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ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.5
- 1 :作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 11:40:51 ID:uwPiLx8L0
- このスレは週刊少年ジャンプのキャラクターで所謂バトルロワイアルのパロディをしようという企画スレです。
これはあくまで二次創作企画であり、集英社や各作品の作者等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。
※ここはSS投下専用スレになります。感想、議論は下のスレでお願いします。
ジャンプキャラ・バトルロワイアル感想議論スレ PART.10
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1137411900/l50
前スレ
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.4
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1132239130/l50
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123891185/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1121088002/
ジャンプキャラ主人公&ヒロインバトルロワイアル
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1115216913/
ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1119971124/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル準備スレ PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1116767239/
ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1117638620/
- 2 :作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 11:41:49 ID:uwPiLx8L0
- 2/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /●中川圭一 /●大原大次郎
4/4【NARUTO】○うずまきナルト /○春野サクラ /○大蛇丸 /○奈良シカマル
3/4【DEATHNOTE】○夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /●火口卿介
4/4【BLEACH】○黒崎一護 /○藍染惣右介 /○更木剣八 /○朽木ルキア
3/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /○ニコ・ロビン /○ウソップ /●道化のバギー
2/4【銀魂】●坂田銀時 /●神楽 /○沖田総悟 /○志村新八
4/4【いちご100%】○真中淳平 /○西野つかさ /○東城綾 /○北大路さつき
3/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /●竜崎桜乃 /○跡部景吾 /○乾貞治
3/4【アイシールド21】○小早川瀬那 /○蛭魔妖一 /○姉崎まもり /●進清十郎
3/4【HUNTER×HUNTER 】○ゴン・フリークス /○ヒソカ /○キルア・ゾルディック /●クロロ・ルシルフル
4/5【武装錬金】○武藤カズキ /○津村斗貴子 /●防人衛(C・ブラボー) /○ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】●桜木花道 /●流川楓 /●赤木晴子 /●三井寿 /○仙道彰
3/4【北斗の拳】○ケンシロウ /○ラオウ /○アミバ /●リン
2/4【キャプテン翼】○大空翼 /●日向小次郎 /●石崎了 /○若島津健
4/4【キン肉マン】○キン肉スグル /○ウォーズマン /○ラーメンマン /○バッファローマン
4/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /○エリザベス・ジョースター(リサリサ) /○ブローノ・ブチャラティ
3/4【幽遊白書】○浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /●戸愚呂兄
2/4【遊戯王】○武藤遊戯 /●海馬瀬人 /●城之内克也 /○真崎杏子
- 3 :作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 11:42:22 ID:uwPiLx8L0
- 3/4【CITY HUNTER】●冴羽リョウ /○伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /○野上冴子
4/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /○マァム /○フレイザード
4/5【魁!!男塾】●剣桃太郎 /○伊達臣人 /○富樫源次 /○江田島平八 /○雷電
3/4【聖闘士星矢】○星矢 /●サガ /○一輝 /○デスマスク
3/4【るろうに剣心】○緋村剣心 /○志々雄真実 /●神谷薫 /○斎藤一
6/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○クリリン /○ブルマ /○桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
4/4【封神演義】○太公望 /○蘇妲己 /○竜吉公主 /○趙公明
2/4【地獄先生ぬ〜べ〜】○鵺野鳴介 /○玉藻京介 /●ゆきめ /●稲葉郷子
4/4【BLACK CAT】○トレイン・ハートネット /○イヴ /○スヴェン・ボルフィード /○リンスレット・ウォーカー
3/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】○ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /●ガラ /○ティア・ノート・ヨーコ
2/5【ジャングルの王者ターちゃん】○ターちゃん /●ヂェーン /●アナベベ /●ペドロ・カズマイヤー /○エテ吉
3/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /●勝利マン /○友情マン /○世直しマン
3/4【世紀末リーダー伝たけし!】○たけし /○ボンチュー /●ゴン蔵 /○マミー
98/130 (○生存/●死亡)
- 4 :作者の都合により名無しです:2006/01/22(日) 11:43:00 ID:uwPiLx8L0
- まとめサイト(地図含む)
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/
携帯まとめサイト
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/keitai/index.html
旧まとめサイト
ttp://jumproyal.exblog.jp/
読み手さんもいらっしゃい
ジャンプロワ雑談チャット2
ttp://chat.mimora.com/common/chat.mpl?roomnum=245041
- 5 :小さな成果と次なる努力:2006/01/22(日) 12:42:34 ID:h6k0AwUa0
- 太公望と別れて数時間。
公主とダイは予定通りダムに到着し、ダムを管理する場所と思われる施設の中で食事をとった。
その後、公主は施設の中で呪文習得を試み、ダイは山の頂上で四国を見張ることにした。
(もっとも、ダイは公主の身を案じて30分ごとに様子を見に来ていたが)
事務所と思われる部屋の中で、公主はアバンの書を前に精神を集中する。
「ゲホッゲホッ………ハァ、ハァ」
吐血。
しかし、すぐに血を拭うと精神集中に戻る。
「……キアリー」
公主のその言葉と共に手元が光り、わずかだが体が楽になった気がした。
体内の酸素が、公主にとっての毒である下界の空気が浄化されたためだ。
「ふぅ……ようやく一つ、習得できたな」
最初にこの呪文を選んだのには理由がある。
下界の空気という『毒』にある程度慣れているため、そして自らの宝貝で空気をある程度浄化できるため、
『解毒』というイメージが作りやすかったからというのが理由の一つ。
もう一つは、太公望の期待に答えるため、少しでも長く生き延びなければならないからだ。
あるかどうか分からない香を黙って待つよりは、自分の力で少しでも延命する努力をした方がよい。
「(これで少しは生きながらえることもできよう…さて、次はもっと実用的な呪文を覚えねばな)」
公主は再びアバンの書に向かう。
…昼の放送でも、14人の命が失われた。
自分の直接の知り合いは一人も死んでいないが、痛ましいことに間接的な知り合いの名前はいくつか読み上げられた。
確実に、主催者の思惑通りにゲームは進行してしまっている。
こんなゲームは早く止めなければならない。
先の短い命だということは公主自身理解している。
だからこそ皆の役に立たなければならない、公主はそう思っていた。
- 6 :小さな成果と次なる努力:2006/01/22(日) 12:43:25 ID:h6k0AwUa0
- 様子を見に来たダイに公主が呪文を一つ習得したことを知らせると、ダイは喜びながらも公主の身を案じた。
「すごいや公主さん、さすが仙人だね!…でも、無理しないでね。もうすぐターちゃんたちがお香を持ってくると思うし…」
「うむ…大丈夫じゃ。自分の身は自分がいちばん知っておる。…さぁ、見張りに戻るがよい」
「うん…」
ダイを見送ると、公主は再びアバンの書に目を落とす。
公主は思う。自分の系統は防御系の呪文だと。
水を使う攻撃呪文があれば使えるかもしれないが(ヒャド系は近いかもしれない)、それよりも仲間を守る呪文を優先したい。
「(それに、霧露乾坤網で常に張っていた水のバリア…あのイメージで連想する呪文は…)」
『フバーハ』…炎や吹雪から身を守るバリアを張る呪文
『マホカンタ』…相手の呪文を反射する呪文
この二つが呪文のイメージを作りやすい。
だがこの二つはどちらも高等な呪文なので、純潔の仙女と呼ばれる程の高等仙人である公主でも習得は難しいかもしれない。
また、制限さえなければ宙に浮くこともできる公主としては、一度行った場所へ移動する呪文『ルーラ』や、
空を自在に飛ぶ呪文『トベルーラ』の二つもまた、ある程度は覚えやすいと言えるだろう。
「(だが、私が飛べぬということは、空を飛ぶ呪文も制限されておるやもしれぬ…やはりフバーハかマホカンタを優先するべきじゃな)」
襲撃者が何かしらの術を使ってきた場合、それから身を守る術があったほうがよい。
それに…仮に主催者と戦うことになった場合にも、この二つの呪文ならばきっと役に立つはず。
公主は考えをまとめると、ペットボトルから水を一口飲んだ。
そして、再び呪文の習得に向けて精神を集中し始めた。
- 7 :小さな成果と次なる努力:2006/01/22(日) 12:44:43 ID:h6k0AwUa0
- 一方、山頂で見張りを続けるダイは、山を登ってくる人影に気がついた。
「あれは…ターちゃんだ!」
見間違えるはずもない、腰ミノ一丁の姿。
ほんのわずかの間だが一緒に過ごした仲間の無事な姿に、ダイはほっと胸をなでおろした。
「おーい!お香を持ってきたのだー!」
「じゃあ、太公望は富樫さんと合流できたんだね!?」
「あぁ、香川県ではお香が見つからなかったから隣の徳島県まで行ったのだが、そこで太公望が追いついてきたよ。
お香もその近くの村でほんの少しだが見つけることができたのだ」
「本当にありがとう…私のために、わざわざすまぬ」
「お礼を言われるほどのことじゃないのだ」
公主はさっそく、3畳ほどの小さな部屋で香を焚き始めた。
これでしばらくは咳き込むこともなく、体力の消耗を防げるだろう。
「それで、太公望と富樫さんは?」
「うん、対岸に…和歌山県に渡ると言っていたよ。できれば小舟か何かを探すそうだ」
「四国に来たときみたいに泳ぐのは大変だもんね。でも…無事でいてくれればいいね」
「きっと大丈夫。彼らなら、信頼できる仲間を見つけて戻ってきてくれるのだ」
そう言って空を見上げるターちゃんだったが、そのお腹が大きく鳴った。
「あはは、そう言えばずっと何も食べていなかったのだ」
「はは、少しここで休んでてよ。あとで話すことがあるんだ」
ダイはそう言うと、四国を見張るためにまた山頂へと戻って行った。
ターちゃんはそれを見送ると、再び空を見上げる。
その瞳はどこか悲しげで、昔を懐かしむようで…
「…ヂェーン、ペドロ、アナベベ………どうか、彼らを見守ってあげてくれ…」
- 8 :小さな成果と次なる努力:2006/01/22(日) 12:46:01 ID:h6k0AwUa0
- 【香川県のダム/1日目・日中】
【ダイ@ダイの大冒険】
[状態]:健康、MP微消費
[装備]:出刃包丁
[道具]:荷物一式(一食消費)、トランシーバー、ペガサスの聖衣@聖闘士星矢
[思考]:1.四国を死守
2.ターちゃんに脱出の可能性があることを伝える
3.公主を守る
4.ポップ・マァムを探す
【竜吉公主@封神演義】
[状態]:疲労進行中、お香焚きこめ中
[装備]:青雲剣@封神演義
[道具]:荷物一式(一食消費)、アバンの書@ダイの大冒険、お香(残り9回)
[思考]:1.四国を死守
2.呪文の取得(『フバーハ』か『マホカンタ』が候補)
[備考]:キアリーを習得
【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:荷物一式、恥ずかしい染みのついた本@ジャングルの王者ターちゃん
[思考]:1.ひとまず食事しながら休憩
2.太公望からの頼みごとの実行のため、四国に留まる
[備考]:全国の動物達に伝わるのは少々時間がかかります。
- 9 :正義と狂気(修正版) ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/22(日) 16:22:44 ID:6Ta305sc0
- 前スレ>>433修正します
そうしてキルアは壬生狼に来た道を、大阪のそとへ歩き始めた。
↓
そうしてキルアは壬生狼がやって来た道を戻り、大阪の市外へ歩き始めた。
- 10 :正義と狂気(修正版) ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/22(日) 16:24:16 ID:6Ta305sc0
- 更に前スレ>>434修正します
【大阪/市街地/日中】
【チーム名=壬生狼】
【斉藤一@るろうに剣心】
[状態]健康(腹部はほぼ完治)
[装備]魔槍の剣@ダイの大冒険
[道具]荷物一式(食料一食分消費)
[思考]1:大蛇丸を追う
2:ダイの使える武器を探す
3:主催者の打倒
【沖田総悟@銀魂】
[状態]健康(鼻はほぼ完治)
[装備]鎧の魔槍(右鉄甲無し)@ダイの大冒険
[道具]荷物一式(食料一食分消費)
[思考]1:斉藤に付いていく
2:主催者の打倒
【大阪/郊外/日中】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
[状態]:少々のダメージ。戦闘に支障無し。
[装備]:なし
[道具]:爆砕符×3@NARUTO、荷物一式 (食料1/8消費)
[思考]:1.自分の弱点克服
2.1達成後、ゴンを探す
2.1達成後、『選別』開始
- 11 : ◆yRsBrOYbOA :2006/01/22(日) 21:17:39 ID:Opl/0kRB0
- 若島津はなるべく敵に見つからぬよう島根県の海沿いにある山中を歩き続けていた。
しかし、その足取りは重くひどく疲労しきっていた。それは体力的にと言うよりも精神的なものから来る、
なんとも抜けにくい厄介なものであった。それも無理はない。1回目の放送で石崎の死が放送された。
改めて若島津はこのゲームの不条理さに歯がゆむ。そこで主催者から聞かされたある一言・・・。それは、
「『仲間』に裏切られて命を落とした者もいるのだぞ?」
・・・若島津は考える。石崎の死も驚きさすがに動揺したが、それよりもキャプテンや翼が仲間を裏切るか?
いや、それはない!逆に人を信じてしまいすぎる嫌いがある。石崎の死がどういったものであったか知る由はないが、
石崎も人を信じてしまったのではないだろうか?だとすればこのゲームで人を信じるのは危険だ・・。
- 12 : ◆yRsBrOYbOA :2006/01/22(日) 21:18:23 ID:Opl/0kRB0
- 現に最初に出くわした青年はいきなり発砲してきた。見た目は極普通なあの男でさえゲームに乗ってしまっている!
そして仮に女と会ってしまった場合、女だと言え信じることができるだろうか?逆にか弱さを隠れ蓑に裏切っている可能性が
ないわけではない。つまり、このゲームで信じれるのはキャプテンと翼のみ。・・・と思考が偏っていたところに2度目の放送である。
そこでも信じられぬ人の名前と同時に主催者からの言葉が・・・
「『お仲間』が、あなたの知っていた頃と同じ『お仲間』とは限りませんから」
・・・若島津は驚愕する!!!尊敬し共に戦ってきたキャプテン。猛虎の如く、荒々しく逞しかったキャプテン。
彼さえもこのゲームによって帰らぬ人となってしまった・・・。もはや信じられる人はいない。否!翼がまだ生きている。
あいつほど真っ直ぐな奴を若島津は他に知らない。しかし、その翼さえも犠牲になってしまうかもしれない・・・。おそらく翼も生き残れないであろう。
- 13 : ◆yRsBrOYbOA :2006/01/22(日) 21:20:48 ID:Opl/0kRB0
- そもそも最初から生き残れるのは一人。しかし、自分がその一人になるにはやはり武器が不足している。人に会った際、おとなしそうな奴なら隙を見て
その場で武器を奪って殺害してしまおう。仮に強敵と会った場合、武器だけ奪えそうなら奪って逃げるのが得策か。後は潰しあいをしてくれるに限る。
着実に武器強化を行いながら、強敵相手はやり過ごして数が減るのを待ったほうがいいな。
そう決意した若島津は、周囲に警戒をしつつしばしの休息をとることにした。
若島津健(男)
【島根県・東部の森/1日目・日中】
状態:やや精神的に疲労装備:ベアークロー(片方)@キン肉マン
道具:荷物一式
思考:1.しばらく休息
2.武器の調達。弱者からは奪い取り殺害
強者はやり過ごす(可能ならば武器を奪う)
- 14 : ◆yRsBrOYbOA :2006/01/22(日) 21:23:44 ID:Opl/0kRB0
- 【島根・東部の森/1日目・日中】
【若島津健@キャプテン翼】
[状態]:やや精神的に疲労装備
[装備]:ベアークロー(片方)@キン肉マン
[道具]:荷物一式
[思考]:1.しばらく休息
2.武器の調達。弱者からは奪い取り殺害
強者はやり過ごす(可能ならば武器を奪う)
- 15 : ◆yRsBrOYbOA :2006/01/22(日) 22:04:18 ID:Opl/0kRB0
- >>11-14は無効です
- 16 :慟哭そして…… ◆Wf0eUCE.vg :2006/01/23(月) 00:49:01 ID:xc8WL1nj0
- 「チクショウッ!」
放送を聞き終えた若島津は、悔しさの余り拳を木に叩き付ける。
殴りつけられた樹木は身を震わし、ヒラヒラと何枚もの木の葉を宙に浮かべた。
「日向さん……」
打ち付けた拳をそのままに、若島津は俯きその名を呟いた。
東邦学園で共に打倒南葛を目指し、苦楽を共にし鍛え上げた日々が脳裏を過ぎる。
彼はキャプテンとしてチームの精神的支柱であり、若島津自身も彼に絶対の信頼を置いていた。
猛虎のように逞しく、常に上を目指す気高い人。
その日向が死んだ。そのショックは計り知れない。
そして共に日本代表として戦った石崎も死んだ。
気のいいヤツだった、死んだなんてとても信じられない。
「クソッ!」
振り切るように吐き捨て、若島津は移動を再開する。
砕かんばかりにかみ締めた奥歯がギリリと音を立てる。
何もできない歯がゆさ。
何より自分の無力さに腹が立つ。
自分は弱くは無いはずだ。
プロのスポーツマンである上に自分には空手がある。
だが、殺し合いの中でそれが何処まで役に立つのか。
鉛球の前には空手など無意味に等しい。
何より、遠くで死に逝く仲間達に対して自分は何もできない。
それが悔しくて、とてつもなく歯がゆい。
怒り、悲しみ、不安、悔しさ、歯がゆさ。
いろんな感情が入り混じりどうにかなってしまいそうだ。
それでも決して足は止めず、若島津は移動を続ける。
このる希望は翼だ。
どんな絶望的状況でも諦めず。いつも奇跡を起こしてきた男だ。
翼なら、翼ならこの状況もなんとかしてくれる。
すがるようなそんな思いを抱え、若島津は森林を駆ける。
- 17 :慟哭そして…… ◆Wf0eUCE.vg :2006/01/23(月) 00:51:20 ID:xc8WL1nj0
- そしてしばらく走った頃、森林の終わりが見え、街中に差し掛かる。
ここで若島津は歩を緩め、狙撃や待ち伏せを警戒しながら歩き始めた。
そして前方に小学校を発見する。
慎重に中を警戒しながら、その校門を通り過ぎようとした時、若島津はグラウンドの端に何かを発見する。
ここからはそれが何かはよく見えず、若島津は目を凝らす。
発見したそれは黒く木炭のように見えた。
だが、その大きさは木炭にしては大きすぎる。
その大きさは……。
そう、丁度■の大きさに似ている。
胸がざわつく。
黒い靄がかかったようだ。
得点を取られる直前や怪我をする前に似ている、嫌な予感だ。
だが今の重圧はそれとは比べ物にならない程重い。
嫌な汗が訳も無く流れる。
喉が渇く、気分が悪い。
「……なんだ?」
導かれるように若島津の足が動き、それに近づいてゆく。
―――後に思えば、なぜ近づいてしまったのか。
一歩一歩近づいていくたび、その全貌が明らかになっていく。
よく見れば黒く焦げているのは遠目に見えていたこちら側だけで、逆側は別の色をしている。
その色は■の色に似ている。
そして知る程度近づいた頃。
その正体。それが何であるかがを若島津は理解してしまった。
人だ。
これは、人の死体だ。
頭の片隅にあった悪い予感の的中に吐き気がした。
- 18 :慟哭そして…… ◆Wf0eUCE.vg :2006/01/23(月) 00:54:00 ID:xc8WL1nj0
- これ以上それを見てはいけない。
脳が激しくそう訴えかけている。
その警告とは裏腹に視線は動かず、それを見つめ続ける。
焼け残った半身がこちらを見つめ、自分誰であるかをこちらに語っているようだった。
そして、水晶体の蒸発した眼球と目が合った。
「い……」
それを確認した瞬間、若島津は脳髄に燃える様な熱さを感じた。
両目が見開かれ瞳孔が開かれる。
カラカラに渇いてへばり付いた喉が震える。
「石崎イイイィィィィィ!!」
激しい慟哭が響き渡る。
泣き叫びながら、変わり果てた仲間の下に駆け寄って黒こげた手を握る。
だが、握った腕は脆く、焼け焦げ風化した腕はゴミの様にボロリと崩れさる。
自分の手から零れ落ちる仲間の腕。
その光景、その事実に。
「オェェッッ……ウエェッ!」
堪えきれず、若島津は激しく嘔吐した。
連れ去られる前に食べた物、支給された貴重な食料、それも全部吐き出した。
胃の中身が空になって、吐くものがなくなっても吐き続けた。
胃の痙攣が止まらない、気絶しそうなほど気分が悪い。
「ウェッ……ハァ…ハァ……」
胃液すら出し尽くしたのか、もう出すものは無いと胃の痙攣が止まる。
胃液に濡れた口元を拭う。
「うぁ……あぁぁ」
土下座にも似た体勢で力無く崩れ落ち、嗚咽のような声を漏らす。
爪は砂を掻き、握られた拳を振るわせる。
その拳に呼応するように、体全体を震わし。
- 19 :慟哭そして…… ◆Wf0eUCE.vg :2006/01/23(月) 00:56:27 ID:xc8WL1nj0
- 「チクショオオォォオオ!!!」
叫ぶ。
喉がはちきれんばかりに。
「畜生! 畜生!!」
感情のまま何度も地面を打つ。
打ち続けた拳が血に濡れようともそれは止まらない。
胸に様々な感情が渦巻く。
中でも一番強いのは怒りだ。
だが、その怒りは何に対してのものなのか。
こんなゲームを始めた主催者達か。
こんな真似をした殺人者か。
それとも友の死に叫ぶしかできない自分自身にか。
「……畜生」
力尽きたようにゆっくりと地面に血塗れた拳を下ろす。
そしてそのまま、若島津は声も漏らさず動かなくなってしまった。
警戒も策も無く若島津は平伏す。
その場に動くものは無く。
遠目から見たその光景は、まるで時が止まってしまったよう。
もし、この状況で悪意あるものに遭遇したならば、彼の命は無かっただろう。
偶然にもこの近辺に人気は無く、それは彼にとってこの場に置ける唯一の幸運だった。
どれほどそうしていただろう。
なんとか崩壊寸前の自分の精神に整理をつけた若島津は、ゆっくりと立ち上がる。
「痛てぇ……」
今頃になって裂けた拳が痛んだ。
だが、痛みは若島津に現実感と生きている実感をくれた。
- 20 :慟哭そして…… ◆Wf0eUCE.vg :2006/01/23(月) 00:58:52 ID:xc8WL1nj0
- 「石崎……」
虚ろな目で嘗ての戦友を見下ろし、その名を呟くも、それに続く言葉は無い。
若島津はその無残な姿を目に焼きつけ、その場を立ち去った。
その胸に一つの決意を固め。
「キャプテン、石崎……必ず……」
誓いの呟きは風にさらわれ、その決意を誰に伝えることも無い。
胸に誓うは復讐か、それとも……。
【鳥取県南部/日中】
【若島津健@キャプテン翼】
状態:精神的に疲労。拳に軽傷。
装備:ベアークロー(片方)@キン肉マン
道具:荷物一式
思考:1.不明
2.翼と合流
- 21 :慟哭そして…… ◆Wf0eUCE.vg :2006/01/23(月) 01:12:17 ID:xc8WL1nj0
- 誤字発見申し訳ない。
>>17 下から7行目。
>そして知る程度近づいた頃。
>そしてある程度近づいた頃。
に修正してください。
- 22 :はじめてのさつりく ◆urZGrJa.qw :2006/01/23(月) 07:00:05 ID:mSUKW6G/0
- ケンシロウは斗貴子との約束を守るため、まずは東京方向に歩いていた。
リンの死が最初の放送で告げられた。まあそれは仕方がない。
所詮リンなどただのガキ。この場に連れてこられ自分と離れてしまった瞬間、
死は確定していたようなものだ。リンが死ぬまでは守るなどという気持ちを
前面に出していなければいけなかったが最早その鎖もなくなった。
ケンシロウは常々、無差別殺人がやりたくてたまらなかった。
今までの世界では許されることではなかったが、どうやらこの世界ではそれも
認められるらしい。
(うはー夢が広まりんぐー♪)
先程からこのフレーズが絶えることなく聞こえてくる。そんな中ケンシロウはある小屋を
発見する。一歩一歩近づいていく。小屋の入り口5mまで来てその歩みを止める。
どうやら中の連中も気付いているようである。そしてゆっくりと扉があく。
出てきたのは漆黒の鎧をまとった男。そしてその後方には静かに佇む男。
しばしの沈黙の後、ケンシロウは言葉を発する。
「殺し合いでもしようか?」
その言葉を合図に漆黒の戦士はケンシロウに向かい拳を振るう。しかしその拳はかすることなかった。
だが、ケンシロウも相手が人間でないと気付くと北斗神拳が効かないと焦る。
(ちょwwwうぇwwwwこれアリエナスwwwww)
ならばターゲットは1人。後方に座る男目掛け一突き!!!その男はよける意思が
あったのかなかったのか意外にもあっさりと突かれた。そしてケンシロウは、
「お前はもう死んでいる!!!」
数秒後その男は「ひでぶっ!」と言う言葉を残し頭が爆発した。
それを見た漆黒の戦士・ウォーズマンは白旗。そしてケンシロウと行動を共に
することに決め、一路東京方面へと向かうのであった。
- 23 :作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 08:13:13 ID:ofZTe8RkO
- >>22は無効です
- 24 :作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 15:59:33 ID:lAiPsnQp0
- >>22は無効??
- 25 :作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 20:02:45 ID:h/aIZ0tH0
- >>24
議論は感想議論スレでどうぞ、と言うまでもなく今回のは無効ですよ。
- 26 :見上げた夜空の星・・・ ◆AfAlNbFv0U :2006/01/23(月) 21:07:57 ID:o0P4iHf90
- 「あんた何者だ?」
「私は桃白白。世界一の殺し屋だ。お前こそなかなかいい動きだが何者だ?」
「木の葉の忍シカマルだ。殺し屋か・・ちっめんどくせーな。」
今ここに対峙する2人がいる。いや正確には3人か。
まずは忍者シカマル。彼は里一の頭脳とも称されるほどのキレ者である。
しかし、今回ばかりは分が悪いか。武器もなく、目の前にいるのは
自称世界一の殺し屋、桃白白。彼は己の舌だけでも人を殺せるほどの
実力を持っている。そしてこの2人とはやや離れたところに
純粋少年、ゴン=フリークス。彼は現在、2人の動向を密かに見守っているが
おそらくこのまま見過ごすことは出来ないであろう。
- 27 :見上げた夜空の星・・・ ◆AfAlNbFv0U :2006/01/23(月) 21:09:39 ID:o0P4iHf90
- そして今、桃白白が先手をうってきた。しかしシカマルも忍者の端くれ。
体術もなかなかのものでそう簡単にやられはしない。だが次第に拮抗が崩れ始める。
状況は次第に桃白白優勢になりだしていた。そしてとどめの一撃が繰り出されようとした瞬間、
状況を見ていたゴンが飛び出してくる。それに気づいた桃白白は思わず仰け反る。
そして突然現れた少年に対して名を尋ねた。少年もそれに答える。
「俺はゴン=フリークス。争いはやめようよ。」
それを聞いたシカマルはふと頭に、
- 28 :見上げた夜空の星・・・ ◆AfAlNbFv0U :2006/01/23(月) 21:10:26 ID:o0P4iHf90
- 「ゴン=フリー・・?フリスク?」
もちろんフリスクなど聞いたことも無い。だが妙に気になる。そして脳裏に誰かが囁く。
「豆ぐらいのサイズの食べ物だよ。尻に入れると効果抜群だよ!」
シカマルは自分の支給品、仙豆をおもむろに取り出した。それを見た桃白白は、
驚きと同時に自分にそれをよこすように語ってきた。
やはり桃白白も仙豆について効果を知ってるらしい。ならば渡すのは危険だ。
ならば自分が使うか。シカマルはそう考え尻に突っ込んでみた。すると、
- 29 :見上げた夜空の星・・・ ◆AfAlNbFv0U :2006/01/23(月) 21:10:57 ID:o0P4iHf90
- シカマル「ちょwwwwwうはwwwwwキターwwwwwwwww」
ゴン 「ちょwwwwそれアナリスクwwwwwww」
桃白白 「ちょwwwwおまい勇者wwwwwテラワロスwwww」
シカマルは叫びながら絶頂を感じている。呆れるゴン。好機を逃さぬ桃白白。
ゴンは桃白白の不意打ちに反応が出来ずその場に倒れ込む。シカマルの元に歩み寄る桃白白。
いまだに快感に浸っているシカマルに止めをさすと、尻に手を突っ込んだ。
「げ、この餓鬼、びち糞じゃないか!まぁいい。だいぶ走って疲れていたからな。」
そう言うと桃白白は仙豆を飲み込んだ。若干臭う。そして近くにあった大木を一突きでへし折り、
それを関西方面に投げ、自信もそれに飛び乗っていった。投げた方向はおそらく琵琶湖あたりだろうか。
こうして桃白白は褒美を原動力に2人殺すことに成功した。
- 30 :見上げた夜空の星・・・ ◆AfAlNbFv0U :2006/01/23(月) 21:16:12 ID:o0P4iHf90
- 【茨城県海岸沿い/日中】
【桃白白@DRAGON BALL】
状態:健康
装備:脇差し
道具:荷物一式(食料四人分、三食消費)ジャギのショットガン@北斗の拳(残弾20)
思考:1.関西へ向かう
2.孫悟空、ピッコロ以外の参加者をできる限り殺す
3.孫悟空を殺して優勝し、主催者からご褒美を貰う
【シカマル@NARUTO】死亡確認
【ゴン=フリークス@HUNTER×HUNTER】死亡確認
残り97人
- 31 : ◆AfAlNbFv0U :2006/01/23(月) 21:40:15 ID:o0P4iHf90
- >>30訂正発見
残り97人→残り96人
- 32 :作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 21:47:52 ID:ofZTe8RkO
- >>30は無効です
- 33 :作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 21:48:28 ID:mD71Co4p0
- 訂正ご苦労様です。
>>26-31は無効です。
- 34 :作者の都合により名無しです:2006/01/23(月) 22:04:00 ID:o0P4iHf90
- もちろん>>22-34は無効です
- 35 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 00:52:24 ID:yeVeXw3+O
- さわさわと、そよ風に揺られる大樹。
風に揺られて、ひらりと舞い落ちる小さな葉、一枚。
対峙する二人の間を縫って落ち、滑るように地面にたどり着く――
その瞬間を皮切りに、それが示し合わせた合図であるかのように再び始まった二人の闘い。
海坊主の手にはマシンガンが再び構えられ、容赦なく相手の居る場所に寸分の狂い無くその弾の数々を撃ち込む。
「くっ!!」
クリリンは一足でそこから飛び退き、元居た場所の中空を銃弾が貫く様を見て冷や汗を浮かべつつも口元に小さく笑みを作る。
「スゴいなぁ。薄々気付いてはいたけど…なんて正確さだよ」
その鍛えられた動体視力が捉えた弾の軌跡。
それは正確無比に己の両脚部のみを撃ち貫くように描かれて飛来。
回避した次の瞬間にも次々に襲い来る攻撃もなんとかかわし続けるも、それらの攻撃も全て急所は外され『行動不能』を狙うためだけの位置を狙った物ばかりであった。
(肉弾戦の直接攻撃は効かない、かといって遠距離なら向こうの思うつぼだ。気ももうほとんど空っぽなんだから、近距離戦を挑むしかないよなぁ…)
先ほど必殺を狙った抜き手の一撃は謎の無効化を受けて胸の前で音も無く止められた。
- 36 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 00:53:23 ID:yeVeXw3+O
-
(とにかく、まずはあの変なバリアを何とかしなきゃな。…『あれをかわせなきゃ俺の負けだった』って本人が言ってんだ、気の攻撃は防げないはず。なら…!)
先ほど放った渾身のかめはめ波ですでにクリリンの体にはまともに攻撃に使える気は残っていない。
しかしダメージはあまり期待できない見かけ倒し程度の気弾なら数発は放てるだろうとの見込みをつけ、海坊主のマシンガンによる絶え間無い攻撃によって回避に専念せざるを得ない現状を打破するべくコンクリートの塀の向こうから反撃の機会を伺い続ける。
「どうした!逃げてばかりじゃ俺は殺れんぞ!」
ズガガガガガッ!!!
姿を隠したクリリンを塀の向こうからおびき出そうと挑発を交えながらマシンガンを撃ち込む。
(奴はもう満身創痍の防戦一方。どう見ても、俺の前にすでに誰かとやりあってたようだな…)
海坊主は向こうから姿を隠すように木の裏に身を隠し、マシンガンの予備の弾を手早く補充しながら考えを巡らせる。
(…さっきの寸止め、奴の腕の振り方から察しても…奴が止めたって感じじゃなかった。俺の胸の前で何かに『止められた』んだ。何に止められた?奴自身の意志にか?いや…)
- 37 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 00:56:39 ID:yeVeXw3+O
-
いくら考えても理解が及ばない不可解な事実。
考えても考えても納得のいく説明の付かない先ほどの一件に頭を悩ませ、クリリンに貫かれようとした心臓の上に手を当てて考え続ける…が、
(……待てよ、まさか…?)
思い出す。その手に固く当たる一つの存在、謎の貝殻。
この糞ゲームに放り込まれて最初に確認した自分の荷物の中にあった、不可解なそのアイテム。
―――なんだぁこりゃあ!?ちっ…!こんなガラクタ、あのジジイどもの嫌がらせか!?ふざけんじゃねえッ!!―――
突然ドン!!と自分の胸ポケットを拳で殴りつける。
しかし何故か…いや、『やはり』…その衝撃は自分に与えられる事も無く、無音・無痛で握った拳は胸の前で止まった。
(……なるほどな、こいつが俺への支給武器…てぇ事だったんだな…)
胸ポケットから、その支給武器を取り出す。
海坊主には知り得ない事であるが、まさにそれこそは『当たり』と言っても過言ではない強力な武器…『排撃貝』――リジェクトダイアル。
『衝撃』を中にエネルギーとして蓄積し、核頂のボタンのような部分を押す事によって一気にそれを放出する事ができる、偉大なる航路(グランドライン)に存在する空島の産物、絶滅種――排撃貝。
- 38 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 00:57:44 ID:yeVeXw3+O
-
(捨てなくて正解だったな。…マシンガンの弾にも限りがある。こいつで奴の攻撃を防ぎながら、一気にケリを付けてやる!)
神話の世界において、どんな攻撃をも防ぐ事の出来る『イージスの盾』。
これはそれに近い不思議なアイテムであるのだろうと結論付け、それを片手に握りしめ…木陰から姿を現してクリリンの居るであろう方へとマシンガンで牽制をしながら走り寄る。
「ウオオオッッ!!!」
「クッ!!(来たっ!!これ以上迷ったり逃げたりして隙を見せてたら負ける!覚悟、決めるっきゃないよな!)」
残り僅かな力を振り絞り、手に気を貯めつつ迎撃の姿勢をとって塀の手前を伝って走るクリリン。
近すぎず遠すぎず…適度な距離まで離れた後、身を踊らせ塀を乗り越えながら海坊主に向けて小さな気の弾を放つ。
「ハアッ!!」
「ふん!無駄だッ!!」
排撃貝を握りしめた左手で気弾の行く手を遮りながら進路を変える事無くクリリンに向けて走り、間合いを詰め続ける。
ドォンッッ!!!
掲げた左手に着弾して炸裂する気弾。
そのショックを受けて海坊主は思わずよろけるも、それの炸裂し破裂した『衝撃』自体は貝に吸収され、ダメージは無い。
- 39 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 01:05:07 ID:yeVeXw3+O
-
「な…!?嘘だろ!」
「年貢の納め時ってやつだ!!食らえッ!!」
気弾を回避されたとしても少なくとも目くらまし程度にはなって攻め込むチャンスにはなるだろうと踏んで身を乗り出していたクリリンは、予想外の結果に驚愕して無防備になってしまった体に反撃のマシンガンの弾を数発受けてしまう。
「く、あッ…!」
右足に銃弾が直撃し、崩れるようにひざを突く。
「……これまで、だな。まだやるのか?」
倒れ込んだクリリンの頭上からマシンガンを構えて見下ろす海坊主。
「………」
「…さて、じゃあ…話してもらおうか、さっきの話の詳しい内容をな」
闘志は決して折れていない。しかし、自分を見下ろす男の顔を見た時…悟った。
(…この人には…俺なんかじゃ勝てない…な。肉体の強さじゃない、『覚悟』の違いだ)
海坊主の表情に見た物、重ねた物。それは…覚悟。
過去に…悟空の、悟飯の、ピッコロの、見せてきた『力強い決意の顔』を、海坊主の中にかいま見た。
「……分かったよ…俺の、負けだ。…最後に一つ教えてくれよ」
「なんだ?」
「あんたの使う不思議なバリア…あれは何なんだよ?あれのおかげでお手上げだったよ…」
- 40 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 01:11:21 ID:yeVeXw3+O
-
ニッ、と笑みを浮かべて『やれやれ』と言った感じに顔を崩し、海坊主の目を見つめて返事を待つ。
「…あれか?ふん、『こいつ』が有ったからだ」
手に収めていたダイアルをクリリンに軽く見せ、ピン!と指で弾いて真上に回転させて飛ばし、落ちてきた貝を軽やかにキャッチする。
それは、小さな誤算。
本人も、相手も、誰も想像さえしていなかった誤算。
ズドオオォーーーーンッッッ!!!!!!
空が――揺れた。
- 41 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 01:12:26 ID:yeVeXw3+O
-
「ウワアッッ!!?」
クリリンは、突如眼前で起きた爆発による爆風に飛ばされて後ろの塀に背中から激突する。
「ぐ…あ……っ!何…が…!?」
何が起こったのか理解が全くできないまま、苦しげによろけながらも上半身を起こして前を向き…見た。
「………ファル…コン?なんで…?」
「ぐ、お…おっ…!」
そこに立っていた、苦しげに唸る海坊主。
彼には、本来有るべき……左腕が、ぽっかりと消失していた。
「…イージスの盾、なんかじゃ…無かったって訳か…!グウゥッ!!」
左腕が肩やわき腹ごと消え失せ、どくどくと流れ出る血と共に地面へと吸い込まれるように倒れ込む。
- 42 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 01:13:44 ID:yeVeXw3+O
-
あの瞬間、排撃貝をキャッチした瞬間…不運にも『核頂』を指が押し込んでしまった。
知らなかった故の悲劇。
「俺とした事が…ドジっちまったみてえだ…な…」
「…ファルコン…!」
「……お前さんの、逆転勝利になったみたいだな」
体を引きずるようにして、ゆっくりと海坊主の元へと近付いてゆく満身創痍のクリリン。
その顔には…喜びの様は見て取れない。むしろ…
「……なんて顔、してやがる。さっきまで…俺を殺そうとしてやがった奴がよ…」
海坊主の目には見えずとも、その表情はクリリンの声の変化から…手に取るように分かる。
「……必ず、あんたも助けてみせる…!必ず!」
今にも泣き出しそうな、自分自身を責めるような、そんな情けなく崩れた表情で海坊主の右手に片手を重ねて握りしめ、反対の手を鋭く構えて天に掲げる。
「ふん…期待せずに待っててやるよ。クク………『早く、楽にしてくれ』」
- 43 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 01:16:38 ID:yeVeXw3+O
-
つい先ほどクリリンが言った言葉と全く同じ言葉を笑みながら発し、最後に心の中で祈る。
(香、冴子、リョウ…すまんな。俺はここで脱落だ。後は…頼んだぞ…)
それが、彼の最後の思考。
心臓を貫かれ、海坊主やファルコンと呼ばれた男…伊集院隼人は死んだ。
「………ちくしょう…!」
血に染まる腕を引き抜き、満足げに息絶えた眼前の戦士の顔を見つめたままクリリンはそれだけ絞り出すかのように呟き…重なるように倒れ込み、意識を手放した。
二人の戦士を労うかのように、柔らかい一陣の風が二人を通り抜けていった…。
- 44 :揺れる空 〜後編〜:2006/01/24(火) 01:17:39 ID:yeVeXw3+O
-
【福井県/日中】
【クリリン@ドラゴンボール】
[状態]:疲労困ぱい、気は空、気絶
:わき腹、右手中央、右足全体に重傷
:精神不安定
[装備]悟飯の道着@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式(食料・水、四日分)
:ディオスクロイ@BLACK CAT
[思考]1:気絶中
2:できるだけ人数を減らす(一般人を優先)
3:ピッコロを優勝させる
【伊集院隼人@シティーハンター 死亡確認】
【残り97人】
※排撃貝(リジェクトダイアル)@ワンピース、ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数は不明)、その他の海坊主の荷物[荷物一式(食料・水、九日分)、超神水@ドラゴンボール]は近くに放置。
昼過ぎ頃に排撃貝から出た大きな音が隣県まで響きわたりました。
- 45 :始まりの刻 ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 08:39:35 ID:qidbVGbQ0
- 「あったのだ〜」
四国の寂しげに並ぶ主を無くした建物から声が上がった。
ターちゃんと冨樫が香を見つけたのだ。
その時、家の外に人の気配を二人は察した。
このゲームにおいて全ての人が味方となり得るとは当然思ってもいない。
二人の心に警戒警報のアラームが鳴り響いた。
「どうやらわしの負けみたいよの〜。香は見つからんと思ったがわしの考え違いじゃったみたいじゃ。冨樫よスマンな」
そこには同志である太公望がたっていた。
「いや、俺のほうこそ殴ったりして悪かったな」
太公望が先に謝ってくれたことで冨樫は素直な自分の気持ちを伝えることができた。
「そうじゃな・・・よく考えたらわしよりもお前のほうに非が・・・ここはお前があやまるべきのような・・・」
悪戯顔でそうつぶやく太公望。
「もういっぺん殴ってやろうか」
二人の間の小さなわだかまりはあっという間になくなった。
出会ってわずかだが、2人の間には既に大きな信頼関係というものが出来上がっていた。
それは、お互いに力を、人柄を、そしてその信念を認め合った結果なのだろう。
- 46 :始まりの刻 ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 08:40:45 ID:qidbVGbQ0
- そこに1羽の鳥が舞い降りてきた。
この世界においては珍しい大きな鳥であった。
「あの鳥は・・・」
ターちゃんはつぶやく。
「隼・・・?」
その鳥はターちゃんの側に舞い降りてきた。
「どうやら動物たちからの報せみたいなのだ」
それは思った以上の早さで届いた知らせであった。
ターちゃんはその鳥から話を聞いた。それを太公望に伝える。
「動物たちはどうやらもともとのこの世界の住人じゃなく、われわれのようにどこからか連れてこられた生物のようなのだ。
この世界は不思議で、この日本を縮小したものが世界となっているそうなのだ。
つまり、九州の南端から南に行き続けると、いつの間にか北海道の北端についているそうなのだ。
ちょうど放送があっていたころらしいのだが、四国の東端から少しの位置でおかしな歪みが生じていたらしいのだ。
あとは、私たち参加者のことで気になったことなんだけど死体から首輪をとっている人を見かけた動物がいるらしいのだ」
それを伝えるとその隼はまた空へ旅立っていった。
「ふむ・・・なるほどのう。・・・ならわしの努力は無駄じゃったということか。あんなに回りくどいことをしたのに・・・」
「あんなことって?」
「ふむ、わしの考えだと主催者は盗聴か盗撮をしていたと思っていたんじゃが、どうやらそれらはやってないらしい。
あんなに苦労してダイへメッセージを伝えたのに」
太公望は丸顔になってふてくされた。
「なんでそう言える?」冨樫が口を挟む。
「首輪を死体からとっていたやつは恐らく首輪の解明をしようとした技術者の可能性が高い。このゲームで怖いのは主催者のルールを改変させられることじゃ。この首輪がなくなりでもすればゲームの進行は非常に困難になるじゃろう。
そういったことをする人間を主催者がほうっている。これは恐らく主催者がそういった状況を知らないからじゃろう」
「でも、解明されない自信があるから無視してるだけかもしれねえぜ?」
「確かにその可能性もある。じゃが、時空の歪みがわしにはどうにも気になる。
わしの仮説だと、この世界は2重の袋なんじゃ」
- 47 :始まりの刻 ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 08:43:29 ID:qidbVGbQ0
- 「2重の袋?」
「うむ。大きな袋の中に小さな袋を入れればその袋の間に空間ができるじゃろ。そこが主催者のいる場所じゃ。
つまり、まず主催者は一つの大きな世界を作った。何もない世界でこれが大きな袋じゃ。
その中に小さな袋、すなわち今私たちがいるこの空間を作ったのじゃ。
空間と空間の間に強力な結界を張り、ループさせておるのじゃ。
その空間の狭間を越えての主催者の放送の力が結界を通過するさいに歪みが生じたのじゃろう。
ということは、盗聴、盗撮しているのならその場合にも歪みが生じなければならないじゃろ?
そうなったら主催者の位置がいずれ必ずバレてしまう。それだけは避けたかったんじゃろ」
「なるほどな」
「最初にわしらが集められた場所、あそこは明らかに今わしらがいるのとは異なる空間じゃった。
恐らくあそこが大きな袋と小さな袋の狭間なのじゃろう。あのときがわしらが主催者を倒すことができる唯一の勝機じゃったのかもしれん・・・」
「そんなこときっとないのだ!諦めなければ必ずなんとかなるのだ!!」
太公望はその言葉を聞いて、満足そうな顔で・・・いや安心したような顔を少し見せたようにみえた。
「うむ。そうじゃな」
「で、さしあたって俺たちはどうすればいいんだ?」
太公望はしばし悩んで、
「今は・・・」
「今は?」
「今はまだ何もできん。今までどおり信頼できる仲間を探すだけじゃ。結界破りを専門とする呪術師でもおればのう・・・あの結界を破らぬ限りわしらに勝機はない
このことを公主たちにも伝えにとりあえず戻ろう」
「そうだな。せっかくの香も渡さなきゃなんねえしな」
- 48 :始まりの刻 ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 08:46:37 ID:qidbVGbQ0
- はっきり言ってそれは絶望といってもよかったかもしれない。
そんな呪術師が本当に居るのか・・・各々は不安で胸がいっぱいだった。
しかし、彼らの目にはその絶望の色は全く見えず、かといって一縷の希望に身をゆだねているわけでもない。
その覚悟と想いが彼らを支えているのだ。
たとえ、自分たちの努力がはかないものだとしても、それでも彼らは前を見続ける。
いつか見た自分たちの『世界』に戻るために。
彼らは知らない。このゲームに次元を切ることができる能力者、「桑原」がいることを。
出会うが運命か、出会わぬが運命か、それは神のみぞ知る。
- 49 :始まりの刻 ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 08:49:37 ID:qidbVGbQ0
- 【香川県中央部 小さな村/日中】
【チーム名=太公望と愉快な仲間たち】
【太公望@封神演義】
[状態]健康
[道具]:荷物一式(食料1/8消費)
[装備]:五光石@封神演義
:トランシーバー×3
:鼻栓
[思考]1:ダイたちとの合流
2:結界破りが可能な仲間を探す
3:バキの取得を試みる
【富樫源次@魁!男塾】
[状態]健康
[道具]:荷物一式(食料1/8消費)
:爆砕符×2
:鼻栓
[思考]1:ダイたちとの合流(香を公主に渡す)
2:結界破りが可能な仲間を探す
3:男塾の仲間を探す
【ターちゃん@ジャングルの王者ターちゃん】
[状態]健康
[道具]:荷物一式
:恥ずかしい染みのついた本@ジャングルの王者ターちゃん
[思考]1:ダイたちとの合流(香を公主に渡す)
2:結界破りが可能な仲間を探す
3:エテ吉を探す
- 50 : ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 12:16:14 ID:p5MFdsqSO
- >>47修正します。
〜〜それだけは避けたかったんじゃろ」
のセリフの後に
----------------------------
太公望はこの論はあくまで可能性であり、そしてその可能性が小さいことも知っていた。
太公望は居るか居ないかわからない決界破りを探して主催者たちを倒す…と言っている。
仮に盗聴がしかけられていなければそこにはなんの問題もない。
また仮に盗聴されていたとすればそれこそが勝機となることを知っているのだ。
もし盗聴をしていたのならば、主催者たちは彼らが決界を破れる能力者を見つけるまでは何もできないだろうと思うだろう。
その隙をつければ…太公望はそう考えて居たのだ。
しかしこの策は絶対にばれてはならない。
敵を欺くにはまず味方から…。
主催者たちの意図を超えて太公望の計画は動きだそうとしていた。
----------------------------
- 51 : ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 12:17:03 ID:p5MFdsqSO
- あと>>48はカットです。
- 52 : ◆drwetRDQqY :2006/01/24(火) 12:21:16 ID:p5MFdsqSO
- 何度もすいません。>>48の代わりに
このような状況でも
彼らの目には絶望の色は全く見えず、かといって一縷の希望にのみ身をゆだねているわけでもない。
その覚悟と想いが彼らを支えているのだ。
たとえ、自分たちの努力がはかないものだとしても、それでも彼らは前を見続ける。
いつか見た自分たちの『世界』に戻るために。
- 53 :作者の都合により名無しです:2006/01/24(火) 16:45:02 ID:3HDbBbBj0
- 残念ながら>>45-52は無効です。
またの投稿をお待ちしております。
- 54 :作者の都合により名無しです:2006/01/24(火) 17:21:37 ID:3HDbBbBj0
- >>53は無効です。先走りすぎました。
- 55 :作者の都合により名無しです:2006/01/24(火) 17:41:19 ID:uPmaB8tb0
- 改めて…
>>45-52は無効です。
- 56 :作者の都合により名無しです:2006/01/24(火) 19:34:15 ID:qN4XUkvA0
- age
- 57 :作者の都合により名無しです:2006/01/24(火) 19:56:40 ID:tMBZuK9V0
- >>35
は無効です
というか
>>26以外は全部無効ですwwww
- 58 :前へ前へ ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/25(水) 00:37:07 ID:MUjvT/8p0
- 香川で富樫らの姿を発見することのできなかった太公望は、次に愛媛へ行くか徳島へ行くかで迷っていた。
(富樫のことだから確実に直進、であろうな)
軽く口元だけで笑う。
しばし前の放送で禁止区域になった大分から愛媛に人が流れてくる可能性もあり、太公望としてはそちらに行きたい気持ちもあった。
ゲームに乗っている者の存在は怖いが、今は出来るだけ情報を増やしていきたい。
けれど富樫の行動パターンを考えてみると、まず愛媛に進むことはないように思われた。
(分かりやすい奴だからのぅ)
あえて曲がることなどしない、そんな男だ。というか、どちらに進もうかなど考えもせず、ただ真っ直ぐ進んでいるに違いない。
(・・・富樫も分かっていると、そうは思うが、なんとも気恥ずかしいものよ)
富樫と再会したとき、第一声をどうしようか。考えるだけで苦笑いになる。
しかしそんな太公望の微笑ましい不安などかき消すように、県境を越えてすぐの集落にて、一人の男の大きな声が辺りに響き渡った。
「あった!あったぜ!!これで太公望の鼻を明かしてやれるってもんよ!」
がははは、と軒先さえ揺らしそうな富樫の大声である。慌てたようなターちゃんの声が後に続き、太公望は迷うことなく駆け出した。
(まったく、ちっとは周りを気にせんかい!)
だからおぬしは成長せんのだ!
不安などたくさんある。それでも先を見ていられるのは、いつも前向く仲間がいるからなのだろう。
「鼻を明かされに来てやったぞ、ダアホが」
仏壇屋の扉が開いたときの富樫の顔は見物だったと、ターちゃんは後にそう語った。
- 59 :前へ前へ ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/25(水) 00:38:02 ID:MUjvT/8p0
- 一刻も早く公主へ届けるようターちゃんに香を託してから、太公望と富樫は地道に海辺を探索していた。
互いにぼそりと「すまなかった」、それだけでもう、すべてのわだかまりは消えたようである。
(しかし、ダイに伝えたことを、富樫にも説明した方が良いかのぅ?)
あのような時間をかけてのやり取りは、もう面倒で仕方がない。それにダイと同程度の理解力が富樫にあるとも思えない、さりげなく厳しいことを思う。
(いっそ富樫の単純さを利用できたら・・・)
以前あの趙公明との戦いで、味方に対し盛大な嘘をつき通したこともあった。計画や策のためには必要な嘘もあるのだと、太公望はそういう考えでもって動いている。
ただし、のちに真実を明かした際、相手を傷付けることだけは避けたい。策士としてではなく、一人の仲間を持つ人間として、彼はそれだけは肝に銘じていた。
(首輪に盗聴器が仕掛けられている可能性は高い。わしが主催者ならば必ずそうするだろう・・・ならばこれを利用して情報を攪乱することは出来ぬだろうか?)
例えば先ほど富樫と喧嘩したときのように、「一度結ばれた縁を切る」演技をする。放送を聞く限り、主催者たちはチームで動く者たちを崩壊させたいように思われた。
仲間であったはずの者に裏切られ、絶望し、他の者を殺すように。仲間同士での相討ちさえ期待しているのかもしれない。
そして互いに協力し合い、脱出を試みることなどないよう。
(ならばチームを崩すふりをして、主催者たちを油断させるのも一つの手だ)
しかしチームの崩壊は、すなわちマーダーの思うつぼでもある。迂闊には行動できまい。
(首輪を外し歩く動物にでも付け、わしらが一箇所にまとまっているとばれぬようにする。そこに主催者を引きずり込み、仲間全員で倒す。・・・はは、何と無茶苦茶な)
奴らをここに引きずり込む方法と首輪を外す方法が分かったならば、この策は使えるかもしれない。無茶だと笑いつつ、太公望はこれを一応心に留めておくことにした。
小船を探すよりも地道で、運に頼る考えではあったが、幾通りもの策を持っているに越したことはないのだから。
- 60 :前へ前へ ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/25(水) 00:39:27 ID:MUjvT/8p0
- 「ぼけっとすんじゃねえ!」
思考がまとまりかけたところで横から肘鉄をくらう。
「ああ、すまぬすまぬ。というかあそこに小船があるぞ」
考えに沈む太公望を不審に思い、富樫までもが集中力散漫になっていたらしい。斜め前方にぼろい木製の船があることに気付いたのは、意識を現実に戻された太公望の方であった。
これから本州に、しかも大都市の近くへと行く。・・・その足がかりを見つけ、富樫は小さく武者震いをした。
(世の中にゃ頭だけじゃ戦えねえ敵もいる。俺がこの腕でこいつを先に進ませてやらぁ)
こいつが自分を見誤らせてまで、俺を前に進ませてくれたように。
絆は強い。
- 61 :前へ前へ ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/25(水) 00:40:15 ID:MUjvT/8p0
- 再!!太公望と富樫
【徳島県・和歌山県寄りの海岸/1日目・日中】
【太公望@封神演義】
状態:健康
道具:荷物一式(食料1/8消費)・五光石@封神演義・鼻栓
思考:1.目の前の小船で和歌山へ向かう
2.バキの取得を試みる
3.新たな伝達手段を見つける
【富樫源次@魁!男塾】
状態:健康
道具:荷物一式(食料1/8消費)・爆砕符×2・鼻栓
思考:1.目の前の小船で和歌山へ向かう
2.男塾の仲間を探す
3.本州での戦いを覚悟
(ターちゃんは以前投下のSSに繋がるため、省略)
- 62 :彷徨える黒龍、眼前の魔王 ◆kOZX7S8gY. :2006/01/25(水) 01:31:01 ID:fWbFbOTs0
- 第二放送からわずか数分、秋田を行く飛影はイラついていた。
それというのもあの氷女もどき……先程対峙した、ゆきめのせいである。
雪菜と似た名前のあの女。
自分を捨てた氷河の国の連中に似た、あの女。
そして、いまはもう手元にない「氷泪石」。
あの女と出会ったことで、飛影は自分が憎むべき存在と大切なものの存在を思い出した。
大切なもの……氷泪石は必ず取り戻さなければならない。
飛影は探す。あてもなく、ただひたすらに足を動かす。
おそらくは、氷泪石もこの燐火円レキ刀のように、どこぞの誰かが所持しているはず。
先程の連中のような雑魚か、それとも飛影が求める強者か。
どちらでもいい。
必ず、取り戻す。
相手が誰であろうが。
- 63 :彷徨える黒龍、眼前の魔王 ◆kOZX7S8gY. :2006/01/25(水) 01:32:31 ID:fWbFbOTs0
- もちろん飛影は幽助と決着をつけることも忘れていない。
第二放送では、幽助の名前は呼ばれていなかった。
飛影の目的は、まだどちらも達成可能だ。
「……!」
氷泪石を求め、幽助を求め、強者を求める飛影は、唐突に足を止めた。
あたりに感じる気配……否、前方に見える姿。
視覚で確認できる距離。間違いない、他のゲーム参加者。
それも、かなりのレベル。
一見しただけでわかる脅威を、その二人は持っていた。
- 64 :彷徨える黒龍、眼前の魔王 ◆kOZX7S8gY. :2006/01/25(水) 01:33:25 ID:fWbFbOTs0
- 「む、誰か近くにいるな」
気配を察知したのは、飛影だけではなかった。
飛影が確認した姿こそ、この異形の二人。
大魔王ピッコロ、そして炎氷将軍フレイザード。
青森から南下してきた二人は、ここ秋田で次なる獲物を探していた。
(な!? くそっ、マジかよ)
ピッコロの隣、鎖につながれた犬のように扱われるフレイザードは、心の中で舌打ちをした。
秋田に入る前、ピッコロに見せつけられた、確かな実力の差。
大変な奴と手を組んでしまったという事実。
(まだこっちの体力は回復しきってないんだぞ……!)
ピッコロが他の参加者と戦い、消耗するのは喜ばしいが、こちらはそれを生かせる状況ではない。
今のフレイザードの状態では、ピッコロが少々疲弊したくらいでは意味がないのだ。
ただでさえ、ピッコロには前世の実がある。それがあるうちでは、手の出しようがない。
もっと力を蓄え、その上でのチャンスを狙わねば――この大魔王は出し抜けない。
近くにいるのが、程よくピッコロに前世の実を使わせるほどの実力者であればいいのだが――
- 65 :彷徨える黒龍、眼前の魔王 ◆kOZX7S8gY. :2006/01/25(水) 01:34:38 ID:fWbFbOTs0
- と、フレイザードが思案するなか、ピッコロが仕掛けるよりも先に、その者は姿を現した。
「ほう」
(……ガキじゃねえか!)
二人の悪の前に、高速の影が移動する。
この二人の異形の姿に恐れもせずに、自ら姿を見せた小柄な少年。
見かけでは判断できない、その奥底から感じる強大な殺気。
「……貴様ら、何者だ? 妖怪か?」
飛影は臆せず話しかける。
目の前の二人は、明らかに人ではない。が、飛影はこの手の姿をした者をごまんと知っている。
魔界の住人か霊界の住人か……そのどちらでもないにしても、飛影がこの二人の姿から恐怖を感じる理由はない。
「ふん、このピッコロ大魔王を目の前にしてそんな口をたたけるとは。貴様もただのガキではないな」
「大魔王だと?」
ふざけた肩書きだ。と飛影は鼻を鳴らす。
この二人が何者にしても、誰もが決定的にわかることが一つ。
それは、三者いずれもが殺気を放っているということ。
常人が介入できるような空間ではない。三人が揃ったその時点で、殺しの舞台は完成された。
(こいつらに言葉など必要ない……相手が殺る気なら、こちらの取る行動も決まっている)
こいつらが氷泪石を持っているならば、殺して奪えばいいだけのこと。
そうでなくても、ひしひしと感じる自分と同質の殺気。
これほどの相手を目の前に、何もしないはずがない。
飛影は早くも臨戦態勢を取っていた。
- 66 :彷徨える黒龍、眼前の魔王 ◆kOZX7S8gY. :2006/01/25(水) 01:43:16 ID:fWbFbOTs0
- この一触即発の空気の中、フレイザードは一人次なる行動を考えていた。
(どうする……こいつ、見た限りじゃとてもピッコロの相手にはなりそうにねえ。だがこいつの態度、張ったりには見えねえ……)
フレイザードは一つの仮説を立てる。
この少年、もしやとんでもない武器を隠し持っているのではないか?
大魔王を名乗る存在を前にしても、臆さないほどの自信を与える何かを……。
(だとしたら……ケケケ!! こりゃあチャンスだぜ!)
ピッコロを倒せるほどの支給品を与えられた少年。
それならば説明がつく。そして、飛影の出現はフレイザードにとってチャンスになる。
ピッコロを殺す、絶対的なチャンスがいきなり到来したのだと、フレイザードは確信する。
フレイザードの狙いは、飛影の持ち物、そしてピッコロの命―――
- 67 :彷徨える黒龍、眼前の魔王 ◆kOZX7S8gY. :2006/01/25(水) 01:44:28 ID:fWbFbOTs0
- 【秋田県南部/日中】
【飛影@幽遊白書】
[状態]少し疲労
[装備]マルス@BLACK CAT、無限刃@るろうに剣心
[道具]荷物一式、燐火円レキ刀@幽遊白書
[思考]1、目の前の二人を始末する
2、幽助と決着を付ける
3、氷泪石を見つけだす
4、強いやつと戦う
【ピッコロ@ドラゴンボール】
[状態]両腕に軽度の火傷
[装備]なし
[道具]荷物一式 前世の実@幽遊白書
[思考]1、飛影を殺す。
2、フレイザードを利用してゲームに乗る。
3、残り人数が10人以下になったら同盟解除。バッファローマン、悟空を優先。
4、最終的に主催者を殺す。(フレイザードには秘密)
【フレイザード@ダイの大冒険】
[状態]重度の疲労。成長期。傷は核鉄で常時ヒーリング。
[装備]霧露乾坤網@封神演義 火竜ヒョウ@封神演義 核鉄LXI@武装錬金
[道具]支給品一式 ・遊戯王カード1枚(詳細は不明)@遊戯王
[思考]1、飛影の持ち物を奪う(かなうならピッコロと相打ちに)。
2、体力を回復させる。
3、回復次第チャンスを見つけピッコロを殺す。
4、残り人数が10人以下になったら同盟解除。ダイ、ポップ、マァム、武藤遊戯を優先。
5、優勝してバーン様から勝利の栄光を。
- 68 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 05:07:08 ID:mvEzPhpxO
- ――防人衛…――
「嘘だ!…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッッ!!」
慟哭。
無人の住宅街に響き渡る…青年の慟哭。
「死ん…だ…?ブラボー…が…?」
「あ、あの…?大丈夫?」
「そんなのッ…嘘だッッ!!!」
「きゃっ!!」
あらん限りの力で寄りかかっていたコンクリートの壁に自らの拳を打ちつける。
目の前の青年の突然の豹変に驚き、思わず身を竦める女性…弥海砂。
「死ぬわけ無いッ!!あのブラボーがッッ!!」
「ち、ちょっ…血が…!」
「うそだあぁッッ!!!」
- 69 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 05:09:05 ID:mvEzPhpxO
-
ズガッッ!!!
