5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.4

1 :作者の都合により名無しです:2005/11/17(木) 23:52:10 ID:/h3j+Sl80
このスレは週刊少年ジャンプのキャラクターで所謂バトルロワイアルのパロディをしようという企画スレです。
これはあくまで二次創作企画であり、集英社や各作品の作者等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。

※ここはSS投下専用スレになります。感想、議論は下のスレでお願いします。

ジャンプキャラ・バトルロワイアル感想議論スレ PART.7
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1131259789/l50
前スレ
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123891185/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1121088002/
ジャンプキャラ主人公&ヒロインバトルロワイアル
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1115216913/
ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1119971124/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル準備スレ PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1116767239/
ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1117638620/


2 :作者の都合により名無しです:2005/11/17(木) 23:52:35 ID:rHKxR4jk0
3/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /○中川圭一 /●大原大次郎
4/4【NARUTO】○うずまきナルト /○春野サクラ /○大蛇丸 /○奈良シカマル
3/4【DEATHNOTE】○夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /●火口卿介
4/4【BLEACH】○黒崎一護 /○藍染惣右介 /○更木剣八 /○朽木ルキア
4/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /○ニコ・ロビン /○ウソップ /●道化のバギー
3/4【銀魂】●坂田銀時 /●神楽 /○沖田総悟 /○志村新八
4/4【いちご100%】○真中淳平 /○西野つかさ /○東城綾 /○北大路さつき
3/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /●竜崎桜乃 /○跡部景吾 /○乾貞治
4/4【アイシールド21】○小早川瀬那 /○蛭魔妖一 /○姉崎まもり /○進清十郎
4/4【HUNTER×HUNTER 】○ゴン・フリークス /○ヒソカ /○キルア・ゾルディック /○クロロ・ルシルフル
4/5【武装錬金】○武藤カズキ /○津村斗貴子 /●防人衛(C・ブラボー) /○ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】●桜木花道 /●流川楓 /●赤木晴子 /●三井寿 /○仙道彰
4/4【北斗の拳】○ケンシロウ /○ラオウ /○アミバ /●リン
2/4【キャプテン翼】○大空翼 /●日向小次郎 /●石崎了 /○若島津健
4/4【キン肉マン】○キン肉スグル /○ウォーズマン /○ラーメンマン /○バッファローマン
4/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /○エリザベス・ジョースター(リサリサ) /○ブローノ・ブチャラティ
3/4【幽遊白書】○浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /●戸愚呂兄
2/4【遊戯王】○武藤遊戯 /●海馬瀬人 /●城之内克也 /○真崎杏子

3 :作者の都合により名無しです:2005/11/17(木) 23:53:10 ID:rHKxR4jk0
3/4【CITY HUNTER】●冴羽リョウ /○伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /○野上冴子
4/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /○マァム /○フレイザード
4/5【魁!!男塾】●剣桃太郎 /○伊達臣人 /○富樫源次 /○江田島平八 /○雷電
3/4【聖闘士星矢】○星矢 /●サガ /○一輝 /○デスマスク
4/4【るろうに剣心】○緋村剣心 /○志々雄真実 /○神谷薫 /○斎藤一
6/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○クリリン /○ブルマ /○桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
4/4【封神演義】○太公望 /○蘇妲己 /○竜吉公主 /○趙公明
3/4【地獄先生ぬ〜べ〜】○鵺野鳴介 /○玉藻京介 /○ゆきめ /●稲葉郷子
4/4【BLACK CAT】○トレイン・ハートネット /○イヴ /○スヴェン・ボルフィード /○リンスレット・ウォーカー
4/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】○ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /○ガラ /○ティア・ノート・ヨーコ
3/5【ジャングルの王者ターちゃん】○ターちゃん /●ヂェーン /●アナベベ /●ペドロ・カズマイヤー /○エテ吉
4/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /●勝利マン /○友情マン /○世直しマン
3/4【世紀末リーダー伝たけし!】○たけし /○ボンチュー /●ゴン蔵 /○マミー

104/130 (○生存/●死亡)

4 :作者の都合により名無しです:2005/11/17(木) 23:53:44 ID:rHKxR4jk0
まとめサイト
ttp://jumproyal.exblog.jp/
携帯まとめサイト (現在更新停止中)
ttp://www15.plala.or.jp/royale/
現在地&地図サイト
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/

5 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:01:09 ID:GwHY1ewEO
前投下スレで途中まで投下してしまいましたが、最初から投下し直します

6 :作者の都合により名無しです:2005/11/18(金) 00:01:37 ID:1NKkjjYr0
ワンピ、バギーが死んでるのに4/4になってる

7 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:01:56 ID:GwHY1ewEO

冒険を再開しますか?


>はい
 いいえ


ピッ


【AM5:54/鹿児島県川内(せんだい)、某日用品店内】


「なあ……ここ、本当に店なのか?なんで商品がこんなに少ないんだ?」
「表にデカい看板掲げてるじゃねぇか、間違いねえよ」

広い店内に一歩一歩奥へと足を進めながら物色している二人。
本来、ところ狭しと商品が陳列されているはずだったと思われる陳列棚はガランとしていて所々にぽつり、ぽつり、とたわいも無いガラクタ同然の日用品が寂しく配置されているだけである。

「う〜ん…主催者のやつらの手下が全部盗んでったんじゃねえのか?」
「手下…ねぇ。だったらもっと荒らされてる筈じゃないのか?床とかはきれいなもんだぞ?」

ゴミ一つ落ちていない床を見渡して首を捻るポップ。

「ん〜…ま、いいじゃねえか!考えてる時間がもったいねえよ。ほらほら!見てみろよこれなんか!(サランラップ)」
「ん?何だそれ?」
「ウオッホンッ!…これはどんな砲弾だろうが槍の一突きだろうが、…こうやって広げれば跳ね返すことが出来る!名付けて『ウソップ・バリ〜ア』だッ!!」
「メラ」
「うっウワッ!?何すんだ!!?熱ちっ!!!燃やすな〜っ!!!」

8 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:03:28 ID:GwHY1ewEO




【AM6:12/鹿児島県川内、某日用品店従業員控え室】

「…最悪だ…」
「18人か、確かに最悪だな…。ウソップも俺も仲間がみんな無事だったのが唯一の救いか…」

朝の放送を聞き終わるやいなや青ざめた顔でボソリとそう呟いたウソップに、ポップは眉を寄せて苛立ちを押さえているかのような低い声で返す。

「確かにそうなんだけどよ……違うんだ、違う『最悪』なんだ」
「ん?…どういう意味だ?」
「こんな短時間の内に…あのルフィと互角に戦ったって聞いてた能力者が死んじまったんだ…!」
「能力者?ウソップの言ってた例の『悪魔の実』ってやつか?」
「ああ。…楽観過ぎたかもしれねえ。ルフィもロビンも簡単に死ぬ訳が無え、って…。オレの勝手な思い込みだったみてぇだ…」
「……」

ポップは鉛筆を固く握りしめて目を瞑り歯を食いしばるウソップのその様子に言葉を飲み込む。

「……」
「そうだな。俺も…そうだったかもしれない。ダイも、マァムも、俺みたいなドジとは違って簡単にやられたりしない、って…でも…」

先ほどの放送が真実であれば、自身の危惧している大きな不安であるフレイザードはまだ生きている。
過去に戦った当時の強さのままならばフレイザードなどに現在の自分たちは負ける要素は無い。しかし…

9 :作者の都合により名無しです:2005/11/18(金) 00:04:21 ID:eY6orvnB0
支援

10 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:06:30 ID:rDFkSRs6O


「なあウソップ、例の材料…集まったか?」
「ん?いや、まだなんとも言えねぇよ。金属の類がいまいち集まらなかったし、おり……何だった?そんな聞いた事無いモンもどこにもありそうもないしなぁ…」
「そうか…」

ポップは考える。
自分たちには武器が無い。
あの名工、ロン・ベルクに作ってもらった自分の杖が無い。
最初の広間で見たダイも剣が奪われていた。
オリハルコンとまではいかなくとも、それなりに良い金属さえ手に入れば…もしかしたら武器が作れるかもしれない。
最初に集められたあれだけの人数の参加者、彼らの中にもしかしたら自分たちに合った武器を作れるほどの技量を持つ者がいるかもしれない。
ウソップには…

「……ん?何だ?」
…きっと無理だ。

「おい!ちょっと待て!何だその悲しげな目は!馬鹿にしてんのかぁッ!!」
「あ、いや、そんな事ねえよ。頼りにしてるぜ、相棒」
「ん?ガッハッハッ!おう!任せとけ任せとけぃっ!この天才の名を欲しいままにし!海の芸術家とさえ言われ!絶賛さr〜〜〜」




絶対無理だ。

11 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:07:52 ID:rDFkSRs6O



【AM7:26/鹿児島県出水(いずみ)、某一軒家】

「…よっ…と!」
「どうだった?床の下や屋根裏なんか探して、収穫あったのか?」
「まあまあ!慌てるな慌てるな!全く、この世界の家はスゲエなぁ。見た事の無い構造してやがるぜ。ま、大体の基本的なトコはオレの世界とおんなじみたいだけどな」
「へえ…ウソップって大工仕事もできるのか?詳しいもんだな」
「オレは狙撃手だ!ったく、みんなオレの事大工扱いしやがる!」
「違うのかよ?」

そのウソップの顔をのぞき見て笑顔を向けるポップ。
しかしウソップはどこか不満げに少し顔をしかめる。

「まあそれは置いといて…」
「ん?」
「……やっぱ変だぜこの世界。どう見たってこの家、新築って見た目じゃねえのに…屋根裏なんかきれいなもんだし」
「こまめに手入れしてたんじゃないのか?」
「ありえねえって。屋根裏だぞ?埃が溜まって汚れてるのが普通なのに…チリ一つ無かった」

汚れ一つ無い手のひらをポップに向ける。

「そうか…。確かに変だな」
「…ま、そのおかげで良い材料はいろいろ手に入ったぜ。時間が惜しいからな、早速始めるとすっか」
「時間はどれくらい掛かりそうなんだよ?」
「よいしょっ…と!う〜ん…そうだなぁ、何とか昼前には終わらせるよう努力はするぜ」

12 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:12:25 ID:rDFkSRs6O

「昼前か、長いな…」

放送があってから、仲間の身を案じる不安の気持ちはどんどん重なる一方である。
ウソップの提案であるとはいえ、移動の時間を大きく削られてしまう事にポップは不安を隠せず…マァムたちを探したい気持ちが膨らむ今、その『昼前まで』との宣告を受けて深いため息を吐く。

「…なあ、やっぱやめにして…出発しないか?」
「えっ?」
「別に俺は武器なんて無くても戦えるし、こんな事してる間にも…」
「信じろ」
「………え?」

不意に言葉を挟まれ、ポップは目をキョトンとさせてキッチンテーブルの上に座って作業の準備を続けているままのウソップに視線を向ける。

「オレは会った事無えからポップの仲間の事詳しくは知らねえ。でも、仲間なんだろ?お前の」
「…ああ」
「その…ダイとマァムってのは、すげぇ強いんだろ?」
「ああ」
「だったら信じろ。自分の仲間の強さを。オレはルフィとロビンの事を信じてる。あいつらに会えた時のために、今のオレに出来る事全てを完璧にやっておくだけだ」
「……」

ポップの方には顔を向けず、淡々と言葉を続ける。

「…じゃなきゃ、あいつらに合わせる顔がねえよ」
「………」
「それが……仲間ってもんだろ?」

そこで初めてポップの顔を見る。
その表情は…自信に満ちた笑顔。

「…そうだな…分かった。悪かったな」
「ま、力を蓄えとくんだな。ゆっくり飯食えるのも今の内だけかもしれねぇからな」

13 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:13:38 ID:rDFkSRs6O


ポップは正直、驚いていた。
この頼りなさげな相棒からまさかこのような言葉を受けるとは全く思っていなかった。
迷いや焦りは瞬時に吹き飛んだ。

(俺、どうにかしてたな。もしアバン先生だったとしても、同じような事言われちまったかもしれないな)


(…勘弁してくれよ!能力者が簡単にやられちまうような所なんだぞ!せっかく人が近寄り辛い禁止エリアの近くにいるんだ、急いで離れるこた無い。ルフィもロビンもきっとしっかりやってるさ!)

あさっての方を向いて作業を続けているウソップがそんな事を考えているとは、今のポップには気付けるはずも無かったわけで。


【AM10:43/鹿児島県出水、某一軒家のキッチン】

「よぉ〜し!完成っ!!」
「お、やっと終わったか!」

窓の外をぼんやりと眺めていたポップの顔がパッと明るくなり、ウソップの元へ歩み寄る。

「どれどれ……へぇぇ、お前凄いな」
「ようやく気付いたのかねポップ君。ほら、これがお前のだ」

ポイッと木製の棒のような物を投げられ、慌てた手つきで受け取る。

「取り外せる先端の中にナイフの刃を仕込んである杖だ。名付けて『仕込み杖(ナイフロッド)』!!」
「まんまじゃねえか。…へへ、ありがとよ。ありがたく使わせてもらうぜ」
「他にもいろいろ作れたが…ま、俺たちには必要無い物がほとんどだ。俺にはこいつがあるしな!」

14 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:14:47 ID:rDFkSRs6O

「なんだそりゃ?えらくイビツな形だなぁ」
「じゃ〜ん!パチンコだ!この世界にもウソップ輪ゴームが有るとは思わなかったぜ!」

その手に収まっている物は、ナイフで削って作られた胴体に軽く捻った輪ゴムの束をくくり付けられている…
見た目はいびつではあったが、それは確かにパチンコそのものであった。

「そんな物、武器になるのか?オモチャじゃねえか」
「ぬっふっふっふっ…甘いな。こいつこそ世界最強の武器!新作の弾も作れたし、これでもう俺様に恐れる物は無ぁ〜いッ!!」
「本当かよ…」

その新作、ガラスを小さく砕いて詰めた『特製チクチク星』と手頃な大きさの石ころ数個をポケットに詰め込み、残りの完成品をポイポイカプセルの中へと収める。

「よし、じゃあそろそろ出発しようぜ。だいぶ時間も食っちまったし」
「ち、ちょっと待て。俺が長年苦しめられている持病の『家の外に出てはいけない病』が…」

腹を押さえて苦しげにうめくウソップ。

「……おい、そんな病気聞いた事無いぞ。ほら!行くぞウソップ!」
「待て待てポップ!イテッ!ひ、引っ張るなって!イテテテッッ!!!」


はてさてこの楽しげなコンビ、一体これからどんな出会いや出来事が待っているのやら。




ここまでの冒険を記録しますか?

>はい
 いいえ

15 :ポップ・ウソップ冒険記:2005/11/18(金) 00:17:48 ID:rDFkSRs6O



【鹿児島県、出水/昼】

【ウソップ@ワンピース】
[状態]健康
[装備]:賢者のアクアマリン@ハンター×ハンター
:いびつなパチンコ(特製チクチク星×5、石数個)
:大量の輪ゴム
[道具]:荷物一式(食料・水、残り3/4)
:死者への往復葉書@ハンター×ハンター
:手作りの作品や集めたガラクタなどの数々
[思考]1:アイテムを信じて仲間を探す
2:ルフィ・ロビン・ポップの仲間との合流

【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]健康
[装備]:魔封環@幽遊白書
:ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用)
[道具]荷物一式(食料・水、残り3/4)
[思考]1:ダイ・マァム・ウソップの仲間との合流
2:フレイザードを早めに倒す

16 :大阪探索は波乱含み:2005/11/19(土) 23:05:10 ID:Mghim3D10
入り組んだ住宅街。一見するとごく普通の家々。
違うのは、きっと現実なら聞こえているだろう音が、何一つしないこと。
子供の声もしない。大人の声もしない。飼い犬の声も。野良猫の声も。車の声も。笑う声も。鳴く声も。
何の声も聞こえない。死んだように静まり返った街。
ひどく明るく穏やかな日差しの中で、何一つ動くもののない世界は、夜中以上に不気味に見えて、
遊戯は小さく身を震わせた。
「ここにも、誰もいないみたいだね…。」
ほっとしたような、落胆したような、力の無い声で呟く。この街に3人だけの唯一の声。

探索を始めてから3時間ほど。彼らは未だに、他の参加者と出会っていなかった。

「二人とも大丈夫?少し休もうか?」
先頭を歩くカズキは、前方を油断無く見回しながらも、心配そうに二人に声をかける。
「ううん、まだ大丈夫だよ!」
「わらわもまだ大丈夫よぉん。」
休んでいる暇はない。今この瞬間にも、誰かが襲われているかもしれないのに。
しかし言葉とは裏腹に、遊戯はかなりの無理をしていた。
この3時間、移動で歩き詰め、建物の上り下りも多い。
戦士であり元々運動の得意なカズキや、ある程度の修行を積んでいる妲己と違い、遊戯は体力があまり無いのだ。
その上、いつ襲われるかわからず、仲間も誰も見つからないという、精神的な疲労。
もしかして誰も居ないんじゃないか? みんな殺されてしまったんじゃ? 城之内くんのように―――。
不安。希望。落胆。絶望。恐怖。死。どれだけ否定して振り払っても、何度も同じことを考えてしまう。
平和な日常を生きてきた遊戯にとって、あまりにも強すぎる重圧。
体力の消耗は精神を、精神の消耗は体力を、更に少しずつ蝕んでいく。

(相棒。)
心配そうな彼の声。
(大丈夫、だよ。もう一人のボク。)
大丈夫じゃなきゃいけない。足手まといになるわけにはいかない。
これから先も、脱出できるまでは、まだまだこんな時間が続くのだ。
皆を守るためには、こんなくらいでへこたれているわけにはいかない。だから―――

17 :大阪探索は波乱含み2/6:2005/11/19(土) 23:07:31 ID:Mghim3D10


「うぷっ!」
疲れで少しぼんやりしていたらしい。立ち止まった妲己の背中にぶつかってしまった。
「ご、ごめんね妲己さ…」
そこまで言葉にしてから気付く。妲己が自分を見ることなく、前を見ていることを。
そう、ただ前だけを。前方、3人の前にあるものを…
遊戯は目を見開いた。

「う…わあぁぁっ!?」

それは紅い水たまり。血だまり。べっとりとした紅。その紅に沈む肉塊。人。人であったもの。なれの果て。
外側と中身が混ざり合った頭部を見れば、それが絶命していることは一目瞭然だった。
髪の長さから少女であろうことは見当が付くが、顔も半ば潰れてしまっている。
「……っ!」
胃を逆流するものを無理矢理押さえ込む。
あれは…人間!?本当に!?あんな…!
ぐるぐると渦巻く。死は知っていても、本物の死体など初めてだし、何よりこれは酷すぎる。
遊戯は真っ青な顔で口元を押さえ、ただ、立っているのが精一杯だった。


18 :大阪探索は波乱含み3/6:2005/11/19(土) 23:09:01 ID:Mghim3D10
一番最初に言葉を発したのはカズキだった。
「…どうして、こんなこと…!こんな子供まで…っ!」
絞り出すような、震える声。悲しみと怒りが滲んでいる。
そう言われて遊戯は初めて、少女の身体がとても小さいことに気付いた。
華奢な身体。血の気を失った肌。
きっと弱い自分よりも更に弱い少女。こんな子までが、どうしてこんな…。
「カズキちゃん…。」
妲己は口元に手を当て、涙を浮かべ、不安げにカズキを見つめる。
「……ごめん。二人とも、少し休んでて。俺は…この子を埋葬してから行くから…。」
「そう…。ごめんなさい、わらわは少し休ませてもらうわぁん…。」
遊戯は俯いていた顔を上げる。
青い顔のままだが、カズキを見つめ、確かな声で言った。
「…カズキくん。ボクにも手伝わせて。」
カズキは心配そうな顔をしたが、大丈夫かどうかは聞かなかった。
代わりに遊戯の目を見つめ、一度だけ強く頷いた。



ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。
死んだ街に穴を穿つ音だけが響く。
剣で。石で。
それぞれに。ただ、ただ一心に。

 

19 :大阪探索は波乱含み4/6:2005/11/19(土) 23:11:05 ID:Mghim3D10
どのくらいの時間が経っただろうか。
もうすぐ掘り終わるという頃、遊戯の身体が大きく傾いだ。
(相棒!)
「遊戯!?」
遊戯の体力と精神力が限界に来ていたのだ。
なんとか地面に倒れこむことは避けたが、誰の目から見ても無理は明らかだった。
「遊戯、妲己さんと少し休んでて。もうすぐ終わるから…。」
「でも…!」
(相棒!今倒れたら、守るものも守れないぜ!)
「…わかった。少しだけ、休ませてもらうね…。」
遊戯はややふらついた足取りで、家の影で待つ妲己の元へと向かった。
自分の無力さを情けなく感じながら。

遊戯はカズキと妲己を守りたいと願う。
けれど、自分はお荷物、きっと守られてしまう側だろう。
カズキと妲己どころか、自分より弱いあの少女すら守れない。
カズキはこの大阪探索で、遊戯と妲己を守るために、常に先頭に立って歩いていた。
きっとカズキは、遊戯を守り続けるだろう。彼が弱者である限り、自分の身さえ厭わず。
自分には力が無い。そのことがひたすらに歯痒い。
優しさ。勇気。強い心。それだけが遊戯の持つもの。
しかしそれだけでは誰かを守れない。守られてしまう。
力が欲しい。傷つけるためじゃなく、杏子や海馬くんを、カズキくんを、妲己さんを、
あの少女のような参加者を、みんなを守れる力が。


すぐそこの曲がり角、家の影へ。そこに妲己が居る。居るはずだった。
「…あれ?」
辺りを見回す。目に入るのは、誰も居ない住宅街だけ。
「……妲己さん…?」

20 :大阪探索は波乱含み5/6:2005/11/19(土) 23:12:18 ID:Mghim3D10
無造作に落とされていた紙を拾い上げる。
『”黒の章”人間の闇の部分を記録したビデオ』
妲己の目の前にあるテレビ。
そこに映し出されているものは、最低最悪のビデオ。この世で最も残酷で非道な人間の姿。
「ふぅん…なかなか良い趣味ねぇん。」
妲己は小さく微笑した。ビデオの中の人間よりも、遥かに邪悪に。

埋葬を手伝うつもりなどさらさら無く、悲しんだフリをして休んでいた妲己は、ふと声に気付いた。
微かにだが確かに聞こえる声。静かな街から聞こえる声。そして、何か違和感を感じる声。
妲己は最初、複数の参加者が何か言い争っているのだと思っていたが、次第に妙なことに気付いた。
数分経つごとに、声が全く別人たちのものになるのだ。
どう考えても、交互に話しているというような替わり方ではない。
そう、まるで切り替わったように。
まだしばらく作業が終わらないことを確認し、妲己は声の方へ向かうことにした。

「まぁまぁってところねぇん。」
しばし鑑賞してから、妲己はテープと霊界テレビをそこにあったポイポイカプセルに詰める。
脱出するにしにも、優勝するにしても、使える道具は多い方がいい。
まぁ、お土産ってことでもなかなかいいわよねぇん。
なかなか楽しいものを見た妲己は、上機嫌で民家を後にした。



もうすぐ、2度目の放送が流れる。

21 :大阪探索は波乱含み6/6:2005/11/19(土) 23:17:26 ID:Mghim3D10
【妲己ちゃんと愉快な武藤達】
【大阪住宅街/昼】

【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)、黒の章@幽遊白書、霊界テレビ@幽遊白書
 [思考]:1 二人のところへ戻る。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集める。
      3 太公望、竜吉公主、趙公明から自分の本性を明かされるのを防ぎたいが、
        本性がバレても可能ならば説得して脱出のため協力し合う。
      4 どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。 可能なら太公望や仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる。

【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 少女を埋葬する。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      5 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。

【武藤遊戯@遊戯王】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 妲己がいないことで困惑。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。
 [闇遊戯の思考]:妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。

22 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:33:49 ID:kJo3RtHr0

――拝啓おふくろ様
  ご無沙汰しております。最後にお会いしてから、もう六年になりますね。
 それというのも、便りが無いのはなんとやら、という言葉にあやかろうと思い立ったからです。愚かな考えではありますが。
――ごめんなさい、嘘です。
  ユズもカリンも元気にしています。ヒゲはぶっちゃけ元気すぎで迷惑です。
 さて、バカ息子一護の近況をお話いたします。 何の因果か、今、オレはクソッタレな殺し合いゲームに巻き込まれています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

23 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:34:21 ID:kJo3RtHr0

「次から次へと…この天は余程、このアミバの才を妬んでいるとみえる」

 アミバは、目の前に現れた巨漢、江田島平八に対して語りかけた。
その身を包むものは余裕。己が才に対する絶対の自信。独学で北斗神拳すら会得した、天賦の才をもつものとして
このような場で死ぬことなどありえないという確信。先は子供二人相手に不覚を取ったが、同じ過ちを繰り返すような愚は
このアミバには有り得ない!!

 ――実際、一護の秘孔を突くために拳銃を腰に仕舞ったという行動自体が悪手ではあったが、生憎、今の時点では
アミバがそれに気づくことは無かった。

「貴様…そこの二人に何をした?」
 江田島は問いかける。静かな声で。だが、その声音は抑えきれない怒気を孕んで。
「黒髪の餓鬼は、この天才が我がアミバ流北斗神拳の新たなる一歩のための実験体になってもらった。
 オレンジの方も、これから実験体になってもらうつもりだ。何、運がよければ死ぬことは無い。いや、
 死んだとしても、この天才の糧になれたと思えば、むしろ喜ぶべきことだとは思わんかね?」
 アミバは感心していた。目の前の男が放つ威圧感に。
アミバは慢心していた。圧倒的に有利な立場に居る自分を自覚して。
アミバには自信があった。自分の溢れんばかりの才能に対して。
アミバには過信があった。自分の溢れんばかりの才能に対して。

 江田島の目の前に居るのは男。名をアミバ。この男が行っているのは、闘いではない。
無力な者を嬲り、踏みつけ、己を誇示することになんの躊躇も無い行動。これは闘いではない。
江田島の頭に、一瞬、死んだ男塾一号生筆頭の顔がよぎる。それは、一瞬の回想。

 桃よ。日本男児として恥じない、立派な散り様だったのだろう。
さらばだ、剣桃太郎。わしは貴様のような塾生をもって誇りに思うぞ!!

 次の瞬間、江田島から溢れる威圧感が。
この戦場を覆い隠すかのように広く、深く、大きく、重く膨れ上がる!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

24 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:35:47 ID:kJo3RtHr0

「おい、真中!大丈夫か?!」
 一護は這いずる。先ほど砕かれた膝は言うことを聞かず、今は這いずることしかできない。
目の前で、また誰かが傷つけられた。自分はまた、守ることが出来なかった。そして、今は這いずることしかできない。
自分の動きが、まるで泥の中を泳ぐように緩慢におもえる。それでも。先ほどから痙攣を続けている真中の下へ這っていく
「ファー…ブルスコ…ファー…ブルスコ…ファ-」
だが。未だ痙攣している真中に声をかけても、まともな返答がない。
極度の緊張、実際に襲われたという事実、アミバに突かれた秘孔の作用…
あるいはそれ等全てが真中の内部で出会ってしまい―――化学反応を起こしスパーク……はしなかったが。
「くろ…あし…あぐ!」
「あ?」
「あがが…ひざ…うたれ…」
「つーか、お前が大丈夫かよ!?」
「かゆ…うま…」
「って、まて。お前は何を言おうとしてるんだ?!」
 
――拝啓おふくろ様
 こっちにきてから、オレはどんな状況でもツっこんでばかりです。オレは一体どこに行くんでしょうか。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

25 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:36:29 ID:kJo3RtHr0

「おれはどんな拳法でもだれよりも早く習得できる天才だ!!」

 叫ぶ。叫ぶ。アミバは吼える。この天才としたことが、相手を過小評価していたとは!
目の前の相手、江田島の姿が、何倍にも大きく見える。越えることを考えることすらできない、絶壁のように
見える。―考えろ。越えられぬ絶壁など無い。超えられぬ相手などない。

 思いついた一手。それは…

――フン、先程と同じ手で行くか。

 人質をとること。あいつらが、黒髪のガキが言っていた仲間に違いない。ならば、仲間の命をチップにつかえばいい。
目の前の男は強い。だからこそ、我が北斗神拳の進化のためのいい木人形になってくれるだろう。
そこで、アミバは銃口を真中に向けようとし、ついに自分の失策に気付く。

―それは、一護の秘孔を突くために拳銃を腰に仕舞ってしまったという、単純なミス。
拳銃を抜き、照準を合わせ、引き金を引くという三挙動が生み出す、致命的なまでの隙。
目の前の相手が、それを見逃してくれるとは、アミバにはさらさら思えなかった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

26 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:42:09 ID:kJo3RtHr0

……
………

 ――拝啓おふくろ様。
 淳平です。何の因果か、訳の分からない殺し合いゲームに巻き込まれています。
殺人者に襲われたっていっていた男性を助けたら、突然、変なツボを押されて、只今、絶賛痙攣中です。
先程の超常バトルはオレの理解を超えていました。映画監督を志す身としては、非常に情けないのですが
音声だけお伝えすると、以下のような感じです。

「死ねィ!江田島ッ!! 天破活殺ッ!!」
「ふ、それで天才とは笑わせよる。気の練り込みが全く足らんわ。せっかくの技が泣いておるぞ」 
「アミバよ、これが拳。これが技。これが千歩氣功拳じゃあッ〜!!」


 先の闘いは、平八のおじさんの勝ちでした。決まり手はビームです。
あの隈取り鍼灸師みたいな奴は「モルスァ」みたいなこと言いながらすごい勢いで飛んで行きました。

 ――拝啓おふくろ様。先立ちそうな不幸をお許しください。

でも。東城も、西野も、つかさも、黒埼も、平八のおじさん…いや、おじさまも、絶対に死なせはしません。


――死なせて、たまるか。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


27 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:42:51 ID:kJo3RtHr0

【埼玉県(森)/朝】
【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:ダメージ大・気絶中
(森の奥で、つたに絡まって逆さ吊りになってます)
 [装備]:ニューナンブ@こちら葛飾区亀有公園前派出所
 [道具]:支給品一式(食料1日分消費)
 [思考]:1.目の前の敵と戦う 
     2.皆殺し

【いちご100%@真中淳平】
【状態】手首捻挫 痙攣中(1時間ほどで治まる)
【装備】無し
【道具】無し
【思考】1.知り合いとの合流
    2.東京を目指す

【江田島平八@魁!!男塾】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明
【思考】1.「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
    2.「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」

【黒崎一護@BLEACH】
【状態】両膝破壊 (名簿に写真がないため、メガネ藍染かオールバック愛染かは知らない)
【装備】シャハルの鏡@ダイの大冒険
【道具】支給品一式
【思考】1.目の前で襲われている奴らがいたら助ける
    2.朽木ルキアとの合流
    3.東京を目指す


28 :拳の王 ◆BvF.18eh2c :2005/11/20(日) 02:51:27 ID:N9Y4mYgS0
「蟻が幾ら束になろうと、象には敵わぬが、然し」

青色の光弾――霊丸(レイガン)の撃ち放たれた方角を見遣れば、二名の男の姿が浮かぶ。
"霊界探偵"浦飯幽助と、死を呼ぶ"黒猫"トレイン・ハートネット。
土煙の中に悠然と佇む世紀末覇者ラオウは、対峙していたクロロに加勢が現れたことに、臆すどころか喜びを感じていた。
雑魚を雑魚として各個撃破するなどと言う作業は、其れこそ凡百の雑魚どもに任せるべきことだ。

「同時に、脆弱な矢であろうとも、集えば折れぬこともあると聞く。
 この拳王、多勢に無勢であろうと逃げも隠れもせん!
 ウヌらが唯の蟻であるか、其れともこの拳王と言う名の天に向け射られた矢であるか。
 ここで試してみるのも面白かろう」

スゥ―― 
大地を踏みしめた巨漢が深く息を吸い込めば、唯でさえ巨大な彼の存在が、より密度を増したように感じられた。
北斗神拳奥義『天龍呼吸法』
通常人間は30%程度の力しか出すことは出来ぬ。其の、秘められた潜在能力を自在に扱うための奥義。
身体中に満ち満ちた闘気は溢れ出さんばかりであって、今正に、捧げられる生贄を待ち望んでいた。
円満な解決など、有り得ぬ。この闘争に終止符が打たれるとすれば、其れは、どちらかの死を以ってしてのみ。

29 :拳の王2/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 02:53:52 ID:N9Y4mYgS0
「好き勝手言ってやがるけどな。
 オレはそういう暑苦しいの、興味ないんだよね!」

拳王の放つ圧倒的なプレッシャー。杏子は勿論、他の面々も迂闊には手を出すことも出来ずにいる。
そんな膠着した時を動かしたのは、黒猫と呼ばれる掃除屋、トレインだった。
――猫は自由な生き物。一時であろうと、束縛されるのを極端に嫌うのだ。
可変型バスーカ砲"ウルスラグナ"を肩に構えると、即座に、引き金に手を掛ける。
"不殺"だ如何だと躊躇している場合ではないことは理解していた。手を抜いてる場合でも!

「――――!」

轟音とマズルフラッシュ。
悲鳴は誰のものか判断不可能。全ての音が、より凶悪な音によって飲み込まれた。
放たれたバズーカ弾は、確実に拳王を名乗る人物を巻き込み、影も残さぬ塵芥と――

「斯様な兵器の前に敗北する北斗ならば、誰も世紀末覇者を目指そうとは思わぬ」

爆心地には何も残されていなかった。黒死体と化すべきラオウも、対峙していたクロロも。
豪、とした声とは裏腹に、跳躍した巨漢の動きは、実に流麗――北斗神拳『空極流舞』
全身の神経を研ぎ澄まし、空気の動きに逆らわずに跳躍することにより、向かい来る飛び道具を回避する秘儀。
然し、この技の真に恐るべきは、回避とほぼ同時に反撃に転ずるカウンター技であることだ。

――やべえ!

バズーカ弾の行方に気を取られていた黒猫の瞳に映るは、爆発の勢いさえ利用し、宙を舞ったラオウの姿。
移動して回避するには、抱えてしまったこの"ウルスラグナ"は重過ぎる――

30 :拳の王3/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 02:54:57 ID:N9Y4mYgS0
「……させるかよ!」
「……!」

今正に、黒猫め目掛けて拳を下ろさんと振り被ったラオウの両サイドに、2つの影が浮かび上がる。
着地する左膝を目掛けて、クロロの強烈なローキック。
振り上げた右腕に対して、幽助の霊気を篭めた右ストレート。
さしもの拳王も自在に空は飛べぬ。この猛者を打倒するならば、与えられる隙は幾度かの数瞬――
クロロ、幽助とて示し合わせたわけでは勿論ないし、そのような時間も与えられる筈もなかったのだが、
二者の豊富な戦闘経験が、微かに与えられた隙を見逃すこともなく、結果として同時同瞬の攻撃を可能としたのだ。

「……羽虫風情が、思いの他、やりおるわ!」

腕だけを抑えられれば、脚があった。脚だけを抑えられれば、腕があった。
然し其の両方を同時に奪われたとあっては、拳王とて力を振るうことは出来ぬ。

「然し、……未だ、生温い!」

其の動きを挟み込むように封じてしまった上でも、ラオウの優勢には皹も入らぬ。
裂帛の気合と共に、腕と脚に纏わりついた二名を、唯、力任せに弾き飛ばし、
同時に、上半身を捻りながら旋回させれば、唯一自由な左の豪腕を、幽助の身体へと叩き込んだ!

「……ぶッ」

間一髪、両腕で防御するも、身体ごと大きく吹き飛ばされる。"無敵"の筈の鉄鋼が、上げる悲鳴、軋み声。
単純な腕力をのみ考えようとも、拳王は拳王。場の誰にも劣りはせぬ。

31 :拳の王4/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 02:56:12 ID:N9Y4mYgS0
蜘蛛の子を散らすように飛散する、天に弓射るが如き三名――、地に伏したままトレインが怒声を上げた。

「……こんにゃろぉッ!!」

――ガコン、撃鉄の落ちるような可変音。
砲身を握り手に、グリップを槌の形へと見立てれば、バズーカ砲"ウルスラグナ"は一転して一撃粉砕の鈍器へと転じる。
一足飛びに襲来する黒猫めを眼に映しながら、拳王は不敵に唇を歪めるのだった。



地面に叩きつけられ、刹那、朦朧とした意識の中で浦飯幽助は考えた。
目を見張るような特殊なルールを強いられるわけでもなかった。
強力な武器を扱うわけでも、怪しげな秘術を用いるわけでもなかった。
唯、其の肉体の頑健さのみにおいて、何者をも寄せ付けぬ、最強の存在。
――思い出さぬわけにはいかなかった。師を殺し、妖怪に転じた、あの男を。

「戸愚呂……!」

倒せるか倒せぬかはさしたる問題でなかった。
力を求める誰かの傲慢が、いずれ他の誰かの不幸を呼ぶことを見逃すわけにはいかねえ。
この男はオレがココで始末する――、いや、始末せねばならないのだ。

覚醒する意識。じり、と砂を掴む幽助を介抱するように、何時の間にか近づいていたクロロが手を伸ばした。
伸ばされ手を勢いよく振り払う。クロロは、少しだけ笑ったように見えた。この状況で、不思議と。

32 :拳の王5/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 03:14:14 ID:N9Y4mYgS0
「随分と熱くなっているようだが、少しだけオレの話を聞く気はないか?」

無策に殴り掛かりそうな幽助に対して、語り掛けるクロロの声。

「ああ?」
「そういきり立つな。勝つものも勝てなくなる」

今の浦飯は、言うなれば点火済みの導火線。言葉に配慮など無くなって然りだ。
見れば自らを拳王と名乗った人物と、黒猫――トレイン・ハートネットが戦いを繰り広げている。
戦況は、拳王に優勢、否、一方的に打ち込まれるラオウの拳撃を、如何にかオリハルコンの鉄槌で防いでいる状況。
鋼ごと、兜ごと粉砕するラオウの拳を以ってしてさえ、オリハルコンの防壁を打ち破るのは易々とはいかぬようだ。

「さっきの青い光、アレはアンタの能力だな?」

瞳は戦闘へと差し向けたままに、クロロは短く尋ねた。
先刻、横合いから放たれた青い光による衝撃。自分の物差しで図るのならば、"放出系"の能力。
ラオウに応戦中の少年が其の持ち主ならば、無策に突っ込みはするまい――そう考えての問い掛けだ。
冷静に戦況を眺めるクロロに対し、幽助と言えば今にも飛び出さんとしていた。
"それがどうした"と口調も荒々しく苛立ち、

「霊丸だ。オレの18番だったんだんだが……見ただろう、あの肉だるまには利きやしねえ。
 間の悪いことに、後二発しか残ってねえしな」

青い光呼ばわりされたのが気に食わなかったわけではないけれど、怒鳴るように吐き棄てた。
クロロは自らの顎を捻るように思案すると、

「……二発、ね。
 其れだけあれば十分だ」

33 :拳の王6/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 03:20:06 ID:N9Y4mYgS0
確信に満ちた笑顔を、差し向ける。怪訝そうに睨み付ける幽助。
クロロは怖い顔をするなよ、と前置いてから、

「拳王だっけか、確かにあの男は不死身の怪物のように思えるかもしれないが、実際は違う。
 アンタの攻撃は、着実に効いている。いや」

言葉を一度切った。大切な部分だ、念押すように息を吸い込むと

「今までのところ、"アンタの攻撃しか効いてない"と言っても過言じゃないだろうな。
 アレは唯の筋肉の塊なんかじゃあない。凄まじいまでのオーラの鎧に包まれた、難攻不落の要塞だ」

「……結局、何が言いてえんだよ、アンタ」

ラオウを見据えるクロロの瞳は、鋭く尖るような輝きに満ちていた。"凝"――相手のオーラを知覚する技術。
盗賊の眼に映るのは、ラオウの全身を覆う禍々しい程のオーラ――闘気。
"理想的な強化系の能力者だ"とクロロは感じると共に、戦慄する。単純ではあるが、其れ故に攻略困難。
生半可な攻撃ではあのオーラの防壁を崩すことは、不可能。
然しながら、同程度に高められた"強化系"或いは――"放出系能力者"ならば。
クロロは瞳を流し、ついと指を持ち上げると、指し示した。

「オレが隙を作る。霊丸――だっけ。
 必殺技を撃つならば、胸を狙うといい。ケチらずにな」

ラオウの胸を。目を凝らせば、確かに紅く"V"の形に傷が刻まれていた。
勝利に固執する一人の戦士が、自らの死と引き換えに刻み込んだ最後の一撃。
盗賊は口元をニヤリと歪めると、ラオウを回り込むように走り出した。遅れるな、と背中で語って。

「へっ。前置きが長過ぎんだよ」
頭に血が上り過ぎていた幽助の顔に、微かな笑みが浮かぶ。
やがて彼も、グルグルと柔軟運動のように腕を振り回しながら、加熱する戦いの場へと駆け出した――

34 :拳の王7/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 03:22:41 ID:N9Y4mYgS0
降り注ぐ拳の雨。否、其れが雨ならばどれだけ良かっただろう。
拳王の放つ一撃一撃は、目にも留まらぬ速さであるとか、反応が間に合わぬほどの連続攻撃であるとか
其の類の不可避な拳撃ではけっしてなかった。特に、一流の掃除屋である、トレイン・ハートネットにとっては。
唯、繰り返される一撃が、即ち必殺。回避を損ねた瞬間に、自らに訪れるのは絶対なる死―― 故に、気が全く抜けない。
ハンマー型に可変させた"ウルスラグナ"を盾に、撃ち込まれる数多の拳を回避し切るので、今は手一杯だ。
然し、ラオウとて其れは同じ筈。粘り続ければ、何れ反撃の機会はきっと――

「ふぬ。…………余興めと戯れておったが、単調に過ぎる。この拳王、聊か飽いた」

ずしゃ。
左脇に構えていた右腕を、斜め上に振り上げる貫手の一閃。
グツグツに熱した鉄棒を当てられたような痛みが走れば――、ボトリと落下するトレインの右腕。
「……ッッ!」
一呼吸の間も無く続く一蹴を、如何にか"ウルスラグナ"で防御するも、其の先が続かなかった。
――ラオウにとって今までの攻勢は、未だ児戯に過ぎなかったのだ。
ドンッ! 人形のように吹き飛ばされ、何度か転がってはうつ伏せに地を舐める。
慣れた拳銃"ハーディス"とは勝手が違い過ぎる。この超重武器を、片腕で支えるには無理がある――

「トレインッ!!!!!」
「……ちぃ、遅いぜ、幽助」

右腕を、長年連れ添った相棒の片割れを失った。けれど、窮地に立たされようとも、黒猫は弱音を吐くことはなかった。
ただ、"新しい方の相棒"の声に返事を返せば、槌を支えに立ち上がる。彼の瞳は、諦めなど微塵も感じさせなかった。
双眸は絶望に染まるどころか、愉しげに答えすらした。既に、戦える状態ではなかったけれど。

35 :拳の王8/8 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 03:23:32 ID:N9Y4mYgS0
「ま、感謝しろ。美味しいところは残しておいてやった」
「……へ、言いやがる。フラフラじゃねえか」

追い討ちを仕掛けんとするラオウの前に、立ち塞がる影は、浦飯幽助。
ほぅ、と感嘆の声を上げる拳王。立ち上がるオーラは、先程のそれとは比較することも敵わぬ。
背姿のまま、青年は言った。誇り高き黒猫に。瞳の端に、未だ震えて動けぬ杏子の姿が映った。

「立てるよな。だったら、あの女の子を頼む。テメエにしか頼めねえ仕事だ。トレイン」

逃げろ、とは言わなかった。互いに一人の男として、通じ合えるものがあったから。
不器用な心遣いを受けて、黒猫は静かに微笑んで、ああ、小さくと頷いた。

「この腐れゲームで最初にアンタに会えたのは、幸運だったぜ、幽助。
 ――生き延びろよな、絶対」

着飾った言葉は必要なかった。後は、請け負った仕事は完遂するだけだ。最高のスイーパーの誇りにかけて。
鉄槌を如何にか肩に抱え、茫然自失とした少女を促すと、トレイン・ハートネットは森の奥へと消えていった。


「……別れの言葉は済んだようだな」
唇を歪ませながら、拳王が呟く。背中を見せ逃れ行く手負いの黒猫は、最早眼中に無かった。
ラオウにとって猛者との闘争、其の打倒こそがこのゲームの全て。負傷した弱者は既に、死と等価である。
「気負う必要は無いんでね。また、直ぐに会える」
拳を打ち合わせて音を鳴らし、幽助――そして、クロロは対峙する、左掌には、開かれた"盗賊の極意"。
「笑止」
拳王の前に立ち塞がるは、何れ違わぬ猛者。けれど、最期に勝ち残るはこの拳王を除いて他にはあらぬ。
言葉と同時――、戦いの火蓋が、三度切って落とされた。

36 :拳の王 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 03:24:16 ID:N9Y4mYgS0
【栃木県/午前】

【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]左腕に軽傷/右腕肘から下を切断
[装備]ウルスラグナ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾二発)
[道具]荷物一式
[思考]
1:杏子と共に逃走
2:スヴェン、イヴ、リンスを探す
3:幽助に協力する
4:ゲームからの脱出

【浦飯幽助
@幽遊白書】
[状態]健康(頭部軽ダメージはほぼ完治)
    本日の霊丸の残弾2/4
[装備]新・無敵鉄甲(右腕用)@るろうに剣心
[道具]荷物一式
[思考]
1:ラオウを打倒
2:桑原、飛影を探す
2:トレインに協力する
4:ゲームからの脱出

37 :拳の王 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 03:28:37 ID:vmwziCOl0
【真崎杏子@遊戯王】
[状態]歩き疲れ/ラオウの出現に困惑
[道具]無し
[思考]
1:ロビンを追う
2:遊戯、海馬を探す
3:ゲームを脱出

【クロロ・ルシルフル@ハンター×ハンター】
[状態]:健康
[道具]荷物一式(支給品不明)
[思考]能力、アイテム、情報などを盗む
   1:ラオウの襲撃から逃れる
   2:霊丸(レイガン)を盗む
   3:可能ならば杏子を利用
[盗賊の極意]:予見眼(ヴィジョン・アイ)

【ラオウ@北斗の拳】
 [状態]:胸元を負傷/霊丸によるダメージ(闘気で軽減)/右腕にダメージ
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 不明
 [思考]:
1.目の前の事態に対処、打倒する。
2.いずれ江田島平八と決着をつける
3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)


38 :拳の王 修正 ◆ErG3fI.u3U :2005/11/20(日) 04:17:42 ID:vmwziCOl0
たびたびすみません……
トレインのウルスラグナの残弾を修正
二発⇒一発に

【栃木県/午前】

【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]左腕に軽傷/右腕肘から下を切断
[装備]ウルスラグナ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾1発)
[道具]荷物一式
[思考]
1:杏子と共に逃走
2:スヴェン、イヴ、リンスを探す
3:幽助に協力する
4:ゲームからの脱出

【浦飯幽助
@幽遊白書】
[状態]健康(頭部軽ダメージはほぼ完治)
    本日の霊丸の残弾2/4
[装備]新・無敵鉄甲(右腕用)@るろうに剣心
[道具]荷物一式
[思考]
1:ラオウを打倒
2:桑原、飛影を探す
2:トレインに協力する
4:ゲームからの脱出


39 : ◆HKNE1iTG9I :2005/11/20(日) 09:33:37 ID:kJo3RtHr0
ミス修正しておきます
つかさ→さつきで

26 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:42:09 ID:kJo3RtHr0

……
………

 ――拝啓おふくろ様。
 淳平です。何の因果か、訳の分からない殺し合いゲームに巻き込まれています。
殺人者に襲われたっていっていた男性を助けたら、突然、変なツボを押されて、只今、絶賛痙攣中です。
先程の超常バトルはオレの理解を超えていました。映画監督を志す身としては、非常に情けないのですが
音声だけお伝えすると、以下のような感じです。

「死ねィ!江田島ッ!! 天破活殺ッ!!」
「ふ、それで天才とは笑わせよる。気の練り込みが全く足らんわ。せっかくの技が泣いておるぞ」 
「アミバよ、これが拳。これが技。これが千歩氣功拳じゃあッ〜!!」


 先の闘いは、平八のおじさんの勝ちでした。決まり手はビームです。
あの隈取り鍼灸師みたいな奴は「モルスァ」みたいなこと言いながらすごい勢いで飛んで行きました。

 ――拝啓おふくろ様。先立ちそうな不幸をお許しください。

でも。東城も、西野も、さつきも、黒埼も、平八のおじさん…いや、おじさまも、絶対に死なせはしません。


――死なせて、たまるか。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



40 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:18:37 ID:ZHsmXyA90
───まるで黄泉の世界だ。ルキアはそう思った。
そこは見渡す限りの闇。前も、後も、左右も上も、どこを見ても闇しかない。
その闇に囲まれた更地の上に、彼女は座り込んでいた。

辺りを見渡す。何もない。闇以上の光すら見えない。まるで闇が自分を内包するように。自分だけがいる世界。
どういうわけか、光がない世界でルキアは闇を見ている。
矛盾。ただルキアの思考は其処には至らなかった。目の前の大きすぎる謎に全ての思考回路を奪われていた。

不思議と、ルキアは動こうという気が起きなかった。
闇に目を奪われたからか。なぜ自分がここにいるか考えたかったからか。
そう、たしかにこんな場所にいる前まで、自分は殺し合いという喧騒な世界に身を置いていたはずだった。
気づけばここにいた。ここも会場の一部か?などという考えは微塵もなかった。
会場、いや現世とも違う、なにか言葉に言い表せないものがあったのだ。
どちらかといえば……尸魂界に近い、そんな感じだった。

一瞬、不意にルキアは気配を感じる。周りを見張るが、やはり闇以上に見えるモノは何もない。
気のせいか、とルキアは何気なく顔をうつぶせようとした。
その落とした視線の先には、闇と地面の境目が

じり

境目が、動いた気がした。

41 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:19:20 ID:ZHsmXyA90
黒い部分が手前に、そう、闇がほんの一寸だけこっちに近づいた。
ルキアは目を疑い、改めて境目を見る。ゆっくりと蝸牛のように、境界線は動いていた。
見間違いではなかったらしい。後も、左右も動いていた。勿論、自分の方へ。
ルキアは少し悪寒を感じる──
闇が近づいて来ることの意味に、意識の奥底で……朧げながら感づいてしまった。
この闇は、自分を取り込む気ではないかと。もし取り込まれたなら、自分はどうなるだろう。
闇の一部となるか?その時は苦痛を伴うのだろうか?
静かな空間の中で、ルキアは様々な考えを頭中に巡らしていた。

時は過ぎる。
日時計の経過のように、ルキアと闇との距離は随分と縮まっていく。
ルキアは変わらず、微動だにしない。
ただずっと正面の闇との距離を見定めいたようだった。

変化は不意に訪れる。目の前の闇に色彩が宿り始めていた。
それまで動じずにいたルキアも少し慄く。
スクリーンに映像が投射されるように姿が現れ、徐々にその色は人の形へと変化を遂げていった。
輪郭が見え、服装が彩り、目鼻や口の区別もついてきている。

そこでやっとルキアは理解した。
それは──いや複数いる──それらは闇よりこちらを覗いていた。そう、ルキアをずっと見つめていた。

闇の奥から覗くその人は───袴を羽織る白髪の男と、鋭い眼光をした若者。
坂田銀時と海馬瀬戸だった。

42 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:20:17 ID:ZHsmXyA90
へつらいのにやつきを浮かべた銀時。寡黙に腕を組んで長裾がなびいている海馬。
二人とも戦乱の中で出会った時と全く変わらぬ姿をしていた。
この二人が闇の中に、ルキアは灯りの内側に。
ルキアは頭の中で瞬間的に答えを導き出す。
二人はルキアと共にフレイザードと戦い、二人ともルキアを庇うように命を落とした。
この二人の死にルキアが密接しているのだ。

ルキアの答とは。ここは真の黄泉だということである。

彼女の知るうちで、本来死者が集うのは尸魂界だった。
しかし考えれば、この戦乱の場に飛ばされてから理解の範疇を超えたことばかり。
虚とも違う異形の化物。具象化される絵の中の怪物。
もしかしたら魂が弾き飛ばされる場所も理に適うわけではないかもしれない。

──つまり私も……

気づくと、闇は手を伸ばせば触れられるほどの距離になっていた。
この時を待っていたように、闇の中の二人からゆっくりと手が伸びる。
その眼差しは寛容か羨望か、とても柔らかなものだった。

──私も……そちらに行くべきなのだな

二人の真意は知らない。しかしルキアに纏わりついていた恐れは、義務感へと変わっていた。
この手をつかめば、自分の命は溶けるだろう。それでも構わず、ルキアの右手を動こうとした。

──助けて……くれて……本当にありがとう

これが最後、そう思った時だった。
刹那、ルキアはその右腕を何者かにつかまれた。
闇より伸びていた双腕は眼前で止まったまま。思わず悲鳴をあげそうになる。
ルキアは右手を見やる。地面よリ手が生え、がっちりとルキアの右腕を握っていた───

43 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:22:32 ID:ZHsmXyA90
「……何でオレがこんなことやらなきゃなんねーんだ、クソッ」

赤髪を揺らしながら、ボンチューは小さく不満を漏らした。
理由は目の前の少女。先程世直しマンが連れて来た『行き倒れ』らしい。
青函トンネル手前で倒れていたとの事。どうやら気絶した者の心は読めなかったそうだ。

そこまではよかった。
しかし、バッファローマンと世直しマンは「二人で話し合いをする」と言い、強引に居間から締めだされてしまった。
ただ装備を抜いただけで、敵かどうかも分からないのに。
無責任にも、ボンチューは少女の介抱を全て任されてしまったのだった。
そして現在。目の前には少女。

「こいつ……どうすりゃいいんだ?」

今からやることは分かっている。戦いに明け暮れていた自分にとって、傷の手当てぐらいならお手の物だ。
ただ、ボンチューが悩んでいるのはそこではなかった。
何せ彼は見た目に反し、わずか7歳。
それまでの経験に色沙汰などなく、女の扱いはどちらかと言えば不得手の部類と言えた。

(……起きてゴチャゴチャ言われる前に、さっさとケガだけ見りゃいいか……)

メンドくせーと思いながらも、目の前のケガ人をなんとなく放っておくことは出来なかった
考えに従って服を脱がそうと、ボンチューは少女を腰から持ち上げる。
両腕が垂れ、袖の先から少女の腕が露になり、雪のように白く透けるような肌がボンチューの目に映った。
その視界の隅に、ボンチューは小さな火傷の痣があることに気づく。

44 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:30:57 ID:ZHsmXyA90
(火傷、か……)

傷を一瞥するボンチュー。
それはいつもなら気にも留めないような焼き膨れの痕。

……火傷………………火傷………………………やけど?

ただ、あの夢を見た後でなければ。

────────────────────────────────────

───連想。火。少女。
その瞬間、ボンチューの脳裏に獄炎の映像が流れ込んできた。
次々と眼前に湧き上がり来る灼熱の炎。


(──っ! ───っ!?)

どこかで見たような子供が現れた。なにか必死に叫んでいる。

(────ッッ!!─────ッッ!!!)

声にならぬ声で叫ぶ。喉がつぶれながらも叫びつづけている。
炎に巻かれる少女。もしかして『あれ』はこの少女に向かって叫んでいるのだろうか。
なぜ助けない?そんなに叫んでも何の意味もないだろうに。

ああ、そうか。『あれ』はまだ『弱い』んだ。

『弱い』のは罪だ。自分は知っている。世界を生きるには強くなければならない。
何も出来ないというのは弱い証拠。『あれ』は『弱い』。
『あれ』はなんて情けないヤツなんだ、自分の妹さえ助けられなんて。
─────妹?

45 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:33:27 ID:ZHsmXyA90
ふと思う。『あれ』とはなんだ? ───あの子供のことだ。
『弱い』とは? ───それも、あの子供のことだ。

ではあの『子供』は誰だ?
                                   ───オレだ。
誰だ?
                                ───そう、オレだ。
誰なんだ?
                             ───弱いのはオレだった。
           ソウ、ヨワイノハオレナンダヨ

「うあぁあああぁぁぁあぁああぁぁぁあああぁああっ!」
───死ね
「ああああぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁああぁぁああぁあ!」
───死ね、自分の弱さに死ね
「おあぁあぁあああぉおああぁあぁぁああぉぁぁああ!」
───死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ

何かが、おかしい。
なぜ悲鳴をあげる? なぜオレが死ななければならない?
なぜオレは苦しむ?オレがあの緑野郎に負けたから?オレが弱いからか? それが罪だからなのか?
強いってなんだ?なぜオレは強くなろうとした?オレは──オレは───オレは─────
オレは────────────

46 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:34:56 ID:ZHsmXyA90
────────────────────────────────────
それは突然だった。未だ癒えぬ傷。激しく揺さぶられる衝動。
彼が戦いに赴くたびに揺り起こされる記憶ではあったが、いつもはほんの僅かなモノだった。
何を思って戦うか、心の底に刻まれた記憶。本人でさえ意識できぬ傷。

彼の意識を蝕み、やがて彼自身そのものを崩壊しかねないほどにまで傷は広がっていた。

そのとき。

───助け、て

声が聞こえた。
そして、頭の中の声は──聞こえなくなった。

救いの声に、救われた。
強くなりたいと思ったのは何故だったか。
目的を忘れていた。そして今思い出した。
他人に打ち勝つためじゃない。まして一人で生き残るためでもない。

── 守りたいモノがある

気づくと、自分を囲っていた炎は消え去っていた。
そこにいたのは、最期の時の姿で止まったままの少女。
強く彼女を抱きしめた。ただ一言、自分を認めて欲しかった。その一言ために強くなってきたんだろう。
少女は目を開く。こちらを静かに見つめ、やさしい声で────────

47 :眠れぬ朝は君のせい・中編:2005/11/20(日) 15:36:11 ID:ZHsmXyA90
「……何を……している?」

予想と違い、低くわなわなと震え、それで芯の通った声。

「……え?」

場面が全く違う。
今までが、自分の幻想だったということにボンチューは気づく。
少女──ルキアは額に青筋を立てて睨んでいた。
先ほどボンチューが強く抱き寄せたからか、ルキアは夢の中から目を覚ましていた。
一瞬か数刻か、ボンチューは意識が飛んでいたらしい。
沈黙。というか二人とも、とんでもない現状に気づく。

─── 歓喜の表情を浮かべた男が、女の服に手をかけようとしている ───

「あ、いや」
「このッ……不埒者!」

パンッ、と乾燥した音が室内に響く。
ルキアは胸元を手で覆い、一目散に部屋の隅へと退散した。

「オ オイ、勘違いすんじゃねーよ! オレは……」
「何を言うか! 無防備な寝込みに付け入ろうとするなど……恥を知れ!」
「違うんだっ……てオイ! やめろ! それをバラすな! んで投げるな!」
「うるさい! 下がれっ下郎!」
「あたっ! やめろ、コラ、痛ッ!」

ルキアが手にしていたのは、そばにあった蟹座の黄金聖衣。
パーツの一つ一つがボンチューめがけて飛んでくる。それも抜群に重く、固い。
かつて力を貸してくれたはずの黄金聖衣は、今のボンチューにはただ地味に痛かった。

48 : ◆GrUZH7gF.E :2005/11/20(日) 15:38:41 ID:ZHsmXyA90
【青森県/午前】


【ボンチュー@世紀末リーダー伝たけし】
[状態]現在回復中
[装備]なし
[道具]荷物一式、蟹座の黄金聖衣(元の形態)@聖闘士星矢
[思考]1:目の前の女に弁解を
2:体力の回復

【朽木ルキア@BLEACH】
[状態]:右腕に軽度の火傷、気絶中?
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]1:現在の状況の確認
2:これからの行動を考える

49 :大阪探索は波乱含み6/6修正:2005/11/20(日) 18:57:24 ID:44DU5Ls90
【妲己ちゃんと愉快な武藤達】
【大阪住宅街/昼】

【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)、黒の章@幽遊白書、霊界テレビ@幽遊白書
 [思考]:1 二人のところへ戻る。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集める。
      3 太公望、竜吉公主、趙公明から自分の本性を明かされるのを防ぎたいが、
        本性がバレても可能ならば説得して脱出のため協力し合う。
      4 どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。 可能なら太公望や仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる。

【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 少女を埋葬する。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      5 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。

【武藤遊戯@遊戯王】
 [状態]:肉体と精神にかなりの疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 妲己がいないことで困惑。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。
 [闇遊戯の思考]:妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。

50 :血も涙もない戦場:2005/11/20(日) 22:28:21 ID:YrqqTnvy0
「あなた、血のにおいがするわ」
その一言で全ての予定が崩れ始めていた。
このまま曖昧なフリをして相手から少しでも情報を引き出そうと考えていたのに此では全てがパーだ。
血の臭いがすると言ったのは恐らく本当の事なのだろう。
だがそれを指摘してしまってはわざわざ要らぬ災いを招き入れるという事。
自分の戦闘力が皆無であると自覚している以上、何とか口で相手をはぐらかしたかった。
「下がってゆきめさん。あいつはそんな奴じゃないわ。闘う為――いいえ殺す為に捜しているだけ」
「殺す為か……奴がその程度でしかないとしたらそうなるかもな」
目の前の相手は眉一つ動かさずに平然と殺すと言ってのけた。
この状態は非常に危険だ。
恐らくゆきめとイヴの二人でも敵わないだろうし、ましてゆきめが戦う気が無いのなら万が一の可能性すら無い。
かといって、イヴを見捨てる訳にもいくまい。
イヴが戦闘に入ればついでとして自分達が殺される可能性も多分に出てくる。
例え巻き込まれなかったとしても、恐らくゆきめから見放されこの猛獣が蠢く地で一人で生き残らなくてはいけなくなる。
とすれば、この場で取る行動は自ずと限られてくる。
「――貴方は私達をどうするつもりですか?」
月はイヴの口を押さえて相手に其れだけを尋ねる。
恐らく返ってくる答えは3通りの内どれかであろう。

51 :血も涙もない戦場:2005/11/20(日) 22:29:00 ID:YrqqTnvy0
一つ目、殺す気はない。
此なら素直に知らないと白状して立ち去って貰う。
一番有り難いパターンだ。

二つ目、知らないなら殺す。
此は嘘を付いて相手を遠ざければいいだけ。
自分達が進む方向と逆を示せば、この狭い世界といえども再び出会す可能性は低くなる。
此も死ぬ可能性が非常に少なくて済むパターンだ。

三つ目、知っていても知らなくても殺す。
最悪のパターン。
この答えが返ってきたらイヴとゆきめを嗾けるしかない。
自分は加勢するなり、その間に逃げるなり出来るが生き残れる可能性は非常に低くなる。
こう答えられれば即ゲームオーバーだが、相手の行動を知らないよりはマシだ。
本当ならば相手との会話でそれとなくこの質問の答えを引き出すつもりであったのだが、こうなってしまった以上直接尋ねるしかない。
イヴにもゆきめにも任せられない以上は自分の口だけで解決しなくてはならないのだから。

52 :血も涙もない戦場:2005/11/20(日) 22:30:08 ID:YrqqTnvy0
「貴様等は強いのか?」
だが全く予想していない答えが返ってきた。
疑問に疑問で返された以上は、此方から答えを返さないことには向こうの真意は掴めない。
だがこの質問から相手の行動を読みとるのはさして難しい事ではなかった。
この質問をする者の解答は二タイプ存在する。
強者を求めて彷徨う者か、弱者を選び嬲り殺しにする者か。
しかし後者の場合殺すならとっとと済ましているだろうし、ましてやこの状態でこんな質問をしたりはしない。
つまりは前者――強者を求めて彷徨う者に違いなかった。
「僕は斧こそ持ってはいましたが、見ての通り普通の人間です」
斧を下に降ろし、空いた手を上げる。
戦う気も更々無いと言うアピール。
ゆきめは此方の考えを察したのかあれから後ろに下がって何も言ってこない。
大方目の前の男の狂気を沈めたいのだろうが、それをすると無力な夜神月まで危険に晒してしまうと気が付いたのだろう。
後は、このまま男が去る迄じっとしてればよかった――のだが。



53 :血も涙もない戦場:2005/11/20(日) 22:30:58 ID:YrqqTnvy0
「私は貴方なんかに負ける気はないわ」
力づくで抑えていた手を振り払いイブが相手を睨み付ける。
慌てて再び口を押さえようとするのだがその手すら宙で叩かれる。
「ゲームに乗って闘うしかできない貴方には負けない。殺しはしないけど――終わるまで眠ってて貰うわ」
言うが早いか白銀の世界の中照り返す太陽を背にイヴは奔りだした。
奔りながら出したカプセルから出した無限刃を空中で掴み、それの峰で斬りかかる。
余裕のままにそれを受け止める飛影。
「トランス!」
それを予測していたかの如く、刀を受けがら空きになった飛影にもう片方の手を変形させたハンマーを死角へと振り下ろした。
しかし飛影はそれを返す刀で再び受け止めた。
一瞬の間に多数の方向から打撃を与えられるイヴ。
同じく一瞬の間に多数受け止められる飛影。
両者は端から見て五分の戦いにも見えた。

「――貴様はこの程度なのか?」
そう呟くと飛影は更にスピードを上げる。
左右左右と同時攻撃を仕掛けるイヴに、瞬時に多方向の打撃の軌道を逸らしつつ同時に斬撃を繰り出す。
其れを避けようとするイヴだが攻撃を仕掛けている所謂死に体の上、飛影の斬撃の速度に付いていけず切っ先が脇腹を掠める。
咄嗟に距離を置こうと離れるイヴだが、飛影がそれを許す筈も無く追撃する。
ハンマーだった左手を咄嗟にシールドに変形させ直撃だけは防ぐが、持ち前の素早さは活かせなくなったイヴは防戦に入るしか選択は無くなっていた。

54 :血も泪もない戦場:2005/11/20(日) 22:34:30 ID:YrqqTnvy0
目の前で超人的な戦いを繰り広げられている中、夜神月は頭を抱えて悩んでいた。
何処でどう選択ミスをしてしまったのであろうか?
否、自分は最善の選択を常にとってきた筈。
それをあの娘一人が全てを台無しにしてくれた。
あの男と同士討ちしてくれれば最高だなと、自分の頭の何処かで声が囁く。
いざという時手駒として使える仲間は多いに超したことが、自分で操れない爆弾を抱え込むのは真っ平御免だ。
何か手を打たなければと考えた次の瞬間、背中から凄まじい冷気を感じた。
「ゆきめさん……」
振り向こうとしたが上手く身体が廻らない。
見ると太陽によって泥濘かけていた雪が固まり、膝の当たりまで氷が覆っていた。
動くにも動けない月の脇を何かが通り過ぎていく。
通り過ぎた瞬間背筋まで凍る様に感じる。
その出来事に月は彼女の自己紹介時の単語を思い出す――雪女なのだと。
彼女は下半身を動かせないままで同じく動けない二人の間に割り込むとイヴの頬を叩いた。

高らかに鳴り響く音が時の止まった世界に木霊する。
「馬鹿……命を粗末にしないで。もう……誰も死んで欲しく無いのよ」
そう言ってイヴに抱きつきながら崩れ落ちる。
此処に来て既に稲葉郷子と言う知り合いを亡くしている。
もうその悲しみを繰り返したくはなかった。
闘いの連鎖を終わらせなければこの悲劇は繰り返す。
闘いを止めるが為に闘う事も間違っている。
「お願い……解ってイヴちゃん」
闘うこと自体が悲劇に繋がるのだから。

55 :血も泪もない戦場:2005/11/20(日) 22:38:57 ID:YrqqTnvy0
「貴様……氷女か?」
足元を凍らせたまま飛影が呟いた。
多少は違うが色、イメージ的に似た衣装。
氷を操るその力、そしてゆきめと呼ばれた名前が、妹――雪菜と被る。
だが彼女は自分の妹ではない。
自分を忌み子として氷河の国から捨てた奴等の仲間。
沸々と沸き上がる嘗ての黒い気持ちが飛影の中を駆け巡る。
無意識の内に左手が首の当たりを探っていることに気が付いた。
だが嘗て其処に付けていた氷泪石はもう無かった。
妹――雪菜から手渡されたもう一つの氷泪石。
気持ちが塞がった時に眺めていた氷泪石はもう無い。
その現実が彼の苛立ちを一層に膨らませた。
氷泪石のお陰で故郷に対し幻滅することで恨みを忘れる事は出来た。
だがそれが無くなった今となっては――
「誰も死んで欲しく無いだと?俺を落としてよく言うぜ」
地獄の炎を纏い、氷を溶かした飛影は手にしたマルスをそのまま突き出す。
「――邪王炎殺剣」
そのナイフはイヴが咄嗟に髪で作り出したシールドを易々と貫通する。
マルス――引き金を引くことで超振動し切れ味を増すナイフ。
その切れ味に炎と霊気をブレンドさせたナイフは、相乗効果によってナノマシンのシールドすら貫く刀になっていた。
飛影が串の様に刺さったナイフを抜くと、支える物を失ったかの様に二人の身体は雪の上に音も無く崩れ落ちる。
「探す物が増えたか……」
新たなる目標は主催者が没収したであろう氷泪石。
それだけ呟くとイヴの刀を拾い他の物に目もくれず元凶の主は姿を消した。

56 :血も泪もない戦場:2005/11/20(日) 22:39:50 ID:YrqqTnvy0
「ふふ……ふふふふふ……ついてる!ついてるぞ!」
飛影の目に入らなかった弱者――夜神月は吠える。
ゆきめとイヴと出会ってから一度も見せたことのない笑みを浮かべながら。
結局は何も出来なかった自分ではあるが、其れが故に生き残ることが出来た。
あれだけの事が目の前で起きていた事が信じられない位だった。
あの戦力を失ったのは痛いが、自分の操れない手駒がいたとしても不安要素が増えるだけで結局は不必要な仲間だったのだ。
「――そういや、此処に海砂も来ていたっけな」
自分の信念を持つ者ほど扱いにくい者は無い。
弥海砂はそういった意味ではパーフェクトな仲間だった。
自分のして欲しい通りに動いてくれる上、いざとなったら命を投げ出してもくれるだろう。
その上一般人の女性と行動して周りに隙を与えると言う条件も満たすことが出来る。
動かぬ屍となった二人にもう用はない。
ゆきめが死に足元の氷が溶けた月は食料だけ貰ってその場を後にした。
海砂の事だ、恐らく自分を捜して都会に出てきている筈だ。
恐らく東京、大阪、京都、名古屋のどれかだろう。
「愛してるよ弥海砂」
海砂に囁きかけるように甘い声で呟いた月は東京を目指し去っていった。


日光が照らし、飛影に貫かれたゆきめは次第に姿を薄めていく。
雪女の彼女は再び雪へと還るのだ。
そしてその下で呻き声を洩らす少女。
自分で変形させたシールドとゆきめのお陰で死だけは免れた少女が其処に倒れていた。
元々丈夫であるし、マルスの長さが短く邪王炎殺剣で伸びた部分しか届いてなかった事も助かった要因であろう。
雪女とナノマシン。
その惨劇の後には血の跡すら残ってはいない。
足跡も降り注ぐ日光で消え、何事も無かったかの如く倒れた少女だけがその場に存在していた。

57 :血も泪もない戦場:2005/11/20(日) 22:40:22 ID:YrqqTnvy0
【ゆきめ@地獄先生ぬ〜べ〜 死亡確認】
【残り103人】


【山形県/午前〜昼】

【夜神 月(ライト)@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]真空の斧@ダイの大冒険
[道具]荷物三式 (三食分を消費)
[思考]1、弥海砂の探索
   2、使えそうな人物との接触
   3、竜崎(L)を始末し、ゲームから生き残る

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]重傷(胸に刺し傷、脇腹に掠り傷)
[装備]いちご柄のパンツ@いちご100%
[道具]無し
[思考]1、トレイン・スヴェンとの合流
   2、ゲームの破壊

【飛影@幽遊白書】
[状態]少し疲労
[装備]マルス@BLACK CAT、無限刃@るろうに剣心
[道具]荷物一式、燐火円レキ刀@幽遊白書
[思考]1、幽助と決着を付ける
   2、氷泪石を見つけだす
   3、強いやつと戦う

58 :血も泪もない戦場:2005/11/20(日) 22:41:27 ID:YrqqTnvy0
>>50-53
タイトルを「血も涙もない戦場」から「血も泪もない戦場」に修正して置いてください

59 :作者の都合により名無しです:2005/11/20(日) 22:41:53 ID:A6143PDx0
♪サッチャンハネ、コウツウジコデ、ハネラレタ、ダカラ、カオガトレテ、
ドッカトオクヘ、トンデチャッタ♪悲しいね、さっちゃん♪
さっちゃんは即死で死んじゃったの。このレスを見た人は…
さっちゃんが0時に行ってあなたの首をかまで切り取っちゃうよ♪
いやなら、さっちゃんが行くまでに、9回違うスレにレスを送ってね♪
あ、さちゃんの顔は、こんな顔だから、
探してくれるのもイイよ♪オネガイネ…。http://www.operaou.com/image/cmail/rei0204.gif



60 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:09:08 ID:XX0z9zg50
「せいぜい楽しませてくれよ!!」
 押さえきれない笑みを溢しながら、圧力と死を持って死神が駆ける。

 標的はどちらにするか。
 そうだな。まずは―――
「まずは、チビ。オマエからだ!!」
「うわあぁぁああ!!」
 眼前に迫るその圧力に、セナが悲鳴を辺りに響かせた。

「……! セナ殿!?」
 セナの悲鳴に、剣心は夷腕坊を見つめていた視線を辺りに移す。
 気付けば志々雄と自分の戦いを見ていた男がいない。

「しまった……!」
 焦燥する剣心は夷腕坊を一瞥する。
 夷腕坊に潰された志々雄はまだ出てくる様子はない。
 この男に背中を見せるのは不安だが、迷っている場合ではない。

 夷腕坊と志々雄を置いて、剣心は駆け出す。
 自分の足でも、悲鳴の聞こえた場所までおそらく十秒はかかる。

「なんとかそれまで持ちこたえてくれ……!」
 そう呟き、神速の剣客は駆けだした。

61 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:11:30 ID:XX0z9zg50
 1――――――。

「走れッ。ファッキンチビッ!!」
 それは積み重ねた反復練習の賜物か。
 蛭魔の激に、セナの体が弾けるように反応する。

 2――――――。
 
 光速の足が0から1へとシフトする。
 まさに爆足。
 一瞬でその体は攻撃範囲から安全圏へと離脱する。
 確実な死を持ったはずの更木の腕が空を切った。

 3――――――。

「へぇ……」
 それを見つめ、予想以上の回避能力に更木が笑みをこぼす。

 4――――――。

「面白れえぇ―――ッ!」
 叫びと共に更木が駆ける。
 その殺気は先ほどの比ではなく。
 その速度は先ほどの比ではない。

 5――――――。

「ひっ……!!」
 一瞬でセナの目の前に更木の巨体が現れる。
 殺気に飲まれたセナの体は動かず、反応しようもない。
 蛭間は咄嗟に、足元に転がる拳程の大きさの石を拾い上げた。

62 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:14:00 ID:XX0z9zg50
 6――――――。

 その命を刈り取らんと、死神の腕が奔る。
 同時に眼帯を付けた死角方のこめかみに僅かな衝撃。
 蛭間の投げた石が命中したのだ。
 更木にとってその程度の攻撃はダメージにもなりはしない。
 だが、攻撃はコンマ1秒、到着を遅れる。

 7――――――。

 再度、豪快な音を立て更木の攻撃が空を切る。
 何のことは無い。セナが腰を抜かしその場にへたり込んだのだ。
 偶然にも、それにより死を持った攻撃は紙一重で空を切った。
 もっとも、コンマの遅れがなければ、その紙一重もなかっただろうが。
 そんなことはお構いなしに、死神は止まらない。
 腕を唸らせ、へたり込むセナの頭部へと目掛け追撃の一撃を振り下ろす。

 8――――――。

「グァア……ッ!!」
「ヒル間さん!!」
 セナの頭を砕くはずだった一撃は、蛭間の右肩を砕いた。
 蛭間が咄嗟にセナと更木の間に飛び込んだのだ。
 妖計の策士は、単純にセナと自分の肩を天秤にかけただけの話。
 クォーターバックの命でもある肩と後輩の命じゃあ、まあ、しかたあるまい。
 だが、それ以上の策はなく、手詰まりだ。
 あとは、もう―――

63 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:16:15 ID:XX0z9zg50
 9――――――。

「終わりだ」
 死神は僅かに笑い。
 倒れこむ二人に、容赦なくトドメの一撃を繰り出した。

 豪腕が唸る。

 10―――――。

 その腕を、

「龍槌―――」
 上空から振り下ろされた刀の鞘が弾き飛ばした。

「―――翔閃!」
 着地も待たず、跳ね上がるように鞘が跳ぶ。
 その一撃は顎を掠め、脳を揺らされた更木の巨体が僅かに後退する。

 剣心は着地し、更木と倒れこむセナと蛭間を遮る位置に体を移し、更木を睨みつけた。
 体勢を立て直した更木はそれを見つめ。

「オメエは、志々雄の獲物だがよ……」
 打たれた顎をさすり、歩を進める。

「そっちから手出してきたんじゃしかたねぇよなぁ」
 そう言って。実に楽しそうに死神は笑いを溢した。

 ほんのお遊びだったが、大物が釣れた。
 こうなれば、雑魚なんかには興味は無い。
 更木は倒れこむ二人には目もくれず、一歩前に進み、獣のような構えを取る。
 それに対峙し、剣心は鞘を正眼に構える。

64 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:18:55 ID:XX0z9zg50
 一方は刀の鞘。
 一方は特殊空拳。
 互いにおよそ剣客といえぬ獲物を構え、紛う事無き剣気を放つ。
 剣気はぶつかり合い空気を揺らす。
 舞い上がった木の葉は剣気に耐えられず弾け飛ぶ。
 永遠のような対峙は一瞬。先に動いたのは剣心だった。

 神速の踏み込みにて神速の一撃を放つ。
 その目にも止まらぬ一撃を悠々と死神は素手で受けとめ。
「オラッ!」
 逆の手で眼球を抉らんと指を突き出した。
 咄嗟に剣心は首を反らし、指は頬を掠めるに止まる。
「龍巣閃―――!」
 一撃では足りぬと。剣心は絡むような乱撃を放つ。
 多段に放たれる剣撃。
 捌ききれず、その幾発が更木の体に叩き込まれる。
「軽ぃんだよ!」
 だが、それも更木を包む剣気を前に通らない。

 連撃では軽すぎる。
 しかし、一撃では防がれる。
 鞘しかないこの状況では抜刀術も不可能。
 決め手が無いのだ。
 それは更木も同じこと。
 素早く動くこの相手に、素手では決め手に欠ける。

 刃無き剣客の戦いは続く。
 互いに決め手を欠き、その均衡を破れない。
 だが徐々にその均衡は崩れ始めていた。

 一方に変化が生じ始めたのだ。

65 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:21:10 ID:XX0z9zg50
「ハッ、ハッ、ハッ―――!」

 加速する。加速する。

 心臓の鼓動が。
 斬撃の鋭さが。
 ―――この意識が加速する。

「ハァッ、ハァ―――ッ!」

 呼吸が荒い。
 肉体が意識に追いついていない。
 このまま加速し続ければ、追いつけない肉体は崩壊する。

 だというのに、この意識は加速し続ける。
 まだ。
 まだ、あの頃には。
 まだ、あの人斬りにはほど遠いと。
 意識がアクセルを踏み続ける。

 志々雄の放つ人斬りの剣気が螺旋を回す。
 この男の放つ人斬りの殺気が歯車を回す。
 狂々。狂々と。

「ハアァァッ―――!」

 斬撃一閃。
 神速の一撃が更木の防御よりも早く、そのこめかみに叩き込まれる。

66 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:23:21 ID:XX0z9zg50
「チィ……!」
 頭部にまともに一撃を喰らい、更木は僅かに舌を打つ。

 まだ、早くなるってのか。

 たしかに早かったが、初めは速度も大差はなかったはずだ。
 だが徐々にその速度は早くなり。
 それに伴って技のキレも鋭くなっている。
 その攻撃は、もはや素手での防御が間に合わない域まで至っている。

 だというのに。
 これ以上早くなるってのか?

