ。
 掘り出された『過去』は、その過去で自身が行っていたことをリプレイする。
 だから俺が操作しなくても、過去の道順を辿って、このバイクは目的地に無事たどり着くのだ。

127 :Going Under:05/02/28 23:30:10 ID:852zRj/v0
 ハンドルをほっぽろうが、アクセルを放そうが、バイクは確実に走ってゆく。
 座席で裸になって逆立ちしようが平気だが、そんなことをする気は無い。
 あの場所につく前に、下手なことやって怪我する必要は無いのだ。
 俺はただ、バイクにふんぞり返って座ってるだけでいいのだ。

 あの場所、つまり、今回の目的地には、2年も前に行ったことがある。
 2年前には、単なる通過点だったが、それで十分だった。
 だから俺は、二年前のバイクという『過去』を掘り出したのだ。
 あのときも、あのクソッたれの『おつかい』だ。クソったれめ。
 そのころには、俺にも相棒がいた。そいつはサーレーと言う。
 俺とサーレーは、二人してあの場所に向かったのだ。
 あいつも単車を持っていたが、同じような機種だった。
 2年前のバイクのことなぞ覚えていない。俺は、サーレーのバイクを掘り出したのかもしれない。
 だから多分としたのだ。
 サーレーのものだと良いのだが。
 そう思ってるうちに、どことなく見たことのある風景が俺を包んでいた。
 街中にはいってゆくほど、道が険しくなってゆく。街といっても、発展の名残がカビのように廃墟こびりついているだけである。
 崩れかけた建築物がしぶとく聳え立っていた。罅入った壁には、濃い赤が深く、深く染み込んでいる。
 コンクリートの地面を突き破って生える、狂ったサイズの雑草類。両脇には枯れきった街路樹。
 この道を真っ直ぐ行けば、T字路になっている。その突当たりに、もはや四角をとどめていない建物があった。
 かつての市の図書館だったものである。
 それこそが、2年前ちょいとやっかいになった場所であり、今回の目的地である。
 残り500mを切り、俺はバイクを乗り捨てようとした。
 その途端に、俺は、俺のバイクを掘り出したのだと確信した。
 突然バイクが炸裂、分解したのだ。
 慣性が、俺を勢いよく宙に放り出していた。
 ほれみろ、幸福の後には災難だ。
 くそったれ。

128 :Going Under:05/02/28 23:32:44 ID:852zRj/v0
 2年前のことだ。
 そのころから、すでに太陽は太陽でなくなっている。
 俺とサーレーは、ロンドン廃墟の中に入っていた。
 白のコンクリ詰めの路地から、ポツポツと黒い雑草が出ている。
 蒼い日の射すゴーストタウンを、俺たちは時速80km程度で横並びに走っていた。
 T字路に差し掛かったところだった。
 右折しようとしたときに、俺のバイクが四散したのだ。
 宙に投げ出された。
 視界がぐちゃぐちゃに回転した。
「うげぁっ!?」
 俺はとんでもなく情けない叫び声を上げてしまった。
 空で二度三度もがくと、俺の身体は静止した。
 地面に落下したんじゃない。
 サーレーにとめてもらったのだ。
 ……しょうがねえな。
 サーレーもスタンド使いだ。
 物体を固定することができる。空中にもだ。
 その能力のお陰で、俺は無様な格好で地に叩きつけられることは無かった。
 もっとも、宙ぶらりんになるのも、決して良い格好でもないのだが。
 変にもがいたせいで、俺は尻を突き出した犬のような格好で宙に浮いていた。
 不恰好極まりない。
 バイクがいかれたか?
 最初はそう思ったが、すぐに手がかりは見つかった。
 俺の視線の先に、にやついたガキが居た。
 視線の先とは、T字路の突当たりにある廃墟である。そばにある案内板には、図書館とあった。
 T字路を曲がる寸前でバイクが弾けたのだから、図書館はすぐ目の前である。
 曲がった正面玄関に、3人のガキだ。明らかに俺を見て笑っていやがった。
 まずは恥かしさが全身を駆け巡った。
 そのガキどもの横にいる『もの』には、すぐに気付いた。 
 人間ではない。ぼやけたヴィジョンが、やはり三つ。背後霊のように、ガキどもにくっついていた。
 スタンドだった。


129 :Going Under:05/02/28 23:34:48 ID:852zRj/v0
 おれの頭に血が大量にくみ上げられた。
 あいつらの仕業である。違いない。
 なぜこんなところにスタンド使いのガキがいるのか、そんなことはどうでもよかった。
 事の真相がわかると、とりあえず俺は声を張り上げ、
「てめえらっ」
「おいっ」
「くそったれが!」
 手当たりしだいの罵声を叫びながら、宙で暴れだした。
 我ながらアホらしい。後々思い返すと、俺の痴態は数え切れない。
 俺はよく言い訳をする。
 あーだったから俺はこうなんだ、とか。ああしたから負けたのだ、とか。
 そんなことは幾千とあるだろう。おまえらにもだ。
 俺の場合、痛烈な後悔がある。
 思い出すと、悔しさのあまり、胸糞が悪くなる。逆に腹が立ってくる。
 くそ。
 まあいい、忘れろ。
 話がずれた。
「ヴェルサス、降ろしてやるから落ち着け」
 サーレーが、喚き暴れる俺をなだめて言う。
「ぶちのめしてやるっ」
 まだ俺は叫んでいた。口の威勢はいいのだ。
「ぶちのめすにしても、まず降ろさせろって」
「う……」
「な?」
 そうして俺はようやく両足で地面に降り立った。

 サーレーのことにも触れておく。
 イタリア人。男。白人。
 年齢は、2年前の時点で21歳。俺よりひとつ下だ。
 頭の側面から、髪を固めて何本かの角のように生やしていた。あいつなりのファッションらしい。
 スタンドはクラフトワークと呼んでいた。能力はさっき言った通り。

130 :Going Under:05/02/28 23:43:27 ID:852zRj/v0
 サーレーと出会ったのは、3年前、つまり俺が21であいつが20のときだ。
 ロンドンのキャンプでのことだ。
 とある日に、あいつはやってきた。ろくな荷物も持たず、飯も3日は食ってないとのことだった。
 キャンプに入るのに、特別理由はいらない。
 行き場の無いもの、その中でも運良くたどり着けたものはキャンプで生活することができる。
 だが俺たちの居たキャンプには、ひとつ入居テストがあった。
 神父の診断だ。
 神父は、人の心、記憶を読みとれるスタンド使いだ。
 スタンドの有無、DIOにかかわっているかいないか、その他やましい点はないか、等々を神父個人が調べる。
 キャンプの在住民はそう簡単に調べることはできないが、新入りなら話は別だった。
 サーレーは、そのときすでに能力を持っていたのだが、診断の結果は白。
 神父は、性格的には無害と判断した。むしろ味方に引き込める、と。
 それ以外、神父は語らなかった。一応のモラルはもってやがるらしい。
 だが油断するなよ。あいつの正確の悪さは俺を凌駕してる。
 案の定、あのクソ神父は、サーレーの案内世話役に俺を選びやがった。
 俺は人付き合いは苦手だってのによ。
 ホルマジオのアホにでもやらせとけと思ったものだ。
 そんなときだった。

 キャンプのシステムを説明するのにいらいらしていた俺は、サーレーに尋ねた。
「暗いだろ? 俺」
 ひねくれた男である。もちろん俺のことだ。
 親友ならばともかく、出会って一時間も経っていないやつにこんなこと聞かれてみろ。
 大体が答えに詰まる。

131 :Going Under:05/02/28 23:44:14 ID:852zRj/v0
「ああ、暗いな」
「…………」
 しばし間。
「……だろ?」
 そう返事をしつつ、内心の俺は引きつっていた。
 バカヤロウ。
 こうゆうときでも俺は「そんなことない」って返事を期待してるのだ。
 人に付きまとわれるのは大嫌いだった。決して友達が居ないだけというわけででない。多分。
 形だけの友人など必要ないのだ。へんな情けをかけられるのも嫌だ。
 だからこんな質問をするのだ。
 ああ、こいつもはぐらかすのだな。この程度のやつなのだな。
 ああ、俺ってかわいそう。俺ってなんて暗いやつなのだろう。
 そう自嘲するのだ。
 その後に、こいつは本当の友達なんかじゃあないけれど、それでも俺を気遣ってくれてるんだな。
 ああ、良いやつだな。
 そう繋げるのだ。
 それをこいつは……
「とっても暗いよ、あんたは」
 あいつが言いやがった。
 無用な追い討ちを喰らった。
「ふへ」
 俺の中の箍が外れた気がした。
「ふへへへへへ」
 アホみたいな笑いを俺は上げていた。
「はは」
 あいつもだ。
「はへはははは」
 しばらく俺たちは笑い転げていたのだった。

132 :Going Under:05/02/28 23:49:14 ID:852zRj/v0
 付き合ってみると、サーレーは、底抜けに明るい奴だった。
 とにかくよく笑う。お陰で俺のクールさはどこかに消し飛んでしまった。
 なぜ俺なんぞにああまで絡んでくれるのか。理由はわからなかった。
 俺の性格上、愛想をつかして普通である。最初に面倒を見てくれたとか、それでは理由として弱い。
 だが、本人に訊ねようとは思えなかった。答えが怖かったのだ。
 自分を押し隠すやつと付き合うのは面倒で危険だが、おおっぴらな奴というのもなかなかに難しいものらしい。
 それに、箍こそ外れたが、どうも俺の内面はひねくれ過ぎているらしかった。
 圧し折れた性根は、そう簡単に戻りはしないようだ。
 これは又別だが、あいつの過去のことも一切触れなかった。
 ただ1人でキャンプにきたのだ。家族は死んだか生き別けれたか、なんにしろろくなことじゃあるまい。
 俺だって、あの最悪な家族と過ごした日々など思い出したくない。
 話したければ向こうから語るに違いない。触れぬが良しだろう。
 一応、俺は他人のメンタルなところには気を使うのだ。
 一年の間に、俺たちは非常に親しくなった。多分。
 そうして神父に命じられ、二人で出かけてきたのだった。

 
 再び図書館を覗くと、もうガキどもは消えていた。
 歪んだ玄関がいつのまにか閉まっている。
「中に入ったかよ」
 俺がつぶやく。
 俺のバイクは、全パーツが分解されていた。火こそ出ていないが、もう使い物になるまい。
「くそっ、弁償させてやる」
「ヴェルサス……」
 サーレーが俺を呼び止める。
「ここは、ここが、俺の家だ」
「ぁん?」
 俺はことのほか、間抜けな返事をした。

133 :作者の都合により名無しです:05/03/01 01:41:41 ID:JiB6wGh80

あと、ユル氏も復活したんだな。お疲れ様。相変わらず実力高いな。
なんとなくアメリカ小説っぽいう香りがするな。

134 :作者の都合により名無しです:05/03/01 01:44:11 ID:JiB6wGh80
ああ、133で上2行のサナダムシさんへの感想が消えたw
かちゅーしゃ使いづらいよ。

ギラン散り際男らしかったですな。ヤムチャが勝者というのも変ですが
割合ヘタレずに感動した。サナダムシさんの作品は後半になるとハードになるな。


135 :作者の都合により名無しです:05/03/01 08:40:43 ID:9ECxlfUk0
>>119
コピペ元のURL貼ってあるじゃん

136 :作者の都合により名無しです:05/03/01 12:34:47 ID:aVY59yGE0
ユル氏の作品は面白いしレベル高いと思うけど、ちょっと不親切なんだよね。
間隔も2ヶ月間隔で空くから、前作との関連もう一度読み直さないといけないし。
もう少しその辺フォローして頂けたらなーと。作品はすごく好きだけどね。
もし、違う人の作品ならごめん。間違いないと思うけど。

あと、犬と猫クリリンとヤムチャ組勝ちましたな。
俺もたぶん皆さんと同じように、ヤムチャが犠牲になって(というより犬死)
クリリンだけ生き残るかと思ってた。サナダムシ氏は優しいなーw
健筆嬉しい限りです。これからも絶好調モードでお願いします。


137 :作者の都合により名無しです:05/03/01 18:56:30 ID:eAo4TbWx0
ユル氏は好きだけどな。作品は・・
でも名前くらい名乗ればいいのに。投げ出しはユルサンぞw

サナダムシさん乙。天さん好きなので活躍させてホスイ
ヤムチャ勝ちは意外と思われてるのは心外だな。俺もそう思ったがw

138 :作者の都合により名無しです:05/03/01 22:06:40 ID:aPu0LLk1O
ユルタソ(;´Д`)ハアハア

139 :犬と猫:05/03/01 22:46:36 ID:oyAD2au10
謁見

 駆ける亀仙流、クリリンとヤムチャ。階段を上がり、最上階にある王室のドアを一気に
蹴破る。すると、いきなり信じられない光景が飛び込んできた。
「て、天津飯……!」
 自らの血に沈む天津飯。意識はすでに失われている。下手人は、返り血に塗れている猫
であった。
「ようこそ、武道家諸君」
 何も語らぬ猫に代わり、国王がクリリンたちに挨拶を行う。
「彼の名はカリン、私の親友だ。ギランとイエローを打ち倒すとは予想外だったが、カリ
ンの実力は二人とは次元が違う」
 わざわざ説明されるまでもなく、クリリンとヤムチャはカリンが放つ危険過ぎる殺気を
感じ取っていた。即座に身構える。
「やれやれ、君たちも大人しく耳を傾けてくれるつもりはないようだ。カリン、程々にな。
彼らも優秀なモデルになるだろう」
 視線を移す国王。半死半生のピラフがシュウに弄ばれている。死なぬよう、気絶させぬ
よう──より苦しむように。国王はクリリンたち武道家をも、人類に対する見せしめに仕
立てようと企んでいるのだ。
「……やれィッ!」
 命令と同時に、カリンが凄まじい速度で飛び出した。

140 :犬と猫:05/03/01 22:47:33 ID:oyAD2au10
 カリンは余りに速く、敵対するには時期が早すぎた。二対一にもかかわらず、完全にカ
リンが圧倒している。足を払われ、転倒するヤムチャ。正拳突きを受け、壁まで吹き飛ば
されるクリリン。
「くっ……レベルが違い過ぎる!」
「どうする、ヤムチャさん」
「狼牙風風拳で打って出る。恐らく、一分くらいは持つはずだ。クリリン、お前は特大の
かめはめ波であいつを狙ってくれ!」
「わ、分かった!」
 気合いを入れ、ヤムチャが飛び掛かる。ダッシュの勢いを利用して、突きや蹴りを叩き
込む。が、全て捌かれる。やはり、先に戦ったギランとは異なる次元にいるようだ。
「つおおっ!」
 左でのフェイントから右ストレートを放つが、あっさりと手首を掴まれる。と、強引に
腕力のみで右腕をへし折られた。
「ぐわあっ!」
 すかさず顎を蹴り上げられ、ヤムチャは意識を消し飛ばされる。カリンが興味を次なる
獲物に移そうとした──が。
「波ッ!」
 クリリンが全力でかめはめ波を放った。修行の成果もあり、家屋数件を簡単に消滅させ
るほどの威力が込められている。起死回生の一撃に、カリンは右拳で応えた。
「シャッ!」
 かめはめ波に炸裂する右アッパー。たった一撃だった。これだけでかめはめ波の軌道は
上へと変わり、天井を突き抜け、空の彼方へと消えていった。
「そ、そんな……」
 恐怖で立ち竦むクリリン。熱かったはずの肉体は芯から冷え、震え上がっている。
 左ボディブロー。胃液を吐き散らし、床にうずくまるクリリン。
「ぐはっ! ……うえぇ」
「終わったか。なかなか楽しませてもらったよ」
 クリリンを踏みつけ、悦に入る国王。亀仙流も鶴仙流も、心を失った武神に敗れ去って
しまった。

141 :犬と猫:05/03/01 22:48:38 ID:oyAD2au10
 侵入した賊を退治し、ようやくビデオ撮影が再開される。
「シュウ、新しく加わった三人も可愛がってやれ」
「分カリマシタ」
 抵抗出来ぬよう、まずは両腕と両足をへし折られる三人。一人だけ気を失っていないク
リリンが、国王に苦言を弄する。
「せっかくピッコロ大魔王が死んで平和になったってのに……。どうして、こんなことを
するんだ」
「我が夢を達成させるためだ。私はカリンとともに人を駆逐し、未来永劫にわたって帝王
として君臨するのだ。数百年もの間、野心を秘めつつ実行できぬ苦しみ……貴様如きには
分かるまいよ」
「身勝手なことを……!」
「もういい。敗者と交わす会話など無意味だ。シュウ、そいつの耳を削げ」
「分カリマシタ」
 背中に挿していた刀を抜き、シュウがゆっくりと近寄る。
「くっ……!」
「元々鼻がないんだ。耳も失われれば、丁度良くなるんじゃないか?」
 クリリンの耳に刀が触れる。冷たく容赦のない、凍てつくような感触。しかし、またも
ピラフがシュウにしがみ付いた。訴えるように足首を掴み、血を吐きながら吼え続ける。
「ドウシマスカ」
 相変わらず、無機的にシュウが国王に問う。
「……殺せ」
 どす黒い呟き。部下を救おうとする健気なピラフの姿が、国王の逆鱗に触れてしまった。
「殺してしまえッ! いつまでも無駄な足掻きをしおって、不愉快だッ! 首を斬り落と
してやれッ!」
「分カリマシタ」
 シュウはピラフの首に狙いを定め、上段から綺麗に刀を振り下ろした。

142 :犬と猫:05/03/01 22:49:39 ID:oyAD2au10
 ──轟く金属音。
 肉を斬った音ではない。ピラフは生きている。シュウも生きている。このことが示す結
果を、国王は叫んでいた。
「おのれ、またやって来たかッ!」
 斬首を喰い止めるため、刀で刀を受け止めたのは──天下一の怠け者。友を救うために
カリン塔を往復した熱き男。
 ヤジロベーがついに到着した。

 鼻水を垂らし、息を切らすヤジロベー。大勢の革命軍を蹴散らし、キングキャッスルに
強行突入したのだ。
「まさか、戻ってくるとは……」
「へへへ、カリンを元通りにさせてもらうぜ」
「それはどうかな」
 不敵な国王に反応し、ヤジロベーがカリンを見やる。と、そこには以前よりもさらに雰
囲気を変化させたカリンが居た。まるでロボットのように、生気なく佇んでいる。
「てめぇ、また何かしやがったのか!」
「心外だな。私は彼との友情を永遠のものとするため、彼の心に細工を施しただけさ」
「てめぇの都合なんざ知るか! まぁいい、どうせ仙豆さえあれば元に戻るんだ。残念だ
ったな」
「ほう……切り札があるようだ。ならば、君には今すぐ死んでもらうことにしよう」
 ヤジロベーは気づく。うっかり仙豆のことを喋ってしまった。隠していれば、上手く飲
ませるチャンスも生まれたかもしれないのに。
「……あっ! 違う、今のはジョークで──!」
「シュウ、処刑を止めた奴をすぐに殺せッ!」
 焦りと怒りに満ちた命令であった。シュウが繰り出す斬撃を、ヤジロベーはかろうじて
受け流す。
 両者が誇る剣術の優劣が、今まさに決定しようとしていた。

143 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :05/03/01 22:53:18 ID:oyAD2au10
>>122より。
各勢力がようやくまとまりました。
ここからが正念場なので、さらに気合い入れます。

ヤムチャはまぁ……それなりでw

144 :作者の都合により名無しです:05/03/01 23:21:36 ID:aPu0LLk1O
サナダムシさん暇なんですか?

145 :作者の都合により名無しです:05/03/02 07:47:28 ID:t/ld2Eln0
うお!ヤジロベーの存在忘れてたよ!

146 :作者の都合により名無しです:05/03/02 10:32:59 ID:ifACAhva0
原作と違いアクティブなヤジロベ萌え

147 :作者の都合により名無しです:05/03/02 11:55:06 ID:8R8MH8uSO
うっかり仙豆のことを喋ってしまうのが、ヤジロベーらしいな。
シュウにはヤジロベー一人でも勝てそうだけど、カリンはどうやって倒すんだろう。
またヤムチャに特攻してもらうしかw

しかし人大杉なのに、携帯からは書き込めるんだな。ちぐはぐだな。

148 :作者の都合により名無しです:05/03/02 13:23:19 ID:r+84Scs70
もう人大杉直ったよ

149 :作者の都合により名無しです:05/03/02 14:04:56 ID:di/SuU/rO
やけに狼牙風風拳が強いな…

150 :真・うんこ:05/03/02 16:57:51 ID:CwfoDBmgO
サナダムシさん、共にうんこSSを始めませんか?

151 :作者の都合により名無しです:05/03/02 20:11:12 ID:+r/OVPDD0
ふらーりは失踪でもしたのかな?
ミドリさんはマダー?

152 : ◆jxmVRmKxVc :05/03/02 20:52:53 ID:9xTrUt+q0
相変わらず以下のレスでなによりなこったい。

だいらいたいさい代筆者募集のお知らせ。原作私、執筆あなた。興味があったらメールで。

153 :作者の都合により名無しです:05/03/03 00:16:21 ID:rV5j0atnO
ユル氏ね

154 :作者の都合により名無しです:05/03/03 01:06:44 ID:2KgNgomK0
そのメールアドレスって・・・



155 :作者の都合により名無しです:05/03/03 10:10:26 ID:/9ato7Uw0
ユル、なぜ平和なスレに嵐を巻き起こそうとする?
作品のよさ(だけ)は認めているのに。
二次創作小説に更に原作はだめだろ。




156 :輪廻転生 最終章:05/03/03 10:31:36 ID:aRr20qwg0
ヤムチャが天下一武道会に出場する数日前、ヤムチャの世界とは別の世界にて−−−
蒸し暑い日、照りつける太陽、セミの声、アイス売りの声、はしゃぐ子供達。
真夏の日は気温が高い。熱中症や日射病になる者もいる。
ここはある東京の一角である。数十年前に建築されたであろう木造の家に一人の老人が住んでいた。
茶をすすりながら煎餅を食べる。何も知らないからして見れば何の事はない普通の老人の姿である。
だが今回は違った。
「来るのぉ。何かが。邪念を持っていない巨大な何かが・・・。」老人は呟いた。

夏の照りつける日差しの下、一人の男が自販機でジュースを買っていた。男の頬には十字傷があった。
「具体的な情報は仕入れてみたけどどこにいるのかわからないんだよなぁ。」
異様なまでに発達した筋肉と頬に十字傷を持つ男、ヤムチャは呟いた。天下一武道会まで
後数日しかない。それまでに「切り札」を用意しておかなければ駄目だ。
「格闘士にとっての聖域の主催者は徳川光成って人だし。あの人なら教えてくれるかもな。」
ヤムチャはその場を後にした。舞空術ではなく徒歩でである。


157 :輪廻転生 最終章:05/03/03 10:33:23 ID:aRr20qwg0
東京都光成邸ーーー
「何?地下闘技場に参加したい選手がいるとな?」
食事をしながら老人は部下に尋ねた。そしてお茶を口に運ぶ。数メートル程離れた場所に部下は正座していた。
「はい。その者。格闘経験はありそうなのですがどうにも光成様に聞きたい事があるといって聞かんのです。」
「ほほう。まあ通してみい。」光成が嬉しそうにいった。
数分後、ヤムチャは光成の部屋へ通された。何十畳あるかわからない程の畳の部屋である。
光成は小柄なのでヤムチャからして見れば小人の様な者である。
「良く来たな。私は徳川邸の主人、徳川光成じゃ。」光成が言う。
「お初にお目にかかります。俺はヤムチャです。」
「ヤムチャ・・・か。お前、苗字は無いのか?」
「ありません。俺は孤児でしたから。」
「そうか。」
ヤムチャは緊張していた。これから「切り札」を手に入れに行くのだ。今考え過ぎるという事は無い。
この男の前ではへり下り、穏便な態度を示すべきである。
「地下闘技場に出るという事は並大抵の事ではないぞ。強い奴がゴロゴロしておるからのう。」
「それは承知しております。一つ質問をしてもよろしいですか?」
「いいぞ。」
「渋川剛気という柔術家は今どこにいるのでしょうか?」

158 :輪廻転生 最終章:05/03/03 10:36:51 ID:aRr20qwg0
光成の動きが止まった。目つきは険しくなりヤムチャの出方を伺っている感じがする。
それくらい自分で調べろと言いたそうな目つきだ。それが出来なかったからここに来たのだが。
「最大トーナメントに参加していたと聞きました。あなたなら住所を知っておられる。」
「教えてやってもいいが。一つ条件がある。ワシの目の前で一つ試合を見せてくれんか。」
「はぁ。」
「来い。加納!」
黒髪の男が姿を現した。黒いスーツに黒いネクタイ、黒い靴下。まるで喪服である。
「表に出ようか。」加納が言う。
それに従うヤムチャ。そして向き合う。同時に構えを取るヤムチャ。
「構えを真似るなんてな・・・。下衆のする事だぜ。」ヤムチャが皮肉っぽく言う。
「これが私のスタイルなんでね。さあ来たまえ。最高の防御とやらを見せてやろう。」
踏み込み蹴りを放つヤムチャ。勿論手加減はしている。バキ世界での格闘士が
捌き切れる程に。
ヤムチャの蹴りが加納に受け流される。間髪を置かずに加納の反撃のストレートがヤムチャの顔面へ入る。
カウンターでは無かったが常人なら反応出来るかどうかわからない程のジャブである。
そしてヤムチャは一メートル程吹飛んだ。
「ご老公!この様なヘタレが地下闘技場などと!」加納が勝ち誇った様に叫ぶ。

159 :輪廻転生 最終章:05/03/03 10:45:09 ID:aRr20qwg0
刹那、加納は猛獣の様な気配を感じて後ろを振り向いた。
「追撃しないのか・・。じゃあ、行かせてもらう。」ヤムチャが言った。
アレを食らって立てるのか。否。やせ我慢に違いない。次の一発で彼は絶対に倒れる。
「終わりだ!」
加納が叫びながら踏み込みストレートを放つ。だがその拳は空を切った。ヤムチャが後ろに下がった訳でも
横に避けた訳でも無い。ヤムチャの姿が加納の目の前から消えていた。
「どこへ!?」
後ろを振り向いても横を見ても誰もいない。ならば。
加納が上を向くよりも早く加納は頭部に衝撃を覚えた。
「馬鹿な・・・。真似れば防御が・・・出来る筈なのに・・・。」
膝から崩れ落ちる加納。そしてそれを見下ろすヤムチャ。
「あっぱれ!あっぱれじゃ!ヤムチャとやら!約束通り渋川剛気の居場所を教えてやろう!」
「ありがとうございます。」



 今回の投稿はこれで終わりです。

160 :作者の都合により名無しです:05/03/03 10:46:33 ID:rV5j0atnO
ぬるぽ

161 :作者の都合により名無しです:05/03/03 10:47:55 ID:/9ato7Uw0
輪廻氏おつ。
加納相手にマジ切れするヤムチャ萌えw


162 :作者の都合により名無しです:05/03/03 10:48:53 ID:rV5j0atnO
ユルは書けないなら投げ出しでいいよ。


163 :作者の都合により名無しです:05/03/03 13:40:19 ID:rV5j0atnO
>>輪廻氏
うんこおおおおおおっっ!!

164 :作者の都合により名無しです:05/03/03 17:16:31 ID:rV5j0atnO
すいませんでした。
逝ってきます。

165 :作者の都合により名無しです:05/03/03 20:09:34 ID:TFtaymPU0
最終章長くなりそーだね草薙氏。
最後までがんばれよ。

166 :作者の都合により名無しです:05/03/03 20:29:24 ID:4/4kCY4sO
ここで回想モードか。
頑張れよ、ただ回想は余りグダグダにならない程度にね。


人大杉があったせいか、最近投下が減ったな。

167 :ふら〜り:05/03/03 20:34:10 ID:2M54GyZS0
おひさです。自身の存在がスレ大荒れの原因にでもならない限り、消えはしませぬ。
……そうなっても、名と文体変えて続けるでしょう多分。惚れたからにぁ着いてゆきます。

>>サマサさん
これはまた、予想外に早い京都編。なかなかに濃ゆい変人揃いで、先が楽しみです。大体、
こういうパターンでは中心にいる人物(本作ではいーちゃん)は性格・能力共にまともな
ものですが、どうもそうではなさそうで。どこまで濃密な空間が展開されるのやらやら。

>>五さん
うん、カッコいい。なにがって、グレゴリオ氏言うところの「ハリウッドばり」なとこ。
格闘漫画ではなく、アクション映画してますねぇ刃牙。しかもその動機が人命を救うため。
タクシーの運ちゃんを巻き込むのもまた、こういう展開のお約束。ツボですよ、五さんっ。

>>戦隊さん
アメーバスペック、良いですなぁ。人間に化けたりもしない、純正液体生物がレギュラー
というのは斬新。いやマジで。オリジナル小説で使おうかな。最期のロケットが切なくて
また何とも。で主人公たるシコルは最期にシコルらしく消えて幕。おあとがよろしいです。

>>青ぴーさん
とりあえず、呪文詠唱中に「えーと」と「?」はやめましょうメイちぁん。危ない。とか
思ってたら案の定ガラに命中、つくづく不安も期待も裏切りませんねこの子は。そういう
とこが可愛いくて好きです。ガラの男臭さといい具合に引き立てあってて、ほんと楽しい。

>>草薙さん
・輪廻転生
正直、殆ど忘れてました猫DIO。この超ヤムチャと一緒に、結局何を考えておるのやら。
あと……アノ描写は、男性側より女性側を描いて下さった方が。どちらかと言えば。ええ。
・オーガのリング
タルカス無残。相手が悪かったとしか言いようがない、か。原作ではあんなに暴れたのに。
でスピードワゴンと組む、と。できればコンビネーションが見たいけど……彼では無理か?


168 :ふら〜り:05/03/03 20:35:14 ID:2M54GyZS0
>>VSさん
お久しぶりですっっ! で相変わらず飛ばしておりますな。エキストラをしつつ裏ボスな
アカギ、さすがだ。この作品の登場歴は結構長いですけど、久々にさすがな一面を見た気が
します。今のとこ周りにももっちゃげられてますが、果たしてこのままいけるか神域の男?_

>>ゲロさん
うぉ〜。頭悪い当方としましては、頭抱えます。何だか禅問答的というか、掴み所がない
というか。文章はきちんとしてて、ちゃんと読めるのに、何だか不思議なものが描かれてて。
これでこの風の中に入ったら、いったいどんなことになるのか? 一種独特な期待、です。

>>ブラックキングさん
VSに続いてお久しぶりです! で危惧はしてましたが光の巨人、出てきにくそうな感じ
ですねぇ……そりゃ他キャラとの共闘は難しいでしょうが、頑張って頂きたいところです。
にしてもこの作品、次にカメラが振られるのはどこか誰か? も楽しみですね。はてさて。

>>サナダムシさん
いやぁ本人には悪いですけど意外意外。ヤムチャがクリリンと同列に戦って、コンビネー
ションで勝利をキメるとは。それはさておき、遂に来ました我らがヒーロー、ヤジロベー!
おおっ、と拳を握った直後、ドジ踏んで笑わせてくれて。ほんとにヒーローです。頑張れ!

>>ユルさん
今まではソフト面(内容)が詩的でしたけど、今回はハード面(書き方そのもの)も詩っ
ぽいですね。読んでてじんわりと染み込んできたのは……ヴェルサス、案外弱いというか
繊細なヒトらしい。ヒネてるようで人のことを悪く見ず、人間嫌いではない。そんな感じ。

>>45
メイを好む同志として、過分なお言葉。光栄です。

169 :作者の都合により名無しです:05/03/03 21:52:05 ID:2KgNgomK0
輪廻乙です。
>常人なら反応出来るかどうかわからない程のジャブである。
>そしてヤムチャは一メートル程吹飛んだ。
反応できなかったヤムチャは常人並ですか。
彼らしいといえばその通りですが。


170 :帰って来たドラえもん外伝:05/03/04 02:27:12 ID:6fKXySgQ0
のび太が勇次郎を元の世界に返して数時間後―ー
それはいつもの朝の風景だった。冷えた空気。鳥の鳴き声、どんな運命の
日もいつも通りの朝が来る。この世に在るモノは全てなる様にしかならない。
空気の流れ、星の動き、果ては人との別れや出会いも。それはのび太にとっては
つらい事だった。朝、起きたらドラえもんが消えていた。何の痕跡も
残さずにふっつりと。置き書きでも残して来れていればよかったのに。絶えなければならない。
ドラが範馬勇次郎に自分を鍛えさせたのはこの時の為では?その思いがのび太の心を支配した。
丁度休日だったので外に出た。そうしなければ気分を紛らわす事が出来なかったから。
外に出ていつもの空き地へと向かう。その途中でのび太はシャツからドラえもんの
絵が描かれた箱を取り出した。「ウソH20」という名の道具らしい。何でも
言ったウソが全て本当になるのだそうだ。試してみるか。
「おい、のび太!空き地に来い!」
のび太がその声に振り向いた。声の主はジャイアンだった。
「はぁ。」のび太は溜息まじりに言った。
昨日の今日か。日に二度敗れる馬鹿はいない。だが連続してやるとなるときつい。
「どうした!やるぞ!」ジャイアンが叫んだ。
「君は君のお母さんに怒られない!」のび太が叫んだ。
「はぁ?」


171 :帰って来たドラえもん外伝:05/03/04 02:27:58 ID:6fKXySgQ0
きょとんとした顔をして佇むジャイアン。突然、誰かの怒鳴り声が聞こえて来た。
「こらタケシ!店番さぼってないでちゃんとやりなさい!」
怒鳴り声の主はジャイアンの母だった。
「ひぃぃぃ!!!」
ジャイアンはそそくさと逃げて行った。
のび太は逃げていくジャイアンを見つめながらもまだ疑っていた。
今のは偶然かも知れない。また試してみよう。
「人の名前を書けばその人が亡くなるノートは今は現れない!」
のび太の足元に黒いノートが現れた。白い文字で「DEATH NOTE」と書かれている。
なぜか消しゴムも付いていた。
「このノートは今は消えない!」
ノートは消えた。消しゴムも跡形一つなく消えた。
「ウソH2O!・・・・本物だ!」
のび太は家に戻った。外でやると面倒な事になりかねない。自分の部屋の中でやった方が賢明だ。
その後のび太は色々な事をした。お菓子やジュースは自由自在に出したり消したり出来る。
一頻り遊んだ後のび太は考えた。こんな事をしていても自分は幸せにはなれない。
効き目がいつまで続くのかわからない。今自分がすべき事。それは。
「もうドラえもんは帰ってこないんだ!」


172 :帰って来たドラえもん外伝:05/03/04 02:28:53 ID:6fKXySgQ0
数秒程の静寂の後、のび太は確かに何かが動く音を聞いた。
空耳ではない。確かにゴトという音を聞いた。そしてそれは数回聞こえ始めた。
ゆっくりと何かが出てくるかの様に。のび太が身構えた。音は引き出しからしている。
初めてドラえもんと会った時と同じ様に。ならば。
「ふぅー。やっと帰って来れたぁ。」
「あ・・・ドラえもん・・・。ドラえもーん!」
叫びながらドラえもんに抱きつくのび太。
「ウソH20使ったんだね。それでいいよ。ウンウン。」
「ドラえもーん。」
のび太の目からは涙が溢れていた。

ドラえもんは窓から空を見た。青い空がどこまでもどこまでも続いていた。



帰って来たドラえもん外伝   完


173 :草薙京:05/03/04 02:31:30 ID:6fKXySgQ0
えーまず最初にやっと終りました。元々この作品は「輪廻転生」を書いている
最中に「書いてみたい」と思って書き始めた作品です。皆さんからの感想、
貴重なアドバイス、その他諸々のお陰でこの作品を終らせる事が出来ました。
最後になりましたが読んで下さった方々ありがとうございました。

174 :作者の都合により名無しです:05/03/04 10:18:24 ID:gcUdU8naO
草薙氏完結乙!
だがあの道具の名前はウソ8OOじゃなかったか?

175 :作者の都合により名無しです:05/03/04 10:29:30 ID:93EddSFs0
草薙氏、完結乙&おめ。
君の作品の中で一番好きで、楽しませてもらったよ。ありがとう。
原作より少しハートフルな勇次郎が好きでした。
残りの作品も頑張って完結させて下さい。応援してるからね。

176 :作者の都合により名無しです:05/03/04 18:41:52 ID:0ONMlx0d0
>>174
ウソ8OOであってる。
ウソエイトオーオーと読むから、それで間違えたのでは。

177 :作者の都合により名無しです:05/03/04 19:48:30 ID:OPnz2lu+0
>草薙氏
輪廻転生完結お疲れ様。まだ連載2本残ってるけどそっちも頑張ってな。
いろいろ辛い事もあったろうけど、最後まで投げ出さなかったのはえらいと思う。
これからもよろしくな。

178 :177:05/03/04 20:01:13 ID:OPnz2lu+0
×輪廻転生完結お疲れ様
○帰ってきたドラえもん外伝完結お疲れ様

いや素で間違えた、ごめん。ちゃんと読んでるから。
最後はあの名シーンで終わったか。

179 :作者の都合により名無しです:05/03/05 11:06:23 ID:Ham075C/0
完結おつ。草薙さん、これからもがんばってください。

180 :作者の都合により名無しです:05/03/05 11:09:07 ID:m682eeP30
507 :マロン名無しさん :05/03/05 10:20:36 ID:???
丸1日経っても草薙へのレスが3つしか無いわけだが。
完結したってのにみんな冷たいなw


508 :マロン名無しさん :05/03/05 10:37:28 ID:???
答えは単純。それだけの人間しか見てなかったって事。
見てない作品が終わろうとどうでもいいでしょ。むしろすっきり。

181 :蟲師 虚仮風:05/03/05 11:25:56 ID:y/QuuD8B0
>>66より続き



182 :蟲師 虚仮風:05/03/05 11:26:53 ID:y/QuuD8B0
 昔、赤ん坊の頃に、鍋を倒して壊しちゃったことがあった。中の煮物まで駄目にしちゃ
って、ひどく叱られたっけ。それで、それで――
 あれ?
「虚仮風は、古い記憶から順に飛ばしてゆく」
 ギンコはそう言った。
 キクは今まさに、二つの時の記憶を、吹き飛ばされたところだった。
「…ねえ、ギンコさん。記憶を無くさないようにする方法は無いんですか?」
 キクは、ギンコに訊いた。
「飛ばされる直前の頃の記憶を、強く反芻していれば、多少は遅らせることは出来るが…
…完全に防ぐことは出来ない」
「そんな……」
「まあ、あれだ。そんなに恐れるな。何ももう戻ってこないわけじゃない。この中から出
れば、自然と思い出せるようになる」
 キクは、ふと上を見た。虚仮風の中は暗く、外の様子を知ることは叶わず、彼女の心は
何か底知れぬモノに覆われたようになっていた。それは、一班には『恐怖』と呼ばれる感
情であった。
「もし……もし、全ての記憶を飛ばされてしまった時は、一体どうなるの?」
 キクの問いにギンコは、
「…弟は確か、十に満たない子供だったな。そして、中に入ったのは三日ほど前……虚仮
風は、個人差はあるものの、大体一日に二、三年分の記憶を飛ばすという」
「……」
 キクは、ギンコの顔をじっと見つめる。
「全ての記憶を飛ばされた時にどうなるか。それは分からない。前例がないからだ。ただ
……不穏な噂は聞く」

183 :蟲師 虚仮風:05/03/05 11:28:25 ID:y/QuuD8B0
「え……?」
「俺は『体はなんともない』と言った。しかしそれは、まだ記憶が残っている者に限って
の話だ。中に入って日の浅い者は、無事に見つかるという。だが、長く入っていたとされ
る者は、姿そのものが見つからん。行方不明、ということになっている」
「この世界から消えてしまう……ということですか? な、なんで記憶がなくなっただけ
で、ヒトじゃなくなってしまうの!?」
「消えたとは限らんさ。もしかしたら、虚仮風に入ったわけではなく、山か何処かに迷い
込んでしまって、人目に付かなくなってしまったかも分からない。だが……それはあくま
で一般論であって、俺はそうは思わん。蟲というのは『そういうことを出来てしまう』こ
の世界においてほんの少し特異な存在達だからな……」

 虚仮風の中は暗闇に支配されているが、奥の方にほんの一筋の光は見て取れる。中に入
った全ての人間は、例外なくその光を辿って歩く。それは、縋るものがそれ以外にないと
いうこともあるが、それ以上に、物言わぬ光がヒトにこう語りかけてくるからだ。
「お前たちに、これ以外進む道はない」
 と――




184 :蟲師 虚仮風:05/03/05 11:29:11 ID:y/QuuD8B0
 
 どれ程歩いたか知れない。二人は、光の終着点に辿り着いた。
「コウ!」
 キクは、光の集まる中心に、弟の姿を見、瞬間名を叫び駆け出していた。
 ギンコは、周りを見渡す。どうやら、キクの弟以外にも、何人かいる。多くの人間は大
風を恐れ近寄らないが、稀にこういう者たちもいる。誤ったのか、好き好んでのことなの
かは、この際どうでもいいこと。今ギンコがすべき事は、彼らを助けることのみだ。
「ギンコさん! コウが……弟が、透き通ってる!」
 コウは今まさに消える直前だった。成る程、間違いない。虚仮風は、記憶を完全に吹き
飛ばした人間にはもう用がないのだ。だから、邪魔になって消そうとする。
 ギンコは、上を見て、そして、叫ぶ。
「おい、この弱蟲が! お前はヒトが怖いんだろう。お前は弱いから、中に入ってこられ
るのが恐ろしいんだな! お前の苦手とするところを俺は知っているぞ!」
 ギンコは、箱から大量の蟲煙草を取り出し、全てに火を点ける。煙は見る見る立ち昇り
、虚仮風内部に充満してゆく。ギンコはそのうちの一本を銜え、
「ヒトも、特に大事な物は金庫に入れて守ろうとしたりするな。だが、それは弱みを他人
に晒していると同じだ。その中には、まず間違いなく大事な物が入ってる、と分かるから
な。それと根本的には同じこと。お前のハッタリは、もう看破されているんだよ」
 虚仮風は、非常に弱いモノだ。弱いからこそ、虚勢を張る。それはとても屈強に映るが、
実のところは体の中心に煙が充満するだけで消えてしまう、とても脆いモノだったのだ。
 


185 :蟲師 虚仮風:05/03/05 11:30:03 ID:y/QuuD8B0

 あれほどの威勢を誇っていた虚仮風は、いともあっさり、消え失せた。山は、雄大な緑
を再び見てもらえるようになったのだ。
 ほどなくして、倒れていた者達が起き上がる。皆、虚仮風内の記憶はない。これも、書
にあった通りだ。キクの弟コウも、同様だった。
「う……ん、お、ねえ、ちゃん」
「コウ……コウ!!」
 キクは、力一杯コウを抱き締める。とても苦しそうだ。

「ありがとう、ギンコさん……あのままだったら、コウは……」
 帰り道。コウを加えた三人で、茶店を目指す。
「いや……俺の見立てでは、コウはまだ暫らくは大丈夫だったな。あのままでも」
 ギンコはそう言って、コウを見る。
「え? でも……消えそうでしたよ?」
「ねーねー、何の話してんのおねえちゃん?」
「キク。お前、あの時のコウの口元を見たか? コウは、全ての記憶が飛ばされる直前で
も、お前のコトだけは忘れていなかったんだぞ」
 ギンコは見ていた。あの時、透明になっていたコウの口元の動きを。
 ――オ・ネエ・チャン――
「一片でも現世の記憶が残ってる限り、虚仮風では消せやしない。あいつに出来るのは、
記憶が全くない、無防備になったヒトを消すことだけだからな」
 ギンコの言葉を聞いたキクの目から、涙が一粒、二粒と零れる。
「おねえちゃん、なんで泣いてんの? ねえ、おねえちゃん」



186 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :05/03/05 11:51:55 ID:y/QuuD8B0
連続投稿とか言われ、誤って書いたコメントも消してしまい。
もう一度同じものを書くのはしんどいので、今回はなしということで……

次回の蟲師はまだ全く決めてません。ただ、ギンコをもう少し脇役っぽく抑えてみよう
かな、とは。

187 :作者の都合により名無しです:05/03/05 12:02:34 ID:Ham075C/0
おお、ゲロさん乙です。
虚仮風は蟲の中でも怖いな。大切なものを奪っていく。
でも、最後はほっとした終わり方で良かったです。
次章も期待しております。

188 :犬と猫:05/03/05 17:57:27 ID:OoHiR7ny0
不動

 二人とも動かない。素手と違い、剣術は急所に当たらずとも致命傷になりかねない。つ
まり、二人とも動けないというのが正しい。
 一呼吸空き、初太刀が激突する。激しい鍔迫り合い──互いに譲らない。力はほぼ互角
のようだ。火花が散り、間合いが外れる。
「ちっ……やるじゃねぇか」
 一撃で倒す算段だったのか、舌打ちするヤジロベー。
「じゃあ、本気でやらせてもらうぜ」
 刀を鞘に納め、居合いに移行する。シュウは刀を横に構え、守りに専念する型だ。シュ
ウの忍者刀はやや刀身が短く、リーチは不利だが小回りが利く。一撃を受け流せば、懐に
入り込んで相手に斬り込むことが出来る。

 狭い室内を莫大な緊張感が支配する。冷や汗を滴らせるクリリンと国王だが、シュウと
ヤジロベーは全く汗を掻いていない。集中力が極限に達しているためだろう。針が触れれ
ば、即破裂する風船の如く。
 ──突如、針が飛んだ。
 比喩ではない。シュウが口から含み針を吹き出した。狙いはヤジロベーの左眼。
「……くっ!」
 最小限の動きで針をかわすが、すでに目前にシュウが迫っていた。抜刀すら出来ず、ヤ
ジロベーはシュウに脇腹を刺される。
「ぐばァッ!」
 刃は腸まで達していた。シュウは無表情で体から刀を引き抜き、ヤジロベーを蹴り飛ば
した。
「ふん、こんなものだろう」
 国王は若干の安堵がこもった笑みを浮かべ、崩れ落ちるヤジロベーを見下ろした。

189 :犬と猫:05/03/05 17:58:26 ID:OoHiR7ny0
 刀身についた血糊を拭き取り、シュウが直立して次なる命令を待つ。
「シュウ、よくやった。実力では四人でもっとも低いから少々不安だったが、忍術があっ
たことを忘れていた」
「アリガトウゴザイマス」
「では、処刑を再開するぞ。首を斬り落とすのだ」
 再びシュウが、倒れているピラフに視線をやる。もはや邪魔者は存在しない。シュウは
ピラフの胴体を乱暴に踏みつけ、固定した。

 対して、敗北したヤジロベーであるが実は生きていた。死ぬことがもっとも嫌いだと豪
語する彼は、刺された傷を我慢して死んだ振りを決め込んだのだ。
 こうしてじっとしていれば、命は助かる。仙豆もあるので、逃げてから食べれば治療も
可能だ。カリンを元に戻すことは出来ないが、仕方ない。
「へへ、危ねぇとこだった……。死ぬのだけは御免だぜ」
 小声でヤジロベーが呟く。
 だが、一抹の疑問がよぎる。これは自らが望んだ結末だったのか。昼夜絶えず走り続け、
仙豆を運んできた結末がこれで良いのか。
 死が最悪の結末であることを、曲げるつもりはない。だが、もう少し戦える。まだ死に
そうもない。キングキャッスルから逃げるのは、もう少し傷を負ってからでもきっと間に
合う。生唾を飲み込むヤジロベー。
「ひ……ッ!」
 むっくりとヤジロベーが起き上がる。
「ひええぇぇぇぇっ!」
 悲鳴にも似た雄叫びを上げ、ヤジロベーはシュウに斬り掛かった。

190 :犬と猫:05/03/05 17:59:40 ID:OoHiR7ny0
 薬品によって、元々眠らせていた忍者犬としての才能を開花させたシュウ。不意打ちに
も冷静に対処する。力任せの剣撃を流麗に受け流すと、ヤジロベーの脇へ捻り込むような
中段蹴り。
「げ、やべ……!」
 せっかく抑えていた出血が増した。大理石で造られた床に、数センチの紅い花火が点々
と広がる。
「残念ダッタナ。今以上ノチャンスハ、モウナイダロウ」
「ちきしょう、寝てりゃよかった……」
 懐から手裏剣を取り出すシュウ。手裏剣は殺傷力は低いが、回転や変化が加わり避けづ
らい。彼の両手から、五つもの手裏剣が放たれる。
「おわっ!」
 どうにか全て弾くが、先のようにシュウが一気に詰め寄る──標的は心臓。一撃必殺の
突きを、今度はヤジロベーも刀で喰い止める。
「ホウ、流石ニ似タ手ハ喰ワナイカ」
「当たり前だ! ばっきゃろうめ!」
 虚勢である。本当は手裏剣を受けるので精一杯だった。突きを止めたのは、殆ど偶然に
近かったのだ。
「ナラバ、手段ヲ変エヨウ」
 煙玉を床に叩きつけるシュウ。煙玉からは煙幕が流れ出し、二人を包み込んだ。
 しかし、シュウにとって煙幕は味方でしかない。鼻から感じ取れる匂いで、敵を特定す
るのは容易いのだ。
「ちィッ……!」
 前後左右、どこから攻めてくるか。視線を右往左往させるヤジロベー。やはり背後から
が定石だが、あえて正面から来るという可能性もある。気が休まらない。
「上だッ!」
 クリリンが叫ぶ。ヤジロベーが上を向く。と、天井に張り付くシュウの姿があった。
「モウ遅イ」
 天井から落下したシュウの突きが、頭上に触れた。

191 :犬と猫:05/03/05 18:00:47 ID:OoHiR7ny0
 だが、ヤジロベーは死なない。頭蓋骨の丸みで刀が滑り、脳に突きが達しなかったため
だ。しかし、致命傷に近いダメージには変わりない。
「が……ハッ!」
「ナカナカシブトイナ。ダガ、次ハナイゾ」
 血が生命ごと流れ出る。人生に一度しか味わえぬ“死”が、一歩ずつ一定のペースで忍
び寄ってくる。ヤジロベーはゆっくりと納刀した。
「こうなりゃヤケクソだ……。カリンめ、死んだら呪ってやるぜ……」
 得意技である居合いに、ヤジロベーは全てを託す。覚悟は決まった。
「面白イ、ナラバ刀ハ抜カセン」
 ありったけの煙玉を床に叩きつける。部屋中が煙に包まれた。
 ヤジロベーは動じない。吐息を最小限に殺し、シュウにのみ照準を絞る。死を実感した
ことにより、冷静さを取り戻したのだ。待ちに徹すれば、少なくとも余計な隙を与えずに
済む。逆に、有利なはずのシュウが攻めあぐねている。
 ──充満した煙の中で、両者が沈黙する。
 二人とも動かない。じっと待つヤジロベーに対し、どこから攻めるか迷うシュウ。
 前後か、左右か、上下か、究極の選択──どれを選べば殺せるのだろうか。精神的に追
い詰められていく。
「正解ハドコナンダ。ドウスレバ……!」
 心を奪われている彼にとって、もはや拠り所は国王しかいなかった。国王に指示を仰ぐ
べく、シュウが動く。が、前方にある煙が揺らめいた。
「グワァッ!」
 最速剣術、居合い発動。胸を真一文字に切り裂かれ、シュウが倒れ伏す。
「グオオォ、何故ダ……!」
「よく分からねぇが、助かったぜ。もうとっくに煙は薄れてんのに、全然攻めてこねぇか
らよ」
 敗因は迷いすぎたことであった。時間の経過すら忘れるほど──余りに初歩的なミス。
「シクジッタカ……。参ッタヨ」
 鎖帷子で命は取り留めたが、体は全く動かない。シュウは自嘲気味に微笑むと、ゆっく
りと目を閉じる。勝負あった。
「し、死ぬかと思ったぜ……えへへ」
 刀を納め、ほっと一息。剣術対決を制したのは、ヤジロベーであった。