壁が震える。
その壁には紅い血飛沫。
「あんなに強い…ブラボーが…あの…ブラボー…が…?そんな…わけ…」
両手を付いたまま壁にすがるような形で力無くズルズルと膝を落とし、まともに焦点の合わない眼差しでうわ事のように呟き続けるカズキ。
(あ〜ん!気まずい!こんな時なんて声掛けたらいいか分かんないし!月が無事だったからガッツポーズ取りたい気分だけど、そんな空気じゃないし…フェ〜ン!どうしよ〜!)
カズキの尋常でない様子にただオロオロするしかないミサ。
「えっ…と、とにかく、カズキ君…だっけ?カズキ君の仲間の人の所に戻るんでしょ?」
「………」
「えっと、だから…」
最初出会った時、片や『刃物を携帯している怪しい男』、片や『息を切らせたへとへとの女』。
最初はそんなお互いにかなり警戒していたものの、少しずつ話をしていく内に互いにゲームには乗っていない事同士である事も分かり、情報交換を始めた少し後に始まった…定時放送。
- 70 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 05:10:45 ID:mvEzPhpxO
-
それまでしどろもどろながらも優しく気の良い青年の話し方であったカズキが、死者の名を告げ始められてすぐに豹変した。
「…ね!とにかく戻ろうよ!私も付いていったげるから!」
半ば強引にカズキの腕を取り、よろよろとしたような頼りない足取りのカズキを引きずるようにしながら連れていこうとする。
すでに疲れきっている身ではあるが、こんな様を見せられてしまっては見捨てるわけにもいかず…
(もしかしたらカズキ君……カズキンの方がいいかな?…カズキンの仲間の中に月の事知ってる人が居るかもしれないし…そうじゃなくても、月のまだ知らない情報を集められたら月が喜んでくれるだろうし!とにかく、何としてもカズキンの仲間に会っとかなきゃ!)
「おっ……もぉ〜いッ!!」
「…ブラ…ボォ…!!」
視界が歪み…前が見えない。
今…自分がどこにいるのか、分からない。
誰が自分を支えているのか、分からない。
自分は…誰だ?
- 71 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 05:11:57 ID:mvEzPhpxO
-
――戦士・カズキ!――
…ああ、そうだったね、キャプテン・ブラボー。
俺は……戦士だったよね。
――…護る力を!それが戦士の力だ!そのために強くなれ!戦士カズキ!――
分かってる。分かってるよブラボー。
でも…俺は、護れなかった。
……あなたを。
――カズキ…――
- 72 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 05:48:28 ID:mvEzPhpxO
-
…誰?…斗貴子さん…?
――君には…本当に…すまないと思ってる…!――
何故…謝るの?
斗貴子さんが謝る事なんて…
――私が、君を…――
…違うよ、斗貴子さん。
俺、嬉しいんだ。
だって…
斗貴子さんを護れる『力』が、手に入ったんだから…。
けど……ブラボーは……!
- 73 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 05:51:09 ID:mvEzPhpxO
-
「斗貴子…さん…ッ!!」
「えっ!?痛っ!!」
突如ミサを乱暴に振り払い、あさっての方を向いたまま立ち尽くすカズキ。
「何よっ!いきなり!………カズキン?」
ミサの事など忘れたかのように、ふらふらと逆方向に向かって歩き始めるカズキ。
「ちょ!ちょっとぉ!どこ行くの!?カズキンっ!!」
「斗貴子…さん、俺が…護らなきゃ…斗貴子さん……!」
「カズキン!ど〜しちゃったのよ!カズキィ〜ンッ!!」
――カズキィ〜ンッ!!――
「…?あらん?カズキちゃん?」
- 74 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 06:12:27 ID:mvEzPhpxO
-
大蛇丸との邂逅の後、仲間の元へ戻ろうと中道を早足に歩いていたダッキは、少し離れた場所から聞こえた聞き慣れない女性の声に眉をひそめる。
(カズキちゃん、もしかして仲間になりそうな子でも見つけたのかしらん?)
口元に手を当てて一思案し、声の元へと歩を進める…。
「…貴女、カズキちゃんのお友達?」
「え!?ワッ!!?だ…誰っ!?」
「わらわはカズキちゃんと一緒に居た者よん。それより、いったい何があったのかしらん?」
いきなり横に現れた怪しげでセクシーなコスプレ(?)姿の美女に驚き、オーバーリアクションぎみにのけぞって怪訝な顔になるミサ。
「…え?カズキンと?えっと……(怪しい!明らかに怪しいってば!…けど、凶悪な殺人鬼って風には見えないし…)」
その女性の全身を観察するかのようにじと目で見回す。
「いやん!(はぁと)積極的な娘って…好きよ?」
「げ!いや!そーじゃなくて!」
「フフ、性別を問わずに視線を釘付けにしてしまう美貌だなんて、わらわって罪なオ・ン・ナ(はぁと)」
「………(ライト…世の中のためにも、こういう人はノートに名前書いてもいいよね?)」
- 75 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 06:13:51 ID:mvEzPhpxO
-
目を伏せて諦めたような薄ら笑いを浮かべるミサにもお構いなしにクネクネと身をよじるダッキ。
「……とまあ、冗談はさておき。カズキちゃんにいったい何があったのかしらん?もしかして、さっきの放送で…?」
「あ、はい、なんか…脱落しちゃった人の名前聞いてから…急にカズキン、シリアスモードになっちゃって…」
「シリアスモード?」
ダッキには思い当たる節があった。
先ほど呼ばれた『防人衛』の名は、すでにカズキから聞いていた名。
おそらくその知り合いが死んだ件でショックを受けて…我を失っているのだろう、と。
「…まったく、カズキちゃんったら手の掛かる子ねん。ま…手の掛かる子ほど、可愛いものだけれど。で?カズキちゃんは?」
「えっと、あっちに…」
ミサが指さした方角は、東。
「ふぅん…」
「………?」
すぐに追いかけるでもなく、その先の方角を向いたまま何やら考え込むダッキ。
この女性自らがカズキの事を『仲間』だと言っていたにも関わらず、何故かすぐに追おうともしないその不穏な行動に、ミサはその真意が理解できず警戒を強める。
- 76 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 06:17:30 ID:mvEzPhpxO
-
(名古屋に行く道は確かあっちよねん。遊戯ちゃんを呼びに行ってから追いかけてもすぐに追いつけるけれどん…
…確か、さっきの放送では遊戯ちゃんのお友達も呼ばれてたはず。遊戯ちゃんと合流してもすぐに出発できるかどうかは分からないしん…)
脱落者の中には遊戯から聞いていた『海馬』という人物の名もあった。
朝の様子を思い出し、遊戯もまた再び激しい悲しみに暮れているであろう様子は想像に難くなかった。
「…なら…」
天秤に掛ける。
遊戯とカズキ。
すぐに三人合流できるとしても、少しの間だとしても別行動になってしまう場合、どちらを優先するか。
「……カズキちゃん…ねん」
「……え?」
ポツリと呟かれたカズキの名に、ミサの頭には疑問符が浮かぶのみ。
「…ねえ、貴女。この近くにわらわたちの仲間の『遊戯ちゃん』って男の子が居るはずなんだけどん、呼んできてくれないかしらん?」
「え?何で私が!?」
「お願いよん!わらわはカズキちゃんを追いかけなきゃいけないし…貴女しかいないのよん…!」
「え…ええッ!!?」
突然目を潤ませて涙ながらに懇願する美女にどうリアクションを取ればいいか分からず、戸惑うミサ。
- 77 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 06:41:28 ID:mvEzPhpxO
-
「わらわたちは名古屋の方に行く予定だったから、すぐに遊戯ちゃんにもこっちに向かうように伝えてくれないかしらん?」
「で、でも遊戯って人の顔も知らないし!」
「大丈夫よん!すぐ近くに必ず居るはずん!とっても疲れてたから、どこかで休憩してるのよん。…もし引き受けてくれるなら、貴女にとっても良いモノをプレゼントしてあ・げ・る!」
「……えっ?プレゼン…ト?」
かなり嫌そうな顔をしていたミサだが、その言葉を聞いて顔色が変わる。
自分のカバンをごそごそと探るダッキ。
「はい!コ・レ!その名も…『まさか一度見るだけで貴方もこんなに強くなれる!?不思議アイテム!黒の章っ!』よん!」
「………は?」
「……信じてないわねん。ま、無理もないわん。…ここだけの話、わらわはこれを見てすっ……………ごく、強くなれたのん!ほら!」
ダッキが身を屈めたかと思った瞬間、バッ!と十メートルほど宙に飛び上がる。
「え!?ええええッッ!!!?嘘ッッ!!?」
信じられない光景に、目を丸くして声を上げる。
「…ハッ!ふう。…どお?信じてもらえたかしらん?」
- 78 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 06:46:25 ID:mvEzPhpxO
-
「は…はい!(スゴい!これなら…あのチョウコウメイにも負けないかも!?月、絶対喜んでくれる!!)…じゃあ、早速!」
「…まだよん!」
「…え?」
喜々としながらビデオを受け取ろうとしたミサだが、それはヒョイっと手の届かない後ろへ回されて腕が空を切る。
「遊戯ちゃんを呼んできてくれたら、その時にプレゼントしてあげるわん。それに…一つ約束して欲しいのん」
「そんなぁ〜…それで、約束って?」
「このアイテムの事、遊戯ちゃんたちにはナイショにしてほしいのん。わらわがこんなアイテムに頼って強くなった、ってバレちゃったら…悲しいけど、軽蔑されちゃうからん…!」
シクシクと声を上げながら泣き、顔を手で覆う。
「遊戯ちゃんたちにはナイショだから、わらわにはコレはもう不要なのん。だから貴女にプレゼントしたい、ってワケ!…引き受けてくれるかしらん?」
顔を上げ、天女のような優しい顔でミサの顔を上目遣いで見上げ、返事をじっと待つダッキ。
「…分かった、ミサに任せておいて!絶対遊戯君を連れていくから!…だからなるべく追い付けやすいように、この辺からあんまり離れないでね!」
「ありがとう!!貴女ならきっとそう言ってくれると思ってたわん!!」
パァ!と明るい微笑みを浮かべて固く握手を交わした後、善は急げとばかりに互いに分かれて別々の方向へ散る。
- 79 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 07:02:41 ID:mvEzPhpxO
-
「約束だからね〜っ!」
「…フフ…わらわの頭脳には、いつもホレボレするわねん…!」
今回の嘘には意味があった。
黒の章は出来るだけ早めに手放しておきたかった事。
別に持っている事自体は万一遊戯たちにバレてしまったとしても、いくらでも言い訳はできるために大きな問題ではなかったが…有効活用するためには、このような形で手放すのが一番理想的であった。
(強い子に見せてもわらわには得は無いわん。むしろ、いらぬ敵を増やしてしまうだけ。…今の子みたいな『弱者』に渡してしまうのが、一番効果的だし面白くなるわん。)
あれは人間の一番醜い部分を連ねた内容の映像。
見てしまったら、おそらく普通の人間なら……その先は簡単に想像がつく。
太公望がいくらあんな子に襲われても、簡単にやられるわけはない。
大した働きは期待できずとも、敵となる者を少しでも排除してくれたら万々歳だ。
それにそういう事は早めにしておかなければ、後々になって人数が減ってからでは効果も薄い。
むしろ自分たちの障害になってしまう可能性の方が高い。
- 80 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 07:05:26 ID:mvEzPhpxO
-
「さて…わらわの大切な仲間、カズキちゃんはどこに行っちゃったのかしら…ねん」
足取りも軽く、その美女は笑みを絶やさず道を急ぐ。
【大阪府/日中】
【弥海砂@DEATHNOTE】
[状態]重度の疲労
[装備]核鉄XLIV(44)@武装練金
[道具]荷物一式
[思考]1:遊戯を探してダッキの元へ連れていく
2:夜神月と合流
3:夜神月の望むように行動
- 81 :Medding Voice〜翻弄する声〜:2006/01/25(水) 07:06:49 ID:mvEzPhpxO
-
【武藤カズキ@武装練金】
[状態]精神不安定
[装備]ドラゴンキラー@ダイの大冒険
[道具]荷物一式(一食分消費)
[思考]1:斗貴子さん…!
2:仲間と武器を集める(斗貴子・杏子を優先)
3:蝶野攻爵に会い、状況次第では相手になる
【蘇ダッキ@封神演義】
[状態]健康
[装備]:打神鞭@封神演義
:魔甲拳@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式(一食分消費)
:黒の章&霊界テレビ@幽遊白書
[思考]1:カズキを追い、カズキ・遊戯と合流でき次第名古屋へ向かう
2:仲間と武器を集める
3:本性発覚を防ぎたいが、バレたとしても可能なら説得して協力を求める
4:ゲームを脱出。可能なら仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる
- 82 :Medding Voice〜翻弄する声:2006/01/25(水) 14:01:49 ID:+SpbPVza0
- >>80修正します。
「さて…わらわの大切な仲間、カズキちゃんはどこに行っちゃったのかしら…ねん」
足取りも軽く、その美女は笑みを絶やさず道を急ぐ。
―その時―
一陣の風が吹いた。
ジュギュッ
その風はダッキの首を 刈 り 取 っ た。
- 83 :Medding Voice〜翻弄する声:2006/01/25(水) 14:04:47 ID:+SpbPVza0
- 【大阪府/日中】
【弥海砂@DEATHNOTE】
[状態]重度の疲労
[装備]核鉄XLIV(44)@武装練金
[道具]荷物一式
[思考]1:遊戯を探してダッキの元へ連れていく
2:夜神月と合流
3:夜神月の望むように行動
【武藤カズキ@武装練金】
[状態]精神不安定
[装備]ドラゴンキラー@ダイの大冒険
[道具]荷物一式(一食分消費)
[思考]1:斗貴子さん…!
2:仲間と武器を集める(斗貴子・杏子を優先)
3:蝶野攻爵に会い、状況次第では相手になる
[蘇ダッキ@死亡確認]
残り96人
- 84 :作者の都合により名無しです:2006/01/25(水) 14:49:30 ID:6WjuMNZl0
- >>82-83は無効です。
- 85 :作者の都合により名無しです:2006/01/25(水) 15:05:25 ID:LyTEdM7F0
- まさに翻弄する声だな
- 86 :恐怖:2006/01/25(水) 20:00:48 ID:oQCUIrwu0
- 防人衛が殺された。
信じたくはなかったが、放送でも名前を呼ばれたしこの目でも見た。
午前中に会ったアビゲイルという男が殺した!首を切り落として!
「うぅ…防人さん……」
この世界で私に優しくしてくれた唯一の人間だった。
一人目の男は私を殺そうとした。防人さんの次に会った坊主の男も私たちを殺そうとした。
その次に会ったアビゲイルという男は防人さんを殺した…きっとその仲間の女性も殺人鬼に違いない。
最初に会った時は優しそうな感じだったけど、あれはきっと私みたいな一般人を油断させる罠だ。
防人さんだけが私に優しくしてくれた。
「防人さん……う、うぇっ」
首を切り落とされた防人の姿がフラッシュバックし、急激に襲ってくる吐き気。
この殺し合いに放り込まれてからほとんど食事を取っていなかったので、出てくるのは胃液ばかりだった。
それでも、ひとしきり胃液を吐いてしまうと少し落ち着いた。
「はぁ、はぁ、はぁ……そうだ、真中を探さないと…それに、防人さんの言ってた錬金の戦士っていう人も…」
目標ができると少し気が楽になる。
さつきは地図を広げると、東京方面への道を探すことにした。
- 87 :恐怖:2006/01/25(水) 20:01:29 ID:oQCUIrwu0
- 30分後。
岐阜県の山中を歩いていたさつきは、雲行きが怪しくなってきたのでどこか雨宿りできる場所を探していた。
どうやら道にも迷ったらしく、山は深くなるばかりだ。
「あ、降ってきちゃった…って、あんなとこに洞穴が」
ぱらぱらと小雨が降り始めたその時、タイミング良く洞穴を発見したさつきは、急いでそこに駆け込む。
「すぐに止みそう…かな?」
心配そうに空を見上げるさつきだが、山の天気は変わりやすいというから予想ができない。
ここでしばらく足止めか、と思って雨宿りがてら食事をしようとする。
「そう言えば、夜からほとんど何も食べてない…」
食欲はあまりなかったが、真中や防人の知り合いを探すためにも、体力をつけておかなければならないと思い、
水で無理やり流し込んででも食べることにした。
そして、パンをひとくち口に放り込んだ時…
「北大路さん……?」
…聞き覚えのある声がした。
- 88 :恐怖:2006/01/25(水) 20:02:52 ID:oQCUIrwu0
- 「そう…北大路さんも大変だったのね…」
洞穴にいたのは東城綾だった。
ようやく会えた知り合いに喜びながら、今までのことを話すさつき。
だが、時間が経つにつれて洞穴の暗闇に目が慣れてくると、東城の酷い姿に気がついた。
「東城さんも、あの、その…その腕、大丈夫なの?」
服はボロボロで、右腕は肘から先がなくなっている。(なぜか血は出ていない)
「これ、ちょっとね。…ほら、血は出てないから大丈夫よ」
さつきはなぜか、せっかく会えた知り合いになんとも言えない恐怖感を覚えている自分に気がついた。
――なぜだろう。なにかおかしい。この東城綾は、自分が知ってる東城綾ではない気がする。
どうして腕がちぎれてるのに平気な顔をしているのだろう?自分の腕がとれたらとても痛いはずなのに。
それにあの傷口はなにか変だ。よく見えないが、刃物で切った感じではないように思える。血が出てないのも変だ。
そういえば、こんな酷い怪我をしてるのに、東城さんはなぜこんなに元気そうなんだろう?
様々な疑問が頭に浮かんでは消える。
「どうしたのかしら?そんなに震えて…大丈夫?」
ひたっ、とさつきの首に東城の左手が触れる。
…その手は冷たかった。さつきは思わず身を引く。
そして東城綾の眼を見たさつきは、さらに恐怖する。
自分がライオンに狩られるシマウマになったような気にさせる、そんな捕食者の眼をしているように見える。
自分の中の本能が、逃げろと告げる。
「そ、そうだ。雨はもう上がったかな…?」
そんなことを言いながら、さつきはジリジリと洞穴の入り口に向かって後退する。
「どうして逃げるのかしら?……ねぇ、せっかく会えた知り合いなのに…」
怖い!
怖い怖いこわいこわいこわいこわい!
東城の一本しかない腕がさつきに向かって伸ばされ…
「いやぁぁぁぁぁっぁぁぁっ!!!!」
次の瞬間。
さつきは荷物を振り回して東城の腕を振り払うと、洞穴の入り口へ向かって走った。
そしてそのまま外へ。雨はまだ降っていたが、そんなことは気にしていられない。一刻も早く、東城綾から逃げたかった。
さつきは全速力で洞穴から逃げ出すと、そのまま雨の中を走り続けた。
- 89 :恐怖:2006/01/25(水) 20:03:34 ID:oQCUIrwu0
- さつきの感じた恐怖は、普段ならば思い過ごしであったかもしれない。
しかし今回に限って言えば、それは正しかった。
「……ふふふ、残念」
綾は走り去るさつきを見送ると、再び洞穴の中に姿を消した。
【岐阜県山中/1日目・日中】
【北大路さつき@いちご100%】
[状態]:肉体的・精神的に疲労 左膝けが
[装備]:ブラボーの上着
[道具]:荷物一式(支給品未確認、食料一食消費)
[思考]:1.東城綾への恐怖。
2.殺人鬼アビゲイル(思い込み)から逃げる。
3.東京へ向かい、カズキ・斗貴子・いちごキャラを探す
【岐阜県(の福井に近い)山中/1日目・日中】
【東城綾@いちご100%】
[状態]:吸血鬼化。右腕の肘から先を消失。
[装備]:特になし
[道具]:荷物一式
[思考]:1.夜まで洞穴で身を潜める。
2.真中の血を吸う。
3.優勝し、真中を吸血鬼として復活させてもらう。
※綾は血を吸うこと以外の吸血鬼の能力をまだ知りません。
- 90 :掃除屋達の慕情 ◆gnM9.np5nM :2006/01/25(水) 20:47:28 ID:9WG/p21uO
- 「大丈夫…?」
「どうって事ねえよ、こんなもん舐めときゃ治るさ」
ラオウの猛攻から命からがら逃れた二人は、茨城県に入った。
しかし片腕の負傷により突然へたりこんだトレイン。
杏子も付き添い、道端の小森で休憩をとっていた
「舐めときゃって…どう見ても大丈夫じゃないわよ、その…」「トレイン」
「トレイン君。」
心配そうにトレインの右腕を見る。初めて見る、人間の取れた腕。
一般女性なら嘔吐してもなんら不思議はない。しかし彼女は気丈だった
「トレイン君。ちょっと腕見せて」
「いいって、どうせくっつかないし」
「いいから!応急処置だってしないよりましよ」
――トレイン君、しないよりましッスよ!
「………じゃあ、お願いするぜ」
強引な杏子にしぶしぶながらもトレインは右腕を預けた。
トレインはかつてのプロの殺し屋である。怪我の応急処置くらいは知っている
だからラオウから逃走する間に、右腕にはしっかりと自分の衣服で止血していた
しかしそれを知らない彼女は、覚束ない手つきで右腕に包帯を巻いていく
トレインはそれをあえて止めはしなかった。似ていたから。彼女は、トレインの親友、ミナツキサヤに――
「アンタ、名前は?」
「真崎杏子。杏子でいいよ。
…ホラ、じっとしてないと」
「へいへい…」
束の間の平穏。許されるならば、永遠に――
- 91 :掃除屋達の慕情 ◆gnM9.np5nM :2006/01/25(水) 20:48:18 ID:9WG/p21uO
- 「ところで、杏子…」
「何?…ちょっと、腕動かしちゃダメだってば」
なんでお前達は襲われていたんだ、と聞こうとして気づく
この状況で襲われた事に理由など必要だろうか?
杏子と青年は拳王と名乗ったあの男に襲われていた
それを自分と幽助が助けた。それだけの話だ。嫌なことを蒸し返す必要などない
「何?」
「胸あたってる」
ゴツンッ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
現在茨城県に居るのは奈良シカマル、桃白白、ゴン、トレイン、杏子、そして
ロビンとスヴェン。
「おーい!何がどうなってるのかだけ説明してくれー!!
あれか?デートに誘ったのを怒ってるのか?俺は生憎独身だ!問題ない!
…それとも貴女が既婚なのですか!?確かに貴女のような美貌の持ち主なら引く手数多かもしれないが、
しかしレディを放っておくなんて事紳士たる者としてはできないというか…とにかく一度止まってくれ!
話し合おう!あと俺のケースを返せー!」
「くっ…走りながらよく回る舌ね」
スヴェンは走っていた。ロビンも走っていた。もうすぐ放送が始まるというのに
「待て!待ってくれ〜!
このノリはどっかの漂白野郎みたいであまり好きじゃないんだ!」
「漂白野郎?」
北へ。北へ。
追うスヴェン。逃げるロビン。そして軍配はスヴェンにあがった
- 92 :掃除屋達の慕情 ◆gnM9.np5nM :2006/01/25(水) 20:49:08 ID:9WG/p21uO
- 勝因は、“放送”。
放送を聞くために止むなく立ち止まったロビン。
放送を一切聞かずに走ってきたスヴェン。
ロビンもスヴェンも頭の回転は速い。ロビンは放送は皆が行動を止めるある種の“絶対時間”と考えた
スヴェンは相手の止まる“支配時間”と考えた
――差は、無くなった
「はぁ、はぁ」
「!…アナタ放送は?」
背後への急な接近に振り向くロビン
「貴女が止まったから、これ幸いと追っていたら放送を聞くのを忘れてしまった
(なんてな…放送のリスクよりアンタを逃がすリスクを天秤に掛けただけさ)」
両手を膝に当て息を切らしながらも、スヴェンは白い歯をロビンに見せた
「…馬鹿な人。降参よ」
「恋は盲目、ってな。いや、この場合は聾唖か」
ロビンはやれやれといった感じで、仕方なく放送の内容を話した
「そうか…二人とも仲間は無事か。素直に喜べはしないが…」
「ええ…」
目的は違えど、想いは同じ。しばらく二人は焦燥感に苛まれていた
と感じていたのはスヴェンだけだった。
格好をつけて背中を見せるスヴェン。
「俺は、貴女の事はよく知らない。しかしそんなことは関係ない
男が女を守る。これを守れないっていうのは、俺の紳士道に反するんでな
どうだい?改めてデートの誘いを受けては…くれないみたいだな」
振り返ったスヴェンが見たものは、豆粒大の大きさで背を向け走るロビンの姿。
「…いい加減俺のケースを返してくれないか?」
気まずそうに帽子の唾を下げると、スヴェンは再び走りだした。胸いっぱいのデジャブを感じながら…
- 93 :掃除屋達の慕情 ◆gnM9.np5nM :2006/01/25(水) 20:49:58 ID:9WG/p21uO
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
放送が終わった後、杏子の顔つきが変わった。しかしトレインはそれに気づかなかった
杏子があくまで気丈に振る舞っていたから。
「幽助はどうやら無事みたいだな。スヴェンもイヴも、あとリンスも」
「よかったね、トレイン君」
心配を掛けぬように、傷が痛まぬように。
自分を助けてくれた人に、余計な負担を掛けてはいけない
「…杏子は?いるんだろ、友達」
「包帯まけたよ!なかなかうまくできたでしょ」
「杏子…?」
「保健体育の授業きちんと聞いといてよかった!いざって時に役に立ったもん。
やっぱり学校の授業は聞かないといけないよ。城之内にも一度言っとこう」
やっと杏子の異変に気づいたトレイン。しかし彼女の悲しみは彼の範疇を越えていた
「杏子、城之内って確か前の放送で」
「でもあいつカードばかりやってるからな〜。いつも遊戯と遊んでばっかり
それなのに海馬君は勉強もできてカードも強い。どこが違うのかな〜…」
「海…馬…?杏子、今の放送…
お前、まさか」
「…もう、私の友達遊戯だけになっちゃった。皆死んじゃった」
にっこりと口角を引き上げる杏子。彼女の肩は震えていた
「杏子!」
トレインは左腕で杏子の肩を掴んだ。杏子は笑顔のまま、ゆっくりと、トレインと目を合わせた
「死んじゃったよぉ…」
あれほど気丈だった杏子が、目に涙を溜め崩れ落ちた
- 94 :掃除屋達の慕情 ◆gnM9.np5nM :2006/01/25(水) 20:53:44 ID:9WG/p21uO
- (海馬君……!!そんな、どうして!?二人とも簡単に死ぬはずないじゃない!!
城之内も海馬君も死んじゃうなら、遊戯が生き残れるはずないじゃない!!)
「遊戯も!私も!!いつか殺されてしまうんだわ!!
あの男のような殺人鬼に、みんな殺されてしまうんだわっ!!」「杏子っ!!」
「わあああああああああああああああっ!!!!!」
親友(とも)を失う悲しみは、トレインには痛いほどわかっていた
俺には彼女を止められない。止める権利もない
止められるならば、止めるべきなのはこの糞ゲーム。
(杏子…お前を死なせはしない。俺は戦う。たとえこの身がどうなろうとも。
そしてこの糞ゲームの主催者に届けてやるぜ、不吉をな!)
トレインは、ただただ杏子を抱きすくめていた。
頼りない左腕一本で。
猫のような鋭い眼光を帯びて。
【茨城県/昼(放送前後)】
【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]重傷(左腕に軽い擦り傷、右腕肘から先を切断。行動に支障はなし)
[装備]:ディオスクロイ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾1)
[道具]荷物一式
[思考]1:主催者を倒す
2:杏子を守る
3:仲間に会う
【真崎杏子@遊戯王】
[状態]健康
[道具]なし
[思考]1:悲しい
2:遊戯と合流
2:ロビンに会う
- 95 :掃除屋達の慕情 ◆gnM9.np5nM :2006/01/25(水) 20:54:29 ID:9WG/p21uO
- 【茨城県/昼(放送前後)】
【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]:千年ロッド@遊戯王、アタッシュ・ウエポン・ケース@BLACK CAT
[道具]荷物一式(二人分)
[思考]1:逃げる
2:アイテム・食料の収集
3:死にたくない
【スヴェン・ボルフィード@BLACK CAT】
[状態]疲労(微回復)
[道具]荷物一式(支給品不明)
[思考]1:ロビンを追う
2:トレイン・イヴ・リンスと合流
- 96 :作者の都合により名無しです:2006/01/25(水) 22:04:17 ID:dH5x1qp30
- 無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効ですv無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です無効です
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- 97 :青き15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/25(水) 22:59:26 ID:DZ9NGBlJ0
- (防人衛・・・――ブラボーか。奴はどうでもいい。アイツ・・・武藤カズキさえ無事ならば・・・)
2度目の放送を聞いて、パピヨンはそんなことを考えていた。
しかしそんな思考も、隣の男――ヒソカにより、すぐに妨げられる。
「クロロ・・・ボクの・・・ボクのごちそう・・・。とっておきの・・・食べられちゃった・・・」
ゾクッ
得体の知れない恐怖。いつもの飄々とした口調ではなく、地の底からしぼりあげたような声。この男は、俺の知っているヒソカではない。
「ずっと・・・ガマン・・・ガマンしていたのに・・・」
――いや、いつものヒソカから、狂気と欲望を濾過した――そんなオーラか。
パピヨンには背を向けて、表情は見えない。しかし、ヒソカの狂気にゆがむ笑顔が、パピヨンの脳裏にはしっかりと描かれていた。
「ねェ・・・南九州に行く前に・・・ちょっと用を済ませたいんだ・・・。いいかな・・・?」
「あ、あぁ・・・」動揺を悟られないように返答するパピヨン。
「良かった、キミがそう言ってくれて・・・。このままじゃボク・・・キミを殺しちゃいそうだから・・・。できれば、まだキミは殺したくないんだ・・・。」
そう言って振り返るヒソカ。その表情は、「狂気にゆがんだ笑顔」どころではなかった。『狂気』そのもの。さしものパピヨンもひるむ。
「あ、キミはそのまま待っていてくれればいいよ・・・。すぐに戻るから・・・。」
そう言うとヒソカは、さきほどの少年達の元に向かう。
「もう食べのがさないよ・・・美味しく、美味しく、美味しく、美味しく、食べてあげるからね・・・」
ヒソカを見届けると、一人残されたパピヨンはニタァ〜と笑う。
「あれほど純粋な狂気・・・う〜ん、ビューティフル。蝶・サイコー!あれもヒソカの魅力なんだよなァ・・・」
- 98 :青き15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/25(水) 23:01:19 ID:DZ9NGBlJ0
- 「―――聞こえますか、皆さん。」
・・・う、う・・・。
玉藻は二度目の放送に、目を覚ました。脱落者の名前が読み上げられる。だんだんと意識がはっきりしてくる。その中に「ゆきめ」を確認すると、鵺野を想い、沈痛な表情を浮かべる。
「鵺野先生・・・」
教え子を失い、そして最愛の妻を失って、まだあの人は他人を守り続けられるのだろうか?鵺野のことが心配になる。しかし、今の自分にはやることがある。狐の少年達を守ること。それをやり遂げてからこそ、自分は鵺野の元に行く資格があるのだ。
周りを見ると、狐の少年とその仲間は気を失ったままだ。もう一人、黒髪の少年がこちらに近づいてくる。
「気がついたか。あんたは一体何者だ?」
「人に尋ねる前に、まず自分から名乗るのが礼儀ではないですか?」
「すまない。あんたはナルト達を助けてくれたんだよな?俺の名は一輝、聖闘士だ。アテナを守る戦士をしている。」
「私は玉藻京介。医者・・・と言いたいところですが、この少年の同類ですよ・・・」
「どういう意味だ・・・?」
と一輝が言いかけたとき、二人は同時に同じ方向を向いた。
「・・・なんだ?あのまがまがしい小宇宙は・・・?」
「こんな邪悪なオーラは私も初めてです・・・。」
「やばい、あんた!済まないが、この2人を連れて、外に逃げてくれ!」
「あんな敵相手に、一人で戦うつもりですか?」
「大丈夫だ、俺には策がある。」
一輝は黄金聖闘士との戦いやハーデスとの戦いで、光速の戦闘を経験している。聖衣がない生身の身体で、不思議な力による制限があるこの世界では、
本来のスピードを生かすことはできないが、参加メンバーの中で、スピードに関してはトップクラスを誇るのが聖闘士である。相手が襲い掛かってくるのが分かっていれば、こちらから先制攻撃を仕掛けるのは、さほど困難なことではない。
そして、一輝は鳳凰幻魔拳という技を持っている。この技にを食らえば、どんな相手も精神が崩壊し、しばらくはまともに動くことすらできない。つまり、足止めには最適な技である。
一輝の決意を見て、玉藻は悟る。この少年は大丈夫だ。
「・・・分かりました。ではこの2人を連れて、山口方面に向かいます。」
「ああ、分かった。」
「必ず・・・生きて後を追ってきて下さい。」
「ああ、もちろんだ。」
玉藻は気絶したナルトと跡部をかかえると、すぐに山口に向かって走り始めた。
- 99 :青き15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/25(水) 23:07:00 ID:DZ9NGBlJ0
- 【福岡県(市街地)/日中】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
[道具]:荷物一式(食糧二食分消費) ×2
[思考]:1、ヒソカを待つ。
2、ヒソカと合流後、南九州へ移動
3、知り合いとの合流
【ヒソカ@ハンターハンター】
[状態]:健康 全身に軽い打撲、中程度の疲労、狂気化
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食糧一食分消費) ベアクロー、スナイパーライフル(残弾16発)
[思考]:1、ナルト、玉藻など誰かを殺したい、殺したい、殺したい
【一輝@聖闘士星矢】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式
[思考]:1、まがまがしい小宇宙の持ち主の足止め
2、山口方面でナルト、跡部、玉藻と合流
3、ハーデスを倒す
- 100 :青き15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/25(水) 23:09:32 ID:DZ9NGBlJ0
- 【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:中程度のダメージ 腕から出血 体力妖力大消耗
[装備]:なし
[道具]:荷物一式 石ころ数個
[思考]:1、ナルト、跡部を逃がし、山口で一輝と合流。
2、ナルトから九尾を引き剥がし、退治する。又は、完全に封印。
3、伊達から首さすまたを取り戻す
4、可能なら鵺野と合流 (ナルトの九尾除霊の相談のため)
【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】気絶 右肩痺れ 全身に打ち身、骨にヒビ 擦過傷 疲労 出血(止血済み)
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶
2、ナルトを助太刀
3、乾と越前を捜す
【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】気絶 空腹 体力チャクラ大消耗、九尾封印
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶。玉藻に憎しみ。
2、サクラ、シカマルを探す
3、主催者をやっつける
- 101 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 09:46:09 ID:4uTzK0ik0
- 静岡を出発した3名は、一路沖縄へ――
「じゃあなかったのかよ〜!ついてねー!」
「文句を言わないで下さい、洋一君。
確かに急ぐとは言いましたが、楽な道を行くとは一言も言っていないのですから」
「世界最高の頭脳」曰く、危険な者との遭遇は可能な限り避けるべきであるとのこと。
実際に意味不明な暴漢に襲われた挙句に大怪我を負わされた洋一としては
文句をつける理由はないのだけれども、富士の樹海を抜けたばかりなのに、またもや森の中を歩くことになるとは
思いもしていなかったのだ。そう、此処は長野の山奥――でもないけれど。鬱蒼と生い茂る場所。
「先ずは名古屋を目指します。電車に乗りましょう」と言ったLが取ったルートは、
静岡を出て一端長野を経由し、其れから愛知に入ると言ったのもであった。
東京程ではないとは言え愛知は、人の集う都会である。誰が居るか分かったものではない。
危険な人物の存在の有無を確かめ、慎重に行動する――Lの一貫した方針であった。
そのLと言えば、特に怪我をしているようには見えないと言うのに、
ルナールに背負われて歩くのをサボっていた。
無論、最初は怪我をした自分をルナールが背負うと言う話だったが、洋一自身が拒否したのだ。
大丈夫と言われて見ても、矢張りルナールは異形の怪物。大人しく背負われているLは何なんだろう。
- 102 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 09:46:45 ID:4uTzK0ik0
- はァ。何度目の溜息だろう。
「世界最高の頭脳」に出会えた時には珍しく自分の幸運に感謝したものだが、途端にこれだ。
慣れぬ山道。其れでなくても火傷を負った脚を引き擦るように歩くのは大変だった。
「考えがある」と言ったっきり詳しいことは説明してはくれないけれど、本当に大丈夫なのだろうか。
Lは人間にしては確かに、頭がいいのかもしれない。
けれど、天才マンのように格闘面でも天才と言った宇宙人なわけでもない。
――また、化け物に襲われたらあの人は助けてくれるのか?
不安と不満は募る。月の形をした妙な男――ルナールとは親しげに話しているように見えるのに
自分には素っ気無く感じるのも、洋一が疎外感を感じる理由のひとつだった。
――らっきょのない俺は、唯の人間だ。若しものとき、切り捨てられるんじゃないのかな……。
洋一は凡人であるがために、優れ過ぎたLの才能に不安を抱いていた。
暗い顔をした洋一の様子を見て、Lが心配そうに呟く。
「どうしました、洋一君。矢張り、怪我した足が痛みます?
ルナールさん、私は歩きますから、洋一君を――」
「いえ、け、結構です!ま、まだ歩けますから!!!」
大きく手を振って拒否した。「それじゃあ」とLも呟いたまま、口を閉じる。
はァ。二人に悟られないように、溜息をついた。結局のところ洋一に選択肢はないのだ。
――らっきょを見つけるまでは、彼らに頼るしかない。
憂鬱とした気持ちを抱えながらも、L達の背に遅れぬように続く。
---------------------------------------------------------------------------
- 103 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 09:48:28 ID:4uTzK0ik0
- 洋一の複雑な気持ちを我知らずに、Lはルナールに背負われたまま思考に耽っていた。
数分前に、二回目の放送があった。数名の死亡者。禁止エリア。全てが有益な情報だ。
「む〜ん。着実にゲームは進んでいるようだね」
さしたる感慨もなさげに、ルナールが語り掛けてくる。洋一も、ルナールも特に知った名前は呼ばれなかったようだ。
「十四名。日本人の名前が多いですね。私の予想より死者は少ないな」
少ないな、と言った割には、Lの顔は憂鬱げに淀んでいる。ルナールは不思議に思い、
「少ない? む〜ん。
少なかったにしては晴れない顔をしているね。意外だ。
君にとって死者の数が少ないことは、喜ばしいことだろうと思っていた」
「無論、喜ばしくはありますよ。出来れば一人も欠けることなくこんなゲームは終わらせるべきでしたが。
唯、諸手を上げて喜ぶべき事態でもないと言うことです。
このゲームの序盤において死ぬ人間が減ったと言うのには、二つの理由が考えられる」
「二つ?」
「はい。二つです。要するに、殺そうとする者が獲物とする参加者を殺しにくくなった。
その理由として考えられるのが、二つ。
一つは、私や洋一君のように戦闘能力のない一般人が殆ど淘汰されてしまった。
俄かには信じられない事ですが、洋一君と貴方の話を聞けば、このゲームには普通の――我々の常識での、普通の、ですが
普通の人間以外の者が、数多く参加している。宇宙人、ホムンクルス、魔法を使う暴漢――」
森を歩く道中、三人はそれぞれの世界の話を交わしていた。
少しでも主催者との勝負、其の勝率を上げる情報をLが求めていたからだ。
中でも実際に怪我を負い、生存した洋一の話は興味深かった。――死んだ者も、負傷した者も居る。放送の通りに。
Lの話は続く。
- 104 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 09:49:48 ID:4uTzK0ik0
-
「人間以上の力を持つ多くの者が、参加しているんです。一般人じゃあ歯が立たない。真っ先に餌食でしょう。
第一回目の放送、第二回目の放送で呼ばれた名も、殆どが私の知るような日本の名であることも其れを裏付けている。
つまるところ――」
「弱者は淘汰され、ある程度の強者のみが残った。故の膠着状態、死者数の減少、だね」
「はい。実力の差が埋められてしまえば、片方が一方的に勝利することは困難になりますから。
このゲームは、唯勝利すればいいというものではない。勝利した上で、生き残る必要がある。
不要な戦いは避けたいと思うのが自然な思考でしょう。多少、慎重にもなる。
唯、このことは余り重要ではない。膠着状態は一時的なものです。
多少の実力の差、そんなもの、引っくり返すことの出来るものを、主催者は配布している。例えば、このノート」
Lの世界に存在した死のノート。名を書くだけで他の参加者を殺害出来るアイテムが配布されているのだ。
他の世界の、他の強力な武器も同時に配布されていると見て、間違いない。
「参加者が死んだと言うことは、参加者の武器がより凶悪な参加者に移った、と言うことです。
無害な人物とならば交渉し、私達の仲間に引き入れ、道具を利用させて貰う事も出来たでしょう。然し、今はもう難しい。
無害であるような人物は、少なからず淘汰されてしまった後でしょうから。
洋一君の例を見ても分かるように、他の世界の異常な道具だ。直ぐには其の効果を実感することは難しいかもしれません。
然し、時間がたてば、きっと―― 膠着は、解ける」
予感する。凶悪な人外の怪物が、凶悪な支給品に身を固め、勝利を狙う姿を。
「横道に逸れました。
大切なのは一つ。これから誰と出会おうとも、其の人物は何らかのエキスパートである可能性が高いと言うことです。
これまで以上に注意が必要となるでしょうね」
「なるほど。其れは厄介な話だ。素直に喜べないのも、頷ける。もう一つは?」
分析に耳を傾けながら、適度に相打ちを入れる。Lは雄弁であったし、ルナールは理想的な聞き手だった。
- 105 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 10:01:41 ID:4uTzK0ik0
- 「喜ばしくもあり、注意すべきでもある。もう一つの方が、頭を悩ませます。
もう一つは、私達がここでこうしている理由ですよ。弱者と、外れくじを引いた者達が、集いつつある。
――グループの形成ですね。ライオンが怖い動物は群れを作るんですよ。勝てる勝てないに関わらずにね。
私達に希望があるとすれば、この点ですね。複数で行動している参加者は、"一先ず"は信頼出来る」
「むーん。けれども、襲撃者の方もグループを形成することは考えられないのかい?
集団に対抗するには集団だ。頭が相当悪くないならば、それくらいは考え付きそうなものだが」
「このゲームの特殊性は"勝者が一人"であることですから。
明確に誰かを殺そうと言う意思があるのが見て取れる参加者と組むことは、何時寝首を掻かれても可笑しくない覚悟が必要です。
組が出来たとして多くても二人。
其れも、恐怖や支配、裏切りの関係をを孕んだ異常な関係の筈です。暫くは、こういう輩は避けた方が賢明ですね。
目的とする集団に、"上手く殺意を隠しながら組を作ってる輩"が混ざる可能性もありますが、一先ずは問題ありません。
彼らは"無害を装う必要がある"。詰まり――」
子供のように指を回しながら言葉を続けるLは、何処か無邪気さを感じさせた。
「――頭脳戦になる、と。なるほど、其れなら君の活躍の場がありそうだ」
「はい。腹の探りあいなら私は誰にも負ける気はありませんしね。"猫被り"が居たら、追い出して、其のグループを乗っ取ればいい。
我々の次の行動方針は、数人のグループを発見すること。中にマーダー……殺戮者が混じっていれば、排除すること」
Lが懐に収めたノートの事を思い、ルナールはフフと、可笑しくなった。彼の計画は筋が通っていて清々しい。何故ならば
「グループ内の邪魔者を排除するのに、其のノートは確かに、最適だね。
他のメンバーに悟られることなく、静かに、速やかに排除だけを実行することが可能だ。
嗚呼、洋一にも言っておくよ。ノートのことは、3人だけの秘密だ。でも、彼は喋りそうだなあ。堪え性も才覚もない」
更に言えば怪我をしている。足を引き摺る洋一のおかげで進むのが遅れていることを、ルナールは気付いていた。
Lが望むなら、洋一は今の内に、この腕で――――
- 106 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 10:03:31 ID:4uTzK0ik0
- 「秘密にする旨を伝えるだけで結構です、ルナール」
不穏な思考を巡らせた途端ピシャリと言葉で切り捨てられた。むーん、と月型のホムンクルスは唇を歪める。
何かを告げたそうなルナールの顔を見ながら、Lは溜息を吐いた。
「私は勝利のために最善を尽くします。が、何かを切り捨ててまで勝利する――と言うのは好きではない。
勝利するのなら、"完全な勝利"を目指します。
洋一君を此処で切り捨て、僅かでも勝率を上げると言うのは、"完全な勝利"ではありません。
本当は――このノートも、出来るだけ使いたくないとさえ、思っています」
言うつもりはなかったし、言う必要のないことだった。ルナールは非情になれない自分を頼りなく思うかもしれない。
然しながら、自分の意思を伝えることは、意味のないことだとは思えなかった。更に言葉を並べる。
デスノートを仕舞った胸を抑え、
「私はこのノートに関する事件に関わっていました。
死を綴るノートを悪用するある犯罪者を追ってね。彼の言い分は、次のようなものだった。
"明確な悪に生きる価値はない"―― 実際、其の犯罪者、キラは犯罪者だけを裁き、殺害していきました。
私はキラの考えに賛同は出来ませんが、気持ちを理解することは出来ます。
――このゲームに当て嵌めてみれば、殺戮者を全て前もって殺害してしまえば、平和な世界が訪れるだろう。
そういうことなんでしょう」
「む〜ん。至極真っ当な考えだと、思うがね。極論ではあるが」
尖った顎を撫ぜながら、興味深そうにLの話の先を促した。
「はい。極論です。一見、正しそうに見える。或いは、キラの言う通りの完全な世界がありえるのかもしれません。
けれど、人間はそんなに単純なものではない――と、私は思っています。
一人の人間が、自らの判断基準にのみ拠って、他者を裁く――其の生死を左右する。非常に、危険な思想だ。
例えば、此処で貴方が洋一君を不要だと判断し、殺したとしましょう。
そうすると私はもう、ルナール。貴方を信用することが不可能になります。
"用済みになれば、私も同じように殺すのですね"、と」
- 107 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 10:04:58 ID:4uTzK0ik0
- ルナールは暫し無言だったが、直ぐに、フッと息を漏らし「奇麗事だ」と呟いた。Lも特に、否定はしなかった。
「私のエゴですけどね。曖昧な概念には頼りませんが、信頼の無い世界と言うのは、とても恐ろしいものだとは感じます。
――まあ、何にしろ、私はこのノートを使わないで済むようにしたいとは考えていますよ。
非常事態になったら、其れまで糾弾していた悪事を正しいものと認める、なんてのは完全に私にとって"敗北"ですからね。
何なら、貴方がこのノートを持っていてくれても構わない。そもそも」
「君がノートを受け取るのを何故拒まなかったのか、と言うのは愚問だ。失敬でもある」
ノートを取り出しかけたLの手を、ルナールが止める。三日月形の顔に、切れ長の笑みが浮かんでいた。
「"信頼"しようじゃないか、L。君は唯の人間だが、崇高な精神の持ち主だ。非常に興味深いね。
不要なものを排除せずに、与えられたモノとは別の形の勝利を目指す――"完全な勝利"、か。
L。相手が君でなければ、笑い話になるところだったよ」
「恐縮です。理解して貰えたようで、嬉しい」
はにかむようにLは口元を緩めた。ルナールも其れに合わせて、ニヤリと口元を歪めてみせる。
三日月形の顔からは、些細な表情を伺うことは困難だが、一先ず納得してくれたように見えた。
ノートは可能な限り使わず、生還する。殺すことが前提のこのゲームでは難しい話だ。
何時までこの意地を張っていられるか――、
或いは、ルナールが期待しているのはノートを手にした自分の挙動かもしれない。
流れ行く景色を眺めながら、Lは他の参加者――夜神月のことを思い浮かべた。
彼ならば如何するだろう。このノートを。生き残るために死のノートを。
――――使うだろうか?
- 108 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 10:08:05 ID:4uTzK0ik0
- 【チームL】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装練金】
[状態]健康
[装備]双眼鏡
[道具]荷物一式(食料一食分消費)
[思考]1:有用な人材のスカウトと支給品の収集
2:Lを補佐する
3:生き残る
【L(竜崎)@デスノート】
[状態]健康
[道具]:荷物一式
:護送車(ガソリン無し、バッテリー切れ、ドアロック故障)
:デスノート(0:00まで使用不能)@デスノート(洋一の持ち物だが仮に所持)
[思考]
1:名古屋駅を目指し、参加者のグループを探索。合流し、ステルスマーダーが居れば其れを排除。
2:沖縄の存在の確認
3:人材のスカウト
4:ゲームの出来るだけ早い中断
5:デスノートは可能な限り使用しない
【追手内洋一@とっても!ラッキーマン】
[状態]:右腕骨折
:左ふくらはぎ火傷
:疲労
[道具]荷物一式(食料少し消費)
[思考]1:とりあえずLたちに付いていく
2:死にたくない
- 109 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 10:19:37 ID:ZjilEZiS0
- 場所と時間を書き忘れていました
【長野〜愛知/昼頃(放送直後)】
- 110 :死を綴るノート ◆HDPVxzPQog :2006/01/26(木) 10:37:48 ID:ZjilEZiS0
- すみません、修正の必要性があるところを自分で発見しました。
ルナールは自らをムーンフェイスとしか名乗っておらず、前作でもそのようにLも呼んでいたことを忘れていました。
全ての「ルナール」と表記されてる部分を、「ムーンフェイス」に修正します。
- 111 : ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 15:52:42 ID:8x1LJBPr0
- >>97-100は無効にして、再投下します。
- 112 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 15:55:39 ID:8x1LJBPr0
- ここは佐賀県の南端。南九州に向かうヒソカとパピヨンの頭に、2度目の放送が流れ込んでくる。
(防人衛・・・――ブラボーか。奴はどうでもいい。アイツ・・・武藤カズキさえ無事ならば・・・)
放送を聞いて、パピヨンはそんなことを考えていた。
しかしそんな思考も、隣の男――ヒソカにより、すぐに妨げられる。
「クロロ・・・ボクの・・・ボクのごちそう・・・。とっておきの・・・食べられちゃった・・・」
ゾクッ
得体の知れない恐怖。いつもの飄々とした口調ではなく、地の底からしぼりあげたような声。この男は、俺の知っているヒソカではない。
「ずっと・・・ガマン・・・ガマンしていたのに・・・」
――いや、いつものヒソカから、狂気と欲望を濾過した――そんなオーラか。
パピヨンには背を向けて、表情は見えない。しかし、ヒソカの狂気にゆがむ笑顔が、パピヨンの脳裏にはしっかりと描かれていた。
「ねェ・・・南九州に行く前に・・・ちょっと用を済ませたいんだ・・・。いいかな・・・?」
「あ、あぁ・・・」動揺を悟られないように返答するパピヨン。
「良かった、キミがそう言ってくれて・・・。このままじゃボク・・・キミを殺しちゃいそうだから・・・。できれば、まだキミは殺したくないんだ・・・。」
そう言って振り返るヒソカ。その表情は、「狂気にゆがんだ笑顔」どころではなかった。『狂気』そのもの。さしものパピヨンもひるむ。
「あ、キミはそのまま待っていてくれればいいよ・・・。すぐに戻るから・・・。」
そう言うとヒソカは、さきほどの少年達の元に向かう。
「もう食べのがさないよ・・・美味しく、美味しく、美味しく、美味しく、食べてあげるからね・・・」
ヒソカを見届けると、一人残されたパピヨンはニタァ〜と笑う。
「あれほど純粋な狂気・・・う〜ん、ビューティフル。蝶・サイコー!あれもヒソカの魅力なんだよなァ・・・」
- 113 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 15:56:34 ID:8x1LJBPr0
- 「―――聞こえますか、皆さん。」
・・・う、う・・・。
玉藻は二度目の放送に、目を覚ました。脱落者の名前が読み上げられる。だんだんと意識がはっきりしてくる。その中に「ゆきめ」を確認すると、鵺野を想い、沈痛な表情を浮かべる。
「鵺野先生・・・」
教え子を失い、そして最愛の妻を失って、まだあの人は他人を守り続けられるのだろうか?さすがに鵺野のことが気にかかる。しかし、今の自分にはやることがある。
狐の少年達を守ること。それをやり遂げてからこそ、自分は鵺野の元に行く資格があるのだ。
周りを見ると、狐の少年とその仲間は気を失ったままだ。もう一人、黒髪の少年がこちらに近づいてくる。
「気がついたか。あんたは一体何者だ?」
「人に尋ねる前に、まず自分から名乗るのが礼儀ではないですか?」
「すまない。あんたはナルト達を助けてくれたんだよな?俺の名は一輝、聖闘士だ。アテナを守る戦士をしている。」
「私は玉藻京介。医者・・・と言いたいところですが、この少年の同類ですよ・・・」
「どういう意味だ・・・?」
玉藻は自分が妖怪であること、ナルトの中に「九尾の狐」が封印されていることを説明する。
一輝は驚いた。不思議な連中がゴロゴロしているこの世界、妖怪がいても不思議ではないだろう。しかし、このナルトにそんな力が眠っているとは。
次に一輝は聖闘士の、アテナの、そしてハーデスの説明をする。玉藻は腕の出血を治療しながら、一輝の説明を聞く。
「なるほど・・・聖闘士という存在が集まれば、あの主催者達を倒せる可能性もあるわけですね。」
「ああ・・・まずは星矢とデスマスクを」
と一輝が言いかけたとき、二人は同時に同じ方向を向いた。
「・・・なんだ?あのまがまがしい小宇宙は・・・?」
「こんな邪悪なオーラは私も初めてです・・・。」
*さきほどのヒソカとはオーラが異なるので、玉藻はそれが同一人物と気づいていない。
「やばい、あんた!済まないが、この2人を連れて、外に逃げてくれ!」
「あんな敵相手に、一人で戦うつもりですか?私も・・・」
「今のあんたには無理だ。それにこいつらを誰が逃がすんだ?大丈夫だ、俺には策がある。」
- 114 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 15:57:37 ID:8x1LJBPr0
- 一輝は黄金聖闘士との戦いやハーデスとの戦いで、光速の戦闘を経験している。聖衣がない生身の身体で、
不思議な力による制限があるこの世界では、本来のスピードを生かすことはできないが、それでも参加メンバーの中で、
スピードに関してトップクラスを誇るのが聖闘士である。相手が襲い掛かってくるのが分かっていれば、
こちらから先制攻撃を仕掛けるのは、さほど困難なことではない。
そして、一輝は鳳凰幻魔拳という技を持っている。この技にを食らえば、どんな相手も精神が崩壊し、
しばらくはまともに動くことすらできない。つまり、足止めには最適な技である。
一輝の決意を見て、玉藻は悟る。
「この目は・・・生徒を守るときの鵺野先生の目と同じ・・・」
この少年は大丈夫だ。
「・・・分かりました。ではこの2人を連れて、山口方面に向かいます。」
「ああ、分かった。」
「必ず・・・生きて後を追ってきて下さい。」
「ああ、もちろんだ。」
玉藻は気絶したナルトと跡部をかかえると、すぐに山口に向かって走り始めた。
そして誰にともなくポツリとつぶやく。
「フッ・・・人間とはかくも興味深いものだ・・・。」
- 115 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:00:46 ID:8x1LJBPr0
- 一輝はまがまがしい小宇宙の持ち主を迎え撃つべく、小宇宙を整える。
相手の戦闘力は、聖闘士として今まで自分が戦ってきた敵に比べれば、たいしたことはない。
(もっとも一輝自身も聖衣を装着せず、しかも不思議な力により制限を受けている以上、大幅に戦闘力が落ちているのだが。)
しかし、こんなに邪悪な小宇宙を持つ敵は、今までにも出会ったことがない。
「――まあいい・・・。どんな敵だろうと、この鳳凰幻魔拳で粉砕してくれる・・・。」
ヒソカは走る。いつもはトリッキーな戦闘を好むヒソカ。しかし今の彼は違う。
ただ血を求める。ただ命を求める。技も戦略もない、ただ殺戮を欲するだけの存在。
本能のままに、まっすぐに強者(ごちそう)の元に向かう。
「――きたな。」
ヒソカは一輝にとびかかる。砂漠で1週間遭難した人間が、オアシスを見つけたがごとく。
その表情は、まるで人間のものとは思えなかった。
しかし、一輝はひるむことなく、自分のなすべきことを行う。
「―― 鳳 凰 幻 魔 拳 !」
- 116 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:05:04 ID:8x1LJBPr0
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヒソカは真っ暗な空間に一人いた。
遠くにゴン、キルア、クロロの姿が見える。3人の周りだけ、スポットライトを浴びせたかのように明るく見える。
「見ぃ〜つけた♥」
熟しきってから食べようと思っていた、大事な大事なごちそう。しかし、誰に見つかるか分からない。
もう食べちゃおう。これ以上、耐えられない。ガマンできない。
3人のもとに向かうヒソカ。しかし、ヒソカと3人の間に何か透明な壁のようなものがあり、3人に近づくことすらできない。
「――ボクの邪魔をするな・・・。」
苛立って壁のようなものを叩きまくるヒソカ。しかしびくともしない。
「・・・なんだ?これは・・・。」
ヒソカが壁のようなものを攻撃している間に、向こうに見える3人に異変が起こる。
なぜか3人は縛られており、銃を向けられている。
銃を向けているのは普通の人間。ヒソカから見て、食べるに値しない、生ゴミだ。
しかし、何故か3人は抵抗しない。
男がクロロに向けて銃を発射する。熟練した念能力者には銃なんて効かない。なのに、クロロはあっさりと殺される。
「――ヤメロ・・・。」
せっかくのごちそう。まるで高級料理の上に油をぶちまけられたような感覚。
男は、次にキルアに向けて発射する。キルアもあっさりと殺される。
「――ヤメロ、ヤメロ・・・。」
狂ったように壁のようなものを殴るヒソカ。しかし決してそれは壊れない。
なんであんな生ゴミが、ボクの大切なごちそうを食べるんだ。
なんでボクのごちそうは、あんな生ゴミに簡単に食べられてしまうんだ。
男は、最後に、ゴンに向けて発射する。ゴンもあっさりと倒れる。
「――ヤメロ、ヤメロ・・・。 ヤ メ ロ !!!」
- 117 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:07:53 ID:8x1LJBPr0
- ヒソカのうつろな目を見て、一輝は鳳凰幻魔拳が決まった確信をする。
「――どうだ、地獄を見た感想は?」
しかしそのセリフを言い終わる前に、ヒソカの手刀が一輝の心臓を貫く。
「なっ・・・馬鹿な!確かに決まったはず・・・。」
鳳凰幻魔拳とは、相手の心にひそむ恐怖を増大させ、精神を崩壊させる技。確かにヒソカは、この技を食らっていた。
しかし、ヒソカにとっての「恐怖」とは、通常の人間の持つ「恐怖」とは全く異なるものだった。
今まで幻魔拳を食らった人間は、自分の命が失われたり、大切な人間が消え去る悪夢を見た。
しかし、ヒソカには人間、いや生物が持つはずの「死に対する恐怖」を持ち合わせていなかったのだ。
殺戮(ゲーム)のためには、自分の命をも道具に用いる。
そして、多くの人間が持ち合わせているであろう、「愛」もヒソカにはなかった。いや、ある意味愛を持っていたが、
それはとてもとても歪んだものであった。そう、自らの手でそれを壊さなければ気がすまない、という・・・。
ヒソカにとっての「恐怖」とは、殺戮の機会を奪われること。それも自分が目をつけた人物に対してならば、なおさら。
一輝が今まで相手にした敵の持つ「恐怖」とは、まるで次元の違うものであった。
それゆえ、ヒソカは精神が崩壊しても、何も変わらない。本能で血を求める。
何語かも分からぬ奇声を発し、手刀を抜いてさらに一輝を切り裂く。
さしもの不死鳥一輝も、聖衣なくして心臓を貫かれたら、もう永くはない。
「・・・くっ、この男は生かしておいては危険だ・・・。最後に俺の命を賭けて、この男を・・・倒す!」
一輝はヒソカに切り裂かれながら、残された力を振り絞り、小宇宙を限界まであげる。
「――食らえ、これが俺の最後の技だ。
鳳 翼 天 翔
- 118 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:09:17 ID:8x1LJBPr0
- ドォォォォォォォォォォォォン!
すさまじい烈風とともに、ヒソカが吹き飛ぶ。ヒソカは近くのビルの壁に全身をぶつけ、そのまま落下していく。
「フッ・・・」
ヒソカが飛ばされたのを見て、一輝は安堵の息をつく。
しかしもう自分は永くはない。星矢やナルト、跡部達とともに、ハーデスを倒すことも叶わない。
――星矢。俺はここで脱落のようだ。必ずハーデスを倒してくれ。お前ならできる。
――ナルト、跡部。必ず生きのびてくれ。
――玉藻。妖怪であろうと、あんたは信用に足りる。後は任せた。
――紫龍、氷河。もうお前らと会うこともできないんだな。
――サガ。地獄であんたに怒られちまうかな?
――瞬。だらしない兄ですまない。しかしお前はもう強くなった。一人で大丈夫だよな?
フェニックス一輝。彼はその最期の時まで、その場に立ちつくしていた。
- 119 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:14:05 ID:8x1LJBPr0
- 【佐賀県(佐賀市南端)/日中】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
[道具]:荷物一式(食糧二食分消費) ×2
[思考]:1、ヒソカを待つ。
2、ヒソカと合流後、南九州へ移動
3、知り合いとの合流
- 120 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:17:43 ID:8x1LJBPr0
- 【福岡県(北九州市門司区)/日中】
【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:中程度のダメージ 腕から出血 体力妖力大消耗
[装備]:なし
[道具]:荷物一式 石ころ数個
[思考]:1、ナルト、跡部を逃がし、山口で一輝と合流。
2、ナルトから九尾を引き剥がし、退治する。又は、完全に封印。
3、伊達から首さすまたを取り戻す
4、可能なら鵺野と合流 (ナルトの九尾除霊の相談のため)
【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】気絶 右肩痺れ 全身に打ち身、骨にヒビ 擦過傷 疲労 出血(止血済み)
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶
2、ナルトを助太刀
3、乾と越前を捜す
【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】気絶 空腹 体力チャクラ大消耗、九尾封印
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、気絶。玉藻に憎しみ。
2、サクラ、シカマルを探す
3、主催者をやっつける
- 121 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:27:41 ID:8x1LJBPr0
- 【福岡県(市街地)/日中】
【ヒソカ@ハンターハンター】
[状態]:気絶、全身に強い打撲、中程度のダメージ
*狂気化がおさまったかどうかは次の方にお任せします。
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食糧一食分消費) ベアクロー、スナイパーライフル(残弾16発)
[思考]:1、ゴン、キルアを自分の手で殺したい
2、パピヨンと合流後、南九州に移動
3、更木、ナルト、玉藻などの強者と戦いたい
【一輝@聖闘士星矢 死亡確認】
【残り96人】
- 122 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:29:28 ID:8x1LJBPr0
- すみません>>120の玉藻の状態の
「腕から出血」は削除します。
- 123 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:37:00 ID:8x1LJBPr0
- たびたびすみません
>>121のヒソカの思考1も
「1、気絶。ゴン、キルアを自分の手で殺したい」
に訂正します。
- 124 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 16:45:15 ID:8x1LJBPr0
- >>121
さらに訂正します。
【ヒソカ@ハンターハンター】
[状態]:気絶、全身に強い打撲、重体
*狂気化がおさまったかどうかは次の方にお任せします。
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食糧一食分消費) ベアクロー、スナイパーライフル(残弾16発)
[思考]:1、ゴン、キルアを自分の手で殺したい
2、パピヨンと合流後、南九州に移動
3、更木、ナルト、玉藻などの強者と戦いたい
- 125 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 17:12:18 ID:8x1LJBPr0
- >>118修正します
ドォォォォォォォォォォォォン!
