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【2次】漫画SS総合スレへようこそpart32【創作】

1 :作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 23:36:25 ID:Yry36liw0
元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇
SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1131426469/
まとめサイト
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm


2 :作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 23:37:48 ID:Yry36liw0
ほぼ連載開始順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室 (VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ディオの世界 (殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
虹のかなた (ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
オムニバスSS劇場 (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
忍者の証 (青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ninjya/01.htm
黄金時代 (銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/gold/01-01.htm
北の果てより (パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kita/01.htm
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
上・魔女 下・茄子 
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/witch/01-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/nasu/01.htm


3 :作者の都合により名無しです:2005/12/10(土) 23:41:12 ID:Yry36liw0
ドラえもん のび太の超機神大戦 (サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kisin/00-01.htm
上・それゆけフリーザ野球軍 下・オーガが鳴く頃に (しぇき氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ballgame/07.htm
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1131426469/401
ドラえもん のび太の天聖道士 (うみにん氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/uminin/3-01.htm
その名はキャプテン (邪神?氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/captain/01.htm
フルメタルウルブス! (名無しさん)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/fullmetal/01.htm
鬼の霍乱 (名無しさん)
  http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/oni/01.htm
聖少女風流記 (ハイデッカ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/seisyoujyo/01.htm
影抜忍者出歯亀ネゴロ (スターダスト氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/star/05.htm
やさぐれ獅子 (サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/sanada/13-01.htm


4 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 00:37:39 ID:4b5PXQzL0
>1氏
お疲れ様です

>ゲロさん
魔女は茄子と対極の雰囲気ですね。また救われないラストになるんでしょうか?
でも魔女が暗いほど、茄子のとぼけた明るさが際立ちますね。

5 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/11(日) 01:15:41 ID:sCbi6yw+0
 よりによってこんな時に──どうにか立ち上がり、舌打ちする加藤。が、苛立ちながら
も加藤は納得していた。運が悪かったのではなく、虎は狙っていたのではないか。もっと
も勝利に近づく条件、すなわち敵が劣悪なコンディションにある時を襲おうと計画してい
たのではないか。狭いフィールドで一対一、そんな状況下でわざわざ自ら疲労して無防備
な姿を晒してしまった加藤。虎の行動は理に適っており、まったく問題ない。間抜けで甘
かったのは、まさしく加藤の方だった。
「せっかく武器なしでやろうって決めて、しかもエンドルフィンまで出したってのに……。
まだまだ俺も甘えな」
 虎と向き合う加藤。奇襲は免れたが、不利な情勢に変わりはない。
「だがよ、敗けるつもりはねぇッ!」
 砂を抉るように踏み出し、加藤が特攻を仕掛ける──はずだった。一歩進んだ瞬間、足
がもつれて加藤は地に這いつくばった。
「あれ……?」疑問に感じる暇などない。今の加藤に危険はないと悟った虎が、ついに走
り出した。
 うつ伏せのところを攻撃されれば、ひとたまりもない。すぐさま加藤は体を反転させ、
仰向けとなった。自然界では降伏を示すこのポーズだが、虎とて完全決着を望んでいる。
激しいもみ合いが始まった。
 全身を余すことなく稼動させ、有利なポジションを取ろうと蠢く両者。愛し合う恋人同
士に似た、息遣い荒い至上のコミュニケーション。上下がめまぐるしく入れ替わり、体位
は二転三転。体格でごり押しする虎に対し、巧みな体重移動で加藤が耐え忍ぶ。
 枯れ果てたスタミナを補う物質を、いわゆる“精神力”から借金し、加藤は動きまくる。
 もみ合ううち、体中あちこちを引き裂かれる。砂浜に大小の赤い斑点が増殖する。
 二分もすると、虎も加藤も砂まみれになっていた。
「やるじゃねぇか」今また、下になった加藤。顎に両足で蹴り込む。「トラ公ッ!」
 ふき飛ぶも、ダメージは少ない。蹴り上げた勢いを利用して、跳ね起きる加藤。ようや
く寝転がっての攻防が終わった。

6 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/11(日) 01:16:03 ID:sCbi6yw+0
 再度、視線を交える両雄。
 呼吸を整えながら、ボクシングに近いファイティングポーズを取る加藤。
 前脚をせり出す、猛獣独特の構えで迎える虎。当然、唸りも忘れない。
 どちらも動かない。体が疲れきっている加藤は当然として、虎も微動だにしない。片目
を代償に、虎は理解していた。虎という生物を密林の王者たらしめた“猛り”を抑えねば、
この相手では不覚を取る。だからこそ、わざわざ敵が弱ったところを狙ったのであり、今
もうかつには攻めないのだ。
 まったく動かない虎に、加藤は面食らっていた。彼は、駆け出した虎をカウンターで討
ち取ろうと目論んでいたためだ。だのに、虎はただ唸っているだけで、向かってくる様子
がない。
「来いっ」と、挑発しても虎は反応しない。「どうした、ビビっちまったか?!」
 結局いくら煽っても、虎を誘い出すことはできなかった。こうなると、もう道はひとつ
しかない。
「だったらこっちから──!」
 加藤が攻めを決断したと同時、虎がとんでもない初速で飛び出した。「マジか」
 下腹部にぶちかましを喰らい、海へと投げ出される加藤。塩を含む海水は、傷を無慈悲
に攻め立てる。
「──し、染みるッ!」
 想像を絶する痛みだった。常人ならば発狂者が続々現れるであろう刺激。さらには、虎
が上から加藤を海中へ押し沈める。
 激痛、圧力、呼吸不可──絶体絶命の三重苦が今、成り立った。
 もがく加藤。海中では泡が大量生産されては、弾けていく。突然、股間が熱を帯びた。
小便。
 ──加藤は失禁していた。

7 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/11(日) 01:16:27 ID:sCbi6yw+0
 股から生温かい小水は拡散し、海の一部となった。やがて、膀胱から出尽くした。
 泡ももう出ない。肺にたまっていた空気は使い果たした。
 窒息へのカウントダウン。
 思考回路を放棄、スリー、死神がささやく、ツー、ふたつの世界が結ばれる、ワン。
 ──ゼロ。
 永久なる暗黒、その彼方へと加藤は連れ去られた。

「………」
 哀れ水死体となった加藤。鼓動も脈拍も止まり、心もまた冥土へと旅立った。ただひと
つ、飽くなき捻じ曲がった闘争本能だけを残して。
 秩序を発展させた人類にとって、もはや戦いとは汚れた逸脱行為でしかない。なのに、
そんな無価値な遊戯に魅せられた男たちがいる。己の全てを賭けた者たちがいる。そして
加藤もまた、彼ら報われぬ勇者らの一人であった。
「雄雄雄雄雄雄雄ッ!」
 闘争本能が、すでに死神の手に渡ったはずの心と体を呼び戻す。水中に突如充満した殺
気に怯み、虎が加藤から離れる。すかさず、海面から顔を上げる加藤。
「はぁっ、はぁっ。死ぬかと……いや、死んじまった。さぁ、続けようぜ」
 びしょびしょに濡れた上着とシャツを脱ぎ、加藤が促す。が、虎は動かない。
 なぜなら、虎は恐れていた。眼前に立つ、加藤という男を。生気が抜け出たはずの生命
が、今また自分に挑みかかってくるという大異変。今までに味わったことのない恐怖。ど
う対処したものか分からず、進退窮まってしまった。
 すると──加藤は虎を一喝した。
「おいッ!」虎がビクッと体を痙攣させる。「てめぇ、まさか俺を殺しておいて……怖気
づいちまったんじゃねぇだろうな」
 加藤が自身を指差し、歯を見せて笑う。
「安心しな、二度目はねぇよ。たまたまだ。さ、やろうや」
 これを聞き、虎がどこか安心したような表情をする。相手は不死身ではない。先ほど起
こった“蘇生”はあくまでも事故で、狙ったものではない。ならば、もう一度殺す。
「ウオオオオォォォォッ!」
「コオオオオォォォォッ!」
 吼える人と獣、結末が近づく。

8 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/11(日) 01:17:45 ID:sCbi6yw+0
 虎が見据えるは、首根っこ。頚動脈に牙が届けば、問答無用で勝敗が決する。これまで
は噛みつきよりも爪を多用していた虎だが、ついに速攻に出た。
「バカがッ!」加藤も肘で迎撃する。口を開いているところを打たれ、よろめく虎。
 ここぞと左フック、右ストレート。左アッパーが、顎を打ち抜く。さらに右ミドルが虎
の顔面にヒット。が、蹴り足を戻すのが遅れた。
 ──噛まれた。
 脛を牙に捕えられた。虎は脛をくわえたまま、首を振り回す。その動きに合わせ、宙で
人間が上下左右に振り回される。ブチッ、不吉な音がした。
 脛肉を持っていかれた。白い骨があらわになっている。
「くっ……だがよ」すでに加藤から痛みは消えている。「来ちまったぜ」
 エンドルフィン分泌、再開。二、三回軽く跳ね──駆け出した。
「せいィッ」膝が、虎の眉間を強打する。
「だりゃっ」肘を、脳天へ叩き落とす。
「キャ」廻し蹴りが、テンプルへ吸い込まれるようにヒット。「オラアァァァッ!」
 野性を、武術が一歩先んじた。鍛える必要がない肉体を、鍛え抜いた肉体が追い抜いた。
呻き声とともに、虎がダウンを喫した。
「ッシャアァァァッ!」
 決定打だった。眼を踊らせながら、空しく両脚をじたばたさせる虎。
 一歩一歩。これまでの戦いを思い返しながら、加藤が近づく。
「止めを刺してやる」
 砂浜に膝をつき、下段突きの構えを取る加藤。だが、今まさに拳を打ち込もうとした瞬
間、鼓膜が反応を起こした。
「君、その辺にしておきたまえ」

9 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/11(日) 01:20:00 ID:sCbi6yw+0
この加藤はドリアン徳川邸襲撃直後という設定です(物語開始時)。

10 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/11(日) 01:21:03 ID:sCbi6yw+0
質問に答えることに集中しすぎてましたw

>>1
新スレ乙です。

11 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:51:36 ID:VWS3ihzF0
<ギニュー編・前編>

”クレープ基地”

フリーザ軍の一番大きな基地であるこの基地は、他の基地とは違って、
惑星フリーザの最も大きな都市の真ん中に位置するという、戦略上余り有益で無い場所に建てられてる。

では、なぜ軍隊の基地が都会のど真ん中なのだろうか?
その主な理由としては、フリーザの「帝王は常に目立つ位置に!」という意見と、
軍は若い隊員を多く抱えるといった特質上、彼等の欲求を満たすにはやはり都会という場所が必要だからだ。

どちらにしても、どんな奴が攻めてきても”絶対に敗北と言う二文字は無い!”という驕りの表れだろう。

ところで今回始まるお話だが、場所はこの基地の一番端にあるこじんまりとした会議室から始まる。
普段は主にミルコと他の役員が使用する会議室だが、今回は意外なことにギニュー特戦隊が使うことになったのだ。

-------------------------------------------------------------

12 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:53:10 ID:VWS3ihzF0
〜ギニュー編・その1:(1)〜

「さて候補生の諸君は晴れあるギニュー特戦隊の入隊試験を迎えるわけだが・・・。」
窓の外を見ていた男はそう言って、その場を支点に”くるり”と一回転して候補生の方を向く。
「「はっ!宜しくお願いします!ギニュー隊長!!」」
横一列に並んだ最終候補に残った3名の候補生は、男-----いや、ギニューに覇気がある声で言う。

-----今日は練習試合から二日後。(バータ&リクーム編の次の日。ドドリア編の一日前)
特戦隊の面々は一応非番の日であるが、通常の勤務時に入隊試験をやる暇が無いので、
非番を削ってやることにしたのだ。
もちろん非番を削っているだけあって、隊長であるギニューはいつもより気合が入っている。
「む!一人でも多く合格できるように祈っているぞ!」
ギニューは入隊候補生より気合が入って声で試験の概要を説明し始める。
こちらは長くなるので彼がこれから言うことを掻い摘んで提示しよう。

まずは面接試験。主にこの隊の風潮に合うかどうの適性を図るものだ。
試験官はグルドとジース。
これに合格したら、次に戦闘技能試験。特戦隊はフリーザ軍の中でもエリート中のエリート。
当然、戦闘も一流でなければいけない。ちなみに試験官はバータとリクーム。
そして最後にポジション試験。自分はこの隊のどのポジションに居たいのかをアピールするという試験だ。
もちろん試験官はギニューである。

「と・・、まあ、こういうことだ。質問は一切禁止。全て自分の力で切り開くこと・・・。」

ドゴ〜〜ン!!!

ギニューが最後の締めを言おうとした時、遠くの方でなにやら人を吹き飛ばす音が!

13 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:53:35 ID:VWS3ihzF0
(またバータがリクームを吹き飛ばしたのか・・。だが、今はそれどころではないな・・。)
しかしギニューはそんな爆発音に気を取られること無く、締めの言葉を言う。
「先程とかぶるが、質問は一切禁止。全ては自分の力で切り開くこと!
以上だ!幸運を祈る!一人で多く入ってくれることを祈っているぞ!」
締めの言葉を今度こそ言い終えて、会議室から退出するギニュー。
「よ〜し!じゃあ、まずは面接からだ!最初は・・、お前からだ!後は別室で待機してくれ。」
ジースがどこからともなく出て来て、候補生達に指示を送る。
「ん〜と・・・・。じゃあ、座ってくれ。」
「は・・・、はい!」
ジースの言葉に緊張の面持ちで椅子に座る候補生A。
一目見て分かるとおり、かなりの緊張で震えが止まらない様子だ。
せっかくの男前と頬の十字傷がこれではもったいない。
「じゃあ・・。この隊への死亡・・いや、志望理由から聞かせてもらおうか?」
しかしそんなことはお構い無しに勝手に話を進めるジース。
どうやらジースには、自分より男前な奴に強く当たる傾向があるようだ。
「え・・?いや・・。その・・。」
候補生Aは緊張で上手く言葉を発せない。
「ん?無いのか〜〜?これはダメなのかな〜〜?」
ジースはこれみよがしに意地悪っぽく候補生を虐める。
「あ・・。いや!俺は・・。」
ジースの言葉に候補生はさらにガチガチになる。
さすがにこれじゃあ可哀想と思ったのか、横に居たグルドがこのSS始まって以来の第一声を!
「おい・・。名前すら聞いていないでそれはないだろ・・。すまないな。こいつは口だけなんだ!」
「お・・、グルドが言うか〜〜?」
初登場という魔力におぼれず冷静に突っ込むグルド。
もしかしたら、ギニューより隊長に向いているかもしれない。
そして、味方してくれたグルドの言葉に少し緊張が解れたのか、候補生は自分の名前を誇らしげに言った!
「俺はヤムチャ!荒野のハイエナことヤムチャです!!」

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14 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:55:31 ID:VWS3ihzF0
〜ギニュー編・その1:(2)〜

「そうか。ヤムチャと言うのか。」
「はい!宜しくお願いします!」
ヤムチャはそう言って、深々と頭を下げる。
「うむ。では、志望理由を聞かせてもらおうか?」
ジースの代わりに仕切り始めたグルドが、小手調べ代わりにヤムチャに志望動機を聞く。
「はい!志望理由は、目立ちたいからです!!」
「へ・・?」
ヤムチャの志望理由に間抜け面になるグルド。しかしもう一人の試験官であるジースは、
「そうか!良し!第一関門はクリアだ!」
と言って次の質問に移ろうとする。
「お、おい・・・。良いのかよ・・。」
「ん?ああ。俺が入隊試験を受けた時も同じ動機だったからな!!
もちろんオールOKだ!顔がいい奴にも、たまにはましな奴がいるみたいだな。ウンウン。」
一人で言って、一人で勝手に納得するジース。
「普通だったら、俺の台詞のような気が・・。あ・・。」
グルドは自分のことを間接的にブザイクだと言ってしまったことに気付き、やはり一人で勝手に落ち込む。
全く浮き沈みが激しい連中である。
「おい・・。初登場だからって調子に乗りすぎだろ。まあいい。」
ジースはグルドを現状放置することによって自己解決を果たし、面接を続行する。
「我が隊で目立ちたいならば、それなりの技を持っているんだろうな?ヤムチャよ!」
ジースは結構鋭いツッコミをするが、ヤムチャは平然と「はい!」と答え、手からエネルギー弾を打ち出す。
「ん?別に普通のエネルギー弾じゃないか?これのどこが”目立てる”だ?」

15 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:58:00 ID:VWS3ihzF0
「へっへ〜!ちょっと見ててくださいね!」
ヤムチャは”待ってました!”と言わんばかりの表情を浮かべながら、なんとエネルギー弾を巧みに操り始める。

シュンシュンシュンシュンシュン!!!

四方八方に高速で移動するエネルギー弾。
しかし、ヤムチャの思惑と正反対に面接官の二人の反応は全く無い。
むしろ嘲笑しているようにも見える反応の無さだ。
操気弾のコントロールに必死だったヤムチャも、やっと二人の反応の無さに気付くと、
おそるおそる二人に尋ねてみることに。
「あ、あの〜。驚きませんか?これ・・、操気弾っていうんですけど・・・。」
ジースはこの言葉に”待ってました!”と言わんばかりの表情を浮かべ誇らしげに答える。
「ふん!何かと思えばクラッシャーボールのパクリではないか!」
「へ?パクリ?」
ジースの言葉にデフォルメ顔になるヤムチャ。
「見せてやろう!真のクラッシャーボールを!!」
ジースは得意げに椅子から立ち、手に戦闘力を集中させてクラッシャーボールを作る。
「お、俺の操気弾とそっくりだ・・。」
驚愕のヤムチャ。どうでもいい表情のグルド。
「そして、これが俺のクラシャーボールの真骨頂だ!!!」
ジースが叫ぶと、クラッシャーボールが目にも留まらぬ速さで移動し始める。

シュシュシュシュシュシュ!!!!

「お、おお〜〜〜!!・・。見えない・・。」
ヤムチャは必死に目で追うが、その姿を確認することは出来ないようだ。

16 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:59:34 ID:NuPeDZaB0
「ふふふ・・。せめてこれくらい出来るようになってもらわないとなあ〜。」
しばらくクラッシャーボールで演舞をしたあと、得意げにヤムチャを見て忠告するジース。
「くっ・・。」
「まあ、今回は諦め・・。」
ジースはヤムチャにその場で不合格の通知を出そうとした瞬間。
「うおおおお!!!!」
ヤムチャはもう一度、操気弾を作り始める。
「み、見てください!これなら驚くはずです!!」
「ん?別になんら先程変わりが無いが・・・。」
ヤムチャが再度作り出した操気弾を見て、ジースは首を捻る。
「本当に分からないですか?」
挑発とも思えるヤムチャの言葉。その言葉にムキになったジースは、
もう一度自分でクラッシャーボールを作り出し、ヤムチャの操気弾と見比べる。

数十秒後・・・・。

「こ、これは・・・!」
遂にジースは自分のクラッシャーボールとヤムチャの繰気弾の違いに気付く。
「ふふふ。どうです!凄いでしょう?」
「凄い。自ら回転しているのか。その繰気弾という奴は!!」
ジースは素直に驚愕の声をあげる。
「だから何だよ・・。」
一方のグルドは全く興味のないようだ。
「ん?わからないのか?このすさまじさが!」
ジースはグルドのぼやきに過敏に反応するや否や、懐から取り出した眼鏡を装着してこう言った!
「説明しよう!」
「・・・。また、ジース理論か。」
ジト目でジースを見るグルド。彼の言葉通りどうやら何回もやっているネタのようだ。
しかし、そんなグルドの視線もなんのその!ジースはめげずに早口でたてしまくる。

17 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 02:59:57 ID:NuPeDZaB0
「まずは繰気弾の力を100万パワーだとする。繰気弾は回転しているので、その力は通常の二倍!
しかもそれは右方向の回転だけだから、更に縦の回転を加えることにより----もう二倍!
そして最後に敵に投げつけるのと、俺が投げるという補正で四倍!
これで合計、百万パワー×2×2×4で1600万パワーになるのだ!!!」

「戦闘力で説明せいッィ!!!!」

グルドはジースにツッコむと共に金縛り+自分の全体重を乗せたドロップキックを華麗に決める!
「あべしっ!!!」
グルドの蹴りをまともに食らったジースは、ヤムチャを巻き込む形でこの部屋の壁をぶち壊す!!

ガラガラ・・・。

巻き起こる粉塵と崩れ落ちる瓦礫。
一戦闘員ならまず間違いなくあの世逝きなキックだが、
そのキックを受けた男は、この銀河の中でも戦いのエリート中のエリート。

これ位でどうにかなる男ではない!!・・・はず。

----------------------------------------------------

18 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 03:01:19 ID:NuPeDZaB0
〜ギニュー編・その1:(3)〜

グルドがジースにツッコンではや5分。ジースは中々姿を現さない。
「まさか・・・。はは・・。ありえないよな。」
グルドは中々出てこないジースを心配し始める。
「ん〜。瓦礫に埋もれたぐらいでくたばる奴ではないのだが・・。」
グルドは一人でそう呟き、超能力で瓦礫を退かそうとした・・・その時!
「おっ!生きていたか!!」
叫んだ方向の瓦礫が音を立てて崩れ、出現する小柄のシルエット。
そのシルエットは崩れた瓦礫から起こる粉塵と相俟って、ハードボイルドさを演出している。
「おい!大丈夫か?後、あの候補生は?」
グルドは小さな喜びと共に声を掛ける。そして、声を掛けられた当人は小刻みに震えながらこう言った!
「こ、コレだよ・・。この痛みは・・・、ふふ。本当にたまらない・・・。」
「お前はどんなにMなんだ!」
グルドは粉塵から見えるシルエット-----ジースに再度ツッコむ。
当然、今度は言葉だけだ。
「ふふ・・。グルド・・。ナイス・・ツッコ・・。」
エリートのはずのジースは実は立っているのがやっとのようで、
グルドのツッコみを全て聞く事はなくその場に倒れ込む。
「はあ、結局はいつもどおりか・・。」
実は面接試験をやるごとに毎度見るこの光景。
どうやらジースという男は、天才的に技を持っている代わりに、
Mな上で打たれ弱いというヘタレた部分も持っているエリートのようだ。

19 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 03:02:29 ID:NuPeDZaB0
「毎度の事だが一応聞いておく。大丈夫か?」
グルドは毎度の事ながら、性格上無視しきることが出来ないので一応気にしてあげる。
「あ、ああ・・。だけど今回は変なツボに入ったらしい・・。上手く立てないんだ・・。」
「どんなツボなんだよ・・・。」
ジースの言葉にグルドは呆れかえる。
「ま、まあ、俺は良いとして、ヤムチャって奴の様子はどうだ?一緒に巻き込んじまったみたいだが・・。」
「ん?ああ。今探すよ。」
グルドは瓦礫の山を超能力でどかし始める。こうしてみると、グルドの超能力も捨てたのモノじゃない。
「ああ、居た居た!おい!起きろ!」
グルドは瓦礫の下敷きになっていたヤムチャを助けると、彼を起こすために頬を”ペシペシ”叩く。

----------が!!

「死んでる・・・・、みたいだな・・・。」
グルドは信じられないように呟いた。

------1時間後・・・・。

「結局今回も合格者は無しか・・。」
「非番を削ってまでやったんだけどな〜。」
合格者が出なかった今回のギニュー特戦隊新人入隊試験。
結局ヤムチャ以降、ジースとグルドの目に適う奴はいなかったようである。
「ふう・・。準備していた隊長達には悪いが報告しないとな〜。」
「ああ・・。今回もろくなことがなかったな・・・。」
「ん?そうか?ヤムチャは死ななければ結構良い線行ってたと思うけどな〜。」
人が死んでいるというのに御気楽な会話の二人。
ふざけていても、やっぱりフリーザ軍の人間といった所だろう。
二人は書類の後片付けをした後、ギニュー達に今回の試験の旨をスカウターで伝えて、会議室を後にしたのだった。

-------------------------------------------------------------

20 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 03:03:13 ID:NuPeDZaB0
〜前編・その1:(4)〜
<訓練場>
ここは本来第二試験を行うはずの新兵訓練場。しかし今日はもう使うことは無い。
なぜなら第一試験を突破したものがいないからだ。
「って事です。今回も骨折り損でしたね。」
バータは疲れた顔でジース達の報告をギニューに伝える。
本来ならギニューの替わりにリクームがいるのだが、今朝一番星になったばかりなので、
まだこの星へ帰ってきてはいない。
「うむ・・。にしても・・。」
「どうしたんです?隊長?」
バータは不思議そうな顔をしてギニューを見る。
「いや、先程報告にあった、ヤムチャとかいう奴のことを考えていてな。」
「へ?瓦礫に巻き込まれて死んだ奴ですか?別にあんなのを気にしなくていいと思うけど・・。」
笑みを浮かべながら答えるバータ。

しかしそんなバータの言葉を全く気にせず・・。

(”目立つ”・・か。我が特戦隊に足りないものは新人だと思っていたが、どうやら違うようだな・・。)
ギニューはヤムチャの言葉からあるヒントを掴んでいた・・。

その2へ続く。

21 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 03:13:31 ID:pdjKhFfz0
夜分にどうもしぇきです。

オーガとは交互に行きます。

>1さん乙です!!

前回レスをくれた方。ありがとうございます。

>ふら〜りさん&サマサさん
ひぐらし?は自分も全く知らないのです。WEB上にあった
パッケージの雰囲気が良かったので、その雰囲気だけをもらった
内容にするつもりです。

↓からは感想です。
>スターダストさん
このペースで行けば、長編ですね。
千歳って原作でもセーラー服で潜入とかしてましたよね。
そういえば、彼女の武装錬金って知らないや。

>サマサさん
白銀の剣でしか倒せないって自分で言っているのに、マホカンタで
律儀に返してあげるオドロームが良いです。
魔を断つ剣って、デモンベイン?って奴の煽り文句なんですね。
てっきりスレイヤーズの光の剣かと・・。
後は、女子陣の活躍が楽しみです。

>うみにんさん
タイムスリップ!
”ドラえもんといったら?”言う質問があれば、上位に来るだろう
その秘密道具が今回メインで使用ですか!
人間不信のナディアの心をどのようにして、上手く溶かすことが出来るのか!
楽しみです。

22 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/11(日) 03:19:26 ID:pdjKhFfz0
>サナダムシさん
加藤が死ん・・・・、と思ったら!!
決着と思いきやの、どこからか聞こえる声。
そういえば、虎を倒しても元に戻れるかが分からないんですよね。
エンドルフィンの領域も手に入れ、このままこの話が終われば、原作とは逆に、
夜叉猿Jrに勝てるんじゃないかと思いましたが、どうやらそれを許さないようですね。

>ゲロさん
次で最終回ですか。よく考えたら、三本も連載を持っているんですよね。
これが終わっても、後二本。しかも1つは百物語。
大変でしょうが、頑張ってください!期待しています。

では長々と・・。失礼します・・。

23 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 15:12:15 ID:eznw/qqg0
1さんお疲れです。

>サナダムシ様
虎との攻防、全てにおいて虎が上って感じですね。心理戦ですら。
でも、ようやく脳内麻薬が効いて反撃開始かと思いきや謎の声。
まさかこれがセル?wいや、さすがにそれはないですよねw

>しぇきさん
宇宙のエリートがあつまる特戦隊にヤムチャですか・・。
とりあえず人選はパスしたようですが、たとえ入隊できてもw
まあ、自爆攻撃を知らせる位には役立つかも。

24 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/11(日) 17:58:50 ID:+jtKlUMr0
第三十五話「舞い降りる聖剣」

※ 作者がやる気をなくしてしまったので、ここからはダイジェストでお楽しみください。

のび太たちはなんとかオドロームを倒して現世に帰還した。ラクスも倒して無事にキラを救出した。
ムスカがネオ・ラピュタで攻めてきたがなんとか倒した。ムウ・ラ・フラガはその時の様子をこう語る。
「俺の右ストレートが本当に綺麗に決まったんだよ、こう、パキーンってな具合に」
アンゴルモアやまだ名前出てない奴らとかも倒した。しかしUSDマンとシュウには本当に苦戦した。
USDマンとの最後の対決ではペコが大活躍だった。ここでペコにインタビュー。
「ぼくを非常食扱いしないで下さい!」
シュウの操るネオグランゾンはそりゃもうとんでもなく強かった。
最後に残ったのはザンダクロスただ一機。だがここで最強の助っ人が登場した。
「おお、あなたはあの有名な江田島平八!」
塾長の凄まじい漢力でシュウは倒れ、狐も十三階段全てを失い、降参した。
そして十年後・・・。
「今日は久々にみんなと会う日だ。みんな相変わらず馬鹿やってるんだろーなー・・・さて、コンビニで
腹ごしらえするか・・・よし、ゆで卵にしよう。下さいなー」
「いらっしゃいませー・・・!」
「あ・・・!」
そこにいたのはシュウ=シラカワだった・・・言葉はいらなかった。今のお互いの姿が、その過ごした年月を
物語っていた・・・。
「暖めますか・・・?」
「ああ、頼む」

ドラえもん のび太の超機神大戦 おわり

25 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/11(日) 17:59:34 ID:+jtKlUMr0
「・・・のび太くん!のび太くん、起きて!」
―――その声で、のび太はやっと目を覚ました。そこはザンダクロスのコクピットの中だ。視線を上げると、心配
そうに自分を見つめているリルルの顔があった。
「ん・・・なんだ、夢だったのか。とてつもなく下らない夢だったなあ・・・」
「・・・どうやったら夢の中でさらに夢を見れるのかしら・・・?」
「え?あ、そうか・・・オドロームにやられて、吹っ飛ばされて・・・」
その時の恐怖を思い出し、身震いする。リルルはそんなのび太を気遣ってか、いつにもまして優しく声をかける。
「ドラえもんたちは外に出てるわ。みんなと話して、気分転換してきたら?」
「うん、そうするよ」
促されて、頭を振りつつコクピットから降りていく。そして吹っ飛ばされる前の出来事を思い返す―――
「・・・くそっ!」
「よっ。起きたか、坊主・・・無理もねえが、酷い顔だぜ」
「あ・・・ムウさん。他のみんなは・・・?」
「のび太さん!よかった、目が覚めたんですね!」
ムウが答えるまでもなく、ペコとドラえもんが駆け寄ってきた。
「半日以上もグースカ呑気に寝てるから、どこかおかしいんじゃないかと思ってたところですよ。いやあ、本当に
よかった!ただのんびり寝てただけだったんですね」
「ペコ・・・きみ、実はぼくを馬鹿にしてない?」
「そう言うなって。みんな心配してたんだよ?」
ドラえもんがジト目になったのび太をとりなす。
「ま、いいけどさ・・・ドラえもん、他のみんなは、やっぱり・・・」
「うん・・・オドロームに捕まっちゃったんだろうね」
「と、なると、残ってるのはここの五人―――アヌビスを数に入れても六人―――だけか・・・」
「実質的な戦力となると、ザンダクロスとアヌビスだけだがな」
ムウが自嘲するように言った。
「え?ムウさんのエグザスは・・・」
「墜落のショックで、俺が脱出した途端爆破炎上しちまった。復元光線やタイム風呂敷でも直しようがない
ぐらいにな・・・パイロットスーツがあったとはいえ、俺自身に怪我がなかったのが不思議なくらいだ」
「そうですか・・・」
「まあ・・・エグザスが無事だったところで、あの怪物相手にどうにかなるかは微妙だったけどな・・・」

26 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/11(日) 18:00:56 ID:+jtKlUMr0
オドロームの事が話題に出て、のび太の顔が強張る。刻み付けられた恐怖は、簡単に拭えるものではない・・・。
「のび太くん・・・どうするの?」
いつの間にかコクピットから出てきたリルルが問いかける。
「どうするって・・・」
答えに詰まる。またあの恐ろしいオドロームとまみえなければならないかと想像すると、それだけで身体が凍りつき
そうだった。できれば、このまま逃げ出したいくらいだ。だが―――のび太はそれを選ばなかった。
「決まってるじゃないか・・・」
―――勇気とは、恐怖を知らないことではない。恐怖を知り、恐怖に震え、恐怖に泣き―――それでもなお、恐怖に
立ち向かおうとする心こそが勇気なのだ。
「あいつをやっつけて、みんなを助けるに決まってるじゃないか!」
「のび太くん・・・けど、あいつを倒せる白銀の剣は、ここにはないよ?」
ドラえもんの意見に、のび太は答える。拙い、けれど、確かな決意をもって。
「けど・・・それでも、行かなくちゃ。行って―――みんなを助けるんだ!」
それを聞いて、ムウがどこか楽しそうに笑う。
「・・・へへっ。ガキンちょがかっこつけちまって。そんなかっこいい真似されたらよ―――俺もかっこいい真似を
したくなっちまうだろうが!」
リルルがぐっと胸の前で手を握り締める。
「そうよ、のび太くん。みんなを助けましょう!」
ペコはぐいっと胸を張る。アヌビスも続く。
「ぼくとアヌビスも、きっちり手助けしますよ」
<うむ。私も微力を尽くさせてもらおう>
ドラえもんに至っては感涙した。
「のび太くん・・・本当に大長編限定でいいこと言うんだから・・・」

27 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/11(日) 18:01:37 ID:+jtKlUMr0
―――その時だった。
<―――白銀の剣士よ、よくぞ言いました>
「え―――!?」
突如、どこからともなく声が響いたのだ。まるでそれは、天啓のように―――。
「な、なに、この声!?」
<あなたの心に勇気がある限り・・・白銀の剣もまた、あなたと共に・・・>
声が終わるとともに、光の柱が現れた。キラキラと輝く粒子の向こうに、なにかが見える。やがて、霧が晴れる
ように光が消えて―――そこには剣があった。
白銀に輝く美しい刃。見るものに絶大な力を感じさせずにはいられない、堂々たる風格―――そして、これが
最も異様なところなのだが―――その剣は、刃渡りだけで軽く10メートルはあった。まるで、巨人が操る剣だ。
そして、のび太とドラえもんは、その剣をよく知っていた―――
「これは・・・白銀の剣じゃないか・・・!?」
「これが!?けどよ、なんか無茶苦茶でかくないか?」
「あ、そういや前にオドロームを倒したとき、ビッグライトで巨大化させたんだったっけ・・・」
ムウの疑問にドラえもんが答えた。
「それじゃ、スモールライトで小さくし直すか?」
「いや、待ってください」
ペコがなにか思いついたのか、口を挟んだ。
「この大きさだと・・・ザンダクロスが持てば、ちょうどいいのでは?」
「あ、そうか!そりゃいいや!・・・へへっ、ちょっとだけ希望が見えてきたね、みんな!」
俄然張り切るのび太。それを諌めるかのようなタイミングで、再び声が響いた。
<剣士よ・・・白銀の剣は未だ真の力に目覚めてはいない。白銀の剣はまだ<魔を断つ剣>として覚醒しては
いないのです・・・>
「魔を断つ剣・・・?」
<どうか絶望の淵においても、勇気を失わないよう・・・さすれば、この剣も応えてくれるでしょう>
「う、うん・・・あ、そうだ」
のび太はそこで疑問を口にする。

28 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/11(日) 18:02:18 ID:+jtKlUMr0
「あなたって、結局誰なの?今思い出したけど・・・以前白銀の剣を手に入れた時に聞こえた声と同じだよね?」
<―――私は剣に宿る意志そのもの。<魔を断つ剣>を執るにふさわしい者を選ぶのです・・・どうかあなたが、
魔を討ち滅ぼし、世界に平和をもたらさんことを願います・・・>
「うーん、よく分かんないけど・・・とにかく、頑張るよ。だから―――心配しないで!」
<―――ありがとう。剣士よ・・・あなたの道は険しいけれど、あなたは一人ではない。支えてくれる仲間との
友情を大切にして下さい>
「大丈夫。分かってるよ。ね、みんな!」
『おう!』
一同が声を揃える。のび太は目頭が熱くなるのを感じた。ここにいる仲間たち、そしてここにいない仲間たち、
彼らと力を合わせれば、きっとどんな道でも乗り越えていけるだろう―――そう思った。

ザンダクロスのコクピットに再び乗り込み、両手を操作して白銀の剣を握り締める。
「また会えて嬉しいよ、白銀の剣・・・」
それに答えるかのように剣は陽光を受けて輝く。それは美しくありながら―――同時にこれからの凄まじい
死闘を予感させたのだった。


29 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/12/11(日) 18:34:37 ID:+jtKlUMr0
投下完了。前回は前スレの442より。

>>1さん 新スレ乙です。もう32スレ目・・・はやっ!
アニメSHUFFLE!はもはやダメです。ヘタレ通り越して人間のクズと化した稟&亜沙を見るのは
原作のファンとしてはもう辛過ぎます・・・。

>>444 まあ、自分で弱点をベラベラ喋る敵はアホ以外の何者でもありませんねw

>>ふら〜りさん
結局単純に白銀の剣です。

>>446 自分で作るより、有名どころから持ってくる方が読者にイメージしやすいでしょうから・・・。
     でもうみにんさんが先にやってたからパクリになるかも(汗)
     属性無視すればUSDマンの方が強い・・・つうか、どっちもほぼ不死身だし、千日戦争に
     なるかも・・・。

>>492 まさにそれです!まさか分かる方がいるとは・・・。
     でもロボットのまんま出すわけじゃないので、のび太の愛機はやっぱりザンダクロスです。

>>しぇきさん
熱血教師勇次郎・・・なんて胡散臭さだ!某最強用務員をも越える暴れっぷりを期待。
出てきた瞬間やられたヤムチャは、結局こうなる運命なのか・・・哀れ(泣)
実はスレイヤーズって知らなかったりしますw蛇のおねえちゃんが出てくる小説だってことは
知ってますが・・・


30 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 19:24:32 ID:DUsrAYus0
昔、「おしゃれドロ」ってあったの誰か知りません?

31 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 19:25:36 ID:DUsrAYus0
>>30
誤爆スマソ


32 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 20:05:12 ID:k8LWWxXC0
>サナダムシ氏
今まで加藤の一人舞台って感じでしたが、(虎はいましたが)
ようやく、サブキャラが出てきそうですね。
いまひとつ殻を破れない加藤の救いの主になるんでしょうか?

>しぇき氏
新シリーズ開始ですね。ギニュー編ですか。
でも、ヤムチャが出てくると存在感で特選隊を食っちゃうなあ。
戦闘シーンとかも出てくるのかな?

>サマサ氏
これから仲間たちの奪還編突入ですか。
ザンダクロスとアヌビスとドラえもんの最強ロボトリオが入れば
十分な気もしますが相手もインフレしてますからねえ。

しかし、サマサ氏は前作の時にも確かあったけど、
強制終了ネタを一度は入れますねw



33 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 20:57:21 ID:XN/fj7HH0
>>サマサ氏
乙です。しかし、いきなり「作者がやる気をなくしてしまったので・・・」
はビックリしました。

強制終了ネタってやっぱり元ネタは「のび太の魔界大冒険」からきたのかな?

34 :ふら〜り:2005/12/11(日) 22:27:16 ID:Nx1sysF+0
>>1さん
おつ華麗さまです。更なる職人・住人の増加によるスレの発展、その礎を築きましたる
新スレ立て、まこと感謝にございまする。

>>サナダムシさん
>死ぬかと……いや、死んじまった。
>まさか俺を殺しておいて……
絞りに絞ってこの二つ。今回はセリフも地の文も、隅から隅まで「加藤らしいカッコ良さ」
が満ち溢れてました! 武器を使ってないから立派に空手、でも空手家としての武道精神
とは違うもの。血も汗も小便も、デンジャラス・ライオンとしての闘争心の迸りでした!

>>しぇきさん
ドドリアに続き、グルドも何だかいい人だ。ジースにもヤムチャにも何かと気を配り、野球
チームから外されたことも根に持ってなくて。この五人が、あのドドリアの結婚をどう思っ
てるのか聞いてみたかったり。さて現状以上に目立ちを求めるっぽいギニューの閃きとは?

>>サマサさん
>ぼくを非常食扱いしないで下さい!
他人の夢の中でさえこうなるのか、ペコ……そんな君が好きだっ。白銀の剣、唐突な出現
ながら威厳もあって綺麗ですねえ。何となく昔見た実写DQのロトの剣を思い出しました。
まぁドラたちこそ時間も次元も宇宙も超えて、あちこちで「伝説の勇者」してますしね。

※前スレ分の感想は前スレに書かせて頂きました。

35 :作者の都合により名無しです:2005/12/11(日) 22:46:01 ID:AOZ2g2Pp0
>サナダムシさん
加藤、虎に健闘してるけどこの後ドリアンに半殺しにされちゃうんだよね。少し寂しい。
でも、今回は本当にシリアスだなあ。芸風広い。うんこ書いている人と思えないw

>しぇきさん
新シリーズおめです。ヤムチャが出るとは思いませんでした。
活躍するといいなwでも、このSSではリクームよりバータのが強いのか。俺は逆と思う。

>サマサさん
オドロームはなんか13階段でも相当な上位キャラみたいですね。
まだ3人ほど残ってますが全員強キャラなんでしょうな。更にドラチームもパワーアップ?

36 :作者の都合により名無しです:2005/12/12(月) 03:20:37 ID:lMEgx/F5O
ザンダクロス強化フラグキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!

37 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/12(月) 12:46:28 ID:QEwI5ROy0
>>8より。

38 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/12(月) 12:46:58 ID:QEwI5ROy0
 砂ぼこりを立てるほどに慌しく、加藤は後ろへ振り返った。無人島だとばかり思ってい
た場所で、いきなり日本語で話しかけられたのだ。過剰反応するのも当然だった。
「だれだ、てめぇ」
「武神」
「あァ?」
 武神を名乗る男は、粗末な布を局部に巻いているだけで、ほとんど裸も同然であった。
不自然なほど白い肌に、ボディビルダーに匹敵する体躯。人相はというと、平凡そのもの。
目と鼻と口がある、といった以上の印象を受けない。いや、逆にここまで特徴がない顔と
いうのも妙だ。なにか特別な力で自分の心が制御されているのかもしれない、加藤はこう
考えた。
「君がここまでやるとは予想外だった」
「どういうことだ」
「君をここへ飛ばしたのは、他ならぬ私だ」
「てめぇ」
「すばらしい」

39 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/12(月) 12:47:21 ID:QEwI5ROy0
 こちらの質問に答えつつ、自分の主張を不躾に押しつける。これも、武神ならではの話
術なのだろうか。今すぐ殴りかかりたい加藤だが、なまじ無視されているわけでもないの
で、どうにも踏み込めない。
「君はここで果てるはずだったんだが、予定が狂ってしまった」
「ちょっと待て。武神だかなんだか知らねぇが、なんで俺をこんなとこへ飛ばしやがった!」
「君が恥さらしだったから」
「なに?!」
「永い歴史上、私が惚れ込んだ武術家はそういない。君の師、愚地独歩はそのうちの一人
だった」
 独歩の名を出され、加藤が目蓋をぴくりと動かす。
「彼はすばらしい男だ。だが、君はそんな彼の教えに背き、あろうことか空手を汚すよう
な行為に奔走した。あげく、有望な後継者たる愚地克己までもを破滅へ導こうとした」
「………」
「君には才能がある。師を越えうる才能があった。だからこそ危険だと判断した。君の存
在は、武に甚大な被害を及ぼすと」
「………」
「そこで、尾行に夢中になっている君をここへ呼び寄せ、虎に処刑させることにしたのだ。
君が憧れる“虎殺し”に失敗しての死ならば、本望かと思うてね」
「………」
「だが、君は──」
「もういい」加藤は血走った眼差しで、男を凝視した。これまで無言だったのは、決して
大人しく話を聞くためではない。自らに設置された、怒りを表すメーターが頂点に達する
のを待つためであった。「武神は一人、館長だけだァッ!」

40 :やさぐれ獅子 〜四日目〜:2005/12/12(月) 12:47:43 ID:QEwI5ROy0
 怒りで血が止まる。怒りが冷めさせる。古くから空手に伝わる腹式呼吸法“息吹”で、
心身をリラックスさせる。改めて、まじまじと男を観察する加藤。
 こんな男が武神であるものか。危険因子だから排除しようなどと、ほとんど小物の発想
でしかない。真贋はどうあれ、強弱はどうあれ、格は愚地独歩が上だ。もう、二度と武神
などと自称はさせぬ。
「シッ」右ローキック。を膝から軌道を変化させ、ハイキックへ移行。こめかみを狙う。
「ほう。だが甘いな」男も読んでいた。こめかみは、たくましい上腕によって守りが固め
られている。
 ならばと、加藤は地にある左足で跳躍し、かかとを顎へ真正面から叩き込んだ。
「ごはっ」男が背中から倒れる。「すばらしい」
「へっ、てめぇの特徴ねぇツラ、ぐしゃぐしゃにしてやるぜ」
 不安定な体勢から受け身を取り、加藤が駆ける。砂を抉らんほどに強烈な、全体重を乗
せたストンピング。が、命中せず。
「ちっ、外し──」
「惜しかった」
 またも後ろから声──振り向くと、加藤は目撃する。菩薩が宿った正拳を。
 ぐしゃあ。菩薩の拳が正中線上を何度も貫いた。こうして、加藤の長い一日は終わりを
告げた。

41 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/12(月) 12:51:50 ID:QEwI5ROy0
四日目終了。
なんとファンタスティックなキャラ登場。
もうヘタれません。

42 :作者の都合により名無しです:2005/12/12(月) 13:10:21 ID:/pbEFyLE0
サナダ氏好調で何よりです。年内で終わらせる気かな、このシリーズ。
武神か・・。独歩かと思ったけど違うキャラみたいですね。他漫画キャラ?
7日目あたりで終了なのかな?

しかし、加藤の本編見るとそんな危険な男には見えんw

43 :作者の都合により名無しです:2005/12/12(月) 14:17:24 ID:q4laj3Li0
はじめまして。
突然の書き込み失礼します。
皆さんに教えていただきたいのですが、
南海キャンディーズの
【これはクリリンの分!!】
ってシーンなんですが、コミック何巻の何ページでしたっけ??

44 :作者の都合により名無しです:2005/12/12(月) 14:34:37 ID:bPMlHWP80
サナダムシさんお疲れ様。
バキキャラかと思いきや、武神は違うのかな?
ただ、菩薩の拳の使い手はやはり独歩かなあ。
まさか修羅の門の片山右京?

45 :作者の都合により名無しです:2005/12/12(月) 23:56:14 ID:15n2Sv1U0
独歩よりも「拳を極めしもの」ゴウキ乱入とか

46 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/12(月) 23:59:02 ID:bgTDONQD0
【調】しらべる

さあみんな聞いてくれ!!
カレイドスターが始まる時みたいに部屋を明るくしてなるべく画面から離れて聞いてくれ!!
根来と千歳が潜入するは工場だ。バンダイの下請けの工場だ。
主な名産品は、ディスクアニマル。これはアレだよ。いわゆる小物!
仮面ライダー響鬼に出てきてて、作中じゃ円盤から動物形態に変形する、式紙的な連中だ。
今年からバンダイの連中は、こういう小物に力を入れ始めた。
連中の可愛さときたらもう、シャレにならん。
作中ではフルCG。溶かされたり、修理の結果あしゅら男爵みたいになったり、ギターに合わ
せて踊ったりしたりと、もう辛抱たまらない!!
これに匹敵する萌えキャラといえば、もはや日本昔ばなしの、雪をかぶったまま歩くキツネや
魚をエレキに見立てるカワウソぐらいしか存在しえんのだ!
だから数寄者たちがこぞって買い求め、一時は全国的に品薄になったりした。
要するに、英世もしくは聖徳太子二匹で釣りがくるという気安さが購買意欲をドンと後押しした!
ポテチを惰性で食い続け、気がついたら中性脂肪がどっさりと溜まりいわゆる洋ナシ体型に
なってるような感じで、バンダイは儲けやがったのだ!
そう、空振りする大型商品より、たくさん売れる小物の方が企業にとっちゃあいい。
4個買わせばもう大丈夫。ヒーローグッズを1つ買わせた理屈になる。
しかしその為には、たくさんの物を作らなくてはならなかった。
たくさんの物を作るとすると、材料はたくさんたくさんいる。機械もいるしリフトとかもいる。
だからどこかに広い工場がいる。
そういう流れで、バンダイの下請けの緒方カンパニーという会社が、皆神市郊外にある森を
開発して工場を作った。それが大体、この物語から一年半ぐらい前だ。
バンダイ系列の工場が来たコトで、皆神市民は大喜びだ。
「おうムスビ見てみい、バンダイさまじゃ。バンダイさまはキラキラしとるのう」
とまあ関東地方にそぐわぬ方言が思わず飛びだすほどみな喜び、全てがよくなりつつある。

47 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/12(月) 23:59:40 ID:bgTDONQD0
近年低下しつつある若年層の就職率もやや上向きになった。工場進出を当て込んで色んな
店が皆神市に進出してきた。道行く者にツバを吐いてた駄菓子屋のババァもくたばって、全
てが順調に行くと思われた。
しかしそこで姉さん、事件です! 工場で部長が殺されました! 
てな訳で千歳と根来は工場に潜入する! すげぇぜ色々みなぎるぜ!

ちなみに、ディスクアニマル売れるのは今年だけじゃん来年は工場どうするの、投資が回収
できなかったら終わりじゃん、減価償却費だって毎年すげぇんだぜ分かってんのかこのトン
チキ!と疑問を抱かれる方々も多いだろう!!
お答え…待て、トンチキと申したか! まぁいいや。とにかく大丈夫! 投資は回収すれば大
丈夫! 減価償却費も現金の支出が伴わない費用で内部金融効果があるから十年百年一
億光年好きだよ大好きという長いスパンで見れば大丈夫! 
バンダイなら、バンダイなら何とかしてくれる!
ちなみに減価償却費は、建物やら車やらがボロくなった分を費用にしやがるアバズレでさっ
ぱり意味がわからんアホだ!!
あと工場は郊外にあるから、周りはほとんど荒地で、敷地は東西に長細く伸びている。
普通の小学校ぐらいある面積を、西から半分以上占めているのが工場で、残り三割が事務
所とか食堂とかある事務棟だ。どちらも階数は二階。敷地の残りは駐車場。
その駐車場に、根来と千歳がタクシーで乗りつけたのは午前七時。黒いアスファルトもまだ
涼やかなである。
あれから二人は駅前からタクシーでここに来た。それから受付に行った。
すんなり行けたのは千歳が工場の間取りを事前に調べていたからだ。
受付嬢がすっこむと代わりに工場長が出てきて、まずスリッパを履くよう言ったので履いた。
んで、ニ階にある更衣室に導かれて二人は着替えた。更衣室は隣合っているが男女別々で、
千歳が着替えた(といっても着ていた黒いベストと工場支給の真新しい制服を交換したぐら
いだが)女子更衣室は、結構広々していて、部屋の中央から窓際に向かってロッカーが万里
の長城宜しくででーん!と置かれていた。部屋を上から見下ろしたなら、アルファベットの”E”
みたいな間取りをしているだろう。

48 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/13(火) 00:00:19 ID:sfyQVsm60
そして幾つかある窓の一つから、赤茶けた粘土状の土がむき出しているのを千歳は見た。
やめてやめてと泣きすがるモリゾーやキッコロやかみをチャーンソーでバラバラにし、返すチ
ェーンで伐採した森の跡。いまだ未整備なる工場周りの荒地である。更衣室はそこと面していた。
さらに視線を遠くにやると、山がある。夏らしく緑がふさふさと萌えている。
千歳はふと、ホムンクルスはそこに隠棲しているのではないかと思った。
だが山を調べるかどうかは、工場長から詳しい事件のあらましを聞いてからになるだろう。
千歳が更衣室を出ると、既に根来は男子更衣室の前で佇んでいた。
彼はもちろん、千歳と同種(ただし男性用)のグレーの制服を着用しているが、一つ大きく異
なる点がある。電車の中同様、めっちゃ長いマフラーをつけているのだ。
この男はよほどこだわっているらしい。

時刻は午前七時半よりやや前だ。
二つある黒いソファーの片方に根来たちが、もう片方に工場長が座っている。
間には高そうな机があり、更に紅茶の入った白いティーカップが3つ乗せられている。
そのまま、二人は今回の事件について聴取した。
といっても実際に口を開いているのは千歳だけで、根来は何か不満でもあるような
いつもの顔で黙りこくっている。その存在は、向かい合っている工場長が後で思い返して
本当にいたかと首をひねるほど、ともすれば隣に座っていた千歳でさえいたコトに確証が持
てぬほど、ひどく希薄だった。
聴取の内容は以下の通り。

侵入者が何か特異な痕跡を残して居ないか。
事件当夜、他にいた者が不審人物を目撃しなかったか。
その二点に、黒澤という、頭の禿げ上がった壮年の工場長は力なく首を横に振った。
まず現場に残っていたのは夥しい血痕だけ。それ以外の特異な痕跡は、社員はおろか警察
すら一切発見していないという。
また事件当夜、工場の方には多くの従業員がいたものの、誰一人として不審な人物を見か
けた物は居らず、また事件の現場になった事務所において残業していたのは二人だけという。

49 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/13(火) 00:00:42 ID:bgTDONQD0
まず、殺された部長。名前は麻生勇(いさみ)。そしてその部下で、事件の第一発見者の茶髪、
高峰という男だけだったという。聞けば最近この工場では、経費節減の為に残業をなるべく
禁止する向きにあったらしい。一人あたり、一ヶ月にニ十時間までというから、かなり厳しい
基準である。
が、しかしそう言われてもピンとこない方も多いだろう。
だからこの残業というやつを、ゲームをしたりマンガを読む時間に置き換えて欲しい。
単純に割れば一日四十分しかそれらが出来ない。小学校の昼休みレベルの時間だ。
それだけ少ないのだ。月二十時間という制限は。
話は千歳たちのやり取りに戻る。
「最近…と言うと、いつごろからですか?」
「かれこれ半年ぐらい前からです。電気もその頃から、事務所のある棟だけですが毎晩消灯
しています。ただし工場の方は」
「午後9時から夜勤される方々がいますので、電気はついていると。あ、人の数はお昼と同
じと考えてよろしいですね?」
「ハイ。そうですが… 深夜勤務についてまだ話していないハズですが、どうしてお分かりに?」
「調査しましたので」
別に誇る訳でもなく千歳は淡々と呟いた。
「話は変わりますが、工場の中で働かれている方が一番多いのは、工場の一番東側にある
ディスクアニマルの組み立て工程ですね」
「あ、はい。なにぶん最近は売れ行きが好調でして、こちらはずっとフル稼働状態となっており
ます」
「二階の事務所からそこまでは歩いて三分ぐらいと私はみましたが、どうでしょうか?」
彼女の頭にはどうやら、工場の勤務時間帯や間取りといった細かな情報がすでに詰め込ま
れているらしい。
工場長はひどく感心したように頷いた。
「ええ。大体それ位あれば着きますね。工場の端までならもっと掛かりますが……」
千歳が腑に落ちないのはそこだ。
ホムンクルスがもっとも好むのは、瑞々しく若い10代の子供たちの肉だ。
だからよく、学校が狙われる。しかし今回は工場。
その段階で充分に奇妙な事件だと千歳は承知していたが、今の工場長とのやりとりはそれを
解くどころかますます拍車をかけている。

50 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/13(火) 00:02:53 ID:bgTDONQD0
>>1 お疲れ様です。
それから前スレ>>296さんすみません。添削の際に敬称略になってました。
続きはまた明日の夜にでも。

>>424さん
ありがとうございます。内面描写に傾きがちですので、情景描写や表情とかはもっとバラン
スよく書いていきたい所です。彼らのチームワークに関しては、最後の方で。あと、小説より
漫画の方を沢山読んでます。柳沢教授の生活とかハヤテとか吼えペンとか。漫画はサクサク読めます。

>>425さん
ありがとうございます。動的な描写はストーリー上難しいですが、その分、千歳と根来の関係
はじっくり描写していきたいと思っています。元ネタのネウロで好きな部分の一つが、ネウロと弥子
が打ち解けていく部分ですので。しかしあっちは事件の方に比重を置いているような……ともかく、書ける所は書きます。

ふら〜りさん
ありがとうございます。この調子で、根来の仕事人的、職人気質な偏屈っぷりを魅力立てていきますよ。
ちなみに彼の内面描写はこの先、ないです。それは、ネウロのモノローグがほとんどないのに準拠してます。
千歳に関しては、もちろん、女性らしさを。艶や華のある文章というのも、憧れです。

しぇきさん
ええ。どうもなってしまいそうで何かすみません。
千歳のセーラー服は結局、何だったんでしょうね。本当。
彼女の武装錬金も、作中で出ていればこちらに出せたのですが…
>それゆけフリーザ野球軍
え、ヤムチャ死んだんですか!? 何かやると思っていた矢先に…
ともかくグルド、容姿は気にせず頑張れ! ドドリアだって頑張ったんだ!
そして果たして、ギニュー隊長の目立つための秘策とは。今回も目が離せませんね。
>オーガが鳴く頃に
一人称視点といえばスレイヤーズですね。元のゲームについては未プレイとの事ですので
特殊な風習というのはしぇきさんオリジナルでしょうか。オーガの目的ともども非情に気に
なりますね。てか、あのオーガが謝っているッッ!! 校長は一体何者!?

51 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 01:19:39 ID:vPA1EYFn0
お疲れ様ですスターダストさん。
やったらテンションが高い最初の2レスですね。
前回が静的な感じだったので180度変わってるし。
でも、後半の2レスはマジモードですねえ。
まるで探偵物のような雰囲気。
スターダストさんが、色々趣向を凝らしてくれているのが分かります。
感謝。

52 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 11:15:48 ID:CqTaLs0H0
スターダストさん夜中に乙です。
最初は少し書き方に違和感感じましたが、裏返すといろんな引き出しを持っているという事ですね。
不穏な雰囲気になってきて、ホムンクルスとの戦いが激化しそうですねえ。

53 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 15:19:20 ID:7xCYaQds0
スターダストさんも最近好調ですねえ。
ギャグ的な部分とミステリ的な部分とバトル的な部分の
結実したSSですね。
錬金あまりしらないですけど、楽しんで読んどります。

ジャンプでは不評だったみたいですが、錬金は
バキスレでは人気ですね。ミドリさんのもそうですし。
一度漫画喫茶で読んでみようか。

54 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 17:22:22 ID:2yC/+08P0
和月作品は腐女子を囲うのがキモだけど
Dグレとかいうより腐女子受けする漫画が
既に存在していたが為に敗北してしまった>錬金

55 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 18:40:41 ID:0pxQ7WyH0
錬金と黒猫は特に面白くはなかったけど、
こいつら打ち切るんだったら先に打ち切るべきもんが
いくつかあるだろ。って思った。

56 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 20:16:56 ID:2nYFAxNZ0
俺は錬金と黒猫はここでの作品のが面白いな・・
職人たちへお世辞で言ってるんではなく。
ミドリさんカンバック。

57 :作者の都合により名無しです:2005/12/13(火) 20:36:06 ID:yXTd7Krd0
黒猫はパクリやりすぎで叩かれてるが、俺は嫌いじゃなかった。
少なくとも本当にカス漫画なら4年以上も連載せんし、アニメになんぞならん。

58 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/14(水) 03:11:31 ID:Ys32djwL0
それゆけフリーザ野球軍の時間経過図です。

自分の文章が至らないため、この物語の時間経過が分かっている人がいらっしゃらないようなので・・。
申し訳ありません。

物語の始まり→練習→練習試合--------------------→バータ&リクーム編
練習試合より一日経過
――-----------------→ギニュー編その1・その2(予定)
練習試合より2日経過
------------------------→ドドリア&ザーボン編
練習試合より三日経過

となっています。
なので時間軸としては、バータ編→ギニュー編→ドドリア編となっています。
ドドリア編でギニュー特戦隊が出てこないのは、今度投稿するギニュー編その2以降で分かります。

59 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/14(水) 03:12:31 ID:Ys32djwL0
あ、ちょっとずれました。バータ&リクーム編が練習試合の次の日の話です。

60 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:13:44 ID:Ys32djwL0
<一日目・その2:鬼の教室>
現在時刻:午前11:00 場所:村内の学校・圭一のクラス(2−A)

休憩はどうだっただろうか?私はこの前語った話を思い返していたよ。
おっと、失敬。話がまた反れるところだった。
さて、勇次郎と圭一、レナは教室に着いたみたいだね。

では、語り始めようか・・。

ガラガラ!!ピッシャ〜〜ン!!

乱暴に開かれる教室の扉。五月蝿かった教室が一瞬にして静かになる。
当然、扉を開けた主は地上最強の生物こと範馬勇次郎だ。
「よぉ〜〜し!!!これより授業を始める!!貴様等!!席に着けいィィ!!!」
勇次郎の怒鳴り声と共に、一斉に席に戻り始める生徒達。
暑いはずの今日なのに、なぜか寒気がするのは気のせいだろうか?
「席に着いたようだな・・。じゃあ!!始めるぞぉ!!!!!!!」
勇次郎はそう言って、右のポケットから蛇を取り出す。

”ん・・?蛇・・?”

「きゃあああ〜〜!!!」
勇次郎が取り出した蛇を見て、絶叫する女生徒A。
当たり前である。これが普通の反応であろう。
しかし勇次郎は、そんな絶叫が耳にも入っていないという表情で、
今度は左のポケットから何かが大量に詰まっている小ビンを取り出す。

61 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:14:30 ID:Ys32djwL0
”ザワザワ・・・!!”
蛇の次の謎の小瓶。当然その中身が気になって騒ぎ出す生徒達。

ピクピクピクッゥ!!

そしてその騒ぎ声に比例するように何かが浮き出る音が聞こえる。
勿論、誰かが痙攣している音ではない。誰かの血管が浮き出る音だ。
うん、勇次郎の・・・。
「てめえらぁ!!!静かにしろぉぅ!!!」

-------その瞬間、学校が揺れた・・・。

「よう〜〜し。静かになったな。それでは今日の授業内容は・・・、生物だぁ!」
勇次郎はさっきと打って変って、人がいいおじさんのように
----でも、勇次郎らしさを忘れずに授業に入る。

はてさて、勇次郎の授業振りはというと・・。

”ん?それよりも学校が揺れてどうなったか教えろって・・?”
”う〜ん・・。答えは言わずもかなって所かな?え?モット詳しく?”
”そうだな。強いて言うなら、リアル絶対無敵ライジンオーかな。ほら!学校が真っ二つに割れる奴!!”
”うん・・、少年の夢を叶えてくれる、本当に・・いい先生だ・・。本当に・・。”

”あ・・。一人びびって漏らしてら・・。”

62 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:18:39 ID:ca9c2jZV0
現在時刻:午前11:05 場所:村内の学校・圭一のクラス(2−A)

失禁している人とかは完全に無視の方向で授業を進める勇次郎。
授業の内容は、先程勇次郎が言ったとおり”生物”である。

―――――本当は実のところ勇次郎の担当科目は”道徳”であった。
だが、本人はそれをどう解釈したのか、
「道徳とは・・、人の心を学ぶという事・・。すなわち!!動物の心を学ぶぅ!!」
という思考の元で、今回は生物をやっているのだ。
ちなみにこの他にも、「道徳とは・・、人の心を学ぶという事・・。すなわち!人の感情の仕組みを学ぶぅ!!」
という思考の元、突然”体育”を始めた上にコンクリートへ生徒を叩きつけるという授業をした前例もある。

―――――おっと、話を元に戻そう。
どうやら勇次郎は、先程の取り出した蛇と小瓶についての解説をしているようだ。

「てめらはこの蛇に目が行ってしょうがねえだろうが、これは毒の無い蛇だ!!で、これが・・・。」
勇次郎は解説しながら、先程懐から取り出した”何かが詰まっている小ビン”の蓋を人差し指一本で弾くように開ける。

ポンっ!!ガスッ!!

天井をも貫通する小瓶の蓋。貫通した後からはアスベストが落ちて来ている。
「うわ・・・。」
とっさにハンカチを口に当てたり、グランド側の窓を開ける生徒達。
しかし一番被害を受けるはずの勇次郎はそんなのを全く気にせず、
満面の笑顔でアスベストを大きく吸い込みながらさらに授業を続ける。
「はっはっは!!!毒をもった昆虫達だ!!」
小瓶の中身を素手でつかむと、なんと一番前の席の机に”それ”をばら撒き始める。
「うわああああ〜!!!」
怯えて椅子ごとひっくり返る男子生徒A。ついでに言うと、さっき失禁したのもこいつだ。
しかしそんな生徒を見ても、しれ顔で解説し続ける勇次郎。

63 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:19:19 ID:ca9c2jZV0
「とまあ、普通は驚くな。つまりこれがこの毒虫どもの使い方だ。
毒の無い蛇で相手の注目を引いておいて、その隙に罠やら何やらでこの毒虫どもを相手の体や口の中に放り込むんだ!!」
勇次郎の解説に普通に感心してうなずく一同。
ちなみにひっくり返った生徒と毒虫は保険委員に丁重に保護されたようだ。

”う〜ん。この授業を見ていると、どうやら”ブスは三日で慣れる”宜しく、”勇次郎も三日で慣れる”みたいだな。”
”毒虫や蛇の耐性は付いていないようだが・・・。”

お、おほん!!
ともかくこのように、戦闘技術と生物を無理やりくっつけたりして、今回の”生物”の授業は進んでいく。
死んだ牛の体の中に隠れて、一ヶ月もの間ゲリラ戦法に出た偉大な忍者の話や、
熊の眉間は思ったより弱いので、熊と初めて戦う時にはそこを中心に攻めろ・・etc。
普通の授業じゃ聞けない実用度100%の内容である。

そして・・・。

「よぅぅっし!!!今日はお前達が真面目に聞いているから、次の話でしまいにしてやるぅ!!」
授業も終盤に差し掛かるのだった・・。


64 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:20:16 ID:ca9c2jZV0
現在時刻:午前12:00 場所:村内の学校・圭一のクラス(2−A)

「今日の授業のラストを締めるのは、上手な人肉の食べ方だ。まずは肉のションベン臭さを取るために、
生きた人間を三日以上拘束して放置する。」
「ぐえ〜〜。」
勇次郎の言葉に、早弁をしていた生徒がメンチカツを吐く。
「次に三日以上放置して、良く尿素が抜けた生きた人間の血を抜くんだ!!。その時は頚動脈をナイフか爪だ!
鮮度が落ちないように日陰でやるといいぞ!!」
生徒が失禁しようが、吐こうが全く気にせず授業を続ける勇次郎。
ちなみに説明する際は、黒板にその肯定を書きながら説明している。
「上手に血が抜けたら捌いたら、生か焼くかして食事だ!!ふん・・。俺は生だがな。どうだ!!お前等はどっちだぁ!!」
関口さんも三宅さんもこんな回があったら、100%収録を休みそうな質問。
もちろん生徒達は答えあぐね、小声で相談し始める。
「どうするよ・・。」
「どうって・・、嫌だけど、早く答えないと死んじまうぞ!!」
「うへ〜。じゃ、じゃあ俺は・・・、生・・。かな?」
「マジかよ・・。俺は死んでもやだね・・。って、手を上げて言えよ!!」
話は膨らむが、誰も手を上げて「人肉を生で食べたいです!!」という輩は中々出てこない。
当然、自分がせっかくした質問の答えが中々帰ってこないこと状況に、
勇次郎が苛立ち始めたことは言わなくても分かるだろう。

ガスガスガスガス!!!