192 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :05/03/05 18:05:56 ID:OoHiR7ny0
>>142より。
何だかんだでシンバル倒した男です。
次回へ続く。

193 :作者の都合により名無しです:05/03/05 19:14:43 ID:W9hbTx980
>蟲師
こういう終わり方は好きです。絶望から希望、みたいな。
前は逆パターンが多かったですもんねw

>犬と猫
ヤジロベーデブのくせにカッケー!剣の対決はおいしいね。
しかしシュウ、原作ではあんなにかわいいのにw




194 :◆89aIROQ50M :05/03/05 20:10:35 ID:0x9DopaxO
皆様、お久し振りです。受験終了後の初投稿、6つUPします。
例のごとく改行削りつつなので、時間が掛かってしまいますので、ご了承を…。

195 :バキ外伝デス・ゲーム第二十八話:05/03/05 20:15:06 ID:0x9DopaxO
バキがグレゴリオに『敗北』を与えた約2時間後。

都内のある病院の一室。患者用ベッドに横たわる老人。患者用の寝間着の隙間からは、腹部に包帯が巻かれている。
………その顔には布が掛けられていた。
大きな足音が病室に近づいて来る。音の間隔が狭い。恐らく走っているのだろう。
足音の主が部屋に飛び込むように入って来た。
「渋川……さん…」その主、範馬バキがベッドの上の老人に声を掛ける。無論、返事は無い。
「…俺……また守れなかった…」バキの目に涙が浮かぶ。心に巨大な空洞が出来た感覚がした。

「べ〜け野郎、誰を守るって?」

突然、死んでいた筈の老人・渋川が起き上がった。顔に掛けられた布がはらりと落ちる。
「わ〜〜っ!!!」バキが絶叫し、腰を抜かしてへたり込んだ。
「このぐらいじゃ死なん。独歩の菩薩拳の方が十倍効くわ。」
唖然としたままバキは放心状態になっている。
「ちょいと冗談が過ぎたかの?……ところで、ここに来たって事は勝ったんじゃな?」バキが口をパクパクさせつつ答える。「……え?ああ、ハイ。」
「止めは刺したか?」「いえ…そこまでは。」
渋川がベッドから降り、スリッパのペタペタという音を鳴らしてバキに歩み寄る。
ベシッ!「つぅっ!」でこぴんがバキに炸裂した。
「ほんっとアンタは甘いのぅ……ま、そこがアンタの良いとこじゃ。」
「ど、どうも。」「心配かけたの。2日も休んだらすぐ復帰するわい。」
「…え?だ、だって撃たれたのに…」放心状態から立ち直ったとはいえ、呆けた表情のバキが疑問を投げかける。
「言ったろう?『かすっただけ』って。ま、アンタが奴らと闘えるか試したって所じゃな。」にんまりと笑う渋川。
「…あ、そうすか…はは…は。」開いた口が塞がらない。
(年の功って…怖えぇ〜。)ただただ、バキは空虚な笑いを響かせていた。

196 :バキ外伝第二十八話続き:05/03/05 20:19:19 ID:0x9DopaxO
その一時間後、都内高層ホテルの一室。
丹波は何をするわけでも無く、ただ時間を潰していた。
闘技場で両勢力が顔を合わせた翌日、光成から無敗者達の大まかな情報は渡されていた。
とはいえ、所在がわからない。ルール無しの勝負、いわば戦争で敵に自分の居場所を把握されるのは致命的だからだ。

「参っちまうな…」とりあえず北辰館に情報収集でも頼むか。
そんな事を考えて、備え付け電話の受話器を手に取った。そして、番号を押そうとしたその時。
コンコンコン。
ノックだ。(…誰だ?)訝しみつつ、ドアの覗き窓から訪問者を確認してみる。
ホテルのボーイが立っている。手には小さな小包を抱えていた。見覚えの無い顔だった。
「何だ?」ドアを開けずに声を掛ける。まだ安心は出来ない。
「北辰館の松尾様からお届け物です。」
(……あぁ?『届け物』?)チェーンを外し、ドアを開けた。微かに外気が流れ込んで来る。
「なんだよ?」「ああ、あの、届け物としか…」何故かボーイは汗を大量に流している。心なしか全身が震えていた。

何かがおかしい。なんだ?何とも言えない違和感。普通の光景に異変が紛れ込んでいる。…それを探るのは間違い探しにも似ていた。
煙は無い、火事では無さそうだ。廊下は静まり返っている。凡そ異常は無いが、何故か本能が警鐘を鳴らしている。

ボーイの足元に、横から影が伸びていた。
(ヤベェッ!!)とっさにドアを閉めようとする。が、割り込むように拳が飛んできた。
とっさに半歩飛び退き、間一髪で交わす。と、突然に拳が開かれた。
パチパチッと大量の何かが顔面を叩く。 次いで顔面に凄まじい衝撃を感じ、吹っ飛ばされた。
(糞っ、効いちまった!)軽い脳震盪。目に映る風景が、蜃気楼の如く揺らいでいる。
しかし、寝ていては追撃のチャンスを与えてしまう。脇のベッドに手をつき飛び起きる。
襲撃者は余裕の表情で、いつの間にか閉じられたドアに背を預けていた。

「はは、起きれるのか。」
「てめぇ………、死刑囚の。」
コートをなびかせ、悠然と佇みながら氷の様な蒼い目でこちらを射抜く襲撃者。
「シコルスキーだ。忘れるなよ、あの世でも。」
襲撃者が、自らの名と死刑宣告を同時に告げた。

197 :バキ外伝第二十九話:05/03/05 20:25:01 ID:0x9DopaxO
シコルスキーがじりじりと歩を進める。丹波の背後には窓のみ。完全に追いつめられた。つまり、もうやるしかない。
狭いホテル室内での死闘が始まった。

接近しつつ、シコルスが語りかける。「なかなかの殺気だな、象山の前菜にはなりそう…」
言葉を遮るように丹波が飛び込んだ。凄まじい風切り音を伴い、拳が飛ぶ。
(なっ!?)意表を突かれたシコルス。本来なら自分が会話しつつ不意打ちを喰らわせるつもりだった。
首を捻ってかわすが、かすった丹波の初撃は外耳を僅かに削いだ。
「クッ」痛みをかみ殺し、左のボディを放つ。ガツッと音をたて、それは肘のガードに阻まれた。
同時に、シコルスの視界の端で何かが瞬いた。空気を切り裂く丹波の上段蹴り。
右腕でガードするも、強烈な痛みと痺れが腕を襲った。そこへ、右の正拳突きが飛ぶ。とっさに左の掌で顔面を防ぐ。
しかし丹波の狙いは顔では無かった。痺れの残る右腕の手首を突きが直撃する。
「うっ…ぐ!!」まずい、右をやられた。骨折はしていないようだが、数秒は動かせない。
狙いの成功を確信し、丹波が左半身へ打撃を集中する。
下段は足で防げるが、上段はスウェーやダッキングしか使えない。
右腕が使えるようになると、丹波が再びガード狙いの攻撃で痛めつける。
完全に主導権は丹波にもぎ取られていた。再び右腕への攻撃、左ミドルが飛ぶ。シコルスが左手をガードに回す。
……止まった。蹴り足が止まっている。
(何のつもりだっ!?)戸惑うシコルスの視界の隅で、丹波の地に残した右足が浮くのが映った。

ドゴォッ!!
後頭部を衝撃が襲った。そのまま、前のめりにシコルスがよろめく。その隙を逃さず、丹波が背後へ回り込む。
よろけながら振り向くシコルスの喉へ、手刀がめり込んだ。
「ゲハァッ!」唾液の混じった血を吐き、シコルスが悶絶する。
その顔面へ、突き刺さるように爪先がめり込んだ。
その一撃で顔の骨にヒビを入れられ、鼻血を噴き出してシコルスが窓際へ叩きつけられた。

「どうしたよ、死刑囚?」丹波が僅かに口を吊り上げる。
形勢逆転。今度はシコルスキーが追いつめられた。

198 :バキ外伝第二十九話続き:05/03/05 20:27:35 ID:0x9DopaxO
「グッ…ハァ…ハァ、なるほど。君も…期待できるな。」
シコルスキーが呼吸を整え、ボクシングに似たファイテングポーズを取る。
(…この野郎……)シコルスの何かが変わったのを感じ、丹波の思考に止めを刺さなかった事への後悔がよぎった。

しかし、向こうが何か凶器を持つ可能性を差し引いても、ダメージはシコルスの方が高い。戦況はこちらが有利だ。
自らに言い聞かせるように、考えを瞬時にまとめ、決断する。
「オオオッッ!!!」怒声を上げ、丹波が突っかけた。
左フックがシコルスの顔面へ吸い込まれるように飛ぶ。
直撃かと思われた瞬間、シコルスの左手が丹波の左手首を凪いだ。
熱。丹波が感じたのは熱のような痛みだった。とっさに左腕を懐へ戻す。
動脈近くに、太い、抉れたような傷が出来ていた。
ドクドクと血が流れ、滴り落ちてカーペットを濡らした。
(……刃物か!?)否。シコルスの左手には何も握られていない。
(チッ、何かわからねぇが…やっちまうしかねぇ!!)疑念を振り払い、丹波の怒涛の攻撃が始まった。
シコルスを叩きのめすべく次々と放たれる炸裂弾のような打撃が放たれる。
丹波の四肢から打撃が放たれる度、ピチャ、ピチャッと音を立てて血が飛び散る。
シコルスのものではない。攻めている筈の丹波の血だ。
拳、指、膝、爪先、腕、それら全てに無数の傷が増えていく。
まるで、シコルスの周囲に鎌鼬のバリアが張り巡らされているかのように。
シコルスが丹波の攻撃を、ギリギリのところで避けながら、その先端を一本拳で凪ぐ。
信じ難い事に、この男は素手で『斬る』という事をやってのけていた。

……無意識に、丹波の打撃の『踏み込み』が浅くなっていた。
拳も手打ちに近い状態になっている。つまり、速度は落ちていないが威力が落ちているのだ。
(そろそろって所かな)最悪、喰らっても支障は無い。好機。攻守逆転の絶好のチャンス。
ダンッ!!!
丹波の右ストレートをかいくぐり、拳が懐に戻るのに合わせシコルスが飛び込む。
迎撃から攻撃へ、シコルスを守っていた鎌鼬が丹波の全身に襲いかかった。

199 :バキ外伝三十話続き:05/03/05 20:32:40 ID:0x9DopaxO
シコルスの斬撃によるラッシュが始まった。
丹波は両腕を盾にし、致命傷になりやすい首や顔面を、ボクシングのピーカブースタイルでガードしている。
が、そのガードする腕も肉が削げ、大量の血が流れ出し盾としての機能を失いつつある。
歯を食いしばり、それでも丹波はガードを堅持し続ける。
(どうする!?どうやったらこの状態から逃れられる!?)
ジリ貧の状態。手を出せば切り刻まれ、出さなくても切り刻まれる。

「邪っっ!!!」
積極策しか手段はない、そう判断した上での行動。
斬撃のコンマ単位の『間』に割り込む正拳が放たれた。全体重を乗せ、思い切り踏み込んだ、形勢を逆転するに足る威力の一撃。

水月を打ち抜き、気管すらも潰す狙いだったそれは、あっさりと空を切った。
そこに、シコルスの体は無かった。

丹波の頭の高さ辺り、シコルスが体を畳んで宙に浮いていた。
ズドンッ!!!
轟音を響かせ、シコルスのドロップキックが胸部を直撃した。
その勢いで、丹波の体が浴室へガラス戸をぶち破って叩きこまれた。

(……痛ぇっ。)
息が苦しい。全身が痛い、特に頭と胸が。
頭は浴室に叩きこまれた時に打った、胸は先の一撃。胸骨にヒビが入っているのだろう。刻まれた全身からの出血も止まない。
しかし、これは実戦だ。諦めは死に直結する。

(まだだ、まだ終わっちゃいねぇっ!!)震える足で立ち上がり、己を奮い立たせてた。
浴室から、臨戦態勢の丹波がゆっくりと踏み出す。が、
(……あぁ?)居ない。シコルスが居ない。荒れた室内を残し、忽然と消えていた。
辺りを見回しても姿は無い。なぜ?勝利を目前にして消える?ありえない。

突如、丹波の視界が頭上から降ってきた何かに包まれて黒に染まった。柔らかい何かが全身を覆っている。
そして、頭蓋へ衝撃。その一撃が、僅かな意識を残して、丹波の戦闘能力を奪い去った。

200 :バキ外伝三十話続き:05/03/05 20:37:28 ID:0x9DopaxO
ボフッ。
柔らかな何かに包まれて、丹波が崩れ落ちた。そして、コートをふわりとなびかせて、音も無くシコルスが天井から着地。

丹波が浴室にぶち込まれた直後、シコルスは超人的な指の力で、天井のスプリンクラーにしがみついていた。
片手で蜘蛛のように天井に張り付き、片手で、備え付けのベッドに有った毛布を持って。
結果、まんまと丹波は策にハマった。上から毛布を被せて視界を奪い、両手でスプリンクラーにぶら下がったまま、頭部へ渾身の蹴り。

「君は『試合』の域は脱していたが……所詮は『喧嘩』止まりだったな。『殺し合い』には程遠い。」
毛布を被ったまま倒れる丹波を見下して、シコルスが話し掛ける。

バンッ!!!

そこに、ドアを蹴り開けて警官隊が突入してきた。
「警察だっ!!シコルスキーだな!動けば発砲する!」
入口から3、4mの距離を保ち、警官達がシコルスに拳銃を突きつけた。
「クスッ。…遅いお出ましだな?」シコルスが嘲笑うように警官隊を見やる。
警官隊の中央で、一人スーツを着た大柄な男が叫ぶ。
「抵抗するなら即発砲して構わん!!責任はこの園田が取るっ!」
今回の死刑囚一連事件の責任者、園田警視正だ。
その言葉に押され、じりじりと警官隊がシコルスににじり寄る。
「この俺を逮捕したいなら…『ジエイタイ』でも呼ぶべきだ。…なめられたものだな?」
ふぅ、と溜め息をつき……シコルスが跳んだ。窓へ一直線。そして窓を破り、外へ。
余りの瞬発力に、警官隊はシコルスの消えた空間に照準を向けたままだった。
ようやく我に帰った一人が、悲鳴のような声で叫ぶ。
「と、飛び降りましたぁっ!!」「なんだと!?……ここは、13階だぞっ!!」
そのころ、シコルスはロッククライミングの技術で、地上のパトカーから死角となる側のホテルの外壁を凄まじい速度で下りていた。
「さて、次は誰にしようかな…」スイスイと外壁を渡り、上機嫌で呟く。
無論、その後シコルスキーは逃走に成功した。

201 :◆89aIROQ50M :05/03/05 20:40:55 ID:0x9DopaxO
さっそく訂正。orz
>>199のタイトルから「続き」を外してお読み下さい。


202 :◆89aIROQ50M :05/03/05 20:49:09 ID:0x9DopaxO
終了と、さっそく訂正。orz
>>199のタイトルから「続き」を外してお読み下さい。

>>24さん
展開読まれてたっ(笑)。
友達に餓狼伝貸してるんで、少しずつそっちのキャラを出します。
>>25さん
はい、渋川さんはこの程度じゃ脱落しません。ジャックにあれだけ殴られても生きてる方ですから。
>>ふらーりさん
いつも感想ありがとうございます。
原作キャラ達は原作より相当な強化設定なんで、トンデモ能力を持つオリ達と互角以上に闘えるようになっとります。
あ、個人的には「左の拳」の続編希望です。
山崎使いなんで。

203 :ふら〜り:05/03/05 21:00:31 ID:rtCO0Rst0
>>草薙さん
結末は勇次郎絡みで何か変わるかな、とも思っておりましたが……読んでみるとやっぱり、
ここはこれしかありませんね。とりあえずのび太の根性や気迫は相当鍛えられたでしょう
し。こののび太なら、もうジャイアンには負けないでしょう。完結、お疲れ様でした!

>>ゲロさん
前に「親子」がありましたが、今回は「姉弟」でキメましたか。全てが終わった後、コウ
が事態を全く把握してない辺りが何となく、いいです。特に意識してなくたって、自然に
意識している、その想いの強さ。蟲が不気味だっただけに、暖かさが心地良かったです。

>>サナダムシさん
そ〜か〜。そういえば、彼の剣術の初お披露目ってダッシュ居合い斬りでしたね。悟空に
負けぬ大物ヤジロベー、ってアオリを覚えてます。腹と頭から血を流しつつも、カリンの
為に死への恐怖と痛みを堪えて戦い、見事勝利。今回はシリアスにカッコ良かったです。

>>五さん(リクエスト嬉しいです。山崎は大好きなので、いずれ書くかもです)
マジで渋川先生の死を危惧した私は甘かった。相変わらず五さん、原作キャラ操縦も巧い
です。シコルの戦いぶりも然り、打撃で攻められ斬撃で返す、得意のドロップキックも
叩き込む。原作での無念を晴らすかのような暴れっぷり、シコル何だか気持ち良さそう。

204 :◆89aIROQ50M :05/03/05 21:23:02 ID:0x9DopaxO
訂正。




>>197の真ん中辺りの「左半身」→「右半身」
>>198の真ん中の「次々と放たれる」→「次々と」
>>199後半「奮い立たせてた」→「奮い立たせた」
駄文のクセして間違い大杉。すいません。
携帯で打つと…目が霞むんです……orz

205 :作者の都合により名無しです:05/03/05 22:45:21 ID:Ham075C/0
五氏は携帯でがんばるなw
目を悪くせんようにね。

206 :作者の都合により名無しです:05/03/06 07:47:20 ID:QbSmajo/0
五さんがんばるな。一行の長さがちょっとバラバラなのはご愛嬌か。
これからも頑張ってください。

207 :Z戦士への入門:05/03/06 08:37:45 ID:aUdUO/8R0
「烈さんは白林寺で修行したって言いましたよね?」
額に二、三本血管を浮かせてる烈を相手にあくまで冷静にさっきまでの問答を確認するように刃牙が質問していた。
「ん?・・・あぁ、確かに言ったがそれがどうした?」
正直お前の妄想にはもう付き合えんと張っ倒すなり帰れと言うなりしても良い頃合なのだが、
どうせやる事もなし暇なので烈はもうちょっとだけ相手してやる事にした。
何より一度負けている相手なので実力行使ではちょっと適いそうに無い。
「それは嘘です!」
「はぁ!?」
またワケの分からない事を言いやがりましたよこのガキは・・・
こんなのに付き合ってるとこっちの頭までおかしくなる、やはり即刻帰ってもらうべきだったと烈は速攻で後悔した。
「いや、『嘘です!』って、そんな日常会話で嘘ついてどうする!妄想病を患ってる貴様と一緒にするな!それとも何か?
君は私がジェッキーチェンやブルース・リーなんかに憧れて功夫のモノマネしてるナンチャッテ拳法家だと?そう思っていたと?許さんッ!許さんぞッッ!!」
自身の侮辱と思える言葉には過剰な程反応する烈海王、
普段は精進料理大好き、それこそ敵にも振舞っちゃうくらい奉仕精神あふれる善人な彼だが、
それ故怒りのツボがどこに有るのか常人には理解し難いのだ。
「ち、違う!違います!俺が言いたいのは、そこは白林寺なんかじゃなかったって事ですッ」
今までクールビューティーよろしくスマシ顔な刃牙だったが、
仁王の如く怒りに震える烈海王を見て流石に恐ろしくなったのか慌てて弁解する。
だが言ってる事は相変わらず意味不明。

208 :Z戦士への入門:05/03/06 08:38:47 ID:aUdUO/8R0
「貴様ッッッ!!私のみならず我が寺をも侮辱するか!?幼少より十数年もの間武術を賜り続けた我が白林寺をッ!もう我慢ならん!!」
アドレナリンを沸騰させながらシャツを引きちぎりカンフーシューズを脱ぎ捨てる烈海王。
臨戦態勢100%である。
「そこですよ烈さん!おかしいと思わなかったんですか?」
「何がだッ!?」
「だって中国で十何年も修行してたんでしょ?絶対おかしいですよ!」
「だから何がだッ!?」
「百聞は一見にしかず、これを見て貰えば分かります」
一触即発の状態にも関わらず悠々と背中の甲羅をゴソゴソ、刃牙は一枚の写真を取り出した。
甲羅は収納仕様になってたらしい。
「こ、これはッ!?バカな・・・信じられん」
刃牙が取り出した写真をくい入る様に見つめる烈海王。
そこには彼にとって信じ難いモノが映し出されていた。

http://www.sweetnote.com/images/1439ce0c4668aed9b30f6ffa0d00bd6d.jpg

大空に向かって両手を突き出し俗に言う『かめはめ波』のポーズを取っている青年。
そしてその手からは本当にかめはめ波(っぽいモノ)が放たれていた。
・・・言うまでも無い、紛う事無き完璧な合成品である。

209 :Z戦士への入門:05/03/06 08:39:46 ID:aUdUO/8R0
「中国に行った時拾ったんですけど・・・だから俺は中国拳法使える人は皆こんな事が出来ると・・・」
「私が今まで中国拳法だと信じていたモノは・・・実は中国拳法では無かった・・という事か」
肩を落としガックリとうなだれる烈。
刃牙とタメを張るほど機械音痴な彼はとうぜんパソコンを触った事もなけりゃそれで何が出来るかなんて考えたことも無い。
筋肉だけで世の中を渡ってきた烈海王にとってこんな物を見せられては信じる他なかった。
「すまないな、刃牙君」
「え?」
「せっかく私を頼って来てくれたというのに・・・何の力にもなれず・・」
涙ぐみながら頭を下げ深々と謝罪する烈。
「そんな烈さん・・・」
「くっ、白林寺で私は今まで一体何を学んでいたというのだッ!」
微妙に論点をズラされた感がしないでもないが烈の怒りは既に綺麗さっぱり治まってた。
「烈さん・・・俺が思うにそこはきっと白林寺じゃなくって多林寺だったんですよ」
「多林寺!?」
「そう多林寺」
「多林寺・・・クリリンが亀仙人に弟子入りする以前に拳法を学んでたというアレか?」
今までドラゴンボールなんて聞いた事くらいしかないぜ!的な素振りだったのに、
カミングアウトしたのか意外にもマニアックな知識を披露する烈海王。
「クリリンも亀仙流に入るまでは気功波の一つも使えなかったし、多林寺ではイジメにあってロクに拳法を教わらなかったそうじゃないですか」
「ふむ」
「・・・もしかしたら烈さんもそんな経験あるんじゃないスか?」

210 :Z戦士への入門:05/03/06 08:40:27 ID:aUdUO/8R0
さっきのさっきなのでこんな事言っちゃったらまた怒り狂うかなこの中国人、と刃牙は思ったが思い切って聞いてみた。
一応勝っている相手なのでタイマンなら負けやしない、いざとなったら今度こそ首の骨を折ってやる。
「・・・・言われてみれば、そうだったかも知れん」
「あれ?」
いきなり襲い掛かられる事も考え身構えていた刃牙が、思わずズッコけそうになる。
「なんか私だけ老子に意味無く閉じ込められたりしたし、私が一番強い筈なのにお前は技量が足らんとか言われたり・・・」
予想に反した受け答えをする烈にちょっとビックリな刃牙、どうやら烈の中の恩師に対する懐疑心が高まりつつあるようだ。
「ああ、そうだ、擂台の時にも私がせっかく仇を取ってやろうとオーガに挑戦したのにあの野郎ワケの分からん逆ギレをして止めやがったな」
「あの・・・烈さん?」
「『私を侮辱する気かァッッ!』だと?ふざけんなッ!あん時は私の方が大恥掻いたっつーのッッ!!」
あの烈海王が憤ってる・・・というより自らの恩師を意地汚く罵ってる。
先程とは違うベクトルで怒りを露にする男を見て今のこの姿こそ烈海王という偽善者の本当の顔なのだろうと刃牙は一人でに納得した。
「そうだ、いつもそうだったんだ!思えばあの野郎はいつも私の邪魔ばかりしてた、海王になるのも私が一番最後だったんだ!実力はダントツの筈なのに・・・」
「だからこそって話なのかもね、親は子の、師匠は弟子の成長を認めたがらないっていうし」
「・・・・・」
「それに弟子が師匠より凄い事しちゃったら他の門弟達にカッコつかないしねぇ・・・」
悪気が有るのか無いのかニヤケながら三流悪党の様なセリフを吐く刃牙、たぶん天然で言ってるだろう。
「そうか、薄々感づいていたが私の才能を妬んだ結果と・・・そういう事か、あのクソジジイめッッ!!」
この後も烈による劉海王の恨み辛みを腹の底からブチ撒ける様な愚痴がたっぷり一時間続いた。

211 :Z戦士 ◆YvMQSqnLNo :05/03/06 08:42:33 ID:aUdUO/8R0
ちょっと間が空きましたが投下終了です。
全然ストーリーが進まないです、今回なんとか烈先生を洗脳できただけ。
まぁそれが一番やりたかった事ですが。

212 :作者の都合により名無しです:05/03/06 09:37:42 ID:nx2+ylKKO
誰?

213 :作者の都合により名無しです:05/03/06 10:35:24 ID:noTM7Hq10
作品期待age

214 :作者の都合により名無しです:05/03/06 19:39:54 ID:nx2+ylKKO
作品期待age

215 :作者の都合により名無しです:05/03/06 22:55:40 ID:3mWGeLtQ0
>Z戦士
おつかれさまです。烈の壊れっぷりがいい感じです。劉と仲悪いのかw
ご自分のペースでゆっくりとがんばってください。
でも、途中のアド、リンク先開けないw

216 :犬と猫:05/03/07 02:51:28 ID:WazppOk80
怒涛

 王を守護する四体の怪物。三体までもが倒された。
 カリンという切り札こそ健在だが、不甲斐ない結果に国王が激怒する。
「使えんッ! どいつもこいつもやられおって、やはりわしの側近に相応しいのはカリン
だけだったか」
 本音が出た。彼にとって、役に立たぬ者は部下である資格すら持たない。
「やっと本性を現しやがったな。テレビ局ではあんだけ偉そうに吹いてたが、やっぱり他
人のことなんか全然考えちゃいねぇ」
「ほう、だったらどうする」
「こうしてやる」
 ヤジロベーは袋に入った仙豆を取り出し、口に含んだ。傷ついた肉体が全快していく。
「バカな、重傷だったはずだ。手品か……?」
「手品じゃねぇよ。これを食えば、どんな大怪我でもたちまち治っちまうんだ」
「なるほど、その豆でカリンを元に戻そうというわけか……クックック」
 手の内を知らされ、国王は笑った。ヤジロベーの作戦が、絶対に不可能だと分かりきっ
ているのだ。
「チャンスをくれてやる。カリンと一対一で対決させてやろう」
「へっ、どうせてめぇが加勢すんだろが」
「そうかもな……。だが、対決を断る理由もないだろう」
 ヤジロベーは考えを巡らせた。国王とカリンに組まれると、ヤジロベーでは歯が立たな
い。だが、仙豆を食べさせるくらいなら可能なはずだ。
「いいぜ、やってやる」
「心強い返事だ。カリン、やってしまえ」
 ヤジロベー対カリン、幕は上がった。

217 :犬と猫:05/03/07 02:52:14 ID:WazppOk80
 カリンが視界から消え、疾風が室内を荒れ狂う。戸惑うヤジロベー。
「お、おい、どんなスピードだよ……」
 気を取り直し、刀をしっかりと握り込む。が、どうも感触がおかしい。軽い。
「……あれ」
 ──刃が消えていた。
 柄から先がすっかり失われている。疑問に答える者はなく、代わりに拳が顔面に叩き込
まれる。壁に激突するヤジロベー。
「ぐおっ! ……ち、どうなってやがる!」
 顔を上げると、甚大な殺気を匂わせるカリンが立っていた。床には先ほどまでは刀身だ
った破片が散らばっている。実力差は明白だった。
「ふざけんじゃねぇ、どんだけパワーアップしてんだよ!」
 つい先日までせいぜい互角以下だったカリンが、今や雲の上に居る。ヤジロベーでなく
とも絶望するだろう。
「カリンは私の手によって、大きく力を伸ばしたのだ。豆を食わすくらいなら……と考え
たのだろうが残念だったな」
 ヤジロベーをあざ笑う国王。ピラフ一味、戦士たち、いずれも撃破した。そして、全て
を決する命令が下される。
「そいつを殺せ、カリン。これで全てが終わるッ!」
 殺気が倍増する。次の攻防で決めに来るだろう。だが、ヤジロベーは諦めなかった。
「おらァッ!」
 豆を手一杯に握り込み、カリンの口へ拳を叩き込んだ。まさかの反撃に、カリンも反応
が鈍った。
「このまま食わせてやるぜ!」
「フゴ、フガ、フガガ……!」
 呼吸器を塞がれ、初めて険しい顔色を表すカリン。このまま仙豆を押し込めば──国王
が叫ぶ。
「何をしておるかッ! 手首ごと食いちぎってしまえッ!」
 声に反応し、カリンがヤジロベーの腕を思い切り噛んだ。強化された牙と咬合力は、み
るみるヤジロベーの腕を蝕んでいく。
 最悪の事態は訪れた。

218 :犬と猫:05/03/07 02:52:57 ID:WazppOk80
 カリンが上下の歯を噛み合わせた──これが意味するもの。手首を奪われた。
「ぎええええぇぇぇ!」
 轟く悲鳴。手を食いちぎられた右腕からは、止まる気配のない鮮血が飛び散る。高笑い
する国王。
「ハッハッハッハッハ……! よし、全て吐き出してしまえッ!」
 忠実に、カリンがヤジロベーの手首を吐き出す。唾液が付着した手首と仙豆が床に落ち
る。あと一歩で、食べさせるには至らなかった。
「なかなか楽しませてもらったよ。えぇと、ヤジロベー君」
「ご、ごめんなさい! 今までのは単なる冗談で、本当は仲間になりたかったんです!」
 作戦は完全に失敗したと悟り、本格的に命乞いを始めるヤジロベー。余りにも白々しい
文句が踊る。もちろん、聞き入れられるはずもない。
「本当に面白い奴だな、君は。カリン、存分に苦しめて殺してやれ」
「あの、もう少しお話を──!」
 猛打が次々に打ち込まれる。顔面を変形させ、ゴムボールのように吹き飛ばされるヤジ
ロベー。
「ひ、ひィッ! 待って、助けて下さい!」
 無慈悲に突っ込んでくるカリン。ヤジロベーは本能的に、残る左手で顔面を庇った。
「波ァッ!」
 突然、カリンの背中で爆発が起きた。奇声を上げ、カリンが前方に倒れ込む。
「さっきのあれ、食わせてもらったぜ」
 クリリンであった。今のやり取りを全て見聞きしていた彼は、腹筋の力で移動して仙豆
を食べたのだ。折られた手足が戻っている。
「アルマジロ、だっけか。豆はあと三つだけだ。一つをアンタが食って、残りを何として
も猫に食わせるんだ!」
「ヤジロベーだ、アホ! ちきしょう、礼はしねぇぞ!」
 仙豆の力により、ヤジロベーもまた元気を取り戻した。
 よく似た声を持つ二人が共演する。国王を倒すべく、カリンを救うべく、戦いはクライ
マックスへと向かう。

219 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :05/03/07 02:55:13 ID:WazppOk80
>>191より。
深夜に失礼しました。

220 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/07 05:08:56 ID:DLwXnR6Z0
>7より

その夜。
ぼくは京都の街を歩いていた。
「さて、何故に外出を控えるように言われたというのにいーちゃんはこうして出歩いているのでしょう」
答えは簡単。<外出するな>と言われれば、外に出たくなるのが人情ってもんでしょう。
「まあ要はぼくがひねくれ者なだけなんだけどね・・・」
呟きながら、ぼくは歩く。歩く。歩く。
何の目的もないまま、ただ歩む。特に何も思わない。無意味な無為は、もう何度となく繰り返している。
「しかしただ歩くってのもなんだな・・・。宮本武蔵の物真似しながらロボットダンスを踊りつつ歩こうかな・・・」
もちろんそんなことはしないけど。そんなところを万が一にでも知り合いに見られたら、とっくに終わってるような
ぼくの人生が更に奈落に堕ちるだろう。
それ以前に夜の京都とは言っても、まだまだ人は多いんだ。衆人環視の中での恥辱プレイの趣味はぼくにはない。
ぼくの好みはあくまでもメイドさん(エプロンドレスは外せない)だ。
それも見た目が中学生並に若い年上の女性で、接近戦は無敵のバトルメイドさんならば文句は全くない。
などと冗談を考えていた、その時。

―――ゾワリ     と     ぼくの     身体が     震えた。

「・・・・・・・・・・・・」
ぼくはそれでも歩みを止めない。どこかにいるはずの彼は、ぼくの後を付けて来る。
もはや知覚するまでもなく自覚できるほどの存在感を伴って、彼はぼくに迫っている。
「おいおい・・・まさか、なあ・・・」
地上最強の、生物さん?
「さて、つまらないことになってきやがった・・・」
ぼくの足は、次第に人気のない場所へと進む。
おいおい、ぼくの足。そっちには交番や警察署なんておしゃれで気の利いたものはないぜ?
そして。
ぼくは路地裏に入った。

221 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/07 05:09:40 ID:DLwXnR6Z0
「・・・さーて、逃げ場なし、か」
つうか、自分からこんな場所に入ってどうするんだ。お前は馬鹿なのか?
自分に問い掛けたかったが、馬鹿だという返事しか返ってこないだろうからやめた。
さあ―――どうする、戯言遣い?
「そこに、いるんだろ?」
ぼくは身体ごと振り向き、そこにいるはずのそいつに向けて言う。
「ぼくは逃げも隠れもしないよ。ちょっとばかり腹を割って話でもしないかい?
―――範馬勇次郎、さん?」
「なんだ、気付いてやがったのか」
返事が返ってきて、ぼくは心底驚いた。まるで予期しない方向から声が聞こえたからだ。
―――ぼくの、背後から。
ついさっきまでそこには、誰もいなかったはずなのに。
「俺の名前は知ってるようだが・・・てめえが―――<欠陥製品>か?」
ぼくは、振り向き、その人物を、見た。
190cmは越えているであろう長身を、凄まじい筋肉が覆っている。その太い首の上に乗っているのは、
まるで<鬼>を思わせる相貌―――
それ以上にその男が纏う空気。それはまさに人外の存在だけが持ちえる瘴気ともいうべきものだ。
彼―――範馬勇次郎は、笑っていた。
笑いながら、ぼくに向けて拳を放った。
「―――――――――!!!」
あ、死んだな。ぼくはやけに冷静だった。ぼくは目を閉じることもせずに迫り来る拳を見つめた。
と―――その拳が止まる。止まったものの、その勢いだけで凄まじい突風が生じてぼくを叩く。
「てめえ―――これから死ぬって時に、目を閉じねえんだな」
範馬勇次郎は、言った。
「いえ、目を閉じる暇もなかっただけです」
ぼくは、答えた。
「くっくっく・・・はあっははははは!」
範馬勇次郎は、犯(おか)しそうに―――まるで、最悪のごとく、笑った。

222 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/07 05:11:19 ID:DLwXnR6Z0
「ははははは・・・こいつは面白え野郎だ。あの殺人鬼のガキが<欠陥製品>なんて呼ぶのも道理だな。
確かにてめえは―――いい感じに狂ってやがるぜ」
彼は、まだ笑う。
「・・・初対面でいきなり人を殺しかけといて、ひでえ言い様ですね」
そう呟きながらぼくは、この男がさっき言ったことを考えていた。
<殺人鬼のガキ>が<欠陥製品>とぼくのことを呼んでいた。
それは―――そういうことなのか?あいつが―――零崎人識が、この男と接触したのか?
「さて―――もう知ってるだろうが、一応名乗っておいてやる。俺は範馬勇次郎。
てめえの名前は?」
「ああ、名前・・・名前、ですか?それをぼくに聞くのはやめたほうがいい」
「あん?」
範馬は、いぶかしげに唸った。
「ぼくの名前を呼んだら―――あなたは多分、死にます」
「・・・・・・てめえ、本気で殺したくなってきたぜ」
不気味に笑いながら範馬は、低い声で呟く。

これがぼくと地上最強との第一接触。
さて、次章を無事に語ることは出来るでしょうか。

223 :サマサ ◆2NA38J2XJM :05/03/07 05:14:17 ID:DLwXnR6Z0
投下完了。サナダムシさんの間を空けずに失礼しました。

就職活動とスランプが同時に襲ってきて、随分更新に時間がかかりました。
いーちゃんの語り口調ってすげえムズい。

224 :蟲師 狂う文:05/03/07 13:14:12 ID:6TuTddmR0
 荘介は、無数に迫り来る多くの敵に向かって、凄まじい熱量を誇る爆弾を投下した。
それは無数の敵に向かい弾け飛び、多くの敵兵を凄まじく傷つけた。
 荘介は、敵の気配が消えたことを確認し、前方に前進した。その足取りたるや、ずず
ん、ずずんと、まるで巨象の如くだった。 
 彼は巨大巨大巨大巨大巨大……巨大としか言いようのない者であった。……

 私は物書きだ。しかし最近どうにもおかしい。以前は「一つの結晶」とまで称された名
文が、突如書けなくなってしまったのだ。
 こうして、物語でない文章を書くときは比較的問題ないのだが……医者には勿論行っ
た。しかし、何の解決にもならなかったのだ。
 どうしてだろう? 今まで普通に書けていた物が、どうして突然書けなくなってしまった
のだろう? 見直してみると『前方に前進』などと、子供でも書かないことを書いている。
 私は、恐ろしい。私はこれ以外に食べて行く糧を持ってはいないのだ。こんな状態が
長く続けば、廃業せざるを得ない。そうなったら……
 恐怖に突き動かされた私は、一縷の望みに縋って、蟲師≠頼った。



225 :蟲師 狂う文:05/03/07 13:14:49 ID:6TuTddmR0

「蟲師のギンコです」
 見ると、白髪。緑の瞳を持った、30を少し過ぎた風な男。一見胡散臭いが、今はこの男
に頼らざるを得ない。
 私は、どうしてこのようなことになってしまったのかを、出来得る限り詳細に男に伝えた。
「ああ……話には聞いたことがある。否語≠ニ呼ばれる蟲です」
 蟲? やはり、蟲か。昔、地方伝承を基にした小説を書いたことがある。その時、様々な
資料に見え隠れした異質な存在があった。それは正体不明とされていたが、どうやら蟲の
ことだったようだな。
「物書きのあなたに言うまでもあるまいが、文章というのは、様々な単語がくっ付いて出来る
ものです。そして、ヒトの長い営みの中で形作られてきたもの。否語は、それをヒトの根底か
ら覆してしまうモノなのです。否語は脳に入り込むので、治療は難しい。少なくとも、すぐに治
せるものではない。根気と時間が要ります」
 ギンコという蟲師は、私にとって絶望的なことを躊躇わず言ってのける。所詮人事なのか。
しかし、それはまだ序の口でしかなかった。真の絶望は、まだ先にあった。
「否語はまず、創作を困難とする。架空の物を考える時、勿論考える必要があるでしょう。話
を脳内で練る作業が要る。そうして練っている最中、蟲は入り込んで邪魔をしてくる。ちゃんと
した文章にならなくするのです。それこそ、子供ですら書かないような、日本語の文法を無視
した代物に、ね」


226 :蟲師 狂う文:05/03/07 13:15:42 ID:6TuTddmR0

 ……ならば、誰かに代筆を頼めばいいのではないか。私が口頭で伝え、それを書き写して貰
えば――
「試しに、あなたの今頭の中にある創作を、声に出してみて下さい」
 丁度、さっきの話の続きを頭の片隅で練っていたところだった。
「荘介は心の中で考えた『何故、自分が死なねばならないのか。どうせなら糞の役にも立たない
軍部の禿どもを前線に前進させればよいではないか』と。荘介はとにかく憤怒した。その怒りの程
というと、とにかく憤怒≠ナあった。憤怒に任せて彼は軍司令室に足を踏み入れた」
 ――なんということだ。
「否語を通した話は、ちゃんとした文章になりはしません。まあ、代筆者にきちんと直して貰いながら
すれば、どうにかなるかもしれません。しかし、それには膨大な時間がかかる。なにせ、文章のほぼ
全てを直さねばならないのですから」
 私は、余りのことに脱力し、足腰が立たなくなるほど落ち込んでしまった。なんということだ。二度と、
二度と創作ができないだなんて!
「話を聞いて下さい。治療方法がないわけではない。そう、言った筈です」
 蟲師の言葉に、私はなんとか救われたのだ。




227 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :05/03/07 13:16:35 ID:6TuTddmR0
今回の元ネタは、皆大好きなアレです。勿論俺も大好きです。4ページ、読めませんでした。
なんだか、アレを読むと誰でも物書きになれそうな気がしてきますね。あれはレアケースなのにね。

>>187
俺は今回の『否語』が一番怖いです。ただでさえ下手なのに、日本語が根底から崩壊したらと思うと、
恐ろしくて眠れません。

>>193
最近は、出来るだけ読む人に楽しんでもらえるように書いているつもりです。自分としては、もっと蟲
というままならない存在の怖さ、とかをもっと表現したいのですけども。

>>203
いつもそうなんですけど、前の話と似ちゃうんですよね。今回は、どうでしょうか。

では次回。

228 :作者の都合により名無しです:05/03/07 13:20:29 ID:bz/HZwiaO
両作者とも乙です。サナダムシさんはハード路線だな。
そういえばしけい荘もコメディの割に凄惨な場面が多かったな。
原作では国王はピッコロ以降も在職し続けたけど、こっちは流石に無理だろうな。

サマサさんは久しぶり。スランプとは思えない出来映えだ。
オーガ登場までもっと引っ張るかと思ったけど、結構早い展開。

229 :作者の都合により名無しです:05/03/07 13:32:24 ID:bz/HZwiaO
ああっ
感想書いてる間にゲロさんがが来てる。
否語、現国が平均30点の俺にもついてそうだな。

230 :作者の都合により名無しです:05/03/07 14:31:03 ID:kKDLFtCO0
>犬と猫
ついにカリンとヤジロベーの師弟対決(大家と店子か?)ですか。
クリリンも加わって田中真弓大忙しですな。

>戯言遣い
本人はその気はないんでしょうけど、オーガを挑発してますね。
血の海の予感。なんか原作読みたくなってきたな。

>蟲師
『前方に前進』の人も、否語に脳食われちゃったのかも知れんなw
しかし毎度オリジナルの蟲良く思いつくな。感心する。


ミドリさん・・


231 :作者の都合により名無しです:05/03/07 18:52:38 ID:ELi6uMzAO
感想書くときは、読んでる作品のみでいいんですよ。
もし感想を書き渋ってる人がいたら気にしないで。
ふらーりだけでいいよ、共産主義的な全作品レス&マンセーは。
このままだとダメになる気がする。オレは。

232 :作者の都合により名無しです:05/03/07 19:02:29 ID:y6yb0SAr0
>>231
予想されるレス:俺は全部読んでるから

233 :作者の都合により名無しです:05/03/07 19:06:17 ID:y6yb0SAr0
あ、あと荒らし扱いされたり「巣へ帰れ」とかもありそうだ。

234 :Z戦士 ◆YvMQSqnLNo :05/03/07 19:28:00 ID:80pTV57z0
>>215
画像見れないので、改めて貼っつけときます。

ttp://users.kyoto-kcg.ac.jp/~e02j0156/img-box/img20050307191240.jpg

まぁ烈が見たのはこういう感じのパチ絵だったと、出来ればSS読む流れで見て欲しかったんですけどね。
ちゃんと確認してからアド貼るべきだった悔しい。

235 :ふら〜り:05/03/07 21:04:03 ID:0BMsS0hZ0
>>Z戦士さん
一対一で、ほぼアクション皆無で会話してるだけなのに。読んでて楽しいったらもう。
刃牙に続いて烈まで何だか、子供っぽいというか子供らしく可愛いというか。この調子で
他の面々も洗脳・篭絡していったら……さぞ、楽しくも異様な集団が出来上がりそうな。

>>サナダムシさん
とりあえず、「よく似た声の二人」最高。直前の、アルマジロ云々のやりとりが、ハード
ボイルド作品クライマックス風の小粋なジョーク会話、だっただけに思いきりコケました。
とはいえカリン、DB原作でも滅多になさそな程の、凄い描写で。大丈夫かヤシバロベー?

>>サマサさん
やはり、いや、予想以上に普通じゃなかったですね。いーちゃんは。勇次郎との接触前は
なかなか異次元してて笑えましたが、接触後も。よくある表現をすると、「よほどの大物
か、よほどのバカ」という感じ。その実力の程、次回見せて貰えそう。注目してますよっ。

>>ゲロさん
これはまた、ターゲット限定で怖い存在ですね。と思いきや、蟲の被害が「創作」以外
にも及べば、まともな会話ができなくなる訳で。声は出せるし思考も出来るのに、会話は
滅裂になってしまう。何だか、失明とかと違って想像のできない怖さがあります、これは。


236 :作者の都合により名無しです:05/03/07 22:51:09 ID:kKDLFtCO0
>>234
笑ったが、どっかで見たことあるなこの写真。

237 :作者の都合により名無しです:05/03/08 00:55:02 ID:GB1hGDJq0
>>サマサさん
原作は未読ですが、確かに書き辛そうですね。いーちゃん口調。
アパートの住民達はもう出てこないのでしょうか?
いーちゃんと勇次郎のやり取りを見るに、前回の零崎戦は即戦闘でしたが、今回は会話を交えた
やり取りがメインになりそうな予感。(「賭け事」と題うってますし)

>「ぼくの名前を呼んだら―――あなたは多分、死にます」
この言葉は、何かの能力か伏線でしょうか。ちょっと気になります。


>>ゲロさん
元ネタすぐに分かりました。(読んだことはありませんが)
あんなレベルの文章しか書けなくなったら嫌だろうな。

>>Z戦士さん
まあ失敗は誰でもありますから。でも続けて見れた方が良かったですね。
関係ありませんが、昔の烈はクリリンみたいな髪形でしたな。
今回の話を読んで思い出しました。

238 :作者の都合により名無しです:05/03/08 08:06:41 ID:ecGzofnG0
犬と猫を読んでて思ったのだが、サナダムシさんは
ヤムスレで書いた事あるのだろうか?
作風が似てる人がいたような。気のせいか?