 これ以上―――

「楽しませてくれるってのかぁ!?」

 叫びを上げ死神が駆ける。
 その動きに合わせるように剣心が一撃を放つ。
 無防備な脳天に一撃が突き刺さる。
 だがその一撃を受けても、死神の動きは止まらない。
 脳への一撃を意に介さず、そのまま肉ごと剣心の胸倉を掴む。
「ぐッ……!」
 剣心が痛みに顔を歪める。
「オラァ―――!!」
 そのまま手首を捻り、投げるように肉を抉り取る。
 鮮血が舞い散る。

「楽しいなぁ! オイ!」
 打たれた額から流れる血を舐め、死神は歓喜に震える。
 体勢を立て直すべく、剣心は滑るように後退し距離をとる。

67 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:26:11 ID:XX0z9zg50
「―――ハァ―――ハァ」

 足元を見つめる。
 胸元からボタボタと血が落ちた。
 地面に飛び散るその様は咲き乱れる華のようだ。
 痛みと血の匂いに意識が揺れる。

 人斬りと流浪人の螺旋が回る。
 狂々。狂々と。

 動きを縛る痛みが邪魔だ。
 反応の鈍い肉体が邪魔だ。
 意識を止める理性が邪魔だ。

 そうだ、肉体が追いつけないんじゃない。
 理性が意識を押し留めているんだ。
 意識に全て任せればいい。


 ―――この人斬りの意識に。

68 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:28:42 ID:XX0z9zg50
「ヒル間さん! 無理しないでください」
「うるせえ! いいからオレの言うとおりにしろ」

 這いずるように安全圏に移動したセナと蛭間は、戦いを見つめながら虎視眈々と準備をしていた。
 一か八かの最後の策。
 片手の動かぬ蛭間に代わりに、セナが奇策の用意に勤める。

「出来ました」
 そして、中身の詰まったペットボトルを手渡す。
「……よし」
 手渡されたペットボトルを受け取り、蛭間はそれを左腕で構えた。
 それだけ動作で、右肩に激痛が走る。

 この投球に失敗は許されない。
 だというのに、条件は最悪。
 利き腕ではない上に右肩の痛みが邪魔だ。

 それでも、こんな状況はいつもと変わらない。

 これまで泥門は栗田以外は素人同然のラインでやってきた。
 何度も潰され、何度も傷を負ってきた。
 利き腕が使えなくなったこともあった。
 怪我で喘いでも投げ続けてきたんだ。
 右肩の怪我がなんだ。

 迷いは一瞬。
 蛭間は素早く狙いを定め、対峙する剣心と更木に向かいペットボトルを投げつけた。

69 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:31:12 ID:XX0z9zg50
「剣心さん! それを叩いてその場を離れろ!!」

 横合いから響く蛭間の声。その声にハッとする。
 懐かしい声に悪い夢から目が覚めた感覚。
 中に舞うペットボトル。
 剣心はそれを視界の端で目視した。
 気付けば目の前には、迫る死神。
 命を刈り取らんと拳を放つ。
 反射的に剣心はその一撃をかわし、その勢いのままその体はコマのように回転する。
 そして、遠心力を利用し放たれた一撃は、ペットボトルを破壊した。

 黄色の粉が中に舞う。

(カリー粉?)

 僅かに香る香辛料の香り。
 それはたしか、セナの支給品、夜営道具の中に含まれていた物だ。

 それに、どういう意図があるのか。
 目くらましにしても弱い。

 訝しみながらも、剣心は蛭間の言葉通り後退する。

 そこに第二のペットボトルが投げ込まれた。

70 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:33:13 ID:XX0z9zg50
 開いたペットボトルの口に無造作に詰め込まれたメモ用紙。
 その先を炎が燃やしユラユラと揺れる。
 まるでそれは火炎瓶のようだが、そのペットボトルの中に可燃物は無い。
 そう可燃物は内ではなく―――

 空中に舞う黄金の粉が火を吹いた。
 その火は誘爆に誘爆を重ね、目の前の景色を白く染め上げる。

 ―――粉塵爆発。
 空中に散漫した粉塵が爆発を引き起こす。
 屋外であるため威力は低いが、目くらましには充分。
 爆発は更木を飲み込み、その視界を完全に奪った。

「ざまあ見やがれ! ヒャハッハッ……ッゥ!」
 傷の痛みに顔を歪めながら蛭間が笑う。
「無理して笑わないでくださいよ。ヒル間さん!」
 セナはそれを心配するように咎めた。
 そこに、煙の中から爆発を逃れた剣心が駆け現れた。
「け、剣心さん!」
「走れるでござるか? セナ殿」
 現れるや否や、それだけを聞く。
「は、はい。でもヒル間さんが……」
「では―――御免」
 返答を待たず剣心は蛭間を担いで走りだした。
 セナも慌てて、そのあとを追って駆け出す。

 神速の剣客と光速のランニングバックは一瞬にしてその場を離れる。
 煙が薄まり、更木の視界が晴れた頃には、その姿は視界から消えていた。

71 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:35:15 ID:XX0z9zg50
「逃げられたか。っと随分と男前が上がったじゃねえか、更木」
 そんな言葉をはきながら、後方から悠然と志々雄が現れた。
「おいおい、見てたんなら追えよ。追いつけただろ、オメエなら」

 たしかに、手負いとガキ二人。
 全力で追えば追いつけないことも無いだろう、が。

「なに。まあいいじゃねえか。生きてりゃそのうちまた出会うさ」

 抜刀斎との戦闘。夷腕坊からの脱出。
 この体はそろそろ時間切れだ。

「ちッ。気の長げえ野郎だぜ」
「オマエが短すぎるんだよ」

 わざわざ弱みを見せることも無いだろう。
 そのことを更木に言う必要は無い。

「さて、大体このあたりの奴等とは遊びつくしたかね。そろそろ四国か本州にでも渡ろうか」
 あたりを見渡し志々雄が呟く。
「へ。そこでも楽しめりゃいいがな」
 その一言に、志々雄は笑い。
「なぁに、楽しめるさ。存分にな」
 そう答え。二人の人斬りは歩き始めた。

72 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:37:15 ID:XX0z9zg50
【福岡県/昼】

【緋村剣心@るろうに剣心】
【状態】身体の至る所に軽度の裂傷、胸元に傷、重度の疲労、精神不安定
【装備】刀の鞘
【道具】荷物一式
【思考】1.志々雄たちから離れる
    2.人を斬らない

【小早川瀬那@アイシールド21】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式 野営用具一式(支給品に含まれる食糧、2/3消費)
 [思考]:1.志々雄たちから離れる
     2.薫、斎藤、姉崎、進との合流。

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、夷腕坊操作の訓練のため疲労
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.志々雄たちから離れる
     2.薫、斎藤、姉崎、進との合流。

73 :螺旋は回る。狂々と:2005/11/20(日) 23:40:17 ID:XX0z9zg50
【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:全身に軽い火傷、打撲。首筋に中度の裂傷。(簡易止血済み)
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1.四国か本州に渡る
     2.志々雄、ヒソカと決着を付ける 
     3.強いヤツと戦う

【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:身体の至る所に軽度〜中度の裂傷
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:無し
 [思考]:1.四国か本州に渡る
     2.剣八と決着を付ける
     3.全員殺し生き残る

74 :戦闘狂1/3:2005/11/21(月) 11:06:26 ID:mwlUiAc+0
「やぁ、僕の名は趙公明。君の名前はなんだい?」
「僕の名は藍染惣右介。君達の支給品と能力を教えてくれないか?」
「僕の支給品はこれだ。如意棒と言ってね、自在に長さを変えることができる素晴らしい棒だよ。
 別にこれといった能力はないね。妖怪仙人ではあるけど」
藍染の問いに迷うことなくすらすらと答えた趙公明は、チラリと背後に目をやってから言葉を続ける。
「そこにも誰か居るみたいだね。出てこないのかな?」

(――おい、完璧バレてるって!素直に出てった方がいいんじゃないか?)
(向こうからやってこない限り、今はこちらから出て行くことはない。様子を見ていたほうがいい)
(――まぁ、趙公明様があの袴野郎と戦ってくれれば、その間に逃げ出せるかもしれないけどさ)
(……)
逃げてしまってよいものかどうか。
あの二人はまだ悪人とは断定できないが、少なくとも善人とは言いがたい雰囲気を持っている。
(やはり、もう少し様子見だな)

「どうやらそこの人は出てこないようだよ、藍染クン」
「……妖怪仙人と言ったね?それはどういう存在なのかな?」
「そうだね、簡単に言えば、長い年月を生きることによって人間に変化できるようになった人外の存在ってとこかな」
「なるほど…」
興味深そうに頷く藍染。
そしてさらに質問しようとした藍染を趙公明はさえぎる。
「おしゃべりはここまでだ。僕は君と話すために舞い降りたわけじゃないからね」
如意棒を構え、藍染に向ける。
「見たところ君は中々の実力者のようだ。僕と勝負しようじゃないか」
「……」
体力が万全ならば、相手を倒して支給品を奪うことに迷いはなかったが、今はまずい。
盤古幡の重力50倍を使用した反動がかなり残っている。
趙公明と名乗ったこの男の実力がどれほどかは知らないが、自分から勝負を挑んでくる以上、
それなりに強いのだろう。さらに仙人でもあると言うならなおさらだ。

75 :戦闘狂2/3:2005/11/21(月) 11:07:17 ID:mwlUiAc+0
「そうだね……君はこのゲームから脱出するつもりはないのかな?」
藍染は今まで何度か口にしてきた『脱出』をちらつかせ、時間稼ぎを図る。
「脱出だって?」
「そう、僕はこのゲームから脱出する方法を知っている。君にその気があるなら、他の人を集めて琵琶湖に」
「そうはいかない」
藍染の言葉をさえぎり、強い口調でそう言い放つ趙公明。
今までとは違う、好戦的な雰囲気を放ちながら。
「なぜ脱出などしようとするんだい?せっかく全力で戦うことができる好機だというのに」
「わけの分からない『主催者』とやらの掌の上で踊らされているだけでもか?」
「そんなことはどうでもいいことだよ。戦いたいから戦う、それでいいじゃないか」
藍染も戦い自体は否定しない。
が、さすがにこの状況下での趙公明の発言はいささか理解しがたい。
『ゲームを生き残るために戦う』のでも『主催者を倒すために戦う』のでもなく、
『戦いたいから戦う』と、今の状況で言い切る趙公明を理解できるものは、このゲームに何人いるだろうか。
「そうか……だが、今の僕は少々疲れていてね…」
そう言いながら刀を構える。
「さぁ、お互い全力を出して戦おうじゃないか!」
趙公明も如意棒を構え、そして…
「アン、ドゥ、トロワ!」
如意棒を振るう趙公明。
しかし…如意棒が当たったはずの藍染の姿は消えうせ、周囲には静寂のみが残った。

「……ふぅ、せっかく素晴らしい戦いができると思ったのに」
落胆を隠せない表情で、構えていた如意棒を降ろす趙公明。
そして、その場を動くことなく、何かを待つようにじっと佇んでいる。

(――あの袴野郎、消えちまったぞ!)
(幻術の類か? しかし趙公明という男の方は動く様子がないな)

趙公明はしばらく立ちつくしていたが、やがて待ちきれなくなったのか声を上げる。
「さぁ、そこの君!いつまでも隠れていないで出てきたまえ!」

76 :戦闘狂2/3:2005/11/21(月) 11:07:58 ID:mwlUiAc+0
(――やべぇよ!どうするんだ!?)
(……ヤツは明らかにゲームに乗っている。ここで逃げるわけにはいかない)
(――おい、やめろって。あの方の強さを知らないからそんなことが言えるんだ!)
飛刀の言葉には耳を貸さず、ラーメンマンは曲がり角から足を踏み出した。
趙公明はそんなラーメンマンを見極めるように、じっと見つめている。
「まずは名前を聞かせてもらおうかな。僕は貴公子、趙公明だ」

77 :戦闘狂3/3:2005/11/21(月) 11:08:47 ID:mwlUiAc+0
【京都府・市街地/1日目・午前】
【趙公明@封神演義】
 状態:左足に軽傷
 装備:如意棒@ドラゴンボール
 道具:荷物一式×2(一食分消費)・神楽の仕込み傘@銀魂
 思考:1.目の前の男(ラーメンマン)と戦う。
     2.エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキを優先。

【ラーメンマン@キン肉マン】
 状態:健康 ・深い悲しみ・強い怒り
 装備:飛刀@封神演義
 道具:荷物一式・髪飾りの欠片(※)
 思考:1.目の前の男(趙公明)に対処。
     2.弱き者を助ける。(危害を加える者、殺人者に対しては容赦しない)
     3.正義超人を探す。
     4.ゲームの破壊。
※神楽の髪飾りの欠片を持っている理由は以下の通り。
  ・形見として少女の仲間、家族に届けるため
  ・殺人犯を見つける手がかりにするため

【京都府・市街地外れ/1日目・午前】
【藍染惣右介@ブリーチ】
 状態:わき腹に軽い負傷・骨一本にひび・中度の疲労(戦闘に軽い支障あり。盤古幡使用不可)
 装備:刀「雪走り」@ワンピース・斬魄刀@ブリーチ
 道具:荷物一式(食料二人分、一食分消費)・スーパー宝貝「盤古幡」@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
 思考:1.ひとまず逃走
     2.琵琶湖へ向かう
     3.出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害。特にキメラの翼を求めている。
     4.計画の実行

78 :奔る、奔る 1/4:2005/11/22(火) 00:16:39 ID:8TDbarAS0
【京都府/朝】

「城之内君…」

 つい先程まで行動をともにしていた少年の名前を聞き、女性、弥海砂はしばし顔を俯かせる。
確かに見捨てて逃げるような真似はしたが、それでも知り合いといってもいい人の死を知るのは
あまり気分のいいものではない。

 ちなみに火口の死も先程の放送で知ったが、そちらにはあまり感慨を覚えなかった。

 (やっぱ、あの金髪のヒトにやられちゃったのかな。名前は、確か…チョウコウメイ、とか言ったっけ)

 海砂は知らない。城之内の死に様も、その最期の言葉も。城之内克也という少年のことは、ほとんど何も。

 (城之内君が時間を稼いでくれたのかな?贅沢を言うなら、コッペパン以外の食べ物も遺してくれたら
  ありがたかったんだけど。)

 海砂にとって一番大事なのは、最愛の男性、夜神月。彼に会うためには、こんなところで死ぬわけにはいかない。
それが海砂の全て。できるなら死人は少ない方がいいが、所詮は瑣末事。夜神月に会う。夜神月に会いたい。
会って、彼の力になりたい。何故なら彼は、弥海砂の全てなのだから。

 夜神月は死んでいない。生きている。放送で名前を呼ばれなかったから、そう思っているのではない。
夜神月の生存。そのことは、海砂にとって、確信、いや信仰に近かった。
きっと会える。絶対会える。私は生きて、月に会える。

 (うぇーん、月〜、どこに居るの〜)

 弥海砂は歩き続ける。愛しい夜神月の面影を追いながら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


79 :奔る、奔る 2/4:2005/11/22(火) 00:17:26 ID:8TDbarAS0
【京都府/朝〜午前】

(げ。何コレ)

 趙公明に見つからないように、息を潜めて、なるべく人目につかないように歩いていた海砂は、
一抱えはある大木の中程に刻まれた足跡を見て、思わず素っ頓狂な声を上げそうになる。

 慌てて口を押さえて、辺りを見回すが、幸いなことに今の声を聞きとがめた者は居なかったらしい。
自分の馬鹿さに呆れつつも、オーバーアクションで胸をなでおろす。

(なんか、ヤバ気な感じ〜)

 実際、今の海砂には武器になりそうなものが無い。マシンガンが仕込まれていた傘は、茶屋に置いてきてしまったし、
流石に取りに戻る気にもなれない。今の自分にあるものは、六角形の変な石(疲れを癒してくれるそうだが)と、
数日分のコッペパン。殺人者に襲われたら、一溜まりもないだろう。

 事実、ゲームに乗っている人間が居るということは、先刻、嫌というほど思い知らされたばかりだ。

(こっちにいくのはやめとこ〜っと)

 もしかしたら、この先で殺人者が待ち構えているかもしれない。
一度だけ、大きく体を震わせると、躊躇うことなく、踵を返す。

 東から、西へ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


80 :奔る、奔る 3/4:2005/11/22(火) 00:18:09 ID:8TDbarAS0
【京都府/午前】

(あー、神様仏様キラ様、ど〜かチョウコウメイが降ってきませんように!!)

 息を潜ませ、気配を殺し(たつもりになり)、海砂は一人で町外れを歩く。出来る限り迂回して。
無理なときは、建物の陰で小さく縮こまって。ソロリソロリと海砂は進む。

(う〜、ストレスは美容の大敵なのに〜)

 それでも海砂は止まれない。海砂の気持ちは止まらない。月を想う、彼女の気持ちは止めれない。

 進む。進む。進んだ先に柔らかな月光があると信じて、海砂は確かに進んでいく。
そして、名残でも月光を偲ぼうと空を見上げたとき…


―――!!

 
 空を飛んでいた。あの男が。チョウコウメイが。

(バカー!降ってこないでってお願いしたじゃない!)

 海砂は駆け出す。震える足に檄を入れて。力の限り、走れる限り。
一歩でも、半歩でも、月の近くに行きたいがために。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

81 :奔る、奔る 4/4:2005/11/22(火) 00:18:42 ID:8TDbarAS0

【大阪府/昼】

 海砂の膝は笑っていた。体からは滝のような汗が流れていた。
たとえ、核鉄を持っていたとはいえ、脇目も振らぬ全力疾走、ようやく彼女は京都からはなれ。

 今は大阪府に辿りついていた。

 そして、彼女の目の前に居たのは。

 なにやら驚いたような顔を向ける少年。だが、その腕には禍々しい刃物が装着されていて…



82 :奔る、奔る:2005/11/22(火) 00:21:04 ID:8TDbarAS0
【大阪府/昼】

【弥海砂@DEATHNOTE】
 [状態]:重度の疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、核鉄XLIV(44)@武装錬金
 [思考]:1.目の前の少年は…?
     2.夜神月との合流
     3.夜神月の望むように行動



【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 目の前の女性は…?
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      5 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。
      (リンの埋葬がちょうど終わりました)

83 :作者の都合により名無しです:2005/11/22(火) 11:39:57 ID:EPvq437P0
>>157
ボケろ

84 :ブチャラティvsガラ 後編1/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:45:56 ID:G3zYB7Ye0
「もう、逃げられねェな〜」
ガラは勝利を確信していた。傷を負い、追い詰められたブチャラティに、もう手は残されていないはずだ。
だが、そんな状況でありながらも、ブチャラティは言った。
「逃がす?そんな心配はもうするな。お前が心配することは、ジッパーでバラバラにされて地面にコロがったあとの事だけだ…」
「減らず口を〜・・てめェは殺す!!」

力が満ちる。ブチャティは動かない。観念したか、とガラは思った。

「砕け散れェ〜ブチャラティー!!!!」

 魔

 人

!!!!!!

技を放つ瞬間ガラは見た。
ブチャラティが何か宝石のようなものを頭上にかざすのを。

直後、天地を揺るがす轟音と、巻き上げられた砂塵でみるみる視界が遮られていった。

友情マンと桑原はその轟音を聞いて思わず立ち止まった。大地が、揺れている。
「どっひゃーー。こりゃちけーぞー。友情マン!何が起こったんだぁ〜?」
「耳がおかしくなりそうだ・・・ガラ君に何が・・・?」
「げほっげほっ、埃がすごくて何もみえねぇ」
「桑原君!少し様子を見よう!!いきなり敵が出てくるかもしれない、用心するんだ」
―――まずい、今からでも引き返すべきか?しかし、桑原君が納得しないだろう。頼むガラ君、無事でいてくれ・・・!

85 :ブチャラティvsガラ 後編2/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:46:59 ID:G3zYB7Ye0
肉の焼き焦げるにおい。砂埃の中、ガラは自分が倒れていることに気がついた。
まず目に入ったのは、『真・魔神(人)剣』による亀裂だった。深く長く地面を奔り、終点である場所には大きなクレーターが開いていた。

影が、近づいてくる

「・・・何よりも『困難』で、『幸運』なくしては近づけない道のりだった。お前に近づくという道のりがな・・・」
「ぐっ、ぐはっ、ごほっ、こ、こいつぁ。面白くねぇことになっちまったぜぇ」

倒れ伏したまま、血反吐を吐き、荒い息をつきながらガラは理解した。
『真・魔神(人)剣』を放つ瞬間、ブチャラティの翳した宝石の様なのから発射されたレーザーが、ガラの腹部に命中し炸裂したのだった。
両手が万全で、技を放つ瞬間でなければ白羽取りで防げたかもしれない。だが、ブチャラティはここぞという時に切り札を切った。
腹部に命中したレーザーは、その瞬間に爆発し、ガラの半身を焼き焦がしていた。

それでも理解できないことがある。
なぜ、この完全な『忍法七ツ見分身の術』を見破り、この本体を攻撃することができたのか。
なぜ、音速を超えるスピードで、地面にクレーターを空けるほどの『真・魔神(人)剣』を回避できたのか。

「・・・ほんの一瞬だったが、見てしまったな。まったく、同じ動きをする『分身』に助けられたよ。『仲間』が来たときに、正確に『声』がした方向を、見たのはお前だけだった。他の『分身』はみんな違う方向を見ていた。オレを円状に囲んでいたから。」
「…ち、ちぃ、ミスったぜ・・・だが、なぜ『真・魔神(人)剣』を受けて立ってられるんだァ」
「潜るだけが能力ではない・・・本体がわかってから、お前の死角になるようにあらかじめ地面にジッパーをしいておき、閉じるジッパーにつかまって直撃を回避した。それでも・・・完全にかわすことは出来なかったが・・・片手で威力が半減していなかったら死んでいたな・・・」
「ぐほっ、ちィ、そういうことかい」

ブチャラティ、目の前に来た。足を止める。

「・・・もう時間いっぱいだ。仲間が来るまで、数秒後かあるいは一分後か。そのままにしていれば『安らかなる死』を約束しよう」
「む、むぁてタコ!」

斬魄刀を支えにして、ガラは立ち上がろうとする。ひどい火傷だが、なんとか反射的に致命傷は避けたようだ。

「ぐほっ、こっちはまだ売りたい物が残ってんだい!!」
「バカな!?なぜ、そうまでして向かってくるのだ。」

86 :ブチャラティvsガラ 後編3/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:49:06 ID:G3zYB7Ye0
・・・D.S、・・・ネイ・・・
「・・・へっ、なんとなくさ・・・」

ガラは口の周りの血を拭き、なんとか立ち上がって斬魄刀を構えた。
ブチャラティも立っているのが不思議なほど全身に傷を負っている。

ゴゴ   
ゴゴ  
ゴゴ    「・・・ゴフッ、ハァ、ハァ、あの女を殺したのはお前じゃねぇ・・・
ゴゴ    「なに・・・・?
ゴゴ    「・・・殺し方(やりかた)を見ればわかる。・・・・・お前は、イイヤツだな・・」
ゴゴ    「・・・・・
ゴゴ    「へ、ヘンな髪型だがイイヤツだ・・首輪の話をしたときに、一瞬女の方を見ただろ。
ゴゴ    「・・・・・
ゴゴ    「どうせ昨日今日会ったばかりの・・どんな音楽が好みなのかも知らんよーな女だったんだろーが・・・
ゴゴ    「・・・
ゴゴ    「あ、あの時の目を見りゃあ誰だってわかるさ・・・
ゴゴ    「・・・戦う気はない、と言ったはずだ
ゴゴ    「へっ、おれはなァ、今が面白ければ・・・あとはど〜でもいいのよ・・・
ゴゴ    「・・・もうしゃべるな・・・ケリを、着けるぞ
ゴゴ    「ガハッ、わ、忘れたのか、せ、接近戦でもオレのほうが強えーってことをな・・
ゴゴ    「かもな・・・どちらが先に、相手に攻撃を叩き込むかの勝負だ・・・
ゴゴ
ゴゴ

「い、いっけえええええ!!!『魔神(人)剣』!!!」
「『スティッキィ・フィンガーズッ』!!!」

ガラは『魔神(人)剣』を放つことは出来なかった。
ブチャラティがジッパーで切り離したガラの腕が、一瞬早くガラの顔面に命中したのだ。

87 :ブチャラティvsガラ 後編4/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:50:08 ID:G3zYB7Ye0
「ぐっ、なにィ・・・!?」
「借りていたものを返そう。おまえの腕だ。」

ガラの巨体が、揺らいだ。

「・・・ひとつ。お前の言った事に『間違い』があったのを思い出した。
彼女が死んだのは・・・彼女を殺したのは、オレだ。
『解除』に『失敗』して『首輪』を爆発させて・・・当然、予想するべきだった。
『主催者』を甘く見ていたオレの、『ミス』だ。」

「そッ、そーかい。ま、そんなに、気にすんなよ・・・腕は、もっていきな・・・」
「グラッツェ。ガラ・・・お前の名、胸に刻んでおこう。そして・・!!」

「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィィィィ!!!」

スティッキィ・フィンガーズ、拳を何度も何度も叩き込む。

「ぐはぁぁっ」
『アリーヴェデルチ!(さよならだ)』

遠ざかる意識の中、ガラは声を聞いた。

(オレと違ってテメーのよーな三枚目は死んだら二度と生き返れねーからなっ。気をつけろよっ)

・・・フッ、そーだったな・・・D.S・・・

--------------------------------------------------------------------------------

88 :ブチャラティvsガラ 後編5/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:56:14 ID:G3zYB7Ye0
「・・・ガラ君!!!だめだ、遅かったか・・・」
「くっ、ちっくしょう・・・」

それから二人は黙って三人の遺体を埋葬した。根本から倒されている木、大地に走る無数の亀裂、中でも一際大きな亀裂の先に巨大なクレーターが出来ており、激闘の後を物語っていた。
ガラの体は焼き焦げ、さらに全身を殴打されたような姿で死んでいた。それでも、ガラの死に顔は満足そうだった。

「犯人は海のほうへ向かっただって?桑原君!!」
「ああ、こぼしていった“におい”みてーなもんが漂ってるんだ。満員電車のすかしっ屁みてーなもんだな」
「君、その(つぶれた)顔によらずなかなかスゴイな!もう少し詳しくわからないのかい?」
「なんか素直によろこべねーなクソ!!やれるかどうか念信してみる!!」

桑原は額に人差し指を当て集中する。見えてくる。これは・・・ガラの意識か?
『貴様が殺人犯……か。悪いが・・・・・・』『戦う気・・・・・』 ちっ、何を言ってるのかわかんねぇ
『なにぃ!!?ブチャラティが消えた?』 ―――!!?

「わかったぜ!!やつの名前はブチャラティだ!!」
「『ブチャラティ』!すごい!!確かに名簿に載っている名前だ!」
額に指をあてたまま桑原は続ける。
「ヤツは、『おたまじゃくし柄のスーツ』を着やがる。」
「うんうんそれでそれで?」
「そいつは、『おかっぱ頭』だ。まちげぇねぇ!頭に『ダンゴ虫みてぇなブローチ』をつけてやがる!」
「犯人は女性なのか!特殊な感性の持ち主だね・・・おたまじゃくしにダンゴ虫か・・・
「いや!こりゃ『男(ヤロー)』だ。・・・なんつーかよ、すんげぇ『濃い〜ツラ』だぜ」
「桑原君・・・それは変態というやつでは・・・?」
「・・・だめだ、もう何もみえねぇ。だが、わかったぜぇ、ガラのおかげで・・・サンキュな・・・ガラ」

二人はブチャラティを追跡することにした。
友情マンは考える。間に合わなかったのは、幸か不幸か。しかし、あのガラ君が倒されるようなマーダーがいるのか・・・
――――本気で戦うことも、考えなければならないな・・・。

-------------------------------------------------------------------------------------

89 :ブチャラティvsガラ 後編6/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:56:54 ID:G3zYB7Ye0
松島を、『美しい』とブチャラティは素直に認めた。
これからも松島はただ松島としてあり続けるのだろう。
それにしてもガラ、恐ろしいほどの強さだった。あのレベルのヤツが他にもどれだけいるのか
深く傷を負ってしまった。とりあえずジッパーで応急処置はしたが、止血程度にはなるだろう。

いずれ『主催者』は倒す。
だがやはり『仲間』は必要だ。探して、集めよう、ともに『主催者』を倒すという者がいるのなら
そして『首輪』の弱点も、必ず見つける

『首輪』

そこまで考えて、ブチャラティは晴子のことを思い浮かべた。

・・・オレは生き返ったんだ。解除に失敗して死ぬはずだったオレの命は・・・

青い海、太陽に照らされて白く輝く

なぜ命というものがあるのだ、死があるのだ。
生きている限り、死者の分まで生きなければならないのだろうか。

彼女よりは長く生きることになった。

潮の香りがする風、吹き散らされて思考は切れ切れになる。
青い空、今にも落ちて来そうな空。まぶしさに目を細める。

太陽から降り注ぐこの光のように、思いが、はるか遠くまで届くことがあるのなら

せめて、彼女には届け、とブチャラティは思った。

―― To be continued ―→

90 :ブチャラティvsガラ 後編7/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:57:28 ID:G3zYB7Ye0
【宮城県宮城郡松島町/西行戻しの松公園(松島海岸)/昼】

【友情マン@ラッキーマン】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)
 [道具]:荷物一式、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分、ラーメン類品切れ)、青酸カリ。
 [思考]:1.負傷しているはずのブチャラティを追跡する。仲間にするのは無理だと思っているので、殺せるようなら殺す。
2.強い者と友達になる。ヨーコ優先。
     3.最後の一人になる。

【桑原和馬名@幽遊白書】
 [状態]:健康。怒りと悲しみ。ブチャラティのいる位置がなんとなく分かる。
 [装備]:斬魄刀
 [道具]:荷物一式
 [思考]: 1ブチャラティを追跡、怒りに燃えている。ガラの仇をとる。
     2.ピッコロを倒す仲間を集める。浦飯と飛影を優先。
     3.ゲームを脱出する。

【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:ガラの右腕をジッパーで固定した。ただし、スタンドの右腕は復旧不能。
     全身に無数の裂傷。とりあえずジッパーで応急処置をした。致命傷ではないがかなりの重症。
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式 スーパー・エイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
 [思考]:1『主催者』は必ず倒す。そのために『仲間』を集め、『首輪』の解除方法も見つける。
     2 死者の分まで『生きる覚悟』『も』決めた。
     3 移動する。

【ガラ@バスタード】死亡確認 
【残り102人】

91 :ブチャラティvsガラ 後編8/8 ◆PN..QihBhI :2005/11/22(火) 17:57:57 ID:G3zYB7Ye0
※友情マンはガラ、ジェーン、晴子の死因と死亡時期がそれぞれ違うことを見抜いています。少なくともブチャラティは単独犯で傷を負っていると思っています。しかしまだそのことを桑原に話すつもりはありません。桑原を利用してブチャラティを始末しようかと考えています。
※斬魄刀はブチャラティに時間が無かったからか、それとも証拠になると思ったからか、その場に放置されていました。現在は桑原が装備。
※桑原はブチャラティが3人を殺したマーダーだと思い込んでいます。
※ガラの遺体は「右腕」以外、五体満足でした。ブチャラティが自分の能力がばれることを恐れたためです。『右腕』はブチャラティのものになっています。

92 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 21:47:42 ID:B3K9rNi+0
「おい、そこのおまえ。
 さっき『DIO』と言ったな?」

何の動作もなく纏われた鎧を無感動に見ていた承太郎だが、
翼を庇うように一歩前に出、静かにカカロットを見た。
目の前の男が悪い人間には見えない。
暴虐の限りを尽くし、人を殺すのに毛ほどの躊躇も感じないDIOや、
大金目当てで承太郎達に襲い掛かってきたスタンド使いたちに比べれば、だが。

「石崎君のおおおおおおお仇ぃいいいいいいいいい!」
いつの間にか体勢を立て直していた翼は、拳を握り締めて悟空へと向かう。
それを見て承太郎は……高速の足払いをかけた。
怒りに我を忘れていた翼は、避けることも出来ずに頭からダイブする。

「ブヘァ、な、何をするんだJOJ「まずは落ち着け」
『スタープラチナ』の指弾で翼の口にらっきょを放り込み、自分も一つ口にする。
そして帽子を被り直し、静かに悟空の観察を始めた。
「いいか、まず石崎を殺したのがヤツとも限らねえ。
リストには100人以上の名前が載っているからな。
それに」
それに放送自体が『嘘』の可能性もあるとも言おうとしたが、それを言い出したらキリがない。
「それに、野郎はただ川を飛び越えてこっちに来ただけだ。
先に手を出したのは俺の方……
さっき出した妙な玉も、こんな状況じゃあしょうがねえ……」
翼を落ち着かせるようにゆっくりと話し、効果があったのか翼も握り締めた拳をスッと崩した。
しかし、これが甘っちょろい願望であることを承太郎は分かっていた。
男の目には『欲望』も、『恐怖』も映してはいなかった。
そこにあったのは純粋な『闘争本能』、それと『迷い』だ。
今は足を止めてはいるが、果たしていつプッツンくるか分からない。

93 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 21:53:44 ID:B3K9rNi+0
何故自分は戦うのか?
―――サイヤ人だから
何故地球人を心の底から憎いと感じるのか?
―――サイヤ人だから
何故彼らを殺さなければならないのか?
―――サイヤ人だから



来た。

合わせた両手から放たれる波動が、スタープラチナ目掛けて走る。
すかさず翼の腕をひっ掴み、スタープラチナの脚力を使い弾かれたような横っ飛びで避ける。

ドッゴオオ オ オ  オ  オ ンッ!

間一髪だった。
斜め後ろの茂みが焼け焦げ、シュウシュウと煙が立ち昇っている。
生身の承太郎や翼に当たれば、酷い火傷を負うことだろう。
「刺激しちまったか……?
いや、元からやる気だったか……」
旅館から持ち出したボールペンを取り出し、スタープラチナの腕でダガーのように放つ。
だが、それらは紙風船のように難なく弾かれ、先ほどのエネルギー波を繰り出そうと両手が構えられる。
着地した瞬間、時を止めなければ間に合わないタイミングだった。
「(やめろ!)」
しかし、男の両腕の光線はまるで見当違いな上空へと放たれる。
一瞬きらめいた光は、まるで天を掛ける稲妻のようだった。
自分の意思に反した両腕の動きに、思わずたたらを踏むカカロット。


「JOJO君!」  「ああ!」
そして、息もピッタリに一目散に逃げ出す二人。

94 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 21:54:31 ID:B3K9rNi+0
逃げることは恥じることではない。
このような開けた場所では、そのわけの分からないビームを乱発されたらおしまいだ。
先ほどのような暴発が、また起こるラッキーがあるわけはない。
戦うために逃げるのだ、諦めたわけではない。
二人ともらっきょを噛み締め、(承太郎はスタープラチナで背後を確認しながら)木立へとジグザグ走行で逃げていく。
承太郎のスピードもかなりのものだが、サッカー選手の翼はその上を行く速さだ。
だが、どちらも地球人。戦闘民族には敵わなかった。





                      ビュンッ!

                       ! ?

「速い!」  「……やれやれだぜ」
しかし回り込まれた!
そのスピードに舌を巻く翼と、不機嫌そうに呟く承太郎。
そして、悟空の手刀が承太郎に迷い無く振るい降ろされる!
「……スタープラチナ」



95 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 21:55:15 ID:B3K9rNi+0

          ド――――z____ン

悟空の手刀が帽子のヘリで止まった。
翼が悟空の足元目掛けてスライディングをしようとしている。
わずかに吹いていた風も止まり、川のせせらぎも聞こえなくなった。
――――時が止まった。

「ザ・ワールド、時は止まった……」
焦ることなく『スタープラチナ』でカカロットの手のひらを殴る。
変化は見えないが、能力が解除されれば手刀の軌道は逸れるはずだ。
「……そして時は動き出す」



カカロットの手刀は逸れ、承太郎の帽子を弾き落とすに留まった。
手の痺れと少しの驚愕の中、畳み掛けるように翼のスライディングが滑り込む。
不意を突かれてカカロットがよろめくが、ほんの一瞬だけだった。
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!」
すぐに地を蹴り、雄たけびと共に承太郎へと突っ込んできた!

96 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 21:55:58 ID:B3K9rNi+0
悟空の右の拳をそのスピードと精密さで逸らし、スタープラチナの拳を胸部へ叩き込む。
しかし、カカロットの勢いは止まらない。
スタープラチナの腕を取り、そこに拳を荒々しく叩き落とす。
腕を振り回して直撃は避けるが、承太郎の腕にミシリと嫌な音が走る。
「(ぐぅ……ヒビぐらいは入ったな……)」
音と同時に腕を伝う痛みに顔をしかめ、スタープラチナの脚でカカロットへローキックを放つ。
しかし少し下がるだけで簡単に避けられ、スタープラチナ以上のパワーを持ったハイキックが承太郎を襲う。
普通ならば直撃コースだが、承太郎が時を止めて屈み回避できた。
しかし、振り上げた脚は袈裟懸け斬りのように承太郎へと追撃を放つ!
「オラァ!」
膝の関節を狙った精密な突きは、黄金聖闘衣を纏ったカカロットに多少だがダメージを与えた。
カカロットのパワーが制限されているとはいえ、黄金聖闘衣を纏ったカカロットならば大いに勝算はあるはずだった。
しかし、DIO戦の負傷に加えて分厚い重ね着。何よりも、もう一人の己がカカロットの戦闘力を制御していた。
DIOと同じ力を持った一撃一撃が、じょじょにカカロットの脳を揺らし、悟空の開放を速めていたのだ。


「(やめろ、もうやめろ!
  おめーはでてくるな!これいじょうひとをころすってのか!
  おらはかかろっとじゃねえ!おらはごくうだ!そんごくうだ!)」
「う、う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


97 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 21:57:48 ID:B3K9rNi+0
「いっけえ!りゃありゃあ!」
翼が拾った石をカカロットに投げるが、鎧の上からでは大した効果は無い。
承太郎は視線一つ送らず、戦闘に集中している。
本当なら翼を逃がした方がいいのだろうが、あのサッカークレイジーを一人にしたら、何をしだすか分からない。
近くに居て、なおかつ敵から離れていれば危険がない……そう思ったのだ。
……それよりも、気になるのはあの男の方だ。
拳一つとっても、その威力はスタープラチナに勝るだろう。
しかし、荒い。我流の闘法というわけではないようだが、こちらが一撃入れる度に動きが荒くなっている気がする。
「やれやれ、中々の強さじゃねーか……。
 弾丸も止めるスタープラチナの左腕をやったのは、おめーくらいのもんだぜ。
 だが、ちぃっと荒っぽすぎた……みてーだな。
 たっぷり頭冷やしな……」
スタープラチナの強化された視覚による動体視力!
ゆっくりと時が流れる世界で、カカロットが承太郎へ踵落としをする姿が見える。
普通ならば避けられない一撃、しかし承太郎はそれをギリギリまで引き付け、臆することなく時を止める。

「(こいつとの戦闘でちっとは勘を取り戻したが、今のところは0.3秒ってところか……
  やれやれ、半年のブランクは中々デカイもんだな……)」
正確にはそれに加えて、バーン達の能力制御によるものだが、承太郎はまだそれを知らない。
平和な生活に戻ってからは、ほとんどスタンドを使わなかったのもあるだろうが。
「このままッ一気にッどたまをぶち抜かせてもらうぜ!」
大岩をも砕く豪腕が、カカロットのアゴへアッパーカットを放った!


98 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 22:01:28 ID:B3K9rNi+0
スタープラチナのアッパーカットはカカロットを数mもぶっ飛ばした。
そして、上空で方向転換が聞かないカカロットに両拳の連打を撃ち込む。
「オララオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
 オラオラオラオラオオラオラオラオラオラ―――ッ!」
機関銃のように繰り出される拳がカカロットに向かう!


だが、それらは全て空を打ち抜いた。
「なにぃ!」   「うそっ!」
あろうことかカカロットは、身動きの取れないであろう『空中』で方向転換した。
気を利用した舞空術で空中に留まり、オラオララッシュを回避したのだ。
そのまま重力の力を上乗せした蹴りの連打を承太郎目掛けて放つ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「ぐううっ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」
カカロットは舞空術で気を大量に消費していたが、黄金聖闘衣を纏い、なおかつ地の利があった。
結果、左腕を負傷していた承太郎は上半身にラッシュを喰らい、後方へと飛ばされる。
「JOJO君!JOJO君!」
「ぐうッ、驚いたぜ。
 まさか空まで飛べるとはな……」
オラオララッシュでかろうじて頭部は守ったが、腹部に何発も貰ってしまった。
呼吸が苦しい。立ち上がれはするが、呼吸が弱まった以上はスタンドパワーも落ちているだろう。
吹っ飛ばされる前に、せめてもの一撃をボディーに撃ち込んでやったが、この分では通じては……

99 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 22:01:49 ID:B3K9rNi+0
「ハァ……ハァ……、オラ……どうしちまったんだ……?
 ハァ……まさか……お、おめーら無事か?」
「え、ぼ、ぼくはだいじょうぶだけどJOJO君が!」
先ほどまで戦闘していた男が、息を切らしながらも心配そうに話しかけてくる。
この異常事態に、翼は困惑しながらも承太郎を指差す。
自分の着ていたユニフォームを脱ぐと、ディバッグから水入りペットボトルを取り出して振り掛ける。
承太郎の学ランをはだけさせると、その上にそっと乗せる。
おかしい、あの男は確かに今までJOJO君と戦っていた。
それなのに、まるで何も無かったかのような挙動で、倒れたJOJO君の心配までしている。

もっとおかしいのはそんな彼を素直に受け入れている翼なのだが、翼はそれに気がつかない。
彼からは全く邪気を感じず、更にはどこか爽やかな印象さえ持っていた。
それは倒れている承太郎も同じだった。
そして、一言「やれやれだぜ」と呟いた。

100 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 22:03:13 ID:B3K9rNi+0
【群馬県 湯檜曽川/日中】

【孫悟空@ドラゴンボール】
[状態]:疲労、 顎骨を負傷(ヒビは入っていない)、
     出血多量、各部位裂傷(以上応急処置済)
[装備]フリーザ軍の戦闘スーツ@ドラゴンボール
[道具]荷物一式(食料二食分消費)
    双子座の黄金聖衣@聖闘士星矢(その辺に転がっている)
[思考]今までの行いに呆然
[備考]???


【大空翼@キャプテン翼】
[状態]:転んで顔が痛い。精神的にやや壊れ気味?(やや改善か?)
[装備]:拾った石ころ一つ
[道具]:荷物一式(水・食料一食分消費)、ボールペン数本、禁鞭@封神演義
[思考]:1.承太郎を快方する。
     2.東京へ向かう。
     3.仲間を11人集める。
     4.主催者を倒す。
[備考]:悟空の挙動に疑問(不審には思っていない)

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労、肩、胸部に打撲(応急処置中)、左腕骨折。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(水・食料一食分消費)、ボールペン数本、らっきょ(二つ消費)@とっても!ラッキーマン
[思考]:1,体力の回復、傷の治療に専念する。
     2.可能なら悟空からDIOの情報を聞き出す。
     3.バーンの情報を得るべくダイを捜す
     4.東京へ向かう
     5.主催者を倒す
[備考]:悟空の挙動に疑問(不審には思っていない)

101 : ◆HKNE1iTG9I :2005/11/22(火) 22:20:34 ID:8+cWP9d/0
奔る、奔る 1/4 修正版
【京都府/朝】

「城之内君…」

 つい先程まで行動をともにしていた少年の名前を聞き、女性、弥海砂はしばし顔を俯かせる。
確かに見捨てて逃げるような真似はしたが、それでも知り合いといってもいい人の死を知るのは
あまり気分のいいものではない。

 (やっぱ、あの金髪のヒトにやられちゃったのかな。名前は、確か…チョウコウメイ、とか言ったっけ)

 海砂は知らない。城之内の死に様も、その最期の言葉も。城之内克也という少年のことは、ほとんど何も。

 (城之内君が時間を稼いでくれたのかな?贅沢を言うなら、コッペパン以外の食べ物も遺してくれたら
  ありがたかったんだけど。)

 海砂にとって一番大事なのは、最愛の男性、夜神月。彼に会うためには、こんなところで死ぬわけにはいかない。
それが海砂の全て。できるなら死人は少ない方がいいが、所詮は瑣末事。夜神月に会う。夜神月に会いたい。
会って、彼の力になりたい。何故なら彼は、弥海砂の全てなのだから。

 夜神月は死んでいない。生きている。放送で名前を呼ばれなかったから、そう思っているのではない。
夜神月の生存。そのことは、海砂にとって、確信、いや信仰に近かった。
きっと会える。絶対会える。私は生きて、月に会える。

 (うぇーん、月〜、どこに居るの〜)

 弥海砂は歩き続ける。愛しい夜神月の面影を追いながら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

102 :乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ :2005/11/22(火) 23:23:54 ID:XcED26Zc0
>>98 修正
スタープラチナのアッパーカットはカカロットを数mもぶっ飛ばした。
そして、上空で方向転換が聞かないカカロットに両拳の連打を撃ち込む。
「オララオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
 オラオラオラオラオオラオラオラオラオラ―――ッ!」
機関銃のように繰り出される拳がカカロットに向かう!


だが、それらは全て空を打ち抜いた。
「なにぃ!」   「うそっ!」
あろうことかカカロットは、身動きの取れないであろう『空中』で方向転換した。
気を利用した舞空術で空中に留まり、オラオララッシュを回避したのだ。
そのまま重力の力を上乗せした蹴りの連打を承太郎目掛けて放つ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「ぐううっ オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」
カカロットは舞空術で気を大量に消費していたが、黄金聖闘衣を纏い、なおかつ地の利があった。
結果、左腕を負傷していた承太郎は上半身にラッシュを喰らい、後方へと飛ばされる。
「JOJO君!JOJO君!」
「ぐうッ、驚いたぜ。
 まさか空まで飛べるとはな……」
オラオララッシュでかろうじて頭部は守ったが、腹部に何発も貰ってしまった。
腕が熱い、先ほどはヒビで済んだが、どうやらイってしまったようだ。
呼吸が苦しい。立ち上がれはするが、呼吸が弱まった以上はスタンドパワーも落ちているだろう。
吹っ飛ばされる前に、せめてもの一撃をボディーに撃ち込んでやったが、この分では通じては……

103 :焔に焦がす眼:2005/11/23(水) 04:10:54 ID:DgxiARJ7O
愛知県名古屋城、天守閣――

今は昔、戦国の世にありていくつもの命のドラマを生んだ場所。

現代、そんな強者共が夢の跡をできる限りのありのままの姿でもって観光の見せ場として残した場所。

日の昇る前、一組の男女が互いの再会を誓って束の間の別れを為した場所。

その天守閣。
外から差し込む日差しに映えるその空間には、本来あるべき人影はどこにも見当たらず――


愛知から北、場所は長野県。
津村斗貴子は足早に、しかし警戒は最大限に、辺りを賢明に探索していた。

(カズキ…君は…何処にいる?)

必死に探索を続ける。
小さい枝で腕に傷を負ってしまっても、思わず石につまづいて膝を硬い地面に打ち付けてしまっても。
まるで何かに取り憑かれたかのように必死に足を進め続ける。

本来ならば、名古屋城からあまり離れてしまうのは好ましくなかった。
約束の午後六時までには戻ればよい。
そう考え、いや…そう自分に言い聞かせる事で、名古屋を後にした。

『リン』

朝の放送で呼ばれた名。

彼の…ケンシロウの探すと言っていた少女の名。
体が震えた。
カズキと防人の無事を確認できたとはいえ、それでも体の震えは止まらなかった。

104 :焔に焦がす眼:2005/11/23(水) 04:12:33 ID:DgxiARJ7O


(私が…巻き込んだ…!)

それは、推理の結論。

この不可解なゲームに連れてこられてからずっと考えていた。

総勢130名。いや、すでに…112名。
あの主催者たちに連れてこられた、様々な異世界から選ばれし者たち。
いったい、その選ばれた基準は何だったのだろう?と。

(私のせいだ)

それは確信。
ただ純粋に様々な世界の強者を寄せ集めた、というわけでもない。
ケンシロウいわく、リンという少女は戦う術など無い…ごく普通の少女だと聞いた。
ならばリンはなぜ選ばれた?

(ケンシロウの近くにいた…存在だからだ)

それしか理由が見当たらない。
様々な世界の強者。そして敵味方は問わず、その者に近しい者。
そんな理不尽な理由でリンは選ばれたのだろう。
そして…

「…カズキも…」

そう。
彼もまた、自分や防人に近しい者として連れてこられたのであろうと考えられた。
ただ純粋に強さのみが判断基準であるのならば、自分やカズキが選ばれるはずはない。
自分たちよりも強い者は他に何人もいたはずである。

105 :焔に焦がす眼:2005/11/23(水) 04:19:15 ID:DgxiARJ7O

考えられる理由はただ一つ。

強者代表は『防人衛』

その近い存在として、自分たち二人やあのホムンクルスは選ばれたのだ。

自分は構わない。戦士として生きていく覚悟は、とうの昔からできている。
…しかし、カズキは違う。
自分が、私が…彼を戦士の世界に引き込んでしまったのだから。

彼は被害者。
リンも被害者。
だから、震えた。

弱き者から淘汰されていく世界。
人を疑えない真っ直ぐな者から淘汰されていく世界。

(カズキ…!)

不安に体が震えてしまうには、十分な動機。
いてもたってもいられなくなるにも、十分な動機。
自分という存在さえ無ければ彼を巻き込む事は無かったのだと…己の存在価値さえも否定しながら、責め続けながら、彼女は足を動かし続ける。

「…!?あれは…?」

森の先の遠くに現れた大きな建物、見た感じでは立派な別荘のようなそれを視界に捉え、一瞬足を止める。

(…誰かいる可能性もあるな。危険ではあるが…行くしかない)

背に着けている剣の持ち主であるかもしれないダイの情報を得るため…という理由もあるにはあるが、それよりも『カズキを探さなくては』という使命感に後押しされ、迷う事無くそちらへと進路を向ける――

106 :焔に焦がす眼:2005/11/23(水) 04:20:34 ID:DgxiARJ7O



――しかし結局、そこには誰もいなかった。
あった物は…見知らぬ顔の、二つの亡骸。

「……外道め…!!」

少しでも心ある者であれば、決してしないであろう殺し方。
その首から上が無い死体を眺め、ギリ…と拳を強く握りしめる。

しかし…気にかかる不可解な点があり、斗貴子は考える。

(何故だ?この二人の武器も荷物も…全く手付かずだ。食料さえも。…『必要無い』とでもいうのか?この犯人は…?)

その二人の荷物を調べながら考え続ける。

(この状況に気が狂ってしまった狂人なのか?それとも…こんな銃器など必要としないほどの強さを持ち、なおかつ食料さえも必要としないほどの……!…まさか…!?)