勇次郎の地団駄によって粉砕する黒板と周囲の壁。もはや勇次郎の我慢は限界に来ていた。
いや、勇次郎だけではない。生徒達も、自分の自我と必死に戦っていた。

”生きるために人肉好きを勇次郎にアピールする”か、”このまま黙って人生の終焉を迎えるか・・”
この二つの思いと・・。

65 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:21:14 ID:ca9c2jZV0
「は〜〜い!!先生〜〜☆」
数分間という短い間であったが、互いの自我を安定させるための戦いは、この声を持って終戦になる!
「ん?レナか・・。どうだ!お前はどっちだ!!」
そう、この語尾に☆が付くおちゃらけ声は、先程斧を振り回していたレナである。
「「おおおお!!!救世主よ!!」」
歓喜と希望の入り混じった”喜びの歌”が教室を包む。これらは全てレナの為に歌われているのだ。
レナもその歌に機嫌を良くし、笑顔でちゃきちゃき勇次郎の質問に答える。
「はう〜〜☆やっぱり人肉はステーキだよ〜〜☆あのとろとろ感がたまらないんだよね〜〜☆」
「ゲフっ!!」
今度は違う早弁をしていた生徒が、口からハンバーグを吐く。

”まったく・・。成長しろよ、ここの生徒は・・。”

おっと、愚痴っぽくなってしまった。すまないすまない。
ともかくレナの活躍?によって、勇次郎は自分の質問に答えが返って来た事に大満足し、
生徒達の方は昼飯が食えないような気分を背負う結果になったようだ。
「なるほど・・。人肉特有の脂がいいわけだな!!中々通なところを・・。まあ、それは今度にしておいてだな・・。」
勇次郎は自分から振ったくせに、突然話を切り始める。どうやら、あと数分で授業が終わるようだ。


66 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:21:54 ID:ca9c2jZV0
「各自今日のことは肝に銘じておくことぉ!!特に熊と戦う時は眉間を狙え!分かったなぁ!!甘ちゃんどもぉ!!!」
「「はい!!勇次郎先生ぃ!!!!」」
「よぅぅぅぅうし!!終了だ!!てめえら!昼飯でも食い・・・。ん?この匂いは・・。」
勇次郎授業の定番の挨拶で終わろうとした時、勇次郎は廊下・・いや、外から僅かに匂ってくるある匂いに気付く。
「ちっ・・。どういうことだ?」
勇次郎はとりあえず廊下の窓を開けて匂いの元を確認することに。
「「お?なんだなんだ?」」
生徒達も釣られて廊下に出る。
「うわ!!何だ??この匂いは!!!くせ〜〜〜!!」
釣られて出てきた男子の一人が窓の外からの匂いを嗅いで、不快な声を上げる。
どうやら勇次郎が感じた時よりも、遥かに匂いが強くなっているようだ。

―――――さて、これは一体何の匂いなのか?読者の皆様はお解かりだろうか?
「こんな匂い、嗅いだことねえよ!!!」
そう、それは決して普段は嗅いだことのない匂い。
当然ドリアンのような自分を保護するための匂いではない。

つまり残るのは・・。

67 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:24:35 ID:JR45PqUc0
「この匂いは・・、焼却炉の方からか!!学級いいぅぅぅん!!」
「は、はい!!な、なんでしょう?」
ひょろ眼鏡の学級委員が瞬時に勇次郎の元へ駆けつける。
「てめえは職員室にいる先公全員に”裏門近くにある焼却炉へ来るよう”に言え!!
他の生徒はこの教室で待機!!いいか!絶対俺が帰ってくるまで出るんじゃねえぞ!!」
勇次郎は思いのほか的確な指示を、ひょろ眼鏡とそのほかの生徒達に出す。
「よぅぅし!!なにやら楽しめそうだな!!」
勇次郎は生徒達に一通りの指示を出し終えると、皆が理解したかどうかも聞かずに、
人外な速度で焼却炉まで駆け出すのだった!!

―――――その時の顔は今まで見たこと無いぐらいの笑顔だった・・。


”っと・・、あまりの速さに見失ってしまったよ。すまないね。”
”うん。もう分かるだろう。今日はここでおしまいだ。”
”当然、彼に追いついたらまた語り始めるよ・・。では・・、それまで休憩でもしていてくれ・・。”

68 :オーガの鳴く頃に:2005/12/14(水) 03:33:58 ID:JR45PqUc0
深夜遅くにどうものしぇきです。

―――――その時の顔は今まで見たこと無いぐらいの笑顔だった・・。
を、やっぱり、
―――――走り去った時の勇次郎の顔は今まで見たこと無いぐらいの笑顔だった・・。
に変更します。

最初の投稿は、それゆけフリーザ野球軍の時間経過図です。
外伝の話ごとに時間軸が行ったり戻ったりしているので、
一応書いてみました。
図の通りですので、ドドリアのプロポーズの話はギニュー編より
先のお話です。

>サマサさん
あ、普通の白銀の剣でしたね。後は剣が何回覚醒するのか楽しみです。
実はスナッペズナイフのように、剣先が飛んだりしてw
いや、のび太は射撃が得意だから最強武器が剣でも一工夫してあるのかと思って・・。

>サナダムシさん
武神登場?武神というよりも、格闘を守る番人みたいなイメージですね。
恐らく圧倒的差がある両者の勝負どうなるか!!楽しみです!!

>スターダストさん
カレイドスターより、ポケモンですね。
千歳は完全に頭脳担当ですね。クールビューティーな活躍を期待!
にしても本当にバンダイの工場とはw

では失礼します・・。

69 :作者の都合により名無しです:2005/12/14(水) 11:28:39 ID:WcEWizo40
お疲れですしぇきさん。勇次郎の授業は少し参加したいかも。
道徳からは最も遠い人物ですが、サバイバル技術ならいたい。
授業そのものがサバイバルになるかもしれないがw

70 :作者の都合により名無しです:2005/12/14(水) 14:57:03 ID:KvWXKoBJ0
しぇきさん乙。
ラノベですね、文調が完全に。その中である程度裕次郎が染まっています。
レナって可愛いな。元はぜんぜんわからないけど。

71 :やさぐれ獅子 〜五日目〜:2005/12/14(水) 17:54:58 ID:jgKRgUPr0
>>40より。

72 :やさぐれ獅子 〜五日目〜:2005/12/14(水) 17:55:40 ID:jgKRgUPr0
 うっすら目を開くと、晴天が広がっていた。日光が眩しい。
 体がだるい。まだ夜になっていなかったのか──目蓋をこすりながら、加藤が体を起こ
す。背筋を伸ばすと、ポキポキと関節が鳴る。
「大して眠ってないのに、すげぇ気持ちいいな」と、あくびが出る。
「いや、大して眠ったよ」
「うわっ、てめぇ!」
 すぐそばに武神を名乗る男が立っていた。しかし、加藤も敗北した記憶があるので、怒
気を発するだけに留める。
「君はほぼ丸一日、眠っていたんだよ。まぁ徹夜明けに連戦したのだから、無理もないだ
ろうがね」
「丸一日……!」
 加藤は呆然とする。昼下がりから夜、朝を経て、次の昼間までぶっ通しで眠っていたこ
とになる。また武神を称する男に、それを知られているのもどうにも不快な気分だった。
せめてもと、皮肉を返す。
「俺が起きるまで待ってたのかよ。武神ってえのも、相当暇なんだな」
「………」
「図星か。とにかく、俺を日本へ戻してもらおうか」
「ふっ」
「なにがおかしい!」
「君をここから出す出さぬは、私の手に委ねられているというのに。決して無礼を改めよ
うとはしない。あまり賢くはないようだ」

73 :やさぐれ獅子 〜五日目〜:2005/12/14(水) 17:56:09 ID:jgKRgUPr0
 ようするに「あまり逆らうと島から出さないぞ」という脅しである。ところが、加藤と
て負けん気だけは一流ファイターに引けを取らない。
「ケッ、てめぇ如きに迎合するくらいなら一生ここで暮らす方がマシだぜ」
「ほう」
「それに戻さねぇってんなら、力ずくでも従わせてやる」
「………」
 男はしばらく加藤を見つめてから、ゆっくりと口を開いた。
「やってみるか、試練」
「試練?!」
「ここで三十日、生き残れるか──否か。すでに四日が経過したから、あと二十六日」
「ふざけんな。さっさと」男がさえぎる。
「これは断言できるが、今東京へ戻ったところで君は戦力にはならない。今、あそこは君
が昨日倒した虎を、一分以内で葬れる猛者どもで密集しているからな」
「くっ」すぐにでも拳を出したかったが、心から男の批評を否定できない加藤。否定でき
ない己の弱さが、口惜しい。歯がゆい。「くそっ」
「どうする」加藤の迷いを見切っているのか、容赦せず男は即断を迫る。
 とはいえ、すでに加藤の心は決まっていた。強くなれるというならば、願ってもない話
だ。男を武神と認めたわけではないが、只者でないことは明白。あとは、奥底でくすぶっ
ている下らないプライドを捨てられれば──。
「……分かった、受けてやる」
「ほう」
「強くなれるってんなら、なんだってやってやるぜ。あんたを……利用する」
「では、今日一日だけ君にくれてやろう。ゆっくり休むといい。彼と一緒にな」
「あァ?」
 男が指差した延長線上には、昨日倒された隻眼の虎が立っていた。

74 :やさぐれ獅子 〜五日目〜:2005/12/14(水) 17:56:31 ID:jgKRgUPr0
「ちっ、生きてやがったか」さっと両腕を上げ、ファイティングポーズを取る。
 ところが、虎からはまるで殺気を感じられない。のしのしと自然な足取りで加藤に近寄
ってくる。
 間合いぎりぎり。
 あと一歩を虎が踏めば、加藤はためらわず右足をぶち込むつもりでいた。
 突如、仰向けに寝そべる虎。一切反抗しないと誓う、服従のポーズ。
「なにィ……?」まだ状況が分かっていない加藤。全てを見透かしたかのように、拍手を
送る男。
「どういうことだ、こりゃあ」
「彼は敗北を認めたということだ。もう、敵対することはあるまい」
 加藤が虎を見据える。ひれ伏した猛獣は、心なしかサイズまでもが縮まっているようだ
った。今ならば幼児にも敗れてしまいそうなか弱さだ。
「こうなっちまえば、密林の王者も終わりだな。でもよ、これじゃここで一ヶ月過ごすな
んて楽勝になっちまわねぇか。なにせ、こいつくらいしか敵なんていなかったしよ」
「安心したまえ。試練はちゃんと派遣する」
「………」
 訝しげに、加藤は男を睨む。
「では、私はそろそろ消えるとしよう。さらばだ」
「あっ」男から煙が流れ出る。否、男が煙となっている。美しい裸体が白い煙となって風
に流され、ほどなくして男は島からいなくなった。「消えやがった」

75 :やさぐれ獅子 〜五日目〜:2005/12/14(水) 17:57:44 ID:jgKRgUPr0
 とりあえず、加藤は砂にごろんと横になる。男によれば明日から試練とやらが始まるら
しい。どれほどの難関かは分からないが、少なくとも虎を打倒するよりも厳しいことは予
想できる。
 まともに休息できるのは今日くらいか──とはいえ、娯楽という娯楽がないこの島では、
やっておきたいことも特にない。
「試練、か。一体どうなっちまうんだ」
 武を司る神、を称する男。加藤は彼が気に喰わなかった。師と同じ名を持ち、加えて性
格がいけ好かなかった。だが相性はどうあれ、対話ができる人物がいなくなったことは大
きい。加藤に不安が去来する。
 果たして、三十日も耐えられるのか。
 余計な意地を張らなければ、日本に帰してもらえたのではないか。
「バカヤロウッ!」両頬を平手で叩く。「強くなるって、素手で耳を削げるくらい強くな
るって、決めたじぇねぇか!」
 込み上げる不安や後悔を、むりやり振り払おうとする加藤。
 すると、まだ近くにいた虎が愛くるしい声とともにすり寄ってきた。
「近づくんじゃねぇ。失せろッ!」
 怒号と平手を同時に飛ばす。が、虎は離れようとしない。なにかを訴えるように、加藤
のそばをうろうろするばかり。
「チィ……」
 わずらわしさを覚えながら、加藤もまた虎に対して特別な感情を抱いていた。
 五体のみを駆使し生存力を比べ合った、両者。凄絶なコミュニケーションを経て、彼ら
の間にはもはや存ぜぬふりができぬほどの“絆”が完成されていた。
「好きにしろ。だがよ、足手まといになると判断したら容赦なくぶち殺すぜ」
 こうして、奇妙な共同生活が始まった。

76 :やさぐれ獅子 〜五日目〜:2005/12/14(水) 18:03:43 ID:jgKRgUPr0
 いつもどおり果物を手に入れるため、密林へと入る加藤。もちろん、虎も付き従うよう
についてくる。
 砂浜から近い木から、果実をむしり取る。ますます手つきが手馴れてきた。
 だが、ふとここで考える。これまでジャングルの奥地に入らなかったのは、虎が脅威だ
ったためだ。
「今日はもっと奥まで入ってみるか」
 虎を引き連れ、加藤は奥へ奥へとひたすら歩く。
 すると突如、虎が走り出した。
「お、おい」
 木々を巧みにかわし、すいすいと密林を駆ける王者。いちいち根や枝につまづいている
加藤では、とうてい追いつけない。
 息を切らし、ようやく虎を発見すると、すでに彼は任務を終えていた。
 鮮血に染まった牙、ぐったりしているヒョウ。
「狩りか……。やるじゃねぇか」
 美味そうに肉にかじりつく虎に触発され、喰い散らかされた肉片に加藤も手を伸ばして
みるが、生臭くてとてもじゃないが食べられない。
「火を通さなきゃ、無理だな」ため息が出る。
 がつがつとせわしなくヒョウを平らげた虎に、加藤はうらめしそうにこぼした。
「ちくしょう、俺も肉が食いてぇ」
 結局、この日も加藤は果物で腹を満たした。

77 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/14(水) 18:05:11 ID:jgKRgUPr0
次回より試練開始。
ちなみに武神(仮)は完全なオリキャラです。

78 :作者の都合により名無しです:2005/12/14(水) 18:59:50 ID:NQUynJJ30
サナダさん乙です!
>試練はちゃんと派遣する
派遣ということは、試練とは人物との決闘かな?
確かにトラくらいシュンサツ出来るやつ等がうようよいますからね。
強くならないと、加藤は本当に雑魚キャラのままだ。
でも、サナダムシさんのオリキャラって素敵。

79 :ふら〜り:2005/12/14(水) 21:54:07 ID:bfoJiFGN0
>>サナダムシさん
称号とかでなく、本当に神様だったようですね武神。てことは、この試練とやらを乗り
切れば、加藤はドリアン他死刑囚にも勝てるようになると? 道のりは険しそうですが、
頼もしいパートナーもできたことですし、次なる目標は何とか火を起こして焼肉料理!

>>スターダストさん
文章量というか文字数は多いのに、何だか引きずられるみたいにあっという間に読んで
しまった気分です。ディスクアニマルが原作そのものみたいに動き出す……と面白そう
なんですが、無理か? ともあれいよいよ本格的に捜査開始、も少し声を聞かせろ根来っ。

>>しぇきさん(特戦隊の不参加理由……何か壮大なボケかまして全員入院とかしてそう)
やっぱり。喋ってる内容とかはともかく、何となく勇次郎、勇次郎なりにちゃんと先生
してる。似合ってる。案外向いてるのかも? にしても、レナ一人異常なのが引っかかる。
勇次郎がいなくても彼女はああだった訳で、となるとそれなりの事情が……ってどんな?

>>思えば遠くへきたものです。
まとめサイトで、たまにSSだけでなく過去ログを読み返したりもするのですが。
昔々は嵐の中のウインドサーフィン、あるいは沈みかけの難破船だった時期もありまし
たが、今のバキスレときたらもう航空母艦。大船に乗ってる気分で読んでいられます。

80 :作者の都合により名無しです:2005/12/14(水) 23:04:52 ID:pXXGeQ0P0
やさぐれ獅子、なんとなくドラゴンボールっぽくなってきたw
正直、サナダムシさんの作品にしては中々調子出ないなと思ってたけど
(すいません。それだけあなたには求めるものが高いという事です)
なんか物語が動き出してきましたね。いい感じになってきた。
そういや、今まで加藤と虎しかいなかったもんねw

81 :作者の都合により名無しです:2005/12/14(水) 23:05:35 ID:qVmPA6wW0
http://zinkumi.megaview.huhvl?/

82 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/15(木) 00:06:40 ID:J0zAE7wE0
プロローグ「招待」

scene1 伊藤開司

 <招待状 伊藤開司 様>

 ある日のこと。地下強制労働施設から、奇跡の脱出を果たしたカイジに、一通の手紙が届いた。

“帝愛に縁の深い方々を集め、感謝の気持ちを込めて……”
 ごくり、と生唾を飲み込む。
“趣向を凝らしたフーダニット・ゲームを開催したく……尚、ゲームの勝者には賞金一億円を……”
 文面を読み上げながら、カイジの声は微かに震えていた。
 身も蓋もなく、手紙の内容を要約するとこうだ。
『帝愛の名の下に選ばれた、何名かの人間で推理ゲームを開催する。賞金は一億円』
(間違っても、帝愛が善意でこんなものを送りつけるわけはない……九分九厘、何らかのどす黒い姦計がある……!)
 組織としての帝愛のやり口は、カイジとて散々見て来ていた。
 それは、利益至上主義という一言で括ってしまえるほど、生易しいものではない。
(あるはずがないっ……! こんな余興に一億円だなんて、そんなうまい話……!!)
 この賞金は、言わば魚たちを釣り堀に誘い込むための餌……
 どこからどう見たって、そう考える他はない……ないのだが。

83 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/15(木) 00:07:11 ID:J0zAE7wE0
(目的……俺を『招待』する目的は、一体何なんだ……?)
 この企画の意図を、カイジは測りかねていた。
 帝愛の真意がどのようなものであれ、あまりいい予感はしない……
(だから! だからと言って、逃げてどうするっ……!?)
 そう、これは帝愛グループからの、積極的な働きかけ……
 大袈裟に言うならば、兵藤からの挑戦状っ……!
 あの時……スターサイドホテルでの苦い敗戦……その雪辱を果たす、またとないチャンス……!
(受けるしかない……!)
“開催場所、ゲームの詳細については、直接電話にてお話致します。参加のご意思がある方は、こちらに連絡を――”
 手紙の最後には、連絡先の電話番号が記されていた。
(あからさまに怪しい……! しかし、敢えて懐に飛び込んでやろうじゃないか……!)
 強い決意と闘志を胸に秘め、カイジは携帯電話のボタンをプッシュした。
(どんな場所で……どんな罠が待っているかは知らないが……! 必ず看破し、逆に死角を突き……掻っ攫ってやるっ……)
 耳元で響く聞き慣れた呼び出し音も、心なしか遠くに聞こえる。
(優勝賞金、一億円……!!)

84 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/15(木) 00:07:35 ID:J0zAE7wE0
scene2 小林二郎

「ふうっ……」
 ペンション・シュプールのオーナーである小林二郎は
 誰もいない談話室のソファーに身体を埋めるように座り、盛大な溜め息をついていた。
 切れかけた蛍光灯が、彼の憂鬱を嘲笑うかのようにチリチリと耳障りな音を立てる。
 溜め息を一つつく度に、寿命が一日縮むという有名な迷信があるが、もしそれが本当だとすれば、彼はとうに生きてはいないだろう。
(何で……こんな事になったんだ……)
 小林は回想する。脱サラし、一念発起して始めたペンション経営。
 希望に満ちていたあの頃から――今。絶望に打ちひしがれている、現在に至るまでの経緯を。
(順調だったのにっ……何もかもが……!)
 そう、確かに以前のシュプールは……
 口コミで評判が広まり……贔屓にしてくれる常連客もつき……旅行関係の雑誌にも度々紹介され……
 これ以上ないくらいに、順風満帆ではあった。“あの事件”が起こるまでは――
 小林は、今でも時々、あの日、あの夜のことを夢に見てしまう。
 バラバラにされた南の死体。頭を叩き潰されたみどり。その後を追うように拳銃で自殺した俊夫……
 事件発生当初は、あることないこと色々と、マスコミに書きたてられたものだ。
 『白銀の殺人鬼!』『無残! 仲間割れの末、バラバラにされた死体』
 『孤立した山荘! 殺人鬼と過ごす恐怖の一夜』『シュプール従業員、同僚を殺されたショックから自殺!』
 各週刊誌は、コピーライターを総動員でもしたのかと思わせる勢いで
 競うように事件の残虐性、悲劇性を強調する見出しを並べ立て、大衆の下卑た知的好奇心を満足させることに躍起になった。
 警察が現場検証を終えた翌日からすぐ、怒涛のように舞い込む取材やインタビューの依頼。
 いや、依頼があるものは比較的マシな方だったかもしれない。
 それに反比例するように、以前からの付き合いがあった旅行関係の雑誌は『シュプールの話題はタブー』とばかりに軒並み沈黙した。
 事件後半年ほどは、雑誌社の人間が頻繁に取材に来たり、惨劇の現場を生で見ようと言う酔狂な客が訪れたりなどして
 小林としてはいささか不本意な形ではあったものの、経営状態が致命的なまでに悪化する、ということだけはなかったのだが……
 しかし、一年を過ぎてしまうと客足もぱったりと途絶え、光熱費、人件費といった維持費すら満足に払えず、赤字を出す月も多くなった。
 そこで小林は思い切って、莫大な借金を背負い込むことを覚悟で、起死回生の一手……シュプールの建て替えを決意した。
 客観的に見れば、ここ、ペンション・シュプールは凄惨な殺人事件の舞台……
 南。篠崎みどり。久保田俊夫。三人もの人間の血を啜った、忌むべき建物なのだ。
 事件も風化し、話題性も失われた今となっては……最早、好き好んでこんな曰くつきの場所に一泊しようとする人間は僅かだった。
 その気持ちは、小林もわからないではなかった。

85 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/15(木) 00:08:07 ID:J0zAE7wE0
 客商売――その中でも特に宿泊施設は、何を差し置いてもイメージが第一なのだから。
 シュプールに未だタールのように纏わりつくマイナスイメージを、どうにかして取り払わなければ――
 そんな思惑の下、建物の骨組みにまで手を入れる大規模な工事の末、シュプールは生まれ変わった。
 部屋数も増え、外観も一新した。新生シュプールの門出である。
 これで、忌まわしい記憶は払拭される。常連だったお客様もいくらかは戻ってきてくれる。
 すべてをやり直せるんだ。もう一度、最初から――
 が、そんな小林の願いも空しく、客足はまったくと言っていいほど、戻る気配はないのだった。
 残ったのは多額の借金だけ。気付けば、抜け出せぬ泥沼……借金地獄……!
(私のせいじゃないっ……! 全部、全部あのバラバラ殺人が悪い……!!)
 考えに耽る小林を現実に引き戻すように、受付で電話のベルが鳴った。
 予約の電話ではないことは、悲しいかな、経験上小林自身が一番良く理解していた。
「くそっ……! 忌々しい……!!」
 恫喝紛いの野太い声がスピーカーから聞こえてくる前に――
 小林は忙しなく、バタバタと電話に駆け寄ると、乱暴に電話線を引き抜き、投げ捨てた。
(曰く因縁つきの上に、借金取りの来るペンション、か。どうしろと言うんだ、まったく……!)
 思わず、自嘲的な笑みがこぼれた。生気を失った小林の顔が、いっそうだらしなく弛緩する。
「死のう、か」
 小林はぽつり、と呟いた。
 本音を言ってしまえば、口にした瞬間は、その言葉を実行に移す気は殆どなかった。
 死という選択肢自体、過去幾度となく頭を過ぎっては消えていったものではある――けれど。
 喉から、声として外に出してしまったことで、小林は瞬時にその言葉の持つ魔性の魅力に取り憑かれた。
 一度理性のダムが決壊し、暴走してしまった思考は、そう簡単に止まってはくれるものではない。
「……死のう!」
 もう一度、自分自身を奮い立たせるように大声で言って、ソファーから立ち上がる。
 それは最良の選択。と同時に、最悪の選択でもある。
 だが、もう小林には、ポジティブ且つ現実的な打開策を見出す気力など残されてはいなかった。
 思い立ったが吉日とばかりに、物置からロープを持ち出し、手頃な柱に結びつける。

86 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/15(木) 00:08:35 ID:J0zAE7wE0
「ロープ」
 不意に、誰かの声が聞こえた――ような気がした。
(幻聴……!? 馬鹿馬鹿しい……!)
 小林は大きくかぶりを振る。ここには、もう彼以外誰もいないのだ。宿泊客どころか、妻の今日子さえも……
「何に使うんですか……そのロープ……!」
 今度は、はっきりと聞こえた。間違いない。幻聴などではなく、すぐ近くから声が。
「誰……誰だっ!?」
 小林はびくりと身体を震わせて、狼狽も露に振り向く。
 黒服にサングラスという、異様な格好の男たちが数人、シュプールの玄関口に立っていた……!

87 :見てた人:2005/12/15(木) 00:11:25 ID:J0zAE7wE0
スレをROMしては、保管庫のSS群を読み漁っていましたが
自分でも書いてみるか、と一念発起して書いてみました。一応続き物です。
何分、初投稿故文章がアレかも知れませんが、内容はきっちり伝わる……といいな。

※元ネタの漫画等について
賭博黙示録&破壊録カイジと、その他色々です。
(堕天録は未読……)
話の都合上、数合わせのオリジナル有。
名探偵コナン等に登場する、一事件限りのゲストキャラと見てくれれば幸いです。

88 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 01:16:47 ID:vtoxMRDQ0
おお!かまいたちの夜とカイジですか!!
予想だにしてなかった組み合わせですね。
というか、かまいたちの夜のキャラをバキスレで見るとは思いませんでした。
透とか真理は出てくるのかな?出てきたら嬉しいw
新連載非常に期待しております。頑張って是非書き上げて下さい!

89 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 08:29:21 ID:TY465pSa0
建物の骨組み云々言うと
強度偽装ネタが出てきそうだなぁ

90 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 09:52:51 ID:PZng6aeg0
少し遅いがやさぐれ獅子に一言。
まさか・・・虎に萌えさせられるとは・・・(w`

91 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 10:58:16 ID:CkYhr+e10
ツンデレの王道いってたしいいんじゃね?
虎さん、キャラ的には野生純粋系だしww

92 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 11:00:45 ID:kueWUe/r0
>見てた人氏
カイジネタはマジで嬉しいです。
文章も福本っぽさを演出しているし、ここ最近で最も期待かも。
オリジナル要素もぜんぜんOK。どんどん弾けて下さい。
難しい素材だけど本当に頑張って欲しい。
アカギとか出てくると嬉しいかも。
でも、超越キャラが出てくるとパワーバランス崩れますな。

93 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 16:58:51 ID:Tl8cEG0P0
>殺人黙示録カイジ
確かにかまいたちとカイジの世界は予想もしないけど、
確かに世界観的に合うね。こりゃ楽しそうだ。
ギャグとかにならずに、このまま何時誰が死ぬか分からない感じの
世界を提供してって欲しいです。
しかしこれでSS第一作目ですか。
初期から比べるとえらいレベル上がってるな…

94 :ドラえもん のび太の天聖道士 31:2005/12/15(木) 21:25:16 ID:THaZgCZJ0
前話「アトランティスの姫君」
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/uminin/3-03.htm

   「“超魔道王”」

屋根の上でゴロゴロしていたヤマト神帝。誰かが家を出ていく気配に気付いて
ムクリと起き上がる。見れば、確かに青年が一人家を出てまっすぐに帰っていく。
もちろん、青年は海底人エルである。
「ん?あっ!?やっとあいつ帰るみたいだぞ。」
喜び勇んで再び、窓から部屋を覗き見る。と―――――――
「あ、あれ?なんだなんだ?みんなしてあんなとこに・・・」
一人。また一人。6人の少年たちが順番に、机の引き出しに入っていく。実に
奇妙な光景である。ヤマトはあわてて窓を開け、部屋に入った。

「こ、こんなとこに抜け道があったのか・・・?ええい、しょうがない!
――――――“汎神”チェンジ!」
ヤマト神帝は聖なる光に包まれながら、その姿を神々しく変化させた。
戦士スタイルの和装束から、瞬時にして柔和な、菩薩のような装束へと。
こころなしか顔立ちもポッチャリと――元々温和な顔立ちではあるのだが―――
それにもまして穏やかになったようにみえる。まるでたった今唐突に悟りでも
開いたかのように。ヤマトはそのまま引き出しの中に飛び込むと、巨大なハスの
花に乗って宙を舞った。

「お〜い、待ってくれえ〜!」
ヤマト神帝、改め“ヤマト汎神”は時空の波の中を聖なるハスに乗って、
猛スピードでドラ一行を追いかけていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

95 :ドラえもん のび太の天聖道士 32:2005/12/15(木) 21:26:07 ID:THaZgCZJ0
のび太の家を出たエルは、一人道を歩きながら思案を巡らしていた。
(なんとしても、やつらより先に見つけなければ・・・)
その足取りは力強く、しかし祖国ムー連邦へは向かっていない。
(僕ら海底人が唯一、ネオ・アトランティスの超兵器に対抗しうるもの―――――)
エルの足が止まった。固く大地を踏みしめ、拳を握る。
(ブルー・ウォーターの導きさえあれば、見つかるはずなんだが・・・)
“見つかる”までは決して帰らない。強い決意が強く握り締めた拳から滲み出る。
最後の言葉は知らず知らず、はっきりとした声となり、空気を震わした。
「この日本の地に沈められし“万能戦艦ニュー・ノーチラス号”!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地底竜人世界――――――

「“ニュー・ノーチラス号”!?」
バンホーは、聞き慣れないその名を反射的に繰り返した。眼前には不気味な仮面を
かぶったタキシードの男の姿がある。この不気味な男こそが“ネオ・ノーチラス”の名を
バンホーに伝えたネオ・アトランティスの使いである。仮面の男は静かに答える。
「その通り。それが“方舟”の呼ばれ名。正式な名称はまた別にちゃんとあるの
ですがね。それを――――本来の持ち主である我々に返還していただきたいのです!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

96 :ドラえもん のび太の天聖道士 33:2005/12/15(木) 21:28:17 ID:THaZgCZJ0
「急ごうぜ!世界のピンチなんだ!」
「それに遅くなるとママたちが心配するわ。」
壮大な冒険を勇ましく語るジャイアンと、しごく現実的な心配を口に出すしずか。
せかす二人にドラえもんは、笑顔でのんびりと答えてみせた。
「あせる必要はないよ。今回はタイムマシンの旅なんだから。」
「え?」
「戻るときに今の時刻、つまり今から出発する時間に戻ればいいんだよ。」
「おー、なるほど!」
「じゃあ、エルさんいっしょに来てもらっても良かったんじゃない?」
「あ・・・!そっか。そういえば・・・」
「それともあのまま待っててもらっても良かったねえ。」
「まあ、いいだろ。今回はただのお使いみたいなもんだ。」
一同に笑顔が広がる。ちょっとした遠足のような雰囲気が広がる。しかし―――
「・・・・・・・・・」
お気楽な会話を続ける一同を前に、出木杉は一人無言で考え込んでいた。

そんな中、普段タイムマシンに乗りつけていない出木杉とは別に、なにか違和感を
感じ始めた少年がいた。スネオである。
「ねえ、みんな・・・なんか・・・いつもと雰囲気が違わない?」
周囲を不安そうにキョロキョロと眺めながら、スネオはジャイアンに問いかけた。
「なにがだ?スネオ」
「いや、時空間が・・・なんだかさ・・・」
「そうか?いつだってこんなもんだろ。」
「スネオは心配性だなあ。」
のび太はそんな風にちゃかしながら、能天気な笑顔でスネオの方を振り向いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

97 :ドラえもん のび太の天聖道士 33続:2005/12/15(木) 21:28:59 ID:THaZgCZJ0
汎神と化したヤマトはドラたちを見失わないよう急ぎながら周囲を見渡した。

「この空間・・・まるで異世界へと続くような・・・・・」
22世紀の科学の力が生み出した超空間の中で、ヤマト汎神は独りごちた。
「そうか・・・!ここは・・・・!」

「ここは―――――――――――――――――」
先を行く6人の少年たちは、速度をあげてさらに遠くへと消えていく。
同じくヤマト汎神は静かにスピードをあげた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

98 :ドラえもん のび太の天聖道士 34:2005/12/15(木) 21:29:38 ID:THaZgCZJ0
リーン♪リーン♪・・・・
居間でくつろぐタマ子の耳に電話の鳴る音が届いた。
「あら、今日は電話がよく鳴る日ね。」
受話器を取る。今度はよく知った人物からだった。
「まあ、ドラミちゃん?」
『お久しぶりです。ドラミです。すみません。急ぎの用事があって――――
お兄ちゃんいま・・・す・・・か?―――――――――・・・・ブツッ!』
「・・・まあ、切れちゃったわ。」
階段をのぼりながら大きな声でドラえもんを呼ぶ。
「ドラちゃ〜ん、またお電話よ〜!今度はドラミちゃんから――――――」
部屋の扉をガラリと開いて、タマ子は立ち尽くした。
「あら、誰もいない・・・!」
無造作に開け放たれた窓から、むなしい風が吹きぬけていた。

「お兄ちゃん・・・!」
未来世界。ドラミは切れた受話器を見つめながら、不安そうに呟いた。
その後、さらに何度かかけなおす。が―――――
「ダメだわ。もうタイム電話はつながらない・・・」
ドラミは空を見上げながら胸を抑えた。
傍らで鳴り続ける虫の知らせアラームを不安げに、そっと見やる。
「・・・時空が大きく乱れている。お兄ちゃん、大丈夫かしら・・・・・」

「こんなときにまさか、タイムマシンなんて使ってなければいいけど・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

99 :ドラえもん のび太の天聖道士 35:2005/12/15(木) 21:40:46 ID:THaZgCZJ0
さきほどまでは穏やかだった時空間の旅。
しかし今、幼い旅人たちは、ただならぬ緊張に鎮まりかえっていた。

スネオは改めて問う。今度はジャイアンではなく、最も信頼できる者へ――――
「ねえ、ドラえもん・・・」
「・・・・・・・なんだい?」
「なんかこの感じ・・・やっぱり、いつもと違わない?」
「・・・・・」
ドラえもんは無言である。しかし、その表情には明らかに余裕がない。ドラの頬を
一筋の冷や汗が伝う。その様子にドラとスネオ以外の4人も異変を確信し始めた。
やはりスネオが不安そうに小さな悲鳴をあげた。
「ヒッ・・・な、なんかまたバチバチ言ってるよ?」

そう。先ほどから突然、時空間のいたるところに黒い稲妻のようなものが走り始めたのだ。
黒き稲妻は次第にその数を増やし、6人の乗るタイムマシンに影響を与えはじめた。
「す、凄い揺れだ!いったい何が起こったんだ!?」
「ああっ!?」
誰のものともわからぬ悲鳴。あるいは全員か。前方に稲妻を激しくスパークさせながら
漆黒の大きな渦が現れた。渦はブラックホールのようにタイムマシンごと6人を吸い込まん
と膨れ上がる。漆黒の渦。その正体を彼らは知っていた。

『じ、時空乱流!?』

“時空乱流”――――――時空間の乱れが、時の流れにブラックホールのような
落とし穴をつくることが稀にあるという。めったにないことではあるのだが――――――

100 :ドラえもん のび太の天聖道士 36:2005/12/15(木) 21:42:36 ID:THaZgCZJ0
「クソッ!吸い寄せられる!エンジン出力最大!なんとか振り切れ!」
激しく揺れるマシンをかろうじて、制御するドラ。必死でしがみつく5人。
必死の形相でマシンを操作しながら、ドラがぼやく。
「だけど、おかしい・・・!ここまでマシンが言うことを効かないなんて・・・・!」
レアケースとはいえ、当然一般に開放されたタイムマシンには時空乱流に対する
対応装置が備え付けられている。通常であれば、とうに振り切っているはずなのだが、
今回の乱流はなぜかなかなか振り切れない。背後で、しずかが何かに気付いた。
「ドラちゃん後ろ!」
「なんだって!?」
見れば―――――見れば背後にも同じ規模の激しい乱流が渦をまいている!
黒い渦は、自身を激しくスパークさせながら強い磁場を発生させていた。
「こっちにもだ!」
今度はジャイアン。そちらを見てもやはり乱流が―――――!
「・・・な、なんてことだ・・・!」
もはや冷や汗も完全に引いてしまっていた。ドラの顔が絶望に凍りつく。
気が付けば――――――6人は既に、無数の乱流の渦に取り囲まれていたのだ。
凄まじい勢いでその数を増やす稲妻が6人の視界を奪い去る。
「バカな!こんなたくさんの乱流が同時に現れるなんて・・・!ありえない!」
「そんなこと言ったって“ありえてる”んだよ!?」
「クッ・・・!ダメだ!コントロールがきかない!」
「なんだ!?アレ!?」
「知るか!!」
「白い――――――――」
「光だ!なんでもいいから、飛び込め!!!」
「ムチャだ――――――――――――――――!!!!!」
『うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・!!!』

混乱した一行を乗せて、タイムマシンはきりもみ状に激しく回転しながら――――――
激しくひしめきあう乱流の隙間に見える真っ白い光の中へと吸い込まれていった――――――――

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

101 :ドラえもん のび太の天聖道士:2005/12/15(木) 21:53:35 ID:THaZgCZJ0
今回分終了です。なかば強引に急展開です。
文章も普段にも増して荒く拙いと思いますがご容赦下さい・・・

タイトル通り、次回ようやく少しだけですが今作の黒幕らしきやつが登場します。
ええ、ラスボスではなく、あくまで黒幕。読む際の区切りは「超・魔道王」ではなく
「超魔・道王」となります。んで、「汎神」は「パンジン」と読みます。
ヤマト汎神とは、近年発売されたビックリマン最終弾のヘッドのうちの一人です。


102 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 22:39:48 ID:SGRBClxU0
うみにんさんGJ!

おぉ!いきなり最終形態!
ガーゴイルの末裔か、はたまた小説版にでてきた角ありのアトランティス人か
黒幕も登場したところで時空乱流
次回こそヤマト汎神の名誉挽回を期待しております

103 :作者の都合により名無しです:2005/12/15(木) 23:47:35 ID:UgjGRxWY0
うみにんさん乙です。
今回と次回で急にドラマが展開する感じですな。
ラスボスと黒幕が違う?
イメージでは同じイメージだけど、2人悪い奴がいるんですね。
出来れば今年中にあげてほしいなあ。
今回のと次回のはセットみたいだから。

104 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/16(金) 01:10:55 ID:2ORtjiOR0
>>76より。

105 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/16(金) 01:11:19 ID:2ORtjiOR0
 明朝──。
 浜辺で柔軟体操を行う加藤。
 昨夜はあまり眠れなかった。なにしろ、いつ試練とやらが始まるかが分からない。だが、
今のところなんの兆候も現れない。
「ちっ、さっさと始めろよ。じらしやがって」
 両脚を開くストレッチ。さすが空手家だけあって、体は柔らかい。両脚が直線を描いて
いる。
「よう、おめぇも起きたか」
 虎がのそのそと歩み寄ってきた。牙には少し血が残っている。
 のどかな朝であった。
 がごっ。

106 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/16(金) 01:11:45 ID:2ORtjiOR0
 頬を歪ませ、横へふっ飛ぶ加藤。
「フ、フック……?!」耳付近に当たった拳は縦だった。不意打ちは予想通りだが、まさ
かこうもたやすく初弾を許すとは──訝しがりながら立ち上がる加藤。「来いッ!」
 勇ましく叫ぶが、敵がいない。
「な」慌しく振り返るが、だれもいない。虎が座っているだけ。「どこだッ」
 めきっ。
 次弾は正面から入った。圧縮された鼻からは、汚れが混じった血が噴出する。
「くっ、どこから打ってやがる」
 血に対処する暇も与えられず、次は股間に激痛が走った。
 金的攻撃。さいわい潰れてはないが、じんわりとした鈍痛が内臓にまで染み渡る。
「う、く、く」局部を押さえ、地面に伏す加藤。「一体だれが」
 今、自分は何者かに攻撃されている。それも徒手で。だが、肝心の相手がどこにもいな
い。映らない。
「透明人間か……?」こうとしか考えられない。が、加藤には“いない敵から打撃をもら
う”光景をもうひとつ知っていた。「いや、こいつァ」
 ──リアルシャドー。
 範馬刃牙が最大トーナメントで披露した、極めて実戦に近い、いや実戦と遜色ないトレ
ーニング法。
「だとすれば、敵を強烈にイメージすれば」
 視認できるはず。
 これまで喰らった三発を頼りに、加藤は敵を推測(イメージ)する。
 背は百八十センチ程度、体重は九十五キロといったところ。手技、足技ともに高水準。
「キックボクシングか」

107 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/16(金) 01:13:05 ID:2ORtjiOR0
 うっすらと目に映ってきた。架空ファイターがおぼろげながら、浜辺に出現した。
 だが、まだ充分ではない。敵はこちらに触れるが、こちらは敵に触れられない。イメー
ジが曖昧なためだ。猛攻をやり過ごしながら、加藤はさらにイメージを具体化させる。
 だんだんと姿がくっきりしてきた。
 二十八歳、国籍はオランダ、妻子持ち。打たれるごとに、情報が伝わってくる。より鮮
明になる架空ファイター。
「オマエヲタオセバゲンジツデイキラレル」
 不完全ではあるが、とうとう発声まで始めた。しかも、ただ五十音を並べたようであっ
た発音は徐々に人間味を帯びていく。なかなか日本語は流暢なようだ。
「おまえを倒せば、現実で生きられる」
「へっ、ようやく実体化しやがったか」
「武神はおっしゃった。おまえを殺せば、私は架空ではなくなると」
「ふん、返り討ちにしてやるぜ」
 互いに右ローを打つ──激突。
「なっ」架空キックボクサーの右足が、ぐにゃりとへし曲がった。
「空手は五体が凶器、なめんなよッ!」左ハイ。架空ファイターが右膝から土砂崩れのよ
うにダウンした。
「まともに戦えば、てめぇ如き敵じゃねぇんだよ」
 架空ファイターの股間へ、加藤はかかとを押しつける。実に楽しそうに。
 ぐじゃん。
 ふたつとも破裂した。尿と血とが混濁したおびただしい体液が、股から浜辺に染み出し
ていく。
 完敗を喫した架空ファイターは、再び姿がおぼろげになってゆき、音もなく消滅した。

108 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/16(金) 01:14:10 ID:2ORtjiOR0
六日目開始。

109 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/16(金) 01:17:35 ID:2ORtjiOR0
追記。

「決められた期限をやり過ごす修業」ってのは、たしかにDBっぽいですね。
まったく意識してなかったw
これからは虎も味方として活躍する予定です。

110 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/16(金) 06:09:24 ID:Bo5x3akk0
第一章「開始」

scene3 伊藤開司【二】

「うう……寒い! よりにもよって、何でこんなところで……凍え死ぬだろっ……!」
 カイジは電話で伝えられたゲームの開催場所……
 長野県某所、ペンション・シュプールにやってきていた。
「こんなに歩くとは思わなかった……しかも、出発するのを待っていたように吹雪いてきやがって……もう少しで、氷の彫像になるところだった……!」
 一人ごちながら、可愛らしい梟が刻まれている両開きのドアを押し開く。
「ようこそいらっしゃいました!」
 カイジを迎えたのは、温かな空気と、はりのある女性の声だった。
 見れば、カイジと同じくらい……二十代前半と思われるエプロンドレス姿の女性が、恭しく頭を下げていた。
「こちらの名簿に、お名前の記帳をお願いします」
 女性は頭を上げると、カイジに名簿とボールペンを手渡す。
 カイジは名前を書きながら、自分の前に書かれている名前をそれとなく確認する。
 その中には、カイジの知っている名前はないようだった。
「これでいいか?」
 カイジは記帳を終え、女性に名簿を返した。
「えっと……伊藤、カイジ様でよろしいでしょうか」
「あ、ああ」
「失礼します」
 そう言うと女性は、カイジの胸にプラスティック製のネームプレートを付けた。
「それでは、封筒をお渡しします。くれぐれも開封、紛失等しないようお気をつけください」
 そして、ナンバーと名前が刻印された茶封筒をカイジに差し出す。
(これが……今日のゲームの鍵を握る封筒……ロール・カード……!)
 カイジは幾分緊張した面持ちで、それを受け取った。
「それでは、しばらく、ホールの方でご歓談下さい」
「よし……行くとするか……!」
 カイジは大きく深呼吸をすると、女性に背を向け、ホールへの扉を開いた。

111 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/16(金) 06:10:19 ID:Bo5x3akk0
scene4 兵藤和尊

「ククク……カカカカ……!」
 ゆうに三十畳を越えると思われる、広い部屋。
 その部屋の中心、大型モニターの前に、兵藤はいた。
 床にどっかと座り込み、モニターを食い入るように見つめている。
 モニターには、ペンション・シュプールの玄関口が大写しとなっていた。
「きおったわ……予想通り……! 己の運命も知らず……哀れな溝鼠どもが……! しかし、まさか全員揃うとは……ククク!」
 手にしたワイングラスを傾け、最後の一口を飲み干す。
「失礼します」
 兵藤の右に控えていた黒服がすぐさま跪き、代わりのワインをグラスに注いだ。
「玄関口はもういい。ホールを映せ」
 兵藤は左に控えていた黒服に指示を出す。
「はっ」
 黒服がリモコンを操作する。と、モニタの画面はシュプールのホールへと切り替わった。
 兵藤は映し出された人物の一人一人を目で追い、確認するように名前を読み上げる。
「小此木秀平、笠間潤、黒川時子、香坂まどか、只野文男、玉崎真吾、双葉夕実、旗元太、夕凪理沙……」
 そこで一度、大きく息をつく。
「そしてっ……! 伊藤カイジ……!」
 兵藤はニイッと口許を緩ませると、モニタから黒服の方に向き直った。
「不思議そうな顔をしておるな……」
「は、はいっ!?」
 急に話を振られ、兵藤の両脇に控える雑用係……二人の黒服が緊張に身を強張らせる。

112 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/16(金) 06:11:18 ID:Bo5x3akk0
「地下懲役の目安は、一千万円でおよそ十五年……! それを考えれば……このゲーム……『犯人当て』の賞金は破格……」
「は、はあ。言われてみれば……その通りです」
 黒服は頷いた。兵藤の不合理な気紛れはいつものことでもあったのだが
 多額の賞金がかかったイベントを自ら取り仕切ると言うのは、流石に珍しいことだった。
「それはそう……帝愛でも、極一部しか知らん……今回の企画、その真意は……! これから何が起こるか、ようくその目に焼き付けておれ。じきにわかる……これがどんなに――」
 その時。カチャリ、という控えめな金属音が兵藤の言葉を遮った。部屋のドアが、ゆっくりと開いてゆく。
 部屋に入ってきたのは、見慣れた黒服――いや、黒のロングコートを着込み、目深な帽子を被った長髪の男だった。
 男は帽子を手で押さえながら、風に舞う木の葉を思わせる、流れるような動きで兵藤の横に立った。
 そのまま、モニタへと視線を向ける。数秒の間、そうしていただろうか。
「噂通り……なるほど、酔狂なご老人らしい」
 言って、男はモニタから視線を外すと、兵藤と黒服を見遣る。
 くっくっ、と鳥が喉を鳴らすような笑い声が漏れた。
「貴様……! いきなり無礼な! 兵藤様に向かって……!」
 黒服の一人が敵意を剥き出しにして男ににじり寄る。が、男はそれを眉一つ動かさずに黙殺する。
「ククク……よいよい。彼こそは、わしの夢……悲願を叶えてくれるやもしれぬ……悪魔からの使者よ。そして、今回のゲームの見届け人でもある」
「は、はい。申し訳ありません」
 兵藤の言葉を受け、いきり立った黒服は毒気を抜かれたように矛を収めた。
「紹介しよう。故あって本名は明かせぬそうだが……」
 兵藤の言葉を継ぎ、男は口を開いた。
「コードネーム『ジン』だ。普段は、それで通している……」

113 :見てた人:2005/12/16(金) 06:13:40 ID:Bo5x3akk0
二回目の投下になります。まだ繋ぎ部分ですね。
本格的に話が動くのは次回以降になりそうです。

レスをくれた方、ありがとうございます。がんばります。
内容については、まだ書いていないので、正確にどうなるかは解説できないのですけど
・カイジの活躍と駆け引きがメイン
・脇役、その他大勢は八割方元ネタなしキャラ
・終始一貫してサスペンス調(内容が伴うかはともかく)
そのあたりは、大体決まっています。
もっと色々な作品からキャラを引っ張って来るべきかとも思いましたが
あまり多種多様な世界観を融合させる自信がないもので。
かまいたちの夜からは、雰囲気ある舞台と閉鎖的状況をお借りした感じです。

114 :作者の都合により名無しです:2005/12/16(金) 14:39:55 ID:JqO6reA40
サナダムシさん、見てた人さん乙ですー
腕利きのベテランさんと期待の新人さんが投稿してくれると嬉しいですな

>やさぐれ獅子
武神、リアルシャドーというよりスタンド使いみたいですねw
こいつがラスボスになるのかな?でも、バキの後追いしてるだけじゃ
永久にバキに追いつけない気がしますね、加藤。

>殺人黙示録カマイタチ
駆け引きと会話、ダークな雰囲気は冷酷な福本世界と閉塞感漂う
かまいたちの世界とマッチしますね。大物の兵藤も表に出て、いい雰囲気ですな。
でも、なんとなくライアーゲームっぽくもありますな。

115 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/16(金) 17:19:01 ID:onDfvO1J0
第三十六話「魔城突入!」

夢の世界、ユミルメ―――そこには人間も住んでいるし、町だってある。だが、妖霊大帝オドロームの復活により、
ユミルメの人々は再び恐怖と絶望の日々を過ごしていた・・・。
そしてここは、とある町の酒場。ちなみに真っ昼間だ。
「あー、チクショウ!オヤジ、もう一杯!早く持ってこい!」
中年の男がわめく。既に相当出来上がっているようだ。別に珍しい光景でもなかった。不安を紛らわすために酒に
溺れる人間など、山ほどいるからだ。というか、酒場にはほとんどそんな連中しかいなかった。
―――いや、少しだけ例外がいた。
「よお、おっさん。なんだか荒れてるな」
「あん?」
中年の男が振り向くと、そこには金髪のやや軽そうな男がいた。見知らぬ顔だが、毎日のように故郷を追われた人々が
逃げてくるのだから、どうせその類だろう―――しかし、それにしてはこの男は妙に明るい。
「なんだよ兄ちゃん。酒なら奢らねえからな?」
「ちぇっ、ケチケチしちまって。まあいいか、別に酒を飲みに来たわけじゃない。ちょっと情報収集に来たんだ」
「情報収集だあ?はん、何が聞きたいってんだよ?」
「妖霊大帝オドロームのアジト・・・かな?」
ブホッと飲んでいた酒を吹いた。
「ゲホッゲホッ・・・おいおい、アンタ!そんなもん聞いてどうする気だ?まさか乗り込もうってんじゃ・・・」
「そのまさか・・・と言ったらどうする?」
金髪の男は真剣な顔で聞いてくる。さっきまでの軽い雰囲気はすっかり失せていた。

116 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/16(金) 17:19:43 ID:onDfvO1J0
「・・・本気だってんなら、アホだな、アンタ」
「そう言いなさんなって。俺は不可能を可能にする男・・・ってのがキャッチフレーズなんだからな」
「へっ・・・」
金髪男の飄々とした物言いに、笑みがこぼれる。何とも愉快な気分になってきた。
「アンタ、面白い奴だな・・・。いいだろ、教えてやる。つっても大したことじゃねえ。この町を出てまっすぐ進めば
えらくデッケエ不気味な城が見えてくるはずさ。それこそが妖霊大帝オドロームの新たなる城・・・」
中年の男はそこで一拍おいた。勿体ぶったわけではない。その名を口にするのも恐ろしかったからだ。
「―――魔城<ガッデム>さ。言っとくけど、そこに行ってどんなとんでもない目に会ったって、おりゃあ知らねえ
からな!忠告はしといたぞ、兄ちゃんよ」
「ありがとよ、おっさん・・・」
「おーい、ムウさん。どうだった?なにかいい話聞けた?」
酒場の外から子供の声が聞こえる。どうということのない平凡な男の子が、金髪の男―――ムウという名らしい―――
に手を振っている。その傍には犬に結構可愛い女の子、さらには青いタヌキまでいた。
「ふむ。仲間が来たから俺は行くよ」
「・・・待てよ!」
軽く礼を述べて去っていこうとする金髪の男の手に、中年の男は酒の入ったグラスを渡した。
「ほれ・・・最後になるかもしれんから、一杯だけ俺が奢ってやるよ」
「ほう・・・そりゃあどうも。人情が身に染みるよ。最近ロクでもない奴ばっか出てくるからな」
ニヤリと笑って酒を飲み干し、金髪男は悠々と酒場を出て行った。それを見守って、中年の男はふっと笑みを浮かべた。
「へへっ・・・あの兄ちゃんとガキ共がオドロームを倒してくれちまったり・・・なんて、な」
冗談のつもりで言ったのだが、案外当たっちまうんじゃないかと思った。

117 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/16(金) 17:20:26 ID:onDfvO1J0
ムウが酒場で仕入れてきた情報通りに進むと、前方に岩山のような外観をした、不気味な城が見えてきた。
「・・・あれが―――魔城<ガッデム>・・・!」
「ああ。間違いないだろうな。怪しい気配がプンプンするぜ。俺はこういうカンは鋭いんだ」
ムウが顔を引き締める。のび太も尋常ならざる気配を感じて、思わず拳を握り締めた。
「それじゃあ、作戦を立てましょうか・・・何せ敵の本拠地です。真っ向から向かったんじゃどうにもならない」
「さんせーい」
「異議なーし」
ペコの提案に、全員が賛同する。とは言うものの、人数自体が少ないのだ。作戦と言ってもかなり単純、かつ大雑把
なものになる。概要はこうだ。
「ま、簡単に言うと、ペコがアヌビスで、のび太くんとリルルがザンダクロスで真正面から突撃して、敵の目を引き
付ける。その間にぼくとムウさんが城に突入して捕らわれているみんなを救い出す。後は臨機応変に」
「作者の知能レベルの底が知れる作戦ね・・・大丈夫かしら?」
リルルが辛辣な口調で言い放った。
「ま、そう言わずに・・・のび太くん、ぼくがいないってことは、ザンダクロスの四次元ポケットを上手く使えないって
ことだからね。白銀の剣があるとは言っても、油断しちゃダメだよ」
「うん、大丈夫だよ。リルルも一緒だし、ペコのアヌビスもいるしね」
のび太の言葉に、リルルとペコは力強く頷いた。
「さて―――それじゃあ行くぞ、みんな」
「おう!」
張り切った声と共に、ザンダクロスとアヌビスが魔城<ガッデム>に突入する。すぐさま敵が現れた。オドローム配下の
魔物である土の精、鉄の精、火の精―――それらが無限とも思える数でワラワラと群がってくる。
「―――こんの野郎!」
白銀の剣が一閃し、紙人形の如く魔物たちが斬り飛ばされる。その横ではアヌビスが<ハウンドスピア>で辺りを薙ぎ払う。
一瞬にして蹴散らされた軍勢―――だが、何事もなかったかのように新しい精霊兵士が、先程に倍する数で押し寄せる。
「のび太くん!リルルさん!無理はしないで下さいよ!」
「分かってるよ!―――頼んだよ、ドラえもん、ムウさん!」

118 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/16(金) 17:21:09 ID:onDfvO1J0
その様子をドラえもんとムウは固唾を呑んで見守っていた。
「・・・よし、敵のほとんどはあっちに引き付けられたみたいだね。けど、城の中にまだ残ってる奴もいるかもしれない。
用心に越したことはないね」
「ああ、そうだな」
「けど、どうするか・・・まさか透明人間になるってわけにもいかないしねえ・・・」
「おいおい、何言ってんだ?お前、ちゃんとひみつ道具は持ってんだろ。それなら石ころ帽子でも透明マントでも出せば
いいじゃないか」
ドラえもんはポカンとムウを見つめる。どうやら、全然気が付かなかったらしい。
「ムウさん、あったまいい・・・」
「いや、思い当たらない方がまずいだろ・・・ごほん、まあとにかく―――」
ドラえもんと顔を見合わせ、頷きあう。
「―――魔城に突入だ!」

119 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/12/16(金) 17:29:48 ID:PP8gEe0s0
投下完了。前回は>>28より。
魔城<ガッデム>にはツッコミ禁止。

>>32 >>33 強制終了ネタ・・・正直二回目はツマランかもと思いましたがw
        元ネタはやはり魔界大冒険ですね、はい。

>>ふら〜りさん
非常食ではない彼の活躍をご期待下さいw白銀の剣の登場は確かに唐突すぎましたね・・・
すいません。

>>35 そう思わせて残りの名前が出てない奴は全員ネタキャラかも・・・

>>36 今回の夢世界編でやっとザンダクロスもサイバスター、アヌビスと肩を並べる強さになる予定です。

>>しぇきさん
人肉の美味しい食い方・・・嫌過ぎるwまた勇次郎はこういう話をするときほど嬉しそうな顔をするイメージが
あります。最近は丸くなってますが。
>スナッペズナイフのように、剣先が飛んだり
・・・それだ!いや、さすがにやりませんってw射撃については別に見せ場を作る予定なので、ご勘弁を。

120 :作者の都合により名無しです:2005/12/16(金) 19:45:11 ID:4bZSQVfm0
サマサさん乙!

白銀の剣はダイソードのように変形したりするのかな?
グリトニーさまに出てきて欲しいです

121 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/16(金) 19:45:34 ID:hA3GqHIh0
ホムンクルスの目的が食事とすれば、どうもおかしい。
衝動的であるなら、人の気配を察知するまま工場に雪崩れ込むだろう。
計画的であるなら、夜、帰宅途中の従業員を襲う方を選ぶだろう。
半年前からほとんど人気のない事務所を張って、そこに人が来るのを待ち続ける「計画」な
ど、まるで意味がないし、千歳の知るホムンクルスらしくもない。
郊外なのだ。ここは。夜半ならば暗闇に乗じて目撃者一つ出さず、食事を遂行できる。
実際、戦団がもっとも厄介だと思うのは、そういうタイプのホムンクルスだ。
目撃者もなければ死体もなく、人が喰われたという事実すら把握できない。
恐らく、海千山千の行方不明事件の中には、そういう潜在的な死が紛れているだろう。
ともかくである。
今回の事件は、ホムンクルスが食事の為に工場を襲ったという単純な物ではなさそうだ。
(他に動機があるとすると…………怨恨?)
千歳の脳裏に、一つの懐疑が浮かんだ。
確かに人間同士ならばよくある殺人の動機だが、ホムンクルスがそれを抱くのは稀有だ。
似た話はある。
千歳が防人から聞いた話になるが、病のせいで見捨てられ、透明な存在になり果てた一人
の天才が、独学で研究を重ね、ホムンクルスに身を変えて、彼の存在を認めぬ親族とその
ボディーガードを合わせて二十人近くを喰い殺した事があった。
けれどその話の場合は、ホムンクルスになる事が復讐の動機であり手段であり、ホムンクル
スとして生きていた者が、人に怨恨を抱いた訳ではない。
果たして、人を食料としかみなさないホムンクルスが「怨恨」などという、ある意味で低い立場
からの感情を抱くようなコトがあるのだろうか。
しかし可能性がある以上、調べるのが千歳の役目であり、また戦士の責務だ。
「麻生さんですが、どういう方でしたか」
「非情に熱意ある人でした。部下の能力を見極めるのに長けていまして、過去何度も、優秀な
人材を発掘しておりました。…過大評価する訳ではありません。彼の選んだ者は、常に素晴
らしい結果を出していました。だから彼らと、そして麻生君の社に対する貢献度は誠に、高い
物でした……」
「…すると、麻生さんを恨んでいた方は」

122 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/16(金) 19:46:05 ID:hA3GqHIh0
「いない筈です。部下に対する思いやりは非常に深く、同僚の顔も立てて、上司やバンダイ
さんとも、とにかく歩調を合わせる事を第一にしていました。プライベートでも、ギャンブルや
お酒は嗜んでいませんでしたし、借金もなく女性関係の噂もまるでない、社員の鑑のような
人でした。ですから、恨みを買っていたなんて事はとても。ありえませんね」
「そうですか」
怨恨の件も、薄いのではないだろうか。千歳はとっかかりを失った。
犯人の動機というのがまるで見えてこない。
「…ただですね」
黒澤という名の工場長は、少し言いよどんだが、言葉を続けた。
「彼にも欠点がありまして。お話した通り、わが社では残業を月20時間まで
と決めているのですが、彼はそれをよく破っていました。仕事熱心なのはいいんですが、部
長の彼が規則を破っていていいのかと、従業員からは不満の声がかなりありました。しかし」
「怨恨につながるほどではない、と」
「はい。そんな…仕事上の行き違いなどで人を………殺すなんてあってはならない事ですよ」
黒澤は沈痛な面持ちで膝の上の拳を振るわせた。
少なくても千歳には、彼が犯人だともホムンクスルだとも、到底思えなかった。
根来は、いつもと同じ鋭い目つきをじっと黒澤に投げかけていた。
ともかく、もう2〜3細かい打ち合わせをした。
より詳しい事は、部長と最後にいた高峰に聞けばよいだろう。
「ではおっしゃる通り、朝礼では部長は行方不明として伝えておきますが…」
説明が終わると黒澤は、鼻に浮かんだ汗を袖でぐいっと拭った。
包み隠さず浮かぶ憔悴が、麻生部長が死んだという事実と、行方不明だという実感の狭間
で戸惑っている事を浮き彫りにしている。
信じられぬのも無理はないのだ。
ホムンクルスという化物がいて、それが麻生部長をカケラ一つ残さず食べたなどとは。
例えば、生首の一つでも転がっていれば信じられるだろう。
だが血痕ぐらいしか現場にはなく、死体という、生死をはらんだ最大の証拠が綺麗さっぱり
消えている。
だから社員たちは、部長が夜の工場から謎多き失踪を遂げたと思い続けていくのだろう。
それが普通なのだ。日常と非日常は陸続きであるが、しかし多くの人にとってはしっかり区切
られた別次元の物として認識されている。

123 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/16(金) 19:47:23 ID:hA3GqHIh0
根来たちの潜入する工場は、そういうカンジのお話ありきで商売してたりするが、しかしお話はお
話、フィクションであって、この事態を信じる材料にはなりえないのだ。
「残念ですが、お亡くなりになったと答えるしか」
千歳は無表情にやや憂いを帯びて、答えた。
前述の通り、彼女は事務服である。
上は白いワイシャツとグレーのベスト、下はベストと同じ黒色のスカート。
どれも夏使用で薄く、艶かしげなボディラインがさらけ出されている。
それをやや好色なる目で見たとして、誰が責められよう。
いや。むしろ男子の本分ではないか。
それを果たさずして、男子、何のために地上へ生まれてきたのかという話にすらなる。
釈迦も孔子も諸葛亮も信長も、この場に居ればみな千歳を見ただろう。
黒澤も、実は受付からの道中、細くも肉感的な肢体をちらちらと盗み見ていたから
いざ千歳に見据えられるとゾクリとした。
かすかな憂いにたゆたう瞳。桃色で肉のうすい唇。喋るたび覗く濡れた白い歯。
彼女自身は気付いていないが、やや官能的な気配がある。
固唾を飲んだ黒澤が、誘われるように何かを言いかけた時。
「ところで」
黙っていた根来が突如として口を開いた。
「何でしょうか」
まるで紅茶の中から飛び出た妖精をみるような驚きを以って、黒澤は答えた。
彼の認識から根来の存在はすっかり抜け落ちていたのだ。
「貴殿らの職場に、EXCELはあるか?」
EXCELというのは表計算のソフトだ。
イルカ(※)がサポートしてくれるので有名なソフトであり、大抵の職場には配備されている。
「もちろん、ありますが…」
「念を押すが、ロータスではないな」
「ハイ」
「良かろう」
何が良かろうなのか。黒澤も千歳も気にはなったが、根来は口を閉ざしてしまいそれきり
分からない。

124 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/16(金) 19:47:58 ID:hA3GqHIh0
※ 難しい質問がくると焦り散らしてグビャーグビャー鳴きわめく役立たず。
が、「またムチムチしてきたな?」と呼びかけると「質問の意味が分かりません!」と赤面しつ
つ必死に抗弁する可愛い一面も。
しかしイルカ、可愛い顔をしているが生殖孔と肛門の間に左右一対の乳房を有しているので、
実はいやらしい体の持ち主だ。

沈黙を気まずく思ったのか、黒澤は千歳に話しかけた。
「いやしかしあなたは優秀ですね。すでに色々調べて頂いていたとは。私どもとしても安心し
てお任せできます」
手馴れた調子で明るい声を出し、親しみを分かり易く示す黒澤だが、しかし千歳は目を伏せた。
「……そんな事はありません」
現在優秀なのは、過去の惨劇を前提とした努力の元なのだ。
第一、今回の任務もまだ、これ以上の犠牲を払わずに遂行できるかどうかも分からない。
できるか?と言われれば、分からない。だが、既に任務は命じられている。
だから千歳は犠牲なく任務を遂行できるなら、迷うコトなく身を捨てるだろう。
そして。

今回、千歳に同伴している根来は、任務遂行の為なら味方すら犠牲にする戦士である。

125 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/16(金) 19:49:02 ID:hA3GqHIh0
錬金はジャンプで最下層を彷徨ってましたが、やっぱり好きです。
どんな形であれ、二次創作が賑わっていて、更に褒められていますと嬉しい気分。

>>51さん
ありがとうございます。ネウロを下敷きにしている以上、探偵者の雰囲気が出せていると一
安心ですね。テンション高い文章は大好きですよ! ええもう! 割かし動きの少ない話です
のでガス抜き兼メリハリ付けに使っていきますよ! ヤツも出ますよ、出しますよ!

>>52さん
ありがとうございます。引き出しは…どうでしょうか。個人的には、少ない引き出しを「うおお!
ニャン美! うおぉー!」とクマ吉くんみたく絶叫しながらバタバタ閉めまくって、残像で多く見
せているようないっぱいいっぱいな芸風だと思ってますが、お付き合いして下されば嬉しいです。

>>53さん
ありがとうございます。ネウロになくて錬金にあるのがバトル的要素なので、そっちも織り込
んで行きたいのですが……… 色々な逆境が待ち受けているのがめっちゃ分かってしまい
とりあえず笑ってから、カバくんと一緒にガラガラチンチンしてきました。しかし決め手は既に考えてます。

しぇきさん
毒虫たちはきっと柳から奪ったのでしょうね。
弾けまくった授業風景はいいですね。とびきりの勇次郎スマイルと阿鼻叫喚と毒虫たちとあと西
伯侯姫昌みたいに吐かれたハンバーグがひしめきあう教室は、青春の匂いがします。あと肉の臭いも。
千歳はこういうポジションになってきます。クールビューティーに戦いもしますよ。あとはこう、
原作の艶っぽさを表現したくもありますが、どうなるコトやら。そして、ええ。バンダイの工場です。
ここなくして表現できないものが、かけがえない、きらびやかな、ある種アレ極まるイマジネーションがあるのです。

ふら〜りさん。
ありがとうございます。ディスクアニマルは…ちょっと犯人の事情で無理かもです。すみません。
あ、本当だ根来ちっとも喋ってない。主人公って設定なのに。でももうちょっとしたら色々喋り
ます。最後の方でも色々喋ります。彼のセリフは描いてて楽しい部分の一つですので。

126 :作者の都合により名無しです:2005/12/16(金) 22:40:52 ID:5w7y9aeA0
少し目を離すと、怒涛の如く作品が着ている事がありますなこのスレは。

>サナダムシさん
虎と加藤、意外に好いコンビですね。しかし、加藤は架空ファイターにすら金的か。
流石はバキ世界。でも、どれだけ強くなっても加藤は加藤なんですよねえ。
どうやってもバキどころか独歩にすら勝てそうも・・克巳くらいならなんとか?

>見てた人さん
個人的に最近最も期待してます。カイジの駆引きはレベル高いんで大変でしょうが、
成し遂げて下さい。犯人当て、推理ゲームの要素もあって楽しいですね。
絶望してぐにゃーとなるカイジを一度は見てみたい。そこから逆転が王道ですね。

>サマサさん
どんどんフィールドが増えていきますねえ。魔城ガッデムって元ネタあるのかな?
しかし、どんな時もこのチームは緊張感がありませんね。有事になれば別だけど。
城の中には、オドローム意外にも強敵がいそうですね。

>スターダストさん
ネウロも錬金も詳しくはありませんが、難事件を追う探偵と助手という感じが
ヒシヒシと伝わってきますね。今の所は千歳がリードしている感じですが、
やっぱり主役の根来が美味しい所を持っていきそうですね。良いコンビだ。





127 :ふら〜り:2005/12/16(金) 22:42:32 ID:iChobaGe0
>>見てた人さん
主人公カイジ、舞台かまいたち、敵コナン。この私の熟知作品がこんなに並ぶとは珍しい、
そして嬉しい! 精神力はともかく知力や応用力ならアカギにも負けてない? なカイジ
の活躍に期待。今のとこ「極限推理コロシアム」を彷彿とする展開ですがはたして……?

>>うみにんさん
出木杉を差し置いて、スネオが鋭いところを見せましたね。でも全然活躍にはなってない
ところが彼の限界なのか。あと、ネオアトランティスの科学力でタイムマシン開発に成功、
時空を越えてやってきたガーゴイル本人!(の部下?)だったらいいなぁ。正体や如何に?