蟲師の否語は職人さんたちがかかったら大変だなw

239 :作者の都合により名無しです:05/03/08 19:10:47 ID:CBB4W2b5O
投稿もレスも減ってるな。このままじゃダメになる気がする。オレは。

240 :作者の都合により名無しです:05/03/08 20:12:25 ID:ClsoTwRH0
気にしない気にしない、もうすぐ春休みだから
一週間もすれば新作がくるさ

241 :作者の都合により名無しです:05/03/08 22:53:57 ID:e22f4VMf0
そのうちザクも戻ってくるし大丈夫だろ。
しかしローマとミドリさんはどうしたんだ。

242 :作者の都合により名無しです:05/03/09 01:21:08 ID:FPIhkq900
>>241
確定申告の時期だから忙しいんでしょう
そうでなくとも年度末だから
この時節にヒマなのは学生くらいなモンですし

あぁ、就職活動やらないと
でもお金が…orz

243 :犬と猫:05/03/09 02:27:35 ID:AwiPuBjg0
臨界

 ──残る仙豆は二粒。
 一粒たりとも無駄に出来ない。が、ヤジロベーが先ほど倒したシュウに寄り添うピラフ
が視界に映る。
「……ちっ」
 目的を見出せば多少ならば悪事も辞さない性格のヤジロベーだが、根っからの悪人とい
うわけではない。奥底に眠る良心が、土壇場にて不合理な行動を導き出した。
「おい、てめぇ」
 声に振り返るピラフ。舌を負傷しているため声は出せないが、怒りに満ちていることは
分かる。シュウの仇である、と。
「これを食わせてやりな、多分我に返るはずだ。ま、おめぇが食っちまった方がいいかも
しんねぇけど」
「うぅ……ぐおお……!」
 渡された豆粒を、ピラフは呆けた顔で眺め続けた。
「いいのか、あげちゃって」
「知るか! やっちまったもんは仕方ねぇだろ!」
「ぎ、逆切れかよ……」
 およそ戦場に相応しくない掛け合いを交わす二人。いつまでも続くはずがなく、絶大な
冷えた存在感が両者を包み込む。カリンだ。
「会話は終わったかね。さて、そろそろ決着をつけようじゃないか。もちろん、我々の勝
利で締め括るつもりだがね」
 もう次はない。声を振り絞り、国王が命令を下す。
「カリンよ。我らが友情を永久とすべく、我らが新国家を地上に築くべく、七百年もの空
白を存分に満たすべく、奴らを殺すのだッ!」

244 :犬と猫:05/03/09 02:28:26 ID:AwiPuBjg0
 跳ぶカリン。天井すれすれに、放物線を描く。ヤジロベーとクリリンは同時に拳を突き
出すが、カリンは空中での巧みな体重移動でこれらを回避。逆に空中蹴りを入れる。
 よろめきつつ、すかさずクリリンは体勢を整える。着地寸前にあるカリンへ、全体重を
乗せた右ストレート。正拳が脇腹へめり込むが、効果は低い。やはり実力差は限りなく大
きい。
 手刀を返される。胸を切り裂かれるクリリン。傷口は浅いが、出血は激しい。だが、ク
リリンは冷静さを保っていた。バックステップで移動し、深呼吸を行い精神と血流を整え
る。占いババの宮殿での敗北が、ここに生きている。
「へへへ、もう少しやれそうだな」
 彼を支配するは、強敵に対する不安と期待。どこまで耐えられるか、どこまで食い下が
れるか。悟空ほどではないが、彼とて強さへの渇望は並々ならぬものがある。
 防御を固めるクリリンに反応し、カリンがゆらりと歩み寄る。が、足が止まった。
「ここにもいるぜ」
 下では、ヤジロベーが両手で足にしがみ付いていた。カリンの注意が逸れる──チャン
ス到来。
 亀仙流で培った全てを、カリンにぶち込む。肘や拳を交えた連打を浴びせ、フェイント
からボディへ蹴り込む。さらに、アッパーで追い討ち。全てクリーンヒット。が、カリン
は平然としている。
「嘘だろ、あんだけ喰らわしたってのに……」
 足からヤジロベーが引き離され、クリリンへと投げ付けられる。激突する二人。
「いてて……せっかく作ったチャンスを無駄にしやがって! どうしてくれんだ!」
「へっ、悪いな。動けなくしてから豆を食わせるってのは、どうやら無理だ。戦いながら、
豆を口に入れるしかない」
 駆けるヤジロベーとクリリン。すると、カリンが分裂を始めた。二十体以上ものカリン
が、二人を囲む。
「多重残像拳! くそっ、天津飯なら見切れたかもな……」
 と、クリリンに本物が襲い掛かる。首を狙った蹴りを、どうにか右でガードする。失敗
していれば、頚骨が折られていただろう。右腕は折れる寸前。
「ガードしたのに……すげぇ威力だ」
 左で反撃に移ろうとするが、すでにカリンは消えていた。

245 :犬と猫:05/03/09 02:29:19 ID:AwiPuBjg0
 残像に惑うヤジロベー。本物は背後に迫り、強烈な突きを背骨へ打ち込む。
「ギャッ! ……ぐかか、なめんじゃねぇ!」
 振り返りざまに、遠心力を込めたバックブロー。ダメージこそないが、受けたカリンが
吹き飛ぶ。残像は全て消滅した。
「おい、背中は大丈夫か!」
「ま、まぁな。丈夫さだけは、ガキの頃から人一倍あったからな」
 互いに攻撃を凌いだが、カリンが残像拳を再度発動させる。残像はさらに増え、三十を
超すカリンが駆け巡る。
「また分身か。しかも、さっきより増えてやがる」
 背中を合わせ、攻撃に備える二人。本物は──上だった。
 カリンが頭上から足刀を振り下ろす。が、クリリンは読んでいた。足刀を避け、カウン
ターでボディへアッパーを叩き込む。
「グフッ!」
 初めて効いた。残像拳を解き、回転しながら着地するカリン。
「す、すげぇな! あんな数を見切ったのかよ!」
「いや、天下一武道会で悟空が多重残像拳で上から攻めてたからな。今回もそれかなって、
ちょっと思ってただけだ。まぁ、悟空は上から攻めると見せかけて残像だったけど」
 カリンが歯軋りをする。格下相手に、よもやここまで苦戦をするとは。怪物と化してい
るとはいえ、武道家として怒りと悔しさが込み上げてくる。
「ガアアアァァァッ!」
 熱き咆哮。真正面からカリンが仕掛ける。常識を超えた速度で、ボディブローが打ち込
まれる。クリリンも僅かに後退して威力を軽減させるが──胃袋が破壊された。
「ぐぼあッ!」
 胃液を吐き散らし、倒れるクリリン。まともに喰っていたら、と考えると恐ろしい。次
はヤジロベー。派手に蹴り上げられ、天井を突き抜ける。
 雲一つなく、無限に広がる青空。が、それも束の間。すぐさま落下して、最上階である
王室へと頭から墜落する。
「ガフッ、怒らせちまった……。もっと仙豆持ってくるんだったな……」
 後悔するヤジロベーだが、たった二撃では怒りは収まらない。両目を見開き、カリンが
抉るように踏み込む。最終局面。

246 :犬と猫:05/03/09 02:30:12 ID:AwiPuBjg0
 一方で、仙豆が効力を発揮する。半信半疑でピラフがシュウに飲ませたところ、シュウ
が復活を果たしたのだ。薬品に汚された肉体も精神も、全てが快復した。
「ピ、ピラフ様、すいませんでした……。二人を裏切り、ましてこの手でピラフ様を傷つ
けて……!」
 ピラフは黙って首を振る。全てを許す合図だった。シュウは元通りになり、マイもかろ
うじて生きている。ピラフ一味は国王に打ち勝った。
 が、そこへヤジロベーが全身で突っ込む。連打を喰らい、カリンに吹き飛ばされていた。
血に塗れた形相で、ヤジロベーが手を差し出す。
「お、おい……忍者! 剣を貸してくれ!」
 さっき死力を出し尽くした剣士が、またも戦っている。もはや理屈はいらない。シュウ
は忍者刀を投げ渡した。魂を受け取ると、ヤジロベーが前へ駆け出す。

 急所へと、連打に次ぐ連打。クリリンは立っているだけで、いや生きているだけでも精
一杯だった。だが、攻防を続けている。今のカリンは危険だが、逆に好機でもある。打撃
に夢中で、肉体に頼り切って防御が疎か。
「悟空、絶対に帰ってこいよ。絶対に留守は守るから──波ァッ!」
 悟られぬよう気を練り、片手でかめはめ波。驚くべき高等技術。カリンを中心に、大爆
発が巻き起こる。クリリンは戦いながら成長したのだ。
「カァッ!」
 視界を奪う煙を気合いで掻き消し、カリンが体勢を整える──ヤジロベーが居た。
「もう疲れた。ここらで終わりにしようや」
 手を出すカリン──よりも速く居合いが炸裂する。刀は砕け、かすり傷程度。だが、充
分だった。立て続けに大技を喰らわせ、隙を生み出すには。
「飲み込んじまえッ! ばっきゃろうがァッ!」
 よろめくカリンに、残る仙豆を投げ込む。もう一粒もない。飲み込んでも、吐き出され
ても、勝敗は決する。

 仙豆は飲み込まれた──ごくり、と音を立てて。

247 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :05/03/09 02:32:48 ID:AwiPuBjg0
>>218より。
またも深夜に失礼します。
花粉症が本格的になってきました。あと、傘を盗まれました。
健康と持ち物はお大事に!

248 :作者の都合により名無しです:05/03/09 11:37:15 ID:uu3wo0eYO
うんこ物書いてよー
俺が書いちゃうよ?

249 :作者の都合により名無しです:05/03/09 14:16:03 ID:iFpfhl5JO
ピラフの方はあっさりしていたな。もう少し引っ張るかと思ったけど。
今年は花粉多いね。

250 :オーガ!!:05/03/09 16:01:45 ID:uu3wo0eYO
「ここは…どこだ?」
その日、範馬勇次郎はいつもと変わらない朝を向かえたはずだった。
しかし、眠りなれたホテルベッドはそこにはなく、あるのは岩場のみだ。
「ん?」
近くで爆発音がした。勇次郎はすぐに駆け寄った。
「餃子…餃子ー!!」
勇次郎が見た物は、空中に漂う爆煙と、数人の男だった。
「おや、またまたおつよそうなのが一ぴき。貴様もこいつらの仲間か?」
腕を組みながら立つ小男が、勇次郎に尋ねた。
「トゥン」
「てめー誰に向かって話しかけてんだチビ」
勇次郎が頭に血管を浮き出させながらそう返した。


251 :オーガ作者:05/03/09 16:03:32 ID:uu3wo0eYO
一日一レスかいていきまつ。
よろしくお願いしまつ。

つ旦

252 :作者の都合により名無しです:05/03/09 18:58:29 ID:nWrm6VQT0
頼むから止めてくれ。クズ。

253 :作者の都合により名無しです:05/03/09 19:21:12 ID:K/IAyUIt0
・犬と猫
ヤジロベーが原作では考えられないほど大活躍ですな。
20体以上の多重残像券すげえ。

254 :作者の都合により名無しです:05/03/10 07:43:51 ID:YErB/lvr0
作品なかなかこねー
前からのレギュラー陣で順調に更新してるの
サナダムシさんとゲロさんだけだな

255 :作者の都合により名無しです:05/03/10 13:20:16 ID:k1v7FagKO
>>251
一回一レスって…世界さんか?

256 :作者の都合により名無しです:05/03/10 15:05:41 ID:GPYtAUnr0
どう見たっていつもの携帯荒らしじゃん。
>>255も携帯だっつうことを考えると自演かもしれんが。

257 :◆89aIROQ50M :05/03/10 20:07:42 ID:ynGVjNUUO
5つ、アップします。30分程掛かるかもしれませんので、ご了承を。

258 :バキ外伝デス・ゲーム第三十一話:05/03/10 20:13:42 ID:ynGVjNUUO
バキがグレゴリオ、シコルスキーが丹波を撃破した翌日の昼。
神心会ビルの最上階、館長室には息苦しい緊張が張り詰めていた。
館長・愚地独歩が辞職して以来、使われなくなって久しいこの部屋。
今、二人の男が黒い革のソファに身を預け、ガラス製のテーブルを挟んで向かい合っている。
片方はスキンヘッドに眼帯。その顔には痛々しい古傷が幾つかあった。スーツの正装をしている。

片方は西洋人。紺色のセーターにクリーム色のカーゴパンツ。白色の短髪、口元にはうっすらと髭を蓄えている。
まるでチグハグな二人の共通点。それは50代の年齢、160程度の低身長と、全身に筋肉がみっちりと詰まった体躯。
そして抑え切れず溢れ出る闘気であった。

緊張を維持したまま、眼帯の男・愚地 独歩が口を開いた。「克己に呼ばれて来てみりゃあ……挑戦状たぁな。随分古風なやり口じゃねぇか」
西洋人が答える。「私は他の連中とは違う。『敗北』を知りたいのは同じだが、奇襲を掛けるような真似はしない」
「……なるほどね。いいぜ、立ち合おう。ウチの空いてる稽古場でいいかい?」
「話が早くて助かるよ」

……15分後。先に稽古場に入った独歩が柔軟体操をしている。そこへ、先の挑戦者が入って来た。
「遅かったじゃ……」独歩の言葉が驚愕に断ち切られ、表情が無くなった。
次いで、全てを理解した独歩がにやりと笑う。「へっ、あんたも空手かい。」
空手着に着替えた挑戦者も微笑む。「そうさ。私もこの道に生涯を費やしてきた。だからこそ、貴方……『武神』愚地 独歩と闘りたかった。」
独歩は全身に震えが走るのを感じた。怯えではなく、歓喜を伴った武者震い。
今すぐにでも、飛びかかりたい衝動を堪え、開始前に、最後の言葉を交わす。
「立ち会い人は居ねぇが、構わねえよな。えぇっと…」
「パトリック・ルスキンだ。」「じゃあ…始めっか、パトリック。」
竜巻のように、濃密な闘気が渦巻きながら充満した。

259 :バキ外伝第三十一話続き:05/03/10 20:18:00 ID:ynGVjNUUO
…………二人の攻防が始まって三分程経っただろうか。
目まぐるしく移り変わる攻守、飛び交う拳や肘、足。その最中に独歩はぼんやりと考えていた。

自分の鍛え抜いた拳足は、刃物にも鈍器にもなりえる万能の凶器。しかし、目の前の相手はどうだ。
鈍器。ただひたすらに鈍器としての『叩き壊す』という性質に極限まで特化した四肢。
全ての攻撃が巨大な鉄槌の如き破壊力を秘めている。

すっ飛んできた右の正拳を回し受けで払う。横から払った筈なのに、ひどく手が痺れる。
(正面からじゃ止めらんねぇってか。)間を置く事無く、左のなぎ払うような蹴りが、肋骨へ吸い込まれるように飛んだ。
「ぬ…っ!?」「ぐぁっ…!!!」呻くような驚愕の声。その主は両者だった。
独歩の右肘と右膝が、蹴り足の脹ら脛に上下から挟むように深く、めり込んでいた。
『蹴り足挟み殺し』と呼ばれる高等技術、ガードとカウンターの性質を兼ね備える技。

しかし、それをもってしても相殺し切れない威力の脚が、独歩のわき腹に食い込んでいた。
脂汗を浮かせた独歩が、足を捉えたまま、膝の皿へ手刀を一閃。みしり、背筋が凍る音が鳴った。
同時に独歩の顔面へ巨大な拳が突き刺さり、その体躯を吹っ飛ばした。
瞬時に受け身を取り、転倒を防ぎ構え直す。が、その両足はたたらを踏み、明らかに安定していない。
かたやパトリックも、左足を引きずりながら、ゆっくりと間合いを詰め直す。

(さすがは『武神』…!)パトリックは思う。
二年前に化け物じみた巨大な白熊を倒した時点で、『武道』の頂点を極めてしまったと思った。
現に彼は誰と、いや、何と闘っても負けなかった。刃物は勿論のこと銃を持つ相手すら問題では無かった。素手の相手なら尚更である。
さすがに国家権力と闘った事は無かったが、 表の相手、つまり格闘家に飽きて無法者や猛獣と闘い始めてからも勝利の飽食は続いた。

失望した。もう、第一線からは身を引こう。そう思って彼は空手道場を開いた。
小さな道場だったが、倒した白熊の剥製や、ブロックを拳で粉砕といったパフォーマンスが客を呼び、あっという間に有名になった。
こういう人生も悪くはない、そう思った。
そんな折、あのビデオが届いた。差出人は不明。
収められた数々の死闘を見、すっかり枯れ木のように衰退した闘争本能が頭をもたげて来た。

260 :バキ外伝第三十二話:05/03/10 20:22:07 ID:ynGVjNUUO
『武神』は、この文字通りの『鉄拳』に耐えられるのか。『武神』は敗北を味わわせてくれるのか。
期待に胸を踊らせて来日し、今まさに対峙している『武神』愚地独歩。

果たして、結果は予想以上だった。耐える、耐えられないどころか殆ど当たらない。
これ程の相手と出会えるとは。日本に来て、本当に良かった。感謝の心を込め、中段突きを放つ。
独歩もそれに答えるように、横から手刀で払う。

感謝していたのは独歩も同じだった。
自分と渡り合える人間は数少ない。それも、同じ空手使いとなれば養子の克己、北辰の松尾 象山ぐらいしか思い当たる人間は居なかった。
しかし、克己と本気で闘るのは抵抗が有った。自分の空手の本質は『壊す』空手だ。
将来有望な若い芽、それを己の手で断つのは非情過ぎる気がしていた。
一方の象山も、おいそれと闘える相手ではない。お互い、武者修行をしていた頃ならいざしらず、今や双方共に巨大な空手団体の創始者。
もし自分と象山がぶつかれば、どちらが勝っても両団体の抗争になるやも知れぬ。
だが、この闘いはどうだ。
相手は養子でも無く、巨大団体の長でも無い。はるばるアイルランドから来た予想外の強敵。それも、同じ空手使い。
克己以外は誰も知らず、誰も見ていない。気負う事無く出来る真剣勝負。

互いに、歓喜と感謝を込めた攻撃を放ち合う。
突く、打つ、叩く、蹴る。
払い、いなし、受け、かわす。
凄まじい速度で飛び交う拳足。繰り出している技自体は決してアクロバティックな物では無い。
中段前蹴り、正拳、廻し蹴り、十字受け、ごくごく基本的で地味な技ばかり。
それ故に技術や身体能力、積み上げた努力が如実に現れる、壮絶な打撃戦。

かたや片足、かたや大ダメージの2人の闘いは続く。
独歩が折れた歯を四本、吐き出す。口内と鼻からは、滝の様に血が流れ出していた。
「しいいっっ!!」ふらつく足を制し、独歩が飛び込む。
圧倒的な破壊力を秘めた剛拳が、チッ、と音を立てて独歩のこめかみを掠め、皮膚を焦がした。
懐へ入った独歩の右腕がうねる様に顔へ飛び、掌が頬を叩く。
と、その数瞬後にパトリックの口がだらんとだらしなく開いた。…顎が外されたのだ。
驚愕と混乱で、パトリックは反撃を一秒程忘れていた。そのいた。その僅かな隙に、独歩の右手の五指が、頭頂部を突く。
ばかっ!という怪音がパトリックの体内で反響し、同時に、両目から霧のように血が吹き出した。

261 :バキ外伝第三十二話続き:05/03/10 20:26:50 ID:ynGVjNUUO
ぐらり、とパトリックの体が沈む。
風摩殺と、六波返し。顎を外して、頭蓋骨の縫合を断ち切る独歩の奥義。本格的に『壊し』に掛かったのだ。

しかし、まだパトリックの戦意は萎えていなかった。風を感じ、独歩が視線をとっさに下へ。
丸太のような左の蹴り足が、独歩の股間へ襲いかかっていた。
独歩にはコツカケ、という技術で睾丸を体内に収める技術がある。しかし、危険を察知した独歩の本能はそれを選ばなかった。
両の拳で臑を叩くように迎撃。がつり、と骨とぶつかる音がし、独歩の体が宙に浮いた。
(折れた膝で…この威力だとっ!?)
だが、拳は確実に痛めた左の臑にヒビを入れていた。
(……限界…か)パトリックが、両手で無理やり顎の骨をはめ込む。「そろそろ、かな」
独歩の顔にも微かな笑みが戻る。「…頃合い…だな」
その言葉を皮切りに、二人がゆっくりと息を吸い込む。
申し合わせた様に同時に構えた。……ふと、二人の目が合う。それが、最後の攻防の幕を開ける合図だった。


その頃、神心会ビル一階のロビーでは、大変な騒ぎになっていた。死刑囚・ドリアンが現れたのだ。
広いロビーの中央に佇むドリアン。それをぐるりと円を描くように、門下生達で構成された人の壁が取り囲んでいる。

「ドッポ・オロチ氏に会いたいのだが…」叩きつけるような無数の視線、敵意を平然と受け止め、ドリアンが口を開いた。
そこへ、人の壁をかき分けながら一人の男が現れた。「親父は取り込み中なんだが…何か用かい?」独歩の養子にして、空手界の最終兵器・愚地 克己だった。

再び、場面は最上階の死闘に移る。両者共に、決めの段階に移っていた。
それに連れて、狙う部位も股間・目・喉・延髄などの後遺症の残る可能性の大きい所へ、技も目突きや金的へ、手もピンポイントで破壊できる手刀や一本拳へと変化していく。

パトリックの一本拳による右の突きが、閃光の様な速さで喉へ飛ぶ。
腰を落として、すんでのところでそれを回避し、懐へ戻る前の手首を掴む。そして、自分の腰の辺りへ一気に引いた。
(なっ!?)
打撃戦から一転、突然の掴み。予想外の行動と独歩の腕力に、踏ん張る間も無く引き寄せられる。
直後、ズンッ!!と重いくぐもった音。水月に、深く埋め込むように独歩の拳が刺さっていた。
四秒程経ち、パトリックがおじぎをする様に崩れ落ちる。
二度と起きない、『勝負あり』の倒れ方。すなわち、決着を示す倒れ方だった。

262 :◆89aIROQ50M :05/03/10 20:33:14 ID:ynGVjNUUO
すいません、色々削ったら4つになってしまいました。
という訳で、今回は終了です。
>>261の真ん中、「独歩にはコツカケ〜」の直後の「技術で」はコピーミスです。
脳内削除してお読み下さい。
…ホントゴメンナサイ…orz

263 :作者の都合により名無しです:05/03/10 20:46:42 ID:O/ixA6S20
五さん、乙です
パトリック、今までの不敗者たちに比べて随分と爽やかですね
どこかで裏の顔を見せるのかと思ったらそのまま最後まで決着したのが意外だった
でも独歩が勝ったはいいが満身創痍の時にドリアンも登場か……克巳じゃ不安だしどうなる?


264 :ふら〜り:05/03/10 21:08:58 ID:RV1ZSLAs0
>>サナダムシさん
血みどろ激戦も遂に幕、ですか。本当に予想外に長く、流血しまくった戦いでしたでした。
でヤジロベー、やっぱり微妙に善人してましたね。さすが本編の主人公、ヒーローです。
ともあれこれでカリンが元に戻るとして……さて国王がどうなってしまうのか? 楽しみ。

>>オーガさん
私は、異なる作品のキャラが戦う場合、作中の強さに正確に準拠するよりは作品内の格を
重視したいヒトなので(渋川先生がヤムチャに圧勝するとか)ここで勇次郎の善戦は歓迎。
見てみたいです。でも折角の面白そうな話、もう少し纏まった量で読みたいとこですが。

>>五さん
五さんにしては少ない、と思えてしまうのが普段の奮闘振りの証しですな。お疲れ様です。
さて今回は、随分とまあ綺麗。いや実際、金的やら何やらやってるんですけど、空手家と
して綺麗ですよね。正々堂々容赦なく、礼の心で相手を壊す。愚地独歩、空手家でござる。


265 :オーガ!!:05/03/10 22:15:26 ID:qfxKu/X7O
勇次郎はベジータに向かっていった。
ベジータは、その突撃をひらりとカワして、避け様に勇次郎の腹に蹴りを入れた。
「ぐはツ」
勇次郎の体は衝撃で10メートル程吹き飛ばされ、地面にたたき付けられた。
地面、というより、そこは人の上だった。
数分前に死んだヤムチャという男の亡骸の上に、勇次郎はドスンとその身を落とした。
「ふあっ」
「ヤムチャさん!」
ヤムチャは突然目を覚ました。同じく数分前、ヤムチャの死亡を確認していたクリリソは、驚き、叫んだ。
「ヤムチャさん死んだんじゃないの!?」


266 :オーガ!!:05/03/10 22:25:50 ID:qfxKu/X7O
「俺にもわからん。多分生きてたんだ。記憶が薄い」
傷だらけの体をむくっと起こすと、ヤムチャは周りを見た。
倒れている勇次郎と、腕のない天津飯が目に入ってきたが、ヤムチャは目をそらした。
「てめえら、さらに寿命を縮めたな…」
「めそ」「え?」
ナッパがクンっとやって当たり一面が吹き飛んだ。蚊帳の外扱いされたのが頭に来たらしい。
爆風を受けたピッコロと悟飯は吹き飛ばされ、岩にたたき付けられた。ピッコロは死んでしまった。
悟飯はピッコロの死を知り怒った。
「その怒りは、数分後のためにとっておけ」
勇次郎が言った。

267 :オーガ作者:05/03/10 22:28:34 ID:qfxKu/X7O
後々話がまとまっていきまつ。
携帯からなんで安っぽいですが

つ旦 ドゾ

268 :作者の都合により名無しです:05/03/10 23:46:06 ID:h8qOLB7U0
何か、餓狼伝の丹波と堤の試合を連想しますね。
しかし、こちらは観客もなく、派手な技もない。
そのせいか、こっちの方がリアルっぽく読めました。敵が古武士スタイルなのもイイ。
(モデルはあるのでしょうか?)
原作では死刑囚編以降は不意打ちばかりで、こういう正面からの闘いは無くなりましたね。

269 :作者の都合により名無しです:05/03/11 00:27:02 ID:6jUETuoO0
いつまでたっても止めないようなんでもう言うわ。
お前ムタだろ?

270 :作者の都合により名無しです:05/03/11 00:36:59 ID:mHgqI6rSO
ザクとブラキンまだかなぁ…

271 :作者の都合により名無しです:05/03/11 01:05:13 ID:nJLrrxdZ0
作品なかなか来ませんね

272 :蟲師 狂う文:05/03/11 01:11:48 ID:2zXgRZ0R0
>>226から続き

 蟲師の野郎は言った。
「古来から、雑念を払おうとするとき、人は滝に打たれてきました」
 確かに、私の家付近には滝があるがな。
「否語≠ヘ、ヒトの脳に棲む。蟲も一応生物であるので、生きるためには食べることが
必要になります。ならば、何を食べて否語は生きているのでしょうね」
 しかし……しかし、これは――
「否語は、ヒトの思考を食べているのです。もうお分かりでしょう? 滝に打たれ、無心とな
り、奴に餌を与えないようにするのです」
 す……水圧――――!!!
 耐えられるか!! 「救われる」などと思った私は莫迦だ!! あの蟲師も同様だ!!
私は物書きだ! 軟弱なのだ! 思考どころか意識そのものが途絶えてしまうぞ!!
「また来ます」
 蟲師め、去ったか! ふふふ……うふふふ……覚えていろ、私が再び物書きとして復帰
したときこそ、貴様の最期だ!! 貴様を無茶苦茶に作品内で扱き下ろしてくれる!!
「あ、言い忘れてました。否語を餓死させるには、約一日間ずっと無心でいなくてはいけま
せんよ。それが出来なければ、永遠に憑かれたままです。では」




273 :蟲師 狂う文:05/03/11 01:12:49 ID:2zXgRZ0R0

 ……丸一日、何も考えないでいろ、だと?
 物を書くことで飯を食っている人間に、何も考えないでいろ、と言うのか? 
 ……無理だ、それは。私は物書きを志した頃から、日がな一日何も考えないでいたことは
なかった。考えずにはいられない。何も考えないでいることほど恐ろしいことはない。
 競争の厳しい世界だ。何もしなければあっという間に置いて行かれる。そこからくる怖れ。
そして、或いはそれ以上に――快感なのだ。この世に快感を得られる行為は山ほどあろうが、
体の芯からてっぺんまでにかけて一気に異次元に突き抜けてしまうような感覚は、創作以外
では味わうことは到底叶わない。
 今だって、考えている。荘介の今後を。そして、他にも脳内同時進行で三本のネタを。寝ている
時だって夢に出てくるほどだ。私から、考えることを奪うことなど出来はしないのだ。
 しかし……再び、物を書くためには…………書くためには――

 ギンコが去ってから数ヶ月経った頃、ようやく物書きは考えることを中断出来るようになった。そ
れは彼にとっては並大抵のことではなかった。故に膨大な時が要ったのだ。自らを説得するため
の時が。
 しかし、いきなり完全に思考を止めることなど出来はしない。無心を保とうとしても、一時間もする
と、新しい発想が降ってきたり、思いもよらなかった展開が思いついてしまったりして、彼の体は熱
くなり、そして、否語はその度満腹になった。その、繰り返しだった。
 そして、ギンコが去ってから、丸一年が経過した頃。




274 :蟲師 狂う文:05/03/11 01:13:37 ID:2zXgRZ0R0

 朝日が昇った。
 物書きは目を瞑り、無心に入った。


 日が頂点に達した。
 物書きは目を瞑っている。

 
 夕陽が沈んだ。
 物書きは目を瞑っている。


 月と数多の星が夜空を彩った。
 物書きは目を瞑っている。


 そして、朝日が再び昇った。
 
 物書きは、遂に否語を飢え死にさせることに成功した。物書きにとって地獄の苦しみである、
『頭を空にする』という行為に耐え抜き、遂に――
 物書きは、滝の中、閉じていた両目を静かに開き、そして立ち上がった。




275 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :05/03/11 01:14:54 ID:2zXgRZ0R0
今回は結構アイデアを詰めているなと自分では思ってます。次回がまだ残ってますが。
というわけで、次回『狂う文』完結。気持ちよく書ければと思います。

>>229
現国か……結構好きな教科でした。

>>230
脳が常にネタ思いつく態勢になっているからかな、と。でもそれはよくないことです。
他の人と比べて脳を一般生活に使ってないってことなんで、色々と弊害が生じます。
人の話聞かなかったりとか。

>>235
今回の『物書き』はそこまではいきませんでしたが、そうなったら確かに恐ろしいですね。
まあ、結構そういう人いますが。何言ってんだかわかんねぇ奴。

>>237
まあ、相当に分かりやすいネタでしたからw
つっても、俺も文章ダメなんで……あまりネタにも出来ないな、と。

>>238
スレ壊滅ですな。

では次回。少々面食らうかもしれません。

276 :作者の都合により名無しです:05/03/11 14:29:15 ID:+2T7yzWu0
物書きさん、無の境地にたどり着いたかw
このまま仙人にでもなれそうだ。
しかし、「物を再び書くため」というのも欲だよね。
次回の結末期待してます

277 :作者の都合により名無しです:05/03/11 22:15:32 ID:A/l9U9oR0
虫師いい感じだ。
この原作は淡々としてるので正直、何回かで飽きるかと思ったが
新しい素材の掘り出しが上手いので飽きさせないな。
否語の面食らうラスト、期待しております。


ゲロさん、サナダムシさん、サマサさん、五さんは好調だけど、
他の方たちが最近調子良くないね。暖かくなれば元気になるかな?




278 :ザク〜ソドム(四)〜:05/03/11 22:21:59 ID:LulA4mBv0
前回
ザク香港編〜ソドム(三)〜
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/zaku/p-3.htm

279 :ザク〜ソドム(四)〜:05/03/11 22:22:38 ID:LulA4mBv0
『打倒江田島、ですか。そこまで言うのならば藤堂さんにお任せしましょう』
「うむ、任せておけ。必ずや彼奴を仕留めてしんぜよう」
 フリーザと藤堂のやり取りを傍から眺めていた散が冷笑を漏らす。
「ふん、貴様ごときにあの平八が討てるとは到底思えんがな」
 だが今回は、藤堂兵衛も葉隠散の挑発には乗らなかった。
(せいぜいほざいておれ、若造が。最後に笑うのはこの藤堂兵衛ぞ……。)

『話をドラゴンボールに戻しましょう。地球のゴミどもを一掃しドラゴンボールが全て揃った後、誰がドラゴ
ンボールで願いを叶え、地球を征服するかということですが……以前私が提案した通りでよろしいでしょ
うか?』
「うむ」
 ラオウを始め、各メンバーが異口同音に賛成の意を表する。
「ソドム世界会議の同盟者同士が互いに争い……勝ち残った者を地球の征服者、ドラゴンボールの所有
者とする……。だが、フリーザよ」
 冥法王ベースが口にする。
「宇宙船一つで連れてこられる程度しか軍を持ち込めぬ貴様が地球では最も不利になるであろうことは
目に見えているが……良い、のか?」
 フリーザが目を細めて笑う。その様は、猫科の動物が目を瞑る姿によく似ている。
『私は一向にかまいませんよ。まぁ、そういう心配をするのはドラゴンボールが全て揃ってからでも遅くは
無いでしょう。ところで』
 そこまで言うとフリーザは右に寄り、左側にスペースを空けた。その空間に、黒い影が現れる。
 フリーザは左に現れた人物を横目で見やりながら続ける。
『三日ほど前、あの男から対ザク戦力が送られてきました。地球から送って遣したのですから、地球を
発ったのは随分前、第一回ソドム世界会議のころでしょうか』
 フリーザの横に立つ者。それは形容ではなく、正に影のように黒かった。
 黒く、かつ金属質の光沢のあるチタン合金製のバトルスーツ。
 色は違えど、それは今は亡きスペランカーの想い人の纏っていたバトルスーツと同種のものだった。

280 :ザク〜ソドム(四)〜:05/03/11 22:25:21 ID:LulA4mBv0
『特殊チタン合金製バトルスーツ。武装はプラズマビーム、アイスビーム、ミサイル、ボム等々。宇宙での
活動が可能。あの男が言うには、これがザクに対して決定的な戦力となりうるとのことですが……ああ、
あなた。皆さんにごあいさつをなさい』
 フリーザに促され、黒いバトルスーツが頭を下げる。言葉は一言も発さない。
『正味な話、こいつにはあまり期待はできないでしょう。東方不敗さえも破ったザクに対して、この貧弱な
装備ですからね』
「ザク、いや、スペランカーの女と同種のバトルスーツだな」
 散が腕を組んで言う。さらに右手を抜き、人差し指を立てて続ける。
「そいつが敵として現れれば、ザクを動揺させうる手段となる、かな?」
『さあ?それはどうでしょうね。これがスペランカーの女……確かサムスと言いましたか?彼女で無い
以上、それさえも期待できないでしょう』
「装備しているのはお前の部下か?」
『いえ。装備しているのも地球から派遣された人間ですよ。いちいち顔の確認などしていませんがね。
戦力としては期待しませんが、とりあえずはこれがあの男なりの誠意なのだと受け取っておきましょう。
さて、これで今回話し合うべき事柄は全て話したことになるでしょう。何かご意見はありますか?』
 沈黙が、その答えであった。
『無いようですね。では、これで第三回ソドム世界会議を締めたいと思います。みなさん、おつかれさま
でした』

281 :ザク〜ソドム(四)〜:05/03/11 22:27:28 ID:LulA4mBv0
「後藤さん。あんた、フリーザの提案を飲んだらしいな」
 ドルアーガの塔1階。先の会議室同様、ここも高さ30m、直径50mという広さの部屋である。散による
改築後、ドルアーガの塔は全階このような構造を成している。
 部屋の中心では後藤を含む数人の、いや、数匹の寄生生物達が丸テーブルを囲んでいる。
 彼らは人間の姿形を模してはいるが、人間ではない。人間の頭部を喰らい肉体を乗っ取った寄生『獣』
なのだ。そして彼らが主食とするものは、新鮮な人肉。
 寄生生物は非常に柔軟性に富んだ細胞から構成されており、己の細胞を硬質化、柔化することにより
人類の範疇をはるかに超えた戦闘能力を発揮することができる。だが、それでも……
「我々の戦力ではドラゴンボール争奪戦を勝ち残ることは出来ない。それを分かっていながら――」
「『ドラゴンボール争奪戦を勝ち残る』必要など無い。俺はそう判断した」
 後藤がテーブルに肘をつき、手を組んで答える。
 後藤は五匹の寄生生物が同居する、寄生獣の中でも特殊な存在であり、その身体能力も他の寄生
生物の追随を許さない。その特殊性から、彼は寄生生物集団のリーダー的存在となっている。
「フリーザ、ベース、グリフィス、散、ラオウ……。奴らの目的は人類の支配ないしは絶滅のいずれかだ。
ならば俺達寄生生物があえて奴らの上に立つ必要は無い。勝ち残った軍勢にパラサイトし、人間を餌と
して分けてもらうだけで俺達は生きていくことができる。むしろソドム世界会議に参加したことにより、当初
の目的通りにドラゴンボールで永久に食糧に困らない『食堂』を作り出す理由は無くなったわけだ」
「目的の達成は以前より容易になったということか。だが、そう簡単に事が運ぶと思うか?」
「どの軍勢が勝ち残ってもそこへ取り入ることができるよう、今から奴らに人間どもが言うところの誠意と
やらを見せねばならん。会議中には発言しなかったのだが、俺達も戦いに積極的に参加しなければなら
ないだろう。そこでだ」
 後藤は姿勢を変えず、目だけを動かして周囲の寄生生物達に視線を送る。
「シャッフル同盟の中でも一際戦闘能力の低い範馬刃牙を殺す。シャッフルの他の面子と一戦を交えれ
ばただでは済まんだろうが、奴はただの人間だ。協力する素振りを見せるにはうってつけの相手と言える
だろう。範馬刃牙殺害に加わらぬ者はこの塔を守備するソドム軍に加わってもらう。こちらも軍隊の規模
を鑑みるに、いざ戦闘となった時の被害が少なく済む。何しろソドム軍の別名は『千億の絶望』。その名
が示す通りの圧倒的な群数に紛れ込めば、寄生生物の仲間が死ぬ確立も格段に減るだろう」

282 :作者の都合により名無しです:05/03/11 22:33:32 ID:LulA4mBv0
今回投稿終了。
千億の絶望、うみにんさんが先に使ってたフレーズだ・・・

ドラえもん新声優、無難かな?
ジャイアン声優が14歳、スネオがドモン・カッシュ・・・

283 :作者の都合により名無しです:05/03/11 23:29:52 ID:/E8CLlKP0
ザクさん新作乙です。以前話がスパロボ風になるって言っていましたが、正にそんな展開ですね。
>スネオがドモン・カッシュ・・・
SSとは関係ありませんが、これは初耳です。あの人はドモン系の以外の
キャラをあててるのはあまり聞いた事ありませんけど、Vガンダムの真面目キャラ(名前失念)も演じてたから、意外と
違和感ないかもしれませんね。

284 :作者の都合により名無しです:05/03/12 07:36:49 ID:9yXm8Vxp0
ザクさんお久しぶりです。
ラスボス(多分)フリーザの仕切る敵の組織が強大そうでいいですね。
バキ抹殺計画ですか。謀略が進んでいますね。ついでに蛸もw
でも、冥法王ベースって物言いからフリーザとほぼ対等って感じですが、
そんなに強いんですか?どんなキャラか知らないけど、一度調べてみよう。

285 :作者の都合により名無しです:05/03/12 15:01:57 ID:7UcyrobV0
ザクさん復活!
最後の生き残り戦、フリーザがどう見ても圧倒的な気がします。
何で初代ザクに負けたラオウが自信満々なんでしょう。部下だって普通の人間ですし。

286 :オーガ!!:05/03/12 16:09:11 ID:FATXXTQjO
勇次郎は悟飯の肩をポンと叩き、前に出た。
勇次郎はナッパに突撃した。
ナッパはクンで対抗し、勇次郎は炎に包まれた。
「きかねえな」
炎を振り払って、勇次郎が姿を現した。ベジータはにやにやしながらその様子を見ている。
「貴様、何者だ」
「てめえが先に名乗れ」
「死ねえ!」
ナッパは口から怪光線をはきだした。
「あぶない!」
ヤムチャが勇次郎を守ってそれを受けた。
「アビジョッ」
ヤムチャは死んだ。

287 :オーガ作者:05/03/12 16:10:52 ID:FATXXTQjO
ヤムチャ再び死す?
次回おたのしみに。

つ旦 旦 旦 旦 旦

288 :作者の都合により名無しです:05/03/12 16:22:15 ID:7M68sIe90
管理人さん。言うまでもないけどこれは保管しないでいいから。住人の総意。

289 :作者の都合により名無しです:05/03/12 20:46:27 ID:kqaStklD0
俺もそう思う。保管はしなくていいですよバレさん。お忙しいでしょうし。
せっかく好きな蟲師読めたのとザク氏が復活して気分よかったのに。
オーガ作者さん、あなたには相応しいスレがきっとありますよ、他板に。

290 :作者の都合により名無しです:05/03/12 23:35:58 ID:st7ViO970
ミドリさん・・

291 :オーガ作者:05/03/13 00:53:31 ID:sCX7gI4HO
信じてもらえないでしょうが、本気で書いてるんです。
批評大歓迎です。
僕のをシゴいてください。

つ旦

292 :作者の都合により名無しです:05/03/13 03:23:38 ID:ARudsMKp0
>>291
あと十年経って精進してから来て下さい。
あといい加減手を煩わせないで下さい。あなたには大変迷惑しています、ムタさん。

293 :作者の都合により名無しです:05/03/13 08:51:33 ID:WBF3ZzCq0
構わないほうがいい。
むしろ今までと違った方向性で荒らしてるから脳内あぼーんしやすい。
NGワード指定も出来るし。
バレさんさえ保管しなければ何も問題は無い。

294 :作者の都合により名無しです:05/03/13 09:07:19 ID:fPOSEQgjO
初めまして。携帯からですが、SSを投下させてもらいます。

295 :作者の都合により名無しです:05/03/13 09:08:02 ID:fPOSEQgjO
青年の思考は、物心がついた頃からその大半が『如何に父を正面から倒して退けるか』その一点に費やされてきた。
そして、その根底にあるのは幼少からの母親の教育であったり、その母親の心を独占している父への嫉妬であったり、その母親を殺してしまった父への怨みだったり、偏にマザコン精神ともいえるものである。
母さんを狂わす親父なんか嫌い、ましてや母さんを殺した親父なんて殺してやりたい程嫌い。
そんな青年が。
「親父ッ!!頼むッ!!頼むからッ!!目ェ覚ましてくれッ!!元に戻ってくれッッ!!!」
そう叫んでいた。

〜鬼の霍乱〜

296 :鬼の霍乱 第1話:05/03/13 09:11:33 ID:fPOSEQgjO
ある、晴れた、朝。
雲一つ無い、晴れた、朝。
雲一つ無い、陽射しがまぶしい、よーく晴れた、爽やかな、朝。
こんな良い天気の日には、きっと何か良い事があるに違いない。そうだ、今日はきっと梢江ちゃんが。
いやいや、もしかしたら、宇宙から降ってきた隕石が親父に直撃してくれたり、突然地割れが起きて親父がそれに巻き込まれたりしてくれるかもしれない。
そんな事を考えながら人も疎らな朝の通りを原チャリをも追い越すで走る青年がいた。
名前は範馬刃牙。
「あ〜、それにしても良い天気だなぁ。そうだ、今日は早めに帰って梢江ちゃんと朝の散歩にでも行こうかな〜。」
何の恥ずかしげも無く朝の通りでのろける、この範馬刃牙、通称バキ、という青年には、年頃の近い彼女がいる。彼女がいなければのろけようもない。
彼の住んでいる借家の大家さんの娘で、松本梢江という名前の、見た目は極めて普通の感じの娘である。
もっとも、地上最強の生物と呼ばれるバキの親父さんに認められたり、世界的に有名な、英雄ともいうべき黒人ボクサーを父にもつ格闘家に求婚されたりと、どうやらそのテの男達に好かれる星の下に生まれているようであるが。
「よーし!そうと決まれば、急がなくちゃな!」
言うが早いか、バキは走るスピードを上げる。早く帰るといっても、朝のロードワークの量を減らすつもりなんて毛頭彼にはない。文字通り、『早めに帰る』のだ。
「うおぉぉぉっ!!」
スピードを上げて。グングン上げて。人とは呼び難い程に上げて。愛の為なら如何ようにも強くなれる。…らしい。
ちなみに、この辺りには最近生まれた都市伝説がある。朝早くに、自動車と並列して走る青年がいる、と。
「うふ、うふふ。」
これからの朝の甘い一時を想像すれば頬も弛む。そんな、愛に生きる青年を追うように。高速で走るバキの背後をピッタリと付いてくるように。厚い、厚い雲が、空を流れていた…。


297 :作者の都合により名無しです:05/03/13 09:18:08 ID:fPOSEQgjO
携帯からは無理だと思っていたのですが、五さんの頑張りを見ていて、自分もSSを書いてみようと思いました。
どうか、受け入れてもらえれば、と思います。
至らないところもあると思いますが、どうかよろしくお願いします。

絶対ミスしないつもりで打って見直していたのですが、いきなり間違ってました。申し訳ないです。

(人も疎らな朝の通りを原チャリをも追い越すで走る青年がいた。)→(人も疎らな朝の通りを原チャリをも追い越す勢いで走る青年がいた。)

298 :作者の都合により名無しです:05/03/13 09:30:24 ID:Vo0XDA1y0
惹かれる始まり方ですね。
オーガに何が起こるのか? あのオーガに何か起こるのですから、相当な厄介事だと思いますが。
(本当に隕石だったら笑います)

携帯からの人、結構多いですね。お金もバカにならないんじゃ…


299 :作者の都合により名無しです:05/03/13 10:01:34 ID:/TlKk4Zn0
パケット定額がでてきたからかなぁ<携帯からSS投稿
なんにせよ大変そうだけど。
しかし五さんもこの鬼の霍乱さんも、読みやすい文章書かれるよね。
続きが楽しみだな。頑張ってください。

300 :作者の都合により名無しです:05/03/13 11:52:20 ID:ARudsMKp0
毎日少しづつ書くの止めろ。一気に投下しろ。

>ヤムチャが勇次郎を守ってそれを受けた。
「アビジョッ」
ヤムチャは死んだ。

どう真面目に書けばこういう表現になるんだ?さっさと失せろ。
前にお前と同じ手法で荒らしたバカがもういるんだよ。

301 :作者の都合により名無しです:05/03/13 14:23:56 ID:fxugDvfN0
携帯からの投稿で間違いなく続けてくれそうなのは五さんだけだな。
申し訳ないけど鬼の霍乱作者氏は2、3回様子見。
バレさんもしばらくしてから保管した方がいいと思う。

オーガは問題外。

302 :作者の都合により名無しです:05/03/13 14:32:11 ID:WBF3ZzCq0
>>301
連載後しばらくは短編扱いでの保管という形をとっているから
投げ出しの心配があっても鬼の霍乱は保管されても問題無いと思う。

オーガが荒らしだってことはバレさんも十分理解してるみたいだが。

303 :作者の都合により名無しです:05/03/13 19:08:04 ID:fPOSEQgjO
すみません、朝に書かせてもらったばかりなのですが、区切りが悪かったので続き投下させてもらいます。

304 :鬼の霍乱 第2話:05/03/13 19:10:52 ID:fPOSEQgjO
>>295から

ある、晴れていた、朝。
雲一つ無かった、晴れていた、朝。
雲一つ無かった、陽射しがまぶしかった、よーく晴れていた、爽やかだった、朝。
あんな良い天気の日には、きっと何か良い事があるに違いない。と、バキ青年は思っていた。
ある、雪の降り注ぐ、朝。
雲で覆われた、雪の降り注ぐ、朝。
雲で覆われた、陽射しもない、雪の降り注ぐ、寒い、朝。
こんな天気の日には、きっと何か悪い事があるに違いない。っていうかこんな天気は有り得ない。何故なら今は夏だから。と、バキ青年は思っている。
何時の間にかバキを追い越し、遥か前方を覆い尽くしている厚い、厚い、雪の雲。
それには、中心と思われる空間がある。
いや、中心と思われるというより、明確に中心と言える空間がある。
槍と見紛わんばかりの大きさ、鋭さを持った雹が降り注いでいる空間。
あの落書きは、あのボロ小屋は。
「嘘だろ…!?」
既に路上に特盛りになった雪、とういより氷を見て、バキはただ、呆然と立ちつくす。
「なんで…?」
「あんな気持ちの良い朝、だった、のに…。だった、のに…!」
「決まってる…!この町に雪を降らすような馬鹿は!!」
バキの脳裏に浮かぶ、ある男のニヤケ顔。
「親父しかいないッ!!」
何処をどうすれば只の一人の人間が雪を起こせるのか、とか、もはや雪とかそんなもんじゃねぇよ、とか普通の人間は考えるだろう。
しかし、バキの場合はこういった通常まず有り得ないような現象は間違いなく親父の仕業、と考える。なにせ拳で地震を止めた(と本人は言っていた)り、地面を下段突きで凹ますような親父だ。なにかがあったなら雪くらいは降らしかねない。
バキにとってはこの世で唯一と言えるブチのめしたい対象ともいえる彼の父。
さらに愛しの梢江ちゃんとの甘い朝の一時を邪魔されとあっては。


305 :鬼の霍乱 第2話:05/03/13 19:14:01 ID:fPOSEQgjO
「勇次郎ォォッ!!」
叫び、範馬刃牙は怒り心頭で走り出す。
100M走なのにトラックを回りきって一緒に走っている相手を周回遅れるにできるような、F1カーとレースをして優勝できるような、兎に角有り得ないスピードで、住み慣れた我が家に向かって走り出す。
そこには居た。やはり居た。見間違う筈もない。あの逆毛、あの年中おなじ服装、あの筋肉。玄関の前に立っている。
「勇次郎ォォッ!!」
バキは叫ぶ。もう一度。鼓舞しているのだ、他でもない、自らを。思いきり拳を振り上げる。目標は彼の父。地上最強の生物。範馬勇次郎。
「うおぉぉ、バキぃ〜。」
しかし。
「え?」
その拳は振り下ろされる事はなかった。
「バキぃ、寂しかったろォ?これからは一緒だからな!父さんがずぅッッと一緒だからなッッ!!!」
「え?いや、あれ?」
勇次郎の、厚き抱擁。勇次郎の、頬擦り。
勇次郎の、意味不明な涙。
「ちょっ、親父、待て、ヤメ「バキぃ、すまなかった、母さんを死なせちまって…。寂しかったろ、苦しかったろ?もうそんな思いはしなくていいんだぞ?これからは一緒だ!ずッッと一緒だ!父さんがずッッッと一緒にいてやるからなッッッ!!!」
「親父、だからヤ「な〜に、金の心配ならいらんッ!ストライダムの所からたぁッッぷり頂いてきたからなッッ!!」
「親「うぉぉーん、バキぃ、バぁキぃぃ!!」
「親父ッ!!頼むッ!!頼むからッ!!目ェ覚ましてくれッ!!元に戻ってくれッッ!!!」
バキは叫んだ。

306 :作者の都合により名無しです:05/03/13 19:17:35 ID:fPOSEQgjO
暖かく見守ってくださる皆さん、有難うございます。
あまり長い話ではない予定なので、最後までお付き合いいただければ、と思います。

307 :ふら〜り:05/03/13 19:25:50 ID:7urBMMtP0
>>ゲロさん
いや、創作者でなくても充分キツイとは思いますけどね。丸一日無心でいろというのは。
暇があるとかそういう問題を抜きにしても。しかし、それを見事に成し遂げてしまった
物書きさん。滝の中から立ち上がり……何か悟ってそうですね。回向の旅にでも出るか?

>>ザクさん
ほう。後藤が後藤らしい、というか寄生生物らしくていいですな。強さやら権力やら、
まして見栄なんかには全く執着せず、ただただ合理的。にしても最も弱い、と断じられた
刃牙哀れ。これで刃牙が後藤を苦戦させれば面白いんですが。動揺する後藤、見てみたい。

>>霍乱さん
ふふ。五さんに続き、善良というか純粋な刃牙ですね。彼女とのあれこれを想像し頬を
緩ませる、と。男の子らしくて微笑ましい。それと父親の惨死妄想が等価値で並ぶ辺り、
ちゃんと刃牙してます。しかし冒頭の叫びがこういうことだとは……何があったのかっ?