一つの可能性が頭をよぎる。

『ホムンクルス』

リストにあった蝶野攻爵の名。奴である可能性。

もちろん、ただの推測ではある。
ホムンクルスは人を喰らう。必ずしも食料を必要とするわけではない。
蝶野以外にも自分が知らないホムンクルスがいる可能性もある。

しかしこれらの遺体は喰われている訳ではない。
…だが、すでに満腹であっただとか、ただの気まぐれで殺しただとか…理由はいくらでも考えられる。

107 :焔に焦がす眼:2005/11/23(水) 05:02:36 ID:DgxiARJ7O


(…安心しろ。仇は…必ず討ってやる)

早々とゲームから退場させられてしまった目の前の二人に冥福の祈りを捧げ、食料や武器の類を集め、ゆっくりとその場を後にする。

その眼(まなこ)に映るは静かな炎。

一刻も早くカズキを探さねばという使命感と、およそ人ではない残忍な心を持つ悪魔に対する静かな怒りの炎。

戦士・斗貴子の炎は、いかなる過酷な運命にも消せはしない。

108 :焔に焦がす眼:2005/11/23(水) 05:06:35 ID:DgxiARJ7O


【長野県/昼】

【津村斗貴子@武装練金】
[状態]健康
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険
:ショットガン
:リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし!
[道具]:荷物一式(食料・水、四人分)
:ワルサーP38
[思考]1:人を探す(カズキ・ブラボー・ダイの情報を持つ者を優先)
2:ゲームに乗った冷酷な者を倒す
3:午後六時までには名古屋城に戻る

※食料・水、三人分とショットガン・リーダーバッチ・ワルサーP38は桜木・日向から入手。
リーダーバッチは説明書きを読んだため、存在に気付きました。

109 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:32:46 ID:82xZkBe70
「あーもう、ほんと何匹害虫がいるのかな。応援が無いから防衛策として発砲してるけど、これじゃ帰ったら先輩と一緒で始末書モノだ」
警察官中川は何度も叫び既に乾いた声で小さく笑う。
まだ日も昇り始めた街だがその街は人の気配で溢れていた――いや、人の殺気で溢れていた。
「これからは先輩を笑えないな……」
そう呟きつつ突如現れた変な二人組に片手で照準を合わせる。
この銃が地面に置いても狙撃出来るタイプで助かった。
持って使用するタイプの狙撃銃なら怪我をした左肩が持たないうえに照準が狂う。
「うん、こんなもんかな?」
スコープを覗いた先には顔に化粧をした男が此方を向いて笑顔で手を振っていたが、外す心配が無かったので気にしないでおこう。
しかしトリガーに指を添えたとき、ふと後ろの方で誰かの足音を感じた。
廃ビルに誰かの足音が木霊する。
一定のリズムで次第に音は大きくなってくる。
確実に此方に向かってくる、いやもう直ぐ其処にまで来ているのだろう。
慌ててトリガーから指を外すとバックの中に手を突っ込む。
次の瞬間足音が消えた。
あれだけ響いていた音が、耳障りだった音が……

110 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:33:06 ID:82xZkBe70
――あぁそうか誰かもうこの扉の向こうに立っているんだ。
消えた足音に合点がいったと時を同じくして閉めていた扉が開く。
「貴様があの音の……」
「やぁお早う。だけど公務執行妨害はいけないね……お兄さんは今忙しいんだよ」
扉を相手が開けた瞬間にベアクローを装着させた右ストレートを相手にお見舞いする。
「刑法第九十五条に抵触、君は三年以下の懲役又は禁錮――だが、まぁ情状酌量の余地が無いとは言えない」
そのまま後ろに倒れた相手に馬乗りになって額に刺さったベアクローを更に力で押しこむ。
始めは1cm程度しか刺さって無かった熊の爪がずぶりずぶりと奧へ進んでいく。
「だから裁判官に代わって君に判決を下そう」
完全にベアクローが根本まで埋まる。
恐らく脳はもうぐちゃぐちゃで生きてはいないだろう。
「――死刑だ」
危機が去った中川は名も知らぬ少年の額に刺さったベアクローを抜こうとする。
しかし硬くて片手ではびくともしない。
一輝の顔を踏みつけ、力を込めて抜こうとするがそれでも動かない。
色々試している間に鈍い音がする。
中川が足元をよく見ると足元の少年の顔が変な方向を向いていた。
「まぁいいさ……僕にはこんな野蛮な獲物は似合わないからね」
肩で息を切らしながら悔し紛れにそう言い捨てる。
「それよりも、問題は銃の照準だ。またやり直さないといけないよ」
邪魔者がいなくなった中川は再びスナイパーライフルの前に戻った。
「どれどれ先程の金髪みたいに害虫が隠れてなければいいのだけど」
再びスコープを覗くと律儀に待っていたのか顔に化粧をした男が、今度は此方に投げキッスをしているのが見えた。
「お休みのキスって訳かい?――いいよ、そのまま寝させてあげるよ」
多少のズレを修正しながらトリガーに再び指をかける。
「Good night」
スナイパーライフルから発射された弾はそのまま突き進み笑ったヒソカの顔のど真ん中を貫通する。
予想外の速度だったのか、制限下の元思った速度で回避できなかったのか、それとも銃弾を受けることがヒソカの愛情表現だったのかは解らない。
だが現実な事がただ一つ。
銃弾を顔面に受け、一人の男が倒れていくという事。

111 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:34:15 ID:82xZkBe70
「へぇ……やるねぇ」
しかしその傍らに付いていた男は驚くどころか感嘆の息を洩らす。
「だけどね、彼はまだ殺して欲しくなかったな」
ヒソカが死んでしまっては此から当分一人の行動になる。
唯でさえ少ない量のニアデスハピネスなのだ。
此処で怒りに任せて消費するわけにもいかず、ビルの屋上を飛び跳ねて銃弾が飛んできたビルへと向かう。
「ヒソカが先程の餓鬼共の方を気にかけていたからこの場は見過ごすつもりだったが……標的を貴様に変更させて貰う」
狙うは首輪、対象の生死は問わない。
多いに超したことは無いのだが、二つもあれば十分だろうとヒソカと話していた。
復讐というのも柄ではないし、ヒソカに対しそんな感情は抱いていないのだが、此から自分に被さってくる苦労を考えたら腹立たしくなってきた。

112 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:35:13 ID:82xZkBe70
「日本は本当に甘いなぁ。あの恰好ですら公然猥褻罪に問えないんだから……」
パピヨンこと蝶野攻爵に次の照準を合わせる。
ビルの屋上を跳びつつ此方に向かってくるパピヨンに片腕で照準を合わせるのは骨の折れる作業だ。
此方にひらり、あちらにひらりと跳び回る様子はさながら蝶の様だ。
「まぁいいさ、社会のゴミを片付ける為に敢えてこの僕が厳しく判断しよう」
中川が構えるスナイパーライフルの動きがピタリと止まる。
「――刑法第一七四条、公然猥褻罪に抵触して六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」
短い音と共に幾度目かにもなる凶弾が放たれる。
狙いはこのビルに来る為には着地しなくてはいけないビルの狭い屋上。
狙いさえ一ヶ所に絞れていれば、向こうからやって来る蝶一匹を撃ち落とす位なんて事はなかった。
着地する際に足を打ち抜かれたパピヨンはその場で失速しバランスを崩す。
「だけどどうせお金持ってないでしょ。だから君も――死刑」
動きを止めたパピヨンの胸に更に銃弾が襲いかかる。
銃弾が当たったパピヨンがその場で倒れ動かなくなった事を中川は確認する。
「警察官は大変だ。こんな時でも仕事をしなくちゃいけないからね……そう言えば金髪の子供達がまだいたっけ?彼らにも指導してあげないと」
早く外に行かなければ何処かに逃げられてしまうに違いない。
次の刑は何にしようかと悩みながら中川はスナイパーライフルを片づけ始めた。

113 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:37:26 ID:82xZkBe70
粗方片づけ終わり、もしかしたらと少年が壊したビルから現れてないかどうかもう一度外を確認する。
「あれ、おかしいなぁ……」
外にはビルを破壊し隠れた少年二人の代わりに先程死刑を執行した筈の二人が立っていた。
「やぁ驚いたかい?」
顔面に銃弾を撃ち込んだ筈の男が何事もなかったの様に親しく声をかけてくる。
その男は顔に付いていた銃弾の跡をぺろっと剥がした。
薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)――紙のような薄いものに自分のオーラを乗せあらゆる質感を再現する技。
「キミの撃った弾は こ こ」
ヒソカが出した舌の上にスナイパーライフルの弾が乗っていた。
放たれた銃弾を歯で受け止め、そのまま薄っぺらな嘘で貫通したかのように見せていたのだった。
「君も人が悪いな。僕はお陰で痛い思いをしたんだぞ」
そう言って衣装に付いた埃を払うもう一人の変態。
此方の方には確かに銃弾が当たっていた。
破けた衣装から覗く痣がそれを物語っている。
「な……」
慌ててバックからスナイパーライフルを取り出そうとする中川。
「じゅ、銃が効かないなんてそんな馬鹿な……」
しかし焦れば焦るほどバッグの食料の中に紛れ込んだカプセルを探すのには時間がかかった。
「に、日本には化け物に対する刑罰はないのか!!」
やっとこさ探し当てたカプセルを投げ、スナイパーライフルを構える。
「糞っ、動くな!其処を動くなよ!!」
相手が近いが為置いて狙撃する方法では銃口が相手に向けられない。
仕方なく構えて撃とうとするのだが左肩の怪我の所為で銃口がぶれてしまう。


114 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:40:29 ID:82xZkBe70
一歩一歩ゆっくりと近づいてくる変人二人を前に、中川は腰を抜かしながら後退する。
しかし後退していると背中に壁以外の物がぶつかって後ろに進めなくなる。
「ひぃぃぃ」
恐る恐る振り向くと其処には最初に殺した筈のあの少年の死体が横たわっていた。
「痛ぇじゃねぇか、中川」
聞き慣れた声がその死体から聞こえたかと思うと顔にベアクローを刺したまま死体が起きあがる。
「ったく……どうしてくれるんだ、これ」
その死体の姿は既に此処にやって来た少年の姿ではなかった。
其奴は短い足でのっそり歩きながら、腰に付けたホルスターからニューナンブを取り出しした。
「中川、銃ってのはこうやって撃つもんなんだよ」
「ひぃぃぃぃぃ先輩!」
両津の姿をしたそれは指で拳銃を回しながら中川の額に銃口を押しやった。
「おぉっといけね。安全ゴムを外すの忘れてた」
空いた手で頭を掻きながらトリガーの後ろに挟まった安全ゴムを取り外す。
その隙に反対方向に逃げようとする中川だったが、少し進んだだけでまた何かにぶつかった。
「逃げちゃ駄目じゃないか」
「君にも僕と同じ痛みを味わって貰わないとね」
狂気に満ちた目で笑いかける二人組。
「せ、先輩!冗談キツイですよ!」
既に逃げ場がない中川は目の前の両津に賛同を求める。
「後輩への指導だ。有り難く思えよ」
訴えるような目で見つめる中川の顎を片手で押さえて、無理矢理こじ開けた口にニューナンブの銃口をねじ込んだ。
「ふぇんふぁい!!ひょうふふぇんふぁい!!」
口に銃口を突っ込まれながら情けない声で喘ぐ。
六つの瞳が見守る中、廃ビルの中に短い音が鳴り響いた。

115 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:41:18 ID:82xZkBe70
「――鳳凰幻魔拳。どうだ、地獄を見た感想は?」
床に倒れながら先輩と喘ぎ続ける中川を一別する。
「フッ、聞いてもムダか」
床に倒れたままひたすら呟くだけの中川を見て苦笑する。
扉を開けた瞬間、邪悪な小宇宙の主に向かって鳳凰幻魔拳を繰り出していたのだ。
中川が一輝に突き刺したと思っていたベアクローは一輝の後ろの壁に突き刺さっていた。
これでひとまずは銃撃の心配が無くなったという事だ――が……
「大きな小宇宙が二つ……ナルト達とはまた別の小宇宙の持ち主か」
一輝は呟きながら窓の外を眺める。
「どうやらこれで一段落とはいかないようだな」

116 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:41:45 ID:82xZkBe70
「さて、どうしよっか」
立ち塞がった二体の影分身を難なく倒してヒソカはパピヨンに意見を求めた。
「そうだな、向こうは手負いが二人だ二人で行っても仕方ないだろう。逃げられていても困るし、僕は君が選ばなかった方で良いよ」
そう言って足元に空いた穴と銃弾が跳んできたビルを交互に指さした。
第一の目的は首輪の確保である。
二人で追いかけて逃げられましたではとんだ無駄骨だ。
首輪を多く確保する分には問題無いので少々の間二手に別れることを提案した。
「ん〜ボクとしては、断然こっちかな」
銃と奇術、どちらが面白いかなんて比べる迄もない。
ヒソカは親指を下に向けてナルト達が逃げた穴を指し示す。
「で、条件は?」
パピヨンとしても恐らく面白い方を追いかけたいに違わないだろうし、一応その裏を確認する。
「察しがいいね。なに、もしも知り合いに出会ったらその時は順番を回してくれってだけだよ」
パピヨンが今までに無い笑みを浮かべつつ答える。
その目が見つめる物は此から赴くビルでもなく、目の前の話し相手ヒソカでもない。
まだ見ぬライバル
「OKボクも遊びたい知り合いがいるからね。その時は譲り合おう」
「交渉成立。さて急ごうか」
二人は目と目で頷き合い、二手に別れた。
パピヨンはビルの屋上を舞い、ヒソカは穴に飛び降りる。
狙いは首輪、対象の生死は問わず。
二人のハンターが地をそして空を翔る。

117 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:43:10 ID:82xZkBe70
「さて、何処に隠れているのかな?」
ビルの中へと降り立ったヒソカは自分の体を中心にオーラを広げ辺りの気配を探り出した。
纏と練の応用技である円。
纏で纏ったオーラを練にて一気に広げ、その間合いに入った人物を察知する。
だが勿論便利な反面欠点もある。
それは制限の所為か数m迄しか円を広げられない上に、広げた分大量にオーラを消費するのだ。
つまり近くに相手が隠れていると確信している時以外で使うのは自滅に等しいという事だ。
上下左右と張り巡らせたオーラにを纏い、穴が出来ないように丁寧に捜して歩く。
壁や床に穴は空いていない。
なら逃げるとしても扉を通ってしか逃げるルートは無い筈。
一通り瓦礫で覆われた部屋の中を探索し終えるとヒソカは扉を通り次の部屋へと向かう。
走って逃げれば円を使うまでもなく気配で直ぐ察知が出来る。
しかしその気配が無い以上はこの辺りに隠れているという事なのだ。
「ん〜何処かな〜?」
次の部屋へと入ったときヒソカの足が止まる。
「み〜つけた」
暗闇の部屋の中にヒソカの楽しげな声が響き渡った。
通常ならば見逃して当然の気配。
ヒソカ達念能力者達に言わせればオーラを完全に絶って気配を消す――絶。
それと似た様に気配その物を消して隠れているナルトを発見した。


118 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:48:15 ID:82xZkBe70
部屋に木霊したヒソカの声に観念してかナルトが飛び出した。
円を消し、即座に凝に切り替えるヒソカ。
ナルトの左ストレートを左手で反らしつつ、右手で腹部にオーラを乗せたアッパーの一撃を加える。
その一撃でナルトは部屋の隅まで飛ばされ、崩れ落ちる。
「もう一人は何処に隠れているのかな?」
余裕からかナルトを気にせず、此処に逃げ込んだもう一人の少年を捜す。
ナルトと同様このビルから逃げているという事は無い筈だ。
ならば少し離れたところへ隠れさせていると考えるのが妥当だろう。
「って事はそう長く遊んでもいられないって事か……」
戦闘中に逃げられては流石に気付いたとしても追いかけることは無理だろう。
「残念だけど、もう終わりにしてしまうよ」
そう言ってナルトの近くまで歩み寄り、ヒソカはナルトの首に手を伸ばす。
「へへ……甘いってばよ!!」
そう叫びながら無防備なヒソカに大勢のナルトが一斉に飛びかかる。
「うずまきナルト乱打!!」
だがヒソカはそれらを一別するとたった一発だけパンチを繰り出した。
その一発で今まで大勢いたナルトとヒソカの前に倒れていたナルトが全員消滅する。
「な、なんで……わかったんだってばよ……」
腹を抱えつつ、今度こそ本物のナルトが倒れた。
腹を強打されチャクラのコントロールが乱れた影分身は維持出来なくなり消滅してしまったのだ。
ビルの中が暗い事が幸いした。
目に映る物だけに頼らず凝によって見分けることが出来たのだ。
影分身の術とは言えども所詮チャクラで偽の肉体を増やすだけの術。
本物とチャクラの固まりのコピーとではオーラが全然違う。
つまり先程まで目の前で倒れていた者のオーラと一人違うオーラを選んで攻撃すれば良いだけなのだ。
偽物を殺しても無意味で消滅するだけなのは先程の屋上で経験済み。
本物に攻撃を加えれば偽物が消えるかどうかは一種の賭であったが、屋上にて本人が仕掛けて来なかった以上その可能性は高かった。


119 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:55:21 ID:82xZkBe70
「ん〜今度こそ終わりの様だね」
再び倒れたナルトに手を伸ばすヒソカ。
だが再び背に誰かの気配を感じる。
「さっきの少年かい?」
そう思い振り返った先にいた者は自分の思っていた者とは違った。
宙を翔てくる4人のナルト。
「――何人倒せば終わるのかな?」
次第に苛立ちが募り始めたヒソカは直線に翔てくるナルト全員を一瞬で叩き落とす。
しかし全く手応えがない。
拳に当たった瞬間それは幻であったかの様に霧散する。
屋上で闘ったときとは全く違う手応えにヒソカは少々驚いた。
そうしている間にナルトの第弐グループがまたも翔てくる。
それを再び迎撃したヒソカが霧散したナルトの中から出てきた物体に気が付いた。
其れは石。
何処にでも落ちているような唯の石ころである。
どうやら相手は石にオーラを周で纏わせ、自分の技薄っぺらな嘘の如く虚像を見せているらしかった。
自分と同じ系統の技のお陰でその技の正体を難なく見破ることが出来た。
「誰だい邪魔するのは?」
先程の少年でも目の前の少年とも違う技を使う存在が直ぐ其処にいる。
未だ隠れている少年ではこんな技は使えない筈だ。
そしてこの技は物を投げる事で成り立っており、つまりは目の前で倒れている少年ではなく入り口の向こうで石を投げている存在こそがいるという事だ。
現れたのはまたしてもナルト。
だがそれは本物でも虚像でもなく、全く別の存在であるとヒソカは瞬時に気が付いた。

120 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:56:12 ID:82xZkBe70
「少年よ、何を寝ている。貴様は俺と同じ高貴なる存在――妖狐なのであろう」
感づかれたを悟ってか偽ナルト――玉藻京介は自分にかけていた幻視の術を解いた。
首さすまた探し彷徨っていたのだが、鵺野鳴介と会話をしている間に完全に見失ってしまっていた。
その後色々廻り、いつの間にか九州に辿り着いていたのだがナルトの九尾のチャクラを嗅ぎ付けこのビルにやって来たのだった。
「私も貴様と同じ種族。さぁ変化を解いて本当の力を見せつけるのだ」
玉藻はそう言うと変化を解き、妖狐本来の姿に戻った。
ヒソカは目の前に現れた狐顔の男に目を細くする。
「うん、さっきの姿よりそっちの姿の方が良いよ」
そう言って茶々を入れるヒソカだが先程とは目つきが違った。
更なる強敵の出現と自分が遊ばれていた事への怒り。
その二つの相反する感情がヒソカに恍惚の感情を浮かばせていた。

121 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:58:18 ID:82xZkBe70
鵺野鳴介から教わった人を思う、思いの強さ。
先程の放送で流れた名前に聞き覚えのある名前があった。
稲葉郷子――鵺野鳴介の教え子の名前だ。
その放送を聞いた時、少なからず迷いが生じたのは確かだ。
このままゲームに流されるか、それとも終生のライバル鵺野鳴介の様に人を護りつつあがらうか。
恐らく鵺野鳴介の事だ、稲葉郷子の死を嘆きつつも何処かで人を護って闘っているに違いなかった。
嘗ての自分ならばその稲葉郷子を殺したのも人間だと皮肉っていただろう。
だがその迷いを乗り越えた所に鵺野鳴介はいた。
そう思った瞬間に首さすまたより此方に足が向いていた。
同族――妖狐の気配。
ナルトが屋上で使った影分身のお陰で九尾のチャクラを感じる事が出来た。
「――鵺野先生だけ強くなるのは許しませんよ」
人を思う心を理解した妖怪玉藻はそう呟いて同族の元に走り出していた。
同族を護りたいと思う心とは裏腹に、なにかと理由を付けて本心を隠した呟き。
如何にも自分らしい呟きに玉藻は唇の端を少し上げた。

122 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:59:16 ID:82xZkBe70
「思い出せ!誇り高き姿を!そして気高きプライドを!」
同族に向かって玉藻が思いの限りを叫ぶ。
「――ボクね、無視されるの嫌いなんだけど」
蹲っているナルトを無視して乱入者玉藻に襲いかかろうとする。
だがその足をがっしりと掴まれ停止を余儀なくされる。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
ヒソカの足元に倒れていたナルトがヒソカの足首を握っていた。
ヒソカが凝で見たモノは爆発的なまでに増殖されたオーラが纏によって周りに固定されたその姿。
人は其れを化け物を呼び忌み嫌う。
「思い出せ!高尚なる知性を!」
だが、玉藻が護りたかった存在――目覚めさせたかった存在は化け物へとなり目を覚ました。
獣の雄叫びと共に鈍い骨の外れる音がする。
踵の間接を外し、僅かに出来た隙間を利用してナルトの手からすり抜ける。
間合いを取ったヒソカは自分で外した間接を痛みを感じながら無理矢理元に戻した。
「そろそろ、ボクでも苛立ってきたよ」
ヒソカも自分の周りにオーラを纏う。
入り口を玉藻に塞がれている以上、この獣の檻から逃げ出すことは出来ない。
「いくよん」
その言葉とどちらが早かったであろうか、ヒソカが全力で疾走する。
狙いは乱入者の玉藻ではない、暴走状態で理性が保てていないナルト。
ナルトも其れを迎え撃つが為に咄嗟に作り出した螺旋丸を構える。
ビルを破壊した時の其れとは大きく異なるその魔力の渦がヒソカを捉える。
「じゃぁねん、また会おう」
ヒソカが笑うと共にナルトがあり得ない速度で加速する。
伸縮自在の愛(バンジーガム)を腹部に貼り付けられていたナルトは伸縮するヒソカのオーラでタイミングを狂わされた。
元の速さから更に伸縮の速度を加えられたナルトはヒソカの脇を通り過ぎ、向かいの壁に激突する。
「いけない!!」
だが玉藻が気が付くよりも早くヒソカは螺旋丸にて空けられた大穴より脱出する。
最後に玉藻とナルトに投げキッスを残して。

123 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 03:59:59 ID:82xZkBe70
【福岡県(市街地)/早朝〜午前】

【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】右肩が痺れている、襲われたらやり返す覚悟を決めた
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、ヒソカに見つからないように隠れる
    2、乾と越前を捜す

【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】右上腕に弾丸貫通(応急処置はしたがまだ出血中)、空腹、九尾のチャクラ暴走中
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
    ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、暴走中
    2、サクラ、シカマルを探す
    3、主催者をやっつける

【中川圭一@こち亀】
 [状態]:左肩を負傷  精神完全破壊
 [装備]:
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.先輩怖い、先輩怖い、先輩怖い

124 :Lie!Lie!Lie!:2005/11/24(木) 04:01:38 ID:82xZkBe70
【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:服はボロボロ、多少の切り傷擦り傷、行動にはほぼ支障無し
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 石ころ数個
 [思考]:1、暴走状態のナルトを何とかする
     2、伊達から首さすまたを取り戻す

【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:健康 背中に極軽度の打撲(再生能力のため、直ぐに回復します)
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
 [道具]:荷物一式(食糧二食分消費)
 [思考]:1、狙撃手から首輪を手に入れる
     2、知り合いとの合流、ヒソカと行動

【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:健康 全身に軽い打撲、裂傷(処置済み)  中程度の疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(食糧一食分消費)
 [思考]:1、玉藻、ナルト達から逃げる
     2、更木、ナルト、玉藻を含む強者と戦いたい
     3、知り合いとの合流、パピヨンと行動

【ベアクローとスナイパーライフル(残弾16発)は廃ビルの一室に放置されています】

125 :歓喜する飢狼:2005/11/24(木) 21:30:18 ID:zHxd0qth0
午前10時現在。両津は迷っていた。
つい2時間前までスカウターに表示されていた琵琶湖の気配はバラバラに別れた。

今度は京都に人間が集まり始め、消え、逃走し、再びその周辺にも何名かの気配がある。
「ふ〜む。こりゃ何か大変な事が起きてるな・・・」
無論、こんなゲームの最中に何かが起きない方が不自然なのだが。

当初の目的地である琵琶湖の気配は散り散りになってしまったため
日本海側を辿ってきた両津の地点から最も近い、それぞれ戦闘力の違う3人組に交渉することにした。
強い者と弱い者で混成されていることから比較的安全なチームである事が窺える。

両津は気配を殺し、木の陰に隠れた。

耳のいい両津は三人組の声を盗み聞き、不穏な会話をしていないかをチェックする。
女の子が1人。男が2人。食事をしているようだ。両津はゆっくりとマグナムを構える。
こんな誤解を招くような行動はしたくないが相手は見知らぬ他人。
安全と推理はできてもあくまで仮定の段階であり、全く危険がないとは言い切れない。

「そこにいるのは誰!?」
少女の怒鳴り声。極力気配を消してきたつもりだったが。両津は観念して姿を現す。
「だ、誰だ!?誰かいるのか?(クソッ・・・気を封じられたせいで全くわからなかったぜ!)」
最も戦闘力の数値の高い男が乾パンを手から落とし、慌てて構えた。
両津はマグナムを腰のホルスターにしまい、両手を挙げて戦意のないことを示した。
「スマン。隠れていたのはあんたらを警戒していたからだ」

眼鏡の青年が両津の制服を見て少し驚いたように声を上げる。
「貴方は・・・警察官ですか」
「ああ。わしは葛飾区亀有公園前派出署勤務。両津勘吉巡査長だ」
「亀有!あの葛飾柴又帝釈天で有名な・・・」
青年は嬉しそうに姿勢を正して自己紹介を始めた。
「俺は神奈川の青春学園中等部3年11組、テニス部所属の乾貞治です。身長は184p。体重は62s。矯正視力は・・・・・・」


126 :歓喜する飢狼2:2005/11/24(木) 21:34:14 ID:zHxd0qth0
「だからキモいっつーーーの!!!」
勝手に個人情報を晒し始めた青年の後頭部に少女の回し蹴りがヒットし、青年の眼鏡が気持ちよくふっ飛んだ。

「すまない、同郷の人間に会えた感激でつい我を忘れてしまった。
・・・ああ、失礼しました。彼女は春野サクラさん。木の葉の里出身の忍者で俺と同じ15歳です。
得意技はいま披露した体術と医療忍術。彼女についてこれ以上の情報公開するとまた殴られてしまうのでここまでとします」
いたたた。乾と名乗る青年(少年か?)は頭をさすり手帳に両津の名と身分を記した。
「一言多いわよ!私がケンカ魔みたいじゃない!・・・っあ、私たち、怪しい者じゃありませんから!」
「春野さん。それはお巡りさん相手に最も言ってはいけない台詞だよ」
「言っちゃいけないって何よ!あ。怪しくないってのはゲームに乗っていないって意味ですから!
けっして変態とか変な目的があって自ら志願して参加したわけじゃありませんからね!」
「ええと、驚かないで聞いて欲しいんですが、」
乾がサクラとヤムチャ(顔に傷のある男だ)と出会った経緯、彼らの生まれた故郷、
文化、風俗(サクラのプライベートは除く)の違いなどを早口で喋り始めた。
どうやら3人はそれぞれ別の世界から来ている事。選抜の理由は不明であり、心当たりは無い事。
ゲームの参加者の中に仲間がいる事。敵となりうる相手もいる事。自らの推理も含め、サクラに止められるまで延々と語った。
「・・・そんなわけで現在は行動の指針に困っている状態であり、
腹も減ってきたことだしで遅めの朝食を取っていたところに
両津さんが来訪した、というわけです。」
「・・・・・・ふーむ。良くわかった」
両津は少々面食らいながら礼を言った。

サクラが両津に聞こえないよう小声で話す。
「(乾くん。そんなことまで言っちゃっていいの?この人本当に信用できるの?)」
「(なんたってお巡りさんだからね。なんとかしてくれるかもしれない)」
「(なんとかって?)」
「(なんとかさ)」
「(ええ〜!?)」

127 :歓喜する飢狼3:2005/11/24(木) 21:38:14 ID:zHxd0qth0
両津は敬礼し深く頭を下げた。
「貴重な情報の提供感謝する。初対面とはいえ、銃を向けるようなマネをしてすまなかったな」
鵺野に続いて敵意のない人間に会えるとは。自分の強運に力強さを感じた。
「いえ、こんな状況では当然です。実は彼女も俺にコントロールマンMKVを・・・」
「仕方ないでしょ!警戒してたんだから!」
「俺のいた国では銃はお巡りさんと自衛官しか使っちゃいけない危険物なんだよ。銃刀法違反て法律があって・・・」
「木の葉の里にそんな掟はないの!それに、威嚇にしか使ってないわよ。
本気で撃つ気はなかったってあれから何度も何度も言ってるでしょ!」
「こらこら、落ち着きなさい」
またも言い合いが始まり両津が止める。乾とサクラ。一見して大人びてはいるが、両津から見れば子供同然の年齢だ。
仲間を集めることを念頭に置いていた両津にとって、子供が混ざっているのはショックだった。
戦闘になれば否応無く巻き込んでしまう。教え子を亡くした鵺野の痛みが両津の中で蘇る。どうしようか。両津は迷う。
そこへ乾パンを齧る音が聞こえてきた。
「かりかりかりかり・・・ごくん。ケハッ」
ムセたらしく喉を押さえて咳き込む男。彼の名はヤムチャ。乾の紹介では神界、界王星で武術修行を積んだ地球人最強の男(自称)。
スカウターの反応では関西でも群を抜いて高く、高い戦闘力を有し殺戮を繰り返している実力者の多い中で、1人も殺人を犯していない。
最も信頼でき、最も信用に足る男である、と。両津は会う前から高く評価していたのである。
ヤムチャは両津の視線に気付き、乾パンを口に運ぶ事を止めた。
「な、なんだよ。食料はやらないぞ。これは俺が貰ったんだ」

「・・・それより、両津さんはお独りなんですか?」
サクラが聞く。両津側の情報も気になるのだろう。完全には信用していない目つきだった。
「ワシは兵庫で仲間と別れてきたばかりだ」

「兵庫?隣ですね。一体いつ頃」
サクラの頭ではすでに地図が暗記されている。
今度は両津が自分の身に起こったことを語り始める。同じ公務員であり、教職の鵺野と出会ったこと。
鵺野の知り合い、玉藻のこと。
鵺野の教え子が殺害されたこと。
味方を探すため、兵庫を離れたこと。両津は悲しそうに語った。

128 :歓喜する飢狼4:2005/11/24(木) 21:40:10 ID:zHxd0qth0
「鵺野先生は教え子の仇をとるといって兵庫に残った。玉藻くんとの約束もあるしな。
わしは味方を探すために兵庫を離れて急いでここまで来たんだ」

「ふん。今の話が正しいって何か証拠を見せて貰わなきゃ信用できないな」
「ヤムチャさん!」
騙され、散々な目に合ってきたヤムチャ。もう人を簡単には信用しないと、心に硬く決めていた。

「あんたの言う事ももっともだ。まずはコレを見てくれ」
「なんです、これ?」
「支給品のスカウターだ。参加者の位置と戦闘力がわかるんだ」
ヤムチャにとって見覚えのある道具。たしか地球を襲ったサイヤ人がつけていた物だ。ダサいサングラスをかけてるな、
と、当時思ったことを覚えている。

両津はスカウターを外し簡単な操作方法と機能説明をした。
「なるほど。索敵機能があるんですか。おそらく各参加者につけられた首輪から得ている情報でしょうね。」
「エネルギーの数値化に座標の特定までできるの?チャクラを通さなくても動くなんて・・・便利な道具があるのね」
乾とサクラは興味深そうに話し合い、スカウターを調べている。その姿は普通の学生のようだ。

(・・・・・・15か。主催者の奴ら本当に酷い事しやがるな)

両津は憤る。しかし、こうして彼らに会えたのは幸運ではないだろうか。
共に行動すればスカウターで身近な危険から守ってやることが出来るのだ。
(こんな馬鹿なゲームで命を落としたとあれば、この子らの家族や恩師に顔向けが出来んからな)

3人は頭を寄せ合いスカウターの小さな画面に注目した。
「この光点が鵺野先生だ」(京都、大阪、滋賀県域を表示)
「となると、ここにいるのが俺たちですね」
乾が四つの光点が集まる場所を指す。
「そうだな、この場所だ。当初は琵琶湖に行く予定だったが、わしが移動を開始してまもなく反応が分かれてしまった。
関西は特に固まって行動する奴が多かったからな。わしは人を選ぶに当たって迷ったよ」

129 :歓喜する飢狼5:2005/11/24(木) 21:44:49 ID:zHxd0qth0
・京都中心部に高い戦闘力を持つ者が3人。(内2つは拮抗し、1つはやや劣る)

・京都郊外に高い戦闘力を持つものが1人。

・京都郊外にいる一般人2人組。戦闘力の数値はほぼ同じ。

・同じく京都郊外にそれぞれ戦闘力の全く違う3人組。        ← コレコレ  

・京都から逃げてきた2人組。この組も一般人らしい。戦闘力の数値はほぼ同じ。

・同じく京都から逃げてきた者が1人。一般人。

・大阪に向かっているらしい一般人2人組。戦闘力の数値はほぼ同じ。

・大阪にいる3人組。戦闘力は大きい者が1人。一般人が2人。

サクラは驚いた。大阪、京都付近だけでも相当の数だ。全く予想外の展開だった。
「どうしてこんなに集まってるのかしら。1人もいない県もあるのに」
「大阪、京都は関西の顔みたいなものだからね。・・・ということは意外と日本出身の人間が多いのかもしれないな・・・」
スカウターに表示される数値。サクラは自分の力が遠く及ばない相手が複数いることに絶望を感じた。
乾も同様にしてショックを受けている。

「・・・両津さん、どうして私たちを選んだんですか」
「簡単な話だ。お前達は大きな戦力差がありながら共に行動している。
普通はこんなサバイバルで自分より弱い奴とは組まないものだからな。
それでも内々の細かい事情はわからんからギャンブルみたいなもんだったがね。わしは運が強いよ」
両津はヤムチャにゆっくりと近づいた。ヤムチャはギョッとして後ずさる。嫌な予感がした。

「あんたは参加者の中で優勝候補になるだろう」
驚いたヤムチャに両津が熱い目で詰め寄った。

130 :歓喜する飢狼6:2005/11/24(木) 21:47:24 ID:zHxd0qth0
予期していなかった言葉に両津の言葉にヤムチャは耳を疑う。
「!!?お、俺が?!!」
「間違いない。ワシはスカウターで各地の戦力をチャックしてきたが
あんたは、その中でも、上位の実力者だ」
「俺が上位・・・俺が実力者・・・う、嘘だ!」
「嘘じゃない!ワシにはわかる。あんたはまず、ここにいる誰よりも強いだろ」
「あ、ああ。」
ヤムチャはうなずく。
「ワシは兵庫で友と別れた後、誰にも見つからないよう隠密行動をとってきた・・・こいつ(スカウター)があれば
他の参加者の正確な位置と状態がわかるからな。あんたたちの動きも失礼を承知で監視させてもらっていた」
「なっ・・・!」
見られていた・・・。ヤムチャは己の油断、失敗、敗北、一瞬一瞬を他人に覗かれていたのか、と愕然と肩を落とす。
ただの女の子にいいように脅され、殺されかけ、運良く助けてもらったのもつかの間。
勇ましく飛び出していくも、惨敗。気さえ封じられ気功派すら撃てなくなった自分。
自分の恥の歴史が他人に知られていた。ヤムチャの顔色が赤の次は青。青の次は黄色とくるくる変わる。
情けない男。そう言われてしまうだろうか。地球を守るZ戦士が女の子に・・・女の子に・・・でも本当に怖かったんだょぅ・・・・・・

「あんたは見上げた男だ・・・わしは感動したぞ・・・!」「へ?」
大きい毛むくじゃらの手がヤムチャの両手を握り締めた。
「死にかけたにも関わらず、強敵にいどむ、そのド根性」「ヘ?」
目の前の男は興奮し、期待に満ちた目でヤムチャを見ている。
「あえて自分より弱い者と組もうとする、その義理人情!」「へ?」
「戦闘力が1に落ちても回復するゴキブリのような生命力!!」「!!」
「わしは感動した。どんな男かと思って会ってみれば見かけも態度もただのオヤジ。
正直なところスカウターがなければそんな実力者とはとても信じられなかったところだ。しかし、話をしてわかった。
注意を怠らない警戒心!強くても奢らぬその態度!能ある鷹は爪を隠すというが、あんたは全くその通りの男だな!」

131 :歓喜する飢狼7:2005/11/24(木) 21:51:36 ID:zHxd0qth0
口を開けたまま放心するヤムチャに畳み掛けるような両津の弁舌。
「あんたしかおらん!バーンやフリーザと戦える逸材はあんたしかおらんのだ!!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!なんで俺がッ・・・」
「あんたの勇気と男気をわしに貸してくれ!あんたがいれば百人力。いや、1億人力」
「い、」
一億の男。ヤムチャは甘美な響きに一瞬心を奪われた。  
「い、いやッ!待て待て待て待て!!憶えてないのか!?ナッパが、あのハゲの大男が一瞬にしてやられちまったのを!
人間が束でかかっても不可能なんだよッ!!何百人何千人集めたって犠牲者が増えるだけだ!!俺が1億人いても無理だッ!!」
「無理じゃない!!!!」
両津の野太い大声が至近距離から放たれ、ヤムチャの鼓膜が悲鳴を上げる。
「あんたを男の中の男と見込んで頼む。わしと一緒に兵庫に来て鵺野先生を助けてくれ!
鵺野君は玉藻との約束があるから兵庫を離れられんのだ。それに少し自暴自棄になっとる。
彼が無事でいるうちにあんたを連れて行きたいのだ」
両津はヤムチャの手を握ったまま土下座する。
「腹が減っているならわしの食料をやるし、必要なものは出来るだけ用意させてもらう。元の世界に帰れたら言い値で報酬も支払う」
「報酬の問題じゃねえ!このオレに主催者だけでなく他の参加者とも戦えって言うのかよ!他力本願にもほどがあるぜ!
アンタはオレを殺すつもりかよッ!別の奴に頼んでくれ!」
両津は顔を上げない。地面に頭を擦りつけたまま、声を張り上げる。
「たしかにあんたの言うとおりだ・・・
市民を守る警察官のくせに、こんな狂ったゲーム1つ止められんとは情けなくて泣けてくるぜ。
わしの命1つで解決できるならいくらだって戦ってやる。拳銃振り回して奴らを逮捕してやるさ。
あの主催者共とゲームに乗ってしまった連中を止めるためならなんだってするつもりだ!!」
両津は顔を上げ悔しそうに顔を歪めた。
「だがワシだけではいかんのだ・・・力が足りんのだ!数がいるんだ!戦力が必要なんだ!
わしは、わしは、これ以上犠牲者が出ることに耐えられん・・・辛いのだ・・・
市民が犠牲になることが、それを助けられんことが歯痒いんだ・・・そしてわしのように
歯痒い思いをしている者も救ってやりたいのだ。

頼む・・・わしと一緒に兵庫に来て、この腐ったゲームを止めさせてくれ!!」



132 :歓喜する飢狼8:2005/11/24(木) 21:56:30 ID:zHxd0qth0
両津は泣いていた。ヤムチャたちを巻き込むことに本気で苦しんでいるようだった。
しかし、力を借りずに生き残り、脱出など不可能なのだ。
両津の必死の頼みに乾もサクラも心を動かされていた。
正しく力強い言葉を持つ大人にやっと出会えた安堵と、別れたくない気持ちが芽生えていた。
「嫌だ!嫌だったら嫌だ!オレは絶対役に立たないぞ!」

ようやく会えた安心できる仲間、治療をしてくれたうえに食料まで分けてくれたサクラと乾を危険に晒すわけには行かないのだ。
いつ悟空と合流できるかもわからないし大蛇丸に気を封じられ思うように戦闘できなくなってしまった状態で
余計な事をする気は全く起こらなかった。今の自分は動けば動くほど鬼門に嵌って行く気がする。
なんとか断ろうとヤムチャは声を荒げる。
「イヤだ!断る!金も食料もいらない!」
「ならこのスカウターもやる!!」

「くどいぞ!だいたいそんな小道具で何ができるっていうんだ!
ただ人の位置がわかるってだけじゃ逃げ回るくらいしか出来ないじゃないか・・・」
言い終わった瞬間ヤムチャの中で種が弾けるように名案が閃いた。

「悟空!!!悟空の位置がわかる!!!あいつがどこにいるかわかるぞッ!!!
助かったあ!!これで全部解決するぞォーーー!!ヒャッホウッ!!」
喜びに踊り始めたヤムチャを唖然とした表情でみつめる、サクラ、乾、両津。

「ほら!!フリーザだかバーンを倒すんだろ!?早く行くぞ!」
今度は鼻歌を歌いながら歩き出すヤムチャは早起きをした小学生のように清々しい笑顔で走り出したのだった。
「え?ええ?ちょっとヤムチャさん・・・あーあ。行っちゃった」

困惑しつつもようやく定まり始めた指針にサクラは気を引き締める。
乾も同様に眼鏡の位置を調え、サクラと2人、ペコリと両津に向けて頭を下げた。
「「両津さん。これからよろしくお願いします。」」

133 :歓喜する飢狼9:2005/11/24(木) 21:58:12 ID:zHxd0qth0
「い、いいのか?お前達」
両津は困惑して聞き返す。願いどおりになったのだが、豹変したヤムチャの心境についていけてない。
「いいもなにもヤムチャさんはやる気みたいですよ」
サクラは笑って答えた。さらに両津が聞き返す。

「危険な仕事になるんだぞ。君らも死ぬかもしれないんだぞ?」
「いいも何も、答えは1つしかないですよ。フリーザたちと戦うといってくれてありがとう。とても心強かったです」
「民間人は警察官に協力する義務があるんだと推理小説にありましたね。舞台が日本でなくてもそれは正しいんでしょう」

本来なら安全な場所に避難させて守ってやるのが大人である自分の役目なのに。
両津は2人に向かって深く敬礼した。
「すまん。必ずお前たちを元の世界に返してやるからな」

「両津さん。早速で悪いんですけど、スカウターでヤムチャさんを探していただけますか?
あの人、足が速くて私と乾君じゃ追いつけないんです。多分、ほっとけばすぐ戻ってくると思うけど・・・」
両津は鵺野と別れて数時間、ようやく笑顔を見せることができた。
サクラの言葉どおり、ヤムチャはほどなく戻ってきた。そういえば食事の途中だったのだ。
今度は4人で話し合いながら腹を満たす。ヤムチャは上機嫌で「孫悟空」など、仲間の名を口にした。





両津は空を見上げた。
(鵺野先生。仲間が出来たぞ。はは・・・あんたも大変だったがわしもけっこう骨が折れたぞ。
あんたがさっき危機を脱したのは、きっとあんたの教え子が死ぬなと言っているからだ。
ワシは必ず大勢の仲間をあんたの元に連れて行く。それまで絶対に死ぬんじゃないぞ!約束だからな)



134 :歓喜する飢狼10:2005/11/24(木) 22:02:43 ID:zHxd0qth0
【初日京都郊外@午前】
【両津勘吉@こち亀】
【状態】健康
【装備】マグナムリボルバー残弾30、スカウター@ドラゴンボール
【道具】支給品一式(一食分の水と食料を消費)
【思考】1.神戸に行き、鵺野と合流する。 2.仲間を増やし主催者を倒す。 
    (スカウターを駆使して、極端な隠密行動を取っているため、見つかりにくい)

【春野サクラ@NARUTO】
 [状態]:やや疲労(ヤムチャの治療、毒抜きをしたため)
 [装備]:コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準は滅茶苦茶)
 [道具]:荷物一式。(一食分の食料と水を消費。半日分をヤムチャに譲る)
 [思考]:1.両津、乾、ヤムチャと共に仲間を増やす。
      2.ナルト、シカマルと合流して脱出を目指す。
      3.大蛇丸を見つける

【乾貞治@テニスの王子様】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式。(一食分の食料と水を消費。半日分をヤムチャに譲る)手帳 弾丸各種
 [思考]:1.両津、サクラ、ヤムチャと共に仲間を増やす。
      2.越前、跡部と合流して脱出を目指す。
 
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
 [状態]:右小指喪失 左耳喪失 左脇腹に創傷(全て治療済み)
      超神水克服(力が限界まで引き出される) 五行封印(気が上手く引き出せない)
 [装備]:なし
 [道具]:乾とサクラから貰った一日分の食料。(一食分の水と食料を消費)
 [思考]:悟空を探す。有頂天。        


135 :歓喜する飢狼5(修正版):2005/11/24(木) 23:14:38 ID:zHxd0qth0
大阪、京都付近だけでも相当の数だ。
光点は各地で複数固まっており徒党を組んでいるところが多い。
全く予想外の展開にサクラは驚いた。

「どうしてこんなに集まってるのかしら。1人もいない県もあるのに」
「大阪、京都は関西の顔みたいなものだからね。・・・
 ということは、意外と日本出身の人間が多いのかもしれないな・・・」
スカウターに表示される数値。サクラは自分の力が遠く及ばない相手が複数いることに絶望を感じた。
乾も同様にしてショックを受けたらしく顔が青ざめている。禁止区域が増えれば否応なく
この光点らのどれかと対峙することになるのだ。

「・・・両津さん、どうして私たちを選んだんですか」
「簡単な話だ。お前達は大きな戦力差がありながら共に行動している。
普通はこんなサバイバルで自分より弱い奴とは組まないものだからな。
それでも内々の細かい事情はわからんからギャンブルみたいなもんだったがね。わしは運が強いよ」
両津はヤムチャにゆっくりと近づいた。ヤムチャはギョッとして後ずさる。嫌な予感がした。

「あんたは参加者の中で優勝候補になるだろう」
驚いたヤムチャに両津が熱い目で詰め寄った。


136 :湖にて…1:2005/11/25(金) 00:05:19 ID:ZBVN86azO
「――諸君、ご苦労。
…爽やかな朝だ。よく眠れたかね?」
バーンの声が聞こえてくる。
琵琶湖への道を急いでいた星矢、麗子に衝撃が走った。
「そ、そんな。あの人が死ぬなんて」
二人はかつての仲間の死という驚きと悲しみに包まれたが、
責任感が強い彼らはそれを表に出さず、ただ黙って琵琶湖への道を急いだ。
午前6時半。日は昇らなかった。
滋賀上空を黒い雲が覆っていた。(これは主催者の気紛れで天気は県ごとに変えられるということだが)
(一雨くるな。こりゃ。)キルアの思った通り、十分もしないうちに滝のような大雨が降りだした。
「ひどい雨だ。ひとまずあの小屋へ避難しよう」
星矢の指差した方向には古い建物がひっそりと建っていた。
目の前には広大な琵琶湖が広がっている。
小屋のなかは質素な造りで部屋はひとつしかなく、家具たるものは四人用のテーブルと椅子があるのみだった。


137 :湖にて…2:2005/11/25(金) 00:06:36 ID:wo68PP+ZO
「きったねえ所だな。もうちょっと華やかな装飾品はねぇのかよ」
「贅沢いうなよキルア。雨が凌げるだけましだろう?」
「まぁ、そりゃそーだけどよ」
と、何をするでなく一同はただ雨が止むのをじっと待った。
麗子はがたがたと揺れる窓を見ながらため息をついていた。
星矢は昔、自分が手も足も出なかったサガを倒した男が誰なのか気になって武者震いをしていた。
キルアは藍染との連戦で負った傷の回復に努めた。
二時間後、雨は止んだ。
「やっと止んだか。さて、俺たちはこれからどうするか。
何かいい案はない?麗子さん。キルア?」
「一つあるぜ。まずオレ達がやらなきゃいけないことは仲間集めだ。
そこでオレと星矢がこのあたりのエリアを回って誰かいないか探すんだ」
「ちょっとまって!じゃあ、ここに残るのは私?」
女性だからと言う理由でそうなったのか、
足手纏いになるからそうなったのか、
一人で行動したいからそうなったのか。
部長の死でストレスがたまっていた麗子は、ヒステリックな声で叫んだ。


138 :湖にて…3:2005/11/25(金) 00:07:47 ID:ZBVN86azO
「別に、ねーちゃんが、女だから、とか戦力にならないとかそんな理由で言ったんじゃないよ」
「じゃあどうして!?」
「ここの基地を守ってもらうためさ。
ねーちゃんが一番射撃上手そうだし、マシンガンなら素早い奴にも当てられるだろ?」
勿論そんなことは嘘だ。
キルアは本当の事を言えばこの人は着いてくると思い、とっさに嘘を考えた。
「そ、そう。まぁ、いいわ。私も少し落ち着ける時間が欲しいから。
でも、二人とも死んじゃダメよ」
気を落ち着かせながら、年上としての立場も考え、麗子は言った。
「わかった」
二人の少年はゆっくりと小屋から離れていった。
「それじゃオレは南西部を見てくる。星矢は北東部を頼むぜ」
「あぁ、死ぬなよ。キルア」
「お前こそ熱くなりやすいからな。藍染を見つけても無理に倒そうと思うな。
あと、ねーちゃんが心配だから何もなくても12時迄には戻ってこいよ。」
「いや、藍染は。あいつだけは許せない。この手で倒してやる」
星矢の心に石崎が甦る。藍染が憎い。
「ふうぅっ。しょうがねぇな。わかった。奴に会ったらオレの分まで戦ってくれ」
頑固な所は友人であるアイツに似ている。
少年は行く。まだ見ぬ仲間を探すために、この悪夢を終わらせるために。


139 :湖にて…:2005/11/25(金) 00:10:26 ID:ZBVN86azO
【初日滋賀県琵琶湖@午前】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物一式
【思考】1、12時迄琵琶湖北東部で仲間を探す。(藍染に遭遇した場合を除く)
2、麗子を守り主催者を倒す
【キルア@HUNTER×HUNTER】
【状態】(戦闘に若干支障がある)疲労
【装備】なし
【道具】爆砕符×3@NARUTO、荷物一式
【思考】1、12時迄琵琶湖南西部を捜索。仲間を探す。
2、ゴンを探し主催者を倒す。
【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】軽いショック症状
【装備】サブマシンガン
【道具】荷物一式
【思考】1、12時迄小屋を守る。2、両津らと共に主催者を倒す。

140 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:40:29 ID:97wNx3Dp0
丘から見下ろすとけして広いとはいえない神戸の街並みが見えた。
「いい天気ですね、こんなゲームに参加してる事が嘘みたいに清々しい」
趙公明 から逃げて半刻。まもり達は見通しのきく丘の上の公園にいた。
「ねぇ、冴子さん」
「・・・嘘でもないし夢でもないわ」
「ふふ・・・そんなこと、わかっていますよ。貴女と同じ位に」
「そんなことより、いつまでここにいるの?あの男が追ってこないとも限らないわ」
「どうしてそう疑り深いんですか?」
風がまもりの淡い栗色の髪を撫でる。細かな髪は陽に透けて。
まもりは柵に手を寄せ気持ち良さそうに目蓋を閉じている。

まもりは考える。冴子の異常なまでの潔癖さと頑なさ。
疑心暗鬼にとりつかれ他人を寄せつけまいとして常に体を強張らせている。
(彼女を利用するとしたら・・・)

まもりは柵を背に冴子に声をかけた。
木作りのベンチを見つけると嬉しそうに腰掛ける。手招きするが冴子は立ったまま動かない。

「ねぇ、冴子さん。少し休憩しませんか?
 これから私たち、強敵とどんどん戦っていかなきゃならないんだもの。朝食にしましょ」

「・・・・・・・」
「ああ、これ?さっきの人に貰ったパン。食べなきゃもったいないですよ」
まもりは趙公明に貰った袋から美味しそうなパンをとりだし、一口大の大きさにちぎって口に入れた。
「美味しい。毒なんて入ってませんから冴子さんも食べたら?」
「私は・・・遠慮するわ」
「食欲がないんですか?奇襲に失敗したくらいで落ち込んでたら身体が持ちませんよ」
「わかってるわ、そんなこと!」
「イライラしてますね。・・・ひょっとして冴子さん、貴女、人を殺すの初めてなんですか?」
「・・・大阪の街で1人、殺したわ」
「へえ」

141 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:43:03 ID:97wNx3Dp0
「どうやって?まさか素手で絞め殺したとか?」
「・・・・・・」
「喋りたくないなら喋る必要はないですよ。誰だって話せないことはありますもの」
 まもりはじっと冴子の瞳を見ている。冴子はなぜかいたたまれくなり目を逸らす。
「貴女は・・・・・・あるのね。殺人を犯したことが」

まもりは微笑み静かに語り始めた。
「1人殺して、1人逃げられました。もう1人襲ったんだけど失敗してしまいました。
 1人目は毒のついたナイフで刺したんですけど死にませんでした。
 だから毒で弱ったあの人の頭を何度も何度も石で叩いて割ったんです。それでも死ななくてこの銃で焼き殺しました。
 不思議な銃なんですよ、これ。撃った瞬間、その人は燃え上がっちゃって・・・
 私は驚いて立てなくなってしまいました。
 人も焼けると油がでるんですね。手に何滴かふりかかって・・・ほら、まだ赤く残ってる」
まもりは白い手を冴子に見せる。冴子は無表情で動かない。

「気付いたら手も服も血だらけで洗い落とすのに苦労しました」

「もう1人はペンズナイフの毒で弱らせて仲間の情報を聞き出しました。
 嘘ばかり言うから少し痛いことをしたら、簡単に洗いざらい喋ってくれました。それこそ生まれ故郷から持病。
 参加していない仲間の奥さんの名前まで。私を騙して毒を飲ませようとしたから反対に彼に飲ませてみたんです。
 そしたら気絶して動かなくなってしまって・・・」
まもりはその時の情景を思い出し、苦笑する。
「てっきり死んだと思ったのに・・・詰めが甘かったようです」
「貴女は本当に最低ね。そんな風に笑えるなんて」

「ええ。私も信じられません。ふふ。でも、意外と難しいんですね、殺人て」
まもりは鈴が転がるような声で話す。楽しそうに。

142 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:44:53 ID:97wNx3Dp0
「ああそうだ。冴子さんは警察官でしたね。なら、法律にはお詳しいんでしょう?
 最初の方は外国人でしたけど、どこの国かわからないし、不思議と言葉も通じたわ。
 この場合、私はどこで裁かれるんでしょうね。一体どのくらいの罪になるのかしら」
「知ってどうするの?」
「どうもしません。予定通り殺していくだけ」
「・・・筋金入りね。まもりはどうして人間を殺そうと?」
まもりはまた微笑む。先程からこの娘は笑ってばかりいる。
「冴子さんには秘密。誰にも教えません」
鳶色の大きな瞳を細めて、小さな悪戯をした少女のように口を閉じる。
冴子は気分が悪くなった。

「で、冴子さん。貴女はこのゲームで何人殺したの?」
「・・・・・・1人よ」
「あら、私と同じですね。もっと増やしていきませんか?」
ふうわり、と。風が吹く。
まもりは立ち上がりスカートを叩いた。また柵に近づいていく。
冴子は何故か立っていられなくなり、まもりの休んでいたベンチに座る。
まもりは陽光を背に。
冴子に影が射す。


唐突に。小さな囁きが冴子の耳に蘇る。

――怖いよ、お姉ちゃん。
――知ってる人がみんな、いなくなってしまったの。
冴子の体に小さな手が触れ、抱きつくと同時にすすり泣いた。
鈴の音が響くように。愛らしく。

汚い街。汚い人間の子。今のうちに始末しなければ。
あの時はそう身体が動いた。

143 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:51:51 ID:97wNx3Dp0
まもりの笑い声。くすくす漏れる小さな音。冴子は我にかえった。
「何がおかしいの?」
まもりの態度に冴子が剣呑な光を宿す。
「ふふ・・・だって、いいもの見つけたから」
まもりは上機嫌で丘の下を指差した。

「ねえ、冴子さん。あそこに子供が2人、いるでしょう」
冴子が下を見る。たしかに少年が2人、線路沿いを歩いている。

「ふふ、ここから良く見えるでしょう。人の通り道は道路だけとは限らないんですよ」

まもりの白く暖かい手が冴子の手に触れた。

「知ってますか、冴子さん。人の手は緊張してると温度が下がってしまうの。
 筋肉が収縮すると血液の流れが悪くなって末端までまわらなくなってしまうんですって・・・」

まもりは冴子の耳の間近で呟く。

――冴子さんの手。とても冷たいわ・・・。
――手の冷たい人は心が暖かいって話、聞いたことありますか?
――きっと他人のことを考えすぎて緊張してしまってるんですよ。
「冴子さん」
鈴の音のような小さな囁きが冴子の耳に語りかける。

「あの子たちを殺すのね・・・・・・」
こくり、とまもりが小さく頷いた。
「でも、すぐに殺しちゃだめですよ。上手く仲間の情報を聞き出すんです。
 警察官なら、得意でしょう?」

144 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:53:52 ID:97wNx3Dp0
「・・・・・・」
「迷ってるんですね。人間に絶望したとか言いながら冴子さんは後悔してる」
「そんなことはないわ!私は・・・」
まもりは挑発するように冴子のしなやかな指に自分の指を絡めた。
「ほら、手が冷たい。貴女は嘘をついてる。本当は殺し合いなんか嫌でたまらないくせに」
「何を言ってるの・・・私は嘘なんてついていない!汚らしい人間に絶望してるのよ!」
まもりが笑う。楽しげに。
「そうですよね。馬鹿なことをききました。気を悪くしないで下さいね」
冴子は苦しげ息を吐き、まもりの手を振り払う。
「あの子達は冴子さんにまかせます。男の子を2人も相手にするのは不利かもしれないけど
 何かあったらすぐ手伝いに行けるよう、ここで見張ってますから」
「共倒れでも狙うつもりかしら」
「あははっ・・・・冴子さんたらおかしい。疑われてしまうなんて私もまだまだですね。
 だったら、これを持っていって下さい」
まもりは常に肌身離さず持っていた自分の魔弾銃を冴子の手に握らせた。
「・・・なんのつもりよ」
冴子の言葉にまもりが不思議そうに問いかける。
「だって貴女は警察官なんでしょう?銃を持つのが自然だわ」
まもりはさらにバックから小さな塊を1つ取り出す。
「予備の弾丸。大事に使ってくださいね。1発目はもう装填してあります」
「いいのかしら。銃口があなたに向かうかも知れないのよ?」
相手にしたくなかったが、冴子は挑発をせずにはいられなかった。
まもりはまた、微笑み、小さく可愛らしい声で答えた。

「貴女に殺された人―――きっとすごく酷い人だったんでしょうね。
 ・・・この私のように」


145 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:55:36 ID:97wNx3Dp0
冴子はまもりから離れた。嫌悪で顔が歪んでいる。
まもりの鳶色の瞳を嬉しそうに細めた。
まもりの手には毒蛇の鎖が握られている。
「かわりに、私にはこの首飾りを下さい。貴女が戻るまでお守りにするわ」
「返しなさい!手癖の悪い娘ね!」
まもりは猛毒の首飾りにくちづける。思わず冴子は反射的に叫んだ。
「止めなさい!それには毒が・・・」
冴子はしまったと後悔した。
まもりが笑う。
「だと思ってました。でなきゃ、こんな小さな武器で、あの紳士さんに立ち向かっていけませんものね」
先に殺すべきはこの少女だ。冴子は確信する。
だが――銃を向けても。
「ほら、冴子さん。早くしないとあの子達が行ってしまいますよ」
この少女は暖かく微笑んだまま冴子を見ている。

「あの子たちも。きっと何かの罪を犯しているんだわ」
毒が囁く。
「冴子さん。断罪するのは貴女の仕事よ。
 罪を洗いざらい吐き出させて、汚れてしまった彼らを楽にしてあげて」
毒が囁く。

「行って。冴子さん」
毒が囁く。鈴の音のように。

冴子は自分の胸の奥で何かが再び大きく引き裂かれてくのを感じた。


146 :ミーティング:2005/11/25(金) 01:56:48 ID:97wNx3Dp0
「さあて、どうなるかしら・・・」

眼下には少年たちの元へ向かう冴子の後ろ姿。

(1人目は勢いでなんとかなってしまうものよ。肝心なのは2人目から)

その歩調は、迷いなどないように見える。

(冴子さん。貴女が本当に使える人間かどうか試させてもらうわ。
 演技、交渉、戦闘。貴女はひとつも私の力になってはくれなかった。
 あなたの投げやりな態度は足手纏いにしかならない。絶望してるといいながら、本当はまだ迷っている。
 あの京都の紳士さんの時だってそう。貴女には必死さがない。人を騙してでも生き残る覚悟が無いのよ。
 今の貴女はただ激しく憎んでるだけ。それだけじゃ駄目なの。私には足らないの)

(殺しなさい。殺して殺して、何も感じなくなるまで殺すのよ)

(合格したら、そのときは)

「キスでもしてあげようかしらね」

まもりは首飾りを弄びながら無表情で呟いた。



147 :ミーティング:2005/11/25(金) 02:05:17 ID:97wNx3Dp0
【京都と大阪の境/午前】

【姉崎まもり@アイシールド21】
 [状態]:腹部に打撲、若干の疲労
 [装備]:中期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター、
     毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器) 
 [道具]:ジャムパン半分  
     魔弾銃専用の弾丸@ダイの大冒険:空の魔弾×1 ヒャダルコ×2 イオラ×1 キアリー×2 ベホイミ×2
 [思考]:1野上冴子を利用する(以前より強く決意)
     2セナ以外の全員を殺害し、最後に自害

【野上冴子@CITY HUNTER】
 [状態]:人間に絶望。(難しいが説得は一応可能?)
 [装備]:魔弾銃@ダイの大冒険:空の魔弾×1 メラミ×1
 [道具]:荷物一式、食料二人分
 [思考]:1少年達を尋問。その後、殺害  
     2人間を全て殺す。

【志村新八@銀魂】
【状態】中度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折。
【装備】拾った棒切れ
【道具】荷物一式、 火口の荷物(半分の食料と水を消費)
【思考】1:藍染の「脱出手段」に疑問を抱きながらもそれを他の参加者に伝え戦闘を止めさせる。
    2:坂田銀時、神楽、沖田総悟を探す。(放送は信じていない)

148 :ミーティング:2005/11/25(金) 02:07:50 ID:LkDeB9Ee0
【越前リョーマ@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】テニスラケット、両さんの自転車@こち亀
【道具】荷物一式(半日分の水を消費)、サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
    爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ
【思考】1:藍染の「脱出手段」に胡散臭さを感じている。
    2:情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
    3:仲間との合流。 竜崎桜乃の死は信じない(認めていない)
     
      *越前は竜崎が火口(彼の名は知りません)の手によって殺害された可能性があると思っています。
      *姫路駅付近にある埋葬された稲葉響子には気付きませんでした。
      *神戸方面へ北上中。

149 :作者の都合により名無しです:2005/11/25(金) 16:08:23 ID:+2BEv92CO
>>136-139の「湖にて…」は無効です。

150 :殺し屋桃白白:2005/11/26(土) 16:25:50 ID:OzcGPG7d0
白い雲が空全体を覆っている。
あれから、もう半日が過ぎたのか。
海坊主は見上げてそう思った。
ふぅーーーーーー
海坊主は深呼吸した。
「あんな、若い女の子がゲームに乗ってるなんて」
―――警戒しないといけないな
海坊主は心の中で自分に言い聞かせた。
そして空を見上げ、雲をじっと見ていた。

151 :殺し屋桃白白:2005/11/26(土) 16:28:12 ID:OzcGPG7d0
突如、海坊主の中に悪漢がぶり返した。
そしてまりもの自分に対して向けられた憎悪でいっぱいのあの顔が頭によぎった。
またあの子のような『ゲームに乗った奴』に会ったらどうするか。
ぞくっと冷たいものが背筋を通る。
それに加えて心拍数は高くなっていく。
いや、大丈夫、大丈夫だ。オレも結構強い。
いきなり襲ってきた恐怖で取り乱してしまった。
しかし、震えは止まらない。顔も汗だらけである。
いや、こいつはあの女の子よりも数段強い!!
はぁはぁ。呼吸も荒くなっていく。
「参加者か?」
背後から声がした。
ビクッ、心臓が飛び跳ねそうだった。
そして海坊主が振り返る間もなくその声をかけた人物は海坊主の口元を手で押さえ、首に脇差を突きつけた。
「・うう・・・」

152 :殺し屋桃白白:2005/11/26(土) 16:32:00 ID:OzcGPG7d0
「動いたら殺すぞ」
その男は耳元で囁いた。
その声はとても冷たい。
あまりの恐怖でおかしくなってしまっている海坊主ははっと一瞬正気に戻った。
な、なんだコイツ・・・・・
さらなる恐怖が襲った。
汗で上着は背中とぴったり密着している。
男はふっと鼻で笑い、海坊主の口元を押さえている左手でそのまま後方へ押し、倒れた海坊主の上に馬乗りになった。
「くっ、こんな状況じゃ武器も取れない・・・」
その男、桃白白の冷え切った目が海坊主を見下ろしている。
桃白白を見る海坊主の眼は恐怖で溢れている。
こんな所で・・・
海坊主も必死に抵抗する。
「ううっ!!」
桃白白は両手で海坊主の首を絞めた。
全身の毛穴が開き、冷たい汗みたいなものが吹き出してくる。


153 :殺し屋桃白白:2005/11/26(土) 16:35:13 ID:OzcGPG7d0
・・・り・・り・・よ・・・・・・・・う・・・・・
桃白白は相変わらず冷たい目で海坊主を見ている。
目がかすみ、音も聞こえなくなってきた。
・・・こ・・ここ・・・までか・・
やがて意識が遠のいていった。
桃白白は海坊主が全く動かなくなるのを確認すると、先ほどのショットガンを海坊主の胸めがけて思いっきり発砲した。そしてもう一度。
仕事(殺し)は徹底的に。
何度も何度も撃つ。力任せに発砲した。
気がつけば桃白白の道着は海坊主の血で赤く染まっていた。
ようやく桃白白は立ち上がり、近くに置いてあった自分のバッグと海坊主のバッグを持ちその場を後にした。
静寂の中、桃白白は小さな声でつぶやく。
「報酬はちゃんと払えよ・・・」


154 :殺し屋桃白白:2005/11/26(土) 16:42:25 ID:OzcGPG7d0
【滋賀県/昼】
【桃白白@ドラゴンボール】
状態:健康
装備:脇差し
道具:ジャギのショットガン(残弾20)@北斗の拳・三人分の食料・支給品一式
排撃貝、ヒルマのマシンガン、超神水
思考:1.孫悟空、ピッコロ以外の参加者をできる限り殺す。
    2.孫悟空を殺して優勝し、主催者からご褒美を貰う
【海坊主@死亡確認】
残り101人

155 :作者の都合により名無しです:2005/11/26(土) 21:34:24 ID:v4lb2fQcO
>>150-154は無効です

156 :Lie!Lie!Lie! ◆SD0DoPVSTQ :2005/11/26(土) 23:04:17 ID:HmHE/vPP0
遅くなりましたが>>113-114と最後の状態表を修正します



粗方片づけ終わり、もしかしたらと少年が壊したビルから現れてないかどうかもう一度外を確認する。
「あれ、おかしいなぁ……」
外にはビルを破壊し隠れた少年二人の代わりに先程死刑を執行した筈の二人が立っていた。
「やぁ驚いたかい?」
顔面に銃弾を撃ち込んだ筈の男が何事もなかったの様に親しく声をかけてくる。
その男は顔に付いていた銃弾の跡をぺろっと剥がした。
薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)――紙のような薄いものに自分のオーラを乗せあらゆる質感を再現する技。
「キミの撃った弾は こ こ」
ヒソカが出した舌の上にスナイパーライフルの弾が乗っていた。
放たれた銃弾を歯で受け止め、そのまま薄っぺらな嘘で貫通したかのように見せていたのだった。
「君も人が悪いな。俺はお陰で痛い思いをしたんだぞ」
そう言って衣装に付いた埃を払うもう一人の変態。
此方の方には確かに銃弾が当たっていた。
破けた衣装から覗く痣がそれを物語っている。
「な……」
慌ててバックからスナイパーライフルを取り出そうとする中川。
「じゅ、銃が効かないなんてそんな馬鹿な……」
しかし焦れば焦るほどバッグの食料の中に紛れ込んだカプセルを探すのには時間がかかった。
「に、日本には化け物に対する刑罰はないのか!!」
やっとこさ探し当てたカプセルを投げ、スナイパーライフルを構える。
「糞っ、動くな!其処を動くなよ!!」
相手が近いが為置いて狙撃する方法では銃口が相手に向けられない。
仕方なく構えて撃とうとするのだが左肩の怪我の所為で銃口がぶれてしまう。

157 :Lie!Lie!Lie! ◆SD0DoPVSTQ :2005/11/26(土) 23:05:10 ID:HmHE/vPP0
一歩一歩ゆっくりと近づいてくる変人二人を前に、中川は腰を抜かしながら後退する。
しかし後退していると背中に壁以外の物がぶつかって後ろに進めなくなる。
「ひぃぃぃ」
恐る恐る振り向くと其処には最初に殺した筈のあの少年の死体が横たわっていた。
「痛ぇじゃねぇか、中川」
聞き慣れた声がその死体から聞こえたかと思うと顔にベアクローを刺したまま死体が起きあがる。
「ったく……どうしてくれるんだ、これ」
その死体の姿は既に此処にやって来た少年の姿ではなかった。
其奴は短い足でのっそり歩きながら、腰に付けたホルスターからニューナンブを取り出しした。
「中川、銃ってのはこうやって撃つもんなんだよ」
「ひぃぃぃぃぃ先輩!」
両津の姿をしたそれは指で拳銃を回しながら中川の額に銃口を押しやった。
「おぉっといけね。安全ゴムを外すの忘れてた」
空いた手で頭を掻きながらトリガーの後ろに挟まった安全ゴムを取り外す。
その隙に反対方向に逃げようとする中川だったが、少し進んだだけでまた何かにぶつかった。
「逃げちゃ駄目じゃないか」
「君にも俺と同じ痛みを味わって貰わないとね」
狂気に満ちた目で笑いかける二人組。
「せ、先輩!冗談キツイですよ!」
既に逃げ場がない中川は目の前の両津に賛同を求める。
「後輩への指導だ。有り難く思えよ」
訴えるような目で見つめる中川の顎を片手で押さえて、無理矢理こじ開けた口にニューナンブの銃口をねじ込んだ。
「ふぇんふぁい!!ひょうふふぇんふぁい!!」
口に銃口を突っ込まれながら情けない声で喘ぐ。
六つの瞳が見守る中、廃ビルの中に短い音が鳴り響いた。

158 :Lie!Lie!Lie! ◆SD0DoPVSTQ :2005/11/26(土) 23:05:58 ID:HmHE/vPP0
【福岡県(市街地)/早朝〜朝】

【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】右肩が痺れている、襲われたらやり返す覚悟を決めた
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、ヒソカに見つからないように隠れる
    2、乾と越前を捜す

【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】右上腕に弾丸貫通(応急処置はしたがまだ出血中)、空腹、九尾のチャクラ暴走中
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
    ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、暴走中
    2、サクラ、シカマルを探す
    3、主催者をやっつける

【中川圭一@こち亀】
 [状態]:左肩を負傷  精神完全破壊
 [装備]:
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.先輩怖い、先輩怖い、先輩怖い

【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:服はボロボロ、多少の切り傷擦り傷、行動にはほぼ支障無し
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 石ころ数個
 [思考]:1、暴走状態のナルトを何とかする
     2、伊達から首さすまたを取り戻す

159 :Lie!Lie!Lie! ◆SD0DoPVSTQ :2005/11/26(土) 23:08:36 ID:HmHE/vPP0
【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:健康 背中に極軽度の打撲(再生能力のため、直ぐに回復します)
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
 [道具]:荷物一式(食糧二食分消費)
 [思考]:1、狙撃手から首輪を手に入れる
     2、知り合いとの合流、ヒソカと行動

【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:健康 全身に軽い打撲、裂傷(処置済み)  中程度の疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(食糧一食分消費)
 [思考]:1、玉藻、ナルト達から逃げる
     2、更木、ナルト、玉藻を含む強者と戦いたい
     3、知り合いとの合流、パピヨンと行動

【一輝@聖闘士星矢】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ナルト達以外の大きな小宇宙を持つ者達への対処
     2、ハーデスを倒す


【ベアクローとスナイパーライフル(残弾16発)は廃ビルの一室に放置されています】

160 :作者の都合により名無しです:2005/11/28(月) 22:23:45 ID:2ZJmhy9K0


161 :作者の都合により名無しです:2005/12/01(木) 19:54:59 ID:oF0d7ggQ0
ほしゅ


162 :作者の都合により名無しです:2005/12/02(金) 01:41:27 ID:I/4cAFNPO
ほっしゅ

163 :作者の都合により名無しです:2005/12/02(金) 13:38:42 ID:q/+emsf50
いい職人さんが来るようにage

164 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:32:08 ID:NzFV62dW0
「さてダイよ、そろそろ動くとしようか」
今まで読んでいたアバンの書を綴じて公主が声をかけた。
「さっきまで辛そうだったけど、公主さんは休憩はもういいの?」
傍で休んでいたダイが心配そうに声をかけてくる。
「だからダイ、君一人でダムとやらを先に見てきてくれないかい?」
公主は咳をしながら続ける。
「ほら、みんなが戻ってきた時に誰かがいないと駄目であろう。それには動けない私の方が適任だ」
であろう?と子供を諭す様にダイを納得させようとするが、ダイが渋ってなかなか聞いてくれない。
まぁその渋るのが自分の身を案じてなのだろうと思うと渋るダイも愛おしく見えてくるので突き放すことも出来ないでいた。
「なに、大丈夫じゃよ。私とて死にたくはない、この辺に隠れて待っているよ」
「でも、見つかってしまったら……」
「では、ぱっと見てきて直ぐ帰ってきてくれ。そうすれば私も安心だ」
笑顔で公主が諭すと、ようやくダイも渋々納得してくれた。
「じゃぁ隠れて一寸待っててね。絶対だよ」
「あぁ解った解った」
其れだけ言葉を交わすと一目散に山の方向へとダイは翔て行った。
「――とても純粋な子じゃ。私もあの様な弟子が欲しかったな……」
離れていくダイの背中を見送り、公主は其れだけぽつりと呟いた。

165 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:33:02 ID:NzFV62dW0
「ったく、彼奴の考えていることはよぅわからん。病弱の私に任せて何をするつもりなんだか……」
勿論彼奴とは脱出計画に手を貸してくれる人を捜しに行った太公望其の人である。
彼奴のことだ離れた理由は其れだけであるまい。
あの魔王達がどうやって監視しているか解らない状況で、行動目的を迂闊に口にする輩でもないのは仲間として公主は理解しているつもりだ。
何をしたいのか。
何を探しに行ったのか。
太公望の考えている内容がとんと見当が付かなくても、他に理由がある事だけは理解できた。
「はぁ……彼奴と一緒にいると頭が疲れてたまらん」
私達の役割は四国を拠点として、ダムと言う基地の確保と言っていた。
恐らくそれも口から出任せなのであろう。

166 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:34:03 ID:NzFV62dW0
四国が安全?
それはとんでも無い誤認だ。
地図を見る限り本島に渡る橋は3つしかない。
つまり1つも破壊されないことを条件にしても下手に二ヶ所禁止区域に指定されるだけで袋の鼠になることは確かだ。
残り1つになれば後は残った橋を破壊され島に閉じこめられたり、橋の上で待ち伏せされたりと危険度がぐんと跳ね上がる。
かといって橋が3つ残っていても危険な事には変わりない。
ダムに行けば全てが見渡せると言っていたが其れも全くの出鱈目だ。
巨大な島全体を見渡せるような巨大な建物なんてこの島の何処にもありはしない。
此処から遠目に見えるダム。
あれもよくよく考えれば解ると思うが、構造上後ろが非常に手薄なのである。
つまりは1つのダムで場所が離れている3つの橋を監視する事なんて不可能なのだ。
2つか3つダムを拠点にすれば解決するとは思うが、其れこそ意見のやり取りが上手く出来ない上に人手も全く足りやしない。
時間が経てば解決する問題かと思いきや、時間が経つほど先程の禁止区域の問題が大きくなってくる。
こんな島では拠点としてどう考えても不完全すぎた。
まぁ其れも此も全て太公望が残したヒントが切っ掛けで解ったのであるが。
「――だが太公望よ、お主オヤジ化が進んでおるぞ……」
太公望が指し示した拠点はダム。
逆から読めばムダ――つまりは無駄である。
身体をろくに動かせない自分に動かなくても良い適当な理由として用意したのかも知れない。
安直なギャグもとい暗号であったがその単語を含めて会話を成立させたのは流石太公望であったという事なのであろう。
公主は頭を抱えて太公望の行く末を苦悶しながら複雑な気持ちになった。

167 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:34:45 ID:NzFV62dW0
「――ウッ」
公主が不意に咳き込み始め、紅い色で着ている物を汚した。
ダイや太公望の前ではあれでもまだ強がっていたがもう限界に近い。
「仏壇屋に行くのなら香ではなく墓の用意でも頼むべきだったか」
もう誰も周りにいないのだがついつい強がってしまう。
香が幾らあろうとも所詮は気休め程度にしかならないのは自分が一番良く解っている。
3時間――否、延命できる刻は1時間程度かもしれない。
「ダイが人を疑うような子じゃなくて本当によかった」
敢えて太公望が無駄と言っていた場所に向かわせたのは限界に近い自分を見せたくなかったからだ。
もしもダイが太公望の様に育っていたらと考えて慌ててその想像を打ち消した。
にょほにょほ言うだけでやる気のなさそうな奴が周りに2人もいられてはたまったモノではない。
「さ、急ぐとするか……残された時間は……ゴホッ」
残された時間。
それはダイが戻ってくるまでの時間でもあり、自分の身体が命令を聞かなくなるまでの時間でもある。
何とか身体を引きずり、近くの木にもたれ掛かった。
決して無駄死にをしたい訳ではない。
皆が自分の為に行動してくれているのは痛いほど良く解る。
だからこそ自分にしか出来ない事を身体が動く内にやっておきたいのだ。
宝貝『青雲剣』を取り出し、其れの柄を垂直に地面に埋める。
震える手で此処に再び集まってくる仲間に置き書きを少し離れた場所に残し、公主は木にもたれながら立ち上がった。

168 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:42:41 ID:NzFV62dW0
手に構えるはアバンの書。
太公望が残していった異世界の魔法が示されているアイテムだ。
だがどうやら其れはダイの師が書き示した書らしく、太公望が去ってから休憩の間ダイから其の師について色々な話を聞けた。
あのバーンの手下、魔軍司令ハドラーと死闘を繰り広げダイ達にアストロンをかけ自らは命を捨てメガンテという自爆呪文を唱えたこと。
死んだと思っていた師アバンだが、最後の闘いに再び姿を現しハドラーの最後を共に看取った事。
目を輝かせながら自分の師についてダイは誇らしげに語っていた。
「――ダイは良い師を持ったものじゃ。その様な師を持ったからこそ今のダイがおるのじゃろうな」
公主は其れだけ呟くと、アバンの書の開いた1ページを見た。
そのページに書いてあった魔法こそが先程ダイが語ったアストロンである。
書曰く、魔法の全てを無効化しどんな攻撃にも耐えうる鋼鉄の塊のように硬化してしまう呪文と。

169 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:45:04 ID:NzFV62dW0
つまりはアストロンで硬化している内に首輪を破壊してしまおうという事だ。
勿論首輪の効力がどんな物かは公主には解らなかった。
だが魔法、攻撃共に無効化し、ダイのお墨付きの魔法とあらば試してみる価値は出てくる。
所詮自分はもう長くもない身なのだ。
この実験を試すのには自分をおいて他にいなかった。
勿論失敗しても、死にさえしなければ利点はある。
鋼鉄の塊のように硬化してしまえば息をせずに済むのだ。
つまりアストロンを唱えられる限り移動は出来ないが生き延びることは出来る。
自分は其れまでになるが、後は太公望とダイにあの魔王バーン達を倒してきて貰うか、霧露乾坤網に変わるアイテムを探してきて貰えば良い。
放って置かれても、禁止区域になるか海に投げ捨てられるかしない限り死にはしないだろうし足手まといにならずに済む。
「――斎藤、沖田……そなた等の態度に隠された熱い思い。本人を前に面としては言えなかったが私は気が付いておったぞ」
最後にアストロンの説明と理屈をしっかりと確認する。
「――ターちゃん、富樫……そなた等の優しさには唯々感謝するしかない。香を無駄にして悪かったな」
全ての確認を終え、もたれていた木の幹から背を離し公主は前傾姿勢になる。
「――ダイよ。そなたの強さの源――優しさを忘れるでないぞ」
硬化し重力に従って倒れたとき、首輪に青雲剣が当たるように位置を微調整する。
「――太公望よ。私が残した答えを使って上手く脱出を成功させてくれ」
公主は言いたかった事を全て吐き出すと静かに目を閉じた。
いや、まだ最後に言いたかった事が残っていた。
「出来れば皆また合おう」
そして静かに呟いた――アストロンと。

170 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:45:39 ID:NzFV62dW0
「公主さ〜ん!ちょっと遠いけどいい場所見つけたよ!!」
ダイは山を駆け下りつつその嬉しさに叫んでいた。
此で公主の症状がマシになるかもしれない。
駄目元で良い。
行動しないよりは、行動して駄目な方が次の可能性をまた探しに行くことが出来るのだから。
見えていたダムまで進むとそこら一帯の観光場所を掲載している案内板があった。
その地図に載っていた場所こそが四万十川。
奇しくも日本最後の清流と呼ばれた川である。
多少遠い上に、橋を見ることが出来ない死角にその川とダムは存在した。
だがダイの中では橋の問題なんて苦しんでいる公主から比べれば2の次、3の次だった。
苦しんでいる誰かを犠牲にしてまで他の全員を救うなんて器用な事が出来るダイではない。
まずは目の前の苦しんでいる者を助け、それから困難でもまた次に苦しんでいる者を見つけたら其れも助けてしまう。
小さな勇者と呼ばれたダイはそんな人間であった。

171 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:46:21 ID:NzFV62dW0
もうすぐ全員の頭の中に2回目の放送が鳴り響く。
だが其れより一足早めに島に小さな破裂音が広まった。
距離がある事もあって叫びながら駆け下りているダイにはその音は届かなかった。
だがもう暫くでその事実を目の当たりにする事になるだろう。
公主が太公望に言っていた言葉『有りもしない能力が付加されている』。
アイテムの効果は全て主催者の都合の良いように変わっているという事を。
本来なら人を吹き飛ばす程度の爆発なら余裕で防げるアストロンでさえ首輪の前に無力と言う能力が付加されていた。
首輪自体にその能力が加わっていたのかも知れないし、アストロンを書き記したアバンの書自体に何らかの細工があったのかも知れない。
ダイ達が第2回放送前迄に失ったモノは決して小さなモノではなかった。
しかしそのモノが身を挺して残した結果と、能力が付加の可能性について書き残したメモもまた決して小さいモノではなかった。
ダイ達に残った結果は悲劇の序章となるのか、反撃の狼煙となるのかはまだ誰にも解らない。
だがどちらかの答えが直ぐ其処まで差し迫ってきたのは明かであった。

172 :Statue of Fairy:2005/12/03(土) 17:47:53 ID:NzFV62dW0
【竜吉公主@封神演義 死亡確認 】
【残り101人】

【香川県、ダムの近く/昼@放送直前】

【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]健康、MP微消費
[装備]出刃包丁
[道具]:荷物一式(水残り半分) トランシーバー
:公主の荷物一式
:ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
[思考]1:四万十川の存在を公主に伝える
2:ターちゃんに脱出の可能性があることを伝える
3:公主を守る
4:ポップ・マァムを探す

【青雲剣とアバンの書は爆発に巻き込まれ破壊、公主が最後に書き残したメモは離れた場所に安置】

※公主の太公望についての考察は当たってるか見当違いかは次の書き手にお任せします

173 :作者の都合により名無しです:2005/12/03(土) 18:32:28 ID:natRNkNp0
公主が動けなくなるの早すぎじゃないか?
数日中に死亡なのに、12時間も経たないうちに(ダイが戻ってくる頃には)もう動けなくなってるだろうって。

ブチャラティの時に言われた教訓も生かしてないし……。
公主も同様お馬鹿になってるよ、ダイでさえアストロン破壊できたって聞いてねぇのかorz
こんな独りよがりな自己満足ギャンブルやるか?