すさまじい烈風がヒソカを襲う。腹部がえぐられ、真っ二つになって吹き飛ぶ。
そんな状態でもヒソカは満足気に笑みを浮かべる。
「ご・・・ち・・・そ・・・う・・・さ・・・、ま☆」
それが戦いを、殺戮を求め続けた男の最後であった。
「フッ・・・」
ヒソカが飛ばされたのを見て、一輝は安堵の息をつく。
しかしもう自分は永くはない。星矢やナルト、跡部達とともに、ハーデスを倒すことも叶わない。
――星矢。俺はここで脱落のようだ。必ずハーデスを倒してくれ。お前ならできる。
――ナルト、跡部。必ず生きのびてくれ。
――玉藻。妖怪であろうと、あんたは信用に足りる。後は任せた。
――紫龍、氷河。もうお前らと会うこともできないんだな。
――サガ。地獄であんたに怒られちまうかな?
――瞬。だらしない兄ですまない。しかしお前はもう強くなった。一人で大丈夫だよな?
フェニックス一輝。彼はその最期の時まで、その場に立ちつくしていた。
- 126 :すっぱい15 ◆HQrLOwPbgA :2006/01/26(木) 17:14:09 ID:8x1LJBPr0
- >>121修正します
【ヒソカ@ハンターハンター 死亡確認】
【一輝@聖闘士星矢 死亡確認】
【残り95人】
- 127 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:26:06 ID:p9xuW6la0
- 「リン……」
第一放送で告げられた参加者の一人。
その名をうわ言のように口にする男が一人。
ケンシロウは降りしきる雨も気にせず、岐阜県の山中を彷徨うように徘徊していた。
その頭の中には、たった二文字、一人の少女の名前がリフレインしている。
(なぜ……なぜリンが殺されなければならない!)
彼女は普通の少女だ。
心優しい、いたいけな少女。
こんなゲームに参加させられたとて、人を殺すことなど考えるような娘じゃない。
そんな少女が、開始早々殺された。
リンというただの少女を、あどけない笑顔の少女を、簡単に殺した輩がいる。
- 128 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:26:51 ID:p9xuW6la0
- ケンシロウは考える。
もうすでに何人もの参加者が殺された。
その中にはリンのように戦うすべを持たぬ者もいたかもしれないし、自ら戦いを望んで散っていった者もいるだろう。
死んだ者がいれば、その分殺した者もいるのだ。
リンのように、戦わぬ少女を殺すような殺人鬼が――
リンの死、減っていく参加者。
さらなる放送がケンシロウの怒りを溜めていく。
- 129 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:28:29 ID:p9xuW6la0
- そして、先程の第二放送。
新たに告げられた「防人衛」の名。
ケンシロウは防人衛との面識などなかったが、名前は知っている。
ゲームが始まって出会った少女、津村斗貴子が仲間と言っていた名。
人は彼をキャプテンブラボーと呼び、なによりも正義を大切にする、アツイ男だと聞いている。
そして、彼は相当な実力者だということも。
そんな男が殺された。斗貴子も認める戦士が、まだ一日目だというのに脱落した。
彼をもしのぐ実力者が、このゲームに存在する。
そして、その者は紛れもなく「殺人者」。
そんな奴を、いつまでも放っておくわけにはいかない。
もう、リンのような無力な者が犠牲にならないために――
怒りに燃えるケンシロウは、名古屋を基点に周囲の県を探索していたが、幸か不幸かまだ斗貴子以外の参加者には遭遇していない。
こうしている間にも、リンや防人を殺した奴らが殺戮を続けているかもしれない。
そう思うと、ケンシロウはやるせない気持ちでいっぱいになる。
そして、ようやく雨がやんだという頃、
ケンシロウは、やっと斗貴子以外の参加者と遭遇する――
- 130 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:29:25 ID:p9xuW6la0
- 「はぁ、ひ、は、はひぃ……」
北大路さつきは恐怖に支配されていた。
防人衛の死――殺人者アピゲイルの姿――やっと会えたと思った知り合い――でも彼女はもう自分の知る人じゃなくて。
雨の中、歩きにくい山道をがむしゃらに走り続けてきたさつきの体力はもう限界だった。
何度も転び、何度も身体を傷つけ、それでも恐怖に駆られて走り続けてきた。
体力以上に疲弊しているのは、その精神。
見知った者からでも、「怖い!」と感じてしまう。
やっと出会えたのに、東城綾が自分を殺すイメージが頭から離れない。
いつ殺されるか分からない極限状態の中、ちょっとした出来事でさえ彼女にとっては恐怖となった。
そんな彼女に、追い討ちをかける出会いがまた――
- 131 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:32:05 ID:p9xuW6la0
- 「待ってくれ!」
見るからにボロボロ状態で走る少女に、ケンシロウが声をかけた。
「ひっ……!!」
さつきの前に現れたのは、見るからに怪しい男性。
格闘技のテレビ番組でも見たことのないような筋肉に、鬼のような表情を浮かべる男――この時ケンシロウは、殺人者への怒りのせいか、必要以上に顔を強張らせていた。
さつきの脳に咄嗟に叫びこんできたのは、「殺される!」の一言。
「ひ……や、やぃ、ひぃっ……」
恐怖のあまり、まともに話せない。
ケンシロウが全く危害を加えるつもりがないというのも理解できず、さつきは身体を恐怖に支配され、行動する。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁっぁぁぁあぁぁああぁ!!!」
逃げる。
殺される。
死にたくない。
逃げる。
逃げる。逃げる。逃げる。逃げる。逃げる。逃げる!
さつきはケンシロウの横をすり抜け、恐怖に駆られるがままに逃走した。
- 132 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:33:40 ID:p9xuW6la0
- 同じ少女だというのに、初めに出会った斗貴子とはまったく違った表情をした彼女。
容姿のことを言っているのではない。
斗貴子のような戦士の表情ではなく、泣きじゃくれ、疲れきった、弱者の表情。
それを見たケンシロウは、逃げ出すさつきをすぐに止めることができなかった。
彼女はリンと同じだ。
なんの戦うすべも持たない、無力な人間。
あの顔を一目見ただけで、そう確信した。
放ってはおけない!
すぐさまさつきを追おうとするケンシロウだが、その時、脳裏に一つの疑問がよぎった。
このまま自分が追いかけても、いらぬ恐怖を与えてしまうだけではないのか? そしてなにより、
――彼女をにあれほどまでの恐怖を与えたのはなんなのか――
そのことが、ケンシロウは気がかりだった。
もし彼女が追われていたとしたら。
もし彼女が殺されそうだったのだとしたら。
もし彼女が殺人者から逃げていたのだとしたら。
――野放しにはできない!
ケンシロウはさつきがやってきた方角を見る。
あちらに無力な少女を襲うような輩がいるのか。
ひょっとしたら、リンを殺した輩がいるという場合もある。
それは推測でしかない。
自分は今、どうするべきか。
- 133 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:34:28 ID:p9xuW6la0
- アピゲイルから、綾から、ケンシロウから逃げ、さつきは走り続ける。
もう体力も精神もボロボロだが、恐怖が勝手に足を動かしてくれる。
こんな精神では、真中や錬金の戦士たちにあってもまともに会話することができないかもしれない。
信じることも、できないかもしれない。
ただ逃げたくて、さつきは走る。
もう十分ケンシロウから距離は取れただろうか。
山から下山したあたり、さつきの前に、それは現れた。
「おぉ、女はっけ〜ん!」
ケンシロウと並ぶ体格の男性――ダーク・シュナイダー。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあ!!!」
さつきの受難は、まだまだ続く……
- 134 :少女を壊す追い討ち ◆kOZX7S8gY. :2006/01/27(金) 00:35:24 ID:p9xuW6la0
- 【岐阜県山中/日中】
【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式、フェニックスの聖衣@聖闘士星矢
[思考]:1.さつきを追うか、さつきが走って来た道の先にいるであろう殺人者を探す。
※ケンシロウがどちらを決断するかは、次の書き手にお任せします。
2.斗貴子の仲間、核鉄を探し出し、名古屋城へ戻る。
3.2を達成できなくとも午後6時までにいったん名古屋城へ戻る。
4.ダイという少年の情報を得る。
5.名古屋城で合流不能の場合、東京タワー南東にある芝公園の寺へ行く。
【岐阜県山のふもとの町/日中】
【北大路さつき@いちご100%】
[状態]:肉体的・精神的に重度の疲労 左膝けが 各所に擦り傷
[装備]:ブラボーの上着
[道具]:荷物一式(支給品未確認、食料一食消費)
[思考]:1.目の前の男から逃げる。逃げる。逃げる!
2.東城綾への恐怖。
3.殺人鬼アビゲイル(思い込み)から逃げる。
4.東京へ向かい、カズキ・斗貴子・いちごキャラを探す。
【ダーク・シュナイダー@バスタード】
[状態]:左腕に銃創、魔力消耗、右腕打撲
『六芒星の呪縛』による攻撃封印(翌日の午前まで)
[装備]:装飾銃ハーディス@BLACK CAT
[道具]:荷物一式(食料二人分、支給品未確認)
[思考]:1.さつきをハーレムに加える。
2.攻撃できないことに苛立っている。
3.男は殺す、女はハーレムに加える。
4.ゲームを脱出して主催者殺害。
- 135 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:04:37 ID:K9tHJv7TO
- 「…クッ…クゥッ…!」
少女が一人、道を行く。
「…クッ…ハッ…ハァッ…!」
息も絶え絶えに、それでも歩みを止める事無く。
「…わた…し…のッ…せい…で…ッ!」
まるで自ら望んで己を痛めつけるかのように。
「…ハッ…クッ……ゆきめ…さん…がぁ…ッ!」
その目から、溢れんばかりの涙をこぼし続けながら。
「……私の……せいでッッ……!!」
よろついて足をくじき、道にドサリと倒れてしまう。
そのまま意識を手放す。
その体には無数の擦り傷、その服には無数の裂け目…。
もう何度目になるか分からない意識の喪失。
その心も体もぼろぼろになっている少女…イヴは、あの仲間二人を失った戦いの後にしばらく意識を失っていた後、目を覚ました時には周囲に誰も何も残ってはいなかった。
飛影にゆきめごと貫かれて薄れゆく意識の中、聞こえてきたのはたった一つだけ。
飛影にも月にも決して聞こえてはいない、自分だけに聞こえたたった一つの…ゆきめの小さな最後の言葉。
- 136 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:05:59 ID:K9tHJv7TO
-
『…生きて…ね…』
誰に宛てたのか…イヴたちの知らないゆきめの大切な者へ宛てた祈りなのか、イヴたちに宛てた言葉なのか。
それとも…それら全ての者たちに宛てた心からの願いだったのか。
目を覚まし何も無い周囲に気付いた時、イヴはゆきめがこの世から命を失い旅立ったのだという事を無意識の内に感じ取り、一人…涙した。
イヴの体内に存在するナノマシンの影響で小さな傷は短時間で癒えていったが、腹部に受けた大きな傷はさすがにイヴといえども簡単には治らず…時間と共に腹部から大量の血液を失っていった。
血が足りず意識が朦朧とする中それでもイヴは立ち上がり、あても無く足を動かし続けた。
貧血で幾度と無く意識を失い、意識を取り戻してはまた体を起こして足を動かす。
ひたすらに、何かに取り憑かれたように進み続ける。
そのあての無い旅路の中で、昼の放送を断片的だが耳にする。
嫌がおうにも思い知らされる、ゆきめの死という現実。
それと共に知らされる一つの希望。
夜神月・トレイン・スヴェン・リンスレットたちの生存。
- 137 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:07:09 ID:K9tHJv7TO
-
月が自分たちを裏切って立ち去った…そんな事実に気付く事も無く、イヴは月という仲間の無事を知り暖かい物が胸に広がるのを感じた。
しかしそれでも…己を責め続ける事を辞めない。
『…生きて…ね…』
リフレインする…響く声。
生きねばならない。
生かさねばならない。
月を。トレインを。スヴェンを。リンスを。
…まだ見ぬ、全ての優しい人たちを。
再び意識を取り戻す。
再び体を前へと進め始める。
それはまるで、懺悔であるように。贖罪であるかのように。
- 138 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:10:13 ID:K9tHJv7TO
-
「ウキ、ウキキウキッ!(なあルフィ、疲れたから休憩しようぜ!)」
「ん?何だよ猿?なんか食いモンみっけたのか?」
「ウキ!ウキッキキ!?ウキウキ!ウキキキウキャーッ!!(違うっ!また食いモンの話かよ!?俺の木の実やら何やらも全部勝手に平らげちまったのに!お前より俺の方が腹ぺこなんだよ!!)」
「ナ〜ニ怒ってんだよ?まだ木の実食っちまった事怒ってんのか?悪かったって言っただろ〜!?……あぁ〜…ハラ減ったぁ〜…」
悟空を探してひたすら道を行く、腹ぺこの一人と一匹。
いまだに手掛かりもなく…ただ勘を頼りに進むしか無かった。
唯一残っていた食料であるエテ吉の所持していた木の実やキノコ類も、エテ吉の背中のデイパックからルフィが音も無く勝手に抜き取り腹の足しに変えてしまった今となってはこのままでは餓死を待つのみであるという有り様であった。
「あぁ〜…サンジのメシが食いてぇなぁ〜…。どっかに恐竜でも歩いてねえのかなぁ…肉〜…」
「ウキキウキ!ウキ!?(恐竜なんているわきゃねえだろ!原始人か!?)」
エテ吉のツッコミもルフィに通じることもなく、その一人と一匹は地べたに座り込んでため息を吐くだけであった。
- 139 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:35:54 ID:K9tHJv7TO
-
「はぁ〜っ…悟空は見つからねぇし…肉も見つからねぇし…」
「ウキウキ…。ウキッキ…(あれから誰にも会えねえままだからなぁ…。ターちゃんは一体どこにいるんだ…)」
「……そろそろ行くかぁ。メシ探しに…」
「ウキウキッ?ウキ…(悟空探すんじゃなかったのかよ?全く…)」
まるで通夜のような低いテンションで腰を上げ、とぼとぼと出発するルフィたち。
足取りも重く、あてのない探索は続く。
「………ウキ?(ん?)」
「ん〜?今度は何だよ猿ぅ…」
「ウキキ……ウッキ?…ウキ?(この匂い……何だ?…血?)」
「…ん?どこ行くんだよ?まさか…肉か!?肉見っけたのか!!?うおおおおぉッッ!!!に゛ぃ〜〜ッ!く゛ぅ〜〜ッッ!!!!」
神妙な顔つきで前方遠くを眺めながら足を早めるエテ吉をもの凄いスピードで追い抜き、鼻息も荒く目を輝かせ走り去るルフィ。
「ウキッ!!ウキッキ!!ウキ!!(ちょっ!!待てルフィッ!!違う!!)」
ルフィの暴走に慌てて大声で制止するも…時すでに遅く、遙か彼方へ光の粒となる未来の海賊王…。
「…おいお前ッ!!大丈夫かッッ!!?」
「………」
「しっかりしろ!!死ぬんじゃねえッ!!!」
- 140 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:37:05 ID:K9tHJv7TO
-
点々と続く血痕の先、ルフィは見るに耐えないひどい有り様で道に倒れていた一人の少女を見るやいなや顔色を変えて必死に小さな体を揺さぶり声を掛ける。
「どうしたんだお前ッ!何があった!!?」
「……ン……ッ…!だ…れ……?」
必死の呼びかけにようやく意識を取り戻し目をうっすらと開けて、絞り出すような小さく消え入りそうな声で目の前の人物に途切れ途切れに返事を返す。
「俺はルフィ!海賊だ!!しっかりしろ!!」
「かい……ぞく…?」
「んなことどうでもいいっ!しゃべるな!今助けてやる!!チョッパー!!!…は、いねぇんだった……く!ど〜すりゃいいんだよッッ!!?」
必死にあれこれ考えるが、半ばパニック状態の頭は良い妙案も思い付かず…自らのふがいなさに拳を力の限り強く握りしめ地面に叩きつける。
「…ゥキ〜!ウキッキキ〜!?(ルフィ〜!どーしたんだ〜!?)」
「あっ!お〜い猿ぅッ!!大変だ!!こいつ死にそうなんだよっ!!!」
「ウキッ!?ウキキッ!!?(死にそう!?何だって!!?)」
- 141 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:41:08 ID:K9tHJv7TO
-
ようやく追いついてきたエテ吉にも尋常でないルフィの様子はすぐに見て取れ、走り寄る足をさらに速くし二人に駆け寄る…。
「ウキッウキキ…ウキキ、ウキキッキ。ウキッキ〜…(医者の心得なんかほとんど無いけどよ…見たところ、この様子じゃあ命に別状は無いがしばらく絶対安静だろうな。よっぽど無理したんだろうな…)」
「どうなんだ?死なねえんだよな!?」
「ウキ(ああ)」
「そっか…良かった…!」
エテ吉の判断でルフィの上着を破って包帯代わりにし、腹部に応急手当を施し木陰に横たえたイヴの体のかたわらで盛大に安堵のため息をついて胸をなで下ろすルフィ。
エテ吉は心配そうにイヴを見つめながら、ひどく汚れてしまっているイヴの顔を余った布で綺麗に拭いている。
「…本当にありがとう。あなた達…優しい人たちね…」
「へへ…!気にスンナって!いいィよ、礼なんか」
「ウキキキ。ウキッキ(俺は人じゃねえけどな。まあ大事なくて良かったぜ)」
青くやつれた顔で二人に穏やかな微笑みを向けて語り掛けるイヴの様子に、二人は少し照れながらもほっとした様子で朗らかに笑みを返す。
- 142 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:42:35 ID:K9tHJv7TO
-
「それにしても…いってぇナニがあったんだよ?誰かに襲われちまったのか?」
「………」
ルフィのその問いかけを受け、瞳に悲壮の影を落としてしばし沈黙してしまうイヴ。
二人が心配そうに見つめる中…重い口を開き、今までにあった出来事を語り始める。
自分の事、行動を共にしていた仲間の事、襲撃者の事。
…大切な仲間を失った事…。
「……ウキ…ウッキキ…!(そんな事が…あったのか…!)」
「………」
「だから私……一刻も早く、探さなきゃいけないから…!」
一通り話し終え、地に手を突いて体を起こそうとするイヴ。
「ウ!ウキ!?(お!おい!?)」
「助けてくれて、ありがとう。私…クッ!…一刻も早く探さなきゃ…いけないから、休んでるわけには…いかないの!」
- 143 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 07:43:42 ID:K9tHJv7TO
-
「ウキッキ!!ウキキッキ!!ウキッキウキッ!ウッキッキキ!(馬鹿言うな!!全然安静っつっただろ!!俺たちが一緒に探してやるから!今は休んでなきゃだめだ!)」
よろよろと起きあがろうとするイヴを必死に止めようと詰め寄る。
「私を心配してくれてるの?ありがとう…でも、わた…えっ?キャッ!!?」
「ウキッ!?(ルフィ!?)」
イヴの言葉を遮り、ルフィが突然無言でイヴの体を軽々と持ち上げ背中に背負う。
「え!?え!!?」
「…俺が、お前の足になってやるよ」
「…えっ…!?そんな事…!?」
「探しモンが少し増えるだけだ!悟空!!肉!俺たちの仲間!イヴの仲間!」
「……!」
「ついでなんだ。気にすんな!」
「キキ…!(お前…!)」
右手で背のイヴをしっかりと支え、左手は麦わら帽を軽く押さえて…後ろのイヴに向けてニカ!と屈託のない笑みを見せる。
- 144 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 08:07:30 ID:K9tHJv7TO
-
「……ありが……とう………ルフィさん…!」
「ナニ泣いてんだよイヴ!しっかり掴まってなきゃ落ちても知らねェ〜からなっ!」
「……うん…!」
「キキ…ウキ!ウッキッキ!(へへ…よし!出発するかルフィ!)」
「オウッ!行くぞ猿ッ!」
いつもこの男は、悲しみの涙を嬉しさの涙に変える。
それが彼の人を引き付ける魅力。
新たな仲間を加え、その一行が捜し当てる物は…何より価値のある宝なのか。
それとも…。
- 145 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 08:08:31 ID:K9tHJv7TO
-
【新潟県/日中】
【モンキー・D・ルフィ@ONEPIECE】
[状態]:空腹
:わき腹に軽いダメージ
[装備]イヴ
[道具]荷物一式(食料ゼロ)
[思考]1:悟空・自分と猿とイヴの仲間・食料を探す
2:悟空を一発ぶん殴る
【エテ吉@ジャングルの王者ターちゃん】
[状態]空腹
[装備]パンツァーファウスト(100mm弾×4)@ドラゴンボール
[道具]荷物一式(食料ゼロ)
[思考]1:ルフィに同行
2:ターちゃんとの合流
- 146 :涙は包み、溶かされて:2006/01/27(金) 08:24:14 ID:K9tHJv7TO
-
【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:胸に刺し傷の重傷(応急処置済み。血は止まっている)
:貧血
:ルフィにおんぶされてる
[装備]いちご柄のパンツ@いちご100%
[道具]無し
[思考]1:トレイン・スヴェン・月との合流
2:ゲームの破壊
- 147 :安息の時・1:2006/01/27(金) 09:29:54 ID:FbHphrT2O
- ―――諸君、ご苦労。爽やかな朝だ。よく眠れたかね?
一度目の放送の時バーンはこう言っていた。
だが敢えて言うならばそれは無理だ。
少年、星矢はそう思った。理由は後ほどわかる―。
正午――再びあの忌まわしい放送が聞こえてきた。
「また…こんなに…」
今回、星矢の知人は犠牲にならなかったものの、確実にその人数は減ってきている。藍染のような奴が次々と殺人を犯しているのだろうか?
「ハーデス!今度こそ必ず…」
小さな少年の体に天馬のオーラが浮かぶ。
星矢の心にはこれまでに志半ばで散った全ての人たちの小宇宙が宿っている。
また、横で寝ている護らなければならない大切な人のためにも。
一方…精神的ショックから寝込んでいる麗子の夢の中にも主催者の声は届いていた。
- 148 :安息の時・2:2006/01/27(金) 09:36:09 ID:FbHphrT2O
- 中川圭一…
「えっ?」
中川圭一…
「嘘!!」
中川圭一…
「止めて!!!」
中川圭一…
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
叫び声と共に彼女は目を覚ました。体は汗びっしょりで、目はどんよりとしていた。
その顔からは精神的疲労が十分にうかがえる。
主催者の放送は参加者に安らぎを与えてはくれない。休めるときはただ二つ。死ぬか優勝するだけ。
背後からの突然の出来事に、張り切っていた星矢は飛び上がり、急いで寝ている麗子の下へ飛んでいった。
「どうしたの!? 大丈夫かい?麗子さん?」
「星…矢…ちゃん?ひとつ…聞いていい?
さっきの…放送のなかに…中川…圭一って人がいた?」
生気のない声でゆっくりと麗子は喋った。
否定してほしかった。夢であってほしかった。
「中…川…と。」
先程の放送の犠牲者を確認してみる。
ひとり…ふたり…
そして、その中にそれらしき名が見つかった。
- 149 :安息の時・3:2006/01/27(金) 09:37:28 ID:FbHphrT2O
-
真実を言うべきか?
一瞬、戸惑った星矢だったが、やはり嘘はつけない。真実をありのままに麗子に伝えた。
「そう…。やっぱりね……。」
かける言葉が見つからない…
しばらくの間、両者に奇妙な沈黙が訪れた。
その間僅か5分ほどだったが星矢には永遠にも感じられた。
先に沈黙を破ったのは星矢だった。
「あの…麗子さん。もう少し休んでなよ。オレが見張りをしておくからさ」
女性に弱い星矢にとって精一杯考えた上での言葉だった。
しかし、次の瞬間、麗子にあの責任感の強さが戻ってきた。
「何を言ってるのよ。子供のあなたひとりに任せっきりにできるわけないじゃない」
「えっ?」
- 150 :安息の時・4:2006/01/27(金) 09:38:34 ID:FbHphrT2O
- 予想をしていなかった言葉が帰ってきたので星矢はまた驚いた。
「圭ちゃんのことならいいの。私たちは警察官で命を捨てる覚悟はできているわ。
きっと圭ちゃんも市民のために死ねて幸せだったわよ」
彼女が無理をして明るく振る舞っていることにはさすがの星矢にも気付いていた。
鼻声で、涙を流しながらも自分に心配をかけまいと頑張っている彼女をすばらしい女性だと思った。
(でも、オレには明るく話し掛けることはできないよ…)
「あ、そうそう。キルアちゃんはどこへ行ったの?」
中川を忘れるためなのか。仲間を心配しているのか。星矢には分からなかったが、話の転機にはちょうどいいタイミングだ。
星矢は麗子が休んでいる間に起きた事を話しはじめた。
- 151 :安息の時・5:2006/01/27(金) 09:46:43 ID:FbHphrT2O
- 「そ…う。大阪へ…で、どうしたいの星矢ちゃん?」
1、藍染を捜し、決着を付ける。
2、ここに残り、仲間を増やす。キルアの帰りを待つ。
3、四国へ行き、太公望達と合流する。
今までの星矢の思いは番号順だったが、ここへきて決心が固まった。
「オレはしばらくここにいた方がいいと思う。なによりハーデスを倒すには仲間が必要だからね。
近畿には人も多そうだし。」
「でも、いいの。星矢ちゃん?藍染はこの近くにいるのに?」
「もちろん、あいつは許せない。必ずオレが倒してやる。
でも、今は仲間探しが優先だと思うんだ」
本当は(死んでる石崎くんの仇を討つより生きてる麗子さんの安全が優先だよ)
と、言いたかったが恥ずかしくて言えなかった。
「フフ。そう。なら次の放送が終わるまでここにいましょうか。
それから四国へ」
星矢の本当の気持ちを知ってか知らずか、麗子は微笑んだ。滋賀へ来て初めての笑みだっただろう。
その時――――
ドンドンドンドン
突然小屋中にノックの音が鳴り響いた。
まさか。藍染か?
二人の間に緊張が走る。
当然、二人は侵入者に対してエモノを構えた。
ギィィィィ―――
扉は開かれ、侵入者は姿を現した。
しかし、予想に反して、その正体は星矢といくらも歳の違わない少年だった。
- 152 :安息の時・6:2006/01/27(金) 09:47:25 ID:FbHphrT2O
- 【初日滋賀県琵琶湖畔の小屋@日中】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、侵入者との接触。場合によっては戦う。2、六時になったら四国へいき、太公望達と合流。
3藍染、ハーデス達を倒す。
【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】部長、中川の死による精神的ショック(中)【装備】サブマシンガン
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、侵入者との接触。
2、六時になったら四国へいき、太公望達と合流。
3、主催者の打倒。
- 153 :狂気の行く末 ◆drwetRDQqY :2006/01/27(金) 13:38:38 ID:R54fezpZ0
- 対峙する人外の影が3つ向かいあっていた。
ピッコロ大魔王は己の力に絶対の自信を持っていた。
それに加え、目の前に立つのは一見するとただの少年である。
そこには油断も少なからず存在していた。
このピッコロ大魔王の前にたつは飛影。
元はA級妖怪まで上り詰めた魔界の盗賊だ。
元来、相手の出方を待つほどの我慢強さを飛影は持ってはいなかった。
静寂を破り、ピッコロの方へ飛び出していった。
━━━早い・・・が!
側で成り行きをみつめるフレイザードはその少年の死を切実に予感していた
━━━道具を持っていたわけではなかったのか・・・
ピッコロを撃つのはまだだな・・・そうフレイザードは思った。
近づいてくる飛影に対して迎え撃つピッコロ
「とった!!!!」
ピッコロの手刀はあっさりと飛影を貫いていた。
- 154 :狂気の行く末 ◆drwetRDQqY :2006/01/27(金) 13:39:37 ID:R54fezpZ0
- 「あっけないな・・・」
『貴様がな』
捉えたはずの飛影の像が消える。
『残像だ』
その声のする方に瞬間振り向くピッコロ。しかしその時には飛影は黒龍波に次ぐ殺傷能力を誇る邪王炎殺剣の構えに入っていた。
しかし、仮にも大魔王と呼ばれるピッコロ。
咄嗟の反応により致命傷を避ける。
「くっ・・・ぬかったわ・・・」
ブシュ・・・。血の音とともに一本の緑の腕が落ちる。
(く・・・再生能力が追いつかない・・・。腕一本再生するのに数時間はかかりそうだ・・・。この状況はまずい。
この状況でも勝てる可能性はあるが、致命傷を負いかねない・・・。腕一本じゃ前世の実の瓶を空けるのにも時間がかかる・・・。ここは一旦引くか)
「フレイザード!!!!こいつの足止めをしろ!!!」
そういうと、ピッコロは一路森のほうへ走っていった。
「くそ!あのガキめ!!必ず殺す!殺す!!殺す!!!コロス!!!!コロスコロスコロスコロスコロ・・・」
そこでピッコロの意識は途絶えた。
その緑の頭には妖気で覆われた無限刃が完全に刺さっていた。
- 155 :狂気の行く末 ◆drwetRDQqY :2006/01/27(金) 13:41:23 ID:R54fezpZ0
- (フレイザード・・・裏切りおったな・・・)最後の力を振り絞りはしってきたほう振り返るとそこにはフレイザードの影も形もなかった。
フレイザードが裏切ることを予想していなかったわけではない。
しかし、このゲームが始まって陥った初めてのピンチに正常な思考ができなかったのも事実。
ピッコロの敗因はマイナスにしかならない同盟を組んだことにあったかもしれない。
「ケケケケケ。ありがてえぜ。まさかこんなに早くチャンスが巡ってくるとは。ハハハハハハハハハ」
一つの狂気が散り、また一つの狂気が生まれた瞬間であった。
- 156 :狂気の行く末 ◆drwetRDQqY :2006/01/27(金) 13:44:27 ID:R54fezpZ0
- 【秋田県南部/日中】
【飛影@幽遊白書】
[状態]少し疲労
[装備]マルス@BLACK CAT、無限刃@るろうに剣心
[道具]荷物一式、燐火円レキ刀@幽遊白書 前世の実@幽遊白書
[思考]1、幽助と決着を着ける
2、強い奴を倒す
【フレイザード@ダイの大冒険】
[状態]重度の疲労。成長期。傷は核鉄で常時ヒーリング。
[装備]霧露乾坤網@封神演義 火竜ヒョウ@封神演義 核鉄LXI@武装錬金
[道具]支給品一式 ・遊戯王カード1枚(詳細は不明)@遊戯王
[思考]1、体力を回復させる。
2、優勝してバーン様から勝利の栄光を
【ピッコロ大魔王@ドラゴンボール 死亡確認】
【残り96人】
- 157 :狂気の行く末 ◆drwetRDQqY :2006/01/27(金) 13:46:47 ID:R54fezpZ0
- >>155修正します
(フレイザード・・・裏切りおったな・・・)
最後の力を振り絞り走ってきたほう振り返ると
そこにはフレイザードの影も形もなかった。
すでにフレイザードはピッコロとは反対方向へと走り去っていた。
フレイザードが裏切ることを予想していなかったわけではない。
しかし、このゲームが始まって陥った初めてのピンチに正常な思考ができなかったのも事実。
ピッコロの敗因はマイナスにしかならない同盟を組んだことにあったかもしれない。
森の中で一つの狂気が嬉しそうにつぶやく
「ケケケケケ。ありがてえぜ。まさかこんなに早くチャンスが巡ってくるとはな。ハハハハハハハハハ」
一つの狂気が散り、また一つの狂気が生まれた瞬間であった。
- 158 :作者の都合により名無しです:2006/01/27(金) 17:52:22 ID:3Z7SbJiu0
- >>153-157は無効です。
- 159 :作者の都合により名無しです:2006/01/27(金) 19:28:07 ID:K9tHJv7TO
- 感想スレでの議論の結果、>>153-157は無効です。
- 160 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 01:58:56 ID:pbIzu+rp0
- 野上冴子は狂ってはいない。
(まだ、追い付ける。私はあの少年たちを殺す、殺さなければ、絶対に)
髪を振り乱して街中を駆けるその姿は狂人そのものであったが、彼女は決して狂ってなどいなかった。
(必ず殺してみせる)
左手に毒牙の鎖を持ち、右手で荷物を引き摺るようにして走りながら、果たして自分が彼らを追っている
のか、それとも自分が『彼女』から逃げているのか、冴子は分からなくなっていた。二人を殺せ、まもりか
ら逃げたい、どちらの心も紛れない冴子自身の心である。
しかし彼女をここまで追い立てているのは、自身も自覚していないもう一つの感情であった。
(もう一度殺せば、きっと楽になれる。もう苦しまずにいられる)
最初に殺した少女の影を追い払うために。
狂った者なら感じることない罪悪感を、まもりから教えられた狂気で覆い隠そうと。
まもりは確かに悲しい少女であった。けれどそれ以上に、彼女の狂った精神を冴子は求めていた。
新八の体はもうぼろぼろで、走ることすら出来ぬほどに消耗しきっていた。かなりの距離を走ったような
気がするが、実際のところは少しも分からない。
目に入った大きな木の陰にどっと倒れこむと、そのまま額を木に押し付けて彼は泣いた。
(僕が人を殺したと言ったから、あの人は僕を殺そうとした・・・。あの人はここに連れてこられて、色々な
ことがあって、絶望して、人間は汚いものだと思ったんだろう。だから人を殺してしまったんだ。でも、それ
でも迷ったようにこっちを見ていたのに・・もしかしたら、僕が救えたかもしれないのに・・・)
僕も、人を殺してしまったから。罪を、犯したから。新八は火口を殴り殺したときの鈍い感触を思い出す。
先ほど響いた放送で呼ばれた名、僕が殺したあの男も入っていたに違いない。
- 161 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 01:59:41 ID:pbIzu+rp0
- (あのとき僕は、僕自身をも殺してしまったんだ。誰も僕を信じてはくれない。銀さんと神楽ちゃんに会っ
ても、僕は何もできない・・・)
くしゃりと顔を歪ませながら、何度も嗚咽を溢して。お前は悪くないと、そう言ってくれるリョーマがいない
ことが、新八の何もかもを混乱させていた。
疲れきった精神と肉体では、一度決めた覚悟を取り戻すことは難しい。
「見つけた」
カツッ。靴音を鳴らして、否が応にも時間は進む。
澄み切った冴子の声に、一瞬で新八はその身を固めた。背を向けた道の方から、靴音が近付いてくる。
「ずっと真っ直ぐ進むなんて、あなた愚直すぎるわ」
まもりに回復魔法をかけられた冴子と比べ、残された体力すら僅かの新八には分が悪すぎる状況であ
る。けれどそれでも、新八は目の前に光を見た気がした。
(僕は、この人を救いたい)
混乱した脳が冴子の出現で一つの回路を作り出していく。愚直だと笑うなら笑えばいい。
罪を犯した僕に何かできることがあるとすれば、この人を救うことしかないんだ。
- 162 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 02:01:39 ID:pbIzu+rp0
-
「僕はッ僕は人を殺しました・・・!男の頭を何度も殴って、無我夢中で!!
越前君を助けたいと思った。でも、もしかしたらあの男は、越前君を殺そうなんて思ってなかったのかもし
れない。僕は、あなたの言うとおり罪を犯したんだと思います。
・・・でも、こんなこと、絶対に終わらせなきゃって思うから、・・僕はまだ死ねないんだよォ!!」
なけなしの体力を振り絞り、新八は冴子に向かって走り出す。
(この人は迷ってた。僕を殺せば、この人は絶対に救われない!)
ほんの数秒でゼロになるほどの二人の距離、縮む。どんどん縮んでいく。
冴子の目には、新八の動きがスローモーションのように映っていた。
(何を、言っているの?)
その目は、何を伝えようとしているの?
黒の章で見た死にゆく人間の目とも、狂気に囚われたまもりの目とも、何もかもが違う。
こんな生きた人間の目を、冴子は久しぶりに見たような気がした。
- 163 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 02:02:42 ID:pbIzu+rp0
-
ニンゲンは汚い。
セナ以外の人間は私が殺す。
それならば、生きようとする人間は、この世界に不要だろうか。
大きな衝撃が体に走り、冴子の意識はそこで途切れた。左手から毒牙の鎖が落ちる。
(どうか、毒がこの少年を傷付けないように・・・)
- 164 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 02:07:14 ID:pbIzu+rp0
-
【奈良県中部/1日目・日中】
【志村新八@銀魂】
[状態]:重度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折。
[装備]:拾った棒切れ →木の陰に放られている
[道具]:荷物一式、 火口の荷物(半分の食料と水を消費) →同上
[思考]:1、女性(冴子)を救いたい。
2、越前と琵琶湖で合流する。
3、藍染の「脱出手段」に疑問を抱きながらもそれを他の参加者に伝え戦闘を止めさせる。
4、坂田銀時、神楽、沖田総悟を探す。(放送は信じていない)
(現在無我夢中なのでほぼ1のみ)
【野上冴子@CITY HUNTER】
[状態]:黒の章の洗脳、まもりの呪縛から回復?中度の疲労、気絶
[装備]:毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器)
[道具]:荷物一式、食料二人分
[思考]:1、少年(新八)が毒牙の鎖で死なないで欲しい
(毒牙の鎖が新八に当たったか、冴子に当たったか、そのまま地面に落ちたかは次の方に任せます)
- 165 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 11:13:06 ID:pbIzu+rp0
- >>163>>164修正します。
ニンゲンは汚い。
セナ以外の人間は私が殺す。
それならば、生きようとする人間は、この世界に不要だろうか。
大きな衝撃が冴子の体に走り、左手から毒牙の鎖がはらりと落ちる。
自身の体をもって彼女にぶつかっていった新八の黒い髪が、視界の中で揺らめいた。
二人雪崩れこむようにして地面へと。
「お姉さん、もう殺しちゃ駄目だ・・・!!」
これ以上誰かを、自分を、殺さないで欲しい。硬い地面に傷付き汚れた右手を押し付けながら、新八は
全身で冴子を押し留めようと力を込める。
- 166 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 11:13:41 ID:pbIzu+rp0
- (どうか、どうか・・・)
「・・生き、て」
柔い腿に走った微かな痛みを押し殺し。その瞳は虚空を彷徨っていたが、確かな光を宿していた。
締め付けられるような冴子の声に、新八が驚き体を飛び起こす。
数時間前に見た、あの凍りついた笑顔とは違う、確かな笑顔がそこにはあった。
生きるべき人間がここにいたのだと、冴子は笑う。
人を信じることができて、もう何も苦しむことはない。
ごめんなさい、最後にもう一度あの少女に。
ありがとう、思いのすべてを込めて目の前の少年に。
・・・どちらの言葉も、届きますように。
黒の章、そしてまもり。どちらの呪縛からも解き放たれて、『自分』として生きることのできた一人の女。
その最期は眩いほどの笑顔に包まれていたという。
- 167 :生きる瞳 ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 11:14:15 ID:pbIzu+rp0
- 【奈良県中部/1日目・日中】
【志村新八@銀魂】
[状態]:重度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折。
[装備]:拾った棒切れ →木の陰に放られている
[道具]:荷物一式、 火口の荷物(半分の食料と水を消費) →同上
[思考]:1、女性(冴子)を救いたい。
2、越前と琵琶湖で合流する。
3、藍染の「脱出手段」に疑問を抱きながらもそれを他の参加者に伝え戦闘を止めさせる。
4、坂田銀時、神楽、沖田総悟を探す。(放送は信じていない)
(現在無我夢中なのでほぼ1のみ)
【野上冴子@CITY HUNTER 死亡確認】
【残り96人】
- 168 :影と魔の輪舞 ◆drwetRDQqY :2006/01/28(土) 18:37:34 ID:mfHb7csZ0
- 対峙する3つの人外の影。
「ふっ・・・なかなか心地よい殺気を放っておるな」
そういったピッコロ大魔王にはまだまだ余裕の色が見えていた。
名を飛影というこの若干小柄とも言える少年の放つ殺気を、ピッコロ大魔王は軽くいなしていた。
飛影が弱いわけではなかった。
現に彼の放つ殺気は素人目で見てもわかるほど強いもので、大気が張り詰めていくのが感じられた。
(こ、このガキできるな・・・)
フレイザードもそれを察知していた。
そして、チャンスがあれば・・・と密かに己の機を逃すように構えを取った。
飛影とピッコロ・・・二人の間に舞う木の葉が殺気により消し飛んだのを合図に飛影が飛び出した。
速さに自慢を持っていた飛影はいきなり恐ろしいほどのラッシュをしかけた。
大気がどよめき、木々が荒れるほどの猛攻だった。
しかし、その猛攻でさえもピッコロを傷つけるには至らなかった。
「ふはははは。もっと楽しませてみろ!」
「ちっ・・・」
焦りの色を隠せない飛影。それとは対照的に余裕の笑みさえこぼすピッコロ。
飛影は己の額に巻いていた包帯をとった。
「邪眼の力をなめるなよ・・・」
その言葉を放つと同時に、飛影の額に第三の眼が開眼した。
その眼は額だけでなく全身に現れた。
「ほぅ・・・おもしろい」
(な、なんだあの異形は・・・プレッシャーが上がった!?あれならピッコロを・・・)
「貴様も本気を出せ。あとで後悔してもしらんぞ」
その言葉にピッコロは多少の驚きの顔を覗かせた。
「ほぅ・・・大口を叩くか小僧が!ふん・・・気が変わった。その度胸に免じて貴様を生かしておいてやろう。
次にあったときは本気でやってやる」
「貴様に次があると思っているのか?」
そういうと飛影はピッコロに斬りかかる構えをとった。
その時、飛影のほほを熱い何かがカスめた・・・。
そして次の瞬間、後方の森で大きな爆発音が起こった。
それは紛れもなくピッコロが放ったものだった。
- 169 :影と魔の輪舞 ◆drwetRDQqY :2006/01/28(土) 18:38:38 ID:mfHb7csZ0
- ━━今の・・・外れてなかったら死んでいた・・・
飛影の顔色が驚きを含むものから怒りを含むものへと変わっていった
━━なぜ・・・なぜ外した?手加減された?この俺が・・・!!!???
そこまで思考がいくと彼の肉体はピッコロへ向かっていくことを選択した。
しかし、その飛影よりも早くピッコロは動き、飛影の動きを封じた。
「殺せ・・・」
飛影はそうつぶやいた。彼には氷泪石を探すという目的も、幽助と呼ばれる男と戦うという目的もあった。
しかし彼は心のどこかで自分が死ぬというのも悪くないと考えていた。
ここで死んだとしても彼には後悔はなかった。
「ふん・・・まぁそういうな。俺は貴様が気に入ったんだ。光栄に思え。
俺は妙に善人ぶったり身の程を知らぬ輩は好かんが、
貴様のような生意気な奴は嫌いではない。今はまだ生かしといてやろう。その命をどうするかはお前次第だ」
そういうと、ピッコロはその場に飛影を残して森の奥に去っていった。
フレイザードはその後を追うように森の中に消えていった。
(ピッコロ大魔王・・・甘い・・・甘すぎる!!)
フレイザードはそう思っていた。
「不思議か?フレイザード?」
まるで心を読んだかのようにそのまま話を続ける
「このゲーム以前も言ったように厄介なのは善人面したようなゴミが徒党を組んで襲ってくることだ。
ならば、徒党を組み強固な結束ができる前に減らすのが一番良い策だ。しかし、いくらこのピッコロ大魔王といえども、
身体は一つ。全ての集団を潰すにはいささか時間がかかる。
ならばあのような決して他人に媚びない輩を使い手伝ってもらうほうが得策だとは思わんか?最後にやつを殺せば結局は同じことよ」
(なるほど・・・確かに理にはかなってやがる・・・やはりピッコロ大魔王・・・油断にならん。それも己の力に絶対の自信を持っているからこそか・・・)
改めて早く手を打たねばという思いが頭を張り巡った。
- 170 : ◆Ksf.g7hkYU :2006/01/28(土) 18:39:23 ID:pbIzu+rp0
- >>167修正します。何度もすみません。
【奈良県中部/1日目・日中】
【志村新八@銀魂】
[状態]:重度の疲労。全身所々に擦過傷。特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折。
[装備]:拾った棒切れ →木の陰に放られている
[道具]:荷物一式、 火口の荷物(半分の食料と水を消費) →同上
[思考]:1、女性(冴子)を救いたい(冴子の死にはまだ気付いていない)。
2、越前と琵琶湖で合流する。
3、藍染の「脱出手段」に疑問を抱きながらもそれを他の参加者に伝え戦闘を止めさせる。
4、坂田銀時、神楽、沖田総悟を探す。(放送は信じていない)
(現在無我夢中なのでほぼ1のみ)
【野上冴子@CITY HUNTER 死亡確認】
【残り94人】
- 171 :影と魔の輪舞 ◆drwetRDQqY :2006/01/28(土) 18:41:27 ID:mfHb7csZ0
- 飛影はしばらく倒れこんだままだった。
━━━━ 手 加 減 さ れ た
こ の 俺 が ? ━━━━
「くっくくっくっくっく・・・はーっはっはっはっはっは!!!!!!」
ピッコロ大魔王とか言ったな・・・この俺を生かしておいたことを必ず後悔させてやる。
彼の眼には狂気がやどっていた。
それは幽助と出会う前の・・・。蔵馬と出会う前の・・・。
たった一人で魔界の世界を生き抜いていたころの寂しく・・・そして悲しい眼でもあった。
一陣の風とともに黒き衣を羽織った狂気が飛び立っていった。
- 172 :影と魔の輪舞 ◆drwetRDQqY :2006/01/28(土) 18:46:40 ID:mfHb7csZ0
- 【秋田県南部/日中】
【飛影@幽遊白書】
[状態]中程度の疲労
[装備]マルス@BLACK CAT、無限刃@るろうに剣心
[道具]荷物一式、燐火円レキ刀@幽遊白書
[思考]1、ピッコロを倒すために修行(参加者との戦闘)
2、ピッコロと決着を着ける
3、幽助と決着を着ける
4、氷泪石を探す
【フレイザード@ダイの大冒険】
[状態]中程度の疲労。成長期。傷は核鉄で常時ヒーリング。
[装備]霧露乾坤網@封神演義 火竜ヒョウ@封神演義 核鉄LXI@武装錬金
[道具]支給品一式 ・遊戯王カード1枚(詳細は不明)@遊戯王
[思考]1、体力を回復させる。
2、隙あらばピッコロを倒す
3、優勝してバーン様から勝利の栄光を
【ピッコロ@ドラゴンボール】
[状態]:軽い疲労
[装備]:なし
[道具]:荷物一式 前世の実@幽遊白書
[思考]:1.フレイザードを利用してゲームに乗る。とりあえず南下。
2.残り人数が10人以下になったら同盟解除。バッファローマン、悟空を優先。
3.最終的に主催者を殺す。(フレイザードには秘密)
- 173 :影と魔の輪舞 ◆drwetRDQqY :2006/01/28(土) 18:49:13 ID:mfHb7csZ0
- >>168訂正します
己の機を逃すように→己の機を逃さぬように
- 174 :影と魔の輪舞 ◆drwetRDQqY :2006/01/28(土) 19:02:06 ID:mfHb7csZ0
- >>169何度も訂正すいません・・・
━━なぜ・・・なぜ外した?手加減された?この俺が・・・!!!???
そこまで思考がいくと彼の肉体はピッコロへ向かっていくことを選択した。
しかし、その飛影よりも早くピッコロは動き、飛影の動きを封じた。
の部分を
━━なぜ・・・なぜ外した?手加減された?この俺が・・・!!!???
そこまで思考がいくと彼の肉体はピッコロへ向かっていくことを選択した。
その動きは邪眼の力を使う前と比べて大幅に速くなっていた。
しかし、ピッコロはその飛影よりも早く動き、飛影の動きを封じた。
に変えます
- 175 :新たな出発 1/7:2006/01/29(日) 09:15:55 ID:MrjHoDIN0
- 両津・サクラ・乾・ヤムチャの4人組は、とりあえずぬ〜べ〜と合流するために兵庫県へと向かっていた。
ヤムチャはすぐにでも悟空を探しに行こうと強く主張したが、結局は他の3人に押し切られる形で彼らに従った。
前衛をサクラと両津、少し離れて後衛をヤムチャと乾いう並びで兵庫へと歩みを進める4人は、
何事も無く順調に歩き続け、兵庫県に入ってしばらく経ったころに放送が始まった。
「中川が死んだ…」
昼の放送が終わって、両津は放心したように空を見上げる。
「中川…さんって、両津さんのお友達だったんですよね…」
サクラが遠慮がちに話しかけると、両津は彼女の方に振り向きながら、力なく笑った。
「あぁ、アイツは超がつくほどの大金持ちでな、ギャンブル好きなワシはよく金を借りていたものだ。
…思えばいろいろ無茶な頼みをしてきたが、アイツはそれでもワシと親しくしてくれていた…」
中川との様々な思い出が両津の脳裏をよぎる。
いろいろな大会に二人で出場したり、外国に行ったり、バカな遊びをやったり…
「両津さん……」
「なに、心配するな。わしは大丈夫だ。警官がこんな事でくじけてはおれんからな。
…それにあいつも警官だ。戦う力のない一般人を守るために戦って立派に殉職したと信じている」
「…そうですね」
両津は「さて」と話をそこで区切ると、後ろの二人に向かって呼びかけた。
「おーい、ちょっと来てくれ」
- 176 :新たな出発 2/7:2006/01/29(日) 09:16:32 ID:MrjHoDIN0
- 乾とヤムチャが合流すると、両津は話を切り出した。
「午前中にも言ったように、これから鵺野先生という人と合流する予定だ。
さっきから時々スカウターをチェックしていたが、鵺野先生は兵庫県から動いていな……ん?」
両津はスカウターに眼を凝らす。
…おかしい。鵺野先生と思われる反応の戦闘力がさっきよりもかなり上昇している。
誰かと戦闘中かとも思ったが、近くにそれらしい反応はない。
「どうしたんです?なにかおかしな情報でも…」
乾が質問すると、サクラも疑問の表情を浮かべて両津を見る。
「……いや、鵺野先生の様子がちょっとおかしいんだ。戦闘力が高まっているが、戦闘中ではないらしい」
「修行でもしてるんじゃないのか?俺や悟空なんかは、修行中に気を高めたりするからなぁ」
ヤムチャだけは大して気にしてない様子だ。
「それならいいが……よし、ワシが様子を見てくる。鵺野先生が警戒するといけないから、あんたたちはここにいてくれ」
「私も行きます!もし怪我をしてたりしたら、私は役に立てますから」
「……わかった、サクラも来てくれ。ヤムチャさん、すぐに戻ってくるから乾を頼む」
「…OK。何か異変を感じたらすぐに駆けつける」
両津は小さく頷くと、サクラと共にスカウターの反応に向かって走って行った。
- 177 :新たな出発 3/7:2006/01/29(日) 09:17:10 ID:MrjHoDIN0
- 一歩、また一歩。
踏みしめるように足を進めて行く、鬼の形相をした独りの教師ぬ〜べ〜。
その呼吸は荒く、顔には汗が流れ、拳は血が出るほど握り締められている。
「………誰だ!?」
極限まで研ぎ澄まされた感覚が、森の中からやってくる人の気配を捕らえた。
「鵺野先生、ワシだ。両津勘吉だ」
「両津さん……ふぅ…」
知り合いに会えたことでほんの少しだが安心感を覚えたぬ〜べ〜は、両津の側へ駆け寄った。
「両津さん、無事でよかった。…ん、こっちの女の子は?」
「春野サクラです。両津さんと一緒に行動しています。あ、仲間はあと二人いますけど」
幼さと女らしさを併せ持つサクラの面立ちに、ぬ〜べ〜は自分の教え子たちの姿を重ねる。
あいつらも中学生くらいになったら、この子みたいになるのだろうか、と。
「(郷子も、あと何年かしたら…………っ!)」
いきなり近くの気に拳を叩きつけるぬ〜べ〜。
それを見て、両津が心配そうに声をかける。
「鵺野先生、あんた大丈夫なのか?スカウターで見ていたら、戦闘力がいきなり上がっていて驚いたぞ」
「………」
「鵺野せん…」
「…ゆきめが!……なんで彼女が!…うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こらえきれなくなったのか、ぬ〜べ〜はその場に崩れ落ちると、背中を振るわせた。
- 178 :新たな出発 4/7:2006/01/29(日) 09:18:02 ID:MrjHoDIN0
- しばらく突っ伏していたぬ〜べ〜だったが、やがて起き上がると手短にゆきめのことを話した。
「そうか…それはなんと言っていいのか…」
「……無理に慰めてもらわなくても大丈夫だ。両津さんだって、上司と部下を亡くしているんだから」
「それはそうだが…」
「…今は、一刻も早くこんな馬鹿げたゲームとやらを止めさせることだ。それが郷子やゆきめへの供養になると思う。
そしてそのためには、このゲームに乗っている殺人者どもを…殺さなくては」
最愛の人を失った悲しみと怒りが、今のぬ〜べ〜の心には満ちていた。
「…早く、残りの仲間を連れてきてくれ。時間が惜しい。その後は玉藻と伊達くんを探す。
そうしたら、殺人者どもと主催者とかいう奴らを殺して、ゲームを終わらせる」
鬼のような顔で虚空を睨みながら、ぬ〜べ〜は噴出しそうな怒りを必死にこらえ、そう言った。
両津はそんなぬ〜べ〜を辛そうに見る。
「鵺野先生…いや、なんでもない」
「? 何かあったらはっきり言ってくれ」
「…今はいい」
今、憎しみや復讐のために行動するのはやめろと言っても、恐らくは聞き入れないだろう。
時間をかけて、ゆっくりと対処するしかない。
もし、今のまま憎しみに囚われて続ければ…最悪は死ということもありうる。
- 179 :新たな出発 5/7:2006/01/29(日) 09:28:04 ID:MrjHoDIN0
- ヤムチャたちと合流し、さて出発しようというところで問題が。
「冗談じゃないぜ!主催者と戦うっていうなら悟空の力は絶対必要だ!」
「だが、どこにいるのか分からないじゃないか。スカウターを使っても『この反応が悟空だ』と断言できるような強い反応はない。
それよりも、近くにいるであろう玉藻たちを探す方が確実だ!」
「それは悟空が気を押さえているからだ!気を解放すれば、おそらくこのゲームにいる誰よりも強いはずだ!」
こんな言い争いがもう何分続いただろうか。
ゲームを終わらせるためには悟空を探すべきだというヤムチャ。
見ず知らずの相手を信用するより、自分が知っている相手を探したいぬ〜べ〜。
ヤムチャとぬ〜べ〜の激しい言い争いは、全くの平行線だった。
見かねた乾が口を挟む。
「二人とも落ち着いてください。今までの話から判断すると、確かに悟空さんという人の強さは桁違いに思えます」
我が意を得たりとばかりに得意げな顔をするヤムチャ。
「しかし、確かにどこにいるのか今ひとつハッキリしない。これでは探すことができません」
今度は少ししょんぼりするヤムチャ。
「そこで、二手に分かれましょう」
「…つまり、鵺野先生と一緒に玉藻さんたちを探す班と、ヤムチャさんと一緒に悟空さんを探す班に分かれるのね」
「そうです。お二人はそれぞれの探し人を知っているわけですから、一緒に行動しては意味がない」
「さらに、ヤムチャさんの方にはスカウターが必要なわけだ」
両津はスカウターを外すと、ヤムチャの前に置く。
「これから先、あちこちで戦闘が起こるだろう。それをしっかりチェックして、一番強い反応を探す…そうだな、乾?」
「はい。もちろん、強力なマーダーに当たってしまう可能性も高い…しかし、スカウターを使えば敵の接近を事前に察知できます」
「お、俺がチェックするのかよ…自信ないぜ」
- 180 :新たな出発 6/7:2006/01/29(日) 09:39:30 ID:MrjHoDIN0
- ヤムチャはそんな言い訳をして、スカウターをつけようとしなかった。
サイヤ人がつけていた機械なんてつける気にならないというのが本音であるが。
「じゃあ」と、乾はスカウターをサクラの前に置く。
「春野さんがチェックしてください」
「え、つまりそれって、私がヤムチャさんと組むってこと?」
乾は頷いて、自分の支給品を取り出してみせる。
「俺の支給品はこの通り弾丸です。俺は両津さんと一緒にいた方がいいでしょう。
それと…いえ、なんでもないです。異論がなければこれで決めたいと思いますが」
実は乾は、「鵺野先生は両津さんと一緒の方が良さそうなので」と言いかけたのだがやめておいた。
最愛の人を失って精神状態が不安定と思われる鵺野先生には、恐らく両津さんの存在が助けになるはずだと思っていたが、
そんなことを言うと本人が反発するかもしれないので。
「じゃあ、これを渡しておくわ」
サクラは自分の銃を乾の前に置く。
「私は武器が無くても戦えるから、あなたが持っていて」
「…わかりました。必ず、後でお返しします」
次にサクラは、両津からスカウターの使い方を教えてもらうと、さっそくそれをチェックしてみた。
「大阪にたくさん反応がある…かなり強いのもいるわね」
「あぁ、もし大阪に行くなら気をつけた方がいいな」
「両津さん、鵺野先生、今までに気づいた範囲で良いんですけど、一番強かった反応ってどこにありました?」
二人は少し話し合っていたが、やがてぬ〜べ〜が「見間違いかもしれないが」と前置きをしてから言った。
- 181 :新たな出発 7/7:2006/01/29(日) 09:40:10 ID:MrjHoDIN0
- 「ほんの一瞬だが、長野県に凄い反応があった…と思う。もう一つ強い反応があったから戦っていたのかもしれない。
だが、少し後に両方とも反応が小さくなってしまった。その後はチェックしてないから分からない…」
「それ、いつ頃でした?」
「まだ夜のうちだった。…それを探してみるのか?」
「えぇ。ちょっと距離はありますけど、私とヤムチャさんなら行けない距離じゃありませんし…それに、賭けてみたいんです」
サクラの真っ直ぐな瞳に、再び教え子のことを思い出すぬ〜べ〜。
(この瞳を持った子供たちを守るために俺は……殺人者たちを殺さなくては…)
子供のために。
本当にそうなのかは、ぬ〜べ〜自身にも分からなかった。
話し合いが終わり、二手に分かれたグループは、それぞれの目的に向かって歩き始める。
「鵺野先生・ワシ・乾のグループは玉藻と伊達を探す」
「私とヤムチャさんは、悟空さんを探す」
「合流は明後日の朝、この場所で…無理なら琵琶湖で」
「…全員生きてればいいな」
「……これ以上、誰も殺させない!」
- 182 :新たな出発:2006/01/29(日) 09:40:50 ID:MrjHoDIN0
- 【兵庫県中央/1日目・日中】
【公務員チーム+α】
共通思考:3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
【鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:怒りで霊力上昇。反動で体力消耗
[装備]:御鬼輪@地獄先生ぬーべー
[道具]:水を七分の一消費した支給品一式
[思考]:1.武器を探しながら、伊達、玉藻と合流する
2.ゲームに乗っている人を全員殺す(主催者含む)
【両津勘吉@こち亀】
[状態]:健康
[装備]:マグナムリボルバー(残弾30)
[道具]:支給品一式(一食分の水と食料を消費)
[思考]:1.伊達、玉藻と合流する。
2.時間をかけて鵺野の心をなんとかケアしたい。
3.仲間を増やし主催者を倒す。
【乾貞治@テニスの王子様】
[状態]:健康
[装備]:コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準は滅茶苦茶)
[道具]:荷物一式。(一食分の食料と水を消費。半日分をヤムチャに譲る)手帳 弾丸各種
[思考]:1.両津、鵺野と共に仲間を増やす。
2.越前、跡部と合流して脱出を目指す。
- 183 :新たな出発:2006/01/29(日) 09:41:28 ID:MrjHoDIN0
- 【兵庫県中央/1日目・日中】
【ヤムチャとお守り】
共通思考:3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
【春野サクラ@NARUTO】
[状態]:若干の疲労
[装備]:スカウター@ドラゴンボール
[道具]:荷物一式。(一食分の食料と水を消費。半日分をヤムチャに譲る)
[思考]:1.スカウターを使って隠密行動をしながら、ヤムチャと共に悟空を探し仲間を増やす。
とりあえず強い反応があった長野県に向かってみる。(強い反応の正体は悟空の界王拳です)
2.ナルト、シカマルと合流して脱出を目指す。
3.大蛇丸を見つける
【ヤムチャ@ドラゴンボール】
[状態]:右小指喪失 左耳喪失 左脇腹に創傷(全て治療済み)
超神水克服(力が限界まで引き出される) 五行封印(気が上手く引き出せない)
[装備]:なし
[道具]:乾とサクラから貰った一日分の食料。(一食分の水と食料を消費)
[思考]:悟空を探す。
- 184 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:06:18 ID:XdS6oN880
- 「おい、友情マン」
先を行く連れに投げ掛ける桑原和真の声に満ちる、不満と怒りの色。
僅かとは言え行動を共にした仲間――ガラの死を確認してから、幾らか時間が経過し、
真上だった太陽は僅かばかり西のほうへ傾き始めていた。
大小二つの影。其の間には、先程までは在り得なかった――数mの距離。
急ぎ足の友情マンに、桑原は何度も声を掛けるが、彼は答えようとしない――唯、先を急ぐと。
「黙ってねえで返事ぐれえしたらどーだってんだ、ああん?」
つと。遂に我慢の限界に達し、桑原は足を止める。
基より人相の悪い顔には深い深い皺が刻まれ、今にも彼の身に般若が光臨しそうでさえある。
後ろを歩いていた足音が止まった事を感じ、友情マンも仕方なく、立ち止まった。
神妙な顔をして振り向き、
「なんだい桑原君。先を急ぐと言ったろう。まさかもう疲れたなんてこ――」
「ヤツは海側だと言った筈だぜ」
殺気だった桑原の気を解すために、可能な限り柔らかに語りかけた友情マンの言葉が、
全て吐き切る前に中断させられる。彼は、海の方角を見ていた。二人が歩くのとは、逆の方。
――ガラを殺した相手"ブチャラティ"
おかっぱの外国野郎の後を追い、殺されたガラの仇を討つ。其れが二人の行動方針だった筈だ。
桑原和真には優れた霊感がある。彼の目は霊の位置を感じ、彼の鼻は死の匂いを嗅ぎ分ける。
桑原和真は頭も人相も悪く、お調子者で、乱暴で下品ある、然し――情に厚い男だ。
一時とは言え仲間であったガラを殺害した"ブチャラティ"を許すことなど断じて不可能。
死んだガラの残り香を追えば、必ずや"ブチャラティ"に辿り付く筈だ。それなのに――
「俺は馬鹿な不良で地図も大して読めねえが、山と海との違いぐれえ分かる。
生い茂る林、坂道、木の香り。こっちは山側だ。
もう一度言うぜ、友情マン」
山程の不良が、ヤクザさえもが恐れを成して逃げ出す眼光がハート型の顔を、射抜く。
「ヤツは海側だ」
- 185 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:07:56 ID:XdS6oN880
- −−−−−−−−−−−−−
ドスをきかせた声が耳に響く。
提案なんて生易しいものではない。募る不満と怒りから生じた、静かな脅迫だった。
(……参ったな。コレだから頭の悪い不良は困る。)
表面上は神妙そうな表情を作っておきながら、友情マンは思い通りに動かない桑原に憤りを感じていた。
無論、友情マンとて可能なら"ブチャラティ"を討っておきたいという気持ちもある。
ガラとの戦闘で確実に安くない傷を負っている筈であるし、単独であることまで分かっている。
負傷者に、此方は二人。単純に考えれば勝率はかなり高い筈だ。然し――如何しても気になることがある。
(何故、"ブチャラティ"はガラ君の斬魄刀を"持っていかなかった"のだろうか?)