308 :作者の都合により名無しです:05/03/13 20:11:56 ID:sCX7gI4HO
ふらーりさん、オーガにも感想書いてやれよwwwwwwww
前書いてたんだからさwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

309 :作者の都合により名無しです:05/03/13 21:17:50 ID:7B9FOWmWO
>>308池沼荒らしに餌与えてどーすんだよ。


それはともかく霍乱さん乙。
新人にありがちな短文投稿してない辺りが好感持てるね。
勇次郎に何があったか気になる、早く先が見たい。

310 :作者の都合により名無しです:05/03/13 21:34:21 ID:gnQs+wvd0
テスト

311 :作者の都合により名無しです:05/03/13 21:39:45 ID:WBF3ZzCq0
>>309
ID:sCX7gI4HOで検出してみ。荒らし確定だから。

312 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/13 22:19:57 ID:JSU4LMqN0
早朝、六時前。ぼくは骨董アパートへと帰ってきた。
自室に戻る途中で隣の部屋のドアが開き、若い女性が姿を見せた。
「ああ、おはようございます、みいこさん」
「いの字、おはよう・・・というか、遅かったな」
彼女は浅野みいこさん。高めの位置で結んだポニーテールと凛とした雰囲気が侍を思わせる、格好いいお姉さんだ。
性格的にもこのアパートにおいては相当な人格者といっていいだろう。
こんな早い時間に起きていることは別に驚かない。みいこさんは早朝トレーニングを日課としているからだ。
「またぞろ何かの事件に巻き込まれたのかと、心配していたところだ」
「ははは、まさか。いくらぼくでもそうそう変なことに巻き込まれたりしませんよ。ちょっと人と一緒にいたんです」
「ふむ」
「実はちょっと逆ナンって奴をされちゃいまして。背が高くて健康的に日焼けした、笑顔が素敵な人でしてね。
ついつい話し込んじゃったんです」
嘘は言っていない。いないが、いい加減こういうところは直した方がいいんじゃないかと自分でも思う。
「そうか。まあ、若いんだからそういうこともあるな。ただ、夜遊びはあまり感心しないぞ」
普通に信じられてしまった。その上、心配までされてしまった。
「はあ、気をつけます」
「うむ。・・・あ、そうだ」
みいこさんは事のついでのように言った。
「お前の部屋に、誰か来てな。多分まだいるぞ」
「へえ・・・それは物好きもいますね」
というか、それは不法侵入では?と思ったが、今さらそんなことで突っ込むのは野暮である。
「まあ、別に何をするわけでもないようだったが、一応気をつけろ。じゃ、私は行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
みいこさんを送り出して、ぼくは部屋に向かう。
「確か五月にもこんなことがあったか・・・」
あの時は哀川さんだった。今回部屋にいるのは、果たして誰か。

313 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/13 22:20:52 ID:JSU4LMqN0
ぼくは、部屋のドアに手をかけた。当然のように開いている。
そのまま一呼吸も置かずに部屋に入る。
「ずうううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいぶんと遅かったじゃねえか。
待ちくたびれて死ぬかと思っちゃったよ、石の上にも三年、ってか?ギャハハハ!」
そこにいたのは、中学生くらいの体躯の少女だった。―――いや、肉体は少女でも、精神はそうではない。
「誰かと思えばきみは、<殺し名>序列No1、殺戮奇術集団匂宮雑技団の功罪の仔、名探偵と殺し屋の二つの
人格を持つ、一人で二人、二人で一人の殺戮奇術の匂宮兄妹、妹である名探偵<人喰い(カーニバル)>の理澄と
対をなす兄の方の人格、殺し屋<人喰い(マンイーター)>の匂宮出夢(いずむ)くんじゃないか」
「なんだよおにーさん、その分かりにくい上に長ったらしい説明科白はよお?」
「知らない読者への説明」
なんだそりゃ、と笑われた。ぼくは肩をすくめて出夢くんを見やる。
前に見たときと同じく、おかっぱのようにした頭に、カチューシャ代わりに眼鏡で髪を押さえている。
裸の上にジャケットだけを羽織った目のやり場に困る格好をしている。
まあ、彼自身の精神は男なので、特に気にならないのかもしれないが。
「で、ほんとに何しにきたの。理澄ちゃんが死んで隠棲したって割には、狐さんの時といい、随分出たがりじゃないか」
「まあ、ちょいと予感があってね、妖怪レーダーに反応したっていうの?おい、キタロー、ってか?
ギャハハハハハ!」
「きみのギャグはつまらん」
「連れねーこと言うなって。・・・なあおにーさん。あんた、とんでもねー奴に目を付けられたんじゃないのかい?」
「・・・別に、そんなことはないよ。何を根拠に」
「匂い、かな」
出夢くんは言った。

314 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/13 22:21:46 ID:JSU4LMqN0
「前に言ったろ―――人殺しには人殺しの匂いが染み付いてるってよおーーー。おにーさん、今のあんたから、
そいつの残り香が漂ってるのさ―――それも、はっきり言って別格の匂いがさあ」
「・・・・・・」
「その香りが、僕を呼び寄せた」
「勘違い、だよ。そうそうそんなヤバイ奴とばっか知り合ってたまるか」
ぼくはごろりと横になる。すごく眠い。寝顔を人に見られるのは嫌いだが、そんなことも気にならないほど、
ぼくは眠りを必要としている。
まあ要約すると、昨夜寝てないから寝たいのだ。
ぼくは最後の意識を振り絞って、出夢くんに話し掛けた。
「出夢くん、時間が来たら起こしてほしいんだけど」
「あん?なんだよ、なにかあるのか?」
「うん―――ちょっとね」
ぼくは言う。
「昨日逆ナンされた相手から、今日の夜にまた会わないか、って約束してね・・・」
そのままぼくは、目を閉じた。


315 :サマサ ◆2NA38J2XJM :05/03/13 22:25:29 ID:JSU4LMqN0
投下完了。前回は>222より。

戯言知ってる人に補足。
今回の話は、ネコソギ三部作終了後、ネコソギ上巻時点で生きてる人は全員生存、
登場人物間の関係は変わりなし、というかなり不可能な設定で書いてます。

316 :パオ ◆oIVyz8LOXE :05/03/13 22:53:14 ID:WABFS6CU0
サマサさん、これから投下してしまいます。
すみません。今から出るんでお許し下さい。

317 :ラーメンマン:05/03/13 22:54:32 ID:WABFS6CU0
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/ra-men/06.htmの続き
<超人アーリーデイズ   ラーメンマン編 後編3>

俺は間違っていたのか。それとも、正しかったのか。

破門。
中国拳法界において最高峰の超人拳法で破門されるという事は、
正規の拳法界ではおそらく二度と浮かび上がれまい。
我流の、さもしい狼のような拳を磨き一流を立てのし上がるか、用心棒に身を堕すか。
そして、絶縁。
8年もの長きの間、拳師として、そして人としても最高の男と慕った陳との縁切り。
しかも後ろ足で砂を掛けるように、己の我侭を通し、裏切るような形で、である。

間違っている。それは、間違いない。但しそれは、拳志す者として、である。
入門に1000人に一人、皆伝までに更に1000人に独りと呼ばれる超人拳法。
後一歩で皆伝というところまで来て、それを自ら手放すなど、愚挙もいい所だ。
超人拳法師範ともなれば、世から賞賛され人からは尊敬され、歴史には刻まれる。

だが、人としてはどうだろうか。
ラーメンマンは後ろを振り返る。やはりだ。少年が、よたよた追って来ている。
応急処置を済ませただけで、本来ならば数日は安静にしてはいけない体である。
だがこの年端も行かない少年は、目をギラつかせ、必死で付いて来る。
あれは、俺ではないか。8年前、両親を暴賊に殺された、俺。

「少年よ。休むか。まだ君の村まで、かなりある」
ラーメンマンは答の分かっている質問をした。やはり、少年は首を横に振る。
彼は微笑み、腰を落とし背中を少年に向けた。少年は顔を赤らめ、彼に負ぶさる。
そして少年を負ぶい、ラーメンマンは歩き出した。確信した。
(破門。どれほどのものか。この背中の重み、温かみ。それを守れずして、何が拳士。
 俺は、間違っていない。不動心など分からずとも、この少年の心はわかるから)


318 :ラーメンマン:05/03/13 22:55:57 ID:WABFS6CU0
村は荒涼としていた。少年の顔が泣きそうに歪む。
ラーメンマンはそれを見ないようにする。少年とはいえ、誇り高さを認めたからだ。
古い民家が続く。村は前から貧しいのだろう。だが、ラーメンマンは見逃さなかった。
間違いなくこの村には、かつて正義があった。心の豊かさがあった。

道々に見る、田畑の手入れの行き届きや、村の拳法の隆盛を語る武具。
たしかにあばら屋なれど、清潔感を感じる。愛情深く家を守って来たに違いない。
しかし、今は鼠が猫の様子を窺うように、ひっそりと隠れ住んでいる気配がする。
ラーメンマンは、一軒の家の玄関に立った。そして丁寧に、静かに声を出した。
「もし、私はラーメンマンと申します。戸を、開けて頂けないでしょうか」

だが反応は無い。人の気配ははっきりと感ずるのに。少年が苦々しげに言った。
「この村はもう、臆病者の集まりになっちゃったんだよ。もう」
ラーメンマンは静かに少年の頭を撫ぜて言った。
「自分の生まれ育った村の人を、そんな風に言うものじゃない。
 それに、無くした物は、取り返せばいい」



319 :ラーメンマン:05/03/13 22:56:58 ID:WABFS6CU0
ふと胸に過ぎる。ほんの数時間前、自分は大事な物を無くしたではないか。
それはもう取り返せないだろうに、少年には何を言っているんだ?
それともまた、取り返せるとでも思っているのか。 …己の夢と、目的と、師を。

少年は素直に頷いた。何故か救われた気分になった。
そうだ、後悔をしている暇は無い。俺には、為せねばならぬ事がある。
「少年よ。狂獣・郭 春成という男は、何処にいる?」
少年は憤然とした表情で、指をまっすぐ前に突き出した。その先には屋敷があった。
おそらく、野盗の襲撃前には村で一番の権力者の家だったのだろう。

そこに、いる。
野盗の用心棒として身を堕した、恥ずべき超人拳法の先駆者・郭 春成が。
あるいは、将来の自分自身かも知れない男が。
迷い無く、力強く。ラーメンマンは歩を踏み出した。決闘の場に向かって。



320 :超格闘士大戦:05/03/13 23:03:25 ID:gnQs+wvd0
>>83の続き

321 :超格闘士大戦:05/03/13 23:04:19 ID:gnQs+wvd0
リロード忘れました。申し訳ありません。

322 :パオ:05/03/13 23:07:44 ID:WABFS6CU0
重ね重ねサマサさんすみません。

たった2レスで申し訳ありませんが(2レスが改行規制で3レスになった)
ひとつひとつ作品を終わらせていきます。キリが無い。


個人的な話。
岩泉舞先生の新作漫画を10年以上ずっと待っていたが、先日ついに諦めた。
漫画自体、もう一部以外読むのをやめた。




323 :作者の都合により名無しです:05/03/13 23:17:17 ID:Vo0XDA1y0

パオさんは>>317みたいなシーン書くのが好きなんだな。
魔界編の本部やサムワンもそうだった気がするし。

>ラーメンマンは静かに少年の頭を撫ぜて言った。
刃牙読んでたせいか、少年の頭を「爆ぜて」って読んじゃったよ…

324 :超格闘士大戦:05/03/13 23:33:02 ID:gnQs+wvd0
>>83の続き




325 :超格闘士大戦:05/03/13 23:33:39 ID:gnQs+wvd0
24話「エアーズロック」

世界最大の一枚岩、エアーズロック。高さ、348m、周囲9km。
通称「地球のへそ」。オーストラリア大陸に、その雄大な姿を現しているその岩は
先住民アボリジニの間では、聖地とされていて、「ウルル」という別の名も持っている。
どこがどう伝わって、この場が「聖地」とされたのか。それは誰にもわからない。
はっきりとしていること…それは、このエアーズロックという岩は、聖地などではなく、
むしろそれとは真逆の性質を持った、特別な場所である…ということだけである。

そのエアーズロックへ向っていたアバン一行は、長旅の末、ようやくその目的地の姿を
視認出来る距離まで近づいてきていた。
途中、思わぬ敵の襲撃があったものの、本来の目的である大陸に現れた魔物達の襲撃はなく、
比較的安易な道のりであった。だが、この場を目指すこととなったきっかけは、
竜の騎士であるというバランの、「敵はエアーズロックを目指している」との情報だった。
目にうつる、エアーズロックの偉大な姿が、大きくなればなるほどに増してくる邪気を
感じながら、アバンはそのバランの言葉を深くかみ締め始めた。
 「何故か…モンスターみたいな死体が増えてきましたね…」
エアーズロックまで、約10キロ程…のところ。ふとポップがそうつぶやいた。
気がつくと、数分前にはまばらだったモンスターの死体が、さも道端の雑草かのごとく
大量に大地に溢れている。太陽の光を、片手で遮りながら、アバンが少し先の方を見た。
その目線の先の大地には、現時点以上の、多くの死体が転がっているのが確認できた。
 「おかしい。すでに死んでいる魔物から、邪気が感じられるはずがない。しかし、
  この増大していく嫌な感じは…なんだ…」
そう言ったあと、アバンは少し上に目線をそらし、エアーズロックの大岩へ合わせた。
邪気は…エアーズロックから発せられているようだった。他の2人は感じていないが、
アバンははっきりと感じていた。まるでこの世の終りを暗示させるような、どす黒い邪気を。
 「とりあえず、行ってみるしかありませんね。何が出てくるかわかりませんが…」


326 :超格闘士大戦:05/03/13 23:34:24 ID:gnQs+wvd0
足を踏む間もない程に転がるモンスターの死体の上を、アバン達は歩き続けた。
数分後、ようやく目的地、エアーズロックの目の前まで到達したアバン達を迎えたのは、
天使でも鬼でもない、仁王立ちする1人の男であった。

 「何者だ?この先は、誰であろうと一歩も通さん」
男は、アバン達が動く前に牽制の言葉を発した。アバンはすぐに察する。この岩に、何かある。
この先…と言われても、先には馬鹿でかい岩のみ。そこへ通さん、というのもおかしな話だ。
先ほどから感じていた、邪気の存在を照らし合わせると、この大岩に何かがあると考えるのは妥当だろう。
 「私の名はアバン。この地を狙うという魔物達を退治するため、ここまでやってきた。
  この尋常じゃない邪気も…気になっているが…」
 「どうやら只者じゃないみたいだな。それに、敵でもなさそうだ。
  俺の名は一輝。アテナの命を受けて、この場所を魔物達の侵攻から守っている」
 「アテナ…アテナと言ったな!?では、君は聖闘士なのか!?」
 「そう、アテナを守る聖闘士…フェニックスの一輝とは俺のことだ」
その男、一輝はアテナの命で、たった1人でこの場所を魔物から守ってきたという。
ここまでの道のりに転がっていた魔物の死体は、全てこの一輝が倒した輩達だったのだ。
彼の纏っている聖衣、フェニックスの聖衣は、青銅聖衣。つまり、彼は青銅聖闘士ということになる。
聖闘士の中でも、最も位の低い者達だ。一輝と、東京でバキ達と行動を共にしている星矢達は、
もとは孤児であり、同じ孤児院で育った幼なじみであった。そしてその中の1人、アンドロメダ瞬と
一輝とは兄弟であり、瞬のかわりに、一輝は地獄の島…デスクイーン島に行っていたのだが…
その話は後々語ることになるであろう。
アバンはアテナと、聖闘士の存在を知っていた。そしてまた、アテナが復活し、聖闘士が
現れたということが、どういうことを示しているのか…そのことも悟っていた。
 「俺も、あんたの仲間にあったぜ。黄金…聖闘士って言ってた」
ポップが一輝にそう告げた。その口調は、怒りと恐怖心を押し殺したような、弱弱しい声だった。
彼もまた、聖闘士の存在を知る1人だ。最も、彼にとって、その名前は苦い思い出でしかなかった。
 「黄金聖闘士だと…?どこであった?何をしていた?」
 「数日前、この大陸の中でだよ…ボコボコにされちまった。ワケも分からないまま襲われたんだ」



327 :超格闘士大戦:05/03/13 23:35:59 ID:gnQs+wvd0
ポップは、黄金聖闘士のシャカに襲われた時のことを、詳しく一輝に説明した。
 「黄金聖闘士が動き出したか…しかも、話から察するに、俺達の敵として動いてるようだな」
一輝は、状況を知りたがっているアバン達に、自分の知る全ての情報を話し始めた。
復活したアテナは、日本にいる城戸沙織という女だということ。自分たちが聖闘士になった経緯。
日本にいる聖闘士達の、今の状況…。そして、何故自分がこの場にいるのかということ…。
 「城戸のお嬢さんは、この場所を守る聖闘士を1人選ばなければならなかった。
  それを察した俺は、進んで申し出た。集団行動は苦手なんでね」
 「アテナがここにこだわる理由、それはなんなんだ…」
 「詳しいことはわからん。用件だけ聞いて、とっとと日本を離れてきちまったからな。
  でも、この岩の中に何かが眠っているってことは間違いないようだぜ。あんたも感じてる通り、
  気味の悪い邪気が、中からプンプンしてきやがる」
一輝はアバン、ポップ、本部の顔を見渡すと、何かを思い出したようにポンと手を叩いた。
 「あんた達にも、間もなくグラード財団からのお誘いが来るはずだぜ。いや、すでに来てなけりゃ
  おかしい。城戸のお嬢さんは今、名のある格闘家達を世界中から集めて、連合軍を作っているはず。
  あんたも力になってやってくれ。ここでくすぶっているよりか、全然世界の為になる」
ポップ、本部はその言葉を聞いて、同時にアバンの顔を見た。日本に行けば、より世界の為になる
仕事が出来る。その言葉は、大陸に渡ってきてから全くいいことのなかった2人にとって、
またとないいい刺激となったのだった。
 「その格闘家連合…、今は何を…?」
 「日本の範馬バキとかいうガキと、烈なんたらっつう中国人、それに警視庁からの助っ人やらを 
  集結させているはずだ。日本の志々雄真実…って剣客の一味に、
  これからの戦いの不可欠だっていう重要な物を奪われちまってな。今、俺の弟達がその奪還を
  目指して動いているよ…日本に行ってアテナに会えば、詳しいことがわかるさ。色々とな…」


328 :超格闘士大戦:05/03/13 23:39:38 ID:gnQs+wvd0
アバン、ポップ、本部、そして一輝。世界に散らばる戦士達は、少しずつ、互いの存在を知り、
そして団結を深めていく…。しばらく、一輝と共にこの場に留まることにしたアバン達は、
夕方でもないのに、赤く輝いている地平線に気づく。一輝はその地平線に向って指を差して
口を開いた。
 「あれは…悪魔同士の戦いだ。数はそれこそとてつもない数の…。あそこで戦いが行われている
  限り、こっちには流れてきた雑魚しかこないだろう…」

長旅に疲れたアバン達は、一輝に断り、少し腰をおろすことにした。
血のように赤い、エアーズロックの岩のたもとに、腰をおろす3人。
アバンも、ポップも、本部も、そして一輝も知らなかった。
自分たちの後ろにあるこの大岩の内部に、地平線の彼方で戦う悪魔達など足元にも及ばない程の
邪悪な存在が封印されているということを。
そしてそれを守る、小さな小さな2人の女神のささやき声を…。

 「私達は」 「私達は」

 「闇のオーブを守っています…」



329 :ブラックキング ◆vI/qld5Tcg :05/03/13 23:44:01 ID:gnQs+wvd0
話が進んでませんが、ご容赦を。
この作品での「聖闘士星矢」は、だいたい銀河戦争が終って
12宮に攻め込む直前、というところでしょうか。
いずれ詳しい説明を書くつもりです。
続く。

パオ氏申し訳ないです。


330 :作者の都合により名無しです:05/03/13 23:58:34 ID:skJs8ITf0
今日は大量でうれしい。
でも一番うれしかったのは、パオが岩泉信者ってことだな。俺もだ。

331 :作者の都合により名無しです:05/03/14 00:40:31 ID:a9hdrdNP0
>戯言使い
説明せりふに笑ったwなんとなくアパート住民がしけい荘っぽいかんじだ。
原作知らないけど、勇次郎とタメ張るって事は全員つわものだろうな。

>ラーメンマン
ラーメンマンの男気いいですな。少年への思いやりがいい。
次回は春成りとの決闘ですか?原作よりは強くしてほしい。2秒はやめてw

>超格闘大戦
最後ラーミア思い出した。一輝とアバン先生の邂逅ですか。
それにバキたちも加わって、いよいよ戦争ですね。ところで、聖闘士の強さは最終レベル準拠ですか?


332 :作者の都合により名無しです:05/03/14 02:18:22 ID:UbCckWjo0
>>超格闘士大戦
>「闇のオーブを守っています…」

原作を知ってるだけに、アバンたちの後ろにあるものがどれだけヤバイかわかります。
しかし、そんな彼も最後の方は屁垂れちゃましたなぁ。

333 :作者の都合により名無しです:05/03/14 04:01:07 ID:W75mPaaj0
>超格闘大戦 
一輝とアバン先生の邂逅
獅子座つながりですなw

しかし、dでもないものが登場
ゴルゴナがでてきたからもしやとは思ってましたが…


334 :輪廻転生 最終章:05/03/14 11:07:12 ID:FI4SaH/W0
東京都某所にてーーー
早朝朝9時。普通の人間なら出勤や登校する時間である。格闘家もその範疇に漏れなく入っている。
ヤムチャは光成に教えてもらった道を歩いていた。行き先は勿論、渋川剛気の家である。弟子は
いないと聞いた。今は警視庁の護身術指南役らしい。合気が使える人間が量産されたら気持ち悪い。
なによりこっちが気功波を放ってもそっくりそのまま返されるだろう。
数分後、ヤムチャは渋川剛気の家の前に立っていた。ゆっくり深呼吸をし空気を吐き出す。
気は感じる。確かに彼はここにいる。大まかな位置だけだが。ヤムチャはインターホンのボタンを押した。
数秒程、待つ。返事がない。気づかれたのか。殺気はまだ出していない。
「お若いの・・・。」
いきなり声がしてヤムチャは振り向いた。だがそこには誰もいない。横を見ても誰もいない。
ならば上しかない。上段突きを繰り出すヤムチャ。だが上にもいなかったらしく拳は空を切った。
馬鹿な。ヤムチャは焦った。自分はこの世界では強いはずだ。それが今の自分は全く敵を見る事すらできない。
「若いのう。」
声が聞こえるのと同時にヤムチャは体が宙に浮くのを感じていた。舞空術ではない。自分の体が浮かされている。
「いつからそこに・・・。」ヤムチャが呟いた。
そしてヤムチャは地面へと叩きつけられた。意識がドロドロになり、目の前が霞んでいく。
耐久力はヤムチャの方が圧倒的に上だろう。だが渋川剛気は合気の使い手である。
「お前さんは力みすぎておるようじゃのう。フフフ。」
やられた。脳内に浮かんだその言葉の意味を考えた直後ヤムチャの意識は闇に沈んでいった。



335 :輪廻転生 最終章:05/03/14 11:08:29 ID:FI4SaH/W0

バシャッ。ヤムチャは顔に冷たい感触を感じた。一秒と間を置かずに意識は完全に覚醒した。
まず上体を起した。どうやら気絶しただけらしい。
「目覚めたようじゃのう。」
ヤムチャは声の主を探した。
「あなたが・・渋川剛気。」ヤムチャは言った。
「いかにも。」
ヤムチャは正座をした。自分がべジータ達に勝てるかどうかはこの男の技術を盗めるかどうかにかかっている。
スタンド能力やら神楽ちづるの相手の技を封じる特殊能力も身に着けた。だが恐らくそれでは奴らには
通じない。自分こそが地上最強だと証明する為に自分は人間を捨てた。最高の防御を手に入れる為に
自分はここへ来た。最高の剣と最高の盾。どちらが強い?そういうのが昔の中国の話であった。
「ここはワシの道場じゃ。かかって来なしゃい。」
「じゃ、遠慮なく。」
渋川は目の前の男が分裂した様に見えた。男が4人になり自分を取り囲む。時折、脚が床を滑る音が聞こえる。
高速で移動している為に4人に見えるというのは絵空事でしかない。だが今はこれが現実なのだ。
「どうしました?行きますよ?」ヤムチャが挑発する口調で言う。
「いいから。いいから。」
薄ら笑いを浮かべながら自然体で立つ渋川。そして4人のヤムチャが一度に襲い掛かる。
ある者は蹴りを放ち、ある者は突き、ある者は間接技を仕掛けようとした。だがそれが渋川の体に触れた直後、
3人の像は消滅した。
「ほぉ。そう来るかえ。」渋川が笑みを浮かべながら言う。
ヤムチャは渋川の後ろから気功波を放とうとしていた。

336 :輪廻転生 最終章:05/03/14 11:09:47 ID:FI4SaH/W0
「はっ!」ヤムチャが叫んだ。
ヤムチャの腕から気弾が一つ放たれる。勿論手加減はしてある。ヤムチャのジャブ一発に相当する威力である。
一発食らってもまだ生きていられる威力である。
「物ではないな。それは。」渋川が呟く。
気弾は渋川の目前へと迫っていた。避けるか受けるかしなければ危険だ。
ヤムチャは渋川が笑みを浮かべるのを見ていた。そして渋川の手が気弾に触れた。
「馬鹿な!」ヤムチャが叫んだ。
気弾が渋川の手でコントロールされている。バキ世界において気を操る人間などいるはずがない。ヤムチャの
焦りは頂点に達した。
「これが切り札かの?お若いの。」
「あ・・・あ・・・。」
ヤムチャは冷や汗を流しながらその場に突っ立っていた。
「ほりゃ。」
渋川が腕を伸ばす。そして気弾は渋川の手から離れヤムチャへと向かっていく。
「ぶっ!」
気が動転していてとっさに反応が出来なかったヤムチャはもろに顔面にそれを受けた。
いつもなら当たっても大した事はない。だが今回は違った。精神的ショックにより
気の集中が疎かになっていた。つまりガードが全然出来ていなかったのだ。
膝から崩れ落ちるヤムチャ。
「ほほほ。お留守なのは足元だけではなかったようじゃのう。」
「何だと・・・。」

337 :輪廻転生 最終章:05/03/14 11:10:35 ID:FI4SaH/W0
口から一筋の血を垂らしながら立ち上がるヤムチャ。そして腕に力を入れ、呼吸をする。
次の瞬間、空気が揺れた。渋川の道場を吹き飛ばすのではないかと思える程の風が巻き起こった。
気弾を操る者なら誰でも知っている動作。すなわち気の開放。
「力むのぉ。」
「さらに・・・。」ヤムチャが呟く。
ヤムチャの周りの空気が赤く染まってゆく。視覚化された闘気。そしてその気の色は朱色をしていた。
「界王拳!」
筋肉は膨張し体が二周り程大きくなった様にも見えるヤムチャの体を達人は涼しい眼で見ていた。
二メートル程あった間合いを一瞬で詰め、上段蹴りを放つヤムチャ。常人にはかろうじて見える程の
速さ。そして威力は失神は免れられない程である。
「ほい。」達人が呟いた。
ヤムチャは信じられないモノを見た。自分の蹴りがバキ世界の人間に受け止められている。
そして又も自分の体が浮かび、放り投げられる。ヤムチャはどんどん床が自分に迫って来るのを見ていた。
「力だけじゃのう。」達人が笑いながら言う。
ヤムチャは歯軋りをした。笑ってられるのも今の内だ。さっきのは遅かった。見えるように蹴ったから。
今度はスピードのみだ。反応できないのなら合気を使う暇などない。
再びヤムチャは間合いをつめた。自分の体が空気を切るのを感じた。今度は最速の蹴りを放った。
威力はないが速度だけなら鞭にも匹敵する。
「ほい。」達人が呟いた。
馬鹿な。蹴りは確かに達人の腹に触れた。だが現実にはまた投げられている。ヤムチャは逆さになった
景色の中でそう思った。
「速かったかもしれんが・・・触れたのはわかったんでな。」達人が呟く。
ヤムチャは絶望した。合気に対しては速度など関係ない。触れた時点で返される。
待てよ?触れた時点で?ならば。

338 :輪廻転生 最終章:05/03/14 11:11:16 ID:FI4SaH/W0
「もう終わりかの?お若いの?」達人が静かに言う。
達人はヤムチャが自分の方へゆっくりと歩いてくるのを見ていた。
「ほう?」達人は不思議そうに言った。
ヤムチャの手が達人の腕に触れる。
「む!」
叫ぶと同時に達人は仕掛けていた。達人の手がヤムチャの腕に触れる。
「だっ!」ヤムチャは叫んだ。
今度は達人の体が浮かび上がった。つまり投げられたのだ。
「勝負あったな・・・何!?」ヤムチャが叫んだ。
つい先程まで有利な立場に立っていたはずが今度は自分の体が宙に浮いている。
合気返し返し。つまり投げ返されたのだ。自分に投げられていた達人に。
ガツンという音が頭に響きヤムチャは動けなくなった。威力は界王拳2倍の投げと同程度だったのだから。
「まいりました。達人。」ヤムチャが呟いた。
「ほっほっほ。いい立会いじゃったわい。」
立ち上がったヤムチャは達人に向かって礼をした。

数日後、ヤムチャは元の世界へと戻り、天下一武道会へと出場した。

339 :作者の都合により名無しです:05/03/14 14:02:11 ID:zMKe/TDo0
格闘大戦や戯言使いはまだまだ続きそうだが、
ラーメンマンや輪廻もうすぐ終わりか。連載少なくなりそうだな・・

340 :虹のかなた:05/03/14 15:36:17 ID:a6F0b5up0
ごきげんよう、皆様。
間が開きましたが ttp://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/22.htm からの続きです。



「ごきげんよう、ジュネさん」
「ごきげんよう」
登校してクラスメイトと挨拶を交わす。
『ごきげんよう』だなんて、いつのまにか普通に返せるようになっている自分に気付き、ジュネは小さく苦笑する。
転入当初に予想していたよりも、この学園に馴染んでしまっているようだ。
それというのも。
「…ごきげんよう」
隣の席に座る縦ロールのクラスメイトに声をかける。
窓の外をぼんやりと見つめていた彼女は、ジュネの声に小さく挨拶を返した。
ジュネを学園に馴染ませるために繰り出されていた松平瞳子のお節介は、ここ数日沈静化している。
目立たないことを望むジュネにとって、それはとてもありがたい。
なにせ、瞳子は存在するだけで人目を引く人間なのだ。
側にいられればそれだけ目立ってしまう。
だが…さすがに少しだけ瞳子の様子が気にかかった。
表面上はいつもと変わらないが、ふとした瞬間に憂いた表情でぼんやりとしていることがある。
(まさか…ホムンクルスには関係ないよな…)
巻き込まれた彼女のお姉様とは違って、瞳子は何も関わっていないはずである。
松平瞳子と知り合ってまだ日が浅い。
ジュネには見え隠れする瞳子の憂鬱の原因が何であるか、想像もつかなかった。

341 :虹のかなた:05/03/14 15:37:04 ID:a6F0b5up0
――――あの、薔薇の館のお茶会から五日が経っていた。
今日は土曜日で学校は午前中で終わる。山百合会の手伝いもない。
なので午後からは斗貴子と例のホムンクルスを探しに行くことになっている。
もっとも、その前に紅薔薇さまに“事情”を説明する、というやっかいな仕事があるのだが。
あの事件のあった月曜日は、薔薇の館に黄薔薇さまと瞳子を待たせたままだったし、火曜日以降も山百合会の仕事が
忙しく、紅薔薇さまの時間が空くのが今日になってしまったのだ。
火曜日からの四日間。
放課後に手伝いのために薔薇の館を訪ねると、紅薔薇さまはいつもと変わらずに笑っていた。
ジュネの髪を『綺麗だね』と褒めてみたり、斗貴子に『笑った方がかわいいよ』と言って赤面させてみたり…。
わけもわからず危険な目に遭ってしまい、さぞ困惑して怯えているだろうと思っていたのだが…ああ見えて、紅薔薇さま
という人物は意外と芯の強い人間なのかもしれない。
…まぁ、ただ、脳天気なだけなのかもしれないが。
紅薔薇さまに説明する“事情”は、ホムンクルスについてと、それらと戦う練金の戦士についてのみとなっている。
聖闘士や聖域の存在を明かすことは許されていない。
一緒に戦うことになった斗貴子にも、その辺りのことは一切教えていない。
聖闘士が教わるものとは少し違う世界史の授業を聞き流しながら、ジュネは暇つぶしに窓の外へと視線を向けた。
校庭ではどこかのクラスが体育の授業をしている。
(あ…)
斗貴子がいる。
体育をしているのは、どうやら一年藤組の様だ。
集団から一人離れたところで一人佇んでいる斗貴子は遠目にも目立つ。
『私は任務の為にこの学校にいる。親しい友人など作る必要はない』という自身の言葉を忠実に実行しているらしい。

342 :虹のかなた:05/03/14 15:38:53 ID:a6F0b5up0
月曜日の夜。
城戸邸で制服を着替えたジュネは、斗貴子が仮の宿としているビジネスホテルを訪ねた。
例のホムンクルス関連の出来事を整理し、これからの対策を立てるためである。
このようなことは「アテナを守る」という本来のジュネの任務からは外れている。
だがアテナから「私の楽しい高校生活を守るために斗貴子さんのお手伝いをしてください」と命令が下ったことだし。
それに何よりも、ジュネは斗貴子が心配だった。
ホムンクスルを前にすると己を顧みずに抹殺にかかる斗貴子の戦い方は、端で見ていて非常に危なっかしい。
あれでは、いつ命を落としてしまうかわからない。
斗貴子も戦士と名乗っている以上、戦いの場で死ぬのは覚悟しているだろうが…出来れば、死んで欲しくない。
自分がどうしてそんなことを思うのかはわからなかったが、ジュネは確かに斗貴子を心配しているのだ。
『ジュネってば、随分と斗貴子さんを心配しているのですね』
薔薇の館のお茶会で、そうアテナに言われた時は自覚していなかったのだが…。
今はアテナの言葉を否定できなくなったしまった。
自分がこんな感情を持つことも予知されていたのだろうか、等とくだらない事を考えながら、ジュネは斗貴子が借りて
いる部屋のインターフォンを押す。
約束もなしに突然訪れたジュネに驚きながらも、斗貴子は部屋に招き入れてくれた。
もっと反抗的な態度を取られるかと思ったのだが…少し、気を許してきたのだろうか。
いささか拍子抜けした気持ちでソファに座り、差し出されたマグカップを受け取る。
注がれていたのはインスタントコーヒーだった。
正直なところ、薔薇の館で何杯も紅茶を飲まされて辟易していたので、甘さのないコーヒーはありがたい。
少しの沈黙の後、淡々とした口調で斗貴子が本題を切り出した。
『…三つほど、疑問がある』
マグカップに視線を落としながら、斗貴子が先を続ける。
『一つ目は、ヤツらの顔だ。何故三体とも同じ顔をしていたのだろう』
『ホムンクルスってヤツは元は人間なんだろう?月並みだが、三つ子とか』
『その可能性もあるが…やっぱり不自然だ』
斗貴子の眉間に皺が寄る。
『…二つ目の疑問は?』
『私がリリアンに入学して二週間近く経つが…、未だに学園の周辺で行方不明者がでたという話を聞いていない。
ホムンクルスが食事をしないはずがないのに。それに…』

343 :虹のかなた:05/03/14 15:40:47 ID:a6F0b5up0
『それに?』
『なぜ、あの佐藤聖という人は喰われなかったのだろう?ホムンクルスがただ人を殺すだけだなんておかしいんだ。
…こんなケース、今まで見たことがない』
ちなみに佐藤聖という人間には、念のため、アテナがこっそりと護衛を付けると言っていた。
何かあればすぐにこちらに連絡がくることになっている。
『ホムンクルスは人間以外食べないのか?』
『そんなことはない。ヤツらは雑食だからな。だが…やっぱり不自然だ。…くそっ。ケータイを壊されたせいで本隊と
連絡を取るのに時間はかかるし…』
斗貴子の携帯電話は一体目のホムンクルスに壊されたらしい。
小さく舌打ちをする斗貴子に、ジュネは真剣な瞳を向けた。
『…ねぇ。本隊ってヤツの助けがないとアイツらは倒せない?』
ジュネの言葉に、斗貴子が視線を上げる。
『……やれるところまではやるが…あの、人型がやっかいだ』
『私が力を貸しても?』
斗貴子の眉間に一気に皺が寄る。
『一般人は巻き込みたくない』
『もうすでに紅薔薇さまを巻き込んでるだろう。それに…私は戦えるから』
ホムンクルスを倒すには錬金術の力が必要らしいが、手助けくらいは出来るはずだ。
それに、ジュネには一つ考えていることがあった。
ホムンクスルは細胞さえ残っていれば自己再生を続けるらしい。
なら、その細胞の一欠片も残さないくらい…原子を破壊したら倒せるのではないか。
最も、ホムンクルスの再生速度よりも速く、それでいて完璧に原子まで砕けるかどうかは、正直なところ自信はなかった。
自分より遙かに強くなった弟弟子や…白銀聖闘士、黄金聖闘士なら可能なのかもしれないが……。

『――――あなたは、何者なんだ?』
少し思考を飛ばしていたジュネは、斗貴子の低い声に我に返った。
斗貴子の強い視線が、真っ直ぐにジュネを射抜いている。
『……沙織お嬢様の護衛だ』
聖闘士であることを明かすのは禁じられている。
聖闘士とは、本来、歴史の影に存在するモノだからだ。
まぁ、沙織お嬢様の護衛、という言い訳も著しく説明を省いているが本当のことだ。
大抵の一般人にはこれで通用するのだが…。

344 :虹のかなた:05/03/14 15:41:30 ID:a6F0b5up0
『本当にそれだけか?』
斗貴子には通用しなかったらしい。
先程よりも更に険しい表情でジュネを見つめている。
『…本当は、沙織お嬢様を中心とした、地上の愛と平和と正義を守る組織の一員なんだ』
ジュネの言葉に、斗貴子は一瞬、毒気を抜かれたような表情を作った。
何となく間の抜けた少しの沈黙の後、斗貴子が小さくため息をつく。
『……わかった。言う気がないのなら無理には聞かない』
肩をすくめ、斗貴子がこの話題を打ち切る。
本当の事なのだが、非常に胡散臭いモノを見る目つきをされてしまった。
やけにあっさり引き下がったところ見ると、最初からまともな答えは期待していなかったのかもしれないが。
『…オマエ達と似たようなモノだ』
なんだか納得がいかないのでそう付け加えると、斗貴子は小さく『そうか』とだけ返した。
『三つ目は、紅薔薇さまだ』
強引に話題を戻されてしまった。
『紅薔薇さま?あの方こそ一般人だろう』
『そうだ。だが、ヤツらは何故か紅薔薇さまに固執している』
確かに、斗貴子から聞いた一体目との戦いの最中の会話といい、アテナと紅薔薇さまから聞いた三体目との会話といい、
ヤツラは紅薔薇さまに特別な感情を持っているように見える。
『だが…紅薔薇さまはアイツを知らないって言っていたし…。全く、何がなんだかわからないな』
そう言ってジュネが顔をしかめると、斗貴子は小さく笑った。
『そうでもない。わかったこともある』
一口コーヒーを飲み、斗貴子が先を続ける。
『あのホムンクルスはリリアン女学園高等部の生徒だろう。あの人を“紅薔薇さま”と呼ぶなんてこと、外の人間はしない
だろうからな』
『なるほど』
『それに、多分アイツは一年生か二年生だろう。三年生なら紅薔薇さまが少なくとも顔くらいは知っているはずだ』
『そうだな』
『…そう言えば…』
何かを思い出したのか、斗貴子は訝しげな表情を浮かべた。
『何故、アイツは私や城戸沙織の名前を知っていたのだろう?』

345 :ミドリ ◆5k4Bd86fvo :05/03/14 16:03:21 ID:a6F0b5up0
鳴り響くチャイムの音に、ジュネは思考を現実に戻した。
周囲に合わせて立ち上がり、終業の礼をする。
ふと窓の外に目をやると、すでに一年藤組の生徒達は引き上げた後だった。



今回はここまでです。
連続投稿規制に引っかかってしまい、このレスが遅くなりました。

予想していたよりも仕事が忙しく、なかなか続きを書くことが出来ませんでした。
待っていてくださった方、申し訳ありません。
少しペースは遅くなりますが続きますのでよろしくお願いします。
それでは、ごきげんよう。

346 :作者の都合により名無しです:05/03/14 17:53:30 ID:uzA/vKza0
ミドリさんお久しぶりにごきげんようーーーー(゜∀゜)!
微妙に仲のいい二人がちょっと微笑ましいね(会話はすげえ殺伐としてるが)。


347 :作者の都合により名無しです:05/03/14 22:11:44 ID:cEZRsckq0
ミドリさん久々ですな。

>沙織お嬢様を中心とした、地上の愛と平和と正義を守る組織の一員なんだ
わははははは! うさんくせー
でも事実なんだよな。

ところで聖さまの護衛って誰だろう。シャイナさんかな?
ジュネの弟弟子が女装して護衛してたら面白いな。(別に女装なしでも大丈夫だろうけど)

348 :作者の都合により名無しです:05/03/14 22:48:16 ID:/W3enW4vO
投下させてもらいます。
携帯からなんで結構時間かかるやもしれません。

349 :鬼の霍乱 第3話:05/03/14 22:50:37 ID:/W3enW4vO
第2話>>305から

「息子に会いに行くと言うのでネ。」
バキハウスの中から声がした。自由に人の家に上がりこんで、自由に座布団を敷いて、自由に茶を入れて、自由に茶菓子を開けて、自由にくつろいで、兎に角そんな自由な黒人男性がバキハウスの扉を開けてひょっこりと現れた。
「こんな状態のオーガを放っておいたのでハ寝覚めが悪くなりそうだったのデ、とりあえず同行させてもらっタ。と、いう訳サ。」
男性は、バキに対して米国人特有の大袈裟なボディアクションを交えながら独特の口調で話しかけてきた。
一見、只の肥満ともとれる見た目だが、よく見ると半袖のYシャツから露出している首や腕がとんでもない厚みの筋肉で覆われているのが分かる。おそらく、その服の中身も似たようなものだろう。
「何が『と、いう訳さ。』ですかッ!勝手に人の家に上がり込まないでクダサイッ!!いや、それは良いとして何ですか、この親父はッ!?いいや良くないッ!!鍵はどうしたのですかッ!!家の鍵はッ!?」
「バキ、あまり怒ると血圧が上がるぞ?父さん、心配だ。」
「少し黙ってろッッ!!知ってるんでしょ?アンタ何か知ってるんだろッ!!家の鍵とかッ!!異常気象とかッ!!何とか言えッ!!オリバさんッッ!!」
叫ぶ、バキ。ちなみに今だに雹は降り続いている。異常気象だ。ただ、この氷の降り積もった場に居る3人の内の2人は半袖だ。その光景も異常だ。
「少し落ち着きたまエ。言いたい事ヲ整理してクレ。」
フゥ、と溜め息を吐くオリバと呼ばれる男性。ヤレヤレと首を振り、ズボンのポケットに手を突っ込んで白い栄養剤の容器を取り出す。そして蓋を開けるとその中身をガザッと口の中に流し込んだ。
「落ち着けますかッッ!!つーかその栄養剤、俺のじゃないですかッッ!!」
「だから落ち着きなさいト言っていル。ほら見ロ。君が邪険に扱うもんダカラ勇次郎が落ち込んじまっタ。」
指を指す、オリバ。その指の先にいる、落ち込んでイジイジと地面に落書きをしている異様にガタイの良い中年。
「…バキがさぁ、息子がさ、父さんを無視するんだ…。俺、育て方間違ってたのかなぁ…?」


350 :鬼の霍乱 第3話:05/03/14 22:53:32 ID:/W3enW4vO
カシャン、と。バキの中で何かが壊れる音がした。
「お、親父…?」
頭に昇った血がサァッ、と音を起てて引いていく。
「落ち着ついたかイ?」
ポン、とオリバがバキの肩に手を置いた。
「ええ…。って言うか目眩がしてきました…。」
目頭を押さえ、首を振るバキ。一呼吸おいて、ゆっくりと目を開けると。そこには。号泣している勇次郎がいた。
「…何でだよぉ。何で俺はこんなになるまで気が付かなかったんだッッ!!何でバキの心がこんなに荒んでしまうまで放っておいてしまったんだッッ!!」
余程悔しいのか、勇次郎は屈みこんでドスドスと拳を地面に打ち付けている。そこから生まれる振動はまるで小さな地震のようだ。とりあえず、バキは見なかった事にした。
「…で、オリバさん。親父は、勇次郎は何でああなったんです?もしかして、新しい嫌がらせのパターンですか?」
質問を受け、フフ、と意味ありげに笑うオリバ。
「知ってるんですか?知ってるんですねッ!?」
何か知ってるとみてバキはガクガクとオリバの肩を揺さぶりながら問い詰める。しかし、オリバはゆっくりと首を横に振る。
「いーや、何も知らン。」
「じゃあ何笑ってるんですか!俺が動揺してるのがそんなにおかしいのですかッッ!!」怒鳴る、バキ。折角下がった血が再び昇っているあたり、さっぱり落ち着いていないようだ。
「フフッ。いやいや、違ウ、違ウ。タダ、微笑ましいナ、ト。あの『オーガ』が。ハハハ。」
言いながら、再び指を指すオリバ。その先には。
「ジャァーッック!!すまなかったぁ!!父さんが今行くからなッッ!!バキと親子水入らず、3人で暮らそうなぁぁッッ!!」
叫びながら遠くへと走っていく勇次郎の姿。
「勇次郎ォォッッ!?」
訳も分からず、ただ、放っておくわけにもいかず、バキも続いて走りだす。
「ヤレヤレ、スマートさが足りないゼ。」
オリバはフフ、と微笑んで。そこらに有ったバイクの鍵を壊して、それに乗って勇次郎達を追い掛けていった。

351 :鬼の霍乱 第3話:05/03/14 22:56:37 ID:/W3enW4vO
投下完了しました。
何か、文章がグダグダになってしまいました。
感じるところがあったら指摘していただけると助かります。

352 :作者の都合により名無しです:05/03/14 23:25:33 ID:r2BtotAH0
ミドリさん復活おめ!
お仕事忙しいですか。のんびり完結まで頑張って下さい。
久しぶりに「ごきげんよう」が見れて嬉しかったです。
しかし紅薔薇さまはやり手ホストみたいだw

あと、鬼の霍乱作者さん、前回に比べて良くなってますよ。
前回は「」が二重になってたりして読み辛かったけど。
でも携帯の場合は、改行を早めにした方がいいかもね。

353 :オーガ作者:05/03/14 23:54:25 ID:s+58CXXXO
携帯からなら、3行ちょいぐらい書いた所で改行するのが丁度いいかもしれませんね。

つ旦ドゾ



354 :作者の都合により名無しです:05/03/15 00:41:33 ID:UhpWUWKo0
 「」二重って、バキのセリフに勇次郎のセリフがかかってたとこか?
あれ、状況が下手に地の文で説明入るより判りやすくって面白い表現だなぁって
思ったんだが。

355 :作者の都合により名無しです:05/03/15 00:45:18 ID:jAJLkbLx0
ミドリさんも復活したか。めでたいな。
あとはローマさんか。うみにんさんも最近着てないね?

356 :作者の都合により名無しです:05/03/15 01:42:08 ID:zvpEYaTB0
>>鬼の霍乱
オリバの存在が不気味ですね。何か事情を知ってるような気もしますが・・・。
まぁ、地上最自由な人なんで本当に何となく心配になって勇次郎に付いて来たのかもしれませんね。

357 :犬と猫:05/03/15 14:00:15 ID:Pf0HH2PD0
始末

 胃液に抵抗せず、仙豆は急速に溶け出す。細胞に神秘の力が染み渡っていく。
 速度計を振り切る暴走車と化していたカリンが、動きを止めた。元々外傷はなかったが、
彼が本来持つ温和な気配が戻ってくる。
「……すまんかったのう、ヤジロベー」
「カ、カリンッ!」
「全て記憶に残っておる。どうやら、わしはとてつもない過ちを犯したようじゃな」
 強い罪悪感を抱くカリン。下手な励ましは逆効果だ。うかつに声すら掛けられず、ヤジ
ロベーは押し黙ってしまう。
 ──気まずい沈黙。
 が、突如として金切り声が沸き上がる。カリンが正気に戻ることを、誰よりも危惧して
いた人物。
「ふ、ふざけるなァ! まだだ、私の計画は終わらんぞォ!」
 室内に取り付けられたスピーカー。キャッスル周辺に、声を行き届かせることが出来る。
国王はスピーカーのスイッチを入れ、卑劣な宣言をした。
「私が命令すれば、下にいる革命軍が駆けつけて来る。さっきまでなら相手にならなかっ
たろうが、弱っている君らを倒すくらいなら可能だろう……」
 マイクに向け命令を下す。
「我らがキングキャッスルに賊が侵入した! 手が空いてる者から至急、最上階に出動し
てくれたまえ!」
 スイッチを切る。疲弊した戦士たちを見渡し、どこか壊れた笑みを浮かべる国王。
「惜しかったな。私がカリンを抑えれば、よもや戦える者はおるまい」
 しかし、騒ぎは起こらない。指導者が危機に陥っているというのに、地上から何者かが
上がってくる気配すらない。苛立つ国王。
「うぬぬ、役立たずどもがッ! どこで油を売っておるんだッ!」
 窓から身を乗り出して下を眺める。すると、固まったまま微動だにしない獣人たちの姿
があった。

358 :犬と猫:05/03/15 14:01:03 ID:Pf0HH2PD0
 地上では餃子が超能力を発揮していた。格上である悟空ですら、彼によって動きを封じ
られた過去がある。餃子が全能力を駆使すれば、一般人ならば複数を金縛りにすることも
容易い。
「う、動けない!」
「どうなってるんだ、指一本動かせんぞ!」
「くそっ、早く行かなければ……」
 いくら足掻いても、超能力には逆らえない。一般兵を乱入させようと目論んだ国王だっ
たが、予期せぬ伏兵によって阻止された。

 机を叩き壊し、国王は注射器を手に取った。強さを与える代わりに、心を奪い去る魔性
を秘めたる化学薬品。追い詰められた国王は、危険な賭けに出る。
「こうなれば、私が直々に皆殺しに──!」
 国王が五体目となる怪物に選んだのは、まさしく自分自身。針が触れようとする──が、
寸前で注射器が粉々に割れた。
「……カリンッ!」
 注射器を粉砕したのはカリンであった。ゆっくりと、諭すように語り掛ける。
「もう止すんじゃ。おぬしもわしも若き力に敗れ去り、救われたのじゃから」
「バカなッ! まだ終わっていないぞ、まだ終わっておらんのだッ!」
 あくまでも敗北を認めない国王。自らを怪物と成そうとした時点で、彼は本来の目的を
見失っている。しかし、とことん視野を狭めている彼が気づくはずもない。

359 :犬と猫:05/03/15 14:01:50 ID:Pf0HH2PD0
 進路も退路も断たれた。王者としての虚栄心からか、口数だけが空しく増えていく。中
身が伴わぬ薄っぺらな弁舌。
「私はあらゆるシナリオを想定し、あらゆる対処法を練ってきた。今回の件でさえ、もち
ろん手中にある。カリン、私はまだ諦めていない。薬品など関係なく、私に協力してくれ
まいか。我が親友よ」
 白々しく友情に訴える国王だが、カリンはこのアプローチを鼻で笑った。
「ほう……。では、親友に毒液を手渡したのは一体どういう意図があったんじゃね」
「な、何故それを……ッ!」
「おぬしが教えてくれたじゃろう。覚えておらんのか」
 カリンに薬品を注入し、気絶したと思い込んだ国王は哀れみを以て語っていた。

 ──君に渡したチョウシンスイとやらは、ただの猛毒だったんだよ。

 軽率な言動だった。思い返せば、こうした傲慢さが彼を窮地に追いやってきた。
「──じゃが、わしは過去などどうでもいいのじゃ。たとえ毒を盛られようが、おぬしが
親友であることには変わりない」
「な、なんだと……」
「今もまだ、おぬしがわしを親友だと認めてくれるというならば、わしは親友として忠告
する。これ以上、罪を重ねてはならん。わしも付き合おう」
 過去を水に流し、運命を分かち合う。カリンは心から説得を試みる。が、国王はまるで
受け入れない。さらに態度を硬化させるばかり。
「なかなか狡猾になったものだな、カリン。だが、私は情などに絆されんぞ」
「……どうしても、聞き入れてはくれんのか」
「当然だ。だが、今回ばかりは形勢が不利なようだな」
 国王は窓を突き破り、キャッスルより逃走した。すかさず追跡しようとするヤジロベー
を、細い手でカリンが制止する。
「すまん、ヤジロベー。あやつだけは、わしに任せてくれんか」

360 :犬と猫:05/03/15 14:03:15 ID:Pf0HH2PD0
 地上に降り立った国王は荒れ果てていた。込み上げる悔恨と屈辱を、大声として発散す
る。全世界に宣戦布告した時に見せた堂々たる覇気は、すでに彼から消え失せていた。
「ふざけおって、こんなバカな話があるか!」
 もちろん、大勢が疾走する彼に対し注目を寄せる。
「おお、国王様!」
「国王陛下、どうなされました!」
「キャッスルに人間が侵入したという情報が入っていましたが……」 
「どけッ! ええい、どけぇッ! 役立たずどもがァッ!」
 国王を心配して駆け寄る獣人たちを突き飛ばし、脱出せんと加速する。彼は完敗を喫し
た。切り札を次々に倒され、旧友から情けまで受ける始末。
「これで終わりだと思うなよッ! 私はいつか必ず再起してみせるッ!」
 捨て台詞を吐きつつ、国王は城下町を流星が如く走り去った。

 ──戦いは終わった。
 落日に映し出される犬一匹。後ろに居座る猫一匹。夕日色に染まった平原で、後始末を
迎える二人。
「……まさか、追ってくるとはな」
「用件は分かっておるじゃろう」
「私を殺すつもりだな」
「うむ、おぬしを殺してわしも死ぬ。話し合いで止められぬなら、この鍛え上げた拳で止
める」
 高まる殺気。悲壮なる決断。若き希望に汚れを付けまいと、カリンはもっとも過酷な役
を引き受けた。
「フハハハ、犠牲者は一人で充分だ。……君一人だけでな」
 かつては互角だった。技術も、戦術も、能力でさえ似通っていた。しかし、犬と猫が取
る構えは今や完全な別物。決別し、互いが独自に創り上げたファイティングスタイル。果
たして、どちらが上をゆくのか。

361 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :05/03/15 14:11:12 ID:Pf0HH2PD0
>>246より。
13巻読んだら、カリン様曰く「超神水飲んだけどすぐ吐いた」らしいですね。
……脅し文句ということで。
舞台となる場面くらい読み直すべきでした。

362 :作者の都合により名無しです:05/03/15 20:07:56 ID:1htQbVTb0
サナダムシさんお疲れ様です。
タイトル通り、最後は犬と猫で締めますか。
もう少しで終わりそうですね。残念だ。

363 :ふら〜り:05/03/15 20:55:21 ID:dbB+m9qs0
>>サマサさん
しけい荘の場合は、自分が他住民のターゲットにならない可能性、もありますからまだ
何とかなりますがここは……生活、いや生存できる自信ありません。いーちゃん、やはり
凄い。結局勇次郎とはどうなったのかどうなるのか、戦える実力はあるのか。次回如何に。

>>パオさん
そうそう。「闘将〜」の一巻第一話、ラーメンマンの村が賊に襲われるところから始まり
ました。今、正にあの時の自分を思い出し、重ね合わせているんでしょう。復讐を誓い、
修行に身を投じたあの頃……とここまで盛り上がってる以上、春成の強さと悪さに期待!