文句を言ってはいるが、別にNGにしろって訳じゃないんで。

174 :作者の都合により名無しです:2005/12/03(土) 18:34:37 ID:AkO8SB/10
落ち着け。
気持ちは分かるが、場所が違う。
再度投稿なされよ。

175 :銅鑼ゴンクエスト ノビののびのび冒険:2005/12/03(土) 19:59:43 ID:P848iljKO
何も無かった空間に突然ドアが現れ、そこから出てきたのは青くて二頭身のタヌキ型ロボット。
お腹のポッケに指の無い手を突っ込んで、
「地球はかい爆弾〜!」

【ジャンプロワ参加者全員@週刊少年ジャンプ 死亡確認】
【残り0人】

【東京都、練馬区/正午】

176 :試験:2005/12/03(土) 21:27:47 ID:dmC5jhyH0
もうすぐ、京都府と大阪府の境に差し掛かる。
決して早いとは言えないペースで線路沿いを歩き続けてきた新八と越前は、分かれ道でその足を止めた。
この道を真っ直ぐに進めば京都に入り、更に真っ直ぐ行けば琵琶湖のある滋賀県に入る。
この道を右に行けば、大阪に入る。
大阪経由でも滋賀県には行けるが、京都を通過するよりは少し遠回りになってしまう。
「……で、どうします?」
自転車を引き、新八の数歩先で立ち止まった越前が振り返った。
「……うん」
返事になっていない返事をし、新八は難しい顔をする。
「ずっと考えてたんだけどさ、僕はやっぱり琵琶湖に行くべきだと思うんだ。少しでも脱出できる可能性
があるんならそれを見過ごすべきじゃないんじゃないかな」
「明らかに胡散臭い話だと思いますけど」
間髪入れずに返ってきたクールな返答に少し怯みつつも、新八は更に言葉を続ける。
「でもさ、江戸じゃなくてヒガシキョウ……じゃなくってトウキョウだっけ?そこに行くにはどうせ通り
道なんだろう?だったら……」
「もしまたあの泥棒に遭って、襲われたらどうするんスか?」
「そ、それは……」
再びそっけなくつっこまれ新八は答えに窮する。
確かに、確かに越前の言うことはもっともなのだ。
自分達を殺せる力を持ちながら、支給品を盗むだけという奇妙な行動をしたあの男が言ったことを信用す
るなんてほうがおかしいのだ。
それでも。
「……やっぱりさ、信じたいんだよね」
こんなゲームに突然に放り込まれて、自分一人が生き残るためだけに殺し合いを始めるような人間ばかり
ではないはずなのだと。
今朝早く越前を殺そうとして……自分が殺してしまったあの男の様な人間ばかりではないのだと。
そんなに、人間は愚かではないのだと。
そう信じていたいのだ。
銀時あたりが聞いたら鼻で笑うだろう。
と言うより聞く耳なんか持ってくれないだろう。
でも、きっとそういう態度を取りつつも結局あの人は、己の信念を最後まで曲げるなとすごく解りづらく言っ
てくれるだろう。

177 :試験:2005/12/03(土) 21:28:28 ID:dmC5jhyH0
(…………銀さんや神楽ちゃんが、僕が人を殺したと知ったら……)
何と言われるだろう。
今朝、新八が越前を助けたのはあの男が“てにすらけっと”とかいう物を踏みつけた辺りからだ。
だからあの男がどういう経緯で越前を襲ったのかはわからない。
ただただ、越前を助けなくては……と、あの時はそれだけしか考えられなかった。
越前に抑えられ、我に返った時は手も顔も着物も血だらけになっていたのだ。
白目をむき、頭を半分陥没させたあの男の顔が、こうしている今でも瞼の裏から離れない。
(もし、あの男に越前君を殺す意志がなかったんだとしたら……)
自分の犯した罪の大きさは計り知れない。
それを知るのが怖い。
自分が人を殺したという事実を認識して受け入れるにはもう少し時間が欲しい。
幸い、越前も気を遣ってくれているのかあの時の話はしてこない。
せめて銀さん達に再会出来るまでは……とにかく銀さん達を探すことだけ考えよう。
それが、朝からずっと考え続けてきた末に出した新八の答えであった。
「だからさ、僕はやっぱりこの話を出来るだけ多くの人にして琵琶湖に行くよ」
キッと前を向いて断言する。
新八の決意が固いことを知り、越前はやや大袈裟にため息をついた。
「しょうがないっすね」
おっちょこちょいで落ち着きがない新八が実は結構な頑固者なのだと悟り、越前は帽子をかぶり直す。
新八を一人にはできない。
新八は自分を助けるために人を殺したのだ。
そんな風に助けられた借りは返したい。
「俺、借りを借りっぱなしって好きじゃないし」
やれやれ、と肩をすくめた越前を見て新八は笑顔を作る。
「じゃあ、越前くん……!」

「ねぇ。あなた達」

唐突に声が聞こえ、新八と越前は鋭くそちらを向いた。
視線の先にはどこから現れたのか、一人の女性がいる。
スリットの入ったタイトスカートと、それと対になるジャケットを羽織った美人。
両手には何も持っていない。

178 :試験:2005/12/03(土) 21:29:46 ID:dmC5jhyH0
ゆっくりと歩み寄ってくるその女性の顔には、大人の色香を感じさせる笑顔が浮かんでいる。
「あなた達もこのゲームに連れてこられたのね?安心して。私は戦う気はないわ」
にこやかにそう告げる女性に、あからさまな困惑の表情を浮かべる新八と、あからさまな疑惑の表情を浮か
べる越前と。
三者三様の表情を間を、場違いな程の爽やかな風が吹き抜けていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


丘の上の公園で、茂みの隙間から冴子と二人の少年達を見下ろしたまもりは、ほっと安堵のため息を漏らした。
(冴子さん、あの子達のこと、いきなり殺しちゃうかと思ったけど……)
どうやら無事に少年達と接触するのに成功したらしい。
もちろん、冴子がいきなりあの子達を殺してしまってもそれはそれで構わないと思っていた。
まもりが望むのはセナが生き残ること。
そのためならば自分の手も汚すし人にも殺し合ってもらいたい。
要は、セナ以外の全員がいなくなればいいのだ。
だから冴子があの子達を殺そうと、逆に返り討ちに遭おうと、それはそれで構わない。
(でも、ちゃんと情報を聞き出してその上で殺せるならそれが一番)
何の力もない、ただの女子高生の自分が人を殺すにはやっぱりいろんな情報があったほうがいいだろう。
そして色んな情報を手にした上で、それを生かしていかなければならない。
冴子がちゃんと演技や交渉が出来る状態なのであれば、これからしばらくの間は一緒に行動しても差し支え
ないしどうにかして利用することも出来る。その方がまもりにとってもありがたい。
だからできれば冴子にはがんばって欲しい。

(試させてもらいますね。冴子さん)

冴子に、本当になりふり構わず人を殺す覚悟があるのか。
ただ人間を憎むだけじゃなくて、その憎しみを行動に移せる力があるのか。
そう。これは試験。
冴子があの少年達から無事に情報を聞き出し、確実に殺せたのなら合格。


179 :試験:2005/12/03(土) 21:30:49 ID:dmC5jhyH0
ただ殺すだけならギリギリで合格。
でももし殺すことが出来なかったら……。
「私ががんばるしかないよね」
ポツリと無感情に呟き、まもりは再び眼下に視線を戻した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


まず口を開いたのは帽子をかぶった少年だった。
「……オバサン、誰?」
初対面の人間に向けたとは思えない失礼な物言いに、メガネの少年が慌てて二人の間に割ってはいる。
「すすすすすすみません!別に悪気がある訳じゃないんです!この子、ちょっと偉そうっていうか冷静って
いうか……って!ちょっとおおおおおおおお!?僕がフォローしてんのにどこ行くんだよ越前くん!」
「行くんでしょ?琵琶湖。さっさと行こうよ」
冴子には関わらないことにしたのか、自転車を引いた帽子の少年はさっさと歩き始めてしまう。
「私は警官よ。怪しい者ではないわ」
その言葉に、帽子の少年は初めて冴子に向き直った。
「……へぇ。おまわりさんなんだ」
「ええ」
冴子は自分を無視していた少年がやっと反応を示したことに、心中でほっとする。
(ニンゲンは汚い)
あのビデオを見た時から、一瞬も休まず頭の中で映像が流れ続けている。
(ニンゲンは存在してはいけない)
警官として、裏社会と少し関わりを持つ者としていくつもの修羅場を潜ってきた冴子にも想像すらしたこと
のなかった、ニンゲンのおぞましい所業。
(だから、私はニンゲンを殺さなければいけない)
最初に出会った、あの幼い少女も。
この少年達も。
あの、最悪とも言える娘も。
そしてこの私も。
みんな、みんな、消えなくちゃいけない。

180 :試験:2005/12/03(土) 21:31:29 ID:dmC5jhyH0


――――――――人間に絶望したとか言いながら冴子さんは後悔してる
そんなわけはない。ニンゲンには絶望している。後悔なんかしていない。

――――――――本当は殺し合いなんか嫌でたまらないくせに
そんなわけはない。ニンゲンなど殺し合って滅びてしまえばいい。

――――――――冴子さん。断罪するのは貴女の仕事よ。罪を洗いざらい吐き出させて、汚れてしまった彼ら
を楽にしてあげて
わかっているわ。あなたに言われるまでもなくそうするつもりよ。

ゆっくりと浸食する毒のようなまもりの言葉が、冴子の心を蝕んでいく。
「あ……あの、大丈夫ですか?」
ハッと我に返ると、眼鏡をかけた少年が心配そうに自分を覗き込んでいた。
ええ、と頷き微笑み返そうとして……冴子は息をのんだ。
一瞬。だけどはっきりと……自分を見つめる少年の顔に、彼の人の面影がよぎる。
お人好しで正義感で、間抜けだけど強い、メガネをかけた優しい人。
かつて警視庁でコンビを組んだ……今はもうこの世にはいない彼の人。

「…………槇村…………?」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


181 :試験:2005/12/03(土) 21:34:53 ID:dmC5jhyH0
ここからでは冴子とあの少年達が何を話しているのか聞き取れない。
あの子供達の表情はどうにか見えるけど、冴子はこちらに背を向けているので接触が本当に成功しているのか
わからない。
「どうしよう……」
もう少し近寄るべきだろうか。
少しの間逡巡し、まもりはそっと茂みから離れた。
(もう少し近寄ってみよう)
あの三人の会話が聞けるなら、冴子が二人を殺した後に自分が冴子を殺しても差し障りはないだろう。
三人がいる場所は、丘の下の線路脇。
公園の入り口は反対側にある。
まもりは足音を立てないようにそっと入り口に向かう。
だが。
(……だ、誰かいる……?)
確かに、あちらで何かの影が動いた気がする。
近くの木の陰に隠れ、じっとその辺りを凝視する。
しばらくすると、建物同士の隙間から再び人影が見えた。
いや。今度は人影じゃない。人の姿がはっきりと認識できた。
また建物の影へと姿を消した二人組の一人は、白い胴着と袴を身につけた女性。
そしてもう一人は――――――――。
「確か……進清十郎さん。王城高校の……」
進清十郎。王城ホワイトナイツに所属する高校最速のラインバッカー。
このおかしな世界において、数少ない知り合い。
いや。彼はただのマネージャーでしかない自分を知らないかもしれない。
「……どうしよう……」
もし、これがまもりが知らない人物だったら迷いなく彼らの前に姿を現し、必要なことを聞き出し殺しただろう。
だが異世界だと思っていたこの世界に、急に自分の生きていた“現実”を持ってこられたようで……昨日までの
普通の毎日が胸に突き刺さるように甦る。
一度強く目をつむったまもりは、息を吐くとキッと瞼を開いた。

「それじゃ駄目」

そう。それじゃ駄目。

182 :試験:2005/12/03(土) 21:35:58 ID:dmC5jhyH0
セナを助けるためにはみんな殺さないと。
生きて帰れるのは一人だけなんだから。
セナのために、セナを助けるために殺すと決めたのだから。
知り合いだから殺さないなんてそんなのは不公平だ。
彼と同じ世界から来て、彼を知っているということは今までのどの状況よりも有利なのだから、それを利用しない
手はないのだから。
「待っててね、セナ。私、がんばるから」
そう呟き、毒牙の鎖をスカートのポケットにそっとしまう。
公園のベンチに『すぐ戻ります』というメモを置き、風で飛ばされないように石で止める。
決意を固めたまもりは、二人を先回りすべく早足に公園を後にした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


何事かを呟いた女性は笑顔のままだ。
なのに、その白い頬には止めどなく涙が流れ落ちている。
はっきり言っておかしい。
その異常な様子に、越前の心には目前の女性に対する疑惑が膨らみ始める。
「ど、どうしたんですか?!」
冷静に状況を見極めようとする越前とは反対に、新八は大慌てで意味もなく手を振っている。
「大丈夫ですか?怪我でもしたんですか?」
「……ねぇ」
バタバタと意味もなく慌てる新八に、越前は静かに声をかけた。
「そのオバサン、放って置いたら?」
「な、何言ってるんだよ!こんな状況だし、きっと怖かったんだよ。女の人が一人きりでどんなに心細かったか
……」
「だってさ、その人おかしいよ」
先程から感じていた違和感の正体にようやく思い至り、越前は表情を険しくする。
見た目は普通の女の人。だけど……。
「その人、さっきから同じ笑顔しかしてないじゃん」
笑顔にだっていろいろある。

183 :試験:2005/12/03(土) 21:36:53 ID:dmC5jhyH0
あまり表情を顔に出す方ではない越前も、それくらいは知っている。
なのにこの女性は最初から涙を流している今この瞬間まで、全く同じ笑顔なのだ。
この異常なゲームの中で精神が壊れてしまったのか、それとも、油断を誘う演技なのか。
いずれにしろ、この女性はゲームに乗っているのかもしれない。
再度新八に注意を促そうと、口を開いた時。

「……人を、殺したの」

「…………え…………?」
視線を宙に彷徨わせたまま、囁くようにその女性が言った。
「ニンゲンは、汚いから。存在してはいけないから」
「…………は?」
焦点の合わない瞳のまま、その女性は新八に視線を向ける。
――――凍り付いた笑顔のままで。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


男が棒に跨って空を飛んでいくという奇妙な光景に出くわしてから数十分。
進清十郎と神谷薫は京都府と大阪府の境に差し掛かろうとしていた。
世にも奇妙なあの出来事の後、結局二人は男が去っていった方向から少しずれた大阪方面へと向かうことにし、
今まで休まずに歩き続けている。
(東京へ……!!)
性格も境遇も、生きている時代すら違う二人が持つ、共通の目的。
大切な人に会うために。
元の世界に帰るために。
自然と早まる歩みは、市街地を抜けた所で止められることになった。

「あ、あの……進さんですよね?王城の……」

曲がり角からふらふらと姿を現した少女は、二人を見つけて驚くと進にそう声をかけた。

184 :試験:2005/12/03(土) 21:38:15 ID:dmC5jhyH0
「あの……私、姉崎まもりといいます。泥門デビルバッツのマネージャーの……」
「……泥門」
少女の言葉に、進は他人には解らないくらいわずかに目を見開く。
泥門デビルバッツ。
巨漢の鉄壁ライン・栗田。司令塔のクォターバック・蛭魔。小柄ながらもいい動きをするレシーバーの……背番
号80。
試合毎に成長を見せる他のライン組。
そして――――――――光速のランニングバック。背番号21。アイシールド…………!!
脳裏に甦る泥門との試合。アイシールドとの対決。
「……アイシールドはどこだ?」
「あ、あの人はここには……」
進はアイシールドの素顔――――進の場合は“筋肉”を、と言うべきか――――を知っている。
だが、彼はアイシールドの名は知らない。知ろうとしたこともない。
進にとってはフィールドで向かい合うアイシールドがアイシールドの全てで。
それ以外の事には興味を持ったことすらない。
一方のまもりは、アイシールドの正体がセナだということを知らない。
まもりにとってセナは優しくて弱い存在で、高校アメフト界を騒がせるあのアイシールドと幼馴染みが同一人物
などとは考えたこともないのだ。
もし――――まもりがアイシールドの正体を知っていたなら、こんなにもセナを心配し守ろうとはしなかったか
かもしれない。
「そうか」
まもりの言葉に、進はわずかに表情を緩めた。
アイシールドがこの場にいなくて少し安心した反面、残念にも思う。
だが、ここで会えなくとも全国大会決勝(クリスマスボウル)で待てばいいだけの話だ。
再び黙す進に戸惑うまもりへ、傍らにいた女性が話しかける。
「姉崎さん?私は神谷薫。よかったら話を聞かせてくれない?」
「ええ」
――――ええ。喜んで。
まもりの心中など知らぬ進と薫は、彼女にうながされるまま脇道へと入っていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

185 :試験:2005/12/03(土) 21:39:37 ID:dmC5jhyH0

冴子は新八に視線を向けたまま、ゆっくりと口を開く。

「ニンゲンは、汚いから。存在してはいけないから」

だから。
泣いて縋り付いてきたあの幼い少女を。
戦う術も力も何も持たない幼い少女を。
殺したのだ。
「……でも、もうよくわからないわ」
ニンゲンは消えなくてはいけない。そう思うのに。
私は槇村がこの場にいたら、汚い存在として殺すことが出来るのだろうか……?
リョウは?香さんは?ファルコンは?
私は、彼らを殺せるのだろうか……。
「もう、わからない」
何が正しいのか。私はどうするべきなのか。
槇村なら……私に答えをくれるだろうか……。

「……僕も、人を殺したんです」

メガネの少年が、俯きながら小さく言った。
「殺したくなかったけど、でも……」
「あれはあんたのせいじゃない!」
唇を噛みながらも更に続けようとする新八を、越前が強い口調で遮る。
だが冴子にはそんな二人のやりとりはまったく聞こえていなかった。
冴子の頭の中で繰り返されるのは。
ニンゲンの最も醜悪な一面を記録したあの映像。
そして――――『僕も、人を殺したんです』という少年の言葉。
「ああ……そうなの……。……あなたも罪を犯したのね……」
「え」
冴子の言葉に振り向いたメガネの少年の額に、あの娘から渡された銃を突きつける。
ああ。やっぱりニンゲンは駄目なのだ。

186 :試験:2005/12/03(土) 21:42:42 ID:dmC5jhyH0
善良そうなこの少年ですら人を殺している。
ニンゲンはニンゲンを殺す。それは……ニンゲンが愚かだから。
ここにいるのは、槇村じゃない。
ここにいるのは、ただの罪人。断罪されるべき――――――――ニンゲン。
凍り付いた笑顔のまま、冴子は罪人を裁くべく引き金を引く指に力を込めた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


脇道を入ってすぐの所にあった神社に入り込み、薫が話を始めてから数分。
姫路駅で薫と進が出会ったところから始まった話を聞き終えたまもりは、ほぅ……とため息をついた。
「大変だったんですね……。でも、お二人が無事で良かった……」
安心したように両手を合わせ、まもりは二人に笑顔を見せる。
「あなたも大変だったみたいね?男に襲われて全部荷物を奪われてしまうなんて……」
「ええ……。でも、命が無事だったには感謝しないと……」
困ったように、それでも健気に笑ってみせたまもりは善良な少女そのもので、薫は彼女に優しく話しかけ労っ
ている。
それを眺めながら今日行うべきトレーニングメニューを進が考え始めたとき、彼は左の大腿直筋にわずかな痛
みを感じた。
(何か……かすった……?)
下を見やると、やはりうっすらと血が滲んでいる。
怪我の内にも入らぬその浅い傷は放っておいても構わないだとうと判断し、視線を二人の女性に戻した進は、
不意に揺れた視界に眉を寄せた。
「…………?」
ぼやける視点を合わせようと眼を凝らしてみても、揺れは収まる気配を見せない。
「進さん?」
自分を呼ぶまもりの声すら、どこか遠くから聞こえるような気がする。
(……おかしい……)
体が痺れて……動かすことが出来ない。
揺れ続けていた視界はいつのまにか横向きになっていて、進はそれで自分が横たわっているのだとわかった。
(体がおかしい……。やはり栄養バランスが悪かったか……)

187 :試験:2005/12/03(土) 21:43:33 ID:dmC5jhyH0
ここに来てから、支給された乾パンと水しか口にしていない。
体を作るために常に栄養バランスに気を付けながら食事を摂取してきたが……栄養バランスの悪い食事という
ものはこのような事態を引き起こしてしまうのか。
「進さん?!大丈夫ですか?!」
薫の声も、まもりの声も、今はもう微かにしか聞こえない。
その変わりに脳に響くのは。

――――――――『進!』

見慣れたフィールドに集う、チームメイトが自分を呼ぶ声。
桜庭が、大田原が、高見が、自分を呼ぶ声。
(……試合が……始まる……)
肩にチームメイトの腕が回り、がっちりと組まれた円陣は何人たりとも崩すことの出来ない王城の力。
そして。

――――――――『GLORY ON THE KINGDOM――――!!』

そうして――――進清十郎は、自分が死ぬということを欠片も考えずに、永遠の眠りに落ちていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


冴子の指が引き金を引ききろうとしたその瞬間。
予期せぬ衝撃が銃に当たり、冴子はその手から銃を吹っ飛ばされた。
睨み付けた先にいるのは帽子をかぶった少年。
彼の右手には線路に転がる石。
そして彼の左手にはテニスラケットが握られている。
「走って!」
その声に、呆然としていたメガネの少年が、弾かれた様に走り出す。
「待ちなさい!」
地面に転がる銃を拾い上げようと手を伸ばすと、すかさず石が打ち込まれる。

188 :試験:2005/12/03(土) 21:44:40 ID:dmC5jhyH0
だが冴子は手や腕に容赦なく打ち付ける痛みには構わず、しっかりと両手で銃を持ち直す。
狙いはあの、メガネの少年。
罪を犯したというあの少年。
銃を構え直し、的を絞る。

そして――――――――引き金を引く。

だが、その瞬間、今までよりも強い衝撃が銃にあたった。
(な、なに?!)
引かれた引き金に呼応し、銃口から炎が走る。
真っ直ぐに風を切る炎は、衝撃によって反らされた銃口の通りに対象から僅かに外れた位置へと着弾した。
その炎の強さに、尻餅をつき呆然としていたメガネの少年がそのままの体勢で後ずさる。
「……今度こそ……」
冴子の呟きに、メガネの少年はがばりと立ち上がった。
「ね、狙いは僕……?って……うそおおおおおお――――?!」
「叫んでる暇があったら逃げるよ!」
越前の言葉に、新八はハッと我に返る。
この女性はどういうわけか自分を殺そうとしているらしい。
なら、自分と一緒にいたら越前まで危ないのではないだろうか。
「越前君!、べ、別々に行こう!……琵琶湖で待ってるから!!」
「ちょ、ちょっと……!」
進もうとしていた道と違う道……大阪方面へと走り出した新八を越前は追おうとするが、その前に冴子の背中
が立ちふさがり、足を止める。
「待ちなさい!」
走り出した新八へ向け、冴子は再び引き金を絞る。
だが――――――――。
「……何も起こらない……?」
つい先程炎を吐き出した銃口は、今回は何の変化も起こさない。
「なぜ……」
冴子は知らない。
まもりが冴子に渡した予備の弾丸には、何の魔法も入っていなかったことを。

189 :試験:2005/12/03(土) 21:47:30 ID:dmC5jhyH0
冴子に渡された銃は、冴子の知るそれとはまったく別の物で……弾丸に魔法がこめられていないと何の効果
もないということを、冴子は知らない。
ただ一つ、わかることは。
「……あの娘……!」
微笑みながら冴子に銃を渡した、あの少女の仕業だということだけだ。
冴子が銃を握りしめまもりへの怒りを燃え上がらせているその隙に、越前は京都方面へと自転車を走らせ始
めていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「進さん?!」
突然倒れ動かなくなった進を揺さぶり反応がないことを確認すると、薫は恐る恐る彼の手首を取った。
「……死ん……でる……」
なぜ。つい今まで普通に生きて動いていたのに。なぜ。
「姉崎さん……。これって……」
いつまでたっても動く気配のない進の手首をようやく離し、薫は力無くまもりへと振り向いた。

ピッ

空気を切る軽い音。
同時に左頬に走る熱を持った小さな痛み。
「姉崎さん……?」
滲む血を掌で押さえ、薫はまもりと彼女が持つ物をまじまじと見つめる。
「ごめんなさい……」
まもりは泣いていた。
「顔に傷を付けるつもりなんてなかったんです。薫さんが急に振り向くから手元が狂っちゃって……」
「……え……?」
「何を……」
言っているの?と続けようとして薫はそれ以上の声を出すことが出来なかった。
(体が……)

190 :試験:2005/12/03(土) 21:48:43 ID:dmC5jhyH0
動かない。鈍いしびれが全身を覆っていて、もう、座っている体勢を保つことも出来ない。
(まさか……)
無理に視線を上げ、まもりを見る。
涙を流す彼女の手から下げられているのは、見たこともないような禍々しい飾り。
(まさか……)
考えたくないけれど……彼女が。進を。私を。
(私……死ぬの……?)
今、動かなくなってしまった進の様に。
「…………ぁ……」
気道が塞がれてしまっているのか、息が苦しい。声が思うように出せない。
「なん……で…………」
「ごめんなさい……ごめんさない……」
泣きながら謝るその姿は痛々しくて、体さえ自由に動くのならきっと薫は彼女を抱きしめていただろう。
だが、現状は予想もしなかった方向へと進んでいて。
どうして。なぜ。
沸き上がる疑問も、底から押し寄せる暗闇に段々と呑み込まれていく。
(……剣心……ごめん……)
どんな戦いの場に巻き込まれようとも、生きることを諦めたことなど今まで一度もなかった。
けれど。
幼かった頃のこと。父を亡くした頃のこと。
剣心と、弥彦と、左之と、恵と…………たくさんの人々と出会ってからの日々のこと。
それらが脳裏を駆け過ぎ、見えていた光が段々と細くなっていく。
その小さな光の中で微かに見えるのは、赤髪の流浪人。
「……け……ん…………」
会いたい。会いたい。――――――――会いたかった。一目だけでも。

「……けん……し…………」

自分が最後に遺した言葉が、彼の名であればいい――――。
最期の願いが少しだけ叶っていたことを知る前に暗闇が全てを覆い――――神谷薫は意識を永遠に閉じていった。



191 :試験:2005/12/03(土) 21:49:31 ID:dmC5jhyH0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


横たわった二人が完全に事切れた事を確認し、まもりは涙を拭いた。
「ごめんなさい……」
セナのためなんです。ごめんなさい。ごめんなさい。
心の中で謝りながらも、まもりは毒牙の鎖が強力な武器であったことに安心していた。
昨夜自分が殺した外人さんは、支給された毒ナイフではなかなか死ななかったから、この武器も不安には
思っていたのだけど……。
「ここでこの武器を試せて良かったのかな」
今回のことで、少なくともこの飾りに付く毒は普通の人には確実に効くことがわかった。
そのことは大きな収穫だ。
これからのことを思いめぐらしながら、まもりは二人の荷物を解き始める。
「この武器は私じゃ使えないな……」
進の武器はマグナムスチール製のメリケンサック。
薫の武器はオリハルコンの洋剣、クライスト。
どちらも力と技術を必要とする武器だ。
ただの女子高生の自分が使うには少し不便だろう。
そう思いクライストを袋の中にしまおうとしたとき、剣先が軽い抵抗にあった。
不思議に思い視線を向けると、先に少しだけ血が付いている。
「ご、ごめんなさい……!」
謝っても答えてくれるはずはないのに、謝らずにはいられない。
切れ味の鋭い剣先が掠ったのは、横たわる薫の頬。
毒牙の鎖でつけてしまった傷を横切るように血がポタポタと流れ落ちている。
薫の左頬に出来た十字傷にハンカチをあて、まもりはそっと手を合わせた。
「これ……」
再び荷物を仕分けし始めたまもりは、進のそれから不思議な物を発見した。
「首輪……?」
黒く煤焦げた忌々しい首輪。
「どうして進さんがこれを……?」
首を捻るがどうしても、その理由は浮かんでこない。
とりあえずその首輪も持ち帰ることにし、まもりは一通り居る物を自分のカプセルにつめた。

192 :試験:2005/12/03(土) 21:50:14 ID:dmC5jhyH0
「……戻らなきゃ」
公園を出てから随分と時間が経ってしまっているような気がする。
実際には数十分かもしれないけど、もう冴子が戻っているかもしれない。
置いてきたメモには気付いてくれただろうか。
「冴子さんはどうだっただろう……。合格できたかな……」
合格してくれていたらいいけど。
もし不合格だったら……。

193 :試験:2005/12/03(土) 21:51:51 ID:dmC5jhyH0
【京都と大阪の境/午前】

【姉崎まもり@アイシールド21】
 [状態]:腹部に打撲、若干の疲労
 [装備]:中期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター、
     毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器) 
 [道具]:荷物一式×2、食料二人分(それぞれ食料、水は一日分消費) 、焦げた首輪 
     魔弾銃専用の弾丸@ダイの大冒険:空の魔弾×1 ヒャダルコ×2 イオラ×1 キアリー×2 ベホイミ×2
 [思考]:1公園に戻り冴子と合流する
     2セナ以外の全員を殺害し、最後に自害

【野上冴子@CITY HUNTER】
 [状態]:人間に絶望。(難しいが説得は一応可能?)
 [装備]:魔弾銃@ダイの大冒険:弾丸はなし
 [道具]:荷物一式、食料二人分
 [思考]:1まもりへ怒り  
     2人間を全て殺す。

【志村新八@銀魂】
【状態】中度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折。
【装備】拾った棒切れ
【道具】荷物一式、 火口の荷物(半分の食料と水を消費)
【思考】1:女性(冴子)から逃げる。越前と琵琶湖で合流する。
    2:藍染の「脱出手段」に疑問を抱きながらもそれを他の参加者に伝え戦闘を止めさせる。
    3:坂田銀時、神楽、沖田総悟を探す。(放送は信じていない)







194 :試験:2005/12/03(土) 21:53:43 ID:dmC5jhyH0
【越前リョーマ@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】テニスラケット、両さんの自転車@こち亀、線路で拾った石×5
【道具】荷物一式(半日分の水を消費)、サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
    爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ
【思考】1:女性(冴子)から逃げる。新八と琵琶湖で合流する。
    2:情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
    3:仲間との合流。 竜崎桜乃の死は信じない(認めていない)
     
      *越前は竜崎が火口(彼の名は知りません)の手によって殺害された可能性があると思っています。
      *姫路駅付近にある埋葬された稲葉響子には気付きませんでした。
      *新八は大阪方面へ、越前は京都方面へ移動中。


【進清十郎@アイシールド21 死亡確認】
【神谷薫@るろうに剣心 死亡確認】

【残り99人】




195 :歯車は常に絡み合い…:2005/12/04(日) 01:50:11 ID:uii+5dov0
そこに居るのは、二人の男。そして、無数の、無数の黒い蝶。

「ふん…先客が居たのか」

 蝶々仮面の男、蝶野攻爵ことパピヨンは、不満げな呟きを漏らす。
目の前に居たのは、一人、何かに取り憑かれたかのようにうわ言を奏でる金髪の男、中川圭一のみ。
詰まらなさそうな顔で、廃人のようになった中川の顔を一瞥すると、パピヨンは中川の襟元をつかみ、引き上げ、
その身体を手刀で貫いた。

 即死ではなかったらしく、未だに血を吐きつつも空ろな、媚びたような笑いを零す中川への興味は霧散し、代わりに
先客への警戒心が這い寄るようにパピヨンの思考を侵食していく。

 (フン…先客は何故この男を殺していかなかった?わざわざ殺すことも無いということか?
  それとも、殺すことは出来なかった?殺す以上に優先する事情ができた?それとも―)

 今も何処かに潜んで、俺を殺そうと企んでいる―――?

 敵の能力は、自分の高祖父、Dr.バタフライと同じようなもの。相手の精神、脳髄に直接働きかけ、正気を砕くチカラ。
ならば、その媒介は何だ?ご先祖様と同じように、光?それとも音?匂い?射程距離は?幻覚に陥れられたとして、回復するには何が必要?
パピヨンの脳裏に様々な可能性がよぎり、流れ、検証され、消えていく。

 (戦闘になったとして…この男に、加えられて間もない物理的な損傷は見当たらない…即効性の毒の可能性は低い。よしんば、この肩の傷口に毒を
  注がれていたとして…先程の狙撃の精密さからみて、それもないか。やはり、物理的干渉力を持たない精神攻撃…。
  ならば、屋内で戦う方がいい。攻撃の媒介も少しは防げるだろうし、俺のニアデスハピネスならこの程度の障壁は苦も無く爆破できる)

 自分の武装錬金、ニアデスハピネス。有視界内でなくては起爆できない、総量がかなり削減されているなどを差し引いても
今はコレを使わざるを得ない状況だとパピヨンは認識した。まだ見ぬ存在、一輝を侮れぬ脅威だと確信したがために。

 一部の隙も無く、蝶々仮面は辺りを睥睨する。無数の蝶が羽ばたく世界を、あくまでエレガントに。その姿、死を告げる妖精のように―――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


196 :歯車は常に絡み合い…:2005/12/04(日) 01:51:55 ID:uii+5dov0

 (ナルトの小宇宙がおかしい…!)

 少年、一輝は既にその場には居なかった。ナルトに起こった異変、強大、かつ凶悪なチカラの暴走を感知し、
そちらへと既に向っていたからだ。

 先程感じた、大きな小宇宙。一つは、狙撃手の居た場所へ向って、一つはナルト達から離れるように。
そして、ナルトからは。黒い、暗い、獣のような小宇宙。噴出すように、染み出すように。暴れまわるようで、侵しつくすように。

 確かなのは、ナルトに何かが起こったということ。そして、それは緊急を要する事態であるということ。
一輝は走る。焦燥に駆られて。憤激に任せて。決意を宿して。


 それは、主催者に対する、純然たる怒り。炎のような、煌く怒り。


 不死鳥は飛ぶ。輝く翼を背負うかのように。黒い蝶を顧みることなど毛頭なく。

 不死鳥は飛ぶ。その姿、気高い天空の覇者の如く。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


197 :歯車は常に絡み合い…:2005/12/04(日) 01:52:41 ID:uii+5dov0
 ヒソカは笑う。抑えきれない喜びに。悦びに。歓びに。
あの少年も美味しそうだ。まだまだ実践不足だが、輝くような可能性を秘めている。
今はまだ駄目だ。まだ、殺してしまうわけにはいかない。このゲームで磨き上げられれば、もっと、もっと美味しく実る。
楽しみだ。楽しみだ。楽しみだ。

(やだなぁ…興奮してきちゃったよ)

 人知れず、ヒソカは昂ぶる。昂ぶりながら思うことは一つ。

「誰でもいいや。この興奮…鎮めなきゃ…」

 幽鬼のような表情。恐らく、次に遭遇した相手は、その実力に関係なく、躊躇無く殺す気だろう。
奇術師は震える。その愉悦を想像するだけで、もう快感を覚えだして。

 何の変哲も無いただの生き物が、ワン、ツー、スリーで亡骸に変わる。それはヒソカの得意な奇術。

 奇術師が駆け抜けた跡、いくつかの鴉の死骸が道を彩った。赤と、黒。そして、アスファルトの灰色。
そのコントラストは、妙に寂しく、華々しかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

198 :歯車は常に絡み合い…:2005/12/04(日) 01:53:29 ID:uii+5dov0
 ――しばらくして。


 「何をしてるんだい?」
 「………」

 パピヨンは、背後から掛けられたヒソカの声に、渋面をもって振り返る。つまりは、そういうことだ。
先客は既にこの場を離れていたのだろう。内心、やるせない思いを抱きつつも、パピヨンには今、返すべき言葉が無かった。
おもむろに、横たわる中川を持ち上げると、

 「フフフ…アハハハハハハ…ゴポ…冗談キツイですよ…せんぱ!?」

 ドサッ。

 首を引きちぎり、乱暴に投げ捨てる。中川の首は、一度鈍くバウンドすると、コロコロと転がり、壁にぶつかる。
パピヨンはそれを掴み上げると、首輪を抜き取り、ビルの窓から乱暴に投げ捨てた。アスファルトに、また、赤と灰色の花火が一輪。
 「さて、目的のものは手に入れた」
 「で、何をしてたんだい?」
 「……これから、邪魔が入りにくそうな、南九州に向かう。ついでに工具も欲しいな…」

 二人の怪人は姿を消した。奇しくも、様々なところで様々な者たちが、今、脱出のための方策を考えてはいたが。
それが実るのかは誰も知らない。知る術も無い。

 一陣の風が流れていく。

199 :歯車は常に絡み合い…:2005/12/04(日) 01:55:48 ID:uii+5dov0
【福岡県(市街地)/午前】
【パピヨン@武装錬金】
 [状態]:健康(打撲は再生しました)
 [装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
 [道具]:荷物一式(食糧二食分消費) ×2
 [思考]:1、内心、憤慨している。南九州へ移動(戻る)
     2、知り合いとの合流、ヒソカと行動

【ヒソカ@ハンターハンター】
 [状態]:健康 全身に軽い打撲、裂傷(処置済み)  中程度の疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(食糧一食分消費) ベアクロー、スナイパーライフル(残弾16発)
 [思考]:1、誰か殺したい
     2、更木、ナルト、玉藻を含む強者と戦いたい
     3、知り合いとの合流、パピヨンと行動

【一輝@聖闘士星矢】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、突然小宇宙が乱れたナルトへの救援
     2、ハーデスを倒す


【中川圭一@こち亀 死亡確認】

【残り98人】

200 :選別:2005/12/04(日) 23:33:14 ID:7nQleMO20
サガ…あんたはまた死んでしまったんだな…これで三度目だぜ。
一回目、そう、あの十二宮での戦いで正義と悪の心の葛藤の中、アテナ、沙織さんに詫びて死んだ。
二回目はハーデスにより、仮初の命を与えられ、逆賊の汚名を着ながらもアテナと地上の平和のために戦って、
俺達の腕の中で塵となって消えた。
そして今回だ。ははは、笑えるよな。・・・今度こそ、アテナの名の下に地上の愛と正義のために戦える…はずだったのにな。
例えまたハーデスに与えられた命だったとしても。この世の生きる全ての生命を邪悪なものから守護する。それが聖闘士の使命だから。
さぞ…無念だったろうな…。サガ、俺もあんたと一緒に戦いたかったよ。今度こそハーデス達主催者を倒すため、
黄金聖闘士の長のあんたと肩を並べて、金色の光を放つ聖衣を纏った、あんたの大きな背中に身を預けて共に戦える、と思ってたんだぜ・・・俺。
だけど、安心してくれ。サガ、あんたの無念は俺が晴らすよ。聖闘士としての役目をきっと果たしてみせる。
まだ見ぬ仲間を集めて、ハーデス達を倒してみせる。絶対にいるはずさ、俺たちのように正義のために戦う人たちが。
そして、皆で元の世界に帰るんだ。光溢れるあの世界へ。
そしたらさ…おれ、沙織さんにちゃんと言うよ。あんたはきっと正義のために戦ったってことを。
だから…見守っていてくれ…双子座の黄金聖闘士、ジェミニのサガよ…。

「…ここは」
星矢は目を覚ますと辺りを見回す。木造の建物に、申し訳なさそうにあるベットに自身うつ伏せになっていた机。
あとは日光で変色したタンス。ベッドには麗子が横たわっている。その美しい金髪に窓辺から日差しがそそぎ、麗子をより美しく見せる。
だが、その反面、顔はとてもげっそりしていて、疲れているのが手に取るように分かった。
星矢はそんな麗子を心配し、机から立ち上がり窓から空を見上げると、
お天道様が自分達が見た位置より遥か上にあり、よりさんさん光り輝いていた。
これは思ったより寝てしまったな…もう昼過ぎだろうか?と星矢は思うと腰のポケットから時計を持ち出し、
まだ昼前だということを確認した。

「そういえば…キルアがいないな、どうしたんだ」
星矢は部屋の周りを見渡し、キルアがいないと知ると、小屋の外に出て、今一度見渡す。しかしキルアの姿はどこにも見当たらない。
仕方ないので小屋に戻り、机の椅子に座りなおすと、その脇にデイバックが置いてあった。その数は三人分。

201 :選別:2005/12/04(日) 23:34:43 ID:7nQleMO20
「ああ…そうか、そうだったな」
星矢はそのバックを見て、おぼろながら思い出す。
藍染に逃げられ、太公望達と別れた後、星矢達は藍染を追って琵琶湖まで来たのだ。キルアはどうやら違う目的もあるみたいだったが。
その途中、あの放送が流れた。・・・その放送の中には自分達が知っている名も。
その放送を聴き、星矢は悲しみの余り、涙を流しそうになるが、なんとか涙を止める。
自分と同じようにショックを受け、顔面蒼白になっている麗子の顔が目に飛び込んできたからだ。原因は分かっている。
彼女も俺と同じ、仲間が死んだんだ。…大原部長という、長年付き合った上司を失った。

そんな顔を見ると星矢は人前で涙を流そうとした自分を恥じる。辛いのは俺だけじゃない、麗子さんもだ! と自らに言い聞かせる。
麗子は気丈にも皆に自分は平気だと訴え、先頭に立って琵琶湖へ向かったが、その足取りはまるで羽を失った鳥、鎖を掛けられたが如く重かった。
そんなこんなで琵琶湖に辿り着く。星矢とキルアはここまでの道程で敵に出会わなかったことに感謝した。
この状態で戦闘になれば間違いなく麗子の命はなかったからだ。
気丈に振舞っているが、その動作が彼女のショックの度合いを如実に物語っている。

琵琶湖に着くと、二人はそんな麗子を見かね、琵琶湖の近くにあった小屋で休もうと提案する。
麗子も二人の気持ちを汲み、素直に応じた。小屋に入り、デイバックを机の付近に置くと、キルアはある提案をした。
麗子はここで休み、星矢はここに残り彼女を守る。キルアは琵琶湖付近の森に入り、藍染や誰かいないか捜索するというものだった。
一人じゃ危ない、と星矢と麗子はキルアの身を心配するが、見張りや偵察は得意というキルアの強硬な主張に折れ、その案に従った。
そしてキルアは昼までに戻ると言い残し、外に出、森に駆け抜けていった。

残った星矢は麗子にそれまで眠るといい、と言うと麗子も素直に聞き入れ、死んだように眠りこむ。
寝て休めば、いくらか気持ちも落ち着くだろうと、星矢は思い、麗子の寝顔を見つめ、
そうこうしているうちに星矢も眠りに落ちてしまったのだ。

「まいったな…これで誰か来てたら完全に無防備だったぜ…」
こつん、と自分の頭を小突くと星矢は反省する。
これで紫龍や氷河がいればきっと嫌味をたくさん言ってくるに違いない。


202 :選別:2005/12/04(日) 23:35:25 ID:7nQleMO20
「でも…良い夢見れたな…」

夢、それはサガの夢。共に肩を並べ、迫り来る敵に二人で協力して戦う姿。
戦いが終わるとサガは振り向き、星矢にこう言った。アテナを、地上の平和を頼む、と。
その顔は悪の心に囚われ、醜く歪んだ顔ではなく、神の化身といわれ、神々しい小宇宙を放つ清らかな微笑でもなかった。
そう、普通の人なら誰でもする、照れ隠しの笑い。身近に感じさせる、親しみのある笑顔。
星矢は勿論そんなサガの顔を見たことはない。星矢が見たことがある顔といえば、悪の面と正義の面の二つだけ。
彼の普段の表情なんて見たことがなかった。生きていれば、これからも見れたかもしれな表情。
だが、それはもう叶うことはない。それゆえ、星矢は夢の中とはいえ、胸が締め付けられたのだ。

「…麗子さんも良い夢見てたらいいけど」
星矢は思い出す。彼女がベットに横たわる前にポツリとこぼした言葉を。

「もう、部長の出勤姿や、鞄をロッカーにしまう姿、私がお茶を汲んで渡したときに言ってくれる、ありがとうの言葉やあの笑顔を
 見ることはもうないのね…何年も一緒にいたのに…これからもずっと同じだと思っていたのに…」

思い出すだけで胸が痛む。彼女達は戦いとは何の縁もない世界からやってきて、彼女の上司はゴミのように命を散らした。
なんで巻き込んだ…日々を平和に生き、小さな幸せを胸に抱いて生活している人たちをこんな、血で血を洗う世界に…!!!
星矢は怒りに燃える。こんなゲームを始めたハーデス達主催者達に向けて。

こんなことが無ければ石崎さんも…麗子さんの上司も・・・死なずにすんだ。今もいつもどおりの生活を笑顔で営んでいたはずなんだ!
もう二度と戻ることは無い日常のかけら。無くなったのは一欠けら。だが、一つ欠けてしまえばその日常は消えてなくなる。
全く違うものになってしまうのだ。それが分かっているから、残された者達は悲しむのだ。

「…今度こそ必ず倒す…たとえ俺一人になっても…冥王ハーデス!!!」
星矢は改めて誓う。アテナに。サガに。逝ってしまった者たちに。必ず奴を倒し、皆を必ず助ける、と。
誓いを立てたあと、星矢は椅子に座り、もたれ掛かると
……通り過ぎていった者達の顔を浮かべ、一筋の涙を流して、泣いた。


203 :選別:2005/12/04(日) 23:36:05 ID:7nQleMO20

ギィィィィィィ

静寂が支配する小屋に、扉の軋む音が鳴り響き、何者かが侵入する。
その者の背格好は、ハーフパンツにTシャツ、そして頭髪がツンツンしており、身長は小学生ぐらい。
そう、キルアである。昼前になったので約束したとおりに戻ってきたのだ。
キルアは小屋に入り、麗子がまだショックから寝込んでいると分かると、ため息をつき、星矢のほうへ振り向く。

「おかえりキルア。それでどうだった?」
「残念ながら誰もいなかったよ。ったく、これで数時間無駄にしたよ」

キルアはそういうと表情こそ変えなかったが、明らかに肩を落としていた。
そうか、というと星矢はやつれた顔で未だ眠り続けている麗子を見つめ、今後のことを考えていた。
しかしその思考もキルアの一言で中断される。

「あのさ、俺、星矢達と別れて大阪周辺に向かおうと思う。ここに俺の友達はいなかったし、大阪も近いから今すぐにでも発つよ」

キルアの急の言葉に星矢は言葉を失う。出来たら行って欲しくは無い…が、友達をすぐにでも探したい、という彼の気持ちも分かる。
友達が今、危険な目にあっているとしたら、と想像しただけで今すぐにでも駆け出して行きたいはずだ。
星矢はキルアに視線を移すと、キルアはバツの悪そうな顔をして下を向いている。このタイミングでこの場を離れることに
彼なりに罪悪感を感じているようだ。星矢は彼のそんな顔を見て、笑顔でキルアの肩に手をおく。

「ああ、分かったよ。少しでも早く友達が見つかることを祈ってるぜ」

彼は今までここまで来てくれた。ならば今度は俺が彼のために笑顔で送ろう、そんな気持ちから出た星矢なりの気遣いだった。
その笑顔でキルアの曇った顔が少しだけ晴れる。星矢がそういうとキルアは即座に自分のバックを持ち、小屋の入り口に立つと
「星矢、死ぬなよ」
とぶっきらぼうに呟き、全速力で駆けていった。
星矢はそんなキルアの姿が見えなくなるまで、へへへ、と鼻を一指し指でさすりながら見送っていた。
「(お前も…死ぬんじゃないぞキルア)」

204 :選別:2005/12/04(日) 23:40:39 ID:7nQleMO20
「…ちょっと急過ぎたかな…悪いとは思ったけど」
キルアは全力で森を駆け抜けながら呟く。星矢は笑顔で見送ってくれたが、キルアの胸中はやはり重く沈んでいた。
星矢はこれから麗子を守りながら星矢を守る、それは大変なことだと分かっていたから。

「藍染のいう脱出方法も、俺たちには使えないと分かった今、あいつ戦うのは得策じゃない。
 …それに、俺はゴンを探さなきゃいけないんだ」
キルアの脳裏にふと重傷を負っているゴンが浮かぶ。そんなゴンの後ろから刃物を持った男が近づいてきて…。
そこまで想像が浮かんだところでキルアは頭を左右に振り、今、脳裏に浮かんだゴンの悲惨な姿を必死に振り払う。
絶対にそんなことにはさせない。早く、早くゴンの元に行かなければ。
キルアにとっての優先順位は何においても親友ゴンを守ること。そのためには何を犠牲にしても構わない。

「だけどあのネーちゃん、まだ寝てんのか?」
キルアは彼女らがいるであろう方向を冷ややかに見つめる。
この殺し合いという状況下の中、甘えは許されない。身近な者を失ったとしてもだ。
例えショックを受けたとしても、迅速に立ち直らなければならない、
星矢も未だにショックを引き摺っているが、戦闘は可能だし思考もはっきりしていて問題ない。
片や麗子はどうだ。立ち直るどころか、未だに寝込んでいる。立ち直るにはまだ時間がかかりそうである。

「(あれはもう…いらない)」
暗殺者としての性か、非情かつ合理的な判断が下る。麗子は足手まといだと。
あの状況下で戦闘になった場合、死ぬのは麗子でない。星矢である。
星矢とは少しの間しか行動を共にしなかったが、彼の性格はある程度把握はしている。
彼はゴンと同じだ。直情型で視野が狭く、これと決めたものは頑として貫き通す男だ。
そんな男は必ず自分より弱い、いや、どんな人間であれ守ろうとするだろう。
星矢はとてつもなく強い。だが、動きの取れない者を守りながら勝利を収めるのは到底不可能だろう。
結果、待っているのは星矢の死である。

「(どちらの命を取るしたら…決まっている、星矢だ)」
星矢は脱出の際に起こる主催者との戦闘にて必ず主戦力になる。それになにより主催の一人、
ハーデスと名乗る者と戦った経験と情報を持っているのだ。無くしてはならない存在。
それに引き換え、麗子は一般人で特殊な能力や卓越した技術、膨大な知識も持ち合わせていない。
銃の腕前は大したものだが、弾丸に限りがあるこの状況では、それが無くなれば最早足手まといでしかない。

205 :選別:2005/12/04(日) 23:41:05 ID:7nQleMO20
「(…もし、星矢がゴンだったなら)」
キルアの脳裏にある光景が浮かぶ。あそこにいたのがゴンであるならば…
何者かが侵入し、麗子の命を奪おうとする、しかしそれをゴンが阻み麗子を守るが…力及ばず血に染まり倒れるゴンの姿が。

キルアは今まで出会った数人を思い出す。
星矢は言うに及ばず必要だ。太公望のあの知能はブレーンとして対主催には必要不可欠。。
富樫のおっさんも特出した能力を持ち合わせていないが、その体力と戦闘経験があるので足手まといにはならない。
…どう考えても麗子だけは……いらない。

キルアは立ち止まる。その両手に力を込め、暗殺者としての冷徹な表情、冷酷な目をし
自分が走ってきた方向を見つめる。獲物を見つめるが如く。
「(…今のうちに…殺るか?)」
今、彼らが戦闘になれば、上で述べたとおり星矢の命はないだろう。
仮に、戦闘にならず今は無事であっても、いつかは麗子が持つ銃の弾は尽き、足手まといになるときが必ず来る。
そのとき、誰か死ぬ。戦力外の者を守るため。それは星矢や主戦力となる者達だ。…そしてゴンも。
ならば今のうちにその可能性を排除しなくては…。より、脱出の際の危険性を低下させるために。



206 :選別:2005/12/04(日) 23:41:51 ID:7nQleMO20

「…ってなにマジになってんだ俺。暗殺稼業は廃業したってのに。
 こんなこと考えてる暇があるんならさっさとゴンを探すか…」
それを実行した場合のことを考えるキルア。もし選別を実行し、あわよくば誰にも見つからず数人を葬ることに成功したとしよう。
殺害した人の持ち物、支給品は勿論回収する。脱出の際に起こるであろう決戦に備えて有益な人物に渡すためだ。
だが、頭の回る奴ならすぐに気付くだろう。一人の人間だ大量の支給品を持っていることの意味を。
そのとき、どんな弁明をしても無駄だ。選別の理由を述べたとしても正義感の強い奴ならなおさら怒り狂うだろう。
勿論ゴンもだ。そうなれば全ておしまいだ。俺はゲームに乗ったものとして始末されるのは目に見えている。
それならまだいい。もし、ゴンが俺を庇いでもすれば本末転倒もいいところだ。
ゴンもゲームに乗ったものとして俺と同じく始末されるだろう。始末されないにしろ俺達は追放、二人で行動する羽目になり
脱出の可能性は限りなく低くなる。それでは駄目だ。

キルアはまた全速力で駆け出す。先程脳裏に浮かんだゴンが死ぬという惨劇、そして自身が思い描いた、
脱出のための『選別』の計画から逃げ出すかのように。
だが、いくら走ってもその悪夢は消えない。今、キルアは全速力で駆けているのはゴンを守るため。
ゴン一刻も早く見つけ、必ず守り通す。そのためにはなんでもする。
そしてこの『選別』もゴンを守るために必要なこと。キルアにはそのことが分かっていたから。


207 :選別:2005/12/04(日) 23:42:53 ID:7nQleMO20
【滋賀県琵琶湖西の小屋@昼】

【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物一式 (食料1/8消費)
【思考】1 麗子が目を覚ますのを待つ。
    2 藍染を倒す
3 麗子を守り主催者を倒す

【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】ショックで寝込んでいる
【装備】サブマシンガン
【道具】荷物一式 (食料1/8消費)
【思考】睡眠中

【滋賀―奈良の県境@昼】

【キルア@HUNTER×HUNTER】
【状態】少々のダメージ。戦闘に支障無し。
【装備】なし
【道具】爆砕符×3@NARUTO、荷物一式 (食料1/8消費)
【思考】1 ゴンを探す。
2 隠密行動を取り、大阪周辺を探索
3 『選別』について悩んでいる

208 :Statue of Fairy(修正):2005/12/05(月) 23:54:00 ID:wax5Dx8S0
「さてダイよ、そろそろ動くとしようか」
今まで読んでいたアバンの書を綴じて公主が声をかけた。
「さっきまで辛そうだったけど、公主さんは休憩はもういいの?」
傍で休んでいたダイが心配そうに声をかけてくる。
「だからダイ、君一人でダムとやらを先に見てきてくれないかい?」
公主は咳をしながら続ける。
「ほら、みんなが戻ってきた時に誰かがいないと駄目であろう。それには動けない私の方が適任だ」
であろう?と子供を諭す様にダイを納得させようとするが、ダイが渋ってなかなか聞いてくれない。
まぁその渋るのが自分の身を案じてなのだろうと思うと渋るダイも愛おしく見えてくるので突き放すことも出来ないでいた。
「なに、大丈夫じゃよ。私とて死にたくはない、この辺に隠れて待っているよ」
「でも、見つかってしまったら……」
「では、ぱっと見てきて直ぐ帰ってきてくれ。そうすれば私も安心だ」
笑顔で公主が諭すと、ようやくダイも渋々納得してくれた。
「じゃぁ隠れて一寸待っててね。絶対だよ」
「あぁ解った解った」
其れだけ言葉を交わすと一目散に山の方向へとダイは翔て行った。
「――とても純粋な子じゃ。私もあの様な弟子が欲しかったな……」
離れていくダイの背中を見送り、公主は其れだけぽつりと呟いた。

209 :Statue of Fairy:2005/12/05(月) 23:54:34 ID:wax5Dx8S0
「ったく、彼奴の考えていることはよぅわからん。病弱の私に任せて何をするつもりなんだか……」
勿論彼奴とは脱出計画に手を貸してくれる人を捜しに行った太公望其の人である。
彼奴のことだ離れた理由は其れだけであるまい。
あの魔王達がどうやって監視しているか解らない状況で、行動目的を迂闊に口にする輩でもないのは仲間として公主は理解しているつもりだ。
何をしたいのか。
何を探しに行ったのか。
太公望の考えている内容がとんと見当が付かなくても、他に理由がある事だけは理解できた。
「はぁ……彼奴と一緒にいると頭が疲れてたまらん」
私達の役割は四国を拠点として、ダムと言う基地の確保と言っていた。
恐らくそれも口から出任せなのであろう。

210 :Statue of Fairy:2005/12/05(月) 23:55:16 ID:wax5Dx8S0
四国が安全?
それはとんでも無い誤認だ。
地図を見る限り本島に渡る橋は3つしかない。
つまり1つも破壊されないことを条件にしても下手に二ヶ所禁止区域に指定されるだけで袋の鼠になることは確かだ。
残り1つになれば後は残った橋を破壊され島に閉じこめられたり、橋の上で待ち伏せされたりと危険度がぐんと跳ね上がる。
かといって橋が3つ残っていても危険な事には変わりない。
ダムに行けば全てが見渡せると言っていたが其れも全くの出鱈目だ。
巨大な島全体を見渡せるような巨大な建物なんてこの島の何処にもありはしない。
此処から遠目に見えるダム。
あれもよくよく考えれば解ると思うが、構造上後ろが非常に手薄なのである。
つまりは1つのダムで場所が離れている3つの橋を監視する事なんて不可能なのだ。
2つか3つダムを拠点にすれば解決するとは思うが、其れこそ意見のやり取りが上手く出来ない上に人手も全く足りやしない。
時間が経てば解決する問題かと思いきや、時間が経つほど先程の禁止区域の問題が大きくなってくる。
こんな島では拠点としてどう考えても不完全すぎた。
まぁ其れも此も全て太公望が残したヒントが切っ掛けで解ったのであるが。
「――だが太公望よ、お主オヤジ化が進んでおるぞ……」
太公望が指し示した拠点はダム。
逆から読めばムダ――つまりは無駄である。
身体をろくに動かせない自分に動かなくても良い適当な理由として用意したのかも知れない。
安直なギャグもとい暗号であったがその単語を含めて会話を成立させたのは流石太公望であったという事なのであろう。
公主は頭を抱えて太公望の行く末を苦悶しながら複雑な気持ちになった。


211 :Statue of Fairy(修正):2005/12/05(月) 23:55:52 ID:wax5Dx8S0
「――ウッ」
公主が不意に咳き込み始め、紅い色で着ている物を汚した。
ダイや太公望の前ではあれでもまだ強がっていたがそろそろきつくなってきた。
「仏壇屋に行くのなら香ではなく墓の用意でも頼むべきだったか」
もう誰も周りにいないのだがついつい強がってしまう。
香が幾らあろうとも所詮は気休め程度にしかならないのは自分が一番良く解っている。
吐血する迄急激に症状が悪化したのだ、後どの位身体がもつのか解ったものではない。
「ダイが人を疑うような子じゃなくて本当によかった」
敢えて太公望が無駄と言っていた場所に向かわせたのは苦しんでいる自分の姿を見せたくなかったからだ。
もしもダイが太公望の様に育っていたらと考えて慌ててその想像を打ち消した。
にょほにょほ言うだけでやる気のなさそうな奴が周りに2人もいられてはたまったモノではない。
「さ、急ぐとするか……残された時間は……ゴホッ」
残された時間。
それはダイが戻ってくるまでの時間でもあり、自分の身体が命令を聞かなくなるまでの時間でもある。
吐血して貧血気味の身体を引きずり、近くの木にもたれ掛かった。
決して無駄死にをしたい訳ではない。
皆が自分の為に行動してくれているのは痛いほど良く解る。
だからこそ自分にしか出来ない事を身体が動く内にやっておきたいのだ。
太公望が何らかの思惑で動き、ダイが少しの間離れてくれている今以外一人きりになれる時なんてもう恐らくないであろう。
香があっても結局は足手まといになり、苦しみながら死ぬことになる。
仲間に――特にまだ幼く無邪気なダイにはそんな姿を見せて死にたくはなかった。
宝貝『青雲剣』を取り出し、一降りして穿った穴に柄を垂直に埋める。
震える手で此処に再び集まってくる仲間に置き書きを少し離れた場所に残し、公主は木にもたれながら立ち上がった。

212 :Statue of Fairy(修正):2005/12/05(月) 23:56:30 ID:wax5Dx8S0
手に構えるはアバンの書。
太公望が残していった異世界の魔法が示されているアイテムだ。
だがどうやら其れはダイの師が書き示した書らしく、太公望が去ってから休憩の間ダイから其の師について色々な話を聞けた。
あのバーンの手下、魔軍司令ハドラーと死闘を繰り広げダイ達にアストロンをかけ自らは命を捨てメガンテという自爆呪文を唱えたこと。
死んだと思っていた師アバンだが、最後の闘いに再び姿を現しハドラーの最後を共に看取った事。
目を輝かせながら自分の師についてダイは誇らしげに語っていた。
「――ダイは良い師を持ったものじゃ。その様な師を持ったからこそ今のダイがおるのじゃろうな」
公主は其れだけ呟くと、アバンの書の開いた1ページを見た。
そのページに書いてあった魔法こそが先程ダイが語ったアストロンである。
書曰く、魔法の全てを無効化しどんな攻撃にも耐えうる鋼鉄の塊のように硬化してしまう呪文と。

213 :Statue of Fairy(修正):2005/12/06(火) 00:00:23 ID:wax5Dx8S0
つまりはアストロンで硬化している内に首輪を破壊してしまおうという事だ。
勿論首輪の効力がどんな物かは公主には解らなかった。
だが魔法、攻撃共に無効化し、ダイのお墨付きの魔法とあらば試してみる価値は出てくる。
一度呪文が成功するのか試してからやってみたかったのだが、それをやるだけの体力も時間ももうないであろう。
こうなってはダイと見た事はないがダイの師を信じて試してみるしかないであろう。
自分自身弟子を持っていた身としてダイに彼処まで信用されている師がどれだけ信用に足る人物であるかは容易に想像が付く。
所詮自分はもう長くもない身なのだ。
この実験を試すのには自分をおいて他にいなかった。
勿論失敗しても、死にさえしなければ利点はある。
鋼鉄の塊のように硬化してしまえば息をせずに済むのだ。
つまりアストロンを唱えられる限り移動は出来ないが生き延びることは出来る。
自分は其れまでになるが、後は太公望とダイにあの魔王バーン達を倒してきて貰うか、霧露乾坤網に変わるアイテムを探してきて貰えば良い。
放って置かれても、禁止区域になるか海に投げ捨てられるかしない限り死にはしないだろうし足手まといにならずに済む。
「――斎藤、沖田……そなた等の態度に隠された熱い思い。本人を前に面としては言えなかったが私は気が付いておったぞ」
最後にアストロンの説明と理屈をしっかりと確認する。
「――ターちゃん、富樫……そなた等の優しさには唯々感謝するしかない。香を無駄にして悪かったな」
全ての確認を終え、もたれていた木の幹から背を離し公主は前傾姿勢になる。
「――ダイよ。そなたの強さの源――優しさを忘れるでないぞ」
硬化し重力に従って倒れたとき、首輪に青雲剣が当たるように位置を微調整する。
「――太公望よ。私が残した答えを使って上手く脱出を成功させてくれ」
公主は言いたかった事を全て吐き出すと静かに目を閉じた。
いや、まだ最後に言いたかった事が残っていた。
「出来れば皆また合おう」
そして静かに呟いた――アストロンと。

214 :Statue of Fairy(修正):2005/12/06(火) 00:00:36 ID:wax5Dx8S0
「公主さ〜ん!ちょっと遠いけどいい場所見つけたよ!!」
ダイは山を駆け下りつつその嬉しさに叫んでいた。
此で公主の症状がマシになるかもしれない。
駄目元で良い。
行動しないよりは、行動して駄目な方が次の可能性をまた探しに行くことが出来るのだから。
見えていたダムまで進むとそこら一帯の観光場所を掲載している案内板があった。
その地図に載っていた場所こそが四万十川。
奇しくも日本最後の清流と呼ばれた川である。
多少遠い上に、橋を見ることが出来ない死角にその川とダムは存在した。
だがダイの中では橋の問題なんて苦しんでいる公主から比べれば2の次、3の次だった。
苦しんでいる誰かを犠牲にしてまで他の全員を救うなんて器用な事が出来るダイではない。
まずは目の前の苦しんでいる者を助け、それから困難でもまた次に苦しんでいる者を見つけたら其れも助けてしまう。
小さな勇者と呼ばれたダイはそんな人間であった。

215 :Statue of Fairy(修正):2005/12/06(火) 00:02:02 ID:b9Rp05bX0
もうすぐ全員の頭の中に2回目の放送が鳴り響く。
だが其れより一足早めに島に小さな破裂音が広まった。
距離がある事もあって叫びながら駆け下りているダイにはその音は届かなかった。
だがもう暫くでその事実を目の当たりにする事になるだろう。
公主が太公望に言っていた言葉『有りもしない能力が付加されている』。
アイテムの効果は全て主催者の都合の良いように変わっているという事を。
しかし公主はそれを確かめることなく散っていった。
呪文が上手く出来なかったのか。
それとも首輪がその呪文を阻害して無効にしたのだろうか?
結局その場には何かが焦げた臭いと、元生物であった物の散らばった破片しか残っていなかった。
それが極度の潔癖症であった竜吉公主であったという面影は全くない。
しかし爆風で飛ばされながらも無事であった公主の書き残したメモが誰だったかを教えてくれていた。
果たして公主が取った行動は無意味なそれだったのか?
それはまだ誰にも解らない。

216 :Statue of Fairy(修正):2005/12/06(火) 00:02:35 ID:b9Rp05bX0
【竜吉公主@封神演義 死亡確認 】
【残り101人】

【香川県、ダムの近く/昼@放送直前】

【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]健康、MP微消費
[装備]出刃包丁
[道具]:荷物一式(水残り半分) トランシーバー
:公主の荷物一式
:ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
[思考]1:四万十川の存在を公主に伝える
2:ターちゃんに脱出の可能性があることを伝える
3:公主を守る
4:ポップ・マァムを探す

【青雲剣とアバンの書は爆発に巻き込まれ破壊、公主が最後に書き残したメモは離れた場所に安置】

※公主の太公望についての考察と公主の残したメモの内容は次の書き手にお任せします

217 :作者の都合により名無しです:2005/12/07(水) 00:21:26 ID:HuKpmu+j0
>>164-172 >>208-216 は無効です。

218 :月は隠れて、消えはせず:2005/12/07(水) 00:30:37 ID:OYlINGbe0

(さて、ミサは何処に居る…?)
 青年、夜神月は一人、民家の中は勝手口で考える。これからの方策、そしてこれまでで分かった課題のことを。
視界に広がるは彼方の未来。脳裏を巡るは之までの過去。行く手は一つ、生き残り、そして、Lを消し去ること。

(まず、さしあたってどうするか。…さっきの怪人の実力から考えて、僕一人で生き残ることは難しい…な。ならば、また、
 新しい仲間を募るべき。どうやって?未だ、誰とも出会っていない、無害な参加者を装うか?…無理だな)

 自分は現在、三人分の食糧を持っている。この事実がある限り、太平楽とした演技は出来ない。何故なら、その食糧には
支給された持ち主があった筈のものだから。だからといって、いまさら食糧を放棄するのは下策。この状況では食糧の多寡はそのまま命運を分ける。
交渉道具としても、非常に有用だ。話が通じる相手なら、条件次第で仲間に引き込むことも出来るだろうし、無力な者に分け与えることで、自分が
ゲームに乗ったものではないと証明することも出来る。

 問題は、何処でこの食糧を手に入れたのか説明すること。自分が五体満足、つまり戦闘に巻き込まれていないと一目で分かる状態なだけに
これを解決するのは少々骨が折れそうだ。しばらく月は沈思黙考し…

(まずは、一度、持ち物の確認をしてみるか)

 おもむろに自分の荷物をその場に広げ始めた。勿論、警戒は怠らないままに。



219 :月は隠れて、消えはせず:2005/12/07(水) 00:31:10 ID:OYlINGbe0

─真空の斧
 (これは使えないな。一般人相手ならともかく、さっきの奴みたいなのが相手じゃ、無手とそうは変わらない。重火器相手も荷が重いだろう。
  自分の運動神経は、あくまで人間レベルということが、先程の出来事でよく分かった。あれは唯一の収穫だったな。 
  威嚇には使えるかもしれないが、そもそもその程度の威嚇で怯むような相手を恐れる必要も無い。風が起こせるのは面白いが…まぁ、
  仲間が加わるまでは保留だな)

─共通支給品一式
 (今の禁止エリアは…宮崎と北海道か。…まだ、ここまでは影響が無いと考えてもいいか。まぁ、こんなところか。)

─食糧15食分強
 (さて、問題はこいつだ。デメリット以上にメリットが大きい、が、デメリットは無視できる大きさじゃあない。隠していた場合…それが
  露見すると、一気に信頼を失う可能性がある。ダメだな。───て、あれは───
 
 そこで月が見つけたもの。それは、一見すると小さな布切れ。月はそれを右手に取ると───
───激情とともに、握りつぶした。

220 :月は隠れて、消えはせず:2005/12/07(水) 00:31:39 ID:OYlINGbe0

(これは、さっきの子供の下着か!そういえば、川を渡ったときに濡れたやつをしまっていたな…!)
(あのガキ…!あんなところで暴走するなんて…!!)