ガラの死体は焼き焦げ、殴打され、右腕が失われていた。そして傍らに残された"斬魄刀"。
――不思議な話だ。このゲームの参加者であれば、武器を持っていかない筈はない。
"ブチャラティ"が参加者を殺すほどゲームに乗った者であれば尚更だ。
故に、斬魄刀が残された理由は幾つかに限定される。
1.使えなかった
――刀を使いこなす自信がなかった。
然し、刀は鎖鎌やトンファーなどの扱いの難しい武器ではない。
突き刺し、殴りつけるぐらいなら素人でも扱える筈だ。素手であるより安心を得られるのでは?
多少使う自信がないからといって放置するだろうか?"一応"持って行こうと考えるのが自然じゃないか?
2.拾う時間がなかった
――ガラの仲間が到着するのを察知し、拾っていては追いつかれると感じた。
ガラの死後、自分達は直ぐに到着したのだから、或いは単純に拾う暇がなかったのかもしれない。
"ブチャラティ"はガラの武器を狙って襲撃してきたが、思わぬ反撃に合い傷を負った。
其れでも何とかガラを倒し、武器を拾って逃げようとしたところに友情マン達の到着を感じ――
- 186 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:21:25 ID:XdS6oN880
- いや。一見正解のようだが、これはこれで不可解なのだ。
"ブチャラティ"は如何なる理由か、"ガラの右腕を持ち逃げしている"
――右腕を拾う暇があるのに、刀を拾う暇がなかった? そんな馬鹿な。
("ブチャラティ"には十分時間はあった。敢えて、"斬魄刀を置き去りにしたのだ")
そう友情マンは結論付ける。となれば、斬魄刀が残された真の理由は何か?
3.必要なかった。
――簡単だ。必要なかったのだ。
見たところヤツは少なくとも2名の参加者の死に遭遇している。
両方が女性で、そして彼女らは武器を持っていなかった。――誰かに武器を奪われた。
これらの事実から友情マンは思考する。
"ブチャラティ"は斬魄刀を必要としない程強力な武器を備えているのではないか?
ガラの死体は焼き焦げた後があった。火炎放射?レーザー砲? 何にしろ厄介だ。
相手の武器が分からないのに向かって行っては、勝利はするだろうが、手痛い反撃も貰うだろう。
二度目の放送によれば、今度の死者は14名。未だ100名近く残っている。
(――勝ち残ることを考えれば、今は未だ戦いを避けるべきだ)
青森付近には例の緑の殺戮者も居る。"ブチャラティ"と相打ちになってくれるかもしれないのだ。
初めからガラは"捨て駒"だった。彼は盤上から取り除かれたが、代わりに自分は無傷だ。役に立った。
今、情に流され、残った桑原と言う駒まで失うべきではない、大勢を見失うべきではない――
そう考え、友情マンは"ブチャラティ"を探す振りをしながら、南下していたのだったが。
福島に辿り付いた辺りで、遂に誤魔化し続けるのにも限界が来たのだった。
−−−−−−−−−−−−−
- 187 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:23:25 ID:XdS6oN880
- 一つ、息を吐き、友情マンは口火を切った。
「……嘘を言ってすまなかった」
「嘘ォ? おい友情マン、そりゃあどういう……」
一気に詰め寄ると友情マンの胸倉を掴み、力を込めて持ち上げる。桑原の苛苛の臨界点は突破する寸前だった。
友情マンは実力を隠してさえいるが、本来は兄である勝利マンと同等近くの実力を持つ。
たかが人間の桑原の手を振り払うことなど造作もない。だが今は桑原の成すがままに任せた。
――相手は単純馬鹿な不良青年だ。押せば押し返す。叩けば叩き返す。寛容こそが、手綱を取るに必要。
「確かに今、私達は"ブチャラティ"を追ってはいない。寧ろ離れつつある、けれどそれは……」
「何だとォ?テメー友情マン、迷ったとかじゃなあなく、判っててやってやがったのか?
くッ……、何でテメェ!理由を聞かせろ!返答次第じゃただじゃすませねえ!」
意気消沈したように顔を背ける友情マンの表面上の真意を耳にし、
桑原は声を荒げ、自分よりは小さな身体をがくがくと力任せに振り回す。呼吸が遮られ、苦しそうに呻き、
「ごふっ…… 私は……怖かったんだ。どうしようもなく怖かったんだ」
「ああ?怖いだあ? テメェ友情マン、今更何くだらねェこといってやが――」
「だってあのガラ君が……ガラ君を殺せるような相手だよ? 確かに桑原君は強いから仇討ちも可能かもしれない。
けれど、如何しても考えてしまうんだ――、私のことじゃあない。桑原君が」
大きな瞳を潤ませ、桑原和馬の瞳を覗き込む。静寂が二人を包み、時間が止まるような気がした。
「桑原君まで居なくなっちゃったら、私は……こんな狂ったゲームに一人、如何したらいいのか……うう」
胸倉を乱暴に掴まれ、動きを拘束されながら、空を見据えた友情マンの瞳からは一筋、涙が零れていた。
「友情マン、テメェ……」
湿っぽい場の空気に耐え切れず、渋々桑原も腕の力を抜く。
頭は悪いが、彼も愚かではない。ガラの仇を討ち、無念を晴らす。けれど其の先に何がある?
ガラは我が身を犠牲にしてまで、自分達を生かしてくれた。ならばこの命を大切にするべきなのではないか。
先ずは幽助達と合流し、仲間を増やし、主催者達をぶちのめす。目先の感情に囚われてばかり居ては駄目だ。
分かってはいる。頭では分かっているのだが――
- 188 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:25:19 ID:XdS6oN880
- ――難しいこと考えんな。らしくねェな、桑原のクセによ?
「浦飯………… くッ」
乱暴に友情マンを突き飛ばし、頭をかきむしる。苛苛する。脳裏を過ぎるのは、けして友とは呼べぬ男の笑顔。
「桑原君………」
作戦は上手く行った。桑原和真はステレオタイプの不良。泣き落としは有効である、実際、効果覿面――
誤解した友情マンは駆け寄ろうとし――
「触ンな!!」
――腕を振り払われた。「え……?」何が起こったのか友情マンは直ぐには理解出来ない。ただ、呆然。
何とも言えぬ友情マンの瞳を見て初めて、桑原ははっと我に返る。
力任せに動いたせいか感情の昂ぶりは幾らか収まった。途端、とんでもないことをしてしまった気になる。
「…………悪い。
友情マンはオレのこと、心配してくれたんだよなぁ。分かっちゃいる、分かっちゃいるんだ……だがよぉ」
膝を折り頭を抱え、地面に座り込む。ガラは気のイイ男だった。僅かばかりしか行動を共にしなかったが、"仲間"だった。
友情マンは優しく、親切で、頼りがいもある。偽りの正義の味方の本性を知らぬ桑原は少なくともそう信じている。
ガラが仲間なら、友情マンも仲間だ。自分の感情一つで、無理をさせるわけにもいかない――けれど。
「浦飯なら……、浦飯の野郎なら、逃げ回ったりしねえ」
「え…?」
気にいらねえヤツはぶん殴る。浦飯幽助は単純明快な阿呆だ。けれど、其の分かり易さには好感を持っていた。
最高に毛嫌いしていた馬鹿の顔が、脳裏に張り付いて離れなかった。何だ逃げんのかよ桑原。なっさけねえなあ?
何処かで生きている幽助の顔は、不甲斐ない桑原を嘲笑い、舌を出し、あろう事か尻まで叩いて――
「ちっきしょうがっ!色々考えるのはもう止めだ!あの馬鹿に笑われることだけは耐えられねえ!
――悪いが友情マン。オレはやっぱり、"ブチャラティ"を追う」
すっくと立ち上がった彼の真摯な瞳。見据えるはただ、ギャングの待つ海。
多少は聞いていたが、浦飯の人間性も、桑原との関係性も詳しくは知らない友情マンには全て唐突のことに思えた。
- 189 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:26:56 ID:XdS6oN880
- 全くこれだから、単細胞は扱いに困る――此処で彼に逃げられては堪らない。慌てて腕を取ると、
「待ってよ桑原君!
相手は怪我人だ。何も君が相手をすることはないじゃないか!ほっとけば間違いなく死んじゃうよ。
君があの"ブチャラティ"に構ってる間にも、君の友達――浦飯君と飛影君は、苦しんでるかもしれないんだよ」
咄嗟に彼の仲間の名を出し、引き止めようと画策する。零した"浦飯"は桑原の友の名だった筈。
桑原和真は情に脆い、自分の安全では思い止まらせることが出来なくても、旧知の知り合いの安全ならば――
「それこそ心配いらねえ」
完全に逆効果だった。幽助と飛影が自分の不在のために、怯え竦む?――想像する方が難しい。
「あの馬鹿どもは、馬鹿だが、この程度の逆境に負ける程の弱虫じゃあねえ。
寧ろ嬉々として楽しんでやがる場面の方が思い浮かぶぜ。――洒落にならねえな。何人か殺しちまったかもしれん。特に飛影。
まあ、俺が早めに行って止めてやらねえと、暴れすぎちまうかもしれねえって心配はあるが」
冗談のつもりだった。然し冗談になってないことに気が付いて青褪める。
学ランのポケットに手を無造作に突っ込み、
「何にしてもオレの意思は固ェぜ。ガラの仇はきちんとオレが始末をつける。
心配すんな。別に一緒に来いたァ言わねえよ。好きにするといい。
――テメエとは短い縁だったが、親切さには救われたぜ。あばよ、友情マン」
言いたいことだけ告げれば、もう足早に歩き始めている。
桑原の目には、最早殺人鬼"ブチャラティ"の姿しか映っていなかった。ヤツはオレが、ぶちのめす。
- 190 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:28:28 ID:XdS6oN880
- 思わぬ事態に桑原の背を睨みつけながら、友情マンは即座に損得を勘定し、天秤に掛ける。
彼を追えば、強力なマーダーと戦う可能性がある。けれど、彼の友人の強力な仲間と友達になれる。
彼を見送れば、一先ずは戦闘を避けられる。けれど、新たに自分を守ってくれる友達を探さなければならない。
――正解はどっちだ? 両方に損があり、両方に利がある。慎重に事を進めなければならない。
友情マンの脳裏に浮かんだのは、血に染まる貫手。ペドロ・カズマイヤー。最初の犠牲者。背を向けた桑原。
――殺すのもありかな。
そうすれば"ブチャラティ"を追わずに済む。
彼の友達には、彼が如何に残忍に殺されたかを吹き込もう。きっとコイツと同じ単純馬鹿だ。
仇を討つとか言い出して上手い具合に操れるに違いない。どうせ此処で分かれるのなら、いっそ――
縮まる二人の距離。殺意の腕が、桑原の背に迫り――――
ずだん!
- 191 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:34:45 ID:XdS6oN880
- 「武器を持っているなら捨てろ。
私達はゲームに乗る気はないが、妙な動きをすれば派手にぶちまけて貰うことになる」
放たれたショットガンが足元の地面に突き刺さる。身体を狙わない一撃は、明確な威嚇だ。
振り返った桑原と、そして友情マンの前に現れたのは、顔に傷のある少女。斧を持つ青年。
驚きを隠せない友情マンと桑原に向かい、彼女は言い放った。覚悟を持った一言を。容赦を見せぬ一言を。
「――臓物(ハラワタ)をな」
- 192 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:35:43 ID:XdS6oN880
- 福島県南西部/日中】
【偽りの友情】
【友情マン@ラッキーマン】
[状態]:健康
[装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)
[道具]:荷物一式、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分、ラーメン類品切れ)、青酸カリ。
[思考]:
1.新たに現れた者達と交渉し、可能ならば友達になる。桑原殺害未遂に関しては誤魔化す。
2.強い者と友達になる。ヨーコ優先。
3.最後の一人になる。
【桑原和真@幽遊白書】
[状態]:健康。怒りと悲しみ。ブチャラティのいる位置がなんとなく分かる。
[装備]:斬魄刀
[道具]:荷物一式
[思考]:
1:ブチャラティを追跡、怒りに燃えている。ガラの仇をとる。
2:ピッコロを倒す仲間を集める。浦飯と飛影を優先。
3:ゲームを脱出する。
- 193 :筋の通し方 ◆HDPVxzPQog :2006/01/29(日) 11:36:35 ID:XdS6oN880
- 【津村斗貴子@武装練金】
[状態]健康
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険
:ショットガン
:リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし!
[道具]:荷物一式(食料・水、四人分)
:ワルサーP38
[思考]
1:人を探す(カズキ・ブラボー・ダイの情報を持つ者を優先)
2:ゲームに乗った冷酷な者を倒す
3:午後六時までには名古屋城に戻る
[備考]
友情マンが桑原を殺害しようとしたのを見たかどうかは、次の作者に任せたいと思います。
【夜神 月(ライト)@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]真空の斧@ダイの大冒険
[道具]荷物三式 (三食分を消費)
[思考]1:トキコに同行。利用する。
2:弥海砂の探索 。南下。
3:使えそうな人物との接触
4:竜崎(L)を始末し、ゲームから生き残る
- 194 : ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:16:49 ID:8DwTT0HQO
- 「たけすぃ、ワシはコイツと試合をしてからすぐに後を追う。だからたけすぃは早く本州に行くんだ」
夷腕坊の傍らでストレッチしていたキン肉マンは、たけしにそう言って諭していた
「キン肉マン…それはできないさ」
「なんでじゃ?」
「まだキン肉マンとランチを食べてないさ」
「たけすぃ、何を言ってるんだ。今こうしてる間にも」「何してんだ。早くしろ」
夷腕坊の上で待ちわびる剣八
「キン肉マン。」
笑顔でキン肉マンに促すたけし
「たけすぃ、お主…」
話をはぐらかすたけしの笑顔を見て、彼はすべてを理解した
一瞬二人の目が合う。コクリと頷くたけし。キン肉マンはたけしを一瞥すると、直ぐ様夷腕坊に飛び乗った
「…すまん」
「30分の辛抱さぁ」
たけしはもう一度にっこり笑うと、二人分のデイパックを肩に掛け傍を離れた
「小僧、そこは暑いだろ。此処なら割と涼しいぜ」
「お、サンクス。あんたはマジョルカの友達的存在か?」
木陰から呼び掛ける男にたけしは促されるまま近づいた。彼の名は志々雄。
火傷した肌を覆う包帯は一見するとミイラそのものである
「よいしょっと、て…うわぁーっ!大丈夫かぁソレ!」
「ん?包帯のことか?」
「いやいや、大ピンチだぞ髪の毛」
「…珍妙な処に気をかける小僧だ」
済し崩しに志々雄とたけしは会話を始めた。夷腕坊に時々注意を向けながら
「おい。スグルっつったか」
「皆はワシをキン肉マンと呼ぶがのう…なんじゃ」
思い出したように剣八は話し掛け、それに応じるキン肉マン
- 195 :別離 ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:18:23 ID:8DwTT0HQO
- 「じゃあキン肉マンよ、俺様が勝てば手前ェの命はねえ。
だが俺様が30分以内に手前ェを斬れなかったらどうなるんだ?」
「コイツ…あっさりワシの勝利を否定しおって…時間切れなら引き分け、痛み分けじゃな」「そうか…」
「今度はこっちが聞いてもいいかの?」「なんだ」
「ワシが勝っても命はとらん。さっき言った理由での。
そのかわり…まあ隠していても始まらん、もしワシが勝てば、その時はワシ達の仲間になってほしい。
そして、共に主催者を倒してほしい」
「断る」
「ゲェ、断られても」
「主催者を倒すのは俺だ。それと面白そうな奴がいりゃあ俺は闘る」
そう言うと剣八は刀で肩をトントンと叩く。
瞬間。二人の目が合う
ニヤリと笑う剣八を見て、キン肉マンは確信した
「剣八…おぬし、マーダーではないな?ワシと同じ、強い志を持っているように感じる」
「俺は強い奴と戦うのが好きなだけだ。ただそれだけだ…と、長話しが過ぎちまったな。そろそろ闘ろうぜ?
たけしが手前ェに心配掛けまいと譲った時間だ。さっさとやっちまおうや」
「剣八…」
慈愛の眼を一瞬、剣八に向けると、キン肉マンは胸を大きく反らし、息を吸い込む
『これよりキン肉マンvs更木剣八による試合を行なう!!
制限時間は30分!エリアは四方4×4mココ、夷腕坊の上!!。ギブアップするか3秒間フォールで決着する!!』
剣八が刀を構える。キン肉マンがファイティングポーズをとる
『試合…開始!!!!』
どこからともなくゴングの音が響いた――!!
- 196 :別離 ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:21:07 ID:8DwTT0HQO
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「オゥルアッ!!」
「おわぁーっ!!」
一人の男が刀を振るい、一人の男は転げ回る
「手前ェ逃げてばっかりじゃねえか!!さっきの威勢はどうしたァッ!!」
「アホかー!刀なんぞに斬られたら死んでしまうわい!!」
「当たり前だはははははははははははは!!!!!」
「ぎぇぇェ!」
試合なのかコントなのか。戦闘狂の更木と天然のキン肉マンの戦いは開始から15分経過していた
狂喜乱舞する更木。七転八倒するキン肉マン。
死神と超人は戦いを純粋に楽しんでいた
「…煩い」
木陰からボソリ、声がした
「あぁ…うるさいな」
もう一つ、声がした
「志々雄のかあちゃんの鼾」
芝生に腰掛け試合を観戦する志々雄とたけし。何気なく志々雄は尋ねた
「………たけし。お前、行かなくていいのか?」「ん?何がさ?」
「…敵討ちだ」
たけしが子供であり、彼自身が人の闇を知らないからか。彼らは今迄あった出来事を僅かながらも共有していた
たけしは志々雄の問い掛けにしばらく俯いていたが、直ぐ様にっこり空を見上げる。
老けた顔をしているが、その瞳は赤ん坊より“潤”粋だった
「俺は…ゴン蔵が大好きさぁ。」
ゆっくりと立ち上がり、大きく背伸びする
「〜でもキン肉マンも大好きさぁ。ほっとくわけにはいかないさ」
志々雄はあぐらをかいたまま、微笑を浮かべた
「そうか…俺なら居ても立ってもいられないがな」
奇妙な関係ではある。かたや維新志士。かたや7歳のリーダー。
しかし二人とも、木にもたれ静観していた。まるで父子が戯れるように。
- 197 :別離 ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:22:02 ID:8DwTT0HQO
- ――志々雄は以前から考えていたことがある
彼の中にある、弱肉強食という名の正義について。
彼の目的は全員殺し生き残ること。ゆくゆくは更木、ヒソカとパピヨン、剣心を倒し、もとの世界に戻ること
――つまりこの小僧は、邪魔だ。
愛する由美ですらこの国を手に入れる“正義”のためなら、手に掛けられる覚悟はある
ならば、この小僧を手に掛けることなど、造作もない――
だがもし、彼を殺るならば、更木と同等若しくはそれ以上の力をもつ男。キン肉マンが黙ってはいないだろう
それに、更木も一本通った男だ。何をするかわかったものではない
それになにより、15分しか戦えないという最大の弱点がある
志々雄は思考する。彼がもとの世界に帰るため、最速最良最善の一手を。
数を減らす。敵を一度に数多作らない。そして誰かが持っているであろう最強の武器、無限刃を手に入れる。
そして、長時間戦える場所に行く――
(蝦夷地が封鎖されたなら東北か。そこならこいつらに邪魔されずにこの小僧を殺れる。ククク――)
志々雄は微笑より小さな微笑を含むと、ゆっくりと立ち上がった
「たけし、行くぞ」
「え?ウ〇コか?」
「本州だ」
志々雄はそれ以上言わなかった。代わりにたけしに眼差しを向けた
たけしはどう思うだろうか?人の闇を知らないこの少年は――
「志々雄――」
- 198 :別離 ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:24:36 ID:8DwTT0HQO
- 開始から25分が経過し、未だ二人の戦法は変わっていなかった
剣を振るう剣八。転げ回るキン肉マン
「手前ェ、いい加減に…」
「そうか、そうじゃの。そろそろワシからも攻めようかの。太刀筋も見切ったことじゃし」「あぁ?」
「ただ逃げ回っているだけだと思っておったか?」
にゃ〜、といやらしく笑うキン肉マンを見て、剣八は青ざめた
こいつ、こんな顔して妙に戦法気取りやがって。だが関係ねえ!
「ウォラァッ!!」
剣八がムラサメブレードを振るう。上段、初速は十二分
しかしキン肉マンは、その詠嘆の振り下ろしに完璧なタイミングで――パンツを下ろした。
「…ここじゃあっ!!真剣おケツ取りぃ!!」
ぱっくり割れた尻に吸い込まれるムラサメブレード。これまた完璧なタイミングで腰を大きく右に振る
刀は明後日の方向に飛んでいった
「チィッ!」
更木は一瞬怯んだものの、頭に裏拳を合わせる
しかし裏拳は頬をかすめるだけ、一瞬速く懐に入ったキン肉マンにブリッジの体勢をとられる
跳ね上がる更木剣八。たちまち天を仰ぐ体勢になる
「そりゃあ!」
剣八の躰に後れを取った四肢は、キン肉マンの四肢と複雑に絡み合う
「ロメロ・スペシャル!!」
「グァッ!!…」
空が、蒼いな―――
俺も、青い――
ダァァンッッ!!!!
キン肉マンの背が夷腕坊に叩きつけられる。その衝撃は、すべて更木の関節に届けられた
「よっしゃあ!見たか、たけすぃ!!」
夷腕坊からの跳ね返りで空中分解する二人。上手く着地したキン肉マンはにこやかに振り替える
「たけすぃ……?」
- 199 :別離 ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:26:16 ID:8DwTT0HQO
- 【福岡県・街道/日中】
【キン肉スグル@キン肉マン】
[状態]:軽度の疲労
[装備]:なし
[道具]:荷物一式
[思考]:1.更木を倒し仲間にする
2.ゴン蔵の仇を取る
3.仲間を探す(バッファ、ウォーズ、ラーメン、ボンチュー、マミー)
【更木剣八@BLEACH】
[状態]:軽度の疲労。股関節、両肩の軽い炎症、全身に軽度の列傷
[装備]:なし(ムラサメブレード@BASTARD!は近くの木に刺さっています)
[道具]:荷物一式、サッカーボール@キャプテン翼
[思考]:1:キン肉マンを倒す
2:志々雄、ヒソカらと決着をつける
3:強豪を求め本州へ向かう
- 200 :別離 ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:27:46 ID:8DwTT0HQO
- 【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
[状態]:健康
[装備]:パチンコ@ONE PIECE(鉛星、卵星)、キメラの翼@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式
[思考]:1.ゴン蔵の仇を取る(桃白白を倒す。大体の位置が分かる)
2.主催者を倒す
3.仲間を探す(ボンチュー、マミー、バッファ、ウォーズ、ラーメン)
【志々雄真実@るろうに剣心】
[状態]:全身に軽度の列傷
[装備]:ゴンの釣り竿@HUNTER×HUNTER
[道具]:荷物一式
[思考]:1:長時間戦える東北へ向かう
2:無限刃を手に入れる
3:全員殺し生き残る
- 201 : ◆gnM9.np5nM :2006/01/29(日) 15:47:26 ID:8DwTT0HQO
- >>200
修正。
【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
[状態]:健康
[装備]:パチンコ@ONE PIECE(鉛星、卵星)、キメラの翼@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式
[思考]:1.ゴン蔵の仇を殺した犯人を倒す。(ただし大体の位置が分かるものの犯人はわかっていない)
2.主催者を倒す
3.仲間を探す(ボンチュー、マミー、バッファ、ウォーズ、ラーメン)
- 202 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:49:58 ID:fXXFnfpr0
- そこには三人の『火』を持つ男が居た。
そのうちの一人の少年、奈良シカマルは火影なる最高の忍者に統制される木の葉隠れの中忍。
その里の先々代火影は、人を守る忍の心を『火の意思』と称した。
彼の中に熱意を見ることは非常に稀だが、間違いなくその火を心に宿した優秀な忍である。
またシカマルと対峙し不敵な笑みを浮かべる男―桃白白も心に炎を宿す者だった。
しかしその炎は人を守るものではなく、人を傷つけるためのもの。
自身の火勢を増すために、他者の命を呑みこんでいく危険で凶悪な炎。
その姿勢はまさに悪業の猛火そのものの殺し屋である。
そしてその二人の様子を探るゴン・フリークスは、彼の世界における最高の職業に就く少年だ。
ゴンは自分の父の事を知らない。父が最高の職業家たちの中で太陽の位置にいる男という事以外は。
彼の姿はその太陽に届かんとする火柱か、それとも火の山の噴出す灼熱か。
「ふふふ、それでは行く」「ちょっと待ってくれ」
桃白白が戦いの開始を告げるのを妨げ、シカマルは話を切り出した。
「アンタは何でゲームに乗っているんだ?それだけでも教えてくれないか」
「愚問だな。一人殺せば十億の報酬が今回のこのゲームの契約内容。まあ、私が決めたのだが。
これだけ自由に人を殺して、金を手に入れることのできる環境が他にあるか?」
シカマルは心の内で舌を打った。例えば、相手が仲間の復讐に燃える哀しい男なら説得もありえた。
例えば完全な快楽殺人者ならば、協力を申し出て(無論嘘だが)戦いを避けることもできたろう。
だがこの男は実益を兼ねて殺人に興ずる、最も対応しにくいタイプであった。
金が絡むと人間は途端に独占欲を募らせる。そういう人間は生半可な説得では考えを改めないものだ。
しかも他人との同盟を嫌う。(価値がはっきりしている金は、分け前で揉めやすい)
ちっ、めんどくせ―野郎に会っちまったもんだぜ。彼は心中でそう呟いた。
- 203 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:51:50 ID:fXXFnfpr0
- (忍者に殺し屋か……別に殺し屋みたいな仕事に偏見はないけど、あの男はかなり危ない気がするな)
ゴンにとって、忍者と言えばハンター試験の際戦ったハンゾーを思い出す。
勝負の中でこそ非情さを見せていたが、普段はもっと気持ちのいい性格であった記憶がある。
シカマルという少年をゲーム開始からすぐに尾行していたが、ゲームに乗る様子が無いという事実は明白であった。
それに対し暗殺者―殺し屋とそれがどう違うのかはよく分からなかったが―に関しては、
親友キルアとの友情の甲斐あってか一分の恐れも持っていなかったが、
桃白白と名乗る男が凶悪なオーラに満ち溢れていることは、一目で判断することができた。
「それでは今度こそ。準備運動ぐらいにはなってみせろ」
シカマルの手前まで一瞬で詰め寄った殺し屋の拳は、急所を狙うようにねじ込んできた。
それをシカマルは間一髪で避けて、再度間合いを取るため後方へ跳んだ。
(危ねえっ!こいつ体術はゲジマユ並だな。怪我した脚じゃ、無傷で逃げ切るのは難しそうだぜ…)
単純なスピードでも、戦闘経験の量でも、自分が劣っていることはよく分かった。
本来はトリッキーな『影』の術と小道具多数、そして緻密な作戦を組み合わせるのが自分の戦闘スタイル。
しかしその術の単体での威力は弱く、道具といえば石ころが何個かしかない。これではろくに戦えまい。
唯一対抗できるとしたならば、それは己のIQ200を越す頭脳のみ。
その頭脳は高速回転し、眼前の殺し屋を制する方法を考え始めていた。
(この時刻は日が高すぎて影がほとんどできてない。地形は右手が海。左手20メートルくらいのところに防砂林。
小屋もあるがそんなとこに逃げ込んでもしょうがない。影の多い林まで誘い込めりゃなんとかなるかもしれねえ)
更に様々な策を思いつくが、これらの思考の間はたったの3秒ほどであった。
- 204 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:52:33 ID:fXXFnfpr0
- 「やはり少しは動けるようだな。ふふふ、ちょうどいいぐらいの実力だ」
ヒュンッ 再び間合いを詰め、桃白白がシカマルを襲った。
シカマルは左手へ大きく跳んで攻撃を回避し、そのまま警戒しながら林へ向かった。
この小僧の身のこなしは確かに鍛えられたそれだが、この私に敵うものではない。
しかし反応だけはかなり良いものだ。孫悟空との戦いのときのように油断していては、逃げられるやもしれん。
もう少し肩慣らしをしたら………終わらせてしまおう。
桃白白が一瞬でシカマルの目の前に現れること、これで三度め。
徐々にスピードと狙いを高めていくその凶手は、シカマルを後ずさりさせつつ苦しめた。
傷を負った左脚をかばいながらのためか、明らかな疲れと動揺が忍の鉄の面をゆがませる。
その様子を見て、桃白白はがっかりしたような表情を見せた。
「この程度で疲れるとは…興醒めだ。準備運動も途中だが、貴様はもう用済みだ」
先の攻撃よりも巨大な殺気を孕んだ一撃が、シカマルの右胸部を貫く。
「これで三人目。なかなかの調子だ。この勢いなら今日中に十人は殺せるな」
桃白白の口の端がにやりとつり上がった。
- 205 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:53:34 ID:fXXFnfpr0
- どろん!煙が上がり、その中からは桃白白の腕が刺さった上着が出現した。
「こ、これはいったい?」
変わり身の術はシカマルら忍者の間では超が付くほどの初級忍術。
しかしシカマルのことをなめきっていた―認めていたのはその身のこなしのみ―彼には、十分の効果があった。
その動揺が桃白白の冷静な判断力を奪う。わずかに視界が暗くなったことに気付くのがやや遅れる。
「う、上か!?」
(よし!とりあえず作戦一個は成功だ。この位置ならちょうど奴に影が……!?)
頭上に逃げたシカマルに対し素手で殺すと宣言した桃白白は、卑怯にも腰の脇差しを抜き、上へ放り投げた。
(やばい!クナイも手裏剣もないから避けられない!)
殺し屋の言葉により不覚にも油断していたシカマルは、怪我覚悟でそれを受ける決断をする。
放たれた脇差しがシカマルを襲うその刹那。
強烈な黄色い弾丸が空中の白い刃を弾き砕いた。
- 206 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:54:16 ID:fXXFnfpr0
- その空間に緊張が走る。二人は警戒を払い、一人は後悔を噛みしめる。
(どうしよう。出て行ったほうがいいかな、でも、下手な真似は…)
後悔するのはゴン。彼は普段から、いや緊迫した事態でも頭より先に体が動くことが多いタイプだ。
もしこの場にキルアが居れば、軽率な行動をとるな、と窘められたことだろう。
しかし彼がとっさにボールを投げなければシカマルはさらなる窮地に立たされていたに違いない。
警戒する一方が口を開く。
「伏兵か。それなら二人がかりで来たほうがいいのではないか?」
自分の動揺を隠すためにか、シカマルを挑発する。
「……さあな、案外俺の術かもしれないぜ」
シカマルは無事着地し、ハッタリ混じりで相手に言葉を返す。
ちくしょう、めんどくせーことになってるな。心の中で毒づく。
自分を守ったことから考えても、おそらく自分に敵意は無いだろう。
しかし、だったら何故出てこない!戦いにまだ迷っているのか?
素性も実力も分からないのでは作戦の立てようがない。どうすればいい。どうすれば。
「……さあな、案外俺の術かもしれないぜ」という言葉はゴンを一層迷わせる。
もしかしたら彼の作戦かもしれない。このまま彼の仕業のようにしておこう。
途端に現れた気配はすでに消えている。この緩急は人間のものか、と疑う桃白白。
先程の瞬間移動といい、気を引き締めねばならないか?と考えを改める桃白白。
三者三様の思案がそこを巡りめぐった。
- 207 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:56:24 ID:fXXFnfpr0
- その場の硬直からまず脱出したのはシカマルだった。林までの残り約8メートルを全力疾走する。
それに気付くとゴンも『絶』のまま姿を見られぬように迂回して林へ突入する。
桃白白は一瞬遅れて、そしてシカマルの行動に注意を払いつつ林へ向かう。
桃白白が林へ入ると、そこにシカマルの姿は無かった。
(気配を消すのもなかなか上手いものだ。さてどこかな……)
日中とは言え、潮風を防ぐためにうっそうとしている防砂林の中はやや暗い。
高い常緑樹がおよそ20メートルに渡り帯状に植わっている。
桃白白は林の深くへは入らなかった。小僧といって油断しては孫悟空との一件のように、
屈辱を味わうことになるであろう。もう油断はしない。そのつもりであった。
右、左、右、左、隙を見せぬように目だけを動かし、周囲に目を凝らした。
不意に上から赤い液体がぽたり、と降ってきた。デジャヴ……
「また上か!」
頭上を向こうとする。が、体が動かない。なぜ?
「影真似の術…ようやく成功か…」
桃白白の頭上の木の枝の上には、忍者シカマルが立っていた。
樹上から影を落としても、この暗がりならばれにくい。木陰も多く『影』の術にはもってこいの空間。
シカマルは脚をかばいながら地上へ着陸する。そして今度は自分から桃白白に近づいていく。
「このまま首を絞めさせてもらうぜ。くらえ、影首縛りの術」
印を組みなおし、影が桃白白の体を這い上がっていくその時、途端に術の手応えが無くなった。
- 208 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 18:59:25 ID:fXXFnfpr0
- 好機!
桃白白は呪縛から解放されたこの瞬間を見逃さなかった。
肘打ち、裏拳、掌打。連携技が見事に決まり、シカマルの体は吹っ飛ばされ木に打ち付けられた。
(くそ、この世界の変な制限のせいか…いつもの感覚じゃ駄目ってことか)
背中の痛みに耐えつつ、シカマルは悔しがる。あと少しで終わっていたのに、と。
「ふふふ、今のが貴様の技か。いいか、そのような手品程度では人を殺めることはできない。
見よ。これこそが殺し屋桃白白の殺人技だ。 どどん!ぱ!」
桃白白の指先から放たれた光弾は、シカマルの体を狙っていた。
脚の、背中の痛みを堪えて避けようとするシカマル。
ギリギリで直撃は避けられたが、その爆発の衝撃に再度吹っ飛ばされる。
死に体となったシカマルに歩み寄る桃白白。
「待てぇっ!!」
そこにゴン・フリークスが飛び出し、桃白白を殴りつけた。
「なにっ!!?」
先の脇差しが砕かれた時と同じ緊張感が林を包む。
しかしあの『謎』の生む不安感は存在しなかった。
(結局助けてくれんのか…めんどくせー、だったらもっと早くに来てくれよ…)
(やはり伏兵が潜んでいたか。しかしコイツあの孫悟空に似た雰囲気をもっている…)
(もう決めた!コイツを倒してシカマル君を助ける!)
今度は『謎』と『迷い』が取り除かれた思惑が三人に巡っていった。
先程の爆発による炎が林の木に移り、少しづつ燃え上がっていく。
海から吹く風は、この炎の勢いを強めんとする。
…パチパチ……パチパチ…パチパチ… 小さい火が歌うように火花を散らす。
一瞬両者睨み合い、桃白白とゴンが衝突した。
- 209 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:00:10 ID:fXXFnfpr0
- 非常にハイレベルな体術合戦。
念を駆使するゴンの方が一撃の威力、身体強度は上である。
しかし桃白白の技のキレは、必殺という点で確実にゴンを上回っていた。
拳が拳を受け止める。蹴りと蹴りが相殺する。
逃げられ標的を見失った攻撃が周囲の木々を砕くこともしばしば。
実力伯仲のその戦いは数分間にわたり繰り広げられた。
(コイツ…強い!)
(この私が孫悟空以外の子供にまで押されるとは…!)
殺し屋もハンターも気付いた。相手の実力に。そしてこの世界の妙な力の制限に。
((全力でないと………敗北ける!))
いったん二人は離れ『気』を、『オーラ』を練りあげる。
そのエネルギーは、双方右手に集約されていく。
ピリピリとした空気の中、シカマルはこの戦いに見入りそして突破策を案じていた。
「最初はグー!ジャンケン…」 「どどん!」
「パー!!」 「ぱ!!」
お互いの繰り出した技には一つの共通点と二つの相違点が存在した。
共通点とはエネルギーを放つ遠距離攻撃ということ。
相違点とは技のタメと隙。
どどん波は相違点においてゴンのそれよりも優れていた。
どどん波はパーの念弾よりも早く発射され、早くゴンの下へ向かっていく。
わずかに、ほんのわずか遅れて出された念弾は相手の波動をかすめて飛んでいく。
かすめあったそれらは、これもまたわずかに軌道をずらし標的へ。
隙の多かったゴンは、本来の狙いの心臓ではなかったが、左わき腹を撃たれる。
パーの念弾は全身のオーラを絞って撃つために、ゴンには先程までの防御力が存在しなかった。
爆風で弾かれたゴンの体は、シカマルの倒れる隣に横たわった。
一方の桃白白は、念弾を軽くかわして勝利の笑みを浮かべた。
- 210 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:01:14 ID:fXXFnfpr0
- シカマルは小声でゴンに話しかけ安否を確認した。
ゴンは怪我を負ってはいたが、シカマルの程ではなかった。
技にまでかけられたこの世界の制限が彼を救ったのであろう。
しかし満身創痍のこの状況。死んだものと思い込んでくれればいいのに。シカマルは祈った。
メラメラ、ゴウゴウと先の小火は勢いを増して、二人を囲むように燃え広がっている。
しかし死んだふりをし続けるわけにはいかなくなった。
「さて、これで四人。ふふふ、もう四十億か。ところで奴らの持ち物は一体どこかな。
何かいいものが入っていればいいのだが…」
仙豆が奴の手に渡ってはいけない!
これを守るのは忍としての、雷電のおっさんの仲間としての俺の使命。
なんとしても守りきらなくては……
そう思ったときには既に声を出していた。
「おい!俺はまだ死んじゃいないぜ。これじゃあまだたったの二十億だな…」
桃白白にはこれが罠だと分かっていた。それにこれでツンツン頭が生きているとも分かった。
しかし死にぞこないに臆しては世界一の殺し屋の名が廃る。
そう考えとどめを刺すべく、世界一の殺し屋は炎の包囲網を跳び越えた。
炎で囲まれたその場所は、全方向から赤い光を受けるステージのような場所。
そこは影使いにとっては最高の環境。
桃白白はあれが影を媒体とした技と気付かなかったために、まんまと誘い込まれ、
まんまと影に縛られ、まんまと身体の自由を奪われた。
「し、しまった……」
桃白白は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「アンタ!俺が押さえるから何とかしてくれ!頼む!」
シカマルの悲痛な願いが響き渡る。
(策を練る時間が無さ過ぎた…。頼む、アンタしか頼りの綱はいねえんだ…)
切実な思いがみるみるうちにその顔を染めていく。
- 211 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:02:19 ID:fXXFnfpr0
- シカマルの声が聞こえたのか、ゴンはゆっくりと立ち上がり桃白白を見据えた。
その瞳には燃えるような生命力が甦っていた。
「急げ!そんな長くは押さえていられねえ!」
その時、電柱ほどの太さの樹が炎によって焼き切られシカマルの体を下敷きとした。
火の粉と土埃が舞い上がり、そして静まる。そこには樹木の下に倒れた忍者と、
それと同様に倒れた殺し屋の姿があった。術は……続いていた!
駆け寄り助けようとするゴンをシカマルを制止した。
「俺はいいからアイツを!あと持って…7秒だ」
- 212 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:03:21 ID:fXXFnfpr0
- タイムリミット。それがゴンの心と体を動かした。
(彼の思いを無駄にはできない!)
7…、6…、 ゴンは倒れた桃白白のところに向かい、マウントをとる。
5… 抵抗する桃白白。必死で縛り付けるシカマル。
4… 「最初は!」
ゴンの右手に残り少ないオーラが集められる。
3… シカマルも残されたチャクラを練り上げ術を維持する。
その表情は普段の彼からは想像できないものであった。
2… 「グ―!」
オーラが拳を強化する。桃白白もまた気を奮わせて術から
脱出せんと必死の形相となる。
1… 「ジャン! ケン!」「急げぇ――!!」
シカマルの急かす声が林に、炎に、こだまする。
……0! 「グ―――――!!」
- 213 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:04:10 ID:fXXFnfpr0
- 大砲のような音が轟いた。
ゴンの一撃は桃白白の腹部へ完全に入り、内臓に深刻なダメージを与えた。
無論ゴンもシカマルも持ちうる力をほとんど使い果たしてしまっていた。
熱気が呼吸をさまたげる。目の開くのを邪魔する。
限界の中のシカマルは必死にゴンに何かを伝えようとしていた。
それに気付いたゴンは、近寄って彼を押しつぶす樹を取り除いた。
シカマルとゴンは、空っぽの状態で礼と名前を言い合った。
「はあ、はあ、ところでゴン、君に頼みがある…。俺のデイバックの中に仙豆っつーもんがある。
見た目はただの豆粒なんだが…はあ、はあ。
そいつは一粒食べればそいつの傷や疲れを癒してくれる代物だ」
「それを持ってくればいいんだね!?」
「いや……そいつを持って東京まで逃げてくれ。はあ、はあ。それで雷電って男に」「どういうこと!?」
シカマルの言葉にゴンは驚き、問いただしてしまった。
「……そいつはこの世界では最高に貴重なアイテムだ。はあ、俺みたいな死にぞこないに使っても、
はあ、はあ、意味がねー。それどころか無駄遣いってことだ」
シカマルの判断は忍者にふさわしい冷酷で非情なものであった。
命と任務を天秤にかけ、最大の利益を見出す。それが一流の忍者の姿である。
しかしゴンにとってその姿は認めがたいものであった。命に価値などつけられない。
なによりシカマルを助けたいと思っていた。
- 214 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:05:04 ID:fXXFnfpr0
- 「……ふふふ、そんなものがあるのか。それを…よこせぇっっ!!」
話を聞いていた桃白白が立ち上がろうとする。
桃白白の幸運は、直前の体術勝負により相手の実力を知っていたこと。
充実させた気は、影真似脱出よりむしろ、念拳の防御に充てられていた。
しかし傷は本人の思っている以上に深く、思う通りに立ち上がることはままならないようだ。
「ちっ、めんどくせー…なんとかして息の根止めてやらねーと…」
「殺すまでしなくても!」
シカマルの言葉をまたしてもゴンが遮る。
「甘ったれたこと言ってんな!ごほっごほっ。アイツは放っときゃ必ず他の人間を殺すぞ!
はあ、はあ、こんな状況だ。敵の命にも仲間の命にも見限りつける覚悟しろ!」
炎の唸り声がシカマルの声の邪魔をする。
桃白白は禍禍しき己の心を燃やして暴れんとしている。
ゴンにとってシカマルの頼みは酷である。
しかし彼の本気―やる気ゼロと仲間から評される彼の本気―が伝わるが故に、
その言葉を一蹴することができない。
燃える燃える、三つの『火』が。
事態は火急。決断が迫られる。
- 215 :火炎交響曲 ◆jcasZ9x.B2 :2006/01/29(日) 19:05:36 ID:fXXFnfpr0
-
【茨城県防砂林/1日目・日中】
【桃白白@DRAGONBALL】
[状態]:気の消費大 腹部に深刻な外傷 内臓に深刻なダメージ
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(食料二人分、一食消費) ジャギのショットガン@北斗の拳(残弾20)
[思考]:1.目の前の男から仙豆を奪う(可能ならば殺す)
2.孫悟空、ピッコロ以外の参加者をできる限り殺す
3.孫悟空を殺して優勝し、主催者からご褒美を貰う
【奈良シカマル@NARUTO】
[状態]:全身に打撲 全身に火傷(特に腹部) 背中にダメージ 左脚裂傷(移動に支障あり)
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)・仙豆(一粒)@DragonBall
[思考]:1.死ぬ覚悟はできている(仙豆をつかってほしくない)
2.ゴンに仙豆をもって東京の雷電を訪ねて欲しい
【ゴン・フリークス@HUNTER×HUNTER】
[状態]:オーラの消費特大 左わき腹負傷
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)、テニスボール×2@テニスの王子様
[思考]:1.次の二つについて決断する
A. 仙豆を持って東京の雷電を訪ねる(仙豆はシカマルに使いたい)
B. 桃白白を殺す(命を奪うまではしたくない)
2.キルアを捜す
*林の火事は煙で隣県にまで伝わっています。
またシカマルの上着は街道と防砂林の間に放置されています。
- 216 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:32:51 ID:zKHHKOy/0
- 「そうか……そんなことがな……」
ボンチューとの会話後、落ち着いてきたルキアは、世直しマンたちにこれまでの経緯を話していた。
北海道で起こった激闘と、死んでいった者達。その全てを。
『でもなぁ、やっぱりナース服の魅力には逆らえねぇし…こんなことならスッチーのにしとくんだったか』
人外の化け物を目の前にしても、たわけたことを言い続けた銀髪天然パーマの男。
『其奴が何であろうと、オレの誇り高き龍の僕を汚されてしまってはかなわん!』
一般人でありながら、高貴なプライドを持って向かっていった海馬瀬人。
両名共、炎と氷を扱う化け物、フレイザードに殺された。
――そのきっかけを作ったのは、紛れもない、自分。
「私は、死神なのだ……」
そう、ルキアが呟いた。
銀時も海馬も、自分が招いた災いで死んだ。
二人の死は、私の罪なのだ――と、
- 217 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:34:18 ID:zKHHKOy/0
- ゴチンッ、
鈍い音、が頭に。
上を見上げると、傍らにいたボンチューのゲンコツの姿があった。
「あだっ!? な、なにをするか馬鹿者がっ!」
「バカはてめぇだ。そういうこと言うんじゃねえよ」
ボンチューはルキアに向き直り、全てを自分の責任にしようとする少女に何気ない言葉を浴びせる。
「べつにそいつらが死んだのはお前のせいじゃねぇ。殺したバケモンが悪いだけだろ」
ボンチューは、このゲームが始まって自分が体験した戦闘――ピッコロ戦のことを思い出す。
このゲームには、自分のいた世界では考えられないような化け物がいる。
弱い奴が強い奴に向かっていけば、当然殺される。
悔しいが、それがこの世界の現実。
「ボンチューの言うとおりだ。許すまじはその炎と氷の化け物。君が気負いするべきことではない」
「ああ。俺もそう思うぜ」
世直しマン、そしてバッファローマンも、ルキアを咎めようとはしない。
「し、しかし……私があいつに追われなければ、あの二人は……あだっ!?」
ルキアの頭部に、ボンチューの二撃目のゲンコツ。
「だーかーらー! いつまでもうじうじ言ってんな!」
「ぬぅ……貴様、二度もこの私をぶったな!? 助平のくせに!」
「なっ!? だから俺はべつになにもしてねぇって言ってんだろうが!」
「ふん、わかるものか。介抱とは名ばかりに、私の横でずっとよからぬことを考えていたのであろう!?」
「んなわけあるか!!」
- 218 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:35:45 ID:zKHHKOy/0
- ルキアとボンチューの、他愛もない口げんか。
最初は重苦しい雰囲気だったその空間も、だいぶ和やかになった。
「おいおい、今がどんな状況か分かってんのか?」
「ふっ、まあいいではないかバッファローマン」
四人の間にあった緊張は、いとも簡単に崩れた。
しかし、現実から目を背けることはできない。
ここ青森の現状を考えれば、今こうして話している時間も惜しい。
「しかし……北海道からやってきた、炎と氷の化け物か……おそらくまだこの近くにいるんだろうな」
ルキアを襲った炎と氷の化け物――フレイザード。
海馬との戦いで自爆したように見えたが、火竜ヒョウが見当たらなかったのは、奴が生きていて持っていった可能性が高い。
「ああ。それにボンチューを襲った緑肌の男もな。そいつら二人はまず間違いなくマーダーだ。このまま放っておくわけにもいかんだろう」
「もちろんだ。このまま奴らを野放しにしていたら、また犠牲者が出ちまう。正義超人としても、ああいう輩は見過ごせねぇ」
かたや宇宙のヒーロー世直しマン。かたや正義超人バッファローマン。
二人に共通するのは、悪を見過ごすことのできない正義。
まだ東北にいるであろう二人の悪を、見て見ぬふりなどできない。
「あんたら、あの緑野郎を追うのか?」
「ああ。北海道から南下してきたはずの炎と氷の化け物も一緒にな。奴らが他の参加者に手をかける前に、なんとしても倒さねば」
「正気か!? その緑肌の男というのは知らんが、あやつは……あの化け物は危険すぎる!」
ルキアはもう、誰にも死んでほしくなかった。
北海道で知り合った海馬も、わざわざフレイザードに向かっていって死んだ。
私がフレイザードに出会わなければ、私が海馬瀬人に出会わなければ。
ひょっとしたら、この者たちもまた――
- 219 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:38:38 ID:zKHHKOy/0
- ゴチンッ、
「っだぁ!?」
ルキアの頭に三度目の衝撃が。
今度はボンチューではない。
目の前の、角を生やした大男……バッファローマンのゲンコツだった。
「ななっ!? あなたまでなにをする!」
「なに、俺もちょっとボンチューにならってみたまでさ」
「?」
「ようするにだ、自分が死神だとか、自分のせいで死んだとか、そういうことはもう気にすんなってことだ」
自分が死神であることは紛れもない真実なのだが……考えているうちに、
「バッファローマンの言うとおりだ」
ルキアの頭上に、今度は鎧の男の拳が振り下ろされる。
ゴチンッ!!!
今まで以上に強く、鈍い衝撃音だった。
「く〜〜〜〜」
「俺達は簡単には死なん。俺は宇宙をまたにかけるヒーロー。バッファローマンは悪行超人から人々を守る正義超人。相手が怪物であろうが、臆したりはしない。だからルキア、君の心配も全く無用だ」
世直しマンの言葉は、自惚れではなかった。
世直しマン、バッファローマンともに、数々の死線を越えてきた歴戦の戦士である。
たとえ相手が誰であれ、自分の正義が崩れることもなければ、悪に屈することもない。
少女を泣かせるような、死に様を見せることも。
それは、ヒーローとして当然のこと。
- 220 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:39:55 ID:zKHHKOy/0
- 「……なあ、世直しマン」
一人心に誓う世直しマンに話しかけたのは、ボンチューだった。
「なにも、あんたまでゲンコツ入れることはなかったんじゃねえか?」
「いや、この流れだと私も一撃与えておくべきだと思ってな」
「でも、こいつさっきからずっと頭押さえてんだが」
「〜〜〜〜」
「む……」
見下ろすと、床にしゃがみこんだ状態で、頭を押さえながらぷるぷると震えるルキアがいた。
「おい、世直しマン……まさかとは思うが、ちゃんと手加減したんだろうな?」
「〜〜〜〜〜〜」
ルキアはなおも、ぷるぷる震えている。
「…………」
「言っておくが、俺はちゃんと手加減したぞ。正義超人のパンチなんて、一般人が耐えられるもんじゃねえからな」
バッファローマン、ボンチュー、そしてしゃがみこんだ状態のままルキアの視線が、世直しマン一点に注がれる。
「…………すまん」
この者たちは似ている。
現世で出あった、死神代行などという訳も分からないものを引き受けてくれた少年に。
来るなと言ったのに、わざわざ 尸魂界(ソウルソサエティ)まで助けに来た愚か者達に。
(こんな私を受け入れてくれる者たちが、この世界にもいるとはな……)
- 221 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:41:08 ID:zKHHKOy/0
- 「ところで、君が持っていた荷物なのだが」
世直しマンが取り出したのは、一枚のカード。「青眼の白竜」と言う名の、モンスターカードだった。
「それは……海馬瀬人のカード!」
ルキアはそのカードを確かに覚えていた。
最初はフレイザードが所持していたものだが、このカードは元々海馬の持ち物らしい。
なかでも「青眼の白竜」のカードは、海馬が最も信頼するカードであったと聞いている。
「使用方法は?」
「分からない。これと同じ種類のカードは、名前を呼ぶだけで中のモンスターが具現化したのだが……どういうわけか、この「青眼の白竜」のカードだけは、名前を読んでもなにも起こらなかった」
ルキアは知らない。このカードがどれだけ強力なのかも、「青眼の白竜」が次の0時までしよう不可能ということも。
「ふむ……説明書はその炎と氷の化け物が持っているのか。どちらにせよ、使用方法が分からなければ使い道がないな」
「……遊戯」
海馬が口にしていた名前。
フレイザードと交戦する前、自分を追っていたあの獣「幻獣王ガゼル」は、元は遊戯という名の参加者のカードだと聞いていた。
「遊戯という者に会えば、このカードのことが分かるかもしれない」
言われて、バッファローマンが名簿を確認する。
「遊戯……武藤遊戯、これだな。こいつならさっきの第二放送でも呼ばれてなかったし、まだ生きているはずだ」
「そいつは信用できる奴なのか?」
「分からない……が、海馬瀬人の知り合いならば、少なくともこの助平のような一般人であることは間違いないと思う」
「おい、誰が助平だって?」
もちろんボンチューのことだが、ルキアたちは彼を無視して話を進める。
「遊戯か……じゃあそいつに会うまでこのカードはあてにできないな」
「しかしなにが原因で使えるようになるかは分からん。やはりこのカードはルキアが持っていろ」
世直しマンがルキアに「青眼の白竜」のカードを手渡す。
海馬瀬人が、フレイザードを倒す最後の切り札に使おうとしたカード。
はたしてこのカードは、自分を守ってくれるのだろうか……?
- 222 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:42:31 ID:zKHHKOy/0
- 「さて、これからどうするかだが」
「世直しマンは緑肌の男と炎と氷の化け物を追うんだろう? だったら俺も当然付き合うぜ」
世直しマンとバッファローマン。この二人が悪を追うのは当然のこと。
「だったら俺も行くぜ」
しかし、それにヒーローでも正義超人でもないはずの、一般人であるボンチューが名乗り出た。
彼としても、このままピッコロになめられっぱなしというわけにもいかない。
ルキアを襲ったフレイザードを、放っておくことも。
「お前は駄目だ」
が、ボンチューの名乗り出は即座に却下された。
「なんでだよ!?」
「ボンチューはまだダメージが回復していないだろう。それに、俺たちが追う二人は明らかにお前の住む世界とは次元の違う化け物だ。こう言っちゃ悪いが……」
「はっきり言おう。足手まといだ」
「!!」
気を使おうとしたバッファローマンの意もくまず、世直しマンがきっぱりと言い放った。
「……役立たずだってぇのか、この俺が」
「そうだ」
瞬時に流れる、世直しマンとボンチューの間の一触即発の空気。
このままでは、無駄な争いが生まれてしまう。
(……ったく、こんな時にキン肉マンみたいなムードメーカーがいればいいんだがな)
バッファローマンの気持ちを代弁するかのように、緊張を破ったのはルキアだった。
「やめんか馬鹿者っ!」
- 223 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:43:37 ID:zKHHKOy/0
- 「がっ!?」
ボンチューの顔面に直撃するルキアのチョップ。
その一撃が、ボンチューから威圧感を取り除いた。
「っ……なにするんだテメー!」
「ふん。さっきのゲンコツのお返しだ! それにこんなもので痛がっているようでは、彼らについていったところで、足手まといになるのは目に見えているわ!」
「んだと、このヤロー!」
「馬鹿め! 私は女だ。野郎などではないわ!」
繰り返されるルキアとボンチューの口論。これにはバッファローマンもほとほと呆れるしかなかった。
「全くこの二人は……しかし世直しマン。連れて行かないにしても、この二人をこのままここに残すのは危険じゃないか?」
「そうだな……」
世直しマンは考える。
ピッコロにフレイザード、まだどちらも必ずこの付近にいる。ひょっとしたらもう関東地方に渡っているかもしれないし、ひょっとしたら今いる青森に潜伏しているかもしれない。
ここに残して襲われる、というのも十分に考えられる。
「世直しマン、私としてはここに残るよりも、関東方面へ南下して仲間を探したい。ここは日本のようだし、人の集まる地区の方が仲間を見つけやすいからな」
日本出身のもので、仲間との合流を目指す者なら、必ず大都市へ向かうはず。それは、一護も例外ではないはずだ。
「世直しマン」
今度は、ボンチューが世直しマンに提案する。
「確かに俺は、あの緑野郎に手も足も出なかった。それは認める。だからってビビッてここでおとなしくしてろってのも納得いかねぇ」
「……」
「だから、やっぱり俺もあんたらについていく。足手まといになるつもりはないが、戦いの時邪魔だってんなら、おとなしくどっかの影にでも隠れとくことにするからよ」
それは、ボンチューの口から出たとは思えないほどの、精一杯の譲歩だった。
「どうした? 先ほどとは打って変わって聞き分けがよくなったではないか。急に臆したのか?」
「うるせー。そんなんじゃねえよ」
「どうする? 世直しマン」
皆の視線が世直しマンに注がれる。
いつのまにか、決定権は世直しマンに託されていた。
- 224 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:45:41 ID:zKHHKOy/0
- 「……分かった。では私たち四人、全員で関東方面目指して南下する。途中、緑肌の男や炎と氷の化け物に出会ったら、戦闘は私とバッファローマンが行う。ボンチューはルキアを守れ。これでいいな?」
「ああ」「おう!」「うむ」
返事は全員一緒のタイミングだった。
これからの行動方針は決定したが、ボンチューはそれに完全に納得したわけではない。
願望としては、ピッコロもフレイザードも、自分の手で倒したい。
だが、それには決定的に実力が足りない。
このままでは、ルキアを守りきれるかもあやしい。
それを自覚していたからこそ、ボンチューはこんな一言を漏らすのだった。
「……もっと、強くならなきゃな……」
【青森県/日中(放送後)】
【ボンチュー@世紀末リーダー伝たけし】
[状態]ダメージ中(多少は回復しましたが、まだダメージが残っています)
[装備]なし
[道具]荷物一式、蟹座の黄金聖衣(元の形態)@聖闘士星矢
[思考]:1、ルキアを守る。
2、もっと強くなる。
3、これ以上、誰にも負けない。
4、ゲームから脱出。
- 225 :そして少女は居場所を見つけた ◆kOZX7S8gY. :2006/01/29(日) 19:48:06 ID:zKHHKOy/0
- 【朽木ルキア@BLEACH】
[状態]:弱冠の疲労、右腕に軽度の火傷
[装備]:コルトパイソン357マグナム 残弾21発@City Hunter
[道具]:荷物一式 ・遊戯王カード(青眼の白龍・次の0時まで使用不可)@遊戯王
[思考]:1、黒崎一護、武藤遊戯(カードの使用方法を知る者)を探す。
2、とりあえず関東方面へ移動。
3、ゲームから脱出。
【世直しマン@とってもラッキーマン】
[状態]健康
[装備]:世直しマンの鎧@ラッキーマン
:読心マシーン@ラッキーマン
[道具]荷物一式
[思考]:1、ピッコロ、フレイザードを倒す(ルキア、ボンチューの安全を優先)。
2、関東方面へ移動。
3、ラッキーマン、黒崎一護、武藤遊戯を探す。
4、ゲームから脱出し主催者を倒す。
【バッファローマン@キン肉マン】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]荷物一式
[思考]:1、ピッコロ、フレイザードを倒す(ルキア、ボンチューの安全を優先)。
2、関東方面へ移動。
3、ラッキーマン、黒崎一護、武藤遊戯を探す。
4、ゲームから脱出し主催者を倒す。
- 226 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:18:08 ID:WiYqWmPe0
- 「ねぇー!そろそろ休憩しようよ。さっきから歩きっぱなしじゃん。って聞いてんの、ねぇー!」
足を引きずりながら歩く洋一が、前を進む二人組に叫んだ。
「む〜ん。どうします?叫び声を他に聞かれ無いとも限りませんし、この際置いて……」
「ムーンフェイスさん。私はそういうごたごたは嫌いです。――そうですね、では私が甘いモノを食べたくなったから休憩したいと言えばどうでしょうか」
「む〜ん。仕方ない、貴方にそう言われると休憩せざるを得なくなりますね。」
あくまで表情を変えず三日月の顔を持つ異形のホムンクルス、ムーンフェイスは頷いた。
「沖縄までまだまだ距離はあります。急いだってそう時間は変わりませんよ、ゆっくり行きましょう」
そう、言うが早いかLはバックを開けて早速食料を取り出した。
「頭を使うのには糖分が欠かせません。その点、私に配布された食料が菓子なのはラッキーと言えます」
そういって、Lは板チョコの周りの包装紙と銀紙を破り、一欠片割って口に投げ込んだ。
- 227 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:18:48 ID:WiYqWmPe0
- 「はぁはぁ、やっと追いついた……二人とも置いて先に進むんだから酷い……よ」
漸く追いついた洋一に『少し黙っていて下さい』と書かれた紙が突きつけられる。
「ムーンフェイスさん、先程思い出したのですが、このノート実はもう一つ隠された使い道があるんです」
そう言ってLはデスノートと、先程菓子を食べる際、一緒に取り出したメモ帳をみんなの前に広げた。
『口頭だと、主催者に聞かれる可能性がありますので重要なことは筆談で行います』
「このノート、説明したとおり加えられたのを含め幾つかルールが書かれています」
片手でぺらぺらとデスノートを捲りながら、もう片方の手で器用に筆を滑らせていく。
「実はですね。ノートを触ると死神が見える様になっていたですよ」
『ムーンフェイスさん適当に相槌打って下さい。洋一君は喋らず休憩していて結構です』「むん?なっていた……過去形ですね」
走り書きを読んだ、ムーンフェイスは頷いてそう切り出し、洋一は自分は関係ないとばかりにごろんと後ろに倒れた。
「えぇ、過去形です。今じゃ触っても死神は現れてくれません。此処まで信じてくれますか?」
「私がこうやっているくらいなんですし、死神の話は疑う余地もありませんよ」
ムーンフェイスはそのノートに触れて確認するがやはり、死神は目の前に現れなかった。
「このノートは私の世界にあったノートです。ほら、こうやって過去に私の世界で殺された人の名前と死因が誰かによって既に書き込まれています」
そう、月によって元いた世界で粛正された人々が其処に綴られていた。
書いたのが夜神月であるという完全な証拠はない。だが、キラによって殺されたと思われた人々の名前に間違いはなかった。
- 228 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:20:08 ID:WiYqWmPe0
- 「この様に証明できる通りノートは私の知っているノートです。ならば、何故死神は現れないのでしょう?」
「主催者に殺された……と」
「あるいは死神といえど来られない世界に連れてこられたか、でしょうね。まぁ問題はそこではありません」
Lはそう言うと板チョコをもう一欠片割って口に投げ入れた。
「死神がルールを教えてくれたんですよ、書かれていないもう一つのルールをね」
上目使いで淡々と述べるLをみて、ムーンフェイスは確信した。自分の人選に間違いはなかったのだと。
『ちなみにこれから言うことは出鱈目です。そんな都合の良い話はありません』
「死神はこう教えてもくれました。私にもルールを書き換えることも出来る、と」
『元の世界にあった私が一番知ってます。そんな都合の良い話があれば彼奴――キラがその手を利用しないはずがない』
Lは面倒になったのか持っていた板チョコから包装紙と銀紙を全てはがして、固まりのまま口に入れてかみ砕いた。
「24時間ルールと、主催者が殺せないというルールさえ消してしまえば……」
『だけど、主催者が何らかの手段でルールを変更できた以上は手があったってのは事実なんでしょう』
「ただし、条件があるんですよ。そうですね、最低あと12時間はかかるでしょう」
『ルールを変更する手だてがないとは言えない以上、私が主催者なら他にも手段があると思ってこのノートを回収します』
そう書き終えるとLは筆を置き、終了の合図を出した。
- 229 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:21:35 ID:WiYqWmPe0
- 「む〜ん。つまりそれまでの時間まで君を守り通せば勝ちというわけだ」
「えぇ、理解が早くて助かります」
そう、リミットは12時間。それまでに主催者は危険を冒してでもこのノートを回収しに来る筈だ。
だがそれはこの作戦の表の一面に過ぎない。
主催者が来る可能性は考慮しなくてはいけないが、来ない可能性だってあり得るのだ。
可能性は二つ。
一つ目は、そもそも盗聴なんてしていない場合。
この会話自体聞いてないのなら取りに来ることはあり得ない。
そして二つ目は、盗聴どころか監視すらしている可能性。
ノートの書き込みまで見られている場合完全にアウトだ。
脱出するにはどうしても、話の筒抜け具合を最初の内に調べておきたかった。
取りに来れば、内緒話は筆談で全て済む。
取りに来なければ、脱出の算段より、伝達方法を先に考えなくてはいけなくなる。
どうせ沖縄まで仲間を増やす以外する事はないのだ。
ならばその間ですらも利用させて貰うとする。
12時間とリミットを長目に設定したのもそれが理由だ。
時間が長ければ長いほど、もしも主催者が現れた時に戦力になってくれる仲間、そしてアイテムが増えるからだ。
なるべく早く自分の置かれている状態を知れるようになり、出来るだけ万全な準備を整えられる時間――それが12時間なのだ。
- 230 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:25:07 ID:WiYqWmPe0
- 「さぁ洋一君、休憩は終わりです」
ノートとメモ帳を仕舞って、洋一の方へと振り向いた。
「あ……綺麗だな」
上を向いて寝ながらそう、ぽつりと洋一は呟いた。
ムーンフェイスとLも洋一が見ている方向を慌てて見上げた。
遠くで何かがキランと光った。
先程の会話から二人は同じ事態を想像してしまう。
(は、早すぎる!)