>>ブラックキングさん
各地から、だんだん集結していく主人公チーム。素直にわくわくします、こういうシチュ。
一輝との出会いと会話も、もろRPGっぽくてこれまた楽し。主人公側・敵側とともに
半端じゃない多元中継なこの作品ですが、そろそろまた、刃牙たちチームも見たいですね。

>>草薙さん
説得力が、ある。「刃牙世界の」が連発されているにも関わらず。明らかにレベルが違う
世界、別作品キャラの戦い、単純に考えれば戦闘力なんか数百倍か数千倍か、の差がある
はずなのに。ヤムチャの「何をやっても通じないっぷり」が説得力あります。さすが達人。


364 :ふら〜り:05/03/15 20:56:07 ID:dbB+m9qs0
>>ミドリさん
お久しぶりです。ジュネと斗貴子、大分話ができるようになったものですね。そういえば、
原子云々は確かに聖闘士闘技の基本原理。やれるはずだぞジュネっ。自分で言ってるよう
に、紛れもなく正義の組織の一員なんですし。あと弟弟子……見てみたいなぁこの作中で。

>>霍乱さん
ぅぐぐぐ。この勇次郎を見てると、何だか壁とか床とかを引っ掻きたくなってきますな。
面白不気味。困惑する刃牙の気持ちはよく解ります。えぇ解ります。それからオリバの
最自由ぶりが、ありそうでなかった描き方で新鮮。でも結局、勇次郎に一体何が……?

>>サナダムシさん
全世界を巻き込んだ、国王の巨大な野望。あれよあれよという間に突き崩されて、気持ち
いいほど完敗しましたね。ドミノ倒しか仕掛け花火みたいな感覚で読めました。そして
最後は、一対一で拳と拳、犬と猫。どんな結末を迎えるのか……期待と不安で待ってます。


365 :作者の都合により名無しです:05/03/16 19:55:32 ID:VBPfP7Zh0
ふらーりさんもなんか書けよ

366 :作者の都合により名無しです:05/03/16 21:51:06 ID:BGrJnLGsO
黄金期が信じられないぐらい過疎ってきたな

367 :作者の都合により名無しです:05/03/17 10:33:28 ID:1TvUdQuq0
毎年この時期はこうなるんだろ
4月あたりからまた復活する・・といいな

368 :ちんこ:05/03/17 12:43:09 ID:eNuaYKqqO
贅沢いってんじゃねえよ!
投稿が遅くなっただけで、連載作はたいして変わってないじゃ回か!
俺立ちROMがしっかりしなきゃ、立ち直る間ナも立ちナオラね絵よ!
あおりや荒らしも増えてきたし、このままじゃダメ2なる気がする。俺は。

369 :作者の都合により名無しです:05/03/17 21:11:42 ID:WY6XV55M0
とりあえず、ローマさんは調べてまた書きますと仰ってたが
あれは騙りだったのだろうか。楽しみにしてるんだが。
うみにんさんやVSさんに関しては大丈夫でしょうが。

370 :忍者の証:05/03/18 10:11:10 ID:Ohk9V2x60
第八話 忍者と見習い魔導士 >>34

オレは今まで、こんなに役に立たない魔法使いを見た事がねえ。
まず、とにかく落ち着きが無い。普段はまあいい。
だが、戦闘の際の、呪文の詠唱の時すらまぁ〜ったく集中力がねえ。
下手すりゃ詠唱すら間違えてやがる。その上、まったくコントロールが無いときてやがる。
で、今もオレがガーゴイルと戦ってる最中、よせばいいのに呪文ぶっ放しやがった。
そして当たったのは……オレの背中だ。殺す気か。

「おめえ、オレに呪文ブツけてどうするんだよ、殺す気かッ」
「ごめん。ちょっと、手元が狂っちゃった。えへ♪」
「何がえへ、だよ…。黙って見てろって言っただろが、嬢ちゃん」
「なによデカい体していつまでもぐちぐち。しつこいわよこのゴリラッ!」

これだ。明らかに自分が悪いのに、都合が悪くなるとキレやがる。我侭はアイツ並だ。
まあ、今回はいい。敵が大した事が無いうちは。
が、残りの3つの結界はどーも危険らしい。オレの勘が警報を鳴らしていやがる。
正直、嬢ちゃんを庇いながら戦える自信はねえ。
せめて、てめえの身はてめえで守ってほしいんだが…。無理だろうな…。



371 :忍者の証:05/03/18 10:11:49 ID:Ohk9V2x60
オレのムラサメが唸りを上げ、残りのガーゴイルを切り伏せる。
後ろから、チッという舌打ちが聞こえて来た。 ……どっちの味方だよ。

ガーゴイルの死体を埋葬し(メイの希望だった)オレたちは結界宝玉の前に立った。
メイは神妙な顔をほんの少しだけ垣間見せると、にったりと笑って呪文詠唱に入った。
次の瞬間、メイの指から十数発のマジックミサイルが迸る。ほとんどが外れる。
おい、動かない攻撃してこないの据え物相手すらこのザマかよ。オレは頭が痛くなった。

が、何とか2発ほどは当たったらしい。
破裂音が響き渡り、何か禍々しいものが吹き出るのをオレは感じ取った。
メイは、まったく気付かず自分の呪文が成功した事に喜ぶ事仕切りだったが。
何はともあれ、一つ目の結界は破ったってこった。あと3つ、そして決戦か。
先は長えな。一休みする間もねえ。疲れる……。


372 :忍者の証:05/03/18 10:12:32 ID:Ohk9V2x60
抜き足、差し足、忍び足……と。
アタシは今までお休みしてたテントから這い出て、辺りを見回した。深夜なので真っ暗。
すぐそこでゴリラが木に体を預けて、間抜け面でオネンネしてる。よしよし。そのままよ。
アタシはデリケートだから、村から携帯テントを持参して快適に就寝してるの。
でもガラは野宿。だって問題あるもの、純潔の美少女が汗臭い野獣と同衾なんて。
ま、その代わりテントはガラに持たせてあげたけど。重たいから。

ゆっくりと気を付けながら、ガラの横を通り抜ける。今夜からの日課をする為なのだ。
魔法の練習。天才のアタシが人に努力する姿なんて見せられないもの。
十分離れた所まで来て、アタシは瞑想を始める。 ……つまんない。20秒で飽きた。
大体、瞑想ってアタシには必要ないのよね。アタシは行動派の魔法使いだから。
さあ、無駄な瞑想よりも実践的なトレーニングを始めましょ。
アタシのもっかの課題はコントロール。どうしても、狙ったところにいかないの。
何故かなあ? 呪文を発射する時、目をつぶっちゃうからかなあ?

大木の幹に、的をぶら下げる。まずは10メートルくらいの距離からにしよう。
これが8割当たるようになったら、次は15メートル。その次は20メートル。
最終的な目標は、50メートルの距離から命中率90%。
うむ、これならガラも村長さまも文句は言えまい。にひひひ、上達して驚かせてやる。

今日の課題は雷撃の呪文。天才のアタシは、中級雷撃まで唱えられるの。
いつか、最上級雷撃呪文の轟雷(テスラ)だって出来るようになってやる。天才だもん。
よし、さっさと10メートルなんかクリアして、次へいきましょう。

ありゃ? かすりもしない…。ま、まあ最初から10メートルは無理がありましたか。
一歩前に出て、9メートル。 …あ、あれ? じゃあ、もう一歩前に出て8メートル…。
えっと、もう一歩。あ、あれ? あれれ? あれ?



373 :忍者の証:05/03/18 10:13:19 ID:Ohk9V2x60
いったい何やってんだあのお嬢ちゃんは?
な〜んか森が騒々しいんで様子見に来たら…。木と真剣な顔で睨めっこしてやがる。
まあ、それはあいつの村の遊びかも知れねえが、問題は手からカミナリ出しまくって
木を周りの木を次々に薙ぎ倒してるこった。わからん。どんな遊びだ?
しかしそれにしても、どう唱えたら魔法が後ろに飛んでいくんだ? わざとか?

「す、スレイヤード・スレイヤード・バルモル 暗き闇の雷よ 雷撃(バルヴォルト)!」
稲妻は嬢ちゃんの右手から発せられ、ほぼ真横の大木に直撃する。根幹が無残に抉れた。
オレは少し感心した。コントロールはメチャクチャだが、威力だけは大したモンだ。
が、そろそろ止めねえと嬢ちゃんの魔力が尽きる。
攻撃呪文はまったく期待してないが、解封の呪文が唱えられなくなると困る。

「あー。なんか楽しそうだが、もういい加減に自然破壊はやめとけよ」
こっちをすぐさま振り返った。おやおや、涙目だ。一瞬顔を赤らめた後、怒り出すメイ。
「み、見たわねアタシの秘密特訓をッ! この出刃亀、覗き魔、エロゴリラッ!!」
…遊んでたんじゃなかったのか。メイはオレを罵ると、その場にペタンと腰を下ろす。
「もォ〜。なんでまっすぐ飛ばないのよう、アタシの呪文はぁッ!」
「わかったわかった。さっさとテント戻って寝ろよ。魔力回復させねえと明日が困る」

オレは頭を掻きながらその場を退散しようとした。が、メイはそれを許さなかった。
「ちょっとそこに座りなさいよガラ。少しだけ、アタシの話し相手をさせてあげる」
メイはヒザを両手で抱えながら、涙目でオレに命令した。
その態度になんの疑問も無いらしい。オレ、1000人もの忍者を従えてるんだが。
が、泣く子には叶わねえ。オレは素直にメイの隣に座る事にした。


374 :忍者の証:05/03/18 10:14:03 ID:Ohk9V2x60
むー。アタシなにやってるんだろ。情けない特訓姿見られて、2人して森で座ってて。
アタシは少し拗ねたまま黙ってた。ガラはしばらく付き合ってくれたけど、やがて言った。
「嬢ちゃん、明日は早えぞ。話が無いなら、もう寝ねーとな」
「……いい加減に、『メイ』って呼びなさいよ」

むー。会話が続かない。ガラは腰を地面に下ろして、まだアタシに付き合ってくれてる。
「あんねえガラ。アタシって……、魔法の才能、無いのかなあ?」
「んー、ねえんじゃねーか?」
あっさり肯定しやがった。少しは慰めてくれると思ったのに、この傷心の美少女を。
「な、なによう少しは否定してくれたっていいじゃないのよう、このゴリラッ!
 すっごく悩んでるんだから…。アンタはいいわよ、バカみたいに強いもん」
「んっとに我侭な嬢ちゃんだな、おい。 ……それにオレより強えヤツもいるぜ」

むー。世界は広い。アタシよりちょっとだけ強い、このゴリラよりも強い奴がいるなんて。
「でもでも、アタシはか弱い女だもん。バトル野朗とは違うもん」
「…そん中の一人は、女だよ。おめえと同じ、ダークエルフのハーフだ」
アタシは見逃さない。ほんの少し、ガラの視線が優しくなった事に。ニンマリ笑って訊く。
「ね、ね、その人ってどんな人? アンタの恋人? ね、ね、アタシと、どっちがきれい?」
「その根拠の無い自信はいったいどこから来るんだよ」

むー。それ以上ガラは応えない。でも興味あるなー、そのメチャクチャ強い女の人。
しかもダークエルフのハーフかぁ。アタシとおんなじだ。とするとアタシもやっぱ天才?
「そっかあ。アタシもガンバロっと。その人がそんなに強いなら、同じダークハーフの
 アタシもすっごく将来性高いよねー、アタシ、お父さんも凄い魔法使いらしいし」



375 :忍者の証:05/03/18 10:29:41 ID:Ohk9V2x60
こいつは一秒刻みで感情がコロコロ変わるらしい。
さっきまで半泣きだったのに、もうケラケラ笑ってはしゃいでやがる。
「でもねー、村長様、お父さんの事はあまり教えてくれないんだー。何でだろ?
 凄い魔法使いとは言ってたんだけど。いつか逢いたいなー」
無邪気にメイは話し続けている。自分の父親の事を。オレはあまり聞こえない振りをする。
このまま行けば、いつかこいつと父親のン=ヴォスは出逢う事になる。 ……敵として。

「んで、そのアンタより強いハーフエルフさんの事だけどぉ〜、やっぱ恋人?」
蒸し返してきやがった。オレは適当に相手をしながら、ダークシュナイダーやネイの事に
思いを馳せる。奴ら無事だろうか。まあ、殺して死ぬような奴らでもないが。
「きっとアタシに似てすっごい美人なんだろーねー。アンタとは不釣合い。美女とゴリラ」
「うるせーよ、ションベン臭えガキのくせに」
「でも、強くて美人って凄いよねー、アタシの目標にしちゃおっと、その人」

勝手にメイの中でアーシェス・ネイのイメージが膨らんでいっているらしい。
「よし、明日から特訓の量を倍に増やそう。美貌の将来性はもう約束されてるから、
 魔法上手くなって強くならなくちゃ」
はしゃぎまわるメイ。本当に悩んでたのかよ、と突っ込みたくなる。オレは言った。
「強え奴には、強くなる理由があるもんさ」

一瞬きょとんとしてこっちを凝視するメイ。決まったか。
「な〜にカッコつけてんのよ不細工のくせに。似合わな〜い」
……こいつには叶わねえ。ま、とりあえずこの場はそれで収まり、再度睡眠を取る。
なんでテント運んだオレが野宿なのかは釈然としねーが。
そして、朝が来た。第二の封印を解く為の。



376 :忍者の証:05/03/18 10:32:20 ID:Ohk9V2x60
連続投稿規制、5回はきついな。

それにしてもバキ、達人瞬殺ですか。アライ強いですね。
感心しました。が、関心は無くなりました。


377 :作者の都合により名無しです:05/03/18 16:11:09 ID:EDxmqMVA0
お疲れさん。
今回は内容よりもコメントの
>感心しました。が、関心は無くなりました。
に目がいってしまいました。普通なら只の親父ギャグですが何となく笑ってしまいました。
あの漫画の現状を考えると、ねぇ・・・。
まぁ、それこそバスタードは(ry

378 :作者の都合により名無しです:05/03/18 16:25:38 ID:W+SWf9PE0
メイかわいい。
しかし本当に役立たずのクズだなw
出来ればネイもみたいな。四天王でアビちゃんの次に好きだ。

379 :作者の都合により名無しです:05/03/18 16:35:26 ID:h6BmmDLRO
青ぴー氏乙。相変わらずメイがウザかわいいな

380 :作者の都合により名無しです:05/03/18 16:36:15 ID:h6BmmDLRO
sage忘れた…orz

381 :作者の都合により名無しです:05/03/18 18:50:55 ID:cuZnEO0t0
乙。ガラがメイに食われてるな。
そういえば昔の彼女がメイと性格少し似てた。
ブスだったけど…orz
あとそんなに今のバキ気に入らないなら
また死刑囚変みたいなの書いてよ



382 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/18 23:14:06 ID:pgXls3X80
>314より

夜になって、出夢くんに起こされた。
人使いが荒いだのなんだのブツクサ言われたが、それでもきちんと起こしてくれた。
彼は性格は最悪だが、意外と面倒見のいい奴なのだ。
「さて、いざ出陣・・・ってね」
アパートを出る。と―――
「あれ、いー兄、どこかへ出かけるんですか?」
「ああ、萌太くんか」
声をかけてきたのは崩子ちゃんの腹違いの兄、石凪萌太くんだった。バイト帰りなのだろう、緑色の作業服を
着ている。
「ちょっと人と約束があってね」
「ふうん―――」
萌太くんは頷き、そして探るような目をする。
「その人―――僕の勘なんですが、相当やばい人なんじゃないですか?」
「・・・・・・」
全く。なんでみんなして、こんなエスパーみたいなことばかり言うんだ。
「勘違いだよ。普通の人、普通の人。間違っても初対面でいきなり人の顔面を破壊しようとなんてしない人さ」
「そうですか―――そういうのなら、そういうことにしますが。けどね―――感じるんですよ」
「ん?」
「いー兄が向かおうとしている先に存在する―――恐るべき、魂を。僕は、そういうのを感知するのが
十八番ですからね。なにせ―――僕は元々<死神>ですから」
「・・・そう。じゃあ、精々気をつけることにするよ」
「ええ、それでは」
ぼくは萌太くんと別れて歩き出す。向かう先は、地獄か、あるいは鬼ヶ島か。
しかしながら問題は、ぼくは鬼を倒す桃太郎の役など出来そうにもないということだった。

383 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/18 23:14:48 ID:pgXls3X80
指定された場所は、とある高級ホテルだった。一晩の宿代だけで、骨董アパートの家賃一年分を軽く越える
かもしれない(恐らく確実に越えている)。
ぼくは馬鹿みたいに広いロビーを抜けて、エレベーターに乗り込む。目指すは最上階だ。
ゆっくりと、ゆっくりとエレベーターは上がっていき―――最上階へと辿り着いた。
廊下を進み、ある一室の前で足を止めて、ドアをノックする。ノックというのは実に便利だ。
ちょっとドアを叩くだけで、何と驚き、中に人がいたらすぐに分かるのだ。
ただこの場合―――中にいるのは、人であって人ではない。
ドアが開き―――そこに、あの男が―――範馬勇次郎が立っていた。範馬はぼくを見遣ると、
ニヤリと笑った。ぼくは、笑わない。
「よお―――戯言遣い」
「今晩は―――オーガさん」
とりあえず挨拶をする。これだけで既に自殺行為に等しい。この男の手の届く範囲は、恐らく世界で最も
危険な場所だ。彼が少し気まぐれを起こしただけで、ぼくは一瞬でこの世から消えるだろう。
と。範馬は廊下に顔を出して、キョロキョロと見回した。
「何か?」
「いや・・・鼠がいたような気がしたんでなあ・・・」
クックック、と鬼の顔で笑う範馬。入れよ、とぼくを部屋に招き入れた。
その部屋はまあ、高級ホテルと聞いてイメージする映像がピッタリ、とまでいかずとも、かなりそれに近い
内装だった。豪華だが、没個性と言えなくもない。
もっと個性を。自分だけの武器を見つけてください。by矢吹先生。
なんて戯言は抜きにして、ぼくはそこに足を踏み入れた。範馬はさっさと馬鹿でかいテーブルに座っている。
テーブルの上にはとてつもない量の料理が乗っかっている。
範馬は既に喰い始めている。
「ほら、座れよ。腹減ってんじゃねえのか?喰っていいぞ」
「はあ・・・いただきます」
とは言ったものの、対面に鬼が座っている状況で呑気にメシなんて喰えるか責任者出て来いという気分で、
とても味なんか分からないんじゃなかろうか。

384 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/18 23:15:45 ID:pgXls3X80
料理を口に入れる。やっぱり味はよく分からない。なんでこんな拷問のような気分で食事しなきゃならないんだ
神様ぼくが何かしましたか。心当たりは山ほどありますが。
居たたまれなくなってぼくは口を開く。
「ところで・・・結局、何だってぼくに目をつけたんですか?昨夜の話だと、殺人鬼がどうこうとか」
「零崎人識」
範馬は事も無げにその名前を口に出した。
「俺はついこないだ、そいつと闘りあった」
「・・・結果は?」
「俺の圧勝だ。で、その際に奴がこう言ったのさ・・・哀川潤と闘いたきゃ、てめえにちょっかい出せ、ってな」
ドクン。心臓が波打つ。この男の狙いは・・・哀川さん、か?
「へえ・・・けど残念ですね。ぼくは哀川なんて人、これっぽっちも知りません」
「ほお?そうなのか?」
「そうそう!何だってぼくがあんな真っ赤っ赤な格好した暴力的で我侭で理不尽で最強で漫画マニアの核兵器
みたいな人と知り合いじゃなきゃならないんですか?」
「・・・・・・」
範馬は難しい顔でぼくを見る。まさか・・・完璧に言い訳したというのに、疑われてる!?
「いやいやいや、ぼくは本当に知らないんですよ、その哀川何某さんなんて!初対面でいきなりパンプスで足蹴に
されたとか、その後もろくでもない事件に巻き込まれまくったとか、そんなの全然ないですから!」
どうだ。これだけ否定すれば如何に地上最強の生物といえど、もう何も言えまい。
「てめえ・・・わざと言ってるんじゃねえだろうな」
あっさり嘘を看破された。だがぼくは断じてわざと言ってるわけではない。
恐ろしい沈黙がその場を支配する。
ちょっとこれはやばい。ナチュラルに人生の危機だった。が、範馬は別段どうこうするわけでもなく口を開く。
「まあ、そんな経緯があって俺はてめえと接触したというわけだが―――哀川潤の事を抜きにしても、
てめえは面白い奴だな」
「・・・そうですかね。ぼくほど面白みのない奴もいないと思いますが。テンションが白濁沈殿する十九歳とも
言われてますし」
「そういう意味で面白い、ってわけじゃあねえ・・・」

385 :戯言遣いとオーガの賭け事:05/03/18 23:16:47 ID:pgXls3X80
範馬はゆっくりと手を伸ばし―――ぼくの顔を、掴んだ。
「・・・・・・」
「今、俺が少し力を入れれば、てめえは死ぬ―――だが、てめえのその態度はどうだ?死を間近にしても―――
てめえは、顔色一つ変えもしねえ。てめえ、死んでもいいって、いつも思ってんじゃねえのか?」
「・・・・・・」
「正直に言ってやろう―――俺はてめえが、怖い」
「・・・明らかに、あなたとは比べ様もないほどに最弱のぼくが、ですか・・・?」
「明らかに、俺とは比べ様もないほどに最弱のてめえが、だ。てめえの存在は―――
てめえの魂は、最悪だ」
範馬は、ぼくから手を離す。
「だからこそ俺はてめえと少しばかり話してみたかったのさ、戯言遣い。単純に闘争がそこそこ強い奴なら
山ほど見てきたが―――てめえのように、何の変哲もない平凡なガキのくせに最悪なんて奴は、初めて見たからな」
範馬はニヤリと笑う。
「俺はな、クソガキ。てめえが少しばかり、気に入った―――てめえのその、最悪を宿した魂が、な」
「―――ぼくは、最悪、ですか」
「ああ。てめえは、間違いなく最悪さ」
それは―――今さら聞くまでもない質問だった。

およそ二時間ほど経って、ぼくは部屋を後にした。範馬との会話はそれなりに有意義と言えなくもないが―――
「どいつもこいつも、ぼくを過大評価しすぎだよ―――全く」
呟きながら、家路を急いだ。

386 :サマサ ◆2NA38J2XJM :05/03/18 23:18:04 ID:pgXls3X80
投下完了。
今回は後書きはなしで。

387 :作者の都合により名無しです:05/03/18 23:59:25 ID:AwAhNzWp0
あれ、無事に帰ってきたな、いーちゃん
てっきりそれはそれは筆舌に尽くし難いヒドイ目に合うと思ってたのに

388 :作者の都合により名無しです:05/03/19 00:53:39 ID:CAis1bLQ0
サマサさん乙。
戯言という作品は読んだことありませんが、勇次郎に恐怖を抱かせるとは気になる少年ですね。
それにしても、
>もっと個性を。自分だけの武器を見つけてください。by矢吹先生。 なんて戯言
まさに戯言、たわ言ですなwww

389 :作者の都合により名無しです:05/03/19 09:18:33 ID:fdhKqbGA0
サマサさんおつ
勇次郎にそそられてるってことはよほど最悪なんだろうな。
次回の更新も期待しております

390 :作者の都合により名無しです:05/03/19 09:32:22 ID:ZLCyISpFO
サマサさんはあれですね

391 :作者の都合により名無しです:05/03/19 14:39:10 ID:xcVFN++m0
いーちゃん結構面白いな。勇次郎が興味示すのも分かる。
ウォッチリストに入れておきたいキャラだ。

392 :作者の都合により名無しです:05/03/19 19:41:53 ID:tP0NvCA20
>麻雀教室ですが、続きはもう書いてあるんです。あるんですけど
>どーしても必要な画像が見つからないんでアップできないんであります。
>ウォーレンとレジーの日本時代の画像(できればカラー)を
>所持している方、お分けしてくれると大変助かります。

VSさんのHP掲示板より抜粋。誰か協力してあげてくれ。続き読みたい。
しかし、いくらなんでもお願いの内容がマニアックすぎるだろw
ウォーレンは知らないがレジーってのは野球選手だよね?


393 :作者の都合により名無しです:05/03/19 20:34:06 ID:LvtyRgFb0
イメージ検索かなんかでネット上で見つからんとなると、写真の載ってる雑誌のバックナンバー(ウォーレンやらレジーやらが
何者か知らんが)を持ってる人が直にスキャンしてうpするしか方法は無いわけだよな。
それってここや自サイトで募集するにはちと不利じゃないか?
VS氏かその読者がしかるべき場所でキボンしなきゃ手にはいらんだろう。

394 :作者の都合により名無しです:05/03/19 22:26:44 ID:ZLCyISpFO
自分で見付けられないなら諦めるべきだろうが。
だが、

395 :作者の都合により名無しです:05/03/20 02:59:37 ID:y4416uWf0
だが、それがいい

396 :作者の都合により名無しです:05/03/20 07:43:09 ID:8x64IY4a0
いくらなんでも求めるものが困難すぎ
その画像なくてもいいから早く麻雀の続きうぷしてくれVSさん

397 :作者の都合により名無しです:05/03/20 17:27:50 ID:hAACjgr+0
うみにんさんはどうしたんだろうねえ。
仕事忙しいのだろうか。

398 :ふら〜り:05/03/20 18:08:33 ID:lw4smqpj0
>>青ぴーさん
昔、ドッジボールで思いっきり45度の方向に投げたりしてた私。何だかメイの気持ちが
解るなぁと。でも努力してる分、彼女の方が偉い。しかも人知れず隠れて。白鳥の水かき
ってとこですか。なかなか道は長く険しいようですが、頑張れ未来のネイ並魔法使いっ。

>>サマサさん
勇次郎がここまで言うからには、相当「何か」があるんでしょうが、今のところまだ、
「何となく」タダモノではないとしか解らぬいーちゃん。原作未読者としては、そろそろ
何かやらかして欲しいところ。勇次郎自身はすぐには手を出さなそうですし……さてはて。

>>365
お言葉、光栄の行ったり来たり。されど絶望的に時間がない現状。頻繁に帰宅不可、
二〜三時間睡眠の日々(故に転職活動中)。いずれ必ずや。


399 :作者の都合により名無しです:05/03/20 19:02:41 ID:hAACjgr+0
>二〜三時間睡眠の日々

死ぬぞ…
SS読んで感想もいいけど、その分睡眠とった方が。

400 :作者の都合により名無しです:05/03/20 19:04:49 ID:J6v9zB/M0
神奈川方面で、カワハギの釣れる漁港ありませんか?

401 :作者の都合により名無しです:05/03/20 19:05:24 ID:J6v9zB/M0
>>400
誤爆

402 :作者の都合により名無しです:2005/03/21(月) 20:14:31 ID:beLi48Np0
最近一部の人以外調子悪いな。
肉スレもヤムスレもなくなって最後のSSスレなのに。
作品期待あげ、と。

403 :バレ ◆sssssssDAo :2005/03/21(月) 23:29:56 ID:AZcOnykk0
書きます。

404 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:31:04 ID:AZcOnykk0
【if】

孫悟空が亀仙人との修行で別れた後、ブルマとヤムチャ、プーアルはジェットに乗り、
西の都のブルマの家へと向かっていた。
「音楽聞く?」
ブルマがハンドル横のスイッチを押すと、後部座席のスピーカーから女性の歌声が流れてきた。
「私、この曲好きなの」
流れている曲は『ロマンチックあげるよ』。最近の西の都のヒット曲だ。
「俺も好きだよこの歌」
「そうなの?」
「ああ。俺達って結構気が合うんじゃないかな」
本音だった。
「調子いいのね。でもそんな所も好きよ」
座席の後ろではプーアルが、そんな二人を見て嬉しそうに飛び回ってる。
「よーし! 私の家に着いたら今夜は皆でパーティしようね!」
「ねー♪」
二人と一匹の笑い声が機内に響き渡った。



それから十数年後―――
「ヤムチャのクズ! 出て行って!」
ブルマの甲高い声が部屋中に響きわたった。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか」
何を言ってもブルマは聞こうとしない。
最初はヤムチャもブルマをなだめていたが、最後は、勝手にしろ、と言って出て行った。
ブルマは何も言わなかった。

405 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:31:54 ID:AZcOnykk0
最近、2人の間で口論が多い。
今日も小さなことで喧嘩してしまった。
原因は、いつも些細なことだった。「他の女の人を見ていた」「話を聞いていなかった」
そんな事で急に怒り出す。
昔はそうじゃなかった。ヤムチャが他の女を見てもブルマは特に気に留めなかったし、
ヤムチャもブルマの話を聞き、相槌を打っていた。
しかし、時が経つうちに2人の持つ世界は少しずつ変わっていって。
今でも「好き?」と聞かれれば「もちろん」と答えられるけれど、昔のように純粋に、
情熱的には言えなくなっている。
「このままでいいんだろうか…」
ヤムチャはカプセルコーポレーションを出ると、

東へ向かった。 ⇒ >>406

西へ向かった。 ⇒ >>410

406 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:33:02 ID:AZcOnykk0
<東の街〜『アウターゾーン』編>

東の街を適当にぶらついてると、いつもは閉まっているBARに看板がかかり、珍しく店を開けて
いるのが目に止まった。看板には『ミザリィ』と店の名前が書かれてあった。
(少し飲んでいこう)
酒でも飲めば少しは気も紛れるだろう。その間にブルマの怒りも収まるかもしれない。
ヤムチャは酒場のドアを開けた。


「あら、いらっしゃい」
店内に客は誰もいなかった。
カウンターから、バーテンダーが俺を見て声をかけた。
女性のバーテンダーだった。細身の美人だが、緑と紫に染められた髪と、透き通るような白い
肌が、どことなく不思議な雰囲気を漂わせていた。
「水割りをひとつ」
「はいはい」
二つ返事の後、バーテンダーは戸棚から高級そうなブランデーを一本取り出した。
「おいおい、ずいぶん高そうだな」
「あら、これは以前にお客さんがキープしたお酒ですわ」
バーテンダーは手早く水割りを作ってヤムチャの前に置いた。
「え? 俺ってこの店に来たことあったっけ? いつも閉まっていたけど」
「この店はめったに開けないの。でも貴方は確かに来たわ。もうだいぶ昔の事になりますけど、
 確か恋人と2人連れで。その時にこのブランデーをキープしていったの」
ボトルに貼られたラベルを見ると、確かにヤムチャとブルマの名前があった。

407 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:36:05 ID:AZcOnykk0
……そうだ。最初にブルマの家に行った日のパーティ。
あの二次会で確か酒場へ行った記憶がある。完全に酔い潰れていたので、どんな店だったか
全く覚えていなかったが、この店だったのか。しかし、 
「だいぶ減ってるな」
ブランデーの中身は1/6程になっていた。俺はあれからこの店へ一度も来ていない。きっと
アイツが内緒で飲みにきたのだろう。
「貴方の恋人がここ数年に何度か来られて、その度に一杯、飲んでいったわ」
やはり。
ヤムチャは苦々しく思いながら、出された水割りに口をつけた。
(美味い!)
一口飲んだ途端、先ほどのイライラが吹き飛んだ。
何とも言えない甘い香りと、例えようの無い芳醇な味が口一杯、いや体全体に広がる。
こんなお酒はブルマの家でも飲んだことが無い。
「うまいよコレ。何て酒なんだ?」
「私の故郷の地酒よ。特殊な製法のお酒で、一口ごとに飲む人の気持ちを癒すと言われてるの。
 辛い気持ち、嫌な気持ちもキレイに消えていくわ。ちょっと副作用もあるけれど」
「ふ〜ん」
バーテンダーの最後の言葉が少し引っかかったが、この酒の美味さの前には気にならなかった。
実際酒を飲むたびに、心が少しずつ落ち着いていく。ブルマに対するわだかまりやこだわりが
消えていき、代わりにブルマに振り回されている己の姿を、客観的に見ている自分がいた。
(何でブルマと一緒にいたんだろう。他にも女性はいっぱいいるのに)
そう考えると、これまでブルマに尽くしてきたことが、ヤムチャは馬鹿らしく思えてきた。

そんなヤムチャの心情を見透かすかのように、バーテンダーは声をかけた。
「もう一杯、これが最後になりますけど、飲みますか?」
「頼むよ」

408 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:38:09 ID:AZcOnykk0
       ◇       ◇        ◇

「ごちそうさん」
二杯目を空にしたヤムチャが席を立つと、バーテンダーは7時過ぎだというのに、もう
閉店の準備を始めていた。
「この店は、お客さんが必要とした時だけ開けてるの」
よく分からない言葉だったが、この女性の言葉には妙な説得力があった。
「そして、お客さんはここで過去の思い出に浸りながら自分を慰めるのです。今日の貴方
 のように。でも一度飲んだ記憶は二度と返らない。心の傷を何度も癒すうちに、どんどん
 思い出は減っていき、最後は空っぽになってしまう」
ヤムチャは空になった瓶を見た。
瓶に書かれた銘柄は『ラブ・メモリー』。愛の記憶。
この十数年の思い出は、ブルマが幾度か飲みに来て、今日でヤムチャが飲み干して。
――とうとうゼロになったわけか。
既にヤムチャは、ブルマに何の感情も抱いていなかった。
ヤムチャはBARを出ると、繁華街へ歩いていった。
その足はもう、ブルマの家を向いてなかった。

繁華街へ歩いていくヤムチャを、バーテンダーの女性はずっと眺めていた。彼女――ミザリィは
誰に言うでもなく呟いた。
「彼にとっては、この方が幸福な人生を送れるでしょう‥‥たとえヘタレであっても。
 さようなら、またいつかアウターゾーンでお会いしましょう」

(『アウターゾーン』編 了)

409 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:45:14 ID:AZcOnykk0
 
 1つ空けます。



410 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:47:21 ID:AZcOnykk0
<西の街〜『レモン・ハート』編>

西の街をぶらついていると、繁華街から少し離れたところに一軒のBARを見つけた。
店先には『レモン・ハート』と書かれた看板がかかっていた。
(こんな時間に開いてるなんて、珍しい店だな)
酒でも飲めば少しは気も落ち着くだろう。ブルマの怒りも収まっているかもしれない。
ヤムチャは酒場のドアを開けた。


店内は意外と空いていた。
「いらっしゃいませ」
カウンターから、店のマスターと思われる男性が愛想の良さそうな声をかける。
マスターは、まるで俺を以前からの常連かのように、親しく笑いかけてきた。
「水割りを貰えるかな」
「かしこまりました――ですが、その前に預かったものをお返し致します」
マスターはそう言うと、奥の部屋へ引っ込んでしまった。

この酒場に来たのは初めてのはずだけど―――誰かと勘違いしてるんじゃないか?
そんな事を考えてるうちに、マスターが何か小さな包みを抱えて戻ってきた。
「お待たせしましたヤムチャさん。このお酒です」
そう言ってヤムチャの目の前で包みを開ける。出てきたのは小さな酒甕だった。
「え? 何で俺の名前知ってるの? それにこの酒甕は?」
初めての店で名前を呼ばれたり品物を渡されたり、頭の中が疑問符だらけになったヤムチャ
にマスターが説明した。
「もうかなり昔ですがね。貴方と恋人の…ブルマさんですか。それとブリーフさんの三人で、
 この店に来られた事があるんですよ。貴方は既にかなり酔っ払っていましたので、覚えて
 いないようですが」

411 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:50:13 ID:AZcOnykk0
……そうだった。最初にブルマの家に行った日のパーティ。
二次会で皆で酒場へ行った記憶がある。完全に酔い潰れていたのでどんな店だったか
覚えていなかったが、この店だったのか。

「しかし、酔い潰れた俺をよく入れてくれたな」
もちろん最初はお断りしました、と店のマスターは言った。
「そしたらブリーフさんが『違う。ワシは酒を飲みに来たんじゃない。以前預けたアレを
 彼に見せてやって欲しいんだ。』と、この酒甕を貴方にお見せしたのです」

////////////////////////////////

紹興酒 花彫壷
=メモ=
 中国酒の黄酒の一種で、一般的に3年以上熟成させた高級酒(老酒)を指します。
力強い味で添加物を一切加えないので悪酔いしない、健康に良いお酒です。
 祝いのお酒としても有名で、昔中国では娘が生まれると紹興酒を美しく彩色された壷
(花彫壷)に仕込み庭に埋め、娘が嫁ぐ時に掘り出して祝っていました。
 ちなみに日本では紹興酒を飲む時に砂糖を入れますが、中国では入れないようです。

////////////////////////////////

へえ。マスターとそんな事があったのか。すっかり忘れてた。
「30年程前にブリーフさんから預かったのですよ。中国では女の子が生まれた時に、この
お酒を庭に埋める風習があったそうで、それにあやかったんでしょうね」

412 :オムニバスSSの広場:2005/03/21(月) 23:53:25 ID:AZcOnykk0
ヤムチャは酒甕のラベルを見た。「◎◎年△月×日」、確かにブルマの誕生日だ。ブリーフさん
も顔に似合わず粋な事をしてたんだな。
「しっかし、マスターも何十年もよく預かったね」
「平気ですよ。私にとって酒は我が子のように可愛いですから」
その後も紹興酒の由来や飲み方など、マスターのウンチクが続く中、ヤムチャはじっと酒甕を
見つめて、思いに耽っていた。
多分、マスターは俺を見て事情を察したのだろう。それで俺に昔の気持ちを思い出させるため
に、わざわざ奥の部屋からこの酒甕を出してきたんだ。
かすかに覚えている。この酒を見せた時のブリーフ博士の言葉。

  『いつか、君とこの酒で乾杯したいな』

「マスター」
「なんでしょう?」
「この酒甕さ、もう少し預かってくれるかな。いつか必ず取りに来るから。三人で」
「かしこまりました」
ヤムチャの頼みを、マスターは快く了承した。

       ◇       ◇        ◇

「じゃあ、ありがとう」
ヤムチャは酒場を出ると、ブルマの家の方角へ歩いていった。
(途中でアイツの好きなケーキでも買って、そして)
心の中に、昔の時の感情が少しだけ戻った気がした。

(『レモン・ハート』編 了)

413 :バレ ◆sssssssDAo :2005/03/22(火) 00:02:19 ID:onrxKDxJ0
ミザリィの口調、原作と多少異なると思いますが、ご容赦ください。


414 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 02:05:50 ID:Y4N97jL30
レモンハートってまた渋いな。この板では知ってる人少ないんじゃないか?

415 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 02:08:32 ID:/jC96QHb0
バレさん乙。
レモンハートは読んだことありませんけど、アウターゾーンは懐かしいですね。
西の都に行ったほうのヤムチャは我々の知る通りのヤムチャになるみたいですが、
東の都に行ったほうはブルマとまたいい仲になるのですかね?

それにしても最初ヤムチャがミザリーに会った時は、もっと悲惨な目に遭うものかと思ってました。
原作の事考えると、異次元に閉じ込められるとか、一気に老人になってしまうとか。

416 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 10:36:27 ID:GPy8gp5d0
バレさんお疲れ様ですー
最初の選択肢で昔流行ったの本のRPGを思い出しました。
あと、何処かの誰かが投げ出したヤムラインとかw

ミザリーも懐かしいですね。ヤムチャも珍しくけっこういい役だw
これからも更新と作品うぷ、お仕事の合間でいいので頑張って下さいー

417 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 13:26:16 ID:Y4N97jL30
レモンハートはこんなのだよ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4575722502/qid=1111465452/sr=1-14/ref=sr_1_2_14/249-5896969-3966717

大昔からアクションでやってるお酒を絡めたショートストーリーの漫画。
漫画の形式としてはアウターゾーンと同じ。不思議系と言うより人情系。

418 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 16:01:13 ID:SOmthpIQO
すげー廃れたな

419 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 16:32:39 ID:rxjuqFsz0
作品も来ないし、暗黒期だな。

420 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 19:57:32 ID:wdgtMMuF0
ヤムスレが実質終わったのと、
バキスレが廃れ始めた時期が妙にリンクしてる気がする。
やはりあそこはバキスレの為に必要だったか。

でもま、現連載陣はまだ結構な数あるから、
これで贅沢いうのは求めすぎな気もする。職人さんたちも忙しいだろうし。
うみにん氏はちょっと心配だけど。以前も身体壊したみたいだしな

421 :D:2005/03/22(火) 20:25:52 ID:i9ZfrgUF0
 時に剥き出しの欲望が、忍ぶ希望に打ち勝つ。
 渇望は最強である。
                 ――『騎士が剣を抜いたのは。』より
                    原題 L'epee du Dernier Chevalier

422 :D:2005/03/22(火) 20:28:24 ID:i9ZfrgUF0
: for Destiny

 1

 男が降り立ったのは、かつての大国家だった。
 かつての、である。
 彼の視覚も、聴覚も、嗅覚さえも、それが遥か昔のことだったかのように錯覚している。
 青光と静寂と荒廃臭。それだけだった。
 決して、瓦礫の山というわけではない。まともな形状をした建物が大部分である。
 だが街は死んでいた。
 信仰と武力の共存する国は、いまやゴーストタウンさながらである。
 男は、国でなくなったこの国をはじめて見た。
 それでも男はなんの興味も衝撃も受けなかった。
 彼の故郷の荒廃は遥かにすさまじい。イタリアはもはや存在しなかった。
 待ち合わせ場所とは名ばかりの瓦礫に佇む男の前に、一台の送迎車が現れた。
 かつてのジェネラルモーター社の誇る、黒色の車だった。
 黒光りするほど、車体が美しい。新車のようにも見えたが、とっくに生産は終了している車である。
 車内には、ドライバーの女のみがいた。女は、黒いサングラスをかけていた。
 黒のサングラスも十年前には生産がストップしている。今でも普通には流通していない。
 今の太陽の光に対しては、黒のサングラスは遮断してくれないからだ。
 もっと赤みがかったものでないと、青の光を打ち消すことはできないのだ。
 健康的な褐色の肌が、車体の黒と、陽光の青とに彩られている。
 唇にはすっと黒めの紅が惹かれていた。
 トランクを抱えたまま、男は後部座席に乗り込んだ。
 運転席の女が振り向き言う。
「お待ちしておりました。自由と栄光の国、アメリカへようこそ」

423 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 20:28:49 ID:SOmthpIQO
はやく作品来ないかなあ

424 :D:2005/03/22(火) 20:29:38 ID:i9ZfrgUF0
 黒のシボレーが走るのは、舗装の砕けかけた道だった。サスペンションが意味をなさないほどに車がゆれる。
 ときおり、元々道ですらなかった道も通った。そういう道には、大体、幾多の瓦礫が無理に撤去され、道の両端に詰まれていた。
 その瓦礫のせいで車幅すれすれのトンネルのようになっているところもあった。
 すでに数10Kmは走行したが、変化といっていいのはそれくらいだった。
「私の名はキャリーです。キャリー・ケリー・ロビン。今後いろいろとお世話をさせていただきます。また、細かいことは向こうについてからご連絡いたします」
 運転をしながら、女が自己紹介をした。サングラスはかけたままである。
「……ああ、よろしくたのむ」
 かなりの間を置いてから、男が返した。会話といえるのはそこまでだった。
「船旅はいかがでしたか?」
「ドクターの故郷、イタリアでしたっけ? 復興は進んでいますか?」
「お疲れでしょう?」
「なにかBGMでもかけましょうか?」
「お眠りに?」
「ドクター?」
 十数の質問をドクターと呼ばれた男は無視した。愛想の無い相槌をうつこともあったが、無視したほうがずっと多い。
 彼はトランクの中身を調べていたかと思えば、バックウィンドウから後部をぼうと眺めていた。
 じきにキャリーも黙り込んだ。

425 :D:2005/03/22(火) 20:31:24 ID:i9ZfrgUF0
 ふと、男が問い掛けた。
「それで、その、秘密基地とやらには直行するのか?」
「フフ」
「何が可笑しい」
「いえ、秘密基地だなんて、ちょっと幼げなことおっしゃるものですから」
「小難しいことは物書きにでもやらせておけばいい。それに私はイタリア人の医者だ」
「医者、ね。フフ」
「いいから答えたまえ」
「秘密基地へ、ですって? ええ、もう30分以内で辿り着きます」
 心なしか、車の速度が上がった。
「組織が見つかる危険性は考えないのか? 尾行されていたらどうする」
「今、うちの従業員がひとアクション起こしてるから、相手側も私たちにかまってるヒマもないでしょうよ」
 いつのまにか、キャリーの口調が、敬語から砕けたそれに変わっていた。
 確実に車の速度も上がっていた。先ほどは時速60km程度のものが、いまや100kmを超えている。
 道路は相変わらずである。それゆえ、揺れがさらに酷くなっていた。

426 :D:2005/03/22(火) 20:32:07 ID:i9ZfrgUF0

 突然。ひとつ大きな揺れが車を襲った。男の腰が数瞬浮く。
 今までに無い衝撃だった。
 岩に乗り上げたのではない。もっと柔らかな揺れだった。
「なんだ今のは。犬でも轢いたかね?」
「いいえ、人間でしょう」
「なんだと!?」
 男にも予感はしていた。だたこうもぶっきらぼうに肯定されては、男も面食らった。
 口調だけでなく、キャリーの表情も先ほどから何も変わっていない。唇の両端が上がっているようにも見える。
「いいんですのよ、形式ぶって驚きにならなくて」
 バックミラーに、はっきりと笑みを浮かべたキャリーが映った。
「黙れ」
 男がフロントガラスを凝視し、それを見つけた。キャリーも男の視線に、そしてそれに気付く。
「あら嫌だ。こんなこと初めてよ。いつも彼ら寝ころがってるのに」
 こんなこと、というのは、ガラスに飛んだ赤のことだった。
 血が、重力に逆らって天へ垂れるかのように糸を引いていた。
 思ったほどの沈黙は続かなかった。
「フフ、ただの自殺者ですよ。此処、よく通るんだけど、いつものこと。いちいち気にしていられないわ」
「おまえまさかわざとスピードを……」
「中途半端だとかわいそうじゃない? そうでしょう?」
「……狂ってやがる」
「狂うくらいしかやることがないのよ。あたしも彼らも」
「……」
「それにあなた、何故車を停めろと言わないのかしらね。あの人、まだ生きてるかもしれないわよ。貴方医者でしょ。『み』たくないの?」
 バックミラー越しに、キャリーが意地悪な笑みを送った。
 車の速度は、落ちも上がりもしなくなっていた。
 ワイパーが、フロントガラスを拭った。

427 :D:2005/03/22(火) 20:34:22 ID:i9ZfrgUF0
 ブローノ・ブチャラティは、人に従うのが苦手だった。
 苦手というより、禁止だった。自分で決めたルールである。
 自分という人間が、もっともフィットする人間にのみ、付き従う。
 戒めは、深く掘り込まれた。
 どんな主人であっても、ブローノは自分の意に反する部分を見つけた。
 ズレは、性格の不一致から、思想目的の食い違い、また単にその人の癖が気に食わなかっただけのことだったりする。
 それだけで主従関係は崩れ去った。
 誰も、ブチャラティの理想に完璧には一致しなかった。
 些細なヒビでもダムは決壊する。ブチャラティは自分の信念をただただ押し通した。
 信念を押し通さなければ、自分を、その家族を、仲間を守れない。それがブチャラティの信念だった。
 ゆえに彼は孤立する。守るべき友も恋人も組織もできなかった。
 それでも十分だった。自分の信念と、自分の父親、そして自分自身。それだけで十分だった。
 
 ブチャラティの父は、しがないイタリアの漁師だった。
 母親は、彼が小学校に通っていたころに他界している。それ以来、父1人子1人の生活を送っていた。
 男手1人で自分を世話する父を、幼いながらにブチャラティは尊敬していたし、父も又、健気にも弱音を吐かない息子を誇りに思っていた。
 父は強い息子が、息子は強い父が大好きだった。
 強い信頼が二人の間にはあった。なにも問題は無かった。
 ブチャラティが18になったときだった。
 父が漁船から転落した。運の悪いことに、投網に身体を絡ませてしまい、仲間に水中から引き揚げられたのは完全に心停止した後だった。
 奇跡的に、彼は息を吹き返した。運の悪いことに、それだけだった。
 すでに働きに出ていたブチャラティは、職場で事故を知った。再び顔を見合わせたとき、父は物言わぬ者となっていた。
 生きてはいる。だが、深い昏倒が父親を支配していた。
 父を生かしているのは、息子との絆だった。ブチャラティには、それに頼るしかなす術が無かった。
 日に日に父はやせ細っていった。確実に息子のもとを遠ざかっていった。
 ブチャラティは、絆というもので必死に父親を手繰り寄せた。だが、絆も次第に細く、弱く、ただただ二人の距離だけが離れていった。
 ブチャラティ1人の稼ぎでは、医療費も次第に払えなくなった。
 心中すら考えた。
 唐突に転機は現れた。

428 :D:2005/03/22(火) 20:40:14 ID:i9ZfrgUF0

 毎晩、面会時間の終わるギリギリにブチャラティは、父の病室にやってきていた。
 個室である。切れかけた電灯が、申し訳程度の明かりを作っている。
 ブチャラティは、ベッドの傍らに跪き、自分のものより遥かに小さくなった父の手を握り締めていた。
 男が声をかけるまで、ブチャラティはその存在がわからなかった。
「ブローノ君、私に尽くしてくれないだろうか?」
 シンプルだった。空耳かと思った。
 ブチャラティはようやく気付いた。その傍に、男はすでにいたのだった。
「ブローノ君」
 彼が、またブチャラティの名を呼ぶ。初対面のブチャラティをブローノと呼んだ。
 体全体が震えるような声だった。事実、ブローノの身体は小刻みに震えている。
 恐怖からではない。では、なにか。
 唐突すぎて、ブローノは男を不審者として見なかった。
「君のお父さんの延命、引きうけようじゃないか」
 また唐突だった。唐突でも、男の言葉の意味は、わかる。
 だが、男の言うことに聞き耳を傾ける理由は無かった。
 待ち伏せした理由は? 何故自分なのか?
 不可解なことは多々有った。
 大声を出して人を呼べば、男は逃げるだろう。もしくは、ブローノが逃げる。それで終わりだ。


429 :D:2005/03/22(火) 20:42:34 ID:i9ZfrgUF0

 まて。
 ブローノは思う。
 父を置いてゆくのか?
 その心配は要らなかった。男には、自分たちに何か危害を加えるといった雰囲気は見られなかった。
 問題は無い。では、何故逃げる? 思考が矛盾し始めた。
 そんなことはどうだっていい。早く人を呼ぶなりするのだ。
 自分も父も何一つ危害を加えられない。自分の信念も捻じ曲げられない。
 なにも変化はない。
 何も。
 いいのか。
 何も変わらない。
 それでいいのか。
「いいのか?」
 男が問うた。心を見透かされているような気がした。
 それに問題はなかった。この男は、それであたりまえなのだと、いつのまにか思っていた。
「君の才能を、活かさせてもらう。それでいい」
 ブローノの信念が揺らぎ始めた。崩れさるだけではない。その内から、何かが生まれようとしていた。
「君も、君の父親も変わる」
 信念という殻は、今、この瞬間のために有ったのだろう。そう思った。
 この瞬間まで、自分を抑えこむために。そして今、解放するために。
「共に新世界へ行こう」
 この男のために、自分は自分を守り通したのだ、と。
 この男にならば、自分の魂を消費してもいい、と。
 この男に仕えるために、自分はいたのだ、と。
 殻が破れた。
「あなたのもとで働きたい」
 ブローノは、男に跪いた。初めての服従だった。
「それでいい」
 そう言い、ディオと名乗った男は一本の矢を取り出した。

430 :D:2005/03/22(火) 20:46:13 ID:i9ZfrgUF0
  

431 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 21:52:41 ID:SOmthpIQO
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユルユル
ユルユルユルユルユルユルユルユルユル大好きだよ!