 月の激情、それは憤怒。自分の計画を台無しにした存在への怒り。思わず、右手に更なる力が篭もる。

(くそっ!やられた!…まぁ、危険分子が早めに消えてくれただけでもよしとしたいところだが)

 右手に更なる力が篭もる。

(あの雪女のほうには、まだ使い道があったのに!)

 右手に更なる力が篭もる。月にとって幸いだったのは、その光景を誰も見ていなかったことだろうか。

(仲間だ!忠実な仲間が要る!自分のいうことに絶対服従の仲間が!あの餓鬼みたいに暴走しない仲間が!!)

 その表情は狂気に駆られているかのようで。熱病に浮かされているかのようで。恍惚にゆがんでいるかのように。

221 :月は隠れて、消えはせず:2005/12/07(水) 00:32:16 ID:OYlINGbe0

(まずはミサだ。気候から考えて、あのバカが北国に留まっているとは思えない。とりあえず、南下だな…)

 食糧に関しては、正直に告白するのが最善策だろう。殺人者に襲われ、なす術も無く、同行者が殺されたこと。
自分は殺人者の眼中に入っていなかったため、九死に一生を拾ったということ。そして…これは事実ではないが…自分はそれを
後悔しているということ。自分のプライドは傷つく…が、上手くことが運べば、誠実という評価を得ることが出来る。
これは、後々、使える材料となってくれるだろう。
 
 夜神月は考える。これからの方策、そしてこれまでで分かった課題のことを。
視界に広がるは彼方の未来。脳裏を巡るは之までの過去。行く手は一つ、揺るぎもしない。

生き残り、そして、Lを消し去ること。

─────二回目の放送が、そろそろ始まる…



222 :月は隠れて、消えはせず:2005/12/07(水) 00:33:58 ID:OYlINGbe0

【山形県/昼】

【夜神 月(ライト)@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]真空の斧@ダイの大冒険
[道具]荷物三式 (三食分を消費)
[思考]1、弥海砂の探索 。南下。
   2、使えそうな人物との接触
   3、竜崎(L)を始末し、ゲームから生き残る


223 :生きていた中絶児:2005/12/07(水) 18:56:42 ID:FyV6Ej4X0
「な、なぜ奴の名前がないんだ・・・」
その放送を聴いて、伊達臣人は唖然とした。
「奴は死んだはずだ、
 中絶児ディオ・ブランドーは、オレがこの手で殺したはずなんだ」

224 :作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 14:57:12 ID:VwkK1qgoO
ほっしゅ☆

225 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 10:48:15 ID:HaKok0to0
ほす

226 :オオクワ専門:2005/12/13(火) 15:20:40 ID:ldJYWnx40
317 :オオクワ専門 :2005/12/12(月) 10:11:38 ID:???
セル「そこまでだバトルロワイヤルは終了だ」
バトルロワイヤルが終了した。
セル「ミストバーン、大魔王バーン俺の部下にならんか」
大魔王バーンと魔影参謀ミストバーンはセルの部下になった。
セルは右手お上げてエネルギー弾撃った、ドラゴンボールが飛び散るように
なんと!!!!!セルの住んでいる都にしろが三つできた三角形都の周り
三角形の中心に都
セル「結界がはってある、三人の大魔王がいる、大魔王バーン、ダースベイダー、
エスタークだ、三人の大魔王倒さなければ結界なくならない、私の住んでいる
都には近づけない、ではがんばってくれ」
セルとミストバーンは都に瞬間移動した、大魔王バーンはしろに向かった。


227 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 19:33:43 ID:tJa2EdEH0
>>226
wwwwwwwwww途中で口調がブウになってるよwwwwwwwwwww

228 :モルモット ◆GzTOgasiCM :2005/12/13(火) 23:04:14 ID:+TS108BF0
お、おまえは・・・私の一番大切なものをこわしやがった・・・だから許しちゃ・・・おけねえ!!!
飛翔龍尾脚 烈火太陽脚 回転龍尾脚 百戦百勝脚 心突錐揉脚

「…ふむ、なんとか逃げ遂せたみたいだな」
太陽が頭上に光輝く中、日光さえ遮り、暗く、不気味な雰囲気が漂う森の中、男が一人呟く。
男は己の傷ついた体を少しでも回復させようと努めているようだ。
その者の名は藍染惣右介。趙公明と対峙していたが、自身のダメージにより退却を余儀なくされ、ここまで逃亡してきたのである。

「ホイミを使えば多少、早く回復することが出来るが、あまり多用すると鬼道が使えなくなる可能性がある。
 …急を要するとき以外は使わないほうが良いな」
異世界の呪文は死神達が使用する鬼道より力を消費する。恐らく全く違う呪文体系ゆえだろう。
ここでホイミを多用すれば、いざというときに鬼道を思うように使えないかもしれない。そう判断した結果だった。

「…しかし、先刻の、趙公明といったか…実に興味深い」
妖怪仙人。人間の姿をしているが全く異質なるの存在。我々死神や、虚とも全く違う。
そして、その趙公明は言った。長い年月を経て人間の姿に変化した、と。
つまり奴の正体は動物や植物といったものに違いない。人間界によくある昔話に出てくる化け狸や化け狐、それらと同じだ。
よくある昔話と同じ存在…だが、決して馬鹿に出来た物ではない。

「私が今腰がけているこの木や、ここに転がっている小石、私に踏まれている雑草、
 これら全てがあの趙公明という者と同じ存在になる可能性を秘めているわけだ…思いもしなかったよ」
長い年月…それはどれぐらいだろうか?10年?100年?もしかしたら1000年以上かもしれない。
しかし、死神である私にはたっぷり時間はある…大虚どもと同じく、良い駒になるだろう。

「一度、ゆっくりその過程を聞きたいものだ。…妖怪仙人になるまでのね」
藍染は冷笑を浮かべる。その瞳は現実を見つめていない。彼の目に見えるのは天に立つ自身の姿。
いかなる存在もその足元にひれ伏し、全て藍染の意のままに運ぶ。
藍染にとって、全ての存在が彼の道具に過ぎない。全ての敵を駆逐し、天に立つための。

229 :モルモット ◆GzTOgasiCM :2005/12/13(火) 23:04:42 ID:+TS108BF0
「さて…このダメージだとしばらく琵琶湖に向かうわけにはいかんな。出来る限り回復してから…となると夜ぐらいか。
 …あの二人が情報をばらまき、広がるのを待つには丁度良い」

あの二人とは勿論以前接触した越前と新八のことである。あの二人は今、琵琶湖に向かいながら
脱出という名の餌をばらまいているはず。この閉ざされた世界でこれ以上の餌はないだろう。
だが、あの越前という少年は明らかに不審に思っていたようだ。無理もない、いきなり支給品を奪っておいて
脱出できるといってもそう簡単には信用できないだろう。
しかし、だからとってこの餌に食いつかない訳が無い。自身が脱出手段を持ち合わせていない時点で他人にすがるしかないのだ。
たとえ、毒入りの餌だとしても、彼らにはそれを飲み込む以外、とる道はない。

「さて、これからの手順を確認するか」
無論、琵琶湖で行うであろう計画の手順である。藍染はデイバックからメモ帳とペンを取り出すと
これからの予定を箇条書きで書き記していく。

「まず、最初に行うのは各自の能力と支給品、各々が得た情報の交換だな。 
 …勿論私は一切なにも与えるつもりは無いが」
藍染は邪悪な笑みを浮かべ、ククク、と一人笑う。全てを嘲笑うかのように。

「次に、キメラの翼を所持しているもの、ルーラを使用できるものを探す」
キメラの翼、今藍染が一番求めているアイテム。自分が望んだ場所にいけるという魅力的な道具。
勿論、一度行った場所にしかいけないのだが、藍染は文書のみの知識であるため、そのことを知らない。

「出来ればキメラの翼がベストなのだが…見つからなかった場合のことを考えるとルーラも必要だ」
ルーラ、これもキメラの翼と同様の効果を持つ異世界の呪文。
藍染がルーラを使えるものを探し求めるには理由がある。それは先程も述べた、キメラの翼が無かった場合のためだ。

このゲームには各自様々なアイテムが支給されている。だが、果たしてそう都合よくキメラの翼が支給されているだろうか?
いくら100人以上参加しているこのゲームでも、支給されている確立はかなり低い。
このキメラの翼が存在している世界のアイテムだけが支給されているならまだ可能性はあるが
現にこの雪走りや盤古幡、ウェイバー、斬魄刀が私の手にある。つまり違う世界のアイテムも支給されているのだ。
……キメラの翼が支給されている確立はもう絶望的といっていい。

230 :モルモット ◆GzTOgasiCM :2005/12/13(火) 23:05:20 ID:+TS108BF0
だが、無いかもしれないからといって、あの世界、そう、あのアバンの書に記されていた世界を諦めることは出来ない。
ならばどうする? …残された手は一つ、このルーラという呪文を使える人物を探す、これしかない。

出来れば他人の協力が必要なルーラを使いたくは無い。その使い手は必ずしも脱出を目指している人物とは限らないし
なにより私に敵対して一切協力を拒むかもしれないからだ。そんな人物に協力を仰ぐことになれば
…素性を偽って騙すか、完膚なきまでに叩きのめし従わせるしかないだろう。
非常に手間のかかる作業だ。出来ればやりたくない。しかし、現状ではこれに代わる案もない。

藍染がルーラを取得できれば何も問題ないのだが、それは無理だった。
僧侶属性である藍染にはルーラを覚えることはできなかったのだ。そのためキメラの翼を求めていた。
しかし、太公望達から逃亡し、彼らの名前を確認するために参加者リストを眺めていてあることに気付く。
リストに記されている藍染が知る名は3名。更木剣八、朽木ルキア、黒崎一護。
そして太公望達も仲間を探していたことから彼らが知る者も複数いることになる。

…あのアバンの書の世界の者が複数参加しているかもしれない。そしてルーラの使い手も。
確率は低いかもしれないが、キメラの翼が支給されている確率よりは高いはずだ。
きっと見つけ出す。キメラの翼、ルーラの使い手、この二つのうちどちらかを。

「…そして一番重要なのが…実験だ。脱出のな」
いくら藍染にとってこの世界が小さな柵に囲まれたものだとしても、柵の前に落とし穴でもあればより難易度は増す。
確証のないまま大虚ども呼び寄せ、反膜を使って脱出しようとして失敗し、結果死亡では話にならない。
藍染は自分の力に確信たるものを持っている。しかしそれは決して自惚れではない。
何に対しても綿密な計画を立て、100パーセントを目指す。それこそ藍染の自信の源泉。

「今のところ…モルモットに適しているのは…あの二人だな」
藍染がターゲットに定めたのは越前と新八、この二人のどちらか。
この二人をモルモットに選んだ理由、それはごく簡単な理由である。
二人が何も能力を持たず、脆弱な人間であるためである。

231 :モルモット ◆GzTOgasiCM :2005/12/13(火) 23:06:07 ID:+TS108BF0
もし、実力者や能力者を選定した場合、大虚の反膜に包まれ脱出に成功した場合は何も問題はない。
だがもしも主催者たちに妨害され、私一人の力では脱出は不可能だったとき、そのときが問題でなのだ。
上で述べた者達の場合、私の力だけでは無理だったとき、彼らなりに力を駆使し脱出に成功してしまうかもしれない。
私の力を踏み台にして。それだけは許されない。脱出に成功しうる力を持つのは私だけでないとならないのだ。
…全ての支給品、能力を奪取し、用済みとなった世界から脱出するために。
この実力者や能力者も私の獲物なのだ。力を奪った後、戦闘になり殺害するかもしれない人物の協力を前提に
脱出手段を講じることは出来ない。そのため、一人で脱出できることが大前提なのだ。

「その点、あの二人なら何も問題はない」
越前か新八なら脱出に失敗した場合、何も出来ず立ち尽くすか、主催者どもに首輪を爆破され死ぬだけだ。
その失敗は必ず無駄にはならない。新たな情報として生き、次の脱出の機会に役立つはず。
反膜が現れて失敗、反膜すら現れず失敗、反膜に包まれた瞬間爆破、どの場合でも貴重な情報になる。
モルモットならたくさんいる。あせらず何回も続け積み重ねていけば良い。
簡単な話だ…どんな邪魔が入ろうとも、妨害があろうとも私にとっては小さな柵に変わりない。
あの主催者達もだ。彼らがどんなに強大だろうと私には関係ない。
今のうちに上から見下ろして眺めておくが良い。私を箱に入れたモルモットのように見つめておくが良い。
直に分かる。お前達こそ私のモルモットだということが。

「さて、実験するのはいいが、集まった人間達はどうするか」
正直に言えば今回の計画の目的は実験を行うことにあるので人が集まらなくてもいいのだ。
あの二人さえいれば。しかし、二人に遭遇した時点では体力を酷く消耗しており、すぐに実験を行って
不慮の事態が発生したときに迅速に対処できない可能性があった。それゆえ時間稼ぎとして二人に人を集めるように仕向けたのだ。
勿論情報やアイテムを集める目的もあるのだが。

232 :モルモット ◆GzTOgasiCM :2005/12/13(火) 23:09:58 ID:+TS108BF0
「フ、そう悩む必要もないな。私の斬魄刀を使用すればあらゆる事態に対処できる」
藍染は眼を閉じ、大人数が集まった場合のことを想定し、思考を重ねる。
大人数で魅力的な能力や支給品、ルーラの使い手やキメラの翼を持つ者がいなければわざわざ斬魄刀を使う必要は無い。
成功すればそれでいいし、失敗すれば深い絶望に囚われ、殺し合いが始まるかもしれない。
その間に逃亡し、次の機会を待てば良い。
魅惑的な能力や支給品やルーラ、キメラの翼を持つ者がいる場合は適当な幻影を見せて実験を見せなければ良い。
失敗し、モルモットが死亡した場合も何者かがモルモットを殺害する幻影を見せれば良い。
勿論これら以外の事態も考えられる。しかし私なら難なく乗り越えることが出来るだろう。
簡単な話だ。何も問題はない。

「私一人でも問題なく計画を遂行できるが、協力者がいればもっと楽に出来るかもしれんな。
 …最も、私の眼鏡に適う人物なんてそうそういないが」
藍染が自嘲気味に薄気味悪く笑う。自分以外の生命を冷徹に見下した笑い。
だが、その邪悪な笑顔も急に止む。藍染の脳裏にある人物が浮かんだからだ。

瀬戸大橋付近で出会ったあの長髪の男、大蛇丸である。あのときはお互い深刻なダメージを負っていて
事なきを得たが、もしあのとき戦いになっていたとすればただではすまなかっただろう。たとえ傷を負っていなかったとしてもだ。
それにあの男を一目見た瞬間、あるオーラを感じた。それは自分と同じ全ての頂点に立とうするもの。
そのためには他人の生命さえもおもちゃのように扱い、ゴミのように捨てることが出来る、そんな自分と同じオーラを発していた。
奴ぐらいの者なら安心して協力を頼める…とはいっても、完全に信用はしないが。大蛇丸さえ私のモルモットに過ぎないのだから。
…まぁ計画を実行する前に奴に会えたなら考えてもいいかもしれんな…。

藍染はまた邪悪な笑みを浮かべ、いままで書き記してきたメモを破るとくしゃくしゃに握り潰し、ボッと一瞬で燃やし尽くす。
その炎はまるで藍染の野心の如く真っ赤に燃え上がり、メモを灰すら残さず燃やし尽くした。
彼の野心は今は静かに火を灯している。しかし、いつ何時この炎のように燃え上がってもおかしくないだろう。
これだけ彼の野心を刺激する逸材が転がっているのだ。彼の野心に火がついたとき、その火を止められるものは少ない。

彼の野心は正に灼熱のマグマ。暴走したマグマは行く先々のものを飲み込み、通り過ぎた後には無残な焼け爛れた大地が残るのみ。
そして彼の野心が最高潮に達するとき、恐らく灰すら残らない。あのメモを燃やし尽くしたように。
…メモに当たるものが参加者達であることは言うまでもない。

233 :モルモット ◆GzTOgasiCM :2005/12/13(火) 23:10:22 ID:+TS108BF0
【京都―兵庫の県境/1日目・昼】

【藍染惣右介@ブリーチ】
状態:わき腹に軽い負傷・骨一本にひび・中度の疲労(戦闘に軽い支障あり・盤古幡使用不可)
装備:雪走り@ワンピース・斬魄刀@ブリーチ
道具:荷物一式(食料二人分 1/8消費)・盤古幡@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
思考:1 夜まで体力回復に努める
   2 琵琶湖へ向かう
   3 出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害。特にキメラの翼、ルーラの使い手を求めている。
   4 計画の実行

234 :時空を超えて:2005/12/14(水) 15:58:44 ID:naMoiKwn0
「これ、何?」
マァムが、手にしたのは死出の羽衣。
元々は流川に支給されたものだ。
3人はそれを適当に探っていると、前方に人影が見えた。

「ふふふ皆殺しだ。」
桃白白は、標的目掛けて襲い掛かってきた。
そのまま死出の羽衣を持ったマァムに突っ込んで行き、
フワッ
・・・・・・
桃白白は消えた。



235 :時空を超えて:2005/12/14(水) 16:01:36 ID:naMoiKwn0
【愛知県/昼】
【桃白白@ドラゴンボール】
状態:健康
装備:脇差し
道具:ジャギのショットガン(残弾20)@北斗の拳・三人分の食料・支給品一式
排撃貝、ヒルマのマシンガン、超神水
思考:FFDQバトルロワイヤルの世界に移動しました。


236 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 19:01:47 ID:8S8BzFL90
職人さんが来てくれるようにage

237 : ◆nafnHV5AYM :2005/12/16(金) 00:46:18 ID:F5WwlM/v0
螺旋丸によって大きく破壊された壁の穴が外へ繋がり、生暖かい外気と朝陽が流れ込んでくる。
大穴を中心にして蜘蛛の糸状に走った亀裂は、ナルトのいた部屋だけに留まらず
ビル全体に破壊の爪痕を刻んでいた。
風に粉塵が舞い上がり視界が開ける。
――アイツはどこだ・・・!!
意識が重く、霞みがかかったような感覚の鈍り。
ナルトは、突如として自分の身体に起きた異常に、悪寒を感じながら敵を捜した。
優先すべきは自分の身体より敵だ。攻撃されては元も子もない。
数は2人。否、もう1人。奇術師に殴られた時に聞こえた不思議な声。
何者かが強制的に自分の中の九尾を呼び起こしたのだ。自分の意思――怒り以外の力で
九尾のチャクラが引き出されたのは初めてであり、その事実に戦慄を覚えた。
銃創の痛み、激しく高鳴る鼓動がナルトの呼吸をおかしくする。
――早く・・・探さねえと・・・跡部が、危ねぇ・・・!クソッ、身体が・・・


「どうした少年。早く変身を解くがいい」
獣の臭い。ナルトの真後ろで、声がする。
――いつ・・・の・・・まに・・・

「人間の姿のままでは、本来の力は使えまい。何を躊躇することがあるのだ」
体内から溢れる獰猛なチャクラを押さえながら、ナルトは牙を剥き出し、声のほうへ振り向き

大きく瞳を開く。
「ば、化物・・・!!」
狐の面。人とも獣とも言い表せぬ、強大なチャクラに覆われた男が立っている。
「化物ではない。私の名は玉藻。貴様と同じ、妖孤だ」

238 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 00:48:55 ID:F5WwlM/v0
ナルトの心臓の鼓動が大きく鳴る。
全身が自分の鼓動に揺さぶられるようにナルトの視界が震えた。
「オ、俺は妖孤なんかじゃない・・・!!身体に化物を飼っちゃいるが、俺は化物なんかじゃねえよ!」
「ならば何故、貴様の妖気は昂ぶっている。同族である私の妖気に呼応しているのではないか?」
「違う!これは・・・!!」
封印の九尾が玉藻の妖気を求めるように漏れ出す赤いチャクラが増した。
ナルトは全神経を九尾を押さえるために使う、が、膝が震え立っていられなくなり、その場に崩れ落ちる。


玉藻は倒れたナルトの右腕についた赤い大きな服の染みを見とめ、巻きつけられた布を解く。
銃弾によって傷つけられた右腕の砕かれた骨や肉の修復が、高まる妖力により、すでに始まっていた。

「銃創か・・・人間にやられたのだな、我が眷属よ。
 真の力に目覚めなければ、この戦いに勝ち目はないぞ!」

玉藻は手を触れて患部に癒しの妖気を送り込んだ。直接流し込まれた気が九尾のチャクラと混ざり合う。
同様に自分の身体に微量に流れ始めた少年の妖気に、ふと違和感を感じ、思念を読んだ。

ドクン
           ―――・・・妙だな。これは那須野の一族のものとは違う。
ドクン
           ―――・・・妖孤であることは間違いないが、何かがおかしい。

玉藻は、妖気を手繰り、精神を集中させて少年の身体を深く潜る。

体内の妖気は触れれば触れるほどに禍々しい強力さが増し
玉藻は一層、神経を尖らせる。



239 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 00:52:22 ID:F5WwlM/v0
ドクン
          
           ―――・・・これは封印か?強力な術が施されている。        
ドクン
            
違和感の正体。強大にして邪悪な熱量の塊。
玉藻はさらに潜る。
すでに危険を感じながら、その正体を確かめずにはいられなかった。

           ―――・・・お前は、なんなのだ・・・。そこで一体何をしているのだ。
           ―――・・・答えろ。お前は、我が眷属の者か。
           ―――・・・何ゆえそんなところに封印されている。
   
ドクン
塊が蠢き、玉藻の意識を飲み込む。

           
    岩場に少年が倒れている。
    右腕の銃創から絶えず流れている血が少年の服を、顔を、手を、靴を濡らしていた。
    玉藻は血の臭いの充満するこの部屋が少年の中の最深部であることに気付く。
    ――やめろ、九尾。
    少年の悲痛な声が響いた。
    封印の檻に閉ざされた巨大な妖孤は、牙を剥き出し、笑った。
     


その瞬間、獣の咆哮が聞こえると共に封印の一部が解けた。
それは極小さい綻びだったが、玉藻は壁に叩きつけられ、意識を失った。


240 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:01:35 ID:F5WwlM/v0
「ナルト!!」
―― 一輝!
ナルトの異変を察知し駆けつけた一輝の声が響いた。
反応したナルトが振り向く、同時に、自身の腕が一輝の方向へ突き出される。
「「!!?」」
腕の形を成したチャクラが猛烈な勢いで伸びる。
全く予期していなかったナルトの行動に一輝は思わず腕をとられた。
そのまま紙の様にビルの外壁に叩きつけられ、窓ガラスが吹き飛ぶように割れた。
ナルトは呆気にとられた顔で道路に落下した一輝目がけて二撃目を繰り出す。
鮮血のように赤いチャクラがアスファルトを裂いた。
――何、やって、んだ、俺は、

「なんだ、どうしたというんだ、ナルト!何があった!!」
ナルトの拳を受け止めながら、一輝が叫ぶ。
――違う!やったのは俺じゃない!違う!
ナルトが縋るように一輝を見る、同時にナルトの蹴りが一輝の顔面を襲う。
紙一重で避けるが、足を覆うチャクラが目標を捉え、嫌な衝撃がナルトの身体に伝わった。
ナルトは凍りつく。九尾が――九尾が攻撃しているのか。混濁する意識で九尾に呼びかける。

――やめろ!これ以上、一輝に攻撃しやがったらぶっ殺すぞ!!九尾ィ!!

九尾のチャクラが一輝を引き剥がそうと力を出し、ナルトが抵抗する。
混濁した意識のまま、ナルトは九尾と身体の主導権を争い、唸りを上げる。
暴れるナルトを一輝が羽交い絞めにした。
「ナルト、落ち着け!一体何があったのだ!?」
「ウゥ・・・!!」

「ナルト!力を抜け!跡部はどうした!?」
跡部は――ナルトは視界の隅に自分が壊した半壊の建物を見とめた。
つい先程まで自分達がいた、建物。記憶が所々抜け落ちていることに気付き、口から悲鳴が漏れる。

241 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:03:55 ID:F5WwlM/v0
――俺は、俺は・・・仲間を・・・なんで・・・!
砕かれたガラスがナルトの姿を映し出す。
血のように赤いチャクラ。獣の目。獣の牙。引き裂く爪。九尾の尾。
「グウゥ・・・!!ウオオオオオオオオオ・・・!!」
ナルト!一輝の声が遠い。ナルトは一輝の腕を振り払い建物に向かって走り出した。

一輝を殺してしまう。

里を壊滅状態にし
イルカ先生の親を殺し
3代目火影を殺し
ただ人間を殺すために作られた殺戮の化物が自分の中にいると知ったら?

自分と仲間で有り続けたいと思うだろうか?
自分は化物じゃないと叫んでも、この姿を見て、こんな仕打ちを受けて――

それでも仲間というだろうか?

かつて里で忌み嫌われていたように、きっと――


――アイツのせいで・・・俺は・・・俺は・・・!畜生ォォツ!!
ナルトの視界が怒りで赤く染まる。九尾のチャクラがナルトの破壊衝動に同調した。
殺す。殺してやる。あの化物を。どうせ破壊するなら、屋上で襲ってきた男達も、銃を使った男も
まとめて自分が殺してやる。それが九尾の本願なら、気の済むまで1人で戦ってやる。


242 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:07:57 ID:F5WwlM/v0
「・・・有り得ねェな・・・」
瓦礫の隙間から這い出てきた影がつぶやく。
「ナルトは・・・」

崩れた壁の合間からビルからビルへ飛び移る金髪の少年の姿が見えた。
敵を追っているのだろうか。
「あのバカ、怪我・・・」
立ち上がろうとして背や脚に鈍い痛みが走る。
身体が、屋上から落ちた衝撃や、何かの爆発に巻き込まれたせいで
打撲や擦過傷でボロボロになっていた。
「くそっ・・・ナルト・・・」
跡部はなんとか起き上がり、無残に開いた壁の穴から外を覗く。
ナルトの姿はすでに跡部のいる場所からは見えず、
跡部の落ちた階は大部分が無残に破壊されており天井も壁もひび割れ隙間だらけとなっていた。
しかも、肝心の階下に行くための階段は瓦礫に埋もれどこにあるのかわからない状態だ。

跡部はデイパックにロープがあったことを思い出した。が、実際取り出してみるも、
瓦礫ばかりでいまいち固定できる箇所が見当たらず、さらに、ロープを使って降りるには11階は高すぎた。
跡部は悪態をつき、ロープを肩にかけると、別の部屋に移動する。


「人間か・・・こんな所で何をしている」
大穴の開いた部屋で、振り向きもせず―――狐の面の化物が尋ねる。
「・・・・・・・・・チッ」
衝撃貝を構え、跡部はこの世界にやって来て何度したかわからない舌打ちをする。
「お〜〜っと!動くなよ、動きゃテメェの身体に風穴が開くぜ・・・!」
跡部は余裕を装う。衝撃貝は相手の身体に密着させて打たなければ効果がない。
弱点を悟られれば、交渉は終わり。有無を言わさず狐の男は自分を殺すだろう。

だが、支給武器の存在を知っている以上、相手は未知の道具に対しての警戒は解くまい。
ハッタリは有効な筈だ。

243 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:10:47 ID:F5WwlM/v0
たとえ、相手が化物でもな。クソッ。自分の不運を呪いながら、跡部は痛む足でゆっくりと様子を窺いながら近づいた。
落盤した屋上の瓦礫のせいで進路を塞がれた狐面と自分の距離は約3m弱。
大股で突っ込めば届く!跡部は荒い息を整え、タイミングを計る。

衝撃貝のおかげで大きな致命傷は辛うじて免れてきたものの、無傷とは言い難い身体の跡部が
屋上のような接近戦に持ち込まれれば致命的、絶望的だ。

――クソッ、それでも相当な量の衝撃は溜まったはずだぜ・・・!
  このまま近づいてブチかましてやるよ、この化物野郎!

壁の割れ目から漏れる眩しい朝陽を逆光に狐面の男が振り向いた。
「・・・!!?」
跡部は一瞬、呆気に取られ、男の顔を凝視した。
狐面の化物は消え、金色の長い髪を持つ人間の男がいた――。
瞬間、跡部の背後から獣の臭いが現れる。跡部は咄嗟に衝撃貝を装着した右手で殴りかかる。
腕は空を切り、跡部はバランスを失って転倒した。

「・・・人間よ、答えろ。貴様も主催者の甘言に乗り、殺し合いに参加するか」

獣に似つかわしくないほどの、堂々たる低音。粉塵で澱んだ場に大きく響く。
跡部はすでに呼吸が乱れ、その度に吸い込んでしまうチリに喉を痛めていた。
平静を装うにも限界がある。跡部は観念して起き上がり――衝撃貝を構え――答える。

「・・・苛つくぜ・・・なんなんだお前らはよ・・・化物が・・・」
「答えよ。人間」
「何をほざいてやがる・・・お前は、ナルトと俺を襲いやがった奴の仲間だろうが!!」

「・・・・・・・!!!」
ドクン――ッ。
玉藻の強力な妖気が圧力となり、跡部の心臓を圧迫する。

244 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:12:59 ID:F5WwlM/v0
「貴様は、あの少年の仲間か。」
「・・・・・・化物め・・・・・・おれの、次は、ナルトかよ・・・
 残、念、だった、な・・・アイツは足が速いんだ・・・テメェが、今更・・・追いつける、かよ」
跡部は口の端をゆがめて笑う。
笑っている場合ではないのだが、こうも現実味のない展開が続けば自嘲したくもなる。
そのくせ、目の覚めるような痛みだけは鮮明で言葉を繋ぐのが精一杯だ。
狐の面の男はしばし考え込み、言った。
「・・・仲間を逃がすために私の前に立ったのか?」
「・・・・・・・・・・・・・ーカ」
痛みと圧力で意識が途切れ始めている跡部は、淀みなく、一気に捲くし立てるつもりで言った。
――あの単純バカのためじゃねえ。屋上での貸りがあるけどよ、そんなんじゃねえよ。クソッ。
  それより、ナルトはもう逃げたぜ。そこで悔しがってろ!バーカ。ああ、喉が痛え!

玉藻は、答弁の途中で気絶した少年を背負うと、崩れた壁を蹴って外へ飛んだ。

玉藻は考える。
奴はどこから来たのか?
地獄界か。霊界か。あの少年の中にあった魔獣の正体。
鬼に匹敵する力を持ちながら過去の文献に記録がないのは明らかにおかしいのだ。
まして妖孤の一派ならば玉藻が知らないはずがない。

気を失った少年の仲間を見る。
人間の中には妖怪を友と呼び、妖怪を妻に娶る珍妙な者もいる。
――鵺野先生を探すか。彼なら、あるいは・・・
鵺野なら兵庫にいるはずだ。随分と距離が離れてしまったが、玉藻の脚なら数時間で着く。
除霊に関するなら彼のほうが場数が上だ。
鬼の手を封印し、さらに覇鬼と和解までした彼なら、どんな対処をとるか興味もあった。
帰らせる場所がなければ、殺すか、少年の身体に再度封印するしかない。

245 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:17:13 ID:F5WwlM/v0
何故、少年に憑依し、封印されたのか。玉藻の疑問は尽きなかったが、考える時間はなかった。
空気が震え、再び、あの荒々しい妖気が迫るのを感じる。
玉藻は気絶した跡部を背中から降ろし、その周囲に小さな結界を張る。

「来たか・・・」
玉藻は妖孤の姿に戻り、術を練った。
狙うは接近戦。幻視の術で撹乱させ、その隙をつく。
少年の身体に、直接自分の妖気を流し込み、魔獣の妖気を牽制しつつ、封印術を施す。
玉藻は走り、少年の姿を認めると、身構えた。

「魔獣よ・・・その少年から離れよ。断るなら、二度と出てこられぬよう封印する!!」
ビルの合間を飛び、獣となった少年が突っ込んでくる。
「ガアアアアアアッ!!!」
ナルトが叫ぶ。
雄叫びが衝撃波となって、幻視の術により現れた玉藻の残像を全てすり抜け、後ろのビルを破壊した。
「な、なんだと!?」
玉藻は壁に叩きつけられ、それにより全ての幻覚が消えた。
ナルトは牙をむき出し、さらに突進する。
「火輪尾の術!!」
玉藻は炎を使い、少年の身体を拘束する。
手足は血のように赤い妖気に分厚く覆われ、その鎧は玉藻の放出する紅蓮の炎を拡散させた。
人間の動きを超えるスピードと力。体内から泉のように湧き出るチャクラがナルトの身体能力を何倍も向上させていた。
禍々しい殺気を含み、腕の形に伸びた妖気が玉藻の腕を掴む。
腕の骨が軋みを上げ、玉藻は地面に叩きつけられた。

246 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:18:46 ID:F5WwlM/v0
接近すれば衝撃波で押されてしまう。
攻撃すれば霊媒である少年が危ない。
強大な妖気に人間である少年の身体がついていかないのだ。
一見すれば、妖気の鎧で肉体が防護され、自己修復と合わせれば無敵の状態に見える。
だが所詮、人は骨と肉でできた脆い器だ。限度を超えれば簡単に壊れてしまう。
たとえ、この戦いで肉体を失う危険があったとしても、魔獣は別の新しい肉体を捜せば済む事である。

鵺野によって左手に封印されていた鬼のように。

――やはり・・・再度封印するか、引き剥がして殺すかしなければ少年の身が危ない。

――だが、この状況下で、そこまでして救う価値が、この人間にあるのか。

少年が叫ぶ。人間性を失った獣のように。
――・・・・
玉藻は首を振った。
――私ともあろうものが随分弱気になったものだ。
――いま一度、貴様を人間に戻してやる!

赤いチャクラが膨れ上がり、炎の捕縛を吹き飛ばす。
ナルトは3発目の螺旋丸の構えをとった。
合わせた両手の隙間に高密度のエネルギーが収束し丸い渦を形作る。回転が加速し、熱を帯びた光を放つ。
玉藻は呪文を続けナルトの両腕を拘束しようと妖気を強めた。
ナルトの両腕に蛇の舌の様な火が這う。火は縄のように腕に絡み、ナルトの手と手を引き剥がそうとする。

ナルトの憎しみの目は玉藻を捉え、玉藻の目はナルトの体力の消耗を見ていた。

――封印の上により強力な封印術を施す。
――鵺野先生、貴方なら、違う方法をとったかもしれませんが・・・
  今の状態ではこの方法しかない!!


247 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:20:50 ID:F5WwlM/v0
次第に輪郭を失った螺旋は、拡散しようと膨張を始める。
ナルトはなんとか構えを保とうと炎に拘束された腕に力を込めた。
玉藻はその隙を突き地面を蹴った。ナルトに接近し、チャクラで覆われた手首を掴む。
恐ろしい量の攻撃的な妖気に玉藻の爪がヒビ割れた。

同族と見紛うほど似ている気。
人間界に厄災と仇をなす。それが本来の妖孤の姿のはずだ。
ここで対峙する妖孤を止める理由など玉藻にあるはずがない。だが――

玉藻はナルトの腕を押さえながら、同時に自らの妖力で螺旋の拡散を押さえつける。
ナルトが掴まれた腕を振り払おうと動かし、恐ろしい質量の塊がナルトと玉藻に挟まれ蠢いている。
螺旋丸は相手に直接ぶつけ、対象物を破壊する技である。
九尾の力で赤く染まった塊は屋上の使用した何倍もの威力を秘めていた。



   貧 狼    巨 門    隷 大    文 曲   廉 貞   武 曲 



眼前の少年は牙を剥きだし、玉藻の腕に噛み付いた。
獰猛な憎しみの妖気と共に、螺旋丸の渦の威力が高まる。
吹き出す血が噛み付いたままの顔にかかる。人間の表情ではない。
玉藻は少年の内部に向かって叫んだ。
―――人間よ、意識があるなら私の話を聞け!この魔獣を今一度お前の肉体に封印する!
   一瞬でいい、内側からお前の霊力で魔獣の力を押さえろ!
   化物でないのなら、その証明をしてみせろ!  

唸りを上げてナルトは腕の肉を喰いちぎった。
―――駄目か・・・!?

248 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:32:43 ID:F5WwlM/v0
「ナルト――!!」
一輝が呼ぶ。
ナルトの目が、一瞬、大きくゆがんだ。
すかさず玉藻が、不安定に揺れる螺旋丸を地面に叩きつける。
たたきつけると共に地面が割れ、周囲が陥没し、2人は地下街の通路に落ちた。
ナルトを抱え、瓦礫と粉塵の中、玉藻は再び呪文を続けた。

周囲の建物が揺れ、割れたガラスが雨の様に降った。
一輝は気絶していた跡部を背負ったままナルトの元へ飛び降りる。

玉藻は九尾のチャクラをナルトの身体に渾身の力を持って押さえ込み、封印を施した。
九尾の気配は次第に薄まり、ナルトはその場に倒れた。
玉藻は放心し、膝をつく。


ナルトの生存を確認すると、玉藻も力尽きたように、そのまま倒れた。
地上から射す朝陽が、廃墟と、人間とも獣ともとれない、2人を照らしている。



249 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:34:15 ID:F5WwlM/v0
【福岡県(市街地)/早朝〜朝】

【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】気絶 空腹 体力チャクラ大消耗、九尾封印
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
    ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶。玉藻に憎しみ。
    2、サクラ、シカマルを探す
    3、主催者をやっつける

【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:気絶 妖孤形態、中程度のダメージ 腕から出血 体力妖力大消耗
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 石ころ数個
 [思考]:1、ナルトから九尾を引き剥がし、退治する。又は、完全に封印。
     2、伊達から首さすまたを取り戻す
     3、可能なら鵺野と合流 (ナルトの九尾除霊の相談のため)

【一輝@聖闘士星矢】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ナルトの救出
     2、ハーデスを倒す



250 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 01:34:56 ID:F5WwlM/v0
【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】気絶 右肩痺れ 全身に打ち身、骨にヒビ 擦過傷 疲労 出血(止血済み)
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース     
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶
    2、ナルトを助太刀
    3、乾と越前を捜す

【ベアクローとスナイパーライフル(残弾16発)は廃ビルの一室に放置されています】


251 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻 ◆XksB4AwhxU :2005/12/16(金) 22:48:50 ID:R1yPCmTT0
【福岡県(市街地)/午前】

【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】気絶 空腹 体力チャクラ大消耗、九尾封印
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
    ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶。玉藻に憎しみ。
    2、サクラ、シカマルを探す
    3、主催者をやっつける

【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
 [状態]:気絶 妖孤形態、中程度のダメージ 腕から出血 体力妖力大消耗
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 石ころ数個
 [思考]:1、ナルトから九尾を引き剥がし、退治する。又は、完全に封印。
     2、伊達から首さすまたを取り戻す
     3、可能なら鵺野と合流 (ナルトの九尾除霊の相談のため)

【一輝@聖闘士星矢】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ナルトの救出
     2、ハーデスを倒す

252 :チャクラ爆発!妖孤忍法帖!!の巻(修正版):2005/12/16(金) 22:53:18 ID:R1yPCmTT0
↑上の続き。(修正版)と記載するのを忘れてました。すいません。


【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】気絶 右肩痺れ 全身に打ち身、骨にヒビ 擦過傷 疲労 出血(止血済み)
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース     
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
    フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶
    2、ナルトを助太刀
    3、乾と越前を捜す


253 :人間の超越1/3:2005/12/17(土) 19:42:31 ID:Uj/yfXcG0
深い森の中、所々木漏れ日が差している。
鳥のさえずりと相まってなかなか幻想的な光景だったが、今の綾にはそんな心の余裕は無かった。
「(私の身体…どうなったんだろう?)」
あの時、本能的に綾は悟った。
『自分は人間を超越した』と。
『ゲーム』の説明を受けていた時、明らかに人間ではないような人たちがいたが、自分はそちら側の存在になったのだと。
「(そして、バギーって名乗ったピエロみたいな人を……殺した)」
自分でも信じられないような力で彼の鼻を引きちぎり、気づいた時には…

血を吸っていた。

その後どうしたかはっきりとしないが、「真中君に会う」という想いが心を占めていたのは確かだった。
そしてしばらくはがむしゃらに歩き続け…気がつくと深い森の中にいた。
場所を確認するために地図を見ようと木漏れ日の差す場所へ移動したら、いきなり右手が消失した。
「…え?」
不思議と痛みはなかった。
しかし混乱と、そして恐怖が押し寄せる。
何かの病気だろうか、それとも私の体がどうにかなっちゃったのだろうか、と様々な思いが頭を巡る。
とにかく傷口をよく見ようと思い、手首から先を失った右腕を日光に当てる。
その瞬間…
「…ひっ!」
再び、今度は肘のあたりまで、腕が一気に崩れ落ちた。
「(どうして?なんで私の腕が…!?)」
必死に考える。
もしかしたらこのまま全身が崩れてしまうのではないかという恐怖に怯えながら。
しばらく考え…そして、気づいた。

254 :人間の超越2/3:2005/12/17(土) 19:43:07 ID:Uj/yfXcG0
綾はすぐにバッグを開けて、あの石仮面についていた説明書を探した。
バギーに出会う前に少しだけ目を通し、そこに書かれていた『人を吸血鬼に変える』という内容に恐怖してすぐに戻してし

まったが、確かにあるはずだ。
自分がこうなったのはどう考えてもあの仮面の所為だ。
説明書を見れば、自分の身体に何が起きたのか分かるかも…そう思った。
そして、見つけた説明書に書かれていたのは要約すると以下の内容だった。
・石仮面を顔につけ、仮面に血を吸わせることで、仮面をつけた人間を吸血鬼に変えることができる。
・吸血鬼となった人間は、人間をはるかに凌駕するパワーと能力を手に入れられる。
・その代償として、太陽のエネルギーを浴びると消滅してしまう。
「…さっき腕が崩れたのは、やっぱり日光を当てたから……?」
綾は不思議と、事実を冷静に受け止めていた。右手がいきなり崩れた時の方が衝撃が大きかったくらいだ。
治す方法は書いていない。つまりこの身体を受け入れるしかない。
そして吸血鬼という言葉から思い出されるのは、バギーの血を吸った時の感覚。
精気を、人のエネルギーを直接自分のモノにする感覚。
間接的にエネルギーを取り入れる食事などよりも、何百倍も素晴らしかった。
そして何よりも…
「…私は、私は人間を超越したのよ。…猿から進化した人類が食物連鎖の頂点に立ったように、私はさらにその上に立っ

た…」
自分が吸血鬼であるとハッキリしたからだろうか、『人間を超越した』ことが改めて理解できた。
「真中君にもこの素晴らしさを伝えてあげたい…」
石仮面はもうない。
だが、この『ゲーム』に優勝すれば、主催者は願い事を聞いてくれると言っていた。
「優勝して真中君を私と同じ身体で復活させてあげれば…ふふふ……そうだわ、真中君の血も吸ってあげなきゃ…」
吸血衝動を起点として、次第に思考が黒く染まっていく。
しかし、思考は途中で遮られた。
徐々に周囲が明るくなっていくのに気づいたからだ。
「とりあえず、どこか日の光から隠れる所を探さないと…」

255 :人間の超越3/3:2005/12/17(土) 19:44:36 ID:Uj/yfXcG0
数時間後、綾は狭い洞穴の中でうずくまっていた。
今は、とにかく日が当たらない場所にいなくてはならない。
真中を探せないのがもどかしいが、今は耐えるしかなかった。
「日が沈むまでの辛抱よ…」
そう自分に言い聞かせ、綾は日光から少しでも遠ざかるように膝を抱きかかえた。


【岐阜県(の福井に近い)山中/1日目・午前】
【東城綾@いちご100%】
 〔状態〕吸血鬼化。右腕の肘から先を消失。
 〔装備〕特になし
 〔道具〕荷物一式
 〔思考〕1.夜まで洞穴で身を潜める。
     2.真中の血を吸う。
     3.優勝し、真中を吸血鬼として復活させてもらう。
※綾は血を吸うこと以外の吸血鬼の能力をまだ知りません。

256 :人間の超越2/3修正:2005/12/17(土) 19:45:53 ID:Uj/yfXcG0
綾はすぐにバッグを開けて、あの石仮面についていた説明書を探した。
バギーに出会う前に少しだけ目を通し、そこに書かれていた『人を吸血鬼に変える』という内容に恐怖してすぐに戻してしまったが、確かにあるはずだ。
自分がこうなったのはどう考えてもあの仮面の所為だ。
説明書を見れば、自分の身体に何が起きたのか分かるかも…そう思った。
そして、見つけた説明書に書かれていたのは要約すると以下の内容だった。
・石仮面を顔につけ、仮面に血を吸わせることで、仮面をつけた人間を吸血鬼に変えることができる。
・吸血鬼となった人間は、人間をはるかに凌駕するパワーと能力を手に入れられる。
・その代償として、太陽のエネルギーを浴びると消滅してしまう。
「…さっき腕が崩れたのは、やっぱり日光を当てたから……?」
綾は不思議と、事実を冷静に受け止めていた。右手がいきなり崩れた時の方が衝撃が大きかったくらいだ。
治す方法は書いていない。つまりこの身体を受け入れるしかない。
そして吸血鬼という言葉から思い出されるのは、バギーの血を吸った時の感覚。
精気を、人のエネルギーを直接自分のモノにする感覚。
間接的にエネルギーを取り入れる食事などよりも、何百倍も素晴らしかった。
そして何よりも…
「…私は、私は人間を超越したのよ。…猿から進化した人類が食物連鎖の頂点に立ったように、私はさらにその上に立った…」
自分が吸血鬼であるとハッキリしたからだろうか、『人間を超越した』ことが改めて理解できた。
「真中君にもこの素晴らしさを伝えてあげたい…」
石仮面はもうない。
だが、この『ゲーム』に優勝すれば、主催者は願い事を聞いてくれると言っていた。
「優勝して真中君を私と同じ身体で復活させてあげれば…ふふふ……そうだわ、真中君の血も吸ってあげなきゃ…」
吸血衝動を起点として、次第に思考が黒く染まっていく。
しかし、思考は途中で遮られた。
徐々に周囲が明るくなっていくのに気づいたからだ。
「とりあえず、どこか日の光から隠れる所を探さないと…」

257 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:08:22 ID:6CUVVi5B0
待たせ過ぎたかもしれない――。
まもりは少しあせった。怪しまれない必要があったから、どうしたって少々丁寧に話を聞いてしまう。
進にしろ、薫にしろ、まるで疑いを持たずに同情してくれたから。まもりも時間を忘れて話してしまった。
(冴子さん、さすがにもう終わってるでしょうね)
少年達をいれて計4人。成果はまあまあ、と言える。それでも残りの参加者の人数から考えれば、まだまだ。
(千里の道も一歩からと言うし・・・この調子で、慎重に減らしていければいいわね)
まもりは立ち上がり、横たわる進と薫の遺体の処理について考える。
この神社は本通りから逸れているとはいえ、野ざらしのままではいずれ誰かに発見されるだろう。
大した外傷のない異常な死体。簡単に毒殺だと推理されてしまう。冴子に手伝ってもらおうか。
しかし――冴子が片付けたであろう――少年達の死体のこともある。
いっそ、集めて魔弾で焼いてしまおうか。
まもりは首を振る。
(手間がかかるわ。第三者に見られたらアウトだし。それに、もう、火の出る弾はないわ)
攻撃魔法 メラミ。魔法など、この歳で信じることはなくなってしまっていたけれど、
己の身を救う物なら、増して武器ならば、今は何でも信じられる。
(・・・・・・やっぱり、剣の方は回収しておいた方がいいかしら。カプセルに戻せば
 いつでも見つからないところに捨てられるし、剣道の達人なんかに渡ったら厄介よね。
 薫さんみたいに優しい人だとは限らないし・・・)
また、胸がチクリと痛む。まもりは薫の荷物の残骸からクライストを取り出した。
(冴子さんには秘密ね。知られたら奪われてしまうから)

まもりはクライストを薫のカプセルに戻し、自分のポケットに入れて、本通りへ出た。
公園入り口への道順は大した距離ではないので迷いなく進める。
ああ、もうすぐ――石段の下の入り口には冴子が立ち、まもりを見ると駆け寄ってきた。
笑顔だ。口の端をゆがめて、泣きそうにも見える。
「冴子さ・・・」
まもりの頬が鳴った。

258 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:11:41 ID:6CUVVi5B0
まもりの口内が裂け血の味が広がる。
痛みに、冴子から顔をそむけた瞬間、今度は左のこめかみに衝撃が走った。
「よくも騙してくれたわ・・・」
冴子の目が怒りに大きく見開かれている。銃身で力任せに殴られた痛みは、まもりの思考を
一時的に奪いとる。
痛みによろめき、その横腹に、冴子の蹴り。
「・・・ッ!!」
まもりは息が出来なくなり、たまらず道路を転がった。
逃げようと道路についたまもりの手を冴子が思い切り踏みつけた。

「盗んだ首飾りと残りの弾丸を渡しなさい。今すぐ!!」

冴子の手がまもりの右手をひねり、地面に押し付けるように体重をかけた。
「いたい、痛いよ、冴子さ、やめて・・・」
「一時でも貴女の口車に乗った私が馬鹿だったわ・・・よくも私を嵌めてくれたわね」
千切れそうに痛む左の耳。まもりは何のことか判らず、ただ痛みに
「は、め、る・・・?冴子さん、貴女、何・・・言って・・・」
「もう貴女と話すことなんてないわ。死になさい」
恐ろしく抑揚のない冷たい声がまもりの背中で囁いた。
まもりは一気に血の気が引いた。

「い、嫌ぁ!殺さないで!お願い!」
関節をとられ、ほんの少しの動きでも腕に激痛が走る。
「今さら命乞いが通用すると思うの?汚らしい」
残った片方の手で抵抗しようとするも、冴子の膝によって押さえつけられた。

259 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:14:23 ID:6CUVVi5B0
動けない。まもりは恐怖に目を細めた。
セナが!セナが守れなくなる!私が死んだら誰がセナを守るの!?
セナが殺されちゃう!
「・・・セナ・・・!!」
冴子が冷たく言い放つ。
「仲間の名を読んでも無駄よ、助けになんて来やしないわ。きっとその子も今頃,
 殺しあってる」
ヒッ、まもりが短い悲鳴を上げる。
「セナはそんなことしないわ!」
「なら、殺されてるわ」
まもりが叫ぶ。
「嘘よ!そんなこと、絶対にならないわ!セナは死なない!私が死なせない!」
「残念ね、私が見つけ次第殺すわ」
冴子はまもりの後頭部を銃身で殴りつけた。まもりは痛みと衝撃で意識を失いかけた。
――殺 さ れ る !!
もがいても捉えられた両腕は外せない。まもりは残された両足でなんとか自分の身体から
冴子を引き剥がそうと強く動かした。
力の入らない体勢だった。
「いい加減黙りなさい!!」
「――――――ッ!!」
「まもり、貴女なかなかしぶといわね、まだ気を失わないなんて。
 弾丸を取り上げて焼き殺してあげたいところだけど・・・
 貴女を殺した後でゆっくり探させてもらうわ」
「・・・・・・・・・・・・」
激痛が渦となってまもりの頭部を襲い、末端の指先までが痺れはじめる。


260 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:15:53 ID:6CUVVi5B0
――落ち着かなきゃ、
耳が、辛うじて冴子の暗い声を拾う。
「よくも私を騙してくれたわね。一瞬でも貴女の口車に乗せられた私が馬鹿だったわ。
 もう2度と他人を信用するなんて愚挙は犯さない。まさか弾が空だったとわね」
――・・・・・カラ?ああ、それで。こんなに怒っているのだ。
まもりは茫然と考えた。冴子が裏切った場合を考えて、攻撃用の弾丸は1つしか渡さなかったのだ。
問われたら上手く誤魔化すつもりだったのに、ここまで怒るとは。少年達が余程手強かったらしい。
「・・・・・・ごめんなさい。まさか、空弾が混ざってるとは思わなかったの」
「白々しい!もっとマシな命乞いをしたらどうなの!?」
「本当です!嘘じゃありません・・・!首飾りも冴子さんに返しますから・・・許して、お願い・・・」
まもりの涙が頬を伝う。破れたこめかみの傷から流れる血と共に地面に影をつけた。
しかし、今更返すと言われても、殺した後にゆっくりとまもりの荷物を調べればいいだけの話だ。
冴子はまもりの関節をさらに強く締め上げた。まもりはたまらず泣き叫ぶ。
「く、首飾りも弾丸も、隠してあるんです!貴女に裏切られるのが怖かったから・・・
 さっき見つけた建物のどこかに・・・か、隠してきちゃったんです・・・
 ごめんなさい・・・ごめんなさいっ・・・許してぇ・・・」
冴子の下でまもりが嗚咽する。華奢な身体を震わせ、命乞いをする。
その必死な、惨めな姿に、冴子は憐憫などひとつも抱かけなかったが、先程から溜まり続けていた
何分の1かのまもりに対する怒りの溜飲が下がり、少しの冷静さを取り戻した。

「それもどうせ嘘なんでしょう?」
「――――違うっ!!嘘じゃありません!!信じられないなら私の身体や荷物をを捜したらいいわ!」
「そんな危ない事はできないわね。あなたが死んだ後でゆっくり探すわ」
「わ、私が死んだら武器の在り処がわからなくなりますよ!?」
「・・・残念ね、ポケットから鎖が見えているわよ。もう命乞いは無駄だから喋らない方が良いわ」
まもりは脱力した。組み合った時に、毒蛇の鎖の一部が出てしまったのだ。
本当に、自分は終わりかもしれない。今の冴子にはまもりの説得は通じないし、信じようとしない。
震えが止まらなくなり、恐怖に冷えた自分の顔に伝う涙が異様に熱かった。


261 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:17:51 ID:6CUVVi5B0
「ついに観念したわね」
まもりは動かない。冴子に殴られた痛みがまもりの頭を絶え間なく襲ってくる。
痛みが絶望をあおり、まもりの思考を掻き乱した。

 もういい。私の代わりに、冴子が他の参加者を殺せばいい。
所詮、何の能力もない、ただの女の子でしかない自分には、無理だったんだ。
――セナ、ごめん。ごめんね。
――守ってあげられなくて、ごめんね・・・。
自分が殺せたのはたったの3人。なんて非力なんだろう。

抵抗を止めたまもりに冴子は勝ち誇るように呟いた。

「死になさい。あの男の子達の代わりに」

――え?
まもりは大きく目を見開いた。捻られた関節が痛むのも構わず冴子の顔を見る。
いまさら何を怖がるのよ、冴子が何か呟いた気がする。

まもりは、勝手に自分の体が動くことを感じていた。
そして、打ち下ろされる銃身が自分の頭を逸れて地面にぶつかるのを見た。
関節が悲鳴を上げる。だが、それを気にする余裕も理由もまもりにはなく、
自分の左腕を押さえつけていた冴子の膝が外れ

自由となった左手の裏で、冴子の顔を叩いた。
冴子は目を押さえ、隙が出来る。まもりは捻られていた関節も無我夢中で力任せに外す。
腕が嫌な音を立て、冴子から離れたまもりを激痛が責める。

262 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:21:02 ID:6CUVVi5B0
冴子が地面に落ちた毒蛇の鎖を拾い、まもりに向かって振り回す。
手元にあったデイパックで反射的にふせぐが、鋭い刃に切り裂かれて袋の中身が飛び出した。
冴子は転がった2つの魔弾を確かめるとすぐ拾い上げる。

その隙に、まもりは来た道を走って引き返す。

冴子は魔弾の1つを、ゆっくりと銃に装填すると、まもりを追う。

何度も頭を殴打され、水の中を走るようにおぼつかない足取りのまもりは
振り返りもせず、灰色の地面に血を垂らし、電柱などにぶつかりながら必死に逃げている。

冴子は魔弾銃の標準を一度はまもりに合わせたが、すぐに降ろした。
無駄に弾丸を使うことはない。弱った今の彼女なら、素手でも・・・いや、この鎖で充分。
まもりの逃げこんだ小道を警戒しながら、小走りで進む。
やがて、激しく小さな息遣いが聞こえてくる。まもりが膝をつき頭を押さえ、うずくまっていた。

やっと人間の粛清ができる―――。
汚らしい汚らしい汚らしい―――。
助かるためなら他人を殺し、誑かし、涙を流す人間―――。
忌まわしい映像が、冴子の頭の中で憎しみを、絶望を増幅させる。
あの、幼い少女も、眼鏡の少年も、心底汚れているんだ。槙村も、ファルコンも、
死んだ僚ですら――

流れ続ける画面向こうの子供達は大人に殺されるのを待っていた。
弱いものは、さらに弱いものを探して殺し、
強者は一段高いところで、その様子を眺め、テレビでも見るかのように笑っている。
そして、次の瞬間には、その男も処刑される。
汚い、汚い、汚い、―――
冴子の心拍が早まり、呼吸が荒れた。

263 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:23:29 ID:6CUVVi5B0
まもりが、こちらを見ている。凍りついた、恐怖の表情で、冴子に脅えている。
お前も加害者のくせに。生まれながらの加害者のくせに。
まもりが逃げる。

断罪するのよ。この世の人間達を――。
冴子が進む。

視界の端に神社の鳥居が見える。



境内に白く敷き詰められた砂利が、冴子の足に踏みつけられるごとに細かな音を立てる。
ざり、ざりざり、清浄な空間。清廉な空気。
造りの古い社の隅で、まもりは力尽きたように座り込んでいた。
冴子の眉が歪む。
まもりの両隣には一組の男女が眠るように横たわっている。
まもりは死んだ女の手を握り、茫然とした顔で震えている。
女の顔には十字の傷が、男の顔は生きてるように
「あ、貴女がやったのッ!?まもり!答えなさい!!」
冴子は反射的に魔弾銃を構えて叫ぶ。
「わ、私を殺す前に・・・お、教えて下さい・・・冴子さんは・・・
 結局、あの男の子達をどうしたんですか・・・?」
「逃げられたわよ!貴女のせいでね。それより、この人達を殺したのは貴女なの!?
 それとも別の・・・」

「・・・そう」

まもりは冴子の質問には答えず一呼吸おいて、低い声で呟いた。

264 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:25:26 ID:6CUVVi5B0
まもりの瞳から落涙した涙が額から流れる血と合わさり、薫の胴着に滴り落ちる。
「・・・撃ちたいなら撃てばいいわ・・・」
脅えた表情でまもりは冴子を縋るように見つめた。
やがて、罪の告白を、震える声が語りだす。
「冴子さんの首飾りで・・・私が、やったの・・・
 人間全部を殺したいなんて・・・私たち上手くやっていけると思ってたのに・・・
 ・・・冴子さんの力になれると思ったのに・・・」
 
ごめんなさい―――。
 
今にも消えそうな小ささで冴子に呼びかけられる声。
この娘は何を言っているんだろう。
これは―――これでは、加害者の贖罪ではなく、被害者の、命乞いの言葉だ。
冴子は耐え切れず心の底から絶叫する。  
「私は仲間なんかいらないわ!!人間と付き合うのはもう、沢山よ・・・!!」
震える銃の引き金にかける指。この少女といると頭がおかしくなる。

絶叫と共に、冴子の腕に鈍い衝撃が走った。






まもりは短い悲鳴を上げて―――――、






――――その場に、倒れこんだ。

265 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:27:33 ID:6CUVVi5B0
境内に冴子の荒い息だけが残る。
倒れているのは3人。神社に死体とは、あまりに似つかわしくない光景だ。
「加害者のくせして・・・そんな目をしないで」
まもりの死体も、眠るようで。今は閉じられた瞼で冴子を追い詰める事はない。
冴子は俯き、放心したように佇む。何も考えられなかった。
どこかでカラスの鳴き声がして、それきり音が消える。
冴子は石灯篭に凭れて、目を閉じた。

国家の法の番人たる警察官が、法の壊された世界にいる。
そんなことは関係ない。自分はもう、どこにいようと人間を殺すのだ。

風の動きが速く、雲が流され社が影に覆われた。
雨が来るのか、湿気を帯びた大気は冴子の身体をゆるやかに冷やしていく。
生物の気配は消え、やっと冴子は休息がとれた。
どこにいるかも知れない人間に警戒し続けるより、むしろ死体に囲まれている方が安心する。
あのビデオは自分から安心を奪い、代わりに命の存続を齎した。
あのビデオを観ていなかったら、自分は他人に騙されるままに騙され、死んでいただろう。
1人。やはり、1人がいい。もう仲間は要らない。例え戦力不足で死んだとしても構わない。
演技も、無理だ。
追うなら、眼鏡のほうだ。今さら走っても自転車には追いつけないだろう。
―――僕も、人を殺したんです
冴子の顔が歪む。別に、誰が誰を殺そうと、どうでもいいことだ。
あの子供を殺さなくては。
風が渦巻き、落ち葉が舞う。木々が葉を擦れ合わせ人の声とは違う賑わいが起こる。
冴子は首を2、3度振って神社を出ようと――――した。

―――――冴子の腹にクライストの切っ先が埋まっている。

冴子の足元の白い砂利が、水のような鮮血を受けて赤く染まりだした。
まもりが長い息を吐き、冴子が膝をついた。

266 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:30:19 ID:6CUVVi5B0
「・・・使うと思ってました。保険は・・・掛けておくものですね。
 貴女に魔弾銃を渡した時に、こうなった場合――つまり貴女が私の敵になったと仮定して
 あらかじめ防衛策を立てておいたんです・・・
 無害な弾丸だけ・・・囮としてデイパックに入れておいたんですよ」
まもりは、辛そうに息を吐き、クライストの先を冴子の腹から引き抜いた。

「貴女には言ってなかったけど、攻撃する弾丸があれば、標的を治癒する弾丸もあるんです。
 今、冴子さんが撃ったのが解毒の弾丸。
 毒に犯されていない私の身体にはなんの効果もありませんが
 貴女に首飾りを返すことになれば、いつ攻撃されるとも限りませんし・・・」

冴子に向けられる声に、すでに震えはなく、砂利を踏む足音が背後から正面に回った。 

「・・・さすがに最初に装填しておいたのは攻撃用の弾丸ですけどね、
 貴女が一発で何人殺せるか試してみたんです。
 警察官の腕なら、最低でも1人は確実に撃てると思ってたのに・・・無駄でしたね。
 口だけの冴子さん。この首飾りは貴女が無駄にした弾丸の代わりに貰っていきます」

冴子は焼けるような腹の痛みと、憎しみに、静かに話し続けるまもりを睨みつける。
全身の筋肉が強張り、体が危険信号を発している。
「安心して、冴子さん。まだ殺しはしないわ。貴女に聞きたいことがあるから。
 どうして、あの子たちを追わなかったんですか?
 どうして、追いつこうとしなかったの?
 もう彼らは、貴女の顔を覚えたわ。広まれば誰も彼もが警戒して奇襲は通用しなくなる」



「・・・・なんてことをしてくれたの」

冴子の視界が揺れる。自身の鼓動より速く、呼吸より速く。小刻みに。
冴子の指に絡む毒蛇の鎖が小砂利に当たりカタカタと鳴った。
殺さないと。殺さないと。冴子は震える指に力を入れる。

267 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:36:16 ID:6CUVVi5B0
今、殺さないと―――
私は人間の本性と戦わなくてはならない。
相手が誰であろうと、子供であろうと、かつての仲間であろうと、
被害者であろうと、加害者であろうと、強者であろうと、弱者であろうと

戦わなければ、あの映像の中の子供のように、ゴミのように殺されてしまう。

――ザク。
「・・・・・・あああッ!!」
クライストが冴子の手を、太腿を、鎖ごと刺し貫く。
「逃げないで、冴子さん」
冴子は、脳髄に響く激痛を、恐怖で身動きの取れなくなった身体で味わう。
「・・・・・ひぃ、ああ・・・う・・・」
「冴子さん。泣かないで、私だって心細いの」
クライストが引き抜かれ、冴子が高い声を上げる。
「冴子さんがいなくなったら本当に1人きりだもの・・・」
まもりの手が冴子の頬に触れる。愛しげに、優しく。
血に濡れて、暖かい指。泣き疲れたまもりの蒼い瞳が冴子を捉えている。
「1人じゃ無理なの・・・」
胃から何かが競り上がってきた。
「セナ以外の全員を殺すには、私だけじゃ無理なのよ・・・」
まもりの手は冴子の耳に。冴子は血を吐いた。
「貴女にだってわかるでしょ?わかるから私と、手を組んだんでしょう?」
冴子はまもりの瞳から目を離すことができない。
「どうして銃まで使って1人の命も奪えないんですか?」
声が遠い。
「進さんも薫さんも優しかったわ、こんな・・・私の言うことを信じて」
また、泣いている。
「死の間際まで信じていたわ」
この娘を、今ここで殺しておかなければ。
「がんばって殺したのに・・・それなのにあなたは・・・!」
「どうして追わなかったの?裏切られたのは私の方だわ」

268 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:45:42 ID:6CUVVi5B0
「私は貴女に期待してたのよ・・・・・・?」

冴子はまもりに支えられ、倒れることはできない。
足元に広まった血溜まりが冴子の残りの命を物語っていた。

「ああ・・・見て。冴子さん。こんなに血が流れて。――貴女の血よ」
掬い上げた華奢な手のひらに冴子の血溜りができている。

冴子の背部に銃口が当てられた。

「震えてるわ、怖いのね。大丈夫。痛いのはもうすぐ終わるから」
冴子の声にならない叫びが密着したまもりの胸に伝わってくる。
天使の様な瞳の少女が涙を流して。口の端が切れて、痛々しく、血が滲んでいる。  
世界が恐怖に揺れた。冴子の身体が震えているのだ。口からは意味をなさない音が漏れる。
これは絶望だ。目の前にいるのは悪魔でも、天使でもなく、底のない絶望の渦だ。
ブラウン管向こうではない。現実に、目の前にいるのだ。

――ごめんなさい

――ごめん なさい、ごめん なさい、ごめん なさい

冴子はまもりの瞳から目を逸らせず、まもりは冴子の瞳から目を逸らさない。
 冴子は、ついに心の底から、自分が殺した女の子に許しを乞うた。
殺し合いの恐怖が、殺しあう苦痛が、体の中を暴れまわる。
自分が最初に殺さなければ、こんなことは起こらなかったのに。
大阪の街で、脳裏に焼きついた忌まわしい映像が、冴子の心と共に粉々に崩れ落ちた。
――ごめんね

衝撃が身体を走り、暖かい光が冴子の身体を包む。
冴子は胃液を吐き、地面に突っ伏した。
朦朧とする意識の中、声を聞いた。

269 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:52:56 ID:6CUVVi5B0
ベホイミの光。傷を癒す魔法。
自分の血溜まりに突っ伏した冴子は、傷が塞がっていることにも気付かず
動けない。
――冴子さん。貴女の身体、戻しておきました。
  これからは別行動にしましょう。私たち、合わないみたいだし。そのほうがいいわ。
  あの男の子達の始末は任せましたよ。
  私は疲れたので少し休んできます。
  あと、重要な事を言っておきます。セナに手を出したら今度こそ殺します。
  あなたがどこにいてもかならずころしにいきます。
  だから、しょたいめんのひとにはれいぎただしくしてかならずなまえをきいてから
  ころしてください。わかりましたか?わかったらへんじをしてください。

冴子の髪が優しく撫でられ、上体を起こされる。
少女は血まみれで、痛々しい。手が暖かいのは本気だからだ。
――なかないでください。いつでもあなたをみまもっていますから。 
  ね、へんじして、さえこさん。
流した涙も本気で、心細いのも真実なのだろう。
この娘は、この世界に来て、正気のまま狂ってしまったのだ。  