>>サナダムシさん
こ、今度はリアルシャドー? 予想とは裏腹に、随分と順調にレベルアップしてるみたい
ですな加藤。試練終了の頃には、どこまで行き着いてるのやら。虎の活躍もあるとのこと
ですが、決して伝わることのないモノローグで加藤に……いやすみません妄想です、はい。

>>サマサさん
>「さんせーい」
>「異議なーし」
おぉ。ほんの一時とはいえ、ペコがチームリーダーしてる。良かったなぁ。ってそもそも
王様なんですよね彼は。困った芸風だ。ムウに突っ込まれてるドラですが、本来なら全能
に近いはずのドラが苦戦するのが、大長編の面白いところ。ムウよ、簡単にはいかないぞ。

>>スターダストさん
サスペンスものらしい聞き込み調査が続いてます。根来、喋って欲しいけど寡黙なところ
が魅力っちゃあ魅力で、ゆえに一言の重みが……すみません贅沢で。でも最後の一文は
何だか魅かれる。ブラックに楽しみ。あとイルカは鬱陶しく感じることの方が多いかも。

>>某スレ767さん
……………………え〜、その、すみません。でも一応、以前誰かさんに頂いたリクエスト
に応えてもおります(予定)ので。まだ少々先のこととなりますが、ご勘弁を。

128 :作者の都合により名無しです:2005/12/17(土) 00:02:41 ID:u593jSqo0
影抜忍者出歯亀ネゴロといい、殺人黙示録カマイタチといい、
俺の好きなミステリ風の作品が出てきて嬉しいなあ。

ネゴロは名コンビが事件をチェイスしていく感じでいいですな。
事件の解決もそうですが、2人の息の合わないコンビの妙も楽しめるますな。

カマイタチはひたすら暗くなってほしい。その中で機転で希望を見出すような
展開を希望。福本好きな俺は出だしからハラハラしてます。

しかし2人とも新人さんか。腕が立つなぁ。

129 :作者の都合により名無しです:2005/12/17(土) 10:48:58 ID:0fB9RQBQ0
>サマサ氏
敵陣突入とは思えないような能天気さですね。しかし、これがこのチームの強さか。
オドロームを倒した後はインフレの嵐になるのかな?もうネタキャラは少ないでしょうね。

>スターダスト氏
怨恨というのは確かにホムンクルスには薄い感情ですが、燃え上がる憎しみはその殻を
凌駕しかねませんね。極めて人間くさい理由だったら面白いなあ。まだ、核心は遠そうですね。

エクセルのイルカって変な質問に赤面するんですか。これマジ?



130 :25000代目パタリロ:2005/12/17(土) 22:00:38 ID:SKqPt6oo0
初めまして、25000代目パタリロです。
このサイトの小説などとても楽しんで読ませてもらっています。
特に今おもしろいと思っているのは「それゆけフリーザ野球軍」と
「のび太の超機神大戦」です。
私の名前以後お見知り置きを。

131 :作者の都合により名無しです:2005/12/17(土) 22:19:24 ID:u593jSqo0
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

2005年度SS大賞の投票を開催します。
投票対象はSS大賞、新人賞、各部門賞、キャラクター賞など。

投票期間:12月18日(日)0:00〜12月18日(日)23:00まで
※今夜0時から投票開始です!

投票したい方はこちらのスレへお越しください。
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1127044628/
投票要綱
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1127044628/787

みなさまの参加をお待ちしております。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


132 :作者の都合により名無しです:2005/12/17(土) 23:21:02 ID:wAuyG39y0
>>128
スターダスト氏と見える人氏は絶対、以前にどこかで何かを書いてたと思う
初めてにしちゃ2人とも文章うますぎ

133 :魔女 境:2005/12/18(日) 02:50:37 ID:4Tmo6Z2q0

 紀伊本谷書店前は『XBOX360』発売日並の行列が出来ていた。皆A5サイズの
薄い本を持って並んでいた。
「何人くらいですか?」
 控え室にいる女は店員と思しき女性に訊いた。
「50人近くはいますね」
「それって多いの?」
「漫画家さんとかだとほぼ毎回百人以上来ますけど、でも画家さんで五十人は今までに
なかったと思いますよ」
「まあ、画集は高いですからね」
 女はそう言った後、茶に刺さったストローに口をつけ一口飲んだ。


134 :魔女 境:2005/12/18(日) 02:51:16 ID:4Tmo6Z2q0

「えー。では、時間になりましたので始めさせていただきます」
 男性店員が大きな声で言うと、並ぶファン達は拍手した。
「処女作品集『うつろい』が大反響を呼んでいる新進気鋭の現役女子大生、高山樹さん
です。高山さんどうぞ」
 大きくなった拍手に歓声が混じった。ボルテージの上がる店内をゆっくりと高山は歩
いた。その姿からはある種の風格が漂っていた。
「はい、そこの机の椅子に座ってください。えー、では。まず最初に高山さんの簡単な
経歴をご紹介させていただこうと思います。高山さんは○○県○○市でお生まれになり
――」
「あ、すいませんちょっと待ってください」
 高山がそう言って男性店員の話を遮った。
「え?」
「皆さんに謝りたいことがあるんです」
「謝りたいこと、ですか?」
「ええ。すいません、いいでしょうか?」
 男性店員は少し戸惑っている様子で、どうぞと答えた。店内のファン達が少しざわつ
いた。
「それで謝りたいことというのは……」
「はい。私、経歴詐称してるんです。本当は、この町の出身なんですよ」
 ざわつきはさらに大きくなった。
「今までは訳あって隠していたのですが、地元でのサイン会なのだからここでばらして
しまおうかと」
「これは、初めての情報ですね、皆様……しかし、高山さんは高校は○○県ですよね?」
「はい。中学一年の途中まではこの町にいました。それからは皆さんがお知りになって
いる通りです。○○県○○市の中学校に転校して、××高校を出て、○×美大に進学。
そして現在もそこにお世話になってます」
「…私の口上が必要なくなってしまいました」
 男性店員はそう言って頭を掻いた。会場に少し笑いが起こった。


135 :魔女 境:2005/12/18(日) 02:52:25 ID:4Tmo6Z2q0

 高山のいる場所の真上に看板が掛けられている。『高山樹トークショー&サイン会』と
大きめのフォントで書かれていた。
 冒頭に少々ハプニングはあったものの、それからは順調に進んだ。
 男性店員は用意しておいた質問をし、高山は無難にそれに答えていった。
「画家を志したのはいつ頃からでしょう?」
「そうですね……私、下手だったんです。絵が。今だってうまいと言い切れる訳じゃない
ですけど」
「いえいえ、うまいですうまいです」
「褒められると本気にしちゃいますよ?(会場笑い)で、目指したのは中一の途中からで
すね」
「ちょうど転校の時期ですね」
「というか、転校する前の日です」
「何か人生を変えるような劇的な何かがあったのでしょうか?」
「はい。その日、私にとって素晴らしい人がなくなったんですよ。亡くなる直前に『君は
僕より絵の才能がある』って言われまして。実はその時は彼の作品を見たことがなかった
んですが」
「有名な方ですか?」
「あまり……でも、うちの美大では伝説の人物みたい。大学入ってその人の話を先生方に
したら、逸話がたくさん返ってきて凄く驚いたのを昨日のことのように思い出しますね」
「先生方は何と仰っていたのですか?」
「色々と凄すぎて、ここではちょっと言えないな……(笑いながら。会場も釣られて笑う)
ただ、凄い人です。有名じゃないのが不思議なくらいに。鋭い人だと、彼の絵を見たら心
が吸い取られてしまうんじゃないかなあ。それくらい、魔力のある絵を描く人です。見た
ければうちに来て下さい。彼からは『高山』ってPNをもらったんです」
「樹は本名でしたね」
「はい。男みたいな名前で嫌ですね」
「いや、そんなことは!(笑いながら)では、最後の質問いいですか」
「バッチ来い!」




136 :魔女 境:2005/12/18(日) 02:53:04 ID:4Tmo6Z2q0
「急にノリいいですね!」
「空元気です(会場笑い)」
「空でもなんでも元気があれば生きていけます。それました」
「時間押してますか?」
「少し」
「じゃあ、本題行きましょう」
「作家さんにそう言われると申し訳なくなりますね(会場笑い)では改めて。高山さんは
本当はこの町の出身ということですが、具体的にどの辺りに住んでらっしゃったのですか
?」
「あまり話の広がらなさそうな題ですね。というか始まってから考えました?」
「広がらないくらいでいいんですよ。今は仰る通り時間押してますし(会場笑い)」
「時間調整ですね。さすがベテラン!」
「打ち合わせと違ってすいません」
「いえいえ。さっさと答えましょう。この書店の近くですよ。凄く、近く」
「ほお」
「この書店、最近出来たんですよね?」
「六年前になりますね」
「私の住んでいた家はもう無くなっています」



137 :魔女 境:2005/12/18(日) 02:53:38 ID:4Tmo6Z2q0

 トークショーが終わり、今日のメインイベント・サイン会が始まった。
 ファンはこの書店で買った高山の処女作品を買い、それと引き換えに整理券を貰うとい
う方法で参加していた。サインは、本の表紙裏側にある白い部分に書いてもらう。
 高山はボールペンを手にして、次々とサインと短いコメントを書き込んでいった。
 その目は、本や机を通り越してさらに奥を見据えているようだった。
 トークショーの軽い雰囲気はどこかへ消え去っており、ファンは俄かに緊張感を帯びて
サインが終わるのを待っていた。
 コメントは、一人一人違っていた。内容はファンへのお礼などではなく、誰に向けてい
るのか分からない謎なものだった。しかし、高山は既に自分の世界に飛んでいるので、誰
も直接は何も言えなかった。
 やがて、全てが終わった。
「…ええと、私、書きながらあの世界に行っていました。皆さんとの交流をもっとしたか
ったけど、それだけ本気だったということです。コメントとか、意味不明だとは思うんで
すが、私の魂から直接捻りだしたものです。どうか大事にしてくださいね。オークション
に出されたら泣きますよ(会場少し笑う)あと、お礼言う余裕もなかったんですが、差し
入れくれた方どうもです。本とか人形とか……大事にします」
「さて。大変残念ですが、時間も迫りつつありますので、そろそろお開きとなってしまい
ます。高山さん、何か言い残したことはないですか?」
「…コメントには、魔力を込めたつもりです。それを感じられた人は、違う世界を覗く素
養を持ってるかも? すいません意味分かりませんねごめんなさいね」
「では、これにて終了です」


138 :魔女 境:2005/12/18(日) 03:09:23 ID:4Tmo6Z2q0
 母さん、コメント読んだ?
 彼岸からでも読めるようにしたつもりだけど……届いてると、いいな。
 紀伊本谷、私の家の上に建ってた。
 聞いたよ。叔母さんから。もう一人のお母さんから――
 ――そう呼べるようになったのは、つい最近だけど。
 お母さんは、叔母さんと間違えて殺された。
 叔母さんが救った人に、人違いで殺された、って。
 叔母さんに助けられた人は、この町にもたくさんいて。
 町の皆で、うちの家族を守る団体を作ってくれた。
 高山さんを殺したあの人達は、勿論今でも許せない。
 でもあの人達もあの人達なりの正義で動いていたというのも、事実として認識しなくちゃ
ならないのよね。
 許せないけど。
 ――私も、叔母さんと同じで、二十を超えたくらいから境には行けなくなってた。だけど、
私は境をこの世界にいながら眺めることができるようになったの。
 境の先は見れないけれど、いつか見れるようになりたいな。
 そうしたら、お母さんも、高山さんも、見れるようになる。
 もし見れるようになったら、私毎日そっちに言葉を送るよ。
 文字に魔力さえ込めれば、彼岸まで届く。と思う。
 見たら、それを見て笑ってね。
 笑ってくれれば、ああ、読めてるんだな――って分かる。
 高山さんにも教えてあげて。面識あるのかは、分からないけれど……
 でも、お母さんは叔母さんとそっくりだったから、きっと高山さんは反応してるわ。
 もしかしたら、もう会ってて、お付き合いとかしてたりしてね。
 そうなら、素敵なことだね。
 高山さん、叔母さんを愛していたから。言葉は濁してたけど、絶対そう!
 ――お母さん。
 あと何十年かしたら、そっちに行くから。
 そしたらお茶でも飲もうね。
 あと、絵も描いてあげる。
 彼岸と、そこに佇むお母さんを。
 さらにきれいに描いてあげるから、楽しみにしててよね。

139 :魔女 境:2005/12/18(日) 03:09:59 ID:4Tmo6Z2q0

 樹は、墓の前から立ち上がった。
「お彼岸のころ、また来るね」 
 そしてそれから、一度も振り返らずに去って行った。



140 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/12/18(日) 03:11:29 ID:4Tmo6Z2q0
少しはみ出ましたが……『境』完結です。次回『奇跡の血量』(タイトルは予定)をお楽しみに。

最近、新都社(と言ってもサイト名で会社名ではありません)というところで書いてます。
VIP系のサイトなんですが、僕自身はVIPあまり知りません(あるスレのリンクで知った)。
書いてるのはオリジナル作品なので、ここで言うのはちょっと違うかな、とは思うんですが一応。
正直、『魔女』も『茄子』もほとんどオリジナルなんですけどね。原作と全然違うので……
ちなみに向こうでのPNは『藤沢』です。暇なら読んでやって下さい。『新都社』で検索すれば出ま
すので。

前スレ>>491
まあ、ベタといえばベタなラストではないでしょうか。高山の人生をなぞる感じで。

>>493
影響って自分ではあまり分からないんですよね。でも受けててもおかしくはないとは思いますが。
三冊くらい読みましたから。

>>495
ああ、そうですね。今回は「見る」話でしたから。蟲師と共通するテーマではありますね。
最初はこんな展開は考えていなかったんですが、これでよかったと思います。たまにはこういう
話もやらないと。

>>4
作者としては、明るい終わり方にしたつもりです。皆様の反応を楽しみにしています。
茄子も実は暗い話が多いんですが、文章の雰囲気かな……

>>22
『境』はこれで終わります。よければ次の『魔女』も読んでやって下さいね。
次はちょっと怪しい設定の話です。

では次回。

141 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/18(日) 11:04:06 ID:OYN6Tc0C0
scene5 伊藤開司【三】
 
 ホールの照明がすべて落ちたのは、カイジが玄関口から入ってすぐのことだった。
 続いて、がたり、と何かが動く音。ホールにいる皆が一斉に、音のした方向――舞台を注視するのが気配で感じられた。
 舞台がライトアップされ、奇怪な姿の男(体格から察するに、おそらく男性なのだろう)が悠然とした足取りでその中央に立った。
 顔全体を覆う、白い仮面。喪服にも似たデザインの、黒いスーツ。右手に握られたステッキ。
 彼は深々と頭を下げ、ボイス・チェンジャーでも使ったようなひっくり返った声でしゃべり始めた。
「皆様、お忙しい中、当イベントに参加下さいまして誠にありがとうございます。わたくし、案内役を勤めさせて頂きますテラーと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
 テラーと名乗った案内人は再び、深々と頭を下げる。異様な格好の案内人登場に一瞬だけ静まり返った会場だったが、すぐにまばらな拍手が聞こえ始めた。
 テラーはセッティングされたマイクの位置を直すと、参加者達を見回した。表情のない仮面が、左右に揺れる。
 黒いスーツは舞台の闇に紛れてしまい、まるで仮面だけが、ふわふわと宙に浮いているように見えた。
「……お揃いのようですね。では、これより行われますゲームのルールですが……概要については、電話口で伝えたものを覚えておられる方が殆どかと思いますが、重要な事柄ですので、確認の意味も含め、改めて詳しく説明をさせていただきます。ご了承ください」
 スーツの胸ポケットから紙片を取り出し、片手で器用に開く。
「本ゲームは帝愛グループ主催の『フーダニットゲーム』です。犯人当て、という訳ですね。参加者の方はスケジュールに従って行動し、その中で各自、与えられた役割、ロールのほうを演じて頂きます。
最初に勝利条件を満たした方……優勝者には賞金一億円が送られます。ここまでよろしいでしょうか」
 会場が、少しざわめいた。このゲームがただのお遊びではなく、多額の賞金がかかっている――その事実を再確認するように。
「さて、お次はお手元の封筒と、ロール・カードに関する説明です」
 その声に促されるようにして、カイジは改めて、手にした茶封筒を見る。封筒には『NO.4 伊藤開司』との刻印があった。
 ナンバー・フォー……死のナンバー。縁起のいい数字ではない。頭をもたげる不吉な連想を断ち切るように首を振る。
「この封筒の中には各々の役割を示すロール・カードが入っています。役割、と言っても単純明快、『探偵』と『犯人』のたった二種類でございます。
『探偵』はこの中に探偵のふりをして一人潜んでいる『犯人』を発見し、一度だけ告発するチャンスがあります。
見事犯人を確保し、その人物が犯人であるという事実を何らかの証拠を提示して証明できればその時点で勝利です。
逆に、告発した犯人が間違っていたり、証明が不十分だった場合はその時点で即ゲーム脱落となります。当てずっぽうは許されない、と言うことですね。
『犯人』は探偵の中に紛れ込み、何食わぬ顔でスケジュールをこなし、周到な計画のもと、ささやかな事件を起こします。
事件の犯人が自分である事と、その証拠を最後まで隠し通し、ゲーム終了時刻である三日目夜を迎えた場合、犯人の勝利となります。
参加者全員を欺かなければなりませんので、一番面白く、そして難しい役回りと言えるでしょう。
まとめますと、探偵の勝利条件は犯人を確保し、状況証拠、または物的証拠を以って告発する事。
敗北条件は他の探偵に先に真相を看破される、もしくは告発した人間が犯人ではないか、犯人であるが証拠不十分とみなされた場合です。
犯人の勝利条件はゲーム終了時の三日目夜まで、探偵に決定的証拠を握られず、告発されなかった場合。
敗北条件は探偵の告発を受け、身柄を拘束されてしまい、証拠も十分だった場合となります。
尚、封筒はゲーム決着の合図があるまで決して開封してはいけません。いかなる理由があろうとも、開封した時点でゲーム放棄とみなし、失格となりますのでご注意ください」
 そこまで喋ると、テラーは紙片に落としていた視線を上げる。

142 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/18(日) 11:05:47 ID:OYN6Tc0C0
「何か、質問はございますでしょうか」
「ええっと、一ついいかしら」
 真っ先に挙手したのは、細く吊り上った目をした、少々きつそうな印象の女性だった。胸元に留められたプレートには『NO.3 香坂まどか』と記されている。
「何でしょうか」
「『犯人』の事なんですが……犯人はゲーム終了時刻、三日目夜まで逃げ切れば勝利との説明でしたけれど、正確には何時まで逃げ切れば勝ちになるんですか?」
「確かに、まだご説明していませんでしたね。言葉足らずだったようで申し訳ありません。
三日目、皆様が今いらっしゃるホールの時計が午後十時を指した時点でゲームセットとさせていただきます。
探偵にとってのタイムリミット、犯人にとっての時効は『三日目午後十時』となります」
「なるほど、わかりました」
 そう言って香坂さんは、眉間に人差し指と中指を当てた。どことなく、男性的な仕草だった。
「俺からも質問、いいかな」
 間髪入れず手を挙げたのは、童顔に無造作ヘアー、グレーのスーツという出で立ちの、何ともアンバランスな若者だった。
 年の頃は、高校生ぐらいだろうか。プレートには『NO.5 小此木秀平』と記されている。
「ロール・カードが入った封筒を開封してはいけないってことらしいが……ゲームの途中、自分で自分のロールを再確認することもできないのか?」
「はい。ロールは各人、電話でお伝えしました通りですとしか、今は申し上げられません。ちなみに開封禁止のルールは、不正防止の為でもありますので、どうかご了承を」
「……不正? なんだそりゃ」
 ちゃんと説明してくれ、と言いたげに小此木は眉を顰める。年齢の割には、随分と尊大な態度だった。
「例えばですね、犯人がわざと探偵に指名させて賞金を山分けにしたり、探偵がお互いに探偵だということをばらして協力して他の参加者を監視する……そういった類の不正です。
『私が犯人だから指名してください』と言ったところで、それは探偵がライバルを蹴落とす策かもしれない。『俺は探偵だから一緒に捜査しよう』と言ったところで、その人物こそが犯人かもしれない。
『互いの潔白をゲーム終了まで証明できない』という状況こそが、このゲーム、最大の肝なのです」
「なるほどね。『自分の役割を証明する手段は、カードだけ。しかし、そのカードを見せた瞬間、ゲームから脱落する』と、そう言う仕組みか。よく出来てるじゃないか」
 小此木は、感心したように大きく頷いた。
「その通りです。言うまでもないかと思いますが、賞金を獲得する権利のある他人の封筒を勝手に開封した方も、即刻失格となります。くれぐれもご注意を」

143 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/18(日) 11:07:42 ID:OYN6Tc0C0
 しかし、カイジは今のやり取りにちょっとした疑問を覚えていた。
 それは、カイジと同じ『探偵』のロールを持つ人間なら、少なからず感じるであろう疑問。
 そう。電話でロールを知らされる、と言う事に何ら問題はない。
 現にカイジもそうだった。参加NO4.伊藤開司さんのロールは『探偵』です、くれぐれも忘れないでください――電話口で、何度も確認された。
 しかし、本当にそれだけなのだろうか。犯人はテラー曰く『周到な計画のもと』事件を起こすそうだ。
 当然犯人は探偵と違い、打ち合わせがいる。周到な計画とやらが、電話越しに交わされる口約束のような会話で全て済んでしまうものとは考えにくい。
 それでは、あまりにも杜撰だ。すると犯人は、犯行計画書のような書類を別途所持しているのではないだろうか?
 主催者側から、犯人への指示の欠如。ここに集まっている人間は、そんな事に気付かないほど鈍くはない筈だ。
 多分皆、待っているのだ。それに気付きながら、自分以外の誰かが質問するのを。お互いに表情を伺い、牽制しあいながら。
 探偵は、躊躇なく手を挙げる自分以外の『探偵の可能性が高いであろう人物』を確認する為に。
 刹那、静電気にびくりと身体を震わせるような、ぴりぴりした緊張がホールを走ったように感じた。
 もうこの時から、いや、もしかしたら。テラーと名乗る仮面の案内人が舞台に立ったその瞬間から、既にゲーム開始のゴングは鳴らされていたのかもしれない。

144 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/18(日) 11:08:33 ID:OYN6Tc0C0
「あー、なんていうか、質問いいっすかー」
 沈黙を破ったのは、場にそぐわない間延びした声だった。張り詰めていた空気が、その一言で一気に弛緩してゆくのがわかった。
 それぞれ、出鼻を挫かれた、或いは興を削がれたとでも言いたそうな複雑な表情を浮かべながら、そちらに注目した。
 視線の先で、水面下の心理戦など意に介さないとでもいった様子の、能天気そうな体格のいい大男が手を挙げていた。
 ネームプレートには『NO.6 玉崎真吾』と書かれている。
「はい、どうぞ」
「それぞれが自分のロールを確認する機会は、参加の時の電話でのやりとりとゲーム終了時だけなんすよね?」
「ええ、基本的にそういう事になっています」
 どこか引っ掛かる言い回しだった。暗に例外がある、と示唆しているような台詞だ。
「犯人はそれだけでやるんすか?」
「それだけ、とは?」
「犯人は、その、なんすか、事件の台本みたいなもんは持ってないんすか……って事です」
 数秒の沈黙。
「……それは、都合によりお教えできません。犯人である方だけが知っている極秘事項としておいてください」
「む、そうっすか」
「他には、何かありますでしょうか」
 もう、挙手する人はいなかった。テラーはしばしホール内を見回してから、言葉を続ける。
「それでは、数十分の自由時間の後、夕食をお召し上がりになっていただき、部屋の鍵をお渡しして、今日は解散となります。明日からは、スケジュール通りの進行とさせていただきます」
 テラーが左手を挙げ、合図を送ると、舞台袖から女性が姿をあらわした。
 玄関口でカイジにネームプレートを付け、封筒を渡したあの女性である。
「えっと、三日間皆様のお世話をさせて頂く、ハネダユカリです。何か御用などありましたら、遠慮なくお申し付けください」
 そう言って、ぺこりと頭を下げると、また慌しく舞台袖へと姿を消した。
「それでは、お飲み物と前菜代わりの軽食を用意しておきましたので、しばしの間、ご歓談を。
ないとは思いますが、何か緊急を要する、または不足の事態がありましたら、ハネダではなく、私、テラーの居るオーナー控え室までお願いします」
 テラーは一歩下がり、左手を腹部に添えて大袈裟にお辞儀をすると、ハネダの後を追うように、舞台袖へと去って行った。

145 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2005/12/18(日) 11:09:49 ID:OYN6Tc0C0
三回目の投下です。ようやく話が動き始めました。
長い台詞のせいで初めて掲示板で「長すぎる行があります」のエラーを見ました……
その場で改行を修正したため、多少不自然で、見辛いかもしれません。ごめんなさい。

レスくれた方、ありがとうございます。励みになります。
・ライアーゲーム
ライアーゲームって知らなかったので何かな、と思い調べてみました。
なんとも面白い設定ですね。粗筋を見ただけで読みたくなりました。機会があったらコミックス買ってみます。
・駆け引きについて
うーむ。私の脳味噌では……難儀しそうです。
しかし「駆け引き」や「疑心暗鬼」って、甘美な響きなのですよね。つい手を出してみたくなるような。
・極限推理コロシアム
未読です。が、設定だけは知っています。
実に私(作者)好みの設定……! このSSも、もしかしたら似たような味付けになるかもしれません。
あくまで即興なので、似せられるのは雰囲気だけですが。
・展開について
八方塞の中、ワンアイデアで活路を切り開くのは格好いいですからね。
ぐにゃ〜からの逆転も含め、できればやりたいです。ええ。

146 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 11:26:47 ID:jXDssvY00
>ゲロ様
ああ、最初ののんびりとした感じから急に樹がデンパになる転調がいいなあ。
予想していたラストより明るかったけど、どこか陰鬱な部分が見え隠れしてて。
なんか彼女が「一生引きずる」って感じがありますね。高山の影を。

>『XBOX360』発売日並の行列が出来ていた
嘘をついてはいけないw新発売キャンペーンスタッフの方が客より多かったw


>見てた人
なんか、実際にカイジとかで使えそうな、本格的なゲームですね。
正直、もっと手軽な感じのゲーム内容になるかと思ったので良い意味で裏切られた。
質問の中でも、さりげなく人物紹介したりしてうまい。脱帽です。

>ライアーゲーム
今のカイジよりは面白いですよ。ジャンケンには叶わないと思いますが。
でも、一巻はどうかな。面白くなるのは「少数決」からですから。


147 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 12:59:15 ID:pOCHKL8KO
このスレ最高!俺も受験終わったら書いてみようかな

148 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 15:36:31 ID:1YYwjmTF0
>魔女 境
今回の話、良作揃いのゲロさんの短編集の中でも上の部類だと思います。
一見明るい樹の中にある、「危うさ」と「狂」みたいなものが。
最後のレス(お母さんへの言葉)爽やかな終わり方だけど、内実は怖い。

>殺人黙示録カマイタチ
正直、最初は「カイジをSSで出来るのかよ」と思ってました。すみません。
今回のメンバーの質問と今までのルール立てで、見てた人さんの本気を感じました。
今までに無い心理戦のSSになりそうで、本当に楽しみです。

>>147
頑張って下さい。受験、うまくいくといいですね。

149 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 15:45:46 ID:+slAby3P0
>>145
読んでて情景がすいすいと浮かびます。
のみならず、こう、かなり作りこまれた感じが期待大です。

改行ですが、テキストエディタを使ってみてはどうでしょう。

ttp://www.forest.impress.co.jp/lib/offc/document/txteditor/

メモ帳でもある程度は修正できますし、フリーメールに打ち込んでみて
自分に送る事でも確認はできるかも。

150 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 17:11:36 ID:9da2AIf50
ゲロ氏、本当にネタが尽きないなあ。
ここ以外でも書いてるとは。
新都社見てきたよ。
成る程、ゲロさんテイストたっぷりだ。

>>147
がんがれ

151 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/18(日) 18:51:18 ID:QRIrT7Ua0
>>107より。

152 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/18(日) 18:52:29 ID:QRIrT7Ua0
 昼もまた、刺客が訪れる。
 前方から下半身へ、並々ならぬ重圧を受け取った加藤。
「タックルか!」すかさず重心を落とし、タックルを横へ捌き、どうにか捌き切る。
 まだ対戦相手は可視できない。
「いきなりタックルとは……レスリング系か」
 すると、大外れだといわんばかりに、閃光にも似た連打が叩き込まれる。タックル攻勢
を予想していた加藤は、面白いように何発ももらってしまう。
「チャリアッ!」ミドルキックで起死回生を図るも、まだ敵をイメージできていないので
触れられない。「くそっ」
 敵がどこにいて、なにをするか分からぬ今の状況では、ひたすら動きまくるしか手はな
い。空手で鍛えた脚力を活かし、フットワークで時間を稼ぐ。
 タックルによる圧力、拳打の重さから、サイズはなんとなく把握できた。百九十センチ、
百キロ以上、体格で競っては不利だ。また組み技も打撃もできるとなると、敵はいわゆる
“総合”に生きる者であろう。
 ──もう少し、情報が欲しい。
 フットワークを止め、加藤はあえて的となる。
「来やがれッ!」来た。
 首が、大蛇にでも巻きつかれたように締められる。フロントネックロック。
 特別な技ではない。普段ならば、急所を殴って怯んだところを脱出するだろう。が、イ
メージが完璧でないので、こちらから攻撃はできない。失神しないよう耐えるしかない。
 眠りたがっている己の脳みそを説得しながら、加藤は敵をイメージする。
 三十代前半。レスリングは中学時代からたしなんでおり、ボクシングはせいぜい二年程
度といったところ。前科もある。フロリダでは札つきのごろつきだった。
「よしっ、イメージ完了だ!」
 左拳で、膝を打つ。腰が入らぬ体勢からにもかかわらず、皿が粉砕された。
「ノォッ!」締め技から解放された。もはや敵は手中。
 皿が砕けた膝を、ローで追い討ち。前方へ倒れ込む刺客へ、アッパーを打ち込む。これ
が決まり手となり、刺客は雲散霧消した。

153 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/18(日) 18:55:27 ID:QRIrT7Ua0
「疲れた……」
 日没を見届けつつ、ぼそりと呟く。
 常時リアルシャドーにつけ狙われるという、信じがたい怪奇現象。しかも、彼らは現実
世界へ引きずり込まない限り、絶対に倒せない。
 虎よりは戦力で劣るも、精神的疲労という点では格段に虎よりもつらい。
「明日からずっと、あんなのとつき合ってくのかよ」
 手一杯に砂ですくい、海へ投げる。砂は気まぐれに、潮風に流されて四散していった。
「ふぅ」と、ため息。すると、背中をつんざくような激痛が襲った。「ぐあっ!」
 脊柱を横断するように、背を斜めに切り裂かれた。刃物でなく、爪だ。
「ト、トラ公ッ! て、てめぇ」
 いや、虎ではない。虎はさっき狩りに出かけており、今はいない。
「ってこたぁ」立ち上がりながら、加藤は悟る。「まさか」
 リアルシャドー、猛獣バージョン。どんな姿形かは分からないが、鋭い爪を使役する野
獣がたしかにいる。架空世界から、存分に猛威を振るってくる。
「ざけんな、クソッ」
 加藤には、動物の知識などほとんどない。いくらイメージしたくても、まるで映像にな
らない。もしマイナーな動物だったら、八方塞がり。手の打ちようがない。
 まず、右上腕を噛みつかれた。虎よりは小さいが、咬筋力は充分。無理に引きはがせば、
肉をごそっと持っていかれてしまう。
「くそぉ、てめぇはだれだァ!」
 どんなに拳を振るっても、効果はない。が、たしかに相手はいる。試練初日にして、絶
体絶命。見えぬ牙が、肉に侵入する。
「ガアァァァッ!」
 突然、咆哮が出現した。
 虎は加藤に喰いついている透明な野獣へ、体当たりを浴びせた。途端、腕から牙が取れ
る。吹き飛ばしたのだ。
「トラ公ッ!」虎は何者かとしばらく取っ組み合いをしていたが、やがて収まった。無事、
勝利したようだ。「ふん、やるじゃねぇか」

154 :やさぐれ獅子 〜六日目〜:2005/12/18(日) 18:56:57 ID:QRIrT7Ua0
 日が沈むと、柔らかな星明りだけが頼りになる。
 のんびり丸まっている虎と、横で寝そべりながら果実をかじる加藤。
「今日はてめぇのおかげで、助かっちまったな」
 無人島生活を始めた当初は、最大の敵だった虎。それが今では、ともに試練を生き抜く
相棒となっている。奇縁、とでも称すべきか。
 ぺろぺろと口周りをなめる虎。こうして改めて虎を眺めると、案外かわいらしい。ただ、
仕方なかったとはいえ潰れた左眼がどうにも痛々しい。
「館長は右眼だったっけな……」
 未だに脳裏に深く焼きついている、愚地独歩と範馬勇次郎の果し合い。絶技と暴力が乱
れ飛ぶ、地下闘技場でもトップクラスであろう激突であった。結果として、愚地独歩は敗
北したが……。
 この時、加藤は閃く。
「おい、トラ公」
 丸まったまま、虎が振り向く。
「いつまでも“トラ公”ってのもうっとうしいからな。いいかよく聞け、明日からおめぇ
は“ドッポ”って呼ぶ。館長も片目がねぇし、虎って繋がりもあるしな」
 少し赤面しながら、加藤が熱弁する。が、虎はきょとんとした表情をするだけ。
「まぁいいや……寝よ」

155 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/18(日) 19:06:00 ID:QRIrT7Ua0
六日目終了です。
次回から虎は“ドッポ”と表記。

あと、リアルシャドーについて少し説明を。
・リアルシャドーは最初は透明。
・リアルシャドーからは加藤に触れられるが、リアルシャドーには触れられない。
・加藤がリアルシャドーに触れるためには、相手の攻撃から敵をイメージし、
敵リアルシャドーと加藤のイメージとがほぼ一致しなければならない。
(適当にイメージしてもダメ)
・イメージが一致すればするほど、リアルシャドーは鮮明に浮かび上がってくる。
・見事具現化できれば、普通の人間と変わらない。
・リアルシャドーは敗北(失神、死、心折れ)したら、消える。

156 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 21:09:20 ID:VI+OZEev0
もはやリアルシャドーというよりスタンド攻撃ですなw
しかし、加藤は自分の師を虎につけて、ドッポと呼び捨てにするのか。
独歩が聞いたら加藤を半殺しにしてしまいそうだ。

157 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 22:33:41 ID:gjVmAwRo0
潜【ひそむ】
俺はホムンクルスだ。
妄想とかじゃなく、本当だ。変身できるし、それっぽい「習性」も持っている。
そして今日も今日とて朝礼はスルー! 麻生部長がどうとかいっていたけど、俺が殺したって
分かってるから、聞く必要ない。火炎鼓を買うかどうか一生懸命考えていた。
あれは叩いて遊べるおもちゃだ。銀成って街にアリバイ作りに行ったときに2割引で売ってる
のを見つけたんだ。
しかしどうも今月は県民税を払ったせいで火炎鼓は買えそうにない。ああ、社会というのはど
うして俺の夢を搾取したがるのか。食玩のオマケでしばらくガマンするけどさ。
で、今日、根来さんと千歳さんという二人の新入社員がやってきた。
ひょっとしたら朝礼の時にいってたかも知れないけど、俺が知ったのは朝礼終わってすぐ後。
彼らの、やけに口数と表情が少ない自己紹介の時だった。
それが終わると、周りから「事務処理のプロ」とか勝手に称されている俺は、二人の面倒を
見るコトになった。
そういう、俺の仕事の手を止めるような指示って普段は嫌で嫌で仕方ないけど、わりとすんな
りこなせた。部長を食べて、俺に備わっている「習性」もちゃんと満たしたから、栄養が全身に
みなぎっているんだろうか?
とりあえず、伝票処理を請け負うコトになった千歳さんに、それが製造と間接的に関わっている
経費の集計に必要なものだとか、俺はかなり詳しく説明してあげた。
俺が覚えてる限りだと、集計したもろもろの費用は最終的に、原価に乗せられる。
で、原価というのは材料費、労務費、経費の三つで構成されてて、それらの原価との関わり
具合によって更に製造直接費と製造間接費の二つに分けられる。つまり原価は主に

直接材料費 直接労務費 直接経費
間接材料費 間接労務費 間接経費

の6つに大別できるんだ。
例えば、ディスクアニマル。略すとDA。これは半透明の緑とか赤とかのプラスチックとネジと
シールと、あと顔に貼られた黒いシールで作られているけど、半透明のプラスチックは
直接材料費で、それ以外は間接材料費になる。
ちなみに事務員の給料は間接労務費だ。電気代は間接経費。

158 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/18(日) 22:34:46 ID:gjVmAwRo0
ハンバーガーなら、パンが直接材料費でケチャップが間接材料費。
そういう決まりがあるんだ。
もっというと、ネジを締めるドライバーも間接材料費になる。正しくは、「消耗工具器具備品費」ね。
もしこのドライバーが、一年以上使えて値段も十万円以上するなら「備品」になる。
備品はパソコンとかと同じ固定資産だから、毎期末に減価償却をしたりする。
ともかく、間接費はきちんとメモって、原価に振り分けなきゃならない。
極小ネジの購入費用が総額で40万で、それをリョクオオザル全体の原価に乗せたいなら
40万 ÷ ネジの総量 × 2本(一個あたりの使用数)×リョクオオザルの生産台数 
で求められる。一個あたり間接費が何円乗るか求めたいなら、生産台数を掛けなきゃいい。
と俺は千歳さんに説明しておいた。
そう。誰かに仕事を任せる時は、理由と必要性と、作業の内容を説明すべきなんだ。
少なくても俺はそうしてもらわないと、速く正しいやり方を考えられないから、大事だ。
時間がかかりもするけど、後で何回も質問されるコトを思えば、しておくべきだ。
……ただ、俺は元気すぎていらんコトを喋ってしまったかも知れない。
普段は原価なんて知らんフリをして、伝票を処理する時はわざと他人に聞いて回っているんだ。
そういうのが得意ってバレると、押し付けられるから。
あまり知識をひけらかすのって、良くないよね。嫌な感じだって、怒られるよね。
でも千歳さんはひどく感心していたから、とりあえず「あ、いや、亡くなった麻生部長の受け売
りですよ」と笑ってごまかしておいた。
それから根来さんにパソコンの説明をしようとしたら、彼は俺を見てひどく恐い顔をしていた。
きっと、俺の勝手な説明で待たされたのが気に入らなかったのだろう。
謝ったけど、彼はどうも人当たりが悪そうだから、これがしこりになって俺が残業する元にな
ったら嫌だなぁ。…驚いているようにも見えたけど、好意とか寄せられたら嫌だなぁ。
あのマフラーは格好良かったけど。あれつけておもちゃ振ったら、すっごく燃えそう。
あ、お昼のチャイムが鳴った。ここから30分ほどいかにも仕事に手間取ってますって顔をし
てから食堂に行くのがミソだ。ホントはすぐに終わるけど、優秀だと思われたら損だから。

159 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/18(日) 22:36:14 ID:gjVmAwRo0
豆【とうふ】
勤務初日というコトで、千歳はチャイムと同時に食事をするよう他の社員から促された。
不慣れな仕事に対する疲れを気遣っているのだろう。
千歳はとりあえず承諾した。高峰への聴取は午後でもいいだろう。
雛咲という女性事務員に先導され、まず、ロッカールームで弁当の包みを取り出した。
そして雛咲は千歳を食堂に案内すると、「仕事がまだありますので」と事務所に戻った。
いきおい、千歳は一人で食堂で入るコトになったのだが、いつの間に来ていたのか。
食堂の端に根来がいた。
もちろん彼らしく、部屋の中で一番日光が当たらない場所に一人でいる。
そして小鉢を前に置き、中にある何かをつついている。
千歳は一瞬、その美貌に戸惑いを浮かべたが、すぐに歩みを進めた。
ドアから根来までの距離は、歩数にして大体20ほど。
イスの林の中で近づきつつある足音に、鋭すぎる聴覚を持つ根来が気づいていないハズは
ないのだが、しかし彼は一瞥もくれず膳をつつくのに没頭している。
それは、千歳が彼のすぐ横で立ち止まっても変わらなかった。
「横、いいかしら」
「席は他にも空いているだろう」
ただ独り言のように根来は答えた。
事実、食堂はまだがらんとしている。原因は休憩時間のズレにあるのだ。
根来たちのような事務員ならば正午からの休憩になるが、工場内でDAを作っている従業員
たちはだいたい午後一時からの休憩となる。また事務員でもいろいろ忙しく、正午すぐから
休憩というのは稀である。
なので、食堂に人影はまばら。座る場所は根来の言う通り、他にも空いている。
もっとも、空いているから他の所へ座れといいたいのか、ただ事実だけを告げているのか。
少なげな言葉では判じがたい。
ただ根来は千歳に目もくれず、忙しく箸を動かしている。
何に対してそうしてるのかと千歳がみれば、それは豆腐だった。
ネギとかつおぶしと生姜がまぶされた冷奴。100円の食券で買える冷奴。
大人の中指ほどの高さの白い小鉢の中にあるそれを、根来はさきほどより、無表情でちょん
ちょんとつついている。
よくよくみると、ただつついているのではなく、彼なりの決まりに則って崩しているのが窺えた。

160 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/18(日) 22:37:54 ID:gjVmAwRo0
よくよくみると、ただつついているのではなく、彼なりの決まりに則って崩しているらしい。
豆腐はすでに、上から半分までが削られている。ただし、どういう工夫をしたのか、本来豆腐の
上に乗っている生姜やネギが、まるでだるま落としにでもあったように、元の姿のままで削ら
れた部分に乗っている。
そして小鉢の内側の間には、ほぼ1cm角の白くぬらりと光る立方体が残り少なく並んでい
て、根来がどういう食べ方をしたか、ひどく想像しやすい。
ともかく、千歳は座った。

千歳と根来の関係といえば、「同じ組織にいる」だけの希薄なものであり、親交はない。
共に一時期、再殺部隊という極めて小規模なグループへ属していたが、それでも会話らしい
会話は特になかった。
だが千歳は、電車の件以来、根来に興味がある。
もとより憧憬に似た感情がなかったワケではないが、今は多少の親近感が混じっている。
無表情と冷然が基本の二人だからこそ、その根幹が全く同じかどうか、知りたいのだ。
千歳の場合は、今でこそクールに見られ、彼女自身もそうあろうと務めてはいるが、奥底で
は時々、まだ涙を流せた頃の瑞々しい情感が首をもたげるコトがある。
たいていの場合はやはりというべきか、子供が関わるコトだ。
例えば、電車の中で子供を見た時。
例えば、防人の武藤カズキという少年に対する一挙手一投足。
例えば、自分が遠因となった惨劇をただ一人生き延びた津村斗貴子の未来。
それらを思うたびに、心はしっとりと濡れ、無表情ながらに突き動かされる。
千歳のそういう内面は、彼女と過去を共有している防人や照星や、火渡以外では、知る者は
いないだろう。
果たして、根来はどうなのか。
同じような情感を内に秘めているか、千歳は非常に興味がある。
電車で子供に席を譲ったのは本当に下準備を優先したからなのか、それとも外見からは伺
い知るコトのできない親切心がさせたのか。それを知りたい。
知ってどうなるか。分からないが、人間が人間に抱く好奇心というのは結局、突き詰めてしま
えばそういう分かり辛いモヤモヤが原動力になっていて、様々な関係を形成していくのだろう。
寡黙な千歳は、とりあえず手近な話題を選択した。

161 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/18(日) 22:39:12 ID:gjVmAwRo0
「差し出がましいようだけど」
「何だ」
根来は箸先にぐぐっと力を込めた。豆腐は真っ二つになり、薄黒いしょう油が裂け目から見えた。
「もっと食べた方が。それだけじゃ──…」
どうも千歳のみたところ、根来の食事風景は貧相すぎる。
入院中の防人でも、もっと豪勢な食事を摂っているのだ。時おりフラリと病院を抜け出しては
馴染みのハンバーガーショップでこっそり色々食べて、医者に怒られたりしていたりもする。
戦士長だった頃は力強く若い戦士を導いていた防人だが、一歩戦いを離れればすぐ上記の
ような馬鹿げたコトをやらかす所がある。
良くいえば、力の抜き方を知っている。悪くいえば、子供っぽい。
しかし悪くいった所で、それが結局、彼へのとっつきやすさとか可愛げとか、そういう美点に
変わってしまう。もし千歳が仮に、「馬鹿げたコト」の後始末をさせられたら、怒るどころか、普
通の男女の関係をふと感じてしまいそうな人徳が防人にはある。
もっとも、根来にはそれら全てがない。
「足りる。豆腐には滋養があるのだ。加えて、私の担当は座り仕事で、体を動かさない。多く食べ
る方が悪かろう」
相変わらず手短で機械的な調子で、人間的な情緒が感じられない。
食事に対する考えは、楽しむというよりは車にガソリンを入れるような感覚があるのだろうか。
その辺りを突っ込めば、「人間は養分を取らねば死ぬのだ。だから食べている」と、ごく当た
り前だが、原始的で面白みのないコトを根来は無表情で答えるだろう。
朱塗りの箸が、割れた豆腐の片方を規則正しく解体し始めた。
手つきは慣れたもので、瞬く間に豆腐は角砂糖のような形に分解され、浅いしょう油の池に
くずおれた。外周にこぼれた生姜のツンとした匂いが千歳の鼻をつき、空腹感が促される。
「更に──…」
「更に?」
根来は箸を置き、厨房の方へ歩いた。調理員との必要最低限のやり取りが千歳の耳に届き、
やがて根来は、ほかほかのごはん入りの茶碗を持って戻ってきた。厨房近くにある食券の
自販機に目もくれなかった所を見ると、豆腐用の食券を買ったときにごはんのそれも購入し
ていたのだろう。
「一応、私は米も食べる」
茶碗を机に置くと、根来は崩した豆腐をドバっとかけた。

162 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/18(日) 22:49:40 ID:gjVmAwRo0
個人的には今回は書きたかった部分の一つですが……いいんだろうか。
いや、判断は読まれる方に一任しますが……いいんだろうか。
日本昔ばなしにでてきた福の神のように首を傾げるコトしきりです。
ああそれにしても、笑ったキツネの喋りは良すぎた。

>>126さん
ありがとうございます。ダイ大しかりうしとらしかり、メイン二人が関係込みで魅力的な作品が
好きですので、近づけるよう、この二人の描写には力を入れていきます。といっても、構成上
そう多くは描けませんが… 根来はここぞという時に動いていきます。

ふら〜りさん
イルカの空気の読めなさには辟易ですね。この前は勝手にマウスカーソルになりまして、再
起動しても戻らず、「酸欠で死ね!」「死ねるかぁ!」という押し問答の末言い負かされ、半ベ
ソで再インストールしたらようやく戻り、聞き込みはどうにかサスペンスぽくできて、ホッとしてます。

>>128さん
構想ではこの二人の関係性を、そのまま解決への糸口にしていくつもりです。
その途中での意識の違いを錬金ぽく、距離の縮まる感じをネウロっぽく描けたら御の字。
腕に関してはまだまだ顧みる部分がありますが、千歳と根来だけは描ききりたいですね。

>>129さん
ええ。赤面します。しかし再インストールしたらしなくなったので、それぞれ個性があるようです。
犯人の動機については、もう決まってます。ネウロっぽい狂ってる動機です。読む方によって
は人間臭いかも知れません。前回までの描写で、輪郭が掴めるかも。いや掴まないで。

>>132さん
ええ、実は。錬金萌えスレではコテだったりなかったりで、それ以外ではちょこちょこと名無しで。
それと趣味でオリジナルを少々。こっちはまだどこにも投下してませんが、納得できる形にできたら
どこかに投下してみたいです。

163 :作者の都合により名無しです:2005/12/18(日) 23:13:22 ID:a/Yj3uDO0
>やさぐれ獅子
虎と加藤はいいコンビですね。物語自体は殺伐としてるのにほのぼのする。
しかし、次々と敵が襲ってきますね。恐るべきイメージトレーニングだ。
この物語は何日目で完結するのかな?長く続くといいですが。

>影抜忍者出歯亀ネゴロ
前回が割合シリアスな感じだったのに、最初の2レス違う作品化と思ったw
千歳と根来の関係、希薄なものですが進展するといいですな。
恋人とかそんなんじゃなくて、相棒同士として。コンビなんですからね。



164 :作者の都合により名無しです:2005/12/19(月) 00:02:59 ID:JILSA6ze0
スターダスト氏おつです。
連金という作品はあまり知りませんが、
食事シーンひとつとってもキャラ作成がうまいんで知らなくても楽しめます。
しかし、ホムンクルスえらい人間臭いですね。原作でもこうなのですか?w
原価計算とか、日頃スターダスト氏が仕事でやってるんですかねw


165 :ふら〜り:2005/12/19(月) 00:12:27 ID:fXOlkaO+0
>>ゲロさん
予想してたよりは随分穏便でした。物理的にも精神的な意味でもバチバチした攻防はなく、
それ以前に「敵」と睨みあうことさえなく。なのに充分怖くて、しっかり迫力もあって。
安直にバトル・ピンチ・流血・逆転ばかり考えてしまう身としては、学びたいところです。

>>見てた人さん
凄くカイジらしいですっ! 質問タイムが既に腹の探りあい……この時点で、私が参加者
なら敗北確定。これで殺人が起こり、敵か味方か、探偵か犯人か、と疑心暗鬼が交錯して
る間に更に犠牲者が、と。これ、ルール設定の段階でドえらく面白そう。次が楽しみです。   

>>サナダムシさん
リアルシャドーとはいえ、刃牙のそれとは根本的に違うものですね。透明な敵からの攻撃
を受け、あれこれ推理している様は、さながら肉体派ホームズ。強さに加えて知識や分析
も問われるこの試練、かなり辛そう。でも可愛くて強いワトソンもいるし、頑張れ加藤っ!

>>スターダストさん
最初の2レスは、コナンや金田一での「犯人黒子状態喋り」を思い出しました。口調が妙
に明るく話題が日常的なのが、快楽殺人鬼的でまた良し。根来はまたまた彼らしいとこを
見せてくれますね〜。千歳、いつか弁当作ってやれ。きっと無愛想ながら食べてくれるぞ。

>>147さん
受験に勝利の咆哮を上げた後にバキスレへのSS上げ、お待ち申し上げておりまする。
願わくば、我がツボ作品ネタであることを……(←困難)


166 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:30:19 ID:8DT5yh9o0
一日目・その3:DOG DAYS:1人目>
時刻:不明 場所:村内の学校・鉄板で出来た小さな箱の中

「助けてくれ!!!!誰か〜〜〜!!!助けてくれ〜〜〜!!」
男は”鉄板で出来た小さな箱の中”で必死に咆える。
負け犬のように力いっぱい咆えて、ひたすら自分を閉じ込めている箱を叩く!

誰かにこの声と音が届くように・・。

自分の今の状態を誰かに知らせるために・・。

―――5分後・・。

「はあ・・。はあ・・。お願い・・、お願いだから・・。だから・・、助けて・・。」
声を張り上げながら、鉄板を殴りながら救助を求めて実に5分。
男は一向に助けが来る気配すらない現実に絶望し、憔悴しきっていた。
そして、先程から体育座りになっていた彼は頭を両膝の間に挟み一人で今の状況を必死に分析しようとした。
(ここはどこなんだよ!!なんで俺はここにいるんだよ!!)
しかし男には自分が今ここにいる理由を全く分からない。理解できない。
なぜなら、彼は昨日は普通に仕事をして、普通に家に帰り、普通にフロに入り、
普通に飯を食べ、普通に就寝したからである。


167 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:31:26 ID:8DT5yh9o0

(起きたら・・、ここに居た・・。)

彼の服装は就寝時のまま。つまりパジャマを着ている状態。
手足も外にでた形跡は無く、全く汚れてはいない。
(でも、こんなことが分かったからといって、一体なにがわかるっていうんだ!俺は!!)
男はそう結論に達すると、今度は現実から逃避しようとする。
(知らない。分からない。夢だ夢だ・・。ゆめ・・夢なんだ!!!!)
そう、男の精神力は限界に達していた。
だからひたすら考えても、今の状況を知ることも、理解することも出来ない。
ただ男は混乱しているだけだった。

――――でも・・・・、そんな状態でも男には1つだけはっきりと分かっている事があった・・。

――――混乱しているけど理解していることがあった。それは・・。

”何も分からない”という事。

――――この事だけは、世界中の誰よりも、ソクラテスよりも理解していた。


168 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:32:47 ID:8DT5yh9o0
男は精(気力)も根も尽き果てていた。
いや、精は目が覚めたときから尽きていた。
男が目を覚ました時にまず最初にしたことは、ひたすらその場でもがくことだった。
目の前が真っ暗で怖かったからだ。
毎朝起きると、真っ先に目に入る見慣れた天井がそこには無かったからだ。
だから、そのときに尽き果てたのだ。精は。

男はここから出るために、長時間もがいたが全く意味が無かった。

助けを求めて咆える前に、前へ前へ進もうとしたかったが、それは無理な話だった。

なぜなら、両手を動かしたくても、動かすスペースが腹からつま先にかけての長さしかない上に、
”立ち上がるスペース”すら”無かった”からだ。

きっと両手両足が自由に動いたらならば、立ち上がるスペースがあったならば、まだ根もあっただろう。

パンチの5倍もの威力があるといわれる、キックも使えたことだろう。

キックが使えれば、目の前の厚い鉄板を壊して外に出れる事もあるだろう。

しかし実際はそうではない。
今いる男の状況。今ある男の精神状態。それが、全てを物語っていた。
(起きた時から・・。座っていた・・。ずっとこの格好だ・・。腰が痛い・・。出れなくていいから・・。)
そして、何時しか踊り疲れた男は、この言葉を境に脱出する素振りを見せなくなった。
「出れなくていいから・・。体を動かしたい・・。楽な姿勢になりたい・・・・。」


169 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:34:14 ID:8DT5yh9o0

―――1時間後・・。

男はもう混乱”は”してはいなかった。完全に精も根も尽き果てたせいであろう。
そのせいで心が違う方向に傾いているようだ。

―――そう、今の男の心の中には、この窮屈な場所でいかに楽な姿勢を取るかが全てとなっているのだ。

「ふふ・・。腰は動かないから・・。つまりここで首をこの角度で曲げると楽になるのかな・・・。」
少し笑みを浮かべながら男は首を曲げる。
男の笑みが深くなる。どうやら少し楽になったようだ。
もはや先程のパニックに身を委ねていた男はここにはいない。
この鉄板で出来た小さな箱の中から、必死に脱出しようとした男の姿はもうない。
ここにいるのは・・・。

――――踊りつかれて心を壊した哀れな男だった。


170 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:34:57 ID:/cA7Rw750
「飽きたな・・・。」
男は現実から逃避する手段として、姿勢を楽にすること事を考えていた。
しかしそれも1時間もしないうちに飽きてしまった。
だから、今は別のことを考えているようだ。
「テスト範囲はこの章から・・、この章までにするか・・・。」
言葉から分かる通り、どうやら彼は先生らしい。恐らくこの学校の教員だろう。
今日は6月6日。多分、男が今考えているのは期末テストの範囲だ。

それにしても、男は気付いているのだろうか?

――――”楽な姿勢を取る。期末テストの範囲を考える。”

それらは全て、生への渇望と、脱出できるという意気込みと意志の表れ。
変な素振りを見せていても、男は普通の人間。当然、ここから脱出したいのだろう。
諦めた素振りをしていて、実は・・・。

そしてここから、無意識的に思っている生への渇望のため男はここから地獄を見ることになる。


171 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:35:47 ID:/cA7Rw750
――――2時間後・・。

男は何かを考えることにすら飽きていた。
テストの事。好きな女性の事。まだ食べていない朝飯か昼飯。もしくは夜飯の事・・・etc。
目が覚めてから僅か3時間で、男は考え付く全ての事を吐き出していた。
「俺って、薄っぺらい人間だな・・・。」
男は自嘲気味に独り言を呟く。
当然、鉄板で出来た小さな箱の中にいる男には正確な時間は分からない。
しかし、自分がモノに思いふけていた時間が決して長くないことは分かっているようだ。

「蝉か・・・・。」

男は考えることが無くなり、今度は外に耳を済ませることにした。
すると季節外れの猛暑の日に季節外れの蝉の声が男の耳に入る。
ミンミンゼミかアブラゼミか・・、それともひぐらしなのか?
どちらにしても声の主を正確に特定することは出来ない。
厚い鉄板がそうさせているのだろう。
しかも、蝉は自分の近くにいるのだろうか。
蝉の声は耳を澄ました男にとって、五月蝿くて、イライラが募るモノでしかなかった。
「うるせ・・・。一度聞こえると、ずっと聞こえやがる・・・。」
どんどん心が乱れていく。いや、もう乱れきっているだろう。
今の男の心は濁流に大量の石油をいれたような状態になっている。

しかし・・!!

男は蝉の声からあることを思いつくのだった!!


172 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:36:40 ID:/cA7Rw750
「蝉の声が聞こえる・・。ってことは!!」
彼の心の中でもう一度、生への渇望。脱出への執念が強くなる。
それは蝉の声から”あること”に気付いた為だ。
「蝉の声がどこに閉じ込められているのか分からない俺の耳に届いたんだ!人だ!人さえ通りかかれば!!」
そう言って男は耳を澄ませ、ひたすら誰かが通りかかるのを待つことにした・・・。

―――――30分後・・・。

「あちい・・・。もう・・、正午近いのか・・?」
密閉に近いこの鉄板で出来た小さな箱の中は、すでに人が生活できない温度に達していた。

―――吹き出る汗と、吹き出る焦り。

一度と吹き出たら止まらない”それら”は、あっという間に男の体を支配し、
男の心を少しずつ・・。

本当に少しずつ・・。

壊していった・・。


173 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:37:22 ID:/cA7Rw750
―――――10分後・・・。

「音・・・。蝉以外の声が・・・!人!?人なのか!?」
思ったより早くその時は来た!
少々精神的に来てはいたが、最初の数時間に比べれば、なんて事の無い45分間だった!

しかし、男の心になぜか不安が募る。

叫びたい!

咆えたい!

助けてくれと!!

しかし中々男は叫べないし、咆えることが出来ない。

なぜか?なぜなのだろうか?

そう、100%ではないからだ!!

自分が必死に生への渇望と、脱出への執念を、心の底から叫んでも、咆えても・・・、

―――その人が助けてくれるとは限らない!

―――気付いてくれるとは限らない!

―――助かりたいと思っている自分の幻聴かもしれない!

―――もしかしたら蝉の鳴き声の為に、男の声が今そこにいるはずの人物に届かないかもしれない!

だから・・・、声がでない・・。

174 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:39:40 ID:/cA7Rw750
(俺は・・。俺は・・。こんなに臆病だったか?)
男は自分の臆病加減を恨む。
憎む。
罵倒する。
でも、でも・・・。

―――声がでない・・・。

(出ない!出ない?出ないよ!出してよ!嘘でも良い!!幻聴でも良い!!お願いだから!声よ!出てくれ!!)
男は自分の脳に切に願う。

”声よ!俺の口からその言葉を紡いで、まだ見ぬ通りかかったはずの人に、俺の言葉を届けてくれ!!”・・と。

そして・・、願いが通じたのか。
男自身が声を出した後、待っている現実への恐怖に男が打ち勝ったのか。
それは分からない。

―――しかし!

どんな理由にせよ、男は遂に声を発した!!


175 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:41:03 ID:/VEIrMnn0
生への渇望と脱出への執念を乗せた声を!

男のこれまでの人生の中で、女を口説いた時よりも気持ちを込めて!

下心を込めて!!

叫んだ!!

咆えた!!

気高き日本狼よりも!!

世界中の人たちに伝わるように!!

そしてなにより・・・。

自分を助けてくれる、”善人”に届くように!!