先程の会話を聞いて、用意が出来ない間に主催者がやってきたという最悪の事態が頭を過ぎる。
主催者の様な存在ならそう軽く動けはしないと計算していたのだが外れたのか?
光は次第に大きくなってくる、だが近づくにつれ分かったのだが、どうも自分達のいる方向とは少し違うらしい。
光の辿り着く先は、名古屋城か?
光はそのまま一直線に進み、名古屋城の天守閣に激突した。
小さな音と、煙を確認して目的地が自分達でなかったことを知り、肩の荷を下ろす。
しかし、狙いが自分達ではないという事を知り安堵するのも束の間上空から、なにやら高貴としか例えようのない声が響き渡った。
「ハッハッハ、僕が誰かって?そうだね無知蒙昧な君たちにも教えてあげようじゃないか!僕は麗しき貴公子、趙公明。覚えていて損はないよ、以後お見知り置きを」
声が響き渡ると共に、後光を纏いつつ傘をパラシュート代わりにさした男性が舞い降りてきた。
「名古屋城観光に向かおうとしたら君を見かけてね。そこの二人のようにセンス欠片も持ち合わせない人間なら無視していたのだが、君みたいな面白い人物――いや僕と同じような存在かな?
まぁどちらでも構わないか。君みたいな面白い奴がいたからわざわざ寄り道してまで来てあげたという訳だよ」
「むん?」
着地すると共に、フーンフェイスに深々と貴族らしい挨拶をする。
「さぁ、僕と一緒に華麗なる戦いの舞を踊ろうではないか!」
趙公明は手にしていた傘を綴じ、それを刀のようにして構えた。
最悪の事態ではなかったものの、まさしくアンラッキーな事態といえた。
今まで開始してから12時間以上は経過している。
実際は戦闘がなかった方が運が良かっただけなのだが、自然とLとムーンフェイスの視線は一人の少年に集まった。
「俺ってやっぱり、ついてねー!!」
- 231 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:26:12 ID:WiYqWmPe0
- 【愛知県/日中〜午後】
【チームL】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装練金】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
[思考]:1、有用な人材のスカウトと支給品の収集
2、Lを補佐する
3、生き残る
【L(竜崎)@デスノート】
[状態]:健康
[道具]:荷物一式 (食料少量消費) 、護送車(ガソリン無し、バッテリー切れ、ドアロック故障) 、デスノート(0:00まで使用不能)@デスノート(洋一の持ち物だが仮に所持)
[思考]:1、目の前の男(趙公明)へ何らかの対応をする
2、名古屋駅を目指し、参加者のグループを探索。合流し、ステルスマーダーが居れば其れを排除。
3、出来るだけ人材とアイテムを引き込む
4、沖縄の存在の確認
5、ゲームの出来るだけ早い中断
6、デスノートは可能な限り使用しない
【追手内洋一@とっても!ラッキーマン】
[状態]:右腕骨折、左ふくらはぎ火傷、疲労
[道具]:荷物一式(食料少し消費)
[思考]:1、とりあえずLたちに付いていく
2、死にたくない
- 232 :マッド・ティーパーティ:2006/01/29(日) 20:28:41 ID:WiYqWmPe0
- 【趙公明@封神演義】
[状態]:左足に軽傷
[道具]:荷物一式×2(一食分消費)神楽の仕込み傘@銀魂
[思考]:1、目の前の男(ムーンフェイス)と華麗に戦う。
2、ディズニーランドでラーメンマンを待って煌びやかに闘う。
3、エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキ、ラーメンマンを優先。
【如意棒@ドラゴンボールは名古屋城天守閣に突き刺さってます】
- 233 : ◆HKNE1iTG9I :2006/01/29(日) 22:09:22 ID:J7MrZJN00
-
―我等は 姿無きが故に
それを畏れ―
- 234 :魁!一護100%〜Frame framin' SAITAMA MIX〜:2006/01/29(日) 22:10:03 ID:J7MrZJN00
- ここは、県境。僅かな木々と、熱い大地。目の前に広がるのは、この”殺し合い”ゲームに似つかわしくない
静まりきった、都市の影。いや、むしろ、ふさわしいと呼ぶべきものなのか…
また、大勢の人が死んだ。殺された。顔も知らない殺人者に。護れなかった、俺は。誰も。
護られた、俺は。江田島のオッサンに。…何も、できなかった。そして、大勢の
人が死んだ。殺された。この”クソッタレ”な殺人ゲームとやらに。奪われた、自分には分からない、遠い場所で。
俺は、誰も護れなかった。ただ、護られるだけだった。知っているはずなのに
俺は。幽霊を見ることが出来る俺は。死神をやってきた俺は。”死”というものを知っているはずなのに。
死んだものの悲しみも、遺されたものの哀しみも。俺は厭というほど知っているはずなのに。
幸いなことに、放送にルキアの名前は無かった。幸いなことに。そして、幸いなどといった言葉を使わざるを得ない
今の自分を嫌悪する。14人、14人も死んだ。俺は、護ってやれなかった。ルキアも、他の弱い奴らも、皆、俺が護ってやると
誓ったはずなのに。
それなのに、今の俺は。両膝を打ち抜かれたぐらいで、もう立ち上がることすら出来ない。誰かを護ることすらできない。
むしろ、真中や江田島のオッサンの足手まといになっているといったほうが正しいか。
―どちらにせよ。俺は、護れなかった。死んでいった奴らを。俺には、力があるはずなのに―
木々は揺れて、思いを呑み込む…姿も見えない、遠い場所へ―
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
- 235 :魁!一護100%〜Frame framin' SAITAMA MIX〜:2006/01/29(日) 22:10:46 ID:J7MrZJN00
-
そこは、更地とでも呼ぶべき場所か。二人の青年、黒崎一護と真中淳平は二人、その場で、しばしの休息を取っていた。
巨漢、江田島平八の姿は、今、ここにはない。黒崎一護と、真中淳平の強い要望で、この周辺に、誰か襲われているものは居ないか、
怪我をして助けを待っているものは居ないかを探りに行っているために。本来なら、自分が行きたい…と一護は考えていたが、
先程の暴漢に撃たれた傷のため、思うように動けない。ならば、自分のことはいいから、せめて―――
それが、一護の要望。
と、唐突に、同行者が声を掛けてくる。
「なぁ、黒崎君…」
「一護でいいよ、なんだ?」
「分かった。なぁ、黒崎苺…」
「って、何でフルネームなんだよ!そっちは嫌だよ!つーか、イントネーションがおかしくねぇか、オイッ!!」
響く声は、静寂を破る…が、それを聞き咎めるものはこの場にはいない。誰も。
「苺君は、ここに来る前、一体何してたんだ?」
「俺は…高校生だったよ、アンタと同じな。つーか、君は要らねぇ。つーか、明らかに発音おかしいだろーがッ!!」
「俺は、普通の高校生だったんだ。ただ、少し映画が好きな、ね。だから、どうしても時間が湧かないっつーか」
「一等賞の一に、守護神の護!黒崎一護!!リピートアフターミー!!」
「なんつーか、これも映画の撮影みたいな気がするんだよなぁ」
「オーイ、ガン無視かよッ!!だから、苺じゃねーっつーの!!!」
響く声は、まるで戯れるように。声の主は、オレンジ色の頭髪の青年と、黒髪の青年。二人が居るのは、東京と埼玉、千葉の県境の更地。
- 236 :魁!一護100%〜Frame framin' SAITAMA MIX〜:2006/01/29(日) 22:11:28 ID:J7MrZJN00
- 「つーかさ、これがハロウィン映画の撮影だって言われたら、俺、嬉しくて泣き出すかも」
黒髪の青年は語る。在りし日の、穏やかな姿を懐かしむような、遠いまなざしで。
「だーかーら、苺じゃねぇっつってんだろ!!」
オレンジ髪の青年は叫ぶ。在りし日の、都市の喧騒を思い出させる声質で。
「なんか、ちょうどいい具合なオバケもいたし…これがトリック・オア・トリートだったらどんなに良かったんだろうな」
「…これは、そんな生易しいもんじゃねェよ。もう32人も死んでるし、アンタだって殺されかけただろ?」
「というかさ、トリック・オア・トリートって立派な脅迫じゃね?お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ…って、なぁ?」
「オーイ、話が噛み合ってねーぞ…、というか、それぐらいいいじゃねーか…」
「いや、駄目だね。俺がこの行事の発案者だったら、”お菓子をくれたら、悪戯してもいいわよ”に変えてるのに!!」
「ってソッチのが駄目だよ!お菓子一杯やっちゃうよ!じゃねぇ、そんな誘惑には屈しない男だ、俺は!!」
青年、真中淳平の要望。それは、すこしでも自分の同行者の力になること。自分には、力が無い。あくまで、平均的な高校生男子レベルの
身体能力しかない、自分には。同行者、黒崎一護も、江田島平八も、自分より遥かに強い、これは現実。もし、東城や西野、さつき達に
巡り合えたとして、自分ではどこまで彼女達を護りきれるのか怪しい。いや、先程のように、何も出来ずに嬲り殺されるのがオチだろう。
幸運にも、まだ自分の知り合いは誰も死んではいない。殺されてはいない。でも、本当は。しかし、本当は。
本当は、今すぐにでも探しに行きたい。探し出したい。支えてあげたい。真中は、心の底から、そう願う。だが、それは土台不可能なこと。
助けられ、護られているばかりの自分では。
探している女性を護りきることも。
そう、それは不可能なこと。助けらてもらい、護ってもらっているばかりの自分では。
動けない仲間を見捨てて、一人、ここから去っていくことも。
せめて、緊張をほぐすだけでも。この場で、この戦場で、もう姿も見えない、遠い日常を思い出してもらうだけでも。
そう思い、真中淳平は道化続ける。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
- 237 :魁!一護100%〜Frame framin' SAITAMA MIX〜:2006/01/29(日) 22:13:37 ID:J7MrZJN00
- 「だから、そのイントネーションで俺を呼びつつ、苺パンツについて語るなァッ!!」
「えー、でも苺君のパンツが苺パンツってわけじゃないだろ?」
「………初めてですよ。この私をここまでコケにしてくれたお馬鹿さんは」
口論は続き、そして、どちらからとも無く大きく息をつく。
喧騒が去り。穏やかな風があたりを薙いで。遠くに聞こえるは、山鳥の声か。この縮小された日本では、これが海鳥の声でも不思議ではないが。
二人の青年は、暫しの風に身を任せる。その目が見つめるものは、遠い、遥か遠い彼方の景色。
「…満足したか」
「それなりに…」
ひとしきりの会話が終わり、互いに沈黙する。
オレンジ色の髪をした、ヤンキー然とした青年と、黒髪の平凡な造作をしている青年。一見、異色の取り合わせに見えるこの二人。
だが、その心中は同じ。互いに、歯噛みしたくなるような不甲斐なさに苛まれている、という現実は同じ。
今の現状に対するやるせなさ。このゲームに対する憤り。そして、自分自身に対する、泣きたくなるような無力感。
風が吹く。二人の誓いを運び去るが如く、風が吹く。
誓いは。それぞれ、自分の大切な人を死なせないこと。仲間の大切な人を護りぬくこと。
二人の意思は、風のみが知り…
「オイ、真中」
「ああ、なんかキナ臭い匂いがする」
二人の下へ、戦火が届く。それは、姿も見えない、遠い彼方での闘いの狼煙。
- 238 :魁!一護100%〜Frame framin' SAITAMA MIX〜:2006/01/29(日) 22:14:58 ID:J7MrZJN00
-
【埼玉県(県境)/日中】
【いちご100%@真中淳平】
【状態】手首捻挫
【装備】無し
【道具】無し
【思考】1.江田島が戻るのを待ち、炎に対処。戻らなかった場合、一護を連れて避難
2.知り合いとの合流
3.東京を目指す
【黒崎一護@BLEACH】
【状態】両膝破壊 (名簿に写真がないため、メガネ藍染かオールバック愛染かは知らない)
【装備】シャハルの鏡@ダイの大冒険
【道具】支給品一式
【思考】1.江田島が戻るのを待ち(自力移動できないため)、炎に対処
2.目の前で襲われている奴らがいたら助ける
3.朽木ルキアとの合流
4.東京を目指す
- 239 :作者の都合により名無しです:2006/01/31(火) 00:45:48 ID:bwx3KCKXO
- シカマルは自分がいざ死ぬとなっても、死の瞬間まで物事を正確に考えることができる忍であった。
『タオパイパイ……すごいやつだ。やつの学校でのあだ名はオッパイ君で間違いないだろうな。
俺だったら自殺してるだろう…やつはそれでも生き抜いてるんだ。
すごいやつだ…。俺じゃ勝てない…。』
シカマルはタオパイパイのあまりの恐ろしさにこうつぶやいた。
『テラワロスwwwww』
オッパイ♪オッパイ♪タオパイパイ♪
オッパイ星人の希望の星〜♪
オッパイ♪オッパイ♪タオパイパイ♪
三度の飯よりオッパイ〜♪
不思議な音が頭をかけめぐり、そこでシカマルの意識はなくなった。
【シカマル死亡】
残り人数46パイパイ
- 240 :作者の都合により名無しです:2006/01/31(火) 11:33:13 ID:TURs6eDL0
- >>239は有効です。
- 241 :終了のお知らせ:2006/01/31(火) 21:46:45 ID:OfDt5IPkO
- 雑談スレッドでの話し合いにより、この企画は未完終了となりました。
突然で申し訳ありませんが、読者の皆様にこれ以上お見苦しい姿を晒すわけにはいかない、という判断です。
本当に大変申し訳ありません。ご理解願います。
完結まで続けられなかった力量不足を反省しています。次回作に御期待下さい。
今まで御愛読有難う御座いました。
- 242 :作者の都合により名無しです:2006/01/31(火) 21:52:18 ID:aNTD56510
- >>241は無効です。
- 243 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:09:45 ID:3z7kuA0H0
- 「むーん、キミは私に用があるのかな?」
「いかにもそうさ!僕は貴公子、趙公明。さぁ、エレガントな闘いを楽しもうじゃないか!」
廃墟のような静けさを湛えた、街並みで。対峙するのは、二人の怪人。ルナール・ニコラエフことムーンフェイスと、
麗しの貴公子こと趙公明。
「キミ達は少し、下がっていてくれたまえ」
と、徐に怪人の片割れ、月面の如き容貌を持つ男、ムーンフェイスが片手を挙げ、背後にいるL、洋一を制する。
「もう一つ聞いてもいいかな?キミは何故闘っているんだい?」
そして、問う。この場には似つかわしくない、穏やかな声で。
この場にふさわしい、何かを愉快がるかのような剣呑な雰囲気を、全身から漂わせて。
「それはモチロン!エレガントでゴージャスな闘いを繰り広げるためさ!他に何が要るというんだい?」
返答するは趙公明。その姿、あたかも光り輝く、戦神の如く。あたかも大量のカクテルライトを浴びているかのように見えるのは、
果たして目の錯覚なのか。それとも、趙公明が起こすことはすべて真実なのか。だが…
(むーん、この男は…ダメだね)
異形、ムーンフェイスは判断する。
(この男は、確かに光り輝いている。まるで、豪華絢爛な星屑のようにね。でも、所詮、星屑は星屑。
その光は自分だけしか照らせない、無粋な輝き。到底、私(月)を照らすに値しない)
「むーん、是非!!…っていいたいところだけど、今回は君の期待には応えられそうにもないよ。
残念だけど、今回はパス」
よって、ムーンフェイスは返答を返す。あくまでも、にこやかに。
「それは何故だい?」
一転、肩を大きくすくめた相手を見て、険しい光を宿す趙公明。
それは、欲しがっていた玩具を理不尽に取り上げられた、子供のような怒り。
空気が、僅かに。だが、確実に重さを増していく。
- 244 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:10:47 ID:3z7kuA0H0
- 「まず第一に。私たちは丸腰だ」
意に介した風も無く、飄々とムーンフェイスは言葉を繋いだ。
「なら、ボクの傘を使えばいい」
待ちきれない、といった表情で、手にした得物を放ろうとした趙公明に対し
「むーん、人の話は最後まで聞くものだよ。第二に、私は核鉄といった、非常に特殊な武器がないと真価を発揮できないんだ。
掌大の六角形の金属でね。これが無い私は、著しく戦闘力にかけるんだよ」
「核鉄?」
「あぁ、私や、錬金の戦士…ムトウカズキやツムラトキコ…かな?この場にいるのは。
私たちが実力を十全に発揮するためには、それが必要なのさ」
「カズキ君が…!!いや、華麗なる敵であるボクに向って、なんでそんなことを話すんだい?まさか、ボクにそれを持ってきて欲しいとでも?
それは虫が良すぎるんじゃないかな?!」
言うが早いか、趙公明は傘を無造作に構え直し、刹那、石突が火を噴く。ムーンフェイスは、足元で舞う土埃に興味を抱いた風でもなく。
「むーん、最近の田舎貴族はノーブリス・オブリージュという言葉も知らないのかい?やれやれ、嘆かわしいことだね」
口の端を歪めると、大仰にため息をついてみせる。
「まぁ、それならこの場で私たちはなす術も無く殺されるだけさ。
…あ、そうそう、一番の理由を忘れていた」
一転、ニヤリ、と笑い、
「決闘は、月の綺麗な晩に行うものと決まっている」
趙公明は無言。それに合わせて、Lが声を掛けようとするが、
「少し…黙っていてくれないかな?今、ボクはこの月顔の紳士と話をしているんだよ」
怒気とともに、上げられた傘…機関銃の銃口を見て、やれやれといった様子で言葉を呑み込む。
怒りとともに、Lを見据える趙公明。と、その顔に何かが投げつけられた。それは、ムーンフェイスの手袋。
古来より貴族の間で交わされてきた、決闘の申し込み方法。
- 245 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:12:02 ID:3z7kuA0H0
- 「むーん、私の話はまだ終わっていないよ。…もしキミが、核鉄を手に入れて、また私の元に立ったとき…
そのときは存分に闘おうじゃないか」
趙公明は無言。
「そんな怖い顔しない!今のは決闘の前払いさ。スマイル、スマイル!」
趙公明は無言…とおもむろに問いを発する。
「ムーンフェイス君…といったかな?君が逃げないという証拠は?」
「むーん、それこそ愚問!このような世界で、一体私がどこに逃げるというのかね?」
呵呵大笑して、ムーンフェイスは応じる。その様子を見て…
「アーッハッハッハッハ!!素晴らしいよ!なら、君の言葉に免じて、この場はボクが退こうじゃあないか」
同じような爽やかな笑顔で、趙公明は言葉を続ける。
「それと、そこの隈が酷いキミ!悪かったね!これほどの紳士とともに居るんだ、君も名のある従者なのだろう?」
「…いえ、そんなことはありませんよ。それよりも、いいんですか?この世界は、私達のいた世界を模しているようなのですが…
その世界だと、貴方の持っていた棒が刺さった城、あれは巨大なロボットに変形して、悪と戦うんです。そこまで主催者が模しているとは
思えませんが…天守閣に装備されている、エビフライ型のミサイルくらいは、もしかしたら再現されているかもしれませんよ?」
「ワンダフル!それは、つまり私の故郷、キンゴウトウのようなものだね?なんてエキゾチックな造型なんだ!」
「キンゴウトウ…というものは私には分かりかねますが…貴方の言う、エレガントな戦いを演出するために、あの棒は必要なものなのでは?」
「おぉっと!確かにそうだね!ブリリアントな闘いの予感に、すっかり忘れていたよ!ありがとう!」
(嘘八百だ…!!従者呼ばわりを怒ってるのか?このLってひと…ちっちぇぇ〜)
「むーん、それでは、綺羅星の貴公子!また会うときを楽しみにしてるよ」
「ボクもさ、三日月の紳士!キミとはゴージャスでノーブルな闘いで、是非また会おう!!」
上機嫌で去っていく趙公明。一抹の不安をぬぐえない洋一。
ひとまずの幕間劇は、こうして演目を終えた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
- 246 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:13:09 ID:3z7kuA0H0
- 「…お疲れ様です、ムーンフェイス」
「む〜ん…流石に神経が削れたよ…」
Lの言葉に、ムーンフェイスはへたり込むような声で答える。その様子を見て、洋一は
「えっ?!でも、核鉄って言うものがあれば…」
「核鉄があっても、善戦はして見せられるけれど、とても勝てるとは思えないね」
「えぇっ!じゃぁ、どうするの?!」
驚く洋一。それに対し、
「むん!洋一君、心配することは無い!!次に出会う前に、とっくにLがこのゲームを終わらせているさ」
「そうです。起こりえないことを心配するのは現実的ではありませんよ」
Lとムーンフェイス、二人が被せるかのように、その危惧を否定する。
「ところで、ムーンフェイス。さっきの妙な口調はやめたんですか?」
「むん…妙とはご挨拶だね。私なりに、キミに敬意を表そうとしたんだが…ゲンが悪くなってしまったからね」
「安心しました。私もそのほうがやりやすい。
…しかし…貴方がゲンを担ぐとは以外ですね」
「無論!月は魔性の天体!ならば、月である私も、ゲンくらいは担ぐさ!!」
(この二人…なに考えてんのか分からねぇ〜!!)
いつの間にか、このあたり一体を支配していた緊張感は、跡形も無く風に溶けて…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
- 247 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:18:06 ID:3z7kuA0H0
- 「L、肉体労働は私や洋一君に任せ、キミはキミのやるべきことをやるといい。
なに、私は人ではなく超人。故に、人の身では到底不可能なことも容易い」
怪人、ムーンフェイスの発する言葉。それは、言外に一つの疑問を。
(キミは、デスノートを主催者が危惧しているといった。だが、もし私が主催者なら、そのようなことは
最初から想定しておく。キミが考えている策は、もう少しなにかあると思うんだけどね)
「お心遣い、痛み入ります。確かに、私はただの人間。元の世界で、ある人物を24時間監視し続けたとき…
人間の耐久力の限界というものを思い知ったことがあります。その点では、素直に貴方が羨ましい」
超人(ある意味)Lは、言外の疑問を察知し、そう返す。
Lの策。それは、主催者の介入のみを求めているものではない。あくまで、それは全てが上手くいった場合のこと。
無論、自分が主催者だったら、デスノートの様な危険物は、それこそ細心の注意を払って調べ、自分たちの安全が確保されると
確信しない限り、この様な場に投下しない。
だが。イレギュラーな発言を。他でもない自分がすることにより。主催側に動揺を与えられる可能性はゼロではない。
そして、動揺を与えられたならば。主催の監視の目を、自分たちに惹きつけることは、決して可能性が低いことではない。
監視するということは、異常な体力の消耗を、被監視者のみならず、監視者にも強いるもの。ならば、自分たちが
注意をひきつけることが出来れば、他の脱出を考えている参加者に向けられている注意を、何分の一かでも削ぐことが出来る。
今、自分たちは移動しかしていないのだ。ならば、移動時間も活用させてもらう。
ただ、それだけ、かつ、無駄の無い伏線の一手。
「それに、洋一君も役に立ってくれていますよ。彼の能力は非常に貴重だ」
洋一の運の無さ。それは、殺人者を惹きつけるといった作用で現れてくる、ということを先程、実感した。
隠密行動、双眼鏡…それらがあるにも拘らず、空、といった思いもよらないところから現れた殺人者をみて。
- 248 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:19:02 ID:3z7kuA0H0
- もし、自分が主催者ならば…絶対に、ゲームが動くところをみたいと考えるはず。
そして、ゲームを動かすのは…現時点では、間違いない。殺人者である。
つまり、洋一の存在は、否が応にもにも、主催者の目をこちらに惹きつけることができる、裏返せば、不可避の重要能力。
主催者さえ抗えない、「運」というもの…これは、完全に管理されたかのような世界で、確実に存在する綻びが一つ。
そして、自負。自分たちなら、殺人者を切り抜けられるという、確かな思い。
そして、これは。盗聴、監視に拘わらず、決して主催者に知られてはならないこと。だから、言わない。だから、書かない。
出鱈目を並べ倒した、先程の会話の中で、それは、実在した真実の一片(ヒトカケラ)。
(む〜ん、そういうことか)
だから、相手がそれを察してくれるのを、ただ、待つ。そして、Lが有能な主導者であるのと同様に、ムーンフェイスもまた、
有能な補佐役である、ということへの確かな信頼がその根底には流れている。
「ね〜ッ!ちょっと、もう一度休憩しようよ〜ッ!!」
後ろから響く、洋一の声。それに対して振り返ると、ムーンフェイスは駆けていく。
「む〜ん、急ぐから、私が背負って言ってあげよう!!」
「ゲッ!!いいです!大丈夫です!!!っていうか、ツいてねぇ〜〜〜〜!!」
(む〜ん、素晴らしいね!
…太陽は、常に輝いていればいい。陰は、月(私)が引き受けよう…)
「むん!遠慮は無用!さぁ、急ごうじゃぁないか!!」
星は去った。闇は去らない。
だが、光は常に在る。
- 249 :ほしのおうじさま〜エビフリャー地獄変〜 ◆HKNE1iTG9I :2006/01/31(火) 23:20:02 ID:3z7kuA0H0
- 【愛知県/日中〜午後】
【チームL】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装練金】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
[思考]:1、有用な人材のスカウトと支給品の収集
2、Lを補佐する
3、生き残る
【L(竜崎)@デスノート】
[状態]:健康
[道具]:荷物一式 (食料少量消費) 、護送車(ガソリン無し、バッテリー切れ、ドアロック故障) 、デスノート(0:00まで使用不能)@デスノート(洋一の持ち物だが仮に所持)
[思考]:1、目の前の男(趙公明)へ何らかの対応をする
2、名古屋駅を目指し、参加者のグループを探索。合流し、ステルスマーダーが居れば其れを排除。
3、出来るだけ人材とアイテムを引き込む
4、沖縄の存在の確認
5、ゲームの出来るだけ早い中断
6、デスノートは可能な限り使用しない
【追手内洋一@とっても!ラッキーマン】
[状態]:右腕骨折、左ふくらはぎ火傷、疲労
[道具]:荷物一式(食料少し消費)
[思考]:1、とりあえずLたちに付いていく
2、死にたくない
【趙公明@封神演義】
[状態]:左足に軽傷
[道具]:荷物一式×2(一食分消費)神楽の仕込み傘@銀魂
[思考]: 1、核鉄を見つけて、錬金の戦士やムーンフェイスと華麗に闘う準備をする。
2、ディズニーランドでラーメンマンを待って煌びやかに闘う。
3、エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキ、ラーメンマンを優先。
【如意棒@ドラゴンボールは名古屋城天守閣に突き刺さってます】
- 250 :予想外の刺客:2006/02/01(水) 00:42:28 ID:Jigt1ISNO
- 太陽がまだ高い時間。
この刻に似つかわしくない流星がこの世界の至る所から観測することができた。
それは主催者がいる虚空の間からも例外ではなかった。
「な、なんです!?あれは!!?」
それは主催者たちにも予想外のできごとだった。
主催者の作った作り物の世界に流星が落ちるわけもなく、フリーザ以外の主催者は話こそしなかったが正直、予想外の事態に面くらっていた。
そのとき後ろに禍々しい気配が2つ感じられた。
「誰です!?」
「これは驚かせてしまいすいません。私、白面の者と申します。」
見た目は東洋の少女の出で立ちではあったが、その目、その存在は全ての負のものを集めたようなものだった。
「私どもはあなた方と同じ存在。異なる世界の集合体であるあなた方の世界からも遠く離れた世界からやってきました。願いは一つ、我らの住人もこのゲームに参加させてください。」
突然現れたゲストの出現であった。
流星はいくつかに別れ、その中には「うしお」と呼ばれる少年と「とら」と呼ばれる金色の妖怪も加わっていた。
今まさに風雲急を告げる!!
- 251 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:31:18 ID:z8ps3ZmB0
- 大阪の住宅街。妲己に置き去りにされた武藤遊戯は一人ぼっちだった。
そう、一人ぼっち。妲己もカズキは勿論、他の友達も誰も傍には居てはくれない。
『大丈夫。直ぐに戻ってきてくれるさ。
カズキも、妲己も。一緒に脱出しようって誓ったじゃないか、相棒?』
もう一人の内なる遊戯が、路傍に座り込んでしまった遊戯を慰める声も、何処か遠く聞える。
妲己が戻ってこないかもしれないことを内なる遊戯は十分に理解していた。其れでもだ。
今は彼女の存在が、頼りになる彼女の存在が孤独と喪失に苛まれている遊戯に必要なのは理解していた。
内なる遊戯ほど遊戯のことを想う者は存在しないが、彼には身体と言うものが存在しない。
彼と遊戯とは表裏一体、ある種の、二重人格。
励ましの言葉も、慰めも、自らの内からのものとなれば、時として薄っぺらに、空しくさえ響いた。
誰よりも近いのに届かぬ想いに、内なる遊戯はモヤモヤとしたものを感じざるを得なかった。
――相棒は、俺の手で守らねばならないのに。
妲己さんもカズキ君も僕を置いて何処に行ってしまったんだろう。
――僕がカズキ君みたいに戦えないことは知っているのに。
――僕が妲己さんみたいに賢くないことは分かっている筈なのに。
『相棒』は彼らを信じて待てば、必ず戻って来てくれると行ってくれる。自分もそう信じたい。
妲己さんは僕のために泣いてくれた。カズキ君は僕を守ってくれると言ってくれた。
- 252 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:32:15 ID:z8ps3ZmB0
- けれど、じゃあ如何して僕を置き去りにするの? 戻ってきてはくれないの?
城乃内君は死んじゃった。埋めてあげた女の子みたいに、きっと誰かに殺された。
この辺りには怖いヤツがいる。チョウコウメイ。妲己さんが言ってた名前。僕じゃあどうしても適わない。
「怖い、怖いよ、妲己さん……。カズキ君……。僕を一人にしないでよ」
建物の影に身を隠し、小さく身体を折り畳むように蹲る。
少女を生めた場所。此処で待ってれば。微かな希望に思いを託し。息を潜め。二人を待つ。
殺された少女を埋葬し、土だらけになった小さな掌。
カードを操らせれば無限の宇宙を体現する遊戯の掌も、今は薄汚れ、泥に塗れている。
カード。そう、カードだ。
勉強も特に出来ないし、運動神経もいまいち。
そんな武藤遊戯に誇れる事があるとすればカードバトル――、決闘者(デュエリスト)としての才能。
(デュエルモンスターズでの決闘なら、僕と相棒は誰にも負けないんだけれどね!)
必要なのは僅か40枚超のカードで構成されたデッキだけ。機転と戦略、後は少しの幸運だ。
うだつの上がらない少年が、現実から目を背け、幻想に逃避するように、疲れ果てた遊戯の目には自分の栄光――
過去の栄光ばかりが、都合良く思い浮かんだ。そうだ、カードバトルなら僕と相棒は無敵なんだ。
チョウコウメイだろうが、あの黒幕達だろうが、コテンパンに倒せちゃう。
自分達が打ち破ってきた数々の強敵――ペガサス、マリク、レアハンター、そして……
「海馬君……」
- 253 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:33:15 ID:z8ps3ZmB0
- 最強無敵のライバル。ゲームの天才。
彼が自分(と言っても内なる自分)以外に敗北し、苦渋を舐める姿を遊戯には想像することが不可能だった。
一つ、唯我独尊。一つ、絶対勝利。完全勝利こそが海馬瀬人の生き様に相応しい。
「そうだよ、海馬君だ、海馬君だよ!」
彼ならば絶対に信用出来る。彼ならば完全に協力し合える。
宿命のライバルではあるが海馬瀬人は、自分以外のものに遊戯が敗れるのを厭う節があった。多分、大丈夫だ。
ゲームの天才である海馬瀬人ならば、このくだらない殺人ゲームの必勝法もそろそろ編み出してるかもしれない。
彼を探し出し、杏子も探し出し、三人で協力して脱出する――稚拙だが、其れだけの想像を一息に描き出した。
『元気を取り戻したようだな、相棒。そうじゃなくっちゃ張り合いがないぜ』
「うん、くよくよしていたって始まらないよね、もう一人の僕!」
内なる遊戯も、自らの手で希望を見つけ出し溌剌と笑う遊戯の姿を感じ、流石に安堵する。
このゲームは遊戯が思っている程単純ではない。けれど、希望を失った者に勝ち目がないことは明白だ。
海馬瀬人が――遊戯達の永遠のライバルが、希望の拠り所となるならば、其れもいいだろう。
『そうと決まれば善は急げ、だ。早く此処を離れてカズキ達を――』
だが、内なる遊戯の言葉は最期まで発せられることはなかった。
―――聞こえますか、皆さん。
- 254 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:34:14 ID:z8ps3ZmB0
-
放送。全てをぶち壊す放送。一度目の放送は、親友の死を。
―――それでは…まずは脱落者の名を読み上げようと思います。
相棒の身体が、小さく震えるのを感じる。不吉、顔の知れぬ悪魔、最悪の予感。
折角希望を見つけ出したのに。歩き始める理由を探し出せたのに。
『聞くな!相棒』
内なる遊戯の声は、空しく響き渡った。相棒は読み上げられる其の名を、聞いてしまった。
―――……海馬瀬人
二度目の放送は、宿敵の名。
誰も彼も遊戯を置き去りにして、死んでいく。
-------------------------------------------------------------------------
- 255 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:38:29 ID:z8ps3ZmB0
-
「はあ、はあ……もう、全然わからないじゃない!
な〜にが、すぐ近くに居るはずよん! よ!」
ご丁寧に妲己の真似をして腰をくねらせる。ただ、腰の括れもボンキュボン具合でも完全に敗北。
売れっ子のアイドルとしてプロポーションには自信があったのに……あのコスプレ女、只者ではない。
街中を駆ける弥海砂は本当にご立腹だった。
妲己に頼まれて『遊戯』と言う少年を探してくる約束をしたものの、全然該当する少年なんて見つからなかった。
ミサには死神と契約した瞳がある。顔を見れば名前と寿命が判る悪魔の瞳。出会えば誰が遊戯だか、直ぐに分かる筈なのに。
もう10分も走っている。たかが10分と言うなかれ。ミサは長距離を歩いてきたばかりなのだ……京都⇒大阪間。
「はあ、はあ……何か面倒臭くなってきたー!」
息を切らせながら足を止め、腕を振り回しながら甲高い叫びを上げる。堪え性はあるほうではなかった。
無論、愛する夜神月の為なら何でもする覚悟はある。
愛する月。今回の放送でも、月の名は呼ばれなかった。当然だ。彼とそして自分が、死ぬ筈がないのだ。
死神に祝福され、人を殺す役目を帯びた、二人の運命。死神さえも殺せない二人を、一体誰が殺せると言うの?
ゲームの勝者は月に決まっている。そして、彼の傍らに自分の姿があることも。
彼に付き従い彼に順ずる。其れが唯一の、このゲームの必勝法。ミサのライト信仰には、壮絶なものがあった。
――だから、何としてもあのビデオを貸して貰わないと。
決意を改め、歩き出したミサの前――「あ。」思わず声を上げた。
地面にしゃがみ込んだ少年の姿。一目見て、随分と、奇抜な髪型だと、ミサは思った。
------------------------------------------------------------------
- 256 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:40:36 ID:z8ps3ZmB0
- ――ぇ、ねえ、貴方!
暗い水面を漂っているような曖昧な感覚。煌く頭上で声がする。覚醒を促す声。女性の声。
――貴方、遊戯君でしょう!
「……確かに僕は遊戯だけれど」
空虚な気持ちのままに、問われたことだけを返した。
目に映ったのは、金色に髪を染めた若い女。随分と甘ったるい喋り方をする。
何故遊戯の名を知っているのか。彼女は誰なのか。何にしても、少年が遊戯であると知り、安堵したようだ。
「見つかって良かったぁ。私はミサ。アマネミサ。ミサでもミサミサでもいいよ。
派手派手〜なお姉さんが探してたの。でも何か忙しそうで。代わりにミサが迎えに来たってわけ」
「そう。…………妲己さんが」
妲己。お母さんのような優しいひと。一緒に泣いてくれたひと。自分を探してる派手な女性と言えば彼女しかないだろう。
「急いでる感じだったなぁ。早く行かないと置いて行かれちゃうかも?
さ、早く行こ!」
彼女に比べれば、ミサと言う女性は随分と強引。直ぐ目の前の目的にしか、興味がない感じ。
武藤遊戯の腕を取り、さっさっさと歩き出そうとする。――けれども。
「……う」
引っ張ったのに、だらんと伸びた腕。まるで壊れた人形のように。歩くどころか、立ち上がることもなく。
武藤遊戯は疲れているんだ。沢山の事があり過ぎた。今は、このままぼうっとしていたい。
けれど迎えに来た女性――アマネミサは、一時の休養も許してはくれなかった。可愛げな癇癪持ち。
- 257 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:42:31 ID:z8ps3ZmB0
- 「ちょっと!
何があったかは知らないけれど、何時までそんなだら〜っとしてるつもりなのよ!?
さ、さ!気持ちを入れ替えて。行こ? ねえ」
「…………」
「う…………」
青褪めたまま言葉も殆ど発しない遊戯少年に、流石のミサも言うべき言葉を失った。
出会ってからずっと、この調子。瞳に篭る力は失われ、問い掛けてもうんともすんとも口を利かない。
けれど、ミサの目的は凄い力を得られる魔法のビデオ。
美味しそうな餌をぶら下げられてなかったなら、直ぐにこの場を離れてしまっていた筈だ。
ライトのためには、ミサだけのナイトのためには、如何しても、この子を連れて行かなくちゃあならない。
今は、我慢我慢。営業向けのスマイルを浮かべ、
「あ!若しかして、お腹が空いてたりする? なんだあ、早く言ってよ〜!」
美味しい物を食べれば、少しは気分が晴れるかもしれない。
じぃ、っとデイパックの口を開けば、ポイポイと中身を取り出し、お目当ての、
「ちょっと待って!」
メロンパンに辿り付いたところで、其れまで沈黙を保っていた少年が驚いたような声を発した。
どんッ!と力任せにぶつかってくる、小さな身体。とは言えミサも軽量級。咄嗟に耐え切れるものではなかった。
「いたっ!な、何よう、いきなり押さないでよ〜!?」
何かに憑かれたように佇む少年は、女が驚いた拍子に尻餅をついても構いやしなかった。
- 258 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:44:13 ID:z8ps3ZmB0
- 遊戯の手の中に在るのは、一組のカード。ミサのデイパックから零れ落ちた品物。見慣れたカードケース。
怪物と魔法と罠で構成された魔術師達の切り札――デュエルモンスターズ。
サッ。サッ。サッ。パラパラアニメを捲るような速さで繰られるカードの一枚一枚に、少年の目は釘付けになっていた。
サッ。サッ。サッ―― 辿り付いたのは一枚の、札。描かれるのは紅の目をした黒龍。
「――ミサ、さん。デュエルモンスターズに詳しい、の?」
一抹の希望、震える声。下種な勘違いかもしれない。唯の偶然かもしれない。少女も、或いは、自分や友人と同じ――
「へ? でゅえる……なに?
そんなことよりさあ、あ、そうそう、これこれ、これもあった!
じゃ〜ん! 持ってるだけで元気が出るお守り〜」
六角の銀盤を遊戯の手に押し付ける。説明書によれば、このお守りは疲れを取ってくれるとのこと。
少年には早く元気を取り戻して貰わなければならない。美味しい食事、疲れを癒すお守り、そして何より美少女の笑顔。
コレだけ揃っているのだ、すぐさま立ち上がって貰わないと――
「……そう。知らないんだ。そう」
ゆらりと陰が伸びる。ミサの願い通り、少年は立ち上がる。其の瞳に、暗い炎を宿して。
- 259 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:45:45 ID:z8ps3ZmB0
- 「へ……? 遊戯、君。どうしたの? ミサがなんか、変なこと言った?」
見上げた遊戯の、異常な雰囲気を感じ取って、ミサの頬に冷たい汗が流れ落ちた。
嫌な、予感、逃げなけれ、逃げなければ――
ど グシャ!
危険を感じ後ずさった時には、もう遅い。
無遠慮に振り下ろされた遊戯の拳が、握り締められた土塗れの石がミサのこめかみを激しく強打する。
激痛。揺れる脳。ぶれる視界。咄嗟に押さえた掌に、こびりつく鮮やかな血液。
「な、なにするの遊……、貴方!
ミサが、何したっていう、の……」
理由が判らない。会ったばかりの少年に殴られる理由が。殺される理由が。
憎悪の眼差しで睨み付けながらも、逃げようとするけれども、脚は思うようには動いてくれなかった。
透き通る金色の髪を血に濡らし、這うように、少年から離れる、離れる、離れる、離れ
ぐ しゃ
- 260 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:48:09 ID:z8ps3ZmB0
- 「城乃内君のカード。何でミサさんが持ってるの?」
ぐ しゃ
「城乃内君、死んじゃったのに。誰かに殺されちゃったのに。
可笑しいよね。ブラックアイズレッドドラゴン。―― 彼のカード。プレミアカード。
ねえ、なんで」
ぐ しゃ
「ミサさんが持ってるの。知らないのに」
ぐ しゃ
「ねえ」
ぐ しゃ
「ねえ――」
ぐ しゃ
- 261 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:48:50 ID:z8ps3ZmB0
-
「 城 乃 内 君 を 殺 し た な 」
- 262 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:51:27 ID:z8ps3ZmB0
- 何度も何度も何度も何度も、倒れ伏した少女の頭に、石を打ちつける。
返事は掠れ、とうに聞えなくなっても。泣き叫ぶ声は弱弱しく、やがて絶えても。
壊れ果てた少年には届かなかった。少女の声も、内なる自分の声も。
アマネミサは薄れ行く意識の中で、何故か、達観していた。ああ、ココでミサ死ぬんだ、と。
打ち付けられる痛みも、少年の絶叫も、徐々に遠のいていく。薄れていく風景は、何だかとても幻想的。
死なんてやっぱり、大したことないや。アマネミサは一度死ぬ筈だった人間。生に執着など、最初からなかった。
ミサの人生はココまで。死神との契約。半分にされた寿命。短過ぎた気もするが、約束は約束だ。
ウフフ、と少女は笑い、最期に、愛する騎士のことを思い浮かべた。彼の役に立てなかったことだけが、後悔。
あ〜あ。もう少しだけ、月と一緒に暮らしたかったなあ……。
死に行く風景の中で、アマネミサは、月の姿を見たような気がした。
銀色の輝きに包まれ、微笑む夜神月。ああ、ココに居たんだ。探したんだよ?
愛する月の腕を握り締め、光の差すほうに、光の差すほうに。
アマネミサは幸せだった。死に損なった誰よりも幸せだった。
二人を邪魔するものはもう誰も居ない。これからはずっと二人っきり。月とミサとだけの二人の世界。
或いは其れこそが、アマネミサの求めた――――新世界、だったのだ。
- 263 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:52:57 ID:z8ps3ZmB0
- -----------------------------------------------------------------------------
少女の死骸の上で、目覚めたものがある。彼は武藤遊戯だった。武藤遊戯と呼ばれていた少年だった。
――ほんの数分前までは。
「相棒、おい、相棒……」
声の主は苦しげに呻きながら、縋るようにパズルを握り締める。誰からも返事はなく、静寂だけが少年を包む。
「俺は……、相棒は……、」
名前を隠された少年。王の名前。鍵を握る名前。今は忘れ去られた名前。
"――"、即ち内なる遊戯は、"中にいる筈"の武藤遊戯に、呼び掛けた。何度も、何度も、何度も。
然し、返事は返ってこない。武藤遊戯、この身体の本来の持ち主は、自分の身体の管理を放り出し、
「…………引き篭もっちまった」
全てを"――"に押し付けた。心の迷宮に、鍵をかけて。
悲しむべきことが多すぎた。辛過ぎる事が多すぎた。脆弱過ぎる少年が、投げ出すには十分な理由だ。
親友(とも)は死に、宿敵(とも)は死に。其の腕は遂に人の血に塗れ、少女を殺めてさえしまう。
「畜生……、畜生!」
力任せに拳を地面に打ちつけ、滲み出る血。不甲斐ない自分への戒めにさえならぬ痛み。
誰も守れなかった。城乃内君も、海馬も、自分の相棒さえも。
「杏子……」
相棒が好いていた女性。或いは残された希望。彼女を、探さなければ。
武藤遊戯だった少年は、ふらふらと歩き出した。空ろな瞳に、炎を宿さぬままに。
少年の周りに、キラキラと銀色の粒のようなものが、乱舞する。天使の粉。エンジェルパウダー。
俯いた少年の拳の中で輝くもの。持ち主の精神を力と貸す武具、武装錬金。
悪夢の幻想を見せる少年に、宿された復讐の刃を、まだ誰も知ることはない。
心の力を形に変える。――武藤遊戯の力は、幻想。彼に与えられた力。
アリス・イン・ワンダーランド。
- 264 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 01:57:32 ID:z8ps3ZmB0
- 【大阪住宅街/放送後】
【武藤遊戯@遊戯王】
[状態]:遊戯は精神崩壊。心の迷宮に引きこもった。現在は闇遊戯が主人格。
[装備]:核鉄XLIV(44)@武装練金/アリス・イン・ワンダーランド(チャフの武装錬金)
[道具]:荷物一式(一食分消費)
[闇遊戯の思考]:
1.杏子を探す。最早手段は選ばない。ゲームの勝利が相棒と杏子の幸せならば、何でもする。
2.妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。
【弥海砂@DEATHNOTE】 死亡確認
- 265 :nameless one ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 02:04:25 ID:z8ps3ZmB0
- すいません。
ブラックアイズレッドドラゴン⇒レッドアイズブラックドラゴンでした orz
修正します。
【【弥海砂@DEATHNOTE 死亡確認】
【残り93人】
- 266 :nameless one 修正 ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 04:05:24 ID:z8ps3ZmB0
- >>258の上から四行を以下のように修正します。
遊戯の手の中に在るのは、一組のカード。ミサのデイパックから零れ落ちた品物。見慣れたカードケース。
怪物と魔法と罠で構成された魔術師達の切り札――デュエルモンスターズ。
サッ。サッ。サッ。パラパラアニメを捲るような速さで繰られるカードの一枚一枚に、少年の目は釘付けになっていた。
サッ。サッ。サッ―― 辿り付いたのは一枚の、札。「王の右手の栄光」
其れは唯のカード。
魔力の篭った支給品のような特別な能力もなく、唯、城之内がポケットに忍ばせて持ち込んだだけの、唯のカード。
――けれど、遊戯と城之内にとっては、特別の思い入れのある、カード。
>>260の「「城之内君、」で始まる遊戯の台詞を以下のように修正します。
「城之内君、死んじゃったのに。誰かに殺されちゃったのに。
可笑しいよね。このカード―― あの島に行った人達しか、持ってないカードなのに。
ねえ、なんで」
- 267 :nameless one 修正 ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 04:13:12 ID:z8ps3ZmB0
- >>263の最後の段落を以下のように修正します。
俯いた少年の胸の前で輝くもの。千年の秘密を込めたパズル。
心の力を形に変える。――武藤遊戯の力は、幻想。彼に与えられた力。
悪夢の幻想を見せる少年に、宿された復讐の刃を、まだ誰も知ることはなかった。
- 268 :nameless one 修正 ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 04:14:47 ID:z8ps3ZmB0
- 【大阪住宅街/放送後】
【武藤遊戯@遊戯王】
[状態]:遊戯は精神崩壊。心の迷宮に引きこもった。現在は闇遊戯が主人格。
[装備]:核鉄XLIV(44)@武装練金
[道具]:荷物一式(一食分消費)
[闇遊戯の思考]:
1.杏子を探す。最早手段は選ばない。ゲームの勝利が相棒と杏子の幸せならば、何でもする。
2.妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。
【弥海砂@DEATHNOTE 死亡確認】
【残り93人】
※ミサのデイパックは核鉄を除き其の場に放置されました。
- 269 :nameless one 修正 ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 12:00:40 ID:UQQEjuXS0
- 度々の修正すみません。
>>266の修正を以下のように変更します。
遊戯の手の中に在るのは、一枚のカード。ミサのデイパックから零れ落ちた品物。
怪物と魔法と罠で構成された魔術師達の切り札――デュエルモンスターズ。 少年の目は釘付けになっていた。
辿り付いたのは一枚の、札。「王の右手の栄光」 一枚のカードに、少年の目は釘付けになっていた。
其れは唯のカード。
魔力の篭った支給品のような特別な能力もなく、唯、城之内がポケットに忍ばせて持ち込んだだけの、唯のカード。
――けれど、遊戯と城之内にとっては、特別の思い入れのある、カード。
- 270 :nameless one 修正 ◆HDPVxzPQog :2006/02/01(水) 12:03:56 ID:UQQEjuXS0
- ココに来て投下ミス orz
>>269 は此方になります。
遊戯の手の中に在るのは、一枚のカード。ミサのデイパックから零れ落ちた品物。
怪物と魔法と罠で構成された魔術師達の切り札――デュエルモンスターズ。 少年の目は釘付けになっていた。
辿り付いたのは一枚の、札。「王の右手の栄光」
其れは唯のカード。
魔力の篭った支給品のような特別な能力もなく、唯、城之内がポケットに忍ばせて持ち込んだだけの、唯のカード。
――けれど、遊戯と城之内にとっては、特別の思い入れのある、カード。
- 271 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:23:57 ID:0jwHxL5BO
- 「それを…よこせえっっ!!」
ゴンとシカマルの眼前に襲いくるは、すでに深刻なダメージを受けているはずの桃白白。
倒れ伏せている間に耳にした二人の会話から知らされた『仙豆』の存在。
それさえ手に入れば、殺して奪えれば…!
その一念で最後の気力を振り絞り、再び全身に殺意をみなぎらせて真っ直ぐにゴンの元へと地を蹴り駆ける。
その姿、表情――まさに、鬼…!
「ちっ!あのヤロー、まだくたばって無かったのかよ!」
シカマルはそんな桃白白を一瞥し、満身創痍の自分たちでは――もう殺されるしかないかもしれないと、半ば諦めの意を噛みしめる。
「……シカマル君、下がってて…!」
「え…おまえ…?」
桃白白を真っ直ぐに見据えてシカマルに背を向けたまま、静かな声で語りかけるゴン。
彼のわき腹に受けているダメージも決して軽いものでは無い。
しかし、それを感じさせないほどの落ち着いた声、力強い立ち姿。
(こいつ…この気迫…!?こいつだって怪我しちまってるってぇのに…何がこいつをここまで駆り立てるっつぅんだよ?
それに俺がシカマルって名前だって知ってやがったのかよ。ずっと付けられてたってぇのか?俺がシカマルだってのは、雷電のオッサンにしか名乗ってねーんだからな)
その背を眺めつつ、一瞬でそれを悟るシカマル。
- 272 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:25:18 ID:0jwHxL5BO
-
桃白白とゴンの距離が縮まる刹那の時間にも、彼の頭脳はフル回転していく。
(見たところ、このままじゃ俺たちに分がワリィのは一目瞭然。残りの持ち駒も少ねぇし、俺たちの状況…使える残りの策は、200程の内…
片手で数えれるほどしか残ってねぇな。こいつが俺の味方してくれる理由はわかんねぇが、俺も黙ってみてるだけって訳にはいかねえ!ちっ…!)
「死ねぇええッ!!!」
「はああァッッ!!!」
ズガアッッ!!!!ドガガガガガガッッ!!!!
桃白白の突き出した手刀とゴンの蹴り上げた右脚の激突を皮切りに、再び始まった他を寄せ付けないハイレベルな技と技の応酬。
「ハッ!ヌリャ!!」
「くっ!ヤアッ!!」
「ヌンッ!ぬるいわッ!!」
「くっ!ハアッッ!!」
先ほどのジャンケングーで内臓部に見た目以上の深いダメージを受けている桃白白は最初の頃の動きより速さとキレが半減してしまっているものの、ゴンの方も念能力の数度の使用とわき腹の負傷により同じく繰り出す技の威力が著しく低下。
右!左!と瞬時に繰り出された桃白白の打突を上半身を反らせて皮一枚で何とかかわし、カウンターぎみに繰り出したゴンの右アッパーも桃白白は左肘で擦らせるように捌いて回避し、体勢を崩させる。
- 273 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:30:49 ID:0jwHxL5BO
-
しかしゴンはそのまま身を任せるかのように体を斜めに回転させてオーバーヘッドキックが如き蹴り上げを放つ。
それをも桃白白は中国雑技団よろしく、華麗なバク転で鼻先にチッ!と掠めさせるだけで回避する。
互いにコンディションが悪いとはいえ、その戦闘力は現時点で互角。
決め手に欠ける僅差の応酬が続く。
「フンッ!ハッ!!…小僧!…チェイッ!!…そろそろ終わりにしてやるわ!貴様の弱点ッ!見切ったわッ!!ヌオリャアッッ!!!」
「タッ!ハアッ!!グッ!?…そんなハッタリッ!!!」
「クハハハッ!ハッタリなどでは無い!…ん?もう一人のガキ、逃げおったか…!?おのれ、十億取りこぼしたわ…!」
「え…!?シカマル君…!?」
桃白白の放った浴びせ蹴りを両腕でガードするも激突の衝撃を受け後ろに二メートルほど飛ばされるゴン。
ダメージも小さく軽やかに着地するも、桃白白の発言を聞くまで少し存在を失念していたシカマルの事を思い出し辺りに軽く目を配るが…
確かに敵の言葉通り、シカマルの姿はいつの間にやらどこからも消え失せていた。
「人間など、こんなモノよ!金と己が一番ッ!貴様もやっと身にしみたか!?」
「…!ふざ…けるなっ!!」
- 274 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:31:52 ID:0jwHxL5BO
-
「くく、馬鹿に付ける薬は無いな。まあよい!授業料、貴様の命で払ってもらうからなっ!!!」
「くっ…!?(シカマル君…逃げれたのか。よし…なら、あとはこいつをぶっ飛ばすだけだ!!!)」
罵倒する桃白白とは対照的に、ただ純粋にゴンはシカマルを助ける事ができた事に胸をなで下ろしていた。
確かに少しチクリと胸は痛んだものの、元より感謝されるために助けに入ったつもりは無かったのも事実。
ゲームに乗っていない人物というだけでも助ける価値のある、そのシカマルの身さえ無事であればいい。
ゴンが願うは、ただそれだけであった。
「どどん!」
「!!?」
指先を突き出してかけ声を放つ相手の姿に、条件反射でとっさに身を捻り横に飛ぶゴン。
「馬鹿めッ!!ツアッッ!!!」
「えっ!?しまっ…!ガ…ッッ!!?」
てっきり例の光線のような放出系攻撃が来ると思ってしまい回避行動に専念してしまったゴンの横っ腹めがけて鋭い回転蹴りが逆方向から炸裂。
本能的に瞬時に行ったオーラの攻防力移動である程度はダメージを軽減できたものの、それも気休め程度。
ほとんど無防備に近い状態ですでに負傷していた左わき腹に桃白白の足首がメキメキ!と嫌な音を立てながら深く食い込まされ、激しい激痛を伴いながら遠くへ蹴り飛ばされる。
- 275 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:33:30 ID:0jwHxL5BO
-
一度地面にバウンドしてからゴロゴロと転がっていき、生い茂る草むらの中へとたどり着いた辺りでようやく止まるゴンのカラダ。
「くっくっく……なかなか手こずらせてくれおったが、しょせんはガキ。貴様の動きは単純すぎるわ!こんな初歩的なヒッカケにも騙される単細胞よ!!」
「グッ…く……そぉ…ッ!」
「ほう…まだ息があるか。感心感心。今楽にしてやるから安心するんだな」
「グ……ッ!!!」
ザッ……ザッ……
勝利を確信し、ゆっくり余裕の足取りでゴンの元へと歩み寄っていく桃白白。
プロの殺し屋としてターゲットのトドメを確実にさすため、歪んだ微笑を浮かべつつ一歩…また一歩と距離を詰めていく。
返り血で彩られたその冷徹な悪魔の表情は、光を遮る木々により暗い影を落とし…まさに悪鬼と呼ぶにふさわしいものであり…
ヒュッ!!
「!!?何者だ!!!」
突如桃白白の背後から聞こえた空を切る鋭い音。
とっさに体を横にずらして振り返る。
(…第一手!)
「石…!?新手か!?…ぬっ!!?」
- 276 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:39:19 ID:0jwHxL5BO
-
飛んできた小さなこぶし大の石をかわした後にそれを目で追う桃白白だが、再び何かが空を切る音を聞く。今度は…頭上!
(即席の枝製投石仕掛け、成功!第二手!)
「上だと!?馬鹿なっ!!?」
顔を上げて飛来する正体に目を懲らすが高く上がった太陽の陽の光に幻惑されて目が眩み、目を覆いながら再びその場から回避のために飛び退こうとする。…だが!
「クッ…?な…にィッ…!!?」
(第三手!!本命!影真似の術っ!!!)