「・・・・・・・・・・・・」
冴子は、まもりが恐ろしくて仕方がなかった。
そして、ほんの少し、悲しくなった。





270 :白の闇 再生の赤 ◆XksB4AwhxU :2005/12/18(日) 18:54:45 ID:6CUVVi5B0
【京都と大阪の境/午前】

【姉崎まもり@アイシールド21】
 [状態]:唇に出血、殴打による頭痛、腹痛。 右腕関節に痛み。
 [装備]:魔弾銃@ダイの大冒険
     中期型ベンズナイフ@ハンター×ハンター、  
 [道具]:荷物一式×2、食料二人分(それぞれ食料、水は一日分消費) 、焦げた首輪
     クライスト@BLACK CAT 
     魔弾銃専用の弾丸@ダイの大冒険:空の魔弾×1 ヒャダルコ×2 イオラ×1 キアリー×1 ベホイミ×1
 [思考]:1少し 休息
     2セナ以外の全員を殺害し、最後に自害

【野上冴子@CITY HUNTER】
 [状態]:精神ボロボロ 疲労 まもりに恐怖。
 [装備]:毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器)
 [道具]:荷物一式、食料二人分
 [思考]:1まもりの命令通り、越前、新八のいずれかを追って殺す。
     2人間に恐怖、嫌悪。
      *黒の章の洗脳は解けましたが、まだ人間に対し強い拒絶が残っています。



271 :旋風◇fothlRW20:2005/12/18(日) 20:54:38 ID:s2Fpx0Do0
「…むっ!」
ヤムチャの言う『孫悟空』と思われる高い戦闘力を持つ、いくつかの大きな光点の位置を地図に描いていた両津の鉛筆が止まり、表情が険しくなる。
両津の顔を覗き込んだ乾が声をかける前に、両津は三人の顔をスカウター越しに見回して口を開いた。
「たった今、二人死んだ…」
「「「!!!」」」
それまで和やかだった四人の空気が一変する。
「光点が二つ、消えた。戦闘力はどちらも一般人程度…位置はここだ」
両津は京都と大阪の境のあたりにバッテン印を描く。
「それって、ヤムチャさんを襲った人…?」
ひどい傷を負って血まみれになっていたヤムチャを治療した事を思い出し、サクラの背筋に冷たいものが走る。
「わしがプロの棋士ぐらい記憶力があったなら、百個以上の光点の位置や動きを覚えてられるんだろうがな…」
以前、元の世界の派出所で目隠し将棋や目隠しチェスをやって中川や麗子を負かした時に、
『プロの棋士なら対戦したすべての棋譜を覚えてるが、両津はその場で忘れる』と
言われたことを思い出し、思わず自嘲の笑みが口元を掠める。
「みんな見てくれ」
答えながら両津は地面に落ちていた小枝を拾い、二つずつの円を三組描いた。

272 :作者の都合により名無しです:2005/12/19(月) 04:43:36 ID:4qvTDn9mO
>>271は無効です

273 :作者の都合により名無しです:2005/12/22(木) 21:30:58 ID:H2KVfCnr0
しかし、なぜかサクラがいきなり服を脱ぎだした・・・。
そして、裸体をあらわにしたサクラをまじまじと見つめた3人は・・・

274 :大先生 ◆i.8CuvRLgY :2005/12/24(土) 21:55:50 ID:j0VIRoRd0
二人が出会ってもう1時間が過ぎただろうか。
綾とクリリンは名古屋の東本願寺別院に着いて何もすることなく過ごしていた。
ぱらぱらと外が何やらうるさい。
何だろうと思い、2人が外へ出てみると、自分たちのほぼ真上辺りの空にヘリコプターが飛んでいるのがわかった。
自分たちの様子でも撮っているのか?と思ったが、徐々にこちらの方に近づいてきた。
「何だぁ?」
クリリンの声がかき消されそうなほどの音がする。
ヘリと2人の距離が10メートルくらいにせまってきた時、ドアが開き人が顔を出してきた。
「だ、誰・・・?」
綾が見上げても逆光のせいでその姿が誰だか確認できない。
そのヘリの奴は2人に向けて何かを構えた。
こんなものが発射されたら建物1つ簡単に吹っ飛ぶだろう。そんな物をそいつは人間に向けて構えているのだ。
「綾さん、逃げるぞ!」
と言った瞬間、大砲が発射された。

275 :空からの襲撃:2005/12/24(土) 21:57:54 ID:j0VIRoRd0
別院は一瞬にして全壊し、炎につつまれた。
「い、痛・・」
爆風で2.30メートル身体が吹き飛ばされた。地面にこすってできた傷、建物やガラスの破片でできた傷が体のあちこちにでき、熱風でやけどもしている。
ジーンとずっと音がする。爆音で鼓膜がおかしくなっている。
綾は起き上がり周りを見た。
煙に覆われていて何も見えない。
「クリリンさん!?どこ!!」
隣にいると思っていたクリリンがいない。あの爆風にクリリンもどこかに吹き飛ばされたのだ。
一体誰よ!こんなことしたのは!!
そんな煙だらけの空間にヘリが綾の目の前に着地した。
ヘリの中から出てきたのはピンクの道着を身にまとい長髪の男だった。
「誰・・・」
煙でぼやけていてまだはっきりと綾の目にはその姿が見えない。
その長髪の男は綾に近づく。
「殺してやる」
プロペラも止まり、男の声がわずかながら聞こえた。

276 :空からの襲撃:2005/12/24(土) 22:00:23 ID:j0VIRoRd0
「殺し屋?」
道着の間から見える殺の文字、桃白白だ。
何で殺し屋がヘリに乗ってるの?そもそもヘリなんてどうやって・・・。
「死ねぃ!!」
桃白白は腰に両手をまわし銃を取り出した。
ショットガンを座り込んでいる綾に向けて構えた。
煙は相変わらず辺り一面をつつむ。
桃白白が今どんな目をしているのかわからない。眼には傷だらけのおびえた自分の顔しか映らない。
クリリンがどこにいるかわからない。
綾はどうすることもできなかった。
もう死を覚悟するしかなかった。

パァーン
脳を、心臓をえぐるはずの銃弾はしかし、綾の膝を打ち砕いた。
声にならぬ悲鳴を上げ、転げる綾。薄ら笑いをうかべた桃白白は、次々にその周囲に銃弾を打ち込む。決して当たらぬよう
に注意しながら。

277 :空からの襲撃:2005/12/24(土) 22:02:39 ID:j0VIRoRd0
そのまま素直に射殺するもりは、無かった。

桃白白の仕事は、ただ殺戮して回る事では無い。この「ゲームの報酬」
をもらうことだ。ならば--

桃白白は、子供の頃から弱い相手を嬲るのが好きだった。
ただ嬲るだけでは面白く無い。相手にいったん「希望」を与え、そ
の上でその希望もろとも打ち砕く。より深いこの絶望に耐えられる
人間はいない。その絶望が、彼の歓びになる。

「こいつと一緒にいたのは何て奴だったったか? そうだ、クリリンとか
 言ったな。
 クリリン、早く来い。
 奴が死んでいないのは判っている。どちらも死なないように注意
 深く選んだ場所にロケット弾を打ち込んだのだ。
 奴が来て、こいつに助かるかも知れないと希望が芽生えたその 時こそ、眉間に一発打ち込んでやる。
・・いや、先にクリリンを殺ってからの方がより絶望が深くて良いかな?」
そう考えるだけで桃白白の
体は歓びに打ち震える。時ならず彼の分身にさえ力がみなぎっ
て来ていた。

278 :空からの襲撃:2005/12/24(土) 22:06:23 ID:j0VIRoRd0
【東城綾@いちご100%】
状態:吸血鬼化・軽傷
装備:特になし
道具:荷物一式
思考:1.真中に会う。
    2.絶望的
【クリリン@ドラゴンボール】
状態:体力と気を共に大きく消耗・精神不安定
装備:悟飯の道着@ドラゴンボール
道具:荷物一式(食料4日分)・ディオスクロイ@ブラックキャット
思考:1.できるだけ一般人を減らす。
    2.まずピッコロと合流し、出来る限りの参加者を脱落させてピッコロを優勝させる

279 :空からの襲撃:2005/12/24(土) 22:09:26 ID:j0VIRoRd0
【桃白白@ドラゴンボール】
状態:健康
装備:脇差し、大砲
道具:ジャギのショットガン(残弾20)@北斗の拳・二人分の食料・支給品一式
思考:1.孫悟空、ピッコロ以外の参加者をできる限り殺す。
    2.孫悟空を殺して優勝し、主催者からご褒美を貰う
ヘリコプターと大砲はそこら辺で拾いました。

【名古屋/1日目・昼】





280 :作者の都合により名無しです:2005/12/24(土) 22:13:27 ID:bGKf3N730
>>274-279は当然ですが無効です。


281 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 08:03:31 ID:TUFt1ahL0
>>280
>>273は無効じゃないんですかw

282 :じゃあ僕は警察官!:2005/12/25(日) 19:57:15 ID:sJb08gP8O
「王子様か何だか知らねえが」
と、跡部は越前に向かって自分の胸を差した。「俺が王様(キング)だ」
「俺はたけし。まさにリーダー的存在だ」
「俺は世界一の海賊王になる男だ!」
「僕は新世界の神になる」
「俺は人間をやめるぞ!!」

「アンタは?」
「えっ?」
隣の海馬に突然尋ねられ、大原部長は面食らった。
「い、いきなり聞かれても」
その場にいたメンバーの鋭い視線が、一斉に大原に注がれる。
「わ、わしは、その……」
一筋の冷や汗が、大原のやつれた頬を舐めるように滑り落ちる。
「えーと……じゃあ……」

【完】

283 :裁断・祭壇:2005/12/26(月) 02:06:25 ID:3ZsyCHfV0
「おい、雷電さん…」
「いや、大丈夫だ。問題ない」
 少年、奈良シカマルは同行者に声をかける。同行者の名は雷電。古今無双の博覧強記を誇る、
偉丈夫であり、古今東西の武術に通じた豪傑でもある、男塾の知識の大家。男、雷電は、傍目には
何の動揺も無いかのように、微塵も揺るぎはしていないかのように。しかし。
 先ほどの放送、剣桃太郎の名前が呼ばれた瞬間の雷電の様子を知る、シカマルは理解していた。
雷電の心を走る、例えようが無いほどの痛苦を。身を引き裂かれるような痛みを押し隠し、今の彼が
あるということを。

(18人も死んでる…いや、殺されたって言うのかよ…ったく、メンドクセェな)

 シカマルは歯噛みする。自分の見通しの甘さに対して。

(確かに…考えてみれば、当然のことか。あそこには、どう見ても殺し合いとは縁の無い連中も大勢いた。まるで
 里の連中のように。そんな奴らが、殺し合いの場に投げ込まれて、平静でいられるわけがねぇ。守るために殺すか、
 生きるために殺すか。それとも、狂っちまって、殺すために殺すか。…ったく、メンドクセェったらねぇぜ)

 今、自分が持っている支給品、仙豆。これは、間違いなく、どのような参加者も、喉から手が出るほど欲しがる一品だろう。
これは、確実に争いの火種となりうる。もし、仙豆の存在が他の参加者に知られれば、だが。

 幸いなことに、今、仙豆の存在を知っているのは自分と雷電の二人だけだ。そして、仙豆は、争いの火種となりうるのと同様に
争いの火種をかき消す救いともなりうる。この場で廃棄するわけには行かない。

 二人の男は歩みを進める。二人の影も、それに続いて…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


284 :裁断・祭壇:2005/12/26(月) 02:06:56 ID:3ZsyCHfV0

(よかった…キルアは無事か…)
 少年、ゴン・フリークスは大きく息をついた。あくまで、密やかに。決して、誰にも気付かれないように。
湧き出てくるのは、微かな安堵。自分の親友が生きていたという事実。そして、先程までの、もしもという想像が
妄想であったということに対する、感謝。
(もう18人も…)
 少年、ゴン・フリークスは大きく息をついた。あくまで、しめやかに。疑いようの無い、鎮魂の思いを込めて。
湧き出てくるのは、確かな怒り。大勢の人間が、塵のように死んでいったという事実。そして、先程までの、もしもという想像が
いつでも現実に変わりうるという事実に対する恐れ。

 キルアは強い。いつも冷静、沈着で、自分のように自ら窮地に突っ込んで行ったりはしない。それは確信。

 だが。
 それでも。

 俯くゴンの脳裏によぎるは、自分の父親、ジン。そして、ジンの教え子だったという、腕利きハンター、カイト。

 カイトは、すごいハンターだった。でも、自分たちを庇って、癒えない傷を負った。だからこそ、不安が消えない。消えてくれない。
不安は、まるで纏わりつく影のように。不安は、常に自分と共にある。そう、まるで影法師であるがの如く。

(キルアは絶対生きてる!もしかしたら、怪我をしてるかもしれないけど、こんな訳の分からないゲームなんかで絶対に死んだりしない!!)

 少年、ゴン・フリークスは顔を上げる。見つめるものは彼方の未来。だが、その様は、まるで、自らを縛ってやまない不安の影絵から逃れようと
闇雲に足掻いているかのように。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


285 :裁断・祭壇:2005/12/26(月) 02:08:20 ID:3ZsyCHfV0

 進むこと数刻。シカマルと雷電が見た光景。それは一人の男が、まるで生贄に捧げられたかのごとく、天高く串刺しにされていたというもの。
(惨いことを…)
 男、雷電は数秒の黙祷を捧げる。ふと、隣をみると、同行者、奈良シカマルも同じように目を瞑って祈りを捧げていた。
その様子は、まるで何かの神聖な儀式。供物に捧げられたのは、昨晩までは笑い、泣き、生きていたであろう人の形の残滓。人間の…亡骸。
(剣殿…お主の最期はどうだったのだ。男として、悔いの無いものを遂げられたのか…)
灼熱が込み上げるのを感じながら、あくまで表には出さず、雷電は問う。男塾一号生筆頭、今は亡き剣桃太郎に対して。
怒りの矛先は、主催者に対してか。それとも、このような残虐な所業を行う、悪魔に対してのものなのか。

(これは…土遁の術によく似てやがるな…。まさか、大蛇丸って野郎か?)

 奈良シカマルは考える。最善手とは何か、を。

 そして、一薙ぎの風が流れ―――

 人知れず、シカマルは苦笑。傍らの男に声をかける。この男を埋葬してはどうか…と。
このような無惨な状態のまま放置しておくのも心が咎めるし、このような非道なオブジェは、更なる悲喜劇の引き金となるのも
確実だろう。なにより、そのようなことは、この死んでいった男も望んではいまい。
 勿論、雷電に異論などあるはずも無かった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



286 :裁断・祭壇:2005/12/26(月) 02:09:11 ID:3ZsyCHfV0
「しっかし、誰にも会わねぇな」
「うむ、しかし、ここが最大の都市であるのも事実」

 埋葬が終わり、しばし。雷電とシカマル、二人が話すのは、今後の行動について。

「なぁ、雷電さん。オレとしては、ここで一旦別行動をとらねぇか?」
「別行動、とは?」
「雷電さんは、ここで他の参加者を待つ。オレは、移動しながら、他の参加者を探す。
 効率的に仲間を集めねぇと、ある程度状況が出来上がっちまったらどうしようもなくなるぜ?」
「ふむ…」
「オレは、東北ってトコに行ってみようと思ってる」
「そうだな…それもよかろう」

 雷電とシカマル、二人が話すのは、今後の行動について。


 物陰からその様子を眺めるのは、少年ゴン・フリークス。
(別行動か…もしとるなら、移動するほうについていったほうがキルアに会いやすいよね)
 自分のデイパックを掴み、すぐに行動に移れるように身構える。

 彼は知らない。探し人、キルア・ゾルディックの居場所は何も。

 誰も知らない。シカマルが。雷電が。ゴンが。
 彼らが探し人に会えるのか、ということは。



287 :裁断・祭壇:2005/12/26(月) 02:20:31 ID:3ZsyCHfV0
【東京都/午前】

【ゴン・フリークス@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)、テニスボール×3@テニスの王子様
[思考] 1:キルアを捜す
     2:奈良シカマル・雷電を尾行し、情報を集める

【奈良シカマル@NARUTO】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(食料一食分消費)・仙豆(一粒)@DragonBall
 [思考]:1.東北に移動
     2.知り合いとの合流(男塾メンバー含む)
 
【雷電@魁!!男塾】
 [状態]:健康
 [装備]:木刀(洞爺湖と刻んである)@銀魂
 [道具]:荷物一式(食料一食分消費)
 [思考]:知り合いとの合流(うずまきナルト、春野サクラ含む)

【備考】ゴンのテニスボールですが、あとの二つはデイパックの中に入っています。



288 :作者の都合により名無しです:2006/01/01(日) 11:20:01 ID:pG6swbwX0
ほしゅ

289 :作者の都合により名無しです:2006/01/02(月) 14:28:22 ID:EXYPAo0C0
保守

290 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 03:06:29 ID:i7qzFo+lO
保守

291 :読者諸君、待たせたね!それではそのつぶらな瞳をしっかりあけて僕の:2006/01/04(水) 20:31:36 ID:zKPL//RY0
エレガントなバトルをしっかり堪能してくれたまえ!by趙公明

「まずは名前を聞かせてもらおうかな。僕は貴公子、趙公明だ」
「私の名はラーメンマン、正義超人の一人だ」
相対する二人の男。趙公明は不敵な笑みを浮かべ、まるでおやつを待ちきれない子供のように武器である如意棒をくるくる回し、
目の前の男、ラーメンマンとの戦いを今か今かと心待ちにしている。
対してラーメンマンは脂汗を浮かべ、その顔には余裕は無い。口うるさい支給品、飛刀が散々口にしたある男の名、
その男が今目の前にいる。飛刀が言うには趙公明は強大無比の力を誇り、飛刀の知る限り最強に近い男らしい。
それを聞いてラーメンマンもある程度覚悟していたが…どうやらその認識が甘かったらしい。
対峙している今、ラーメンマンは痛感しているだろう。この男の強大さと…狂気ともいえる飽くなき闘争心。
お互いの命を拳に乗せ、敵の生命を砕く。それが戦いのはず。それなのにこの男は自らそれを望んでいる。
ラーメンマンとて正義超人として数多くの死闘を繰り広げてきた。しかしそれらはあくまで誰かを守るため、自分を守るためのもの。
この男のように自己の欲求を満足させるために戦ったことなど一度も無い。
趙公明は未だ笑みを絶やさない。しかしラーメンマンにとってその笑みはとても中身の無いものに見えた。
まるで、戦いが始まるまでの暇つぶし、彼の奥底に燻る狂気を隠すための笑顔、そんな風に見えたのだ。

「さぁ、君も先程のやり取りを見てただろう。もう僕達の間に言葉はいらない。
 僕が欲するのは殺意を込めた麗しき拳のみ!」
「…良いだろう、私も正義超人としてこの拳で応えよう!
 貴様の狂気を打ち砕くために!」

ラーメンマンは右腕を伸ばし、拳を趙公明に向ける。
戦いの礼儀、たとえこれから殺し合いをする相手にでもラーメンマンは礼節を守る。
その様を見て趙公明も左拳で応える。

「あちらに森の中ながら開けた場所がある。そこでやろう。
 …貴様も全力でやれるほうがだろう?邪魔者無しでな」
ラーメンマンが先に歩き、その後ろを趙公明がついていく。
ここは周りからも一目瞭然の状態にある市街地。いつ何時邪魔が入るか分からない。
新たな殺人者が発見すればこれ以上の危険が発生することになり、逆に正義超人のような志を持つ人間がこれば
その人に危害が及ぶかもしれない。それはラーメンマンの本意ではないし、この男は自分ひとりで倒す気でいるのだ。

292 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:32:50 ID:zKPL//RY0
「一つだけ貴様に聞きたいことがある。…この髪飾りに見覚えはないか?」
「ずいぶん可愛らしい髪飾りだけど、残念ながら僕の趣味ではないし、見たこともないね」
短い道中の間、二人が交わした言葉はこれだけ。
この男は確実に何人か殺害しているはず、ならばこの少女もこの男が…と考えていたラーメンマンの憶測は外れたようだ。
だが、この少女を殺害していないといえど、この男を野放しにしておくと必ず誰かを殺す。
ならば、今ここで止めよう、人として、正義超人として。
ラーメンマンは決意を固める。

――おい、後ろを向けて大丈夫なのかよ!?背中を狙われたらどうすんだ!
「ふ、いつもは愚痴ばかりのお前でも心配してくれるのか」
普段なら敵に背を向けることは無いラーメンマンだが、趙公明は正々堂々、力対力の勝負を求めているのは分かっていたので
不意打ちはない、と分かっていた。だからこそ敵に背を向け、より戦いやすい場所へ移動しているのだ。

――ば、馬鹿!旦那は趙公明様の強さを知らないからそんな強がっていられるんだ!今すぐ逃げろって!
「飛刀、そんなことは分かっている。相対した瞬間に奴の強さを肌で感じたのだ。
 …だが、私は逃げるわけにはいかないのだ。奴がどんなに強かろうと。奴が見境無しに戦いを求める限りな」

ラーメンマンはポケットに手をやるとその中で強く握り締める。誰かも分からない少女の形見、髪飾りの欠片を。
殺されると分かったとき、さぞ怖かったろう、哀しかったろう、…生きたかったろう。
彼女が最後に胸に思い浮かんだ人物はどんな人だろう?彼女が戻りたかった故郷はどこだろう?彼女が抱いていた夢はなんだったんだろう?
今ではもう何も分からない。ただ、分かるのは彼女が生きようとしたことだけ。
この趙公明が本当に殺してないかどうかは分からない。ただ、奴も同じように人の命を奪おうとしているのは同じだ。
…そんなことはさせない、正義超人として私が皆を守る!彼女のような悲しい人をこれ以上出さないためにも!

「着いたぞ。ここなら障害物も無いし、四方が森に囲まれていて私達に戦いに邪魔が入ることもあるまい」
趙公明は辺りを見回す。この開けた場所を囲むように森が広がっている。
絶好の決闘場。ようやく強者と戦える…それだけで趙公明は自身の胸の奥に燻る炎が燃え上がるのを俄かに感じていた。


293 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:33:30 ID:zKPL//RY0
「飛刀、おまえはここで見ていろ」
ラーメンマンは開けた土地の端の地面に飛刀を刺し、丸裸で中央に向かおうとしている。
――おい!何手ぶらで戦おうとしてるんだよ!殺されるぞ!
「飛刀よ、私に武器があるとすればこの鍛えられた肉体だけだ。下手に武器を使おうとすれば逆に敵に隙を与えることになる。
 …正義超人の仲間と共に戦い抜いたこの肉体は私の誇りなのだ。だからそこで見ているんだ」

「…お別れの挨拶はすんだかい?」
「残念ながらそんなものはしてない。奴の五月蝿い愚痴を聞くのも悪くないのでな」

お互い後ろに跳び、距離を置く。そのままお互い動かなくなり、相手の隙を伺う。
ラーメンマンの後ろで飛刀がギャーギャー喚いているが、二人の耳には何も聞こえない。
二人の鼓膜に響くのは相手の吐息、筋肉の弛緩、骨の軋み…相手のこと以外何も耳に入らないのだ。


「む…」
趙公明が僅かながら動きを見せると、ラーメンマンも攻撃に備えて趙公明の動作を注意深く凝視する。
しかし当の趙公明が見せた動きは、人差し指を相手に見せつけ、それを上下する動き。
そう、趙公明は誘っているのだ。己の力量をお互いにぶつけ合い、壮絶な戦いをするために。

「よかろう…!!!」
「…速い!!!」
先に動いたのはラーメンマン。溜めるに溜めた力を脚に込め、一瞬で趙公明に肉薄する。
だが、趙公明もその一瞬を呆然と見詰めていたわけではない。
その一瞬の動作に応対し、趙公明は如意棒を振りかざし、タイミングを合わせラーメンマン目掛けて振り下ろしていた。

「とぅ!」
「く!」
タイミングどおりに繰り出される趙公明の斬撃をなんとか致命傷を避けるべく身を捻り左手を使い如意棒を受け流す。
しかし腐っても趙公明の斬撃。受け流したはずの左手に深刻なダメージを受けてしまう。


294 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:34:10 ID:zKPL//RY0
「…だが!」
そのまま流れるように受け流し、猛スピードで趙公明の脇を通り過ぎる際1,2発パンチを繰り出す。
だが所詮は苦し紛れに打った拳、本腰の入っていない攻撃ではさしたるダメージは与えられなかった。
「ハッハッハ!こんな拳じゃ虫は殺せてもこの趙公明は倒せないよラーメンマン君!」
それでもラーメンマンはひたすら走り続け、円状に趙公明の周りを旋回する。

「逃げてばかりいないで僕の相手をしたまえラーメンマン君!」
ひたすら旋回しているラーメンマンになぎ払うかのように水平線状に攻撃を加える。
「ぬおおおおおおおお!」
加速していく我が身に刃を剥いて襲ってくる如意棒。
その様はまるで死神のカマ。この速度で趙公明の一撃を食らえば死は免れない。
ラーメンマンは迫り来る如意棒を馬乗りの要領で跳ね、なんとか攻撃をかわす。

「安心しろ趙公明!次はこちらから出向いてやる!」
ラーメンマンは円状に走り回っていたが、進路を急転回し、まっすぐ趙公明に向かって突き進む。
まるで列車のようだ。空気を切り裂き、風を生み出す。その線路上にいるものは間違いなく跳ね飛ばされる!
だが趙公明は逃げ出さない。巨大な山を動かさんとするように如意棒を構え、チャンスを伺っている。
いかに猛スピードで突っ込んで来ようが所詮は直線の動き、タイミングさえ合えば先程のように迎撃はたやすい。
むしろ加速すればするほど趙公明にとって有利になる。
趙公明が狙っているのはラーメンマンが攻撃するその一瞬…カウンターを虎視眈々と狙っているのだ。

「来たか…これでTHE ENDだよラーメンマン君!―――!?」
今か今かと待ち構える趙公明に見向きもせずそのまま走り去るラーメンマン。
趙公明はすり抜けていく瞬間自身も振り返り攻撃を加えようとするが残念ながら空を切り、
如意棒は凄まじい唸り声を響かせるだけに留まった。
ラーメンマンを取り逃がしたと分かると趙公明は急いで身の回りを見渡すが、ラーメンマンを探すがどこにも見当たらない。
まだ見失ってから1秒ほど、しかしラーメンマンの姿はどこにもない。まるで狐に包まれたかのような表情を浮かべる趙公明だが
思わぬところからその者の居場所を知ることになる。

295 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:38:33 ID:zKPL//RY0

「 飛翔龍尾脚! 」

趙公明の遥か頭上、天空から龍が趙公明の左肩に一撃を加える!
その龍とは他ならぬラーメンマン、彼は趙公明の頭上を跳びまわっていたのだ。
しかし趙公明も名の知れた大仙人。技がヒットするまえに気配を察知し身を捻り、ダメージを軽減していた。

「趙公明!これでもう貴様は私の姿を補足出来まい!縦横無尽に空を駆け回る私の技をよけきれるか!」
そう、ラーメンマンは趙公明の脇をすり抜けた後、そのまま木に飛び移り、いや、正確には木の太い枝に飛び移り、
加速して得た速力を利用して枝をバネのようにして跳ね、そのまままた違う木の枝に移り、また跳ねる。それを繰り返している。
その姿はまるで空を支配している龍が如し。そして今、龍は牙を剥いて趙公明に襲い掛かろうとしている!

「なるほど、これなら攻撃も加速のせいでワンパターン、二次元的な直線状の攻撃にならないし、より多角的に攻撃できる」
「そうだ趙公明!私が攻撃を行わずひたすら周囲を旋回していたのは自由に跳びまわるための速度を得るため!
 そのために私の持てる超人パワーの全てをこの二本の脚に注ぎ込んだのだ!」
ラーメンマンは東から西、西から南、南から北と空を駆け回る。
木の枝をまるでリングのロープのように利用し、己の力として蓄えているのだ。

「ブラボー!なんて素敵な戦い方なんだ、まるで龍に跨る戦士だよラーメンマン君。その華麗さ、貴族の品位すら漂わせている」
「趙公明!いい気になっていられるのも今のうちだ!食らえ!」

「 回 転 龍 尾 脚 !」

その姿は敵の命を喰らいつくさんとする龍!
まるでドリルのように自身の体を鋭く回転させ、趙公明の心臓を抉ろうとするラーメンマン。
この技を喰らえば趙公明の心臓は龍の牙に貫かれるが如く簡単に貫通されるであろう。



296 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:41:49 ID:zKPL//RY0


 ド ク シ ャ ア ア ア !

 
辛うじて如意棒を盾にし攻撃を防いだ趙公明だが、超人であるラーメンマンが限界まで加速し、それを更に
木の枝をばねの如く利用して速度を増し、その勢いと共に襲い掛かる回転龍尾脚の衝撃を完全に殺すことが出来ず
体ごと後ろの木に叩きつけられる。速度を増したラーメンマンの動きは察知できても身をかわすことは出来なかったのだ。
その衝撃で背骨を強く打って思わず意識が飛びそうになるが持ち前の闘争心で意識を取りとめ
即座に立ち上がり反撃に移ろうとするが、ラーメンマンの姿は既に無く、
空の支配者の如く空を駆け回っていた。

先程までは圧倒的に有利だった趙公明だが、一転、劣勢を強いられている。
だが、その顔に未だ不敵な笑みを浮かべている。いや、より一層、大胆不敵に笑っている。
そう、趙公明にとって、この己が劣勢に立たされている現状でさえ望んでいたものなのだ。
自身が血を流し、命を砕かれんとするこの戦場、全ての力を駆使し、敵を排除しようとする強者との戦い。
それらを得るためなら趙公明は喜んで血を流すだろう、怪我を負うだろう、命を落とすだろう。
そして今、全てが今ここにある。これを笑わずにしてどうするというのだ。

「 フ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ !!!」

「これだよ、これなのさ僕が求めていたのは!あの太公望君以来ご無沙汰だったトレビアンな戦いは!」
「…化け物め!!!」
趙公明の顔からいつも絶やさなかった不敵な笑みが遂に消え、今は狂気を纏った悦びの顔を浮かべていた。
その悪魔さえ裸足で逃げ出すような狂喜の形相に数多くの超人と戦ってきたラーメンマンですら畏怖し、戦慄を覚えていた。
しかしラーメンマンはその恐怖を正義の意思をもって跳ね除ける。
そして拳を強く握り、あの少女を思い出す。カラス達に啄ばまれ、醜悪な姿となった哀れな少女を。
今ここで趙公明を倒さなければ…あの少女のような人が増えてしまう…この者の狂気の犠牲になる人が出る。
そんなことは私がさせない…正義超人の名に賭けて今ここで倒す!キン肉マン!ウォーズマン!バッファローマン!
私に…力を…貸してくれ!!!

297 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:42:44 ID:zKPL//RY0
「次で全てを終わらせるぞ趙公明!次の一撃に全身全霊の力を込めて貴様を葬る!」
ラーメンマンは必殺の一撃を繰り出すために更に脚に力を込め、木の枝を更に強く踏み込みスピードを加速させる。
更なる加速に身体が悲鳴をあげる。いかに人間を超えた超人といえどこれ以上の加速は不可能。身体に負荷が大きすぎる。
特に趙公明の斬撃を受けた左手からは随時深刻な痛みが伝わってくる。もはや左腕はこの加速についていけてないのだ。
「(頼む私の体よ…あと一撃で良い…あと一撃で良いからもってくれ!)」

「良いだろうラーメンマン君…僕も全力を持って君を龍の背から引き摺り下ろしてあげるよ」
「なんだと!」
ラーメンマンの顔がかすかに歪む。

「そう、君のスピードの正体、龍の背とはずばりその木の枝だ!君自身では作り出せないその速度を
 木の枝を利用することでそれを得ていたのさ。
 …つまり君を一度でも地上に引き摺り下ろせばもうその加速は得られない!」
趙公明はそう断言すると右手に如意棒を持ち、突然後ろに聳え立つ木に斬撃を加える。
するとメキメキと鈍い音をたてゆっくりと傾いていき、ずどんと音をたてて倒れた。

「だが、この開けた土地の中央にいてはそれは困難。君を捕まえようとしても先程の僕のように
 君のスピードに翻弄され、あらゆる方向から攻撃され結局はやられるだけ」
そういいつつ趙公明はまた一本、二本と木をなぎ倒していく。
ラーメンマンは不可解に思いつつも趙公明の真意を確かめるべく手が出せなかった。

「ならば君を捕まえるための環境を作ればいいだけのことさ。
 そしてそれはもう完成したよラーメンマン君。ちょっとエレガントじゃないけどね。
 …ここにいれば君はもう直線上に攻撃するしかない!」
そう、趙公明が木々をなぎ倒していたのは罠を作るため。
この円状に開けた土地の端っこに通路のようなものが出来上がっている。
趙公明はその通路のような場所の最奥に立ち、如意棒をくるくると回し、身構える。

「なるほど趙公明、そこにいれば側面背後からの攻撃は不可能。
 攻撃角度も限定されてくる。考えたな…背水の陣ならぬ背木の陣といったところか」
「そうさ、それと同時にこれは罠なのさ。君を捕まえるためのね。
 …餌は僕の命でどうだい?」

298 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:44:41 ID:zKPL//RY0
ラーメンマンはその言葉に応えるように限界まで加速した身体を奮い立たせ、趙公明に狙いをつける!
「いいだろう趙公明!その罠ごと貴様の命を粉砕してやろう!」
「それでこそこの僕が見込んだ麗しき拳士!君を見事打ち倒し勝ち名乗りを揚げさせてもらうよ!」
趙公明は天に住まう龍を地に落とすかのように両手で如意棒を握り天高々に掲げると天を貫かん勢いで如意棒を伸ばす。

お互いに最後の一撃を繰り出す準備は整い、あとは技を放つのみ。
まるで加熱していく炎のように高まる緊張感が場を支配し、死の重圧が二人に圧し掛かる。

だが、どちらからともなくある言葉を口にし、周囲に響き、最後の戦いの火蓋は切って落とされた。



                    「「勝負!!!」」


その言葉を切目にラーメンマンは趙公明目掛けて飛び掛り、趙公明は天に聳え立つが如く存在する如意棒を振り下ろす。

「うおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおお!」
「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

二人の怒気を孕んだ叫び声が周囲に木霊する。その声は最早人間が発する言葉じゃなかったかもしれない。
二人が胸に抱いている感情は、純粋なる殺意。言葉による交渉や取引など存在しないこの殺し合いの場。
そこにあるのは己が力をもって相手を捻じ伏せる極めて原始的な行為しかない。
人間の理性なんかいらない。必要なのは殺意と敵を粉砕する己の拳のみ。

「その身に喰らえ趙公明!これが私の持ちうる最大の拳だ!」

ドリルのように自身の体を鋭く回転させ、趙公明に襲い掛かろうとするラーメンマン。
だが、この技は…回転龍尾脚そのものだ。

「舐められたものだよ僕も…一度見せた技が最大の拳だなんて…―――!?」

299 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:45:13 ID:zKPL//RY0
趙公明は驚愕する。一度見たはずの技が全く違う形を成していってるのだ。驚愕するのも仕方ない。
そう、ラーメンマンは二度同じ技を繰り出すつもりは毛頭無かった。
今ラーメンマンが形作っている技は回転龍尾脚のように回転はしているがそれだけではない。
自身の身体を回転させながら全身を使って、まるで龍の動きを再現するかのようなうねりを加えている。

「これが私の最大の技!」


                   心  突  錐  揉  脚  !



「なんてゴージャスでビューティフルなんだ…君の技はピカソの絵画より美しいよ」
趙公明はそのラーメンマンの技の華麗さに思わず目を奪われてしまう。
しかし、その内に秘めた闘争心は冷めるどころか、ラーメンマンの華麗なる技に刺激され、
より一層メラメラと、地獄の業火のように燃え上がる!

「そうだよラーメンマン君、僕達の麗しき戦いの終幕にこそ、このようなエレガントな必殺技が必要なのさ」
「…好きなだけ妄言を垂れ流すが良い!」
ラーメンマンは趙公明から溢れ出す狂気に触発され、次第に心の中で不安という感情が増大していくが手に取るように分かっていた。
しかし、それに囚われないために必死で耳を塞ぎ、今この瞬間に全てを集中している。

「(そうだ、このままいけば私の勝利は揺ぎ無い、もうすぐだ、もうすぐなのに…何故不安が消えないのだ!)」
そう、このままいけば間違いなくラーメンマンの勝利で終わるだろう。
ラーメンマンは趙公明目掛けて飛び込んでおり、趙公明は迎撃のため如意棒を振り下ろしている。
しかし、その如意棒はラーメンマンの加速で恐るべき威力となった技に対抗するため、伸張し重量を増やした。
結果、重量は増え、攻撃力は増したがその反面半端じゃない長さ、重量になり完全に振り下ろすのに時間がかかってしまうのだ。
そのことはラーメンマンも承知、如意棒が命中するより前にこちらの技が炸裂することも分かっている。
それなのにラーメンマンは自身の身体に纏わり付く不吉な予感を拭い去ることが出来ないでいる。

300 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:50:12 ID:zKPL//RY0
「(自分を疑うなラーメンマン!目の前の敵を倒すことを考えろ!)」
そういって己を奮い立たすラーメンマン。彼とて歴戦の勇士、戦いの中で不安を感じたことは山ほどある。
だがその度に乗り越えてきた。勝利という結果をもたらす事で。
今回もそうだ、きっと乗り越えてみせる!乗り越えて、皆でこのゲームを破壊する!
だから…恐怖に負けるな私の心よ!

「趙公明!この勝負私の勝ちだ!
 ――――――――――な!?」

ラーメンマンが如意棒の真下に滑り込み、一撃必殺の心突錐揉脚が趙公明に命中するかと思われた瞬間、
それまで緩慢な動きであった如意棒が急激に速度を増したのだ。
予想外の出来事に何が起こったか理解できず、狼狽の声を上げるラーメンマン。

「ば、馬鹿な!」
自身の身体を猛回転させながらラーメンマンが見たもの。
それは如意棒に変わりなかった。しかし以前見たものとは全く異なっていた。
そう、ラーメンマンが最後に見た如意棒は天をも貫くほどの長さを誇っていたのだが
今彼の目に映っている如意棒は以前の、思わず後ずさりしてしまうほどの長さが見る影も無く
せいぜい人二人分ぐらいの長さしかなかったのである。そして今も縮小し続けている。
恐らくラーメンマンが技を繰り出し、趙公明に視覚、いや五感の全てを向けた瞬間から
如意棒の縮小を始めたのだろう。

「それにあの光は!?」
違っていたのは長さだけではなかった。
如意棒を囲むようにオーラのようなものが張っており、光を放っていた。
しかもその光は如意棒が縮小していくほど、更に強く発光しているようだ。
まるで趙公明の闘志の強さを表すかのように。


301 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:53:21 ID:zKPL//RY0
「アハハッハハハッハハハハ!」
趙公明がラーメンマンの顔に浮かぶ絶望の色を見て高笑いをあげる。
その癇に障る高笑いを骨の髄まで響かせながら、ラーメンマンはあることに気付く。
罠は一つじゃなかった、と。あの天に聳え立っていた如意棒も罠の一つだったのだと。
いくらラーメンマンの攻撃を限定できる場所を作ったからといって、それが必勝のチャンスになるとは必ずしもいえない。
相手がそこに立っている限りラーメンマンは攻撃しなければいいのだ。わざわざ勝ち目の無い攻撃をすることはない。
それを逆手にとって趙公明は彼の攻撃を誘導したのだ。ラーメンマンを倒すためと銘打って、如意棒を伸ばし…隙を作った。
そして見事に騙され、嵌められた。

「…くそおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
趙公明はもう目前。あと1秒も経たずラーメンマンの身体は趙公明に届くであろう。
しかし、その前にラーメンマンの頭上にある、縮小し奇妙な光を放つ如意棒が先にラーメンマンを砕くのは誰の目にも明らかである。
ラーメンマンは分かってしまったのだ。この戦いの勝者は趙公明で、自分は敗者なのだと。


「あともう少し、あともう少しで届くのだ!」
諦めたくない、その一心で未だ抗おうとする正義超人。
負けてはならない、その想いであえて自ら死地に飛び込もうとするラーメンマン。
自分の命は惜しくは無い。惜しむべきは趙公明を倒すことなく無駄死にすること。
ならばせめて、せめて相討を。
自らの命を投げ打って望むのはたった一撃。たとえ致命傷にならなくてもいい。かすり傷でも構わない。
自分が倒れた後、この趙公明を戦う者のため、正義のために戦う者達のために少しでもダメージを負わせないと。
最早敵を打ち倒すことの出来ない今の自分にとっての勝利。
それが今の自分に出来る精一杯のこと。私の命の代償がちっぽけなかすり傷でも構わない。後の人たちのために大いにこの命捨てよう。
きっとキン肉マン達が…こいつを倒してくれる!
だから…さらばだ皆……あとは頼んだぞ!


302 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:53:51 ID:zKPL//RY0


                  カッ!!!



      ド ゴ ォ オ オ オ オ オ オ オ ォ オ オ オ ン !




一瞬の閃光の後、爆音が空気を貫き、砂塵が空中に飛揚し天空一面を覆った。
砂塵がそこにあるもの全てを隠し、長い間沈黙が辺り一帯を支配した。
森も動物も風も何も動かない。何も発しない。二人が生きているのか死んでいるのかも分からない。
そうした沈黙の中、次第に砂塵が晴れてき、視界が開け、薄らながら激闘を繰り広げてきた二人の男の姿が見え始めてきた。
一人は中央に立ち、もう一人は倒れた木々に埋もれている。
倒れている木々は恐らく、先程の一撃で吹き飛ばされた男のクッション代わりとなって薙ぎ倒されたのだろう。
そして、砂塵が完全に消えたとき、そこに倒れていたのは――――――ラーメンマン。

ラーメンマンは届かなかった。


――お、おい!大丈夫かよ旦那!しっかりしろって!
「…飛刀か…なんでここにいる…ガハッ…」
――なにいってんだよ!お前から吹っ飛んできたんじゃねえか!俺ごと木にぶつかりやがって!
「そうか…私は負けたのか……趙公明は…?」
――…目の前にいるぞ

303 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:58:05 ID:zKPL//RY0
心なしか、飛刀の声が落胆しているように感じたラーメンマンだがそれよりも趙公明が気になり、まっすぐ前を見つめた。
そこにいたのは趙公明。多少衣服が乱れ、汚れているが本人は至って無傷。
そしてその顔には、こぼれん限りの満面の笑み浮かべて、感涙の涙を流していた。
まさに勝者の立ち振る舞い。力の限りを尽くし、勝ち得た勝利に酔い、震え、己自身を祝福する趙公明。
その姿を見て、改めてラーメンマンは実感する。私は負けたのだと。

「嗚呼、ラーメンマン君、君に礼を言うよ。
 輝かしき勝利の美酒をありがとう」
趙公明の手にはいつの間にか、ワインが注がれたグラスを片手に、優雅な立ち振る舞いで軽く頭を下げる。
ワインを一気に飲み干すとその場でグラスを捨て、如意棒を片手にゆっくりとラーメンマンに近づく。

「君は大したものだよ。あの一撃を喰らって生き延びているとはね。
 あの驚異的な加速と凄まじい回転のおかげで命拾いか…全く持って恐ろしい運だ」
ラーメンマンが普通に趙公明の一撃を喰らっていたならば即死していただろう。
しかし、趙公明の言うとおり、あの限界まで加速したスピードと回転がラーメンマンの命を救ったのだ。
余りの速度と回転で趙公明の一撃を喰らった瞬間、弾き飛ばされたのだ。
ダメージは大きいもののなんとか一命は取り留める結果に繋がったのだった。

「さて、勝利の余韻をより一層豊かなものとしようじゃないか」
趙公明の身体が不気味な光を放つ球体に包まれ、その光をみてラーメンマンは気付く。
先程の如意棒を覆った光と同じだと。

「喰らいたまえラーメンマン君、さっき即興で編み出したこの麗しき美技…
 絢爛豪華、  エ  レ  ガ  ン  ト  斬  を  !」

ラーメンマンは知らないが、この光の球体は趙公明が作り出したバリアだ。
普段はこれを身を守るために使用するのだが、なんと趙公明はそれを武器である如意棒に移すことで
一撃必殺の技として用いたのだ。
だが、それだけでは流石にラーメンマンの全てを注いだ心突錐揉脚に敵わない。
そこで趙公明は第二の罠として大げさに伸ばした如意棒を利用した。
巨大化した如意棒全体にバリアをかけ、そこから如意棒を縮小させることによってバリアも縮み、結果、濃縮化することになり、
更に攻撃力を増したのだ。

304 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 20:59:04 ID:zKPL//RY0
「華々しく散るがいい我が強敵(と書いて友と呼ぶby趙公明)よ。
 麗しき拳法家ラーメンマンの名は一生忘れないよ。エレガントな戦いをありがとう!」

殺意の光に包まれた如意棒がラーメンマンの頭上目掛けて振り下ろされる。
ラーメンマンの記憶が走馬灯のように駆け巡り、一瞬の間だが、過去の出来事に想いを馳せるラーメンマン。
今まで辛い戦いを経験し、時には完膚なきまで敗北し、苦渋を味わったことや
どんな強敵も仲間と共に切り抜け、勝ち抜き、より確固たる友情を築いた仲間達のこと。
こうして瞼を閉じるだけで簡単に思い浮かんでくる仲間達の笑顔。
もう一度会いたかった、その惜別の気持ちと共に心の底から湧いてくる感情、それは後悔。
正義超人として、この暴欲の狂気を振りまく者を打ち倒せなかった後悔。
あの髪飾りの少女への懺悔、そしてこれからこの男に命を奪われるだろう者達への懺悔。
なにより…仲間達にこの男を倒すことを託さなければならないことへの後悔。
キン肉マン達ならきっと…きっと…趙公明を倒してくれる!
ラーメンマンはキン肉マン達の勝利を疑ってなどいない。むしろ安堵に満ちた確信を持っている。
だが、いくら彼らでもあの男相手に無傷で勝つことは不可能、必ず傷を負ってしまうはず。
ラーメンマンが懸念しているのは、仲間達が傷ついてしまうこと。
それに対しての申し訳なさと不甲斐無さが次々と沸いて出てきては積もり、山のようにラーメンマンの心を押し潰す。

「(すまない皆…もう少し皆のために頑張りたかったのだが…)」
そう心の中で正義超人の仲間達に詫びると、静かに瞼を閉じ、すぐに訪れるだろう死の一瞬を待つ。
その間、思い出すのは仲間達との楽しかった日々。
キン肉マンを中心に、時には敵として戦い、時には共闘した仲間達。
これからもずっと皆で力を合わせて、あの馬鹿でドジで間抜けで、友情を何より重んじるキン肉マンを王として尊敬し
皆で守っていくのだろうと疑わなかった、あのすぐそばにあったはずの未来。
それが遠のいていく。手の中にあったはずなのに今ではもう掴む事すら出来ないのだ。それが唯一の心残り。

「(さらばだ皆…先に逝ってまっているぞ)」



305 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:03:02 ID:zKPL//RY0



あきらめるな!



――――?



そんな屁のつっぱりはいらんですよ!




――――この声は…




そんな軟弱者に牛丼は奢ってやらんぞラーメンマン!




――――ふふふ…全くこの男は…私の意識の中でも碌なことは言わないな




306 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:03:51 ID:zKPL//RY0
死が訪れようとしたその刹那、ラーメンマンの脳裏に今ではもうとても懐かしく感じられる男の声が響く。
そう、正義超人達のリーダー、キン肉マンの声である。
しかしキン肉マンはここにいない。つまりこれはラーメンマンが無意識に作り出した友の声。
そのことは当のラーメンマンもよく分かっている。
だが、本人でない男の声と分かっていても、自然と落ち着いてくる。失ったはずの闘志が湧いてくる。
その気を利かせるということにとことん苦手な男の声はラーメンマンの心に勇気を与えてくれる。
たとえこの状況、もう勝つことは出来なくても、まだ私にやれることがある!彼らのために成すべき事がある!

ラーメンマンは諦めた顔つきで閉じていた瞼を見開くと、今まさに命を奪わんと襲い掛かってくる如意棒に視線を向ける。
その瞬間、ラーメンマンの目付きが鋭く、研ぎ澄まされた龍の目に戻っていた。
その目付きはまるで、己の命と引き換えに、獲物を仕留めようとするかのような目付き。

「(あの武器さえ破壊、いや、少しでもひびを入れることが出来たなら…
  キン肉マン達の負担が少しでも軽くなる!)」

その目に宿るのは決意。決意を固めるのは仲間への想い。想いを強くするのは友情。
彼の心にあるのは仲間のために自分が出来ることを成す、それだけである。
そして、余力はあるものの、この如意棒の一撃が直撃する間に身体を起こすことはできないラーメンマンに出来るのはただ一つ。
拳を強く握り、如意棒の目の前に拳を突き出すこと。これだけ。勿論これだけで如意棒を砕けるなんて夢にも思ってはいない。
しかし、彼が拳に託しているのは全身の力だけではなく、これから苦難の道を歩くであろう仲間達へのいたわりで包み込んだ想い。
それらを全て包んでいるこの拳はとてつもなく強いだろう。しかしそれを趙公明にぶつけるだけの時間が無い。
ならば…目の前の如意棒にぶつけるのみ。あわよくば如意棒にダメージが残ることを祈って。

307 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:04:29 ID:zKPL//RY0
――なにやってんだよ旦那ァ!よけろって!

飛刀は叫ぶ。今間近で命を奪われんようとしている持ち主に向かって。
彼が見たのは、半死半生の身でありながら一歩も引かず、傷だらけの腕を如意棒に繰り出すラーメンマンの姿。
何故だろう、彼のそんな姿を見ていると勝手に言葉が出てくる。一時の持ち主に過ぎないのに。
そんな自分に困惑しながらも飛刀はラーメンマンをある男の姿と重ね合わせていることに気付く。
それは、前の持ち主、黄飛虎。
彼はとても豪快で大らかな人間だった。ついでにいうと馬鹿力と頑丈さは人間外だった。
飛刀はあまり彼と話さなかったが、彼に背負われながら、仲間と楽しそうに談笑する彼を見て
彼がとても仲間思いで優しい人だと理解していった。
このまま背負われたまま、ことの成り行きを見ていくのも悪くは無いと思っていた矢先、突然の別れがやってきた。
仙界大戦、殷の太子、聞仲との戦いで彼は封神されたのだ。
彼は酸の雨が降り注ぐ中、武器である飛刀を外に投げ(飛刀の身を案じたのだろうか…)単身一人で聞仲に戦いを挑んだ。
いや、説得に赴いていった。敵となってしまった友のために。己の命を賭して。
敵の強力な攻撃に身をただただ晒す黄飛虎。それでも彼は前進するのをやめなかった。
飛刀を使えば多少なりとも敵の攻撃を防ぐことは出来たのに、彼はしなかった。
今となってはその真意は分からない。だが、あの優しかった男はきっと自分に気を使って使わなかったに違いない。
そして、友である聞仲を傷つけないために。きっとそうだ。
黄飛虎の目的は聞仲を倒すことではなかった、昔の彼に戻って欲しいが為に自分の命を捨てたのだ。

ラーメンマンも自分を使わなかった。彼は武器である自分を使うと実力を出せないと言っていた。勿論それもあるだろう。
しかし本当はきっと自分を心配して置いて行ったに違いない。
そして今、彼は友のために命を投げ捨てようとしている。あんな小さな灯火のような状態で。
風貌も性格も何もかも違うラーメンマンと黄飛虎。それなのに何故か重ねてみえてしまう。
その理由は分かっている。それはただ一点、友への果てしない友情。それだけである。

黄飛虎が今も生きていればどんな風に日々を営んでいただろうか。
あのでっかい体から発せられるうるさい笑い声で談笑しているのか、父として息子達と幸せに暮らしていたのか。
生きていればきっとしていたであろう行動を次から次へと思い浮かべては消えていってしまう。
その度に飛刀はなんとも言えない気持ちになる。

308 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:05:00 ID:zKPL//RY0
このラーメンマンが死んでしまえばまたあの気持ちを味わうことになるのだろうか?
この男が死ねば、父を失った天祥が心の底から泣き叫んだように何処かの誰かが泣くのだろうか?
そんなことを想像し、なんとなく嫌な気持ちになる飛刀。
飛刀は別にこの男が死んでも哀しくも無ければ泣くこともないだろう。
だが、飛刀の心の中で黄飛虎のときのように胸に穴が開いたような、なんとも言えない気持ち
そう、寂しいという感情が出てくるのは間違いない。
あのときと同じ気持ちを味わうのは嫌だ、という気持ちと彼の生きている姿をもっと見ていたい、
という気持ちが飛刀の中に沸き起こり、先の言葉を発したのだ。
だが、もう間に合わない。この言葉すら届いたのかも分からない。
なぜならあの瞬間、光に包まれた如意棒とラーメンマンの拳が重なるまさにそのときだったのだ。

――ヒィ!

彼の死の瞬間を見たくなく、思わず目を閉じる飛刀。
その直後、視界を絶った飛刀の耳に聞こえてきた言葉が。それは彼の最後の言葉となる言葉。
それは最後まで友の身を案じる言葉だった…。





                  「キン肉マン…達者でな」





309 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:05:52 ID:zKPL//RY0
「…どういうつもりだ趙公明」
「ふふふ、それはこっちのセリフだよ」
――え?

思わず自分の耳を疑う飛刀。
ラーメンマンは斬撃を回避することが出来ず、死んだはず。それなのに生きている。
戸惑いながら、真実を確かめるため目を見開くと、寸止めで如意棒を止めている趙公明と、それを見つめるラーメンマンがいた。

「君の顔に現れている闘志は未だ衰えていない、にも関わらず自分の命を犠牲にしようとしている。
 …一体何故だい?」
「…仲間がいるからさ」
ラーメンマンははっきりとした口調で答える。

「今の私では貴様を倒すことは出来ない。だが、私の仲間達がいる。私が駄目でもきっと仲間達が貴様を倒してくれる。
 その仲間達のために今の私に出来ることをしようとした。ただそれだけだ」
「そのためには死、いや、戦士として最大の恥である敗北をも受け入れると?」
「そうだ、私はどうなっても構わない…仲間達が負うであろう傷を少なくして、貴様に勝てるならそれでいい。
 私の敗北によって仲間達が勝利を得られるのなら…安いものだ」
このゲームに放り込まれ、一度も笑うことの無かったラーメンマンが初めて笑みを見せる。
仲間のことを思い浮かべている彼の笑顔はとても清清しく、半死半生の身とは思えないほど爽やかな笑顔だった。

「ブラボー…!君はまさしく友情と義に生きるサムラーイだよ!」
「…今度はこっちの番だ、何故止めを刺さない?」
大げさな動作で感嘆する趙公明に呆れながらもスルーして問うラーメンマン。

「君の男気に敬意を表して…と言いたいところだが、残念ながらそうじゃない。
 あることを君に頼みたいのさ」
ラーメンマンは不信感を露わにし、怪訝そうな表情を浮かべる。

310 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:10:51 ID:zKPL//RY0
「君に伝書鳩になってもらいたい。
 …僕の永遠のライバル、太公望君を僕の前に連れてきて欲しいのさ」
「私はその男とは全く面識もないのにどうやって探し出すというのだ」
「…ふふふ、確かに君は面識も何も知らないだろうね」
ラーメンマンの問いに趙公明は微笑みながら、くるりと一回転して答える。
その意味不明な行動はもとい、彼の言葉の意味が分からずラーメンマンは趙公明の次の言葉を待つ。

「確か君の名は飛刀だったかい?僕の召使である余化のコレクションだったよね」
――え、あ、ハイィ!

それまで全く会話に参加しておらず、空気のような存在であった飛刀は、いきなり声をかけられ、
恐怖と驚きのあまり、声が裏返って返事をしてしまう始末。
だが、本人はそれに気付く余裕は全くなく、動かない身体をピチピチ震わせ、その場から必死に逃げ去ろうとしている。

「飛刀君が太公望君の顔を知っている。あとは君が太公望君の足跡を追って見つければいい。簡単なことさ」
「…そんな頼みを聞くと思うのか?」
趙公明の魂胆は分かっている。間違いなく奴はその太公望という男と戦うつもりだろう。
彼らが一体どんな関係かは知らない、が、以前飛刀が言ったような男だとすればきっとこのゲームをなんとかしようと
行動しているはず。それをむざむざ止めて、この男の前に差し出すことなんて出来ない。

「君達にも悪くない話だと思うよ。…彼は僕を倒した唯一の仙道だからね」
「!?」
「ふふふ、そうさ。君一人では僕を倒すのは無理かもしれないが、彼の知能と君の力が合わされば
 僕を倒せるかもしれない。どうだい?悪くないだろう?」

趙公明の提案に答えを出すことが出来ず、ひたすら悩むラーメンマン。
確かにこの男は倒さなければならない。だが、無理矢理その太公望という男を戦場に引きずり出していいものか。
その男も今、このゲームから脱出するために何か行動を起こしているはず。
趙公明を倒した男ならば何か攻略法を知っているかもしれないが…彼を危険に晒すわけには…。

311 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:11:45 ID:zKPL//RY0
「悩んでいるようだね。そうだ、こうしよう。
 君が太公望君を連れてくるまで僕は無抵抗の人間と戦うのはやめるよ。これでどうだい?
 (ただし、少しでも抵抗する意思や戦う意思を示した者は別だけどね)」
「…何がこれでどうだ、だ。貴様は太公望とやらを連れてこない限り、無抵抗の者を殺戮して回る、
 といっているのも同じではないか」
趙公明は終始不敵な笑みを浮かべてラーメンマンの罵倒とも言える言葉を聞き流す。
むしろラーメンマンの怒りすら趙公明に優越感を与えている。
趙公明は分かっているのだ。どちらに主導権があるのか。

「どのように解釈してくれても構わないさ。太公望君を連れてきてくれるならね」
「…期限はいつまでだ?」
「特にこれといって期限は設けないよ。ただ、出来るだけ早いほうがいい。
 …人間っていうのは結構気まぐれな生き物だからね」

ラーメンマンは見逃さなかった。趙公明が一瞬だけ見せた、笑顔の下に隠された本性を。
彼に人間の心はない。あるのは、自己の闘争心を満たすだけに存在する狂気。
その狂気はとても黒く、甘美で、人を戦いへ誘う、死の協奏曲を奏でるために相手に強要するのだ。
趙公明の狂気に当てられた者は、最早逃げることを忘れてしまったかのように死闘を繰り広げる。
死の協奏曲を繰り広げるために。指揮者は趙公明。
そしてフィナーレは…協奏者の死をもって告げられるのだ。種類こそ違えど、妲己のテンプテーションを連想させる。
妲己は色香によって人を惑わし、趙公明は狂気によって人を狂わすのだ。

ラーメンマンは走り出す。まだ見ぬ仙道、太公望を見つけ出すために。心の中で、太公望にひたすら謝罪をしながら。
趙公明との戦いに見ず知らずの者を巻き込むことに対して。
また、同時にラーメンマンは誓いを立てる。
もし彼が趙公明との戦いで自分との共闘を拒否するのな…その時は彼を責めず、趙公明の元に戻り、一人で戦おう。
そもそもこれは私が趙公明に負けたせい、拒否されたからといって人を責めるのはお門違いも良い所だ。
そして……そのときこそ、必ず勝つ。正義超人として、キン肉マン達を、名も知らぬ人々を奴の狂気から守るために!

312 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:13:59 ID:zKPL//RY0
――い、おい旦那!人の話きいてんのかよ!
「…ああ、聞いてなかった。すまない」
――全く、人が心配してやってんのにこれかよ。
「うむ、そうだな。悪かった」
――なんだが気が狂うなぁ…旦那、ちょっと前なら俺を折るとか置いていくとか脅してたのに。
「いやなに、またこうしてお前の口煩い愚痴や文句を聞けるとは思っていなかったのでな。
 …これからも頼むぞ飛刀」

こうしてまた飛刀の口煩い話を聞けることが何より嬉しいと思うラーメンマン。
飛刀もまた、ラーメンマンの思わぬ言葉を聞いて、顔を真っ赤にして照れている。

――で、これから太公望を探すのか旦那?
「そうだが、その前に出来れば清浄な川や池に向かって傷の処置をしたい。血も洗い流したいしな。
 殺人者と勘違いされてはかなわん。手持ちの水だけじゃとてもじゃないが足りないのだ」

ラーメンマンは傷ついた身体で飛刀を背負い、太公望を探すために走り出す。
その身体は傷だらけだが、ラーメンマンの精神はいささかも傷ついてはいない。
必ず悪しき者達を倒し、皆と共にこのゲームから脱出する、その想いがラーメンマンの精神を強靭なものとし、
傷ついた身体に地を駆け抜ける力を与えているのだ。
今彼が歩んでいる方向に希望があるのか、絶望が待っているのかは分からない。
だが、彼は進み続けるだろう。友情という名の正義を信じ続ける限り。


313 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:14:45 ID:zKPL//RY0
「さて、これからどうするかな」
趙公明は一人呟く。戦いで汚れた衣服のゴミをパンパンっと叩いて落とすと、如意棒をデイバックに収める。
先程までの緊張感はそこには既になく、あるのは木々のざわめきとトレビアンな戦いを満喫した趙公明の笑顔だけ。

「ラーメンマン君はバトルプリンスである僕の永遠なるライバル、太公望君をちゃんと連れてきてくれるかな?
 まぁ無理だったとしても、彼のことだ。もう一度僕の元に帰ってきて、また戦ってくれるに違いない」

思わず体が身震い、いや、武者震いしてしまう趙公明。
あぁ、またあのビューティフルでデンジャラス、そしてゴージャスな戦いが出来ると考えただけで
趙公明の脳髄は沸騰し、絶頂に達してしまうかのような感覚に見舞われてしまう。
ラーメンマン君との戦いであれだけ愉しめたのだから、もし太公望君と再戦することになればそれこそ
嬉しさの余り発狂死してしまうかもしれない。そんな馬鹿なことを考える趙公明。ほんとに馬鹿だ。

「あの仙界大戦で成長し、聞仲君を倒すほどにまでなった太公望君。
 …嗚呼、待ちきれないよダディ」

趙公明は知っている。あの仙界大戦の惨状、そして圧倒的強さを誇った聞仲を太公望が倒したことを。
自分が封神されてから程なくして、大量の魂魄が自分のいる封神台にやってきた。
趙公明とて馬鹿ではない。自分が負けたときのことぐらい想像できており、それが現実になったのだ。
それから彼は、やってくる魂魄から事の顛末を聞き、太公望の活躍を知った。

「しかし太公望君、君はつくづく恵まれているよ。僕との戦いの後すぐに素晴らしい戦いがやってきたのだからね。
 
 … ず る い じ ゃ な い か 太 公 望 君 !!! 」

趙公明が事の顛末を知ったとき、太公望に対して抱いた感情、それは強い嫉妬と怒りだった。
何故僕がその場にいない?何故僕が戦いに参加できない?何故僕が強者と戦えない?
趙公明は封神され、今度二度と戦えない状況にあり、そんなときにやってきた、最大の戦い。
戦いこそこの世の全てに勝る美と考える彼にとってその戦いに参加できないことは正に拷問。
自分が拷問に苦しんでいるときに、強者との戦いを堪能している太公望に嫉妬しないはずはない。
最も、当の太公望はその戦いで数多くの仲間をなくし、悲しみに暮れていたのだが。

314 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:15:24 ID:zKPL//RY0
「そして、そんなとき、このゲームに召還された。わざわざ魂魄体であった僕に身体を与えてまでね
 とても感謝しているよ主催者たちには。また麗しく戦えるのだからね」
執拗なまでの闘争心。彼をこのゲームに呼び込んだ主催者たちの選択は大成功といえるだろう。
恐らく主催者たちの力をもってしてもこの男の闘争心と狂気は止めることは出来ない。
彼が求めているのは結果ではなく過程、勝利ではなく戦い、弱者ではなく強者なのだから。

「それに、太公望君のことだから主催者たちを騙してこのゲームから脱出することを目論んでいるに違いない。
 …そんなことはさせないよ。そんなことをすればまた戦えなくなるじゃないか」
たとえ太公望と戦えなくとも、先のラーメンマンのような実力者はこの世界にごろごろいる。
だが、太公望が脱出の策を練り、それを成功させるとなると、その実力者達とも戦えなくなる。
それこそ今、趙公明が恐れていることである。

「それにさっきの、藍染君といったかな?彼も脱出することを目指しているようだった。
 太公望君と同じく、彼も潰させてもらうかな。彼も見たところ強そうだし、楽しみだなぁ」
趙公明が当面の間目指すのは、いわゆる脱出派の抹殺。
戦いをこよなく愛する趙公明にとって、彼らの抹殺は当然とも言えよう。

「まぁ、こんな手の込んだ世界だ、そう簡単に脱出はできないだろうがね…急ぐ必要はない。
 それより僕にはやることがある…」


  観 光 旅 行 さ !

315 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:17:33 ID:zKPL//RY0
「目ぼしい所をまわってから彼らを抹殺すればいい。
 さて、次はどこにいこうかな」
趙公明は京都市内の市役所で拾った全国観光マップという本を開く。
京都には金閣寺銀閣寺平等院鳳凰堂、といった名所があり、趙公明はそれらを全て周るつもりである。
そして、その次に向かう先は…

「おお…ブラボー!なんて大きな大仏なんだ。これこそ黄金の国ジパングの成せる技というべきか!
 むむ、この名古屋城の金鯱もエクセレントだ!これこそ統治するものの品性が物を言う芸術だ!
 どちらとも、金箔の使い方がイエスだね!あ、この千葉のディズニーランドというのも良いかもしれない。
 シンデレラ城か…是非ともこの城がライトアップされた夜景の中で舞踏会を開きたいものだ。
 …よし決まりだ。しばらく京都を観光した後、奈良の大仏に行ってから名古屋城、そしてこの遊園地に向かおう!」

趙公明は服の汚れを払い、腰に手を当てると嬉々とスキップしてその場を去った。
その様はまるで遠足を心待ちにしている子供がはしゃぐようだ。
だが、忘れてはならない。この子供のような笑顔を振りまく男の本性を。
今は仮面を被っている状態だが、この状態が続く限り彼は無害だろう。
しかし一度仮面が外れるとき、彼の闘争心と狂気が振りまかれ、彼は死の協奏曲を奏で続けるだろう。
彼は戦いこそが至上の幸福、戦いを追い求める修羅なのだから。



「あ、どこで待つか言うの忘れてしまった。………ま、いいさ、これも一興」


316 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/04(水) 21:19:14 ID:zKPL//RY0
【京都府・市街地近くの森林/1日目・昼】

【趙公明@封神演義】
 状態:左足軽傷 左肩打撲 軽度の疲労
 装備:如意棒@ドラゴンボール
 道具:荷物一式×2(一食分消費)・神楽の仕込み傘@銀魂 ・全国観光マップ
 思考:1.京都観光が済んだら奈良(東大寺)→愛知(名古屋城)→千葉(ディズニーランド)に向かう。
    2.エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキを優先。
    3.脱出派の抹殺


【京都府・西の森/1日目・昼】

【ラーメンマン@キン肉マン】
 状態:左腕裂傷 後背部打撲 重度の疲労
 装備:飛刀@封神演義
 道具:荷物一式・髪飾りの欠片(※)
 思考:1.傷の処置のために川、湖に向かう。
     2.太公望を探す。
     3.弱き者を助ける。(危害を加える者、殺人者に対しては容赦しない)
     4.正義超人を探す。
     5.ゲームの破壊。
※神楽の髪飾りの欠片を持っている理由は以下の通り。
  ・形見として少女の仲間、家族に届けるため
  ・殺人犯を見つける手がかりにするため


317 : ◆GzTOgasiCM :2006/01/06(金) 17:49:51 ID:tgPuOgFT0
>>291 10行目からの「ラーメンマンとて〜」から13行目最後の「〜見えたのだ。」を以下のように修正。

ラーメンマンとて正義超人として数多くの死闘を繰り広げてきた。今でこそ誰かを守るため、自分を守るためのもの、自身を鍛えるため
戦っているがかつてはこの男のように残虐超人として自己の欲求を満足させるために戦った。リングの上での話だが。

          誇りたいんだよォ〜〜〜〜〜っ
          キン肉マンとの戦いを〜〜〜〜〜っ

かつての残虐超人だった自分が叫んだ台詞が今再び自分の心に響き、そして生まれ変わるきっかけとなった超人オリンピックを思い出す。
初めてだった。負けたのに悔しくなかったのは。
初めてだった。負けた戦いを誇りに思ったのは。
超人オリンピックが終了して以来、ラーメンマンは残虐ファイトをやめ、生まれ変わった。
償いとして、彼が殺害したブロッケンの息子のブロッケンJrを影から見守り、仲間の危機には我が身も省みず彼らの元に馳せ参じた。
そして今では誰もが彼を愛するようになっていた。そんなとき、彼の前に現れた趙公明は現れた。
趙公明は未だ笑みを絶やさない。
しかしラーメンマンにとってその笑みは残虐ファイトのときに浮かべていた自身の笑顔に見えたのだ。
かつての自分が今ここに立ちはだかっている。逃げるわけにはいかない。許すわけにはいかない。
趙公明からも。残虐超人だった自分からも。

>>310

「君達にも悪くない話だと思うよ。…彼は僕を倒した唯一の仙道だからね」
  ↓
「君達にも悪くない話だと思うよ。…彼は僕を倒した数少ない仙道の一人だからね」

318 :ディル アンド グレイ:2006/01/08(日) 15:26:29 ID:ZctiT+Ym0
「あっ、そういえば」
北大路さつきは、最初に配られた支給品のことを思い出した。
ポイッ、ボン
ポイポイカプセルを投げると、中から人影が出てきた。
銀髪で自分と同じくらいの年頃の男だ。
「闇が・・・・闇がやって来る」
その男マリク・イシュタールはボソリと呟いた。

319 :ディル アンド グレイ:2006/01/08(日) 15:30:04 ID:ZctiT+Ym0
【長野県/昼】

【北大路さつき@いちご100%】
状態:体力消耗
装備:ブラボーの上着
道具:荷物一式(食料少し減少)
思考:1.3人組がクリリンに会いに行くのを止める
    2.東京へ向かい、カズキ・斗貴子・いちごキャラを探す&ブラボーを待つ
    3.真中淳平を守る
【長野県/1日目・午前】

【マリク・イシュタール@遊戯王】
状態:
装備:
道具:
思考:1.???