「助けてくれ!!助けてくれ!!そこにいるんだろ?誰か!!誰か!!!」
「ん?声が・・、聞こえた気が・・・。」

――――その瞬間・・、蝉が泣き止んだ気がした・・・。


176 :オーガの鳴く頃に:2005/12/19(月) 03:46:45 ID:/VEIrMnn0
どうもおひさしぶりのしぇきです。

ちょっと、このDOG DAYSという題名のお話は最低20以上レスを使うので、
半分ぐらいで区切ります。
明日か、あさってには最後まで投稿します。
後、このDOG DAYSという題名のお話は後、何回かあります。
長さも、20レス近く毎回使う予定です。

このお話は、前回と対となる話となっています。
前回までの話を読んでいただければ、男がどこに閉じ込められているかは
分かると思います。
一応、最後の方で男がどこにいるかは明記しますが。

ちょっと、夜遅いんで、今日はこれにて・・・。失礼・・・。

177 :作者の都合により名無しです:2005/12/19(月) 14:32:10 ID:xkctYXMs0
しぇきさん深夜に乙。
なんか妙な展開になってきましたな。
ちょっとした推理とかが入るのは今、バキスレでブームか?
この作品も長編になりそうですね。いい事だ。バレさん大変だけど。
あと、蛇足ながら新人賞オメ

178 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:00:54 ID:xoP5IHsN0
前スレ269から
「どうだった、スヴェン」
「……駄目だな、二万のアカだ。
 ったく、こんな事なら適当な所で諦めるんだったな」
ギルドの換金所から出て来たスヴェンは、失意のどん底そのままにトレインに返した。
「何でよ。八百二十万イェンの大物だったんでしょ? 赤字なんておかしいじゃない」
リンスが路駐エリアに留めてある軽自動車の窓から身を乗り出して反論する。

今回の獲物は伝説の食い逃げ犯。名前は―――――…忘れた。
ランクこそ低いのだが、兎に角そいつにやたらと高い賞金が掛かっているので捕まえよう、と意気込んだ一行だったが……
流石に伝説の二つ名は伊達ではなかった。
追い駆けながら調べて判った事だが、元何処ぞの外人部隊に所属していた経歴を持ち、格闘や射撃は落第の成績にも拘らず
単独逃走術のみに於いては部隊一の成績を誇る、無駄に凄い男だと言う事が判明したのだ。
しかも無銭飲食のキャリアは十三年と言うのだから驚きだ。それは即ち、その間食費は一切使わなかった事を意味する。
五つ星の高級レストランの警備やベテラン掃除屋すら見事に出し抜いた腕前でコツコツ稼いだ被害総額は五千万イェンにも達し、
追う難易度だけならランクSにも匹敵する超大物だった。
その為、追うわ追うわの大追跡を国二つ股に掛けて行い、あらゆる建造物に不法侵入する羽目になり、入場料が必要な所へは
その都度払って追ったのだから、掛かった経費は頭の痛くなる様な額だった。

「……と、言う訳だ。途中で言ったろ?
 アカが出るのは仕方ないから覚悟しとけってな」 
かぶりを振ってスヴェンは嘆息した……が、其処へ何故か得意満面の含笑でトレインが近寄ってきた。
「仕方ない…ねえ。ホントにそうなのか?」
「? 何が言いたい」
「甘く見るんじゃねえぜスヴェン。
 お前が稼ぎを誤魔化してる事なんて、このオレがまるっと何処までもお見通しだ!」
スヴェンの鼻先に、ビシ! と言う効果音が出そうな勢いで人差し指を突き付けた。
「実はな………えーと、何だっけリンス」
「アンタね、『オレが話す!』とか意気込んでた癖に………いいわスヴェン、このバカの代わりにアタシが話すわ。
 今回ね、イヴちゃんに経費を計算して貰ったのよ」

179 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:02:41 ID:xoP5IHsN0
今回、確かに普段では有り得ないほど捕り物に金を掛けたが、此処で忘れてはいけない要素がある。
彼らの財布の紐を握るスヴェンの存在だ。
金食い虫を二人も抱えていながら宿泊だの備品の購入だの、時々の遊興費だのを捻出する巧みな経営手腕が有るからこそ、
一行は物乞い同然にならずに済んでいるのだ。
当然普段の出費は極力最低限に抑えられ、生活レベルを落とす事無く彼らが日々を享受出来ているのは、ひとえにスヴェンの
お陰だと言えよう。
然るに翻せば、この男が今回掛かったとは言え赤字を出すなど多分に疑わしい。
それを疑った二人は、(計算と記憶が苦手なので)イヴに頼んでスヴェンが換金している最中に計算した結果―――

「…五百二十七万三千四百十一イェンが、経費を差し引いても残っているそうよ」
自信満々に胸を逸らす。
内容はさておき器用なものだ、腰から下は車内に置き去りのままでそれをやっているのだから。
「そ、そうそう、それを言いたかったんだよオレも」
腰巾着Aないしは無能な上司Bと言った有り様でトレインが続く。
しかし、それを受けてもスヴェンの眼は冷ややかだった。
「…お前等、イヴは計算機でも帳面でもないぞ。全く無駄な事させて……
 まあ、確かにその通りカネは余ってるが………どのみちお前等にすんなり渡す訳無いのに、何で欲しいんだ?」
そのものズバリを返され、二人は返答を阻まれた。
「い、いや、別にね、すぐ欲しいって訳じゃ…!」
「すぐ欲しいから聞くんだろ? でなきゃそんな無駄な事するか?」
――――忘れていた。この男に隠し事は通用しない事を。
そんな二人の痛恨を知らぬとばかりに、スヴェンの詰問はなお過酷になる。
「…まさかお前等、無駄遣いしたくてろくでも無い事やらかしたんじゃないだろうな。
 ツケで馬鹿買いしたとか、返す当ても無いのに無人の銀行に金借りたりとか」
聞くや二人はシンクロするかの様に首を高速で左右に振る。
「ちっ…違うわよ! アタシは断じてアンタの名義で服とか香水とか買ったりした訳じゃ……!!」
「オ…オレだって、それほど大した額じゃ…!!」
「……スムーズな説明感謝するぜ、お前等」
妙に生暖かい眼で二人を見やる。
「だが二人共、安心しろ」
一転、今度は保父を思わせる優しげな笑み。
「それは全部、もう俺が払っといた」

180 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:03:16 ID:xoP5IHsN0
一瞬二人は、スヴェンの言葉が理解出来なかった。
「え? あ…あの……」
「と言う訳で、俺も頑張ったんだが……どうしてもアシが出ちまってな。
 それを抑える事しか出来なかったんだ。済まなかったな、二人共」
故に、今こうして逆に謝罪する事も信じられなかった。
正直二人は烈火の如く怒り出すのを覚悟していたのだが、許すの何の以前に謝られるとは却って返答に困る。
それに何時ぞやの本の一件もある。従って目を逸らしたら刺される位の覚悟と気合を、双方胸に秘めて恐る恐る尋ねた。
「お……怒ってないのか、スヴェン?」
「怒る? 何を?」
「だ…だって、あの……無駄遣いしたから…怒るんじゃ…」
その言葉をスヴェンは鼻で笑った。
「―――――必要、だったんだろ? だったらそれでいいじゃないか。
 仕事の為の息抜きは無駄遣いじゃなくて必要経費だ。それなら充分死に金じゃないさ」
優しさに満ち溢れた微笑。そして二人の肩を優しく叩く。
「まあ、俺としては……もう少し加減してくれると嬉しいんだがな」
慈父、と言うのはこう言う貌が出来る者を言うのだろう。如何なる罪も許してのける優しさと包容力が其処には有った。
それを見ると、二人の胸の覚悟と気合は即座に罪悪感に取って代わられた。
何と言う事をしたのだろう。たかが遊び金を管理されたくらいの事で。
確かにあの時は「こんなに苦労してるんだから良いじゃないか」とか思っていたが、それは余りに罪深い思考だった。
考えて見ればスヴェンはいつも金策に四苦八苦していた。それを二人は甘えるどころか重荷となって苦しめていたのだ。
改めて思う。悪い事をした、と。
「あの……その…スヴェン、悪い」
「…御免なさい。ちょっとアタシも調子乗ってたかも…」
おずおずと詫びる二人を、スヴェンは左右に抱擁する。
「いいさ、気にするな。
 この程度なら何とか出来る貯えは有るんだから、この話はもう無しだ。いいだろ?」
全く以って大した男だ。浪費家揃いのこの一行でヘソクリまで作って置くとは。
揃って、スヴェンが居て良かったとつくづく思う。

181 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:04:31 ID:xoP5IHsN0
「…じゃ、ここからはお仕置きタイムだ」

二人がその冷酷な宣言を理解する間も無く、リンスの首に腕が巻き付き、トレインの首に足が巻き付いて彼を一気に引き倒す。
……その状態を傍から見れば、
自動車のリアウインドウから身を乗り出す女の肩を抱く膝立ちの男。そして何故か足元に寝る男。
―――…と言う風に見えなくも無いが実際は違う。
リンスの首を裸締めで締め上げ、トレインの首を三角締めで締め上げる器用極まる妙技の繚乱だ。
「ちょ、ちょっとスヴェン! 本気で苦しいんだけど!!」
「当たり前だ。頚動脈をずらしてるから、地獄の苦しみだぞ」
「ス…スヴェン!! 死ぬ! 死ぬってこれは!!」
「問題無い、加減は知ってる」
先刻とは一転、無慈悲に二人に言い捨てる。
「悪い事をしたらお仕置きだろうが。こんな事子供だって知ってるだろう?」
雷纏う暗雲の様な静かな激怒に、二人は以前と同じ轍を踏んだ事を理解した。
「だ、騙したのね! この悪魔!!」
「ちっくしょう、この鬼軍曹! 軍法会議も無しかよ!」
「一切騙してないし、軍法会議は今終わったろうが。
 ……だから大人しく裁きを受けろ、このスッカラカン共!!」
――――遂に、雷が二人に向かって落ちた。


「ったく、色んな意味で進歩の無い連中だぜ。…こいつらを入れて置く魔法のランプとか無いモンかな」
失神した二人をイヴと手分けして後部座席に詰め込み、スヴェンは思わず苦言を漏らす。
「…トレインはいいけど、リンスお姉ちゃんはちょっと困るかな」
「そうか…じゃ、こうしよう。
 ランプを二つ用意して、イヴがリンスの方を管理するってのはどうだ?」
その提案に、イヴは微苦笑を零した。

182 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:05:19 ID:xoP5IHsN0
―――あの惨劇から二ヶ月。ようやくイヴは以前と変わらぬ明るさを取り戻した。
それまでは…毎日が悲痛の連続だった。
眠るたびに週に一度は絶叫で目を覚まし、銃を見ただけで引き付けを起こし、前触れ無く突然泣き出す事も少なくなかった。
だが何より……彼らの仕事に直接参加する事が無くなった。
それもこれも、あの苦痛と恐怖が故だろう。
その都度なだめたり慰めたりするたびに、全員が敗北感に打ちのめされる。
そのデュラムとか言う道士がやった事は、彼ら一行に――恐らく自分の想像以上に――深い傷を負わせたのだ。
トレインが「全て返した」とは言ったが、それだけでは取り返しが付かない物も往々にして有るのが世の常。
仮に、今もなお収まらぬ怒りをそいつにぶつけ切った所で、結局何も得られはすまい。
然るにその事が、スヴェンの―――…いや、三人の胸に重くのしかかっていた。

冗談に受け答え出来るくらいまで回復したのは嬉しかったが、やはり未だ傷口は癒えぬのだろう。今回の様な半端仕事を
選んでも、これまで同様手を貸してはくれなかった。
なればこそ、スヴェンは己の無能に恥じ入った。
銃を遣えようが、計略を巡らそうが、そんな物に少女一人の心を癒す力など無きに等しい。
これではまるで―――――――あの時のままだ。
胸に甦るかつての悔恨、そして苦悶。我が身の無力と残酷に恥辱の涙を流したあの――――――

「……スヴェン?」
気付くと、イヴが下からスヴェンの顔を覗き込んでいた。
「…大丈夫? 何だか辛そうな顔してたよ?」
不安げな彼女を安心させる様に、その頭を優しく撫でる。
「心配要らないさ。こいつ等よりはな」
顎をしゃくって後部座席に折り重なる二人を示すや、イヴは可愛らしく吹き出した。
「それじゃ、こいつ等が厄介事を仕出かす前に今夜の宿を探すとするか」
やんごとなき令嬢に仕える執事の様に、ナビのドアをイヴの為に開けたその時―――

183 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:09:21 ID:xoP5IHsN0
「おじちゃん!!」

その言葉に反応して振り向いたスヴェンの首に、一人の少女が砲弾よろしく跳び付いた。
イヴよりもまだ少々年下の、活発な子猫を思わせる少女だった。
チェック柄のワンピースタイプのスカートをブラウスの上に纏い、頭に載せた二つのシニヨンを揺らしてスヴェンにしがみ付く。
「えへへ〜、やっぱりおじちゃんだぁ。ひっさしぶりぃ!」
その状況に、一瞬当惑するスヴェンだったが、
「……シンディ?」
「憶えてたんだぁ、嬉しいな」
その言葉を聞かず周囲を見渡すと…
「ここは……」
あの賞金首を夢中で追って此処で捕まえたのだが、今になるまで少しも気付かなかった。
バロック調の古い建築が未だに到る所に残るこの町は、観光名所としても、退役軍人や定年を迎えた警官等の
終の棲家としても有名だった。そして何より、かつての相棒は言った。

「いつか、みんなと此処に住んでみたいな」

だが、スヴェンは此処へだけは一生行くまいとその心に誓った。
会えない。会いたくない。会う訳には行かない。――――しかし、来てしまった。
そして事態は、彼にとっての最悪を迎える。

「…シンディ、何をやっているの!」
食材の入った紙袋を抱えて息を切らせる妙齢の婦人が、スヴェンの首の少女を咎めた。
芯の強そうな美貌を陳謝に歪め、スヴェンに向かって頭を下げる。
「済みません、この子ったら凄いお転婆で…」
「ママ、おじちゃんだよおじちゃん!! ほら!」
言われて頭を上げるや、婦人の眼がスヴェンに縫い止められる。
ふ、と二人の間に生まれる奇妙な静寂。
瞬く間に展開する状況を理解出来ぬまま、イヴは三人を見やった。
「…ス……スヴェン!?」
「…マリア……」
婦人の驚喜に対し、彼の隻眼は悲痛の光を湛えていた。

184 :AnotherAttraction BC:2005/12/19(月) 20:32:59 ID:xoP5IHsN0
……ただ今冬眠中にござる…(挨拶)

田舎であるが故、リアルに雪に閉じ込められたNBです。車出れね―――ッッ!!
ま、近況はこの辺にしておいて…実は某スレにて、当作品に対して「ゴチャゴチャ」なる意見を発見し
改めて見た所―――…成る程確かにゴチャゴチャですね。不要な表現多いっつうか。

なのでこの際バラしてしまいますが、実はVSデュラムは彼が仲間呼んだ時点で終わってたんですよね。
それ以降は黒猫モード! のトレインを見せる話だったので、必要以上に書いてしまったと思われます。
出来れば読んでる皆さんにも「怖ェ…」とかを伝えたかったのですが…修行が足らんぜ、俺。

さてさて、今回にて「別離」開幕にございます。
始めに断っておきますが、ハッキリ言って今回はかなり苦手なシチュエーションです。
何分当方まだまだ洟垂れ小僧ゆえ、しっとりした大人の雰囲気って奴が難しいの何のでして……

―――ですが、極力手は抜かないよう頑張りますので……飽きないでプリーズ!
と言う訳で、蛇足に駄文は今回ここまで。ではまた。

185 :作者の都合により名無しです:2005/12/19(月) 23:24:08 ID:8DvFYJeY0
ありゃ、VSデュラム戦とは違ってえらいアットホームな雰囲気ですね。
ただ、最後になってスヴェンが主役のパートになりそうですね。
過去話も絡むのかな?黒猫は詳しくないけど、悲しげな話になりそうですね。
イブがどんな表情を作るのか楽しみです。

186 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/20(火) 09:07:49 ID:2QTfcohf0
 すぐに、ハネダの手によって十人分の軽食や飲み物が乗せられた
 キャスターテーブルが何台か、からからと空虚な音を発しながらホールに運ばれてくる。
 歓談の自由時間は、当然探りあいの時間も兼ねている。
 カイジはとりあえず、サンドウィッチでも摘みながら他の参加者の様子を見ることにした。
 テーブルへ向かって歩き出そうと右足を一歩前に出したその時
 とんとん、と後ろから肩を叩かれ、振り返った。
 そこには柔らかな表情で微笑む、ポニーテールの少女がいた。
 だが、その笑顔は何故か、感情のない人形のように無機的に感じた。
 ネームプレートには『NO.1 夕凪理沙』と記されている。
「はじめまして、こんにちは。いよいよ始まりましたねっ」
「あ、ああ……そうだな」
 今時の少女にありがちなハイテンションに、少々面食らう。咄嗟には、次の言葉が出てこない。
「……何か用か?」
 何か喋らなければと判断したはいいが、元来、人付き合いの苦手なカイジである。
 陽気に話しかけてきた彼女とは対照的に、カイジからかけた言葉はあまりにそっけない一言であった。
「用っていうかほら、こういう時は、誰かとお話しするのが一番大切じゃないですか」
 確かに、カイジのように様子見と称し遠方からちらちらと
 会話や表情を盗み見るより、余程効果的な手段であることは疑う余地はなかった。
 彼女にゲームにおける消極的な姿勢を指摘されたような気分になり、カイジは心の中で苦笑した。
「そうかもしれないな。君の言う通りだ。えー……」
「理沙です。夕凪理沙。年上ですよね? 呼び捨てで結構です。お手柔らかにお願いしますね、カイジさん」
 微笑を浮かべて会釈する。そうは言われたものの、どうも初対面の相手を呼び捨てにするのは気が引けた。
「ああ、よろしく頼む」
 それに何より気恥ずかしい、ということもあり、結局名前を言わずにやり過ごすことにする。
 カイジも彼女にならい、機械のようにぎこちない動きで、会釈を返した。

187 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/20(火) 09:08:34 ID:2QTfcohf0
「さてさて、ご挨拶も済んだことですし、本題、いいですか?」
「何だ?」
「ずばり、今犯人だと思ってる人とか、気になってる人います?」
 大きな瞳が、じっとカイジの目を見つめる。
 カイジは柄にもなく、少し動揺した。どう答えたものだろうか。
 ここでそれなりに社交的な色男なら『気になってるのは、君かな』とか
 適当な台詞を吐き、気障ったらしく煙に巻くのだろうが……
 カイジにはそんな真似はできそうにないし、何より似合わない。
「そうだな。ファースト・インプレッションで犯人じゃないかって思ったのは……あの人。香坂まどかさん、だったか」
 余計な事を考えている内に、思考時間が足りなくなったらしい。
 率直な回答が何のフィルタも通さずに、脳から直接口に出てしまった。犯人役でなくてよかったと、カイジはつくづく思う。
「え? それは……何故ですか?」
 犯人候補としては、かなり意外な名前だったらしい。目を丸くして、理沙はカイジに尋ねる。
 ここまで言ってしまったら、誤魔化しても仕方がない。素直に会話するしかなさそうだった。
「彼女の質問内容、覚えているか?」
「勿論。ついさっきのコトですから。
 確か『犯人は三日目夜の何時まで逃げ切れば勝ちになるんですか』
 みたいな趣旨の質問だったかと思いますけど」
「そう。だけどこの質問の仕方、ちょっと変だと思わないか?」
「変って、どこがですか?」
「そのすぐ後の案内人――テラーの言葉で気がついたんだが……
 ゲーム終了時刻って言うのは、探偵にとっては告発のタイムリミット。犯人にとっては時効成立の瞬間だ。
 しかし、彼女は客観的にゲーム終了時刻の事を質問するでもなく
 探偵の立場に立ってタイムリミットを質問するでもなく……
 ごく自然に、それが当然であるかのように『犯人の立場に立って』質問をしていた……」

188 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/20(火) 09:11:14 ID:2QTfcohf0
「むー。そうですか」
 理沙は口元に手を当てて目線を下に向け、考えるような仕草をする。
「残念ながら私の考えは、反対なんですね」
「と、いうと?」
「香坂さんは、ほぼ間違いなく探偵だと思います」
 理沙はきっぱりと、そう言い切った。その言葉に、カイジは驚きを隠せなかった。
 すぐに「根拠は?」と尋ねる。思いつきとはいえ、これでもカイジなりに考えた結果だったのだが。
「根拠は、カイジさんと同じ。さっきの質問です。
 香坂さんはわざわざ『犯人の事なんですけど』って前置きまでして質問しています。
 これは不用意な発言にしては、あまりにわざとらしい……そう思いませんか?
 明らかに誤誘導。ミスリード狙いだと思うんですけど」
「ミスリード? なんでまたそんな真似を!?」
「え、だって。他の探偵に自分が犯人じゃないかなっと思わせるのが目的……」

189 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/20(火) 09:12:30 ID:2QTfcohf0
(ああ……! そうだ。そうなのだ。こんな簡単な理屈に、今の今まで、気付かないなんて……!)
 今彼女から言われるまで、カイジとしては、頭の片隅にもそんな考えはなかった。
 探偵は犯人を推理し、告発するもの――それだけを考えていた。
 このゲームの特性上、探偵はむしろ、さも犯人であるかのように振舞うべきなのだ。
 探偵が、犯人より犯人らしい言動をすることにより、本当の犯人が残した手がかりが埋もれてしまう。
 更には、それに釣られた誰かが的外れな推理を展開し……
 誤った告発などしようものなら、労せずしてライバルを減らす事ができる。
 だが、その戦略によるゲームの泥沼化は容易に予想できた。
 探偵は犯人だと思われたい。犯人は探偵だと思われたい。
 それと同時に、そう思われたいと考えている事を見抜かれたくない。
 探偵の振りをする犯人の振りをする探偵。犯人の振りをする探偵の振りをする犯人。
 何が真実で、何が嘘なのか。どこまでが演技で、どこからが本当の姿なのか。
 予想以上に、厄介なゲームになりそうだ。カイジは思わず深いため息をついていた。
(これは……つまるところ、推理と言うよりも心理戦……! 老獪な……狸と狐の化かしあい……!)
 カイジの脳裏に、利根川とのEカード勝負の記憶が過ぎる。
「あの、どうかしました?」
「いや、何でもない……」
 何より一番の想定外は、今まで気付かなかった、ではなく
 今まで気付かなかった事実を、こうして露呈してしまった事だった。
 少なくとも彼女には、今後犯人の振りをしてみせるという戦略は通用しないだろう。
 いや、気付いてなかったとはいえ最初からこの調子では
 例え、誰の前であったとしても犯人らしく振舞うのは至難の業だ。そうカイジは痛感した。
 どちらにしてもこうなった以上、人を欺くのではなく
 探偵は犯人を見破る役目というゲームの原点に立ち返るしかなかった。

190 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2005/12/20(火) 09:14:22 ID:2QTfcohf0
四回目の投下です。
目に見える展開は遅いですが、まったりお付き合い下されば幸い。

・改行について
メモ帳に書き込む時に、適度に調整するようにしました。
これで、大きく乱れる事はないと思います。……多分。
エディタの掲載されているページを貼ってくれた方、どうもでした。
・ゲーム内容について
何気に、実は八割方見切り発車なので……
書き進めていくうちに粗が見つからない事を祈るばかりです。
話の整合性だけは、最後まで崩さぬようがんばります。
・ライアーゲーム
一巻は微妙ですか。二巻、三巻あたりが出た時に纏め買いしてみようかと思います。

191 :作者の都合により名無しです:2005/12/20(火) 10:37:05 ID:4qYLFocu0
>NBさん
アクション描写がすばらしいのはNBさんの文章の醍醐味ですけど、
こういうコミカルな描写もまたNBさんの武器ですね。楽しいです。
でも、やはり事件が起きますね。今度は昼ドラっぽい感じになるのかなw
スヴェンとマリア、そしてイブの絡みが楽しみです。

>見てた人さん
おお、随分見やすくなりましたよ。気を使ってくれる姿勢嬉しいです。
原作では絵的にメインキャラになりにくい女性が、重要人物っぽいのは
嬉しいですね。理沙はある意味、この作品のヒロインかな?
ただトロそうな外見とは裏腹に、鋭いな理沙。



192 :作者の都合により名無しです:2005/12/20(火) 15:52:57 ID:cY4XvIqy0
うはw2人ともレベル高すぎ。しかし素人の域超えてるな。

>AnotherAttraction BC
狂った敵相手の次は、ホームドラマか。この懐の深さが凄いな。
家族みたいな雰囲気のトレイン・イブ・スベンだけど、
本当の家族だったぽいマリアの乱入でどうなるか楽しみだ。

>殺人黙示録カマイタチ
これ冗談抜きで、原作に出てきても恥ずかしくないような
クオリティのゲームだな。まだ勝負が本格始動してないけど、
期待させるに十分の立ち上がり。完結させてね、絶対。

193 :作者の都合により名無しです:2005/12/20(火) 19:00:52 ID:2jDRLwFX0
カイジおもすれー
つかみは満点。でも、ここからが大変だな。
見える人さん頑張って下さい。

194 :十話「歪んだ英雄」:2005/12/20(火) 20:18:42 ID:182EVakf0
パブに吟遊詩人の奏でる、彼の独特な楽器を用いた美しい音色が響く。
ここは開拓地フロンティアにある村の内の一つ、ウエストエンドのパブ。
まだ開拓地なため良い生活はできないが未来への希望に溢れている。
新しい土地で新たな人生を開く者達で賑わう明るい村だ。
モンスターも多く、土地も荒れているが自分の土地を持つにはそれを乗り越えなければならない。
困難を振り払う様な活気に満ちているこの街のパブで冒険者グレイはバーバラからの依頼を済ませ、退屈していた。
周りの人間の様に未来を求めず、今この瞬間にスリルと宝を求める。
一端の冒険家の踏み込めない領域への一歩を踏み出す、それが真の冒険者の素質。
権力、名声・・・そんな物は欲しくは無い。
スリルと未知の探求者グレイ、彼は不意に声を聞く。
「・・・ようやく御出ましか。」
そう言うと彼は人目につかない場所で剣を抜き、声を聞く。
その声の主とは、彼の鞘に納まる古刀であった。
一昔前に、国を救う刀を打てといわれた刀鍛冶が世界中を巡り回って作った物だ。
見つけた時は朽ち果て、折れ曲がりとても使えそうには無かったこの刀が恐竜の穴の奥にあったのだ。
草原の王者、恐竜から幾度となく退いた後、持ち主は力尽きたのだろうか、近くには数多の巨大な骨があった。
風化した骨からでも分かる鋭い切り口は持ち主よりも剣にあったと確信した。
適当に何度も刀を叩き付けた様な痕、にも関わらず硬い鱗に覆われた恐竜の無残な姿。
この切れ味を取り戻せないかと思い持ち帰ったがどうやら刀鍛冶がこの刀に使った鉄が必要な様だ。
鉄といっても何種類もの鉄を複雑に打ちこんだ物らしくまだ半分ぐらいしか力は戻っていないであろう。
それに加えてこの剣は微弱な妖気と瘴気を放っている、欲しているのだ、血を。
完璧に打ち直し、多くの血を吸った時には鞘に納まりきらない妖気を放つであろう。
人、魔物、神、全てを切り裂く剛剣へと姿を変えるのが待ち遠しい。

195 :十話「歪んだ英雄」:2005/12/20(火) 20:23:21 ID:182EVakf0
刀の完成が待ち遠しいが、待っているだけでは完成する事はない。
刀の声に従って材料を調達しにいくと共に大量の血を吸わせる。
そのためには各地を周りながらのモンスター退治がいいだろう。
魔物の血を吸い、ダンジョンの特殊な鉱石を手に入れる。
まさに一石二鳥だ。
しかし自分には鉱石を見分ける事ができない。
バーバラをウェストエンドまで護送した今、自分一人でできるのは・・・
「財宝でも探し当てるか・・・。」
一部のモンスターがたまに地図を持っている、これには財宝の在り処が書いてある。
何のために魔物がそんな事をするのかは定かではないが険しい道のりの下、その地図の示す場所へいけば確かにある。
魔物が強ければ強いほどそれ相応の金額と高額で強力な武具が入っているのだ。
大抵の冒険者が冒険をする時の手順は2つ、
1つは情報収集→ダンジョン探索→財宝発見
このケースは身を隠す技術、足音を消す技術があれば強い必要はない。
ただ疲れてそれが出来なくなった時、魔物に殺されるのを抵抗もせず待つだけだ。
それに情報の的が外れたら何も手に入らないので徒労に終わる。
大体、情報が流れるようなダンジョンではそこにある財宝も底が知れている。
初心者はこのローリスク、ローリターンで済むこの方法で挑むのが妥当である。
2つ目はモンスター退治→地図入手→財宝探索→財宝発掘→財宝発見
となる。
この2つ目の行為を実行に移すには、まず実力が求められる。
実力の浅い者でも取れる様な地図では中身もその程度である。
次に財宝系統のスキルだ、地図が手に入っても発掘出来なければ意味がない。
地図から財宝の在り処を導き出すには専門の知識が必要なのだ。
魔物の書いた地図なのだから当然と言えば当然だが一般人では到底、理解できない。
条件が多くこちらの方が危険でリスクも高いが同じ財宝の地図と言うのが不思議にも見つかっていない。
つまり確実に良い財宝を手に入れることが出来るハイリスク、ハイリターンを伴う方法だ。
そのため退屈なダンジョン探索に飽きた実力者はこっちの道へと足を踏み入れるのだ。

196 :十話「歪んだ英雄」:2005/12/20(火) 20:25:14 ID:182EVakf0
グレイは早速、今まで溜めて来たジュエルで財宝系統のスキルを習得しに向かった。
「・・・客か。」
怪しげな男、しかしほとんどの町に一人はいる。
この男こそスキル屋である。
あらゆる技術を教え、幾つものクラスへと人を導く者。
早速ジュエルを手渡しスキルを習得する。
「・・・あんた中々いい剣士だな。」
財宝系統の技術を習得し終えたグレイに導き手は話しかける。
「しかも刀使いか・・・メルビル図書館にある武闘家の生涯を記した本がある、
強くなりたいなら見ときな。」
グレイは何も言わずに立ち去り、考えてみた。
この手の人間が嘘の情報を流すとは思えないが、本を読んだだけで強くなれる訳が無い。
しかし、今ある財宝の地図は丁度メルビルの近辺にあるベイル高原を指していた。
メルビルに行けば術法も手に入り、より強くなれるであろう。
だが一人で行くには遠すぎる、もう一人か二人くらいは旅の仲間が欲しい。
もう一度パブへ戻って冒険者を探す事にした。
入った瞬間、強い力を感じた。
扉を開ける時に、まるで魔力を秘めた財宝を解き放った様な感覚がした。
冷静にパブの中を見回し、力の持ち主を探す。
そして、パブの奥の席に一人で座っている男を見る。
なにか人とは違う「気」を感じる。
グレイには体術の心得もあるので、それが一層深く感じ取れる。
かなりの使い手かもしれない、近寄って試す事にした。
懐から一枚コインを取り出し、男に向かって音も無く投げる。
普通の人間が反応出来ない様なスピードで。
だが、そのコインの試練は思い掛けない結果を示した。
コインを投げた瞬間、男が消えたのだ。
優れた剣客であるグレイでも捕らえきれないスピードで。
そして感じる闘気、そっとグレイの肩に手を置き話しかける。
「試練は済みましたか?」

197 :十話「歪んだ英雄」:2005/12/20(火) 20:26:23 ID:182EVakf0
男が手を置いた直後、男は手から感覚が消えるのに気付く。
「合格だ。」
男に手を置かれた瞬間、グレイが男と同じように後ろに回りこんだのだ。
動きが見えずとも強大な魔力と気が、自分の背後を狙う事を告げていた。
そして、この二人は腕の立つ冒険者で賑わうパブの中で誰にも気づかれずにこの動作を行ったのである。
他の冒険者とは一線を築いている二人、神はこの二人に天武の才を与えたのであろう。
先程まで座っていた男が話しかける。
「どうやらお互い、力量を測り損ねていたようですね。」
男がゆっくりとこちらを向く、見た目は普通の人間と違わないが向き合って確信を持てた。
人間の皮を被った「何か」。
まるで名家の貴族の様な優雅な笑みを浮かべた20代半ばの男。
その笑みの裏には邪悪が隠されているのが分かる。
やはり人間ではない、だが魔物の雰囲気もしない、初めて感じ取る「本物」の威圧。
男はこちらの目的を見透かしていたのか、話を続ける。
「どうです?役立たずにはならないでしょう。
貴方の力も本物の様ですし、試すのはこの位にして自己紹介でもしましょうか?」
紳士的だがどこか裏を感じさせる口調で男が話しかけてきた。
グレイもこれに答えるべく、名を明かす。
「俺の名はグレイ。」
こちらの意図は分かっている様なので名前だけを告げる。
無駄なお喋りなど必要ない、とでも言うような目で。
「お喋りは嫌いですか、分かりました・・・それでは私も名乗らなくては無礼ですね。
ついでに、この素敵な出会いに乾杯といきましょうか。」
男はそういうとパブのマスターにブランデーを2つ、注文する。
「私の名は、ノエルと申します。
以後、お見知りおきを。」
マントを外した男は甲冑に身を包み、立派な大剣を腰の後ろに下げていた。
「それでは、これからの旅の成就を願って・・・乾杯。」

198 :邪神?:2005/12/20(火) 20:28:47 ID:182EVakf0
サガシリーズからまたもや推薦。
初回プレイでは新宿にすら苦戦した苦い思い出。
ゴブリン王のファイナルストライクで金ぴか鎧の王子が仇討ちもできずに死んだり・・・
そんな思い出でいっぱいなロマサガ2。

ちなみに今回でてきた「財宝」とは宝箱に入っている物と埋もれている財宝のことです。
財宝発掘を使うケースが埋もれている高額な財宝を手に入れることができます。
それはさて置き、テイルズも新作買ったし出すか検討。
普通に魔法ならこの世界でも通用するけど音素とかねぇ・・・
剣キャラしか出せそうにないね(0w0)

〜今回のサガ講座〜

ウエストエンド 荒れ果てた開拓地、住民が必死こいて開拓してるけどほっとくと壊滅する。

財宝系統スキル 財宝を発掘したりサーチしたりのスキル、最上位の地図の入手は果てしなく困難。

ベイル高原   四天王の住処、まぁ四天王の中では強い方か。

199 :作者の都合により名無しです:2005/12/20(火) 20:47:09 ID:QSrO/n6d0
邪神さんお久しぶりです。ちょっと間が開いてたので少し心配しましたw

グレイ渋いですな。大人の男、戦士の中の戦士という感じ。
強力な相棒のノエルも加わって鬼に金棒ですね。
しかし、いまだにサルーインやデスは遠そうですね。
他チームも必死で手がかりを追っているんでしょうが、決戦の時はいつ?

200 :作者の都合により名無しです:2005/12/20(火) 23:31:28 ID:HQEbSRXo0
邪心氏お帰り。
RPGっぽいSSは沢山ありますが、逆にSSでRPGをやっている感じですな。
しかし、主役のホークが影薄いw
完全にテイルズ軍やバキキャラや今回のグレイに食われているw

201 :作者の都合により名無しです:2005/12/21(水) 01:13:08 ID:Ij8E7Mwq0
邪神さんのSSも後書きも昔ロマサガに嵌っていた自分を思い出させる。
俺が一番すきなのは3だけど。

202 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/21(水) 02:45:12 ID:BNW4Znlf0
更に、崩れてない方の豆腐に乗っているかつおぶしを、上からかけた。
二人の目の前で、ほかほかした湯気にかつおぶしがうねり、踊っている。
千歳の口の中で唾液が分泌され始めたのを、誰が責められよう。
しょうゆまみれのつぶつぶ豆腐とご飯。
口に入れれば、まずは瑞々しくもしょっぱい感触が広がり、ついでご飯の甘みが、それらを引
き立てる。
根来は更にネギもかけた。
しゃくしゃくと小気味よい歯ごたえは、口内において独特の辛味と風味を醸すだろう。
「米だけでは味気ない。よっていつもこうしている。時間を空けているのは」
「冷めると味が落ちるから?」
「無論だ」
千歳の白い喉がゆっくりと上下に揺れた。唾液を飲んだのだろう。やや扇情的な仕草である。
箸が茶碗に伸び、ごはんと豆腐の入り混じった塊を根来の口へ運んだ。
その表情は三白眼のままモサモサしている。
こだわっていた割には、まずいモノでも食べているような表情だ。
やがて根来は(とりあえず一口につき30回ほどの手早い咀嚼で)食べ終わった。
そして、崩れていないほうの冷奴も同じように食べ終わると、ウーロン茶を一杯、飲み干した。
いつからそこにあったかは分からないが、あるのだからあるのだろう。
これにより、口の中に残った辛さや水っぽさやご飯つぶが一気に胃の腑へ流し込まれ、爽快
な後味が残る。
と根来は説明し、コップを置いた。中で氷がカチリと鳴った。
そして律儀に手を合わす。その姿は、印を結ぶ忍者を彷彿とさせる。
「ところで貴殿は戦部についてどう思われる」
「どう、って?」
千歳の記憶では、戦団においてホムンクルスの撃破最多数を誇る戦士だが、それに対する
感想は「羨ましい」ぐらいしかない。会話も根来同様あまりなく、一度「彼の依頼したホムンク
ルスの死骸が戦団から届いた」という言伝を火渡経由でしたぐらいだ。それを何に使うかは
多少の興味があるが、聞くのは会話の流れにそぐわないようで、返答に窮した。
根来は空になった茶碗に目をやり、続ける。
「ホムンクルスを食す性癖についてだ。食べるだけであればこの程度で満足すべきなのだ。
ああいう大仰な真似をせずとも、充分補える。分量も味覚も活力も」

203 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/21(水) 02:46:36 ID:BNW4Znlf0
と言われたところで、千歳には答えようがない。
「………」
男性の食事風景というのは、防人や火渡や、戦部のように、豪快に喰い散らかすものだとい
う観念がある。しかしどうも根来は、女性でもしないような食べ方をする。几帳面というよりは、
病的なまでに神経質だ。
そういえば、「なぜ食べる」かについては冷淡なまでの合理性が見え隠れしていたが、「どう
食べるか」に関しては、割と無駄な部分がある。そうではないか。豆腐を崩してごはんにかけ
たいなら、箸で適当にひっかきまわせばいい。
合理にこだわるなら、「口に入った食料は歯ですり潰されて唾液でデンプンが分解され、食
道を落ちれば胃の腑でドロドロに溶かされてしまう。だから食べ方はどうでもいい」という結
論に至るべきなのだ。
だから、いちいち食べる前の豆腐を規則正しく崩す必要はない。
では根来の食べ方は、彼なりの食を楽しむ方法で、そういう人間味をやはり持っているのか。
というか考えてみれば、豆腐について話すよりは、工場長の話を元に細かい打ち合わせを
展開すべきだった。
などと千歳が反省を含みつつ分析していると、不意に声が掛かった。
「貴殿は食べないのか」
「……ホムンクルスを?」
千歳はちょっと、間違った。間違えつつも表情は凛としている。
「いや、昼食の話だ」
ああ、という顔で千歳は弁当の包みを見た。
どうも考え事や豆腐のせいで、会話の骨子を見失っていたらしい。
しかし、寡黙な根来がわざわざ話題を展開してきたのは何故だろうか。
分からないが、千歳は包みを取り、弁当箱開けた。
つつしまやかなもので、楕円形の箱の中には、筑前煮とレタスとご飯が入っているだけだ。
「貴殿の細い顎では、逆に砕けかねないな」
根来は笑った。もちろん弁当の中身ではなく、千歳がホムンクルスを食べた場合の話にだ。
冷静に見える千歳の間違いがおかしかったらしい。
が、表情の変化は乏しい。
平素の無表情との差は、真一文字に結んだ唇の端が微かに吊りあがっている位の、静かな
笑い方だ。微笑というよりは、獲物を見つけた鷹の、一瞬の顔の引きつりのようだが、根来
の中では笑ったつもりなのだろう。そも、笑うという行為は獣が牙を…まぁいいか。

204 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/21(水) 02:48:34 ID:BNW4Znlf0
根来の顔の変化をじっと認めると、千歳は弁当に目を落とし、ひっそりと呟いた。
「あなたは笑うのね」
根来と千歳の決定的な違いといえば、そこなのだろう。
「?」
根来は疑問符を浮かべたが、すぐいつもの無表情に戻った。
「話は変わるが、この工場の中にホムンクルスがいるのに貴殿は気づいているか?」
がらんとした静かな食堂に、厨房からの雑談が微かに響く。
油で何かを焼いているようなジュウジュウという音や、水糊のような炊飯の匂いも漂っている。
ごくありきたりの光景だが、ホムンクルスがその近くにいる。
千歳は食事の手を止めて根来を見た。
表情こそ変わらないが、見据える瞳には疑問と緊張が浮かんでいる。
工場に来て自己紹介をし、仕事に少し触れただけで、調査らしい調査はまだなのに、何故?
という感情を汲んだのかどうなのか。
「疑うならば調べればいい。火渡戦士長も貴殿の調査には信を置いている」
根来はかつての上司の名前を挙げた。
火渡と千歳と毒島以外の再殺部隊の面々が、ヴィクターIIIという標的を追跡している頃の話に
なるが、そのヴィクターIIIの目的地と思しい場所の調査をしたいと千歳が火渡に申し出た事が
ある。
何かと他の戦士に攻撃的な火渡はこう答えた。
「そーいうのが得意だろ、調べたきゃ好きにしな」
彼にしては柔らかい口調である。しかもすんなりと許可していた。
かつての同期だったのを差し引いても、火渡が千歳の調査能力に評価と信頼を寄せている
のはまず間違いない。
「ゆえに調査は任せる。見当がつかぬのならば、まずは」
根来は低い声で、”ある物”の有無を警察に問うよう促した。
千歳は瞬きを数回した。理解はしたが納得しきれてない風がある。
「……確かに、ホムンクルスなら押収されないでしょうし、されていても、もう消えていると思う
けど……… でも本当に」
「いる。正確には信奉者の可能性もあるが」
信奉者、というのはホムンクルスになる事を望み、ホムンクルスに力を貸す人間の名称だ。
「確かにこの工場に潜り込んでいる。よって──…」
根来は立ち上がった。

205 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/21(水) 02:49:29 ID:BNW4Znlf0
「私は奴を見張る。その間、貴殿に調査を任せる」
ホムンクルスを斃すコト自体は容易いが、しかしそれが麻生部長を殺した者という証拠がな
ければ戦団も工場も納得しないだろう。
以上のようなコトを告げると、トレーを持つとさっさと歩いていった。
足音一つ立てないあたり、忍者の末裔と目される彼らしい。
(でも、あの時、あなたは居たの?)
根来を見ながら千歳は首を傾げた。確かに火渡に調査を申し出て承諾を得はしたが、その
時根来はヴィクターIIIを追撃していたはずではないのか。
どうも色々な謎が多くなってきた。
もう一つ奇妙な事がある。根来の靴だ。遠目からだが靴は見たところ普通の革製で、真新し
くピカピカ光っている。足音をしない事を訝ってそれを見た千歳は、事前に聞いた情報と、工
場までの道中で見た光景を頭の中でつき合わせて、また疑問が浮かんだ。
もっとも根来ならば既に施していても不思議ではないが、どうやっているかが千歳には見当が
つかないコトだ。
ともかくそれらは、調べる他ないだろう。
信頼されているのは、かつてのミスがあってこその能力だ。
千歳の経験則からいえば、戦いの舞台や相手、もしくは自分やその仲間について熟知して
いれば、いざという段において動揺せず、ミスもせず、確実に任務を遂行できるハズなのだ。
敵を知り己を知らば百戦するも危うからずだ。
だが、今回の任務においては、パートナーたる千歳の調査不足や、判断ミスで根来の能力
が発揮されなくなるコトも、充分にありうる。現に7年前は、防人、火渡、照星という、攻撃力
ならば戦団において上位に入る戦士を3人も部隊に擁しておきながら、惨劇が起こってしま
った。
それは二度と、もちろん今回の任務でも犯したくない。
例えいかなる災難が身に降りかかろうと。
弁当を食べつつ、千歳はそう思い、可能にするべく段取りを考えた。
それが終わると最後に、根来の貧相な食事風景を思い出し、彼に何か弁当を作ってみようと思った。

206 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/21(水) 02:54:18 ID:BNW4Znlf0
【根来と千歳が工場に呼ばれる発端となったメール】おまけ

From:錬金戦団

「今回の事件ですが、内部犯にしろ外部犯にしろ、大っぴらに捜索しては風聞に関わるので
こちらより一名、潜入捜査に長けた物を派遣社員と称して送ります。で、犯人を捕まえます。
ただこっちも苦しいのでお金は沢山ください。報酬とは別に、彼女が仕事をした分も下さい。
こちらも苦しいのです。火の車です。民事再生法を適用しようかどうか悩んで今日もニキビが
消えません。だからよこすべきものをよこして、俺らのニキビを消せ。さもなくば58歳になる
貴方の娘さんが火渡という我々とは全く無関係のヤクザによってトルコ風呂に沈められるかも
しれないぜ。ウヒヒヒー! だから金出せ。足元見んな? 知るかバカヤロ」

という極めて丁寧で緻密で何ら非の打ち所のない完璧すぎる、もうこれで芥川賞取れるんじ
ゃないか、いやいやノーベル文学賞すら狙えるじゃんてな美しい文面をしたためて送った。
メールというのは便利なもので、1時間も経たないうちに返事が来た。

From:工場

その前半は、「貴社の対応にはなはだ遺憾で〜」とか「法的な手段に訴える事も検討中〜」
とか素晴らしい文章を送ってくれた事に対する賛辞がつらつらと並べ立てられていて、添付
のファイルを開いたら眩いばかりの緑の光がディスプレイから溢れ出し、気付けばディスプ
レイが塩の柱と化していたりもした。とりあえず別のディスプレイを繋いで続きを読んだ。
後半では感動に基づく興奮も収まったらしい。
「熟女のトルコ風呂はやめろ! それは地球の因果律を犯す絶対の禁忌、破滅直行への
爆走リニア! 本当に貴様ら、自分が何をいってるか分かっているのか! それをしたが最
後、沈めたヤクザは気弱でポニテでフランダースの犬が好きなバスト280の八面六臂の幼
女と化すのだぞ! 熟女トルコ風呂はそれほど罪深き、かのアトランティスの滅亡の元凶だ
ともいう神への反逆行為! 貴様らも生けとし生けるものならば慈悲というものがあるだろう!
時給は2万円です。ちゃんと払うからやめて下さい。それから死ねクズがウヒヒヒー! おう、
若いねーちゃんならええわ。あとは適当にもう一人」
と承諾があった。

207 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/21(水) 02:57:00 ID:ckizWilk0
↑ちょっと前に書いたけどカットしてた文章。これこそが本来の芸風。

豆腐ですが、食べるとやる気が出る食品のようです。本当ですよ。食べたらモリモリです。
元ネタというかモチーフは、司馬遼太郎の「花神」って小説の主人公、村田蔵六の好物。
彼はアホほどキャラが立っていて好きなので、根来に食わせたりしてます。自分も好きです。
そう、豆腐とししゃもと天ぷらそばに、ご飯とねり梅が添えてあればいうコトなし! DCS要らず!
「花神」というタイトルの由来は作品終盤で明かされるのですが、非常に理にかなっていて
すごくシビれるコト請け合いです。ただし、その頃、蔵六は……
ちなみに12月22日は根来の誕生日だそうです。きっと萌えスレでは忘れ去られているんだろうなぁ。

>>163さん
ですよね。「戦友」てな感じの関係になったらいいなぁと。
最初の2レスは、今後への伏線というか、色々含みのある部分でもあります。
ブッちゃけてしまえば、乙一の作品を読んで一人称を描きたくなっただけでもありますが。

>>164さん
ありがとうございます。原作のホムンクルスたちは、そうですね。親しみやすい感じです。3〜5巻などは特に。
食事については、ネウロでよく語られているコトですので、どうしても描きたかったのです。
原価計算は仕事ではやったコトはないですが、うちのネコがよく喋ってくるので、そのあおりで覚えています。

ふら〜りさん
もちろんです。お弁当は作らせないと。ただし彼はちょっとアレな人なので、そこで千歳は若干
苦労します。それを解決するのが照星さんだったりもしますが、いつになるやら。犯人の展開
する話題は、犯人だとバレてからも変わらないですよ。どころか、もっとひどいかも。

しぇきさん
一瞬、無頼伝 涯のあれかと思い、オーガが何かしたのかと思いました。
しかし読み進めていくうちに、怖い気分に。暗い所に押し込められて、しかもいる場所はあ
そこなんて。怖い。オーガは果たして間に合うでしょうか。前回から考えますと、アウト…?

208 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 03:57:11 ID:wlBo93xq0
<一日目・その3-(2):DOG DAYS:1人目>
時刻:不明 場所:村内の学校・鉄板で出来た小さな箱の中

男は人を待っていた・・。

善人を・・。

自分を助けてくれる人を・・。

そして今!
男の前に、一人のメシアが現れたのだった!!

「やった!やったぞ!!」
男は喜びを声にして表現する。
人生を振り返っても尚、余るほどの時間を過ごしたのだから当然だろう。
しかし、メシアであるはずの人物の言葉で、男は一気に地に落とされることに。
「なしてそこにいなす?”焼却炉”からべに・・・。危険じゃこ?」
(えっ・・?)
さっきまでの幸福感はどこへやら。
男は外に居る人物の言葉を聞いて、心の温度が氷点下まで下がる。
(なんで?なんで?俺が・・。)
頭の中に”なんで?”という言葉が螺旋のごとく並んでいく・・。
「まあ、どうでもええべか・・。アンタ!そこから出ちょってくれ!!これから使わなければならんのよ!!」
外に居る人物は男の状態を知る由もなく、少し不機嫌な声で男を急かす。
恐らくこの”焼却炉”の所有者だろうか、早くこれを使いたくて”堪らない”といった声だ。
だが、この危うい”不機嫌”というスパイスも、今の男にとってはメシアの声。
この焼却炉から脱出するのが、第一志望である男はこれ見よがしに助けを請う!!

209 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 03:59:08 ID:wlBo93xq0
「お、おい!!俺はここに閉じ込められたんだ!!助けてくれ!!お願いだ!!!」
「ああ?閉じ込められた?まあ〜、確かに外からしか鍵は開かないから・・。ん?大事件でねえか!!」
外に居る人物は男の言葉を聞いて一転。
いきなり慌てた様な声を上げる。
「おお!!こんな田舎さに大事件だべ!!」
「え・・?いや・・・。」
「いや〜、ばあさんとのネタが出来たさ。ありがとう。」
「いや・・。こちらこそ気付いてくれて・・、って!!そうじゃない!ここから出して欲しいんだ!!頼む!!」
声と喋り方からして、外に居る人物は50代位の初老の人だろうか?
男は軽く外に居る人物・・、もとい初老の人に流されながら、再度助けを請う。
「おお〜〜!!そうだべ!いま助けるわ!!」
やはり人間も動物なのだろうか。
縄張りを荒らされたわけでは無いと理解した初老の人は快く男の提案に承諾する。
「ん!!ん?あれ・・?」
「どうした?何かあったのか?」
疑問符が付く初老の人と、早く出たい一心で噛み付く男。
「ん?いや〜、開かないげっちょ・・・。う〜〜〜ん?あれま!!”はんだ”してあるわ!!」
「じゃあ・・・。じゃあ!!俺は出れないのか!!」
初老の人の言葉に、男は焼却炉が狭いことも忘れて暴れだす。

――――これはある意味、心の堤防が決壊した瞬間でもあった。

「あ・・。あ・・・。ちょっと!!そん中で暴れんといてくださいよ!!」
「この!!この!!!壊れろ!!くそ!!くそう〜!!!!!!!」
男は初老の人の言葉を無視して、必死に肘を使って焼却炉を壊そうとする。
この瞬間だけなら、曙よりも破壊力は上だろう必死の肘鉄。

ガン!ガン!!ガン!!!


210 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:02:05 ID:wlBo93xq0
はっきりいって一般人が、いくら肘鉄を撃っても厚い鉄板が壊れるはずが無いのだが、
鉄という性質上、大したことが無い打撃音でも簡単に―――まるで今にも壊れてしまいそうな不協和音を奏で出す。
「やめて!!やめてくれ!!!!!!」
初老の人の悲痛な声・・。水俣病を訴えている人よりも、悲痛な声だ。
だが男の心理状況を考えると、そんなもので止まるはずは無い!
そう、何時だって、加害者は白状なのだ!!

――――しかし、なぜかこの言葉を皮切りに焼却炉から打撃音が消える・・。

「やめて、やめてくれ!!!壊れたら校長に怒られるべ!!!!」
「うるせえ!!こんなも・・、え?校長?」
「そうだべ!校長はおっかねえぞ!!なんてたて、鬼教師って言われたことあるけねん!!凄くおっかなぞ!!」
「お、おい!!ここは学校なのか?」
恐らく初めて自分が居る居場所が分かって安心したのだろう。
男は肘鉄をやめて、初老の人の言葉に釘付けになる。
「あ、ああ。そうだべよ。こぎゃあ学校だべ・・・。」
「そ、そうか・・・。でもなんで・・。」
「そんなことよりここを早く出て行ってもらいますから!!ワシはドアを壊すためにハンマーを取りにいきます。」
「あ、ああ・・・。早いところ頼む。」
初老の人は男が止まったのを確認すると、内心ホッとしながら倉庫の方へかけって行く。

タッタッタッタ・・・。

「これで・・。あと少しで出れる・・。出れるんだ・・。」
男は遠くなっていく足音を聞きながら、少し疲れた声で呟く。
まあ無理も無いだろう。
男に・・、いや、普通の人にとって”焼却炉”等に幽閉されるということはまず無い出来事だからだ。
「まあ・・・、あの人がハンマーを取ってくるまで時間が掛かるだろ・・。」
男はそう言って、何もかも忘れて―――――眠りについた・・・。


211 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:06:55 ID:wlBo93xq0
<一日目・その3-(3):DOG DAYS:1人目>
時刻:不明 場所:村内の学校・鉄板で出来た小さな箱の中

―――眠り・・・・。

男にとって、この数時間は人生を掛けた”戦争”だった!!

初めて周りの目を気にせず叫んだし、咆えた!!

そしてなにより、疲れた・・・。

疲れきった!!!

だから眠った!!

眠るしかなかった!!
仕方ないだろう。彼は戦争をしていたのだから。

そう!!ジャンヌダルクのように、自分の心と戦争していたのだ!!
壊れそうな心を必死に繋ぎ止めながら・・・。

だが・・。

歴史は繰り返す・・。

百年戦争の最後・・。

―――――――そう、ジャンヌダルクの最後のように・・・。


212 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:08:05 ID:wlBo93xq0
<一日目・その3-(4):DOG DAYS:1人目>
時刻:不明 場所:村内の学校・鉄板で出来た小さな箱の中

暑い・・・・。

暑い・・・・。

今日は暑いな・・・。

ああ・・。天気予報でも言ってたっけ。

”6日は日本全国的に猛暑でしょう。”

いしはらよしずみが言ってたな・・。

それにしても・・。暑い・・・。

暑いな・・・・。

あれ?痛い・・・・。

えっ?痛いって・・・・・・・・・・・・・・・・。


213 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:09:04 ID:MZBfZybT0
「はわっ!!!!」
男は思いっきり状態を上げながら目を覚ます!!!
しかも、あまりにも急に状態を上げすぎたため、男は焼却炉の天井に額をぶつけて割ってしまう。
「ぐあ・・・・。」
しかし額に不思議と痛みが無い。声を上げてしまったのは脊髄反射だろうが・・。
「う・・。血・・・。血・・・!!!」
男は額から流れる血を確認して、少し驚く。
「血が・・・!!あ・・。額からか・・。今ぶつけたよな・・。」
男は”そんなことでパニックになった自分が恥ずかしい”と言わんばかりに、
額を可愛く撫でようと・・・。
「あ。嗚呼ーーー!!!!」
男は今度こそパニックに陥る。
なぜなら、自分の右手が無いからだ。

いつも自分が息子をしごく為に使う利き腕が!!

いつも仕事をしてくれる利き腕が!!

いつも食事を手伝ってくれる利き腕が!!

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!」

―――――声が聞こえる。

この声は焼却炉からだ。


214 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:09:43 ID:MZBfZybT0
「うでうでうでうでうでうでうでうでうでうで・・・・・。」
男はひたすら同じ単語を焼却炉の中で連呼する。
――全身を見る。――目視する。

そして気付く!!

「ああ・・。無い!!無いよ〜〜〜。無いよ〜〜。」
男は段々退化していく。
幼児化していく。

体が―――――――ではない。

心が!

必死に繋ぎ止めていた心が!

必死に受け止めていた心が!

消えていく・・。

壊れていく・・。


215 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:12:36 ID:MZBfZybT0
「無い・・。無いよ〜。無いよ〜。」
確かに男の心は無くなった・・・。
綺麗さっぱり・・。
しかし、彼が無くしたものはそれだけではない。

無くした!!

いつも地から自分を支えてくれる立派な足を!!

無くした!!

いつも排泄物を出すと言う、生物の循環を担ってくれる尻を!!

無くした!!

いつも快楽を与えてくれる、息子を!!

無くした!!無い!!無いのだ!!

下半身が・・・。

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼アアア!!痛いよ〜〜!!ママ・・・。」
男はゆっくりと元の姿に戻っていく・・。

最初の姿に・・。

無に・・・・。


216 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:13:55 ID:MZBfZybT0
「ああ・・。ボクハきのしたあきら・・・。あかねちゃんっていうんだ・・。ふふ。友達の握手・・。」
あまりの現実が引き起こした幼児化が原因か、それとも赤ちゃんプレイが趣味だったのか?
それは分からない。
ただ、分かることは男――――いや、木下明が宙に無い腕を差し出した事実だけだった・・。

そして木下が宙に手をやると、賛歌が彼の耳に聞こえる。

―――――きっと生”の”賛歌だ。

―――――最後の賛歌だ・・。

「聞こえる・・。」
木下はどこから声を出したのか・・。
もう、誰にも分からない・・。

だけど・・。彼の耳には賛歌が聞こえている。
だから彼は口ずさむ。

無意識に・・。


217 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:14:45 ID:MZBfZybT0
”ゆっくりと・・・、ゆっくりと・・・、”

”ゆっくりと・・・、ゆっくりと・・・、”

”ボクがいなくなっていく・・。”

”俺がいなくなっていく・・・。”

暑い・・・。

違う・・・。

――――”熱い”・・。

熱いんだよ・・・・。

心はもう・・。体も・・・。

十分だ・・・。

熱い・・・。

ふふ・・。熱い熱い・・・。

そしてこの言葉を持って、彼はあるべきところに帰る。
「ふふ・・・。今日は熱いな・・・。天気予報って・・・・当たるな・・。」

―――――――DOG DAYS

ようやく木下の長くて熱い日が終わった・・・・。


218 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:18:04 ID:OUgbkf2e0
「ふう・・・。良い物を見れたが、やっぱり臭い・・。だな・・・。」
木下が在るべくしてある場所に帰ると、いつの間にか焼却炉の側にいた小柄な少年もこの場を去っていった・・。
少年の割りに落ち着いた物腰と、初老の人の頭を右腕に持って・・・。

219 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:27:43 ID:OUgbkf2e0
どうも深夜にしか出なくなっているしぇきです。

今回は、目が覚めたら焼却炉に閉じ込められていた男・・。
木下が消失するまでの話です。

この話から物語が動き出します。
後、最後に出てきた少年は、圭一ではないです。
彼は完全に普通の高校生なので。

>177さん
えっと、推理モノにはなりません。
どっちかいうと、ジェイソンを救いようが無くした感じでしょうか?
ともかくひたすら追われる物の心情ばかり出る話になります。
>新人賞
ありがとうございます。精進します。本当に・・。

>スターダストさん
どうも。間に合いませんでした。オーガさんは。
今回はオーガが死ぬほど苦労して、心が色々動く作品にしたいと思っています。
彼の性格をなるべく壊さずに。

>サマサさん
そういえば、ムウが1つも秘密道具を持っていないんですね?
仮にも警備隊なのだから、ジャンボガンやとか色々持ってそうですが・・。
それにしても、ドラは大長編になると頭がなぜかまわりませんよねw

>スターダストさん
千歳よりも、根来が気になる!
エクセルの種類をなぜか聞くとは!
なにか一人だけ真実が分かってそうな感じです。


220 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:40:44 ID:OUgbkf2e0
あ、木下は、二話で言っていた、授業に来なかった先生のことです。
一応、オーガが英語の木下と言っていますので、
分からなかった人はそういうことです。

>ゲロさん
魔女完結お疲れ様でした。
後、指定されていたサイトを見に行きましたが、本当にネタが広く、
感心するばかりです。

>見てた人さん
わあ〜。としか言えないです。
ともかく人が死なずにこのゲームが終わるのを祈るしか・・。

>NBさん
ハードボイルドには人妻が良く似合う!!
今回の話でイヴの傷心が少しでも癒えるといいです。
にしても、あの婦人はスヴェンに予知目を与えてくれた奥さん?

>邪神?さん
やばい。ロマサガはガキの頃に1を一回やったぐらいだから話についていけてない。
でも、スキルを手に入れれば財宝もゲットできる世界に魅力を感じます。


221 :オーガの鳴く頃に:2005/12/21(水) 04:49:43 ID:OUgbkf2e0
>サナダムシさん
加藤が強くなる!多分、今の状態でも花田やとばよりかはゆうに。
後、このままだと長編ですね。頑張ってください。

>うみにんさん
おお〜。タイムマシンフラグ!!流石です。
ドラの大長編ここに極まれり!!です。

>最後に・・。
本編の最後の意味プーな文章は幼児化を文体で表したつもり?
なものです。
なので、文章の順番や、接続詞はむちゃくちゃにしてみました。

では次はギニュー編で失礼します・・。

222 :作者の都合により名無しです:2005/12/21(水) 13:19:11 ID:uaJhtix30
危機一髪って、なんか魔女の宅急便のキキと交尾するみたいで萌えますね。
それはそうと、るろうに剣心の十本刀の、その後の活躍のSSをどなたかお作りください。
安慈が、食欲や性欲に目覚めて脱獄するとか、そういうの希望します。

223 :作者の都合により名無しです:2005/12/21(水) 14:29:55 ID:1SYzP1ry0
お疲れ様です、スターダストさんしぇきさん。

>ネゴロ
根来、忍者なのに食にこだわるグルメだなあ。鬼平犯科帳思い出したw
一応、役割分担も決まって本格的なチェイスの始まりですね。
しかし、最後のメールは芸が細かいなあ。小ネタの織り交ぜかたとかうまい。

>オーガの鳴く頃に
木下がカイジみたいだ。絶望の気持ちは良くわかります。
長い一日だったんだろうなあ。メシアも大して役に立たなかったし。
壊れていく中で、自分が消えていく木下可愛そう。救いはあるのか?




224 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/21(水) 20:13:31 ID:KneRrOX20
第三十七話「ドラえもん、傷心」

魔城<ガッデム>。その地下の牢屋に仲間たちは囚われていた。牢屋は固く鍵で閉ざされ、見張り番までいる。
とても抜け出せそうにはない。
いや、厳密に言えば抜け出すことはできるだろう。ここには魔法が使える亜沙にプリムラ、強大な風の力を操れる
フー子もいるのだ。それを活用すれば牢屋を壊して牢屋番を倒すまではいけるだろう―――だが、そうしたところで
上がどうなっているのか分からないのでは仕方ない。結局大人しくするしかないのだった。
「あーもう、なんでぼくらがこんな目に会っちゃうんだよ・・・」
「スネ夫!ごちゃごちゃ言っても仕方ねえだろうが!」
「そんなことより、お風呂入りたいわね・・・」
―――その割には意外と元気そうではあった。
「キミたちさあ・・・囚われの身なんだからもっと緊迫感出ないかなあ?」
「うーん、でもおれたち、こういうのも結構慣れてるしな」
亜沙が呆れたように言ったが、ジャイアンにあっさり返されてしまった。
「あっそ・・・」
「はは、それがみんなのいいところですよ。な、みんな?」
「そう!稟さん、分かってるぅ!」
妙な盛り上がりを見せる一同。とてつもない度胸と能天気さだった。だが・・・
「でも・・・おれたち、どうなるんだろ」
フー子は不安げな顔を見せる。
「のび太やドラえもんだってどうなったのか分からないし・・・」
膝を抱えてうな垂れるフー子。そっと、その頭に誰かの手が添えられた。しずかの手だ。
「―――大丈夫よ、フー子ちゃん。のび太さんたちがそう簡単にやられるはずないわ。絶対助けに来てくれるわよ」
「のび太・・・来てくれるの?」
「くるよ」
そう答えたのはプリムラだ。

225 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/21(水) 20:14:12 ID:KneRrOX20
「あの時だって・・・」
彼女の脳裏に浮かぶのは、かつてのあの戦い―――
「あの時だってのび太や青玉は助けに来てくれた。だから今も心配なんていらない。今度だってすぐに助けてくれる
って分かってるもの」
「ああ、そうだな。まだあいつらがいるんだ。諦めるには早いよ」
と、これは稟。
「おうよ!今のおれたちにできるのは、ゆっくり休んで、いざって時の大暴れに備えることだぜ!」
ジャイアンはこんな時でも鼻息が荒い。それが逆に頼もしかった。
<へへっ・・・なんかいいな、お前ら。仲間って感じでさ>
「マサキ・・・お前にはいなかったのか?戦友・・・みたいな、さ」
<え?俺か・・・>
稟の問いに、マサキは少々歯切れ悪く答えた。
<そりゃあ仲のいい連中はいたけどよ。戦争で死んじまったのもいるし、生き残った奴にしてももういないだろうな。
俺が死んだのは数千年前なんだぜ?>
「そっか・・・なんか、悪いこと聞いたな」
<なに、いいってことよ。気にすんなって>
マサキが快活な調子で言ってくれたので、稟は少し気が楽になった。
「おい、貴様ら!うるさいぞ、もう少し静かにしろ!」
と、牢屋番の魔物が怒鳴り散らす。
「どうせお前らはもうすぐオドローム様の生贄にされるのだからな。大人しくしておればいいのだ!」
「へっ、勝手に言ってろ!最後に勝つのはおれたちだぜ!」
ジャイアンが負けじと言い返す。
「ふん、馬鹿が。誰かが助けに来るとでも・・・っ!」
ガツン、と音がして、魔物がぶっ倒れた。後頭部にでかいタンコブが出来ている。ジャイアンたちは目の前の出来事が
理解できなかった。まるで、目に見えない誰かに殴られたかのような・・・。
「助けにきたよ、みんな!」
突然その姿が浮かび上がった。真ん丸い顔に体、まるでタヌキのような姿のその名は―――
『ドラえもん!』『ドラちゃん!』「青玉!」
一斉に声を上げる囚われの面々(但しプリムラだけはやはり青玉と呼んでいた)。

226 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/21(水) 20:15:03 ID:KneRrOX20
「おっと、俺もいるぜ」
ムウがこれまた突然に姿を現した。
「ドラえもん!来てくれるって信じてたぞ。でも、今どうやって現れたんだ?お前やムウさんの姿はどこにも見えな
かったのに・・・」
「ふふ。これさ。<石ころ帽子>!」
「あ、成程!それは被ればその辺の石ころみたいに誰にも気にされなくなるひみつ道具、<石ころ帽子>!それで隠れ
ながらここまで来たんだね!」
「うわあ、なんか不自然な会話。作者の悪意を感じるな・・・」
「気にしちゃダメだよ、稟さん」
「ま、いいけどな」
稟はあっさり流した。彼も結構この面子に毒されてきているようだ。
「さてと、じゃあ牢屋を開けるよ。<万能オープナーひらけゴマ>!」
その名の通りの効果によって、牢屋の鍵は開け放たれた。
「へへっ、ありがとよ、ドラえもん!ところで、のび太とリルル、それにペコは・・・」
「三人は敵を食い止めてくれてる。それはまあ歩きながらでも話そう・・・稟さん、サイバスターはこの近くにある
のかな?」
「さあ・・・俺たちは気付いたらもう牢屋に入れられてたからな」
<・・・あるぜ>
そう答えたのはマサキだった。
「え?マサキ、なんで・・・」
<俺はサイバスターの本家本元の相棒だぜ?少なくとも、近くにあいつがいるってくらいは分かるさ。多分、この城
の中にあるはずだ>
やたら自信ありげなマサキ。あながち単なるハッタリとも思えない。

227 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/21(水) 20:15:47 ID:KneRrOX20
「よし。まずはサイバスターを奪い返そう!」
「おう!けどよ、はっきりした場所は分からねえのか?」
ジャイアンが問い詰める。それにドラえもんは自信満々で答えた。
「任せて、ぼくの道具があれば!・・・えっと、なにかあったかな・・・」
「なんか不安だな・・・仕方ない。ここは俺に任せな」
ムウがモタモタしだしたドラえもんを見かねたのか、自分の懐をごそごそ探る。そして、ボール型の道具を取り出した。
「<迷路探査ボール>!これがあればどんな迷路の地図もあっという間に作って、目的地まで連れてってくれるんだ」
「へえーっ!ムウさんもひみつ道具持ってたんだ!」
感心する一同に、ムウは余裕で笑って答えた。
「ま、俺も一応未来人なんでね。しぇきさんにもタイムパトロールなのにひみつ道具使ってないって言われちまったし」
「・・・・・・」
見せ場を取られて、ドラえもんはかなりショックを受けた。
「ぼくのアイデンティティーが・・・!」
ポンポンと肩を叩かれた。プリムラだった。よしよしと、頭まで撫でられた。
・・・言っておくが、悪気はない。これが彼女の芸風だ。悪気がないだけに余計に傷つく。
「・・・・・・悲しくなるからやめてよ」
そしてドラえもんはモニターの向こうの読者をビシッ!と指差した。
「というわけでみんな!ムウさんはなんでタイムパトロールなのに道具使わないの?なんてもう二度と言わないでね!
ぼくの立場がなくなるから!・・・さ、行くよプリムラ」
「青玉・・・誰に話してたの?」
首を傾げつつ、プリムラはドラえもんに続いていった・・・。


228 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/12/21(水) 20:29:10 ID:KneRrOX20
投下完了。前回は>>118より。
なんかアレな出来です・・・。つうか、まだ超機神が半分もいってないのに次回作の構想が
頭の中でぐるぐる回ってます。まあ全ては機神を終わらせてですが。
ところで新桃太郎伝説、これはスーファミ至上屈指の名作だと思います。
いや、別に関係ないですけどね・・・本当に関係ないですよ?
次回、キラ再登場予定。あの迷言が飛び出す予感。
しかしプリムラにあれだけ票が入るとは・・・そして番外編を面白いと思ってくれた人が意外と多いようで
嬉しいやら恥ずかしいやら。

>>120 グリトニー様はちょっと出ませんねーw

>>126 ジャンプでやってたソードブレイカーという漫画が元ネタです。名前が凄すぎて印象に残って
     ました。

>>ふら〜りさん
ペコは実力的にはチーム最強レベルのはずなんですがね・・・
映画で身をかがめたかと思ったら「今のは転んだのです」のおかげでどうにも抜けキャラのイメージがw

>>129 オドローム撃破後もインフレします。

>>130 それはありがとうございます。

>>しぇきさん
・・・というわけです。ムウがひみつ道具を使うと、ドラえもんが割りを食うので・・・
しかし、オーガ〜は最初ギャグだったのに、いきなりサイコホラーっぽくなりましたね。
どっちかというとそっちの路線でしょうか?

229 :作者の都合により名無しです:2005/12/21(水) 20:34:36 ID:RQcXqnSO0
はいはい サマササマサ

230 :作者の都合により名無しです:2005/12/21(水) 20:38:45 ID:qoUkGk3O0
ドラえもんで視聴者の前の皆!ネタってかなりあるので
日曜日の討論番組に出演して、島田伸介にレポートした、なんて事もありましたが
今回は中々ツボを押さえていてGJ!っす

捕まり慣れてる小学生…
恐ろしいw

次回、ついにあの迷言登場ですかw
楽しみにしてます!本気で!本気と書いてマジで楽しみにしております!

231 :ふら〜り:2005/12/21(水) 23:13:11 ID:LmHXYoTK0
>>しぇきさん
前回を読んで、「これなら、死ぬ前に狂いそーだな確かに」と思いました。精神・肉体
両面において強烈な苦痛ですよね。で場所が場所だからダニー状態な最期かと思いきや
これは……また。こんな世界で、あの勇次郎の心が動いていく? 一体どんな風にっ?

>>NBさん
彼の残したもの……さすがというか、やはりデュラムは見た目の印象ほどチンピラでは
なかったですね。彼の再登場はvsイヴ戦、でトラウマを乗り越えるという流れなのかも。
でスヴェンの過去話とは興味深いところ。ここでのイヴの役どころは二人に嫉妬、かな?