足が、まるで地面に吸い付いたかのように動かせない。空を切る音はどんどん動けない桃白白の元へと一直線に近付き、顔面至近距離まで落下してきた所でようやくその正体を目の当たりにする。
「な…に!?あの時の…!?」
ボフッ!トン!…トン、トン、トン……
顔に直撃し跳ね返り、地面を幾度も跳ねながら転がっていく……黄色いテニスボール。
「逃げたと思わせた…もう一人のガキの仕業…か。…何の…つもりだ?馬鹿に…しおって…!!……クッ!?何だ?もう動けるではないか!」
- 277 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:40:48 ID:0jwHxL5BO
-
予想外の展開に少し呆気に取られるも、思いのほかすぐに体に自由が戻り周囲を観察する。すると、ある異変に気が付く。
「そういう事か!おのれ…やってくれる!!!」
気を取られていたほんの僅かな瞬間の内に、草むらに倒れていたはずのゴンの姿が消えていた。
「やれやれ…おいあんた、生きてるか?」
「…ク…、うん…ヘーキ」
「平気には見えねぇっつーの」
高い木の上で気配を消して桃白白から姿を隠し、ゴンを肩に担いだ状態でひそひそと声をかけるシカマル。
「…このままじゃあ二人とも殺されちまう。俺が奴を足止めするから…アンタはその隙にこいつを持って東京へ先に向かってくれ…」
「え…!?」
ゴンの右手にそれを包んでしっかりと握らせる。
指を広げたそこにあった物は…例の話にあった、仙豆。
- 278 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:42:28 ID:0jwHxL5BO
-
「……嫌だ!まだ戦える…!」
「馬鹿。どう見たって敗色濃厚だっての。…大丈夫だ、俺に策がある」
「策…?」
「ああ。確実に奴を足止めできる策がな。あんたも見ただろ?俺の影真似の術を」
「影真似?…あの、動きを止めちゃう能力の事?」
「そうだ。あれで奴を止めたまま、俺もすぐに逃げる」
「………でも、アイツをほっとくわけには…!…!?」
反論を続けるゴンだが、いきなり口を手のひらで塞がれ言葉を飲み込む。
「しっ!……奴に気付かれちまう。見つかるのも時間の問題だな…!」
「………そのカゲマネのジュツってので援護してくれたら、今度こそ俺が…!」
「…無理だな。さっきみたいにトドメをさし損ねて、今度こそ二人とも殺されるのがオチだ。トドメをさすのは無理くせぇけど、動きを止めて逃げる時間を稼ぐ程度なら問題ねー」
「………」
「でもそれには…手負いのあんたが邪魔だ。だから、先に行ってくれって事」
目線は下の桃白白を警戒し続けつつ、張りつめた緊張感の中で口元にフッと笑みを作るシカマル。
「…………分かっ…た…」
「…よし。雷電のオッサンの顔はわかるんだろ?もし俺が少し時間かかっちまっても、俺に構わず待ったりせずに一直線に東京に行ってくれ」
- 279 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:47:33 ID:0jwHxL5BO
-
「……え?」
ズキン…
「…あんたがずっと俺たちを付けてたのにはもう気付いてる。どんなつもりでんな隠密行動してたのかなんてメンドクセェから聞く気もねぇよ。ま…忍びの世界ならそんな事日常茶飯事だしな」
「………」
「あ、ついでに…俺のこの荷物、預かっててくれよ。全力で術使うには邪魔だからな」
ズキン…
「…そろそろ隠れてんのも限界…だな。じゃあ頼んだぜ。えっと…」
「……ゴン。ゴン・フリークス…」
「…ゴン。頼んだぜ…!」
「あっ!待っ…!!」
ゴンのいる今の場所から敵の意識を逸らすためか、隣の木、その隣の木へと軽やかに音も無く次々に飛んで移動していくシカマル。
「………シカマル…君…!」
そんなシカマルを止める言葉も口に出す間もなく、口に出す事もできずに…ゴンはうつむいて何かを思い詰めているかのように目をギュッと閉じたまま仙豆を渡された手を固く握りしめる。
ズキン…!
(あの時と……同じだ……!)
- 280 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:49:12 ID:0jwHxL5BO
-
脳裏をよぎるは、過去の後悔。
(カイトの……あの時と……!)
握った拳に爪が食い込んで、血が滲む。
ズキン…ズキン…!
心臓が早鐘を打ち鳴らし続ける…。
「…あの短時間に遠くに逃げるのは不可能。必ず近くで息を潜めて隠れているは…ず…!?またか!おのれ…何度も何度も…!」
「へへ…間抜けなやつだな。これだけ影真似が効きやすい相手は初めてだっつぅの」
「クッ…!コケにしおって…!!殺してやる…!!!」
頭上の死角から幹を伝って影を延ばし、影真似の術を再び成功させたシカマル。
怒り心頭の桃白白に臆することなく、小馬鹿にするような口調で挑発する。
- 281 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:51:33 ID:0jwHxL5BO
-
(…さっきのゴンを助けた時の影真似はもう五秒ほどしか持続できなかったから、ゴンを助けるだけで精一杯だった…。今回はよくて四秒が限界だな…!)
一瞬で冷静に思考を巡らせるも、余裕のない現状に冷や汗を一筋流す。
「ゴンッ!!行けえッッッ!!!!」
「ぬ!!?」
渾身の叫び。
その声とほぼ同時に少し離れた木の上から影が地面に飛び降り、見る間も無く草葉の中へと姿を消す。
「貴様…!」
「へっ!わりぃな、十億減らしちまってよ…!」
動けぬ身のまま、歯軋りをしてシカマルを睨む桃白白。
(へへ…らしくねー。俺がこんな真似するなんてな。そういや…前にも似たような事あったな。あん時も自分の馬鹿さ加減に笑っちまいそうだったが…
…今回は、あん時より馬鹿すぎるよなぁ。…メンドクセー性分になっちまったぜ。これもナルトのやつのせいかもな…あんな、見ず知らずの変な奴のために…)
- 282 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:54:43 ID:0jwHxL5BO
-
「くっ…そ…ォ!!」
走る。
振り返らず、走り続ける。
「シカマル君…!カイト…!!」
嘆くは、己の力不足、無力さ加減。
「シカマル君は…ッッ!!」
ゴンは気付いていた。
影真似の術で簡単に足止めして逃げれるだなんて、嘘だ。
全力で戦いたいから荷物を預けるだなんて、嘘だ。
全ては、自分を逃がすための嘘。自分にはもう不要になる荷物や食料を譲り渡すための嘘…!
「俺…ッッ!!!シカマル君…ッ!!!」
しかし、走る。結果がどうなるかが例えわかりきっていたとしても。
- 283 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:56:37 ID:0jwHxL5BO
-
それは、彼自身の言葉。
『…こんな状況だ。敵の命にも仲間の命にも見限りつける覚悟しろ!』
鵜呑みにした訳ではない。
いくらシカマル自身の言葉とはいえ、味方でも、例え敵であっても、目の前で誰かが命を失う事など決して耐えられない。
「オレ…!ウッ…ク…ッ!!」
涙が頬を伝う。
決して振り返らない。
彼の、最後になるかもしれない…その願いを叶えるために。
少年は、振り返る事を決して許されない。
いまだ煙を上げ続けているその混沌の林には、決して。
- 284 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 16:58:23 ID:0jwHxL5BO
-
「………ざまあ…みやがれ…!」
「ふん…まんまと貴様の策にハマったのは失態であった。今回の反省点だな」
「へへ……!」
シカマルは笑う。
全てが己のもくろみ通りに進んだから。
「もうあのガキを追う事も難しい。…ここまで粘られるとは思ってもみなかったわ」
「…ざまあねぇな……あんた……ゴホッ…!!」
「粋がった事ばかりほざきおって、なかなか見上げた根性だな。こんな出会いでなければ…弟子にしてやっても良かったぞ?」
「へっ…!死んでも…ゴメンだぜ…!」
決着は付いていた。
倒れ伏すぼろぼろのシカマル。それを頭上から見据えつつ腕を組んで立ち尽くす桃白白。
二人の足下には、大量の血痕――。
「…認識を改めねばならんな。これほど手こずるような者がまだウヨウヨとこの地にいるのであれば…もっと強くなるか、強力な武器が要る…!」
「………」
「プロだからこそ、確実に、謙虚に、圧倒的に!相手をしとめる為の努力は欠かしてはならぬ。…小僧…シカマルといったか?勉強させてもらった。一応礼を言っておくぞ?クックックッ…」
「………」
- 285 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 17:00:03 ID:0jwHxL5BO
-
シカマルは返事をしない。
否……もう、返事をする事が叶わない。
徐々に小さくなる呼吸――全身から流れ出続ける温かい血。
(ちくしょう……ドジったな……こんなハズじゃ…無かったってぇのに…。
へ……親孝行もろくに出来てねえし……将来は…テキトーな嫁さん…みっけて…テキトーな生活…するはずがよ。……どこで…ドジ踏んじまったのかな?)
シカマルは笑う。
しかしそれは、自嘲する笑みではなく――満足げな笑み。
桃白白の姿はすでにそこには無く、残るは血溜まりに沈むシカマルの姿のみ。
胸部を貫かれ、全身はズタズタにされ、それでも――シカマルのその顔は、とても穏やかだった。
(…ま、いいや…これ以上考えるの…メンドクセエ……やれるだけやったし……みんな……誉めてくれんだろ…)
目に広がるは、木の葉の里。
手を振る家族、自分を急かす仲間たち。
たくさんの見飽きた、見慣れた顔ぶれが並ぶ。
- 286 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 17:04:12 ID:0jwHxL5BO
-
やれやれ…メンドクセーとばかりに頭をポリポリ掻きながらも、その顔にははにかんだ笑顔が浮かぶ。
面倒くさがりでだらけるのが性分、しかし本当は誰よりも熱い火を心に宿した少年忍者…
奈良シカマルは、その仲間たちの輪の中へと消えていき――
彼の過酷な任務は、そこで終了した。
その安らかな顔のシカマルを愛でるかの様に、燃え尽きそうな緩い炎のくすぶる小さな枝が彼のそばでぱちりと小さくはぜては――炎は煙の中へと穏やかに消え失せていった。
- 287 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 17:06:18 ID:0jwHxL5BO
- 【茨城県/午後】
【桃白白@DRAGONBALL】
[状態]:気の消費大
:腹部・内臓に深刻なダメージ
:疲労
[道具]:荷物一式(食料二人分、一食分消費)
:ジャギのショットガン@北斗の拳(残弾20)
:脇差し
[思考]1:無理はしないが、可能ならゴンを追い仙豆を奪う
2:参加者や孫悟空を殺して優勝し、主催者から褒美をもらう
- 288 :火炎交響曲//〜dim.〜(ディミヌエンド):2006/02/01(水) 17:07:28 ID:0jwHxL5BO
- 【ゴン・フリークス@HUNTER×HUNTER】
[状態]:オーラの消耗大
:左わき腹・肋骨に深いダメージ
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
:仙豆@DRAGONBALL(一粒)
:シカマルの荷物一式(食料一食分消費)
:テニスボール@テニスの王子様(残り2球)
[思考]1:仙豆を持って東京の雷電に合流
2:キルアを探す
【奈良シカマル@NARUTO 死亡確認】
【残り92人】
- 289 :作者の都合により名無しです:2006/02/01(水) 20:23:50 ID:3se6c3UX0
- >>250-270は無効です。
- 290 :作者の都合により名無しです:2006/02/01(水) 22:27:52 ID:5z2Nqy6G0
- >>289
議論スレではまだ決定事項ではないので、あなたの独断でNG指定は出来ません
- 291 :作者の都合により名無しです:2006/02/01(水) 22:28:19 ID:FXOvDL2y0
- >>289
>>250のみ無効となります。
- 292 :作者の都合により名無しです:2006/02/01(水) 22:47:45 ID:Jigt1ISNO
- >>291は無効です
- 293 : ◆HDPVxzPQog :2006/02/02(木) 15:26:22 ID:HHcGh1tl0
- >>251-270 は無効となりました
- 294 :作者の都合により名無しです:2006/02/02(木) 18:23:35 ID:rKF1OHr+0
- >>271-288は無効です。
- 295 :作者の都合により名無しです:2006/02/02(木) 18:30:30 ID:lKaXjAUY0
- >>293は無効です。
勝手に結論だすな。
- 296 :作者の都合により名無しです:2006/02/02(木) 18:46:32 ID:/Peh850z0
- >>295
トリップ見ろ。
- 297 :作者の都合により名無しです:2006/02/02(木) 18:55:12 ID:cl0xC1PvO
- >294は無効です
- 298 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:11:13 ID:tyZveq0b0
- 「あら、また会ったわね…そう言えば名前も聞いていなかったわ」
「新撰組三番隊組長斎藤一…貴様を斬る」
大坂の街で、大蛇と狼は再び出会った。
夜明け前と違っていたのは、なぜか狼が一匹だったこと。
そして、大蛇に先に見つけられてしまったこと。
それでも狼は、敵に背を向けることはしない。
狼はその牙を大蛇に向け、構えた。
――牙突!
「(速いわね……でも!)」
大蛇丸は迫り来る刃を横に避け、瞬時に肘打ちを繰り出す。
斎藤はそれを自らの左肘で打ち上げると、さらに剣で斬りつける。
大蛇丸はそれを避けながら印を結び、口に手を当てる。
――火遁・豪火球の術!
「…くっ!?」
大蛇丸の口から吐き出された炎は、それを辛うじて回避した斎藤の背後にあった民家を焼き焦がす。
「(四国の時、そして今回の術……かなり多彩な術を操るようだな)」
それでも斎藤は怯むことなく、再び牙突の構えをとる。
唯一と言っていい技。“牙突”に全てをかけて。
- 299 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:11:50 ID:tyZveq0b0
- 「ふっふっふ…またその技なの?舐められたものね…」
斎藤は何も答えず、そのまま牙突を行う。
「…!?」
その突進速度は先ほどよりも、四国でのものよりも速く、鋭く、そして軌道もわずかに変化していた。
同じ技ばかり使う、と斎藤を侮っていた大蛇丸は、刃をなんとか回避したものの、わずかに脇腹を切られてしまう。
「…ちっ……(少し舐めてたのはこっちのようね…)」
印を結びながら大きく跳躍すると、大蛇丸は口から連続で炎を吐き出した。
――火遁・鳳仙火の術!
次に次に襲い掛かる炎を、斎藤は避け、切り払い、一つも直撃することなく回避に成功した。
だが、炎が地面に着弾したことによって発生した爆煙で、大蛇丸の姿は隠れてしまった。
「(……また逃げたか?……いや、殺気は消えていない、近くにいるはず)」
煙の中にゆらりと人影が見える。それも、ひとつではなく複数。
徐々に煙が晴れ、その姿が見えてくる。
「…これは……!」
気がつくと、斎藤は黒づくめの集団に囲まれていた。
- 300 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:12:29 ID:tyZveq0b0
- 黒づくめに囲まれた斎藤は、ジリジリとその包囲が狭まる中でも、冷静に自体を見極めようとしていた。
近づいてきた一匹を切り捨てたが、それは分裂してしまい倒せなかった。
さらに、地面や壁から次々に現われる黒づくめの人影。
それは斎藤を追い詰めるように、少しづつ確実に数を増やしながら囲んでくる。
「…………ふん」
斎藤は剣を構えたまま目を閉じると、動きを止めた。
どんな術かは判らないが、敵が攻撃する瞬間には必ず何らかの気配が生じるはず。
周りを囲んでいる黒い集団は、自分からは攻撃してこないようだ。
ならば本命のみに意識を集中すれば良い。
そして、そのまま一分ほどが過ぎた時……
不意に目の前に生じた禍々しい殺気。
斎藤はその気配目掛けて、全身全霊を込めた牙突を繰り出した。
「………がはっ…!!」
- 301 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:15:12 ID:tyZveq0b0
- 血反吐を吐きながらその場に倒れ伏したのは……斎藤だった。
斎藤を囲んでいた黒づくめの正体は、『霞従者の術』と呼ばれる幻術。
視覚を絶って気配を頼りにする作戦は正しかったが、それでも大蛇丸の方が一枚上手だった。
牙突を変わり身の術で避け、背後から急所に貫き手を喰らわせたのだ。
必ずカウンターを合わせてくると分かっていれば、それに対処するのは容易い。
「ふっふっふ……惜しかったわね」
大蛇丸は斎藤の左腕に脚をかけると、一気に腕をへし折る。
「…ぐぅっ!」
さらに右脚に突きを打ち込み、大腿骨を折る。。
「これであなたの牙は折れた…どうかしら、ご感想は?」
斎藤は何も答えない。
大蛇丸はしばらく黙って立っていたが、やがて腕を振り上げると、斎藤の心臓に狙いをつけた。
「ふっ、もう一人の仲間が来るまで遊んでいようかと思ったけど…来ないようね。さ、今楽にしてあげるわ…」
そして、今まさに腕が振り下ろされんとした時、
「おっと、そうはいきませんぜィ」
大蛇丸の背後から槍が突き出された。
現われたのはもう一匹の狼、沖田総悟。
その槍こそ避けられだが、大蛇丸は沖田の攻撃から逃れるように距離をとったため、斎藤を助け起こすことができた。
- 302 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:15:49 ID:tyZveq0b0
- 「…ふふ、私がかけた幻術で随分と迷っていたみたいね」
そう。狼は大蛇の幻術でバラバラに行動させられていたのだった。
二人同時に相手をしても負けることはないと思っていた大蛇丸だが、余計な邪魔が入らないとも限らなかったからだ。
「…なるほど、道理でおかしいと思いましたぜィ」
「でも、ちょっと遅かったわね。その人はもう戦えないわ。それどころか、放っておいたら命に関わるほどの重傷…
さて、どうするの?私と戦うか、その壊れたオモチャを背負って逃げるか………」
沖田が斎藤の様子を覗うと、腕と足が折れていて、血を吐いてることから内臓にも損傷がありそうだ。
確かに放っておいたら危険かもしれない。
「…ぐっ…沖田、俺には構うな……」
「しかし旦那が勝てなかった相手だ。俺一人でどうにかなるとは思えませんぜィ」
「……ならば、どうする」
「旦那を背負って一度退きまさァ。その怪我はかなりヤバイですぜィ」
「…阿呆が」
- 303 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:16:29 ID:tyZveq0b0
- 斎藤は、大蛇丸がそんなに甘い相手ではないことは察していた。
沖田が自分を背負って逃げようとすれば、間違いなく二人とも殺されるだろう。
ではどうするか。
「(……俺が、もはや満足に戦えない俺が、体を張って沖田を逃がすしか…あるまい)」
斎藤は剣を杖代わりにして無理やり身体を起こそうとする。
「だ、旦那。何してんですかィ」
「いいから…ぐふっ、肩を貸せ」
沖田の肩を借り、斎藤はなんとか立ち上がる。
「いいか…俺が時間を稼ぐ……その間にお前は逃げろ」
「な、なに言ってんですかィ。そんなこ」
「ヤツを甘く見るな…いいか、ヤツは底が知れん。まだどんな奥の手があるか判らん。
……このままでは共倒れだ。それに…ぐっ…俺はもう長くない…」
「……」
黙り込む沖田。斎藤はもう一度念を押すと、顔を上げて大蛇丸を見た。
「ふっふっふ…別れの挨拶はそろそろ済んだかしら?」
ゆっくりと歩み寄る大蛇丸。
斎藤は決意を秘めた顔で、その前に立ちはだかった。
- 304 :作戦始動:2006/02/02(木) 19:17:02 ID:lKaXjAUY0
- パラララララララ
一機のヘリが旋回している。
「作戦始動!!!!!!」
号令と共に『兵器』が地上に巻かれた。
その兵器の名は【T−ウィルス】、至上最悪の作戦が今始まる。
*死者が全員ゾンビ化しました
- 305 :狼の覚悟:2006/02/02(木) 19:17:07 ID:tyZveq0b0
- 【大阪府市街地/1日目・日中〜午後】
【大蛇丸@NARUTO】
[状態]:全身に火傷(ある程度は治療済み)。かすり傷数ヶ所。チャクラを小程度消耗。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(一食分消費) 岩鉄斬剣@幽遊白書
[思考]:1.目の前の二人を殺す。
2.まず大阪、その後東へ移動しながら他の参加者(できれば弱い相手)からアイテムや情報を入手。
3.多くの人間のデータを集め、場合によっては誰かと共闘する。(もちろん利用する形で)
4.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする。候補としてダイを考えている。
【チーム名=壬生狼】
【斉藤一@るろうに剣心】
[状態]:左腕骨折、右大腿骨骨折、内臓重傷(放っておけば死ぬ可能性大)
[装備]:魔槍の剣@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
[思考]:1. 体を張って大蛇丸から沖田を逃がす
2.ダイの使える武器を探す
3.主催者の打倒
【沖田総悟@銀魂】
[状態]:健康(鼻はほぼ完治)
[装備]:鎧の魔槍(右鉄甲無し)@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
[思考]:1.勝ち目がないなので斉藤を助けて逃げたいが、二人では逃げ切れそうにないことも理解している
2.主催者の打倒
- 306 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:34:08 ID:Z27ZU57Z0
- 婦人警官の襲撃から約2時間。越前は決死の思いで自転車を漕ぎ続けている。
新八と不本意ながらも別れた地点が大阪と京都の境。
そこから自分は京都へ、新八は大阪を経由し、琵琶湖で合流する予定だ。
走る道は次第に細くなり緑が濃くなる。やがていくつかの分岐に分かれ、選択を迫る。
越前はペダルを漕ぐのをやめ地図を広げて現在地の確認をした。
その間に、忌まわしい放送が響く。
自分の仲間―――乾、跡部と、新八と、その仲間―――沖田の名は呼ばれていないことに安堵し
犠牲者の数に苛立ちを抱えながら走り出す。
越前はもはや、放送が真実である事を全く疑っていなかった。
一回目ならまだしも二回目以降の放送で嘘をつくメリットなどないし
誰がどこで会うかわからない状況なら宣言されたはずの「死者」に出会う可能性も出てしまう。
そんな容易にばれる嘘をついて何になる。殺し合いの起爆剤にするなら見せしめと爆弾付きの首輪だけで
充分だ。先輩の乾なら、おそらくそう考える。そして、新八はまだ探し人が生きていると信じている。
―――琵琶湖で待ってるから!!―――そう言い残し、去っていった新八。
彼の言葉のままに走り続けてしまったが、新八の体力を考えれば後を追うべきだったかもしれない。
実際、自称婦人警官が引き返さなければ、そうするつもりだった。
越前は滅多にしない後悔を何べんも繰り返す。
新八の向かった先。琵琶湖のある滋賀県に行くには大阪、京都を突っ切らなければならない。
疲労し、徒歩以外に交通手段をもたない新八には酷なコース。
まともに進めば自転車を使う自分の方が、遥かに早く湖に到着してしまう。
(無事でいてよ!新八さん・・・)
放送で呼ばれなかったといって安心してはいられない。
この瞬間にも誰かに襲われているかもしれない。見えない分、不安は高まる。
- 307 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:36:52 ID:Z27ZU57Z0
- 相手が弾切れを起こしたからよかったようなものの
あのタイミングで撃たれてたら確実に新八は死んでいた。自分も炎の餌食になっていただろう。
躊躇せずに自転車で体当たりするべきだった。しなかったのは、やはり女性だったからである。
そして、あの男(藍染)も同じく、笑顔で人に近づき油断を誘う腹立たしいやり方をした。
そんな奴を信じる価値はあるのか?越前はまだ迷っていた。
あの胡散臭い男(藍染)の話が仮に本当だとして琵琶湖に集まった人間達が脱出できたとする。
殺し合いとは無縁の大多数の人間は一様に喜ぶだろう。
だけど、帰れたとして
―――監督になんていえばいい・・・?
竜崎の祖母に、なんと言って説明する。
理不尽なゲームに巻き込まれて気がついたら死んでました、とでも―――云うつもりか。
――――安穏と脱出して、それでいいのか?――――
そんな考えが頭をよぎった。
ここから近い明神高速道路を使い自転車でとばせば一時間ほどで滋賀に着くが、危険性を無視してまで
選択するような愚挙は犯さない。身をもって体験した新八も同様に使わないだろう。
線路沿いも待ち伏せの可能性がある。もう誰もが考えるようなわかりやすい進路は避け、
山道や岩場を。そして、少しでも新八と合流しやすいように大阪寄りに沿う道を選ぶ。
幸いな事に支給品の自転車(本当は新八のだが)はマウンテンバイク並に頑丈であった。
車体をガタガタ鳴らしながら越前は濃緑の森の中を駆け抜けて――――
- 308 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:39:12 ID:Z27ZU57Z0
- ようやく、目的の湖が姿を現した。
大きい。ソレは越前の想像を越えた巨湖であった。
湖沿いに商店が並び遠目にはホテルやログハウスが見える。
ボートや汽船の類は一切見られず湖面は群青に染まり、そこを悠々と鴨が泳いでいる。
他県から山間を縫ってを流れ込む河川の水がさらに湖の膨張を促しているように見える。
いったいどこでどう待てばいいのやら。
越前は自転車から降りて、商店の奥で腰を下ろした。さすがに膝が笑っている。
日陰で疲弊した身体を冷やし、喉を鳴らして水を飲んだ。
渇きを潤おすには不十分だったが、残りの水量をチェックし蓋を閉める。
水は貴重だ。目の前は水の宝庫だが、絶えず流れる清流と違い、湖は水草や苔の住処となって青黒く
水面に近づいても底が見えない。そのまま飲水するには抵抗があった。
藍染の言った脱出。こうして現地に着いてみると、彼の思案は見当もつかない。
とりあえず考えられるとしたら―――集めた人間たちで会場にいた主催者を名乗る男たちを倒す。
首輪で命を握られている身にそれができるだろうか。
この広大な水場を利用した作戦?
湖や、湖を囲む山から食料を調達する事も可能だろう。
食料と水を確保した上で持久戦。集団で役を分担すれば数日の滞在は不可能ではないかもしれない。
業を煮やした主催者が降りてきて、そこを皆で総攻撃。とか。
う〜〜ん?「脱出」とは少し違うような。越前は首の異物を触る。
6時間死者が出なければ首輪は爆破される、そのルールがある限り、いくら食料が確保されようと
命は主催者の手に握られたままだ。結局、首輪の問題に行きつく。堂堂巡りだ。
それとも新八の言っていた技術者―――船云々の話ではなく、首輪の解体ができる者を求めて、か。
しかし、藍染は人を多く集めろと言っただけで、そういった技術の話は全くしてないし。
- 309 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:42:40 ID:Z27ZU57Z0
- ここで無駄な時間を浪費しても仕方ない。大阪に近い湖側に移動しようと少々の休息も切り上げて
越前は自転車を引いた。食料以外の荷物は増やさない方がいいと判断し、商店の探索は止める。
あとは・・・合流後のことも考えて休息できる場所も探しておく必要がある。
安全で目立たない、見つかりそうにない場所。
汗を拭った越前の目に入ったのは湖畔に並ぶ観光客向けの小さなログハウス。
木を隠すなら森というし、盲点といえば盲点か。
〜〜〜〜〜〜
窓を覗くと、少年と、金髪の女性がいた。
しきりに何か話し合っているようだが、壁に耳を当てても分厚い木材に遮られ越前には全く聞こえない。
観察していてもラチがあかない。
回りくどい事が大嫌いな越前は、2人の会話が
(誰かを殺す相談じゃなければいいや)くらいに思いながらドアをノックした。
ドンドンドンドン!!
これから琵琶湖で新八を待つなら、味方は絶対に必要だ。
脱出の可能性があることを伝えるにしても、人数は多いほうが。越前は深めに息を吸う。
- 310 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:44:31 ID:Z27ZU57Z0
- 「お邪魔しまーす」
金髪の美女は銃を構え、少年は女性を庇うように身構えている。
部屋の空気が緊張に満ちている。各種の武器が支給されていることは承知しているはずだったが
間近で見る小銃は首輪以上のプレッシャーを感じる。
この女性が短気でないことを祈りながら越前は両手を挙げた。
「・・・子供?後ろを向いて壁に手をつけなさい。ごめんなさい、悪く思わないでね」
思いがけない闖入者に麗子は驚きを隠せない。
物騒なゲームだというのに星矢といいキルアといいこの子供の多さはなんなのだろう。
麗子は銃を星矢に渡し、手早く越前の衣服をチェックする。―――走ってきたらしく服は汗で濡れていた。
それから武器を所持していない事を確認し、向かい合って質問を開始した。
「私は秋本・カトリーヌ・麗子。警察官よ。こっちの男の子は・・・」
「星矢だ。よろしくな」
妙に堂々とした態度。だが、星矢の挨拶には答えず、ドアを背にそれ以上は一歩も前に進まない。
いつでも逃げられるポジションを陣取り、イスを勧める麗子の誘いもやんわりと断る。
星矢は不遜な少年の態度に引っかかるものを感じたが、状況が状況であるし、何も言わなかった。
麗子もそれに気付くが、あえて触れない。信用してもらう方が先だと考える。
「貴方の名前は?どこから来たのかしら」
「青学、越前リョーマ。気がついたら兵庫にいて・・・」
越前は立ったまま、これまでの経緯を軽く話した。
東京に向かうために一般道路を使ったこと。藍染という変な男に絡まれ、支給品を盗まれた事。
男(火口)、襲ってきた婦人警官のことは伏せ、新八のことも言わなかった。
まだ信頼できない人間にわざわざ全てを話すことはないと考えて。
- 311 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:47:41 ID:Z27ZU57Z0
- ところが、語りが藍染のくだり―――『脱出』に入った時、それまで黙って聞いていた星矢が
突然、怒りに満ちた声を上げた。
「藍染・・・!!アイツ、そんなことを言いふらしてやがったのか!!」
自分と同世代か、少し上だろうか。星矢の激昂に不穏なものを感じ、越前は聞き返す。
「・・・・なに?あいつのこと、知ってるの?」
「知ってるも何も、俺たちはあいつを追ってここまで来たんだよ!あいつは・・・」
「星矢ちゃん、落ち着いて。最後まで聞きましょ。あなた、その男に会ってよく無事だったわね」
「・・・藍染ってそんなに、ヤバイ奴なんすか?」
「アイツは石崎さんを、俺の友達を殺したんだ!!」
星矢が怒りを吐き出すようにテーブルを叩いた。軋みが床に伝わり、木目に拳の跡が残った。
「ふぅん・・・(ヤバイな、泥棒どころのハナシじゃないみたいだね・・・)
じゃあ、アイツの言った脱出の話も期待しないほうがいいみたいすね」
「ううん、それがそうとも言えないのよね。あの男が脱出に関してなんらかの手段をもってるのは
間違いないの。ただ、それを餌に人を集めてるのが気になるのよ。
私たち参加者は国も年代もバラバラの世界から集められてる・・・支給品もそう。
人によっては不思議な能力を使ったりするわ。あの男は人の命より、その力の秘密を欲しがってた。
おそらく、人を集める本当の理由はソレでしょうね・・・」
麗子は太公望の言葉を思い出す。
―――ならば大阪の北東にある、この琵琶湖という湖にいくがよい。あやつはその身を休めながら
街から水を求めてやってくる者たちを襲うつもりだろうからのう
「結局、太公望さんの言った通りになったわね・・・それも噂で人を集めるなんて、ね
頭の良い、いえ、呆れた男だわ」
困ったように(実際困っているのだが)麗子がため息をついた。
- 312 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:50:52 ID:Z27ZU57Z0
- 琵琶湖周辺は広すぎる。人が集まりだせば自分達の手では止めようがない。眉根を寄せて考え込む。
(どうしよう・・・ここから四国は時間がかかるわね。太公望さんに伝えたほうがいいと思うけど
その間に人が来たら、藍染にどんな目に遭わされるかわからないわ・・・)
「でも、一応、そいつには脱出の策があるのは確かなんでしょ?
だったらなんとか捕まえて締め上げちゃえばいいじゃん」
「だから、それはもう俺たちでやったんだよ!・・・すぐ逃げられたけどさ」
(ちくしょう・・・藍染!!できるなら、今すぐこの手で殴ってやりたいぜ・・・!)
星矢はすぐにでも藍染を探し捕まえてやりたい衝動に駆られる。
だが、それはできない。キルアが去った今、戦力はたった2人。
麗子を危険に巻き込むことなどできなかった。
「リョーマちゃん、あの男は人を殺す事なんてなんとも思っていない冷酷な男よ。
それに私にはよくわからないんだけど、とっても強力な武器を持ってるんですって。
この人数で迂闊に近づくのは危険なのよ」
麗子は越前に岡山での出来事を話す。男の危険性をわかってもらうために、細かく、丁寧に伝えた。
「・・・そーすか・・・そんなことがあったんすか」
藍染の予想を越えた非道ぶりに越前は驚きを隠せない。
そして、越前は新八がいるであろう―――大阪に向かうことを考える。
(・・・新八さんは今頃どの辺りかな?あと1、2時間はかかるかもしれない・・・)
「お前、まさか、アイツの言ったことを真に受けて他の人たちに言いふらしたんじゃないだろうな?」
「・・・・・(早く教えないとややこしい事になるし、いっそ迎えに行った方に・・・)」
星矢の問いが越前の耳を素通りしていく。
返事をしようともしない越前の態度に、星矢が苛立つ。
「黙ってないで答えろよ!!また犠牲者が増えるかもしれないんだぞ」
星矢が越前の胸倉を掴む、肘がイスに当たり音を立てた。
- 313 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:52:21 ID:Z27ZU57Z0
- 「うるさいな、大声出さなくったって聞こえてるよ・・・だから少し黙っててよ」
「なんだと!!聞いたのが俺たちだったから良かったようなものの
他の何も知らない人間だったら藍染の餌食になってたかもしれないんだぞ!?」
ぐっと言葉に詰まる越前。たしかに迂闊だったのかもしれないが。
「落ち着いて、星矢ちゃん。リョーマちゃん、貴方はいつ頃、藍染に会ったの?」
「・・・今日の午前中っスけど」
「それならそんなに時間は経っていないわけね。リョーマちゃんは誰かにこの話をしたの?」
「俺はしてないっす。今始めて他人に喋りました。でも・・・大阪の近くで別れた友達が
この話を本当だと信じているんです」
「そう・・・その子から他の人に伝わる可能性があるわけね」
越前が頷き、星矢はまた慌てだす。
「そんな!!くそっ、どうしてあんな奴の言う事なんか信じるんだよ!」
納得がいかない。何故、あれだけ冷酷な男の言う事を簡単に信じるのか。脱出さえできればそいつの人間性なんて
どうでもいいのか。声を荒げる星矢を越前は冷ややかな目で見つめる。
「・・・逃がした奴に責められる筋合いはないね」
「―――お前!!」
「星矢ちゃんもリョーマちゃんも落ち着きなさーい!!!」
- 314 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 21:57:58 ID:Z27ZU57Z0
- お母さんの一喝が窓ガラスを震わせた。星矢も越前も心臓が止まる。
「もう!今はケンカしてる場合じゃないでしょ!」
麗子は顔を上気させ(普段、両津を叱るときのように)2人の子供を叱りつけた。
「星矢ちゃん。こんな状況で親切に話し掛けられれば誰だって信じるわ。
こんなゲームから抜けられるんなら、少しくらい怪しくても信じてしまうのが普通なのよ・・・
どうしようもないの。リョーマちゃんを責めるのはよしなさい」
「でも、麗子さん」
「星矢ちゃんは、藍染のことでこれ以上犠牲者がでるなんて嫌なんでしょう。
私も嫌だわ。そんなこと。絶対に。
でもね、リョーマちゃんが私たちに藍染の話を伝えたのは1人でも多く助けようとしての
行為でしょ?敵になるか味方になるかもわからない状況で簡単にできることじゃないわ」
「リョーマちゃんのお友達も、きっとそんな想いから行動してる。それは誰にも責められる事
じゃないの。許せないのは、そんな優しい子達の心を踏みにじって利用しようとした藍染よ」
ね?麗子が微笑む。彼女の言葉からは新八と同じ、暖かいものを感じられた。
「・・・・」
越前は思う。彼女の目の下の涙の痕は、おそらく死んだ仲間のために流されたものだ。
突然、銃撃してきた警察官とは違い、この異常な状況下でも自分を見失わない強さと冷静さを保っている。
―――ひょっとしたら、あの警察官は誰かを失い、誰かを殺してしまった反動でおかしくなってしまったのだろうか。
それならば、新八は―――仲間の本当の死に気付いた時、どうなってしまうんだろう。
「星矢ちゃん、すぐ四国へ向かいましょう。まだ噂も広まってない今ならまだ間に合うかもしれないわ。
一刻も早く太公望さんの元へ行って、そのことを伝えなきゃ。
リョーマちゃんもよ。少し休んだら私たちと出発しましょ」
- 315 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 22:05:13 ID:Z27ZU57Z0
- 「・・・ちょっと待ってよ、俺はいいよ。その友達、こっちに向かってきてるはずだから
勝手に移動するわけにはいかないんスよ、ここで合流する予定だし・・・」
「だったら、あなたのお友達を待つわ。もしも人を連れてきたら一緒に逃げればいいし。
四国にね、太公望さんっていう頼りになる仙人さんがいるの。
彼なら藍染の計画を止める妙案があるかもしれないわ。
一度そこに行って作戦を考えましょう」
「でも麗子さん、俺たちが離れてる間にもしも誰かが琵琶湖に来てしまったら・・・」
星矢は戸惑う。彼の協力が得られれば確かに頼もしい。だが藍染の本性も知らぬまま
琵琶湖に誘い込まれて餌食になるのをみすみす見捨てる事はできない。
それに藍染のことを抜きにしても誰かがやってくる可能性はあるのだ。
「う〜ん・・そこよねぇ普通に水を求めてやってくる人もいるでしょうし。
噂に関してはリョーマちゃんのお友達に話を聞いてから対応しましょ。
こんなとき携帯電話があれば苦労はしなくていいんだけど、盗られちゃったしね・・・」
麗子の発言で迷っていた越前の覚悟が決まる。行動は早いほうがいい。
「・・・・・・待たなくたっていいすよ。俺が大阪行って探してくるから、2人で行けばいいじゃん」
「ちょ、ちょっと待って!なんでそうなるの、1人でなんて行かせられないわよ」
「なんでって・・・その方が早いし。
そんでここに戻り次第、来た奴を片っぱしから追い払えばいいんでしょ?
やったろうじゃん」
「危険すぎるわ。すれ違いになってしまう可能性だってあるんでしょ」
本当は、気を失っている隙に離れていってしまったキルアも止めたかった。
- 316 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 22:07:29 ID:Z27ZU57Z0
- 「大丈夫っス、行きます」
その自信はどこからでてくるのか。言い出したら聞かない強引なタイプ。
強い眼差しは、子供がそのまま大人になったような困った同僚を思い出させる
(・・・根拠もないのに強がって。本当、男の子って意地っ張りね、両ちゃん)
麗子は長いため息をつき、そして、気分を変えるように首を振り、
「わかったわ・・・。気をつけて行ってらっしゃい。だけど絶対に無茶しては駄目よ?
お友達と無事に帰ってきなさい。約束よ」
―――ウス、越前は帽子をしたまま、麗子に小さくお辞儀した。
(じゃあ、俺たちはこれから四国に行くのか・・・俺はいいけど
麗子さん、ちゃんと疲れは取れてるかな・・・クソっ藍染の奴・・・!!)
星矢は食料の残りや荷物をデイパックに詰める。出発が早くなったことは構わないが
彼女の体力が心配だった。仲間を失って間もないのに気丈に振舞っている麗子を
また移動の旅に連れ出すのは気が進まなかった。
「麗子さん・・・」
「星矢ちゃん・・・あの子についててあげてくれないかしら?
私が太公望さんのところへ行ってくるから」
「だ、駄目だよ、麗子さん!何言ってるんだよ!」
(とんでもない!1人でなんて行かせられない、なんでそうなるんだ!?)
「藍染がどこに潜伏しているかわからないのに、リョーマちゃんを1人きりにして
出かけるわけには行かないでしょ?
大丈夫よ。大阪にはキルアちゃんもいるし、3人で協力すれば見つかりっこないわ」
――――トン、麗子の指先が優しく星矢の額に触れた。
- 317 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 22:09:15 ID:Z27ZU57Z0
- 「駄目だ!そんなの絶対に駄目だよ!麗子さんを1人にするなんてできないよ、
どうしても行くってんなら俺が四国に、あ、いや・・・
(馬鹿!それでも結局麗子さんが危ないことに変わりないじゃないか・・・ああ、クソッ!)
リョーマ!やっぱりお前がここで友達待てよ!隠れてれば安全だ」
振り向いた先に少年はおらず、勢いよくドアが開かれた。
「・・・大阪なんてすぐでしょ。水と体力が残ってるうちに探しときたいんだよ。
琵琶湖で待つったって広すぎて、この小屋を見つけてくれるとは限らないし。
それに・・・お人好しすぎて危なっかしいんだよね、あの人」
「デカイ借りもあるしさ」
(―――ちょっと待てよ、お前はいいかもしれないけど、俺、どうすればいいんだよ・・・)
たった1人で四国に向かうと言い張る麗子。すぐ大阪へ行くと決めたリョーマ。
そして、藍染がどこかに潜んでいるかもしれない琵琶湖。
急に降って沸いた選択肢に困惑する星矢。
「さ、そうと決まれば出発しましょ。星矢ちゃん、リョーマちゃん」
(えええええええ???)
「ちょ・・・麗子さん!」
(麗子さんを止めなきゃ・・・!でも、何て言えば納得するんだろ)
・・・・星矢が頭を抱えてグズグズしている間に2人は荷物を背負って
外に出ていってしまった。
星矢は必死に説得の言葉を考える。脳髄フル回転。
今度ばかりは饒舌な太公望が羨ましかった。
- 318 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 22:10:03 ID:Z27ZU57Z0
- 「あの、・・・・・・麗子さん!」
思い出したように越前が声を上げた。気が変わったんだな!?・・・と星矢は期待する。
「リョーマ『ちゃん』ての、止めてくれない?」
少年は不本意そうに、少し顔を赤らめて言った。
星矢も不本意そうに、そこだけ同意した。
【初日滋賀県琵琶湖畔の小屋@日中】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、麗子を説得したい。
2、越前の仲間が来たら四国へいき、太公望達と合流。 藍染の計画を阻止
3藍染、ハーデス達を倒す。
【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】部長、中川の死による精神的ショック(中)
【装備】サブマシンガン
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、四国へいき、太公望達と合流
2、藍染の計画を阻止
3、主催者の打倒。
- 319 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/02(木) 22:10:44 ID:Z27ZU57Z0
- 【越前リョーマ@テニスの王子様】
【状態】少々の疲労 空腹
【装備】テニスラケット、両さんの自転車@こち亀、線路で拾った石×4
【道具】荷物一式(半日分の水を消費)
サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ )
【思考】1:藍染の行動にムカついている。
2:新八と琵琶湖で合流(大阪に向かうことを希望)し、藍染の計画を阻止
3:情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
4:仲間(乾、跡部)との合流。
*越前は竜崎が火口(彼の名は知りません)の手によって殺害された可能性があると思っています。
*姫路駅付近にある埋葬された稲葉響子には気付きませんでした。
- 320 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 22:59:28 ID:VyP0fRbe0
- 「なんだかずいぶんと久しぶりな気がするな」
時刻はすでに昼過ぎ。
仙道は今、神奈川県のとある体育館にいた。
神奈川県――仙道の母校、陵南高校があるはずの場所。
陵南高校――神奈川に位置する、仙道の学び舎。
の、はずだった。
しかしここには……この世界の神奈川県には、陵南高校は存在しなかった。
いつもの見慣れた校舎も、通学路も、そして自分の家さえも。
建物の配置、施設の有無、それは確かに、仙道の知る神奈川県と酷似していたが、何かが違う。
小一時間ほど神奈川を歩き回って確かめたが、細かいところで、仙道の知るそれとは風景が違うのだ。
今、仙道がいる体育館は、どこかの私立高校のもの。
初めは陵南高校への道を辿ってここに来たはずなのだが、次第に自分の知る道並みとは違っていき、辿りついたそこには仙道の知らない校舎が立っていた。
神奈川県民である仙道でも知らない学校。
陵南高校があるはずの場所に立つ、自分の知らない建物。
やはりこの世界は、日本のようで日本ではないのかもしれない。
(まあ一日も経たずに静岡から神奈川まで徒歩で移動できたんだ。明らかに狭いよな)
- 321 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:00:11 ID:VyP0fRbe0
- とにかく、この世界に陵南高校は存在しない。
仙道が在籍していた、陵南高校バスケット部も。
「しっかし……体育館の癖してまさかバスケットボールまでないとはね」
体育館の用具倉庫。
普通なら授業で使用するはずである、あらゆるスポーツ用具がそこにはなかった。
仙道が慣れ親しんだバスケットボールも、体育館にはつきものな飛び箱やマットといった器械体操の類の物も。
こんな設備の悪い学校のバスケ部はさぞ大変だろうと思いながら、仙道は目線を上にやった。
「唯一体育館らしいのは……あれだけか」
仙道の視線の先にあるのは、一つのバスケットゴール。
それだけは間違いようのない、バスケットプレイヤーである仙道が、試合のたび貪欲なまでに追い求める物。
ボールもゼッケンもタイマーもない、バスケットゴールだけが残された、寂れた体育館。
環境こそかなり違うが、そこは紛れもなく、仙道のフィールド。
体育館の中に立つのは、仙道ただ一人。
だが、目をつぶれば今でも蘇ってくる。
あの、壮絶な光景が。
あの、熱いゲームが。
- 322 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:01:04 ID:VyP0fRbe0
- ――桜木花道――流川楓――三井寿――赤木春子――
全て、神奈川を移動している最中に流れた第二放送で告げられた名前。
同時に、参加者一覧の中で自分が唯一最初から知っていた名前でもある。
それら全てが呼ばれてしまったということは、どういうことか。
(あの三人が一気にいなくなったんじゃ、湘北の戦力もガタ落ちだろうな……なんて)
仙道はおもむろにバスケットゴールの前に立ち、瞬間、
その場の空気が変わった。
(……流川、お前のプレーがもう見れないと思うと残念だよ)
なにを思ったか、仙道は腰を落とし、腕を上下に降り始める。
――あたかもそこにボールがあるように――
(三井さん……俺がもう少し早く駆けつけていたら、あなたを死なせずに済んだかもしれない)
仙道は腕を上下に動かしたまま、右足を軸にステップを取る。
時にターンし、時にフェイントをかけ、それでいてドリブルをする腕を休めない。
――あたかもそこにディフェンスがいるかのように――
(春子さんってのは、あの赤木キャプテンの妹さんかな? あの人と魚住さんのぶつかり合いは本当に凄まじかった)
仙道のリズムを捉えた動きは、どれほどの者を魅了できるだろうか。
たとえその意味を知らぬ者でも、たとえボールがなくても、凄みは伝わってくる。
そして仙道はゴール下、誰もいないはずのそこに、合図を送る。
――あたかもそこにチームメイトがいるかのように――
- 323 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:01:46 ID:VyP0fRbe0
- (桜木……お前は天才じゃなかったのかよ)
仙道の前に現れたのは、派手な赤髪の幻影。
自分を天才と称し、奇抜なプレイを見せてくれた面白いやつ。
(ま、抜くのは簡単だったがね)
仙道が空想のボールを大きく放り投げる。
その先には、確かに実在するバスケットゴール。
しかしボールはゴールリングに弾かれ、ガァンと豪快な音を鳴らした。ような気がした。
そして、仙道が飛ぶ。
仙道の行動は、シャドーボクシングのバスケット版といえるかもしれない。
空想のボールで、空想のチームメイトと、空想の相手をイメージにプレーする。
トレーニングとしては全く無意味と思える仙道の行動。
(この世界には存在しない。バスケットボールも、チームメイトも、競い合うライバルも)
――バスケットが存在しない――
大きな跳躍が、仙道のユニフォームを揺らした。
- 324 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:03:32 ID:VyP0fRbe0
- 「遅いなぁ、仙道くん」
「思い出にふけってるんだろうよ。ここはあいつの故郷の街に似ているみたいだからな」
体育館の外、とある高校の校庭では、デスマスクと香が仙道を待っていた。
ダーク・シュナイダーを退けた後、東京方面へと移動してきた一行は、この学校で足止めを食らっていた。
それというのも、仙道が「ちょっと見ておきたい」とここの体育館に立ち寄ったためである。
「しかしこれからどうする? 神奈川はまったく人気がないし、このまま東京を目指しても良いが……」
「洋一くんが気がかりよね……」
香が気にかけているのは、てっきり死んでしまったかと思っていた、ついてない少年。
ダーク・シュナイダーとの戦闘の際に姿を消したが、先ほどの第二放送では彼の名前は呼ばれていなかった。
つまりは、まだ生きているということ。
「探すにしても……来た道を戻ることになるし」
「ああ。東京付近なら、あんたの仲間も見つかるかもしれねぇ。その追手内ってやつには悪いが、ここまで来たんだ。探しに行くのはもう少しあとにするか」
「でも……こうしている間にも、もしかしたら三井くんみたいに……」
香の脳裏に、三井の死の光景がよぎる。
もう、目の前で人が死ぬのはごめんだ。
だが、
「なに、ついてないとか言いながらもちゃんと生きてたんだ。案外悪運は強いのかもしれねぇ。探しにいくのはここらへんを見て回ってからでも遅くねぇだろ」
「そうね……それもそうかもしれない」
こうして捜索を先延ばしにされるのも、追手内洋一の不運がなせる業かもしれない。
- 325 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:04:24 ID:VyP0fRbe0
- 仙道が体育館内に消えてから、もう三十分ほど経っただろうか。
「仙道くんは……もう知り合い全員殺されちゃったのよね」
「……そうみてぇだな」
しばしの無言。
二人は今、仙道が一人体育館でなにをやっているか知らない。
「まさか……知り合いがいなくなっちゃったのを悔いに自殺とか……」
「おめぇはあいつがそんなヤローに思えるのか?」
「それは……思えないけど」
香は仙道という人物はよく知らない。
が、自分で口にしておいてなんだがそんなことをするような弱い人物には見えなかった。
「なんていうか、仙道くんと一緒にいると不思議と安心させられる。こんな状況でも、彼ならなんとかしてくれるんじゃないかって」
「奇遇だな。俺も初めてあいつに会った時、同じことを感じた」
ただの運動神経がいいだけの少年のはずなのに、彼からはなにか、計り知れない希望を感じてしまう。
それが、仙道章という男。
- 326 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:06:29 ID:VyP0fRbe0
- それから一分後、体育館の扉が開けられる音が聞こえた。
「お、やっぱりあいつに心配は無駄だったみたいだぜ」
「そうみたい」
二人の待ち望んだ、仙道章の帰還。
「すいません香さん、デスマスクさん。ずいぶんと時間をかけてしまって」
仙道はいたって爽やかに登場し、その顔には微量な汗が輝いていた。
この姿を見ると再度感じてしまう。
仙道章という男に見える、希望を。
「さあ、いきましょうか!」
『仙道なら、きっと――』
- 327 :その男が見せる希望 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/02(木) 23:07:07 ID:VyP0fRbe0
- 【神奈川県・とある高校/日中】
【仙道彰@スラムダンク】
[状態]:若干の疲労、気持ちのいい汗
[装備]:遊戯王カード
「真紅眼の黒竜」「光の護封剣」「闇の護風壁」「ホーリーエルフの祝福」…未使用
「六芒星の呪縛」…翌日の午前まで使用不可能
[道具]:支給品一式
[思考]:1、首輪を解除できる人を探す。
2、東京周辺で海坊主、冴子を探す。
3、東京周辺を捜索後、追手内洋一を探す(山梨に戻る)。
4、ゲームから脱出。
【デスマスク@聖闘士星矢 】
[状態]:そこそこのダメージ(戦闘に若干の支障あり)
[装備]:アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険
アイアンボール×2
[道具]:支給品一式
[思考]:1、仙道に付き合う。
2、東京周辺を捜索後、追手内洋一を探す(山梨に戻る)。
【槇村香@CITY HUNTER】
[状態]:精神的に疲労
[装備]:ウソップパウンド@ONE PIECE
[道具]:荷物一式(食料二人分)
[思考]:1、海坊主、冴子を探す。
2、東京周辺を捜索後、追手内洋一を探す(山梨に戻る)。
- 328 :作者の都合により名無しです:2006/02/03(金) 09:44:20 ID:LPULUEBJ0
- 乙。流れが途切れなくて良かった!
仙道熱いなあ。ボールさえないことを利用したシャドウバスケのシーン、最高だった。
で、結局遊戯ミサSSはNGなのね。
それはそれでいいんだけど、一つ提案があるんだが……
事実上、遊戯が放送を聴いて落ち込む&ミサが遊戯に会いに行くってのはほぼ確定事項なんだから
問題部分を全削除した
遊戯落ち込む → ミサが遊戯を発見するまでの流れを書いた部分だけでも残してくれないだろうか?
具体的に言えば、>>251-255 の部分
ぶっちゃけ、誰が書いてもこの辺はそう大差ないと思うし、
似たような文を違うように書くのは他の作者さんも書きにくいと思うし。
作者さんの気持ちも聞きたいし、スレの住人の話も聞きたい。意見頼む。
- 329 :作者の都合により名無しです:2006/02/03(金) 12:13:29 ID:Vp2V1gbD0
- >>328
ミサのSSは有効だよ。
荒らしが交流スレで正体明かしてたし
- 330 :作者の都合により名無しです:2006/02/03(金) 13:09:38 ID:jYMsRfSV0
- >>328>>329は無効です。
- 331 :作者の都合により名無しです:2006/02/03(金) 14:57:29 ID:xG8ZA3Qv0
- >>330も無効です
- 332 :最終結論 ◆/jAFUWeHW. :2006/02/03(金) 19:59:14 ID:1QX1ra1H0
- 議論の結果、以下の2つのSSが無効になりました。
>>239
>>320->>327
あとは全て有効です
- 333 :作者の都合により名無しです:2006/02/03(金) 20:09:21 ID:mWkgrGNf0
- 当たり前のように>>332は無効です。
- 334 :ポップウソップ冒険記:2006/02/04(土) 12:03:41 ID:mRw1k8LK0
-
冒険を再開しますか?
>はい
いいえ
ピッ
- 335 :ポップウソップ冒険記:2006/02/04(土) 12:08:29 ID:mRw1k8LK0
- 【AM5:54/鹿児島県川内(せんだい)、道路】
テレレンテッテテンー♪
ポップはレベルが上がった
ちからが6上がった
まもりが4上がった
すばやさが3上がった
かしこさが4下がった
ポップはべギラマを覚えようとしたが
すでにべギラマを覚えていてべギラマを覚えることができなかった
べギラマをあきらめますか?
→はい
いいえ
- 336 :ポップウソップ冒険記:2006/02/04(土) 12:11:07 ID:mRw1k8LK0
- ティララララララララララララン♪
パピヨンが現れた
→ものまね
なめる
火を吐く
歌う
襲う
必殺技
ポップの攻撃!
ポップはパピヨンの技をパクった
パピヨンは身を守っている
- 337 :ポップウソップ冒険記:2006/02/04(土) 12:13:03 ID:mRw1k8LK0
- パピヨンは身を守っている
ものまね
なめる
→火を吐く
歌う
襲う
必殺技
ポップの攻撃!
ポップはパピヨンにつばを吐いた
しゅわわわぁぁ〜 パピヨンは溶けてしまった
- 338 :ポップウソップ冒険記:2006/02/04(土) 12:14:26 ID:mRw1k8LK0
- ここまでの冒険を記録しますか?
>はい
いいえ
【鹿児島県、出水/昼】
【ウソップ@ワンピース】
[状態]健康
[装備]:賢者のアクアマリン@ハンター×ハンター
:いびつなパチンコ(特製チクチク星×5、石数個)
:大量の輪ゴム
[道具]:荷物一式(食料・水、残り3/4)
:死者への往復葉書@ハンター×ハンター
:手作りの作品や集めたガラクタなどの数々
[思考]1:アイテムを信じて仲間を探す
2:ルフィ・ロビン・ポップの仲間との合流
【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]健康
[装備]:魔封環@幽遊白書
:ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用)
[道具]荷物一式(食料・水、残り3/4)
[思考]1:ダイ・マァム・ウソップの仲間との合流
2:フレイザードを早めに倒す
- 339 :ポップウソップ冒険記:2006/02/04(土) 12:16:47 ID:mRw1k8LK0
- 【パピヨン@死亡確認】
残り91人
- 340 : ◆Oz/IrSKs9w :2006/02/04(土) 12:39:36 ID:ydMFhR5PO
- 面白かったけど、残念ながら>>334-339は無効ですw
- 341 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 12:52:01 ID:uEM8tmN+0
- 静かな森で一人の男が佇んでいた。
「ふぅ、それにしてもとんでもねえ化け物だったぜ」
浦飯幽助は茨城県の森まで移動し、戦闘の疲れを癒していた。
「トレインのやつ大丈夫かな・・・」
幽助はこのゲームが始まって初めて心を許した仲間の存在を気にかけていた。
「あの腕じゃ、強い敵と会ったら・・・」
そこまで思考が辿りつくと幽助は己の右手にも激痛が走っていることを改めて認識した。
「ちっ、俺も人のことは言えねえか・・・」
幽助の右手はもはや戦闘では使い物にならず、頼みの霊丸も使い切ってしまっていた。
(かと言って、このままじっとしててもしゃーねーか)
そう思い、出発の準備を始めたときだった。
閑散としていた森に突如爆発音が響き渡った。
近くで(といっても、戦闘域からはまだ大分距離はあったが)炎が上がるのが見えた。
「戦闘か!?」
(まさか、トレイン?)
- 342 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 12:53:34 ID:uEM8tmN+0
- 炎が上がったのとは別に、森が揺れ、大気がざわめいていた。
幽助の思考とは裏腹に彼は思いがけない行動をとる。
それは考えるよりも早く、認識するよりも早く、
それは霊感でも、直感でもなく、ただ人間に生まれ持って与えられた防衛本能による生きたいという意思によって
無意識のうちに避けるという選択肢を肉体が選んでいたのだ。
背後から振り下ろされる拳により巻き起こる轟音。
その姿を認識するまでもなくその人間が先ほどまで闘っていたラオウなる人物(無論名前は知らないのだが)のものであることは明白であった。
その殺気、威圧感全てが桁違いの人間がそこには居た。
(奴は倒したはずだ・・・倒しきれてなかったのか?
もう霊丸はねえ・・・どうする)
ラオウにはケガの跡こそあるが、こと攻撃能力に関しては全く衰えを見せていなかった。
それに対して休んだとはいえまだまだ満身創痍の幽助。
「ちっ!本当に化け物かよ」
- 343 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 12:54:07 ID:uEM8tmN+0
- (ここは一旦逃げるか?・・・いやダメだ!ここで逃げたらまた他のやつが犠牲になっちまう)
浦飯幽助は見かけこそ不良であったが、その心根には確かな正義と優しさがあった。
その信念が彼をその場に踏みとどまらせた。
対峙する両者。
威圧感だけで押しつぶされそうになる・・・対峙するだけで幽助は全身から汗を噴出し、呼吸も乱れてきていた。
(こうなったら一か八か・・・)
幽助はラオウに向かって走り出した。
ラオウの豪腕が幽助を襲う。
ゴキン・・・鈍い音と共に幽助の右腕は肘の辺りから明らかに変な方向に曲がってしまった。
(ちっ・・・こりゃぁ元にはもどんねえかもしんねえな)
しかし幽助はラオウの懐に潜りこむことに成功した。
払った代償は己の右腕。どうせ戦闘には使えぬ腕。
生きるための代償。
その結果生まれた最初で最後のチャンス。
いかに人間を超えている幽助の拳といえども、ラオウの鋼の肉体には歯が立たぬだろう。
霊力が必要だった・・・。
幽助の空っぽのはずの霊力がその一瞬に突如湧き出し、残った左拳に集約されていく。
- 344 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 12:54:52 ID:uEM8tmN+0
- それは生命の輝き。
それは生きる力。
幽助は己の生命を燃やして霊力を作り出した。
正に己の身をも犠牲にする捨て身の技。
狙うはラオウの胸に残る深い傷跡。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇっぇ!!!!霊光弾!!!!!!」
激しい打撃音とともにラオウの身は数メートル以上飛ばされていた。
「はぁっ・・はぁっ・・・やったか・・・?」
砂埃の中に消えたラオウの肉体。
幽助には最早指一本動かす気力もなかった。
- 345 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 13:05:09 ID:uEM8tmN+0
- やがて砂埃がはれていく。
「はは・・・マジかよ・・」
それが幽助が最後に放った言葉だった。
砂埃の中から立ち上がった巨身の放った一撃は、確実に幽助の心の音を奪い去った。
「ふぬぅ。見事であった・・・。よもやこの身が二度も地に伏せられるとは。褒美にこの拳王の記憶に永遠に刻んでおいてやろう」
拳王は去っていく。
未だ消えやまぬ炎の下へ。
己の傷を癒す間もなく、新たな強者と出会うために
- 346 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 13:07:41 ID:uEM8tmN+0
- 一人森に取り残された幽助。
その肉体にはかつて聞こえていた心の音はしていなかった。
───ドクン
横たわる幽助に大気が集約されていく
───ドクンドクン
森が怯えている
───ドクンドクンドクン
大きなバウンドとともに幽助の・・・かつて幽助と呼ばれていた肉体に大きな変化が見られた。
その肉体には魔族の紋章が浮かび、髪は伸び、心臓の変わりに核となるものが動いていた。
人間としての浦飯幽助は確かに死んだ・・・。
しかし・・・これは当人も知らぬことではあったが闘神を先祖に持つ幽助は魔族大覚醒により魔族としてこの地によみがえっていたのだ。
森に吹く風は今も吹き止まない。
- 347 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 13:14:44 ID:uEM8tmN+0
- 【ラオウ@北斗の拳】
[状態]:胸元を負傷(大)/肋骨にヒビ/霊丸によるダメージ(闘気で軽減)/右腕にダメージ /右手ただれ薬指小指喪失
[装備]:無し
[道具]:荷物一式 不明
[思考]:
1.炎の方へ新たな強者を求めていく
2.いずれ江田島平八と決着をつける
3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)
【浦飯幽助@幽遊白書】
[状態]魔族化 霊丸→妖丸(使用回数不明)
[装備]なし
[道具]荷物一式
[思考]不明(次の書き手さんに任せます)
- 348 :拳王 ◆fwVkVAa8BE :2006/02/04(土) 13:31:01 ID:uEM8tmN+0
- 修正
>>346魔族大覚醒→魔族大隔世
>>341-347タイトル「拳王」→「止まない風」
>>347 【茨城県中部の森/日中】を追加
- 349 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:37:01 ID:IV0HxWAx0
- 【熊本県南部/日中(放送直後)】
ウソップの提案により、建築物や林、川などを調べながら熊本県まで到達したポップ・ウソップコンビ。
この2人に2度目の放送が流れる。
「・・・また14人も・・・」
「チッ・・・それにフレイザードも生きてやがる・・・。」
仲間達の生存にほんの少し安心するも、フレイザードが殺戮を続けているかと思うと、ポップは気が気でない。
憤りに民家の壁を叩く。
(アイツは、アイツだけは、この手で何とかしないと・・・。)
そんなポップの様子を見て、声をかけるウソップ。
「・・・おい、ポップ。一旦この『カゴシマ』まで戻らないか?」
「・・・ああ?どういうことだよ!こうしてる間にもフレイザードが・・・」
「今行けば救えるのか?それにフレイザードを倒せば終わりなのか?
ポップ、オレ達の本当の敵は誰だ?」
ウソップの言葉にポップはハッとする。真の敵はバーン。
そして恐らくバーンと同等の力を持つ、フリーザとハーデスという名の男。
「魔法使いってのはな、誰よりも先を見てなけりゃいけねえ。」
師、マトリフの言葉を思い出す。
- 350 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:38:16 ID:IV0HxWAx0
- 「そうだよな・・・こんな時だからこそ、冷静にならないとな・・・
でもどうして『カゴシマ』なんだ・・・?