432 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 22:22:08 ID:UnUS8lAY0

こいつだけならまだしも、パソコンからカキコしてる奴にも職人煽ってる奴がいるんだもんなぁ。
嫌んなるよ。

433 :作者の都合により名無しです:2005/03/22(火) 22:38:51 ID:SOmthpIQO
スマソ

434 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/03/22(火) 23:11:15 ID:4UaRUOwf0
少々間が空きましたが、2,3日中に『狂う文』の完結編載せます。
それから一気に『蟲師』完結まで行きたいな……と。残り三話の構想も大体出来ましたので。
蟲師終えたら、また書いてみたいものがあります。そちらも宜しくお願いします。ちょっと早いけど。

435 :うみにん:2005/03/23(水) 03:26:25 ID:iExdTvR10
こんばんは。春休み前になんとか一話投下したかったのですが、
間に合いませんでした。4月中旬くらいには復帰できそうです。

ごくせん。普段ドラマ等は一切見ない人なんですが、最終回で
初めて見てしまいました。教頭先生の一挙手一投足に引きつけ
られて目がはなせない展開。名前知らんけど、教頭サイコー!

>>420
体はまあ、いけてないです。以前は動きまくり走りまくりな仕事
だったのですが、動かない仕事に変わってからは体調崩しまくりです。
どうもデスクワークは向いてない。というわけで失礼します。

436 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 10:12:58 ID:ah86BcvE0
ユル氏お疲れ様でーす
運命と称されたタイトルにふさわしく栄光と挫折の国のアメリカからスタート。
開始からしばらく登場人物を明かさず盛り上げる、ユル節全快ですね。
ブチャラティはジョジョ詳しくないのでわかりませんが、「新世界」という
キーワードから壮大な世界とブチャラティと登場人物たちの精神世界の妙が期待できそうです。
最後のディオは知ってます!超大物の登場でヒキですか。にくいなあ。

いろいろ、雑音もありますでしょうけど、俺は本当にあなたの作品が好きなので頑張って下さい。
あと、「騎士が剣を抜いたのは」って何ですか?小説?


ゲロさん、うみにんさんお疲れ様です。
気長に、でも首を長くして待ってますのでよろしくお願いします。
お体にだけは気をつけて・・

437 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 10:26:11 ID:NIZEufR2O
ユル乙

438 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 10:55:30 ID:/Qqs+Y5o0
>>436
もう少し分かりやすい縦読みにしてくれ

439 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 13:02:11 ID:WaODQVsz0
>>ユル氏
Dというタイトルがすごく良かった。
これからも頑張ってください。

440 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 13:16:24 ID:3tz758eQ0
ユル
           にふさわしく   挫折       からスタート。





いろいろ、雑音もありますでしょうけど、俺             なので       。




こんなとこか。おつかれさま。

441 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 13:24:13 ID:NIZEufR2O
明らかに「お前読んでないだろ」ってレスがあるが、ユルはそういうのにすぐキレるぞw
わざとだろうけど

442 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 14:23:50 ID:mS+3+qIXO
ユルはもうここで書かずにまとめサイトで書いたほうがいんでないの?
自分のためにも、スレのためにも。

443 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 17:14:06 ID:+BML3DPx0
ユル氏乙。
氏は書き出しはいつも本当にうまいけど、今回は特に
フロントガラスに映る情景の描写からの幕開きに感心したな。
異様な物語の端緒がうまく書けている。キャリーの秘めた狂気も。
ブチャと最後に現れたディオの絡みがどう書かれていくか楽しみだ。
いろいろあるだろうけど応援してるので頑張ってくれな。


>>437-441
作品枯れの中書いてくれたユル氏に対して、チョト大人気ないと思う。
どうしてもというなら例のスレでやってくれ。

444 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 19:22:54 ID:/Qqs+Y5o0
>フロントガラスに映る情景の描写からの幕開きに感心したな。
そんなもんどこにもねーぞ

445 :ふら〜り:2005/03/23(水) 20:51:10 ID:38PVvlxz0
>>バレさん
同じ「酒場」を舞台にしての、違う色合いの作品ですな。ミザリィの方、なにがどう幸福
なのか彼女に問い詰めてみたいとこです。でレモンハートの方は、ヤムチャにしては珍しく
幸福エンド。三人で、とか言って。トランクスの代わりの、純地球人の女の子が……かな。

>>ユルさん
前半部、キャリーの軽く乾いた非情っぷりと、後半部、少年ブチャラティの健気っぷりが
好対照してますね。ディオは実際、こんな風にスカウトしてたんだろうと思えます。こんな
状況なら、明確な善人でも心から従わざるを得なくなる(で肉芽に容易くかかる)……とか。

>>ゲロさん&うみにんさん
ろくろっ首になってまってますよ〜。……あぁ私も参加したいっ。

>>399
お気遣い感謝です。楽しんでやってることですので、どうぞご心配なく。前にも
言いましたが、図書館通いができずともこれだけ色々な作品に触れられるのが、
嬉しくありがたく……です。


446 :作者の都合により名無しです:2005/03/23(水) 23:14:34 ID:mS+3+qIXO
すげー廃れたな

447 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 00:06:45 ID:gqn6UjRiO
まぁ人がいないだけでひどく荒れないだけマシだろ

448 :D:2005/03/24(木) 01:27:34 ID:59jXNR8c0
 25歳のブローノはアメリカにいた。
 テキサス州支部責任補佐。二年でこの地位にまでブローノは上り詰めた。
 あの男の下でなら、故郷を離れ、任務をこなすことなど、なんの問題もなかった。
 どんな任務だろうと問題は無かった。

 テキサス州ダラス。かつてはアメリカの人口上位十都市のひとつだった。
 なにもかも過去のことだ。
 都市部においてもひとけはまったく無い。ここ郊外にいたってはいうまでも無かった。
 ブローノの右手には湖が見えている。動きのない水面だけは、昔と変わっていなかった。
「こちらブローノ、ホワイトロック湖にまで来た。このあたりだったな。しばらく散策する」
 ブローノが左耳を押さえながら、1人つぶやいた。耳の穴に隠れるほどの小型の通信機をつけているらしい。
 右手を挙げ、部下に合図をだした。部下とは、後方に控える11体のゾンビたちだった。すべて3世ゾンビである。
 頭骨が覗いているものや、首や背が異様な角度に曲がっているものもいたが、目が黄色く濁っている以外は人間と見分けのつかないものもいる。
 ほとんどが、死の直前に着ていたものを身にまとっていた。常人とそれほど変わらない外見が逆にグロテスクだった。
 足を引きずり引きずり、ゾンビたちが調査のために散っていった。
 ブローノは、ディオに尽くす。ここにはなんの疑問もなかった。正義だと思っていた。
 だが、汚らわしいゾンビを使うことには、いささか嫌気を感じていた。死者の冒涜とも思う。
 自分の中に、二つの思いがあった。いままでにないことだった。
 常にブローノは、ひとつの信念のもとで動いていた。自分に従うという信念である。
 今となっては、ディオという男の存在が、根本からブルーノを傾かせていた。
 いいや。今までが、傾いていたのかもしれなかった。
 転覆しかけた心を、あのディオが救ってくれた。
 そうなのかもしれない。違うのかもしれない。
 ただ、昔のままだったなら、自分は死んでいただろう。
 死なないにしろ、生きてはいなかっただろう。父と同じく、屍のごとくに余生を過ごしていたはずだ。それは生きているとは言わない。
 それは確かだった。
 なら、自分は正解だったのではないだろうか。
 ディオという男は、まったく底が見えない。底などないのかもしれなかった。
 奈落を持たず、ただただ天空へと昇ってゆく男。青い太陽に祝福される男。男。ディオ。父。DIO。神……
 ふと、絶叫があがった。

449 :D:2005/03/24(木) 01:31:14 ID:59jXNR8c0
 人の悲鳴ではない。獣に近い金切り声だった。
 ブローノは走った。湖をそのまま右手に留めたまま、真っ直ぐに。
 声は、他のゾンビたちにも聞こえていたはずだった。まだそう遠くまでにはいってはいまい。それでも他のゾンビは一匹も来ていなかった。
 実際、ブローノの視界にも、いくつかゾンビが見えたが、こちらへ目を向けもしない。ひたすらに、命じられたものを探していた。
 自分へのメリット以外には興味が無いのだろう。ひたすらに仕事をこなすだけでも上等なのだ。
 そんなものが部下といえるのだろうか。またブルーノの内なるものが震えた。
 ブルーノが辿り着いたのは、湖のほとりだった。
 巨大な自然石や、それを切り出したのか、石造りの長いすのようなものが設置されていた。
 折れてささくれた、棒のようなものが長いすの前に立っていた。以前はテーブルだったのだろう。
 現場だというのは臭いでわかった。
 腐臭を、さらに鍋で煮詰めたような、ねとねとと絡みつくような臭いがあたりに漂っていた。鼻が蕩けそうだった。
 一体のゾンビがそこに倒れていた。正確にはゾンビの半分だった。そのゾンビには上半身がなかった。
 無いのは腰から上である。腰の断面から、紫の煙が上がっていた。
 ブローノが、屍体の屍体に近づくと、強烈な光線が突き刺さってきた。
「むっ」
 ただの光だった。数瞬間の目くらましにしかならなかった。岩場の影からそれは放たれていた。
「ひぃ、ゾンビじゃねえ……」
 情けない声がした。光線を放っていたのは、声の主が携えた小型のライトだった。
 濃い口ひげを生やした男だった。20代を最近終えたほどの年齢だろうか。逃げようともせず、岩場の隅に縮こまっていた。
「バカ野郎、銃を使えっ」
 後方から声があがる。髭の男には、仲間がいたらしかった。年は髭の男と同じくらいで、黒ぶちのメガネをかけている。
 その右手には、拳銃が握られていた。標準は、真っ直ぐにブローノを狙っていた。
 至近距離だ。外れようが無い。
 引き金よりもブローノの方が早かった。身体を捻り回転する。振り向きざまの左のバックハンドブローが、銃を持つ腕にヒットした。
 外れた弾丸が、どこかの岩肌に当たって高い音を立てた。
 そして、殴られたメガネ男の腕が、ちぎれ飛んだ。

450 :D:2005/03/24(木) 01:33:20 ID:59jXNR8c0
「っ……!?」
 メガネの男は悲鳴をあげはしなかった。無言で驚いた。痛みが無かったのだ。
 腕からは、血が一滴も吹き出なかった。
 見れば、ちぎれ飛んだほうの腕からも出血は無かった。
 痛みはないとはいえ、精神的ショックはあるはずである。現に男は、動揺で身動きがとれなかった。
 それでも男は混乱し叫ぶようなことはしなかった。髭の男と違い、肝が据わっているらしかった。
 銃の扱いも、昨日今日のものではなかった。ちぎれ飛んだ腕の方を見たのも、なんとか隙を見て拳銃を拾おうとしてのことらしかった。
「あとでつなげてやる」
 言うと、ブルーノは再び髭の男へ面を向ける。
「ひいぃっっ」
 何もされないうちに髭の男が鳴いた。だが、すぐにやんだ。
 ブローノが顎へ放った一撃が、髭の男の意識を消し飛ばしたのだった。背骨を引き抜かれたように男は崩れ落ちた。
「お前等のことはゆっくり聞かせてもらおう。協力次第では殺しはしない……」
 ブローノは、右腕を抱えているメガネの男へ言い放った。
 髭の男は、もう一時間は起き上がってはこれないはずだった。
 だから、ブローノは驚いた。

451 :D:2005/03/24(木) 01:34:03 ID:59jXNR8c0
「何っ!?」
 髭の男が、首を垂らしたまま、むくりと起き上がった。
 戸惑いはあった。決断は早かった。
 立ち上がる男に、ボディブローを打ち込んだ。ブローノの右拳が突き刺さる。
 髭の男がのけぞった。が、倒れない。うめきも上げない。先の一撃で、完全に気を失っていた。
 それでも男は背をだらしなく曲げたまま、ブローノの拳に覆い被さるようにして立っていた。
「なんだ、これは!?」
 驚異がさらに驚異を呼んだ。
 叩き込んだ右拳を掴まれた。男の手に、ではない。男の腹に、だった。
 男の腹部が、喰らいつくように拳を握り締めてきた。
「なっ!?」
 抜こうとする前に、曳かれた。拳を引きずり込まれた。肋骨の砕ける音と肉の裂ける湿った音が腕を包んだ。
 激痛が男を目覚めさせ、間髪入れずに絶命させた。肉の痙攣がブローノ腕を包んだ。
 ブローノの腕は、髭のの胴体にすっぽりと埋まってしまっていた。拳が、男の胸のあたりにある。まだ温い臓物が指に触れた。
 そして今でははっきりと分かった。ブローノの拳を掴んでいるのは、手だった。
 手が男の腹に出現し、ブローノの腕を引き、男の体内へ潜行していったこととなる。
 何かが男の中に居た。

452 :D:2005/03/24(木) 01:35:22 ID:59jXNR8c0
「待ってたぜ」
 声に振り向くと、眼前にあったのは膝だった。何者かの膝が、鼻頭にまともにぶつかってきた。
 軟骨が砕ける湿った音が頭に響いた。喰らってから、それが左膝だとわかった。
 続いて、また真っ直ぐに突きが襲ってくる。なんとか、空いた左腕で受けとめる。
 ふと、右腕をつかんでいたものが消えていた。
 片腕では話にならない。ブローノは、死肉の中から強引に引き抜いた。
 血と肉が飛び散った。
「いい顔になったじゃねえか、ブ男」
 赤い男が立っていた。
 長くは無い髪が、赤く染まっていた。服も赤い。唇も、男のものしてはずっと赤い。瞳までも赤色をしていた。
 艶、という字が似合う男だった。
 だが、全身を包む赤は、異質な赤だった。燃える炎の赤でも、懐かしい陽光の赤でもなかった。
 黒交じりの赤だった。ブローノには見覚えのある赤だった。
 血の赤だった。
 男の口元に血色の三日月ができていた。男が笑っていた。

453 :D:2005/03/24(木) 01:40:37 ID:59jXNR8c0
「名乗れ」
 つぶれた鼻を無理に直しながらブローノが問いかけた。
「あんたは?」
「ブローノ・ブチャラティだ。名乗れ」
「ブ男ブローノ君か。俺はDDでいい」
「名は、ディーディー、か。本名じゃあないな。こいつらはお前の仲間か? あの光線でゾンビを溶かしたのか?」
「さあね」
 腕についた臓物を払い落とし、ブローノが続ける。切れるような笑みを浮かべたまま、DDは返事をする。
 両者とも、髭の男の死に何も感じていないようだった。
「あの男のなかに潜んでいたのはお前のスタンドか?」
「言うメリットは無いね」
「肯定とみなす。いいな。……赤い髪をしているな。瞳も赤い……」
「ゴチャゴチャうるせえやつだな。 とっととかかってこいよ。あんたらの目的は、これだろ」
 赤の男、DDは懐からそれを取り出した。
 細部こそ違えど、ブローノはそれを知っていた。
 4年前、父の病室でのディオとの初対面のときだ。
 ディオがそれを取り出し、それはブローノの胸へと潜り込んだ。
 ブローノの内が、震える。
 忘れもしない。大きな鏃を持った、石の矢だった。
「貴様がっ!」
 ブローノが飛びかかった。

454 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 01:43:57 ID:ugq+Nkkx0
ああ、まだユルやってたんだ。乙。
ディオが股間からバナナを取り出すシーンには爆笑したよ。


455 :D:2005/03/24(木) 01:44:06 ID:59jXNR8c0
 飛び上がり、叩き落すような手刀を叩き込んだ。
 DDは、矢をしまいながらにそれを腕で受け止める。
 反撃は、左のアッパー。ブローノの鼻先を拳が掠めていった。
 避けたと思った先に衝撃があった。右回し蹴りが、ブローノの左耳を撃っていた。
 Dが、空振りのアッパーから無理やりにつなげてきた蹴りだった。
 こんなタイミングで追撃するには、瞬時に重心をずらさなければならない。とんでもないバランス力を持っていた。
「くっ」
 ブローノの耳から火花が散っていた。通信機が蹴りの衝撃で破壊されていた。
「貴様も近距離パワー型か」
 そういった途端に、通信機が爆発した。
 焼けた耳を介せず、ブローノはまた構えを取る。
 脳が揺れ、少し朦朧とする。左耳で散る火花のお陰で気が締まった。
 DDが笑っていた。朱色の唇が、つつと細くなる。
 両腕が、だらりと垂れている。ノーガードだった。
「なめるなっ」
 ブローノは自由となった両腕で殴りかかる。
 左拳が先だ。
 それが餌だった。
 相手の顔の数ミリ前で止める。
 空いた隙に、右で決める。
 単純だが十分だった。
 ノーガードは罠かもしれなかった。なんにせよ、左は捨てる覚悟だった。残った腕で決めればいい。
 だが、罠は無かった。
 DDが、迫る左拳を顔を傾け避けようとする。
 今だった。
 避けた先に、右。
 吸い込まれるように、DDの顔面へと右が伸びていった。
 DDの腕は下がったままだった。
 勝った。
 そう思う余裕すらあった。

456 :D:2005/03/24(木) 01:44:45 ID:59jXNR8c0
 折れた。
 右腕が折れた。肘関節と逆の方向に折れ曲がった。
 焼ける飴のように、しなやかに、ゆっくりと折れ曲がった。
 有り得ない方向だった。触れられてもいない。
 外した。
 拳を叩き込まれるはずだったDDの顔が、やはり笑っていた。
 ブローノは、知るよしもなかった。
 改造は、DDのスタンドが腕に触れたとき、すでに完了していた。
「もう終わってんのさ」
 首に一撃。
 DDのスタンドの指が、ブローノの喉へ潜り込んでいった。水面に指を入れるように刺さっていった。
 指の進入には、苦痛は無かった。
 死ぬのだ。ブローノは直感した。
 その前に、思い出したいことがひとつあった。危うく、自分の中から消し去ってしまうところだった。
 自分と、自分の命が、もっとも素晴らしかったころのことだった。
 ふと、ブローノの表情が、砕けた。とても、やわらかくなった。
 死人を連れ、殴り合いをする男の顔ではない。
 自分の信念に戸惑いを感じる少年の顔でもなかった。
 寡黙な父親に、憧れる一人の息子の顔だった。
「父さん……」
 ブローノの喉が微かながらに震え、最後の言葉を直接DDの体に伝えた。
 逆に、DDの表情が硬くなった。笑みが引きつった。
 指が、頚椎を握りつぶした。
 一度はねるように痙攣したあと、まさしく糸が切れた人形のように、ブローノの全身から力が消えた。
「胸糞の悪いことを……」
 DDは、唇を捻じ曲げながら、壊れた人形を離した。

457 :D:2005/03/24(木) 01:45:40 ID:59jXNR8c0
 悲鳴をあげたのは、メガネの男だった。腕から鮮血が勢いよく噴出していた。
 ブローノが死んだためだった。
 今度こそ自分を襲った苦痛に耐えながらも、右腋を圧迫し、出血をできる限り押さえていた。
 そして、うめくように言った。
「DD、何故、彼を、殺した……」
「何故って、これが今回の仕事だろ?」
 まだDDの顔は硬い。
「そのスタンド使いのことじゃない!」
「ああ、あいつのことか」
 とぼけるように言った。
 あいつ、とDDははらわたをばら撒きながら絶命している髭の男に目をやった。
 DDによって、ブローノの腕を腹に捻りこまれた男だ。
「そっか、見られてたんだっけか」
「なんだと?」
 答えなかった。
 また真っ赤な唇が真一文字に切れてゆく。
 DDは、ただ無言で近寄ってきた。
「お、い、やめろ、やめろ!」
 男が二度目の悲鳴をあげた。

458 :D:2005/03/24(木) 01:46:15 ID:59jXNR8c0
 車を降りたキャリーは、こちらへ向かってくる男に気付いた。
 後部座席から出たドクターが、同じくそれに気付き、身構えた。
「大丈夫ですよ、あれがうちの従業員です。さっき言ったとおり、彼、『ひとアクション』起こしてきたところですの」
 口調が敬語に戻っていた。
「あれが従業員、だと?」
 近づいてくる男は、ドクターよりも背が高い。体の大半は赤で占められていた。服だけでなく、髪も靴も赤かった。
 何よりドクターの目をくぎ付けにさせたのは、男が背負ったものだった。
 死体だった。男が一歩進むたびに、背負われたものの頭が、1回転近くゆれていた。
 男が、キャリーとドクターの前に来た。濃い血の香りが男に粘りついていた。
「よー、キャリー。お帰りのキスは?」
 死体を背負ったまま、素っ頓狂な声をして男が言った。見た目よりかは太い声をしていた。
「他の二人はどうしたのかしら?」
 キャリーは、彼のあつかいになれているらしく、無視して必要なことだけを訊ねた。
「殺られたさ」
「ふぅん」
 世間話をしているようだった。
「こいつは?」
 ドクターを横目で見ながら、指差した。
「紹介するわ。こちら、Dr.チョコラータ。例のイタリアからのお客様よ」
「私の名はチョコラートだ」
 ドクターが口を挟んだ。
「あら失礼。Dr.チョコラート、ようこそスピードワゴン財団本部へ」
 『ト』におかしなイントネーションをつけながら、そしてまた意地悪な笑みをつけながら、キャリーが言った。

459 :D:2005/03/24(木) 01:50:14 ID:59jXNR8c0
1終わり。

てか、無視しとかないとあの人の立場がないんでないの?

460 :犬と猫:2005/03/24(木) 02:30:27 ID:nqKKRN930
生死

 国王が仕掛ける。左右から波状のフェイント、本命である中段突き。が、カリンも先読
みしていた。突きを巧みに捌き、足を払う。体勢を崩す国王。眼前へと拳が寸止めされる。
 反撃に転じようと、拳を払いのける。全力を込めた右ストレートで逆転を狙うが、これ
も通用しない。手首を掴まれ、軽々と投げられる。どうにか受け身は取れた。いや、受け
身を取れるように手加減して投げられた。
 跳ね起きる国王を、じっと眺めるだけのカリン。
「おのれ、やる気はあるのか!」
「いや、おぬしがわしに勝てぬことはとうに知っとる」
「ほざけ、私も鍛錬は欠かしていない。少なくとも、大きな差はついてはおらんはずだ」
「まだ分かっておらんようじゃな」
 呆れるように、カリンがため息をつく。
「わしは数千メートルなる高所で生活し、多くの武道家に接し、神とも出会った。比ぶれ
ば、おぬしの武術など所詮は片手間に完成された自己流に過ぎん」
 カリンが発する迫力に押され、国王は何も言い返せない。
「分かったじゃろう。わしらの才能が同等であったならば、おぬしがわしに勝てるはずが
ない」
 はっきりと断ぜられた。権力では頂上に君臨した国王だったが、武力ではまるで赤子扱
い。だが、国王は決して屈しない。
「ずいぶんと大口を叩いたものだな。だったら、私などすぐにでも殺せるはずだ。何故そ
うしないのだ」
「わしは欲望で戦うのではない。あくまでも、罪を償わせるためじゃ」
「ほう……面白い。やってみせろ!」
 指先を伸ばし、手刀を放つ。小指がカリンに触れ──すり抜ける。残像拳。
「し、しまっ──!」
 真横から掌底が捻り込まれる。脇腹から内臓へ衝撃は伝わり、国王は胃液を吐きつつ吹
き飛ぶ。
「くっ……かはっ!」
 カリンは追い討ちを掛けようとせず、またも眺めるだけ。まるで、快復するのを待って
いるかのように。

461 :犬と猫:2005/03/24(木) 02:31:07 ID:nqKKRN930
 しばらくして、国王が起き上がる。カリンは両手を下げた自然体で迎える。
 足指に力を込め、踏み込もうとする国王。が、寸前にカリンが飛び掛かる。虚を突かれ、
反応を鈍らせる国王。小さな体に似合わぬ重い連打が、ボディへ叩き込まれる。
「ぐおおっ! ……ぬぅっ!」
 左フックを返すが、またも手応えがない。残像拳。
 しかも、ただの残像ではない。七体にも及ぶカリンが、国王を囲むように駆け巡る。
 ──多重残像拳。
「くそっ、さっきの分身技か!」
 残像に惑わされ、本物による打撃をほぼノーガードで喰らってしまう。匂いで特定しよ
うにも、とても追いつかない。王者としての矜持を支える柱が、少しずつ軋み始める。
「ひ、卑怯者! 姑息な技に頼りおって、恥ずかしくないのかッ!」
「卑怯? これが卑怯ならば、毒や薬品はどう表現すべきじゃろうか」
 正拳突きが鼻を押し潰す。久しく味わっていなかった鼻血に取り乱し、ついに国王が悲
鳴を起こす。
「ヒィッ! ま、待ってくれ!」
「どうした。怯えていては、わしを倒すことなど出来んぞ。なぁに、七体のうちどれかが
本物じゃ。絶望的な確率でもあるまい」
「わ、悪かった。毒液を渡したことも、薬品で洗脳したことも、全て謝ろう!」
「……本当じゃな」
「もちろんだ! 完敗だ、君は私よりも強い!」
 柱は砕け散った。生命を死守すべく、恐怖から解放されるべく、国王はプライドを捨て
去った。
 多重残像拳を解除し、一歩ずつカリンが国王に近寄っていく。待っていたのは、どす黒
い輝きを帯びた刃。笑みを浮かべる国王。
「死ねッ!」
 小型ナイフがカリンに突き刺さる──が、感触は現れず、血も出ない。
「ざ、残像……ッ!」
「残念じゃったな。わしは心を読めるんじゃよ」
 再度、正拳がめり込む。ひしゃげた鼻から、滝のように血液が溢れ出す。
「もっとも、心から謝っていたとしても──もう遅すぎる」

462 :犬と猫:2005/03/24(木) 02:31:57 ID:nqKKRN930
 うつ伏せに倒れる国王に、カリンは見下すだけで何もしない。立ち上がるまで、じっと
見守っている。
「これが、かつての友人に対する仕打ちか! 生殺しじゃないか!」
「おぬしが殺した、罪なき軍隊への手向けじゃ。安心せい、おぬしを葬ったらすぐ付き添
いに行く」
 カリンはここで生命を二つ消し去る覚悟だ。
 未来へ通じる扉が閉ざされる。友から命ぜられた処刑宣告に、半ば呆然としたまま立ち
尽くす国王。
 彼はどこかで死を無関係な代物と考えていた。自分はカリンより強いと思い込んでいた
し、もし劣っていても殺されることはないと考えていた。万一に備え、小型ナイフも常に
携帯していた。これら全てが誤りだと判明し、死への直下航路が間近に迫る。
 もう逃げられない。下り坂のないレーンを、ジェットコースターが上っていく。
「死にたくねぇ……死にたくねぇッ!」

 ──生きたい。
 もっとも原始的な欲求、生存への執着心が奮い立つ。極めて純度の高い目的意識。
「ウガアアアアッ!」
 野犬と形容すべきか、狂犬と形容すべきか。
 牙をむき出し、生存を脅かす敵へと猛進を仕掛ける国王。格段に上がった速度によって、
カリンも反応が遅れる。右肩に食い込む牙。
「ぐぅぅ……!」
「キシシシシッ! 喰い殺してやるッ!」
 右肩を骨ごと食い千切られ、右腕がぼとりと地に落ちる。さらに、ローキックで足へ痛
打を受ける。もう残像を生み出せるほどのフットワークは使えない。
「甘かったな、カリン……。私は野性を見失ってはいなかった。対して、君は修行を重ね
た末、野性を完全に封印することに成功した。安定した力こそ手に入れたが、爆発的な力
を生み出す可能性を自ら断ってしまったのだ……」
 国王は馬乗りになると、執拗にカリンを殴打する。窮犬、猫を噛む。

463 :犬と猫:2005/03/24(木) 02:34:10 ID:nqKKRN930
 やがて、抵抗が途絶えた。
「敗北者は餌となる──あらゆる社会で適用されている大原則。君とて例外ではない」
 とある欲が体内に込み上げる。今にも破裂する勢いで膨らむ。そういえば今日はろくに
食事を取っていない。加えて、余りにも心労が大きすぎた。抑え切れぬ食欲。
「共食い、ならぬ友食い。もう我慢出来ない。もはや私にとって、君は親友でも宿敵でも
ない。魅力的な新鮮な肉でしかない……!」
 紅く血走った瞳でカリンをねめつける。放っておけばドッグフード広告で登場する子犬
らの如く、国王はカリンを食い尽くすだろう。
 理性は狂気によって上書きされ、禍々しい眼光を放ち国王が迫る。
「いっただっきまぁす──!」
 左拳が顔面にめり込み、地面に叩きつけられる──国王が。
「バカな、動けるはずがァ……」
「仮にも、武術の神に任命された者として教えておこう。武道では、持ち合わせる野性を
封じることなどせん。必要に応じて、野性をコントロールする術を身につけるのじゃ」
「なるほど、勉強になった……」
 敗北から逃れようと、死を遠ざけようと、見苦しく足掻いてきた国王。が、万策尽きた。
「殺すんだろう」
「うむ」
「残念だな、君を食いたかった」
「わしも、出来れば食われたかったよ」
 ──手刀一閃。
 犬と猫による、七百年以上に及ぶ生存競争。猫に軍配が上がった。

464 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/03/24(木) 02:39:05 ID:nqKKRN930
>>360より。
直後投下すいません。深夜に失礼しました。

465 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 07:15:43 ID:5zQiR/oc0
サナダムシさんお疲れ様。
カリンと国王の攻防、しけい荘激闘編を彷彿させますね。
カリンは心読めるから反則ですねw
野獣と化した犬に対する猫の懐の深さがよかったです。
もうすぐ最終回ですか。寂しいな。

466 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 10:06:56 ID:61KL7AebO
前よりペースが落ちたとはいえ、こうして作品がほぼ毎日来るのは嬉しいな。
デスゲームの人が最近来ないのが不安だけど。

467 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 11:42:12 ID:F/WG5ZSt0
>ユル氏
前回とは打って変わりアクションシーンてんこ盛りの激しい回でしたね。
拳闘のようなシーンは、さすがに肉スレとかで書き慣れてるなと思いました。
ディオにスピードワゴン財団まで現れて、役者は揃いましたね。

>サナダムシ氏
最終決戦、ですかね?因縁の戦いに決着ですか。国王もマウントボコ殴りで
頑張りましたが、最後の一撃を隠していた武術の神が一枚上でしたか。
いよいよ最終回近し、ですか。サナダムシさんのネタ好きだから残念だ。


文章のうまい人が立て続けに投稿されると流石に読み応えありますね。
尾2人ともこれからも頑張って下さい。

468 :戯言遣いとオーガの賭け事:2005/03/24(木) 15:51:02 ID:l058QLov0
>385より

アパートの近くに辿り着くと、そこに人影があった。三人。全員、見知った顔だった。
「出夢くん―――萌太くん―――崩子ちゃん」
「わりーとは思ったけどさ、おにーさん。ここにいる三人で、あんたをつけさせてもらったぜ。
明らかに様子がおかしかったからな」
出夢くんはあっさりと白状した。ぼくはぼくで納得する。あのホテルで範馬は何かの気配を感じていた。
それは、この三人だったのだろう。
「いー兄、やっぱりとんでもない男に目を付けられていたんですね。範馬勇次郎といえば、超の上に超が百個つく
危険人物、彼の半径4メートル以内の地点は世界で最も危険な場所とさえ言われてるんですよ?そんな場所に
のこのこ出かけていくとは、何を考えやがってるんですか」
萌太くんはニコニコと笑いながら言った。相当怒っているようだった。
「だから言ったじゃないですか、お兄ちゃん。外出したら怪物に遭遇すると。あなたは阿呆ですか」
崩子ちゃんは手厳しい。反論できないのが辛いところだ。崩子ちゃんは深く溜息をつき、続ける。
「とにかく―――ここにいる三人で話し合ったところ、<お兄ちゃんに危害を加えないうちに、範馬勇次郎を何とかする>
という結論に達しました」
あっさりと―――あっさりと、崩子ちゃんは言った。その意味するところに、ぼくは凍りついた。
無理だ。この三人だろうと、あの男をどうにかすることなど、絶対に不可能だ。
「―――崩子ちゃん。これはぼく個人の問題なんだよ。きみら三人には―――」
「関係ならあります。少なくとも、私には」
崩子ちゃんはそう言って、呪文のように言葉を紡ぐ。

469 :戯言遣いとオーガの賭け事:2005/03/24(木) 15:51:48 ID:l058QLov0
「貴兄が乾きしときには我が血を与え、貴兄が飢えしときには我が肉を与え、貴兄の罪は我が贖い、貴兄の咎は我が償い、
貴兄の業は我が背負い、貴兄の疫は 我が請け負い、我が誉れの全てを貴兄に献上し、我が栄えの全てを貴兄に奉納し、
防壁として貴兄と共に歩き、貴兄の喜びを共に喜び、貴兄の悲しみを共に悲しみ、斥候として貴兄と共に生き、
貴兄の疲弊した折には全身でもってこれを支え、この手は貴兄の手となり得物を取り、この脚は貴兄の脚となり地を駆け、
この目は 貴兄の目となり敵を捉え、この全力を持って貴兄の情欲を満たし、この全霊をもって貴兄に奉仕し、
貴兄のために名を捨て、貴兄のために誇りを捨て、貴兄のために理念を捨て、貴兄を愛し、貴兄を敬い、貴兄以外の何も感じず、
貴兄以外の何にも捕らわれず、貴兄以外の何も望まず、貴兄以外の何も欲さず、貴兄の許しなくしては眠ることもなく
貴兄の許しなくしては 呼吸することもない、ただ一言、貴兄からの言葉のみ理由を求める。
そんな惨めで 情けない、貴兄にとってまるで取るに足らない、一介の下賎な奴隷になることを―――
ここに誓います」
「・・・・・・」
それは。その言葉は。
「わたしは―――お兄ちゃんの奴隷ですから」
闇口崩子。闇口。
自ら選んだ主君のためにだけ人を殺す―――<殺し名七名>暗殺者。
「まあ、そういうことです。崩子はいー兄のためなら何でもする覚悟ですし―――僕は崩子の兄ですから、
出来る限り崩子のフォローをするだけです。それに、僕は僕で、いー兄を愛しちゃってますしね。まあ、
ここは元<死神>の力をお見せするとしましょう」
萌太くんはクスクスと笑う。
石凪萌太。石凪。
生きているべきでない者を殺す―――<殺し名七名>死神。
「ギャハハ―――僕もまあ、おにーさんとは色々あっからな。今回はただ働きってことにしといてやるよ。
おにーさんは大船に乗ったつもりでいな。明日の朝、おにーさんが目覚める頃にゃあ、ぜえーーーーーーんぶ
終わらすつもりだからよ」
出夢くんは蓮っ葉に笑う。
匂宮出夢。匂宮。
頼まれれば誰だって殺す―――<殺し名七名>殺し屋。

470 :戯言遣いとオーガの賭け事:2005/03/24(木) 15:52:32 ID:l058QLov0
「お兄ちゃん、こういう汚れ仕事は人の皮を被った人外の領域です。お兄ちゃんは、もうあの男と関わっては
いけません。わたしたちが全力で、範馬勇次郎を葬ります。ここから先は―――
わたしたちが人肌―――脱ぎましょう」
崩子ちゃんは言う。崩子ちゃんは言う―――
「・・・・・・」
やめてくれ、と思った。ここにいる三人は、もう暗殺者でも死神でも、殺し屋でもないのだ。
ぼくなんかのために、被った人肌を脱がなくたっていいじゃないか。わざわざ人外の世界に、また首を突っ込む
ことはないじゃないか。
けれど、ぼくは。ぼくは何も言わなかった。三人はぼくの脇を通り過ぎていく。
ぼくは彼らとは逆方向―――アパートに向けて歩き出す。
もう、今日は寝てしまおう。何も考えたくはない。

翌日。みいこさんが血相を変えてぼくの部屋に飛び込んできた。
「いの字―――今、病院から連絡があって―――」


471 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/03/24(木) 15:57:17 ID:l058QLov0
投下完了。

「貴兄が〜」のくだりはネコソギラジカルの原文のまま。西尾氏の言語パワーの凄まじさを
垣間見ました。

>387さん
それはこれから、ということで。

>ふら〜りさん
いーちゃんの凄さって、何なんでしょう、原作でもまだ謎が多い人物なんで分からんのですが、
とにかく「何となく只者じゃない」としか言いようがないですね。

472 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 21:35:24 ID:tPtFn1zBO
サマサdj

473 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 21:54:22 ID:1CUmbXwz0
サマサさん乙です。
<範馬勇次郎を何とかする> というのはとてつもない事ですが
この人たちをみてるとのほほんとしながらやってしまいそうですねー
崩子ちゃんの呪文のような呪詛のような誓いの言葉に萌えました。
勇次郎の襲来楽しみだな。



474 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 22:26:17 ID:W0FhVol10
最後の一行を読む限り、3対1の戦いは終わったようですな。
これで勇次郎が入院してたら驚きですが、流石に無いでしょうね。


475 :作者の都合により名無しです:2005/03/24(木) 22:47:08 ID:tPtFn1zBO
ユルがかわいそうだ。
あんまりだ。

476 :作者の都合により名無しです:2005/03/25(金) 12:31:41 ID:jbldYNHXO
ユル氏の作品って感想が書きづらい。
中途半端な感想だと文句言われそうだし、なまじ文体も本格派なのでサラっとは
読めない。物語の全体像も掴みにくいから、余計に感想が書きづらくなるな。
まあそう言いながらも読んでるんだけどね。

477 :作者の都合により名無しです:2005/03/25(金) 13:00:24 ID:WUPy+Smb0
>中途半端な感想だと文句言われそうだし
他の人間から言われるならともかく、ユル氏の場合は本人が言うからなw


サマサ氏おつ。
お兄ちゃんの奴隷ってすごい言葉ですね。原作読んでないけど読みたくなってきた
裕次郎を葬れれば本当に死神ですな。



478 :犬と猫:2005/03/25(金) 16:03:51 ID:AaRZjCiZ0
遺言

 広大な平原に、ぽつんと佇む墓標。
 荒れ果てた草や、周囲に飛び散った血痕から、ここで決戦が行われたことは疑りようが
ない。敗者は大地に眠り、勝者はいずこかへ失踪した。
「どこへ行きやがったんだ……」
 ヤジロベーは跡地にやって来ていた。後始末を全てカリンに任せたものの、心配になっ
て二人を探していたのだ。
「どうやら、あいつは勝ったらしいな。王だったら、わざわざ墓なんぞ建てるはずがねぇ
からな」
 推理も冴えている。カリンは手刀で国王を殺害し、弔うために墓を建造していた。
「……てこたぁ、行く所は一つしかねぇな」
 カリン塔しかない。キングキャッスル城下町で借りたスカイカーで、ヤジロベーは聖地
へと急ぐ。

479 :犬と猫:2005/03/25(金) 16:05:38 ID:AaRZjCiZ0
 キングキャッスルでは、重傷にもかかわらず武道家たちが尽力していた。首謀者が敗走
したことを大勢に伝え、革命を中止させようというのだ。
 なかなか信用しない者も多いが、少しずつ理解者は増えていく。
 一旦、キングキャッスル正門にて合流する戦士たち。クリリンが成果を尋ねる。
「どうだった、みんな」
「半々ってところだな。全く耳を貸さない奴も多いぜ」
「うむ。嫌々だった者、好奇心で参加した者、人を憎んでいる者、王に忠誠を誓っている
者。こうも主張が分かれていてはな……」
「うん、難しい」
 四人はしばし話し合い、以下の結論に達した。
 説得に応じれば、速やかに故郷へ帰らせる。応じなければ丁重に気絶させ、一ヶ所に集
めて超能力で動作を封じる。そこから先は、よもや彼らに出番はない。少々手荒だが、武
道家らしい解決策ともいえた。
 どこかにある神界を求め、天を仰ぐクリリン。
「待ってろよ、悟空。久々の下界にトラブルが残ってちゃあ、お前に悪いからな」
 戦士たちは散開する。平和と友好が主たる地上を取り戻すために。

480 :犬と猫:2005/03/25(金) 16:06:54 ID:AaRZjCiZ0
 一方、ピラフ一味は病院にいた。クリリンらに運ばれたのだ。
 シュウは仙豆で全快したが、ピラフとマイはそうはいかない。特に執拗な私刑を味わっ
たピラフは重体であった。
 しかし、幸いなことに城下町だけあって医療設備は充実していた。革命によって医者は
一人もなかったが、最新式メディカルマシーンで最低限の治療を施すことが出来た。マイ
はどうにか快復したが、ピラフは未だに眠っている。
 ガラス越しに横たわるピラフを眺めながら、シュウが弱々しく呟く。
「ごめんよ、マイ。まさか、こんなことになるなんて……」
「そうね。でも、弱音なんかいらないわ」
「えっ?」
「私たちの目的は世界征服よ。休んでいる暇なんてないわよ、作戦を練らなくちゃ」
「で、でも……」
 シュウは眠っているピラフに視線を移す。一味を率いてきたピラフは、このまま植物状
態になってしまうのではないか。すると、マイから平手打ちが飛んだ。
「ピラフ様は絶対に治るわ! ぐずぐずしてたら、また怒られちゃうわよ!」
「マ、マイ……」
「さぁ、少しでも出来ることから始めましょ」
「……うん。そうだね。やれることから!」
 二人は笑い合った。彼らに合わせ、深い眠りにつくピラフも微笑んだような気がした。

481 :犬と猫:2005/03/25(金) 16:07:40 ID:AaRZjCiZ0
 午後十時──カリン塔最上部。
 スカイカーから降りたヤジロベーは、力なく倒れ込むカリンを発見した。
「おいカリンッ! しっかりしろッ!」
「ヤジロベー……か? フフフ、おぬし……怠け者じゃが、強い芯を持っておる」
「冗談はよせよ! 元気になって、うるさく説教でも喰らわせてみろ!」
 ふとヤジロベーが下を見ると、超神水が入っていた水瓶が転がっている。中身は空っ
ぽである。
「ま、まさか……!」
「堪能させてもらった……一滴も残っとらん」
「ざけんじゃねぇ! ちょっと待ってろ、また仙豆を食わせてやる!」
「いいんじゃよ……もう。わしらは永く生きた。おかげで、とんでもないバカをやった
りもした……。じゃが……これで全て洗浄されたはずじゃ」
 毒とも知らずに超神水を飲んで死んだ武道家たち。国王が引き起こした野望に巻き込
まれた市民たち。国王は存分に苦しめられた末、討ち取られた。カリンもまた、超神水
を飲み干した。
「──されてねぇよ! そうだ、武術を教えてくれよ!」
「ありがとよ、ヤジロベー……。おぬしと……拳を交えられてよかった……。これだけ
は……毒に感謝じゃな」
 テレビ局での対決。ヤジロベーはカリンを一枚も二枚も上回っていた。充分な強さを
持つヤジロベーに、カリンは半ば安心したように笑いかける。
「自由に生きよ、ヤジロベー。わしが誇る……第二の親友……」
 ──ここで途絶えた。
「カリン……?」
 反応がない。呼吸もない。脈もない。心音もない。体温は衰え、血流も弱り果ててい
く。完全なる死。残酷なほど冷静に、五感はカリンが死んだことを伝える。ヤジロベー
はカリンを抱き抱えたまま、これら全てを感じ取っていた。
 過去が造り上げた未来を脅かす爆弾。一つ残らず取り除き、カリンは逝った。
「……ざけんじゃねぇ! ちくしょう、ちっきしょうッ!」
 死別を受け止めきれず、号泣するヤジロベー。この哀しい叫びが、すでに黄泉へ旅立
った親友へ届くことはない……。

482 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/03/25(金) 16:09:12 ID:AaRZjCiZ0
>>463より。
次回でラストです。

483 :蟲師 狂う文:2005/03/25(金) 23:33:06 ID:msr5kb1n0
>>274より続き。

 物書きが頭から蟲を追い出してから、一年。ギンコが様子を見に、二年ぶりに物書きの家を訪れた。
戸を叩くも、返事が無い。
「おおい。……いねえのか」
 戸を引いてみる。鍵はかかっていなかった。ギンコは、中に入った。生活感は微塵も無く、相当に長い
間放置されているのは明らかであった。
 引っ越したのか、とギンコは一瞬思ったが、家具などを放って居を移すとは考え難い。滝にはさすがに
もう居なかった。
 まさか――途中で耐え切れず身を投げたんじゃあるまいな。そう思いながら、居間を跨ぐ。
「これは……書斎か?」
 整然とした部屋で、中には沢山の本が詰め込まれた棚と、机が一つあるのみである。
 ギンコは、机上の原稿用紙の存在に気付き、手に取ってみた。『蟲師之業』という題があり、数篇の短編
のようだった。

 
 


484 :蟲師 狂う文:2005/03/25(金) 23:33:48 ID:msr5kb1n0

 
 男が在った。男は日頃から熱心に働き、村の者からは頼られていた。ところが、ある日を境に男はまるで
働かなくなった。村の者何人かで話をしに行っても応えず、無理矢理引いて動かそうにも、出来ず。大岩の
如くである、と村人の誰かがこぼした。
 男の元を訪れる村人の数はだんだんと減っていった。親が行っても、許嫁が行っても全く変わりがなかった
ので、皆投げてしまっていたのである。
 そんな折のこと。 村を訪れた蟲師にだれぞが一部始終を聞かせると、其の男を見せてくれ、と言う。蟲師は
男を見て、細い管のようなものを取り出し、彼の耳に通した。そして管に向かい、何事か語りだした。途端、今迄
無反応だった男が、何かを呻いたのである。呻きと共に外に出て行った何かを見たのは蟲師唯一人である。
 男に憑いていたのは蟲だという。それゆえ男は、人の話も聞けぬ、自らの体を動かすことも出来ぬようなって
いたのだそうな。
 蟲師が去ってからも同じ事を繰り返す内、男は次第に健康を取り戻していき、やがては元の働き者となってい
た。村人は驚き、今は去った蟲師を讃えた。
 それ以来、蟲師の遺した管を恵方の境界付近に埋め、上に像を置き、以後の蟲が寄らぬ様願ったのである。……





485 :蟲師 狂う文:2005/03/25(金) 23:34:52 ID:msr5kb1n0

 ギンコは、この短編を黙して読み進めていた。そして、一番下に在った物書きの言葉を見つけた。


――蟲師へ

 君が此れを見ている頃、私は何をしているだろうか。どこぞ野山を歩き、心の安静と平穏とを手に入れている
だろうか。或いは、現実の厳しさに打たれ、のたれ死んでいるだろうか。ただ、断言できること。それは、この家
にいることだけはない、ということ。
 思えば、忌々しき蟲に憑かれる前までの私は、腐れきった獣肉のようであったように思う。ただひたすらに物
だけを考え、他の何事も顧みなかった。それは、生きていく上では何ら間違ってはいない。しかし、人として、そ
れでは余りに勿体無い。私の空になった頭には、以前とは比較にならぬ程、多くの感覚が入り込むようになっ
ていたよ。
 私は君に感謝している。だが、生きてさえいれば、また遭う事もあろう。感謝の言葉はその時、厭きる程聞かせ
てやろう。君は、生きていて欲しい。

追伸
 この数編は、君に見せるため書いたものである。どうしようと構わないが、出来れば、君に持っていて欲しいものだ。
肌身離さず、とは言わないが。     
 

 この日、ギンコの読んだ数編は、遂に物書きの読者の元へ届くことは無かったという。




486 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/03/25(金) 23:36:40 ID:msr5kb1n0

『狂う文』終り。
残り三話です。三月中終了は99.9%不可能。

書いてない間、やたら色々買い物しました。民俗学の本数冊、何故か宮澤賢治の小説。漫画色々。
スウィングガールズのDVD。

漫画では『夕凪の街 桜の国』が凄まじくヒット。読んでない方、正直勿体無い。

>>276
彼はどうなったのでしょうか。

>>277
別に面食らやしないですね。俺の馬鹿。

>>307
無心は無理ですよねえ。普通の人では。無心でいようとすること自体が『無心でいようと考えている』のであって、それは
無心にはならない。なら、どうすれば無心で居られるのか? 分かりません。

後、続けて『もっけ』を投下させてください。次に軽く説明置いておきます。連投規制がきそうなんで、本編は1レス分だけ。

487 :もっけの説明にあまりなってない説明:2005/03/25(金) 23:37:56 ID:msr5kb1n0
『もっけ』は、アフタヌーンにて『蟲師』とかわりばんこで載っている(隔月連載)作品です。よくアフタヌーン和風コンビとか
言われてるのを耳にします。共通するのは、簡単ですが「面白い」ということでしょうかね。

これもそこそこ売れてはいる作品ですが、まあマイナーかと思うので軽く下で説明します。

主人公は檜原姉妹。姉が静流、妹が瑞生(みずきしずる→水木しずる→水木しげる……)
あと二人の母方の祖父の爺さん(名が作中に出てきません)と三毛猫の三毛さん。

檜原 静流(ひばら しずる)……姉。中学3年生。怪が見える$ォ質。

檜原 瑞生(ひばら みずき)……妹。小学6年生。憑く$ォ質。それ故に、守りがないと出歩くことさえ困難。

檜原の爺さん……作中における最強キャラ。二人が悩んでることも爺さんに任せれば問題ないのだろうが、
それでは二人が成長しない。よって助言を与えるのが主。ヤバけりゃ出張る。

三毛さん……メス猫。二人にとって身近で、とても大事な存在。


もっけとは物怪。物の怪。怪。妖怪。色んな呼び方がありますが、皆様のイメージするものとほぼ相違ない
でしょう。多分。

民俗学による裏付けの強い話のようです。だから、見かけによらず超本格派。民俗学は面白いのでお薦め。
日本の古くから伝わる伝承や、生活習慣などから作られる話が多いです。
今月の話はとても良かった。邪魔くせぇ人形も付いてないし、立ち読みできるとこも多いと思うんで、興味ある方は。

それでは。『もっけ ウブイワイ』

488 :もっけ ウブイワイ:2005/03/25(金) 23:41:03 ID:msr5kb1n0

 
 春。あまり、アレを見ない時期。だから瑞生も元気だ。理由はそれだけじゃないだろうケド。
「おいしーね、御餅」
 今日は朝、時間無くて。簡単にお雑煮で済ませてしまった。ちょっと時期外れのような気もする……

 通学路に、いた。
 地蔵さんにお供えされてた、紅白の餅。一見何の変哲も無いモノだけど、気になる。瑞生には近寄らないように
言っておかないと……

「ああ、あったねェ。朝は」
「朝は? 私、帰りも見たけど……」
 私は今日3時頃、あそこを通った。瑞生が帰って来たのは5時過ぎ。その2時間位で、無くなった?
「朝はなんだかザワッとしたけど、帰りはなんともなかったし大丈夫じゃない? 憑いてないでしょ」
 確かに。何も見えない。見えないけど……
「でも、なんか嫌な予感するなァ」

 翌朝。昨日と同じところに、紅白の餅。この日も帰りにはなくなっていた。今度は私自身の目で見た。
そしてその次の朝、また同じように――

「どういうことなのかなァ、お爺ちゃん」
「未練でもあるのかもな」
 昔話とかでよく聴く類。何か、強い気持ちが残っている? 恨みとか。
「餅に関する伝承は多くある。紅白餅だとウブイワイ≠ニかな。紅白の帯や米だったりもするが、餅も例に入る。
その名の通り、お産の時に贈る。これらは妊婦や腹の子に力をつけるとの言い伝えがある」
「じゃあ……」
「俺ァこの眼で見ちゃいないからな。確かには分からん。だがな、まだそれは何もしてねェわけだろう。放っておけ。
奴等はいるモンだ。関わろうとするもんじゃねェ。そんなモン、わかってンだろ」
 それは、わかってるけど……でもなァ。


489 :作者の都合により名無しです:2005/03/25(金) 23:53:29 ID:os00orUj0
お疲れ様です、サナダムシさん、ゲロさん。
お2人の作品大好きなので嬉しいですが、
犬と猫いよいよ次でラストですか…。寂しいな。
でも、ゲロさんは蟲師+新作ですね!(新作は1レスだけだけど)
まさに悲喜こもごもだな。

490 :作者の都合により名無しです:2005/03/26(土) 00:34:38 ID:NyYQn06N0
>犬と猫
やはり主人公はヤジロベーだったか。師との永遠の別れ、悲しいな。
今回はエピローグ扱いみたいだな。シュウとマイの会話が微笑ましくてよかった。
次回最終回か。残念だ。また「しけい荘」みたいなギャグとハードの融合作品や
「ジャブ」みたいな捻りのある短編が読みたいな。

>蟲師&もっけ
ゲロ師は締め方がうまいな。小説内小説と手紙で締めくくるとは思わなかった。
ハッピーエンドではないけども、いろんな含みを持たせてわざとあっさりと
終わらせた感じだな。あと3篇とは残念。終わっても、話思いついたらまた書いてほしい。
新作の方はまだなんともいえないけど、また蟲師とは毛色が違う作品だな。

491 :作者の都合により名無しです:2005/03/26(土) 16:13:54 ID:casRZ1Ri0
サナダムシさん
・次回でお別れですか。寂しいですね。カリンはもう復活しないのかな。
 最後はハッピーな終わり方で締めてほしいのですけど。

ゲロさん
・ゲロさん得意な、虫師らしい淡々とした終わり方でよかったです。
 しかも新作のおまけですか。虫師ともども期待しております。

492 :作者の都合により名無しです:2005/03/27(日) 12:56:13 ID:A8WTw3+10
あげとこう。
今日はこないかな

493 :オーガのうんこ:2005/03/27(日) 16:10:35 ID:8JO9QZiVO
勇次郎「うんこ」
バキ「う、うんこ!?」
勇次郎「うんこおおお!!」
ふらーり「うんこですっっ」























スマソ

494 :ふら〜り:2005/03/27(日) 18:18:21 ID:RnAHkbU90
>>ユルさん
エグいというかグロいというか。DDもブチャも、どっちも戦い方に思いきり敵キャラ臭が
してますね。五部以降はよく知らないのでユルさんオリジナルかどうか解らないのですが、
>「胸糞の悪いことを……」
ここ、いい感じに気になります。ブチャの気持ちに対して、何かもの思うところがある?