>>見てた人さん
お、ヒロイン登場? 女の子とコンビ組むカイジというのは原作では絶っ対に見られない
でしょうから、これは期待。二人で協力してゲームを乗り切るか、信じて庇って後ろから
刺されるか。泣き落としとか色仕掛けなんかには弱そうな気もしますしねぇ……はてさて。

>>邪神? さん
前からそんな感じでしたが、今回は特にラノベの「フォーチュンクエスト」を思い出し
ました。ゲームの世界のシステムを、生身の人間が生活する中にそのまま持ってきている
感じ。とはいえひたすら強い男たちが続出してて、軟派さを感じさせないのが特徴ですな。

>>スターダストさん
今までの積み重ねがあるから、ちょっとしたことで根来が「可愛い」と思えてしまいまふ。
>貴殿の細い顎では、逆に砕けかねないな
いや〜アンタも冗談言えるのねと肩を叩きたい気分。千歳も千歳で弁当箱を前に自問自答、
反省したり分析したりと急がしく。今回は本格始動前の、ちょっとほのぼの気分でしたね。

>>サマサさん 
そーいえばドラは本来子守り用ロボット。未来人にとっては家電製品(しかも確か不良品)
程度の存在……こほん。今回は久々にプリムラが可愛かったですよ。今回の「青玉!」は
ドラを信じてたこと、その彼が信頼を裏切らず現れたことへの素直な喜びの言葉でしたね。

232 :作者の都合により名無しです:2005/12/21(水) 23:51:37 ID:Ju25+eX10
>スターダストさん
さり気ない描写うまいですね。豆腐食いたくなった。
根来はプロ中のプロって感じだから、問題は千歳ですね。
千歳次第で根来の能力が100になるか0になるか決まる。
コンビプレイ、期待してます。

>しぇきさん
うーん、確かに閉所恐怖症に一発でなってしまいそうなシュチュですね。
絶対に逃げられない空間に閉じ込められる恐怖は確かに恐ろしい。
意識がハッキリしている分、徐々に狂ってしまいそうですね。
最後の3行が意味深ですね。

>サマサ氏
やはり神界に引き続いて、ヒロインはプリムラなんでしょうね。
ひとつひとつの仕草や言動が無垢なお姫様してて可愛い。
しかし、確かに亜沙にプリムラ、フー子、ムウは強力だなあ。
ドラえもんの出番が無くなってしまうほどにw



233 :作者の都合により名無しです:2005/12/22(木) 00:36:45 ID:BNDTUUXZ0
サマサさん、もう完全に神界のボリュームを超えるね。頑張れ。

234 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/22(木) 04:17:32 ID:QBrfy0/W0
<ギニュー編・その2>
〜クレープ基地・生ゴミ置き場〜

面接が終わって二時間後、ギニューは基地の隅っこにある”生ゴミ置き場”に来ていた。

”生ゴミ置き場”

聞きなれない単語だが、要は死んだ兵士を埋葬するまで安置しておく場所のことだ。
フリーザのような奴がナンバーワンに君臨しているだけあって、死んだ兵士を尊重したり、
英雄にしたりすることは無い。
まさに、”死して屍拾うものなし”を体で表したような名前の場所である。

こうしてみると一見必要が無い場所に見えるが、実は他のどこにも無い利点がこの生ゴミ置き場にはある。
それは、ここへ安置されてから5時間以内ならフリーザ軍の科学力を持ってすれば生き返らせることも可能という点だ。
まあ、生き返らせるのには莫大な資産が必要なので、主に生き返らせるのが
替えが効かない隊長クラスになってしまうのが唯一の欠点だが・・。(例:原作のサイボーグフリーザ)

ちなみに今日ギニューがここに来たのも、ヤムチャを生き返らせて特戦隊をより良くする為のヒントを貰う為である。
後、せこいとか、他力本願とか言うことなかれ。
これでもギニューの知能をフルに使った末の答えなのだ。


235 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/22(木) 04:21:28 ID:QBrfy0/W0
「おい。主任よ。ヤムチャとかいう奴は来ていないか?二時間前に死んだ奴なんだが・・・。」
「お〜!ギニュー隊長ですか?珍しいですね!!」
ギニューが言葉を発してから10秒もしない内に、生ゴミ置き場の奥からここの主任が姿を現す。
その体形はいかにも中年男性といった体つきだ。
「いや〜、ギニュー隊長のおかげで、兵士の無駄死にも減りましたからね〜。
仕事量が減るのは残念ですが、いやはや良い傾向ですよ〜。」
彼の常套句なのか、主任は媚を売りながらギニューに話しかける。
「まあ・・な。それはともかくヤムチャという奴は・・・。」
ギニューは調子の良い主任を上手く捌きながら、話題を元に戻す。
どうやらギニューは、この主任のことをあまり快く思っていないようだ。
タイプ的にソリが合わないのは一見するだけで分かるが・・。
「ああ!!はいはい。居ますよ〜!え〜と・・・。確か二時間前の死体は・・・。」
主任はそんなギニューの内心には全く気付かず、胸から小さなディスプレイを取り出して、
パネルタッチの要領で二時間前の死体の検索をし始める。
「お〜!!いたいた・・。ん?あり?」
「ん?どうした?来てないのか?」
ギニューの問いに主任はバツが悪そうな顔で後頭部をいじりながら答える。
「え・・、いや、来るには来ているんですが・・・。」

―――煮え切らない答え・・・。

元々、この主任に対して余り良い感情を持っていなかったギニューは、
面接が上手くいかなかった事の怒りも理不尽に加算して、主任に向かってキレ気味に怒鳴る!
「今日は忙しいだがな!!無いなら無い!あるなら、ある!ちゃんとはっきり言って貰いたいんだが!!」
「ひっ・・・。」
戦闘力12万もの男の怒声。
当然、こんな器の小さい主任程度の人物が耐えられるプレッシャーではない。
主任はちょっとション便を漏らしながら、早口でこう答えた。

236 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/22(木) 04:24:57 ID:QBrfy0/W0
「あ・・。あの!ヤムチャは確かに来ていますが、一つ問題があって、隔離されているようです。
だからしばらくはお見せできない状態でして・・。はい・・・。」
「そうか・・・。で?問題と言うのは?」
ギニューは「最初からそう言え!!」と言わんばかりの顔で返答する。大分不機嫌のようだ。
さすがに主任もその様子に気付いたらしく、先程までのゴマすりモードはどこへやらといった感じで、
”オドオド”となるべく当たり障りが無いように答える。
「そ、そうです・・。ヤムチャには・・。その・・・。」
「なんだ?早くしろ!時間が惜しい。」
「は、はい!!ヤムチャには・・、ちょっと菌がありまして・・。」
「へ?きん?」
ギニューは余りにも意外な主任の答えに一気に顔が三枚目になる。
「いえ。”きん”では無く、菌です。バイキンの菌。」
ギニューが理解していないと思ったのか、調子に乗って軽くツッコンじゃう主任。
「なことはわかっとるわ!!!なんで菌が付いているかを聞いてるんだ!!」
「ひっいい〜〜。す、スイマセン!!調子に乗りすぎました!」
主任はギニューの一喝に脊髄反射の如く、頭をひたすら下げる。
さっきといい、本当にタイミングの悪い奴である。
「まあ、いい。ともかく菌が付いているから隔離しているんだな?」
「は、はい。どうやら、近づいたものを全てヤムチャにしてしまうという・・。」
「・・・。どっかで見たことのあるネタだな・・。」
思わず天井を見上げて、見えない空を空想するギニュー。

―――――そう、空想した空の天気は雲ひとつ無い快晴。

―――――なにかが起こっても可笑しくない天気で在りたかった。


237 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/22(木) 04:27:01 ID:QBrfy0/W0
「・・・・。ともかくヤムチャについては分かった。隔離が解けたら教えてくれないか?俺は隊長室にいるから。」
無駄な現実逃避を終えて、ギニューはこの場から去ろうとする。
「はい。わかりました・・。お!そうだ!!ヤムチャはいませんが、彼の遺品がありますよ。」
思い出したように、主任はギニューへ遺品を持ってくる。
「ったく・・。最初からあるなら渡せ・・、っておい!これには菌が・・・。」
顔がこわばって、顔面蒼白になるギニュー。
しかし主任は、あっけらんかんとした顔でこう答える。
「いや、どうやら生物にしか付着しない菌みたいですよ。検査もしてありますし・・。」
「そ、そうか・・。」
知らなかったとはいえ、ギニューは迂闊にも嫌いな相手の前で顔面蒼白になったことを悔やみながら遺品を漁る。

ガサゴソ・・・。

「ん?こ、これは!!!」
ギニューはある遺品を見て、先程とは違った意味で顔がこわばる。
それもそのはず、ヤムチャの遺品の中にあったモノとは・・・・。
「じゃ、ジャンプではないか!!!ワ〜イ!ワ〜イ!!今週のワンピーチを読まねば!!」
子供のようにはしゃぎだし、”死”が付くほど大好きなジャンプを読み出すギニュー。
もはや嫌いな奴の前だということなどすっかり忘れたようだ。

238 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/22(木) 04:49:16 ID:QBrfy0/W0
「あ・・、あのう・・。ギニュー隊長。よろしければ・・。持っていきます?あるだけ邪魔ですから・・。」
恐る恐る尋ねる主任。
さっきのが尾を引いているのか、ちょっと体が震えている。
「え?マジでもらえるの?本当に?」
ギニューは主任の言葉に子供よりも無邪気な笑みを浮かべて聞き返す。
どうやらジャンプのことになると、性格が変わるようだ。
「え、ええ・・。本当です。どうぞ。遠慮なく・・。」
急変するギニューの様子に引き気味に答える主任。
無論、ギニューはこの答えにテンション全開になり、
「ジャンプが〜♪ジャンプが〜♪待っている〜♪」
と言いながら、一瞬でこの場からいなくなってしまう。
「え?あの人何しに来たの・・?」
ギニューが去って残ったのは、無駄に過ごした僅かな時間と、
主任の気苦労だけだった・・・。

――――――――――――――――
「と、いうことだ!!この修行の意味が分かったかな?隊員諸君?」
「「「分かるかあああああああ!!!!」」」
そして、ギニューの意味の無い回想に、なぜか修業中のジース、バータ、グルドは
一斉にツッコムのだった・・。

その3に続きます。

239 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/22(木) 04:54:26 ID:9Pv4VWIv0
深夜にどうもしぇきです。

はい。意味が無い上に、無駄な話です。スイマセンね。
でも一応、特戦隊が修行する理由に繋がりますよ。
ジャンプが。

>サマサさん
何言っているんですか!!ドラには石頭という最大のアイデンティティーが・・。
あ・・。涙が・・・。ど、ドラえも〜ん!!
と雲の王国ばりの展開があったりして・・・。

あ、後、
ギニューが去って残ったのは、無駄に過ごした僅かな時間と、
主任の気苦労だけだった・・・。
を、

―――そう、ギニューが去って残ったのは、無駄に過ごした僅かな時間と主任の気苦労だけだった・・・。
にします。多分こっちの方が意味が意味が通っているかな?多分・・。

ども、失礼します・・・。

240 :作者の都合により名無しです:2005/12/22(木) 13:03:09 ID:6BEI/ERf0
しぇき氏、毎度夜明け前にお疲れ様です。
ヤムチャを入れたら、足引っ張るだけで全ての作戦を失敗してしまうようなw
それでも何故か、理由はさておきそれなりにギニューには期待?されてるな
あと、ワンピーチ笑った。

241 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/22(木) 16:24:00 ID:gKV+KZe80
scene6 夕凪理沙

 勝たなければ、意味がない。それは、世界の法則だった。
 このホールにいる人々も、それぞれ事情の違いこそあれ、きっと勝利を、賞金を狙っている。
 参加者は、私を含めて総勢十名。まだ、全員の顔と名前は一致しない。
 人間観察に疲れ、一時視線を下に向けた。
 目に飛び込んでくるのは、視る角度のせいかいびつに歪んだナンバー・ワン。
 この『NO.1』と刻まれたネームプレートは、私への皮肉だろうか。
 ……勝たなければ、いけない。否応なく、そんな気持ちにさせられる。
 一年ほど前の記憶が、ノイズ混じりで再生される。
 父が、突然仕事を辞めてきた日の出来事だ。
 父の勤務先が一流と呼ばれる会社だったのかどうか、私にはわからない。
 家は共働きで、母も父に負けない額、いや、もしかするとそれ以上の収入があった。
 だから、特にすぐ財政が傾く――と言う訳ではなかったが
 母親は嘆いた。喚いた。まるで、世界の終わりとでも言うように。
 無職、無職と狂ったように連呼して口汚く罵った。
 そして一通り罵った後は、社会の敗者になってしまう……とさめざめと泣いた。
 数ヵ月後、父は流石に連日続くヒステリーに嫌気が差したのか、あっさりと離婚した。
 その後、私の親権を巡って裁判まで起こったが、法的に男性より女性の方が親権に関しては優先され
 一時的とはいえ無職の父より母親の方に分があるそうで、私は母親と一緒に生活する事となった。
 それからの母親は異常だった。今まで以上に、私に偏執的なまでの拘りを見せた。
 そう。勝てば自慢の娘。負ければ最低の娘。表裏一体となった天国と地獄。
 おかしいのは、わかってる。それでもきっと、私は勝ち続けようと足掻くのだろう。
 おそらくは、家を出て自立するその時まで。
 今回の推理ゲームでも、例外ではない。
 何故か母ではなく私を名指しして招待状が届いた上に、あろうことか、莫大な賞金がついていたから。
 賞金の話を知り、鬼気迫る顔で“絶対に勝て”と迫る母親を見て私は心の中で舌打ちした。
 主催者――母の職場でもある帝愛グループも、つくづく余計な事をしてくれたものだ。

242 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/22(木) 16:25:32 ID:gKV+KZe80
 おかげで私は、私の全存在を賭けて勝者にならなければいけなくなった。大袈裟でなく、命がかかっている。
 演じるのは慣れていた。額に手を当て、見えない仮面をつける。それから、ゆっくり深呼吸。
 …………一回。…………そして二回。
 うん、完璧。私は完璧。ベストコンディション。
 この状況で先ずやるべきことは。当然、情報収集しかない。
 できるだけ多くの参加者に接触して、どういった人物なのか見極める。
 実は、最初に声をかけるべきターゲットはテラーの前口上の時から決めてあった。NO.4、伊藤開司。彼だ。
 というのも、彼は帝愛グループ会長である兵藤の目の前で
 帝愛NO.2の利根川をやり込め、失脚させたという伝説的な逸話の持ち主だ。
 私もママから、彼の活躍を何度か話に聞かされたことがある。
 心理的な駆け引きがメインとなるであろうこのゲームにおいては、彼は間違いなく優勝候補の最右翼。
 なるべく早めに接触して、どんな人物なのか探っておきたい。
 最初は、ちょっと馴れ馴れしいくらいで丁度いい。警戒心を抱かせないように、明るく楽しく元気よく話しか――
 『お話しする時は落ち着いた、やわらかい声で。表情は、決して穏やかな微笑を崩さずに。いい!?』
 突然頭の中で声がして、意識がグラグラと揺らぐ。小学校受験、面接前の、ママの台詞だった。
 ああ、こんな時まで私に話しかけないでよ、ママ。
 私、一生懸命頑張ってるから。私、きっと勝って帰るから。
 『一生懸命、だから何!? 口では何とでも言えるでしょうがっ!!
 あんた、そんなだと負け犬になるよ! 世間様にみっともない姿を晒した、あの男みたいに!』
 また、声がした。話しかけないで……って、言ってるのに。
 邪魔しないでって、言ってるのにっ! しかも、前回より声量がかなり上がっている。
 鈍器でこめかみを押し潰されるような感覚がして、吐き気が襲ってくる。
 もう許して、ママ。結果を出すから。絶対結果を出すから。
 もう一回、深呼吸。平常心、平常心を取り戻さなきゃ。
 ここには私しかいない。ママはいない。いないいないいない。
 うん、大丈夫。私はもう大丈夫。さあ、もう話しかけよう。早く気分を切り替えなくちゃ。
「はじめまして、こんにちは。いよいよ始まりましたねっ」
 自分でも驚くくらい、明るい声だった。

243 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/22(木) 16:26:54 ID:gKV+KZe80
scene7 『犯人』

 仮面の男が壇上から去り、いよいよゲームが開始した。
 私は品定めを兼ねて、ゆっくりとホールを見回す。ターゲットは、九名+二名の、計十一名。
 まだ、時間はたっぷり残されていると言うのに、感情の昂ぶりを制御するのに一苦労だった。
 早く殺したい。早く血を見たい。早く、参加者連中の恐怖に引き攣る表情が見たい。
 しかし、焦りは禁物だ。焦るあまり、こんな楽しいショウを早く終わらせてしまっては勿体ない。
 計画も、いくつかのパターンを想定して、臨機応変に対応できるよう組み立ててある。
 こんな機会は、二度と訪れることはないだろう。一生に一度きりの、血と狂気の宴……!
 目標まで――全員の殺害まで、じっくりと、楽しむこととしよう。

244 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2005/12/22(木) 16:28:20 ID:gKV+KZe80
毎度ありがとうございます。五回目の投下です。
今回は各種サウンドノベル等でも御馴染みの、視点変更……ザッピングです。
時系列が前後していますので、通しで読まないと多少分かり難いかもしれません。
そして、まとめサイト様に本SSが保管されている事に今気付きました。感謝です。

・原作ではメインキャラになりにくい女性
原作では、女性キャラ自体殆ど出ないですからね……
唯一出番があるのが美心。ミココノチカラ。
ううむ。脳内補完ができるのが、文章の利点……ということで。
・完結について
仮に展開が迷走してしまうような事があっても
どんな形であれ、完結だけはさせる覚悟です。はい。
都合により多少日数があくこともあるかと思いますが
がんばりますので、生暖かく見守ってください。

245 :作者の都合により名無しです:2005/12/22(木) 18:54:13 ID:7Q5MxuUH0
見てた人さんお疲れ様です。
理沙は女版カイジ?いや、石田さん的な役回りかな?
しかし、石田さんと違いしたたかですね。
うまく仮面を被れるところが。最後にはカイジすら出し抜きそうな。

お世辞抜きで名作になりそうな予感がしますので、完結お願いしますね!

246 :やさぐれ獅子 〜七日目〜:2005/12/22(木) 18:56:46 ID:DFp2eYB/0
>>154より。

247 :やさぐれ獅子 〜七日目〜:2005/12/22(木) 18:58:11 ID:DFp2eYB/0
 試練は本格化する。
 朝っぱらから、加藤はレスラー系リアルシャドーと対峙していた。
 ボディスラムで砂地に叩きつけられ、フライングエルボーでの追い討ち。みぞおちに肘
が落とされ、加藤が口から胃液をもらす。
「ぐふっ、なんてパワーだ」
 ラリアット、ドロップキックと、プロレス技が次々に繰り出される。エンターテイメン
ト性に特化した未体験技の応酬に、加藤は(相手が視認できない点を差し引いても)上手
く対処ができない。
 だが、加藤とてだんだんとイメージ力は格段に向上している。
 受けた技ひとつひとつから、敵を推測する。ひとつとて材料としない技はない。サイズ、
スタイル、キャラクター、これらを正確に見抜いていく。
「ようやく、分かってきたぜ。てめぇがよ」
 視界に姿を現し出す、刺客レスラー。二メートル近い巨体、巨体を支える太い骨格、さ
ながら小山のようだ。体格に似合う、野太い声が発せられる。
「すぐにぶっ倒してやる、ジャパニーズカラテマン」
「けっ、やってみろや」
「うおおおっ」掴もうと、レスラーが突っ込む。
 すると、加藤は避けようとするばかりか、逆に接近していった。
「バカめ、組み合いでレスラーに敵うとでも──」頭突きが、レスラーの顔面にめり込ん
だ。「ぶおッ?!」
 折れた鼻を押さえ、よろめくレスラー。さらに加藤は急接近する。
「だァ〜れが組み合うかよ。バカヤロウが」
 あとは滅多打ちだった。これまでのお返しとばかりに、空手技を惜しみなく披露されて
ゆく。結局、レスラーはなまじ頑丈なばかりに四肢全てを破壊され、消えてなくなった。

248 :やさぐれ獅子 〜七日目〜:2005/12/22(木) 18:59:15 ID:DFp2eYB/0
 次の刺客はテコンドー系だった。
 芸術的で、なおかつ威力もあなどれない。が、打撃という点で空手と似ているので、比
較的スムーズにイメージを完了できた。
「君を倒せば、武神に認められる。ハァッ!」
 柔軟な体から、かかとが振り下ろされる。テコンドーの必殺技、かかと落とし。
「くっ!」額を割られ、加藤は出血する。
「君の動きは無駄が多い。しかも美しくない」
「ふん、たしかにな。でもよぉ、無駄だろうが、汚かろうと、勝ちゃいいんだッ」
 刺客の足の甲に、かかとを叩きつける。
「ギャアッ!」苦痛に表情を歪ませる刺客。「お、おのれ──うごっ!」
 金的蹴り、炸裂。口角から泡を吹き出しながら、刺客は砂浜に倒れた。まもなく、消滅。

 だんだんと、コツが掴めてきた。
 手技、足技、組み技、締め技、極め技、投げ技──ありとあらゆるタイプの攻撃から、
イメージが可能になった。
 テコンドー系に次いで出現した柔道系リアルシャドーなど、三十秒とかからずに具現化
することができた。
「投げでなく、さっさと手足へし折っておくべきだったなァ。おい」
「ふん、次で決めてやるわい」
 ごしゃっ。
 右ハイ一閃。
 意識を根こそぎ引き抜かれ、砂浜と接吻するよりも先にリアルシャドーは煙と化した。

249 :やさぐれ獅子 〜七日目〜:2005/12/22(木) 19:00:49 ID:DFp2eYB/0
 こうなると、もはや試練などと呼べる代物ではない。ほとんど初弾をもらうだけで、イ
メージが完遂できるようになってきた。加えて、リアルシャドー自体の技量はさほどでも
ないので、なおさらたやすい。
「しゃりあァッ!」
 魂がこもったローキックが、今またムエタイ系リアルシャドーの膝を砕く。
 立てなくなった刺客にも加減せず、つま先を喉笛へ叩き込む。刺客は白目をむき、無念
そうに消滅した。
「へっ、どいつもこいつも大したことねぇ」
 刺客が倒れた地点に、唾を吐き捨てる加藤。すると、密林からドッポが現れた。心なし、
昨日よりも傷が増えている。
「おう、ドッポ。おめぇもリアルシャドーとやらかしてきたのか。大丈夫か?」
 心配ない、といわんばかりに戦いで少々欠けた牙を誇らしげに掲げるドッポ。ぶつ切れ
た唇で微笑み、加藤も力強く親指を立てる。
「ところで、おまえは一体……」神妙な顔つきでドッポに尋ねる。「って、言葉が通じる
わけねぇよな」
 リアルシャドーとの不利な対戦に、早くも光明を見出した加藤。今夜は、昨夜よりも眠
りに入るのが早かった。

250 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/22(木) 19:03:25 ID:DFp2eYB/0
七日目終了です。
シャドー、早くもかませに。

251 :作者の都合により名無しです:2005/12/22(木) 19:07:34 ID:7Q5MxuUH0
お疲れ様ですサナダムシさん。
リアルタイムで読んでましたwちょっと得した気分。
加藤、どんどんと強くなってる気はしますが
今回バキ世界のカマセ、プロレス・テコンドー・柔道だからなあ。
本当に強くなっているんだろうか?
しかし、並のリアルシャドーではもう相手にならないしなあ。

しかし、鬼のように作品が来ますね。しかも良作ばかり。嬉しいです。

252 :作者の都合により名無しです:2005/12/23(金) 09:02:22 ID:7KpBSart0
>しぇきさん
ヤムチャのどこをギニュー隊長は見込んでいるんでしょうか?
戦闘能力も無ければ運も無い男なのに。大物は大物を知るのか?
ところで>>238の「その3に続きます」は書かないか後書きに入れた方が。
あと、うみにんさんのイラストを見ました。可愛いですね。

>見てた人さん
完結宣言嬉しいです。何年かかっても構わないので、是非お願いします。
このスレには1年以上連載している作品はザラですしw
夕凪理沙はヒロインというより、もう一人の主役って感じかな?
名前も人物背景もそんな感じがする。カイジより感情移入出来そう。

>サナダムシさん
リアルシャドーとは思えないほど人間味あふれる残像ですねえ。
加藤を挑発したり、武神に認められようとしたり、生きている感じ。
武神だけでなく、加藤のイメージ力もその域に達したのでしょうか?
でも、そろそろリアルシャドー相手も卒業かな?


253 :作者の都合により名無しです:2005/12/23(金) 15:52:46 ID:ITgmy9EPO
カイジスレから来ました。最近のカイジの引き延ばしに比べ、いいテンポで話が進みとても読みやすいです。
続きが楽しみです。頑張ってください

254 :ドラえもん のび太の天聖道士 37:2005/12/23(金) 17:39:19 ID:tQj7WNz30
>>100より

――――まばゆい光に包まれて、そこには新しい世界が待っていた。

幻想的なオーロラがドラ一行とヤマトを優しく出迎え、そして通りすぎる。
美しいオーロラが通りぬけたその後には、あるいはそれ以上に美しくさえ思える
街並みが広がっていた。新たなる旅の始まりの街である。

「“運命”…―――――か!」
空中から6人を見下ろしながら、ヤマト汎神は独りごちた。
「ゼウス様のおっしゃっていたことは正しかった・・・!」

老神が彼ら神帝たちに告げた聖言が思い返される。
“彼らは運命に導かれし勇者じゃ――――導かずともおのずと辿りつく――――――
お前たちはただ、共に戦い、旅をすれば良い―――――――”

「僕らが導かなくとも―――――自分たちの力だけで近づいているのか。」

――――“共に戦い、旅をすれば良い”―――――

ヤマト汎神の体が再び聖光に包まれ――――元の神帝の姿へと立ち戻った。
そのままフワリと大地に降り立ち、この世界の心地良い風に吹かれながら歩む。
共に戦うべき勇者たちの元へと―――――――
「共に旅立とう・・・世界を救うために・・・・そう――――――――」
ヤマト神帝の表情はいつのまにか、“導く者”から共に戦う迷いなき戦士、いや、
“勇者”のそれへと変貌していた――――――――

「“幽幻界”へ―――――――――!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

255 :ドラえもん のび太の天聖道士 38:2005/12/23(金) 17:40:08 ID:tQj7WNz30
「う・・・ん・・・!?」
「いてててててて・・・助かったのか?」
「こ、ここは・・・?」
ドラえもんが、ジャイアンが、スネオが、頭をさすりながらムクリと起き上がる。
続いて出木杉。そしてしずか。
「今・・・オーロラみたいなのを通り抜けたような・・・まさか天国・・・!?」
「みんな!見て―――――――!」

タイムホールから弾き出された一行は、お互いに無事を確認しあって頷いた。
どうやら彼らは今、小高い丘の上にいるらしい。見上げれば広大な青い空が広がり、
見下ろせば、そこには――――――――
「あれは・・・・」
「エッフェル塔だ・・・!」
エッフェル塔。フランスに行ったことのない者でさえ一目でそれとわかるシンボル。
レンガ造りのかわいらしい家、煙突。雑多ながら均整のとれた美しい街並み・・・・
彼らのイメージするヨーロッパそのものの光景が広がっていたのだった。

「パリだ!」
「間違いない。着いたんだよ!目的地に!」
「でも・・・はたして時代は合ってるのかしら・・・」
「そうだね。念のため、もう少し探索して確認する必要があるかな。
たぶん大丈夫だとは思うけれど・・・」
ドラえもんたちが、笑顔で会話している間、出木杉は一人真剣に考え込んでいた。
おもむろに口を開く。深刻な面持ちでボソリと告げる。
「今度の冒険・・・本当に安全とは限らないよ。」


256 :ドラえもん のび太の天聖道士 38続:2005/12/23(金) 17:41:02 ID:tQj7WNz30
「え?」
「な・・・なんで・・・・?」
突如、不吉なことを言い出す出木杉に、ジャイアンとスネオは戸惑った。
「・・・・僕等はタイムマシンで“出発の時間”に戻る予定だった。」
「そうだけど・・・・」
「だけど、僕らと、ナディア姫を連れて帰ってくるはずだった未来の僕らは・・・・
・・出会わなかった・・・!」
「・・・・ あっ!」
「き、きっとオレたちが出かけた後に戻ったんだよ。」
「まあ、あそこでナディア姫に出会っていたら、僕らが過去に行く必要が
なくなっちゃうからね。あえて時間を少しズラしたのかも・・・と思いたい・・・」
最後は自信なさげに、思わず小声になってしまうドラ。で―――――
「とにかく油断は禁物かもしれない、ってことを頭に入れてくれてればいいよ。」
「わかった。出木杉くん。よし、みんな!くれぐれも軽率な行動は控えるように!」
『はーい!』
改めて気を引き締める一行。――――実はその後ろにさりげなくヤマト神帝が
チョロチョロ存在をアピールしているのだが、なぜかまだ誰も気付いていない。

「ところでさっきから気になってたんだけどさ。さっきから・・・・」
ようやく違和感に気付いた出木杉がポツリと呟いた。ヤマトはようやく気付いて
くれたのかと、うんうん頷きながら、笑顔でみなの前に歩みでようとした。が。
「・・・のび太くんがいないんだけど・・・。」

『なんだってー!?』
一行全員驚きの絶叫。予想外の言葉にヤマト神帝もいっしょになって驚いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

257 :ドラえもん のび太の天聖道士 39:2005/12/23(金) 17:43:40 ID:tQj7WNz30
闇が広がる。のび太は今、闇の中に倒れていた。
闇の中、目覚める。闇のままに視界だけが開ける。

(う・・・ん・・・また・・・この変な感じ・・・・・)
ここ最近、深い眠りにつくたびに見る夢。やけにリアルな実在感とともに。

(ヒッ・・・!?)
小さく悲鳴をあげる。なにか異形の者と目が合った、いや、合ったように思えた。
のび太の眼前に突然、巨大な眼が現れたのだ。あわてて後ろに遠ざかるとかろうじて、
その巨大な姿形の全容が見えてくる。
(なんだ・・・?あのでっかい塊は・・・?・・・“亀”・・・・・・?)
“亀”――――それは巨大な亀であった。地に描かれた六ボウ星から光が照射され、
亀はその中を浮いている。良く見ればそれは巨大な立体映写のようなもののようである。
そして、さらにその亀の上に浮かぶ、やはり巨大なもの。大地。大地が浮かんでいる。
そう。それは大地そのものであった。土が、山が、緑の森が、水が、絵画を切り取った
かのように形を成して、亀の上に乗っているのだ。

まるで呪文のような奇妙な声が聞こえる。
「ズンベラズンベラズンベラズンベラ…ズンベラズンベラズンベラズンベラ…ズンベラズンベラズンベラズンベラ…」
亀を前にズンベラズンベラと一心不乱に不気味な呪文を唱え続ける黒いフードの男がいた。
暗黒の邪教徒。のび太の脳内に、そんなフレーズが浮かんだ。

男は切れ長の目。ほほのこけた端正な顔立ち。鋭い牙を覗かせた口元には真っ赤な口紅が
薄くひいてある。黒いフードを目深にかぶり、頭上には暗く輝く六ボウ星が浮かんでいる。

258 :ドラえもん のび太の天聖道士 39続:2005/12/23(金) 17:44:37 ID:tQj7WNz30

「超魔道王様、」
背後で別の声が聞こえた。黒フードの邪教徒に向かって跪く大柄な男。
黒いマントをまとい、顔にはベットリと奇怪な、そして不快なペイントが施されている。
超魔道王と呼ばれた邪教徒は祈りをやめ、男を静かに一瞥し、厳かに問う。
「ムササビ道士か。何用だ・・?」
「銭高のやつ、やはり召集に応じませぬ・・・」
「そうか。この“道王”の名を聞いてなお従わぬか。」
にわかに血走った目でギロリと睨む。
「ならば・・・消せ・・・・・・!目障りな港雲と金もろともだ!」


259 :ドラえもん のび太の天聖道士 40:2005/12/23(金) 17:52:54 ID:tQj7WNz30
「しかし、私一人の力ではさすがに道長クラスを3人同時には・・・
その上、仙人ジジ助らも加わってくるやもしれませんし・・・」
「実験代わりに新開発の凶暴キョンシーを数体使ってもかまわん。」
その言葉を聞いて、ムササビ道士はニタリと嫌らしい笑みを浮かべた。
それを見た超魔道王もまた、薄く笑う。
「ふ・・・最初からそれが目当てだったのだろう・・・?」
超魔道王は薄く微笑むと、おもむろに黒衣を翻しながら振り向いた。大仰に
ムササビ道士を正面から見据え、その眼にギらつく狂気を漲らせ、声高に叫ぶ。

「見ろ!呪われし悪魔どもの憎悪を!」
超魔道王が左の壁に向かって手をかざすと、幕が降り、新たな空間が露になった。
ムササビ道士の表情が歪んだ歓喜の色に染まる。低い不気味な唸り声と濃い死臭。
闇にらんらんと光る無数の虚ろな眼。生ある者の血肉を求めて蠢き、悶え苦しむ
死霊どもの巣窟がそこにあった。

「見ろ!憐れなる獄炎の覇者の生への渇望を!」
再びバサリと黒衣を翻し、超魔道王が右の壁に向かって手をかざすと、やはり幕が
降り、新たな空間が露になる。そこには黄色いお札が張り巡らされた一隔があった。
闇の法術によって封印された“それ”は赤く不気味に脈打っている。
「おお、その赤く脈打つ巨大な心臓は・・・・ついに動き出し始めましたか。」
「完成にはまだ、しばし時間がかかる。一人でも多くの暗黒の法術使いが必要なのだ!
協力を拒む者は殺せ!一刻も早く精霊界層を滅ぼすべく、この怪物を解き放つのだ!」
ムササビ道士の頬を大粒の冷や汗が伝う。
(恐ろしい方だ・・・本当にこれほどの化物のキョンシー化を成功させるとは・・・・
・・・精霊界層に眠っていた古の炎の巨人、“巨神兵”!)
ムササビ道士の流した汗がひく間もなく、超魔道士の狂気は今まさに絶頂に達し
始めていた。再びムササビ道士に背を向け、ホログラムの巨亀の向こうに透ける
正面の壁に手をかざす。その両手に黒き魔力が、法力が高まる。


260 :ドラえもん のび太の天聖道士 40続:2005/12/23(金) 17:53:46 ID:tQj7WNz30

「見ろ!至上未曾有の大悪魔のその御姿を―――――――!」
絶叫の中、中央、大亀のさらに奥の壁に空間が生まれる。中に現れたのは――――――
亀にも劣らぬ巨大な石碑だった。石碑の全面にはレリーフが刻み込まれている。
耳まで裂けた分厚い唇。道化のような丸い鼻。まるで道化そのもののような姿形ながら
それに似合わぬ鋭い邪悪な眼。単なるレリーフとは思えぬ圧倒的な負の圧力。
この邪教徒の信奉する暗黒神かなにかであろうか。

ムササビ道士はブルブルと奮える両腕をせいいっぱいに広げ、感嘆の吐息を漏らした。
「おおおお、これが噂に名高い最強最悪の悪魔、“魔偶王”――――――――――――」
「天聖界との最終決戦に向けて必要な力だ。絶対に探し出さねばならん・・・!」
「そ、それほどの悪魔が、あのちっぽけな星に宿っているとは思えませぬな・・・。」
「ふ・・・闇の時代復活の時は近い―――――・・・!」
再び亀に向かって祈りを捧げ始める黒き狂信者。

その眼前にそびえたつ醜い道化のような姿形ながら、凄まじいまでの迫力を持った
巨大な悪魔のレリーフ。のび太は吸い込まれるようにその悪魔の芸術を覗き込んだ。
耳まで裂けた凶悪な唇。見る者全てを心の芯より凍てつかせる魔性の眼。のび太は
その恐ろしい瞳を直視した瞬間―――――その場に気を失ってしまった―――――――――

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

261 :ドラえもん のび太の天聖道士:2005/12/23(金) 17:56:19 ID:tQj7WNz30
今回分終了です。次回は年明けになるかも・・・

【補足】
黒幕の陣営がようやくチラリと出てきましたが、超魔道王は前回後書きで書いた通り、
読む際の区切りは「超・魔道王」ではなく「超魔・道王」となります。道王の「道」は
「道士、道長」の「道」。つまり「道士の王」という意味です。ちなみにキョンシー退治
などを生業としている道士たちですが、道士の長が「道長」。来来キョンシーズで言うと、
港雲道長がこれに当たります。

師匠である金じいさんよりも実力が上と豪語し、実際に港雲と互角っぽい実力の持ち主である
銭高道士などのように、実力があっても悪の道士に道長の肩書きを持つ者はいない様子です。

【ヤマト神帝の名誉回復】
できませんでした。ごめんなさい。

【ネタバレ注意】
超魔道王の正体に関してはわかる人はもうわかったと思います。超魔道王に関しては
ネタバレしても特に問題ないのでヒント。「超魔」を英語っぽく変換すると・・・?
魔偶王はそのまんま、ビックリマンで天聖界を一体で壊滅状態に追い込んだあいつです。

【訂正】
それと、オクで購入したナディアの資料(ロマンアルバム)がようやく届きました。
前回の「ニュー・ノーチラス」を「N-ノーチラス」に訂正します。申し訳ありません。

262 :ドラえもん のび太の天聖道士:2005/12/23(金) 18:08:25 ID:tQj7WNz30
そんなこと言ってる間に「港雲」→「浩雲」に訂正です。すみません・・・

263 :ふら〜り:2005/12/23(金) 20:10:36 ID:o36pX5UM0
>>しぇきさん
まぁ今更、ここのギニューがジャンプではしゃぐ程度のことでは驚きませんが。しかし
そのヤムチャ菌(仮称)、効果のほどによってはシャレにならん脅威というか兵器に
なりますぞ。もしかしてスポ根、ラブコメと来てパニック映画路線ですかしぇきさん?

>>見てた人さん
嬉しいなぁ。カイジが、こういう風にきちんと褒められてるのは。そう、彼はそれほどの
男っ! で、ゴキブリホイホイ並にベッタベタなのは承知の上であえて言いたい。きっと
カイジはこのゲームの中、彼女の心の氷を溶かす! ……いやむしろこれ、死亡フラグ?

>>サナダムシさん
武神の意図は不明ですが、これって自動的に、目潰し喰らった時の訓練になってますね。
無論、各格闘技に対する洞察・分析の深さと速さも鍛えられるわけで。見えない相手の技
が把握できるなら、見える相手なんて楽勝のはず。加藤は多分、自覚以上に強くなってる。

>>うみにんさん(ドドリアのテレっぷり、読んでた時のイメージ通りでした。可愛い♪)
豪快に忘れ去られた主人公哀れ。ヤマトの現状はもはや彼の持ち芸として定着してしまっ
たような気がする。そんな中、来ましたねぇ敵組織中枢。巨神兵のキョンシー……あの
図体であの顔で、キョンシー跳びなんかやられたら、かなり独特な意味で怖過ぎですよ。

264 :作者の都合により名無しです:2005/12/23(金) 21:19:09 ID:Gf5oUni40
巨神兵キタコレwww
強そうなのがいっぱい出てきてワールドが広がってますなあ。
ヤマト神帝の扱いがなんかイイ!

265 :作者の都合により名無しです:2005/12/23(金) 21:49:00 ID:Tc+YoQjY0
ヤマト神帝、確かアニメではヘッドロココを
差し置いて主役だと記憶してるけど、このSSでもゲストキャラの中での
主役級ですか。それにしても物語がどんどん動いてますなあ。
前作を超えるほどの中身とボリュームになりそうな気がする。

266 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/24(土) 00:05:02 ID:33VAMJ/X0
【聴】きく
戦団には犬飼という、根来と同い年(二十歳)の青年がいる。
普通、これぐらいの歳の若人なら大抵は大学生活を満喫している。
夜ともなればチャンネーをはべらせてザギンでワッハッハッハとスーシーを喰いたくってもいる。
んでまぁ、自宅にてチャンネーに擦り寄られ「大好き(はぁと」などと囁かれ、一種の酩酊状態
になって、あとはもう、乱痴気である。
その瞬間は、入籍だの養育だの、大好きっつー言葉が一過性のものに過ぎず、冷めてしま
えば修羅場の火種になりかねない危険な物だとか、あと、裏庭で伸び盛って今にも電線を寸
断しそうな柿の木の始末だの、諸々の処理すべき現実的課題などは鎌首をもたげる情欲の
向こうに吹き飛ばすのが常なのだ。
そこでグっとこらえてチャンネーが帰った後に片栗粉Xでも使えば、前述の問題はまず回避
できる。柿の木に片栗粉Xを撒けば、伸び盛った枝葉はみるみるうちに枯れ果てるからだ。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。柿の木めが枯れおった。まだまだ未熟じゃのう」
と祖父がやっていたから間違いない。
その後、柿の木の撤去の為に電力会社から来たという、年配の作業員の方が呟いた。
「うぬらの秘儀、とくと見せてもろうた!! 返礼としてその素ッ首、叩き落してくれようぞ!
見よ! 見よ見よ見よ! 我がモヒカン剣法はっ、三里先の烏も屠る大奥義ぃー!!」
彼は三尺五寸ばかりの日本刀をきらり抜きつれ飛びすさり、ああっ、モヒカン剣法! なんと
いう魔剣であろうかッ!! 
筆者の眼前に銀光がぴかぁっと一閃するやいなや、あわれ祖父の生首は青空に舞───
…………日記はチラシの裏にというのが昨今の2chにおける全体的な風潮であり、筆者が
敬愛してやまぬ熊先生も声高に主張しているゆえこれ以上は避けるが、ともかく、そういうド
ラマと消えない悲しみを内包した片栗粉Xを使えぬのは人間の、いや、粘膜が湿り始めたオ
スとメスの難しさといえるだろう。
しかし犬飼は違う。
せいぜいが、夜の奥多摩の更に山奥で、飼い犬相手に犬笛を吹いて喉笛を掻き切られるの
が精一杯。甘く切ない体験など一切ない。
根来も然り。
そういう甘やかなる感情があるかどうか、千歳には見当がつかない。

267 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/24(土) 00:08:15 ID:33VAMJ/X0
更に分からないのが、彼の「ホムンクルスが工場にいる」という言だ。
実際の所、頭を悩まして考えるよりは根来に直接聞いた方が早いだろう。
というコトで、千歳は根来に電話した。彼が携帯電話を持っているのは忍者じみた風体から
すれば以外だが、昨今の情報化社会をかんがみれば、戦団からの支給品として根来が持っ
ているのは当然といえよう。そして番号の方は、任務を仰せつかった時に聞いている。
で、かけた。出た。犯人が誰か知っているならいうよう促した。
「貴殿が気づいていないのならそれで構わぬ。既に奴の監視に移っているが、私の見立てが
外れていれば、貴殿は要らざる先入観に振り回されるだろう。確実性を重んじるのならば、
平素と同じくやればいい。ただしホムンクルスの件、ひとまず大戦士長の方には報告しておいた」
手短に答えられた。
(一理あるわね)
千歳は携帯をぱちりと閉じると、先の考え通り行動するコトにした。

人が入り始めた食堂や、まだ仕事をしている人間のいる事務所は事情聴取には不向きだ。
よって、高峰という、麻生工場長を最後に見た男性への事情聴取には工場長室を借りた。
ここならば人払いが容易にできる。
しかし高峰も第一発見者になったという程度の立場なので、事件について新たに分かったコト
は特になかった。ひとまず、何か思い出したら言うよう頼み、次に事務所で働いている人間た
ちの細かな情報を伺った。
「え、事務所だけでいいですか。必要だったら工場の方の人も」
「いいの。私の同僚の口ぶりだと事務所だけでいいはずだから…」
工場内(事務棟と工場は実際離れているが、便宜上ひっくるめてある)にホムンクルスがいる
といった根来だが、千歳とまったく別行動を取っていたワケではない。正確には、食堂に行く
僅かの時間、彼がどこで何をしていたかは分からないし、彼の聴覚はズバ抜けているから、
千歳の思いもよらぬ情報を掴んでいるかも知れないが、千歳の目や手の届く範囲で、ホムン
クルスに通じる証拠を掴んだ可能性の方が高い。と考えるのが普通だろう。ならばと千歳、
まずは事務所の人間から調べるコトにした。

268 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/24(土) 00:08:45 ID:33VAMJ/X0
「……まさか。麻生部長を殺した人がここにいるんですか」
どうしていいか分からないといった感じで、まだ若くて抜け毛の心配もしなくて済みそうな高峰
はぼつぼつと事務所で働いている人間について話し始めた。
以下はそのメモ。

・事務所で働いているのは、根来と千歳を除いて全部で6人。工場長は時々顔を出す程度。
・↑はこれくらいの規模の工場では少ないようだけど、部品の納入や製品の出荷といった重
要で負担の多い業務は、工場に設けられた事務所(社員の間では略して『工事』と呼ばれて
いる)でやっているので、こちらの事務所ではそれ以外の、経理や事務といった作業を細々
とやっている。よって6人でも今の所はどうにか手が回っている。
・働いている人間の名は、以下の通り。

天倉 啓 … 副部長。主な担当は外部倉庫の管理。『工事』から一時的に預けられた部品
や製品をチェックし、そこから工場に送る物があればトラックの手配をする。外部倉庫の賃
貸料の支払いも彼の名義で、条件のいい倉庫を探すのも彼の役目。麻生部長との仲はご
く普通の上司と部下。ただし、麻生部長亡きいま、部長に昇進できるのも彼である。

立花 無月 … 主任。給与計算を担当。なので麻生とは、残業についてコトある毎に対立
していた。酒席において何度か気息奄々で穏やかならざるコトを口走り、それが元で一時は
警察に疑われていた。しかしアリバイがあり、警察からの嫌疑は晴れている。

高峰 純正 … 麻生部長失踪の第一発見者。普段は、生産に必要な部品に対する、実際
の部品の多寡を調べている。麻生とは個人的にも親交があり、一見すると仲は良かった。

雛咲 久美 … 事務員。伝票処理を主に担当。よく仕事が辛いと愚痴をこぼすのが癖。    ロ
千歳を食堂に案内した女性。高峰の言では麻生に対しては片思いしていたのではないかと  ゴ
いう。                                          影抜忍者出歯亀ネ

269 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/24(土) 00:09:49 ID:33VAMJ/X0

久世屋 秀 … 事務員。取り立てて特徴のない、平凡な社員。しかし子供っぽい外見の割
りには手堅く事務作業を片付けていくので、その辺り信頼は厚い。麻生からもひどく信頼され
ていて、良く応えていたらしい。

桐生 亜佳音 … 事務員。といっても今年女子大を卒業したばかりの新米で、よく失敗を
やらかす。そのせいか8月になってもまだ研修中で、電話番や掃除をやっている。何か失敗
した時には麻生が何かとかばっていたから、彼女はひどく尊敬していたようだ。

以上のメモをまとめると、千歳は気づいたコトを率直に述べた。
「…ところで、課長さんはいないのね」
「あ、課長はここだけの話ですね」
高峰がいうには、少し前まで逢坂という課長がいたのだが、会社の金を使い込んでいたのが
バレて、首になったらしい。
生前の麻生は、人材発掘に人一倍熱心だったから、後任を誰にしようか張り切っていたが、
決まる前に例の事件が起こり、今も後任が決まらず、空白となっているらしい。
「そういえば、逢坂課長を一番怒っていたのは麻生部長でしたが……」
だとすると、怨恨を抱く動機にはなりうる。
千歳も気になったが、しかしその逢坂が犯人だとすると、根来の「ホムンクルスがいる」という
言とは食い違ってしまう。根来が午前中に見た人間のほとんどは、千歳が見た人間である。
だから逢坂という、既に会社をクビになって姿かたちも見えない人間は、千歳の前提からは
大きく外れている。
思慮に沈みかけた彼女の前で、高峰はハっと大声をあげた。
「あ! そうだそうだ。千歳さん。さっき何か思い出したらって言われましたよね。実はですね。
最近、夕方になると山の方から奇妙な声がするんですよ。鳥みたいな、人間みたいな不気味
な叫び方の。みんなは事件とはあまり関係ないって言うんですけど、調べられますか?」
千歳は頷いた。

270 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/24(土) 00:11:43 ID:33VAMJ/X0
いよいよ今日はイブですが、この時期のハンバーガーショップは行かない方が吉。
チキンの注文がやたら多く、フライヤーで2〜30本同時に揚げたりしてしまうので、平素
きれいな油が200度近くのフライヤー、イブだと重油みたいな色で大体130度。ポテトを4分つけても生揚がり。
ハンバーガーもひどい。注文がやたらめったら多いものだから、肉(パティとかミートとかいう)
を焼くグリドルには、焦げたり生焼けの肉片がびっしり。不気味極まる発ガン性物質の温床です。
だから行かぬが吉なのです。
歯医者へ行って整体へ行って温泉へ行って、ししゃもかじりつつ武装錬金を読むのが、吉なのです。

しぇきさん
根来がどうしてホムンクルスに気づいたかは、最後の方で。ただし、描写を間違っていなけ
れば、今まで書いた部分を読んでも合点がいくようになってます(多分)。非情にベタな理由ですが。
エクセルについてはその内。あれはいいソフトですよね。星のカービィスーパーデラックスの次に好きなソフトです。
>オーガの鳴く頃に
間に合いませんでしたか… 「あとちょっとで助かるのに助からない」ってシチュは、非情に恐ろしいです。
ところで、以前の”熱い”はこういう理由だったのですね。なるほど。
こういうミステリアスな相手に、オーガはどう立ち向かうのか、気になります。
>それゆけフリーザ野球軍
主任もギニューも当たり前のように「菌」の存在を受け止めてますが、ついにそんな得体の
知れん物まで発するようになったヤムチャが不憫で不憫で…w ああ、彼が名誉を挽回でき
るのはいつの日か。彼に関しては活躍があってもなくても、おいしい位置ですよね。

271 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/24(土) 00:12:47 ID:BPq4jYno0
>>223さん
ありがとうございます。おかげさまでどうにか中盤です。序破急でいうなら、「破」の部分。
展開していく部分です。色々描いた謎が薄皮を剥ぐように解かれていき、千歳が核心に迫っていきます。
いけたらいいなぁ。鬼平犯科帳はいつか読んでみたい作品ですね。料理がおいしそうって評判ですし。

ふら〜りさん
ありがとうございます。本当は「電車の中から始めて状況説明を付記してく形のがコンパクト
で良かったんじゃあ?」とか思ってましたが、積み重ねになっているとすれば嬉しい限り。あ
あいう微妙な変化というか意外な反応は、描きがいがありますね。原作に沿えているかは分かりませんが……

>>232さん
ありがとうございます。冬に食べる冷奴も乙ですよ。ダシがたっぷり染みた湯豆腐を、はぐはぐ
と熱を持て余しつつ食べるのもまた。千歳と根来の連携は、何としても描きたい部分ですね。
ただそれを、どう理由付ければいいかしばらく試行錯誤しそうです。結果次第では、血が流れるかも。

272 :作者の都合により名無しです:2005/12/24(土) 08:34:32 ID:PZQu+tSq0
【聴】きく とかは、パートタイトルですか?凝ってますね。
いよいよ登場人物のファイルも揃って、本格?的な推理や、
チェイスが始まりますね。
でも妙な声とかが聞こえてきたりして、新たな事件へ発展?
まだまだ一波乱二波乱ありそうですね。期待してますよ!


今宵は、皆さんの作品がいくつ来るのかなあ?
特に予定がない俺は待ってますw

273 :黄金時代番外-終わりの始まりと始まりの終わり-:2005/12/24(土) 19:35:16 ID:wigUr9xL0
雨が降っていた。
泣き女の涙のようにしとしとと降っていた。

壮絶だった。
漆黒の冥闘士が大地を侵し、それを聖闘士の鉄拳が切り裂く。
敵も味方も命を散らして消えていく。
神と神との戦い、聖戦。

皆、死んでしまった。

「シオンか?」
「生きていたのか、童虎」

生存を喜び合う余裕は、流石の黄金聖闘士と言えど無かった。
二人とも座り込んで、ぼうっと屍山血河を見ていた。

「…逝ってしまったな」

ぽつりと童虎が漏らした。
ほーっと、長いため息を吐いて、シオンも言った。

「ああ、皆、逝った」

274 :黄金時代番外-終わりの始まりと始まりの終わり-:2005/12/24(土) 19:35:56 ID:wigUr9xL0
108の魔星を守護にもち、ハーデスの守護の下、死を恐れぬ冥闘士は強敵だったが、
聖闘士は果敢に立ち向かった。
数十名もの冥闘士を道連れに逝ったタウラス。
冥界三巨頭の一人を打ち倒して逝ったジェミニ。
アテナの盾となって死んだキャンサー。
まさしく獅子奮迅の戦いの果てに散ったレオ。
ヒュプノスとタナトスを封じる為、笑って捨て駒となったバルゴ。
孤立した聖闘士の一団を助ける為に孤軍奮闘し、果てたスコーピオ。
ハーデスの秘密を暴く為斃れたサジタリアス。
最期まで陽気に振舞い、皆を奮起させたカプリコーン。
聖域に迫る冥闘士への最後の壁となったアクエリアス。
冥闘士の魂を封じる結界を守り通したピスケス。
皆、散った。

「俺たち、だけか…」
「…そのようだな」

二人の憧れたセダイラも、逝った。
最期を看取ったのは他ならぬ彼らだった。
結局、二人とも彼女の素顔を見ることはできなかった
最期の最期まで二人の世話を焼いていた。

「嘆いているヒマがあったら、前を向いて、立ちなさい、ふたりとも…」

そう言って事切れた彼女に、童虎もシオンも、不思議と涙は出なかった。
あまりに多くの仲間が死んだため、麻痺してしまったのかもしれない。
今となってはそれが無性に腹立たしかった。


275 :黄金時代番外-終わりの始まりと始まりの終わり-:2005/12/24(土) 19:36:39 ID:wigUr9xL0
「天も…」

枯れた童虎の声に、シオンは振り向いた。

「天も涙を流しているのか…」
「…敵も無く、味方も無く、平等に、か」

戦場が熱気から醒めていく。
漂う戦士たちの魂が天へと昇って消えていく。そんな情景をシオンは幻視した。
冥闘士の魂を封じるためのアテナの結界が薄れていくのを感じる。
それが、戦いが終ったのだという証。
79名もの聖闘士の内、生き残ったのはただ二人。
聖闘士以外の雑兵や聖域各庁の職員など
関係者も含めれば聖域は死んだ訳ではないといえ、聖域の戦力は喪われた。
冷静にそんな事を考えていたシオンは、馬鹿らしくなって天を仰いだ。

「おい、童虎、空…」

未だに雨は降り続けている。
だが、雲間から陽の光が地上をやさしく撫でていた。


慰めるように、励ますように、叱咤するように、二人の憧れた彼女のように…。


276 :銀杏丸:2005/12/24(土) 19:40:46 ID:wigUr9xL0
皆様方、覚えていらっしゃいますでしょうか?
お久しぶりです、銀杏丸です
色々ありましたが、無事、内定なんとかなりました♪

今回は黄金時代最終話案の一つだった回なので番外です
時期的には243年前の前聖戦終結直後です
終わりは突然、始まりは唐突に、そんな寂寥感をと思ったんですが
よく考えたらエピソードG3巻だったか2巻だったかのカラーページと被りまくりでした…
では、またお会いしましょう

277 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/24(土) 22:17:05 ID:98lLz41a0
第三十八話「キラ御乱心」

「ところでよ、ドラえもん。あのオドロームってのや、この世界って、結局何なんだ?」
道の途中、ジャイアンがそう聞いてきた。他のメンバーも興味深そうにドラえもんに視線を集中させる。
「そっか。そう言えばまだ話してなかったよね。実は・・・」
ドラえもんは歩きつつ答えた。この世界が<夢幻三剣士>という未来のゲームの世界であること、オドロームはその世界
の悪の親玉であること、それを倒せるのは白銀の剣だけであること、そして、このゲームにかつてジャイアンにスネ夫、
しずかも参加していたことなど・・・。
「あ、そう言われればそんな夢を見たことがあった気もするな・・・つうか、勝手にそんな夢見させてたのかよ・・・」
ジャイアンがジト目で睨んでくる。
「ご、ごめん・・・」
「ちぇっ、まあいいけどな。で、白銀の剣ってのは、今のび太が持ってんだな?じゃあ問題ないじゃねえか」
「確かにね・・・けど、オドロームの力は以前より強くなってる。ぼくらも出来るだけのフォローをしないと・・・」
「そうだな。お、ボールが止まったぞ」
そこにはだだっ広い空間が広がっていた。その中に佇む巨大な影―――
「あった!サイバスターだ!」
「よし!早速<復元光線>か<タイム風呂敷>で直して・・・あれ?」
サイバスターには損傷が見当たらなかった。アカシック・バスターを跳ね返されて、大きなダメージを被ったはずなのに、
まるで綺麗なものだったのだ。
<あ、サイバスターには自己修復機能もあるからな。時間さえ経てばよっぽどぶっ壊れてねえ限り大概の故障は直っちまう
んだ。便利なもんだろ?>
「・・・あ、そ。それはよかったね」
ひみつ道具を使う機会をまたも潰され、ドラえもんはまたもむくれた。
「そう怒るなって。よし、じゃあ早速のび太たちを助けに・・・」
その時だった。コツ・・・コツ・・・と、背後から足音が聞こえてきたのだ。
「うふふ・・・残念ですけど、行かせるわけにはなりません。ここで足止めさせてもらいますわ」
軽やかにすら聞こえる女性の声が響き、その正体がはっきりした。


278 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/24(土) 22:17:49 ID:98lLz41a0
「・・・ラクス・クライン!」
「あら、覚えてくださったのですね。光栄ですわ。うふふ・・・そうそう、お友達が来てますわ。挨拶をなさったら?」
「お友達・・・だって?」
「ええ。あなたたちもよく知っているあの人ですわ・・・」
ラクスは艶然と微笑む。
「さあ、出てらっしゃい・・・キラ!」
「キ・・・・・・キラ、だって!?」
驚愕する一同。その目の前に、どこからか一人の少年が現れた。
「やあみんな、久しぶりだね」
少年―――キラはやたらにこやかに応じる。一見、何の異常もなさそうなその様に、ドラえもんたちは違和感を覚えた。キラ
の顔には、どこか狂気染みた気配がこびり付いていたのだ。
「てめえ・・・キラに何をやったんだ!」
ジャイアンが喧嘩腰で怒鳴りつけるが、それにもラクスは動じた様子もない。
「キラですか?ふふ・・・彼はわたくしのお人形さんになってくださっただけですわよ?」
「人形・・・まさか、洗脳したのか!」
「洗脳だなんて、人聞きの悪い。ただ、歌を聴かせてあげただけですわ?楽しい楽しい歌を・・・」
「うるせえ!このクソ女っ・・・!」
ジャイアンは激昂し、ラクスに掴みかかろうとした。だが―――
「うっ・・・!?」
彼の腕は横からのびてきたキラの手に掴まれていた。そしてそのまま捻りあげられ、その身体は床に叩きつけられる。
「やめてよね・・・そんな汚い手で軽々しくラクスに触らないでくれる?」
キラの顔には、異様な冷たさが漂っている。以前には絶対に考えられなかった表情だ。
「く・・・くっそお・・・キラ、なんでこんな・・・おれたち、友達じゃねえか!」
涙さえ浮かべるジャイアンに、キラはさらりと答えた。
「うん、君たちは確かに友達だけど、ラクスを傷つけるなんて許せないじゃない?まあ、この手は離してあげるよ」
キラは手のスナップでジャイアンの身体をドラえもんたちの方へと転がすように投げつける。ジャイアンが苦痛で
うめいた。

279 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/24(土) 22:18:31 ID:98lLz41a0
「ジャ、ジャイアン、大丈夫!?」
「ああ、おれは平気だけど・・・くそお、キラの奴、あっさり洗脳なんかされやがって!」
「うん・・・キラのあの言動、明らかに正気を失ってる!」
「洗脳だとか、正気を失ってるとか、酷いよみんな。僕はただ、ラクスのために戦ってるだけなのに・・・」
<だから、それが洗脳で、しかも正気を失ってるって言ってんだよ!>
マサキが堪りかねて怒声を上げる。だがそれに、キラは悲しそうに俯くだけだ。
「みんな・・・どうして分かってくれないんだ!仕方ない・・・なら僕は、君たちを討つ!」
「な・・・なんでそうなるの!?明らかに思考回路までおかしくなってるじゃない!」
亜沙も悲鳴にも似た声で叫ぶ。キラのあまりの変貌振りに、うっすら涙さえ流している。
「おかしいのは君たちだよ。ラクスはこんなに頑張ってるのに・・・ラクス、もうどうしようもないよ」
どうしようもないのは今のお前だ!と誰もが言いたかったが、それも今のキラには届くまい。ラクスはそんなキラを
満足げに見やり、薄く笑った。
「ふふ・・・そうですわね。では<召還の歌>」
ラクスが歌いだす。空中に何者かの巨体が現れ、歌が進むにつれてその姿がはっきりしていく。
「あれは・・・<フリーダム>!?」
そう―――キラの駆る機体<フリーダム>。それがこの世界に顕現した。そしてキラは素早くフリーダムに乗り込む。
「さあみんな・・・フリーダムにやられたくなかったら、ラクスと共に来てくれ!僕は誰も傷つけたくないんだ!
君たちが来てくれないなら、僕は・・・やるしかない!」
「む、無茶苦茶だ・・・!」
稟はもはや救いがたい、とばかりに天を仰いだ。
<稟!ボーッとしてる暇はないぜ。こうなったら・・・サイバスターで戦うしかない!>
「けど・・・どうやって乗り込む?フリーダムの攻撃を掻い潜ってか?無理じゃないか、それは・・・」
<大丈夫だ・・・サイバスター!俺たちを迎え入れてくれ!>
マサキの声が響く。そして、それに答えるかのようにサイバスターが輝き、同時に稟、亜沙、プリムラ、そしてフー子
の姿が消えた。
「え・・・!?」
<大丈夫だ、みんな。サイバスターのコクピットに瞬間移動しただけだから>
「しゅ、瞬間移動しただけって・・・そんなこともできるの、サイバスターって!?」

280 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/24(土) 22:19:12 ID:98lLz41a0
<まあな・・・さて、ドラえもん。お前たちはなんとかキラの洗脳を解けないか考えてくれ。キラは俺たちでなんとか食い
止めて・・・うひゃあっ!?>
マサキが少し情けない悲鳴を上げる。喋っている途中でキラがビームライフルを撃ってきたからだ。幸い当たらなかったが、
元より当てる気がなかっただけだろう。その気なら、既に終わらせることができた・・・そういうことだ。
「ふふ・・・悠長に喋っていていいんですか?もうキラは戦う気満々ですわよ?」
<ちっ。こっちはまだサイバスターを起動させてもねえってのに!>
「キラ・・・くそっ!目を覚ましてくれ!」
「目を覚ませって言われても・・・僕は正気だってば。おかしいのはラクスの邪魔をする君たちなんだから」
キラの答えはこれだ。ラクスはそれを見て、満足げに笑う。
「ふふ・・・見物ですわね?友人同士が傷つけあう。なんて痛々しいのでしょうか・・・ふふ、言っておきますけれど、
わたくしをどうこうしようとは思わないことですわ。それでキラが元に戻るとは限りませんし、ね?大人しく、この戦い
を見守っているのがよろしいですわ」
「くうっ・・・」
ラクスの発言にはなんの根拠もなかったが、不思議とハッタリとは思えない自信が感じられた。ドラえもんたちにできる
のは、フリーダムとサイバスターの戦いを見届けることだけだ。
サイバスターがゆっくりと動き出す。その先にあるのは、キラが操る翼を持った機体―――
今ここに、白銀の機神と青き翼の天使との戦いが始まった。


281 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/12/24(土) 22:26:58 ID:EoUvDECZ0
投下完了。前回は>>227より。

>>230 洗脳キラを書くのは結構楽しい・・・

>>ふら〜りさん
ドラの道具って設定的には未来人にとっては玩具程度なそうな・・・w
プリムラは、うん、作者から見ても贔屓が入ってるキャラだと思います(汗)

>>232 普通にフー子とかでぶっ飛ばせばドラえもんいらんやん・・・とは言ってはいけませんw

>>233 これでやっと半分いくかどうかです。来年中には終わるかな・・・

>>しぇきさん
そうか!石頭のことを忘れていた・・・けど、さすがに石頭でやられるネオグラとかはちょっと嫌だなあw
近づいたものを全てヤムチャ・・・あれですか、ゲロさんが書いてたあれですか?
しかしギニューは何故そこまでヤムチャにこだわるのか・・・カマセ同士の波長でしょうか?

282 :作者の都合により名無しです:2005/12/24(土) 23:01:52 ID:wBb7ku+n0
メリークリスマスです職人さんたち。俺には関係ありませんが・・

>スターダストさん
ネゴロは勿論、千歳も意外と捜査能力が高いのかもしれない。
意外とキレ者?あの軍団で鍛えられていたんだからそうなんでしょうが。
聞き込みとかうまそう。でも、やはり最後はネゴロが決めるんでしょうね。
ホームズとワトソンか。

>銀杏丸さん
まずは内定おめでとうございます、銀杏丸さん!そしてお久しぶりです。
でも、内容と後書きから最終回かと一瞬思いました。番外編でしたか。安心。
セダイラと童虎たちの甘酸っぱい思い出も、悲しみの記憶になりましたな。
でも、先代の黄金は蟹ですら立派だなw

>サマサさん
突然のキラの出現に笑ったwさすがはラクス様ですね。器が大きい。
でも、元々がRPGっぽい世界観のドラ映画版みたいなこのSSの中の
更に未来のゲーム世界ですか。破天荒になりそうですねえ。
まだ半分ですか!ちゃんと最後まで読みますよー





283 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 09:57:00 ID:XFkaHRI40
>しかしギニューは何故そこまでヤムチャにこだわるのか・・・カマセ同士の波長でしょうか?
牛乳がヤム茶にこだわるのはしょうがないよ

284 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/25(日) 12:28:26 ID:wvGMDftZ0
>>249より。

285 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/25(日) 12:28:59 ID:wvGMDftZ0
 気分よい朝だった。砂粒も、日差しも、なにもかもが心地よい。天を仰げば、スポーツ
ドリンク色をした空が広がっている。いつも飲んでいた色だ。すっかりなじんだ体臭でさ
え心地よい。
 海水で荒々しく洗顔し、リアルシャドーを心待ちにする。
 相手を見抜き、正体を晒した刺客を叩きのめすという特殊すぎるバトル。はっきりいっ
て、加藤は敗北する気がしなかった。むしろ、楽しんでさえいた。否、ある程度楽しみで
もしなければ、とても一月は持たない。
「一体なにが来やがるかな。ストライカーか、グラップラーか」
 舌なめずりしつつ、加藤が独りごちる。
 すると、さっきまで横たわっていたドッポが突然立ち上がった。
「ど、どうした、ドッポ!」
「ガルル……」加藤とやり合った時と同じく、ドッポが殺気立っている。「ウオン、ウオ
ォォォンッ!」
 目線は海を向いている。加藤もすかさず海へ視線を移す。すると、
「ふ、船だァッ!」
 加藤が叫ぶ。
 水平線近くに、たしかに船が浮いている。しかも、島(こちら)へ近づいている。
 船のサイズはせいぜい釣り船程度だが、鈍く輝く鉄に覆われたフォルムは、陳腐さを感
じさせない。小さい戦艦、といった第一印象だった。
「おっしゃあ、島から出られるぞ。ドッポ!」
 歓喜する加藤。が、ドッポはますます激しく騒ぐ。なにかに怯えているかのように。
「おめぇらしくもねぇな。取り乱しすぎだぞ」ドッポを見据えながら、加藤は優しく語り
かける。「ははぁん、さては寂しいのか? 俺がいなくなっちまうから」
 ドッポは吼える。よほど船を威嚇したいのか、毛まで逆立てて。
「いや、これは違う。もっと別な、とんでもねぇ凶悪な敵が現れたような──」
 大気を焼く、轟音。
 加藤たちがいた地点から大爆発が起き、砂浜だった大地は一瞬にして荒廃したクレータ
ーと化した。

286 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/25(日) 12:29:42 ID:wvGMDftZ0
 砲撃であった。
 海上に浮かぶ小船から、主砲が発射されたのだ。
「やったか?」
 リーダー格にあたる身長二メートルを越す大男が、部下に尋ねる。背が小さく、いかに
も狡猾そうな顔立ちをした部下は、
「いえ、死体は確認できませんねぇ。おそらくは、ジャングルへ逃げ込んだものかと」と、
双眼鏡を構えながら答える。
「ならば、上陸するしかないか」
「えぇ」
 リーダーが大柄な体格に似合う低く渋い声で、部下たちに命令を下す。
「これより、上陸を開始する。各自、武器を装備せよ!」
「はっ!」
 それぞれ違う音程で、三人いる部下たちは揃って返事をした。

 ジャングルにて、息を潜める加藤とドッポ。もしあと数秒、異変に気づくのが遅かった
なら、二人とも主砲によって消し炭にされていたことだろう。
「ありがとよ」小声でドッポに話しかける。「おめぇが吼えてなかったら、終わってた」
 ドッポはすっかり怯えている。毛に包まれた上からでも、肉体が冷え切っていることが
分かる。
 当然だった。あれほどの轟音、加藤ですら体験したことがない。銃声や打ち上げ花火が
せいぜいだったろう。
「安心しな。どんな奴らかは知らねぇが、俺が叩き出してやっからよ」
 加藤はドッポと視線を合わせ、力強く宣言した。

287 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/25(日) 12:30:36 ID:wvGMDftZ0
 小型戦艦はまもなく接岸し、規則正しく迅速な動きで四名が孤島に上陸を果たした。
 いずれもが猛者。丈夫そうな迷彩服に身を包み、皆がサブマシンガンを玄人らしい手つ
きで抱えている。むろん、徒手とて並ではないだろう。
「我らが敬愛する軍神に恥をかかせることは許されん。手段は問わん、必ず抹殺せよ!」
「はっ!」
 部下が一斉に三方へ散る。
 一人は先ほどリーダーと会話を交わしていた小男。
 一人はスマートな体型と中性的な面立ちを兼ね備えた青年。
 一人は剃った頭髪に、右耳から人中にかけて大きな古傷をつけた中年男。
 あえてチームプレイはせず、単独で加藤たちに挑むつもりらしい。コンビネーションが
苦手なのか、一対一に誇りを持っているためか、理由は分からない。
「リアルシャドーどもは寄せつけなかったようだが、我らが来たからにはそうはいかぬ。
一時間で終わらせてやる」
 粗雑に煙草をふかしながら、身長二メートルを越えるリーダーは独りごちた。

288 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/25(日) 12:31:56 ID:wvGMDftZ0
八日目突入。
かなり長い一日となります。
年内、あと一回くらいは投下したいですね。

289 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 14:36:43 ID:l7lxP3kz0
>黄金時代番外 (内定、おめでとうございます)
このまま最終回でもおかしくない話ですね。
シオンにしろ、童貞虎にしろ、聖戦という名の殺し合いを悼んでいるようです。
セダイラとの話は好きだったので、もう一度あんな感じのが読みたいですね。

>超機神大戦
ラクスの高飛車で自信満々の雰囲気が素敵だ。
上品で、多分美人で。(元キャラ知らないです)どこかプロレスハッスルの
インリン様を思い出させる。しかしキラ、フリーダムまで使うんですか。

>やさぐれ獅子
最初、戦艦もリアルシャドーかと思いましたw
なんか急展開の8日目になりそうですね。戦争っぽい雰囲気のような。
まさにサバイバルゲームの始まりですかね。これが最終試練かな?