第一、次の禁止区域が『クマモト』になった場合には、
2時間で『カゴシマ』から『フクオカ』まで移動しなけりゃならないんだぞ。」
「フッフッフッ・・・甘いなポップ君。一つ一つ説明してあげよう。」
「いいから早く説明しろよ・・・」
「ウォッホン。まず、次に『クマモト』が禁止区域になることはありえなぁい!」
オーバーリアクションで断言するウソップ。
「なんでだよ?」
「バーン達は、なんでこんなまどろっこしいことをしたんだ?
オレ達に殺し合いをさせるためだろ?
ただ殺したいだけなら、この首輪をつけただけで目的を達成できるはずだ。
例えば、全域を禁止エリアにすれば、全員があっという間に片付けられる。
禁止エリアに入っての死亡、というのは、バーン達にとっても不本意のはずだ。
だから、なるべくならそんな殺し方はしたくない。」
「・・・なるほど。袋小路を作る禁止エリアっていうのはやらないはずだ、ってことだな?
それは分かった。でもなぜ『カゴシマ』に戻るんだ?」
「・・・脱出口のヒントが、『カゴシマ』にあるかもしれない・・・」
「なんだって?」
「あくまで可能性の話だけどな・・・。
主催者はどこかで監視している。ということは、不測の事態が起きた時には、
どこかから介入する準備もあるってことだ。
この世界に介入するとしたら、どこから来るか?
上か、北か、南か・・・このエリアの範囲外から来るんだろう。
この地図を見ろよ。最北が『ホッカイドー』、最南が『カゴシマ』だ。
しかし『ホッカイドー』は禁止エリアになっちまった。
だから調べるとしたら、まず『カゴシマ』だ。」
そう説明するウソップの目は輝いていた。
(ウソップ・・・こいつ、俺達の世界に生まれていれば、大賢者になっていたかもな。)
- 351 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:39:20 ID:IV0HxWAx0
- 「・・・ようし、ウソップ!『カゴシマ』に行こうぜ。バーンを倒す糸口を必ず見つけてやる!」
意気揚々と今まで来た道を引き返すポップ。
(・・・フゥ〜、ようやく納得してくれたか。せっかく誰もこないエリアにいるのに、
みすみす殺し合いをしてるような場所に生けるかよ!ここで何とか時間稼ぎしないとな・・・。
ポップはちょっと頼りねえし・・・ルフィ〜!ロビン〜!早く助けに来てくれ〜!)
死にたくないばかりに大見得を切ったウソップ。
しかしその結論は、奇しくも「人間界最高の頭脳」Lと同じ結論であった。
- 352 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:40:36 ID:IV0HxWAx0
- 【福岡県市街地/日中〜午後】
すぐ戻る、と言ったまま帰らないヒソカを待つパピヨン。
しかし、あまりに遅い帰りに、福岡まで足を運ぶ。
そこで彼が見たものは・・・上半身だけのヒソカの死体だった。
「・・・ヒソカ・・・?」
蝶野公爵は孤独だった。が、そのことを苦に思ったことはない。
父も弟も、先祖も手にかけたが、なんとも思わなかった。
ただ一人、自分の名を呼んだ武藤カズキだけは、自分にも理解できない
特別な感情を抱いていたが・・・。
蝶野公爵は、ヒソカにはカズキとはまた別の感情を抱き始めていた。
シンクロ。あこがれ。似ているようで、そんな言葉では説明できない奇妙な感情。
そんな感情の対象も、失われてしまった。
しかし、ヒソカの満足気な死に顔を見て、パピヨンは悟った。
「・・・先に行ってるぞ。」
それがパピヨンの精一杯の弔いだった。
そう言ってヒソカのバッグを持つと、当初の予定通り、南九州へと旅立った。
- 353 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:46:25 ID:IV0HxWAx0
- 【鹿児島県南部/午後〜夕方】
佐多岬にたどり着いたウソップとポップ。
「ウソップ〜ア〜イ〜」
おおげさに手で双眼鏡の形を作り、海を見つめるウソップ。
狙撃手である彼は、視力もよかった。
「おおっ、たくさんの島が見えるぞ。
・・・ん?なんで海は全部禁止エリアにしているのに、あんな島をわざわざ作ったんだろうな?」
「さぁ・・・どこかの群島をそのまま持ってきたんじゃないか?」
そういいながら、ポップも考える。
(そのまま・・・必要な島だけ模写すればいいのに、なんで・・・余計な魔力まで使って?)
「なあ、この島って、実際にある島なのか?」
「さあ、オレは聞いたことのない地名ばかりだけど・・・。」
「ここに集まられた参加者って、色んな世界から集められたんだよな?」
「そうだな、オレとお前では世界も違うみたいだし。俺の世界には魔法なんてなかったな。」
「・・・なら、この島がある世界から来てる人間もいるんじゃないか?」
「 そ れ だ !」
(・・・よし!いい展開だ!ここで「この島を知る者を待つ」という提案をすれば、
また時間稼ぎができるじゃないか!)
2人の思惑は異なるも、同じ結論を導く。
しかし、今南九州に足を勧めるのはパピヨン。
日本列島を知る彼だが、このコンビの助けとなるのか・・・?
- 354 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:49:03 ID:IV0HxWAx0
- 【福岡県南部/午後】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
[道具]:荷物一式(食糧二食分消費) ×2
[思考]:1、南九州へ移動し、首輪を調べる。
2、知り合いとの合流
- 355 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:51:30 ID:IV0HxWAx0
- 【鹿児島県南部/午後】
【ウソップ@ワンピース】
[状態]健康
[装備]:賢者のアクアマリン@ハンター×ハンター
:いびつなパチンコ(特製チクチク星×5、石数個)
:大量の輪ゴム
[道具]:荷物一式(食料・水、残り3/4)
:死者への往復葉書@ハンター×ハンター
:手作りの作品や集めたガラクタなどの数々
[思考]1:できる限り鹿児島に滞在する。
2:アイテムを信じて仲間を探す
3:ルフィ・ロビン・ポップの仲間との合流
【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]健康
[装備]:魔封環@幽遊白書
:ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用)
[道具]荷物一式(食料・水、残り3/4)
[思考]1:脱出の鍵を探す。
2:ダイ・マァム・ウソップの仲間との合流
3:フレイザードを早めに倒す
- 356 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 19:54:01 ID:IV0HxWAx0
- 修正
>>350
オーバーリアクション→オーバーアクション
>>353
集まられた→集められた
- 357 :大賢者ウソップ? ◆f9snfTF/yQ :2006/02/04(土) 20:02:59 ID:IV0HxWAx0
- 修正
>>353
足を勧める→足を進める
- 358 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 00:59:50 ID:6qGynEV+0
- 目の前には大蛇丸。
それと対峙する斉藤。
決断を迫られ沖田は動けずにいた。
「何をしている。俺を置いて、さっさと行け!」
背を向けたまま、斉藤が怒鳴りを上げる。
斉藤を置いて逃げる。
この状況ではそれが正解。
そんなことは沖田もとっくに理解していた。
「けど……! 旦那ッ!」
「―――沖田」
沖田の声を遮るような斉藤の声。
「お前も“シンセングミ”ならば、判断を誤るな」
斉藤の言葉で沖田の腹は決まった。
「クッ……すまねえ。旦那……ッ!!」
そう謝罪の言葉を残し、沖田は走り出した。
斉藤は走り去る沖田を振り返ることもなく、大蛇丸の沖田への追撃を予想しその身を構えた。
しかし、大蛇丸はそれを追う気配すら見せない。
結局、沖田の気配が完全に消えるまで、大蛇丸はピクリとも動く事は無かった。
「どういうつもりだ。あっさりと逃がすとは」
「だって、あの子に興味ないもの」
大蛇丸の目には、沖田は多少腕の立つ一介の剣士としてしか写らない。
対して興味をそそるような特殊能力があるわけでもなく。
かといって絶対的な力があるわけでもない。
故に興味が無い。
- 359 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:02:02 ID:6qGynEV+0
- 「それに、あの子じゃ、たとえ生き延びたって、私を殺せないじゃない?」
そう言って。陰湿に蛇は笑う。
興味も無く、危険も無い。
ならば放置して何の問題があろうか。
「ふん。壬生の狼を余り嘗めないほうがいい。アイツも―――」
斉藤は杖代わりにしていた剣を構える。
「―――この俺もな」
構える狼は蛇を睨む。
射刺す殺気は抜き身の剣の様。
「ふん。―――風遁・大突破」
殺気を一笑し、放たれるは風の忍術。
吹き荒れる暴風。
斉藤は身を低くこれを堪えるも。
不自由な足では踏ん張りはきかない。
成す術も無く吹き飛んだ斉藤の体が、ビルの壁に衝突する。
「……ガハッ」
ゴポリと、赤い液体が斉藤の口より吐き出される。
衝突した斉藤の体は、そのままズルズルと地面に落ちる。
「何をいきがってるのかしら? ボロボロじゃない。貴方」
見下す蛇は青白く笑う。
- 360 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:04:07 ID:6qGynEV+0
- それを気にせず、斉藤は転がった剣を右手に取り、それを支えに体を起こそうと心みる。
剣を持つ両腕に力を込めると、左腕が悲鳴を上げた。
踏みしめた右足の激痛を、歯を食い縛り押し殺す。
口の端から血が零れるも、それも気にしない。
そして、全てを堪えながら斉藤は両足で地面に立つ。
そこに聞こえるパチパチ、という拍手の音。
「よく立ったわね。―――で。その先に何があるのかしら?」
斉藤は蛇の問いに言葉で答えず、態度で示す。
折れた左腕を突き出し標準を定め、右腕で敵を射殺す剣を構える。
腰を下げ重心を前に固定。
それは牙をむき出した狼の構え。
「またそれ? バカの一つ覚えね」
真剣勝負に二度はそうない。
戦場で敵に出会えば、決着はどちらかの死以外にありえない。
ならば、戦場において多彩な千の技など必要ない。
究極の一があれば事足りる。
その信念の下、突きを極めし究極の一。
もとより斉藤にはこれしかないし、これ以外の小技に頼る気など毛頭無い。
唯の突きを奥義にまで昇華させた斉藤一、究極の一。
―――牙突。
「でも、撃てるの。その体で?」
「当然だ。この程度の傷。貴様とは、潜った修羅場の数が違う」
- 361 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:06:10 ID:6qGynEV+0
- 言って、踏み込みの為、僅かに重心を後ろに。
そしてギャアギャアと悲鳴を上げる右足で地面を蹴り、牙突を放つ。
その突きの軌道は間違いなく一流のソレである。
しかし、先に放たれた牙突に比べれば、その勢いは確実に弱い。
それも当然。折れた足の踏み込み、放てるだけでも奇跡のようなものだ。
大蛇丸は横に軸を移動し、あっさりとその突きを回避する。
突きを回避された斉藤は、瞬時に突きから横薙ぎに切り替え追撃を狙う。
鬼才、土方歳三の開発した基本戦術。
単純にして有効。隙の無い二連撃。
しかし、その追撃も虚しく空を切り、大蛇丸には掠りもしない。
「ばぁあ」
舌を伸ばした蛇が身をくねらせ、一瞬で斉藤に肉薄する。
互いの息遣いがわかる距離まで間合いが詰まる。
突きの間合い、否、もはや剣の間合いではない。
こうなっては、剣客である斉藤に成す術はない。
そう確信した大蛇丸が術を放とうとした、瞬間。
――斉藤の上体が跳ねた。
一瞬、上体が掻き消える。同時に閃光。
稲妻のような一撃が迷いもなく、蛇に向かって放たれた。
――牙突零式。
下半身を動きを必要とせず。上半身のみをバネのようにしならせ一撃を放つ。
密着状態から発射可能な零距離の牙突。
故に零式。
対抜刀斎用に開発した、斉藤一の奥の手にして切り札である。
- 362 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:08:28 ID:6qGynEV+0
- 確実にないと思われた剣戟が、虚を突いて放たれる。
まして放つは元・新撰組三番隊組長、斉藤一。
いかに三忍大蛇丸とて、この一撃を回避する術は無し。
心臓目掛け放たれた一撃が大蛇丸へと突き刺さる。
肉が貫かれ、鮮血が空を彩る。
「……残念。心臓はもう少しこっち」
右手で自らの心臓をトントンと指差し、肩口より左腕の吹き飛んだ蛇が笑う。
そして一瞬のうち、大蛇丸の首が斉藤に向かい伸びる。
キスでもするかのように近づいた、大蛇丸の白い口から、黒い霧が吐き出された。
(―――毒かッ!)
気付き、斉藤は咄嗟に息を止めるが。止めきれない黒い靄が僅かに肺に流れ込む。
「ゲホッ……ゲホッ……!!」
激しく咳き込む斉藤は、たららを踏みその場に倒れこむ。
「さようなら狼。なかなか面白かったわ」
そこに振り下ろされる止めの一撃。
避けようもないその一撃を前に、毒を吐き出し息を整えた斉藤は、大きく溜息をつき。
「…………阿呆が」
「……!!」
後方の殺気に気付き、咄嗟に大蛇丸が振り向くも、遅い。
放たれる槍撃。
避けきれず二の腕に槍が突き刺さり、右腕が宙を舞った。
「チィ……ッ!」
両腕をなくした蛇は逃げるように距離をとる。
「やっぱり、旦那一人置いて逃げるなんて出来ませんぜ」
そう言い、倒れこむ斉藤に手を差し伸べるのは、もう一匹の狼、沖田総悟。
- 363 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:10:47 ID:6qGynEV+0
- その手を見つめ斉藤は思う。
―――結局、戻ってきたか。
半日程度の短い付き合いながら、沖田がどういう人間なのかは理解していた。
冷酷な最善よりも、義に溢れる愚を選ぶ。
コイツはやはりそういう人間だった。
死を覚悟して戻ってきた者に言うことは無い。
これ以上の言葉は、侮辱以外の何物にもならないだろう。
「ふん……。好きにしろ」
それだけを言い、斉藤はその手を取り、身を起す。
「さて。追い詰めたぜィ大蛇丸。観念しやがれ」
斉藤を立たせ終え、沖田は両腕をなくした蛇に槍を向ける。
「たしかに。これじゃ印も作れないわね」
言葉とは裏腹に蛇は余裕の笑み。
大蛇丸の口が異常なまでに開かれる。
その内から這い出したる腕が二本。
古い体を脱ぎ捨てるかのように、大蛇丸が生まれ変わる。
その様は脱皮する蛇が如く。
「……ゲッ。生えた。コイツ本物の化物だ。
旦那。やっぱり逃げちゃダメですかィ?」
「ド阿呆。剣を構えたい、手を貸せ」
毒の影響か斉藤の右腕に握力は殆どない。
これでは牙突を放つどころか、剣を握ることも叶わない。
沖田は自分の衣服を破り、それを右腕に巻きつけ無理やり剣を固定させようと試みる。
斉藤の右腕に衣服をまきつけながら、沖田はチラリと蛇の様子を伺う。
すると、爬虫類の目と視線が触れた。
- 364 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:13:05 ID:6qGynEV+0
- 「いいわよ。待っててあげる。早くしなさい」
蛇は余裕の笑み。
見世物を見物でもするかの如く、その姿を見送る。
「…………旦那」
「……かまわん続けろ」
右腕を沖田に任せ、斉藤は大蛇丸を睨む。
先ほどから、この蛇は完全にこちらを嘗めきっている。
突くべき隙はそこにある。
壬生の狼を嘗めた罪は高くつく。
そのことをその身をもって教えてやろう。
「……よし」
固定された右腕を見つめ斉藤が呟く。
「終わったの? じゃあ―――来なさい」
その様子を見ていた大蛇丸が両手を僅かに広げ、受け入れる意志を示す。
二匹の壬生狼は左右に並び構えを取る
斉藤は変わらず牙突の構え。
沖田も槍を掲げ突きの構え。
並ぶ二匹の狼が蛇を射殺すべく牙を剥いた。
「あっしが旦那の盾になりまさぁ。だから旦那はただ思い切り全力で突いて下さい」
「下らんことは考えるな。オマエも攻撃のみを考えろ」
交わす言葉はそれだけ。
それに続く言葉はなく、無言のまま睨みあう蛇と壬生狼の殺気がぶつかり合い空気が歪む。
風が止んだ。
- 365 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:15:18 ID:6qGynEV+0
- それも一瞬。横合いから突風が吹き付ける。
それを合図に、二匹の狼が同時に地を蹴った。
答える蛇は高速で印を作り上げる。
蛇の胸元が風船のように膨らむ。
その膨らみは喉を伝い頬へ、口へと辿り解放を得る。
「―――火遁・龍火の術」
炎吐き出す蛇の姿は火龍が如く。
吐き出される炎は半端な量では無い。
視界を完全に覆い隠す赤い壁、逃げ場など見つけようも無い。
その火力は先を打って放たれた、鳳仙火の術の比ではない。
その火力の前には、火に入る虫は焼き尽くされ。人の命は燃え尽きる。
まさに地獄の業火。
―――しかし、壬生の狼の魂を燃やすには、温過ぎる。
- 366 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:18:05 ID:6qGynEV+0
- 炎の内より陽炎が揺れる。
その陽炎も炎も食い破り一匹の壬生狼がその内より飛び出した。
業火より表れたる狼の名は真選組隊長、沖田総悟。
大蛇の喉笛を食い千切らんと、炎を切り裂き槍を走らす。
「―――悪」
炎を切り裂くは信念の槍。
巨悪を討つも信念の槍。
槍に乗せるは同じ壬生狼より受け継ぎし信念。
「―――即」
貫く信念は一つ。
その迷いも曇りもない信念は、真っ直ぐに走る槍の軌跡に似ていた。
「――――――斬」
―――真っ直ぐに突き出された槍が、大蛇丸の左胸に突き刺さった。
- 367 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:20:16 ID:6qGynEV+0
- 突き刺した槍もそのままに、沖田はすぐさま斉藤の下に駆けつけた。
その場で倒れこむ斉藤の傷は酷い。
全身が火傷にただれ、もはやその命は長くないことは誰の目にも明白であった。
「旦那……どうして……」
あの時。迫り来る業火の中。
毒を吸い、足の折れていたはずの斉藤の体が、沖田よりも早く前に出た。
それは、まるで自分を庇うかのように。
「そりゃないですぜ旦那……ありゃ俺の役目だ……」
「……俺には、既にヤツを討つだけの力が残っていなかった。それだけのことだ」
そう言って斉藤は、いつも胸元に入れているタバコを探そうとするが。
それは主催者に没収されていたことに気付いて、手を動かすのを止めた。
「…………冷えてきたな」
自分の中の体温がなくなっていくのがわかる。
斉藤は知っている。
これは幕末に幾度か感じた、死の気配だ。
「なに言ってんですか旦那。まだ日中ですぜィ」
その言葉の意味がわかっているのかいないのか。
沖田はいつも通りの調子で返す。
「ふん…………阿呆……が」
だから、自分もいつも通り返した。
- 368 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:22:24 ID:6qGynEV+0
- さて、これから行く先に局長や総司はいるだろうか?
それならば、そこに行くのも悪くはないだろう。
そう思い、斉藤は目を瞑った。
そして、その目蓋は二度と開かれることはなかった。
突風が吹いた。
沖田にはそれが斉藤を仲間の下へ運ぶ物に思えた。
物言わぬ斉藤を見つめていた沖田は、静かに斉藤の右腕から魔槍の剣を抜きとった。
「じゃあ、斉藤の旦那。俺はそろそろ行きまさぁ」
別れの言葉。
それを残し、沖田は立ち上がりその場を立ち去ろうとした、が。
「―――今のは本当に危なかったわ」
暗く陰湿な声が、絶望と共に沖田の耳に届いた。
- 369 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:24:37 ID:6qGynEV+0
- 大蛇丸の体に突き刺さった槍が揺れる。
そして、胸に刺さった槍が勢いよく弾き出され宙に待った。
カラン、と渇いた音を立て槍が地面に落ちる。
ゆっくりと、怠慢な動きで蛇が上半身を起す。
「惜しかったわね。あと一歩踏み込んでたら、心臓に届いてたわよ」
クククと喉を鳴らしながら、蛇が穴の開いた胸を指差す。
使い慣れぬ槍故か。それとも業火を潜った火傷の影響か。
なんにせよ、沖田の槍はその心臓に届かなかったのだ。
「あら。そっちの男は死んだの? バカね。満足そうな顔しちゃって。
私を倒したなんて勘違いしちゃって。偽りの達成感に浸って死ぬなんて―――」
見下すような笑みを浮かべ語る蛇を前に。
沖田は奥歯が砕けるほど歯を噛み締める。
「―――滑稽ね」
その一言に沖田の理性が切れた。
「テェェメェェェエエエエエ!!」
叫びを上げ、剣を片手に沖田は駆ける。
怒りのまま突き出された剣が大蛇丸に突き刺さる。
「―――残念」
煙のように掻き消える蛇の像。
同時に背後に纏わり付くような声と殺気。
咄嗟に沖田が振り向くより一手早く、伸びる蛇の舌が沖田の心臓を貫いた。
「ち……く……しょう………」
倒れる沖田の目に涙が浮かぶ。
自分が殺されることよりも、侮辱された仲間の仇を討てなかった事が悲しかった。
- 370 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:26:50 ID:6qGynEV+0
- 倒れる沖田を見つめ、血塗れた舌をなめずり蛇は笑う。
「言ったでしょ。貴方じゃ私を殺せないって」
言って、勝利に酔い、蛇は自らのために笑う。
蛇の高笑いが辺りに響いた。
滑稽な狼を笑いつくした大蛇丸は、現状を確認する。
「少しチャクラを使いすぎたわね……」
高等忍法の多用に脱皮まで使用した。
それでも本来ならばまだ余力はある筈なのだが……。
どうも、この舞台ではチャクラの消費量が大きいようだ。
残されたチャクラは底をつきかけている。
―――やはり協力者が必要。
消耗したこの状況で強者と出会えばひとたまりもない。
チャクラの消費のしやすいこの空間では、互いに利用し合う相手が必要だ
そして真っ先に浮かぶ相手は、やはりあの男―――。
―――藍染惣右介。
探してみるのもいいだろう。
「その前に、少しどこかで休もうかしら」
そう呟き、荷物を奪い去り蛇はその場から立ち去った。
残されるは朽ち果てた二匹の狼。
蛇に飲まれし信念はここで朽ち果てる。
三度、突風が吹いた。
風を切る音は、遠く響く狼の遠吠えに似ていた。
- 371 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:29:09 ID:6qGynEV+0
- 【大阪府市街地/1日目・午後】
【大蛇丸@NARUTO】
[状態]:左胸に穴。チャクラ消耗大。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式三個(一食分消費) 岩鉄斬剣@幽遊白書 魔槍の剣@ダイの大冒険 魔槍@ダイの大冒険
[思考]:1.チャクラを回復させる。
2.まず大阪、その後東へ移動しながら他の参加者(できれば弱い相手)からアイテムや情報を入手。
3.多くの人間のデータを集め、場合によっては誰かと共闘する。(藍染惣右介を優先)
4.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする。候補としてダイを考えている。
【斉藤一@るろうに剣心 死亡確認】
【沖田総悟@銀魂 死亡確認】
【残り90人】
※鎧の魔槍の鎧部分は沖田が装備したまま放置されています。
- 372 :壬生狼の信念 ◆Wf0eUCE.vg :2006/02/05(日) 01:49:05 ID:6qGynEV+0
- >>371を修正。
【大阪府市街地/1日目・午後】
【大蛇丸@NARUTO】
[状態]:左胸に穴。チャクラ消耗大。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式三個(一食分消費) 岩鉄斬剣@幽遊白書 魔槍の剣@ダイの大冒険 魔槍@ダイの大冒険
[思考]:1.チャクラを回復させる。
2.まず大阪、その後東へ移動しながら他の参加者(できれば弱い相手)からアイテムや情報を入手。
3.多くの人間のデータを集め、場合によっては誰かと共闘する。(藍染惣右介を優先)
4.生き残り、自分以外の最後まで残ったものを新しい依り代とする。候補としてダイを考えている。
【斉藤一@るろうに剣心 死亡確認】
【沖田総悟@銀魂 死亡確認】
【残り91人】
※鎧の魔槍の鎧部分は沖田が装備したまま放置されています。
- 373 :関西クエスト ◆XksB4AwhxU :2006/02/05(日) 02:23:23 ID:kZCzXj980
- 修正をお願いします。
>>306
婦人警官の襲撃から約2時間。越前は決死の思いで自転車を漕ぎ続けている。
>婦人警官の襲撃から1時間弱は経っただろうか、越前は決死の思いで自転車を漕ぎ続けている。
>>307
ここから近い明神高速道路を使い自転車でとばせば一時間ほどで滋賀に着くが
>ここから近い明神高速道路を使い自転車でとばせば20分ほどで滋賀に着くが
>>308
6時間死者が出なければ首輪は爆破される
>24時間死者が出なければ首輪は爆破される
>>312
いっそ迎えに行った方に
>いっそ迎えに行った方が
- 374 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:36:26 ID:7Defql/jO
- …わたしは…何故…こんな処にいるのだろう。
毎日毎日学校へ行き、友達と昨夜のテレビ番組の事とかくだらない話で盛り上がって。
あくびをしながら授業受けて。
大好きな男の子の後ろ姿を見つけては、はしゃいで駆け寄り。
家に帰れば家族が居て、一緒に晩ご飯を食べて。
たわいもないけど、かけがえの無い…楽しかった日常。
もう――戻れないの?
もう――会えないのかな?
家族にも、友達にも、先生にも、それと…
「いや…助け…て…来ないで…!」
「ククク、怖がらなくてもいいぜ。この世界で記念すべき俺様のハーレム入り第一号なんだからな。光栄に思え!」
「やだ…嫌…!」
- 375 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:38:03 ID:7Defql/jO
-
草木生い茂る傾斜面。
邪さを露骨に現すようなニヤニヤとした笑みを浮かべながら怯えきって憔悴している女性――北大路さつきにゆっくり歩み寄る筋肉質の大男、ダークシュナイダー。
さつきにはもはや相手の言葉も耳に入らず、後ずさるようにじりじりと後ろに下がりながら必死の形相で許しを乞い続ける。
「ククク…なかなかいい体してるじゃねーか。これから毎日俺様が可愛がってやるよ…」
「ヒッ!?いや…!来ないで…殺さないで…!助けて…防人さん…真中ぁ…!」
じりじりと近寄っていくD・Sだが、さつきのその小さな声を聞いてピクッと眉を寄せて不機嫌そうに足を止める。
「…まさか、お前の男の名前か?」
「ヒッ…!?」
ギロリと睨みつけるような鋭い眼差しをさつきに向け、それを向けられたさつきは蛇に睨まれたカエルのように体を硬直させて小さく体を震わす。
「……フン、まあいい。んなやつらの事なんざ俺様が忘れらせてやるからな。クックック…!」
そう言って口の端を小さく上げ、暗い微笑みを浮かべると…近寄る足の速さを少し上げて一気にさつきの至近距離へと迫る。
「あ…あ…!?(もうダメ…!私…ここで…殺さ…れちゃう…?もう…会えないの?…真中…!!!)」
- 376 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:39:11 ID:7Defql/jO
-
眼前に迫る、伸ばされた恐怖の魔手…!
「嫌あああああああああぁっっっ!!!!!」
「ウオッ!?どわああッ!!!?」
突然さつきが髪を振り乱し悲鳴を叫んでD・Sに捨て身の体当たりをぶつける。
ふいにそれを胸に受け、体勢を崩された拍子に足をもつれさせられ後ろの下り勾配に倒れて枯れ葉を巻き上げながらゴロゴロと転げ落ちていく。
体当たりを仕掛けた当のさつきは緊張が限界に達してしまったのか、そのまま崩れるようにひざを突き倒れ込み…意識を手放してしまう――
――暗闇…静寂。
しかし、そこでは恐怖や孤独は何故か感じない。
そこにはすぐ隣に静かに存在する、頼れる大きな存在――
- 377 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:42:42 ID:7Defql/jO
-
「…ねえ、防人さん。そのカズキ君って…どんな人なの?」
「ん?そうだな……」
「カッコいい?」
「む……まあ、一部には大人気だ。…いつも戦いの事しか頭に無い若い女性(某練金の戦士さん)が唯一彼にだけは心を開いていたり…」
「へぇ…」
「…ストーカーまがいの者(某ホムンクルスさん)から執拗に狙われていたり…」
「…そうなんだ。モテモテなのね。フフ…」
「……(モテモテ…とは違うような気もするが)」
「……ね、防人さん…」
「ん?」
「………防人さんって、なんで強いの?」
「…?どういう意味だ?」
「ん……ちょっと言い方が違ったかな。…なんで…今みたいに強くなろうと思ったの?すごく大変な訓練とかたくさんしてきたんでしょ?」
「…うーむ……一言では説明しづらいな。簡単に言うなら…『信念』があったからだ」
「…信念?」
「そうだ。自分の信じる正義のため、大切なものを護るため。…さつきにもあるだろう?かけがえのない、たくさんの大切なものが」
「……うん。あるわ…」
「……なら、さつきも強くなれるさ。体の強さじゃない、心の…魂の強さだ」
「………」
- 378 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:44:39 ID:7Defql/jO
-
「…さつきが…君が、強くなるんだ。こんな事態だからこそだ。…信じれば、必ず願いは叶う。友達にも必ず生きて会えるさ…」
「………うん……」
「……銃や刃物で簡単に得られる強さなんて必要無いんだ。さつきみたいな女性なら…『それ』を身に着けている方がよっぽどいい。あの主催者共は絶対に許せない奴らだが、それを君の支給品にした事だけは…評価出来る」
「え!?でもさすがにこれは……大ハズレでしょ?」
「フ…ほら、少しじっとしてるんだ」
「……え?あ…」
「………ほら、これでいい」
「………あり…がと…防人さん…」
「女性には女性にしか得られない種類の強さもある。それを忘れないように…な」
「……うん」
「……さ、今の内に少し眠っておくんだ。朝からはたくさん歩くんだからな…」
「ええ、ありがとう…防人さん。おやすみ…なさい」
――瞳をゆっくり開き、目を覚ます。
まだあれから一日も経っていないのに…もう遙か昔の出来事だったような、そんな懐かしい夢。
- 379 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:47:04 ID:7Defql/jO
-
「…私…」
気を失っていた時間は一分にも満たない。
しかし、頬には一筋の――涙の跡。
「……防…人…さん…!」
蘇る防人の姿。
優しい笑顔、力強い声、戦う姿…
…そんな彼の、首が胴から斬り落とされる姿――
「嫌っ!!!い…やぁ…!!」
震え出す体。
(私……強くなんて……なれない!防人さん…っ!!!)
全てから逃げ出したいような衝動に駆られながら頭を両手で抱え、うつむいて涙をはらはらとこぼす。
涙の粒が、身に纏う上着に小さく染みを落とす。その指に触れる、小さな髪留め。
- 380 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:49:32 ID:7Defql/jO
-
「防人、さん…う……ウァ…!」
ブラボーに付けてもらったその可愛らしい小さな髪留めを髪からそっと抜いて…祈るように両手で握りしめて嗚咽を漏らす。
ズサ…ザッ…ザッ…ザッ…!
「!?ヒ…ッ!!?」
前方の坂の下から獣のような力強い足音が徐々に近付いてくる。
恐怖に体をビクリと震わせ、顔を青ざめさせる。
(…殺…され…る?私……真中に…会えない…まま…?)
――強くなれ…さつき――
「…無理…!」
(ここで…死ぬのよ…)
――本当に…それで…いいのか?…大切なものが…あったんじゃ…ないのか…?――
- 381 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:54:17 ID:7Defql/jO
-
(大切な…もの…?)
――願いは…強く願えば…必ず、叶う…!――
(防…人…さん)
――言え…君が…願うことは…護りたいものは…何だ?――
「…………会い…たい……友達に…みんなに……いつもの……みんな…に…!」
……なあ、さつき?俺たちってなんでこんなに気が合うんだろうな?
ハハ、俺たち…ずっと親友だよな?
…学校卒業したって、違う町に引っ越したって…たとえもしそれが違う国同士なくらい離れてたとしても、ずっと…友達でいような…!
「……真中……真中に……会いた…い…よぉ…ッ!!!」
- 382 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:57:00 ID:7Defql/jO
-
ただ強く願うは、その儚い願い。ギュッと強く閉じられた瞳からこぼれた大きな一粒の涙の粒が舞い…握りしめる両手の上に落ちて、弾ける――
パ キ ン…!
「……え……?」
さつきを中心として、一陣の…穏やかな風が起こる。それは奇跡か、はたまた神のいたずらか。
「…やっと、出てこれたぁーっ!!」
「リリィ!はしゃいでる場合じゃないです!」
幻聴?いや、はっきりとさつきの耳に届いた、この場に似つかわしくない脳天気な声。
「な…何!?誰か居るの!!?」
動揺して辺りを見回し声の出元を探すさつきだが、辺りにそれらしき気配は全く無い。
- 383 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 12:59:06 ID:7Defql/jO
-
「ど…どこに…」
「ここだよ、さつきさん」
「え…!!?」
さつきの右肩にふわりと舞い降りる、羽の生えた小人のような声の主。さつきには目の前の現実が全く理解できないまま呆然とそれを見つめるのみ。
「初めまして、よろしくさつきさん」
「え……?」
「ぼくらは『盾舜六花(しゅんしゅんりっか)』。本当は違う人の能力として生まれたんだけど…」
「のんきに説明してる場合かっ!!!(ズドン!!)」
「ホブッ!!?」
「おい女っ!」
黒い羽・黒髪の小人が横からドロップキックで割り込み、さつきの眼前から睨みつける。
「は…はい?」
「元の主以外に俺たちが呼び出せた理由はよく解らねえが、どうやら出てられる時間があんまねぇ感じだ!だから説明ははしょる!とにかく『あの野郎』の相手すんのが先だ!」
激しい剣幕でまくし立てた後、その小人が指さした先には…
- 384 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:00:31 ID:7Defql/jO
-
「…いつつ…やってくれたな。ま、元気良い女ってのも俺様的には悪くねーぜ…」
「ヒッ…!」
木に手を付きながらさつきを見据えて不敵に微笑みを見せる、D・Sの姿。
「…少しお仕置きだ。超絶美形の俺様の美技を見せてやる…惚れさせてやるぜ!インテリペリッ!!」
その声と共に放たれる、無数の小さな火球。
本来ならD・Sは現在攻撃が出来ない身であるのだが、それらの火球はさつき自身は全く狙わずさつきの周囲の木々や地面だけに向けて放たれたのでいくつもの激しい爆音を立てながら木々を燃やし、枝をへし折って砕いていく。
「嫌ああッッ!!!」
「さつきさん!大丈夫!ぼくと声を合わせて!!」
小人の一人がさつきの肩口に掴まったまま、耳元で叫ぶ。
「え…!?声…!!?」
「そう!ぼくの言った通りに復唱して!」
「え…」
- 385 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:05:03 ID:7Defql/jO
-
「おらおらっ!!ダムドッ!!」
続けざまに放たれる魔術。
さつきから少し離れた真横の地面が炸裂し、砂埃が吹き付けられる。
「キャアッッ!!!」
「ビビってんじゃねえ女っ!!早く舜桜(しゅんおう)の言霊に合わせやがれ!」
「こ、コトダマッ!!?」
「心を落ち着かせて言葉を合わせて!行くよ!」
「え?え!?」
「『椿鬼』(つばき)!」
「…つ…つばき…」
「『弧天斬盾』!」
「こてん、ざんしゅん!」
「『私は』!」
「私は!」
「「『拒絶する』ッ!!」」
- 386 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:07:13 ID:7Defql/jO
-
パ ン ッ!!!
「グッ!!?なんだ…と…っ!!?」
凄まじい速さでD・Sめがけて光弾が如く飛来した黒翼の小人『椿鬼』。
完全に無抵抗とたかを括っていたさつきからの突然の謎の攻撃に回避が間に合わず、左腕に直撃を受ける。
弧天斬盾。
それは『物質の結合』を『拒絶』する技。
この技を受けたD・Sの左腕は肘上から真っ二つに切断され、切断面より血を吹き出させながら切断された腕が地面にボトリと落下する。
「ぐ…!(なんだ…今のは?魔術?…いや、あんな魔術知らねえぜ!)」
「な、何!?今の!!?」
攻撃を放った側も受けた側も驚きと戸惑いが隠せない。予想外の事態にD・Sはツウ…と汗を一筋こめかみから流し、すばやく腕を拾って間合いを離す。
(くそ!この俺様があんなひ弱そーな女からさえもこんなダメージ受けちまうなんて…!ち、癪に触るが…ひとまず退くしかねえ、か。
攻撃できねえ今の状態じゃどうしようもねえ……何とかこのワケ解らん術を解除する方法、探すしか…くそっ!)
- 387 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:10:03 ID:7Defql/jO
-
「…おい女!俺様の物になるのはもう確定してるんだ!次俺様が迎えに来るまで、よぉ〜く『わんっ!ニャ〜!(教育上不適切な発言のため自主規制)』洗って待ってるんだな!!」
身を翻し素早くその場から立ち去っていくD・S。
いまだ荒い呼吸が収まらずさつきは肩で息をしながらそれを呆然と見送った後、積もった疲労+緊張の糸が切れた事により後ろの木の幹に背を預けてズルズルと体を落としながら再び意識を手放す――
「……さつき、また気絶しちゃったね」
「ったく…織姫よりダメダメだぜ、こいつ…」
「仕方ないよ、こんな状況だから。…あ…そろそろ戻っちゃいそうだ…!」
「予想以上に早いですね。我々が織姫さんから離されてしまった事といい、織姫さんじゃない人物に我々の力が扱えた事といい、この不可思議な状況といい…一体何がどういう事なのか…」
「…とにかく、またしばらく状況を見るしかないね。黒崎一護君もここにいるみたいだし…」
「……ま、とにかく……頑張ってね……さつき…ちゃん………」
六人の小人が静かに集い、消えていく。
彼らが消え去った後のさつきの手のひらには…あの六枚の花びらが付いた髪留めが握られているだけだった――
- 388 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:13:20 ID:7Defql/jO
-
「…!」
それから数分後、さつきを追って姿を探していたその男が、気を失ったままのさつきを発見して駆け寄る。
少女の無事を確認して安堵し、その男は無言のままさつきを背に負いゆっくりと歩きだす。
(そろそろ、名古屋へ戻らねばならん頃合いか。俺は必ず……この目に映る守るべき全ての者たちを、命を賭(と)して守りきってみせる!
リン…お前を守れなかった情けない俺を許せとは言わん。だが…見ていてくれ。お前の無念も救われなかった魂も、俺はずっと背負って往く…!!)
静かに燃ゆる決意の闘志をその瞳に宿し、その漢(おとこ)ケンシロウは進み続ける。
己の守るべきものをまた一つ背に増やし、僅かな希望を絶やさぬ為に。
- 389 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:14:30 ID:7Defql/jO
- 【岐阜県/午後】
【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]健康
[道具]:荷物一式
:フェニックスの聖衣@聖闘士星矢
:さつきの荷物一式(食料一食分消費)
[思考]1:さつきを連れて、斗貴子の仲間や核鉄やダイの情報を探しながら午後六時までに名古屋城へ戻る
2:弱者を守る
3:名古屋城で斗貴子と合流不能なら東京の芝公園へ向かう
【北大路さつき@いちご100%】
[状態]:気絶
:肉体・精神的に重度の疲労
:左膝や全身各所に傷
[装備]:ブラボーの上着
:織姫の髪留め@BLEACH(しばらく召還不能)
[思考]1:気絶中
2:カズキ・斗貴子・いちごキャラを探す
3:真中淳平を守る
- 390 :神様がまいた種:2006/02/05(日) 13:15:18 ID:7Defql/jO
-
【ダーク・シュナイダー@BASTERD!】
[状態]:左腕切断
:魔力消耗
:六忘星の呪縛による攻撃封印(翌午前まで)
[装備]:ハーディス@BLACK CAT
[道具]:自分の左腕
:荷物一式(食料二人分、支給品不明)
[思考]1:攻撃封印状態をなんとかする
2:男は殺し、女はハーレムに加える
3:ゲームを脱出して主催者を殺害する
- 391 :作者の都合により名無しです:2006/02/05(日) 14:28:40 ID:MRPv/Vq90
- >>374-390は無効です。
- 392 :作者の都合により名無しです:2006/02/05(日) 16:07:54 ID:Cil7fyYf0
- >>391は先走りです
- 393 :小さな主催者:2006/02/05(日) 19:14:59 ID:1Sb8YX9E0
- 鬱蒼と茂る森の中、少しでも体力を回復、温存しようと辺りに気を配りながら藍染は目を瞑っていた。
脇腹の傷も既に痛みは消え、頭の中もクリアになってきた所だ。
暗闇の世界に浮かぶのは殺し合いに乗っていた大蛇丸、琵琶湖に人を集める為に見逃した新八とリョーマの二人組――そして忘れもしない四国で出会った太公望を中心としたグループ。
今までに起こった出来事を自然に頭に思い浮かべ、反芻していく。
見逃したことは無かったのか、あの作戦に穴は無いのか物事を一つ一つ噛み砕き確認してする。
この様な作業は別に嫌いでもない。
体力を回復させつつ、淡々と作業をこなしていく。
先程、放送が流れたが別段大した内容ではない。
特に知り合いが死んだわけでもなく、有象無象の人間達が14人ほど死んだだけだ。
ペースが落ちたらしいが、別に周りなんてどうでも良い。
しかし、何かが引っかかる。
計画にミスがあってはならない。
なに、時間はまだ沢山ある。
万全を期すためにも再度チェックをしてみることにした。
- 394 :小さな主催者:2006/02/05(日) 19:15:39 ID:1Sb8YX9E0
- 問:計画その物が成功する前提条件を全て述べよ。
1つ、集まった者の誰かがルーラかキメラの翼を持っていること。
2つ、その者が自分に協力してくれること。
そして……
「ははっ、はははは……なんでこんな事に気がつかなかったのだろう」
3つ、ルーラやキメラの翼を持った者が元の世界に帰っていないこと。
ルーラを覚えている者がいるとすれば、もうとっくに試しているだろう。
アイテムに説明書が付いているのだから、キメラの翼があたった者にも同じ事が言える。
そして4つ、首輪を何とかすること。
ルーラを覚えている者がもしまだ残っているとすれば、首輪の件を何とかしてから逃げ出そうと考えているのだろう。
下手に逃げてボカンってのは誰もが想像する事だ。
そもそもあの主催者が逃げられる技やアイテムを見逃しているとは思えない。
実験しようにも、首輪を何とかしない限りルーラを使ってくれないだろう。
「つまり、夜までに首輪もどうにかしないといけないのか――小賢しい真似を」
藍染は首輪を撫でながら頭を回転させる。
琵琶湖に集まった中に首輪をどうにか出来る奴がいれば良い。
ルーラやキメラの翼より先に探すモノが出来たという事だ。
- 395 :小さな主催者:2006/02/05(日) 19:16:30 ID:1Sb8YX9E0
- 居なかった場合も場合で集まった者を何とかする案が必要となる。
新八とリョーマの二人組でやって来るのは、脱出目的とした者たちばかりであろう。
しかも、目的が同じなので集まったら集まったらで手を組まれる可能性は高い。
逃げる手段もきちんと考えて置いたほうが得策だ。
下手に楽観視して、四国の二の舞になってしまったら目も当てられない。
「脱出目的の参加者に紛れるか……?」
脱出方法と他の世界の情報を頂く為にも、無害を装って皆で逃げるか?
「――だが、論外だ」
恐らくそれが一番楽で、一番確実な手段なのだろう。
しかし、一瞬頭に浮かべただけで即座にそれを否定した。
自分が思い描くのは皆で手と手を取り合う世界ではなく、私自身を頂点とし他を天から見下ろす世界なのだ。
藍染がその世界を想像した直後、とある顔ぶれが脳裏を過ぎった。
自分をモルモット扱いして、他を天から見下ろしている者達の顔ぶれを。
- 396 :小さな主催者:2006/02/05(日) 19:17:22 ID:1Sb8YX9E0
- 次第に再構築された計画が姿を現し始める。
最初に首輪を外せる者を募る。
外しさえ出来ればこの世界をもう少し楽しむも良し、ルーラやキメラの翼の実験をした後とっとと帰るも良し。
居なかった場合は、私自ら脱出の手段を提示する。
人間の生という束縛からの脱出の手段を……
脱出の手段と言えば全ての者の視線が集まることだろう。
そこで鏡花水月を解放するのだ。
完全催眠さえできれば後はどうにでもなる。
「――其処で殺し合いさせるってのも一興、だな」
もしかしたら、数人は鏡花水月の解放の瞬間を見ないかも知れない。
だが他の奴らを完全催眠にさせて嗾ければ良いだけの話だ。
それを私は高みの見物をしてれば良い――そう、あの忌々しい主催者のように。
大蛇丸あたりが居れば余計に面白くなりそうだ。
「そんな面白そうなイベントになるなら、もっと多くの参加者がいた方が楽しめる。あの二人だけに任せておくのは勿体ない」
人が集まれば首輪の解除の可能性も更に増してくる。
殺し合いの場合は終わった後、最後に生き残った奴さえ倒せばアイテムを大量に回収する事も出来る。
相手に出来ない奴が残った場合はそれこそ逃げれば良いだけの話だ。
どちらに転んでも都合が良い。
藍染は長らく瞑っていた瞼を開くと立ち上がった。
もう何かが引っかかっていた感触は無くなっていた。
- 397 :小さな主催者:2006/02/05(日) 19:21:00 ID:1Sb8YX9E0
- 【京都―兵庫の県境/1日目・日中】
【藍染惣右介@ブリーチ】
状態:骨一本にひび・軽度の疲労(戦闘に軽い支障あり)
装備:雪走り@ワンピース・斬魄刀@ブリーチ
道具:荷物一式(食料二人分 1/8消費)・盤古幡@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
思考:1 琵琶湖に人を集める
2 琵琶湖へ向かう
3 計画の実行
- 398 :小さな主催者@修正:2006/02/05(日) 20:17:34 ID:1Sb8YX9E0
- 以下2ヶ所修正させてください
>>393
>――そして忘れもしない四国で出会った太公望を中心としたグループ。
――そして忘れもしない岡山で出会った太公望を中心としたグループ。
>>395
>下手に楽観視して、四国の二の舞になってしまったら目も当てられない。
下手に楽観視して、岡山での二の舞になってしまったら目も当てられない。
- 399 :宿命と血統 ◆T2s.vWnHb6 :2006/02/05(日) 22:00:46 ID:eyHfeGcc0
- さやさやと水の流れる音。穏やかなとき。
高く昇った太陽の輝き。光を受けて煌く川辺。或いは万華鏡のように。
川辺には三つの影が伸びていた。どれもがしなやかに丸みを帯びたスタイル。女性達の影。
「マァムさん、大丈夫でしょうか……」
不安げな面持ちで、西野つかさが言葉を漏らした。淡く透き通る金色の髪の、年若い少女。
「命に関わる怪我ではないわ。今は、休息が必要なだけ」
素っ気無く必要なことだけを伝えるように、傍らの女性が答える。
リサリサ―― エリザベス・ジョースター。
一見冷徹に見えるこの態度も、別に本当に冷たいわけじゃあなくて、彼女の特徴なのだな、と西野は理解し始めていた。
リサリサは余計なことは、口にしない。不要と必要を、的確に判断出来るひと。
鉄面皮に見える綺麗な顔の奥には、炎のような激しさと、そして温もりとを秘めている。優しいひと。
「けれど、いつまでもここに居続けるわけにも行かないわね。
二時まで様子を見て、其れでもマァムが目覚めなければ、一度場所を変えましょう」
今後の方針。びッと鋭い眼差し。空気が裂けちゃいそう。
この世界は怖いものに溢れている。徘徊する人殺し。人を殺したくなるほどの殺意。外と内の悪魔。
そんな中でも迷うことのないリサリサの存在は、正直頼もしくある。
流川が死んでから、数時間。悪夢の放送。或いは、希望の放送。西野の友達は、誰一人欠けていなかった。
人の死に直面してから直ぐに立ち直れる程に西野つかさは、強くはないけれど。
俯いた彼女の手の中には、六角の銀色の輝きがある。流川楓が残したもの。彼の、支給品。
手鏡のようにキラキラとした銀盤に僅かに映る、少女の面立ち。今は、笑えない自分。
少しずつ、少しずつ、少しずつ。元の自分のペースを取り戻そうと。健気に、微笑もうとする。
============================================================================
- 400 :宿命と血統 ◆T2s.vWnHb6 :2006/02/05(日) 22:02:10 ID:eyHfeGcc0
- 襲撃者を追う事を諦めたのは、第一に負傷したマァムのことがあったからだ。
火炎放射器のような武器による軽度の火傷。楓が身を挺して庇ってくれたとは言え、ほぼ全身を覆う。
応急処置を施すために、即座に川へと向かった。公園の水道は、蛇口を捻るだけ無駄だったから。
水場はこの種ゲームにおいて、可能なら立ち寄るべきでない場所であるが、場合が場合だ。止むを得なかった。
迅速な判断が功を奏したのか、或いはもともとの彼女の身体機能の高さのためか、マァムは一命を取り留めた。
流川楓の魂が、彼女の命の灯火が費えるのを、よしとしなかったのかもしれない。
唯、ショックで意識を失ったまま、マァムは目を覚まさなかった―― 自然、彼女の目覚めを待つことに、なる。
二度目の放送。
死を確認した楓以外に、知った名前は呼ばれなかった。つかさも何処か、安堵した表情。
リサリサにとっては当然だ。
身の回りでこのゲーム呼ばれたのはリサリサ本人だけ。名簿に存在しない名前が呼ばれる筈もない。
――――けれど、名簿。載っていた気になる名前。ないわけではない。
一つだけ、あるにはある。
「DIO……」
遥か昔に先祖と共に滅びた筈の、吸血鬼の名。ディオ・ブランドー。人類を超越した男。
名簿に記されたアルファベットの綴りの並びは、偶然なのか、自分の良く知る男の名と一致している。
最初から、考えていた事ではある。
何故、自分はこのゲームに参加させられたのか。何故、自分なのか。
名簿の名が、かの吸血鬼の名と同一のものを示すのならば、理由は自ずと導かれる。
――――即ち、因縁、だ。
戦わせるために人を集めたと主催者は言った。見知らぬもの同士では、戦う理由に乏しい。
彼方此方にばら撒かれた因縁は、『火種』だ。殺戮ゲームの火種。
互いに殺し殺され合わねばならぬ組を混ぜる事で、ゲームを円滑に執り行う。
主催者の目的をそう仮定すれば辻褄が合う。
- 401 :宿命と血統 ◆T2s.vWnHb6 :2006/02/05(日) 22:03:49 ID:eyHfeGcc0
- この『DIO』も恐らくは、本人。リサリサの知るDIO。恐るべき怪物であるDIO。
如何なる魔術、秘儀の類を用いて海底の吸血鬼を呼び起こしたかは想像することさえ難しいが、
『DIO』が凶暴性を備えた吸血鬼であるとしたら、このゲームに於ける最も危険な人物の一人になる。
そしてヤツを殺せるのは――、私だけ。誇り高き波紋使いの一族である、私だけなのだ。
主催者の目論見通りであることは理解している。けれど、見過ごすわけにはいかなかった。
何故ならば、リサリサの、エリザベス・ジョースターの夫を殺害したのは――――。
「………ッ」
思わぬ感情の昂ぶりを感じ、小さく溜息を息を吐く。
名簿に載った自らの名。リサリサ――『リサリサ』 "エリザベス・ジョースターではなかった"。
如何いう理由かは判らないが、名を隠してる参加者の本名は、隠されると言ったルールがあるのかもしれなかった。
これならばDIOは自分のことに気付いてはいないだろう。
憎き波紋使いの一族が、常に彼の歴史に牙を剥くジョースターの一族が、参加していることを知らぬままだろう。
放送ではDIOの名は呼ばれなかった。彼は吸血鬼。日の光の差す日中は活動不可能。何処かに篭ってることになる。
夜になる前にDIOを探し出す事ができれば――。
- 402 :宿命と血統 ◆T2s.vWnHb6 :2006/02/05(日) 22:04:34 ID:eyHfeGcc0
- 「マァムさん、大丈夫でしょうか……」
不安そうな顔をして、つかさが話し掛けて来る。我に返って二言三言、言葉を返した。
――何を考えていたのだろう、私は。
負傷したマァムを、戦闘能力のないつかさを、残して行ける筈がないのに。
対処すべき敵はDIOだけではない。着実に増加する死者の数は、如実にその事を物語っていた。
瞳を伏せるたリサリサの長い髪を風が攫っていく。冷静さを失っては、いけない。焦っては、いけない。
元気を取り戻したように見えるとは言え、つかさは心に深い暗闇を孕んでいる。放っては、行けない。
「……大丈夫」
DIOを探すのは、後回しだ。彼女らを放ってはおけない。
せめてマァムが目覚めるまでは守ってあげなければ、ならない。
膝を抱え込むように座り込んだ西野を背中から抱きしめて。
因縁も宿命をも忘れて。今はただ、腕の中の少女の震えを止めてあげたいと、リサリサは想った。
- 403 :宿命と血統 ◆T2s.vWnHb6 :2006/02/05(日) 22:06:44 ID:eyHfeGcc0
- 【愛知県、川辺/日中〜午後】
【マァム@ダイの大冒険】
[状態]:全身各所に火傷・気絶・応急処置した
[装備]アバンのしるし@ダイの大冒険
[道具]荷物一式
[思考]1:気絶中
2:名古屋へ向かう
3:協力者との合流(ダイ・ポップを優先)
【リサリサ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]健康
[装備]三味線糸
[道具]荷物一式
[思考]1:マァムの回復を待つ
2:名古屋へ向かう
3:協力者との合流
【西野つかさ@いちご100%】
[状態]:ショック状態
:移動による疲労
[装備]天候棒(クリマタクト)@ワンピース
[道具]荷物一式/(核鉄ナンバーは不明・流川の支給品)
[思考]1:ショック状態
2:名古屋へ向かう
3:協力者との合流(真中・東城・北大路を優先)
- 404 :さっちゃんメール:2006/02/05(日) 22:34:00 ID:5eVJcIvB0
- 『さっちゃんはね、さちこってゆーんだほんとはね。だけどちっちゃいからじぶんのことさっちゃんって呼ぶんだよ。おかしいね、さっちゃん。』
さてこの歌は、皆さんご存じ[さっちゃん]です。
この歌は3番までの歌として知られていますが実は4番があるのです。
その歌詞は‥‥『さっちゃんはね、ふみきりで足をなくしたよ。だからおまえの足をもらいにいくよ。今夜だよ、さっちゃん。』というものです。
これは、北海道の室蘭という所で本当に起こった事件をもとにした歌だそうです。
その事件とは、とても寒く雪の降る夜におこりました。
下校途中の桐谷佐知子ちゃん(14歳)は踏切で遮断機が降りてきていたので急いでわたりきろうと思い走りました。
しかし、雪で線路のみぞがかくれていたため足がみぞにはまり、足をくじいてしまいました。
彼女は必死で逃げようとしましたがよけきれず電車に引かれてしまいました。
体は胴のあたりでちょうどきれいにまっぷたつになりふつうなら即死でした。
しかしあまりの寒さで血管が一時的に固まったため、即死ではなく数分だけ苦しみながら生き続けることができました。
彼女は腕を立ててはうように踏切の外にでました。
意識が無くなっていくなかで最後まで苦しんで彼女は息をひきとりました。
そして彼女は死ぬ寸前までばらばらになった自分の下半身を探していたそうです‥‥。
そして数年がたちました。
当時のクラスメートの男子があの歌をおもしろがって作りました。
女子は、すごく怒ってやめさせましたが男子はそれを聞かず歌をどんどんひろめました。
しかしその3日後男子二人は、足のない死体となって発見されました‥‥‥。
さてあなたもメールをよんだからにはただではすみません。
3時間以内に5人の人にこのスレをコピペください。
最近いたずらメールがはやってますがこのメールはまじでやばいです。
だから強制はしませんがなるべく回していってください。
ニ度三度と回って来た場合は、もう佐知子さんにたいしては供養(メールを回せば供養になる)をしたことになるので大丈夫です。
あしたあなたの足が無事でありますように‥‥。
私の足無いのあなたの、ちょうだい?
- 405 : ◆Oz/IrSKs9w :2006/02/05(日) 22:37:00 ID:7Defql/jO
- >>374-390の「神様がまいた種」は無効です。
- 406 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:15:51 ID:FHXV9ZVn0
- 姉崎まもりは、大阪の民家でその身を休めていた。
疲れの残る頭で考えるのは、セナ、そして冴子のこと。
――第二放送、セナの名前、呼ばれてなかった――よかった。
――冴子さんも。あの二人、ちゃんと殺せたかな?
頭が痛い。お腹が痛い。そういえば少しお腹もすいた。
軋む身体に鞭をいれ、まもりは食事を取る。
ひたすらに、今後の活動のための栄養を摂取する。
次……次もまた、しっかり殺せるように。
まもりの脳内は、セナの生存しか考えられなくなっていた。
言い換えれば、セナ以外の人間の抹殺しか。
そのために、自分ができること。
殺して、殺して、ころして、ころして、ころして、ころして、ころして、うっ。
(ちょっと……気分悪いかな……)
外の空気でも吸おう、とまもりは民家から顔を出す。
そして、見てしまった。
大阪を歩く、一人の少年を。
新たなる、獲物を。
「そうだよね。休んでなんかいられない……」
セナのために――
- 407 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:16:37 ID:FHXV9ZVn0
- その存在に、キルア・ゾルディックは気づいていた。
自分に向けて発せられる、がむしゃらな殺気。
殺人狂が放つのと、なんら変わりない殺気。
違ったのは、質。
(こりゃ明らかに素人だな。今からおまえを殺すって言ってるようなもんだぜ)
暗殺一家の三男として生まれ、幼い頃から多くの殺し屋と触れ合ってきたキルア。
むき出しの殺気、しかもそれが自分に向けられたものとあらば、放っている敵の力量くらい簡単に分かる。
殺人狂の中には、わざと殺気をむき出しにして相手に恐怖を与える悪趣味な輩もいるが……これは違う。明らかな素人。
殺人ゲームという極限状態に置かれ、他の参加者を見つけた――殺さなければ。
という思考に追いやられている、弱いヤツだ。
だから、キルアは突然現れた少女にも警戒心を解くことはなかった。
ただでさえ用心深いキルアが、見た目で騙せるはずもなく――
- 408 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:17:20 ID:FHXV9ZVn0
- 「あ、あの……」
「誰あんた? オレになんか用?」
元殺し屋であるキルア。
このゲーム内で殺人狂となったまもり。
殺意持つ者とその内を知る者、二人の遭遇。
「怪しい者ではないんです。さっきまで怖い人に追われてて、ここまで逃げ――!?」
まもりの化けの皮は、三秒もかからぬうちに破れた。
突然ふさがれた口。言葉がうまく発せない。
なにが起きたかと思ったら、いつの間にか目の前の少年が自分の眼前に。
その瞳に殺意を漲らせ、自分の首を掴んでいる。とんでもない早業。
まもりは瞬間的に理解した。
この少年は――ヤバイ。
- 409 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:18:02 ID:FHXV9ZVn0
- 「下手な演技やめれば? あんた、オレを殺す気まんまんって感じだぜ」
「っな……!? そっ、……んなぁ……」
まもりは、首を鷲掴みにされうまく喋れない。
どうしてばれたのか?
まだ自分は武器も見せていないし、ほとんどなにも喋っていないのに。
なぜ、なぜこんな少年に!?
まもりは不測の事態に動揺するばかりだった。
作戦の失敗のこともあるが、それが招いた今の状況……少年の尋常ではない力。
このままでは危ない……自分の命が!
「くっ……あぁっ!!」
首の締め付けが強くなる。
相手が女性だから、という手加減の意思は、キルアには全くない。
こんな殺人ゲームに乗る気はないが、相手がこちらを狙ってくるのなら、それ相応の対応をするまで。
そう。それは、暗殺家業を廃業した時からも、ゴンと友達になった時からも、変わらなかったはずの防衛本能。
「あんた、このゲームに乗ってるのか? 本当にこの世界で全員殺して生き残れるとでも?」
「ち……がうっ」
「はっ、なにが違うってんだよ。今だって俺を殺そうとしてたんだろ?」
「わた……しが、ころ……すのは、せ……セナの、……セナのためっ!」
- 410 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:18:55 ID:FHXV9ZVn0
- 追い詰められたまもりが発した、精一杯の言葉。
しかし、それはキルアにとって思わぬ足かせとなった。
「セナのため……? あんたまさか、他の参加者を助けるためにオレを襲ったのか!?」
「そう……よ。私は……セナ以外の参加者を、殺して……最後に、自分も死ん、で……セナを助ける!」
たった一人、大切な人を生かすために、他者を、そして自分をも犠牲にする。
まもりの言葉の意味を理解した時、キルアに生まれたのは、一瞬の油断。
「本気かよ……!」
「そうよ、本気よ!」
首の締め付けが甘くなった一瞬の隙を突いて、まもりが攻めに出た。
キルアの手はまだ自分の首にあったが、腕さえ動かせれば攻撃できる。
まもりは咄嗟にポケットにしまっていたナイフを取り出す。
秒数にしてわずか一。
暗殺のノウハウを知るキルアをも感嘆させるスピードで、まもりはキルアの腕目掛けて切りかかる。
しかし、それはあくまで『常人としては感嘆するスピード』。
真の殺し屋であるキルアにそんな苦し紛れの攻撃が通用するわけもなく――
「あっ!」
ベンズナイフの一撃はキルア腕に掠っただけで終わり、致命的なダメージを与える間もなく払い落とされた。
が、確かに掠った。
この確かな一掠り。それだけで、まもりは勝利を確信した。
- 411 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:21:33 ID:FHXV9ZVn0
- 「あ……ぐぅっ!?」
ナイフが払い落とされ、まもりは首を掴まれた状態から大きく投げ飛ばされた。
視界が回転し、地面に叩きつけられる。
その衝撃が痛みに変わり、すでにボロボロの少女をさらに痛めつける。
「うぇ、げほっ! ……ごほっ!」
痛みを訴える身体。苦しみを訴える喉。
辛かったが、もう心配はいらない。
自分をこんなに傷つけた少年は、もうじき死ぬ。
もうちょっとしたら効いて来るはず。
中期型ベンズナイフの、鯨でも0.1mgで動けなくする毒が――
「言っておくけど、毒の効果を期待しているのなら無駄だぜ」
「――――!?」
まもりの耳に届いたのは、思わぬ少年の声。
毒――なんで――毒だって――――無駄!?