>>サナダムシさん
カリンvs国王、凄惨に一方的でした。それだけに、言葉を荒げてこそいないものの、
カリンの怒り(と悲しみですね)が伝わってきました。ずっとヤジロベーの活躍を望んで
きましたが、やはりここは二人っきりでないと、ですね。遂に最終回、幕引きや如何に。

>>サマサさん
圧巻です崩子ちぁん。自分はいーちゃんの奴隷であり、且つ「人の皮を被った人外」である、
という宣言。何と言うか物凄い思考。あるいは信念ですか。健気といえば健気、でもその
ベクトルは血生臭く。そんな彼女が、どうやら勇次郎に……? どうするいーちゃん!

>>ゲロさん
蟲師
旅の僧にでもなるか、と予想しましたが……どこかで即身仏にでもなっていそうな終わり方
でした。とはいえ、やはり何か悟った様子。別れの言葉、ちょっとミギーっぽいですね。
もっけ
霊感姉妹、といえばゲーム「零」を思い出します。あとこういう設定だと、爺さんにも
注目。活躍のさじ加減、アジバイスの仕方で味が出るかどうか。今後の展開に期待です!


495 :作者の都合により名無しです:2005/03/28(月) 19:37:40 ID:YX+C97pM0
春には復活する事を祈ってあげ
なんだかんだでVSさん来ないね

496 :ザク〜ソドム(五)〜:2005/03/28(月) 21:19:40 ID:zABEY08w0
>>279-281より

497 :ザク〜ソドム(五)〜:2005/03/28(月) 21:20:45 ID:zABEY08w0
 ドルアーガの塔2階では、冥法王ベースの前に狼の下半身を持つもう一人の軍王、超獣王ギータと
ベースの腹心、ピエロ姿のオル・ゴールが膝をついて相対していた。
 本来、魔界軍王とは冥法王、幻竜王、妖鳳王、超獣王の四名から構成されているが、幻竜王である
ドラムは勇者ハーメルに敗れ、妖鳳王サイザーは魔族を裏切りハーメル一行の仲間に加わった。
 その勇者ハーメル一行も、今は亡き者ではあるが。
 残された魔族の高官はもはや先の3名のみ。そして同じ軍王といえど、超獣王の地位は冥法王よりも
低いものであった。
「ギータ……」
 ベースは超獣王を見下ろし、冷たく重い言葉を威圧するように放つ。
 超獣王ギータは返事をしようとするが喉がつまり、呻くような声が漏れるばかりだった。
「”罪人”ヴォーカルをハーメル達にぶつけるという策は貴様のものだったな……。だが、結果はどうだ」
「わ、わたしもヴォーカルがあそこまで手がつけられないとは――」
 やっと出てきた声は、かすれるような頼りないものだった。
「勇者ハーメルと」
 ギータの言葉を無視してベースが続ける。
「相打ちになるまでは良かった。だが……その前に大失態を犯した、な……。『パンドラの箱』を開ける
のに必要な”聖なる者”、フルートやサイザーの命までも奪ってしまうとは……。貴様の失策によって我ら
はドラゴンボールに頼らざるを得なくなったのだぞ」
「十分にわかっております、ベース様……。『パンドラの箱』に封じられし我らが主、大魔王ケストラー様を
解放するは魔族の悲願。この度の失態、必ずや埋め合わせをさせていただきましょう」
「当然だ。そして相手が宇宙人であろうと誰であろうともドラゴンボール争奪戦を勝ち残るのは我ら魔族。
だが……その前に、お前達二人に命令を下す」
 ベースはギータとオル・ゴールの双方を見やり、二人に成すべき事を告げた。
「――、それだけのことだ。だが二人同時に仕掛ける必要は無い。お前達の好きなように、やれ」
 ギータは了解の笑みを浮かべ、オル・ゴールはピエロの仮面の下でけたたましく笑った。
「私の好きなように、デスか。私のやり方は嫌われるのですがネ」オル・ゴールが言う。
「ベース様の命令、成し遂げてみせまショウ。……この仮面の下に懸けても、ネ」

498 :ザク〜ソドム(五)〜:2005/03/28(月) 21:23:18 ID:zABEY08w0
「主よ」
 ドルアーガの塔3階。異形の蛮族といった風貌の使途、ゾッドが『白い鷹』グリフィスに問う。
「黒い剣士はこの塔まで辿り着くであろうか?」
「今のガッツではグルンベルドには勝てないだろう」
 グリフィスが答える。
 ガッツ。『鷹』にとって、人として生きた生涯の中で唯一友といえた存在。野望が潰え牢獄に捕らわれ、
変態獄長の慰み物となり果て正気を失わんとする最中にあっても、一筋の閃光の如く脳裏に浮かび上が
った、かけがえの無い半身そのものであった存在。その名を今、グリフィスは何の意味も持たない単語
のように感慨に耽ることも無くさらっと口にした。
 実際、ゴッドハンドより転生したグリフィスにとってガッツは取るに足らない存在であった。
 しかし、ブラック・ジョーカーの称号を得シャッフル同盟の仲間となった今、そのガッツを放置することは
因果律の流れの中にいらぬ不確定要素を混ぜ込むに等しい。
 取るに足らぬ存在とはいえ、決して軽視はできない。
「だが、ザクの助けがあらば、もしくは」
 グリフィスは懐から一星球を取り出し、手の中でもてあそんだ。
「ドラゴンボールは全て集めるとどんな願いも一つだけ叶うというが……『神』の力を超える願いは叶わぬ
らしい。しかもその『神』とやらは深淵にたゆたいし全なるものを指すのではなく、異星からの一来訪者
にすぎないのだ。ゾッド」
 グリフィスはゾッドに向けて一星球を投げた。ゾッドはそれを片手で受け取ると、中の星をのぞきこむ。
「俺にそれは不要だ。俺の夢は、俺の手で叶える。お前が持っていろ」
 ゾッドは一星球を丸呑みした。途中、食道に詰まることも無く、胃袋の中へと収まる。
「グルンベルドがガッツを倒したとしても、ソドムの他の刺客達が討ちもらしたシャッフルの戦士がこの塔
へやってくるだろうことは十分考えられる。その時のために、お前はここに残れ」
 ゾッドは低く唸り、一言で応じた。
「仰せがままに」
「因果の水面に波紋を投じる因子は全て排除する。それだけが俺がソドム世界会議に参加する理由だ」
 グリフィスは白い外套を翻し、このフロアから歩み去っていった。

499 :ザク〜ソドム(五)〜:2005/03/28(月) 21:26:02 ID:zABEY08w0
「拳王様、何故ドラゴンボールなどをお集めに……」
 ドルアーガの塔4階。巨大な体躯に相応しい、巨きく不必要なまでに豪奢な玉座に座るラオウへ、拳王
配下屈指の武将バルガが尋ねる。
「彼奴らもこれを探し求めることになるからだ」
 ラオウは四星球を取り出し、それを掲げ力強く握り締める。
「彼奴らと申しますと……シャッフル同盟ですか?」
「その通り!真苦露西手意により破滅寸前にまで追い込まれた地球を再生するにはこのドラゴンボール
が必要となる!つまり四星球を持ちここにいれば――」
 ラオウがずっ、と立ち上がる。バルガも相当な巨躯だが、ラオウのそれはバルガをさらに上回る。
「必ずやザクが、ザクがここへやって来る!」
 憤怒か、期待か、あるいはその両方が入り混じった表情を浮かべるラオウを見つめ、バルガは先日の
ラオウ対ザク戦を想起した。絶対無敵のはずの拳王が、まさかの敗北。拳王配下達の驚嘆と混乱は
数日で収まるものではなかったが、あの戦いによって最も屈辱を味わったのは、他ならぬラオウである。
「ザクを倒すため、俺はトキを、サウザーを、そしてケンシロウを屠ってきた!そして俺はあの時とは比べ
物にならぬ程の力を、技術を、経験を手にした!ザクとの再戦が叶うのならば、俺は何物をも失うことも
辞さぬわぁ〜〜〜〜ッッ!!」
 ラオウは四星球を掲げたまま、野太い大声で笑い出した。
 拳王様はザクと闘ってから変わってしまわれた……
 バルガは無念に思い、目をぎゅっと閉じた。
 力による乱世の絶対的統制を志しておられたあの頃の拳王様には戻っていただけないのか……
 ……ザクよ。お前さえ、お前さえ現われなんだら、拳王様は……
 バルガの想いをよそに、ラオウの狂ったような笑い声が4階フロアに反響し続けた。

500 :作者の都合により名無しです:2005/03/28(月) 21:38:07 ID:zABEY08w0
今回投稿終了。
前回の寄生生物グループのくだりから、各勢力の目的を1レスずつ記していく形になってます。
次回更新時が散、藤堂、フリーザに関する内容となります。
その後(次々回)がザク視点に戻り、香港編終了。結集編へと突入します。

ド田舎の病院への就職が決まりました。
寮に入ることにしたのですが、電話回線がひかれてないようなのでデータ通信カード買いました。
山の中なんで安定した通信ができるかは不明。エリアには入ってるけど。

寮の家賃:月950円

501 :作者の都合により名無しです:2005/03/28(月) 22:56:33 ID:1sRVfGlK0
ザク氏乙。
グリフィスの参加理由が良くわかりません。因果律の例外事項を排除という
のなら、フリーザやラオウ達も同じような気がするんですが。
(グリフィスの取っている行動自体が波紋を生じさせているような・・・)
ラオウも子供みたいな理由で参加してるんですね。ザクの動向を掴んで
いるのだから、四の五の言わずリベンジに行けばいいのに。

502 :作者の都合により名無しです:2005/03/28(月) 23:39:26 ID:zABEY08w0
あー、今回投稿分で書いとけば良かったかも。

グリフィスは今回の戦力分析の際にソドムVSシャッフルを負け戦になると見切りをつけ、
少なくとも双方が潰し合う展開になると読んだ。
なのでソドムに提供する戦力は最小限にし、かつ自分は手を下さない。
何もしないでも勝手に国取りに邪魔な勢力が潰し合う→最後に自分の勢力だけが残る→(゚Д゚)ウマー狙い。
ドラゴンボールも最初はベヘリットみたいに大切にしていたんだろうけど、
願いの効果が「神(ナメック星人)の力の及ぶところに限る」ってのを知り、幻滅して投げ出しちゃったんだろう。
ここんとこは今後SS内で明文化していきたいと思う。

ラオウは単純に考え無しだった。確かに、ザクの居場所分かってるんだから行きゃいいのにねぇ・・・

503 :作者の都合により名無しです:2005/03/28(月) 23:52:16 ID:1sRVfGlK0
>>502
丁寧な回答有難うございます。
なるほど、三者三様の思惑が絡んでいる、と。(実際は6人ですが)
ラオウが自分から行かないのは、やっぱわざわざ出向くというのが、プライドに
障るのでしょうかね。


504 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 01:32:09 ID:G5rBgPms0
ザク氏更新乙。
ソドムのメンバーに関係ある、シャッフル同盟以外の原作キャラ達は死んでしまったようですね。
ただ、藤堂のライバルである江田島及び男塾塾生たちは今のところ死ぬ確立は低そうですね。
なにせ相手は所詮藤堂ですからw

505 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 02:53:16 ID:uLJzzhtY0
745 :ユル :2005/03/28(月) 19:03:19 ID:???
スタンド(特に人型)は著運用力にヴィジョンをつけて絵栄えするようにしたもんだし
そんなもん文にしたって意味が薄い。手早く決着させるためにもああゆう描写にした。
好きになれとはいわない。
今回は本体同士が殴り合ってるほうがイメージに近い。

感想もSSもネット上に公開されている点は同じ。何言われてもあたりまえ。
私が好きなことかいて、感想屋が好きなこと書いて、
また私が好きなこと書いて、今あなたはここで好きなこと書いてる。
出る釘はボコボコに打つのが日本人。私が叩かれるのはいたって普通のこと
それが嫌なら個人サイトに引きこもって慣れあいしていればいい。
大体、こないだのは「いつも流し読みしてるだけだが感想だけ書いておきますね」
っていう糞な感想しかなかったし。感想書くから読んでるって感じ。それならイラネ。
題名に関してはとっくの昔に通知してる。

と書こうと思ったけどやめとく。

506 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 08:00:04 ID:/7gTwyPmO
投下します。携帯からです。

507 :鬼の霍乱 第4話:2005/03/29(火) 08:02:01 ID:/7gTwyPmO
第3話>>349から

結局。勇次郎は遥か遠くに走り去り。後に残ったのは疲弊しきったバキと、
バイクにまたがったオリバ。
「はぁ、はぁ、ど、どんな、体、して、るん…!ゲホッ!ウェホッ!」
何の制約も持たずに、ただ、追い掛けただけだというのに。疲弊している。
あの、バキが。
今更、としかいいようがない。本当に今更、勇次郎の
怪物ぶりを身を持って知ったバキ。一方、オリバはバイクから降りると。
「全く、ガス欠とは。まあ、ここにに放置しておくのも迷惑だろう。」
愚痴をこぼしながら。
「投げるか。」
思いっきり、その丸太のような両の腕でもって。
「フンッッ!!!」
バイクを星にした。ちなみに、流れ星となったバイクは何故か、真っ直ぐ、
吸い込まれるように近くの古ぼけた道場へと墜ちていった。
「はぁ、お、親父!オリバさん、親父、行っちゃった!!」
先程の勇次郎の叫び声から、バキは勇次郎の向かっている先の予想がついていた。
勇次郎はジャックと叫んでいた。偶然、バキにはジャックという名前を持つ腹違いの兄がいる。
しかも、親子水入らず、3人で暮らそうな、なんて事を勇次郎が叫んでいたいたのだから、
ほぼ間違いないだろう。
「今、あの兄の所に行ったらどうなるか…!!」
バキは知っている。兄の異常なまでの勇次郎への執着を。
知っている。その執念からくる狂暴性と戦闘能力を。
バキは考える。
(自分の時も勇次郎があんな状態でも一見では分からなかった訳だし、何より
兄は自分とは違い、あんな状態だからと止まる事はないだろう。)
考えても、口に出ると。
「兎に角、ヤバイんですよッッ!!」
焦った人間だとこんなものだろう。


508 :鬼の霍乱 第4話:2005/03/29(火) 08:04:43 ID:/7gTwyPmO
「まあ、落ち着きたまえ。」
焦るバキとは対照的なオリバ。どこからともなくコーラを取り出し一服している。
落ち着いている上、どこか余裕すら見受けられる。
「我々が行ったからといってどうなるものでもあるまい。」
落ち着かせるためであろう、オリバはバキに飲むかい、と飲みかけのコーラを差し出す。
よく見るとラベルに「バキ」とでかでかと書かれている。バキにもいろいろあるのだろう。
「そ、それもそうですが…。」
いただきます、とコーラを受けとるバキ。少し口をつけて気が付いて。
ていうか俺のじゃん。と突っ込みを入れた。
「勇次郎が会おうとしている人物が分かっているんだから、すぐに合流できるさ。」
「いや、ですが…!」
それでも、とつむぐバキ。オリバはふう、と溜め息を吐き、首を振る。そして。
「ナァ、君もそう思うだろう?」
バキの背後の、バキ以外の誰かに声を掛けた。
「ソウダナ。」
声がした。バキの背後から。誰が?格闘家、というか、もはや戦人の様なバキに
気取られずに背後に近付ける人物は限られている。バキにとっては忘れられない男の声。
ゆっくりと振り返る、バキ。大きな、大きな影。恐らく2mを越えるであろう身長の
コワモテの顔の男。
「オハヨウ、バキ。元気ダッタカ?」
「兄さんッ!?」
そこに居たのは。ジャック・範馬。バキの兄。本人。
「ハハハ、驚イタロウ。」
ジャックはニカッ、と独特の笑みをこぼした。正直、笑い顔にかなり特徴があり、逆に恐い。
「いや、驚くよ、そりゃ!!何でここに!?」


509 :鬼の霍乱 第4話:2005/03/29(火) 08:10:20 ID:/7gTwyPmO
「君の家を出るときに携帯で呼んだのだ。本当はこの先の角を曲がった喫茶店で
待ち合わせだったのだがね。」
「ココデ休ンデルノガ見エタカラナ。ドウヤラ親父…、勇次郎トハ
入レ違イニナッタヨウダナ。」
バキは何ともつかない複雑な顔ではぁ、と相槌を入れた。どうも納得いかないようだ。
(おそらくそれは本編でオリバとジャック以下自粛)
「まあ、勇次郎も携帯で呼び出せばいいさ。とりあえずは喫茶店に入ろうか。
君達には状況を説明しておきたいのでね。」クイ、と親指で道を指すオリバ。喫茶店とは先程の会話にでてきた待ち合わせの場所の事だろう。
「え、けどさっき何も知らん、て…?」
「原因は知らん。が、状況は別だ。まあ、後で話すさ。」
「ドノ道、俺ハ勇次郎ガオカシイトシカ聞イテイナイ。説明シテモラワント困ル。」
と、3人は連れ立って喫茶店に入ることになった。
この時、店員が店に入ってきた3人をみるやいなや、喫煙、禁煙など聞かずに
人目につかない位置の席に案内したのはまた別のお話。

510 :鬼の霍乱 第4話:2005/03/29(火) 08:14:45 ID:/7gTwyPmO
投下完了しました。
ただの風邪と侮っていたらこじらせてしまい、生まれて初めて入院しました。
皆さんも気を付けてください。
あと、改行気を付けてみました。
感想やアドバイスを下さると励みになります。
ありがとうございました。

511 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 12:23:24 ID:QDNVHaXrO
風邪なら無理に書かなくてもいいのに

512 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 12:38:21 ID:n+kOVrm80
お久しぶりにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
って、入院ですかい?お大事に。
相変わらず独特な表現で自由なオリバがいいなぁ。
このほのぼのした感じが好きなんで頑張って。でも、本当に無理はしないでね。

513 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 14:23:22 ID:xAJDYMML0
ザク氏、鬼の霍乱氏お久しぶりです。
しかし霍乱氏入院ですか。もう少しゆっくりしてもいいのに。
ここは本当にいい意味でのSS馬鹿がいて嬉しいなあ。
あと、ザク氏寮費950円ていいなあ。
9万円もぼったくられてる俺からすると羨ましい。
仕送り18万じゃとても生活出来なくてアルバイト辛い。

>ザク
勇者ハーメルや妖鳳王サイザーというキャラは知りませんが楽しみました。
ドラゴンボール争奪戦の予感?グリフィスが一星球を取り出すところでなんとなくワラタ

>鬼の霍乱
オリバの特性を熟知してますね。どんな時でもまたーり感が漂っているのが好き。
いや、もう文章とか特に問題ないですよ。パソコンで書いているのと変わりないです。

514 :ザク ◆3JowPutE8k :2005/03/29(火) 14:56:33 ID:mc3t/zlE0
うはwww国家試験落ちたwww入寮どころじゃねwww







1年間フリーターか・・・orz
まぁSS書いてくのには最適な環境ではあるが。

515 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 15:52:14 ID:xAJDYMML0
ザクさん頑張れ。
試験は残念だけどこれからのパワーアップは本当に楽しみだ。
いや、俺は本当にいい意味でのSS馬鹿が大好きだ。

516 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 16:07:48 ID:QDNVHaXrO
残念でしたねザクさん。
まあ医療ミスするよりかはマシだよwww
一年間勉学に励むんですね。

517 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 17:35:45 ID:DS/Ii5O+0
ザクさんと鬼の霍乱さん、お久しぶりと思ったら…
片や入院されてて、方や試験落ちたのか。

お二人のSS好きなのですが、お体と勉強を優先させて
これからも頑張って下さい。

518 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 21:13:44 ID:IVlDt1qQ0
ていうかザク、ほとんど勉強してなかった、とか言ってなかったっけ?
まあネタだったのかも知れんが、御愁傷様だ
生活に困らない程度にバイトして、気が向いたらSSに力を回してくれ

519 :◆89aIROQ50M :2005/03/29(火) 21:56:50 ID:6oGVNKJuO
身の回りで色々有りまして、随分と遅れてしまいました。

>>261からの続き、第三十三話です。
「キャラとか覚えねてねーよボケが」という方は、御手数ですがSSまとめサイトの方を御参照下さい。
では、4つUPします。

520 :バキ外伝デス・ゲーム第三十三話:2005/03/29(火) 22:06:56 ID:6oGVNKJuO
うつ伏せに倒れているパトリックを見やり、独歩が座り込んだ。
全身が痛く、呼吸も苦しい。しかし、それでもなお『楽しい』と思える闘いだった。
一休みしたらビールでも一杯やりたい、そんな気分だった。
勝利の余韻に浸る独歩。……何か…妙な音が聞こえた。稽古場の外、廊下から重い『何か』を引きずるような音が。
音は少しづつ、ゆっくりとこちらに近づいている。
この稽古場を出ると、前と左右に廊下がある。
左手の突き当たりに館長室、右手にはエレベーターと備品室の扉が向かい合っており、、突き当たりに応接間。そして…正面の階段、音はそちらから聞こえていた。
ズルリ、ザザッ、ズルリ、ゴトッ、ズッ。
『危険』を感じとり、独歩がダメージの残る体を無理やり立たせて、引き戸の2m前まで歩く。
そうしている間にも音はどんどん接近を続けている。この稽古場の引き戸まで、後……8m…7m…5…4…3…2…1。
ガラァッ
開く数瞬前に、既に独歩が動いていた。先手を取る為の一撃。必倒の威力の上段突きが真っ直ぐに、正確に放たれていた。
しかし、それはすんでのところで急ブレーキを掛けられた。
その射線上にあったモノは、克己の顔。その目には生気が無く、顔には幾つもの痣が有った。
克己の顔の数十センチ斜め上、そこには来訪者・死刑囚ドリアンの眩しい笑顔が有った。
こちらは口と鼻から少量の出血をしていたが、克己に比べればほぼ無傷と言えた。
要するに、ドリアンが克己の首根っこを掴んで引きずって来た。ただ、それだけの事だ。
「…ウチの息子が世話になったみてぇだな」あくまでも構えを解かず、独歩が睨みつけて言った。
「ほら、カツミ君。パパの所まで連れて来てあげたよ」
ぐい、と克己を顔の元まで持ち上げるドリアン。
「パパに助けを求めたらどうだい?」
ドリアンが弾けたように笑いだした。
独歩の拳がみしり、と音を鳴らす。顔面血管が浮かび上がり、目には『殺意』を露骨に表していた。
「ハハハハハハハ……!!!」高笑いを続けるドリアン。と、その笑いに低いドスの効いた呟きが混じった。
「ターイム……」
ぼそりと声がした瞬間、ドリアンの後頭部に二本の腕が廻る。
「リミットォ!!」
克己の頭突きが、ぐちゃり、とドリアンの顔面にめり込んだ。

521 :バキ外伝第三十三話続き :2005/03/29(火) 22:11:46 ID:6oGVNKJuO
ドリアンの鼻からアーチを描くように吹き出した血が、ビチャビチャと稽古場の板張りの床を汚す。
ドリアンに掴まれている襟首を支点にし、克己の体が凄まじい速さでコマの様に回転する。
「セイイイイッ!!!」右の蹴りが、ドリアンの顔面を横から薙払うように蹴り飛ばした。
意識ごと蹴り飛ばしてしまうような蹴りだった。
「ヌゥッ…!!」突然の反撃と、予想外の蹴りの威力に、ドリアンの右膝が床に着く。
手は未だ襟首を掴んだままだったが、膝を着けた事により克己が着地してしまう。
そのミスにドリアンが気付いた時には、克己の左膝が既に顎へ襲い掛かっていた。
ガチン!!と歯が噛み合わされる音と、柔らかい何かが千切れる音が響く。
同時に襟首を掴む手から、フッと力が抜け、克己が拘束から脱出する。
更に追撃の正拳を叩きこもうと構えた瞬間、猛烈な悪寒を感じて克己が飛び退く。
その一瞬後に、先ほど克己の顔面があった位置を、轟音と共にドリアンの左掌底が通過した。
「…あんた、素人じゃなさそうだな」
「昔、少しばかり中国拳法をかじっただけさ」
克己の問いを半分誤魔化して、ドリアンが口から血とブヨブヨした何かを吐き捨てた。それは、舌の先端だった。
「今日は味見だけだ……目的は別にある。あの時、手榴弾を投げた者を見たかね?」
ドリアンの言う『あの時』とは、闘技場で全員が対面した時の事だ。
「あぁ?」突拍子も無い発言に、面食らった克己の出せた声は、それだけだった。
「お楽しみは後にとっておく性格でね。その人物に…コレの借りを返したい」
言うなり、ドリアンがパーカーをめくり上げる。分厚い筋肉を纏わせた上半身を、醜い火傷と破片の傷跡が埋め尽くしていた。
「なるほどねぇ。いいだろう。手榴弾を投げた奴の特徴は――――」

「…ありがとう…礼といっては何だが……プレゼントがあるんだ」
喋りながら、ドリアンがポケットから金属製の小さな水筒とジッポーを取り出した。
ドリアンが水筒の中身を口に含み、口元へやったライターの蓋を開ける。

シャクン!

小気味良い金属音が響き、ライターが点火される。
「どけろっ!!克己ィィッ!!」怒声と共に独歩が克己を突き飛ばした。
それと同時に、ドリアンの口から吹き出された液体が炎に引火し、巨大な炎が独歩を飲み込んだ。

522 :バキ外伝第三十四話:2005/03/29(火) 22:16:58 ID:6oGVNKJuO
襲いかかった炎の中心に、台風の目のような空間が二つ出来た。
その空間は手の動きに合わせて、炎を喰い荒らしながら広がっていく。
独歩の体を覆い尽くそうとしていた炎はあっと言う間に掻き消え、霧散した。
一瞬の出来事だった。端から見れば、独歩の周囲に不可視の結界が生じたように見えただろう。
「マワシウケ……か。ハハッ、期待通りだな」
微笑みながら、ドリアンが水筒を独歩へ投げた。ぶつける、というより渡すように。
「次に来る時まで…預かっていてくれたまえ」独歩が受け取ったのを見て、微笑みながらドリアンが言った。
と、独歩の後ろで一部始終を見ていた克己が、独歩から水筒をもぎ取るように奪った。
「あんた、俺との決着がまだだぜ?」克己が不敵な笑みを浮かべる。
「いいだろう…マスター独歩のオードブルとしては上出来だ」そう言って、ドリアンが振り返って稽古場を後に……しようとした時。

ドッゴォォォン!!!!
下層階からの、とてつもない爆発音と振動がビル全体を貫いた。
「てめぇっ!!何しやがったあっっ!!」克己の怒声がドリアンへ飛ぶ。
「私ではないっ!!」克己達に怒鳴り返し、ドリアンが階段へ駆けていった。
「親父はここで待ってろ!俺が見てくる!!」ドリアンの後を追うように克己も稽古場を出ていった。

現場である、神心会ビルロビー。到着した克己が見た光景は、正に地獄絵図としか言いようの無いものだった。
粉塵や煙がもうもうと立ちこめ、柱や壁は破壊され尽くし、火薬と血の匂いが鼻を強烈に刺す。
広いロビーには、百人近い門下生達が血と肉片の海に沈んでいた。…その大半は、五体のいずれかを欠損していた。
半数以上は既に息絶えているのが一目でわかった。
顔面や心臓に、瓦礫が突き刺さっている者、頭部が半分以上吹き飛んでいる者。
四肢が千切れ、大量の出血をしているにも関わらず、ぴくりとも動かない者。
余りの凄惨さに、駆けつけた門下生達と克己は放心状態になっていた。が、負傷者達の呻き声で我に返る。
「救急車と警察だっ!!早く電話しろ!」克己の一喝で門下生達が慌ただしく救護と通報に動き出す。
「おい、誰だ?誰がこんな事しやがった?」比較的軽傷の者に克己が声を掛ける。
「…中年の…外国人です……短髪で…多分…死刑囚とは別の…」

523 :バキ外伝第三十四話続き:2005/03/29(火) 22:20:01 ID:6oGVNKJuO
弱々しく、絞り出すような声で門下生が答えた。
(どこに行ったかは……見ちゃいねえだろうな)
すっくと克己が立ち上がり、短く舌打ちをして外へ走り去っていった。

約5時間後の午後6時ごろ、都内のある廃ビル。近隣からは「幽霊ビル」と呼ばれ、度々良からぬ連中が屯する事で有名だった。
その2階、かつては雀荘がテナントとして入っていた階で、今は数台の椅子と卓を残し荒れ放題の室内、その隅に一人の男が佇んでいた。
割れた窓ガラスから差し込む車のヘッドライトが、時折広い室内を照らす。
男の格好は、緑のサバイバルベスト、下には茶色の迷彩柄のズボン。足元には大きなドラムバッグが置かれていた。

そこへ、もう一人の男が割れたガラスの破片を踏み歩きながら入って来た。
「探したぜぇ……プルシコフ、だったか?」愚地 克己だった。その目は怒りの為か、真っ赤に血走っていた。
「ヒヒ、どうだった?壮観だったろう!?ウジ虫どもがくたばってる姿は?」
ねっとりと絡みつくような声で、訪問者に男・プルシコフが答える。
「…てめぇで間違い無さそうだな」
吐き捨てるように言うと、克己がゆっくりとプルシコフに向かって歩き出した。両者の距離、凡そ10m。
「おっと、動くなよ。……幾ら素人でも、わかるだろ?」
薄暗い室内。プルシコフの手に握られた鈍い光を放つ物体から、赤い光線が克己の額へ伸びていた。
「レーザーポインター、って奴だ。脳みそ筋肉でも理解出来るだろ?この状況が」
ヒヒヒと下卑た笑いを漏らしながら、光線を頭、喉、心臓へ弄ぶように移動させる。
「腐れ外道が…っ!」
さすがの克己も、これにはどうしようも無かった。食いしばった唇から、ツゥ、と血が流れる。
「どこが良い?頭か?心臓か?それとも股をブチ抜いてやろうか?……まずは…」
プシュ!
「…ぐっ!?」スプレーの様な噴射音と共に、弾丸が克己の肩口の肉を抉り、夥しい血が克己の銅着を濡らした。
「サイレンサーを付けてあるからなぁ、通報される事は無ぇよ」
楽しそうな声で、克己の狼狽振りを楽しむプルシコフ。
「弾も玩具も腐る程ある。さぁ……楽しもうぜぇ、空手家クン?」

524 :◆89aIROQ50M :2005/03/29(火) 22:27:27 ID:6oGVNKJuO
以上でUP終了です。
投げ出しを危惧させたしまったようで申し訳ないです。
今後の展開、キャラ設定等からバトルの決着方法まで、全てノートにまとめてあるので、投げ出しはしません。

>>264さん、モデル…というか、提に色んな中年キャラとパワー系キャラの特徴を混ぜた感じです。
提も後半で出るんですけどね(^_^;)。

525 :◆89aIROQ50M :2005/03/29(火) 22:33:54 ID:6oGVNKJuO
>>268さんの間違いです……orz

526 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 23:03:28 ID:xLIBmcE+0
526

527 :超格闘士大戦:2005/03/29(火) 23:04:22 ID:xLIBmcE+0
>>328の続き

528 :超格闘士大戦:2005/03/29(火) 23:06:00 ID:xLIBmcE+0
25話「暗黒期突入」
魔王軍と黄泉軍の戦闘は、膠着状態に陥っていた。互いが互いの攻撃に苦戦し、傷ついている。
後方にある魔王軍の砦からは、僅かに前線の様子が確認できていた。指揮官、フレイザードの目に
うつる、前線の戦いは、彼にとってなんとも退屈そうな戦いであった。自軍のモンスターが
苦戦している妖怪達の実力は、明らかに自分より低い事が目に見えていた。フレイザードは、
そばにいるザボエラに対して、一言、指揮官としてこう告げた。
 「埒が明かねぇ…ザボエラのじじいッ!俺達も行くぜ!」
氷炎将軍フレイザード。「禁呪法」という、特別な呪法を使い、魔軍司令ハドラーによって
産み出された「呪法生命体」である。それを産み出すには、まず元となる物質に「禁呪法」を浴びせる
という過程があるのだが、フレイザードの元になった物質はさだかではない。大方、炎と氷に関係の
あるものを使用したのだろう。先の、フレイザードの言葉のように、彼の実態は、血気盛んな戦闘狂、
そして性格は、残忍非道極まりない、まさに悪の鏡とも言える男だ。
「禁呪法」を使って産み出した生命体の性格は、自身を作り出した親の性格に似ることが多いと言う。
フレイザードの性格が、残忍非道極まりないものになった理由は、産み出した親がハドラーであること
に他ならない。親は、子に似るもの。それは、人間の世界でも、悪魔の世界でも同じことであった。
ともかく、フレイザードは、前線に向けて独断、単身で突撃を開始したのであった。
前線に近づくに連れて、フレイザードの、炎を司っている右半身が、メラメラと燃えさかりだした。
走りながら、握った炎の拳から、指を一本一本上げていくフレイザード。その指の先には、
風を受けても消えない、炎の弾丸が作られていた。フレイザードは、五指全てに宿ったその弾丸を、
前方に見える、妖怪達の群れに向けて射出した。
 「フィンガー・フレア・ボムズッッ!!」
氷炎将軍というだけあって、彼の使う技は全て、炎と氷に関わる物が多い。
彼が今、妖怪達に発射した技、「五指爆炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)」は
右手の指一本一本に、最強の炎系呪文のメラゾーマを作り出し、同時に発射するという荒業だ。
通常、魔法というものは、まずその魔法を司る精霊との契約を行い、その上で、自身の熟練度によって
習得していくものであるが、禁呪法で作られた化け物には、そんな常識は通用しなかった。
見習い魔法使いのポップが、得意呪文としているメラゾーマの、単純に計算して5倍の威力の炎に、
巨大な軍の「歩兵」でしかない者達が耐えられるわけもなく、次々と炭クズへと変わっていった。


529 :超格闘士大戦:2005/03/29(火) 23:07:09 ID:xLIBmcE+0
「このままじゃと、あやつ1人で妖怪共を突破できるかもしれんな…。最初からそうすれば
  よかったのう…」
フレイザードの快進撃を、後ろからトコトコとついてきているザボエラがそう評した。
まさに、その言葉通り、フレイザードは何万にも及ぶ妖怪の群れを、今にも突破して、
そのままエアーズロックに達してしまうほどの勢いだった。フレイザードの強さあっての結果であった。、
何より、周りに群れる両軍の「歩兵」達の不甲斐なさ過ぎる実力が、彼の快進撃を許している一番の要因だった。
魔王軍のモンスター達は、自軍の勝利を確信し始めた… その時 ………
誰もが『尋常ではない…』と思うであろう異変が、大陸全土に起こった。
その異変は、大陸にいる全ての生物にとって、あまりにも突然の出来事であった。
なんの前ぶれもなく、そしてどこからともなく鳴り響く轟音、地響き、地割れ。
轟音は、フレイザードの声を完全にかき消してしまう程に大きく、
大地の揺れは、計測すれば、M、7.0の地震並の強さであることが間違いないであろう猛烈なものであった。
尋常ではない事態に、さすがに歩みを止めたフレイザードが後ろを向くと、割れた大地の隙間に
多くの妖怪や、モンスター達が落下していく光景が目に入ってきた。すぐ目の前にいるザボエラは、
宙に浮いているために影響は少ないようだが、明らかに慌てふためいている様子が目に見えている。
 「い、一体…何が起きているんだ…」
この突然の異変に接していたのは、もちろんフレイザード達だけではない。
大陸にいる全ての生き物はもちろん、魔界、中国の五老峰、そして日本にも、この異変に気づき、
驚愕している者が多くいた。フレイザードが身を持って感じている「衝撃」とは違う、また別の
「衝撃」として、この異変を深く受け止めている者達が…。

 「こっ…これはッッ!!」
 「うおおおおッッ!?」
この轟音や地響きは当然、エアーズロックへいるアバン達の身にも感じられていた。
慌てふためくポップ達とは対照的に、アバンは神妙な表情を浮かべていた。
 「消えていく…」
 「え!?」
 「私がこの大陸に張り巡らせた聖なる魔法陣、マホカトールの効力が、何かの力にかき消されていく…!!」



530 :超格闘士大戦:2005/03/29(火) 23:08:37 ID:xLIBmcE+0
魔界…鬼眼城。

 「ミストバーン様、ついに結界が消えましてございます。さあ、はやく地上へ上がりくださいませ」
台座の間に居座っていたミストバーンは、門番のその報告を聞いたとたん、部屋のドアを突き破って
表へと飛び出した。鬼眼城は、魔界と人間界との界峡トンネルが見渡せる、高台の上に建てられていた。
ミストバーンは、この高台の上の城から、空を見上げて、宙に浮かぶ界峡トンネルの様子を、
来る日も来る日も伺っていた。今、いつもと同じように、空を見上げ、目に入ってきた界峡トンネルには、
一本の鮮やかな光の筋が走っていた。これは、魔界と人間界の間の結界が消滅し、道が完全に繋がったことを
意味していた。結界の効力が完全に無くなったことで、ミストバーン等の、強大な魔力を持った者も、
自由に人間界に、出入りすることが可能になったのだ。
 「ついにこの時が来た…。バーン様っっ!!あと少し…あと少しで、あなた様のこの御身体を
  再び蘇らせることが出来ますぞっっ!!」

中国…五老峰。

青銅聖闘士、ドラゴンの紫龍の師匠の老師が、この五老峰にある滝壷の近くにちょこんと座っている。
弟子である紫龍でさえ知らないが、この小さな老人は、聖闘士の中でも最強の、黄金聖闘士の1人、
天秤座、ライブラの黄金聖闘士である。しかし、彼の秘密はそれだけではない。彼はこの世の人間の中で
アテナの他にただ1人、オーストラリアで今起きている異変の正体を知る人物なのである。
 「結界が解けたか…。そして間もなく、奴も復活を遂げる…。それを防ぐか、人類が滅ぶか…。
  まさに正念場じゃな…」

日本…城戸邸。

アテナの生まれ変わりである、城戸沙織もまた、この異変に気づいていた。
東京郊外にある城戸邸の庭に、優雅なドレスを着た城戸沙織がいた。あたりには誰もいない。
ただ1人で、南の方を向いている。オーストラリアの方角である。
 「ついに…この時が来てしまった…皆既日食まで、時間がない…」

531 :超格闘士大戦:2005/03/29(火) 23:13:34 ID:xLIBmcE+0
轟音と地響きは、数分の後に収まり始めた。そして間もなくして、「ギアガの大穴」から1つの光が
飛び出した。それから十数秒後、また1つ、同じような光が飛び出した。2つの光は、
共にエアーズロックの方へと向っていった。1つはミストバーン。もう1つは妖怪達の棟梁、黄泉であった。
魔王軍の幹部は、「リリルーラ」という呪文を身につけている。この呪文は、遠く離れた仲間とも、
一瞬にして合流出来てしまうという優れものだ。地上に出た直後、ミストバーンはこの呪文を唱え、
同じ幹部であるフレイザードのもとへ一瞬にして現れた。消耗していた、魔王軍のモンスター達の士気は、
総大将の登場により、多少なりとも回復した。しかし、それは眼前の妖怪達も同じであった。
 「フレイザードよ、もうよい、下がれ。お前達は後ろの雑魚共の始末をしろ」
ミストバーンは、状況を聞こうとも、また自分が現れた理由も説明することもなく、フレイザードにそう
命じた。フレイザードは、少しばかり腑に落ちない表情を浮かべて、ミストバーンに反論する。
 「し、しかし…俺1人でも、ここは十分…」
 「では、今我らに向って来ている敵に、貴様は勝てるのか?」
 「は………?」
ミストバーンに指摘された通りに、フレイザードが前方に目を向けた。フレイザードの顔が瞬時に強張る。
その様子を見たミストバーンがふらっとフレイザードの横を素通りし、前方からの敵を迎え撃ちに行く。
言うまでも無く、その敵は妖怪達の棟梁、黄泉であった。
外見的には、すらっとしていて、顔は人間とあまり見分けがつかない。頭にあるいくつもの角と、
尻尾を除けば、人間として地上へいてもなんらおかしくないだろう。しかし、彼は紛れもなく、
妖怪一の妖力を持つ実力者なのである。余裕たっぷりに、フレイザードを制したミストバーンだったが、
実のところ、黄泉に勝てるとは思っていなかった。相手は、魔界一の魔力の持ち主と呼ばれた
かつての主、バーンを殺した男である。勝てる、とまでいかなくても、あわよくば相打ちぐらいには…
とうのが、ミストバーンの今の心境であった。というのも、ミストバーンの目標達成に、彼自身の命は
別段必要ないのだ。だから、例え黄泉に殺されたとしても、最悪それで良かった。目標さえ達成できれば。
出来ることなら、黄泉との対決の前に、目標を達成することが、ミストバーンにとって1番の好パターンであった。
しかし、もはやそれは不可能である。互いの距離は、じりじりと近づいていった。
そんな両雄の様子を、上空から見上げる男が1人…。冥王ゴルゴナである。
 「ミストバーンよ。残念だが、そなたの力では黄泉には勝てまい。だが、あの力を使えば…。
  私に見せてくれ!異魔神様の、新たな力になるであろう、魔界最強の男の肉体を!!」


532 :超格闘士大戦:2005/03/29(火) 23:16:15 ID:xLIBmcE+0
時が経つのははやいものですね。
頑張ります。続く。

533 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 23:32:23 ID:ywoTdFtM0
>ザク氏
最初騙りかと思ってみていたら、マジだったんですね。
確かにSS書くにはいい環境になったかもしれませんね(そうか?)
でも勉強も大事ですよ。

>鬼の霍乱氏
無事退院おめでとうございます。入院中はやはり携帯不可なんですね。
今回も楽しく読ませてもらいました。
バキもわざわざ瓶に名前書かなくてもいいのに(しかも飲む迄気付かないし)。
>(おそらくそれは本編でオリバとジャック以下自粛)
すいません。これ良く分かりませんでした。「オリバとジャックはまだ面識無いはずなのに
何で知ってるんだ?」という解釈でいいですか?

534 :作者の都合により名無しです:2005/03/29(火) 23:33:04 ID:ywoTdFtM0
>五さん
>>268です。堤も出ますか。丹波の敵討…って、そんなキャラじゃないか。
餓狼キャラ好きですが、バキキャラと違ってリアル世界に近いですから(松尾除く)
活躍させにくいかも。消力で壁破壊とかは出来ないだろうし(松尾除く)。
プルシコフはドリアンを、更に武器偏重にしたようなタイプですね。スパイ機関出身
ということは今後も隠し武器や罠とか出てくると期待していいですか?



>ブラキン氏
トップ同士の対決!! もっと引っ張るかと思ってましたが、こんなに早く実現するとは。
黄泉って原作では戦闘シーンが殆どありませんし、3巨頭(原作の方)の中でも力は低かった
ので、あまり強いイメージないですねえ・・・ミストバーンの凍れる時の秘宝(今も使えるの
でしょうか?)の方が強そうな感じ。

ところでバキは今頃どうしてるのでしょうか。

535 :作者の都合により名無しです:2005/03/30(水) 07:57:43 ID:Ls3E3vPs0
五さんとブラックキングさんもお帰りになりましたか。
春に向けて皆さん調子が上がってきましたねえ。

>デスゲーム
カツミン、やっぱりカマセ(というか引き立て役)か・・
一番すきなキャラなので活躍させてほしいなあ。原作では出番なさそうだしw

>超格闘士大戦
ダイキャラ大活躍ですね。ザボとフレイの卑劣なキャラが好き。
セイント軍団も本格的立ち上がりで、いよいよ展開が混沌としてきましたね。

536 :作者の都合により名無しです:2005/03/30(水) 11:04:05 ID:/w/k/t4xO
うはwwwwwwwwブラキンキターwwwwww

537 :作者の都合により名無しです:2005/03/30(水) 20:15:25 ID:CsM18x1g0
五氏とブラキン氏復活していよいよスレも雪解けだねえ
VSうみにん1985ローマ各氏もそろそろ復活を。
ところでディオの世界は投げだのか?>殺助(パオ)氏

538 :作者の都合により名無しです:2005/03/31(木) 00:14:54 ID:vHOe9GB4O
あとNB氏もな。
パオは忙しいみたいだし、まぁ生温い目で見てればいいかと。

539 :作者の都合により名無しです:2005/03/31(木) 10:23:39 ID:kTtE8R9UO
パオの遅筆(怠慢?)は今に始まったことじゃないしね。
ブラキンも「復活」というかいつも通りの更新速度だしな。

540 :作者の都合により名無しです:2005/03/31(木) 11:51:43 ID:miMkj4NZ0
そろそろ職人軍団が始動し始めたな。春だしね。
NBさんはもう2ヶ月くらいかかりそうだよね。ミドリさん元気かな。

しかし、パオさんVSさんうみにんさんはともかく1985さんは難しいだろ。
ローマさんはもうだめっぽいが。

541 :ふら〜り:2005/03/31(木) 18:00:39 ID:Tn7lGYsG0
>>ザクさん
三つ巴、どころではないこの割拠ぶり。ここまで敵陣営が豪華に入り組んでると、正直
途中でザクや刃牙が完全に死んで退場しても、充分面白くやっていけそうな。今回の面々
の中では、ちょっとラオウが威厳小な印象でした。も少し偉そうになって欲しいところ。

>>霍乱さん
とりあえずオリバ、バイクを置いとくのと投げるのとどちらが迷惑かっ、と突っ込んで。
周りの非常識ズに振り回されてる刃牙が、相変わらず良いですな。こういう人がいてこそ、
非常識ズが引き立ちます。あとジャックや勇次郎が携帯電話を使う図ってなかなか……。

>>五さん
冒頭の克己カッコいい! てっきりそのまま独歩VSドリアンにいくかと思いきや反撃!
と拍手した直後、やはり独歩に見せ場取られてますか。彼らしいというか。プルシコフは
また、イクとこまでイッてる様子。いっそ、克己とドリアンとで共闘してみたりして?