290 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 15:08:11 ID:3TMxgNOk0
ラクス様

ttp://dat.2chan.net/18/src/1135450496280ff90.jpg

291 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 15:15:19 ID:l7lxP3kz0
ありがとう。これがそうなんですか?
正統美少女ヒロインじゃん・・

292 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 16:09:41 ID:3TMxgNOk0
外見だけはね
だけど良く言うだろう

本物の悪魔は、天使の姿でやってくるんだ

293 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 16:48:23 ID:/5mE+N800
>>291
けどやってることは
洗脳 テロ 強奪 死の商人 etc・・・

294 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 17:42:59 ID:yDlWQEvm0
>スターダスト氏
SSの中のそこかしこに、氏の教養を感じる。
連金とか忍者とかありえない設定なのに、因果関係はなんか人間臭いなあ。
そこは犯罪推理物(?)の常ですね。どんな展開になるか分からない。

>銀杏丸氏
まずは就職決定おめでとうです。
セダイラと旧黄金2人、もっと見たかったな。現代黄金たちの話より好きかも。
どこか青臭い感じのする2人が良かった。今からは想像出来ないようなw

>サマサ氏
ラクスってこんなルックスなのか!>>290 これなんてエロゲ?
正直、俺も種見たこと無いんで、美少女よりちょっと年増の美女を想像してた。
こんな女に操られるキラ、気持ちは分からんでもないw

>サナダムシ氏
加藤とドッポ、大ピンチですねえ。
4名の部隊は、刃牙少年編に出た、ガイアが引き入る特殊部隊クラスかな?
ガイアレベルの敵を倒さないと、とてもバキや烈には遠く及びませんからね。

>>292-293
ワラタ
しかも290の写真、ひょっとしてテレビでやったやつ?
子供視聴者多いだろうに、十分セックス想像させるじゃん。


295 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/25(日) 19:56:58 ID:1OtJbZZA0
scene8 夕凪理沙【二】

「ミスリード? なんでまたそんな真似を?」
 ああ。その一言は、決定的。この人……もしかすると、犯人かもしれない。
 彼、伊藤開司は、探偵による犯人偽装など最初から考えてはいなかった。
 受け答えを見るに、そうとしか思えない。
 おかしい。何かがおかしい。帝愛NO.2である利根川を失脚させたほどの人――
 ぬるま湯の中で育った私なんかとは違う、幾度とない修羅場を潜り抜けてきた人が
 探偵の立場(ロール)でありながら、果たしてこんなに初歩的なミスを犯すだろうか?
 しかし、伊藤開司が犯人だったと仮定するなら……
 今までの彼の不可解な言動、すべてに納得の行く説明が可能だった。
 一つ、開始直後、誰に話しかけもしようとせず、一見消極的だったこと。
 これは、犯人であるのならば、様子見の上で探偵の出方を疑う、というのは理に適った行動だ。
 二つ、私の犯人だと思う人は?との問いに、あっけなく答えてみせたこと。
 これも、探偵であれば思考の断片であれ他人に明かすのは躊躇するはず。
 けれど犯人なら躊躇はしない。自分の言葉から他の誰かに疑いの目が向くのは、願ってもないことだから。
 三つ、探偵がミスリーディングする意味がわからない、と言った趣旨の、本気めいた発言。
 これについても、考慮していなくて当たり前と言えば当たり前。
 どうやって探偵になりきろうかと、必死で考えを巡らせている犯人の立場からすれば
 探偵の戦略、犯人偽装は心理的死角――ゲーム開始直後に思い至っていなくとも何ら不思議はない。
 心のノートに記しておく。『NO.4 伊藤開司。状況証拠から考えて、犯人である可能性有。要マーク』
 もう、頃合だろうか。悟られぬよう、そっと腕時計に視線を移す。
 カマをかけてもよかったが、これ以上時間をかけてしまうと警戒されるおそれがある。
 犯人である可能性が高い以上、マークを気付かれる事は避けたかった。
 それから二、三言葉を交わして、その場を離れる。
 私は一人になると、キャスターテーブルに並べられたティーカップを手に取り、紅茶を注いだ。
 先ほど思い描いた『伊藤開司犯人説』についての考えを整理しながら、一旦小休止する。
 ……大丈夫、論理に大きな綻びは見当たらない。
 勿論、私が彼を過大評価しているだけで、単に無警戒で考えの浅い探偵だった、という可能性や
 逆に、私の思考の一周先を読んだ上で犯人だと思い込ませる為に
 犯人偽装など考えてもいなかった、と迫真の演技をしてみせた可能性。
 そんな可能性も、決してゼロではないのだけれど――

296 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/25(日) 19:57:45 ID:1OtJbZZA0
「やあ、ちょっといいかな? 一番のお嬢さん」
 思考に没頭していると、誰かに声をかけられた。
「私ですか?」
 顔を上げて、まずは、慌てず騒がずネームプレートを確認する。『NO.2 笠間潤』
 灰色のベストに紺のジャケット。ズボンの腰辺りには
 何故か小さなクマのぬいぐるみがつけられ、可愛らしくゆらゆらと揺れていた。
 服装や趣味は変だけど、なかなかに端整な顔立ちをしていた。うーん。ちょっとかっこいいかも。
「そう、君。いきなりだけど……このゲームの、探偵における必勝法、聞きたくないかい?」
 必勝法? 内容を聞くまでもなく怪しい。すっごく怪しい。第一、人に教えるような情報じゃない。
 あからさまに訝しげな表情をしている私を見て、笠間さんは慌てたように両手を振った。
「あー、言いたいことはわかるつもり。安心して。取って食おうなんてつもりはないから。
 ま、とりあえず聞いてほしい。聞くだけならタダだしね」
 確かに、笠間さんの言う通り、聞いただけで害があるとは思えなかった。
 それに、言葉の裏に隠された彼の思惑を知ることもできるかもしれない。
 怪しくとも、ここは聞いておいて損はないだろうと私は判断した。
「わかりました。どんな『必勝法』なのか、私も興味がないと言ったら嘘になります。教えてください」
「うん。そう構えないで……なるべく何も考えないで、気を楽にして聞いてほしい。
 あんまり期待すると、失望してしまうかもしれないからね」
「あ、はい……」

297 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/25(日) 19:58:33 ID:1OtJbZZA0
「で、その『必勝法』の内容なんだけれどね、実に簡単。
 参加者全員がそれぞれ、輪になるようにして一人をマーク。
 一挙手一投足まで見逃さないように観察するんだ。
 そうすれば身の証が立てられない状況でも、犯人の逃げ切りだけは防げる」
 理屈の上では可能かもしれないけれど、実際、実行に移すとなると無理のある話だな、と思う。
 誰もそんな、運任せな方法ではゲームの勝者を決めたくないに決まっている。
 お遊びなら兎も角として、これは紛れも無い真剣勝負なのだから。
「名付けて『ドーナッツ作戦』……どう思う? 格好いいだろう?」
 笠間さんは照れたように笑いながら頭を掻いてみせる。
「うーん。私は反対ですね。まさか、全員の同意が得られるとは思えませんし。
 それに何だか、籤引きみたいなやり方じゃないですか――」
「あはは。手厳しいね。やっぱり君もそう思う? 残念だなぁ。
 実は、何人かには提案してみたんだけど、どうも不評なようでね」
 そこまで会話して、私はようやく気付く。この人の狙いは、作戦の実行なんかじゃない。
 ドーナッツ作戦が机上の空論に過ぎないことは、構想段階において、誰の目にも明らかだと思う。
 万一本気で実行を考えていたとしても、一人目に断られた時点で既に作戦は破綻の筈。
 それにも関わらず、貴重な時間を割いてまで、こうして一人一人に話して回っているのは何故なのか?
 こんな作戦を考えました、というお披露目? それとも、話の種にでもするため?
 勿論、そのどちらでもない。答えは一つしか考えられなかった。
 ポイントはドーナッツ作戦が『犯人の勝ちを完全に断つ方法』だと言うことだ。
 そう、彼が本当に知りたいのは、作戦を提案した時の、各参加者のリアクション……!

298 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/25(日) 20:00:19 ID:1OtJbZZA0
 何も考えないで、気を楽にして、と言った発言も、今思えば
 相手に詮索の隙を与えず、素直な反応を見る為の予防線といったところだろうか。
 これはおそらく、早い段階で犯人候補を炙り出しておく為の罠なのだ。
 普通に考えれば、犯人としてはこんな嫌がらせめいた作戦、実行してほしい訳がない。
 探偵有利、犯人不利……! そんな心理が強く働き、結果、裏目に出てしまう。
 犯人は、どうせ残る全員の意見が揃う訳が無い、という予測と
 否定すると犯人だと勘繰られるのではないかとの危惧から、思わず作戦を肯定してしまう……!
 肯定こそしないまでも、好意的な反応、もしくは何処か不自然な反応が返ってくることは想像に難くない。
 逆に探偵の立場からすれば、犯人だと勘繰られることに関しての危機感など微塵もない。
 むしろ、疑ってくれた方が好都合でさえある。よって探偵からは
 作戦の粗を指摘するような、率直かつ、辛辣な反応が返ってくる……
 慌て者の犯人なら作戦を肯定するか、もしくは取り繕った物言いをして襤褸を出す。
 笠間さんのドーナッツ作戦の提案を装った犯人炙り出し作戦は、大体、そんな計算の上に成り立っているのだろう。
 なるほど、優れた作戦であるとは思う――けれど。やはり、確実性には乏しいと言わざるを得ない。
 少し頭の働く犯人なら、探偵の立場を考えた上で、作戦に否定的な見解を示すだろうし
 また、切れ者の探偵ならば、質問の意図を瞬時に読み取りあえて作戦を肯定してくるかもしれない。
 このゲームでは、探偵と犯人は表裏一体。結局のところ最後は読みあいになってしまう。
 表か、それとも裏か? コイントスにも似たシンプルな二択。大切なのは、見抜く力だった。
 心のノートにデータを記録。
『NO.2 笠間潤 飄々としていて掴み所がない。ドーナッツ作戦を提案。探偵と予想』

299 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2005/12/25(日) 20:02:04 ID:1OtJbZZA0
六回目の投下になります。前回投稿は>>243です。
今回もまたザッピングですね。次回からは視点が戻る予定です。
それにしても、まったりな展開……

・夕凪理沙のポジション
普通の脇役よりはスポットライトが当てられていますね。
主人公のカイジに次いで、目立つ役回りではないでしょうか。
頭は悪くないのですが、肝心な処で詰めを誤る……
そんなキャラクターだと思います。
・色恋沙汰について
元ネタがカイジですからね。
やはり最後には駆け引きに落ち着いてしまうような。

300 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 22:41:39 ID:gNAUOfqaO
やべぇ、カイジおもしろすぎるw

301 :作者の都合により名無しです:2005/12/25(日) 22:57:31 ID:iiJBewGu0
論理がしっかりしててかなり読んでて面白いです>見てた人さん
カイジが出てくるんだけどそのキャラに頼っていないところがいいです。

302 :作者の都合により名無しです:2005/12/26(月) 02:17:01 ID:oWwoEho00
>>293
死の商人はやってないだろ
密造した兵器はテロ行為やクーデター起こすために使ったんだし

303 :作者の都合により名無しです:2005/12/26(月) 08:05:54 ID:Uwxfh4o00
・サナダムシ様
リアルシャドー卒業して、本格的な修行…ってレベルじゃないなw
どう加藤が空手技で生き残るか楽しみ。ドッポしんじゃいそうだw

・見てた人様
理沙、キャラ立っているなあ。このまま主役でカイジが犯人になっても
面白そうだ。展開がロジカルで読み応えありますな。面白いです!


304 :作者の都合により名無しです:2005/12/26(月) 21:48:03 ID:Um9xvKLp0
カマイタチは、少なくとも今のカイジの17歩よりは遥かに面白いな。
ジャンケンレベルになるのを望みます…っていくらなんでも酷ですかw
夕凪理沙萌え。ネーミングセンスいいですね。

期待してますぜ。

305 :ふら〜り:2005/12/26(月) 22:02:19 ID:k0tLGE+A0
>>スターダストさん
また一段とミステリ小説風、さてどう謎解きを? と思ってたら最後の最後で、ぽろっと
核心に直結するかもな話が出ましたな。根来は根来で、いつもながらの合理的事務的路線
を独走。原作未読ゆえ、オカルトと現実風の比率がどの程度になっていくのかも楽しみ。

>>銀杏丸さん(SS以外にも、やりたいこと溜まっておられるでしょう。お楽しみ下されぃ)
星矢以外でもたまに見られる先代ネタ。現代とのギャップが醍醐味の一つですが、いいです
ねぇ。我々の知る黄金とは違う黄金。真面目な蟹と陽気な山羊ってどんなかなー、と妄想
膨らみます。セダイラたちの話はぜひまた見たいので、「番外」に安心。待ってますよっ。

>>サマサさん
このSS、そしてそれに寄せられる感想の数々を見ていると、種への興味が膨らんでいき
ます。観てませんけど。キラがストレートに「ラクスさまの部下として、お前らを殺す!」
になってないとこが、ドラたちとしては辛いというか歯痒そう。取り付く島のなさが凄い。

>>サナダムシさん
試練・レベルアップですか。連日繰り返してる内に慣れて、楽勝になる。そしたら負荷を
上げて……って、一応理想的トレーニングになっている? 命の保証はないけれど。今回
のチームは完全武装、でも死刑囚相手ならそれも最低前提の内。ドッポと二人で頑張れ!

>>見てた人さん
常々、「推理小説を書くには、騙す犯人と見破る探偵、賢い人間二人分の頭脳が必要なん
だなぁ」と思ってたんですが。それでいくと本作は一体何人分? 執筆は大変でしょうが、
完走の暁には物凄く厚く濃い作品になりそう。で、そろそろ誰か死にますかね? ←期待


306 :作者の都合により名無しです:2005/12/26(月) 22:37:31 ID:zfUAMMcw0
>>取り付く島のなさが凄い

それが種クオリティ

307 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:19:21 ID:X2rWojqU0
【探】さぐる
時間は流れ、午後六時より少し前。
千歳は、目の前の肉塊に手を合わせると歩みを進めた。
夏の暑さは、いやおうなく生物の腐敗を進めるらしい。
千歳が山に入ってから一番良く目にしたものは、うっそうと茂る無数の木を除けば、動物の
腐乱死体だった。
野ウサギから始まって、雀、カラス、野良犬や野良猫とまあ、ともかく多い。
うり坊という名の猪の子供も一体あった。
千歳はとりあえず、嗅ぎなれた腐臭が漂ってくると、手近な小石を拾い上げるコトにしている。
そして臭いがいよいよ近くなり、「元」が見えるとその近くに小石を投げる。
すると黒い塊がぶわぁっと舞い上がる。ハエの群れである。しばらくは未練がましく、異臭の
周りを飛び回るが、千歳はあまり気にせず、ハンカチを鼻に当てつつ逐一観察している。
見たところ、共通点が幾つかあった。

1.死体は、何ヶ所かひも状の物で打ち据えられた痕がある。
2.腹部が大きくかじられているコト。
3.死体が、森の中で比較的木々の少ない「開けた」場所にあるコト。千歳が遠くから死体を
目視できるのも近くに小石を投げられるのもそのせいだ。
4.死体の周囲の木には、何かで打たれたような痕があるコト。それは、死体が新しければ
生々しい黄白色で、死体が古ければくすんだ茶色。つまり死体ができた時についた傷であり
死体を作る手段と考えてよい。所によっては、枝が薙ぎ落とされていたりもした。

死体を前に千歳が考えていると、はみ出した内臓の上で白い塊がうねうねと動いてるのが見
え、彼女は夕暮れの暑気を更に不快がった。
ともかく、歩く。
死体を見つけるたび石を投げて観察して、手を合わせると立ち去って歩いていく。
高峰の言を元に、(根来や照星へ連絡を入れてから)捜索へ赴いているのはいうまでもない。

陽が照っていないとはいえ、流石に真夏。
歩を進めるたび、虫に刺されぬよう着替えた厚手のツナギがじんわりと汗で濡れ、千歳の体
にべったりと張り付いていく。顔もうっすらと汗ばみ熱い息が口から漏れる。艶やかな髪もすっ
かり湿り気に乱れて、まるで水を浴びたような態である。森にそぐわぬ甘い香りが少し漂う。

308 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:21:34 ID:X2rWojqU0
歩いて歩いて、首輪を付けた猫の死体を見つけて胸を痛めたりもしながら歩く。
時おり、肩にかけた鞄の中から山の地図と方位磁石を取り出し、現在位置を把握し、なるべ
く山に深入りせぬよう歩いていく。
地図には、見つけた死体の数だけ赤い点がついている。死体の場所を記録すれば、それら
を作った主の行動範囲を分析できないかという試みだ。
やがて視界が開けた。
この界隈、工場開発が進む前は林業が盛んだったのだろうか。
千歳の目の前に、トラックが一台通れそうなほど広い砂利道が広がっていた。
木々と道の境目には、木漏れたオレンジの粒が点々と落ちている。
千歳は手ごろな大きさの石を見つけると、腰掛け、一息ついた。
おりよくそよ風が吹き、枝葉がさわさわと軋み、先ほどまでの不快感を払拭していく。
濡れたツナギも風を受け、千歳の肌をひんやりと冷やし、顔の汗も徐々に引かせていく。
ちなみに、千歳は化粧はしないので、汗をかいても大丈夫だ。
厚化粧していれば汗をかいたとき悲惨な目を見る。
ブロンズ像に酸性雨が注いだような悲惨な目を。そしてそれを笑えば、つまようじの尖った
部分を肘関節の僅かな隙間にブっ刺される。痛いわ痺れるわで、悲惨な目を見る。
そして千歳は座って一息入れつつ、周りをぐるりと見渡した。
彼女の正面には、相変わらず林が広がっている。
そして左右に伸びる砂利道は、林に沿う形で大きなカーブを描いている。
木々のせいで実際そうするコトは叶わないが、もし砂利道全てを上空から眺めれば、まるで
森林の中にあるアマゾン川のようにひどく曲がりくねっているのが分かるだろう。
そして砂利道を左に進めば工場の近くに出られる。
千歳は時計を見た。時刻はちょうど18時30分。捜索から戻り始めると決めた時間でもある。
正面の林の中からきらり、とオレンジ色の光が射したのもその時間だった。
千歳にはなぜか鳥の形をした光に見え、確認しようとしたがすぐ消えた。
何かがある。直感的に悟ると、千歳は林に入った。

「…これは」
千歳は言葉に詰まっていた。
林に入ってかなり進むと、死体があった場所よりもっと広い場所に出たのだが、その真ん中、
千歳より20メートルほど先に、奇妙な物があった

309 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:22:48 ID:X2rWojqU0
一言でいうならゴミの山。
詳しくいうなら、直径1m、高さ5cmほどの鳥の巣っぽいゴミの山と、その中心に、高さ50cm
幅30cm、奥行き15cm程のどこかビルを想像させる直方体のゴミが山がそびえていた。
どちらの構成材も、木片や枯れ草がほとんどだが、所々に泥まみれのシャツや破れた写真
週刊誌果ては金槌などの山に似つかわしくないモノが混じっている。
鏡もあった。長方形の手鏡が。
それはビルのてっぺんに無造作かつ斜めに突っ込まれ、千歳の立ち姿を写していた。
ただし鏡に佇む千歳の前には、ひどく下手な鳥のマークが泥で殴るように書かれている。
(やっぱりさっきの光は、この鏡が反射したもの?)
ちらちらと地面に落ちている木漏れ日だが、枝葉が風に撫でられれば、ざわめきと共に場所
を変えていくだろう。
先ほどのそよ風のせいで、木漏れ日が鏡に当たって千歳に届いたとしても不思議ではない。
千歳の勘は、それを調べるようやかましく告げている。
それに従い歩を進めると、足元で妙な感触がした。
並みの女性ならば、悲鳴を上げただろう。男性でも表情を大いに歪ませたに違いない。
あったのは、からからに乾いたウサギのミイラだった。
既に虫どもは、この格好の「エサ」の旨い部分を食い尽くしたのか、ウサギの眼窩は暗黒の
空洞と化し、毛がすっかり抜け落ちた皮膚には無数の小さな穴が空いている。
全体的なフォルムは溶けたようにだらりと歪み、四肢はあちこち白骨化している。
千歳が踏んでいたのは腹の部分だが、毛皮とはまた違う生々しい感触が伝わってくる。
そうっと足を離すと、千歳は無言で手を合わし、辺りを見回した。
ミイラはゴミの山を中心に、円になるよう規則正しく置かれている。
場所によって数も種類もまちまちだが、状態はウサギのそれと同じだ。
中には、ズタズタに裂かれた「カール」のパッケージと共に置かれたミイラもあった。
断末魔の絶叫が貼りついた猫ミイラの横で、カールおじさんの顔が下半分だけで笑っていた。
そしてバールのようなモノが供えられたミイラも幾つかあった。
意味が分からない上に赤サビ一つ浮いていないのが、逆に不気味さを引き立てている。

310 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:24:10 ID:X2rWojqU0
千歳の背中に寒いものが走ったのは、日が暮れて辺りが闇に包まれ始めたせいだけでは
ないだろう。

ともかく彼女は、ゴミの山に近づいた。
と。

かさり。

ゴミの山より、さらに向こうで足音がした。
千歳の顔は一瞬強張ったが、すぐさまポケットに手を突っ込み、核鉄を手にした。
核鉄。
手のひら大の金属質な六角形をしたそれは、「武装錬金」と呼ばれる武器を形作るアイテムだ。
千歳は異変ならばすぐに発動できるよう構えて、足音のする方をねめつけた。

たっ たっ たっ たっ

足音の主も千歳に気づいたのか、速度を上げた。音からして獣ではない。
のみならず。

前方の木々が大きくたわみはじめた。
複数の木が同時ではなく、一本一本がタイムラグを置いて薄紫の空を掃いていく。
木々の間を白い影が縫うのを千歳は認めた。
かく乱のつもりか、足音の主は林間を飛び回っているようだ。
もはや相手に戦闘意思があるのは明らかだ。千歳自身も、口火を切るべく叫んだ。
「武装──」
その時、頭上でめきめきっという凄まじい音が立ち、次いで様々なものが辺りに降り注ぎ始
めた。
枝、木屑、小枝に葉っぱ。
千歳がそれらを回避しようと身をよじった瞬間!
「クエ───!!」
天空より飛び掛ってきた白い影が、千歳の手から核鉄を叩き落とした。
どさりっ。重苦しい落着音が一拍遅れて大地に響く。

311 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:24:52 ID:X2rWojqU0
【V】ばーさすわしお ぜんぺん
そして千歳の視界を占有した白い影は、足元に落ちた核鉄に何かを感じたのか、かかとで
素早く後ろに跳ね上げた

最大の武器たる核鉄は、中空を突っ切りゴミの山の近くに落着し、少し転がるとぱたりと倒
れた。
千歳が驚愕に目を見張る間に、白い影はもう一声あげた。
「クエエエエエ!!」
なるで鳥のような鳴き声。ウワサに聞いた奇声の主が彼であるコトは間違いなさそうだ。
ひとまず、鳴いている間に千歳が一歩下がると、その姿が明らかになった。
白い影に見えていた原因は、着衣にあったようだ。
元は高級そうな、白いスーツを彼は身にまとっていたのだから。
ただしひどくボロボロで、何かにひっかけて破けたような跡がそこかしこにあり、ボタンはほつ
れ、袖口は綻んで、何かの返り血らしき赤い染みと泥とが随所に醜く乱れ咲いていて、見る
も無残な様相を呈している。
シャツは襟元が垢で黒ずみ、ネクタイは半分以上が千切れている。ズボンはスーツと同じく。
男の顔はひどく特徴的だった。
脂で固まった短めの髪は天を衝き、ずんぐりとした大きな顔の中心に、大きなカギ鼻が生え
て、どこか猛禽類を思わせる顔立ちだ。
根来が鷹とすると、この男は鷲だ。

312 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:26:24 ID:UNOoHZKO0
千歳は、彼が何者であるかはもちろん知らない。
彼が紆余曲折を経てこの森に流れ着き、それまでいた「巣」を模したゴミの山を作り上げ、
近づく物は容赦なく排斥するようになっているとも、知るべくはない。
この状況から分かる重要なコトは、男の右手。
入手経路は不明だが、黒いなめし皮で作られた鞭が握られている。
長さは柄を除いて72センチ。千歳は正確に判断した。鞭の中でも長い部類である。
切札の核鉄は遥か前方、つまり男の後ろに落ちている。取りに行こうと走れば、男の鞭が千
歳のしなやかなる背中を打ち、形の良い肩甲骨を砕き、白い肌にミミズ腫れを与えるだろう。
正面から挑んでも結果はほぼ同じ。
千歳は素早く辺りを見回した。
後ろは林。左右には、根がうねる腐葉土と、ミイラたち。その向こうには木々が密集している。
「クエエエ!!」
そして前方では男が奇声をあげ、ばっと右手を動かした。
(説得する暇もなし、ね)
山に来たのは調査が目的で、ホムンクルスかどうか分からぬ男の相手などはどうでもいい。
縦にひゅぅっと空切る鞭にはとても無関心そうに、千歳はゆっくり後退した。

313 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/26(月) 23:26:54 ID:UNOoHZKO0
【V】ばーさすわしお ちゅうへんまるいち
鞭は千歳の鼻先を微かにかすめ、そのまま地面に吸い込まれた。
先端は勢いの任せるまま土を削り取り、うねり上がって標的を狙う。
男が狙ったのかといえば否である。力任せに振るった中での偶発的現象だ。
時に偶然は、戦闘において最後のジョーカー的要素ともなりうるが、惜しいかな。
その時すでに千歳は数歩下がって完全に、鞭の射程を逃れていた。
ただ何もする訳でもなく、じっと見据える冷たい瞳に、男の顔が見る見る怒張した。
「クゥエエエエ!」
あらん限り叫んだ男の口から、三角に尖った真っ赤な舌がぬらりと覗く。
そして男は横に跳ぶと、木を蹴り上げ大きく飛翔した!
何という脚力か、彼は地上より10メートルほどまでぐんぐんと跳びすさり、もはや正気を失く
した怪鳥の瞳で千歳をギラリと睨む。
再試行するは先ほど千歳の虚をついた、頭上からの攻撃!
ようやく効き始めた落下重力の見えざる糸の中、彼は大きく鞭を振り上げた。
ばきり!
少し上で小枝が叩きおられて、はらはらと青葉が舞う。木屑が落ちる。枝がかすめる。
これまた期せずして得た奇襲効果に紛れつつ、猛烈に接近しつつある地上の標的めがけ
男は鞭をなぎ払う。
だが千歳、二度も同じ手を喰う女性ではない。
くっと身を縮めると、すばやく横に転がり鞭を避けていく。
男の鞭の速度も尋常ではない。
草。土。根。小石。
あらゆる地上物を空中にいながらに何度も何度も叩きのめして、転がる千歳の間近で派手
な音を立てていく。
この攻防は時間にすればわずかだ。男が跳躍し、地面に脚をつけるまで十秒もない。
さて落着した男の目の前では、千歳が身を屈めていた。
何の前でそうしているかを認めた男は、身を徐々に震わせ、やがて叫んだ。
「クエェ! クエッ クェッ クゥエエエエエエ!!」
喉奥から綺麗なビブラードを搾り出しながら、男が駆ける。

彼にとっての非常食たるミイラに何かしようとしている千歳へと。


314 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/26(月) 23:28:18 ID:UNOoHZKO0
目の疲れを取るには午後10時から午前2時までの睡眠が重要だそうで。
この時間帯に成長ホルモンが出て、目を癒してくれるらしいのです。
眼医者さんが言ってたから絶対そうだ。
ところで眼医者さんといえば、視力を測る機械で「ぷしゅぅ! オパウパウパウ!」て空気を
噴出して目を攻撃するのがありますが、ありゃどうにかならないんでしょうか。
「オパウパウパウ!」は嘘にしても、あの「ぷしゅぅ!」を待ち構える瞬間が面白くて面白くて。
「さぁ来やがれ! 来ないのか!? 隙を伺いやがってこのヤングナースが! うお来たッ! 
え、やり直し? ああすみません。まぶたもうちょい広げてくれればなんとか」とかで笑いをこ
らえる余り腹筋が痛くなってしまった。で、整形外科に行った。そこでは河童が…まぁいいや。

>>272さん
ありがとうございます。”聴【きく】”などはお察しのとおりです。もちろんネウロのサブタイです。
変な声はバトルが描きたいがゆえの理由付けというか、千歳といえばコレって代物を活躍
させたいが故の登場です。いちおう、本筋は進むようになっています。

>>282さん
自分の中では、「火渡がやけに物腰柔らかく女学院の捜査を許可してたから捜査が得意かも!」
て前提で描いてますね。きっと周りがあまりにあまりだから、そういう所でフォローしているの
ではないでしょうか。聞き込みも千歳がいつも地道にやってるかも。……根来じゃ無理だろうなぁ。

>>294さん
いやいや教養などはまったく。学歴社会に敗れ去り、いまは空き缶を拾って生計を立てとります。
因果関係とか人間関係とか、そういう感じの物はSSを描くときいつも最初に思いつく部分です。
そういう意味では錬金はSSにしやすいです。キャラにどこかしら感情移入できる要素があり、描き易いのです。

>>ふら〜りさん
今回の前半は…死体を描けばオカルトかどうかは分かりませんが、ちょびっとそんな風味を。
根来はもう。彼の独白だけでも1レスいけますよ。あ、原作はこんなんじゃないですよ。面白
武器で大バトルときどき陰惨な過去話です。

315 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :2005/12/27(火) 01:43:48 ID:1p3iNClC0
今年は「魔女」の四話で仕事納めということで(仕事納めってのも変か)、今年のレスは今年中に……
感想返しだけですいません。

>>146
あまり人がいなかったということですw360は悲惨なことになってるようですね。かたやDSはミリオン
が四本。まあ、ゲームなんて最近はウイニングポストくらいですけど。
>>148
どうも。最後のセリフは、何も意図してませんでしたが、たまたま意味が出ましたね。
確かに怖いです。意図してなかったけど。
>>150
向こうのはどうですかね? 小説はあまり反響もないし、評価がイマイチ見えないんですよね。
読んでくれてる人は結構いるみたいなんですが。あ、今度漫画になるかもしれません。
描くのは勿論別の方です。絵が上手いです。
>>165
俺は逆に、そうしたアクションっぽい話を書ける人が羨ましかったりしますね。
人は万能ではないですね。出来るだけ万能になりたいんですけどね。
>>220
ども。ネタが広くといっても、そんな大層なもんじゃないですけども。
>>281
何か書いてましたっけ? 覚えてないですw

来年は三が日中に「魔女」の五話目を書き出したいですね。半年くらい前から頭の中にあった話
なので、早く出してしまいたい。馬の血統表見てたら思いついた話です。

最後になりましたが、今年も一年皆さんにはお世話になりました。最初に書いた何か以外は、
「蟲師」「魔女」「茄子」と比較的マイナーな作品ばかり題材にしてしまい、少しばかり心苦しい気持ち
もありましたし、評価もされないんじゃないだろうか、とも思っていました。
しかし、年末のSS大賞でも思ったより遥か多くの票を頂き(成美に入ってたのは驚きました。彼女メ
インの回は必ず書きます)、感想も毎回沢山寄せて頂きました。正直予想外でした。俺の書いた話
を見て原作を読んで下さった方もいたそうで(見付かり辛いという話でしたが、その後手に入りました
か?)、それが一番驚きであり、嬉しいことでもありました。
上手い方がさらに増えてきて少々気圧されていますが、よければ来年も宜しくお願いいたします。

316 :作者の都合により名無しです:2005/12/27(火) 08:30:27 ID:1v+o634t0
>:影抜忍者出歯亀ネゴロ
千歳、精神的にタフだなあ。ある意味事務的に、死体検証を正確にコツコツとしてる。
女性とはいえプロだ。千歳のが遥かに主役っぽい。ネゴロ何やってるんだろうw
しかし、不気味なライバルっぽいキャラが出てきましたね。鷲と鷹ですか。
表現だけ見ると、ネゴロと互角以上の力量っぽいですね。

>ゲロさん
今年一年、お疲れ様でした。蟲師、魔女、茄子と全部楽しませて頂きました。
(ちなみに、俺は大賞に入れました)
また来年も、ご自身のペースで楽しみながら更新して下さい。良いお年を。


317 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/12/27(火) 12:30:29 ID:TweCDR9P0
>>ゲロさん
「ドクターゲロのほんのお遊び」に全人類ヤムチャ化というネタがあったので、
そこからの連想です。

318 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/27(火) 16:37:58 ID:dOpt8zLk0
>>287より。

319 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/27(火) 16:38:29 ID:dOpt8zLk0
 うっそうと熱帯林が茂ったジャングルを、加藤たちはひたすらに駆けていた。背を屈め、
足音と吐息を殺しながら。
 ドッポの足取りがおぼつかない。やはり、恐怖を払拭しきれていないようだ。
「大丈夫だ、ドッポ。大丈夫だ」と、声をかける加藤。
 だが、加藤とて決して心を安定に保てているわけではない。
 どこか安全なところへ──これだけを考えて走っている。徒歩で一周できるような狭い
島に、安全なところなどないと分かりきっているのに走っている。ほとんど徒労に近い行
為だった。
 きっとこれも武神が仕組んだ試練なのだろう。きっと奴らは自分を狙っているはず。状
況を再確認するが、打開策までは浮かばない。
 ドドドドドドドドドドッ。
 突如、乾いた連続音が密林中に轟いた。サブマシンガン。近くではない。おそらくは、
密林に生息するドッポ以外の猛獣が犠牲となった。そしてこれが、加藤のひび割れた心に
さらなる追い討ちをかける。
 今まで相手にしてきた玩具(ピストル)などとは、一線を画す兵器(マシンガン)。い
くら素手で追い詰めても、敵が気まぐれに発射した弾丸一発で形勢どころか、生死までも
が逆転してしまうような領域。
「大丈夫だぞ、ドッポ。大丈夫だ、大丈夫だ」
 心ここにあらず。ささやきが、どこか空虚な風味を帯びている。まるで中身を伴ってい
ない。思考回路が、想像を重ねるにつれ後ろ向きになっていく。さらに反動は体にまで及
ぶ。まだ大して走ってもいないのに、呼吸が苦しくなる。
「はぁっ、はぁっ」胸を押さえ、しばらくは我慢していたが、やがて力尽きる。「ぐぅっ、
もう、走れねぇ……」
 空手とも極道とも異なる、“戦場”という常軌を逸したフィールド。血肉と火薬とで入
り混じった渦潮に、加藤はどっぷりと呑み込まれていた。

320 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/27(火) 16:39:04 ID:dOpt8zLk0
 一方で、敵方の索敵は着々と進んでいた。さすがにジャングルでも動きは鈍らない。
 特に、三人のうちでもっとも小柄な男。早くも重要な痕跡を発見する。
 人と虎の足跡が、横並びとなって延々に連なっている。まだ風化もしておらず、新しい。
「これだ……」
 小男はほくそ笑んだ。
 あとは単純作業だ。くっきりと残された足跡をたどっていけば、終点にはターゲットが
待っている。
「ひ、ひ、ひ。近いぞ」
 久々に殺人を味わえる。弾丸をぶち込められる。遠足前夜にも似た高揚感を抑えきれず、
小男が醜悪な引きつった笑い声をもらす。
 そして追跡は、五分と経たぬうちに終了した。
「いやがった」ターゲット“加藤清澄”──発見。

321 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2005/12/27(火) 16:42:35 ID:dOpt8zLk0
 ドドドドドドドドドドッ。
 騒々しい発射音が空気を切り裂く。
 ドッポが、加藤を突き飛ばした。枝葉が弾け飛ぶ。
「ちィ……外したか!」
 さいわい、二人とも被弾せずに済んだ。だが、もしドッポがいなければ、果たして今生
きているかどうかすら怪しい。
「ド、ドッポ──」
「ゴアァッ!」
 さえぎるように、ドッポが短く吼える。加藤にはこれが「しっかりしろ」という叱咤に
も聞こえていた。
 ドドドドドドドドドドッ。
 再び、マシンガンが火を噴く。かろうじて、回避成功。
「まったく、助けられっぱなしだな。てめぇにはよ」
 加藤の中で、なにかが変わった。たしかに、自分は戦場においては素人に過ぎない。が、
空手家としては一流に属する自負がある。ドッポのおかげで、加藤は心を取り戻した。
 ──相手なんか関係ない、空手で戦えばいい。 
 ドドドドドドドドドドッ。
 弾幕を軽快なフットワークでかわす加藤。弾丸を避けるのでなく、銃口から身を外す。
銃を恐れるな、所詮使い手は自分と同じ人間だ。
「くっそ、こしゃくな!」小男は連射しながら、ターゲットを狙う。決して腕は悪くはな
い。しかし、当たらない。「あいつ、読んでやがる!」
 リアルシャドー相手に鍛え上げたイメージ力が、ここにきて発揮される。
 次に相手がどう考え、どう選び、どう動くかが──なんとなく分かる。留意すべきは拳
であるか、銃であるかの違いだけ。
 ドドドドドドドドドドッ。
 嵐が如く飛び交う鉛玉を掻い潜り、ついに加藤が懐に潜入する。
「おわッ、速──!」中段突きが、胸にめり込んだ。「いィッ?!」
 だが、小男とてだてに軍神に仕える身ではない。よろめきながら、サブマシンガンの銃
口を正確に加藤へと向けていた。
 逆転打となる引き金を引く──よりも先に、加藤の前蹴りが銃身を弾いた。
 さらにローをヒットさせ、掌底で顎を強打する。
 脳髄をも貫く衝撃。膝から順々に折りたたまれるように、小男は地面に崩れ落ちた。

322 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2005/12/27(火) 16:48:34 ID:dOpt8zLk0
ただいま八日目。

>>294
ガイア特殊部隊……くらいにはします、多分。
グラ刃牙16、17巻はすごい好きなので、
あの雰囲気を作りたいのですが、なかなか難しいです。

323 :作者の都合により名無しです:2005/12/27(火) 19:28:06 ID:RQZUovqg0
>スターダストさん
少しずつ怪異な物語の全貌が明らかになってきたかな?と思いきや、
更に怪異な人物が。根来とこの怪人とのバトルかな、次は?
千歳は優秀な助手ながら、ちゃんとお役目通り危機に巻き込まれるヒロインですね。

>サナダムシさん
加藤にとって、間違いなく一番濃い修行期間でしょうねえ、この何日かは。
マシンガン相手なんて真正面じゃ本物の独歩でもムリ。必然ゲリラ戦。
ですが、相手は空手家よりそれが得意な部隊ですか。厳しいですなあ。

>ゲロさん
今年一年お疲れ様。来年も楽しみにしてます。


324 :作者の都合により名無しです:2005/12/27(火) 21:02:57 ID:wZ6XW3pR0
>ネゴロ
最近、更新ペース良くて嬉しいです。乙。
最初推理ものっぽい捜査劇でしたが、なんかバイオハザードの敵っぽいのが出てきたw
話が通じる相手では無いと言うのは分かる。千歳相手にどんな攻撃するんでしょうか?
場合によっては18禁になりますねw

>やさぐれ獅子
サナダさん乙です。年内これが最後かな?
加藤は精神的に強くなりましたな。体が自然に動いている感じがします。
でも、ガイア級のやつがいたらまだ勝てない気がするな・・
だけど、それ位の敵が出てきて倒さないとバキとかは遠いw

325 :作者の都合により名無しです:2005/12/28(水) 08:20:16 ID:aisHtXbK0
今回、サナダムシさんは最初から最後までかっこいい加藤・真剣な加藤を書ききるつもりだな。
ヘタレる気配がない。新味溢れて楽しいが、あほなセルやシコルが好きだった俺には寂しい気も

326 :作者の都合により名無しです:2005/12/28(水) 11:35:29 ID:AriZP3+Q0
>>291
>>294

遅レスだがこんなん見つけた。
これを見てくれれば、少しは彼女の真実が理解できると思われ

ttp://monoganac2.sakura.ne.jp/src/milktea7669.avi.html

327 :作者の都合により名無しです:2005/12/28(水) 20:55:08 ID:RNlI2Chb0
流石に年末年始は更新速度落ちるか

328 :作者の都合により名無しです:2005/12/29(木) 08:14:16 ID:iRFfNd0w0
職人さんやバレさんたちも、たまには休んで頂かないとな
個人的には休みの時こそうぷして欲しいけどw

329 :ふら〜り:2005/12/29(木) 23:46:00 ID:T74QO0le0
>>スターダストさん
オカルトというよりはスプラッタですね。殺害シーンではなく死体描写、ハエやウジ虫が
オゾましい〜。が、一切動じず淡々と調査を進める千歳は凛々しい。動物相手にいちいち
合掌する千歳は優しい。正体不明の敵を相手に劣勢ながら、焦らない千歳がカッコいい!

>>サナダムシさん
>大丈夫だぞ、ドッポ。大丈夫だ、大丈夫だ
加藤は今まで、「空手」でも「極道」でも、何度も修羅場を潜ってきたのでしょう。でも
その真っ只中で、自分以外の誰か、利害関係ヌキで誰かの身を案じたことがあったか? 
加藤の心に、今まで全くなかった何かが芽生えてきている……てな展開だと、ちと嬉しい。

>>で私は
大晦日も元旦も普通に勤労、代休なんて上等なモンはありゃしませんぜ旦那。でも
一月中には何とか、少し長めのを献上させて頂く所存。長編には至らぬでしょうけど。

330 :ミドリ ◆5k4Bd86fvo :2005/12/30(金) 02:06:13 ID:YqyoBrev0
ごきげんよう、皆様。お久しぶりです。
ttp://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/30.htm からの続きです。


まだ夕方だというのに随分と暗くなった。
そのうえ細く降り続く春の雨が、闇をより濃く見せている。
それでも東京はあの地獄のような修行地に比べれば随分と明るく、ジュネには昼間と大差ないようにさえ思える。
分不相応に与えられている城戸邸の広い自室で、ジュネは視線を窓の外から室内のソファへと移した。
そこにはイライラとした様子で腰掛ける斗貴子がいる。
「もう少し落ち着いたらどうなんだ?」
「落ち着いていられるか!紅薔薇のつぼみが攫われたというのにあの女は一体何を考えてるんだ?!」
間髪いれずに予想通りの答えが返ってきたことに、内心苦笑しながらジュネは斗貴子の向かいに腰掛けた。
夕方――――――――紅薔薇のつぼみ、こと松平瞳子が紅薔薇さまの目前で攫われてからすでに数時間が経過している。
アテナと紅薔薇さまと斗貴子と自分と、四人で温室に集い話し合った後、ジュネは例の女性との情報を得に事務室へと
向かった。
一緒に出た斗貴子は「別に用がある」と違う方向へ行ったので、恐らくはキャプテン・ブラボーとやらに会いに行ったのであろう。
一応気配を消して覗き込んだ事務室には魔鈴さんどころか他の職員も見当たらなかった。
誰かが戻ってきてしまう前に事を終えようと、適当なパソコンを起動させ必要な情報を探る。
目的であった例の女生徒の公的情報はすぐに見つけられ、それをプリントアウトし終わったとき、ジュネの感覚に何か
が引っかかった。
穏やかな学園の空気とはわずかに異なる異質な存在感。
邪悪というわけではないが……明らかに普通の人とは何かが違う小宇宙。
こんな状況だ。気になることはキチンと確かめた方がいい。
湿った風に乗って微かに漂ってくるソレを辿り外へと出る。
足早に花壇を横切る頃にはポツポツと雨が降り出していた。
そうして校舎の角を曲がったジュネが見つけたのは、降り注ぐ雨の中で呆然とへたり込む紅薔薇さまだったのだ。
(なぜもっと早く気が付かなかったんだ……!!)
要領を得ない紅薔薇さまの話から瞳子が攫われたことを知り、ジュネは唇を噛んだ。
あのホムンクルスの少女は何故か紅薔薇さまに固執している。
そして紅薔薇さまと親しい佐藤聖が殺されかけた。
この二つの事実だけでも、本当に危険なのは紅薔薇さまでも佐藤聖でもなく、この学園内で紅薔薇さまに最も近しい存在
……松平瞳子だと予想できたはずなのに…………!!

331 :虹のかなた:2005/12/30(金) 02:08:10 ID:YqyoBrev0
(助けなくては……!)
ホムンクルスの主食は人間。
あの少女が人間を食したところは見ていないが、瞳子の身が危険なことには変わりない。
つい先程手に入れた少女の住所をもう一度確認し、走り出そうとしたジュネはその足を踏み出すことが出来なかった。
いつのまにその場に現れたのか――――ジュネの目前には鮮やかな赤色の傘を差したアテナが立っている。
『お待ちなさい、ジュネ。今はまだ追ってはなりません』
『何故ですか?!こうしている間にも瞳子は……!』
『瞳子様は大丈夫です。シャイナに追わせていますし、念のため“保険”もかけてあります。私達が動くのはもう少し時間
が経ってからです』
有無を言わせぬアテナの命令にジュネが逆らえるはずもなく――――結局、ジュネは斗貴子と共に城戸家の来るまで屋敷ま
で連れ帰られてしまったのだ。
途中、濡れた体を拭くことも忘れた様子の紅薔薇さまを自宅へと送り届けたのだが……瞳子を攫われたことが余程ショック
だったのだろう。
焦点の合わない瞳のまま、ふらつく足取りで玄関を入って行かれていた。
一方、城戸邸へと連れてこられた斗貴子はジュネと共に部屋に押し込められ、今に至っている。
先程まで「今すぐにホムンクルスの元へ向かう」と叫んでいたが、キャプテン・ブラボーとやらにに何か言われたのだろうか。
実力行使に出ることもなく、イライラしながらも大人しく部屋に収まっている。
斗貴子には一応、シャイナさん――――「先輩」としか説明していないが――――が瞳子を追ったことも説明してあるのだ
がやはり気になるのだろう。
つい先程までは忙しなく部屋を歩き回っていたのだ。
「本当にあの女は何を考えている?!戦士長もとりあえずは城戸沙織の指示に従えと言うし……!」
アテナのことを自分に八つ当たられても困るのだが……。
いささか理不尽に怒鳴られた事は「まぁいいか」と思い直し、ジュネは肩をすくめてみせた。
「さぁねぇ。あのお方の考えていることなんて人間には計り知れないからねぇ。……ただね、これだけは断言できるよ。沙織
お嬢様は瞳子を見殺しにするようなマネは絶対にしないし、ホムンクルスを逃すようなこともしない。あのお方はそういう
方だから」
「なぜそう言い切れる」
「なぜって……沙織お嬢様を信じているからに決まっているだろ」
あっさりと返答すると、勢いを削がれたのか斗貴子は息を吐き天井を仰いだ。
「私は……そこまで城戸沙織を信用できない。知り合って間もないということもあるが、何を考えているのか全く読めないとこ
ろが気にくわないし……信用できない」
斗貴子が再度ため息をつく。

332 :虹のかなた:2005/12/30(金) 02:09:29 ID:YqyoBrev0
……アテナが本物の女神であることを知らない人間から見たら、本当に不思議な人に思えるだろう。あの、城戸沙織というお嬢
様は。
いつも笑顔で楽しそうで、何を考えているかを人にはあまり明かさない。
なのに時々非道く憂いた表情で物思いに耽っていられる様子は、一人の少女が背負うにはあまりにも重い宿命に必死に耐えてい
らっしゃるようで。
アテナにお側仕えして数年経つが、ジュネは未だアテナを持て余している。
真面目なのか不真面目なのか。明るいのか暗いのか。いつも見せる笑顔は本当に本物の笑顔なのか。
掴み所がない、という印象を未だに拭い切れていない。
それでも彼の女神を信じられるのは、アテナが自分の命と人生をかけて地上を守っていることを知っているから。
戦いを恐れない勇敢な女神が、人間同士が傷つけ合うことを何よりも悲しんでいることを知っているから。
それに。
「……瞬が、あのお方を信じているから、ってのもあるかな……」
「瞬?」
考えていたことを最後だけ口にしてしまったらしい。
訝しげにジュネを見上げる斗貴子に、少し微笑んでみせる。
「私の惚れた男だよ」
「ほっ……惚れた?!」
何でどもっているんだ。そんなに驚くことか。
「彼のためならいつでも死んでいいと思えるくらい惚れてるんだ。……今はまだ会えないけど……。……なんて顔してるんだい」
眉間に寄せられていた皺を一気になくし目を丸くした斗貴子がアホみたいな顔でこちらを見ている。
口がやたらとパクパクしているが……酸素不足か?
「い、色恋など……!」
「色恋など?」
「……いや、なんでもない」
どういうわけか顔を赤くした斗貴子を見て、ジュネはある事に思い至る。
「あぁ。まだ男に惚れたことがないんだな?」
「……っ!大きなお世話だ!!そんなモノ……私には関係ない!そんな事に現を抜かしている暇があったら少しでも強くならなくては
……!!」
何故だか怒ったようにそう怒鳴り、斗貴子はそっぽを向いてしまう。
そんな斗貴子の様子に、ジュネは自分が斗貴子に持ち続けていた“心配”の原因が分かったような気がした。
いつだっけか。……この前の月曜日だったか。
確か紅薔薇さまに薔薇の館に初めて招かれたあの月曜日だ。

333 :虹のかなた:2005/12/30(金) 02:10:39 ID:YqyoBrev0
あのマリア像の前で斗貴子と少し言い争いをした時からずっと気になっていたこと。
周囲を拒絶し、どこか焦っているような、それでいて確固たる信念を持っているように感じた斗貴子に自分が感じたこと。
(まるで……三年前の私の様だな……)
瞬を信じ切れなかったことを後悔して、自分の生きる道を探してがむしゃらに体を鍛えていたあの頃。
『強くなりたい』と覚悟を決めるまで、不安を抱えて焦って、それでも何かをしたいと切望していたあの頃。
今の斗貴子は、そんなあの頃の自分に似ている気がする。
だからきっと放っておけないのだ。
斗貴子の気持ちが分かるから……つい心配して口を出したくなってしまうのだ。
斗貴子に気付かれないように小さく自嘲し、ジュネはゆっくりと口を開いた。
「ただ、『強くなりたい』ってだけじゃ強くはなれないよ」
「……どういうことだ?」
ジュネの言葉の内容が唐突に思えたのか、訝しげに斗貴子が振り返る。
そんな斗貴子を見つめ、ジュネは笑みを消し真剣な眼差しを向ける。
「男ってのはさ、ただ強くなりたい、って力を求めるヤツが多いけど……女ってのはやっかいでさ、それだけじゃ強くなれないんだ。
強くなるための理由を求めてしまう。純粋な腕力で男に劣る分、そういう理由を作ることで気持ちの強さを持てるんだと思う」
「…………」
「オマエは、何で強くなりたい?」
ジュネの質問に、斗貴子は再度目を見開いた。
何かを答えようとして……結局何も言えずにそのまま俯く。
シンプルな質問だけど自分が戦うための核となる信念。
その核を持たない者は、戦いの場において窮地に立たされたときに途端に弱くなってしまう。
それはすなわち――――即、死に繋がる事だ。
答えない斗貴子に答えを待ち続けるジュネ。
沈黙の部屋に微かな雨音が染み入り、時の流れを緩やかに感じさせる。
「……わかんないならいいよ」
静かに沈黙を破ったのはジュネだった。
「ただ、それは考え続けた方がいいと思う。その方がきっとオマエのためになる」
戦士の先輩として、自分が唯一送れるアドバイス。
斗貴子に伝わっただろうか。――――――――伝わって欲しい。
オマエを心配し……死んで欲しくないと願う人間がいることを知って欲しい。


334 :虹のかなた:2005/12/30(金) 02:11:27 ID:YqyoBrev0
俯いて唇を噛む斗貴子の髪に、そっと触れる。
弾かれた様に顔を上げた斗貴子を見下ろし、ジュネはにっこりと笑った。
いつか紅薔薇さまが斗貴子にそうしたように、同じ台詞を言ってみる。
「……笑った方がかわいいよ」
「……っ!な、なにをっ……!」
途端に耳まで真っ赤になった斗貴子が可笑しくて、ジュネは笑い声をたてる。
「こんな時にくだらない冗談を言うな!」
「冗談なんかじゃないさ。事実だよ。あ、後ね。アンタ、さっき『自分に色恋は関係ない』って言ってたけど、そんなことわかんないよ。
一年後か二年後か、それこそ一心同体とまで思えるくらい惚れる男と運命の出会いを果たすかもしれない」
「そんなことはありえん!」

「運命の出会いというものは、そう思っているのに出会ってしまうから運命の出会いと言うのですよ」

唐突に声がし、ジュネと斗貴子は一瞬体を硬直させた。…………アテナか。
「どうしていつもそう、神出鬼没なのですか?」
ノックの音は聞こえなかったしドアの開く音も聞こえなかった。
気配もさせずに突然に姿を現すのは心臓に悪いので極力控えて欲しい。
「私の趣味です。あまり気になさらないでくださいな。それよりも……敵が動き出しました。私達も出発しましょう」
サラリとジュネの直訴を破棄し、アテナはいつものように微笑んだ。
斗貴子と顔を見合わせ頷き合う。
アテナを先頭にジュネと斗貴子が去った部屋にはただ、雨の音だけが残された。




335 :ミドリ ◆5k4Bd86fvo :2005/12/30(金) 02:37:47 ID:YqyoBrev0
今回はここまでです。
バトルに入ると言っておきながら未だに入れません。

いつかどなたかが仰っていたのですが、この話の主人公は祐巳、斗貴子、ジュネです。
ジュネの影が薄いのか沙織が出張りすぎなのか……。
沙織を各視点の基準(それぞれの沙織の呼び方を祐巳→沙織ちゃん、斗貴子→沙織・城戸沙織、
ジュネ→アテナ・沙織お嬢様)にしているのでどうしても沢山出てきてしまうので印象が強いのかも
しれません。
次回はもう少し早く続きを書きたいと思います。

では、皆様ごきげんよう。
よいお年を。

336 :作者の都合により名無しです:2005/12/30(金) 08:09:54 ID:5SPFx7zs0
ミドリさんいらっしゃったーーーー!
正直、少し心配しておりました。

今回はジュネ視点での斗貴子との絡みですか。
忠臣・ジュネと沙織をいぶかしむ斗貴子との対比が面白いです。恋バナもありでw
でも、どんなに2人が面白い会話してても沙織さん登場すると場面もってちゃいますねえ。
私は主人公・沙織、ヒロイン・祐巳、重要人物・斗貴子、ジュネと思ってたなあ。
よく考えれば、沙織は語られてばかりなんですがw

ところでジュネと瞬ってあれからどうなったんですかね?
よいお年を、ミドリさん。


337 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/30(金) 09:18:42 ID:5vRsWVUM0
scene9 伊藤開司【四】

 あっと言う間に自由時間は終わり、夕食の時間となった。
 キャスターテーブルが組み合わさって出来た一際大きなテーブルの上では
 牛肉とピーマンの炒め物、牡蠣の霙あえ、烏賊と海老のバーミセリ――等々の
 各種料理がそれぞれ数品づつ大皿に盛られ、美味しそうな湯気を立てていた。
 宛ら和洋中華よりどりみどりのバイキング、といった風情だ。
 おそらくこれは、あのエプロンドレスのメイド、ハネダが作ったものなのだろう。
 そして、テーブルを囲む十人の人間――これが旅行か何かであったのならば
 さぞかし、楽しい食事風景になったことと思う。
 しかし、食事中、会話の為に口を開こうとする者は誰一人としていなかった。
 皆、時折視線を上げ、お互いの表情を伺いあい……
 食器同士が触れ合う金属音だけが響く……そんな、通夜のような食事風景……!
(まったく……疑心暗鬼ここに極まれり、って雰囲気だ……)
 かく言うカイジも、作ってくれたと思われるハネダには悪いが
 豪華な料理に舌鼓を打っているほどの余裕は無かった。
 まるで、カイジの味蕾が麻痺してしまったかのように
 食物は味覚を脳に伝えないまま、食道を通り過ぎて行く。
(無理も無い……かかっている金額が金額だ……全員が揃った場では
 探偵であれ犯人であれ、殊更慎重にならざるを得ない……!)
 延々と続くかに思われた沈黙の時間を断ち切ったのは、笠間潤だった。
「あー、なんというか、重苦しい雰囲気だね。息が詰まってしまいそうだよ。
 どうだろう。みんな、何でもいいから喋らないかい? 喋らなければ情報も出ないことだし」
「沈黙は金、雄弁は銀って言うでしょ。確かにこのゲームでは、会話は重要なファクターだけど……
 何も考えず、ただ闇雲に喋ればいいってものじゃないわけよ。そんなに無言が嫌なら、あんたが喋ったらどうなの?」
 全身から発散される敵愾心を隠そうともせず、彼に噛み付いたのは香坂まどかだ。

338 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/30(金) 09:19:41 ID:5vRsWVUM0
「そうかな。僕はそうは思わないよ。黙っていたって、犯人の尻尾は掴めない」
 笠間は香坂の刺々しい言葉を、表情一つ変えずに、さらりと受け流す。
「でも、僕が率先して話題を振るべき、と言うのは的を射た意見かもしれないね。そうだなぁ……」
 笠間は眉間に人差し指と中指を当て、何やら考えているようなポーズを取る。
 その所作に、カイジはデジャ・ビュを覚えた。
(あれは確か……仮面の男が、ルール説明をしている時に……)
 どの位の間、そうしていただろうか。
「そうだ!」
 悪戯を思いついた子供のような笑みを湛えて、笠間はいきなり両手を叩いてみせた。
 パスタを巻いていたフォークが落下して皿に当たり、カチャンと音を立てる。
「雑誌の受け売りなんだけれどね。僭越ながら、本ゲームの舞台である
 このシュプールで起きた『怖い話』について語らせてもらおうかな」
 ぴくり、と香坂の身体が震える。
「ややや、やめなさいよ、そんな話……!」
 強気の姿勢を崩さなかった香坂が一転して、雨に打たれた捨て犬にも似た、哀願するような目で笠間を見る。
(この二人……一体何なんだ……?)
 そんな香坂を無視して、笠間は一方的に語り始める。
「改装前、シュプールで起きた事件の概要については、みなさん知っているかな」
「ああ、知ってるぜ。転がり出てくるバラバラ死体と撲殺死体。
 トドメに、同僚を殺された従業員は犯人の拳銃で脳漿ぶちまけて自殺。エグイ事件だったよな、あれは」
 口を挟んだのは小此木だ。エグイ事件だ、という言葉とは裏腹に、顔にはへらへらとした薄笑いを浮かべていた。
「う……」
 か細い呻き声。その隣の席で、ロングヘアの少女が俯き、ハンカチで口元を押さえる。
 胸元のネームプレートには『NO.8 双葉夕実』と刻まれていた。

339 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/30(金) 09:21:14 ID:5vRsWVUM0
「まあまあ、年頃のお嬢さんもいることだし、あまり直接的なスプラッタ描写は控えよう」
 こともなげにグロテスクな発言をする小此木を、笠間が諌める。
 それでようやく、小此木は自分の隣にいる少女に一瞥をくれた。
「は、繊細なことだな。俺なんか『十三日の金曜日』見ながらトマトジュースを――」
 そこで、言葉がぷつりと途切れる。小此木の顔色が、みるみるうちに青ざめてゆく。
 異変は、傍目から見ても明らかだった。
「お、おい、何がどうしたって言うんだ……!?」
 思わずカイジが声をかけるが、返答は無い。
「あああ、あ。何でもない。気にするな。そんなことより続けてくれ。話。シュプールの怖い話だろ?」
 小此木は双葉から目を逸らし、搾り出すような声でそれだけ言い、黙り込んだ。
「何でもないって、そんな青林檎みたいに血の気の引いた顔して……」
 笠間は小此木の奇妙な態度に不信感を露にしたものの、気を取り直したように、少女二人に視線を移した。
「こほん、まあいいや。夕実ちゃんと、それから理沙ちゃんも。不快なようだったら、この話、もう止めるけど――」
「……不快では、ないです。そもそも、気分が悪くなったのは、笠間さんのお話と関係のないことで……申し訳ありません」
 消え入りそうな声で、双葉夕実が言う。
「私も、特に問題はありません。どうぞ気にせず、続けてください」
 夕凪理沙も、気遣いは無用とでも言いたそうだった。
「そ、そう? じゃあ続けるよ。この事件で有名なものと言えば、何といっても、犯人が残した殺人予告だね。
 散々報道もされたし、一度は聞いたことがあるんじゃないかな?『こんや 12じ だれかが しぬ』って文面」
 そこで、笠間はおもむろに声のトーンを落とす。

340 :殺人黙示録カマイタチ:2005/12/30(金) 09:22:32 ID:5vRsWVUM0
「その脅迫状通りに、バラバラ殺人事件は起こった訳だけれど……
 被害者の怨念は、消えたわけじゃなかったんだよ。
 それ以来シュプールの客室では、午前零時、事件のあった時刻に、誰もかけていないのに、内線電話が鳴るんだ。
 そして、電話口の向こうから『返せぇ……身体を返せぇ……』って、苦しそうな男の声が……!」
 その手の話を聞き慣れた人からすれば、巷に氾濫する下世話な
 怪談話の一つではあるのだが――何時の間にか香坂以外は、笠間の話に聞き入っていた。
「それで、ここからが大切だから、よく聞いて。
 電話を取らなかったり、その声に何も答えなかったりすると、被害者――南の亡霊が現れて、魂を持っていってしまうらしい。
 そうならない為には、受話器を取って、電話口に向かって『お帰り下さい』って三回言うんだ。そうすれば助かる……って話だよ」
「……何だか、子供騙しな話っすねぇ」
 玉崎が素直な感想を口にする。正直、カイジも同意見だった。
 香坂は、と見ると、明後日の方向を向き、無言で右人差し指をしゃぶっていた。
「はは、やっぱり変わってないんだ。まどかの、怖がると指しゃぶる癖」
「あんた、そうやってあたしを公衆の面前で馬鹿にしたいが為に
 あたしが怪談大嫌いなの知ってて、わざわざシュプールの怖い話なんてしたでしょ。相も変わらず最ッ低!」
「さっきから気になってたんだけど……二人、知り合いなのか?」
 流石に気になったカイジが、二人に尋ねる。
「非常に不名誉だけど、元彼」
 香坂が吐き捨てるようにそう言うと
「非常に不名誉だけど、元彼女」
 すぐに、笠間が鸚鵡返しで反撃する。
 二人の間に何があったかは定かではないが、どうやら、犬猿の仲なのは間違いないらしかった。

341 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2005/12/30(金) 09:23:41 ID:5vRsWVUM0
毎度ありがとうございます。前回投稿は>>298です。
今年最後の投下になります。

・限定ジャンケン編
限定ジャンケン編はカイジの中でも一際神がかってますよね。
理論、戦略、そして、虚々実々の駆け引き……
アレは逆立ちしても真似できそうにありません。
・物語としての期待値
今後の展開……ある意味作者としては
読んでくれている方のリアクションが楽しみでもあり、怖くもあります。
特に緻密なプロットを立てて書いている……という訳でもないのです。
でもなるべく、予想を裏切り、期待を裏切らないようにできたらいいな……
・犠牲者について
出る予定です。が、そうバタバタは死なないかもしれません。
その割には無計画にキャラが多過ぎるという説も。

前回投稿>>295の十三行目を訂正します。
○>これは、犯人であるのならば、様子見の上で探偵の出方を疑う、というのは理に適った行動だ。
×>これは、犯人であるのならば、様子見の上で探偵の出方を伺う、というのは理に適った行動だ。

疑うと伺うをタイプミスしました……

342 :作者の都合により名無しです:2005/12/30(金) 12:26:35 ID:8arWpfcJO
カイジおもすれ〜。今んとこ一番のヒットだよ。
キャラもだし方が上手いね。まだちょっとごちゃごちゃしてるけど一気読みしたら大丈夫そうだ
見てた人がんばってちょ!新年からの投稿お待ちしております!


P.S.ハンネは見てた人?いや、別にいいんだけどハンネっぽくないな〜と独り言。

343 :作者の都合により名無しです:2005/12/30(金) 13:23:20 ID:6labt9DJ0
作品・書き手wともに大ファンのミドリさんと、大注目の見てた人さんが
連続投稿とは嬉しいですな。

>虹のかなた
ジュネが斗貴子に昔語りをしたりとか、昔の自分に重ね合わせたりとか、
大人の雰囲気を醸し出してますね。恋の話を出されて照れる斗貴子もかわいい。
でも、やっぱり沙織は格が違うな。一瞬で凛とした雰囲気になりますからね。

>カマイタチ
いや、ストーリーの練りこみが半端じゃないですね。今回の食事の風景にしても、
美味しそうな料理とは裏腹に、登場人物の一言一言が重い。展開がマジで読めない。
どんどん予想裏切って、これからも期待に十二分に応えてくれると嬉しいです。


お二人とも、今年最後の投稿ですか。良いお年を。


344 :作者の都合により名無しです:2005/12/30(金) 17:24:28 ID:cyLTiOyu0
>ミドリさん
お久しぶりです。
今回は闘い前夜というか、ジュネの恋自慢というか。
ジュネと斗貴子は姉妹になってもおかしくない位、親密になりましたね。
最終戦ではコンビプレイが見られることを期待してます。

>見てた人さん
年末最後の投下乙です。
登場人物一人一人の練りこみが凄いですね。
まだ登場人物はたくさんいそうですね、全部のキャラを立たせるのは
大変と思いますが頑張って下さい。
ところで>>343の○と×、逆ではないですか?