320 :作者の都合により名無しです:2006/01/08(日) 15:59:06 ID:T68nWbCRO
「ファイナルフラーーーーーーーーーッシュ!!!」
ドっゴオォォォォォォォォォォん

さつきとマリクは粉々に吹っ飛ばされて氏んだ。

「はは……ざまあ、みやが…れ…」

バタっ

ベジータも力尽きて氏んだ。

【長野県/一日目・午前】
【北大路さつき、マリク・イシュタール、超(スーパー)ベジータ/脂肪】

321 :作者の都合により名無しです:2006/01/08(日) 18:41:19 ID:aSD/Kvxa0
残念ながら>>318>>320までは無効です

322 :作者の都合により名無しです:2006/01/09(月) 11:44:30 ID:RJVZwMy7O
>50
>100
>150
>200
>250
>300
>350

323 :作者の都合により名無しです:2006/01/10(火) 18:52:52 ID:Mt0GQin10
人は一人では生きられないんですよ

324 :放送の刻:2006/01/15(日) 13:11:31 ID:kit1JRJD0
「・・・・以上だ。」
今、二日目夜の放送が終わった。
殺害、暗躍、裏切り、この悪夢のプログラムで既に100以上の命が奪われていた。

「フーッ」
悟空は悲しげにため息をついた。
生き残り―悟空を含めた15人の最後の闘いが始まる。


325 :作者の都合により名無しです:2006/01/15(日) 18:24:15 ID:a5Inaov5O
判っていると思いますが、
>>324は無効です。

326 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 21:56:39 ID:hkpUiri10
その場における三度目の戦いはラオウの拳によって始まった。
標的は先刻光弾を放った男、浦飯幽助であった。
先程“黒猫”トレイン・ハートネットを相手にした時のように、
力量を計るがごとく緩やかに(拳王にとってはだが)、拳を打ち続けた。

「ふむ、体術はこの程度か・・。やはり虫は虫ということ!
この拳王の前に散るがよいわ!」
いままでとは全く性質の異なる凶手が幽助を襲わんとしたとき、
「ここは俺が相手をしよう」
そう言ってクロロは幽助を突き飛ばし、ラオウの攻撃を逃れさせた。
「この拳王の相手を買って出るとは面白い。せいぜい足掻くがよい」

ラオウが殴る、クロロが避ける。  ラオウが打つ、クロロが身をかわす。

何かが奇妙・・空振りが続きラオウは違和感を感じた。


327 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 22:18:35 ID:hkpUiri10
最初に対峙し襲い掛かったときも悉く攻撃が回避されていた。
今もそれが気になり、若干手を抜いていたが、それでもこの見切りは神懸り的である。
まるで未来の攻撃が見えているように。無論クロロが『予見眼』なる能力で、本当に未来を見ていることを知る由もない。
ただ、この謎を解くまでは殺すのは惜しい。そうとまで考えていた。

一方幽助はこの攻防に、すげぇと感想を漏らし見入っていた。
また加勢すべきかと悩んだが、『オレが隙を作る』という男の言葉を信じ待ちに徹した。

ラオウの攻撃とクロロの回避が幾度となく続く中で、クロロは遂に攻めに転じた。
大男の右側頭部を狙った鋭い跳び上段蹴り。しかしそれは当然丸太のような太い腕によって阻まれた。

「いまだ!くらえ!!」
叫びと共に放たれた霊丸は、拳王の傷ついた左胸―蹴りを左腕で受けたためがら空きとなったのだ―に、
炸裂した。

328 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 22:39:06 ID:hkpUiri10
ドオオオオオン  
轟音が響き渡り、余韻の煙が晴れていく刹那、クロロは近くの茂みまで吹き飛ばされた。
幽助はそれを受け止めようと走ったが、間に合わず、その茂みへ飛び込んだ。

「アンタ、大丈夫か!?」
「・・肋骨をやられた、内臓に刺さってるかもしれないな。しかし今ので駄目か・・
あと一発欲しいところだが・・」
クロロの呟きに幽助は答えた。
「もう霊丸は読まれてるぜ、きっと。避けられるか、受けられるかされちまうに違いねぇ」
本来の彼とは思えない弱気な発言に対し、クロロは提案した。
「オレに貸してくれないか、霊丸。オレの能力ならそれが可能だ」
他人の承諾と証文となる手形でその人間の能力を借りる。そういう能力をオレは持っている。
そう説明され、今の自分ではろくな打開策は閃かないと察して、幽助はその手順をこなした。
勿論『借りる』のではなく『盗む』であるが、盗人の理論ではそれは同じ事。盗賊の性はこの修羅場でも働いていた。

329 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 22:52:36 ID:hkpUiri10
「それじゃあ行くぜ!」
先程とは役割が入れ替わり、幽助が隙を作るため切り込んでいった。

拳王は先の光弾を至近距離で撃つのだと判断し、手負いの逆十字架の男を無視して、向かい来る光弾の若人を全力で倒すと決意した。

「戯れは終いだ! 中々に面白かったぞ!」

ラオウの剛拳は幽助の右手を手甲ごと破壊した。

「ぐあああああっ!!」

右手は死んだが、その時幽助はさっきの霊丸が不発に終わった理由を知った.
ラオウの右掌は赤くただれ薬指と小指がなくなっていた。
ようするに、霊丸が左胸を襲う瞬間、右手をはさんで、致命傷を避けたのである。

幽助は目の前の大男に向かって左手だけで鉄砲の形を作った。


330 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 23:05:18 ID:hkpUiri10
「虫けらの脆弱な蛍火がここまでのものとは思わなかった。
然し!もう効かぬ!この拳王が散らせてくれよう!」
「なら遠慮なくいかせてもろおう」

幽助のを迎え撃とうとしたラオウの胸に、予想外の方向から飛んできた光が直撃した。
爆音が轟き、閃光が広がり、それらが失せたところには拳王ラオウその人が倒れていた。
立ち上がる気配は・・・ない。

「ふー、やっとで終わったぜ。アンタのおかげだ。ありがとうよ」
幽助は緊張の糸が切れたような表情で礼を言った。
「いや、あれはアンタの技だ。オレはそれを一回きり借りてつかっただけだ」
一回きり、借りるこれを強調してクロロは笑みを浮かべ答えた。
しかし、まだここからが盗賊にとっての正念場である。相手に不信感を抱かせずに別れなければならない。


331 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 23:20:46 ID:hkpUiri10
[アンタは連れを追うんだろ。急いだ方がいい。向こうも大変かもしれない」
「そうだな・・じゃあ、オレは行かせてもらうぜ。本当にありがとうよ。アンタの無事祈っててやるぜ」
クロロは再び笑みを浮かべ、これに応えた。人に不信感を与えないコツは適当な笑顔だ。
それをしっているクロロはまた微笑んで相手の出立を促した。

「それじゃあな。そういや、名前言ってなかったな。オレは浦飯幽助。アンタは?」

クロロ・ルシルフルはほんの一瞬考え、

「ヒソカだ」
とだけ答えた。念能力者は相手の問いに気安く答えないのが鉄則。このときもそれを遵守した。
それを聞きヒソカかと口に出して確かめ、再び別れの言葉を言い浦飯幽助はその場を去った。

計画どうりに事が進んだ。ここにきて初めて緊張を解き、クロロは次の行動を考えた。
攻撃の技は手に入れたがしばらく使えない。腹の傷も癒したい。どこか休める場所を・・と考えるうちに
眼前に伏せている大男の荷物に注意がいった。盗めるものはすべて盗む・・

332 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 23:34:26 ID:hkpUiri10
その瞬間この空間に戦慄が走った。
クロロ・ルシルフルは背後に山のような気配を感じ、ゆっくり振り向いた。

「・・見事であった。二人がかりとはいえこの拳王を地に伏させるとは・・
虫、という言葉は撤回しよう。然し・・」

クロロにはもうこの言葉が聞こえていなかった。この不死身の化け物―一度否定はしたが、
によって、恐怖という感情がその身を支配していた。
話の終わりにも気づかず、ラオウの攻撃にも気づかず、自分の死にも気づかず、幻影旅団団長はただの肉塊、いや肉の塵となった。
能力も生命も肉体も失う。それが究極的に求め、欲し続けた男の最期であった。

世紀末覇者を志す漢はこの世界でさらなる強敵(とも)と出会った。
そしてまだ見ぬ強敵(とも)との遭遇に心を躍らせた。

333 :拳王地に臥す ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/15(日) 23:46:12 ID:hkpUiri10
【栃木県/午前】


【浦飯幽助
@幽遊白書】
[状態]戦闘による疲労大 右手手首から先を複雑骨折
    本日の霊丸の残弾0/4
[装備]なし
[道具]荷物一式
[思考]
1:桑原、飛影との合流
1:トレインとの合流
3:ゲームからの脱出
4:ヒソカ(実際はクロロ)の無事を祈る

【ラオウ@北斗の拳】
 [状態]:胸元を負傷(大)/霊丸によるダメージ(闘気で軽減)/右腕にダメージ /右手ただれ薬指小指喪失
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 不明
 [思考]:
1.いずれ江田島平八と決着をつける
2.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)

【クロロ・ルシルフル@ハンター×ハンター死亡確認】
残り98人

334 :作者の都合により名無しです:2006/01/16(月) 18:09:06 ID:nRjluzDr0
>>326>>333はまでは無効です。

335 :第二放送[一日目12:00] 1/2:2006/01/16(月) 19:55:31 ID:KPPag+ZC0
正午。空に輝く太陽の下、二度目の放送が参加者の頭の中に響き渡る――


―――聞こえますか、皆さん。
…ちょうどお昼になりました。これから『ゲーム脱落者』と『午後二時からの立ち入り禁止エリア』を発表します。
食事でもしながら、ゆっくり聞いてくださいね。フフフ…

それでは…まずは脱落者の名を読み上げようと思います。
ハーデスさん、よろしいですか?

――…火口卿介、防人衛、海馬瀬人、日向小次郎、桜木花道、三井寿、赤木晴子…
…流川楓、神谷薫、進清十郎、中川圭一、ゆきめ、ガラ、クロロ・ルシルフル、以上の14名だ。

――おやおや、そっけないお方だ。
さて、朝よりは若干ペースが落ちてしまいましたが、まずまずというところでしょう。
これからに期待させてもらいますよ。
この先もっともっと禁止エリアが増えていって、嫌でも戦うようになりますからねぇ。
ではバーンさん、禁止エリアの発表をお願いします。

336 :第二放送[一日目12:00] 2/2:2006/01/16(月) 19:56:10 ID:KPPag+ZC0
――うむ。
…もう理解していると思うが、これから発表する二つの県は、二時間後の午後二時に禁止エリアとなる。
まだ禁止エリアに侵入した愚か者はいないようだが、これからも気をつけてもらいたい。
侵入するとどうなるか…繰り返し言う必要もあるまい?

さて、二時からの禁止エリアは『静岡県』と『大分県』だ。
九州がまた少し狭くなったな。まだ九州にいる者たちは今のうちに移動した方がいいかもしれんぞ?

…こんなところか。
ではフリーザ王、参加者たちに励ましの言葉でも一つお願いしようか。

――…フフフフフ、励ましですか。バーンさんも人が悪い。
そうですねぇ…励ましではありませんが、忠告といきましょうか。
…皆さんには『お仲間』がいらっしゃる方が多いでしょう。
もう『お仲間』が死んでしまわれた方は残念なことです。
そして、まだ生きていてほっとしている方…注意した方がよろしいかもしれませんよ。
…その『お仲間』が、あなたの知っていた頃と同じ『お仲間』とは限りませんから。
こんなゲームですからねぇ…フフフ。

では、次もまた六時間後に放送を行います。皆さん、頑張って殺し合ってくださいね―――

【現在、一日目の12:10/日中/残り98人】

337 :作者の都合により名無しです:2006/01/16(月) 20:56:14 ID:2w9dwVN00
>>334は無効です

338 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:22:17 ID:JW+mDxUY0
正直、リンスレット・ウォーカーは、隣を歩く男との会話にうんざりしていた。
先ほど会った少女と別れてから、ずっと話しかけてくる。しかも大体が、自分の世界に対する質問。
文化やスポーツ、ファッションやコンピューター関連、そして自分の嗜好について。一体、何でそんな興味を示すのか、よくわからない。
さっき、自分は男にこう言った。この世界は自分のいた世界の文明レベルに近いということ。それと、もしかしたら自分が知らないだけで、自分の世界にもニホンという国が存在するのかもしれない。
そう言ってから、質問の量が途端に増えた。
まぁ、この男はキレ者っぽいし、話していく中で、何かしらのこの世界から脱出のヒントを探っているのかもしれない。
そんなことを考えながら、彼女はアビゲイルの相手をする。

アビゲイルは推理していた。自分がいるこの世界の真実を。
先ほど会った少女から、この世界は彼女のいた世界を縮小化したものだということを聞いた。
そして、自分が今まで読んできた書物の知識。他の十賢者たちから得た知識。
アビゲイルは推理する。
この世界のモチーフになった世界は、自分たちのいた世界から遥か昔の世界なのではないか。
すなわち、旧世界なのではないか。それが、自分の推理。
そして、隣には、旧世界と同じ文明レベルだというリンスレット。
旧世界の住民。十賢者のジジイ共とは違う、若い女性。今までに得た旧世界の知識とは別の知識を得られるかもしれない。それはただの自分の興味。
そんなことを考えながら、彼はリンスレットに話しかける。


339 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:22:50 ID:JW+mDxUY0
そんな二人の会話を耳に入れず、後ろでブルマは考えていた。先ほどの少女との会話から得られた情報、自分の仲間が近くにいるという可能性、自分の仲間がマーダーになっているという可能性、それらが頭の中を支配していた。
――クリリン君がこの状況に乗ってしまって、人を殺しているなんて考えられないわ・・・
  きっと、あの女の子の勘違いか何かだわ・・・多分
  クリリン君は間違っても人を殺すようなことはしない・・・!!

そう、クリリンは勇敢な戦士だった。悟空と一緒に成長していく様子を自分は見てきた。
彼は、精神的にも十分強い。人を殺すことを好むようなタイプではないし、この状況に狂ってしまって、乗るなんて考えられない。助けを求める人を守る人、それがクリリンであるから。
そして、正義感の強い彼なら、きっとこの状況を打破するのに協力してくれるのに違いないはずだ。自分を守ってくれるはずだ。
だからこそ、早く見つけなくちゃいけない。この世界から脱出する大切な仲間なのだから。

そう考えているブルマは、夜明け前からの泣き疲れ・歩き疲れで、あまり体力はないのだが、クリリン求め、西へと駆けていく―――



そして、さつきがクリリンを目撃したという福井県に到着した。
福井県に到着した三人は、さらにもう西へと歩いてゆく。少し開けた場所に出る。心なしか、辺りが一層静まっているような感じがする。嵐が通り過ぎた後の静けさのような。
寒風が吹く。一瞬の寒さに身を震わす。
しばらく歩くと、脇に黒い影があるのをアビゲイルが見つけた。近くにある倒木とは違う別のいびつな形。三人は十分な警戒心を保ちながらそれに近づく。


340 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:26:14 ID:JW+mDxUY0
「きゃああああぁぁぁ!!」

その影は嘗て防人衛だったモノ。下腹部から下が完全に胴体から離れていて二つに分断されている。
鮮やかなる胴体の断面からは、臓物が零れ落ちている。彼が寝ている地面は、大量の血液を吸い込んで、赤黒く輝いている。
これが三人にとって、この世界に放り込まれて初めて見た最初の死体。
放送やさつきとの会話で死者がでているということは知っていたのだが、こうして実際に死体を見ると、
改めて自分たちが、こんな悪趣味で不条理な殺人ゲームに参加させられているのだというのを認識させられる。

「ウッ・・・」

悲鳴の主のリンスレットは、泥棒請負業といったアウトローな仕事をしてはいるが、人の死に直接的な関わりを持つことはあまりなかった。
見慣れない死体、しかも酷い惨殺死体を見てしまい、免疫力に乏しい彼女の体は拒絶反応を示す。
朝からろくな物を食べてはいないのだが、嘔吐のため森の奥へと姿を消していった。
ブルマも吐き気はないものの視線を下に向け、死体を直視できない。
ただ、アビゲイルは、無表情で死体に近づいていき、断面に手をあて、観察する。


341 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:27:37 ID:JW+mDxUY0
「ふむ。どうやら、これは剣などの斬撃によるものではないですね。
 彼の肌が焦げています。 おそらく、雷撃系もしくは火炎系の精霊魔術あるいは私すら知らぬ秘法、古代語魔術の類でしょうか
――それをソドムのようにスライス状に加工し、彼の体を分断したのでしょう。
もしくはDSが所有する火炎魔人イーフリートが守護者の炎の剣によるものとも考えられますが、あちらをご覧ください。本来の能力が制限されているこの世界では、おそらく炎の剣もその威力が弱まっていると考えられます。あの硬そうな柱を切断するのは難しいでしょう。」

アビゲイルが示す方向に目を向けてみると、路地沿いにある電柱が一本倒れている。
その切断面は、死体と同様、黒く焦げている。
コンクリート製の電柱を刀で切るなんて、物質の呼吸を読むことのできる剣士でもない限り無理だろう。

「雷神剣が本来の力を発揮できているのなら、あの柱を切るなんて簡単なことでしょうが・・・。
 それでも、あのような断面にはならないでしょう。熱気を帯びたスライス状の魔法――私の世界とは異なる魔法体系によるものなのでしょう――
 それが彼を殺害した者の能力でしょう。」


342 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:28:08 ID:JW+mDxUY0
その言葉にブルマはハッとさせられる。そして、思い出す。
気円斬―――気を円盤状に練り上げることにより、対象を切断する能力に特化した気弾。
そして、それはクリリンの得意とする必殺技。
ブルマはそれを知っている。

――もし、これがクリリン君の手によってなら、さっきのあの娘の目撃証言と一致するわ。
あの娘は、クリリン君がいきなり自分を襲ってきたって言っていたわ。
何で、クリリン君の方から、私のようなか弱い女の子を襲うわけなの?

・・・・・・・・・・クリリン君、乗ってしまったのね・・・。どうして・・・?

全ての状況を整理し、推測するにブルマは真実に辿り着いた。全ての事情を踏まえた上の最も論理的な答え。それは、最悪な答えだけど。
そしてブルマは防人衛の死体を見つめ、決意する。そこには、いつもの我が儘さは微塵もなく。

――これ以上、クリリン君の手によって、犠牲者を作らせてはいけないわ!
  なんとしても早く見つけ出して、クリリン君を止めなくちゃ!!

クリリンのような実力者、自分の力では止められないことなどブルマは分かっている。
しかし、自分とクリリンは長年の付き合い。悟空とともにクリリンは、自分にとっては、ちょっと手のかかる弟のような存在。
だから、自分は説得して、道を正すことができるはず。否、しなければならないのだ。この人のためにも。
ブルマは使命感を覚えた。クリリンを止めなければならない。大丈夫、きっとできる・・。


343 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:28:41 ID:JW+mDxUY0
「時にお嬢さん、気分が優れない中、すみませんが・・・」

ブルマの思考をアビゲイルが阻む。別に気分が優れていないというわけではないが、
死体を凝視し続けているその様をアビゲイルは心配したのだろう。

「彼の首元をご覧ください。首輪がついていますが、いかがいたしましょうか?」

ブルマは視線を首元に移す。自分たちと同様、銀色の金属製の首輪がつけられている。
自分たちにはクリリンを探し出すこととは別に、もう一つ目的があった。
首輪の入手。ドラゴンレーダーを対首輪レーダーに改造するためにも、
そして、自分たちについている首輪を除去する手がかりを探るためにも、首輪が必要なのだ。
しかし、首輪を入手するために、死体の首元を切断しなければならない。
この人は、見ず知らずの地で(しかも自分の知り合いの手によって)命を落とし、さらに、首元を切断されようとしている。
死者への冒涜。許されることではないのはわかっている。
でも・・・・・

「お願いするわ。」

――生き残るため。首輪を除去するため。みんなを探すため。脱出のため。
そのためには首輪が必要なの。


344 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:29:26 ID:JW+mDxUY0
アビゲイルは雷神剣を持ち替え振り下ろす。一瞬に、しかし正確に死体の首元を切断する。ブルマは思わず死体から目をそらす。
自分は何もしていないのだが、なぜか罪悪感を感じる。

その時、横の草木がガサッとざわめく。心臓の鼓動が強くなる。
二人は急いで音の出所に目を向けると、一羽の野ウサギが姿を現す。一瞬の緊張が緩む。

少し血で濡れた首輪を拾い上げ、アビゲイルは首輪を観察する。
「この首輪、なかなか興味深いですね。
 これはお嬢さんにプレゼント致しますが、個人的に私も分析したくなりました。
 この辺りに、もう一体ほど死体はありませんかね。」
本人にはそのつもりないのだが、シャレにならない冗談を言いながら、血で濡れた首輪をローブで拭き、ブルマに手渡す。
――ごめんなさい、でも、あなたの死は無駄にしないわ
首輪をザックにしまいながら、ブルマはそうつぶやいた。


ピンクの髪を揺らし、やつれた顔をして、リンスレットは戻ってきた。
その足取りはぎこちない。ブルマに声をかける。
「ねぇ・・・・・、あの人、埋葬してあげよ・・・・・・・。うっ・・・」
首が切断されている死体を見てしまい、再び森の奥へとリンスレットは駆けていった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


345 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:30:38 ID:JW+mDxUY0
走る。今さっき来た道を走り戻る。
走りながらも北大路さつきの思考は止まらない。
先ほど会った気味の悪い大男が、防人衛の首を切断する映像。
そのフィルムが頭の中を何度も強制再生する。

―――――――防人さんが
――――――――――あの大男に殺された!!!

冷静に考えれば、自分が誤解していることに気づくかもしれない。
しかし、あの光景があまりにも強烈すぎて、それを許さない。
勘違いは、悪い方向へ、誤っている方向へと、加速していく。

どうして・・・?
どうして、防人さんが殺されなければいけないの?
あの人たち・・・・・・、クリリンという人の仲間だって言っていた。
あの人たちも一緒なんだ。ゲームに乗っているんだ・・・・・・・・。

何度も映像は繰り返される。
剣を振り下ろすアビゲイル。首が切断される防人。
剣を振り下ろすアビゲイル。首が切断される防人。
剣を振り下ろすアビゲイル。首が切断される防人。
剣を振り下ろすアビゲイル。首が切断される防人。
剣を振り下ろすアビゲイル。首が切断される防人。
剣を振り下ろすアビゲイル。首が切断されるさつき。―――――!?


346 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:32:01 ID:JW+mDxUY0
きっと、私も殺される・・・・・・・・・
殺される前に―――――

木の根っこに躓き、倒れる。今まで考えていた思考が飛ぶ。左膝に痛みを感じる。
足は止まっても心拍数は高いまま。さつきは焦点の合わない眼で前を見つめる。顔は土に埋もれている。

防人さん
私は、どうしたらいいの・・・・


数分後、主催者たちの声が彼女の頭の中を流れる。


【福井県/昼、放送前】

【リンスレット・ウォーカー@BLACK CAT】
[状態]気分悪い
[装備]ベレッタM92(残弾数、予備含め32発)
[道具]荷物一式
[思考]1、トレイン達、協力者を探す
2、ゲームを脱出


347 :どうして・・・? ◆6LRob5Qm4g :2006/01/16(月) 21:32:38 ID:JW+mDxUY0
【ブルマ@DRAGON BALL】
[状態]健康
[道具]:荷物一式
:ドラゴンレーダー@DRAGON BALL :首輪
[思考]1、クリリンを探し出し、殺人を止めさすよう説得
2、大きな都市に行って、ドライバーのような物を入手し、首輪を解析・ドラゴンレーダーを改造する
3、ゲームを脱出

【アビゲイル@BASTAD!!】
[状態]健康
[装備]雷神剣@BASTAD!!
[道具]荷物一式
[思考]1、D・S達、協力者を探す
2、首輪を入手して分析したい
3、ゲームを脱出

※防人衛の死体は埋葬しました。


【岐阜県/昼、放送前】

【北大路さつき@いちご100%】
[状態]肉体的・精神的に疲労 左膝けが
[装備]ブラボーの上着
[道具]荷物一式(支給品未確認、食料少し減少)
[思考]1、殺人鬼アビゲイル(思い込み)から逃げる。
   2、東京へ向かい、カズキ・斗貴子・いちごキャラを探す


348 :作者の都合により名無しです:2006/01/17(火) 11:43:28 ID:6VyDtsBZ0
>>337は無効です。

349 :作者の都合により名無しです:2006/01/17(火) 18:13:33 ID:4kmMPKfc0
>>348は無効です。

350 :作者の都合により名無しです:2006/01/17(火) 18:34:54 ID:4xRE/FpvO
>348
異論があるなら議論スレで

351 :大蛇vs妖狐 1/2:2006/01/17(火) 19:39:41 ID:mzKpglQB0
昼の放送の前に、大蛇丸は南へと足を進めていた。
朝にヤムチャと闘ってから6時間近く、幸いにも誰とも会うことなく体力の回復に努めることができた。
もうこれ以上一箇所に留まる必要は無い。
「(そろそろ動き始めないとね…)」
できれば弱い相手を狙い、アイテムや情報を奪いたいところだ。
大蛇丸は慎重に周囲を警戒しながら、それでもかなりの速度で南下して行く。

しばらく南下したところで放送が聞こえてきた。
大蛇丸は歩きながらそれを聞き、地図に禁止エリアのチェックをしているところで、別な街を見つけた。
地図には大阪と書かれている辺りだ。
「少し、街を調べてみましょうか…」
音も立てずに駆ける大蛇丸の姿は、あっという間に街の中へ消えていった。
しばらくの間。
「…………ふぅ」
大蛇丸の少し後ろの藪に隠れていたその少年は、ほっと息をついて藪から現われた。
「危ねぇ…『絶』が完璧じゃなかったら見つかってたかもな…」
ツンツン頭のその少年、キルアもまた、大阪を調べるためにここに来ていた。
先に街の周りを調べていたところで大蛇丸を発見し、相手の様子を見るために『絶』を使って隠れたのである。
「それにしても、かなりヤバイ雰囲気の奴だな。側に居ただけで蛇に睨まれてるみたいだった…」
これから自分もあの街に行くのだと思うと、キルアは少し気後れしてしまう。
――あんなヤバイ奴に関わる必要はない、逃げてしまえ。
「(って、なに考えてんだ!俺は早くゴンを探さなきゃならないんだ!)」
キルアは一つ大きく深呼吸すると、大阪の街へ向かって駆け出した。

352 :大蛇vs妖狐 2/4:2006/01/17(火) 19:40:48 ID:mzKpglQB0
妲己は先ほど見たビデオをどう使おうかと考えながら、カズキたちのところへと戻ろうとしていた。
つい今しがた流れた放送では、太公望も趙公明の名前も呼ばれなかった。
「(ふふ、そんなすぐに死んだらツマラナイわん…もう少し頑張ってもらわないとねぇん)」
と、そこへ、後ろから何者かが現われる。
その相手は気配を隠しているようだが、妲己とて数千年を生きている妖怪である。
すぐにその気配に気づき、相手の方を向く。
そこにいたのは長髪で白い肌をした男、大蛇丸。
「ふふふ…やはり私の見たとおり、ただの人間ではないようね」
「あらぁん、買いかぶりだわぁん。わらわはただのか弱い乙女よぉん」
「ふ、それはすぐに分かるわ……火遁・豪火球の術!」
素早く印を結び、術を発動する大蛇丸。
口から発せられた火球が周囲を赤く染める。
しかし、妲己はそれを難なく避けると近くの家の屋根の上に跳び乗っていた。
「いやん、汗かいちゃうじゃない」
カズキたちに黙って1人で行動していた妲己は、今ここでこの男の相手をするつもりはなかった。
色仕掛けでも口車でもいいから、なんとか戦わずに切り抜けようと思っていたのだが、どうやらそれは難しいようだ。

353 :大蛇vs妖狐 3/4:2006/01/17(火) 19:41:33 ID:mzKpglQB0
「随分と余裕じゃない…これでどうかしら!」
大蛇丸は妲己をそれなりの実力者と読んで、チャクラの無駄な消費を抑えるために体術で仕掛ける。
息をつく間もない連続攻撃に、妲己は相手と戦わざるを得なくなる。
「殴り合いなんて乱暴だけど…それっ!」
妲己は大蛇丸の突きを魔甲拳で受けると、そしてその勢いで回転しつつ大蛇丸の頭部を魔甲拳で殴りつけた。
「ぐぅっ!」
「悪いけどもう一撃いくわよぉん」
「…霧隠れの術」
「あらん?」
妲己の視界が霧で遮られる。
その隙に大蛇丸は体勢を立て直すと、鞭のようにしならせた腕で妲己の背後を狙う。
が、その攻撃が当たる寸前に妲己が何かを振るった。
「えいっ!」
「…なにっ、風遁!?」
打神鞭によって発生したつむじ風で霧はかき消され、大蛇丸も体制を崩してしまう。
「そこよぉん!」
さらに追い討ちで真空波が襲い掛かる。
…が、それは大蛇丸の身体をかすめるに留まった。
そして大蛇丸が妲己から距離をとる間も、妲己が追撃をする様子はない。

354 :大蛇vs妖狐 4/4:2006/01/17(火) 19:42:21 ID:mzKpglQB0
「どういつもりかしら?手加減するなんて…」
「あなたと遊ぶのもここまでってことよぉん。残念だけど、そろそろ戻らないといけないのぉん」
くねくねと身をよじらせながら悲しそうに目を伏せる妲己。
自分が優位に立った状態であえて手を抜くことで、相手の注意を引くことができると判断しての行動だ。
妲己の読み通り、そのわざとらしいポーズに思わず苦笑しながらも、大蛇丸はひとまず攻撃の手を止めた。
「…フフ、そういうわざとらしいのがあなたのやり方なのかしら?」
「まぁ、そういうことよぉん。それで、こっちにも都合があるから遊びはもう終わりにしたいのん。
 …あなたがこのまま去ってくれるならそれでいいんだけど、もしまだ闘うなら…」
「……っ!」
妲己の目を見た瞬間、大蛇丸は彼女の本性を感じたような気がした。
大蛇丸の居た世界にも存在していた、ナルトに宿る九尾…あの禍々しさに似た力を。
大蛇丸の知る九尾と同一ではない以上、全力を出せばあるいは倒せるのかもしれない。
しかし、それでは自身も力を使い果たしてしまうことは明白だった。
このゲームに勝ち残るには、ここで無駄に体力を減らすわけにはいかない。
「……わかったわ。ひとまず戦いは終わりにしましょう」
「わらわも力を無駄に使いたくないから助かるわぁん」
「ところでひとつ提案なんだけど…どうかしら、私と手を組むというのは?」
「あらん、残念だけど、わらわにはもう可愛い仲間が二人もいるのぉん。
 それにその子たちはとっても純粋だから、あなたとは合わないと思うわぁん」
妲己は大蛇丸の提案をにべもなく断ると背を向けた。
「…じゃ、縁が有ったらまた会いましょうねん。自己紹介はその時まで楽しみにしておくわん」
まるで戦闘などしなかったというように、余裕の態度のままでその場を後にする妲己。
大蛇丸は妲己を見送ると、彼女とは反対の方向へと歩き始める。
「……どうにもやりにくい相手だったわね、それにしてもあの力、やはり九尾なのかしら…?」
もう少しこの街を調べたら、またあの女に出会わないうちに早く移動した方がいい。
大蛇丸はそう判断し、足早に街の探索を始めた。

355 :大蛇vs妖狐 終:2006/01/17(火) 19:49:40 ID:mzKpglQB0
【大阪府(市街地)/1日目・昼】
【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1.仲間のところへ戻る。(大蛇丸と戦ったことは報告しない)
      2.太公望、竜吉公主、趙公明から自分の本性を明かされるのを防ぎたいが、
        本性がバレても可能ならば説得して脱出のため協力し合う。
      3.どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。
        可能なら太公望や仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる。

【大蛇丸@NARUTO】
 [状態]:全身に火傷(ある程度は治療済み)。かすり傷数ヶ所。チャクラを小程度消耗。
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式 岩鉄斬剣@幽遊白書
 [思考]:1.まず大阪、その後東へ移動しながら他の参加者(できれば弱い相手)からアイテムや情報を入手。
      2.多くの人間のデータを集め、場合によっては誰かと共闘する。(もちろん利用する形で)
      3.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする。候補としてダイを考えている。

【キルア@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:少々のダメージ。戦闘に支障無し。
 [装備]:なし
 [道具]:爆砕符×3@NARUTO、荷物一式 (食料1/8消費)
 [思考]:1.ゴンを探す。
      2.隠密行動を取り、ヤバイ雰囲気の男(大蛇丸)に警戒しながら大阪周辺を探索
      3.『選別』について悩んでいる

356 :大蛇vs妖狐 終の修正:2006/01/17(火) 19:51:38 ID:mzKpglQB0
【大阪府(市街地)/1日目・日中】
【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1.仲間のところへ戻る。(大蛇丸と戦ったことは報告しない)
      2.太公望、竜吉公主、趙公明から自分の本性を明かされるのを防ぎたいが、
        本性がバレても可能ならば説得して脱出のため協力し合う。
      3.どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。
        可能なら太公望や仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる。

【大蛇丸@NARUTO】
 [状態]:全身に火傷(ある程度は治療済み)。かすり傷数ヶ所。チャクラを小程度消耗。
 [装備]:なし
 [道具]:荷物一式(一食分消費) 岩鉄斬剣@幽遊白書
 [思考]:1.まず大阪、その後東へ移動しながら他の参加者(できれば弱い相手)からアイテムや情報を入手。
      2.多くの人間のデータを集め、場合によっては誰かと共闘する。(もちろん利用する形で)
      3.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする。候補としてダイを考えている。

【キルア@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:少々のダメージ。戦闘に支障無し。
 [装備]:なし
 [道具]:爆砕符×3@NARUTO、荷物一式 (食料1/8消費)
 [思考]:1.ゴンを探す。
      2.隠密行動を取り、ヤバイ雰囲気の男(大蛇丸)に警戒しながら大阪周辺を探索
      3.『選別』について悩んでいる

357 :強きカリスマ ◆gnM9.np5nM :2006/01/17(火) 23:31:09 ID:4xRE/FpvO
「グムー…急いだほうがいいかもしれんのう」
 気絶したたけしを背負いながら、キン肉マンは額を流れる汗も拭かずに街道をひたすら歩いていた

 幸い、といって良いのか分からないが、死亡者リストに自分の知る人物はいなかった。
 自分の聞いたかぎりではたけしの知り合いはいない――…
 束の間の安堵から昼食をとろうとした時であった。
“二時からの禁止エリアは『静岡県』と『大分県』だ。二時間後の午後二時に禁止エリアとなる”
「ゲェッ!わしらのいる所ではないか!」
 口を楕円形に歪ませ、思わずたけしを落としそうになる。
「…しかしまてよ?今が12時過ぎだから、禁止エリアになるのはまだ二時間も後のことだのう。」
 一旦は慌てたものの、こんな状況下で人一人の命を預かっているのだ。
 キン肉マンは人差し指を顎にあて、普段使わない脳みそを回転させはじめた
「とすると別に驚くほどのことではないか。たけすぃが目を覚ますのを待ってからでも遅くはないかのう」
 別に禁止エリアにいたとしてもあと二時間は大丈夫だ。
 たけしの体調を整えた後で、ゆっくり遅目の昼食でもとりながら大分を出ればいい。

 …いや、そうではない
 こんな時ロビンならどうする?ラーメンマンなら?テリーなら…?
 いわずもがな

 友 の 心 を 優 先 す る ! 

 たけしは探していたのだ。友の仇を。
 自分が止めたのだ。たけしの気持ちを踏み躙った。
 償いをしなければ。一刻も早く、そいつの許へ向かわねば!
「確か本州だったな、たけすぃ?」
 背中で眠るたけしに向けて話し掛ける。その顔はどこまでも優しく、どこまでも美しかった。


358 :強きカリスマ ◆gnM9.np5nM :2006/01/17(火) 23:32:00 ID:4xRE/FpvO
 この少年の想い、無駄には散らさない――
 キン肉マンはしっかりとした足取りで北へと進んだ。

 しかし何だろうこの胸騒ぎは?拭いきれぬ不安は
 自分は以前のダメ超人ではない、だからこそ確信する

 “ここは早めに離れた方がいい――…”

 足腰の披露と空腹を気にしている場合ではないと感じたキン肉マンは歩幅をさらに広げた。

 …30分も歩いただろうか?キン肉マンは福岡に入っていた。
「しかし、わしのせいとはいえ、なかなか起きんのう」
 ややため息混じりにたけしを見る。打ち所が悪かったわけではないようだ。やはりぐっすりと眠っている
 そう思うとだんだん腹が立ってきた。自分は昼食も取らずにせっせと禁止エリアから抜け出して
 さらにはたけしを背負い足の痛みも気にせずに歩き続けているというのに
「いつまで寝とるんじゃこいつ」
 さっきは美しいとか思ってしまった顔も、やっぱり不細工である。
「…ったく、ミートとは偉い違いじゃ。あいつは小さいながらも、よくわしに遣えてくれて…………
おわーーっ!!よだれをこぼすんでない!!」
 キン肉マン特有のオーバーアクション。両手を頭上でばたばたさせたためたけしを落としてしまった
「おわっ!?」
 思わず両手で目を覆う。
ぼふっ
「……………………?」
 想像していたより柔らかい音。
「…………なんじゃあ?ありゃあ」


359 :強きカリスマ ◆gnM9.np5nM :2006/01/17(火) 23:33:01 ID:4xRE/FpvO
 覗いた指の隙間から見えるのは、大きなクッションのようなもの。その上でたけしは微睡んでいる
「大丈夫か?たけすぃ…」
「ん?…ここはどこさぁ…」
 寝呆け眼で手探りをするたけし。地面の違和感に気づき、ゆっくりとたけしは覚醒していく
「お、ふかふかしてるなコレ、大きな小次郎みたいだ」
「兄ちゃん、そりゃ夷腕坊てえんだ」
「そうかぁ、よろしくな、トリニータ。ところで俺はあんたの兄のポジションではないさ」
「…………お前ェの名前は?」
「俺の名はたけし!リーダー的存在だ!!」
 夷腕坊の上で親指を胸に当て、ポーズを取るたけし。尋ねた男も是に答えた
「俺は更木剣八…まあ、お前ェと似たようなもんだ」
「そうか!サスペンションの兄かぁ。ごめんさぁマグワイア」
「…………そっちのガタイのいい兄ちゃんは?」
 たけしの雰囲気をどう思ったかは知らない。ともかく剣八はキン肉マンに意識を…
 否、殺気を向けた。
「わ、私はキン肉スグル
第58代キン肉星大王だ」
「そうかい。まあ、肩書きなんざどうだっていい」
 くくく、と口角を上に釣り上げると剣八はキン肉マンに近づいていった
 キン肉マンはすぐに目の前の男がマーダーであると確信した。
(この男…強い!威圧感だけならあの、悪魔将軍にすら匹敵する!!)
 近づいてくる剣八。その傍らでキン肉マンは木陰に座っている男を発見する
「あれは、君の仲間か?」
「ああ、今回は俺の番だからな。観戦だとよ
…っとぉ、んなこたどうでもいいじゃねえか。男同士が出会ったんだ。やろうぜ?殺し合いをよ」
「……断る」「ああ?」

360 :強きカリスマ ◆gnM9.np5nM :2006/01/17(火) 23:34:05 ID:4xRE/FpvO
 剣八は闘気をみなぎらせ、近づいていく。“俺自らがわざわざ近づいてやって”いるのだ。…いや、違う
「私は正義超人だ。何人もの悪党をマットに沈めてきた。しかし誰一人として殺したことはない」
「だからなんだってんだ」
 剣八は圧していたはずだ。メインディッシュの前に摘み食いする程度のつもりで近づいたはずだ
 ところがどうだ?この目の前にいるブタッ鼻の男は。
 自分は圧していたのではない、引き寄せられたのだ
 このカリスマに――
「もし私とやる、つまり戦うというなら
制限時間は30分。エリアは四方4×4m。ギブアップするか3秒間フォールで決着
そして、試合が終わればノーサイドだ。それが守れないなら、私は君とは戦わない」
 剣八が気づくと、キン肉マンは剣八の目の前にいた
 額に汗。敵を前にして歓喜したことはあれ、一瞬たりとも恐怖したことはなかった
 この男、強い――
 更木剣八が感じるからこそ、重いのだ。たった三文字の最大の賛辞。
 剣八は、震えた――。
「つまり、殺しはご法度、どっちが負けても死にはしないと。甘え甘え」
「やるのか?やらないのか?」
「構わねえよ、それで。ただし、手前ェが生き残れるとは限らないぜ」
「もちろんだ」


361 :強きカリスマ ◆gnM9.np5nM :2006/01/17(火) 23:35:08 ID:4xRE/FpvO
 焦りがばれぬように、虚勢を張り合う二人。
「ちょうどいいや、あの夷腕坊の上なんてどうだ?」
「いいだろう」
 たけしを下ろしたキン肉マンは、剣八と共に夷腕坊の上に乗った
 ムラサメブレードを一瞥すると、剣八はキン肉マンに尋ねた
「お前ェ、エモノは?」
 一瞬気を剣八にやるも、キン肉マンは何事もなく言った
「エモノ…?ああ、武器のことかの?君の武器はその刀のようじゃが…
私の武器は鍛え上げたこの体だ。何、卑怯とはいわんさ、かかってきなさい」
「…今日一番の当たりかもな」
「なんじゃあ?」
「いや…、さぁやろうぜ、
 試 合 を よ 」


【福岡県(街道)/1日目・昼】
【キン肉マン@キン肉マン】
 [状態]:健康(足に若干の疲労)
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1.更木剣八を倒す。可能なら試合後に仲間にする
     2.桃白白を倒すために本州へ向かう(桃白白とは直接知らない)
     3.ゲームからの脱出、主催者を倒す


362 :議論スレからコピペ:2006/01/17(火) 23:55:56 ID:zJ+T2+ag0
【福岡県(街道)/1日目・昼】

【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:全身に火傷(軽傷)。かすり傷数ヶ所。首筋に切り傷
 [装備]:ムラサメブレード@BASTARD!
 [道具]:サッカーボール@キャプテン翼、荷物一式
 [思考]:1.キン肉マンを倒す
     2.志々雄、ヒソカと決着をつける
     3.強い奴を探して本州へ向かう

【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
 [状態]:健康。
 [装備]:パチンコ(鉛星、卵星)@ワンピース、キメラの翼@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.ゴン蔵の仇を取る
     2.微睡んでいる
     3.ゲームからの脱出、主催者を倒す

【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:若干の疲労。全身に軽度の列傷
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.時間制限によりしばらく戦う気はない
     2.四国か本州に向かう
     3.全員殺し生き残る


363 :強きカリスマ ◆gnM9.np5nM :2006/01/17(火) 23:56:32 ID:4xRE/FpvO
【福岡県(街道)/1日目・昼】

【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:全身に火傷(軽傷)。かすり傷数ヶ所。首筋に切り傷
 [装備]:ムラサメブレード@BASTARD!
 [道具]:サッカーボール@キャプテン翼、荷物一式
 [思考]:1.キン肉マンを倒す
     2.志々雄、ヒソカと決着をつける
     3.強い奴を探して本州へ向かう

【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
 [状態]:健康。
 [装備]:パチンコ(鉛星、卵星)@ワンピース、キメラの翼@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.ゴン蔵の仇を取る
     2.微睡んでいる
     3.ゲームからの脱出、主催者を倒す

【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:若干の疲労。全身に軽度の列傷
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1.時間制限によりしばらく戦う気はない
     2.四国か本州に向かう
     3.全員殺し生き残る


364 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 03:51:15 ID:Oj8FkxFCO
「ねーマミークン!少し休もうよ〜っ!」
「ちっ…またかよ、勝手にしな。もういちいち待ってられねー、俺は先に行くぜ」
「お願ぁい…!置いてかないでよぉ…」
「…じゃあな」
「…マミークン…!」
「………」
「マミークゥン…」
「……くそっ!」

ヨーコのか弱く懇願するような心細い声に足を止めさせられ、さらにすがるような視線を背後からひしひしと感じ、疲れて草むらにへたり込んで涙目になっているヨーコの元へと苛立った様子でとぼとぼと口をとがらせながら引き返す。

「何度目だよ、休憩」
「……ごめんね。凄く足手まといだよね…」
「んなつまらねえ事言って落ち込んでる前に、さっさと休んでさっさと出発するぞ」
「うん…」

歩き慣れないアスファルトの固い地面に足の疲労を速めさせられているヨーコはたびたび休みを取らざるを得なかったが、そのたびにマミーはグチりながらも毎回足を止めてはヨーコのペースに合わせて律儀に休息に付き合っていた。

(ったく、こんな女置いてさっさと行っちまえばいいのに…俺らしくもねぇよなぁ…)

自分らしくないと伏し目がちに小さくため息を吐きつつも、結局ヨーコの事を放ってはおけずに今に至る。

365 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 03:52:35 ID:Oj8FkxFCO


「マミークン、結構移動してるのに…全然誰にも会わないよね?もしかしてこの世界にいるのって…ボクたちだけだったりして…」

視線を地面に向けたまま、小さなタンポポの花を人差し指でツンツンと軽く弾きつつ、小さく不安げな声でぽつりとマミーに向けて問いかける。

「…さあな。少なくとも最初に集められた広間には見た感じ百人以上いたのは事実だろ」
「そうだけど…やっぱり不安になっちゃうよ。マミークンに会えなかったら…今でも独りぼっちだっただろうし…」
「…『会えなかったら』なんて意味ねえ。現に出会っちまってるんだから」
「出会っちまってる……って事は、やっぱりボクとなんて…出会いたくなかったって…事?」
「………もう休憩はいいだろ、行くぞ」
「あ、待ってよ…!」


答えを避けるかのように背を向けてスタスタと歩き出すマミーの姿を急いで追うヨーコ。
間に流れる気まずい空気を感じ、それ以上言葉を続ける事も出来ず無言でマミーの後ろを歩く。

(…知るかよ、会いたくなかったかどうかなんて。俺にもよくわかんねぇんだから)

366 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 03:55:58 ID:Oj8FkxFCO


考えても、頭が整理できずモヤモヤが募る。
確かにヨーコを完全に足手まといに感じていて、内心ウザがっているのも事実である。
しかし、彼女を見捨ててとっとと先を急ぐという選択肢を選びたくない自分がいるのも事実。
そんなよく理解できない自分の感情をうまく把握できず、結局口数も少なくなってしまっていた。

「…わっ!?痛いじゃないマミークン!」

落ち込んでなかば放心状態で歩いていたヨーコは、無言のまま突然足を止めたマミーの背に額をボフ、とぶつけ、何事かと少し不満げに顔を見上げる。


「こんにちは、お二人さん。ちょっといいかしら?」

マミーの前には、長身で落ち着いた笑みを携えた謎の女性が何の前触れもなく突然姿を現していた。

「…何だあんた?」
「あら?ご挨拶ね?私はロビン。あなた達はどうやらこのゲームに乗ってないみたいだったから、声をかけてみたの」
「えっ…!?どうしてボクたちが…乗ってないって?」

少し警戒しながらも、目の前の女性の発言が腑に落ちず、たどたどしくもヨーコが眉をひそめて聞き返す。

「だって…フフ、どうみても並んで歩いてる雰囲気が『お姫様とその姫を護るナイト様』って感じですもの。違うかしら?」

367 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 03:57:17 ID:Oj8FkxFCO

「ナイト様ぁ!?ふざけた事言ってんじゃねえよてめえ…」

ロビンと名乗った女性の歯に衣着せぬ言いぐさにカチンと来てしまい、相手が女性といえども思わず襟元に掴みかかろうと詰め寄る。

「マミークン!?乱暴はダメッ!!」

とっさにマミーを制止しようと言葉を荒げるヨーコだが、しかしその時目の前に信じられぬ光景が映り、思わず息を飲む。

「…“四輪咲き”」

「ぐ…!!?何…ッ!?」
「手、手が生えた!!?…マミークン!!」

突如マミーの体に細い腕が四本生え、マミーの両腕関節を押さえて体の自由を奪う。

「騒がないで。素直に質問に答えてもらえたら、危害を加える気はないわ」
「ぐっ…!何が目的だてめえ…!」

ギリ、と歯を食いしばりつつ突き刺すように鋭い眼光をロビンに向けながら出方を伺う。

「ごめんなさいね。話が済んだら離してあげるから…少し我慢してね。あなたも下手なことさえしなければ、彼の安全は保障するわ」
「卑怯だよ…そんなの」
「知ってるわ。でも一番効果的でしょ?安全に話をするには」
「…悲しい人だね、あなた」
「…悲しい…人?」
ヨーコのその何気ない言葉に思わずピクッと小さく顔を強ばらせ、動きを止めるロビン。

368 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 03:59:18 ID:Oj8FkxFCO


「…どういう意味…かしら?」
「そのままの意味。あなたって…人を信じられない、悲しい人」
「……」
「そんな事…しなくても、ちゃんと話してくれれば、ちゃんと答えるのに」
「……」

少しの沈黙。
ロビンの考えていた予定とは違うヨーコからのその意外な返事を受けて…言葉を探すように目を伏せ、そして…

「ぐ…ゲホッ!…はぁ…はぁ……」
「マミークン!」

ふとマミーを見ると、彼を押さえていた四本の腕は消えていた。自由になりよろめくマミーを慌てて両手で支える。

「フフ、やりにくいお嬢さんね。…悪かったわ。貴女の言う通り、普通に聞く事にするわ…」

何か思うところがあったのか…意外にもロビンは素直にヨーコの言葉を受け入れ、マミーを自由にした後に『悪かったわ』との言葉を現すかのような少し困ったような微笑を浮かべて言葉を連ねた。

「…イヴって子、知らない?」

さらに予想外な、このようなゲームの中では極めて普通であり人道的な『人探し』の質問をロビンが…
目の前の『危険な人物』かと思われた女性が投げかけてきた事に、違う意味で面食らってしまい、拍子抜けしたように肩の力が抜ける二人。

369 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:06:23 ID:Oj8FkxFCO


「イヴ?…知らない。私たち、今まで他には誰にも会ってないから。そうだよね?」
「……ああ」

マミーに同意を求めようと顔をのぞき込み、マミーもいまだ完全には警戒は解いていないが小さく首を縦に振る。

「そう……ならもういいわ。じゃあね」
「…待ちな、こっちにもあんたに質問がある」
「…?何かしら?」
早々と二人に背を向けようとするロビンにマミーが顔を上げて太い声で問いかける。

「あんた…ゲームには乗ってねえのか?」
「……私には難しい質問ね。イエスかノーかで答えるなら…多分イエスになると思うわ」
「煮え切らねぇ答えだな。『殺し合う』つもりは無いんだな?」
「…ええ。死ぬつもりは無いけれど、向こうがその気でない限り…命は取ったりするつもりは全く無いわ」
「……向こうがその気なら…殺す事も躊躇わねえ、って風にも聞こえるけどな」

両者の間に一瞬走る緊張。
ヨーコはその緊張感に飲まれてしまい、口を挟めない。

「…まあいい。なら聞くが……そこの茂みに隠れてる奴は、あんたの知り合いか?」
「あら、バレてたのね」

マミーが指差した先の腰くらいまでの高さの茂みに『えっ!?』といったような驚きの顔でそこに視線を向けるヨーコ。

370 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:07:41 ID:Oj8FkxFCO


「…悪いが、やっぱりあんたは信用ならねえな。『普通に聞く事にする』ってんなら…そんな布石を打つような真似、するもんじゃねえ」
「そんなつもりは無かったの。言うタイミングが無かっただけよ。…スヴェン、出てきていいわよ」

茂みに顔を向けて冷静な声で姿をまだ見せていない人物を呼ぶロビン。

「……」

「……?スヴェン?」


しかし…出てこない。
マミーとヨーコはともかく、ロビンさえも困惑の眼差しを向ける。

「…私の言う事が、聞けないの?」


「……ああ。そんな言いぐさじゃあ…いくらレディーの願いとはいえ、素直に聞く気にはなれないな」
「!!?」

ガサ、と草の擦れる音を立てて姿を現した一人の男…スヴェン。
しかし滅多に取り乱したりはしないロビンには珍しく、動揺が隠せずに冷や汗を額に浮かべて『信じられない』といった驚愕の表情でその返事をした男に目を見開く。

「…話は聞かせてもらった。しかし腑に落ちないな…何故俺はこんな所にいるんだ?それに…」

紳士さを象徴するような帽子をクイ、と指で上げ、ロビンに真っ直ぐに視線を投げかける。

「あんたにはいろいろと聞きたいことがあるが……なんでイヴを探している?」

371 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:12:06 ID:Oj8FkxFCO


ロビンは現在のスヴェンの様が全く理解できず、返答を返せずにただスヴェンの顔を眺め続けながら頭を整理し続ける。

(何故!?降魔の剣の効力が消えてしまったというの!?…理由は分からないけれど、そうとしか考えられない!)

「えっと…どういう事?マミークン?」
「…知るかよ」

二人には事態が全然把握できない。
頭に?マークを付けたヨーコとマミーは顔を見合わせてロビンとスヴェンの二人の様子を伺う。

「確かあんた…ロビンって言ったか?あんたと戦って、宇宙人みたいな奴があんたの加勢をしたせいで剣みたいな物で斬られて…」

「…そして、貴方は私の…『仲間』になったのよ」

そこで初めて重い口を開くロビン。

「仲間?どういう事か全部説明してもらいたいな」

「…いいえ、その必要は無いわ。もう仲間じゃないみたいだから…。さよなら、紳士サン」

表情を隠すように全員から顔を背け、足を踏み出す。

「おい!ちょっと待て!」

「…そうだ、最後にお嬢さんに忠告しておくわ」
「…え?」

表情を見せず背を向けたまま足を止め、ヨーコに対して話しかける。

「そのケース、そんなに大切そうな物…不用心に持ち歩くべきじゃないわ。じゃなきゃ…」

372 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:20:27 ID:Oj8FkxFCO


ヒョイ

「あっ!!?ボクの…!!」

地面に腕が生え、ヨーコが右手に下げていたアタッシュ・ウエポン・ケースを素早く奪うと、空中で弧を描きロビンの元へ飛んでいってロビンが両腕でキャッチする。

「じゃなきゃ…私みたいな人間に、盗まれちゃうわよ?」

「か!返してよ!ボクのだよ!!」
「おい…待て、そいつはオレの相棒だ!」

ケースを見るなり、スヴェンも口を揃えて所有権を主張する。

「じゃあね」

それだけポツリと呟くと、軽やかに駆けていくロビン。
三人が追おうとするが既に周辺からロビンの気配は消え、取り残された三人は追跡を諦めざるをえなかった。



「…いったい、何がどうなってやがる?あんた、あの女の仲間じゃなかったのか?」
「悪いが、オレにも現状がよく理解できない」
「???…さっぱり分かんないよ。何がどーなってるの!?」

スヴェンに詰め寄る二人だが、当のスヴェンにも説明のしようがなかった。

マミーとヨーコを発見して接触を試みる前、ロビンの命でスヴェンはもしもの時に援護できるようにそばの茂みに隠れていた。

373 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:32:29 ID:Oj8FkxFCO

しかし偶然にもそのすぐ後、降魔の剣による妖怪化の効力が消失して本来の意識が戻り、はっきりしない意識のままでスヴェンは三人の会話を聞きながら様子を見ていたのだ。

降魔の剣自体が既にラオウの手により砕かれていたためか、それとも主催者による不思議な制限を受けて効力が弱まっていたためか…とにかく、その呪縛は既に完全に解けていたのだ。
しかし妖怪化していた間の記憶は無く、自分に起こっていた出来事は全く覚えていない。

「まあとにかく…オレは彼女を追う。あのケースは元々オレの持ち物だし、それに…」
「そうだったの!?…それに…何?」
「……」

「…泣いてるレディーを追いかけるのは、男の義務だからな」





「……行っちゃったね。一体何だったんだろう、あの二人?」
「さあな。こっちには関係ねえ事だ。関わるのもゴメンだしな」
「…冷たいんだね、マミークン」
「……」

不愛想に吐き捨てるマミーの言葉に口を膨らませて反抗するが、マミーからは相変わらず気の利いた返事は無い。

374 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:36:32 ID:Oj8FkxFCO


「…ったく、ほら行くぞ、ヨーコ」
「!!!?」

ふいに名を呼ばれ、全身が固まるヨーコ。
「ん?何だ?」
「………うんッ!!さ!行こッ!!マミークン!」
「…?何なんだよ…」

いきなり上機嫌になったヨーコに疑問を持つも、特に気にする事も無く再び道を進み始める。

(やっと…マミークンが名前で呼んでくれたよ!るーしぇクン!)

そんなたわいもない小さな喜びを胸に宿し、彼女も再びその足を踏み出した。


「『ヨーコお姉さん』って、呼ばなきゃダメだよ!マミークン!」

375 :夢、幻の如く:2006/01/18(水) 04:37:45 ID:Oj8FkxFCO


【茨城県/昼】
【マミー@世紀末リーダー伝たけし!】
[状態]健康
[装備]フリーザ軍戦闘スーツ@ドラゴンボール
[道具]荷物一式(食料・水、一食分消費)
[思考]1:ヨーコを信頼
2:たけし・ボンチューと合流

【ティア・ノート・ヨーコ@BASTARD!!】
[状態]移動による疲労
[道具]:荷物一式(食料・水、一食分消費)
:大量の水が入った容器
[思考]1:マミーを護ってあげたい
2:るーしぇ(D・S)と合流

【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]:千年ロッド@遊戯王
:アタッシュ・ウエポン・ケース@BLACK CAT
[道具]荷物一式(二人分)
[思考]1:逃げる
2:アイテム・食料の収集
3:死にたくない

【スヴェン・ボルフィード@BLACK CAT】
[状態]疲労(妖怪化から回復)
[道具]荷物一式(支給品不明)
[思考]1:ロビンを追う
2:トレイン・イヴ・リンスと合流

376 :作者の都合により名無しです:2006/01/18(水) 18:05:14 ID:2Xr3S48u0
>>349は無効です。

377 :作者の都合により名無しです:2006/01/18(水) 23:03:56 ID:wnMX7Qry0
>>376は無効です。
かってに無効にしないで意義があるならちゃんと
議論感想スレに書き込んでからにしましょう。


378 :作者の都合により名無しです:2006/01/19(木) 01:06:14 ID:4pePrLjE0
意義じゃなくて異議な。

379 :作者の都合により名無しです:2006/01/19(木) 19:58:22 ID:sCBVaA/d0
くどいようですが>>377は無効です。

380 :作者の都合により名無しです:2006/01/19(木) 20:27:30 ID:bXRRsBq+0
くどいようですが>>379は無効です。

381 :作者の都合により名無しです:2006/01/19(木) 20:39:34 ID:G0/PMpNJO
>379
クロロ厨乙w
議論しろってんだよ人間のクズがw

382 :殺し屋と忍者と伏兵と 1/2:2006/01/19(木) 20:49:42 ID:ptYzlHiq0
桃白白はゲーム開始から朝まで、ずっと休まずに走り続けていた。
そのため、休息をとる意味も含めて適当にぶらつきながら茨城県内を調べていたが、特に成果はないまま昼近くになってしまった。
「もう休憩は十分だな。今度はこの関東地方とかいうエリアを探索するとしようか」
なにしろまだ二人しか殺していないのだ。一人十億貰うとして、二十億にしかならない。
今日中に十人くらいは殺したいところだと考えながら、桃白白は南に向かって歩き始めた。

昼の放送が終わった。
相変わらずいいペースで人が死んでいるようだが、桃白白自身はまだ二人しか殺せていない。
「うーむ、この辺りには人はいないのか?早朝まではいいペースだったのだが…」
朝のようにペースを上げて移動した方がいいかと思っているちょうどその時、はるか前方に人影が見えた気がした。
「む……間違いない、あれは人だな。一人か…だが、中々いい動きをしている」
少しは楽しめそうだと口元に笑みを浮かべ、桃白白はその人影に向かって走り始めた。

383 :殺し屋と忍者と伏兵と 2/2:2006/01/19(木) 20:50:34 ID:ptYzlHiq0
「禁止エリアは静岡に大分…どっちも俺らには関係ないか。…雷電のおっさんも無事みたいだし」
茨城県の海岸沿いの道路で、シカマルは地図を広げながら走っていた。
ナルト、サクラ共にまだ生きているし、雷電の知り合いも朝から昼までには誰も死んでないようだ。
「しっかし、また14人も死んじまったか…ったく、メンドクセェ」
「…なら、お前が15人目になるか?」
何者かの声と同時に、横から何か光るものが目の前に振り下ろされ…
「あぶねぇっ!」
とっさに飛び退いたシカマルだったが、左脚に鋭い痛みが走っていた。
見ると、裾がバッサリと切り裂かれて血がだらだらと流れ始めている。
「ほぅ、よく避けたな。思ったとおり少しはできるらしい」
いつの間にかシカマルの目の前に男が立っている。
その手には、刃を光らせた刀が握られていた。
「ちっ、話し合いは…無駄みたいだな。やる気マンマンって顔してるぜ、オッサン」
「私は世界一の殺し屋、桃白白だ。私に殺されることを光栄に思うがいい」
桃白白は刀を納めると、素手で構える。
「孫悟空と戦う前の準備運動だ。貴様は素手で殺してやろう」
「(やべぇな…武器と言えば途中で拾って忍具ホルダーに入れてある石つぶてくらいだ…
 コイツ、気配も感じさせずにいきなり斬りかかってきた動きからしてかなりできるぞ…)」
頼みの綱は『影真似の術』だったが、道中で試したところでは、妙な制限があるためか予想以上に体力を消耗した。
「(多由也の時みたいに力ずくで抜けられたりしたらマズイ…使いどころが難しいな)」
「ふっふっふ…どうした、抵抗くらいはしてみせろよ?」

そして、対峙する二人から少しはなれた民家の陰で、一人の少年…ゴンが様子を覗っていた。

384 :殺し屋と忍者と伏兵と 終:2006/01/19(木) 20:51:24 ID:ptYzlHiq0
【茨城県海岸沿い/1日目・日中】
【桃白白@DRAGONBALL】
 [状態]:健康
 [装備]:脇差し
 [道具]:荷物一式(食料二人分、一食消費) ジャギのショットガン@北斗の拳(残弾20)
 [思考]:1.目の前の男を殺す
      2.孫悟空、ピッコロ以外の参加者をできる限り殺す
      3.孫悟空を殺して優勝し、主催者からご褒美を貰う

【奈良シカマル@NARUTO】
 [状態]:左脚に切り傷(移動に支障あり)
 [装備]:石つぶて十数個
 [道具]:荷物一式(食料一食分消費)・仙豆(一粒)@DragonBall
 [思考]:1.桃白白をどうにかする(倒すか、逃げるか)
      2.東北に移動
      3.知り合いとの合流(男塾メンバー含む)

【ゴン・フリークス@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:健康
 [装備]:テニスボール(ポケットに入れてある)
 [道具]:荷物一式(食料一食分消費)、テニスボール×2@テニスの王子様
 [思考]:1.シカマルと桃白白の様子を覗う(場合によってはシカマルを助ける)
      2.キルアを捜す
      3.奈良シカマルを尾行し、情報を集める

385 :鬼人となりて悪を討つ1:2006/01/19(木) 23:08:30 ID:aMb0EgdqO
ーーー彼女との出会いはいつだったろう?
ーーー去年の四月だったか?
ーーーいや、違う。
そう。あれは6年前の雪山でのことだ。
正午過ぎ、一人の男が人気のないひっそりとした道で、呆然と立ち尽くしていた。
男の名は鵺野鳴介。両津、玉藻との約束を守り、この地で合流を待っていたのだが、彼に再び悲劇が訪れた。
護らなければならない人ーーゆきめの死を知ったとき、彼の中で何かがはじけた。
ふと鵺野の脳裏に彼女と過ごした満ち足りた日々の思い出が甦ってきた。
しかし、この男の目に涙は流れなかった。
代わりに辺りの空気を震えさせるほどの凄まじい憎悪。
教え子を殺した者への怒り。
妻を殺した者への怒り。
主催者への怒り。
それら全てをまとめた「悪」 への限りない憎しみが鵺野の心を覆っていた。

ーー悪魔め…

なぜ郷子を殺した???
なぜゆきめを殺した???
もう……これ以上……誰も殺させない。
俺は…鬼になってでも主催者を…そして、このゲームに乗った悪魔共を皆殺しにしてやる!!



386 :鬼人となりて悪を討つ2:2006/01/19(木) 23:09:33 ID:aMb0EgdqO
人を護る力……それとは正反対の彼の想いだが、その戦闘力はその力に匹敵するほど増大していた。
殺人者を殺すことが結果として人を護ることにつながるのかもしれない。

「はぁ……はぁ……
放送には玉藻の名は無かった。
俺の知り合いは両津さん、伊達くん、そして、玉藻の三人だけになってしまった。
この三人が人殺しをするとは考えられない。
ならば、俺たち四人(両津さんが連れてくる仲間もあわせれば七人)
で会場内にいる殺人者を一人残らず皆殺しにし、主催者の首をとってこのゲームを終わらせる。」
鵺野はすくっと立ち上がると仲間達の待つであろう東の方角へ走り始めた。
「そうと決まれば行動開始だ。玉藻には悪いがまず両津さん達と合流しよう。
信用できるかどうかはわからないが、数は多い方がいい。
そこで武器が入れば二人のためにもなる。
郷子、ゆきめ。必ずお前達の仇をとってやるからな。俺はもう……涙を捨てた。」
憎しみは憎しみの連鎖に繋がるだけ。
先程までのぬーべーならそれに気付いていたはずだが、今回、よき理解者ははいない。
ぬーべーの周りには溢れんばかりの霊力で満ちており、その形相はまさに鬼そのものだった。


387 :鬼人となりて悪を討つ3:2006/01/19(木) 23:10:15 ID:aMb0EgdqO
【初日兵庫県西部@日中】【鵺野鳴介@地獄先生ぬーべー】
【状態】激しく興奮している。(戦闘力大幅UP、体力消耗)
【装備】御鬼輪@地獄先生ぬーべー
【道具】水を七分の一消費した支給品一式
【思考】1・琵琶湖へ行き両津及びその仲間と合流(但し仲間の方は信用していない)
2・ゲームに乗っている人を全員殺す(主催者含む)
3・武器を探して伊達、玉藻と合流する。

388 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:28:23 ID:qmiIVHFkO
陽が最も遠く昇る刻…
整備されていない細い砂利道を行く伊集院隼人は急ぐ足を止め、その主催者たちからの忌まわしき声を聞いていた。

(……さらに14人……。だが、どこまでが本当でどこからが嘘かさっぱり分からんな)

この放送は嘘で固められている。
そう気付いている今となっては、すでに30人以上が屍と化している――と聞かされても、もう心が揺らぐ事は無かった。

(少なくともこの放送で分かる確実な事実は二つ。…静岡と大分が禁止エリアになる事と、朝から今までの間には…香も冴子も死んでいない、と言う事だな)

主催者側としては、生きている人間を死んでいると見せかける事にはメリットがあるだろうが、死んでいる人間を生きていると見せかける事には全くメリットは無い。
本当は死んでいるのなら、隠したりせずにさっさと参加者に知らせた方が…ゲームは順調に進行するだろう。
…彼は結論としてその考えに至り、安心した事を現すかのように小さく頷くとすぐに歩みを再開する。

(……しかし、何故か脱落者の名前に日本人が多かったな。確か…火口、防人、海馬、日向、桜木、三井、赤木…?偶然か?)

眉間にしわを寄せて新たな思案事項に思いを馳せながら、道を踏みしめていく。

389 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:29:46 ID:qmiIVHFkO





「……悟空たちは無事なのかぁ。よかった……んだよ…な?」

疲労から来る睡魔に負けてほんの一瞬だけ意識を手放していたクリリンは、再び訪れた死を告げる死神たちの声により意識を取り戻し、知り合いたちの無事を確認すると安堵のため息をつき…しかしそれと同時に、複雑な気持ちに心を締め付けられていた。

(よかったのかどうかなんて…分かんねえよ!…ブルマさんは…やっぱり俺が…ろさなきゃ…いけないの…かよ…?)

頭では決まっていても、未だに踏ん切りはつかない。
なるべくその事実から目を背けてはいても、無意識の内に…もしかしたら自分が手を下さずに済むかもとの淡い期待に似た気持ちが有ったのはクリリン自身にも認めざるをえなかった。

苦悩。

いくら考えても、道は既に一つしかない。
しかしその道は、最初に自分で考えていたよりも遙かにつらく険しい過酷な道だった。
…忘れよう、深くは考えないようにしよう、きっとうまくいくと信じよう――

いくらそんな風に考えようとはしても、やはりクリリンの心は大きな悲鳴を上げていた。

390 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:33:28 ID:qmiIVHFkO


(…ダルいなぁ。疲れて滅茶苦茶ダルいよ。…体が言う事聞いてくれないみたいだ)

精神的に参ってしまっているのは大きい。
だが、一向に疲労感が拭えないのは何故かそれだけではないようにもクリリンは感じていた。

(舞空術って…あんなに疲れたっけ…?気円斬も、あんな風に気を大きく消費したりはしないはずだよなぁ…。しかも、休んでも気が回復するのが普段より遅く感じるし。…何なんだよ、この世界は…)

体力だけはある程度回復したものの、消費した気が戻る感覚が鈍い。
仙豆さえあれば…などと考えてしまうも、無い物ねだりをしてみても始まらない事は分かっていた。
『やらなければいけない事はまだまだたくさんあるのだから今はただ、少しでも休息に集中しよう』と、ひたすら動かずに体を休め続け、深く静かな呼吸をひたすらに繰り返そうと再び無心になる。


「……!!」

だがその時、徐々に自分のいる方向へと近付いてくる一人の気配に気付く。
大きく目を見開き、とっさに体を伏せて完全に茂みに身を隠すクリリン。

(タイミング悪いなぁ…どうする?今戦るか?)

じっと息を潜めて気配を殺し、念のため体から気も消して近付いてくる相手の事を探る。

391 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:34:42 ID:qmiIVHFkO


(………身のこなしはただの一般人じゃあないみたいだけど、やっぱり気はまるで感じないよなぁ。…でも、安易に戦って、もしさっきのブラボー男の時みたいな羽目になっても困るし…
…やり過ごそうかなぁ…)

今居る世界には自分のいた世界の常識が通用しない、と…先ほど『ブラボーだ!』が口癖の格闘男と戦った時に痛感させられ、慎重に行動しなければならないと考えていた矢先の今の邂逅。

(……いや、だからこそ…戦わなきゃな。せっかくの奇襲のチャンスだ、ピッコロの負担を少しでも軽くしてやらなきゃいけないんだ!それが……俺が手に掛けちまった人たちへの罪滅ぼしにもなる!)