>>ブラックキングさん
自分の命が別段必要ない、って……いやはや何とも、問答無用な言葉。シチュによっては
熱いセリフなんですけど、彼が言うとひんやりしてます。ここでフレイザードが友情発揮、
彼の相討ち戦法を止めようとする、なんて展開を妄想したりしてますが。さてどうなる?

>>ザクさんに追加
人生山折り谷折りです。ここバキスレに来て「はぁ〜」と一息入れつつ、頑張りませう。
私も、まともに睡眠を得られる生活に復帰できれば、必ずやザクさんたちと共に一筆!


542 :蟲師 雨に流離う:2005/03/31(木) 19:22:20 ID:JDHKabuV0

 もう長いこと、この辺は雨が降っていない。
「……あちぃな」
 ギンコが、今にも消え入りそうな声でそう言った。森の小川も涸れていて、飲み水もない。
「この、水筒の分が最後か……どうする。飲んじまうか、それとも我慢して……ん?」
 突如、向こうの空から黒雲が迫る。明らかに、雨を降らせる雲であった。こんな急に雨雲
が現れるのはおかしいと思うのが普通であろうが、今の極限状態のギンコにはそこまで思
い至らなかったりした。ただ、雨が降るよう願うだけである。
「雨雲か……雨降らせてくれ」
 しかし、ギンコの願い空しく。雨雲は頭上を越えて行ってしまった。
「駄目か……しょうがない」
 ギンコはがっかりした様子で、水筒のフタを開け、大きく開けた口の中に水を流し込もうと
する。だが。
「……止まった?」
 ぴたりと。雨雲は少し離れた地点に足を止めたのである。そして次の瞬間。轟音と共に大粒
の雨が降り出した。
「うおっ! いっ、いきなりかよ!」
 まだ雲の尻尾に入っていたギンコの辺りにも、雨粒は注がれた。ギンコはとりあえず、雨を口
に入れ渇きを癒した。



543 :蟲師 雨に流離う:2005/03/31(木) 19:22:51 ID:JDHKabuV0

 暫く経って。雨は降り止む気配を見せない。まともな思考を取り戻したギンコは異変を感じ出
した。何故、この周辺では雨が降らなかったのか。何故、あれ程までに急激に雲が動いていた
のか。何故、これ程の量の雨が降らなかったのか――
「……そうか」
 ギンコは、外套を頭に被せ、大木の下から離れた。雲の中心部に向かう為に――

「やはり、いたか」
 稀に、雨を寄せる人がいるという。『雨男』とか言われる人種である。無論、根拠は乏しい話だ。
しかし、ある蟲がその人間に憑いた時、これは笑い話では済まなくなる。
「あんた達は、雨を寄せる故に一所に留まれなくなったもの達だな?」
「なんだい? あんた……ああ、蟲師かい」
 雨から身を守ろうともせず、ただ雨曝しになるのみの家族が、そこには在った。





544 :蟲師 雨に流離う:2005/03/31(木) 19:23:23 ID:JDHKabuV0

「俺だけ木陰で悪いな。あんたら、大丈夫なのか?」
「ああ。この体になってから、雨水がまるで自分の体に欠けることの許されない部品みたいに感じ
られるようになってな」
 ギンコの問いに、一家の長らしき男が答えた。
「……さぞ、生き難いことだろう。俺もそうだが、何かを寄せる体質ってのは厄介なモンだ。俺は性
に合ってるからまだいいが、あんたらは憑かれる前までは普通に一所に根ざして生きていたんだ
ろ?」
「あんたは何を寄せるんだい?」
 俺は蟲さ。蟲を寄せる。ギンコはそう言った。長は、蟲かい……と漏らし頷いた後、
「雨を寄せるなんざ、いいことじゃあないな……たまに雨乞いとかで呼ばれるが、俺たちさえいなきゃ、
そんなことする必要すらない。俺たちのせいで、この辺りでは平等に雨が廻らん。だから、度々場所
を変え、出来る限り水が涸れる地域が出ぬようにしてる。だが……」
「それにも、限界がある」
 ギンコの言葉に長は頷き、
「その通りだ。事実、あんたの体はほんの少し前まで水が足りていなかっただろう。何故分かる、という
顔してるな。分かるんだ。何故か、こうなってからはな。この辺に住む人も、皆あんたと似たような状態
だったさ」
 人間は機械と違う。そうそう都合よくは動けない。それゆえ、紛れも出る。
「今はまだいいが……真夏は悲惨だ。少しでもこちらの対応が遅れると、数千数万という人の命が危う
くなる。乾いた空気、枯れる植物、そして、涸れる水――そこは、人間に限らず、生物の存在が許され
ぬ地と化してしまう」
 この一家は――ギンコは、家族の運命の過酷さを想った。普通に暮らしていたのに、ある日を境に周
辺一帯の生物達の命綱を握ることになった。その余りの落差は、ギンコに無償の正義感を煽るに十分な
ものであった。
「気付いたことがある」
 ギンコが、そう言った。



545 :蟲師 雨に流離う:2005/03/31(木) 19:24:19 ID:JDHKabuV0
浜中さん、Lばんやるのか(ローカルネタですいません)

今回の話は当初8話に予定していたものとは違います。ぶっちゃけ昨日温泉入ってるとき考え付いたものです。
どちらかといえば、こっちの方が面白いと思ったので。

これは『雨男』の究極進化系ですね。退化かもしれませんが。

>>489
人生悲喜こもごもですよ。

>>490
はい。完全に終らせる気はなく、なんか思いついたら書くこともあろうかと思います。
ただ、連載という形式ではやめようかな、と。
次の連載ネタは、またマイナーでコアなファンが付いてそうな某天才の作品。
真のオンリーワンってのは、あの人みたいな人のことを言うのだろうな。

>>491
もっけも今日中には第一回終らせようかなあ……もう一本だけネタがあるんですが。

>>494
ミギーっぽいんですか。岩明先生尊敬してますが、寄生獣は一巻しか読んでないというなにその矛盾。
あと、よく言われてることみたいなんですが、もっけってのはいかに爺さんを活躍させないかに懸かってる
作品なんでwそれはまあ、心がけようかな、と。
しんどいんですけどね。民俗学とかほとんど知らずに書いてるんで……

では次回。もし今夜もっけ上げられたら、その時はこのコメント書きません。次回の蟲師にまわします。

546 :作者の都合により名無しです:2005/03/31(木) 20:21:31 ID:T0z8GUBu0
お疲れ様ですゲロさん。
新章のスタートですか。蟲師シリーズは好きなので、続くのは嬉しいです。
でも蟲って天候すら左右するのかwそれを祓うギンコもすごいな。
原作、昔ちょっとだけ読んだだけですが、一度腰を据えて読んでみます。

547 :作者の都合により名無しです:2005/03/31(木) 21:23:36 ID:iemNq5Qu0
蟲師新作おめ
雨男がテーマですか。いろんな事思いつきますなあ。
蟲に引かれる男と雨に引かれる男が引き合うのも縁ですな。
ギンコの閃きでヒキはいいね。

548 :虹のかなた:皇紀2665/04/01(金) 03:12:44 ID:VkXhl1wY0
ごきげんよう、皆様。
>>345からの続きです。


一時限と二時限の間の休み時間。三年松組の教室。
カシャッという音と共に突然目の前を覆った光に、祐巳は目を瞬いた。
気が付くと目の前には縁なし眼鏡をかけたクラスメイト。
写真部のエースから部長に昇格した武嶋蔦子さんが、カメラを構えている。
「元気ないようだけど?」
憂いを帯びた紅薔薇さまも良いけどね、なんて笑いながらまた一枚。
思わず笑ってしまった祐巳に、蔦子さんはにっこりと微笑んだ。
「でもやっぱ、祐巳さんは笑顔が一番映えるわね」
そうまで言われてしまっては、もう笑うしかない。
ここ数日ずっと自分の頭を占めていた思考を、とりあえず隅に追いやる。
「授業中もぼーっとしていたみたいだけど?」
あからさまではなく、あくまでさりげなく伝えられる心配はとてもありがたいけれど。
「ちょっと寝不足みたい」
苦笑しながら用意していた答えを返す。
寝不足気味なのは本当のこと。
でも、その理由は誰にも言えない。
『秘密』にすると、彼女たちと約束したから。

549 :虹のかなた:皇紀2665/04/01(金) 03:14:47 ID:VkXhl1wY0
沙織ちゃん達が“事情”を説明してくれるの今日の放課後。
あの古い温室で、ということになっている。
月曜日の放課後。
意識を失ったままの聖様は、とりあえず高等部の保健室にお運びした。
そうして薔薇の館へ由乃と瞳子に『聖様が倒れられた』と知らせに行ったりとバタバタしていた隙間を縫って、
祐巳は少しだけ彼女たちの事情を聞いた。
――――あの、突然現れた見知らぬ少女は、ホムンクルスという生物なのだそうだ。
ホムンクルスは元は人間だけど錬金術の力で人間ではなくなってしまっていて……人を主食とする生物で。
険しい顔でそう教えてくれた斗貴子さんはそれと戦う戦士で。
沙織ちゃんとジュネさんは縁あってそれをお手伝いしているのだと言う。
(――――本当の、事、なのだろうか)
彼女たちはそんな嘘を付くような子には見えない。
それに、何かに撃たれて大怪我をされた聖様を沙織ちゃんが治したのは事実で。
だから彼女達の話を疑うつもりはないのだけれど。
あの下級生とおぼしき子はどう見ても普通のリリアンの生徒にしか見えなかった。
そして――――錬金術。戦士。ホムンクルス。――――不思議な、目に見えない力。
存在を曖昧にしか捉えていなかったそれらが一気に現実に浸食してきて、何を信じて良いのか迷いそうになって
しまう。
それでも、祐巳は決めたのだ。
彼女達との約束を守ることで、大切な人たちを巻き込まないようにしようと。
保健室にお運びして一時間ほどすると、総勢六名が見守る中、聖様は無事に目覚められた。
倒れられた前後の記憶はないようで少し混乱してらしたけど、意識ははっきりと持たれていて、『貧血のようね』と
いう保険の先生の言葉を怪訝な顔をされながらも受け入れられた様だった。
当然、自分の身に何が起きたのかは全くわからなかったようで。
さすがに勘の良い聖様も、まさか自分がリリアンの制服を着た謎の生物に殺されかかった挙げ句、美少女超能力者
に助けれらたとは思い至らないだろう。
聖様はその後、『送る』という祐巳達をやんわりと振り切ってお一人で帰って行かれた。
ちなみに『優お兄様を呼んで車で送らせましょうか』という瞳子の申し出は速攻で却下されてしまった。
まぁ、祐巳が聖様でも同じ反応をしていただろう。

550 :虹のかなた:皇紀2665/04/01(金) 03:16:41 ID:VkXhl1wY0
祐巳はといえば、帰宅してすぐに志摩子さんに電話して、聖様が倒れられたことを伝えて。
その後は夕食も食べずに部屋に引きこもっていた。
頭が現実についていけなくて、とにかく一人になって考えたかった。
そうして一晩中あれこれと考えた結果、彼女達を信じることに決めたのだ。
この現実を受け入れるのは怖いけれど、祐巳はもう、『巻き込まれて』しまったそうだし。
何を信じて良いのかわからないのなら、自分の見た現実と沙織ちゃんの笑顔を信じてみよう。
そしてとりあえずは、彼女達にもう少し詳しい話を聞いて…祐巳は祐巳に出来ることをやろう。
ある意味開き直りなのだろうけど、これが最善のような気がした。
心の方はとりあえずそれで落ち着いたのだけど、一睡も出来なかった祐巳は相当に非道い顔をしていたのだろう。
翌朝、心配した両親から学校を休むことを勧められるはめになった。
それでも山百合会の仕事があるから行くと言い張ると、なぜだか祐麒が祐巳を学校まで送ってくれる事になっていた。
自他共に認める程祐巳にそっくりな弟は年子だけど同学年で、リリアン女学園と同じ丘に建つ花寺学院という男子校
に通っている。
祐麒はそうは言っていなかったけど、あの日、多分彼は遅刻してしまったと思うのだけど…。
……花寺では、「姉を学校まで送る」という遅刻の理由は認められているのだろうか。

「祐巳さん。次、移動教室よ」
いつのまにか教科書を抱えた蔦子さんが扉の前に移動していた。
「あっ。ごめん!」
慌てて教科書を引っ張り出し、蔦子さんに駆け寄る。次の時間は音楽だ。
並んで廊下を歩きながら、蔦子さんが「そういえば」と切り出した。
「今日の放課後辺り、真美さんが取材に来るかもしれないわよ」
「取材?」
由乃と同じクラスの真美さんは新聞部の部長だ。
恐らく、高等部の校内新聞である“リリアンかわらばん”に載せる記事の為の取材だろうけど。
「新入生歓迎会の出し物はまだ決まってないし…。話題になるようなことなんて思い当たらないけど…」
「やっぱ知らないのね」
眉をひそめる祐巳に、蔦子さんは心持ち声を小さくして教えてくれた。
「ここ数日、ある噂が流れてるのよ」
祐巳の怪訝な顔を受けて、キラリと蔦子さんの眼鏡が反射する。
「紅薔薇革命は起こるか否か、って噂がね」
「紅薔薇革命?!」

551 :虹のかなた:皇紀2665/04/01(金) 03:18:06 ID:VkXhl1wY0
「主に二年生を中心に流れている噂らしいんだけど…。噂の中心人物が知らないなんて、祐巳さんらしいと言うかなんと言うか…」
そう言って蔦子さんは苦笑した。
仕方ないじゃない。ここ数日、噂に気を配る余裕なんてなかったんだもの。
“紅薔薇革命”とは、多分、一年生の時に由乃が起こした“黄薔薇革命”をもじったモノだとは想像が付くけど。
ちなみに“黄薔薇革命”とは、由乃がお姉様にロザリオを突き返し、お姉様との姉妹関係を解消した事件のことだ。
妹から離縁するなんて前代未聞の出来事で、高等部中を巻き込んだ大騒ぎに発展した。
結局、由乃と令様は無事に復縁されて騒ぎも収まったんだけど。
この“黄薔薇革命”といい“妹オーディション”といい、本年度の黄薔薇さまは前代未聞の代名詞のような人物だ。
それにしても“紅薔薇革命”ってことは…。
「祐巳さん、最近ある一年生と仲がいいでしょう?」
そう言われて思い浮かぶ一年生は二人いるけど。
「…もしかして、沙織ちゃん?」
「正解」
「少しだけ山百合会の仕事を手伝ってもらってるだけだよ?」
「どんな縁で?」
どんな縁。
真っ正面からそう聞かれると、返答に困る。
偶然、古い温室で会ってしまったり、薔薇の館に尋ねてきてくれたり。
『紅薔薇さまに興味がある』なんて言われちゃったり。
……彼女が不思議な力を持っていることを知ってしまったり。
とにかく一言では説明しづらい縁なのだ。
…困った。蔦子さんに何て説明しよう。

552 :虹のかなた:皇紀2665/04/01(金) 03:18:59 ID:VkXhl1wY0
「お姉様!」
他の誰とも間違えようのない声に振り向くと、縦ロールを揺らした瞳子がこちらに近寄ってくるところだった。
グットタイミング。偶然にしろ姉のピンチを救ってくれるなんて妹の鑑。
なんて姉馬鹿丸出しのことを思っていたのに。
「何て顔してるんです。その締まらない顔を早く立て直してください」
なんて言われてしまった。
瞳子は、かわいいけれどかわいくない妹だ。…かわいくないところもかわいいなんて思ったりしてしまっている
から始末に負えないのだけど。
「明日の事なんですけど…」
そうだ。明日の日曜日は瞳子とデートの約束をしているんだ。
チラッと時間を確認すると、もうすぐ次に授業が始まってしまう時間だった。
「今は移動教室でちょっと時間がないから、後ででもいい?」
そう聞くと。
「はい」
かわいい妹は、珍しく満面の笑顔を見せてくれた。
その笑顔に、瞳子に秘密を持っていることが後ろめたくなってくる。
(瞳子のためでもあるんだから)
そう自分に言い訳して、罪悪感から目をそらす。
――――そんな自分の姿が、妹の目にどう映っているかなんて考えもせずに。
「そういえば、事務室に新しい人が来たらしいんだけど…」
瞳子と別れてから再開した蔦子さんの話は、先程までとは全く別な話題で。
隠れて胸を撫で下ろした祐巳は、蔦子さんの話を聞きながら早足に音楽室へと向かって行った。

553 :ミドリ ◆5k4Bd86fvo :皇紀2665/04/01(金) 03:34:20 ID:VkXhl1wY0
今回はここまでです。
次回は斗貴子さん視点で。

それではごきげんよう。

554 :作者の都合により名無しです:皇紀2665/04/01(金) 06:34:43 ID:4+huNUbq0
ミドリさまキタ〜〜〜( ゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚ )〜〜〜〜!!!

急展開と見せて緩やかに状況を組み立てる
こういった細かい描写は物語の厚みになって良い感じです
開き直りにも似た決断が祐巳らしいですね

>事務室の新しい人
もしや、ブラボーですかw

555 :作者の都合により名無しです:皇紀2665/04/01(金) 10:53:02 ID:GftYBgLz0
ミドリさんきたー!
ブラボーらしき人もキター!
しかし、激しい展開と萌え展開のアップダウンがすごいなあw

556 :作者の都合により名無しです:皇紀2665/04/01(金) 14:01:00 ID:ySjnwSKs0
>ゲロさん
雨男ですか。昔自分も言われました。とりあえず今回も悲惨な終わり方には
ならなそうですね。しかし温泉中でもねた考えるなんて誠実だなあ。

>ミドリさん
お久しぶりですミドリさん!お帰りになられて嬉しいです。
やっぱり祐巳に憂い顔は似合いませんね。彼女ではこの事件は手に負えませんがw

557 :作者の都合により名無しです:豆つぶドチビ暦2001/04/01(金) 23:33:28 ID:NN/FbAQy0
ミドリさんお久しぶりのごきげんよう
しかし、祐巳が主役のときは学園の危機の中でもまったりしてますね。
でも瞳子とデートって……w

558 :作者の都合により名無しです:豆つぶドチビ暦2001/04/02(土) 12:05:27 ID:lLHjUFwkO
ごきげんよう。
今回は普段より百合チックですね。
紅薔薇革命は、原作ではまず有り得なさそうなシチュエーションだけに、どんな
やり取りになるか楽しみです。

559 :ふら〜り:豆つぶドチビ暦2001年,2005/04/02(土) 15:15:46 ID:IXV/gt5S0
>>ゲロさん
雨男。いろんな作品でみるネタですが、辺り一帯の人々、いや全生物の生存を委ねられて
しまう……というのは初めて見る重さ。というか悲惨っぷり。普通は一緒に遊びに行くと、
雨に降られて迷惑って程度ですよねえ。雨と雨雲が付き纏うこの状況、何を閃いたか?

>>ミドリさん
さすが主人公というか、祐巳強い。困惑混乱してはいても、怯えてはいない様子。のみ
ならず、こんな状況で周囲を気遣っている辺りなかなかの器と見ました。あと「美少女超
能力者」呼ばわりされた二人、当の本人たちが聞いたらどんな顔するかな、とか考えたり。

560 :◆89aIROQ50M :2005/04/02(土) 18:47:24 ID:mHvpDcsgO
4つUPします。一旦克己戦は中断…。

561 :バキ外伝デス・ゲーム第三十五話:2005/04/02(土) 18:50:20 ID:mHvpDcsgO
克己とプルシコフが対峙する3時間前。
プロレスラーであり、最大トーナメント参加者・猪狩完至。彼もまた、常軌を逸した人間と対峙していた。
事の始まりは更に1時間程前。
久しぶりの休日、彼は自宅でのんびりと愛用のゴルフクラブの手入れをしていた。
そこへ携帯に連絡が入った。何でも仕事絡み、それもとびきりの上客が事務所を訪れているという。
その上客がどういうワケか、猪狩と話しがしたいと言いだした。事務所で会いたいらしい。
全く身に覚えは無いが、大方テレビ局の人間だろう。一儲けのチャンスかもしれん。
そう考えて、一時間後に彼は事務所にやって来た。いや、『来てしまった』。

十畳程度のやや手狭な応接間。中央に据えられたガラス製のテーブルの上には、同じくガラス製の大きな丸い灰皿。
それを挟む布地のソファー。
そこに、猪狩と上等そうなスーツに身を包んだ『上客』が向かい合って座っていた。
室内に居るのはこの2人だけでは無い。『上客』の背後には体格の良い黒服…黒人三人・白人二人・アジア系一人の六人が、微動だにせず立っていた。

「…英国の大富豪が私に何の用で?」
リングの上とは違い、商談では極力丁寧語。猪狩の顔の一つだ。
「ええ、アントニオ猪狩さんでは無く、『猪狩完至』さんに頼みがありまして」
(…俺個人に、頼みだと?この外人、何を考えてやがる?)ふつふつと湧き上がる疑念と警戒心を抑えこみ、会話を繋ぐ。
「頼み、と言うと?」
「ええ…最大トーナメント、でしたか?準々決勝までお進みになられてましたね」
(何だと?この野郎、なんで知ってやがるんだ)何かがおかしい。これはまっとうな商談なのか?
「で…、あなたの『強さ』を試したいんですよ。そこで…………」
端正な顔立ちをした金髪の『上客』は、一旦間を置いた。無表情だったが、笑いを噛み殺しているようにも見えた。

「…あなたをリンチさせて頂きたい」
『上客』シーザー・クワイツが、呟くように言った。

562 :第三十五話続き:2005/04/02(土) 18:52:27 ID:mHvpDcsgO
猪狩は耳を疑った。当たり前だ。初対面の人間に向かって『リンチさせてくれ』などのたまう人間など有り得ない。
「な、何を言ってるんだ?」
「…発音が悪かったかな?もう一度言おう。『リンチさせて頂きたい』」
(…こいつ、まともじゃねぇっ!!)
瞬時に思考を戦闘モードに切り替える。黒服全員を相手にするのはキツいが、若い衆を呼べばなんなく叩き出せるだろう。
「面白い事言うな。悪いが、素人相手でも手加減しねぇぜ」
猪狩が笑みを作った。プロレスラーとして客に見せる笑顔では無く、『キラー』としての殺気を全面に出した笑顔だった。
「悪いが、あなたは無抵抗でいてもらう」猪狩の殺気を意に介せず、淡々と返すシーザー。
「…てめぇ、どういう事だ」
戦略構築を済ませ、若い衆を呼ぼうとした瞬間、猪狩は出鼻を挫かれた。
「あなたが少しでも抵抗したら、私がこの団体を潰す。さらにあなたの家も仕事も全て奪い、刑務所送りにする。
つまり、あなたの人生全てを奪う。私が警察も看守も囚人も買収して、あなたは獄中でひっそりと死ぬ事になる」
あくまでも無表情のまま、シーザーは一気に喋った。
「な…そ、そんな事…」完全に、猪狩は思考も体も固まった。余りの理不尽さに、余りの絶望に。
「そう。『そんな事』が私には可能だ。……やれ」
黒服達が懐から警棒を取り出す。床に叩きつけるように振り抜くと、格納されていた柄部分が一気に伸びた。
ニタニタと笑いながら、白人・黒人の黒服達が警棒を携え、猪狩に歩み寄っていく。
そして、猪狩の右脇に立った一人が左手の警棒を振り下ろした。
とっさに猪狩が右腕で頭部を庇う。右腕にビリビリと痺れと激痛が走った。
左脇に立つ黒服が猪狩の脇腹を思いきり蹴飛ばした。
猪狩の巨体がソファーから転げ落ちる。そこへ顔面へのトーキック。
鼻骨が潰れ、鼻血が吹き出した。同時に背中へ警棒の一撃。追い討ちに腹へ蹴りが入る。
「ゴボェェッッ!!」
猪狩が胃の内容物をぶちまけた。

563 :第三十六話:2005/04/02(土) 18:54:03 ID:mHvpDcsgO
執拗な暴力は続く。大柄な黒人が猪狩の髪を掴み、引きずり起こした。体ごと振り回し、顔面を壁に叩きつける。
「ぶぇあっ!!」
血が飛び散り、猪狩の顔面の骨にヒビが入る。
警棒で腕を殴り、鳩尾を蹴り、顔面を殴り、拳で顎を打ち抜き、背中を踏みつける。
ガゴッ!!ドボォッ!!グシャッ!!ゴカッ!!ズンッ!!

「ど、どうしたんスか!猪狩さん!」
騒音を聞きつけ二人の若手レスラーが飛び込んで来た。
「や、やめろぉ…!手出し…はする…な」
口からゴボゴボと血の泡を吹き出しながら、猪狩が制した。
「み、見てらんねぇっスよ!!」
猪狩の悲惨な姿に、たまらず二人の若手が飛び出した。と、今まで事態を静観していた一人の黒服が立ちふさがる。
「どけっ!!」若手二人が黒服を退かせる為に腕を突き出した…が。
ドッ!ズバァン…!
黒服が右肘で若手一人のこめかみを打ち、その回転力で左ハイをもう一人に叩き込む。二人がほぼ同時に崩れ落ちた。
「さすが、元『ムエタイ五冠王』だな?チャモアン」
シーザーが、チャモアンと呼ばれたアジア系の黒服を見やる。
「続けましょうか、猪狩さん?」再び暴行が始まる。幾度も幾度も殴り、蹴り、叩きつける。
30分程経ち、そこには真っ赤なボロ切れのようになった猪狩がいた。その手元へ、黒服の一人が警棒を投げた。
「……猪狩さん、チャンスをあげよう。それを使ってチャモアンと闘いなさい。勝てば、リンチは終了だ」
「…あ…がっ」ずりずりと芋虫の様に体を動かし、警棒を掴んで必死に猪狩が立ち上がる。チャモアンは構える事さえせず、猪狩を見据えていた。
(馬鹿が)
猪狩は内心ほくそ笑んでいた。体はボロボロだが、それでも自分の強さは真剣(シュート)なら、表の格闘家じゃトップクラスだ。
警棒を握り締め、実際のダメージ以上の演技をしながらヨロヨロと近づく。
(死ねっ!!)残る体力全てを爆発させ、猪狩が襲いかかった。

564 :第三十六話続き:2005/04/02(土) 18:56:04 ID:mHvpDcsgO
黒服達がざわめく。あれだけ思う様打ち据えたのに、まだ力を残していたとは。
「ダアアアアッ!!」
絶叫して猪狩が警棒を突き出した。チャモアンの左目を狙い真っ直ぐに、全力で。
後数センチという所で警棒を黒い影が薙払う。ギインッ!と金属音がし、警棒が宙を舞った。
ハイで警棒を払われたのだ。次いで猪狩の右腿へ衝撃。
『テッ・ラーン』。下段の蹴りだ。がくんと猪狩の膝が沈む。後頭部を掴まれ、急に視界が床へ。
そこへ硬く重い膝が何度も顔面へ叩き込まれ、その度に猪狩の頭が上下した。
三発、四発、五発、六発、七発、八発、九発。
…十発目の膝。猪狩の頭が跳ね上がった所へ、唐突にチャモアンの肘が縦に一閃。
「ぎゃあぁぁっ!!」
額から顎まで縦真一文字に切り裂かれ、鮮血を吹き出しながら猪狩がのけぞった。
(…こっ、ここで負けたら…殺されちまう!!)
猪狩が上体を一気に起こし、右のナックルアローを放つ。
チャモアンの体がくるん、と背を向けるように右回転し、猪狩の右脇へ移動した。
渾身のナックルアローが外れ、猪狩がつんのめる。
その後頭部へ鉄杭の様な肘が叩き込まれた。
めきりと頭蓋骨が軋む音。猪狩が崩れ落ち、動かなくなった。
『ソーク・クラブ』。
身をよじり攻撃を回避しつつ、敵側面へ移動。更に後頭部に肘の一撃。攻防一体の技だ。

「負け、だね。猪狩さん。……やれ」
今度はチャモアンも加わり、再び猪狩は暴力の嵐へ投げ出された。
(勝ってもリンチを辞めるつもりは無かったんだが…準々決勝でこの程度か。今度はベスト4から選ぶかな)
一部始終を退屈そうに眺めながら、シーザーはそうぼんやりと思った。

瀕死の猪狩が救急車で搬送されたのは、更に一時間後の事であった。

565 :◆89aIROQ50M :2005/04/02(土) 19:00:06 ID:mHvpDcsgO
終了です。次回より、再び克己戦に話は戻ります。


566 :作者の都合により名無しです:2005/04/02(土) 20:26:58 ID:QcYzsciZ0
猪狩ヘタれてるなあw
結構ファンな俺としてはちょっとショックだけど、
克己に期待。彼はかっこよく書いてね。
いつも携帯からお疲れさんです5さん。

567 :Z戦士への入門:2005/04/02(土) 21:28:04 ID:W/LTxbV20
同日、夕日が沈みかかりカラスがカァカァ鳴いたら帰りゃんせといった時刻。
松本梢江は学校から自宅への帰り道をトボトボ歩きながら考えていた。
思い悩む事はただ一つ、
「はぁ・・・なんであんな風になっちゃったかなぁ・・・刃牙君」
恋人である範馬刃牙の事だった、溜め息を漏らしながら一人呟く梢江。
もちろんそんな事は考えるまでも無く自分が原因なのだが、あそこまで極端に走るとは思わなかった。
(元に戻ってくれ、とは言わないけど、いくらなんでもアレはちょっとねぇ・・・)
オタ街道一直線に爆走する刃牙をなんとか・・・ほんの僅かでも良い世間一般の常識というものを理解するぐらいには
更正できんものかと色々考えてみたものの、結局何も思い浮かばないまま彼女は自宅に帰り着いた。

「ただいま〜、ってアレ?」
梢江は自宅に帰ってすぐに玄関の様子がいつもと違う事に気が付いた。

――男物の靴が二足ある。

ひとつはよく見知ったボロボロの運動靴、恐らく刃牙が食いぶちに困り夕飯をたかりに来たのだろう。
これはよくはある事だ、今さら珍しくもなんとも無い。
気になるのはそんな刃牙の靴よりも一回り大きい、使い古された感の有る実にシンプルな形状の黒い靴。
母娘二人で住む松本家では、範馬刃牙という根無し草以外に男客が尋ねてくる事など滅多に無い。
「あら、おかえり梢江」
「ねえ、お母さん刃牙君の他に誰か来てるの?」
「ええ、と〜っても素敵なお客様が来てるわよ、居間に居らっしゃるから梢江も早くご挨拶して来なさいな」
「へぇ、珍しいねこんな時間に、私の知ってる人?」
そう言ってカバンを置き居間に向かおうとすると―

568 :Z戦士への入門:2005/04/02(土) 21:29:37 ID:W/LTxbV20
♪ロマンティックあげ〜るよ〜♪

物凄く聞き覚えのある歌詞のフレーズが聞こえてきた。
ドアに手をかけた所でピタリと立ち止まる梢江。
「なんか物凄く嫌な予感がするんだけど・・・」
正直開けたくない―が、開けないと何が起こってるの分からない。
そう思いドアを開けようとした瞬間―
「斗ッ!!」
「ひぃッッ!!」
いきなりドアをブチ破って正拳突きが飛んできた。
鼻先まで突っ込んできた拳を超人的な反射神経で避ける梢江
「な、ななななななッ!」
「む・・・・・ああ、なんだ梢江さんか」
烈海王だった。
「もう!ダメじゃないか烈さん、エンディングはちゃんと最後まで見なきゃ!・・・あ、おかえり梢江ちゃん」
あわや顔面陥没しかけた彼女の心配そっちのけで飄々と烈の後ろから顔を出してくる刃牙。
「な、なななにしてるんですかッ!なにやってるんですかッ!なんのつもりですかァッッ!!?」
「いや、不穏な気配を感じたモノで、つい・・・レッドリボン軍が攻めてきたのではと思ってな」
「不穏な気配って、ココあたしの家なんですけど・・・・」
我が家で闖入者扱いされ撲殺されそうになった梢江がもっともな言葉を返す。
良く見れば烈と刃牙二人揃って上半身丸裸で怪しげなデカイ甲羅を背中に背負っている。
更に破壊されたドアの向こうではダンベルやサンドバッグ等のトレーニング器機が縦横無尽に設置されてる上に壁には余すところ無く
ドラゴンボールのポスターが貼られていた、そしてTVからはEDテーマの「ロマンティックをあげるよ」が終わり既に次回予告が始まっている。
・・・・・目を覆いたくなるほど超絶的異次元な光景に思わず立ちくらむ家主の梢江。

「ええと・・・色々と突っ込み所が有り過ぎて、逆に何から言っていいのか分からないけれど一つだけ言っとくわ」
一拍間を置き改めて変わり果てた我が家を見渡す梢江
「・・・・・ここはあたしの家だよね?」
静かに問いかける梢江の言葉に思わず場がシンと静まりかえる。
一分程の静寂のあと刃牙が口を開いた。

569 :Z戦士への入門:2005/04/02(土) 21:30:40 ID:W/LTxbV20
「さて・・・と、そろそろ次の回が始まるね烈さん、再放送だから一気に二話放送なんだ、あー忙し」
「うむ、次回はいよいよ悟空がマッスルタワーに乗り込むからな、ハッチャンとの友情は見逃せん」
何事も無かったかのように完璧シカトで居間に戻ろうとする烈と刃牙。
「ちょ、ちょっと!二人とも何無視しようとしてんのよッ!!質問に答えなさいよ!!」
見事な程空気扱いされた梢江が必死に引きとめに入る。
「いや、だってドラゴンボールが・・・・」
「そんなモン再放送なんだからいつだって見れるでしょうに!っていうか言葉通じてんならまず普通にコミュニケーションを取ろうとしなさいよッ!」
家を改装された挙句、恋人とのコミュニケーションを拒否してアニメを優先する刃牙に梢江の血管は最早ブチ切れる一歩手前である。
「むぅ、再放送だからいつでも見れるというのは聞きずてならんぞ梢江さん」
そんな刃牙と梢江の痴話(?)喧嘩に烈が心外だと言わんばかりに横槍を入れてきた。
「ドラゴンボール程のアニメになると版権云々等のしがらみで再放送するのも骨なのだ、特に無印版は我々コアな世代しか人気がない為中々・・・」
「烈さんは黙ってて!!!?っていうか・・・・なんで烈さんがココにいるの!?」
「だいぶ遅いなその質問、まぁいいや、その事なんだけどさ・・・」
梢江の今更ながらの疑問に刃牙は隣にいる烈にチラリと目線を配った。
「うむ、急な話だが今日からこの家に居候する事になってな」
「は!?ちょッ・・・それってどういう・・・」
「いや心配されるな梢江さん、諸事情有って金銭的な家計の手助けこそ出来んが住まわせて頂くからには、それ相応の労働で応えるつもりだ」
「いや、そういう事じゃなくってッ!」
「大丈夫だよ梢江ちゃん、俺も今日からココで寝泊りするからさ」
「だからそういう事じゃなくって!!」
困惑する梢江に意図的にか肝心な事をはぐらかそうとする烈と刃牙、気がつけばスピーカーから「摩訶不思議アドベンチャー!」が流れていた。

「なんでいきなりそういう話になってるのよ!?ちゃんと一から説明して!!」

570 :Z戦士 ◆YvMQSqnLNo :2005/04/02(土) 21:32:27 ID:W/LTxbV20
またまた間が空いて申し訳ないですが投下終了です。
大体の先の展開は考えているのですが、どうにも上手く文がまとまらず試行錯誤しております。

571 : ◆.0e0wEv5W6 :2005/04/03(日) 00:43:22 ID:41DwmVDE0 ?#
ナガスwwww

572 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 01:44:51 ID:J61A5/PEO
夜も遅くに今晩は。
投下させていただきます。

573 :鬼の霍乱 第5話:2005/04/03(日) 01:51:12 ID:J61A5/PEO
第4話>>507より

玄関のチャイムがなったようだ。ふと、柱の時計を見やるとまだ午前4時。珍しい。
こんな時間に客とは。客ならば出なければなるまい。ここでは取り次ぎのボーイなど
いないのだから。
「ふぅ。」
一呼吸して、読みかけの小説に栞を挟みテーブル…ここではチャブダイといったか…の上に置いた。
現在、私は仕事で日本に滞在している。いつもなら最高の部屋と最高のサービスを
受けられる最高のホテルを選んでそこで仕事の時を待つのだが、今回は違った。
サービスなど一切無く、ベッドメイクから食事の準備までなんでも自分でやる、
そんな環境もたまには味わいたくなる。そんな気まぐれと私の趣向で今回の現場である日本の、
とりわけ和風で日本庭園の付いたある程度広い一軒家を探した。そして、見つけた中でも
私が最高に気に入った家を買い取って、久々の不便を堪能している。
ドア…襖…を引いて廊下に出る。何度となく、やかましいくらいにチャイムが
押されている。余程短気な輩が訪ねて来たのだろう。一体誰か。今回の仕事関係の客だろうか?
いや、警察ならなんの連絡も無しに直接私に会いにくる事はないだろう。
ましてや仕事の対象なら呼びつけることは有っても訪ねてくる事など絶対有りはしない。
私程の者の都合を考えず、このような日も昇りきらない時間に訪ねてくる、しかも短気な輩。
一人、思い当たりがある。というか、まあ彼しかいないだろう。
玄関に辿り着き。
「今、開けよう。」
引き戸の向こうの彼にそう声をかけ、カチリ、と鍵を開け、カララ、と玄関の戸を引く。
古めかしい引き戸に現代の鍵。和、というものに興味がありここを選んだのだが、
こういった細々とした所で興が削がれる。便利ではあるのだが。


574 :鬼の霍乱 第5話:2005/04/03(日) 01:59:36 ID:J61A5/PEO
「フン。」
やはり。開いた戸の先にある、筋肉質の巨体。予想通りの顔。男はケッ、と吐き捨て。
「地上最自由生物ともあろう男がこんなしみったれた建物に隠居たぁどういう了見。」
ニタニタと笑いながらこんな事を言ってきた。…言ってくれる。この私に対して隠居とは。
とりあえず、こちらも笑顔を作る。
「フフ、私が隠居とは…。君こそ隠居でもするのかね。しみったれた建物と言うのならば
そのしみったれた戸を破壊して入るのが地上最強の生物だろう?。」
「フン、ならばこのしみったれたボロ家など真っ平にしてやろうか?」
買い言葉に買い言葉。まあ、挨拶のようなものだ。このまま言い争っててもいいのだが、
なにせ今は午前4時。いくら私とて、こんな時間から精力的にはなれない。さっさと
会話を切り上げて本題に入りたいところだ。
「それは困るな。この別荘は結構気に入っているものでね。」
一歩、退く。ここで、退きすぎないのがポイントだ。会話に値しない存在、
と確認するやいなや彼は私に襲いかかってくるだろう。それでも別に構いはしないのだが、
さっきも言ったように時間が時間なのでやる気が起きない。
「ならテメェごと潰して気に入ったも気に入らないも解らなくしてやろうか?
ビスケット・オリバ。」
「勘弁願いたいな。もっとも、私を喰うつもりならもうとっくに始めているだろう。
範馬勇次郎。」
「確かにな。今日はテメェを喰うような気分じゃねえ。だが…。」
「明日は分からんね。兎に角今朝はグッドモーニング、オハヨウ、だ勇次郎。」
「クク、喰われる気も無いくせによくそんな言葉が吐けるものだぜ。まあ、そうでなければ
喰い気は起きねぇ。とりあえずはお早う、オリバ。」


575 :鬼の霍乱 第5話:2005/04/03(日) 02:06:50 ID:J61A5/PEO
なんとも、長ったらしい挨拶だ。いつもはここまで長ったらしい挨拶などしないのだが、
相手…、地上最強の生物と呼ばれる、範馬勇次郎の機嫌にもよる。今回は随分とご機嫌のようだ。
その、他を寄せ付けようとしない空気とは裏腹に意外と彼は喋りたがる。
他人を寄せ付けようとはしないが、根は結構他人と関わり合いになりたがる男なのだろう。
「まあ、とりあえずあがりたまえ。」
クイ、と顎で奥の居間を指す。
「邪魔するぜ。」
そういって、上がり込む彼の手に握られているのは白いビニールの袋。食材だろうか?
私が彼の持ち物に気がいっているのを見て、彼はご満悦のようだ。
「珍味中の珍味、この世に2つとねぇ。」
どうやら自慢したかったが為に私のところへ来たらしい。
「調理場を借りるぜ。この俺の料理を喰えるんだ、いやとはいうまいな。」
言われるがままに台所を貸し、調理を彼が始めた時。
ピリリリリ、という音とともに、携帯に警察からの電話が入ってきた。


576 :鬼の霍乱 第5話:2005/04/03(日) 02:14:23 ID:J61A5/PEO
投下終了。
上手くまとまりません。
本当は既に解決の為にバキ達が頑張っているころだったはずなのですが。
ちなみに、前に入院した、と言ったのですが、入院していました、という意味です。
紛らわしくてすみません。
心配して下さって心底嬉しかったです。
ちなみに病院には電子機器を使える場所があったのらしいんですが、ここぞとばかりに
日がな食う寝るだけの自堕落生活をしていたため、携帯には触れもしませんでした。


577 :輪廻転生 最終章:2005/04/03(日) 08:18:29 ID:PtMLGz8N0
試合は確実に進んでいった。孫悟飯を初めとする強豪達は軽々と対戦相手を倒してのけた。そして
トランクスと悟天の対決が始まった。二人にとって対決はまだ小さかった時分から始まっていたのだ。
時には共闘した事もあった。だが今回はお互いの技を比べ合う時だった。開始早々、トランクスが仕掛けた。
蹴りと突きのコンビネーション。そして悟天は返しの胴回し蹴り。攻撃の応酬が続く中、トランクスは最速で最小の
動き、つまり全身の関節を連動させたストレートを放ち悟天に勝利する。

選手控え室にてーーー
「へぇ、精進したじゃないか。トランクスの奴。」ヤムチャが呟いた。
トランクスの力、そのものは自分より遥かに上である。だが彼は経験が浅い。強敵と戦って来たとはいえ
正直十数年しか生きて来ていない子供に対して濃厚な精神性を求めるのは無理がある。
策略ならこちらの方が上だ。彼の父親、つまりベジータを悔しがらせるのには絶好のいい機会だろう。


578 :輪廻転生 最終章:2005/04/03(日) 08:19:28 ID:PtMLGz8N0
「少年の部、決勝戦! ヤムチャ選手VSトランクス選手ー!」
ヤムチャは先に武舞台へと上がった。ここで自分の技術を見せ付けてやる。非現実的な力を持つ者を
策略で凡人が倒す。ヘタレが達人に勝つ。
ヤムチャの目にトランクスの姿が見えた。
「ヤムチャさん。俺に提案があるんですが。」トランクスが言った。
「何だ?」ヤムチャが聞いた。
「現実的な試合としましょう。こっちも変身はしない。あなたも気弾や舞空術は使わない。」
「ほぅ。若いのに色々考えてるじゃないか。感心。感心。」
「両者とも離れて!」審判が叫ぶ。
「向かい合って・・・・始め!」

ヤムチャの目にトランクスが踏み込んでくるのが見えた。自分の目にも見えるようなスピードで踏み込んでくる。
相手の拳が動いた直後にヤムチャはジャブを放ち相手の手首に当てた。
「ん?」トランクスが呟いた。
「不思議だろう?」ヤムチャが言った。
力の差は歴然としている。通常ヤムチャの攻撃を受けてもトランクスは全くダメージを受けない。
だが今回は違った。手首に痣が出来ていたのだ。
「まさか・・・ウーブの時と・・・同じ・・。」トランクスが呟いた。
「そのまさかさ!」ヤムチャが叫んだ。
トランクスは後頭部に鈍器で殴られた様な衝撃を覚えた。ヤムチャの相手の背中に沿って放つハイが
頭に当たったのだ。膝から崩れ落ちるトランクス。そしてカウントが取られた。

579 :輪廻転生 最終章:2005/04/03(日) 08:20:25 ID:PtMLGz8N0
「こうまでしないと現実的な試合にならないだろ?」ヤムチャが呟いた。
「少年の部、優勝者はヤムチャ選手ー!」審判が叫んだ。
歓声と拍手を送る観衆。そして総立ちになってヤムチャを見るブルマ達。
「信じられん。トランクスの気はヤムチャの気を完全に上回っていた。後の先、つまりカウンター
を取られてもトランクスの耐久力なら心配ない。それがなぜ?」亀仙人が呟いた。
「どうもあいつの手なんじゃないかな?あいつの手に触れたら相手は力が出せなくなっちまう。
厄介だぜ。」クリリンが呟いた。

「ヤムチャ選手にインタビューをしてみましょう。大人の部に参加したいですか?」審判がヤムチャに尋ねた。
大人の部への編入。つまり孫悟飯への挑戦。その先にあるモノは宇宙最強の座を駆けた戦闘。
「もちろんです。」ヤムチャは答えた。

580 :輪廻転生 最終章:2005/04/03(日) 08:21:13 ID:PtMLGz8N0
医務室にてーーー
「早く、氷を!酸素マスクの用意を!」医師が叫んだ。
二つのベッドに寝かされているのは二人の少年だった。一人はモヒカンであり、もう一人は薄い紫色の髪
をしていた。ウーブとトランクスである。
「一体何が・・・。」ブルマは慌てていた。
「奥様。息子さんの容態は脳に異常を起しています。恐らく植物人間の状態になっているでしょう。」医師が言った。
「そんな!」
ブルマは顔を手で覆い隠すとその場にしゃがみ込んだ。泣き出しそうなのを必死で抑えている。
「悟飯に勝ってもらうしかないな。いくらなんでも仲間をこんなにしてただですむはずがない。」クリリンが呟いた。

「大人の部、決勝戦!ヤムチャ選手VS孫 悟飯選手!」審判が叫んだ。
強くなる為に人を捨てた者と生まれつき強い者の闘いが幕を開けようとしていた。

今回の投稿はこれで終わりです。

581 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 09:53:09 ID:ZoMJlvuVO
ゴミが大量に投下されたな

582 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 10:13:09 ID:4fQXp+Tf0
復活ブームだな。良い事だ。
職人の方々、負担にならない程度に頑張って下さい。

>デスゲーム
チャモアンって、確か原作で勇次郎に指二本で負けた相手だったっけ?w
しかし五さんはムエタイの技よく知ってるな。相当の格闘技マニアと見た。

>Z戦士
すっごいお久しぶりです。列先生がボケキャラとして定着していますな。
しかし列、そのまま梢江殺っちゃえば良かったのに。ツメ甘いなあw

>鬼の霍乱
オリバと勇次郎は夢の頂点対決なので、出来ればブツかって欲しかった気も。
まあ勇次郎圧勝でしょうが。しかし、体だけは大切にして下さいね。

>輪廻転生
久しぶり。しばらく来なかったんでチョット気にしてました。復帰乙です。
しかしトランクスマッハ突きかよw次のカードも結果見えすぎてるなw


もうひとつ位で次スレかな?


583 :ベリメロン:2005/04/03(日) 10:34:31 ID:ht8vtWo40
ごみってなんのことだ?
>>581

584 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 10:38:02 ID:4fQXp+Tf0
>>583
スルー汁

585 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 15:34:24 ID:jyam+vvz0
>>582
テンプレ作成なんかであわただしくなるだろうから、1作品待つことなく次スレ移行してもいいと思う。
当然、まだ投下されたばかりのSS群に感想がつくだろうからもうちょっと待った方がいいだろうけど。

テンプレ作成はきみと>>586以降にまかせる

586 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 20:33:43 ID:5CxhAXmn0
・五さん
猪狩は引き立て役のかませがお約束か。あの狡猾さが好きなんだけどな…
バキキャラ以外は知らないのが多いけど、熱闘激闘を楽しみにしてます。

・Z戦士さん
ロマンティックあげるよ。は名曲だよね!烈やバキが蛸ほって置いて
熱中するのもわかる。烈とバキが原作以上に仲がいいのに笑った。

・霍乱さん
オリバと勇次郎が戦えば勇次郎勝つだろうけど、俺はオリバを応援するな。
萌えオリバに食わせる勇次郎の手料理、さぞかしすごいものがw

・草薙さん
そういや、ヤムチャが主役なんだよなこの作品。色々出たんで忘れてたw
しかし御飯が相手か。厳しいな。敗北の美学をヤムチャには演じて欲しい。

みなさんお疲れさまっす。テンプレ作ったんで投下します。





587 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 20:34:36 ID:5CxhAXmn0
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart25【創作】

元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇
SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart24【創作】
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1109081660/
まとめサイト 
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm



588 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 20:35:28 ID:5CxhAXmn0
※ほぼ連載開始・復活順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室(VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ドラえもん のび太の地底出来杉帝国(うみにん氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dekisugi/01.htm
4×5・AoB(ユル氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/4x5/1-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/yuru/03-1.htm
ラーメンマン青年記(パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/ra-men/01.htm
ザク(ザク氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/zaku/01-raou.htm
超格闘士大戦(ブラックキング氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kakuto/01.htm
ディオの世界(殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
輪廻転生・オーガのリング(草薙氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/rinnne/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kusanagi/o-01.htm
のび太と大ローマ(名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ro-ma/00.htm
虹のかなた(ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm


589 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 20:36:12 ID:5CxhAXmn0
蟲師・もっけ ウブイワイ(ゲロ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/musisi/01-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/gero/mo-01.htm
オムニバスSS劇場(バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
ギャグSS日和・殺人鬼とオーガの鬼事(サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/samasa/02-1.htm
忍者の証(青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/aopi/01.htm
『犬と猫』(サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dog&cat/01.htm
バキ外伝 デスゲーム(五氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/death/01.htm
Z戦士への入門(Z戦士氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/z-fighter/01.htm
鬼の霍乱(名無し氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/oni/01.htm


590 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 20:42:09 ID:5CxhAXmn0
多分間違いないと思うけど。

もっけと鬼の霍乱を追加。終了作品と「空手小公子 克己」を削除。
克己は2ヶ月以上連絡ない為。
ローマも迷ったけど、とりあえず連絡は一ヶ月ほど前にあったので入れました。

591 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 21:20:06 ID:5CxhAXmn0
ついでに立てといた。ちょっと先走ったかな?

【2次】漫画SS総合スレへようこそpart25【創作】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1112530647/l50


592 :作者の都合により名無しです:2005/04/03(日) 23:36:59 ID:0QhhD9hi0
この週末の投稿ではZ戦士の復活が印象的だったな。
大阪漫才のようなノリの作品は割と好きだから、このテンションで書いていくのは難しいかも
しれないけれども、頑張って欲しいな。



593 :作者の都合により名無しです:2005/11/02(水) 01:47:13 ID:zvDj2E4O0
テスト

594 :停止しました。。。:停止
真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ

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