345 :作者の都合により名無しです:2005/12/30(金) 17:37:57 ID:jLq7Eg5i0
殺人黙示録カマイタチ最高です。
参加者の気まずい食事風景がものすごく伝わってきます。
あと、時々入る福本調もたまりませんな。

346 :作者の都合により名無しです:2005/12/30(金) 20:27:59 ID:vyMA49c30
ミドリさんキテタ!!!!!!!!!!!
相変わらず沙織さんは麗しいし、トキコは勇ましいのに微笑ましい。
でも一番はジュネかなあ。今回、ちょっとトキコより上からの視点で
トキコを弄んでいるような(ジュネにそんな気は無いだろうけど)感じが良かった。
来年も頑張って下さい。

347 :聖少女風流記:2005/12/30(金) 22:43:30 ID:EAkOpTF30
第三話 鬼神招来

不思議な人だ。
ジャンヌは、慶次を見て心からそう思った。
もう、この異様な風体の大男は、私の連れと打ち解けている。
慶次と出会う前、彼女の周りには、6名の護衛の者たちがいた。
現王太子の親戚である、とある老公の配下の者たちである。

老公はジャンヌの「神のお告げにより、オルレアンを開放する」という大儀を信じ、
準騎士のベルトランとジヤンを始めとする、6人の男を貸し出した寛容な人物である。
否、酔狂といっても良いか。

だが、老公の酔狂よりも、ジャンヌのカリスマと行動力を称えるべきだろう。
一介の田舎娘に過ぎぬ彼女が、地方最大の権力者に何度かの拒絶をされながらも
謁見に成功し、数人とはいえ貴重な武力を借り出すことに成功したのだ。
特にベルトランとジヤンは、自ら志願して彼女の護衛に就いた。
老公に一歩も引かず、凛としてフランスの未来を憂う彼女に心酔した、らしい。

16歳の田舎娘は、この時点で女を捨てた。
男装に身を包み、日本の華美なものではない、鉄板を張られた無骨な鎧を纏い、
人が虫のように死んでいく鉄矢飛び交う戦場へと舞い降りた。
歴史上、最大の聖少女の誕生である。
この救世主の出現により、イギリスが圧倒的に優勢だった百年戦争の状況は変わる。
劇的に。いや、奇跡的といってもいい。

そして少女の奇跡はたった1年で終わりを告げる。悲劇的なかたちで。
魔女として火あぶりにて処刑され、以降数百年、彼女は魔女と呼ばれることになる。
が、それはまた後の話である。
今、奇跡の少女は前田 慶次という2人といない男を見、うっすらと頬を赤らめている。

348 :聖少女風流記:2005/12/30(金) 22:44:23 ID:EAkOpTF30
「不思議な男だねえ、あんた」
ベルトランが豪快に笑いながら、慶次の肩を叩きながら言った。ジヤンも相槌を打つ。
「まったくだ。正直、そんなデカいなりで現れたときには、俺は敵かと思ったぜ。
 姿かたちもまったくおかしいし。…だけど、不思議と信じられる」
慶次はその豪壮な姿に反し、静かな微笑をたたえている。松風がいなないた。
護衛の男の一人が驚きビクン、と跳ね上がる。しかしこんな大きな馬は見たことが無い。
確実に、自分たちの馬の3回りは大きい。貫禄も充分過ぎるほどだ。
出会って数分のうちに、自分たちの馬は松風という馬に完全に服従してしまっている。

一向はゆっくりとオルレアンを目指して進行していた。
先頭はジャンヌだが、今この場の中心にいるのは確実に慶次と松風である。
オルレアンに到着する為には、敵地を横断しなくてはならない。
つまり、何時戦闘にあっても、襲われてもおかしくない状況である。
が、不思議に怖くは無い。

護衛の男の一人、トエンはジャンヌと慶次の後姿を見ながら、おかしくなった。
この旅が楽しくて仕方なくなって来たことに、である。本当に、可笑しい。

自分は元々、この美しい娘を強姦する為にこの一行に加わったのではないか。

トエンだけでない。
ジャンヌに心酔する老公配下の準騎士、ベルトランとジヤン以外の4人は、
道中において、この稀有な美しさを誇る少女を犯したくて、旅に志願したのである。
鎧に身を包み男装で素性を隠そうとしても、ジャンヌの美しさは匂い立っていた。

349 :聖少女風流記:2005/12/30(金) 22:45:26 ID:EAkOpTF30
彼女の小振りながら形の良い胸を乱暴に揉み解し、紅い唇を強引に吸い尽くしながら
未開の秘所に自分の一物を突き入れる妄想に、何度身悶えたことか。

だがその邪念は、トエンたちの中で徐々に解け崩れていく。
この少女が持つある意味異様な聖性が、騎士に憧れていた自分を思い出させるのだ。
少女のオレリアンの解放への執念。騎士以上に自分以外のものに殉ずる姿勢。

何かを思い出させ、命を懸けさせるものがこの少女にはある。
犯されざるべき神聖さが。汚してはいけない懸命さが。

そして前田 慶次という、異国の「いくさ人」という男。
この異国の騎士からは、男を奮い立たせる何かを感じる。戦士の血を騒がせる何かが。
こんな、とてつもない女と男と共に旅が出来る、こんな楽しいことがあるか……。

トエンはそう思った。心から思った。
ジャンヌを犯したくて堪らなかった他の3人も、今は同じ気持ちだろう。
その証拠に、敵地の中でも笑みが全員に零れている。
慶次は無邪気に笑いながら、瓢箪の酒を煽り、それを隣の馬のベルトランに投げ渡す。
ベルトランは瓢箪を傾けると、それをジヤンに渡す。やがてトエンに瓢箪が渡った。

男同士が打ち解けるのに、時間も言葉も要らないという事を、トエンは初めて知る。
その様子を、地上でもっとも美しい女が(男装の鎧姿ではあるが)微笑んで見守っている。
馬に乗りながらの、危険で粗末な旅なれど、男にとってこれ以上の贅沢があるだろうか。

350 :聖少女風流記:2005/12/30(金) 22:46:18 ID:EAkOpTF30
平和な静寂が8人を包んでいた。だがそれはやがて破られる事になる。
松風が止まった。慶次の視線が厳しくなる。数秒後れ、準騎士の2人の顔付きが変わる。
現在の場所は草が生い茂る森の中である。待ち伏せにはもってこいの場所だ。
(敵は、四十といったところか。大した数ではないな。だが、その中の)
数十メートル先の敵の気配を、慶次は正確に読む。うっすらと額に汗が浮かんだ。

怪物が、いる。しかも3匹。
自分と同等か、それ以上の戦闘能力を持った化け物が、3匹。
慶次は戦闘に動じる男ではない。どころか、喜びすら感じている男である。
いくさ人は、戦場で駆けて死ぬのが理想とも思っている。
天川分け目の合戦でも、異国の名も知らぬ森の戦闘でも、どんないくさでも構いはしない。
強敵と斬り結んだ後、敗れて死ぬならこれに勝る死に方は無い。
どうぞ殺して欲しいものだ。そもそも、負け戦に生き甲斐と死に甲斐を見出す男である。

だが、それは自分ひとりだけの場合である。今は違う。
今の自分は、すぐそばに守るべき存在がいる。宿命を背負いし聖なる少女が。
その少女の為に、自分は簡単に死ぬ事は出来ない。死ぬ時は、少女が事を成してからだ。

「ベルトラン殿、ジヤン殿。ジャンヌ殿を、頼みました」
その慶次の言葉をきっかけにしたように、矢が飛んできた。慶次は朱槍で薙ぎ落とす。
数名のイギリス兵が出現する。ベルトラン達はジャンヌの前に立ち、盾となり応戦した。
「け、慶次さんは、ど、どうなされるんですかっ」
ジャンヌはへっぴり腰で剣を振り回しながら、駆け出した慶次に叫んだ。
「フフ、けいじ、でいいですよ、ジャンヌ殿」
松風が疾風となって駆けていく。振り返りながら慶次は微笑んでそう言った。
「だったら、私もジャンヌと呼んで下さい、あと、敬語もやめて下さいな」

351 :聖少女風流記:2005/12/30(金) 22:47:17 ID:EAkOpTF30
戦場らしからぬ問答に苦笑するベルトラン達。その時、慶次が朱槍を振るった。
2人のイギリス兵が簡単に駆逐される。それを見てベルトランの顔から笑みが消える。
(あの槍の速さ、そして威力、本当に人間の技か)
数で勝るイギリス兵の猛攻がジャンヌたちに襲い掛かった。
慶次を欠くベルトラン達には絶望的な状況である。その時、凛とした声が飛んだ。

「大丈夫です、私たちには天がついています。こんな所で、一人も死にません!」
先ほどの少女然とした顔とは違う、威厳と神聖に満ちた目で、ジャンヌが叫んでいた。
敵方のイギリス兵ですら一瞬、動きが止まるほどの威風である。ジヤンが叫んだ。
「敵兵の数十名など何するものぞ、こちらには聖なる御子がいるっ!!」
うおお、と気勢を上げる6名の男たち。
トエンは生まれて初めて心から笑う。戦場の中で、血が滾って熱い、と。


離れた場所に、怪物が3匹いた。一匹は巨大なる馬の化け物。もう二匹は人型の魔人。

炎のような紅毛に包まれた巨馬の上で、2メートルを優に超える男が笑った。
「い、行くか、ま、前田 慶次を倒し、う、運命の、み、御子とやらを殺しに」
その男はどもりの癖があるらしい。馬上の男の横にも、偉丈夫がいる。

体つきは巨馬の男より2回りほど小さいが、引き締まった肉体に炯々とした眼光の男。
腰に二刀を差している、蓬髪で無骨な男である。二刀の男が言った。
「俺は、今回はいい。だがあんたが敗れたら、俺が行く」
背を向けて去ろうとする二刀の男。その言葉に巨馬の男が怒して叫んだ。
「お、俺がま、負けるだと? き、斬り殺されたいかッ!!」
二刀の男は構わず、森の深奥へと歩を進めて消えていった。舌打ちする巨馬の男。

352 :聖少女風流記:2005/12/30(金) 22:57:48 ID:EAkOpTF30
蹄の音が巨馬の男で止まった。前田 慶次と松風である。
(魔物の気配は3匹だったが。 ……一匹は、消えたか)
慶次は目の前の一人と一頭に目を向ける。大きい。馬も人も、自分たちよりも大きい。
「い、意外と、で、でかいな。お、俺よりは小せえが」
勝ち誇ったように笑う巨馬の男。攻撃に出た訳ではないのに、突風のような殺気である。

慶次は朱槍を握り締める。強い。馬も男も、恐ろしく強い。
「木石でもなければ名くらいはあるんだろう。なんというんだね」
警戒とは裏腹に、のんびりと聞く慶次。その瞬間、巨馬の男の矛が閃いた。

速い。巨体からは信じられぬ速度である。
慶次の右腕の朱槍が反射的に動いた。空中で強烈な激突音が鳴り響く。火花が舞った。
矛と朱槍が、松風と巨馬の真ん中の地点で微動だにせずせめぎあっている。
ぎりぎりとお互いの武器が軋み合っている

数秒の間、互角の状態が続いた。が、次第に慶次の槍が押され始める。
「た、大した、力だが、お、俺の方がずっと上だな」
キン、と乾いた音が響く。慶次の槍を巨馬の男の矛が弾いた音である。均衡は破れた。
慶次は右手を一瞬見た。痺れている。こんな事は経験がない。
この俺が、槍の鎬ぎ合いで押されて、腕を痺れさせられるなど……。

並みの男なら、恐怖と戦慄が背筋を走るだろう。
が、慶次は違う。腹の底から楽しくなってきた。
世は広い。ジャンヌのような傾国の(彼女の場合、『救国の』、が相応しいか)佳人も、
眼前の巨漢や怪馬のような化け物もいる。
これだから、人生は楽しい。いくさ場は堪らない。
そんな慶次の心情を知ってか知らずか、巨馬の男が慶次に語った。

「そ、そこそこは、や、やるようだが、ひ、人は龍には、か、勝てん」
「お、俺の名を、し、知りたいのか」
「お、俺の、な、名は」
「りょ、呂布。呂布奉先」

353 :ハイデッカ ◆duiA4jMXzU :2005/12/30(金) 23:05:51 ID:EAkOpTF30
http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/seisyoujyo/02.htmの続きです。

本当はこの段階で主人公がジャンヌ・ダルクと呼ばれるのはありえないのですがw
それにしてももうお正月ですね。早いですね、一年が終わるのは。




354 :作者の都合により名無しです:2005/12/31(土) 00:09:51 ID:+WiiFngI0
ハイデッケさんお久しぶりです。

初戦からいきなり蒼天の呂府が相手か!
慶次も負けて欲しくないけど、呂府には無敵であって欲しいなあ
それにしてもジャンヌダルクは萌えキャラなのかw

355 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:38:54 ID:kdAngJY10
<ギニュー編・その3-(1)>

〜前回までのあらすじ〜

アプールとの練習試合から二日後。
ギニュー特戦隊は、非番の日を使って新人発掘オーディション・・・、もとい、新人入隊試験を行っていた・・・

―――が、結果は、合格者どころか、最初の面接試験すら突破したものはいなかった・・・。

面接官をしたジースとグルドは失意の中、試験結果を隊長であるギニューと同僚のバータに報告する。
「今回も骨折り損でしたね。」
そしてバータは今回の試験結果に対して、誰もが考え付く―――感じるだろうコメントをする。

だが、隊長であるギニューは無駄だとは考えなかった。

むしろ、今回試験を受けに来て無念の死を遂げたヤムチャの”目立ちたい!!”という言葉から、
特戦隊が今よりさらに良くなるための突破口を見つけていたのだった。

―――それから数時間後・・・。


356 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:39:43 ID:kdAngJY10
ギニューは生ゴミ置き場に来ていた・・。
そう、ヤムチャをフリーザ軍の最新鋭の技術で生き返らせて、
特戦隊が今よりさらに良くなるための、さらなるヒントを貰うためだ。
しかし、ヤムチャの死体はなぜか隔離されていて、生き返らせることはおろか、
触ることも出来ない状態だった。
仕方なくこの場を立ち去ろうとするギニュー。

そんな時!!生ゴミ置き場の主任が、ヤムチャの遺品を提供してくれることに!!

(ヤムチャ本人がダメでも、遺品から何かヒントを得たい!)
そう思ったギニューが遺品を漁っていると、中から今週のジャンプが!!
「じゃ、ジャンプではないか!!!ワ〜イ!ワ〜イ!!今週のワンピーチを読まねば!!」
ジャンプを見るや否や、その場で読み始めるジャンプっ子のギニュー。
もはやその目は、ジャンプを敬愛する子供の目だった・・・。
そして主任のジャンプを上げるの台詞により、ギニューは最初の目的をすっかり忘れて、
この場から去っていくのだった・・。

――――――――――――――――――――――――――――――――

357 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:40:21 ID:kdAngJY10
<ギニュー編・その3-(2)>

〜某惑星〜

「と、いう所までしか説明してないじゃないですか!!!この続きが、肝なんですよ!!
そうじゃないと、俺等が修行している意味とか、ヤムチャはどうしたとか!!
それに俺等が出てきた最後の数行の説明が全く出来ないじゃないですか!!」
ジースは説明口調だが、声を荒げて講義する。
それもそのはず、前回までの分だと今のギニュー達がいる状況を説明するのは、
到底無理な相談だからだ。

―――しかし・・・、当のギニューはというと・・。

「いいんだよ!!メンドクサイし、そこら辺は。そうそう!!あれだ!!妄想でカバーすれば良いんだよ!!」
この物語・・・、いや、整合性という概念を根本から否定するような発言をするギニュー。
「も、妄想って!!それじゃあ、読む人によって、俺等が修行する理由が変わっちゃうじゃないですか!!
もうここまで来ると滅茶苦茶ですよ!!滅茶苦茶!!」
ジースは珍しく正論を言う。
しかし我等がギニューは、常識や普通というズレた考えに一切臆することなく、怯むことなく言葉を紡ぎ続ける!!
「お前こそ何を言っているんだ!!
俺は何でもかんでも答えをすぐに与えてしまう、現代の教育に一石を投じているんだぞ!!
ちょっとでも考えてみろ!!もしこれから俺が最後まで回想を”話さなかった”場合の事を!!
その時、前回の話からどうやって、俺等が修行をするまでに至ったかの経緯を!!」
「え・・・。う〜ん・・・。俺は一応、あらすじは分かっていますから・・・。」
「ちっ!!良いか!!もし、俺がお前の立場だったら・・。そうだな・・。俺ならこんな感じだな!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

358 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:41:04 ID:kdAngJY10
<ギニュー編・その3-(3)>

〜ギニューの妄想〜

「よっしゃ〜!!ジャンプだ!!!・・・って!!お前は暗黒大魔王!!!」
ギニューはヤムチャの遺品からゲットしたジャンプを持ち帰る途中に、
なぜか暗黒大魔王とエンカウントする。

――――柴田顔の魔王だが・・・。

「ふふふ・・。ギニューよ、ワシにジャンプを与えるか、それを断って、世界を混沌の闇に落とすか!!
選べ!!ギニュー!!」
「な、なんて理不尽な要求!!だが、ここで奴にジャンプを渡したら、今週のブリーフやワンピーチ。
そして何より、HANGER X HANGERの打ち切りの瞬間が読めなくなる!!だから俺は!!!」
目をキラリと光らせて、柴田調の魔王に”ビシッ!!”とエゴを叫ぶギニュー。
「俺はここに居て良いのか?いや、良いんだ!!おめでとう!!ありがとう!!!
だからお前にジャンプをあげるのは無理だ!!」
「な、なに〜!!じゃ、じゃあ魔王の私はどこでジャンプを読めばよいと?」
「農協で買え〜〜!!!シャーイニングフィンガー!!!!」

じゅぱ〜〜ん!!

「ぐ、ぐえ〜〜〜!!」
ギニューのシャイニングフィンガーで四散する暗黒大魔王。
そう、宇宙の平和はギニューの手により守られたのだ・・・。

―――――だが!!


359 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:41:54 ID:kdAngJY10
「くっ・・・。修行不足か・・・。シャイニング一発で体にガタが来るとは・・・。」
ギニューはシャイニングフィンガーの後遺症により、その場に倒れこみ病院に担ぎ込まれる。
「ご愁傷様です・・。」
「え〜〜!!治らないんですか!!!!俺の体は!!」
衝撃の事実!!ギニューの体は最早、メディカルマシーンでも、最新鋭の科学でも直らないほどの
ダメージを受けていたのだ!!
「ああ・・・。あの葉が全て落ちる頃には俺の人生も終わってしまうのか・・・。」
ギニューはベットに横たわりながら、窓の外を見てありがちな黄昏を満喫する。
しかし彼には絶望の二文字は無い。
なぜなら、彼は夏休みの間、一人で色々な所へ冒険に行っていたからだ!!

―――――そう、ある時は魔界で魔王退治!!

「やめてよね!戦闘力12万の僕が本気を出せば、デマオンなんかに負けるはずが無いだろ。」

―――――またある時は雲の上で人類存亡の逆転裁判!!

「今、地上世界を洗い流したら、ジャンプが読めなくなるから却下です!!
え?作者だけは天上世界に? ・・・・、だったらOK!!はい!!ノア計画を承〜認!!ポチっとな。」

(ふふ・・。本当にいろんな所へ行ったり、友達を作ったり・・・、全く良い人生だったよな・・。それに・・。)
ギニューが感慨深く自分の人生を思い返していると、病室のドアが慌しく開く!!
「「「「た、隊長!!大丈夫ですか!!」」」」
そう、特戦隊の面々がお見舞いに来たのだ!!
しかし、もうギニューには生きる力が残されていなかった・・・。

360 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:42:46 ID:ld/PSed00
「リクーム・・。お前がこれからの特戦隊を引っ張ってくれ・・・。」
「「「「た、隊長!!!!!死なないでくれ!!!」」」」
ギニューの今生の別れともいうべき台詞と共に、ギニューの胸の上でむせび泣く特戦隊の面々。
「お、お前達・・・。グスっ・・・・。」
それを見て、嬉し泣きをするギニュー。

そして思う!!

やっぱり死にたくないと!!

まだ生きてこいつ等の面倒を見てやりたいと!!

でも、でも・・・・。

「すまない。お前達・・・。もう、お別れのようだ・・・。パトラッシュ・・・。」
この言葉の後、なぜか天から出てくる天使達。
「た、隊長の体が宙に・・・。」
泣きはらした目を拭きながら病室の天井を見るジース。
他の特戦隊の面々も泣きながら、ギニューが天国へ運ばれる様子を見る。

――――が!一人だけ、泣くのはおろか、ギニューを裏切る男が!!

「はっはっは!!隊長のジャンプコレクションは貰ったぜ!!!」
「ば、バータ!!それは隊長の大切にしていたしまぶー逮捕の回のジャンプ!返すんだ!!いまならまだ間に合う!!」
「へ!返すだけねえだろ!!じゃあな!!」
バータはそう言って、病室の窓から飛び出ようとした、その時!!
「待てえい!!!」
どこからとも泣く聞こえる勇ましい声!!

361 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:43:33 ID:ld/PSed00
「あ、あれは!!牛乳パンマン!!」
バータ以外の特戦隊は驚きおののく。
牛乳パンマンは、ギニューが居たベットの下にある尿瓶から出てくると、
とりあえずの自己紹介といつもの謳い文句を言う。
「そうだ!!ボクはジャンプを盗む奴only許さない正義のヒーローさ!!
さあ、バタキンマン!!僕のジャンプを返すんだ!!」
遂に出た!新感覚自己中HERO!
しかしバタキンマンは、牛乳パンマンに臆することなく先制攻撃を行う。
「へ!!やだね!!お前はこれでも食らってろ!!」

びしゃあ!!

バタキンマンは何やら白い液状のモノを牛乳パンマンにかける。
「こ、この純度の低いミルクは・・・。はっ!もしやこれは低脂肪乳?」
「そうだ!!お前の弱点はお見通しさ!!」
「うう〜。力が抜ける・・。それにしても、この弱点を知っているとは・・。
お前!!バタキンマンじゃないな!!」
「ふふふ・・・。ばれちゃあ仕方が無い!!」
バタキンマンはそう言って、戦闘服を脱ぎ始める。

じゃじゃじゃ〜〜ん!!

バタキンマンが脱ぐと同時に無駄に鳴るファンファーレ。
果たして、全米が圧巻する程の彼の正体とは!!
「はっははははは!!俺の正体はブラックバータだ!!!」
「し、しまった〜〜!!盲点だった!!!白じゃなくて、黒か〜。今年の流行だもんな〜。」
正体に納得の一同。どうやら皆、ホワイトバータだと思っていたみたいだ。
「俺の正体に気付かないとは、まだまだ未熟未熟未熟〜〜!!顔を洗って修行して来い!!」
そしてブラックバータの一喝と共に、しまぶー逮捕の回のジャンプは窓の外から飛んでいくのだった・・。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

362 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:44:28 ID:ld/PSed00
<ギニュー編・その3-(4)>

「と、このような冗談はこれくらいにしておいて、ちゃんと回想を完結させるか!!」
ギニューはいきなり↑の文章を全否定から入る。
「え〜〜〜っ!!!何それ!!今までの全部無駄!?この数十行余りを全部虚無に返すんですか?」
「良いんだよ!!俺は早く修行の続きをしたいんだよ!!」
そう言って、ギニューは懐から一冊の本を取り出して、ページをめくり始める。
「へ?何すか?その手に持っているの。」
ジースはギニューへの抗議もほどほどに、今度は彼の手にある本に興味を示す。

――――まったくお約束な奴である・・。

「攻略本だよ。このギニュー編の。ん?ふむふむ、ジースを連続で踏めば1UPか・・・。」
さらりと爆弾発言を言うギニュー。
その様子には全くといって良いほど、悪びれた様子は無い。
むしろ、さも当然といった感じだ。
「み、見も蓋も無いじゃないですか!!いい加減にしてくださいよ!!
どこの世界に自分の話の攻略本を持った人がいるんですか!!ルール違反ですよ!!ルール違反!!」
流石に今度は猛抗議のジース。
でも、やっぱり彼も特戦隊の一員なんだろう。微妙に抗議する点がずれている。
「別にいいだろ。ブックオフで100円だったんだから!!ほら!!さっさと回想を終わらすぞ!!
それに自分で言ってたじゃないか!!ちゃんと、回想を終わらせろって!!」
「くっ・・・。こういう時だけ正論を・・・。」
狂気の中の理性というべき所であろうか。痛いところを突かれて、黙りこむジース。
そして、ジースを黙らせることに成功したギニューは、やっと回想の続きを語り始めるのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

363 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 07:53:04 ID:ld/PSed00
おひさしぶりのしぇきです。

めちゃくちゃなSSですが、来年も宜しくお願いします。

前回までの内容は、数文字で要約すると、
全て”ギニューの回想”ということです。
面接〜生ゴミ置き場までの話が。
本当は修行している途中の描写からギニューの回想で、
今に至るみたいな始まり方をしようかと思ったのですが、
そういう始まりをオーガでやっているので、少しだけ変えてみました。
結果はこの体たらくです。精進します。

>ふら〜りさん
ヤムチャ菌を使ったネタはミルコ編にします。

>サマサさん
当初はヤムチャを特戦隊に入れて、無茶苦茶やる話にしようかと
思いましたが、二番煎じなので止めました。
だから唯、単に特戦隊をこれ以上目立たせるためのヒントを
貰いに行っただけにしました。

364 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 08:17:28 ID:ld/PSed00
>見てた人
夕凪理沙はやっぱりそんなキャラでしたか。気さくに近づいてくる女性は怖いや。
登場人物が一杯出てきて、大変そうですが楽しみにしています。

>サナダムシさん
ガイア部隊の人からは人肉のおいしい食べ方を教えてもらいました。
にしても、ドッポが可愛い。

>うみにんさん
のび太は一体どこにいるんだ〜〜!!
夢の中でも危険すぎます。後は、ナディアのペンダントとの
悪魔族の絡みでしょうか。今後も目が離せないです。

>スターダストさん
千歳の武装錬金が遂に・・・。って、後編ですか、お目見えは。
ゾンビ鷲尾?は、決め手を与える存在だけなのか?
それとも最後まで絡んでくるのか?そこら辺も気になります。

>サマサさん
フリーダムvsサイバスターですか。
やっぱり弾けるんですかね。キラの種は。
でも、動かない敵にしか攻撃が当たらないから・・・、はっ!かませ?

365 :それゆけフリーザ野球軍:2005/12/31(土) 08:18:36 ID:ld/PSed00
>ハイデッカさん
呂布ですか・・。いきなり頂上決戦ですね。
でも、10回で終わるといっておられたので、出てくる敵の強さ
はそれが標準なのでしょうね。

>ミドリさん
神出鬼没で、まだ目的がはっきりと分からないホムンクルスが、
他の登場人物の行動範囲を広げていて凄いと思います。
行動範囲が広がった分、キャラの過去話とか色々見れて、
お得感満載でした。

では失礼します・・。

あ、後、見てた人さんにさんを付け忘れました。
どうもスイマセンです。

366 :作者の都合により名無しです:2005/12/31(土) 08:47:50 ID:E54nR7pT0
>ハイデッカ氏
慶次とジャンヌの萌え話かと思いきや、呂布出現でいきなり燃え話になりましたね。
日本と中国の最強者同士の戦いに期待しております。

>しぇき氏
ヤムチャを生き返らせるのですか。生ゴミ置き場から。生ゴミを蘇生させても生ゴミなのにw
しかし後半なんか妙なノリになってきたなあw



367 :作者の都合により名無しです:2005/12/31(土) 10:12:29 ID:hMj/452c0
大晦日まで今年は順調でしたね。来年も良い年にならんことを。

>性少女風流記
慶次のキャラが生きてますね。またここで強そうなキャラが登場しましたね。
出来れば、ジャンヌダルクとか、どの漫画のキャラか教えて頂けるとありがたいです。

>フリーザ野球軍
いや、面接試験も迷走してましたが、ギニューの迷走っぷりも凄いですね。
所々に入る、ワンピーチとかバタキンマンとかの小ネタも好きだ。

368 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/31(土) 15:03:32 ID:Xr3sBGak0
【V】ばーさすわしお ちゅうへんまるに
標的は非常食からバっと素早く離れた。
男はこの山で暮らし始めて以来、最高ありったけの速度で鞭を振り下ろし、横へ薙ぎ、斜め
から切り上げた。
しかし鞭はことごとく地面を打ち、いたずらに男の手首を痺れさせるのみに終わった。
再びミイラの前で屈めた千歳に鞭を向け、それも外れると屈辱的な出来事が男に降りかかった。
疲労に息をつきかけた刹那、鞭を持つ手に小石が当たった。
むろん、標的が投げたものである。身を屈めた時にでも拾ったのだろう。
男のむき出しの額にみるみる青筋が浮き上がる。
「クエエエエエエ!!」
雄たけびが森に木霊する。
するとどういうコトか。
標的は狭い木の間をあくせくとくぐり抜け、森の中に逃げた。
そこは男がいる所と違い、木々が乱立し、一直線に走り抜けるには困難な場所だ。
つまり、先ほど標的が見せた軽やかな避け方はもうできない場所でもある。
しかしそういう場所にあえて逃げ込むのはどうしてか。
標的は肩に掛けた鞄をゆすりつつ、逃げにくそうに逃げている。
その姿を見て、男は嘲笑った。
不利な場所に逃げ込んだのは、自身の怒りの声に怯えたせいだと勝手に結論付けたのだ。
倣岸不遜のこの態度。
知人が見れば、まだ理性を持っていた頃となんら変わりがないと嘆息するだろう。
だが、客観的に見てもこの状況は男にとって有利な点が多い。
相手が背中を見せて、逃げ辛い場所をのろのろと逃げている。
森の生活が長い男が木々を抜け、背中に痛烈なる一撃を与えるのは容易であろう。
喉奥でころころと機嫌よく鳴くと、男は標的を追った。
右手から体と平行に垂らした黒鞭が、うねる山肌を蛇のように奔っていく。
距離はぐんぐん狭まり、すぐさま射程距離に入った。
歩数ならば五歩。一足に跳べば真正面に立てるぐらいの距離。
そこで、なぜか標的はぐるりと振り向いた。
いぶかる理由はない、ただ打ち据えるのみ。と、男はただ反射的に鞭を振るった!
「クエーッ!」
瞬間、握り締めた右手に何かがぶつかる感触が走り、男はクェクェ笑った。

369 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/31(土) 15:08:14 ID:Xr3sBGak0
命中を確信した。
だが目の前の標的は──無傷。
鞭がまるで当たった気配がない。それどころか振るったはずの鞭すらない。
ならば、あの手ごたえは? そして振り上げた鞭の行方は?
男は硬直した。標的の右手から、猛回転する鈍いきらめきが解き放たれたのにも気づかずに。

次に起こったコトをありのまま記そう。
男の顔が違和感の原因に気づいて歪む前に、バールのようなモノがワシ鼻に深々とめり込
み、物理的に歪めていた。

標的──千歳は男が後ろに倒れ伏すのを見ながら、淡々と呟いた。
「気づかなかった? あなたがいつも動物を殺している所と違って、ここは木が密集している
から、考えなしに鞭を振り回すとそうなるの」
男の上で、手放された鞭が所在なげに揺れていた。
その先はと見れば、枝に絡め取られている。
威力から見れば枝を断ち切るコトたやすいはずの男の鞭である。
現に、ぶら下がっている所から心持ち広場の方にかけて、何本かの枝が落ちている。
しかし場所が悪かった。
鞭が枝を落としていく度、威力が削がれてしまった。
そして最終的に、枝に巻きついてしまったのだ。
広場での前哨戦で、男の手首に疲労が溜まっていたのもこの失敗の一因だろう。

千歳の顔は、蒸し暑い夏の森を走ったせいでぽうっと上気し、珠のような汗が浮かんでいる
がやはり無表情だ。
敵を倒した昂揚もなければ、倒された敵への同情も見受けられない。
「あなたが鞭を持っているのを見て、確信したの。死体が森にあったのはすべてあなたの仕
業だって。死体にあった痕やそばの木の傷と、その鞭の幅はほとんど同じだから」
ふぅっと一息つくと、たおやかなる胸の膨らみが上下した。
「それから考えると、あなたは鞭を振り回すしかできない筈。念のためにあなたの攻撃を見
たけど、想像通りだった。だからここへ逃げたの。鞭を使うには不向きなここへ」
千歳は、バールのようなモノを男の鼻からむしり取り、血をひゅっと振り飛ばした。


370 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/31(土) 15:09:16 ID:Xr3sBGak0
(もっとも、私のように投げるんだったら、動く妨げにはならないでしょうけど)

バールはもちろん、ミイラの所にあったのを拝借している。
なんであったかは分からないが、あるんなら使ってしまえばいい。
大地の神だってするさ。環境利用闘法だ。
千歳はついでに慣れた手つきで、鞭を木からほどいた。
そして鼻に血をにじませひくひくと痙攣する男を、冷たく凝視しながら話しかける。
「…鼻の傷が回復しないというコトは、ホムンクルスじゃないようね。大人しくしていてくれれば
これ以上あなたに危害を加える気はないわ。私はただ──」
ざっざと歩を進めながら、千歳は目的地を言い表す言葉を一瞬考えた。
ゴミの山というには、ちょっと整然としすぎている。だから印象をそのまま呟いた。
「──あの鳥の巣のような場所を調べたいだけ」
この一言が、そしてこれまでの健闘が、彼女に危機をもたらすコトになる。

………………

巣…

───『巣』?

男は、断片的ながらに様々な光景を思い出していた。
もう脳のどこかが壊れてしまったらしく、思い出せるのは輪郭がぐしゃぐしゃで、色とりどりの絵
の具のチューブを上で踏んでしまったような粘着質で不規則な色彩風景たち。
黒板らしき光景に書かれた自分の名前。その下で友より二票少ない「正」の文字。
覆面。鉄パイプ。くずおれる友の姿。

彼は昔から我慢ができなかった。自分がいる「巣」の中で、自分以外の奴が中心にいる事が。

彼は長じるといわゆる「闇金融」に務めたがそこでは既に、巣の中心に居座っている男がいた。
だから殺した。

371 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/31(土) 15:10:24 ID:Xr3sBGak0
双眼鏡で覗いた上司の姿。電話で促すと彼は上を見た。天井につけた予約の印。
飛び上がり、紐を引いた。そして上司の首は転がり落ちた。

一番になりたいんじゃない。ただ、巣の中心にいたいだけだった。しかし──…

しばらくすると事務所に二人の人間が来た。
一人はその筋のプロダクションで売れっ子女優になれそうな、女子高生。
もう一人はこれまた容姿端麗で、女子高生を先生と仰ぐ慇懃無礼な自称助手。
やがて咎は暴かれ、助手は変貌した。
迷彩服を着て角を生やした身長20メートルほどの写実的な鳥の化物になって、肉や鱗がご
ちゃごちゃついたライフルを構えると、ヤツメウナギみたいな銃口から巨大な卵を撃った。
卵は鼻に激突した。
あまりに想像を超えた衝撃に男はただ心底から畏怖し、気付けばもう逃げていた。
そして理解した。想像を超えた圧倒的な化物に、全てを砕かれたと。
と同時に意識は暗澹たる霞に埋もれた。
それは自衛だったのだろうか。
矜持も中心にいるべき巣も奪われたという、耐えがたき現実を直視するコトからの。
とすれば、倣岸な性質に見合わぬせせこましい、哀れな適応機制だ。
とにかくも男は、巣を失った雛鳥のごとく、ただ地べたを逃げ回りつづけてこの森に来た。
暮らしていくうちに。
いつしか自然に。
ゴミの数々を拾い上げ、ビルや巣のような物を作り始めていた。
そこにいる時だけは、男の薄暗い意識に光が射し、安らかなる気持ちになれる。
いまの男に理由は分からない。
動物が、糧を胃の腑にいっぱい詰め込むとどうして満足できるかを理解できないように、男
は分からず、ただ衝動のままに巣にいるコトを求めている。
だが、タガの外れている衝動は、時に恐ろしげな爆発を生む。

──そして今。
予期せぬ乱入者が『巣』に向かっている。

男は、一番になりたいんじゃない。ただ、巣の中心にいたいだけだった。

372 :影抜忍者出歯亀ネゴロ:2005/12/31(土) 15:11:07 ID:Xr3sBGak0
巣の中心にいられるのならば、例えこのまま死ぬまで地を這い続ける雛鳥であっても構わない。
だが!
『巣』に害を成そうというのならば! 『巣』の中心を奪おうというのならば!

もとより根底を流れていた情念に、火を点ける別の要素がこの時あった。
痛む鼻から、全てを崩された時の鈍い痛みが蘇り、ふつふつと怒りが沸き起こる。
共通する痛みが男のぐちゃぐちゃの脳内で、千歳と、巣を奪った助手たちを混同していく。
やがて男は千歳への復讐を思い立った。
どこまでも捻くれた男の心は、元凶を恐怖しつつも復仇を望み、まるで筋の違う方向で果た
そうとし始めている。
煮沸される汚泥のような情念。黒々とした熱が篭った負の欲求。
しかしそれが、それこそが、男が少年の頃より望みを果たし続けてきた原動力なのだ。
男が幸福を目指せる唯一にして絶対なる翼にして、火を噴く推進力でもある。

千歳は期せずして、それを蘇らせてしまった。

痙攣していた男の足に、手に、体に、確固たる力が篭った。
そして上体を起こした男の目には。
濁った金色の光が爛々と燃え盛っていた。
そして男は無言で立ち上がり、悪意に満ちた凄惨な形相でゆっくり振り返り。
すっかり遠ざかった標的をぎらりと睨みつけた。

373 :スターダスト ◆C.B5VSJlKU :2005/12/31(土) 15:12:37 ID:vEOqVuKu0
皆さまよいお年を。

>>316さん
本当、根来は何やっているんだろうって話ですよね。いや考えてあるんですが、今のところ
主役なのに全然活躍してない……(縫い物して豆腐食べただけ)
現在の敵は、描いてるうちに方向性が変わったので、予定より長く出ます。いわば中ボスですね。

>>323さん
根来とのバトルに関しては、次回に結論が出ます。クライマックスへの流れを一番に考えますと
その結論は結構大事というか「おお、これやれば無理ないかも」っていう要素が多々あります。
ただこの敵を使うコト自体無理があるやも知れませぬが。…あ、そういえば千歳はヒロインだった。忘れてた。

>>324さん
ありがとうございます。部屋は零下10度でエクセルのイルカも昨日凍死しましたが、指は毎日動かしてますよ!
今回の敵はアレっぽいですね。「スタァーズ!」デェー…デケデケデケデェェエ(←怖い効果音)ってヘリ落とすアレ。
18禁ですと、内臓やら脳みそやらをズバーンズバーンブチ撒けないとならず……すいません。実現は無理そうです。

ふら〜りさん
ありがとうございます。原作の描写からだと、こういう捜査をしていくかなぁーと。実は、SS描
くときは原作に準拠すべしというのが基本的なスタイルなんですよ。しかし反面、物凄く崩したくて崩したくて。
話は変わりますがネウロで一番好きで共感できる犯人は、ヒステリアって爆弾魔です。ああ、ブッちゃけたい。

しぇきさん
>遂に出た!新感覚自己中HERO!
出ましたか! まるでジャンプの新連載予告ですねw
こういうノリは好きですよ。大好きですよ。牛乳パンマンが雑菌塗れの尿瓶から出てくるのは
バタキンを超えたバタキンに今後変化していく伏線でしょうか。そして修行に至った真意はいかに!
千歳の武装錬金に関しては、原作で出てさえいれば描けたのですが… 何だと思いますか?
鷲尾の行く末については、「上手く使えば今ある構想の難点をいくつか修正してくれそう」とだけ。
彼はバイオっぽいけどゾンビじゃないです。どころか人間です。はい。”知ってるぞ”のホムンクルスではなく……

374 :作者の都合により名無しです:2005/12/31(土) 19:03:59 ID:09mFnsK60
おお、大晦日にスターダスト氏ご苦労様です。
(さすがに今年のオオトリかな?)

千歳、強くて冷静ですな。クールビューティですか。
でも、何か彼女の言動が、彼の心の奥底の核をつついてしまったようで
本当の恐怖はこれからって感じがします。
ヒロインのピンチにヒーローが駆け付けるのは王道ですが、果たして!?
(最後、ふらーりさんの感想ぽくなったw)


375 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/31(土) 21:18:00 ID:Cuo78oSW0
第三十九話「奴の歌を聴くな!」

「どうしてもやるんだね・・・なら僕は、君たちを討つ!」
キラの怒号と共に、フリーダムがビームサーベルを手にサイバスターに肉薄する。そして繰り出される剣戟―――だが、
如何に高機動性を誇るフリーダムとはいえ、サイバスターはその更に上をいっていた。一瞬でフリーダムの背後に回り、
その背を蹴りつける。
「がっ・・・!」
<へっ!笑わせんな、そんな動きでサイバスターと勝負するつもりかよ!>
「・・・さすがに早いな。けど!」
キラはフリーダムの態勢を整え、その全射撃武器をサイバスターに向けて放った。虹色に見える射線がサイバスターを襲う。
それを空中に飛び上がって回避したサイバスターに、再びフリーダムのサーベルが煌めいた。かわしきれずによろめいた
所に、フリーダムが先程のお返しとばかりに蹴りを入れる。
「やめてよね。最近じゃオリジェネでしか出番のないサイバスターが、サルファにJと出ずっぱりの僕に敵うわけないだろ」
「な、なに言ってんだあいつ・・・」
<くそっ、人が気にしてることを・・・!>
「気にしてるのか!?てゆーか、何の話だ!?」
「漫才してる場合じゃないよ、二人とも!また来るよ!」
亜沙の悲鳴に近い警告に、稟は慌ててサイバスターを飛び退かせる。一瞬ののち、その場にビームの雨が降り注ぐ。
―――その攻防を、ラクスは笑みを浮かべながら見守っていた。
「うふふ・・・機体性能はサイバスターの方が上ですが・・・それでもキラが有利ですわね」
「何だって?」
聞き返すドラえもんに、ラクスは応じた。
「キラは元々メカトピアでクルーゼさんを相手に戦っていた、いわばプロです。それに引き換え、稟さんは本来ただの学生。
マサキさんの精神と戦いの記憶を受け継いだとはいえ、実戦経験が圧倒的に足りない。如何に素晴らしい性能のロボットに
乗ったところで、その差は中々埋まるものではありません・・・そしてもう一つ。
サイバスターの武器はどれも強力すぎるのです。当たればフリーダムごとキラも殺してしまうでしょうね・・・」
「あ・・・!」
「ふふ・・・キラを殺す覚悟さえあればすぐにでも終わる戦いですが、残念ながらあなた方は甘い人揃い。洗脳された仲間を
殺せるでしょうか?ほら・・・そう言っている間にも」

376 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/31(土) 21:18:41 ID:Cuo78oSW0
ラクスの言葉に、はっとして二機の戦いに意識を戻すと―――サイバスターは地に倒れ、その上に馬乗りになってフリーダムが
跨っていた。
「そんな・・・サイバスターが!」
「あらまあ、意外と早かったですわね―――さあ、キラ。止めを刺しておあげなさい!」
ラクスの声に答えるように、フリーダムがビームサーベルを天高く振り上げ、そのままサイバスターのコクピット目掛けて振り
下ろし―――貫く寸前に静止した。
「・・・あら?聞こえなかったのかしら?キラ、止めを!」
ラクスの声にも、フリーダムは動かない。やがて―――
「う・・・うう・・・」
外部スピーカーから、キラの呻くような声が聞こえてくる。その声は、サイバスターの中の稟たちにも届いた。
「キラ・・・洗脳が解けかけてるのか!?キラ、聞こえるか!?」
「う・・・り・・・稟・・・!?」
<しっかりしろ、キラ!あんな女に操られてるんじゃねえ!>
「キラ君!ダメだよ、早く目を覚まして!」
「キラお兄ちゃん!」
「キラ・・・!」
「マ・・・マサキ・・・亜沙・・・フー子・・・プリムラ・・・」
その様子を見て、ドラえもんたちも叫ぶ。
「キラ、しっかりして!」
「キラ!」「キラ!」「キラ!」
その声を受けて、フリーダムはゆっくりとサイバスターから身を離す。
「み・・・みんな・・・僕は・・・何を・・・?」
「キラ!正気に戻ったの!?」
「僕は・・・そうだ・・・あいつに・・・ラクスに操られて・・・」
その様子を、ラクスはいかにもつまらない、といった風情で見やる。
「ふう・・・わたくしも詰めが甘いですわね。完全にキラの自我を殺すことはできなかったようですわ。それにしても、実に
陳腐ですわね。みんながキラに呼びかけて、キラもそれに答えて目を覚ます・・・出来の悪すぎる脚本ですわね」
「へん!キラの洗脳が解けたからにはこっちのもんだぜ!覚悟しやがれ!」
ジャイアンが威勢のいい言葉を吐く。だがラクスは、まだ余裕の態度を崩さない。


377 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/31(土) 21:19:39 ID:Cuo78oSW0
「もう少し遊んでいたかったのですが・・・仕方ありませんわね。手っ取り早く済ませましょう。<傀儡の歌>・・・」
ラクスは歌う。それは魔性の声。それは邪悪なる歌姫の声。
それは人を暗闇へと引き摺り下ろすような、それでいて妖しい魅力に満ちた歌声―――
「く・・・みんな!耳を塞ぐんだ!」
「無駄ですわ・・・その程度で、わたくしの歌を防ぐことは出来ません。ふふ・・・あなた方全員、お人形になればよろしい
ですわ。わたくしのためだけに生きる人形に・・・」
「うう・・・うああああああっ!ふざけんじゃねえっ!」
その時、ジャイアンが叫んだ。
「こんな歌・・・全然大したこたあねえ!こんな歌よりも・・・!」
そして、彼は大きく口を開いた。
「おれ様の歌の方が・・・!」
そこから放たれる、最終兵器の如き大騒音・・・!
「よっぽどすげえぞーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!」
彼は歌う!己の全てを賭けて!
彼は歌う!大いなる思いを乗せて!
彼は歌う!ラクスの歌すら凌駕する、破滅と絶望と恐怖と地獄の歌を―――!
気付いた時には、ジャイアン以外の全員がその場に倒れ付していた。稟たちやキラも、機体の中で悶絶していた。
「う・・・うう・・・恐るべし、ジャイアン・・・」
よろよろと立ち上がったドラえもんが、ようやくそれだけ口にした。
「ラクスは・・・」
見ると、ラクス・クラインは完全に失神していた。白目をむいて、口からは蟹のようにブクブクと泡を吹き、全身をピクピク
と痙攣させていた。もはや、再起不能だ。
<歌姫>は―――ラクス・クラインは、ここに倒れた。
「な、なんて呆気ない最後・・・」
「まあ、いいんじゃねえか・・・うぷっ・・・吐き気がするぜ・・・」
ムウもようやっと立ち上がり、なんとかそれだけ言った。サイバスターの中でも・・・
<なんつう歌だよ・・・まさに、禁断の技だぜ・・・>
「全くだ・・・二度とこれだけは聴きたくなかったんだがな・・・」
―――それぞれがそれぞれ、ジャイアンの歌を褒め称える(?)のであった・・・。
その時、キラの声が聞こえてきた。

378 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2005/12/31(土) 21:20:20 ID:Cuo78oSW0
「―――みんな、ごめん」
その声には、深い悔恨の色がある。
「僕のせいで、色んな意味で危ないことになっちゃって・・・」
「なーに、気にすんなって。それより、もう洗脳の方は大丈夫みたいだな」
「うん・・・さっきの歌のおかげで、すっかり吹っ飛んじゃったみたいだ・・・」
「そ、そうか・・・」
さすがにそうとしか言えまい。
「よし!ラクスも倒したし、キラも戻ってきた!のび太くんたちを助けに戻ろう!」
「ああ、そうだな・・・ん?・・・おい、こりゃあ拙いぜ、ドラえもん。あっちを見ろ」
「え?何が・・・っ」
ムウの警告に、ドラえもんは凍りついた。先程の戦闘の物音を聞きつけたのか、城の魔物たちが押し寄せてきたのだ。
「ちっ・・・休みなしかよ!」
「仕方ないよ。やるしかない!」
ムウとドラえもんは空気砲を取り出し、魔物の群れに向けて放つ。ジャイアンたちも空気砲を受け取り、戦闘態勢になった。
「僕も手伝うよ!」
キラがフリーダムのビームライフルを構える。
「稟たちはのび太を助けに行って!ここは僕たちで食い止める!」
その声には強い決意が宿っている。それに背中を押されて、サイバスターは空中に舞い上がった。
<よーし、みんな!あの悪魔野郎にリベンジといこうぜ!>
「応!」
そのまま天井を突き破り、サイバスターは地上へと躍り出た―――!

379 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2005/12/31(土) 21:32:04 ID:Cuo78oSW0
投下完了。前回は>>280より。
前回と間が空いたけど、なんとか今年中にもう一回更新できました。

>>282 器が大きいはずなのに、あっさりやられたラクス・・・どうなんでしょ、これ。

>>289 最後にヘタレちゃいましたw

>>290-293 それがラクスクオリティ。

>>294 まあ僕も気持ちは分からなくもありませんwちなみにSEEDはPTAだかどっかに訴えられたそうです。

>>ふら〜りさん
種は・・・正直お勧めしません!(僕はある意味面白いと思って見ましたが)見るならボンボンから出てる漫画版を。

>>ゲロさん >>317に書いた通りです。

>>しぇきさん
ギニューの妄想のドラ大長編ネタに笑いました。しまぶー逮捕・・・ナツカシス。ヤムチャを特戦隊に入れたら、意外と
似合うかも・・・
キラの種はまだ弾けません。あと今回、稟がキラを殺してたら精神的な成長が描けたかも、と外道なことを考えちゃってたりw


380 :作者の都合により名無しです:2005/12/31(土) 23:36:03 ID:E54nR7pT0
最後まで、スターダストさんサマサさんお疲れ様。

>スターダスト氏
この敵キャラは侮れないようですね。過去の傷跡を踏み台に、更に凶暴化しそうで。
千歳があけたパンドラの箱を、どう根来や千歳が攻略するか楽しみです。

>サマサ氏
まさかラクス様これで終わりですか?wもっと後の重要な場面で出てきますよね。
これだけキャラ立ちしてるんですから。それにしても最終兵器ですね、あの歌は。


381 :ふら〜り:2006/01/01(日) 00:15:07 ID:l7OeolZy0
あけましておめでとうございま〜〜す! 
漢が光り、乙女が輝き、バトルに緊迫しギャグに笑えるこのバキスレを読みつつ、
また一つ年を越えられたことを嬉しく思います。来年の今頃も今と同じように、より
以上の嬉しさを抱けることを祈りつつ……本年も宜しくお願いしますっっ!

>>ミドリさん(おひさしぶりですっ!)
星矢読者としては沙織には大して威厳や人徳を感じてませんが、本作の沙織は相変わらず
女神様してますねぇ。で今回は斗貴子をヒロインにしてのジュネメインっぽい。つーか、
>……笑った方がかわいいよ
この辺、殆ど口説き文句になってますよジュネさんっ? そりゃ斗貴子も動揺しますがな。 

>>見てた人さん
帝愛主催のイベント中、とあってはそりゃ料理を味わうどころじゃないでしょねカイジは。
そういや俊夫自殺エンドからの話でしたが、怪談がくるとは意表。これで見立て殺人とか
やったら金田一やコナン風ですが、さて。怪談、何かのキーになりそうでならなさそうで。

>>ハイデッカさん(これまた、おひさしぶりですっ!)
ヒーロー&ヒロインの、それぞれの男・女としての魅力がこれでもかと匂い立ってますね。
ドラマ展開ではなく、外見が美しいっていうだけでもなく、醸し出される空気で雰囲気で。
で……誰かと思えば呂布と赤兎っ!? 歴史上の武人、という設定のせいかWH2再びっ。 


382 :ふら〜り:2006/01/01(日) 00:15:45 ID:l7OeolZy0
>>しぇきさん
お〜いドコまでいくんだ〜と思ってたらバッサリ全否定されたギニューの妄想。アドリブ
でこれだけ語れる辺り、さすがです隊長。あと前からですけど、ジースの立場がちょっと
独特。ツッコミ役だけど常に敬語で、無論ギニューをドツいたりしない。丁寧ツッコミ?

>>スターダストさん
一番でなくてもいい、けど中心にいたいと。何だか妙に理解できますよこの心理。それと
前回に引き続き、千歳が魅力的です〜。光る汗、弾む息、上下する胸……こういう作品の
ヒロインなら、やはり色っぽさも必須。またそれでこそ、男の渋さも引立つというものっ。

>>サマサさん
待ってました! 敵キャラから「歌」を出されたからには、これで対抗しなきゃダメでしょ
やっぱり! ドラたちのある意味最凶兵器、ジャイアンソング! 魔物は倒す洗脳は解く、
原作でもケンカでの負けや引き分けはあっても、歌は無敵ですもんね。見事也、ガキ大将! 

383 :作者の都合により名無しです:2006/01/01(日) 00:30:02 ID:jXPaSrQD0
ふらーりさんあけましておめでとう。
職人さん、住民のみなさんもおめでとう。

384 :作者の都合により名無しです:2006/01/01(日) 15:47:22 ID:aKjwGKF40
サマサさん乙です。ジャイアンの歌はドラエモン長編SSの風物詩ですねw

あけましておめでとうです。
今年一回目のSSは誰かな?

385 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/01(日) 19:09:33 ID:dMxcr6p70
>>321より。

386 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/01(日) 19:11:03 ID:dMxcr6p70
 まもなく、じゅるじゅると汁をすするのに近い音が発生する。敗北を喫した小男が、土
に溶け始めている。生身だけでなく、着ていた迷彩服も、サブマシンガンも、ナイフも、
全て。
「これがこいつらの敗北か……。やっぱり人間じゃあ、なかったんだな」
 なんともいえぬ、苦々しい後味がこびりつく。
 だが、勝利に浸っている暇はない。あれだけ派手に機関銃相手にやらかしたのだ。同じ
く彼らを狙っている残る二名が気づかぬはずもない。
 ドドドドドドドドドドッ。
 どこからか、機関銃が放たれる。
「やべっ。よし逃げるぞ、ドッポッ!」
 勢いづいた二人は、退却もまたスムーズであった。

387 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/01(日) 19:12:33 ID:dMxcr6p70
「ふん、逃げ足だけは一人前か」
 軍神に仕える使者の一角──スキンヘッドの中年男は不満で仕方なかった。
 本来、彼らの任務は戦争を統制すること。“争い”という本性を持った人類は、いくら
科学を発展させようと結局は戦争を引き起こしてしまう。それをかげながら調整し、戦争
を適度な大きさに抑えることを使命としている。もし、彼らがいなければ、今ごろ地球は
核で廃墟と化していてもおかしくはない。
 ところが今、彼が命じられているのは、たったひとりの男を殺すこと。しかも、滅多に
しない実体化までも強制されている(普段、彼らは幽霊に近い存在である)。
「くそっ、我らをなめおって。武神め」
 神々にも付き合いというものがある。友である武神に試練を手伝って欲しいと頼まれ、
軍神は彼ら四人を選抜しここへ派遣していた。神からの命令なので従わぬわけにはいかな
いが、とりわけプライドが高い歴戦の兵士である中年男が面白くないのも当然だった。
「たかが一匹、すぐに私が始末してやる」
 徐々に、足取りが速くなる。
 敵を発見し次第、淡々と蜂の巣になった肉塊に変えてしまえばよい。あとはリーダーに
報告すれば、作戦は完了する。達成感などあるはずもない。遊戯にも劣る下級任務。
「まだ遠くへは逃げてはおらんはず」と、ずんずん歩を進める。
 さいわい、ターゲットはすぐに捕捉できた。
 一人でのんびりとジャングルを歩いている。先ほどの逃走で自分を巻けたと思い込んで
いるに違いない。
「とんだ間抜けだ。すぐに終わらせてやる」
 呆れながらも中年男がさっとサブマシンガンを構える──と、その時だった。

388 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/01(日) 19:13:35 ID:dMxcr6p70
「ガオァァァッ!」
 風下から忍び寄っていたドッポに、いきなり襲われた。あっというまに、右腕を噛みつ
かれる。
「お、のれッ!」振り払おうと、中年男も全力でもがく。「虎如きがッ!」
 しかも、ドッポに手こずっていると、ターゲットである加藤までもが中年男に迫りつつ
ある。
 ──まさか、謀られた?
 脂汗がじっとりと、全身に張りつく。
 無防備なターゲットに気を取られていた自分自身が、別働隊(虎)によって攻撃される。
あげく、ターゲットにも自分の位置を把握され、一対二という不利を強いられる。
「バ、バカなッ!」
 ありえないことだ。偉大なる軍神に仕える身が、たかだか素人に一杯食わされるなど。
「ぐぎゃあッ!」
 上段突き、炸裂。中年男の手から、サブマシンガンが落ちる。
 すかさず、ドッポがサブマシンガンを口でキャッチし、遠くへ持ち去ってしまった。
「作戦、成功ってか」武器を失った中年男に対し、勝ち誇る加藤。
 ところが、中年男もまた笑っていた。プロフェッショナルとしての血が騒ぎ出す。
「ふっ、若造にしてやられたわ。だが、どうやら見誤っていたようだな。久々に、遂行し
がいのある任務に出会えた……!」

389 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2006/01/01(日) 19:16:31 ID:dMxcr6p70
やっぱりヘタレSSの方が、私には向いているのでしょうか。
まぁ、完結まで頑張ります。
一部の方々に期待されているうんこSSも、一月中には一つくらい投下したいです。

390 :作者の都合により名無しです:2006/01/01(日) 19:22:20 ID:r+YRvTMi0
お正月からお疲れ様ですサナダムシさん。あけましておめでとう。
お正月からリアルタイムで読んだ。なんか得した気分。

加藤の敵、意外と大物みたいですね。加藤に手に負える相手なのか?
そもそも、なんで加藤を狙うんでしょうか?軍神なら、もっと強そうな相手を
狙えばいいのに。勇次郎とか。それも徐々に明かされるんでしょうね。


>ヘタレSSの方が、私には向いているのでしょうか
いえいえ、イメージの問題でクオリティ高いですよこの作品も相変わらず。
>うんこSSも、一月中には一つくらい投下したいです
わはははw

391 :作者の都合により名無しです:2006/01/02(月) 08:11:08 ID:OfBPLsUN0
お疲れ様ですサナダムシさん。あけましておめでとう。
戦いが一対一から別次元のサバイバルゲーム染みてきましたね。
この戦いを生き残った後、バキの領域へ近付けるかどうか?

392 :作者の都合により名無しです:2006/01/02(月) 12:39:42 ID:D7tBh+4R0
>サナダムシさん
今回、一片最後までのヘタレ要素無く疾走するおつもりですね。
色々な引き出しがあってすごいです。ハードものから尾篭なうんこまでw
加藤かっこよくて面白いですよ。でも、もう少しバキキャラ出て欲しいなあ


みなさん、あけましておめでとう。

393 :オムニバスSSの広場:2006/01/02(月) 20:21:54 ID:415lIr3H0
『嘲笑』      (元ネタ:DB)

 最初にアイツが現れたのは、オラが天下一武闘会に初参加した時だ。
 決勝戦でジャッキーチュンと闘っている時、あの男は観客に混じって戦いを観戦していた。
 男はただ試合を観ているだけで、オラに何かするわけでもねえ。
 ただ、何故かアイツはオラの試合の時だけ、ずっとニヤニヤと笑みを浮かべていた。
 薄気味悪いヤツだ、とは思ったが、この時はオラは余り気にしていなかった。

 4年後の天下一武闘会もアイツは現れた。前と同じように観客席からオラを見て笑っていた。
 それだけではなく、その後に現れたタンバリンや、ピッコロ大魔王との闘いにも、アイツは
何処からか現れてオラの闘いを見ていた――嘲りの混じった笑みを顔に貼り付けながら。

394 :オムニバスSSの広場:2006/01/02(月) 20:23:31 ID:415lIr3H0
 その後も、男は勝負の最中に必ず姿を現した。4年後の武闘会でマジュニアを倒して優勝した時。
ナッパ、べジータを倒した時。ナメック星でのフリーザ戦で超サイヤ人に覚醒した時。そんな場面で
必ず奴は現れて、オラを嘲笑い続けるのだ。

 アイツが誰で何故笑うのか、全く分からない。風体はどこか見覚えがあるが、仮面を付けている
ので顔が分からない。アイツを掴まえようとしたこともあったが、いつも上手く逃げられてしまう。

 界王神界で魔人ブウを倒した時も、奴は(どうやって入ってきたのか)傍で笑っていた。
(今度こそ掴まえて問い質してやる)
 奴が現れた瞬間、オラは戦いを中断して瞬間移動で男の後ろに飛び、男を羽交い絞めにした。
「おめえは一体何者なんだ。何故オラを笑うんだ」
「それは俺が――」

 男はそう言って仮面を取った。頬に見覚えのある十字傷。

「お前自身だからだよ。『ヤムチャ』」

 次の瞬間、ヤムチャは夢から目を覚ました。
 ヤムチャは泣いた。


395 :バレ ◆sssssssDAo :2006/01/02(月) 20:26:14 ID:415lIr3H0

新年あけましておめでとうございます。
ヤムチャの初夢オチのつもりで書いたのですが、一年ぶりに書くと、思うように文が出てきません。
おまけに、どこかで読んだような内容になってしまいました。正月という事で勘弁してください。
今年も宜しくお願い致します。

あと、おまけ。元ネタはどっかのコピペ
 ↓


396 :オムニバスSSの広場:2006/01/02(月) 20:29:43 ID:415lIr3H0
おまけ「ヤムチャのクリスマス」


トゥルルルル トゥルルルル
ガチャ
ヤムチャ「もしもし」
ブルマ「あ、ヤムチャ? 今年のクリスマスはべジータと楽しむんだから、
    アンタは来ちゃだめだからね。
    じゃ」
ガチャ
ツー ツー

ヤムチャ「……………」


トゥルルルル トゥルルルル
ガチャ
ヤムチャ「もしもし」
クリリン「あ、ヤムチャさん? 俺です。クリリンです。
     今から18号と夫婦でパーティするんでよ。
     悟空とチチも一緒に来るから、ヤムチャさんも行きませんか?」
ヤムチャ「パーティか…俺は…」
クリリン「あ、そっか。ヤムチャさんはブルマさんと別れてたんでしたね?
     いや〜忘れてましたw 流石に一人じゃ来にくいですよね。
     じゃ」
ガチャ
ツー ツー

ヤムチャ「……………」


397 :オムニバスSSの広場:2006/01/02(月) 20:31:28 ID:415lIr3H0


トゥルルルル トゥルルルル
ガチャ
ヤムチャ「もしもし」
知らない女「あの…ヤムチャさんですか?」
ヤムチャ「はい、そうですけど?」
知らない女「あの…実は、いつもヤムチャさんの散歩する姿を陰から見てたんです。それで、
    いきなりこういう事聞くのは変かもしれませんけど……
    イブの夜……暇ですか?」
ヤムチャ「(!!)う、うん。暇だよ。全然暇!」
知らない女「やっぱりww
      ほら、言ったとおりでしょ? こんな男に彼女いるわけないって。
      あ、ゴメン、友達と話してたの聞こえてた?
      じゃ」
ガチャ
ツー ツー

ヤムチャ「('A`) ……………」


>>393-394の1週間前の出来事だと思っていただければ。

398 :それゆけフリーザ野球軍:2006/01/03(火) 04:13:39 ID:ouvG5Qzv0
やあ、久しぶりだね。
こんにちは。私だ。
語り部だ。
今回は少々期間が開いてしまったので、この私が簡潔明瞭にこれまでのあらすじを言いたいと思う。

え?前置きは良いから、さっさと言うだけ言えって?
ふう・・。最近の若いものは全く礼儀というかなんと言うか・・・。

まあいい。
さて、前回のあらすじから語ろうか・・。


399 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:15:32 ID:ouvG5Qzv0
〜前回までのあらすじ〜

ここはどこでもないどこかにある唯の田舎村。
設定的には日本だ。

しかし、この田舎の村は普通の村と少しだけ違う所がある。
それは年に一度だけ行われる、村外の人間は決して知ることの無い特殊な風習がある所だ。
しかもこの風習に一度でも関わると、例え自分が村を出たとしてもこの風習のために帰りたくなるのだ。

そしてこの話は、なぜか部外者のはずなのに、この村の風習を知る人物。
前原圭一が学校へ行くところを起点にして始まった。

学校へ着き、普通に授業を受けようとする圭一。
しかし何故か先生は来ない。
このことを疑問に思った彼は、レナという同じクラスの女子に、
無理やり引っ張られる形で職員室へ向かう。
すると、そこには教師になった範馬勇次郎が!!
先生が来ないことを勇次郎に伝えると、彼は自分が代わりに授業をやってやると言い出し、
本来の時間割を変更して勇次郎の授業を受けることになる事に。


400 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:17:59 ID:ouvG5Qzv0
現に勇次郎の授業はすさまじいモノだった。

基本はサバイバルと生物を足したような授業内容。
毒の扱い方や、熊の倒し方。
さらに人肉の食べかたまで・・・。

長かった苦行もあと少し・・。

勇次郎の授業も終わる頃、ある出来事が起こった。
そう、勇次郎はある嗅いではいけない匂いを嗅ぎ取ったのだ。
それは本当に酷く臭い匂いだった。

そして勇次郎はこの匂いの元が焼却炉にある事を突き詰めると、
颯爽と教室から去っていくのだった・・。

―――――今まで見たこと無いぐらいの笑顔を残して・・。


401 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:19:17 ID:ouvG5Qzv0
<一日目・その4-(1):鬼にとっての焼死体>
時刻:PM12:02 場所:学校裏

「やはり焼却炉からか・・。」
勇次郎は人外な速度で学校裏にある焼却炉に来ていた。
当然、ここに来た理由は授業中から匂っていた"ある臭い”のためだ。
「まさかとは思ったが、こんな所でこの臭いを嗅ぐとはなぁ!!」
この臭いが彼の血をたぎらせているのか、それとも数ヶ月間もの間、
教師という慣れない役柄をやった反動なのかはわからないが、
勇次郎は程よい興奮と悪魔のような笑みを浮かべ、”自分の考えとの整合性”を図るために
焼却炉へゆっくりと近づいていく。

近づくたびに勇次郎の嗅覚を激しく刺激する酷い臭い・・。

――――人が嗅いではいけない”匂い”だ。

しかし、鬼にとっては違う。

勇次郎にとっては違う。

そう、この”臭い”は近づけば近づくほど勇次郎にとって、
自分を楽しませてくれた場所を思い出す至福の”匂い”なのだ。


402 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:20:05 ID:ouvG5Qzv0
「さあぁぁ〜て!!くくく・・。見せてもらおうか!!臭いの正体を!!」
焼却炉の目の前に辿り着いた勇次郎は、そう言って扉を開けようとする・・・が!!
「ん?開かない・・。”はんだ”か!!めんどくさい事しやがって!!」
”はんだ”のため開かない扉を目の前に語気が荒くなる勇次郎。
「まあ・・。いい。ちょっとしたゲームのようなものだ・・。」
勇次郎は語気は荒げたが、特に怒った様子ではない。
むしろ彼が言ったとおり、メインディッシュの前の前菜(ゲーム)を食しているかのような顔をしている。
「つまんねえ答えだが・・、受け取りな!!」
勇次郎は続けてそう言うと、ゆっくりと丸太より太い腕を天高く振りかぶり、
はんだで溶接された分厚い扉を殴り始める!!

ドンっ!!ドンっ!!ドンっ!!

事故車の様にへこんでいく焼却炉の扉。

ドンッ!!ドンッ!!バギッ!!

遂には分厚かった焼却炉の扉を貫通させる勇次郎の拳。
まるでゲームや漫画の世界に居るようだ。
「ようぅし、それでは!!!」
そして扉を貫通させた勢いで、なんと彼は灼熱の業火の中に腕ごと突っ込む・・・。
何の躊躇も無しに・・。

グゴゴゴゴゴゴ・・・・。

腕を入れると同時に彼の腕にまとわりつく炎。
しかし勇次郎は表情は笑みのまま。
全く意に介した様子は無い・・。

――――――そんな勇次郎を見て、私は思う。


403 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:22:24 ID:q9JzzAk/0
彼の感覚は、もはや人間・・いや、この世の生物のモノではないと・・・。

そもそも彼の拳によって貫通した焼却炉の扉は、普通の人間なら工事現場で使われるような
作業用のドリルでも、穴を開けるのに数本はドリルを無駄にしそうな厚さ。
しかも、貫通した扉の先は灼熱の業火が支配する死の世界。

勇次郎はそんな分厚い扉を壊した上に、何の躊躇無く業火の中に手を・・・、腕を入れた・・。
己が欲求を満足させるためだけに!!

普通の人間は、如何に自分の欲するものが地獄の業火の中にあったとしても、
平然とこれをするだろうか?
例え、彼のように世界を相手取れる豪腕を手に入れたとしても。

――――――いや、皆に問うまでも無い。答えは分かっている。答えは確実に―――――NOだ。

そうだ。私が保証する。

読者の方々だって、如何に範馬勇次郎のような腕力を手に入れたとしても、
このような事に決して使いはしないだろう。
もしかしたら、この業火に腕を突っ込んだ所で大火傷を負い、
腕が不自由になるかもしれない。
それに、なによりまず、これをやるメリットが無い。
欲するモノが、はんだで固定されている扉の向こうだとはいえ・・・。


404 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:23:27 ID:q9JzzAk/0
だが彼はやった!!

範馬勇次郎は!!

今の彼の頭の中には、目の前の欲求。
焼却炉の中身を調べて、”自分の考えとの整合性”を見る為には
何を犠牲にしても構わないという考えがあるのだろう。

もちろん、この考えには彼自身の”悪鬼でも敵わないような強さ”や、
自分がこれをやっても、”何も失わないと信じきっている強さ”とが伴ってこそだが・・。

ともかく勇次郎は焼却炉の扉の向こうを見たいという欲求のためだけに、
分厚い扉をわざわざ己が拳で貫通させて、地獄の業火の中に腕ごとを突っ込んだのだ。
「ここら辺か?・・・、無いな・・・。では・・・。」
突っ込んだその腕は地獄の業火の中で元気よく暴れまわり、何かを探し始める。

―――数分後・・・。

「くくく・・。思ったとおりだぁ!!この感触・・。おうりゃあああ!!!!」
何かを見つけた・・・、いや、”自分が思っていたモノ”を見つけた勇次郎は、
気合と共に地獄の業火から無傷の腕を引き抜く。

真っ黒な物体も一緒に・・。


405 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:29:35 ID:q9JzzAk/0
「くく・・、やっぱりな!ちょうど授業でも話したばかりだぜ。実にいいタイミングだ!!」
勇次郎は焼却炉の中から手に入れた、真っ黒な物体を地面に放るように置くと、満足そうな顔をする。
そう、自分の考えたモノと同じモノ”が焼却炉から出てきたのだから。

それにしても、勇次郎が考えていた臭いの正体は一体なんだったのだろうか?
先程まではこのように考えていたが、今――目の前にして分かる。

答えは・・そう、勇次郎を先程から満足させていた酷い”臭い”の正体は人間。
つまり、生きながら灼熱の業火に焼かれた人間から発せられる人肉の”匂い”だ。

この世に存在しないながらも、この光景を端で見ている私が言うのだから間違いない。
いや、これは誰が見ても人の焼死体と間違いなく理解できるだろう。
なぜなら勇次郎が焼却炉から出した焼死体の左手はまだ完全には焼けてはいなく、
若干ヒトである証の肌の色が見えるからだ。
「こいつは・・・。少々生焼けだな・・。それもそうか、匂いがしてすぐ来ちまったんだからな。」
勇次郎は少し残念そうに呟く。
しかし、彼の顔は残念そうに呟いた口とは違い、自分の考えが合っていたことによる満足感と、
”これから更にこういうことが起こるのではないか”という期待感を含んでいた・・。


406 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:32:16 ID:q9JzzAk/0
<一日目・その4-(2):空飛ぶメンチカツ☆&トイレ>
時刻:PM12:02 場所:圭一のクラス(2-A)

一方、勇次郎が焼却炉に着いた頃・・。

教室ではこれから世界が終わるかのような大騒ぎであった。
それもそのはず、”ある風習”で有名な村とはいえ、基本的には無駄な自然に囲まれた田舎・・・、
もとい、森林浴が出来る素晴らしい村にとって、こういう出来事は全く言っていいほど無いからだ。
はっきり言って、万引きが起こっただけでも村中が大騒ぎになるような場所である。この村は。

だから異臭騒動なんて起こった日には、学生諸子の好奇心は何よりも敏感に旺盛になっているのだ。
しかし勇次郎の言いつけを破り、クラスから外に出ようとする生徒は中々いない。
他のクラスも同様だ。
言わずもかな、この現象を引き起こしているのは勇次郎の存在だろう。

”逆らったら、殺され・・・。”

((いや、いや・・・!それは無い・・、かなあ〜?))
ちょうど今、勇次郎の言いつけに逆らって外に出ようとした若干名の生徒は、
何か共通の悪寒を感じて外に出るのを踏みとどまる。
「パクパク・・。はう〜☆今踏みとどまった人は正解だよ〜。レナもさっき出ようかと思ったけど、
今日、自分がお家に帰って笑顔で夕食を食べているイメージが沸かなかったもの!!」
レナはお弁当を食いながら、何故か嬉しそうに言う。
「そ、そうだよね〜!!まさか勇次郎先生の言いつけを守らないなんて・・。なあみんな!!」
「「「うん!!」」」
レナの言葉を聞いて、冷や汗でそう答える教室から出ようとした一同。
「「「も、戻ろうかな・・・。」」」
そして、教室から出ようとした一同はびっしょりと汗をかいて自分の席や仲間の輪に戻るのだった。

―――――生徒の命はレナの一言によって守られたのだ!!