殺したのは相手を助けるため。
手に掛けたのは相手の命を守るため。

そう繰り返し自分に言い聞かせ、拳を握りしめ臨戦態勢へと移行していく。

(大丈夫だ!見たところ相手は機関銃で武装してる…いわば『それが無いと戦えない』ってバラしてるみたいなもんだ。俺にあの程度の武器が効くわけ無い!100パー勝てる!)

葛藤の末に勝利を確信し、何も知らずこちらに近付きつつある巨漢の男をぎりぎりまで引き付け、頃合いを悟った刹那…反撃の隙も与えずに一瞬で事を終わらせるべく、一直線に飛び出し間合いをゼロにする。

392 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:50:33 ID:qmiIVHFkO


ズガガガガッッ!!!!

「が…は…ッ!?なん…だ…ッ!!?」

ゼロ距離で打ち込まれた無数の衝撃。
何が起こったのか全く分からず、力無く膝を地面に落とす。

「……何…で…バレてたんだ…!!?」
「…いくら気配は殺せても、『殺気』を消さずに奇襲をしようなんざ、戦場では通用しないぜ…!」

ズガガッッ!!!

「クッ!?ぐあ…!」

追撃のマシンガンをかろうじて身をよじらせて当たり所を急所から外す。
クリリンの誤算は三つ。
一つは『相手にすでに奇襲を悟られていた事』。次に『相手がやはり只の一般人ではなかった事』。
そして最後の誤算は…

393 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:54:27 ID:qmiIVHFkO



(イッテエ…!!何で機関銃程度の攻撃が……普通に致命傷になっちまってるんだよ!!?)

さらに次々に打ち込まれてくる段幕から必死に距離を取り、木の影から影へと素早く移動を続ける。
しかし、そのスピードは普段よりはるかに低迷。
その原因にもなってしまっている、受けてしまった致命的なダメージは『わき腹』『右手中央』『右太もも』の三カ所。
いずれからも血が次々に流れ出ている。

「貴様はすでに手追いのウサギ!素直に降伏するんだな!」
「くっ!そんな訳にはいかないんだっ!!」

いくら逃げても巨漢の敵は恐ろしい程正確にクリリンの居る位置めがけて射撃を打ち込んでくる。
このままではジリ貧と悟り、残り少ない気を使いきる覚悟でマシンガンの狙いが定められぬよう舞空術を用いて不規則なジグザグで一気に上空へと上昇する。

「ハア…ハア…!(ちくしょう!今の体の調子じゃあまともに戦えない!どうすりゃいいんだ!?逃げるか!!?)」

ズガガガガッ!!!!

「うわあッ!!?クソッッ!!!」

敵から距離を取り少し安堵したのも束の間、海坊主は軽々とマシンガンを頭上に掲げて上空めがけて引き金を引く。

394 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:56:49 ID:qmiIVHFkO


「…その『魔』の一文字をどういうつもりで背負ってるのかは知らねぇが、それ相応の報いってやつを受ける覚悟くらいはあるんだろうな!!」
「…!!!」

マシンガンを打ち続けながら叫んだその海坊主の言葉を聞き、クリリンは自分の着ている服に視線を落として歯を食いしばり、つい先ほど自分の頭に繰り返し言い聞かせていた誓いを思い出す――

『助けるため――』

「…へへ…、そうだったな。俺、今悟飯の道着を着てたんだっけ…!」

笑みが、こぼれた。
半ばパニックに陥っていた頭が冷静さを取り戻していく…。

(…悟飯、お前の…ピッコロから教わったっていう生き様、それを写した大切な道着なんだよな)

左手を腰の後ろに下げる――
(…筋違い、かもしれねえけど……俺に少し力を貸してくれよ、悟飯…!)

左手の手のひらに――強い光が集っていく…

「…!?何をする気だ…?」

異変を感じ、いったん撃ち方を止めてジッとその様子を見る海坊主。

395 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 07:58:49 ID:qmiIVHFkO


「か…め…は…め…!」
(俺は……今、負けるわけには…)

「……波アアァァアーーッッッ!!!!」
「な、にイッ!!?」

ズキュウウゥーーッ!!!!
片手で撃ち出した渾身のかめはめ波が一直線に海坊主を襲う。

ズドオォオーーンッッ!!!!!
「負けるわけには…いかないんだあアアーーッッッ!!!!」

海坊主を完全に飲み込んだかめはめ波は、全てを飲み込んでいくかのように地面に炸裂し、無数の石や砂ぼこりを吹き上げて轟音を轟かせる。

「………く…!」

炸裂の余韻が未だ残る中、クリリンは気を使い果たした反動で力無く地面に向かい一直線に自由落下していく。
ドサ!と地面に倒れ込むようにたどり着き、そのショックや数多くの酷い怪我で激しく痛みを訴える全身にムチを打ってゴロンと仰向けに寝そべる。

「………勝っ…た…、勝て…たぁ…!」


「……チェックメイトだ」

クリリンの頭に突きつけられる銃口。
砂ぼこりが薄くなり、そこに姿を現したのは―――全身至る所に擦り傷を作り右肩から血を流しつつも、力を失っていないその根太い声と共にしっかりと地面に両足を踏みしめた…海坊主であった。

396 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 08:03:18 ID:qmiIVHFkO


「……負け……か。悔しいなぁ…」
「間一髪でかわせなけりゃあ、俺の負けだったがな」
「…あれをかわされたなら…俺の完敗だよ。……早く…楽にしてくれ…」

ゆっくりと両目を閉じ、クリリンは最後の瞬間を待つ。

「…断る。死にたいなら、他を当たれ」
「…え?」

予想もしてなかった返答に戸惑い、目を開けて海坊主の顔を見上げる。

「…自殺志願者の願いを叶える、なんてボランティアをする趣味はねえ」
「ぼ…ボランティアあっ!!?」

思わず情けない声が出てしまい、口をあんぐりと開いたまま呆気に取られる。

「死に際がそんなに潔い無差別殺人者なんてありえねえ。何か理由があったんだろ。ま、そんなの聞く気はねぇがな…。じゃ、あばよ」

銃口を下げ、背を向けて歩き出す海坊主。

「………ちょっと、待ってくれ」
「なんだ?」

自分を呼び止める声にぶっきらぼうに反応して背を向けたまま立ち止まる。

「みんな…助かる方法が、ある」
「……何だと…!?」
全く意図していなかった言葉に強く反応し、再びクリリンの方に体を向けて立ち尽くす。
力を振り絞り、よろめきながらも何とか立ち上がり、海坊主の顔を見上げる。

397 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 08:15:02 ID:qmiIVHFkO


「ある参加者が優勝すれば…一人残らず、みんな…生き返れるんだ」
「……いまさらそんな思いつきの嘘なんてつくのは、フェアじゃねえな」
「嘘じゃないさ。あんたには借りができちまったからさ、まだ死ねなくなっちゃったよ。あんたの事も助けたい…俺が諦めたら、あんたも助けられなくなる…だから…」
「………」

苦い顔で微笑を浮かべながら一歩一歩、海坊主に歩み寄る。

「だから……できればやっぱり…」
「…?」

「今、死んでほしいッ!!!」
「なッ!!!?」

ヒュッ…!

恐ろしい素早さの抜き手を海坊主の心臓めがけて突き出す。

「…………え……っ…!!!?」


抜き手は、海坊主を貫く事無く…胸の前で音も無くピタリと止まる。

「クソッ!!不思議なバリアでも張ってるのか!!?」

不可解な攻撃無効化を受けて焦りの色が隠せず、大きくバックステップで間合いを離すクリリン。

「…どういうつもりだ?」

一見、臭い芝居でもしたのかとも海坊主は感じたが…明らかに殺気をはらんだ一撃であったため、そうではなく『本気』で殺りに来たのだと直感した。

398 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 08:16:27 ID:qmiIVHFkO


「やっぱりあんた…普通の奴じゃないんだな…!」
「…確かに『普通』だなんて、言われた事はねえ」

緊迫した空気の中、海坊主は先ほどのクリリンの不可解な攻撃の事を考えていた。

(奴が本気だった事が事実である限り、今の寸止めには絶対理由があったはずだ)

「…あんたの名前、聞かせてくれよ」
「……ファルコン、だ」
「俺はクリリン。あんたとはこんな形では会いたくなかったなぁ…」
「………」

再び、二人の間に重く緊張した冷たい空気が流れ始める。


「さあ、来な。分からず屋のお前さんをぶちのめした後で、さっきの話の続き…洗いざらい吐いてもらうぜ…!」
「やって……みなよ!!ファルコン!!!」

死闘の第二ラウンドが今、始まる。

399 :揺れる空 〜前編〜:2006/01/20(金) 08:23:11 ID:qmiIVHFkO
【福井県/日中】

【伊集院隼人(海坊主)@シティーハンター】
[状態]全身に軽い擦り傷・右肩負傷
[装備]:排撃貝(リジェクトダイアル)@ワンピース(胸ポケットに収納。本人はただの貝殻だと思っている)
:ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数は不明)
[道具]:荷物一式(食料・水、九日分)
:超神水@ドラゴンボール
[思考]1:クリリンに勝利して情報を引き出す
2:銃火器類を探す
3:香・冴子・リョウを探す(放送は信じず)

【クリリン@ドラゴンボール】
[状態]:疲労困ぱい、気はほぼ空
:わき腹、右手中央、右太ももに重傷
:精神不安定
[装備]悟飯の道着@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式(食料・水、四日分)
:ディオスクロイ@BLACK CAT
[思考]1:ファルコンを殺す
2:できるだけ人数を減らす(一般人を優先)
3:ピッコロを優勝させる

400 :修正:2006/01/20(金) 08:49:23 ID:qmiIVHFkO
>>394を以下のように修正します。

「…奇襲でいきなり人を殺そうとしやがった悪党なんだ、それ相応の報いってやつを受ける覚悟くらいはあるんだろうな!!」
「…!!!」

マシンガンを打ち続けながら叫んだその海坊主の言葉を聞き、クリリンはふと無意識に自分の着ている服に視線を落とす。背中には『魔』の一文字。歯を食いしばり、つい先ほど自分の頭に繰り返し言い聞かせていた誓いを思い出す――


『助けるため――』


「…へへ…、そうだったな。俺、今悟飯の道着を着てたんだっけ…!」


笑みが、こぼれた。
半ばパニックに陥っていた頭が冷静さを取り戻していく…。

(…悟飯、お前の…ピッコロから教わったっていう生き様、それを写した大切な道着なんだよな)

左手を腰の後ろに下げる――

(…筋違い、かもしれねえけど……俺に少し力を貸してくれよ、悟飯…!)

左手の手のひらに――強い光が集っていく…

「…!?何をする気だ…?」

異変を感じ、いったん撃ち方を止めてジッとその様子を見る海坊主。

401 :氷の精神1/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:24:57 ID:5oZ5xDXg0
「……DIO」

男が吐いた名前を、我も知れずにウォーズマンは繰り返していた。
悠然と椅子に腰掛け、肘掛けに凭れ掛かっては、自分を興味深そうに見詰めて来る。
永遠に溶け出さない氷のような眼差し。――見透かされている。心を。恐怖を。

「怯える事はないのだがね。
 我が館――と言っても貧乏な兎小屋のように貧相な小屋に過ぎん場所だが、
 騒々しく現れた訪問者とただ、話をしてみたいと思っただけなのだから」

男は腰を埋めた椅子から逃れる気配も、攻撃を仕掛ける気配も見せなかった。
組んだ指を組み替え、真昼の訪問者が、武器を持った殺戮機械が如何な手品を見せてくれるのか、
――楽しみにしてるようにさえ。
問われた名さえも返さずに憮然と沈黙を保っている機械の男を前に、DIOは話を続けた。饒舌に。

「大事そうに抱えている筒は、誕生日のクラッカーにしては洒落ている。
 我が祖国では、クラッカーと言えば二人で紐を引き、中の品物を取り合う遊びの道具だった。
 そう―…綱引きのようなものだ。片方の紐に、菓子が付いている」

402 :氷の精神2/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:25:50 ID:5oZ5xDXg0
コーホー……
コーホー……

ククと喉を鳴らし、吸血鬼の顔が愉悦に歪む。

「無論、これから殺し合いをさせようと言う輩に、クラッカーを配る無能もいまい。
 其の筒は"確実に人を殺す能力を持つ道具だ"し、
 君は筒の殺傷能力を"十分に知っている"

 然し其れでもなお、クラッカーと共通していると言える点がある。
 引き金を絞れば、ボン!

 ――破裂音と共に、勝者が定まる」

男は歌うように口ずさむ。
ウォーズマンは握り締めた殺戮兵器を、見せ付けるように、どんと足を鳴らし、

「……其の通りだ。
 コイツは燃焼砲(バーンバズーカ)
 オレが指をちょいと動かすだけで、筒の先にあったものを黒焦げにしちまう。
 ……アンタもそうなりたいのか? 薄汚く焦げた灰によ!」


403 :氷の精神3/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:26:49 ID:5oZ5xDXg0
黒いメタリックに包まれた腕は震えながらも、燃焼砲の標準を合わせていた。
そう、自分は燃焼砲の威力を"十分に知っている"――悲鳴と断末魔が、脳裏を走る。
少女の悲鳴が。青年の断末魔が。可能ならば、二度と使いたくはない、使うべきではない兵器。
けれど男から放たれる邪悪なオーラが、忍び寄る恐怖が、武器を持って威嚇をせずにはいられなくする。
恐ろしい武器だ。殺戮兵器だ。匂わないのか、この筒から漂う、絶望的な死の香りが。
臆病な兎が、精一杯身体を大きく見せるように、相手が自分から逃げ出してくれるように。
ウォーズマンは、敢えて声を荒げ、口を醜く歪ませた。――今は戦いたく、ない。

然し、兎の努力は一蹴される。相手は、虎だったのだ。

「使いたければ、使うといい」
「……エ?」

思わず聞き返した。間抜けにも。
引き金を引く―― 其れは、青年の、二の舞を意味すると言うのに!
戸惑う機械の男を瞳に写し、端正な男の顔が歪んだ。


「使えばいい、と言ったのだ。単純に、シンプルに。
 サーチ・アンド・デストロイ、ガンホー、ガンホー。クク……
 "ルール"を聞かなかったわけではあるまい。機械の男は人間の言葉が判らないのか?

 与えられた武器を使って、最小限の損害で全ての敵を殲滅する。
 甘っちょろいヒューマニズムを後生大事に抱えて居る輩から全てを失い、脱落する――

 おっと」

404 :氷の精神4/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:27:31 ID:5oZ5xDXg0
DIOは言葉を留めると、恭しく訂正する。

「人間主義(ヒューマニズム)と言うのは軽率だったな。
 無論、"我々は人間ではない"――そうだろう?
 脆弱な人間のルールに縛られる筈もないし、そんなものは"既に超越してしまっている"
 だから"初対面の相手に躊躇なく引き金を引けるし、心も痛まない"」
「ふ……、ふざけるな!
 オレは正義超人!ファイティング・コンピューター・ウォーズマン!
 戦うことはあっても其れは世のため人のため……、貴様などと一緒に……」

否定、出来る筈だった。
自分は人間でこそないが、仲間と共に正義を志した、人間の味方であると。
然し、否定の言葉は喉元で引っ掛かり、解き放たれることはなかった。
――殺した青年のケロイド化した面立ち。非難の目で見詰める、少女の瞳。
――血の滴る鍵爪。へし折った背骨の数々。貫いた脳髄。オレは、オレは……

「何が違うというのだ?
 黒光りするボディ。悪魔の如き仮面。機械の身体――
 クク……、素晴らしいなウォーズマン。夜泣きした糞ガキも一発で泣き止むぞ!

 何処から見ても人間には見えん。フフ……このDIOの方が未だ人間の面影を残している。
 とうの昔に人間を辞めてしまったこのDIOの方がなッ!!

 其の上、世のため人のためだと哂わせてくれる。
 お前は、人間どもに尽くさねばならんと感じているようだが、
 一体全体、人間が何をしてくれたと言うのだ?」


405 :氷の精神5/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:37:40 ID:5oZ5xDXg0
吸血鬼の声が遠く背景音楽のように響き渡る中、過去のメモリーがフラッシュバックする。
――醜い醜いロボ超人のウォーズマン。ロボでも人間でもない、仲間外れのウォーズマン。
  醜い顔を紙袋で隠し、其れでも尚、子供に石を投げられる。
  迫害。嘲笑。裏に見え隠れする、異質な者に対する恐怖。

「人間と言うのは都合の良い生き物だ。善人面しておきながら、平気で裏切る屑どもだ。
 自分達と少しでも違うものを心の底では排除したがる。
 ウォーズマン。お前を見る人間達の目を、覚えているか?――果たして、其れは正常なものだったか」

火炎放射器の炎の向こうに、人影がゆらりと立ち塞がり、黒焦げの男が、涙目の少女が非難する。
――生きたかったのに。何もしてないのに。死にたくなかったのに。
殺したくなかった。武器の性能も威力も知らなかった。威嚇するだけのつもりだった。
懺悔した。謝りたかった。償いたかった。大丈夫、許してくれる筈。許して――、なら、何故逃げた?
――怪物だ。残虐な、血を好む、怪物だから。怪物は許して貰えないから。
黒焦げの青年が、
涙目の少女が、
石を投げた子供達が、
リングを取り囲む観客が、口々に、口を揃えて――自分を責め立てた。

罪悪感に苛まれ弱り切ったウォーズマンの意識に浮かんでは消える忌まわしき幻影。
其の中には――、自分が信じるべき、疑ってはならぬ筈の正義超人の姿も、あった。
輝かしき正義超人の御旗。彼らは、果たして、自分を許してはくれるだろうか。
罪もなき人間を殺した、自分を。

406 :氷の精神6/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:42:12 ID:5oZ5xDXg0
「……オレは……オレは如何したら……!!!」
カランと燃焼砲を手から零し、膝をついてしまったウォーズマンの傍らに、足音が近づく。
透明な声が壊れかけたウォーズマンの耳に入り込む。帝王はヘルメットに唇を近づけ、妖艶に。

「仕える相手を間違えたのだよ、ウォーズマン。人間などと、正義などと。
 ――どれもこれも束縛されることを前提にしている。仕えるものの自由は存在しない。
 "永遠の安心感"もだ。唯1つの失態を犯しただけで、全てを剥奪される。"彼らには寛容さがない"

 けれども"悪"は違う。
 武器の引き金を引くのにいちいち"躊躇"したりはしないし、"後悔"もない。
 悪こそが真に自由だ。何者にも縛られないし、全てを"許す"」

友情さえ及ばぬ罪をこの男は許すと言う。何て甘美な、誘惑。
神にも、否、悪魔にも縋るような面持ちで、ウォーズマンは傍らの男を見据えた。

「オレを許してくれるのか……?
 オレを嘲笑ったりしないのか?」
「ウォーズマン、君に足りないのは"覚悟"だ。
 "覚悟"を持たぬものは幾ら"強者"であっても他人の良いように扱われる。 
 ――殺せ。簡単な話だ。君を嘲笑う奴は、全部だ。"其の力が君にはある"」

407 :氷の精神7/7 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:43:24 ID:5oZ5xDXg0
「コロス……コロス……」
不敵に笑むDIOの面立ちには、恐怖を孕んだ強引さには、思い出されるものがあった。
ウォーズマンを育て上げたトレーナー・バラクーダ。またの名を、英国の超人ロビンマスク。
キン肉マンを倒ス為の訓練で教え込まれた残虐性が、沸々と湧き上がる。懐かしく心地良い記憶だった。
石を投げた子供達。恨めしく見詰める黒焦げの青年。泣き叫びながら非難する少女。
殺してしまえ。自分を嘲笑うヤツは、殺してしまえ。殺してしまえ。殺してしまえ!
「コロス……コロス……!」
封じた筈の、冷血・冷酷・冷徹の氷の精神。ぎぎぎ……と口元が悪魔の笑みを浮かべ始める。
「このDIOに忠誠を誓うというのなら、真の自由を――
 誰もお前に与えてやれなかった"永遠の安心感"を約束しよう」

「ア―……アアアアアアアア!!!!」

響き渡る咆哮は覚醒の叫び。もう、考えるのは止めてしまった。心地良い言葉に、身を任せたかった。
求めていたのは道を示してくれる者。バラクーダのように、キン肉マンのように。
血に飢えるファイティング・コンピュータの傍らで、闇の帝王だけが唯静かに、邪悪に笑んだ。


――夜が、待ち遠しい。

408 :氷の精神 ◆HDPVxzPQog :2006/01/20(金) 09:49:26 ID:5oZ5xDXg0
【愛知県と長野県の境(山中の廃屋)/日中】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:右肘部から先を損失、腹部に貫通傷(出血は止まっている)
 [装備]:忍具セット(手裏剣×9)
 [道具]:荷物一式(食料(果物)を少し消費)、
 [思考]:1、日が暮れるまで廃屋で身を隠す。
      2、参加者の血を吸い傷を癒す。
      3、悪のカリスマ。ウォーズマンを利用する。
 [備考]:廃屋の周囲の血痕は消してあります。

【ウォーズマン@キン肉マン】
[状態]精神不安定
[装備]燃焼砲(バーンバズーカ)@ワンピース
[道具]無し(荷物一式はトイレ内に放置)
[思考]DIOに対する恐怖/氷の精神
    DIOに従う。


409 :作者の都合により名無しです:2006/01/20(金) 15:43:09 ID:+N8mPs5W0
何度も言いますが>>380は無効です。

410 :夢・欠片・残滓 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/21(土) 01:09:41 ID:iQWaV/Bs0
(進さんが…死んだ…?)
少年、小早川瀬那は、呟く。細く、細く、吐息のように。流れる言葉は虚ろに響き…
「嘘だ!」
自らが発した怒声により、霞の中へと消えていく。
「嘘だ…嘘だ…嘘だ!進さんは約束したんだ!!クリスマスボウルで会おうって!!!」
認めたくない。認められない。
自分が死ぬのなら、まだ分かる。自分の弱さは、誰よりも分かっている。でも。それでも!!
信じられない。信じたくない。
何故?どうして死ななければならなかった?昨日までに。今までに。これまでに。
夜の帳の中、命を落とした18人もの人達に。眩い朝日の下、命を落とした14人もの人達に。
殺されなければならないほどの、一体どんな罪があったというのか。
これから命を落としていく人達に、一体どんな咎があるというのか。
「約束…したんだ…」
その言の葉に、力は無く。その表情に、生命無く。
ただ、呟く。彼にとって、神聖な約束を。彼の仲間、彼のチームメイト達にとって絶対の約束を。

皆で、全国大会決勝(クリスマスボウル)で戦う。

それは、塵へと消え行く、夢の欠片。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


411 :夢・欠片・残滓 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/21(土) 01:10:22 ID:iQWaV/Bs0
「薫…殿…」
去って逝くのは、在りし日の姿。幸せの残滓。木漏れ日のような、暖かい日々。胸が締め付けられるような、神谷薫の後姿。唯一つ。
(薫…ッ!!)
浮かび来るのは、戦いの日々。修羅の幻影。地獄に等しい、京都での日々。胸が焼きつけられるような、緋村抜刀斎の後姿。唯一つ。

神谷薫が死んだ。この世から、涅槃へと。一人、ただ一人、何も言わずに旅立ってしまった。
神谷薫が殺された。現世から、幽世へと。一人、ただ一人、何も言わずに連れ去られてしまった。


「おおおオオおぉぉぉぉおぉおオオオォおおぉおぉっ!!!」
吠えた。ただ、ひたすらに。ただ、ひたむきに。剣気に弾かれ、舞う木の葉はまるで粉雪のように。

大切な、人だった。一番、護りたい人だった。剣で人を護るなどという信念が、甘っちょろい戯言と言われもする、その心が
なによりも、なによりも美しい人だった。

…彼女に会えば、自分の心も定まる、そう想っていた。
 では、彼女を失ったなら…?

(剣は凶器。剣術は殺人術。どんな綺麗事やお題目を唱えようと、それが真実)

「何故、何故、薫を殺したァッ!!(お前が殺さなかったからだ)」

(お前が殺さなかったから、神谷薫は死んだ。お前が殺せなかったから、志々雄はまた誰かを殺す。お前が殺せなかったから、更木もまた
 誰かを殺す。誰かを殺され、恨みに燃える誰かが、また、誰かを殺す。お前が殺さなかったから。お前が殺さなかったから。お前は、
 もう、人殺しのくせに。数え切れない幸せを、その手で汚してきたくせに。お前が、自分の手を汚すことから逃げようとするから。)

(お前の、弱さが、神谷薫を、殺した)

「おおおオオおぉぉぉぉおぉおオオオォおおぉおぉっ!!!」
吠える。ただ、ひたすらに。ただ、ひたむきに。殺気に弾かれ、舞う木の葉はまるで粉雪のように。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

412 :夢・欠片・残滓 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/21(土) 01:12:01 ID:iQWaV/Bs0
「…ったく、状況分かってんのか、糞チビに糞ゴザル」

 幾許かの時間が流れ――蛭魔妖一が言葉を発した。一見、その顔に精彩は無く。瞳だけは翳ることなく。

「まず、糞マネについてだ」
 そこで、一瞬。剣心の顔を一瞥すると、続ける。
「緋村サンの捜していた人ってのは、結構腕が立つ人だったんだろ?」
「ああ…そうでござる」
「進もだ。日本最強のラインバッカーとか言われてたが、その名に恥じない身体能力をもっていやがった。だが。
 あの糞マネは頭はキレるが、一般人だ。バケモンとやりあえるほど強くもねェし、バケモンに追われて逃げ切れるほど早くもねェ。
 さっきの糞手巻きミイラや糞ウニ頭みたいな奴に見つかったなら、もうとっくにくたばっててもおかしくねェ。
 かといって、バケモン連中に襲われている奴を見過ごして、自分が隠れていられるような奴でもねェ。なら、だ。
 いままで、一人で生きてこれたってことは、」 
「まもり姉ちゃんには、誰か、心強い仲間が居る…」
「それか、運よく今まで誰にもあってないのかもしれねぇがな。まぁ、急ぐに越したことはねぇが、糞マネのことは、怪我人二人抱えて
 強行軍する理由にゃ、少し足りないってこった」
そこで、一息。頭上には、抜けるような青空。遠くで聞こえる、鳥の声。草いきれ。穏やかな風。
だが、薄硝子を一枚挟んだかのような、違和感のある世界。その中心に聳えるかのように立ち、蛭魔は続ける。

413 :夢・欠片・残滓 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/21(土) 01:13:05 ID:iQWaV/Bs0
「俺と糞チビは、体を休めながら、やっぱ東京に行く。この糞ゲームに乗らされた奴は、日本出身者が多いみたいだしな。
 もしかしたら、なんかこの糞ゲームから抜ける方法を知ってる奴もいるかもしれねェ」
「え。ヒル魔さん、日本人が多いって、どうしてそんなことを…?」
「それは…「それは、名簿を見ればわかるでござるよ」」
セナの問いかけに被せるような形で、剣心は言葉を発する。穏やかな風が、もう一陣。
セナは痛ましげな視線を送り、蛭魔は無言で剣心から目を逸らす。
「お前は少し頭を使え、糞チビ!…で、だ。緋村さん、アンタはどうすんだ?」
「拙者は…(俺は…)」
「オレとしては、アンタに抜けてもらいたくはねェ。オレ等二人で生き延びるのも、結構キツそうだしな」
「拙者は…(俺は…)」
「でもな、流石に無理強いはしねェよ。状況が状況だしな(強請るネタもねェしな)」
「蛭魔さん…緋村さん…」
「ただ、アンタが一緒について来てくれたら、心強いってのは確かだ。よかったら…」
       笑み。剣心の顔に、微笑が浮かぶ。虚ろな。確かな。
「蛭魔殿、瀬那殿。拙者、ここまできて、投げ出すつもりはござらんよ
                (―――薫を殺した奴を、許すつもりも無い―――)」
立ち上がると、剣心は歩き出す。その足取りに、危うさは無く。だが、まるで、自分の中の声から、必死で逃げているかのようで。
(これ以上、拙者の目の前で、誰かを傷つけたりははさせないでござるよ。この目に映る人だけは、護って見せる。
 この目に映る人達が、護りたいと思っているものも、護って見せる。絶対に。絶対に。絶対に。)

        ―――どうやって、だ―――

瘧のように現れ消える、言葉に答える術は無く。
確かなことは。自分の中に人斬りがいるということ。自分の中の人斬りが、目を覚ましつつあるということ。
これ以上、命を失えば、もう、抜刀斎を、抑えきれないということ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

414 :夢・欠片・残滓 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/21(土) 01:20:45 ID:iQWaV/Bs0

(まもり姉ちゃんは、死なせない。蛭魔さんも。緋村さんも)
少年、小早川瀬那は、呟く。強く、強く、祈りのように。
(みんなで、みんなで、生きて帰るんだ。幸せな日常に……)

 みんなとは誰なのか。幸せとは何なのか。

 そして。生きて帰るということは可能なのか。

 流れる言葉は 決意に 満ちて………

【山口県/昼過ぎ】

【緋村剣心@るろうに剣心】
【状態】身体の至る所に軽度の裂傷、胸元に傷、軽度の疲労、精神重度の不安定
【装備】刀の鞘
【道具】荷物一式
【思考】1.姉崎まもりを護る(神谷薫を殺害した存在を屠る)
    2.小早川瀬那、 蛭魔妖一を護る(襲撃者は屠る)
    3.力なき弱き人々を護る(殺人者は屠る)
4.人は斬らない(敵は屠る)
   (括弧内は、抜刀斎としての思考ですが、今はあまり強制力はありません)

415 :夢・欠片・残滓 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/21(土) 01:21:17 ID:iQWaV/Bs0

【小早川瀬那@アイシールド21】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式 野営用具一式(支給品に含まれる食糧、2/3消費)
 [思考]:1.薫、斎藤、姉崎との合流
     2.これ以上、誰も欠けさせない

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、夷腕坊操作の訓練のため疲労
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.薫、斎藤、姉崎との合流。
     2.東京へ向う


416 :作者の都合により名無しです:2006/01/21(土) 14:49:14 ID:nIHFxtbs0
「足跡? あのお嬢ちゃんがいた辺りにか?」
「ああ。それも妙にいびつで大きめのやつだ。あとはあの少女の足跡だけだったな」

ごく一般な家のごく普通な木製の食卓。
ただ、そこに居るのはごく普通じゃない姿をした二人だった。

「あの子を見つけたとき、既に意識は無かった。私にはそこがどうも腑に落ちなかった。
 彼女は少なからず負傷、しかし付近には戦闘の跡が見られない。
 ───さてバッファローマン、どういうことか分かるか?」
一人目、世直しマン。全身を山吹色の鎧に包まれた謎のヒーロー。
十の角が伸びる兜の奥から、鋭い眼差しが時折光る。

「……さあ、言いたいことが全く見えてこねえな。どういうことだ?」
そしてもう一人、バッファローマン。二本の巨大な角を冠した半裸の超人。
破格の巨体を、頷きと共に机越しの世直しマンへと寄せて耳を傾ける。

「北海道から彼女を狙った襲撃者がこちらに渡ってきた可能性がある、ということだ」

世直しマンの言葉に「なるほど」と、バッファローマンは顎をさする。
つまり先刻の緑男に加えて、付近にゲームに乗る存在が増えるという事。
最悪そのどちらか、いや、両方同時に交戦することさえ有り得る。それだけは避けたかった。
なにしろこちらには戦いの際、格好の標的となってしまう怪我人がいる。それも二人。

ボンチューの容態は良好になってきたものの、いまだ癒えぬ生傷が多く、疲労の色も強い。
世直しマンが連れて来た少女に至っては未だ何も分からない。
ボンチューに介抱を任せた今、この二人にできることは少女のいち早い回復を願うことほか何も無いのだ。

417 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 14:50:56 ID:nIHFxtbs0
「しかし……こんなもので戦うことができるのか?」

そう言って、バッファローマンは一枚のカードを手にする。
「青眼の白竜」。絵の中のモンスターは強そうだが、それ以外はどう見てもただのおもちゃにしか見えない。

「もしかしたらハズレかもしれんが、何か使い方があるかもしれないだろう」
「でもなあ……まあ、あっちのお嬢ちゃんなら使い方知ってるかも」
「そうだな、知っている限りの事を聞き出さねばな。起きるまで待たねばな」
「おいおい…お姫様のお目覚めまで待つってワケかい? 今起こしても大丈夫だろ」
「そうはいかん。彼らは人間なのだ。それこそゆっくり回復を待つしかない……」

そう世直しマンが言いかけたとき。突如隣の部屋から声が響いた。
女の声、それも苛立ち気味の。二人の超人は顔を見合わせる。

「…なんだ、やっぱり元気じゃねえか、あのお姫様」

軽く皮肉を飛ばし、「さっさと聞きに行こうか」とバッファローマンは立ち上がる。
それに応じて、世直しマンは懐に手を伸ばした。

418 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 14:52:15 ID:nIHFxtbs0
情報の真偽を確認するに一番早い手段、それは相手の心理を読むこと。
それを手軽に知ることができるのがこの機械、『読心マシーン』。
元々は世直しマンが相手を服従させる手段として利用していた。
弱みを知り、動きを読み、完膚なきまでに叩き潰す。過去の彼はそんな使い方が主だった。

あの三人の首謀者としては、おそらくこのバトルロワイアルのゲーム性を高めるために仕込んだアイテムだったはず。
相手の心理が読める。それはどれだけ危険で、どれだけ恐ろしい甘く香しい美酒となるだろう。
裏切りがわかる。戦いが有利になる。もはや必勝の方程式さえ必要としないアイテムとなりえる。

もしこの読心マシーンが第三者の手に渡ることがあれば、この戦乱は混沌を極めていただろう。
だが今の世直しマンには正義がある。守るべきこともわかっている。
その自信が彼を動かす原動力となっている。

だから、今の彼には人の秘密はあまり欲しい情報ではなかった。

───それは一角しか見えぬ、心の奥の巨大な氷塊。

「……世直しマン? おいどうした、早く……」

バッファローマンが目の前の男に声をかける。しかし反応が無い。

「…………おい、先に行くぞ」「いや」

刹那、世直しマンが制止する。

「少し待とう……これは私たちの出る幕ではなさそうだ」
「……はあ?」
「とりあえず今後の方針はあとで伝えることにしよう。もう名前も目的もわかったからな」

世直しマンの言葉の意味が理解できず、頭の上にハテナを浮かべ当惑するバッファローマン。
ただひとり、世直しマンは隣の部屋で起こっている事の顛末を読心マシーンで聞いていた。

419 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 14:53:11 ID:nIHFxtbs0
ルキアが目覚めてからしばらく経過していた。
部屋の隅で正座するルキア。どことなくツンとした表情をしている。

一方、ボンチューは疲労困憊だった。
相手が落ち着いてくれたところを、ボンチューは必死に説明を試み続けていた。
が───

「あのな、俺は敵じゃねえんだ。行き倒れだったお前をここで介抱してた、ホントにそれだけ―──」
「ほう、行き倒れを襲うとは随分と姑息なのだな。この助平が」
「だッ、誰がスケベだ!!」
「助平で無いなら何だ? 獣か? ほう、キサマなら犬が似合いだな。この犬めが」

流れるような罵倒の嵐。
「んだとッ!!」と大声を張る手前、ボンチューは言葉を飲み込む。
少し前から続けているこの問答。ボンチューには何一つ手ごたえがなかった。
そう、この女は揚げ足取りが異様なまでに巧い。見た目に合わぬ老獪さがあるのだ。
口ではこの調子だと永遠に敵わない―─―だから論議は切り上げるほうが賢明と取った。

大きく、ボンチューは溜め息を吐く。
先刻の誤解が痛かったようで、ルキアは一切の聞く耳を持たない。
下手に言い訳するだけ自分は不利になっているだけ。こちらの言い分を説明することさえ叶わなかった。

───実はあなたが妹に見えて、思わず───なんて言えば、まるでどこかの変態だ。
他人との協力が必要なこの状況で、相手を説き伏せる時間も弁もボンチューには足りない。
ボンチューは額に手を当て、自分の不甲斐なさにうんざりとしていた。

420 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 15:02:51 ID:nIHFxtbs0
ふと、ボンチューの視界の端でルキアがキョロキョロとしていた。
時折、顎を引いて悩みこむような姿も見える。
なんだ?と顔を向けたボンチューに、ルキアが「あ、そういえば」といった顔を作り、口を開く。

「なあ、私の荷物はどこに置いてある?」

人の事は聞く耳持たぬくせに、自分の事は教えろってか。ああ、女ってのはなんて厚かましい───
そう胸の奥で毒づくボンチュー。
ただ彼は満身創痍ゆえに、もう口論をする気力も残っていなかった。

「……そっちだ」

ボンチューは素直に一つの戸を指で示す。世直しマンたちが居る部屋を。

「…では私の荷物、返してもらおうか。持ってきてくれ」

直ぐにルキアは言葉を返す。
ああ、女ってのは───
再び毒づこうと、ルキアを見計るボンチュー。
しかし、一瞬目を疑う。

ボンチューは、数多くの喧嘩で人を見てきた中で、腐った奴とそうでない奴を知っている。
腐った奴。それらは特徴的な堕落の気配を纏う。
そして目の前の女も。其の腐った奴らとは少し違うが、まさに今それに近い「堕落」を漂わせているのだ。

421 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 15:03:49 ID:nIHFxtbs0
「…どうした? アンタ、なんかさっきまでと雰囲気違うぜ」

思わず、問いただす。
そこに先程まで自分を茶化していた女の、気配以外に見せるわずかな変化。
白い眼差しに黒味が増し、嘲りの口元が締まり、己の緩めた姿勢が無意識に引き締められる。
なぜだろう。一瞬で彩られたその姿は、ひどく悲しい。

「……何がだ?」

ルキアが言葉を少しだけ紡いだ。
ボンチューは再び目を疑うか、また一瞬、少女からは「堕落」の瘴気を感じなくなった。

「ただ私の荷物を返して欲しいと言っただけだろう…?どうかしたか」
「………あ、いや…なんとなく気になってな」

まるで狐につままれたよう。
いつの間にか、先刻の「堕落」は微塵もなく消え去った──気のせいだったか。ボンチューは思う。

しかし気のせいだけで済ませられないような、胸の底で拭えぬ何かがある。
もしかしたら別に深く考えることでもないのかもしれない。ただ、ボンチューの中で磨かれてきた
「野生の勘」がそれだけに終わらせてくれない。

「…おい、何を呆けておるか!」

ルキアは怒声を飛ばす。その声で、ボンチューはとりあえず思索を巡らせるのを止めた。
「あ…わりい、荷物だったか?」

「……私はここで待つから、早く頼むぞ」

瞬間、なぜか止めたはずの思考が再び働きはじめる。
かちり、と。ボンチューの意識下で、何かが嵌まる音がした。
微かな疑問。そう、納得がいかなかった「堕落」の正体。

422 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 15:04:42 ID:nIHFxtbs0
ルキアは再び停止した男を睨みつけた。しかし反応は無い。
全くもってふざけた態度をしておる。そう心中で憤怒した。

───この男はどこか抜けておる。まるで何処かの死神代行のように。
───いきなり抱きついてきてくるは、延々と言い訳を垂れてペコペコとへつらい……実に女々しい。
───まあ、心はもう決まっておる。例えうつけ者でも、どんな御素晴らしい方であろうとも。

少し一喝でも入れるか。そうルキアは一息吸い込む。
「何を──」もたついておる!と怒鳴るつもりだった

「まさか……オマエ逃げる気か?」

目の前の男が言葉を遮る。
ルキアの喉から出かけた声は口から外に出ることなく、そのまま飲み込んだ。
驚いたせいだろう。当たっているのだから。

「……『はい』でいいんだな? 黙ってるって事は。何を企んでる? 別に逃げる必要ねえだろ?」

不穏に匂わせていた軽薄な雰囲気が、だんだんと重くなりはじめた。
緊張が張り詰める。言い訳が出るか、真相を語るか。
両者の間で言葉すらない攻防が繰り広げられる。
その空気を崩したのはルキアだった。ルキアがふう、と息を零したのだ。

「……どうやら、キサマもただの助平では無いのだな。」
足を崩さず、ボンチューを真っ直ぐに、そして真剣に見据える。
次第に空気が張り詰める。ただその場を縛る威圧感とは違う、歴史を漂わす悲壮感。
ボンチューは悟る。やはり相手も、見た目どおりの少女でないということを。

423 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 15:05:30 ID:nIHFxtbs0
「……何者だ、オメー?」
「知りたいか? なら教えてやろう、私は死神なのだ。
 ──その意味を真になぞらえた、な」

場の空気が急速に冷え込んでいく。
さっきまでの上塗りの言葉とは違い、重く、そして切に痛さを孕む。
その全てが二の口を必要せずに真実と悟らせる。

「…死神?」
「ああ。信ずるも信ぜぬも貴様の自由だがな。それと言うことが一つある……
 私に付きまとうな。それだけだ」

ルキアは一拍置き、半ば自棄気味に突き放す。
悲しみに浸ることの無い少女の表情。ボンチューはただ黙って聞いていた。

「……私の力が及ばぬせいでな、二人もの命を失せてしまった。
 わかるだろう?私は死を振りまく死神なのだ。……私の近くに寄るな」

本当は違う。死神とは現世に蔓延る虚を退治する存在。
しかし、一々説明するほど今のルキアに余裕は無かった。
だから簡単に、凶を纏ったイメージの死神で誤魔化す。

実に皮肉なものだ。
死神とは例え其の使命が正しき事だとしても、何時も其処には死が付き纏う。
──かの男、志波海燕。誇りに懸け、自刃にて葬った死神がルキアの頭をよぎる。

逃げたかった。関わり無い命を巻き込まないように。
逃げたかった。これ以上、死者を出さぬために。
逃げたかった。今の、この弱い自分から。
───私は、醜い

424 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 15:06:23 ID:nIHFxtbs0
「知るか」

そのとき、ボンチューが口を開いた。
偶然か。ルキアにはまるで頭の中の海燕が語っているように見える。
目の前の男と同じ言葉を。かつての逞しい姿のままで。

「人の生き死にに、あーだこーだ口出しはしねーけどよ」

入隊当時、朽木の名に誰も近寄ろうともしなかった私に。
ただ一人だけ、真っ先に私と普通に接してくれた時のように。

「オマエが例えなんと言おうとな、これだけは変わらねえ」

朽木の名に悩み、自分の居場所を見つけられず。
私に少しだけでも凡庸な日を過ごさせてくれた時のように。

「少なくとも俺はオマエの味方だ。忘れんな」

ボンチューはそう言って支給された水を口に含み、「休んどけ」と一言だけ言い放ち、反対側を向いて横になった。

ああ、似ている。私の知る者達と。
本当にいらぬ世話で。私の心に土足で踏み入り、私を救おうとする。

ルキアは静かに、感謝の意を込めた礼をした。
いつかは野良犬とまで罵った男に。月に吼えた野良犬の影を重ねて。

そしてしばしの休息を取ることにした。

425 :眠れぬ朝は君のせい・後編:2006/01/21(土) 15:08:06 ID:nIHFxtbs0
【青森県/昼】

【ボンチュー@世紀末リーダー伝たけし】
[状態]ダメージ大、回復中
[装備]なし
[道具]荷物一式、蟹座の黄金聖衣(元の形態)@聖闘士星矢
[思考]:1:目の前の女を守る
     2:これ以上、誰にも負けない

【朽木ルキア@BLEACH】
[状態]:右腕に軽度の火傷、気絶中?
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:不安定。できれば他人を巻き込みたくない。

【世直しマン@とってもラッキーマン】
[状態]健康
[装備]:世直しマンの鎧@ラッキーマン
    :読心マシーン@ラッキーマン
[道具]荷物一式
[思考]:ルキアが回復次第、情報交換

【バッファローマン@キン肉マン】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]荷物一式
[思考]:世直しマンの行動待ち

※ルキアの武器と荷物一式は世直しマンとバッファローマンが預かっています。

426 : ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 22:41:42 ID:xXacWvp/0
主催者たちによる放送の少し前……二人の男が京都と大阪を臨む兵庫に立っていた。
「どうしますかィ。俺ァどうも鼻が利かねえもんで。旦那にお任せしやすぜ」
大蛇丸を追う二人は、日本の地理に詳しくない者なら地図の中心地域に行くと踏んで近畿まで進み、
更にここで京都か大阪かどちらへ進むか停まっていた。
沖田に決断を委ねられた斉藤は即座に一言でそれに応えた。
「大阪だ」
「そりゃ何か理由でも?」
その問いにも一言だけ「勘だ」と応えると、沖田は嬉しそうな顔をした。
「勘ですかィ。そりゃいいや。旦那の勘はなんだかあたる気がしまさァ」
わずか半日ではあったが、二人の間には信頼関係が生まれていた。特に共通の目的に対する強い意志。
このことだけは互いに理解しあい、信頼しあっていた。


そして放送……斉藤の知る人が亡くなったことに沖田は気付いたが、斉藤が何も言わない以上それに触れる必要はないと判断した。
相棒に気を遣われたその当人は、神谷薫の死よりも寧ろそれを知った抜刀斎―緋村剣心のことが気になった。
気になるといっても心配するわけではなく抜刀斎がどうなるか、例えば怒りで人斬り時代に戻るか、
それとも絶望で廃人となるか、そういった興味であった。
禁止エリアを確認し、二人は大阪市街地へ入っていった。

427 :正義と狂気 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 22:44:08 ID:xXacWvp/0
更に放送から少し後……ヤバイ雰囲気の男をやり過ごした少年、キルア・ゾルディックは大阪の探索を続けていた。
誰も知る由のないその心の内は親友ゴンに対する心配だけではなかった。
(『選別』……主催者との決戦の際、足手まといとなる人間……)
彼も一度は考え直そうとしたが、やはり来たるべき時の万が一のことは考えておかねばならない。
既に死者が出ている以上全員でそろって脱出はどう考えても無理である。貴重な戦力が削られるのも、ぜひ避けたいところだ。
そうなると足切りは必要不可欠。とは言え、かなり無茶な発想だ。すぐ実行に移ることもできまい。
(……『選別』を想定した上での交渉ぐらいならやる価値はあるか…)
そんなことを考えている内に向こう側から二人組の男が大通りの真ん中を通ってやってくるのが見えた。
前を歩く痩身の男も、後に続く栗毛の青年も武装こそしているが、自分よりも実力は劣るように感じられる。
キルアは考える。この二人なら後ろをとっての尋問も可能だろう。それなら――
考えをまとめ、段取りを決める。
そしてキルアは収縮した脚の筋肉を弾くようにして一気に飛び出した!


「動いたら殺す。喋っても殺す。俺の質問にだけ答えろ」


一瞬で二人の背後に近づき、肉体操作で爪を伸ばしたキルアはそれを相手の首筋に突きつけ、又殺気の篭った声でそう言った。
男達の表情こそ見えないが、栗毛が明らかに動揺しているのに対して、痩身の方は冷静を保ったままである。
「質問に答えるのは…栗毛のアンタだ」
キルアは突きつけた爪に一層力をこめ、質問を始めた。


428 :正義と狂気 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 22:46:09 ID:xXacWvp/0
「まず一つ目、アンタ達はゲームに乗ってるのか?」
「俺ァ、女子プロレス見るのは好きですがねィ、こんな血生臭いゲームにゃあ興味ありやせんぜ。旦那も同じでさァ」
この男、この状況下で冗談まで吐いている。動揺の様子はあったが、意外と肝が座っているらしい。
もう一方も依然落ち着いたままである。もしかしたら何か……

「次の質問だ、アンタ達のことと今までに出会った奴等のことをいってもらおうか」
「そいつァ、できねェや。俺のことだけならまだしも、何処の誰ともわからない野郎に仲間のことは言えやせんぜ」
キルアはこの男が保身のために簡単に情報を売り渡すような男なら『選別』も考えていた。
又仲間という表現からかなりの確率でチーム――おそらくは打倒主催者の――を組んでいると判断し、
信用してもいいかもしれない、と考えた。

「最後に一つ、嘘は言ってないな?」
キルアは殺気を最大限に放って確認の問いを投げかけた。
「嘘なんざ言うわけないでしょうがィ。疑い深いお方だな」
男は疑われたことについてか、不満そうな声で答えた。その声に気負いは一切感じられない。
命に関わる嘘を吐くとき、どんな詐欺師でも必ず決意じみたものを感じさせる。その点から考えても、
この男の言葉に嘘はない、そして今までの答えにも。
とりあえずは情報が必要だ。そのためにはこちらの正体は明かさねばならない。
一度殺気を静めてから、少年は男達の後ろをとった時のように、一瞬で前に回りこんだ。

子供!? 沖田は自分達を尋問していたのが自分よりも幼い子供であることに驚愕した。
それに対して斉藤はやはりな、というような表情を浮かべた。


429 :正義と狂気 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 22:47:51 ID:xXacWvp/0
「おれはキルア。兄さんたち悪かったね、こんな真似して…ここに来てすぐ襲われたからさ…」
キルアが自分の名と言い訳を言い終わる前に一人がその名に反応した。
「キルア、てぇと、もしかして太公望の旦那が言ってた…」
もう一人に確認するように言うと、そのもう一人は無言で頷き返事をした。
「太公望!?アンタ達太公望と会ったのか!?」
太公望という信用に足る人物のおかげで互いの間にあった不審感は一気に取り除かれた。
その後の情報交換は淀みなく速やかに行われた。
自分達のこと、四国での戦闘、ダイの武器、公主の容態、星矢と麗子の動向、それらが互いの知るものとなった。
専らそれはキルアと沖田で行われ、斉藤は黙って聞いているだけであった。

太公望と富樫は無事か… キルアは主催者と戦うとするならば、確実に必要になるであろう人物も無事に安堵した。
又そのことを思うと同時にあの計画のことを意識してしまった。
この二人は自分ほどではないにしろある程度は腕が立つ。それに度胸もあるようだ。『選別』の対象にはならないか、
そう考えるうちにこの計画の必要性を薄く感じるようになっていった。
この世界に呼ばれた人間にはそれほど邪魔になるようなやつはいないのかもしれない…
そう考えていたところに、初めて斉藤が口を開いた。

「さっきの話にもあったが、俺たちは大蛇丸という男を追っている。色白で髪の長い奴だ。女みたいな喋り方をする。
雰囲気でいうと…蛇、だな。そういう男に心当たりはないか」
斉藤の質問の中の『蛇』という言葉にキルアは先程のヤバイ雰囲気の男を思い出した。
あの男をか!?キルアには信じられなかった。自分よりも実力の劣る者たちがあの男を追っている。
話のようすだと何かを盗られたのではなさそうだし、襲ってきた男と実は仲間だったとも思えない。
ゴンのような純粋な人間ならば、他の人間を想って打倒にのりだすかもしれない。
だがこの男達――話によると元の世界では警察業をしていたようだ――がそんな野生児のそれをもってはいないだろう。
キルアにとって、この男達の行動は自分の常識を外れていた。


430 : ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 23:17:07 ID:xXacWvp/0
「蛇みたいな奴だったらさっきこのあたりで見かけたよ。ヤバそうだったから関わらないようにしたけど」
その言葉に沖田は満足そうな顔をみせ、斉藤に話し掛けた。
「旦那の勘、当たってましたね。流石ですぜィ」
「阿呆が…この程度で喜ぶな。さっさと行くぞ」
斉藤はすぐにでも出発しようと沖田を促す。
沖田はキルアに礼の言葉を言ってその場を去ろうとした。
しかしキルアは二人に声をかけ引き止めた。

「ちょっと待ってくれ。アイツと闘りあうつもりか?やめたほうがいいぜ。アンタたちじゃ返り討ちがオチだ。
変な正義感なんかでそんな無謀なことしたら…」
「…生憎だが、貴様の考えている程度のものじゃあないんだよ、俺の正義はな」
キルアの言葉を遮ったのは今度は斉藤であった。
「あれだけ邪悪な匂いを漂わせている男、放って置くのは新撰組三番隊組長の名が許さん」
馬鹿げている。勝ち目の無い戦いなど馬鹿のすることだ。
「アンタはどうなんだ。まさかアンタも同じ考えって訳じゃないだろ」
この世界で出会っただけの沖田と斉藤が同じような思想の持ち主とは考えにくい。
そう思い、キルアは沖田に問い掛けた。
「俺ァ、旦那ほど立派な正義は持っちゃいねェんでね。でも旦那のためなら命懸けてもいいかなって思うんでさァ。
ここだけの話、自分がこの世界で生き残れるたァ思えねェんですよ。かといってゲームにのるきもしねェ。
だったら、気に入った人のために命張ってみるのも面白ェんじゃないかってね。
旦那は態度は冷たいが、懐にでっけェもんを抱えてる。俺ァ、そういうでっけェもん持ってる人が好きなんでさァ」
馬鹿げているのを通り越して狂っている。これでは死にに行くようなものだ。
すると、死に行く人間にならあの計画を話してもいいかもしれない。
否定されて振り切れるならそれでも構わない。悩んでいてもどうにもなるわけでもない。
そんな風にキルアの思考は移りかわっていった。

「ちょっと、話があるんだけどさ―――


431 : ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 23:18:19 ID:xXacWvp/0
『選別』計画を話し終えたとき、キルアは今までのモヤモヤした気分を振り払うことができた。
話してしまってよかった。一人で考え込んだために必要以上に悩んでいたのだ。
沖田の表情を見れば、これがどれだけ馬鹿げていて突拍子の無いことだったのかよくわかった。
しかし斉藤がここで信じられないことを口にした。
「確かに足手まといはいらんな。邪魔なだけだ」
キルアは否定を求めてこの話を打ち明けたのだ。それなのに肯定されるとは。沖田もさすがに眉をひそめている。
だが斉藤の言葉にはまだ続きがあった。
「…特に貴様みたいな殺し屋並に腕が立つ臆病者はな」
臆病者という言葉はキルアの自尊心を傷つけ、殺し屋という言葉はキルアの驚愕を誘った。
自分よりも劣る人間に臆病者呼ばわりされ、太公望達にも話していない自分の前職に気付いている。
いったいなぜ?

「ほう、自分でも気付いていないのか。さっきの忠告の礼に教えてやろう。――貴様は臆病者だ。
なぜそう思ったのかも聞かせてやる。まず最初に尋問の応答者を指名したことだ。きっと俺達の態度の差で決めたんだろう?沖田には動揺が見えたからな。
簡単に背後を取れた上に自分の方が強いと思っているのなら、その程度で警戒しなくてもいい。その時点で貴様が慎重にことを運ぶ奴だと分かる。
まあ俺達が街の中央を通ってきたことから、何らかの奥の手があると判断したのかもな。しかし慎重ということは間違いない。
次に貴様の大蛇丸への対応の内容からだ。放送の直後だったのかもしれないが、それは俺達も同じ条件だ。ゴンとやらが心配なのにもかかわらず大蛇丸には
手を出さなかった。それは勿論自分の身に危険が及ぶ可能性が高いから。しかも俺達に何らかの奥の手があるとも考えていたのに、尋問をそれよりも優先させた。
そこから貴様が実力の違いだけで大蛇丸を通過したのではなく、奴の威圧感に押されたことが予想される。要するに奴から尻尾をまいて逃げたわけだ、貴様は。
最後に大蛇丸を追う俺達への対応だ。何度も俺達の考えを確認したところを見ると、俺達の考えとは相容れない考え――危険をおかしてまで悪を討つつもりはない
の持ち主らしいな。自分の仲間が襲われていると考えたら居ても立ってもいられない、そんなお人好しばかりと出会ったが、貴様はそうじゃない。
見えないところのお友達よりこの場の自分と安全のほうが大切な人間だ。このことから貴様の臆病さがよく分かる。どうだ、自分はそんな人間じゃないといえるか?」


432 : ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 23:27:25 ID:xXacWvp/0
斉藤の言葉は、淡々とキルアのこころにのしかかっていった。
「ああ、殺し屋と判断したのはその身のこなしと殺気の出し方
あと危険と利益を天秤にかけるその思考回路からだ。これで説明はすべてかな…」
沖田には斉藤がなぜこのようなことを言うのか分からなかった。
しかし斉藤が無闇に他人を傷つけるような人間ではないのは分かっていた。
そして行き着いた答えは、キルアの計画を止めさせること。
それ以外には沖田には考えられなかった。
「それじゃァ、いきましょうかィ、旦那。キルア君もゴン君と会えるといいっすね」
そうして壬生の狼は大蛇を討つべく大阪市中へ進んでいった。

433 :正義と狂気 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 23:35:15 ID:xXacWvp/0
キルア・ゾルディックの頭のなかには今までとは異なるはっきりした考えが生まれていた。
それは『選別』は必要不可欠であること、そして今の自分にその資格は無いこと。
自身の念の師であるビスケット・クルーガーに指摘された自分の欠点。
自分は強者と戦うとき、少しでも自分より優れている点が相手にあるとき、
一気に勝利への執念を失うのである。
それを克服しない限り、自分には資格は存在しない。
『選別』も、ゴンとの再会も許されないのだ。

そうしてキルアは壬生狼に来た道を、大阪のそとへ歩き始めた。
凶悪な思いつきを、最悪の誤解で固めて。

434 :正義と狂気 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/21(土) 23:50:57 ID:xXacWvp/0

 【大阪/市街地/日中】

 【チーム名=壬生狼】
 【斉藤一@るろうに剣心】
 [状態]健康(腹部はほぼ完治)
 [装備]魔槍の剣@ダイの大冒険
 [道具]荷物一式(食料一食分消費)
 [思考]1:大蛇丸を追う
 2:ダイの使える武器を探す
 3:主催者の打倒
 【沖田総悟@銀魂】
 [状態]健康(鼻はほぼ完治)
 [装備]鎧の魔槍(右鉄甲無し)@ダイの大冒険
 [道具]荷物一式(食料一食分消費)
 [思考]1:斉藤に付いていく
 2:主催者の打倒

【キルア@HUNTER×HUNTER】
 [状態]:少々のダメージ。戦闘に支障無し。
 [装備]:なし
 [道具]:爆砕符×3@NARUTO、荷物一式 (食料1/8消費)
 [思考]:1.自分の弱点克服
     2.1達成後、ゴンを探す
     2.1達成後、『選別』開始

435 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 06:04:07 ID:v/32aFz/0
「あのガキ…死んでなかったのか?!」
青年、夜神月は考える。ここは森の中。福島県。あの後、月は脇目も振らずに…とはいえ、警戒は怠らぬまま、南下していた。
何故、森の中なのか。それは、自身の安全のため。町の中では、殺人者に襲われる可能性がある。何故なら、殺しをしたくてたまらないような連中は、
少しでも人の集まる場所に向おうとするだろうから。それでも、森の中にいるようなヤツは、何かの目的を持っていると考えてもいい。
先程は向こう見ずなガキのせいで交渉は決裂したが、自分ひとりなら、目的を持った殺人者の一人や二人、何とでも切り抜けてみせる。
森の中にいる一般人は、きっと自分と同じように誰かから逃れてきた人物の可能性が高い。それを狙った殺人者が森の中にいることも考えたが…確率の問題だ。
少し頭を働かせれば、獲物の数が多いほうへと向うに決まっている。獲物の分母の問題。このような頭を働かすことが出来ない馬鹿は、早々に脱落していく。
あの、火口のように。

「クソッ、悪運だけは強い…」
月は考える。あのガキ、イヴが生き残っていたらどう思うか。半死半生の傷を負っているはずだが…翼が生えたりするような女だ。もしかしたら、
生命力も異常なのかもしれないが…。目が覚めたらどう思うか。そこに居るのは彼女一人。あの雪女は水になって消えてしまった。ならば、彼女は
自分が裏切られたと感じるだろうか。

「いや、それはないな」
あのガキが馬鹿でも、この惨劇は自分の先走りが招いたものだとは理解できるはずだ。夜神月は、悲劇に心を痛めながら、涙を噛み殺し、使えるものを
回収して、先を急いだ。そう言いくるめることは十分に可能。

と、そこで。夜神月は気付いた。誰かが自分の行く手に居る、ということに。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

436 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 06:04:38 ID:v/32aFz/0
(カズキ…カズキ…カズキカズキカズキ…キミは一体何処に居るんだ!?)

「カズキィッ!キミはここに居るのか!!」

少女、津村斗貴子は焦燥に苛まれていた。先程の放送。14人の犠牲者。呼ばれた名、防人衛。
あの、戦士長が殺された。人間離れした身体能力を持つ、あの戦士長が。折れることの無い正義を持つ、あの戦士長が。

斗貴子には、戦士長が負けるなどと、想像し難かった。
斗貴子には、その放送を聴いて、武藤カズキがとてつもなく深く傷つく、ということは想像するまでも無かった。

早く、早く会いたい。先程の、頭の無い死体がリフレインする。
もし、あれがカズキだったら…と思うと。まるで、身が引き裂かれるような想いを振り払うように、彼女は進む。
群馬県には居なかった。長野県では死体を見つけた。なら、ここ、福島では…?身が引き裂かれるような想いを振り払うように、彼女は進む。

そして。行く手に誰かが居る、ということに気付くと同時に。一つの声が響いた。

                    「唸れ、真空の斧」

                     ――突風――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

437 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 06:05:14 ID:v/32aFz/0
(さて、初手は上手くいったな)
青年、夜神月は駆ける。木々の合間を縫って。目の前の、突風に服をはためかせ、白い下着を覗かせている少女に向って。

だが、目の前の少女は微塵も動することも無く、燃えるような瞳でこちらを睨めつけると同時に、片手に下げていた散弾銃を
容赦なく発砲してきた。

だが、それも月の想定の範囲内。このような障害物の多い場。相手の射線上に立たないよう、立っても常に間に障害物を挟むように
していれば、簡単に被弾することは無いはず。

月は駆ける。駆ける。蛇行しながら。かつ、一直線に。目の前の少女に向って。炸裂音と共に、踊るように。
…まるで、誰かの心に滑り込むかのように。そして。

少女が動いた。まるで、爆発するかのような気合とともに。爆風のような瞬発力を用いて。
散弾銃を放ると、鞘に入った剣とともに、凄まじい勢いで疾駆する。その様、禍々しきこと、死神の如く。

(散弾銃では捉えられないと踏んで、肉弾戦か)

月は、それに応じるように、斧を構える。が、実力の差は歴然。身体能力ではなく、それは、ただ単に、踏んできた
場数の差。

月が次に言葉を発したのは、首筋に冷たい剣の鞘を押し当てられたとき。

…これも、月の想定の範囲内。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

438 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 06:06:06 ID:v/32aFz/0
月の計画。今回は、頼りがいのある人物だと思われるわけには行かない。何故なら、今、自分は
三人分の食糧を持っているから。傷を負っていないから。目の前の少女のほうが、自分よりも実力を持っているから。
他人の食糧を手に入れる手段は二つ。奪うか、与えられる。奪うには、相手を圧倒できる力か、確実に逃げ切る速さが必須。
どちらも自分には無い。そして、眼前の少女も、それはすでに察知しているはず。
ならば、与えられる。これも不可能。このような命を懸けた場で、他人に施すような馬鹿は考えにくい。
そして、自分が施しを受けるような、納得に足る理由も思いつけない。施しを受けたのに、施しを与えた当人が、自分と一緒に行動していないというのも
不自然に過ぎる。何か、自分と同行できない理由が出来た?その理由を即興で考えても、情報が足りない以上、どうしても、後々違和感が生じてくるのは
確実。ならば。

 最初の計画通り、自分は化け物に仲間を殺された。情けなく、哀れな存在。そして力がないため、誰も護ることができないという無力感を噛み締めている男。
錯乱し、誰かを襲ってしまった、護るべき人間。このように振舞うのが最善。そして、相手に同行を頼むか、最悪でも、相手から何か武器を入手しておきたい。

(欲を言えば、そのショットガンが欲しいんだがな…)

 流石にそれは望みすぎだろう。そう、自分に結論付け、月は言葉を発する。眼光鋭く、こちらを圧する少女に向けて。

「すみません…仲間を、殺されてしまい…気が動転していたんです」
「仲間を…殺された?」
「えぇ。黒い格好をした殺人鬼が襲ってきて。あっという間に…」
「それなら、何故キミは生きている?見たところ、たいした怪我も無いようだが…」
「それは…情けない話ですが、僕は隠れていたんです。最初から、最後まで、何も、何も、できずに…」

演技は一流。斗貴子はさして疑うことも無く、月の言葉を受け入れる。
この青年はダメだ…という言葉が浮かぶが、このような殺し合いの場に突然放り込まれれば、それも当然のことだろうと思い直す。
改めて、主催者達に対する怒りが込み上げる。この青年も、ただの一般人ではないか!平和な生活を、誰かの幸せを、このような形で
奪うこと。決して、許されることではない、悪魔の所業。斗貴子の闘志が、さらに燃え上がる。黒く、熱く。

439 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 07:00:18 ID:v/32aFz/0
「無作法なのは承知で、お願いします。貴方は、強い。どうか、僕に力を貸していただけませんか?」
月は斗貴子を見つめる。真摯な瞳で。一点の曇りも無い眼差しで。
「貴方に会えたのも、何かの運命だと思うんです。僕は、僕は…仮にも警察官を目指すものとして、このゲームを止めたい!!」
それは、迫真の演技。それを受けて、夜神月に対して抱いていた印象は

(この青年はダメだ…)

から、

(この青年は、正しい資質を秘めている…)

へと、180度転換した。これも、月の演技力の賜物か。その様子を鋭敏に嗅ぎ取り、月はその場に荷物を広げる。

「これが、今の僕の手の内、いや、僕と仲間の全てです」

その場に広げられたもの、それは三人分の食糧。共通の支給品。そして、真空の斧。アピールするのは、自分が相手を
無条件で信用しているということ。この少女は、直情径行型、ならば、このような方法が一番効果的なはず。
それが、月の計算。だが、斗貴子から帰ってきた返答は、月の想定の範囲外の言葉で。

「待て、キミのポケットに入っているものは一体なんだ?」
…子供用の下着。

440 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 07:00:47 ID:v/32aFz/0

(ク、忘れていた…)
刹那、月の心に動揺が奔る。斗貴子はそれに気付くことなく、無造作に月の上着のポケットをまさぐる。
まさぐった。出てきた。それは、子供用の下着。しかも女性用だ。どうみても、目の前の青年の所有物とは思えない。
蝶々仮面を被ったホムンクルスの姿が脳裏をよぎるが、目の前の青年からは、そのホムンクルスのような危うさは感じ取れない。
…感じ取れないからこそ、性質が悪いのかもしれないが。だが、一端、その想像を思考から外し、他の可能性を考える。

(彼は支給品を仲間の死体から集めてきたといった。だが、それは難しい。死体があるということは、殺害者が居るということ。
そして、殺害者は、往々にして略奪者でもある。食料品、支給品に手もつけずに去る略奪者が居るものか)

斗貴子の脳裏に浮かぶ情景は。誰も居ない森の中、動かない少女の亡骸から、そっと下着を抜き取る
痩身の青年、夜神月の姿。変質者に対して、ある程度の耐性は持っているつもりだった彼女の心にも、悪寒が走る。知らず、剣にも力が篭もる。
だが、彼は警察官を志ているという。

どうみても犯罪者です。本当にありがとうございました。

一瞬、脳裏をよぎった謎のフレーズを振り払い、斗貴子は月に対して抱いていた印象を訂正する。

(この青年はダメだ…)

から、

(この青年は、正しい資質を秘めている…)

に。そして、


(…コイツは、もうダメだ。)

へと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

441 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 07:01:37 ID:v/32aFz/0
(参ったな…、あのガキ、つくづく疫病神だったんだな)
目の前の少女の雰囲気の変化を感じ取り、月は内心でそう独りごちる。忘れていた、あのガキが生きているということに
気を取られすぎて。先程までは、自分の思惑通りにことが進んでいたというのに。

まず、少女が独り、怯える風も見せずに歩いていたことで、相手の実力を察した。
カズキという名を読んでいた時点で、無差別な殺人者の可能性は低いと踏んだ。
そして、人探しをしている以上、何の情報もこちらから引き出さずに殺す確立は少ないと考察した。
一度、会話の切欠を作り出せば、懐柔は容易…そう考えていた。しかし。これは、明らかに自分の失策、だが、挽回できぬものではない。

「それは…僕の仲間のものです」
月が苦しげにもらした言葉に、斗貴子は我に帰る。が、何故仲間の下着をこの青年が後生大事に抱えているのか。
「今まで有ったことを、少し話してもいいでしょうか…」

月は語る。これまで有ったことを。一片の嘘を交えることも無く。決して全てを語ることは無く。
語り終える頃には、斗貴子から感じていた、先ほどまでの警戒心は幾分薄らいでいた。決して消えてはいなかったが。
…何故仲間の下着を後生大事に抱えているのか。

「可笑しいでしょう…でも、捨てられないんです。まるで、自分に対する戒めのような気がして。仲間のことを想うと、どうしても…」
仲間のことを思えば、処分したほうがいいのではないか…そう想いながらも斗貴子は先を促す。
世の中には色々な変態がいる、そう感慨にふけりながら。
(クソッ、これじゃ、もう簡単にこの下着を処分するわけにはいかなくなった!)
月は、内心、臍をかみながら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

442 :月下美人 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/22(日) 07:02:33 ID:v/32aFz/0
しばらくの休息。そして情報の交換。
月が得た情報は、二つ。目の前の少女には、探し人がいるということ。
目の前の少女は、名古屋城に仲間を集めようとしているということ。
そして、この会場には、ホムンクルスと呼ばれる、人食いの化け物が潜んでいる、ということ。
先日までの月なら、まるで信じられないような言葉。だが、今は違う。
(もし、Lがそのホムンクルスとやらと同行していれば、色々とやりやすいんだがな…)
戯れに、そんなことを考える。だが、実際、その可能性は低いだろう。ならば、人食いの化け物とやらがLを食い殺してくれることでも
祈っておくほうが、まだ可能性がある。まぁ、考えても詮無いことではあるが。

 月の思惑。少女の思慕。全てを飲み込み、森は、ただ佇んでいる…

【福島県南西部/日中】

【津村斗貴子@武装練金】
[状態]健康
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険
:ショットガン
:リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし!
[道具]:荷物一式(食料・水、四人分)
:ワルサーP38
[思考]1:人を探す(カズキ・ブラボー・ダイの情報を持つ者を優先)
2:ゲームに乗った冷酷な者を倒す
3:午後六時までには名古屋城に戻る

【夜神 月(ライト)@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]真空の斧@ダイの大冒険
[道具]荷物三式 (三食分を消費)
[思考]1:目の前の少女との交渉。名古屋城にいくかを決断する。
   2:弥海砂の探索 。南下。
   3:使えそうな人物との接触
   4:竜崎(L)を始末し、ゲームから生き残る

502 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)