407 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:36:53 ID:q9JzzAk/0
時刻:PM12:05 場所:圭一のクラス(2-A)

数分後、先程より沈静化した教室の中、レナはまだお弁当をパクパク食べていた。

「むご・・。むぐ・・。」
「ねえ、レナ?」
「はうっ!!」
不意に友人から声をかけられて、レナは口に入れていたモノを盛大に噴出す。
「きったないな〜。しかもこんな匂いの中、よくメンチカツなんか食えるね。」
「ああ・・・。私のメンチカツが〜☆かむば〜っく!」
レナは口から飛んで出た冷凍のメンチカツを見て、心の底から嘆く。
「後で私のあげるから・・・。それよりもトイレ行きたいから付き合ってくれない?
出ちゃいけないって言われてるけど、トイレだったら多分大丈夫だろうし・・。
でもやっぱり一人じゃ怖いし・・。ね?」
友人は、瞳を潤ませながらレナに頼み込む。
「う〜ん・・・。そうだね。メンチカツは名残惜しいけど、別に良いよ!!私も行きたかったし。」
「落ちたの食うなよ・・。」
メンチカツにまだ名残があるもの、あっさりと友人の申し出をOKしたレナ。
「よう〜〜し!!いっぱい出すぞ〜〜☆」
「ちょ、ちょっと!!そんなことを教室内で言わないでよ!!」
友人は恥ずかりながらレナにツッコむ。
「そろ〜〜☆」
「こそ〜〜。」
そしてレナと友人は”コソコソ”教室を出ると、忍び足と抜き足を駆使してトイレへ向かうのだった。


408 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:54:12 ID:4amhiUis0
あけましてオメデトウございます。深夜のしぇきです。

えっと、あらすじ付の割りには全く進んで無いです。

>スターダストさん
鷲尾はネウロの五代の事務所に勤めていた時に社長を殺した人とリンクさせている?
なんかかぶりました。
この男の考え方と、追っているホムンクルスの考え方は
似ているのか真逆なのは分かりませんが、これだけ描写を入れたとなると、
少しは関係ありそうに・・・。

>サマサさん
ラクス撃破!!彼の歌ならネオグランゾンを撃墜することも造作はなさそうですね。
そういえば、ザンタグロスって作業用ロボットなんですよね。
のびたが乗ったり、白銀の剣があっても装甲が弱そう。
あ、でもロックマンはお手伝いロボットなんですよね。
だとしたら、敵の能力を使えるようになったりして・・。ザンタクロス。

>サナダムシさん
シンプルイズベスト。そこまで凝った作戦で無いのが逆に意表をつく結果に。
もし加藤がスキンヘッドに勝ったら、軍神はどうするのか?そこらへんも気になります。
後、うんこに期待しています。カレー食べる準備して待っております。

>バレさん
いつもありがとうございます。
ちょっとダークなクリスマスネタ&初夢ネタですね。そういえば、そういうのを書く人が
いなくなった気が・・。自分もドドリア編を使ってクリスマス&正月ネタを
書くつもりでしたが、間に合いませんでした。

では失礼。今年も宜しくお願いします。


409 :オーガの鳴く頃に:2006/01/03(火) 04:58:12 ID:4amhiUis0
書き忘れてました〜。

>366.367さん
これからモット迷走します。
読みにくくならないように気をつけます。

>ふら〜りさん
ジースは強い人のケツを追っかけてないと落ち着かない正確にしてあるんで
自然とああなりました。

後、いつも感想を下さる方々。
どうもありがとうございます。

では今度こそ失礼・・。

410 :作者の都合により名無しです:2006/01/03(火) 08:37:09 ID:7yM48hTR0
バレさん、しぇきさんおめでとうございます!
バレさん、今年もたくさん作品があがって大変でしょうが
出来る範囲でお願いします。いつも感謝しております。

>オムニバスSSの広場(懐かしい!)
ちょっと短いとは思いましたがwヤムチャ特性を見事に捕らえていると
思います。オマケコピペも。でも、2006年もヤムチャはヤムチャですねえ。

>オーガの鳴く頃に
勇次郎はこのタイプのコメディSSでも勇次郎っぽさを残してますね。
焼かれた人間の匂い気持ち悪いだろうな・・。どんどん迷走して下さい!

411 :殺人黙示録カマイタチ:2006/01/03(火) 08:49:58 ID:hj7Y4OEd0
scene10 伊藤開司【五】

「それでは、みなさんに部屋の鍵をお渡しします。
 マスター、スペアキーはありませんので、紛失しないようお気をつけください。
 尚、朝食とミーティングがございますので、明日の朝八時には
 ホールに集合くださいますよう、よろしくお願いいたします」
 夕食を終えたカイジたち参加者は、各自ハネダから
 掌サイズの小さな金色の鍵を渡され、用意された部屋へと向かった。
 各部屋を囲んで、丁度四角い形をした廊下があり
 更にそれに囲まれるようにして天井のついた小さな中庭が配置されている。
 一番奥――廊下北側に、一号室と二号室。東側に、三号室、四号室、五号室。
 西側に、六号室、七号室、八号室。そして中央廊下に面した一番手前、南側に、九号室と十号室。
 北側、一号室と二号室の間と、南側、九号室と十号室の合間にドアがあり、そこから中庭に出ることができる。
 部屋割りは、参加者のナンバーと部屋の号数が丁度一致するように割り振られているようだった。

412 :殺人黙示録カマイタチ:2006/01/03(火) 08:51:09 ID:hj7Y4OEd0
 ――夜。カイジは一人、四号室のベッドに横たわりながら
 この『推理ゲーム』と、今日一日の出来事について、思いを巡らせていた。
 まずは……探偵が犯人の振りをしてみせる、という戦略と
 それにカイジが気付かなかったことを、夕凪理沙に知られてしまったことについて。
(あの時……指摘された時はかなり焦ったが……
 これに関しては、よくよく考えれば大した問題にはならない……)
 よほど上手くやらなければ、探偵が犯人の振りをしてみせる、という戦略は、逆に自分の首を絞めかねないからだ。
 最終的に探偵が勝つには、犯人を言い当てるしかない……これは、揺ぎ無い現実……
 犯人を探す、という探偵本来の使命を考えると、探偵が犯人の振りをする戦略は諸刃の剣……!
 なぜなら、探偵に、犯人だと思い込ませるということは……必ず、マークがつくっ……!
 このマークが曲者……監視の目があるから、必然的に自由な捜査は制限されてしまうし
 最悪……自分をマークしている探偵に漁夫の利を奪われるという事態すら招きかねない……
 妨害……場の撹乱だけが目的っていうのならともかく……これは、あまりにもリスキー……
 探偵は、悪目立ちするようなことはせず、素直に犯人を探した方が賢明……
 犯人が犯人らしく振舞う、というのは論外……ハイリスク・ローリターンの愚策……!
 わざとらしいパフォーマンスを、全員が裏読みし、探偵と見てくれればいいが……
 探偵の誰か一人が馬鹿正直に、パフォーマンスをそのまま受け取ってしまえば、もうそれでアウツ……
 一人でもマークがついてしまった時点で、犯人は格段に動きにくくなる……
 そう。要はこのゲームにおいて『裏の裏』を考える必要はまずないのだ。
 あからさまに怪しく振舞う人間は十中八九探偵、これは揺るがない……
 勝ちに行くのならば、探偵は犯人を探すことに全力を傾けなかればならないし
 犯人も、必死で探偵らしく振舞わなければならない……そのはずだ……

413 :殺人黙示録カマイタチ:2006/01/03(火) 08:52:06 ID:hj7Y4OEd0
 次に……主催者側から、犯人への指示の欠如について。
(結局、テラーが言葉を濁したせいもあって、よくわからない要素の一つ……)
 寝返りをうつ。何の気なしに、カイジは窓の外を見た。中庭を挟んで、向かい――西側の部屋の窓が視界に入った。
(犯人への詳細な指示は、いつ、どこで行われたんだ……? それとも、これから……?)
 そして、四号室の扉を見る。渡された金色の鍵でかかるドアの内鍵とは別に、金属製の掛け金、閂まで付属していた。
(二重の鍵か……随分と厳重な――待てよ)
 主催者側から犯人への指示の欠如。
 参加者ナンバーごとに予め決められていた部屋割り。
 実質、ゲームの開始は明日から……
 断片的だった三つの要素が、パズルのピースのように組み合わさり、一つの回答を導き出す。
(これは、もしかすると……)
 カイジの頭の中で、ある推測が形を成しつつあった。
 犯人に用意された犯行指示書は、予め、犯人が宿泊する部屋の何処かに隠されていて……
 ロール確認時の電話で、その隠し場所のみを知らされる。
 犯人は、今夜それを熟読した上で、明日からのゲームに臨むのではないか……?
 それは推理というにはあまりに大雑把。咄嗟の思いつきに近かったかもしれない。
(実際、推測した通りかはわからないが……中庭に出て、確かめてみるだけの価値はある……!)
 幸い、窓にかけられたカーテンはレース……
 起きているのであれば明かりも漏れるし、その気になれば中だって覗けるっ……!
 確かめに行こう。カイジはそろそろと部屋を抜け出し、中庭へと向かった。

414 :殺人黙示録カマイタチ:2006/01/03(火) 08:53:42 ID:hj7Y4OEd0
 中庭に通じるドアを開ける。
 天井がついているとはいえ、外は猛吹雪。冷気を帯びた空気が、肌に突き刺さる。
 カイジは各部屋の窓を、ぐるりと視線を一周させるようにして見回し
 それから腕時計を確認する。現在時刻は二十一時四十八分。
 その時点で消灯していたのが、一号室、夕凪理沙。五号室、小此木秀平。六号室、玉崎真吾。十号室、黒川時子。
 消灯していなかったのは、二号室、笠間潤。三号室、香坂まどか。七号室、旗元太。八号室、双葉夕実。九号室、只野文男。
 幸運だった、とカイジは思う。メイドのハネダがそれぞれに部屋の鍵を手渡す時
 律儀にナンバーと名前を呼んでくれたおかげで、誰がどの部屋にいるのか予測がついた。
 主催者から犯人への『指示』がカイジの推理通りだったとするならば……
 今、犯人にはゆっくりと睡眠を貪っている時間など無い筈……
 つまり、既に消灯を済ませている夕凪、小此木、玉崎、黒川の四人は、犯人ではない。
 犯人候補は、笠間、香坂、旗元、双葉、只野の五名……!
(いいのか……? そんな考え方で……!?)
 わかっている……これは仮定の上に仮定を積み重ねた……
 崩れかけた達磨落としのような……そんな……不安定で危うい理だと……!
 しかし、それでも。何か論拠を見つけて、どこかで容疑者を絞り込まなければ、告発までは至らない……!
 とにかく、明かりの点いている部屋は、様子を伺って損はないはず……
(とりあえず、二号室から順番に見て行こう……)
 女性の部屋も二部屋あり、気が咎めるが、今はそんな気遣いをしていられる状況ではない。
 気配を消し、窓に顔を寄せ、今まさに中を伺おうとしたその時だった。
「伊藤、カイジ様」
 人間のものではないような奇妙な声が、背後からカイジの名前を呼んだ。
「うわっ……!」
 完全に虚を突かれ、カイジはよろよろと二、三歩後退る。
 振り向くと、そこには――無表情な白い仮面。案内人、テラーが立っていた。
「何をしているのですか……?」
「何って、情報……情報収集だよ……! 悪いかっ……!」
 無言の時間。無言の空間。外を荒れ狂う吹雪の音だけが、ごうごうと空しく響く。
「情報収集……そうですか。悪くはありませんが……」
「……ありませんが?」
「もう夜も遅い。行動の際は、十分に、お気をつけ下さい……」

415 :殺人黙示録カマイタチ:2006/01/03(火) 08:54:41 ID:hj7Y4OEd0
 まさか、テラーの見ている前で参加者たちの部屋を覗くわけにもいかない。
 結局、カイジは消灯していた部屋とそうでなかった部屋を確認しただけで部屋に戻った。
 そろそろ眠ろうと、ベッドに身体を潜り込ませる。
(果たして、これでいいのか……?)
 目を閉じると、薄々感付いていながらも目を背けていた疑問が頭を支配する。
 次いで――とてつもない不安感がカイジを襲った。
(そうだ……目を瞑り、気にしない振りをしてきたが……これは明らかにおかしい……!)
 このゲームは、易しい……易し過ぎるっ……!
 大金は……耳を。目を。指を。そして命を賭けて……
 それでようやく、得られるものじゃなかったのか……!?
 そうだ、利根川も言っていた……金は、命より重いと……
 それは、ノーリスクで手に入るっていうのなら、そんなに有難いことはないんだが……
 あの帝愛グループが、そんな人の良い真似をする筈がない……
 それは、招待状が届いた時から覚悟はしていたことだった。
 今度はどんな悪趣味なゲームに放り込まれるのだろうか……と。
(このまま、終わるのか……? 終わってくれるのか……?)
 仮面の男――テラーの、警告めいた言葉が脳裏を掠めた。
『十分に、お気をつけください……』
 何に気をつけろって言うんだっ……くそっ……!
 カイジの中で、得体の知れぬ悪い予感が膨らむ。
 今にも夜の闇が質量を増して、身体を押し潰すのではないか……
 そんな被害妄想のような感覚に囚われながらも、いつしかカイジは意識を手放していた。

416 :おまけ:2006/01/03(火) 09:28:27 ID:hj7Y4OEd0
登場人物一覧(シュプール内のみ)

■世話役
テラー(本名不明)
ハネダユカリ

■ゲーム参加者
ナンバー一・夕凪理沙
ナンバー二・笠間潤
ナンバー三・香坂まどか
ナンバー四・伊藤開司
ナンバー五・小此木秀平
ナンバー六・玉崎真吾
ナンバー七・旗元太
ナンバー八・双葉夕実
ナンバー九・只野文男
ナンバー十・黒川時子

417 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2006/01/03(火) 09:37:02 ID:hj7Y4OEd0
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
前回投稿は>>340です。

・HN
最初に投稿した時に、あまり深く考えず名前欄に入れたものです。
かなり時間がかかりそうですが
本SS完結の暁には、カマイタチに変更しようかと……
・○と×の位置
逆でした。というより変換そのものを間違えていました。
○>窺う
×>伺う
日本語難しい……というか、ごめんなさい。
黙って正しく直してくださったバレさんに、ただただ感謝。
しかし、訂正でさらに間違えるとは……
・見立て殺人
むぅ……
・登場人物一覧
我ながら、キャラが多過ぎて把握めどいと思うので作ってみました。
プロローグで兵藤が名前を出しただけでしたから。

418 :作者の都合により名無しです:2006/01/03(火) 13:39:04 ID:RgCc/7XX0
バレ様、しぇき様、見てた人様明けましておめでとうございます。

>バレ様(去年は更新作業お疲れ様でした。今年もよろしくお願いします)
ヤムチャの救われなさが良いですな。夢でも救われない、現実でも救われないw
でも、そんなヤムチャがみんな好きなんでしょうな。懐かしいな、ヤムスレ・・w

>しぇき様
なんとなく、バキというよりジョジョっぽい感じの文体ですな。
確かに焼かれるシーンとか、ジョジョっぽい。後半のレナとかは全然文調違うけどw

>見てた人様
完全にカマイタチモードに移行しましたね。カイジモードから。
これから猟奇殺人が起こるのかな?楽しみだ。夜が怖いですな。あと、キャラ一覧便利です。

どうでもいいけど、テラーというとイブバーストエラーとかを思い出す。

419 :作者の都合により名無しです:2006/01/03(火) 20:18:33 ID:BCsd9UK50
カマイタチ面白いな。
今回はあまり動きがなかったけど、カイジの最後の不安が
これからの悲壮を予言しているようだ。陰惨になってほしい。

420 :作者の都合により名無しです:2006/01/03(火) 20:38:25 ID:lFXjX3DCO
カマイタチすごくいい!!漫画でなく小説でも臨場感溢れて読みやすいです

421 :作者の都合により名無しです:2006/01/03(火) 23:01:41 ID:l8m2pg1k0
>バレさん
あけましておめでとうございます!ヤムチャ、というかDBのショートSS得意ですねえ。
そういえばバレさんのSSお久しぶりですねえ。今年はこちらも期待してます!

>しぇきさん
お疲れ様です。勇次郎の力ならハンダくらいすぐ引き裂けると思うんですがw
このSS、勇次郎の時とレナの時と明らかにちがいますねえ、雰囲気がw

>見てた人さん
いよいよ、何かが起こりそうな雰囲気・・。ホラーっぽいような、カイジっぽいような。
カマイタチの夜はスーファミ版しかやった事ないですが、今の所超えてるな・・。

422 :テンプレ1:2006/01/03(火) 23:17:30 ID:l8m2pg1k0
【2次】漫画SS総合スレへようこそpart33【創作】

元ネタはバキ・男塾・JOJOなどの熱い漢系漫画から
ドラえもんやドラゴンボールなど国民的有名漫画まで
「なんでもあり」です。

元々は「バキ死刑囚編」ネタから始まったこのスレですが、
現在は漫画ネタ全般を扱うSS総合スレになっています。
色々なキャラクターの新しい話を、みんなで創り上げていきませんか?

◇◇◇新しいネタ・SS職人は随時募集中!!◇◇◇
SS職人さんは常時、大歓迎です。
普段想像しているものを、思う存分表現してください。

過去スレはまとめサイト、現在の連載作品は>>2以降テンプレで。

前スレ
 http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1134225385/
まとめサイト
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/index.htm


423 :テンプレ2:2006/01/03(火) 23:18:49 ID:l8m2pg1k0
ほぼ連載開始順 ( )内は作者名 リンク先は第一話がほとんど

ドラえもんの麻雀教室 (VS氏)
 http://park14.wakwak.com/~usobare/dora/gateway.html
ディオの世界 (殺助氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/dio/01.htm
虹のかなた (ミドリ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/niji/01.htm
オムニバスSS劇場 (バレ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/bare/16.htm
忍者の証 (青ぴー氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ninjya/01.htm
黄金時代 (銀杏丸氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/gold/01-01.htm
北の果てより (パオ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/kita/01.htm
AnotherAttraction BC (NB氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/aabc/1-1.htm
上・魔女 下・茄子 
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/witch/01-1.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/nasu/01.htm
ドラえもん のび太の超機神大戦 (サマサ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tyo-kisin/00-01.htm


424 :テンプレ3:2006/01/03(火) 23:19:40 ID:l8m2pg1k0
上・それゆけフリーザ野球軍 下・オーガが鳴く頃に (しぇき氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/ballgame/01/01.htm
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/syeki/02.htm
ドラえもん のび太の天聖道士 (うみにん氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/tennsei/01.htm
その名はキャプテン (邪神?氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/captain/01.htm
フルメタルウルブス! (名無しさん)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/fullmetal/01.htm
鬼の霍乱 (名無しさん)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/oni/01.htm
聖少女風流記 (ハイデッカ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/seisyoujyo/01.htm
影抜忍者出歯亀ネゴロ (スターダスト氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/negoro/01.htm
やさぐれ獅子 (サナダムシ氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-long/yasagure/01.htm
殺人黙示録カマイタチ (見てた人氏)
 http://ss-master.sakura.ne.jp/baki/ss-short/miteta/01.htm



425 :テンプレの人:2006/01/03(火) 23:22:41 ID:l8m2pg1k0
間違いはないと思います。
あと30〜40KBで次スレですね。
現スレ消費、一ヶ月かかんなかったなw

426 :バレ:2006/01/04(水) 01:38:17 ID:GyDDHaXZ0
>テンプレの人様
ご苦労様です。
お手数ですが私のSSに関して、
「オムニバスSS劇場」→「オムニバスSSの広場」
にタイトルを変えておりますので、テンプレの方も合わせてご変更下さいませ。

427 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/01/04(水) 09:31:46 ID:CGbalt0u0
第四十話「冥王降臨」

―――魔城<ガッデム>の奥深く。そこにオドロームはいた。
「くっくっ・・・あの小娘はやられたか・・・そして、白銀の剣士は再び白銀の剣を手にした・・・少々、状況は悪く
なっておるな」
口ではそう言いながら、その顔に浮かぶのは獰猛な獣の笑みだ。獲物を食い殺す瞬間を心待ちにする悪魔の笑みだ。
「白銀の剣に、あのロボットたち・・・それでもワシが負けるとは思わんが、万一ということもある。さて・・・」
オドロームは杖を振り、空中に奇妙な紋様を描きながら、不気味な呪文を唱える。それはまさに邪神の儀式・・・。
「くぁwsжえdrfкЯШftgyа£ひゅlkjsЮrてぃdfghghfrd・・・・・・!」
とてもこの世の者とは思えない異常な言語が響き―――それが不意に途切れ、次に放たれたのは誰かに語りかける言葉
だった。
「―――偉大なる冥界の王よ!八卦の全てを手にせし神よ!一つの世界を冥府に変えた、人にして人に非ざる悪魔よ!
妖霊大帝オドロームの名の下、契約に答えよ―――<冥王>よ!」
その言葉と同時に、無数の黒い穴が出現した。それはあるものは炎すら凍らせる極寒の地獄に通じ、あるものは全てを焼く
業火が支配する世界に通じ、あるものは毒と腐臭に塗れた魔界に通じ、またあるものは形容すら出来ぬ空間に通じている。
その中の一つから、ゆっくりと人影が歩み出る。現れたのは男―――いや、十代半ばの少年だった。だが、彼の浮かべる
表情は見た目通りの少年のものではない。まるでこの世に存在するあらゆる負の要素を詰め込んだような、ドス黒い瞳の
持ち主だった。
「ふん。この俺を随分と辛気臭い場所に呼び出してくれたものだな、化け物風情が」
少年はオドロームを前にしても全く怯まず、それどころかどこまでも不遜な態度で不敵な笑みさえ浮かべている。
「ふ・・・まあそうつれないことを言うでない。少々助力を頼みたくてな」
オドロームもまた、尊大な態度で少年に応じる。

428 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/01/04(水) 09:32:20 ID:CGbalt0u0
「はっ。下らんことなら帰るぞ・・・まあよかろう。話くらい聞いてやらんでもない」
「それはありがたい。実は今、少しばかり厄介な相手と事を交えておってな・・・力あるものの助けが欲しいところだった
のだ。そこで数多い平行宇宙の支配者の中でも<冥王>と名高い貴君を呼び寄せたというわけだ」
「なるほど・・・くくく、貴様がどうなろうと俺の知ったことではないが、報酬次第で力を貸してやらんこともない」
「そうか、それはそれは・・・では、何を望む?」
問われて、少年はすっと顎に手をやって考える素振りを見せた。だがそれは、あくまで形だけのものだったのだろう。さほど
の間もなく答えた。
「そうだな・・・何か、珍しい品でも貰えればそれでいい。こんな世界だ、俺さえ知らぬ代物の一つや二つあるだろう」
「よかろう。望む物をくれてやる。では、契約は成立ということだな」
二匹の悪魔が嗤う。この世の全てを呪うように、この世の全てを嘲るように。
「大帝よ。貴様には俺の造り出した道具の中でも、最高のモノを貸してやろう・・・!」
少年が―――<冥王>が、手を翳す。同時にオドロームの身体が何かに包まれた。それは次第に膨張し、巨大な人型となる。
完全に姿を現したその異形は、機械で出来た人間の姿を持っていた―――。
「ぬうう・・・これは・・・!何という・・・!」
オドロームは歓喜する。それが与える、絶大な力に。
「くはははは・・・!どうだ大帝。それで負けようものならば、貴様はとんだ間抜けだぞ」
「はっはっは・・・確かに。これで白銀の剣士に敗れるようなら、もはや言い訳も出来まいな・・・」
異形の中心となったオドロームは高らかに笑い、一瞬にしてこの場から消えた。
後にはただ、冷ややかな笑みを浮かべる少年だけが残った。

429 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/01/04(水) 09:32:58 ID:CGbalt0u0
―――ところ変わって、魔城<ガッデム>正門前―――
「くうっ・・・なんて数だ・・・!」
ペコが呻く。敵の質ははっきり言って問題ではない。数が問題なのだ。
<倒せど倒せど湧いてくる・・・実に不毛であるな、主たちよ>
「アヌビス!悪いけどそういう話をしてる場合じゃないの!」
ザンダクロスの中で必死に操作をしているのび太が怒鳴った。
<それは失礼。今年は私や主の年なのでな(2006年は戌年です)。つい饒舌になってしまった>
悪びれもせずアヌビスがのたまう。もうつっこむ元気も惜しい。
「ああ、サイバスターが来てくれればなあ・・・サイフラッシュでズバーっとやってくれるのに・・・」
その時だった。地面が激しく揺れて、ピシッと地割れが走った。そしてそこから何かが飛び出す―――。
「あれは・・・!サイバスターよ!」
待ち望んでいた援軍の登場にリルルが歓声を上げる。
<呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!・・・てか!心配かけたな、みんな!>
「ハ・・・ハ○ション大魔王!じゃなくて・・・マサキさん!」
のび太は取り合えず普通に突っ込んでみた。
「・・・マサキ、お前、実は日本人だろ・・・?」
稟が冷ややかに突っ込んだ。
<いやいや。確かに原作じゃ俺は日本人だけどな、このSSだと古代神界人って設定なんだよ>
「じゃあなんでハク○ョン大魔王なんて知ってるんだよ!」
「・・・あなたたち、ここに漫才やりに来たんですか・・・?」
ペコが呆れたように言い放ったが、彼も顔では笑っている。
「ま、いいですよ。そういうのがみなさんの持ち味ですからね」
<へへっ。そうそう、キラもきっちり助け出しといたから安心しろよ>
「えっ!?キラもいたんだ!」
「うん。あのラクス・クラインもいたけどね、タケシちゃんのおかげで・・・まあ・・・」
「あ・・・亜沙お姉ちゃん・・・その話はしないで・・・」
亜沙とフー子が言葉を濁す。何が起きたのかは推理力に乏しいのび太でも大体分かった・・・分かりたくなかったが。
<よーし。それじゃあ一発、このザコ連中を片付けるとするか!行くぜ・・・>
サイバスターがその手を大きく広げた。
<サイフラーーーーッシュ!>

430 :ドラえもん のび太の超機神大戦:2006/01/04(水) 09:33:29 ID:CGbalt0u0
サイバスターから眩い光が放たれ―――ザコの皆さんは退場した。
「なんて投げやりな文なんでしょう・・・作者はこんなんで読者の皆さんを誤魔化せるとでも思っているのか?」
「手抜きしてる・・・」
ペコとプリムラが仲良くつっこんだ。
<さーて、ザコはいなくなった。さあ、出てきやがれ、山羊頭!>
マサキが威勢よく叫ぶ。それに答えるように、どこかから声が響いた。
「くはっはっはっは・・・言われなくても、すぐに出てきてやる・・・」
「・・・この声・・・!」
のび太の手に力がこもる。この声を、忘れられるはずがない―――。
空間が歪む。絶大な質量を持った何かが、そこから現れる。その姿に、一同は声を失った。
それは巨大なロボットだった。全体的に刺々しいフォルムに、50メートルに達する巨体が、一層禍々しさを強調して
いる。オドロームの声が、そこから響く―――。
「では始めようか、白銀の剣士たちよ・・・これが貴様らの最後だ!」

魔城の奥深く、少年が嗤う。
「くくく・・・さあ、見せてやれ、大帝よ・・・」
魔城の奥深く、少年が嗤う。
「究極の機械―――<ゼオライマー>の力を!」

431 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2006/01/04(水) 09:47:13 ID:+gksXVyo0
投下完了。前回は>>378より。
どんどん間違った方向に進みつつあります・・・ゼオライマーまで出しちゃった。分からない人はぐぐってください。
それはともかく明けましておめでとうございます。今年は戌年、ペコの年。彼に頑張らせてあげたいところ。
今年中にはこのSSを書ききれますように・・・。

>>380 残念ですが、これで終わりです。ただ、具体的に死んだ描写もしてないので、気が向けば・・・
     うーん、出ないな、やっぱ

>>ふら〜りさん
ジャイアンソングは便利ですwちなみにキラの洗脳を解く一手になったというのは、神界書いてたころ頂いた
ふら〜りさんの感想からヒントを得ました(プリムラの洗脳がジャイアンの歌のショックで解けるんじゃないかという・・・)。

>>384 彼の歌は、あれですね・・・味方にも被害が及ぶメガンテといった感じですね。生き残るのはジャイアン本人のみ。

>>しぇきさん
勇次郎やレナが猟奇的すぎて逆に素敵ですね。なんかこのクラスに行ってみたく・・・はなりませんがw
ジャイアンソングを直接ネオグラのコクピットに流してやれば、如何にシュウ様とて・・・まあこれは反則なんで
やりませんがw
いつか言ってた冥王様、出ました。でも原作とはかなり違うので戸惑うかもしれませんので、一応説明。
オドロームが呼び出したのは<冥王計画が成功した平行世界の木原マサキ>です。
ちなみにこのゼオライマーには美久が乗ってませんが、次元連結システムはちゃんとついてます。
ザンダクロス自体のパワーアップもちゃんと考えてますのでご安心を。やっぱり主役機体なんで、他の
味方ロボットより一歩抜けたところにあってほしいものなので。

432 :サマサ ◆2NA38J2XJM :2006/01/04(水) 09:59:54 ID:zEM7BNjA0
追記―――
よく考えたら、あれです。
<ちなみにこのゼオライマーには美久が乗ってませんが、次元連結システムはちゃんとついてます>
ってのは、
<ちなみにこのドラえもんには四次元ポケットがついてませんが、ひみつ道具はちゃんと使えます>
ってくらい無茶苦茶な設定です。
まあその辺は目を瞑ってくだされば・・・(汗)

433 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 10:59:19 ID:+qqzL2GT0
冥王来ちゃったw
これに対抗するには建設巨神つれてくるしかない!

434 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 13:09:41 ID:TilNaxg50
機動武人天鎧王!
じゃなくて冥王ゼオライマー!
また恐ろしいモンを投入しますね…
どうやって倒すんだ!

435 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 13:10:30 ID:D7S/thNW0
ゼオライマーに匹敵するスーパーロボットというと……

イデオン(イデの力は全てを凌駕するw)
真ゲッターロボ(原作版の方で)
ネオグランゾン(ブラックホールパワー(笑))
ゴーショーグン(第三段階ゴーフラッシャーは機械に意志を与えて自爆させるw)
ゴッドライディーン(超者ライディーンに出てくる方。まあ、ぶっちゃけ神様だし)

ぐらいかなぁ……
他にありましたっけ?

436 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 13:18:38 ID:4fVXvlji0
ラクス様もう出ないのか、残念。
まああれだけ強烈なキャラだから扱い辛いしね

437 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 15:31:06 ID:3PMRTfFd0
カマイタチ面白いけど、自分馬鹿なので見取図がイメージ出来ない・・・orz
簡単な図でいいのでうp希望・・・。

438 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 15:54:29 ID:2y1fELQO0
>>433 >>435
イデとイエが発動したらどうするんだwww

439 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 16:49:53 ID:hOCP/0UR0
>>437
頑張れ
とりあえず登場人物の名前と特徴を覚えるだけでいいと思うぞ
ナンバーと割り当てられた部屋の号数一致してるし

440 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 17:14:56 ID:ZUUNNQmV0
>>435
特撮作品ですが、東映版スパイダーマンのレオパルドン(某超人にあらず)とか
毎回巨大化した敵の怪人をほぼ瞬殺(時には変形前のマーベラー状態で!)しますしw

441 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 17:55:24 ID:asn7MDu5O
■■■@■■■A■■■
■■■ю■■■ю■■■
■■       ■■
E♀ ┏━ю━┓ ♀B
■■ ┃※※※┃ ■■
F♀ ┃※※※┃ ♀C
■■ ┃※※※┃ ■■
G♀ ┗━ю━┛ ♀D
■■       ■■
■■■ю■■■ю■■■
■■■H■■■I■■■

ю:ドア(横)
♀:ドア(縦)
※:中庭(天井あり。やや寒い?)

こんな感じ?見てた人違ってたらスマソ


442 :見てた人 ◆O2kFKFG1MY :2006/01/04(水) 18:12:29 ID:ryCdgC7Q0
・見取り図
物語の続きupではないですが、失礼します。
わかりにくい文章というか拙い説明が物議をかもしているので
ものすごいやっつけ仕事ですが、見取り図書いてみました。
http://grugru.mine.nu/box/guru_guru_0882.jpg
ないよりはイメージしやすいかと思います。
AAにしてくれた>>441さんもありがとございます。
部屋の大きさは図で見ると違いますが実際は全室同じです。
この見取り図をぐるりと取り囲むように廊下があり
各部屋の窓はすべて中庭に面していて、扉は正反対の位置に。
南側からホールへと続く中央廊下が伸びています。

ホールからオーナー控え室等にも行けたり
不自然な四隅の空白部分は物置として利用されたりしていますが
その位置はおそらく、物語中で特に意味をなさないので割愛とさせてください。

443 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/04(水) 18:54:10 ID:poQMSOM80
>>388より。

444 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/04(水) 18:54:41 ID:poQMSOM80
 胸元にあるホルダーから、刃渡り三十センチ近いナイフが取り出される。
「けっ、ナイフ術か。マシンガンに比べりゃあ、骨が折れずに済みそうだな」
「くくく、せいぜい楽しませてみせろ」
 右腕を大きく振り被り、中年男が踏み込んだ。間合いに入るや否や、ナイフを振り下ろ
す。いや、すでにナイフは右手にはなかった。
 太ももに鋭痛が生じる。いつのまにか左手に持ち替えられていたナイフにより、深々と
肉を抉られていた。
「て、てめぇッ!」すぐさま廻し蹴りを返すが、中年男は早々と間合いから脱出していた。
「どうだ、ナイフもバカにはできまい」
 これには答えず、加藤が猛攻に出る。正拳による、ボクサー以上のラッシュ。が、拳が
深く侵入するたび──斬られる。
「ほう、さすがに動脈は切らせてくれんか。だが、もう両腕とも傷だらけだな」
 指摘どおり、ラッシュを逆手に取られ腕はあちこちを斬られている。ほとんどが浅いも
のだが、中には放っておくと命に関わる切傷もある。
「ちっ」ひとまず上腕部分にある血管を押さえ、急場を凌ぐ加藤。
「間接圧迫止血法か。まったくの素人というわけでもないらしい」ナイフを構えなおす中
年男。「では、今度はこちらから攻めさせてもらうぞ」
 ナイフと徒手が交互に中年男から繰り出される。ナイフ術はもちろん、格闘術もリアル
シャドーたちを上回る熟練度。蹴りをガードした腕をナイフが襲い、ナイフをかわして体
勢が不安定なところに拳が叩き込まれる、といった具合。まるで隙がない。
 このまま攻防を続けても窮地は打破できぬ、と悟った加藤。逃げるように、中年男との
距離を置いた。
「ほほう、逃げるか」
「どんなにみっともなくとも空手使うんなら絶対に勝て、って教えられてきたもんでな」
「いい師匠を持っていたようだな。だが、もう手はあるまい?」
 再度、攻めに移行する中年男。すると、加藤は近くにある木に向かって跳んだ。
「どこへ跳ぶ。気でも触れたか──?!」なんと、加藤は幹を蹴り、さらに高く跳び上が
った。「まさか、三角飛び!」
 はるか上空から、加藤が飛来する。
「空手にゃ、空中技だってあるんだぜぇッ!」
 加藤が放った足刀が脳天に突き刺さる。しかも、落ちぎわに器用にも顎を蹴り上げる。
受け身を取ることなく、中年男は大地と高速で激突した。

445 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/04(水) 18:55:43 ID:poQMSOM80
 泥状と化す中年男。すみやかに土に吸い込まれる。
 どうにか強敵を片づけ、ひとまず深呼吸する加藤。──が、試練は休むことなく彼に脅
威を与える。
 ドドドドドドドドドドッ。
 乾いた連続音。数に比例した穴が、地面に造られる。これまで直撃は避けていた加藤だ
ったが、左肩に流れ弾を一発受けてしまう。
「ぐわぁっ!」たった一発でも、肩を根こそぎふっ飛ばされるような凄まじい衝撃だった。
 弾丸は貫通。骨はかろうじて無事だが、左腕がほとんど上がらない。
「ちぃぃ……!」
「いやはや、どうやら僕の一人勝ちみたいですねぇ」
 あどけない声が、銃口を向けている。
「まだいやがったのか……」左肩を掌で押さえるが、血は止まりそうもない。流動する生
温かい感触。
 男性よりも、女性の平均値に近い柔らかな容貌をした青年。人間ではないだろうから年
齢を詮索しても無意味だが、せいぜい二十代前半といった印象だ。
「おぉっと、手を上げてください。撃ちたくなっちゃいますから」
「くっ……そ」両手を上げる。途端に、塞いでいた肩の傷から血が噴き出る。
「武器はなし、と。本当に空手だけで、先輩たちを倒したんですか。やるなぁ」
「だったら、なんだ」
「いやいやいや、他意はないですよ。ただ、僕はあなたに感謝してるんです」
「あァ?」
「我々は武勲を立てるほど、出世できるんです。先輩二人を倒した人を僕が仕留めたと報
告すれば、そりゃあすばらしい手柄になるでしょうねぇ」
 名誉欲にまみれた冷笑を浮かべる青年。
「てめぇ──まさか」眉間にしわを寄せ、加藤が今ふと思い浮かんだ仮説を口にする「俺
が奴らを倒すのを、待ってたんじゃ」
「待ってた、だなんて人聞きが悪いなぁ。ただ、そうなったらいいなァ〜くらいには祈っ
てましたけどねぇ」
 白い歯をむき出し、笑みがより醜悪なものに変貌する。

446 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/04(水) 18:58:10 ID:poQMSOM80
「てめぇは一番嫌いなタイプだ」
「くくく。バカ正直な人ですねぇ。ついつい撃ちたくなっちゃうじゃありませんか」
 引き金を少しずつ引く仕草を、これみよがしに繰り返す青年。命を握った者としての権
利を、とことんまで楽しむつもりらしい。だが、加藤にはみじんも動揺する様子がない。
「だったら撃ってみろや。まさか軍人っぽい格好なのに、人を殺すのが怖ぇのか?」
「ほう、マシンガンで狙われてなお挑発とは、すばらしい胆力です。でも、立場を自覚す
る能力には少々欠けていたようだ。そろそろ、死んでもらいましょうかッ!」
 愉悦のための脅しに過ぎなかった右手人差し指に、力を込める。
 ──寸前。
「つぅっ!?」
 右手に生じた激痛に、引き金から指が外れる。
「な、なにを──しまっ」一瞬にして視界から、加藤が消えていた。「ぐおォッ?!」
 渾身の左ハイが、青年を打ち抜いた。
 実は加藤は足指で地面に落ちていた小石をつまみ、脚力だけで青年へと投げつけていた。
ほとんど賭けに近い策だったが、石はみごとに命中。が、左ハイは敵を気絶させるまでに
は至らない。
「大人しく殺されていればいいものをォ!」
 ドドドドドドドドドドッ。
 加藤が引き起こした誤算によって錯乱し、青年は銃を乱射し始めた。
 ドドドドドドドドドドッ。
 照準はメチャクチャ。加藤だけでなく、少しでも動くものに反応して撃ちまくっている。
たまたま上を飛んでいた鳥や、微風で揺れた葉までもを。
 ドドドドドドドドドドッ。
 しかし、危険なことに変わりはない。しかも至近距離──弾が幾度も体表をかすめる。
「くっそ、ぶち切れやがった!」
「せっかく命を延ばしてやったのに、恩を仇で返しやがってぇ! つくづく救われない男
だァッ!」

447 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2006/01/04(水) 19:00:16 ID:poQMSOM80
あけましておめでとうございます。
三が日はあっという間に終わっちゃいましたね。

448 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 20:24:54 ID:3PMRTfFd0
>>439>>441>>見てた人氏
どうみてもよくわかる見取り図です。
本当にありがとうございました。

いや本当に助かります。お陰で頭の悪い私にも
良く理解できました・・・お早い仕事、本当に感謝です。

449 :ふら〜り:2006/01/04(水) 21:10:17 ID:WtMqGK6K0
>>サナダムシさん
ドッポと加藤の仲が深まるほど、将来が不安。今後の戦いで死ぬとか、試練終了後の別離
とか。それと加藤、随分と巨大な規模で見られ、扱われてますね。RPGの勇者っぽい。
実際、加藤の成長は凄い。勇次郎がベトナムでやった、対銃用の技まで我流で習得とは。

>>バレさん((SSは)お久しぶりですっっっっ!)
この扱われ方の容赦のなさ、この救われなさ。でもそれが許される、つーかむしろ似合う
男、それがヤムチャ。ですな。さすがに>>397のラストは何とかしてあげたくなりました
が。もしかしたら夢の中では、チチとブルマとランチさんとでうまくやってたのかな……

>>しぇきさん
ぐわ。確かに勇次郎なら知ってるでしょーね「その臭い」。生焼けの人肉、と言えば
映画版のスウィートホームを彷彿と。精神で火を制するのは黒天使の雪藤のよう。で、
>今日、自分がお家に帰って笑顔で夕食を食べているイメージが沸かなかったもの!!
今回はこれがヒットでしたよ。一拍置いてから、ゾッとしました。浸透する恐怖&納得。

>>見てた人さん
むう。やはり犯人側が不利のようですね。指示の内容にもよりますが。で今回は部屋割り
とその構成、そして個室は密室です、と。一歩一歩確実に、密閉空間殺人事件のお膳立て
が揃ってきましたねぇ。数々の修羅場を切り抜けたカイジの、名探偵ぶりが楽しみです。

>>サマサさん
タイトル見て、冥王って何が来るのかと思ってたら……これまた随分と懐かしいシロモノ。
しかしそれより今回は、ペコが「大人しい常識人」として比較的活躍してるのが嬉しい。
プリムラとも仲良く、アヌビスも良い感じ。敵も味方も皆濃ゆい中、私は応援してるぞっ!

>>448
ttp://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1128775374/777
そうですね……今のバキスレを見てると、↑こうもなるってもんです。

>>テンプレの人さん
おつ華麗さまですっ。このところ大盛況ですからねぇ。喜ばしいことです。

450 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 21:10:39 ID:1TmVCuni0
>サナダムシ様
いよいよサバイバルゲームですな。近代兵器&訓練された部隊対やさぐれ空手。
馬鹿馬鹿しくなるほどの戦力差ですが、愚地独歩の空手はそれを覆せるはず。
新境地の加藤の力を見せて頂きます。


見てた人氏のマップが見えなーい。REFERER が不正とか出る。何、これ?
でも、代わりに超エロいサンプル動画とやらが見えたw


451 :450:2006/01/04(水) 21:15:29 ID:1TmVCuni0
自己解決しました。馬鹿ですみません。見てた人さん乙。
でも、>>441さん出口以外カンペキですな

452 :作者の都合により名無しです:2006/01/04(水) 22:48:13 ID:asn7MDu5O
>451
廊下の位置が違うっぽい
すまんかった

453 :作者の都合により名無しです:2006/01/05(木) 09:16:50 ID:oryb1D0F0
サナダムシさんのやさぐれ獅子の加藤は、
グラ刃牙の出たての頃の加藤を彷彿させますね。
バキのライバル候補だったあの頃を・・。
もう戻らないあの頃を・・。
危険極まる傭兵部隊との死闘を楽しみにしてます。

あと、1作2作で次スレかな?

454 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/05(木) 14:41:55 ID:flvcHy4w0
>>446より。

455 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/05(木) 14:44:16 ID:flvcHy4w0
 紙一重でかわし続ける加藤。が、悪い意味で予測できない動きする青年に、ますます出
血が増えていく。特に左腕が使えないのが大きなハンディとなっている。
 ドドドドドドドドドドッ。
「くくく。いくら体を鍛えようと、技を磨こうと、兵器には敵いませんよぉ」
 青年にねっとりとした嫌味な口調が戻りつつある。アクシデントとはいえ形勢を持ち直
したことにより、正気を取り戻していた。
「だって、そうでしょう?! どんな生物だって、急所に弾丸を一発喰らえば死にますよ。
それに地球上にある全ての核兵器が、地球を何回滅ぼせるかあなた知ってますか!?」
「けっ、だがよ。俺は武器携帯して不覚取った奴らぁ、何度も目にしてるぜ。さっきもマ
シンガン持ちとナイフ持ちをぶちのめしたしな」
「分かってないですね。それは単に、彼らが武器を持った上での力量をあなたが越えてい
ただけのこと。同格同士ならば、よりよい武器を使った方が勝つッ!」
 壮絶な銃撃戦と、壮絶な舌戦を同時に行う二人。が、ついに加藤が木の幹に背をぶつけ
てしまう。
「終わりだッ!」と、青年が叫ぶ。
「まだだ」脳にエンドルフィンが湧き出る。「──来やがった!」
 ──空手家が、舞った。

456 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/05(木) 14:45:12 ID:flvcHy4w0
「と、跳ん……」青年が首を上げる。そして、見入ってしまう。「なんて高さ、だ」
 青年を軽く越えた高度。二倍、いや三倍か。今、自分が戦っていることすら忘れていた
青年に、上空から振り下ろされたかかとが飛び込む。
 空中で前転しての、かかと落とし。青年は頭蓋骨を叩き割られ、先の二人と同じく液体
となって消滅した。
 かなり無理がある技だったが、かろうじて加藤も受け身を取る。
「ぐっ、危ねぇ」近くにある穴だらけとなった木に寄りかかる。「だが、どうにか倒せた
ぜ」
 視界がかすむ。いくらエンドルフィンを分泌したとはいえ、失血がひどすぎた。
「へ、へへ……。空手、で、倒せたぜ。ざま、みやがれ……」
 ゆっくりと目を閉じ、加藤は意識を失った。

457 :やさぐれ獅子 〜八日目〜:2006/01/05(木) 14:46:01 ID:flvcHy4w0
 一方その頃、浜辺で報告を待っていたリーダー。
 彼の待ちぼうけを表す吸い殻が、数十本は砂浜に積もっている。彼が目標とした「一時
間」はとうに過ぎたが、部下たちはだれ一人として帰ってこない。
「どうやら三人とも討ち取られたか……」
 さして失望はなかった。心の奥底で、全滅を予想していたふしもあった。
 もう日没が迫る。今から自ら攻めても問題はない。だが、地の利を取られる恐れもある。
夜の闇に覆われた密林は、昼のそれとはまるで危険度がちがう。
「加藤清澄、か」とターゲットの名を意味もなく呟くと、リーダーは接岸してある小型戦
艦に入っていった。
 決戦は、明日以降──。

458 :サナダムシ ◆fnWJXN8RxU :2006/01/05(木) 14:46:52 ID:flvcHy4w0
八日目終了です。
空しい。

459 :作者の都合により名無しです:2006/01/05(木) 17:00:43 ID:PBsxZhdX0
加藤、エンドルフィン駆使しながら空手家をまっとうしましたね。
決戦はあす以降。という事は、10日目くらいでエンド?
あと、空しいって何故?応援してますよ。

460 :作者の都合により名無しです:2006/01/05(木) 17:04:34 ID:PBsxZhdX0
次スレ立てようとしたけど立てられなかった。
タイミング的にまだ少し早いか。
480KB超えてからでちょうどいいみたいだね

461 :魔女 奇跡の血量:2006/01/05(木) 20:17:59 ID:9K6gfMOX0

 初めての場所に足を踏み入れなければならない時、そんな時、生き物は無意識の
うちに神経を研ぎ澄ましているものだ。高度な言語を操り、介する人間という種で
あっても、その感覚を言語化することは難しい。
 しかし、小さな島の奥地、未だ外の人間が踏み込むことを許されていないその地
に今立っている男には、その奇妙な感覚を言葉とすることが出来た。男が特別なの
ではない。土地から沸立っている濃密に熟成された歴史の芳香が、男の体の奥の方
から言葉を引き出していた。
「ワインだ……」
 男は、そう呟いた。



462 :魔女 奇跡の血量:2006/01/05(木) 20:19:03 ID:9K6gfMOX0

 西洋の男は、使いの子供に案内され村を歩いた。
 皆、まるで同じ顔をしていた。
 男も、女も、子供も、大人も、老人も、皆、顔立ちが同じだった。
 部外者の男がそれを見て、薄気味悪さを覚えたのも無理からぬ話だった。
 男はそれでも、村の人々から目を離し、辺りに広がる葉の生え方が不規則な木や、
脳神経に直接触られそうな色をした草、口に入れれば待っているのは死であろうと
視覚的に確信させられる色形の花などに、目を移すことはしなかった。
 男はただ見ていた。村人達を。見させられていた。
「誰から?」
 男は心の使っていない箇所を用いそう思ったが、答えは出なかった。男は、自分
が何かに首根っこを掴まれ、顔の向きを固定させられている気さえしていた。その
ような理解不能な世界の外側からの力が今自分に掛かっている。そんな、男にとっ
て奇妙な、しかし、絶対的な説得力が、男の首を今固定しているものの正体ではな
いかと思われた。



463 :魔女 奇跡の血量:2006/01/05(木) 20:19:41 ID:9K6gfMOX0

 男はやがて、村人の中でも位の高い者が多く集まる建物の中に通された。やはり、
皆同じような顔をしていた。彼らは男には分からない言語で暫く何かを話し合い、
それが終わってから男に席に座るよう促した。今度は、男にも分かる英語だった。
 使いの子供が、男の前に、作りの粗い、土色のカップを差し出した。男はそれを
見て一瞬「自分は歓迎されていない客なのだ」と早とちりしたが、周りの者達も皆
似たような作りの物だったので、これがこの村の普通なのだろうと納得した。
 村人達は、皆男など気にせずに次々とカップ内の液体を飲み干していった。男は
それを見て怪訝とし、中の液体の匂いを嗅いだ。匂いは明らかに乳製品のそれだっ
た。甘く、濃厚で、今にも体内に溶け入りそうな匂いだ。男は匂いを嗅いだだけで、
これが相当にいい素材で作られていることを察知した。安心して飲み干した瞬間、
口の中には生命力が溢れた。溢れ、そして、溶けていく。男の中で、それは新しい
生を形成していく。
「一杯飲んだところで、お前の話を聞こうか」
 最初に口を開いたのは、座る位置からして村で一番偉い立場の者だろうと男は思
った。粗野を窺わせたが、先程出された飲み物からして、歓迎されていないはずは
ない。男はまず軽く会釈をし、最初の言葉を放った。
「私は、向こうでは歴史、民族研究に主として携わっている。今日は招いて頂き、
感謝の念に堪えません」
 男は無難に言葉を選んだ。
「そんなことはいい。お前は今日、我らに呼ばれたことをどのように認識している
?」


464 :魔女 奇跡の血量:2006/01/05(木) 20:20:19 ID:9K6gfMOX0
 そう聞かれ、男は僅かの時間、己の内で対話をした。
「…学者である私がこうして呼ばれたということは、今まで伝えられていなかった
この村と、その住人達のことを広く外に伝えるため――だと認識していましたが。
あるいは、何かこの村に、村人のみでは対処できない問題が生じ、それに助言を施
すため――とも考えていました」
「一つ目だ」
 返答があまりに端的だったため、男は理解に数秒を要した。
「俺は村の長として、この村を外に広く伝え、文化を何か目に見えるものに記録し
ておく必要性を、今まで数十年に渡り痛感してきた」
「…心中、理解出来ます」
「これまでも一度、民の中から優秀な者を選抜して外へ遣わせたが――」
 村長、と隣の者が耳元で静かに言った。村長は、ああ、と短く言い、この話はな
んでもない、と続けた。その時、村長の目線が外に向かったのを、男は見逃さなか
った。
 村長が見たのは、男の右斜め後ろ。男は、ほんの僅か首を右に曲げ、それから視
界を右一杯に寄せた。そこには何かの建設物があったが、きちんと見たわけではな
いのでそれが何なのかは分からなかった。ただ、そんなに大きな物ではない、とい
うこと位は分かっていた。
 村長は、自らのミスに話す気力が失せたのか、場をお開きにした。まだ何も話し
ていない、と男は言いたかったが、相手の性格(いかにも気分屋で、単純且つ短気)
を考慮すると、下手なことを言えばどうなるか分かったものではない、と思い、黙
った。
 男は、やっとちゃんと先ほどの建築物を確認する機会を得た。後ろを向くと、窓
からは小さな塔が見えた。土色のカップとは大違いの、精巧なものだった。


465 :ゲロ ◆yU2EA54AkY :2006/01/05(木) 20:21:20 ID:9K6gfMOX0
あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
今年は去年よりスローペースの更新になるかと思いますが、その分クオリティは上げ
られるよう頑張りたいと思います。

今回の『魔女』は、競馬ゲームから着想を得ましたw血統表です。
サラブレッドというのは、近親配合で発展して来た経済動物なのですが、ダビスタとか
やったことある方なら分かると思うのですが、近い血統同士で配合しようとすると、血統
表が真っ赤に染まるんです。父と母で同じ先祖の血が入っている際に字が赤色になって
分かるんです。要するに、真っ赤ってのは兄妹での配合とか、娘と爺さんとか、そんなん
でなります。
今回はそんな話です。

>>サマサさん
すいません、それはちょっとした冗談でした。

では次回。

466 :作者の都合により名無しです:2006/01/05(木) 21:13:26 ID:PXW/p08e0
>サナダムシさん
激闘に次ぐ激闘の中の、休息ですか。しかし次なる戦いはもっと激しそうだ。
リーダー格はガイアクラスなんでしょうね。加藤の現在の力が試されます。

>空しい。
なんか知らないけど頑張って下さい。
私はあなたの作品が好きだ。うんこ物のキツいやつ以外。


>ゲロさん
あけましておめでとうございます。少しペースダウンですか。残念。
けど、質は上げて下さるみたいで嬉しいです。今回も目の付け所がいいですね。
近親配合?怪しい医者?今までの話の中でも不気味な臭い。魔女の真骨頂ですな。

467 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 00:11:58 ID:76ERJTTt0
>魔女
異様な出だしですね。
競馬ゲームから着想を得たとの事ですが、そんな陽気な出展からは程遠い息苦しさ。
魔女の中でももっともダークな話になりそうですね。
近親結婚だと生まれてくる子供に不具が出る確率が格段に高いそうですが、
そんなのも出てくるのかな?黒いですね、この作品は。勿論いい意味で。

468 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 00:55:23 ID:WkmLZhhd0
>やさぐれ獅子
加藤のかっこいい姿と、まだまだ実力的に不安な部分があいまって
次回が楽しみですね。いよいよ部隊も本気出しそうですし。
この部隊の後、ラスボスが登場するのかな?

>魔女
こういう暗い雰囲気はぞくぞくして好きですね。ホラーっぽい。
現代の怪談ですかね?ただ、「奇跡」というサブタイから
意外と話は明るくなっていくのかも。

469 :黄金時代第十一話―彼岸―:2006/01/06(金) 06:10:48 ID:C1rvD+Cp0
神とは、暴威である。
それゆえに、なだめすかし、敬い、へつらい、媚びて、どうぞ何もしてくれるなと懇願する。
多神教においてはこの傾向が強く、特にギリシア神話の神々とはまさしくこれである。

人間に当てはめれば性格破綻者どころか措置入院必須な連中に、
権力と超能力を与えればどうなるか?
勝手気ままに、それこそ幼児の残虐性と
大人の狡猾さを兼ね備えて大暴れするに決まっている。

個であっては弱く、脆いが、群となればとてつもなく強靭であり狡猾になる人間は、
そんな神々をなだめすかし、敬い、へつらい、媚びて利用してきた。
だが、神はそんな人間の浅慮を知りながらもあえて乗っている。
神の思慮なぞ人間には分からない、分かりたくもない。
そんな神に最も近いとされる男は、今日も悠々とガンジスのほとりで座禅を組み、瞑想していた。

「わが師よ、問いたい」

シヴァは師の瞑想が終わるのを辛抱強く待っていた。
シヴァは、聖域から聖闘士としての素質を見出され、
黄金聖闘士・乙女座バルゴのシャカに師事して四年になる。
小宇宙の燃焼も、小宇宙を漲らせた身体の使い方も、
禅の果てに己の中から見つけ出した。

「宇宙とは、己。
 己とは、宇宙。
 ゆえに、小宇宙」

シャカから最初に教わった言葉である。

470 :黄金時代第十一回―彼岸―:2006/01/06(金) 06:11:48 ID:C1rvD+Cp0
「わが師よ、私に聖闘士としての証を頂きたい」

シャカの瞳が開かれる事は、まずない。
己の視覚をあえて封印することにより、小宇宙を増幅させているのだ。
シャカがなりふり構わず、視覚すら動員して戦わねばならない相手など、
同じ黄金の聖闘士以外にはそれこそ、地上を狙う神々以外にはありえない。

「シヴァよ、聖闘士をなんと心得る」

シヴァが最初に学んだ事は、対話であった。
瞳を閉じた師は、表情を読み取る事が難しい。
僅かな表情から何を言いたいのかを悟ることが必須だったのだ。

「聖闘士とは、この地上を守るアテナの兵士です」

シャカが人の話を聞いているのかどうかは、一見には分からない。
だが、シャカは言葉を放つ者の心の奥底まで見通しているのだ。
生半可な気持ちでシャカに問うということは、命の危険すら孕んでいる。
シャカは黄金の聖闘士なのだ。

「シヴァよ、兵とはなんだ」

問いに詰まる。
シヴァは迷ったのだ。

471 :黄金時代第十一回―彼岸―:2006/01/06(金) 06:12:37 ID:C1rvD+Cp0
「迷いに捉われるうちは、証を授ける事はできん
 このシャカとて、迷いを知らぬわけではない
 迷いとは、それほどまでに深いのだ
 迷いとは、たゆたう水の如くまとわりつくもの」

シャカは続ける

「だからこそ、戦いの最中に迷ってはならないのだ」

シヴァは、驚愕した。

「兵とは、凶事の運び手だ
 凶事を与える者であり、凶事を授かる者である」

瞑目したままだが、シヴァは確かにシャカの瞳に射抜かれていた。

「人が、大地に立って数万数億数兆の月日が流れたが
 いまだ、人は合い争うことを諦めない
 聖闘士も、しかり」

「しかし、師よ!
 我らは地上の正義のために…」

オーム・気合一喝!
シャカの一喝と共に放たれた小宇宙の衝撃波は、シヴァを軽々と宙に舞わせた。
どしゃりと落ちてきた不肖の弟子に、シャカは諭す。

「シヴァよ、あらゆる凡てを盲信してはならない、盲信は思考を麻痺させる。
 このシャカとて、それは同じ」

472 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 06:13:38 ID:C1rvD+Cp0
「…」

弟子の沈黙を肯定ととったか、シャカは続ける。

「人は迷う、故に、信じる、故に、考える事を諦める
 兵もしかり、兵はただ、ただ一つの事以外を忘れる」

しかし、とシャカは言う。

「迷うという事と、考えるという事は異なる」

阿頼耶識に目覚めたシャカには、目で見なくともシヴァが見えている。
シヴァの小宇宙も見えている、血気盛んに燃え盛るシヴァの小宇宙が見えている。

「シヴァよ、万物凡てを見よ、意味を捉えよ、さすれば見える」

座禅を解くと、シャカは立ち上がり、ガンジスを背にして歩き出した。
そこに、聖域からの使者が居た。



473 :黄金時代第十一回―彼岸―:2006/01/06(金) 06:14:25 ID:C1rvD+Cp0
「教皇からのお達しです、デスクィーン島の暗黒聖闘士たちを治めよとの事」
「わかった」

シャカの下へ来る使者は、常に簡潔な物言いをする。
回りくどい言い方をしなくとも、シャカは真意を汲み取っているのだ。
教皇の信任が厚いのは、こうした理由だ。

「シヴァよ、人は迷う
 迷う事を恐れるな、迷いに捉われるな
 さすれば、君はおのずと聖闘士となる事ができよう」

使者が去り、ガンジスのほとりに臥せるシヴァを眼下にシャカは説く。
だが、神に最も近いこの男とて神ではない。
未来を見通す事が出来るわけではない。
誰が知ろう、今日、この問答をそっくりそのままシャカが受ける事になろうとは。
誰が知ろう、今日、これから会う男がシャカに迷いを与える事になろうとは。
誰が知ろう、今日、これから会う男がシャカの明暗を分ける事になろうとは。

神は暴威である
神に最も近づいたとて、人は人なのだ。
神の暴威に手折られる人なのだ。
だからこそ、小賢しく抵抗するのだ。
人間だから、抵抗するのだ。

474 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 06:50:16 ID:FBkWrxGPO
安芸

475 :銀杏丸:2006/01/06(金) 06:50:32 ID:C1rvD+Cp0
新年明けましておめでとうございます、銀杏丸です
旧年中は誠に色々ありがとうございました
今年は新社会人としても、SS職人としても一生懸命やらせていただきます

連投規制テラウザス、黄金時代第11回をお送りしました
シャカの弟子のシヴァはアニメに登場した
孔雀星座(パーボ)のシヴァを使わせていただきました
アニメとちがってまだ聖闘士にはなってませんが…
正直、今回が一番の難産でした、シャカってワケワカラネー

では、またお会いしましょう

476 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 10:38:04 ID:adtViAdS0
ギリシア神話には確かに人間より人間くさい神様が多々現れますね。
今回、派手さはあまりありませんが滋味深い話で俺の好みでした。
禅問答や兵法といえばやはりシャカですね。
仏陀の生まれ変わりなのに、何故かギリシアの女神に従っているw
こういう話は作り辛いとは思いますが、また作って頂けると嬉しいです。


新スレ立てられなかった。
どなたか>>422-424でお願いします。
訂正は一箇所だけ、>>423のバレさんの作品を

「オムニバスSS劇場」→「オムニバスSSの広場」

に変えて。

477 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 14:09:22 ID:3QBfY/vX0
2次】漫画SS総合スレへようこそpart33【創作】
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1136524044/


478 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 14:28:32 ID:ElGq/oHr0
>>477
お疲れ様です。
感想は新スレに書きます

479 :ふら〜り:2006/01/06(金) 22:14:49 ID:dI1d+ufF0
>>サナダムシさん
この加藤、今どれぐらい強いんでしょう? もう、末期の死刑囚たちなら充分勝てそうな
気がするんですけど。考えてみれば、少し前のNBさんの、デュラム戦におけるトレイン
と同じことやってますよね……でも一向に動揺しないリーダー。何を考えているのやら?

>>ゲロさん
タイトルからして怖いです今回。で冒頭から、いかにも何か異常な風習がありそうな村、
同じ顔がぞろぞろ、誰一人名前が明かされない不気味さ、と来るわ来るわ。顔ぞろぞろの
謎は解けましたが、やっぱり異常な風習があったってことですか。まだ何かありそう……

>>銀杏丸さん
シャカの弟子っていうと、弟子になること自体が困難で、なったら修行が大変で、師匠は
常時謎めいてて、周囲の期待も高くプレッシャー甚大、というイメージ。確かにシヴァも
苦労してそうですね。神話の神々は結構人間臭いけど、神に近い男は神より神っぽいから。

480 :作者の都合により名無しです:2006/01/06(金) 23:19:59 ID:adtViAdS0
いや、ふらーりさん新スレで感想書かないと作者さん読まんと思うぞ。
もう向こうに作品来てるし。

481 :ふら〜り:2006/01/06(金) 23:45:13 ID:BUNy9jNG0
一応、その作品のあるスレに……と思っていたのですが、言われてみれば
ごもっとも。ご忠告に従い、転載させて頂きます。感謝。
そういや、昔は終わったスレの残りで雑談とかしてましたねぇ。私がバキスレで
SSを書き始めたのもそこからでした。懐かしひ。

482 :ふんどし:2006/01/23(月) 21:45:28 ID:qRgUXPGS0
ふんどし

483 :ふんどし:2006/01/24(火) 20:18:22 ID:uVXaXxp30
ふんどし

484 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 15:57:06 ID:XmPRtiaL0
480 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/01/06(金) 23:19:59 ID:adtViAdS0
いや、ふらーりさん新スレで感想書かないと作者さん読まんと思うぞ。
もう向こうに作品来てるし。
481 名前: ふら〜り [sage] 投稿日: 2006/01/06(金) 23:45:13 ID:BUNy9jNG0
一応、その作品のあるスレに……と思っていたのですが、言われてみれば
ごもっとも。ご忠告に従い、転載させて頂きます。感謝。
そういや、昔は終わったスレの残りで雑談とかしてましたねぇ。私がバキスレで
SSを書き始めたのもそこからでした。懐かしひ。
482 名前: ふんどし [ふんどし] 投稿日: 2006/01/23(月) 21:45:28 ID:qRgUXPGS0
ふんどし
483 名前: ふんどし [ふんどし] 投稿日: 2006/01/24(火) 20:18:22 ID:uVXaXxp30
ふんどし

485 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 15:58:05 ID:XmPRtiaL0
479 名前: ふら〜り [sage] 投稿日: 2006/01/06(金) 22:14:49 ID:dI1d+ufF0
>>サナダムシさん
この加藤、今どれぐらい強いんでしょう? もう、末期の死刑囚たちなら充分勝てそうな
気がするんですけど。考えてみれば、少し前のNBさんの、デュラム戦におけるトレイン
と同じことやってますよね……でも一向に動揺しないリーダー。何を考えているのやら?

>>ゲロさん
タイトルからして怖いです今回。で冒頭から、いかにも何か異常な風習がありそうな村、
同じ顔がぞろぞろ、誰一人名前が明かされない不気味さ、と来るわ来るわ。顔ぞろぞろの
謎は解けましたが、やっぱり異常な風習があったってことですか。まだ何かありそう……

>>銀杏丸さん
シャカの弟子っていうと、弟子になること自体が困難で、なったら修行が大変で、師匠は
常時謎めいてて、周囲の期待も高くプレッシャー甚大、というイメージ。確かにシヴァも
苦労してそうですね。神話の神々は結構人間臭いけど、神に近い男は神より神っぽいから。
480 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2006/01/06(金) 23:19:59 ID:adtViAdS0
いや、ふらーりさん新スレで感想書かないと作者さん読まんと思うぞ。
もう向こうに作品来てるし。
481 名前: ふら〜り [sage] 投稿日: 2006/01/06(金) 23:45:13 ID:BUNy9jNG0
一応、その作品のあるスレに……と思っていたのですが、言われてみれば
ごもっとも。ご忠告に従い、転載させて頂きます。感謝。
そういや、昔は終わったスレの残りで雑談とかしてましたねぇ。私がバキスレで
SSを書き始めたのもそこからでした。懐かしひ。

486 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 16:09:43 ID:XmPRtiaL0
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487 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 16:11:39 ID:XmPRtiaL0
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488 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 16:14:48 ID:XmPRtiaL0
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489 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 16:17:14 ID:XmPRtiaL0
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490 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 16:20:20 ID:XmPRtiaL0
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491 :作者の都合により名無しです:2006/01/29(日) 16:26:24 ID:XmPRtiaL0
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