「大量殺人鬼ベンニー・ドロンが作ったナイフの中期型。0.1mgで鯨でも動けなくするほどの強力な毒が仕込んである。なるほど。こんな物騒なもん持ってりゃ、あんたみたいなのでも強気になるか」
少年の声から発せられたのは、自分でも知らないようなナイフの情報。
「悪いね。仕事柄、こういうのには詳しいんだよ。それにオレ、毒効かない体質なんだよね」
「――そ、ん、な……」
- 412 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:22:42 ID:FHXV9ZVn0
- 「セナのために……セナのために、セナのために、セナのために!」
呟きが徐々に大きくなり、叫びへと変わっていく。
追い詰められたねずみが、猫に飛びかかろうとしている。
キルアは本能的に、その『ヤバさ』を感じ取っていた。
感じ取っていたにも関わらず、動くことができなかった。
キルアを止めたのは、「セナのために」。
(大切なヤツのために……他人や自分を犠牲にする、か。もしオレがこいつと同じ立場だったら……)
ゴンを守るため、他の人間を殺せただろうか?
――無理だね――
ドクンッ
キルアの頭の中で、誰かが騒いだ。
- 413 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:23:29 ID:FHXV9ZVn0
- まもりは生き延びるため、キルアを殺すため、行動を移していた。
デイバックにしまってあった魔弾銃。信頼できる武器はまだある。
黙れ。
――お前は友達よりも自分が大切なんだろう?――
黙れ。
――お前は友達のために強そうなヤツに向かっていけるか?――
黙れ。
――お前が友達と二人になったとして――
黙れ。
――その友達を殺さずにいられるか?――
黙れ。
――ここで生き残れるのは一人だけ――
黙れ。
――優先するべきなのは自分の命――
黙れ。
――ほら殺そうとしてるぞ――
黙れ。
――逃げろ――
黙れ。
――それとも殺す?――
黙れ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
- 414 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:24:08 ID:FHXV9ZVn0
- キルアの脳内で起こる何者かとの葛藤。
眼前には銃を構えるまもり。
指はもう引き金にかかっていた。
自分の命を奪おうとしている、引き金が。
キルアとまもり。二人の共通点は、同じくこの世界に飛ばされた『大切な存在』。
ゴンとセナ。キルアとまもりには、この二人をなんとしても守らなければ、という強い意志がある。
では、まもりにあってキルアにないものはなにか?
それはキルア自身がよく分かっていた。
覚悟。
まもりの、自分を犠牲にしてでも守るという覚悟。それがあるから、キルアにも向かっていける。
キルアには、それがない。だから、より確実で安全な選択をしてしまう。格上の相手にも、しり込みしてしまう。
まもりと同じ境遇でありながら、まもりと同じ行動に出ないのはキルアが臆病者だから――
「ちがう!!」
――大阪の住宅街を、銃声が揺らした。
- 415 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:24:59 ID:FHXV9ZVn0
- キルアはもう決めたんだ。
殺し屋はもう辞めるって。
暗殺家業は廃業だって。
キルアは友達を選んだんだ。
キルアはオレの友達になったんだ。
もうゾルディック家の操り人形なんかじゃない。
だからごちゃごちゃ言うな。
友達はオレが守る。
キルアもオレを守る。
でももう人殺しはしない。
キルアはキルアだ。
「キルアはオレの友達だ!」
- 416 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:27:17 ID:FHXV9ZVn0
- 銃声のあと、そこにあったのは棒立ちの少年と横たわる少女。
「はははははは……」
少年が、笑った。
「ハハハハハハ、ははっ」
その瞳には、涙。頭部からは、流血。
「イルミの野郎……オレの頭にこんなの入れてやがった」
少年の手に握られていたのは、一つの針ピン。
兄であるイルミの――なんらかの念能力が付加されたもの。
キルアの行動を縛っていた、元凶。
「はははははは……にゃろう」
キルアは、それを笑いながら握りつぶした。
まもりが放ったイオラ弾。それはキルアに命中することはなかった。
あの一瞬――まもりが引き金を引く直前の一秒間の出来事。
聞こえていたのは、忌々しい兄の声。
聴きたかったのは、大切な友達の声。
友達の声が耳に届くことはなかったけれど――キルアの心には確かに届いた。
だって実際、聴こえた気がしたのだから。
うるさかったのは頭。あんまりにもうるさかったから、ちょっと頭を探ってみればこれだ。
本当に、嫌気が差す。殺したいくらい憎たらしいお節介アニキ――
- 417 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:28:02 ID:FHXV9ZVn0
- 静かにさえなれば、素人の撃つ銃などなにも怖くはない。
普通に避けて、普通に電撃でショックを与えてやれば、相手はもう動けない。
キルアとまもりは似ているが、それは『大切な存在』を守りたいという心だけ。
友達を守るために他人や自分を犠牲にするなんて選択は、キルアの頭にはない。
(だって、そんなのゴンが喜ぶはずないだろ?)
それどころか、きっと自分を殴り飛ばして「なんでそんなバカなことするんだ!」って言うのがオチだ。
そう、だからキルアは自分を犠牲にしたりしないし、弱者を殺したりもしない。だからまもりもちゃんと生かしてある。
決して、臆病だから、なんて理由じゃない。キルアの、ちゃんとした意思なのである。
「ま、それでも相手がとんでもない悪党なら、ぶちのめすけどな」
ゴンはそれでも命を奪わないだろうが。
- 418 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:28:41 ID:FHXV9ZVn0
- 少なくともこの少女を殺す必要はない。
殺意は本物だが、彼女自身にはなんの力もない。
全てはまもりの手の中にある、強力すぎる武器がいけないのだ。
「あんた、まだ意識あるか? 力が弱まってるから気絶させられたかどうか分からないけど……とりあえずあんたの武器はもらっていくから」
まもりが所持していた中期型ベンズナイフ、魔弾銃、デイパックの中にあった長剣クライスト(おいおいこんなに持ってたのかよ)。
――そして、最後に出てきたのは『首輪』
(! こいつが殺したヤツのか……?)
キルアは首輪も没収する。
ひょっとしたら、首輪を解除する役に立つかもしれない。
キルア自信にそんな技術はなかったが、この世界にはいろんな人間がいる。首輪を解除できる人間もどこかに――?
「とりあえず、悪いけど全部もらっていくよ。あとさ……これに懲りたらもう人殺しはやめた方がいい。ここにはオレよりもヤバイ奴が結構いるみたいだし、運が悪けりゃ本気で殺されかねないぞ」
キルアは喋るが、それがちゃんとまもりに届いているかは分からない。
「……それに、その『セナ』ってヤツも喜ばないんじゃない? 少なくとも、オレの友達はオレがそんなことしたら百パー殴ってくる」
「 」
「……言いたかったのはそんだけ。ここらへん危ないヤツ多いから、おとなしくどっかに隠れてな。じゃ」
返答を聞くこともなく、キルアは去っていった。
目的をただ一つ、友達との再会に定めて。
- 419 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:29:16 ID:FHXV9ZVn0
- まもりは泣いていた。
身体が痛くて、痺れて、とんでもなく苦しい。
でも涙のわけは、なんでもないキルアの一言にある。
『その「セナ」ってヤツも喜ばないんじゃない?』
そんなことは分かってる。
あの子は私が人殺しになって、どんな顔をするだろうか。
それも分かりきってる。
でも、そんなの考えたくない。
だって、しょうがないじゃないか。
自分が守ってあげなければ、セナが死んでしまう。
それがこのゲームなんだ。
今さらやめられるわけがない。
(もっと強くならないとだめかな……セナのために…………)
まもりの意識は、そこで途切れた。
- 420 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 01:31:08 ID:FHXV9ZVn0
- 【大阪・市街地/日中】
【キルア@HUNTER×HUNTER】
[状態]:少々のダメージ、頭部から流血(戦闘に支障無し)。イルミの呪縛から解放(恐怖心がなくなり戦闘力若干アップ )
[装備]:なし
[道具]:爆砕符×3@NARUTO、魔弾銃@ダイの大冒険、中期型ベンズナイフ@HUNTER×HUNTER、
クライスト@BLACK CAT、魔弾銃専用の弾丸@ダイの大冒険:空の魔弾×1 ヒャダルコ×2 キアリー×1 ベホイミ×1
焦げた首輪、荷物一式 (食料1/8消費)
[思考]:1、ゴンを探す。
2、人殺しはしない。ただし、明らかな敵対心を持つ者にはそれなりに対応。
※『選別』の考えは、キルアの思考から消えました。
【姉崎まもり@アイシールド21】
[状態]:気絶中。唇に出血、殴打による頭痛、腹痛。右腕関節に痛み。精神的疲労大。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式×2、食料二人分(それぞれ食料、水は二日分消費)
[思考]:1、セナを守るために強くなる(新たな武器を手に入れる)。
2、セナ以外の全員を殺害し、最後に自害。
- 421 :アルジャーノンに花束を1/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:03:05 ID:SwPoeg/G0
- 「だぁ〜〜っ!!誰じゃ、こんなぼろ船で海を渡るとか言いだした奴は!」
「あんただろうが、太公望さんよ!それよりほら、太公望も手伝ってくれ!!」
「わしがやっている事が見えんのか!あぁ〜また水が入ってきおった!!」
いそいそと両手で水を掻き出す太公望であったが、そんなものでどうにかなるような状況ではない。
「富樫!この島はお主の故郷なのじゃろ!何故こうなることがわからんかった!」
「潮の流れなんていちいち覚えてるか!!」
そう怒鳴りつつも、何時折れてもおかしくないオールで力一杯水を捉えて少しでも船を元の航路に戻そうとする。
船を出したときはまだ、順風漫歩の気がしていた。
多少潮の流れがきつかったが、天下の男塾生の相手ではない。
だが、漕いでいる内に状況は刻々と変わっていった。
見る見るうちに脇に見えていた淡路島が小さくなっていくのだ。
丁度淡路島と四国の中間点であろうか。
そこに潮の道が形成されていた。
瀬戸内の潮流と外海の潮流がぶつかり合って渦潮と呼ばれる渦を形成し、遠心力的な力でもって瀬戸内よりならより瀬戸内に、外海よりならより外海に押す力が働いている。
- 422 :アルジャーノンに花束を1/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:03:39 ID:SwPoeg/G0
- 「おい富樫、島があんなに小さくなっているぞ!わしは海の上で干からびて死んでいくのは御免じゃぞ!」
「口ばっかり動かさず、手をもっと動かせ!これじゃ、干からびるより前に沈没する方が早いぞ!」
更に、不運だったのはその圧倒的なまでの潮力で元から朽ちかけていた船に穴が開き始めたことだった。
出来た穴を片っ端から詰めていく作業を繰り返してはいたが、船の縁から入ってくる水はどうしようもない。
仕方なく手で掬って外に掻き出すのだが、入ってくる水の量の方が多すぎた。
しかも、一旦水が入ってしまえば船がその分沈み、詰めた穴が再び崩壊したり、荒波で入ってくる水の量も増してくる。
「おぬし、体重を減らすことはできんのか?」
「そんな直ぐに出来るかっ!」
そう、言っている間にも船はどんどん沖に流されていく。
冨樫は漕ぐことに精一杯で気付いてはいなかったが、太公望の頭の中では最悪のシミュレーションが浮かんでいた。
(このまま沖に流されれば、逃げたと勘違いされて首輪を爆破される可能性もあるやもしれぬ)
かといって、この最悪の状況下更に打ちのめすような事実を伝えても利はない。
この会話だって実際はお互い貶しあっているわけではない、誰かが直ぐ傍にいるという状況を確認できるという利を考えてしている事なのだ。
どんなピンチの状態でも一人より二人の方が安心感が沸くって奴だ。
- 423 :アルジャーノンに花束を1/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:04:49 ID:SwPoeg/G0
- 「――ちっ、埒があかねぇ。太公望、あんた泳げるか?」
「ふっふっふ、誰にモノを訊いておる。池なら兎も角、こんな潮流の早い海で泳ぐことなど出来ようか!」
「だが、俺にしがみ付くことくらい出来るよな」
「ま、まさかおぬし……」
そう言うが早いか冨樫はオールを置いて、学ランのボタンを外し始める。
「最初からこうすれば良かったのだ」
褌一丁になると、脱いだ学ランを丁寧にも折り畳みベルトで頭上に固定した。
「船が駄目なら泳ぐまでだ」
太公望が冨樫の目が本気だという事を見てとり、説得を諦める。
どうせ、このまま船上にいても沖に出て干からびるか、沈んで魚の餌になるか、首輪の爆発に巻き込まれて跡形もなく消え去るかしか選択肢はない。
「――冨樫よ、泳ぐ方向は彼方ではなく此方だ」
太公望の指先が指し示すのは和歌山の方角ではなく、鳴門大橋の方角。
「へっ、潮流に逆らって泳げってか無茶言ってくれる。しかしあんたがそう言うからにはそれが最善手なんだろうな……しっかり捕まっていろよ、流されても知らねぇぜ」
太公望が自分の身体にしがみ付いたことを確認すると荷物を置いて、冨樫は大海原に飛び込んだ。
目指すは太公望が指し示した方角、その目標を掴むかの如く冨樫の手は前へ前へと、水を掻き出し進んでいった。
- 424 :アルジャーノンに花束を4/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:05:28 ID:SwPoeg/G0
- 「で、着いたらこの状況……か」
あのまま和歌山の方角へ泳いでも、横から潮に押され斜めに進んでしまったであろう。
船が丁度良い例だ、あれもなまじ横の体積が大きいからどうしても流されてしまう。
外洋に流されると他の潮の流れの関係や、首輪の事など不安定要素が多過ぎた。
だが身体を流れと逆にすると抵抗は圧倒的に増えるが流されることはなくなる。
その上最短距離だ。
後は適当に泳いでいれば潮に乗って、対岸に着くことが出来る。
普通の人から見たら自殺行為の問題外の選択肢であったが、冨樫の並はずれた体力を信じて選んだかいはあったという事か。
ただ海を泳いでいると岸からは丸見えであったという点を点さえ覗けば完璧だったのだ。「普通に橋を渡った方が良かったのぅ」
荷物は全て失われ、冨樫の体力は底を尽き、身体全身塩でネバネバしている上に、最悪な奴に見付けられてしまった。
「久し振り――と言えばいいのかな?太公望」
目の前にいるのは石崎を殺し、帰る手段を仄めかす藍染惣右介。
何を考えているか解らない不気味な男。
- 425 :アルジャーノンに花束を5/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:13:06 ID:SwPoeg/G0
- 「まだ、帰った訳じゃないようだの」
「あぁ最後に少しやりたいことがあってね……どうだい?君も来てみないか琵琶湖へ。其処に脱出を願う人が集まる予定だ」
琵琶湖。
水を飲みに来た人を襲うのかと嘗て思い浮かべた考えた頭を過ぎるが、どうも違うらしい。
それならば、人を集めずともやって来た順に殺せばいいだけである。
「――と、思ったが……」
刀の鯉口をきる音が静かに響き渡る。
「君みたいなのが現れると、万が一ミスが起こるとも限らない」
自分のみが脱出させる事が出来ると先に知れ渡ってはたまらない。
そもそも人を殺しているという事が知れ渡ってしまっては、集まる人も集まらなくなる。
「モルモットにアルジャーノンは要らない。先程の借り、此処で返させて貰うよ」
するりと抜きはなたれた斬魄刀"鏡花水月"が光を反射した。
- 426 :アルジャーノンに花束を6/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:15:33 ID:SwPoeg/G0
- 「風水縛止」
藍染の声が冨樫の脇を通り過ぎる。
疲労からか視点が定まらず、藍染の姿を上手く捉えることも出来なかった冨樫であったが、それが幸いした。
鏡花水月の始解を眼にせず済んだため、完全催眠に陥ることが無かったのだ。
咄嗟に人の気配の方に拳を振るう。
しかし、その焦点の合ってない拳は当たることもなく空を切るだけであった。
慌てて後ろを振り向いた時、朧気に見える二つの影の内、一つが倒れるのが目に見えた。
「これは、驚いた。君も完全催眠に嵌ってくれたと思ったんだがね」
未だに地に足をつけている方の影がそう言った。
何かが音を立てて接近してくるのが解る。
――刀か?
咄嗟に回避しようとしたが、疲労で縺れる足では到底無理な話であった。
右拳で当たる直前に、刀の軌道をかえるのが今の冨樫に出来る精一杯である。
冨樫の額を狙っていた剣筋は弾かれ、左鎖骨に突き刺さる。
堅い骨に当たった刀は、そのまま衝撃と共に真ん中で甲高い音をあげつつ真っ二つに折れた。
だが、その音は冨樫の耳に入らない。
刺さった瞬間に既に気は飛んでいた。
どさりと大きな音を立てて倒れる冨樫に藍染は一瞥もくれずに、砂浜に解放したまま刺していた鏡花水月の方へ戻っていった。
- 427 :アルジャーノンに花束を7/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:16:54 ID:SwPoeg/G0
- 風のように現れ、風と共に去りぬ。
藍染はそのまま元の目的、人集めの為に戻っていった。
残されたのは一刀両断で斬り捨てられた太公望の死体と、折れた刀『雪走り』、そして倒れて血を流す冨樫であった。
唯一つ藍染が見抜けなかったのは、男塾生の根性もとい異常なまでの生命力である。
首元に刀が刺さり、血を勢い良く流していても冨樫の命の灯火はまだ消えてはいなかった。
冨樫の命の灯火は砂浜に染み広がる其れと同じく、赤い色をしながら燻っていた。
【大阪府海岸/1日目・午後】
- 428 :アルジャーノンに花束を8/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:17:27 ID:SwPoeg/G0
- 【富樫源次@魁!男塾】
状態:疲労大。左鎖骨に大きな裂傷。出血多量。瀕死
装備:頭の上に学ラン一式装備中
道具:
思考:1.目の前の小船で和歌山へ向かう
2.男塾の仲間を探す
3.本州での戦いを覚悟
【藍染惣右介@ブリーチ】
状態:骨一本にひび・軽度の疲労(戦闘に軽い支障あり)
装備:斬魄刀@ブリーチ
道具:荷物一式(食料二人分 1/8消費)・盤古幡@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
思考:1.琵琶湖に人を集める
2.琵琶湖へ向かう
3.計画の実行
【太公望@封神演義 死亡確認】
【残り90人】
- 429 :アルジャーノンに花束を(修正ver)1/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 11:31:25 ID:SwPoeg/G0
- 「だぁ〜〜っ!!誰じゃ、こんなぼろ船で海を渡るとか言いだした奴は!」
「あんただろうが、太公望さんよ!それよりほら、太公望も手伝ってくれ!!」
「わしがやっている事が見えんのか!あぁ〜また水が入ってきおった!!」
いそいそと両手で水を掻き出す太公望であったが、そんなものでどうにかなるような状況ではない。
「富樫!この島はお主の故郷なのじゃろ!何故こうなることがわからんかった!」
「潮の流れなんていちいち覚えてるか!!」
そう怒鳴りつつも、何時折れてもおかしくないオールで力一杯水を捉えて少しでも船を元の航路に戻そうとする。
船を出したときはまだ、順風満帆の気がしていた。
多少潮の流れがきつかったが、天下の男塾生の相手ではない。
だが、漕いでいる内に状況は刻々と変わっていった。
見る見るうちに脇に見えていた淡路島が小さくなっていくのだ。
丁度淡路島と四国の中間点であろうか。
そこに潮の道が形成されていた。
瀬戸内の潮流と外海の潮流がぶつかり合って渦潮と呼ばれる渦を形成し、遠心力的な力でもって瀬戸内よりならより瀬戸内に、外海よりならより外海に押す力が働いている。
- 430 :似て非なる二人 ◆kOZX7S8gY. :2006/02/06(月) 13:11:18 ID:FHXV9ZVn0
- すいません。投下ミスがあったんで修正。
>>411と>>412の間に追加。
まもりは愕然とした。
今までいとも容易く命を奪ってきた自分の武器が、効かない。
そして、目の前の少年に芽生えた感情は、恐怖。
今までに出会ったことのない、殺意と力、両方を兼ね揃えた存在に、恐れを抱いたのだ。
でも、
――なぜ? なぜ怖がる?
それは一瞬だった。
まもりは誓ったのだ。セナを守るため、そのために、全てを犠牲にしようと。
今さらなにを怖がる必要がある。もう何人も殺した。
あと自分がやるべきことといえば、セナ以外の人間を少しでも多く殺すこと。
もちろん、こんなところで死んでしまってはその目的は達成できない。参加者はまだまだたくさんいるのだから。
だからといって、死を恐れる必要はない。
(そうよ……相手がこちらを殺そうとしているのなら……それよりも先に殺せばいいじゃない!)
結論は簡単だった。
抗う。死なない。死ぬのはあっち。生きるのは自分。もっと殺す。セナが助かる。
まもりの決意は、これしきのことでは揺るがない――
- 431 :アルジャーノンに花束を(修正ver)1/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:21:41 ID:SwPoeg/G0
- 「だぁ〜〜っ!!誰じゃ、こんなぼろ船で海を渡るとか言いだした奴は!」
「あんただろうが、太公望さんよ!それよりほら、太公望も手伝ってくれ!!」
「わしがやっている事が見えんのか!あぁ〜また水が入ってきおった!!」
いそいそと両手で水を掻き出す太公望であったが、そんなものでどうにかなるような状況ではない。
「富樫!この島はお主の故郷なのじゃろ!何故こうなることがわからんかった!」
「潮の流れなんていちいち覚えてるか!!」
そう怒鳴りつつも、何時折れてもおかしくないオールで力一杯水を捉えて少しでも船を元の航路に戻そうとする。
船を出したときはまだ、順風漫歩の気がしていた。
多少潮の流れがきつかったが、天下の男塾生の相手ではない。
だが、漕いでいる内に状況は刻々と変わっていった。
見る見るうちに脇に見えていた淡路島が小さくなっていくのだ。
丁度淡路島と四国の中間点であろうか。
そこに潮の道が形成されていた。
瀬戸内の潮流と外海の潮流がぶつかり合って渦潮と呼ばれる渦を形成し、遠心力的な力でもって瀬戸内よりならより瀬戸内に、外海よりならより外海に押す力が働いている。
- 432 :アルジャーノンに花束を(修正ver)2/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:23:03 ID:SwPoeg/G0
- 「おい富樫、島があんなに小さくなっているぞ!わしは海の上で干からびて死んでいくのは御免じゃぞ!」
「口ばっかり動かさず、手をもっと動かせ!これじゃ、干からびるより前に沈没する方が早いぞ!」
更に、不運だったのはその圧倒的なまでの潮力で元から朽ちかけていた船に穴が開き始めたことだった。
出来た穴を片っ端から詰めていく作業を繰り返してはいたが、船の縁から入ってくる水はどうしようもない。
仕方なく手で掬って外に掻き出すのだが、入ってくる水の量の方が多すぎた。
しかも、一旦水が入ってしまえば船がその分沈み、詰めた穴が再び崩壊したり、荒波で入ってくる水の量も増してくる。
「おぬし、体重を減らすことはできんのか?」
「そんな直ぐに出来るかっ!」
そう、言っている間にも船はどんどん沖に流されていく。
富樫は漕ぐことに精一杯で気付いてはいなかったが、太公望の頭の中では最悪のシミュレーションが浮かんでいた。
(このまま沖に流されれば、逃げたと勘違いされて首輪を爆破される可能性もあるやもしれぬ)
かといって、この最悪の状況下更に打ちのめすような事実を伝えても利はない。
この会話だって実際はお互い貶しあっているわけではない、誰かが直ぐ傍にいるという状況を確認できるという利を考えてしている事なのだ。
どんなピンチの状態でも一人より二人の方が安心感が沸くって奴だ。
- 433 :アルジャーノンに花束を(修正ver)2/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:23:52 ID:SwPoeg/G0
- 「――ちっ、埒があかねぇ。太公望、この流れであんた泳げるか?」
「ふっふっふ、誰にモノを訊いておる。池なら兎も角、こんな潮流の早い海で泳ぐことなど出来ようか!」
「だが、俺にしがみ付くことくらい出来るよな」
「ま、まさかおぬし……」
そう言うが早いか富樫はオールを置いて、学ランのボタンを外し始める。
「最初からこうすれば良かったのだ」
褌一丁になると、脱いだ学ランを丁寧にも折り畳みベルトで頭上に固定した。
「船が駄目なら泳ぐまでだ」
太公望が富樫の目が本気だという事を見てとり、説得を諦める。
どうせ、このまま船上にいても沖に出て干からびるか、沈んで魚の餌になるか、首輪の爆発に巻き込まれて跡形もなく消え去るかしか選択肢はない。
「――富樫よ、泳ぐ方向は彼方ではなく此方だ」
太公望の指先が指し示すのは和歌山の方角ではなく、鳴門大橋の方角。
「へっ、潮流に逆らって泳げってか無茶言ってくれる。しかしあんたがそう言うからにはそれが最善手なんだろうな……しっかり捕まっていろよ、流されても知らねぇぜ」
太公望が自分の身体にしがみ付いたことを確認すると荷物を置いて、富樫は大海原に飛び込んだ。
目指すは太公望が指し示した方角、その目標を掴むかの如く富樫の手は前へ前へと、水を掻き出し進んでいった。
- 434 :アルジャーノンに花束を(修正ver)4/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:24:26 ID:SwPoeg/G0
- 「で、着いたらこの状況……か」
あのまま和歌山の方角へ泳いでも、横から潮に押され斜めに進んでしまったであろう。
船が丁度良い例だ、あれもなまじ横の体積が大きいからどうしても流されてしまう。
外洋に流されると他の潮の流れの関係や、首輪の事など不安定要素が多過ぎた。
だが身体を流れと逆にすると抵抗は圧倒的に増えるが流されることはなくなる。
その上最短距離だ。
後は適当に泳いでいれば潮に乗って、対岸に着くことが出来る。
普通の人から見たら自殺行為の問題外の選択肢であったが、富樫の並はずれた体力を信じて選んだかいはあったという事か。
ただ海を泳いでいると岸からは丸見えであったという点を点さえ覗けば完璧だったのだ。「普通に橋を渡った方が良かったのぅ」
荷物は全て失われ、富樫の体力は底を尽き、身体全身塩でネバネバしている上に、最悪な奴に見付けられてしまった。
「久し振り――と言えばいいのかな?太公望」
目の前にいるのは石崎を殺し、帰る手段を仄めかす藍染惣右介。
何を考えているか解らない不気味な男。
- 435 :アルジャーノンに花束を(修正ver)5/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:24:56 ID:SwPoeg/G0
- 「まだ、帰った訳じゃないようだの」
「あぁ最後に少しやりたいことがあってね……どうだい?君も来てみないか琵琶湖へ。其処に脱出を願う人が集まる予定だ」
琵琶湖。
水を飲みに来た人を襲うのかと嘗て思い浮かべた考えた頭を過ぎるが、どうも違うらしい。
それならば、人を集めずともやって来た順に殺せばいいだけである。
「――と、思ったが……」
刀の鯉口をきる音が静かに響き渡る。
「君みたいなのが現れると、万が一ミスが起こるとも限らない」
自分のみが脱出させる事が出来ると先に知れ渡ってはたまらない。
そもそも人を殺しているという事が知れ渡ってしまっては、集まる人も集まらなくなる。
「モルモットにアルジャーノンは要らない。先程の借り、此処で返させて貰うよ」
するりと抜きはなたれた斬魄刀"鏡花水月"が光を反射した。
- 436 :アルジャーノンに花束を(修正ver)6/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:28:49 ID:SwPoeg/G0
- 「風水縛止」
藍染の声が富樫の脇を通り過ぎる。
疲労からか視点が定まらず、藍染の姿を上手く捉えることも出来なかった富樫であったが、それが幸いした。
鏡花水月の始解を眼にせず済んだため、完全催眠に陥ることが無かったのだ。
咄嗟に人の気配の方に拳を振るう。
しかし、その焦点の合ってない拳は当たることもなく空を切るだけであった。
空を切る拳とすれ違うかの如く、その気配は後ろで立ったまま動かない仲間の方へと疾走していく。
小さな呻き声と、潮の強烈な臭いに混ざって異臭が漂い始める。
慌てて後ろを振り向いた時、朧気に見える二つの影の内、一つが倒れるのが目に見えた。
「これは、驚いた。君も完全催眠に嵌ってくれたと思ったんだがね」
未だに地に足をつけている方の影がそう言う。
もう一つの影は二つの影に別れて砂浜の上に転がっていた。
「太公望っ!!」
何かが聞き慣れた風斬り音を立てて接近してくるのが解る。
――刀か?
咄嗟に回避しようとしたが、疲労で縺れる足では到底無理な話であった。
右拳で当たる直前に、刀の軌道をかえるのが今の富樫に出来る精一杯である。
富樫の額を狙っていた剣筋は弾かれ、左鎖骨に突き刺さる。
堅い骨に当たった刀は、そのまま衝撃と共に真ん中で甲高い音をあげつつ真っ二つに折れた。
だが、その音は富樫の耳に入らない。
刺さった瞬間に既に気は飛んでいた。
どさりと大きな音を立てて倒れる富樫に藍染は一瞥もくれずに、砂浜に解放したまま刺していた鏡花水月の方へ戻っていった。
- 437 :アルジャーノンに花束を(修正ver)7/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:31:00 ID:SwPoeg/G0
- 風のように現れ、風と共に去りぬ。
藍染はそのまま元の目的、人集めの為に戻っていった。
残されたのは一刀両断で斬り捨てられた太公望の死体と、折れた刀『雪走り』、そして倒れて血を流す富樫であった。
唯一つ藍染が見抜けなかったのは、男塾生の根性もとい異常なまでの生命力である。
首元に刀が刺さり、血を勢い良く流していても富樫の命の灯火はまだ消えてはいなかった。
富樫の命の灯火は砂浜に染み広がる其れと同じく、赤い色をしながら燻っていた。
【大阪府海岸/1日目・午後】
- 438 :アルジャーノンに花束を(修正ver)7/8 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/06(月) 17:31:37 ID:SwPoeg/G0
- 【富樫源次@魁!男塾】
状態:疲労大。左鎖骨に大きな裂傷。出血多量。瀕死
装備:頭の上に学ラン一式装備中
道具:
思考:1男塾の仲間を探す
【藍染惣右介@ブリーチ】
状態:骨一本にひび・中度の疲労(戦闘に軽い支障あり)
装備:斬魄刀@ブリーチ
道具:荷物一式(食料二人分 1/8消費)・盤古幡@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
思考:1.琵琶湖に人を集める
2.琵琶湖へ向かう
3.計画の実行
【太公望@封神演義 死亡確認】
【残り90人】
- 439 :作者の都合により名無しです:2006/02/06(月) 18:27:33 ID:Cp8Lq1Mp0
- >>421->>428は有効です
- 440 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:40:09 ID:0ZP+Ehz70
-
――――福岡県にて、
志々雄真実は考える。今までの行動、そしてこれからの行動を。
更木との九州探索では機会があったにもかかわらず、誰一人殺すことができなかった。
己の悲願、国盗りを達成するには少しでも多くの者を殺さなければならない。そのことはよく理解していたのに。
原因は三つ。そのための対処法も三つ。
一つ目は更木剣八という男の性格。
戦闘狂であり、剣の腕も立つというこの世界に最も適した男。
しかしこの男は戦うこと、そして勝つことに価値を見出している。
そのために負けを認めたヒソカには逃げられ、緋村抜刀斎の連れに執着せずこちらにも逃げられた。
だから別れた。今後行動を共にしても効率が悪いだけだ。
あの男は放っておけば勝手に戦い、勝手に殺していくだろう。
二つ目は得物の不足。
無限刃が手に入れば文句はないが、とにかく武器が欲しい。
釣り竿ではろくな戦闘は期待できない。
三つ目は他の人間が徒党を組んでいるということ。
これが一番厄介である。
ヒソカや抜刀斎の時のように外野が手を出すこともあるだろう。
先刻の豚鼻のブ男のような強者が集まれば面倒なことはこの上ない。
- 441 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:41:12 ID:0ZP+Ehz70
- ならばどうすればよいか。どうすれば最も効率よく参加者を殲滅できるか。
その答えは奴らを分断すること。
隣のたけしのように、友人を殺され仇討ちに走りたい者もいるはず。
だが周りに仲間がいると、そういった醜悪な考えをしまい込むことはよくある事だ。
だからそういう人間を一人にして、憎しみの芽の成長を早めてやる。育った憎しみはいつか花開き、暴走する。
暴走した憎しみは冷静な判断力を失わせ、目の前の人間が仇かどうかも分からぬままに傷つける。
ようするに自分のすべきこととは、
武器を持つ者、復讐者にはなりえない強い正義を持つ者を積極的に殺していくこと。
そして憎しみの種を日本中に蒔き散らすこと。
これからの行動方針が決まると、志々雄はにやりと笑みをこぼした。
「志々雄ぉ、なにが可笑しいさ。記憶の片隅で眠っていた優しかったあの頃でも思い出したのかぁ」
たけしはスグルと離れることに別段不安を感じてはいなかった。
なぜなら彼の強さが分かっていたから。彼ならばそう簡単にやられたりしない。心配は無用である。
それよりも横にいる包帯の男に興味を抱いた。
更木と行動していたことから、ゲームに乗っていることはゆうに予想できる。
しかしたけしは難しいことは考えていなかった。頭ではなく、肌で感じるもの。
志々雄真実の放つカリスマ性、リーダーの資質に自然と引き寄せられたのだ。
- 442 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:42:12 ID:0ZP+Ehz70
-
「また訳の分からねえことを…」
志々雄は苦笑しながら答える。
二人はこの調子で成り立たない会話をし続けた。
海が、そして陸――本州が見えてきた。
「おお!あれがひょっとするとムー大陸的な新大陸か!?」
鉄橋が見える。志々雄はたけしの声に大した応答もせず、橋に向かおうとした。
が、ここで志々雄はあるものに気付く。そのあるものは、血痕。
そして先程より小さな笑み、本当にわずかな微笑を浮かべた。
「たけし、こっちだ」
「ん?あさっての方向だぞ。それはいかがなものさぁ」
異論を唱えるたけしを無視し、志々雄は歩いていく。
志々雄の向かうその先にはトンネルが。橋が目立つためにその分見つけ難くなっている。
トンネルは大きく口を開け、闇へと志々雄とたけしを導いていった――――
- 443 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:42:47 ID:0ZP+Ehz70
-
玉藻京介は二人の少年を抱え、暗い道を歩いていた。
先程の何者かの襲撃。それを逃れるために一輝が足止め役を請け負ってくれた。
その後確かに襲撃者の邪悪な気配は失せた。しかし……一輝の放つ力強い気配もまた消え失せた。
一触即発が予測されるあの気配。それが同時に感じられなくなったということから考えられることはただひとつ。
相討ち。それ以外には考えられない。
と言うことは両者が気絶したか、もしくは…
こんなこと想像したくない!
玉藻は自分の脳裏に浮かんできた望まぬ光景を必死でかき消そうとする。
しかし現状ではそれがもっとも真実に近いことは間違いないだろう。
玉藻は悔しそうな表情をつくり、一輝の顔を思い出す。あの自信に満ちた顔を。
そして思い出す、彼との誓いを。
そしてまた思い出す、自分の成すべきことを。
いま自分が抱える二人の少年を守る。それこそが自分の使命。
カツーン、カツーン。
暗いトンネルの中を靴音が反響する。
そして自分たちが来た方からもう一つ、いや二つの靴音が響いてきた――――
- 444 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:43:42 ID:0ZP+Ehz70
-
うっすらと明かりで照らされるトンネルの中。
入り口から出口までの距離は―どちらが入り口などと決まってはいないが―50mほど。
志々雄らはトンネルの中央で動いている人影を発見する。
人影は一人にしては大きすぎる。誰かを抱えている、そんな状況。例えば、怪我人を背負っているとか。
志々雄は歓喜した。ようやく獲物に巡り会えた、と。
その眼光は百獣の王の迫力。その視線の先には手負いのトムソンガゼル。
玉藻も背後の変化に気付き、後ろを振り返る。
隠密を心がけていたつもりだったが、腕からの出血が道標として残ってしまっていたのである。
玉藻の目に映るのは、包帯に包まれたエジプトの木乃伊の風貌の男。
そして…少年? 体格、雰囲気は小学生のものだが、顔だけは中年男性。
老人が赤子に化ける妖怪は聞いたことがあったが、これでは真逆だ。
まあ自分の同族を封印している少年にあった今、妖怪の一匹や二匹に驚くことはなかったが。
- 445 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:44:28 ID:0ZP+Ehz70
- 志々雄は眼前の獲物を睨みつける。そしてそれらが自分の糧となるものだと認識する。
こいつ等なら俺でも十分殺れる。そのためにはこいつ―たけしは邪魔だ。
「おい、たけし」
たけしが何かを言い出す前に。目の前の人間と交流を持つ前に。
自分の呼びかけに、たけしが応えようとする。
その一瞬の隙を狙い、たけしの鳩尾に一撃を加える。
「 ! し、志々雄?」
うずくまるたけし。その首筋に志々雄はさらに手刀を打ち込む。そしてたけしは完全に気絶する。
「悪ぃな、あとで起こしてやるからよ。少し…待ってろ」
玉藻は相手がこちらを睨みつけていることに気付く。
その視線には明白な殺気が乗せられている。
この状況は危険だ。妖力、体力が枯渇している今、大して戦闘はできないだろう。
玉藻は狼狽する。トンネル内をピリピリとした緊張感が包む。
すると突然こちらを睨む男は、その横の親父顔を昏倒させる。
不可解な事態。自分で自分の動揺が分かる。
しかし…一輝との誓いを破る訳にはいかない!なんとしてでも二人を守る!
- 446 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:45:09 ID:0ZP+Ehz70
-
「俺の名前は志々雄真実。あんた個人に恨みは無えが、俺の野望のために死んでもらう」
「不届き者めが。我が名は玉藻。長き歳月を経て、妖しの力を得た妖狐である」
玉藻はその真の姿―妖狐の姿―を表す。黄金色の体毛に包まれた獣面が、返すように木乃伊男を睨みつける。
これで戦いの意思を無くしてくれればよいのだが。普段の彼からは想像できない弱気な願い。
しかし志々雄は妖狐の姿を見て、逆に嬉しそうな顔をする。
「まさか化け物だとはな。こいつは良かった。
無抵抗の一般人を手にかけたんじゃ、只の弱いもの苛めになると心配してたところだ」
「戯言を…。単なる人間に妖狐を倒せるとでも思っているのか!」
挑発しあう両者。しかし玉藻の言葉には精一杯の虚勢が。
志々雄の言葉には手負いに対する『油断』、いや『余裕』が感じられる。
『余裕』を見せるが、一切の隙は存在しない。
おもむろにバッグからカプセルを取り出す志々雄。更にそれからあるものを取り出す。
釣り竿?まさかそんな物で戦うつもりか?
玉藻は憤りを覚える。しかし冷静に、この場を切り抜ける術を考える。
力は残り少ないが、待ちに徹してはナルト達が危険。
事情も話していないのだ。目覚めた途端戦闘の真っ最中では何をするか分からない。何より二人は、私が敵だと思い込んでいる可能性もある。
火術をもって牽制し、敵の隙を作る。そしてその隙に二人を連れて離脱する。
作戦を講じ、その実行に玉藻は移った。
- 447 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:46:30 ID:0ZP+Ehz70
- 「火輪尾の術!」
狐面の異形は妖しき炎を生み出し、それを目の前の包帯男に向け放った。
(ちっ。これほどまでに弱っているとは。役小角レベルにも達していないではないか)
玉藻はほぞを噛む。だが、妖狐の火炎は常人に対してならば、いくら弱体化していても十分有効なはず。
志々雄真実からは少しの霊気、妖気も感じられない。怯ませることぐらいならできよう。
火炎が志々雄へと襲い掛かる。
「なんだあ!この程度なのか、化け物の力ってのは!正直…拍子抜けだぜ!」
志々雄は吼えるとともに釣り竿を横薙ぎに振るった。
唸る釣り竿は炎に焼かれるかと思いきや、逆にその狐火をかき消した。
驚愕する玉藻。 馬鹿な!火輪尾の炎を常人がかき消すだなんて!
彼は一つの思い違いをしていた。
志々雄真実とはかがり火を踊らせるほどの剣気を放つ剣客。そんな彼を捕えるには玉藻の炎は力不足であった。
釣り糸だけは燃えたが、竿と本体は全くの無傷。
志々雄は更に釣り竿を鞭のように振るい、玉藻の顔面を狙う。
確かに相手の実力に動揺した玉藻ではあったが、彼もまた実力者である。
冷静に攻撃を見極めて、紙一重の回避。そして、相手の懐にもぐりこむ。
「そちらこそ。妖狐の力を舐めすぎではないか?」
玉藻は釣り竿の中央部をつかみ、志々雄が握る柄のすぐ上を脚で思い切り踏みつける。
地面に叩きつけられ、テコの原理によって折られる釣り竿。
武器破壊。これが玉藻の考えた戦いの制する方法であった。
安堵する玉藻。思えば、先程から焦りを感じすぎであった。もっと落ち着けば無駄に心を削るようなことは無かっただろうに。
玉藻は反省の意味も含め、今の行動を振り返った。
- 448 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:47:15 ID:0ZP+Ehz70
-
しかし志々雄はまだ『余裕』のままであった。
武器を破壊し『油断』した玉藻に、志々雄は蹴りを繰り出す。
敵の突然の攻撃に隙を見せてしまった玉藻は、胸部から踏み潰されるようにして押し倒された。
志々雄は仰向けで倒れた玉藻の上に座り込み――狂った瞳で獲物を睨みつけた。
志々雄は右手に残った折れた釣り竿を、クルリと逆手に持ち直す。
そして組み伏せた玉藻の頭上に、それを高々と掲げた。
――玉藻は二つのことを思い出した。いや、“思い出させられた”のほうがふさわしいか。
その一つは人間界に暮らすようになってから見た、あるテレビ番組の映像。
その番組は、アマゾンかどこかの奥地に棲む狩猟民族のドキュメント番組。
その中で最も勇敢な狩猟戦士は、濁した河に生きる巨大魚に鋭い銛を突き立てていた。
もう一つとは、四百年もの昔、まだ自分が只の狐だったころの記憶。
何の力も持たない弱者であった当時。自分は人間の声に怯え、人間の姿を恐れていた。
そんなある日、一匹の仲間が人間の罠にかかってしまった。その時の仲間は特に力の無い存在に見えた。
そういった大自然の摂理のなか、自分が弱者に組み込まれていたあの頃の記憶。
今の光景にその二つの映像がリンクする。
志々雄の振り下ろす折れた釣り竿が目の前に、文字通り“目”の前に迫ってくる。
近くでなければ気付かなかった、釣り竿の折れ口。
その荒々しくささくれた折れ口が――――――――右目に突き立てられる。
- 449 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:47:55 ID:0ZP+Ehz70
-
「ぐあぁぁああぁああああぁあっ!!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イいたイいたイいたイいたイいたイいたイいたイいたイ
いたイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ――――――
激痛。それが玉藻の脳を支配する。ささくれた木は眼球の更なる奥をかき混ぜる。
脳漿に達したかもしれないそれは、神経に激しい電気を乗せて自分を主張する。
「クククク…ハハハ、ハハ、ハ―――ハッハッハッハ!!」
玉藻に残されたもう一方の瞳に映った志々雄真実は、高く高く笑い声を上げている。
トンネル内に響き渡る声は、玉藻のひどく疲弊した脳を激しく揺さぶる。
彼はもう感覚を忘れていた。自分の顔に突き立てられた一本の棒。
それだけが意識下に存在していた。
狐の異形は転がり回り、包帯の修羅鬼は狂喜している。
まさに地獄絵図。そんな中突然、志々雄の笑い声が止んだ。
修羅の視線の先には一人の少年が。
「お目覚めか、小僧?」
- 450 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:49:56 ID:0ZP+Ehz70
-
跡部景吾はごくごく普通の中学生であった。
普通、といっても彼の家は超が付くほどの富豪であったし、テニスにおいては全国区の実力を持つ者であったが。
そんな彼は記憶を、この世界に来てからの記憶を逆上っていた。
…俺はナルトと一輝と出会い、福岡の無人の市内を探索した。
ナルトが何者かに狙撃され、ビルの中でピエロと化け物に遭遇した。
その後、ピエロは去り、化け物がナルトを暴れるように仕向けた。
理性を失ったナルトを化け物から逃がすために、たしか俺は…
しかし跡部の前に広がる光景は記憶のどれとも重ならないものであった。
何故薄暗いトンネルの中にいるんだ。いつのまにナルトは気絶したんだ。
何故あの化け物は苦しんでいるんだ。奴の顔から生えているものは一体何だ。
そして―――あの包帯の男は一体何者なんだ。
疑問が泡のように頭の中に生まれてくる。ただその泡が消えることは無い。
そして澄み切った一つの事実――――自分たちは今危険だ。
「お目覚めか、小僧?」
ミイラ男がこちらを見ている。その視線はあのピエロの視線によく似ている。
そうあのピエロの放った『殺す』という強い意志の含まれた視線に。
「う、うおおおおおぉぉぉぉ!!」
殺さなければ、こちらが殺される。
大自然の非情なシステムを肌で感じた跡部は、右腕の篭手を突き出しミイラ男に突撃した。
あの一撃が決まれば立ち上がれるはずが無い。そんな希望を掌に託して。
- 451 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:50:53 ID:0ZP+Ehz70
- しかし捕食される運命の生き物が、肉食の野獣に敵うはずも無く。
志々雄は最低限の動きで跡部の突進をかわし、足払いをかけて跡部を転倒させる。
「くくく、勇気ある行動は褒めてやるがな、怖いってのが丸分りだぜ。
緊張と恐怖で動きは硬いし、命のやり取りってのをしたことが無えんだろう?」
志々雄の諭すような言葉。圧倒的優位に立つ者だけに許された言葉。
くそっ。びびってんのは認めてやるよ。
だけどな、これさえ決まれば貴様なんてイチコロなんだ。くたばれ!
転んでもまだ跡部は掌を志々雄に押し当てようとする。
跡部の右手が志々雄の体に触れようとしたとき。
志々雄はその右手首を掴み――掌には触らぬように気をつけ――跡部をうつ伏せの形にしてねじ伏せた。
ひびの入った右腕を捻り上げられ、跡部は苦痛の表情を浮かべる。
「この篭手に……何か仕込んであるのか? 随分必死じゃねえか」
あまりに露骨に狙いすぎた起死回生の一発。
その『何か』に感づいた志々雄は、うつ伏せる跡部の肩を足で押さえ、捻りあげた右手を力一杯引いた。
ゴキッ
嫌な音が鳴り肩が外れる。
「ぐあぁっ!」
跡部の悲鳴。
志々雄はそれに構わず、力なくなった少年の右腕から篭手を剥し取った。
- 452 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:51:50 ID:0ZP+Ehz70
-
「さっきのからすると…掌になんかあんだな」
志々雄は話しながら篭手を自分の右手に装着する。
そして倒れる跡部を今度は仰向けにし、先程の玉藻のときのように組み伏せる。
跡部の心の中は、直前までは生意気な声で満たされていた。
なぜなら自分の弱さを心のどこかで否定していたから。
なぜなら自分だけは大丈夫、という根拠の無い自信があったから。
俺の人生はこんな馬鹿げたゲームで終えるほど安いものではない。
プライドの高い天才的中学生テニスプレイヤーは希望を絶やさなかった。
しかし今の彼にそのような余裕はもう無い。
なぜなら最後の一発逆転の希望を奪われてしまったから。なぜならその一撃の威力を知っていたから。
そして、なぜなら自分のリアルな死を予感することができたから。
一方的に搾取され、一方的に虐殺される。自然界における強者と弱者の間の掟。
その絶対的真実を覆すことなどはできないのだ…
跡部はある種の真理に辿り着いた。もう生き延びようとも思わない。そんな絶望が心を支配する。
黒く染まった心の中には二筋の光が。一つは過去の栄光。氷帝学園のチームメイト達の姿。
もう一つは現在の仲間。ナルトと一輝の二人と一緒に立つ自分。
しかし志々雄真実に与えられた恐怖の前では、どれほどの光も霞んでしまうのであった。
- 453 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:52:21 ID:0ZP+Ehz70
-
跡部の虚ろな表情に志々雄の篭手をつけた右腕が覆い被さる。
「すまねえな。恨むなら、てめえを恨めよ。弱いくせに俺の『道』の前に突っ立ってたてめえをよ」
志々雄の詫びに誠意は感じられない。あくまで社交辞令のような形だけのもの。
そしてその真意には志々雄の信じる正義が込められていた。
その正義が凶器である右掌を少年の顔に押し付ける。そして――――
ズドン
たったこれだけで跡部景吾の命は奪われた。
整えられたその顔立ちに面影は無く、グチャグチャに潰れた『何か』となっていた。
滑らかなブラウンの髪の毛も既に彼のものとは思えなく、ピンクの液体、固体がこびりついていた。
彼の記憶も人生も才能も人格も思想も夢も希望も未来も、全てが一瞬で奪われた。
これがこの世界の弱者の末路なのか。だとすれば…あまりにも理不尽。
そして奪いし男は返り血をペロリと舐めて拭う。
まさかこれほどの威力とは。安慈の二重の極み以上じゃねえか。
予想以上の力に驚きとともに喜びを感じる志々雄。篭手の感触を今一度確かめる。
そして、彼は次なる獲物――うずまきナルト、へ歩み寄る。
その時志々雄の背後に気配が一つ。とても力強い気配がたった一つ。
振り向くとそこに立っていたのは……
- 454 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:52:59 ID:0ZP+Ehz70
-
残された右目で見たものは、跡部景吾の殺害される瞬間。彼の顔面が吹き飛ばされる映像が、網膜に焼き付く。
不甲斐無い自分。誓いも守れない弱い自分。
もう、御終いだ…… 終了を呟く絶望感が痛む脳味噌を停止させようとしていた。
そんな時あの残忍なる男がナルト少年に近づいて行くことに気付く。
まだ御終いじゃない。御終いにしてはいけない。
玉藻京介は再び立ち上がり、隻眼で志々雄真実の背中を射抜いた。
苦痛に耐え、歯を食いしばる。
そして振り向く志々雄を目で威嚇する。その少年に手を出すな、と。
彼を動かすものとは一体何なのか。
同族に対する誇りか。否!それは――――人間への『愛』。
守りたいという強い意志が、玉藻の半死の体を立ち上がらせたのだ。
「そ…しょう………てを……な」
玉藻は既に声を出す能力すら失っていた。あまりにも弱々しく哀し過ぎるその姿。
精密な作戦を考えることも、高尚な術の言霊も諳んじることもできない。
しかし、それでも少年を守りたい。
玉藻は全身の力を振り絞り、志々雄とナルトの間に割って入った。
「さすが化け物。生命力も人並みじゃあないってことか。くくく、これなら充分だ!」
志々雄の正義は、捉え方によっては弱いもの苛めと一緒。だから相手にも強さを求める。
敵と己の命の削りあいの中で、正義を誇りたいのである。
力尽きたと思った化け物からは、まだあふれんばかりの闘志が感じられる。
自らの手で殺すに相応しい敵。志々雄は心を躍らせた。
- 455 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:54:46 ID:0ZP+Ehz70
- 「うらあっ!」
志々雄の両の拳―右手も篭手をつけたまま握り締められている―が玉藻を襲う。
玉藻は命の火が消える覚悟で全身に力を込め―――――――志々雄の攻撃を受けた。
ひたすら攻撃を受ける。膨れ上がる最後の力をもってすれば、志々雄を倒すことも夢ではないのに。
全身に鉄拳を受け、膝を地に付く玉藻。しかし倒れることはなく必死で攻撃を受け続ける。
その姿はまるで壁。いや、“まるで”ではなく“まさしく”壁なのだ。彼は自分の全身でナルトを守る城壁となったのだ。
玉藻の真意に気付くと、志々雄は攻撃を止めた。
つまらねえ。化け物のくせして、抜刀斎みたいな考えをしてやがる。
無抵抗の人間を殴り続けても何の達成感も得られない。一度期待したがために、その落胆は大きい。
そして自分はこの化け物の気まぐれ、奇妙な人間臭さに救われた可能性すらある。
そのことに、もっと言えばそんな自分に憤慨した。
志々雄は心の中の苛立ちに対しさらに苛立つ。
そしてそれを晴らすために、ほぼ無抵抗の玉藻の顔に手を伸ばす。
満身創痍の玉藻はその手を払うことすら叶わない。
志々雄は、目の前の狐面から惨たらしく生えた木の棒を掴み、更に奥へと押し込んだ。
そして妖狐は絶命した。
廃人同然の意識の中、彼は最後に何を思ったのだろう。
盟友、鵺野鳴介の安否か。それとも誓いを守って散った少年、一輝の冥福か。それとも………
玉藻は鵺野と関わり、人の『愛』を知った。
この世界ではその『愛』をもって力を発し、その力を『倒す』ためではなく『守る』ことに使った。
最後まで『愛』を通すことができた男、玉藻京介。
間違いなく彼は、史上最も誇り高かった妖狐であろう。
- 456 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:55:19 ID:0ZP+Ehz70
-
志々雄真実はいまだ眠る少年に話し掛ける。
「運が良かったな。貴様を殺す気が失せちまった。」
淡々と、それでいて威厳を放ちつつ話す志々雄。ナルトが聞いていないことは分かっていように。
「恨みたきゃ恨め。憎みたきゃ憎め。俺は逃げも隠れもしねえぜ」
その言葉には、堂々とした人斬りの自信と、全てを利用する維新志士の自信が含まれている。
死者の置き土産を探る志々雄。そしてナルトの耳元で呟く。
「この世は『弱肉強食』。強ければ生き、弱ければ……死ぬ」
それだけを言い残し、包帯の人斬りは仲間を抱えてトンネルを抜けていった。
―――薄暗いトンネルの中には、少年が一人。死体が二人。
悪鬼に蒔かれた憎悪の種は果たして芽を出すのか、花開くのか。
これを決めるのは唯一生き残ったこの少年次第である。
- 457 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:56:12 ID:0ZP+Ehz70
- 【福岡〜山口間・海底トンネル内/日中】
【志々雄真実@るろうに剣心】
[状態]:全身に軽度の列傷 戦闘による疲労小
[装備]:衝撃貝の仕込まれた篭手(右腕)@ワンピース
[道具]:荷物一式 三人分(水少量消費)
[思考]:1:長時間戦える東北へ向かう
2:無限刃、その他武器を手に入れる (刀が好ましい)
3:少しでも多く参加者が減るように利用する
4:全員殺し生き残る
【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
[状態]:気絶
[装備]:パチンコ@ONE PIECE(鉛星、卵星)、キメラの翼@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式 三人分(水少量消費)
[思考]:1:ゴン蔵の仇を殺した犯人を倒す。(ただし大体の位置が分かるものの犯人はわかっていない)
2:主催者を倒す
3:志々雄について行く
4:仲間を探す(ボンチュー、マミー、バッファ、ウォーズ、ラーメン)
- 458 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:56:46 ID:0ZP+Ehz70
-
【うずまきナルト@NARUTO】
[状態]:気絶 空腹 体力チャクラ大消耗、九尾封印
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
[思考]1、気絶。玉藻に憎しみ。
2、サクラ、シカマルを探す
3、主催者をやっつける
【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜 死亡確認】
【跡部景吾@テニスの王子様 死亡確認】
【残り89人】
*玉藻は妖狐形態で死んでいます
玉藻と跡部のその他の道具は放置されています
- 459 :トンネルを抜けると ◆jcasZ9x.B2 :2006/02/06(月) 21:58:28 ID:0ZP+Ehz70
- >>457 状態表にミス発見 修正します
【たけし@世紀末リーダー伝たけし!!】
[状態]:気絶
[装備]:パチンコ@ONE PIECE(鉛星、卵星)、キメラの翼@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式
[思考]:1:ゴン蔵の仇を殺した犯人を倒す。(ただし大体の位置が分かるものの犯人はわかっていない)
2:主催者を倒す
3:志々雄について行く
4:仲間を探す(ボンチュー、マミー、バッファ、ウォーズ、ラーメン)
- 460 :アルジャーノンに花束を(修正ver)1/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:44:54 ID:a+NzAOU70
- 「だぁ〜〜っ!!誰じゃ、こんなぼろ船で海を渡るとか言いだした奴は!」
「あんただろうが、太公望さんよ!それよりほら、太公望も手伝ってくれ!!」
「わしがやっている事が見えんのか!あぁ〜また水が入ってきおった!!」
いそいそと両手で水を掻き出す太公望であったが、そんなものでどうにかなるような状況ではない。
「富樫!この島はお主の故郷なのじゃろ!何故こうなることがわからんかった!」
「潮の流れなんていちいち覚えてるか!!」
そう怒鳴りつつも、何時折れてもおかしくないオールで力一杯水を捉えて少しでも船を元の航路に戻そうとする。
船を出したときはまだ、順風漫歩の気がしていた。
多少潮の流れがきつかったが、天下の男塾生の相手ではない。
だが、漕いでいる内に状況は刻々と変わっていった。
見る見るうちに脇に見えていた淡路島が小さくなっていくのだ。
丁度淡路島と四国の中間点であろうか。
そこに潮の道が形成されていた。
今までは何ともなかった船なのだが、潮の道に乗った途端急に流され始めたのだ。
瀬戸内の潮流と外海の潮流がぶつかり合って渦潮と呼ばれる渦を形成し、遠心力的な力でもって瀬戸内よりならより瀬戸内に、外海よりならより外海に押す力が働いている。
- 461 :アルジャーノンに花束を(修正ver)1/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:45:29 ID:a+NzAOU70
- 「おい富樫、島があんなに小さくなっているぞ!わしは海の上で干からびて死んでいくのは御免じゃぞ!」
「口ばっかり動かさず、手をもっと動かせ!これじゃ、干からびるより前に沈没する方が早いぞ!」
いつの間にか強くなった波で船の縁から水が少しずつ進入してくる。
仕方なく手で掬って外に掻き出すのだが、入ってくる水の量の方が多すぎた。
しかも、一旦水が入ってしまえば船がその分沈み、荒波で入ってくる水の量も増してくる。
「おぬし、体重を減らすことはできんのか?」
「そんな直ぐに出来るかっ!」
そう、言っている間にも船はどんどん沖に流されていく。
富樫は漕ぐことに精一杯で気付いてはいなかったが、太公望の頭の中では最悪のシミュレーションが浮かんでいた。
(このまま沖に流されれば、逃げたと勘違いされて首輪を爆破される可能性もあるやもしれぬ)
かといって、この最悪の状況下更に打ちのめすような事実を伝えても利はない。
この会話だって実際はお互い貶しあっているわけではない、誰かが直ぐ傍にいるという状況を確認できるという利を考えてしている事なのだ。
どんなピンチの状態でも一人より二人の方が安心感が沸くって奴だ。
- 462 :アルジャーノンに花束を(修正ver)1/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:46:12 ID:a+NzAOU70
- 「――ちっ、埒があかねぇ。太公望、この流れであんた泳げるか?」
「ふっふっふ、誰にモノを訊いておる。池なら兎も角、こんな潮流の早い海で泳ぐことなど出来ようか!」
「だが、俺にしがみ付くことくらい出来るよな」
「ま、まさかおぬし……」
そう言うが早いか富樫はオールを置いて、学ランのボタンを外し始める。
「最初からこうすれば良かったのだ」
褌一丁になると、脱いだ学ランを丁寧にも折り畳みベルトで頭上に固定した。
「船が駄目なら泳ぐまでだ」
太公望が富樫の目が本気だという事を見てとり、説得を諦める。
どうせ、このまま船上にいても沖に出て干からびるか、沈んで魚の餌になるか、首輪の爆発に巻き込まれて跡形もなく消え去るかしか選択肢はない。
「――富樫よ、泳ぐ方向は彼方ではなく此方だ」
太公望の指先が指し示すのは和歌山の方角ではなく、鳴門大橋の方角。
「へっ、潮流に逆らって泳げってか無茶言ってくれる。しかしあんたがそう言うからにはそれが最善手なんだろうな……しっかり捕まっていろよ、流されても知らねぇぜ」
太公望が自分の身体にしがみ付いたことを確認すると荷物を置いて、富樫は大海原に飛び込んだ。
目指すは太公望が指し示した方角、その目標を掴むかの如く富樫の手は前へ前へと、水を掻き出し進んでいった。
- 463 :アルジャーノンに花束を(修正ver)4/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:46:57 ID:a+NzAOU70
- 「で、着いたらこの状況……か」
あのまま和歌山の方角へ泳いでも、横から潮に押され斜めに進んでしまったであろう。
船が丁度良い例だ、あれもなまじ横の体積が大きいからどうしても流されてしまう。
外洋に流されると他の潮の流れの関係や、首輪の事など不安定要素が多過ぎた。
だが身体を流れと逆にすると抵抗は圧倒的に増えるが流されることはなくなる。
その上最短距離だ。
後は適当に泳いでいれば潮に乗って、対岸に着くことが出来る。
普通の人から見たら自殺行為の問題外の選択肢であったが、富樫の並はずれた体力を信じて選んだかいはあったという事か。
ただ海を泳いでいると岸からは丸見えであったという点を点さえ覗けば完璧だったのだ。「普通に橋を渡った方が良かったのぅ」
荷物は全て失われ、身体全身塩でネバネバしている上に、最悪な奴に見付けられてしまった。
「久し振り――と言えばいいのかな?太公望」
目の前にいるのは石崎を殺し、帰る手段を仄めかす藍染惣右介。
何を考えているか解らない不気味な男。
- 464 :アルジャーノンに花束を(修正ver)5/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:51:31 ID:a+NzAOU70
- 「まだ、帰った訳じゃないようだの」
「あぁ最後に少しやりたいことがあってね……どうだい?君も来てみないか琵琶湖へ。其処に脱出を願う人が集まる予定だ」
琵琶湖。
水を飲みに来た人を襲うのかと嘗て思い浮かべた考えた頭を過ぎるが、どうも違うらしい。
それならば、人を集めずともやって来た順に殺せばいいだけである。
「――と、思ったが……」
刀の鯉口をきる音が静かに響き渡る。
「君みたいなのが現れると、万が一ミスが起こるとも限らない」
自分のみが脱出させる事が出来ると先に知れ渡ってはたまらない。
そもそも人を殺しているという事が知れ渡ってしまっては、集まる人も集まらなくなる。
「モルモットにアルジャーノンは要らない。先程の借り、此処で返させて貰うよ」
するりと抜きはなたれた斬魄刀"鏡花水月"が光を反射した。
- 465 :アルジャーノンに花束を(修正ver)6/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:52:56 ID:a+NzAOU70
- 「なに、これから大切な用事があるのでね。君達相手にそんなに時間も力も使っていられないんだよ」
砂浜を相手が一直線に駆けてくるのが太公望の目に入る。
それは余裕の現れか、はたまた何か策があっての事なのか。
取り敢えず太公望が取った行動は……
「三十六計逃げるが勝ちよ、行くぞ富樫!」
力を使っていられない、相手はそう言ったのだ。
そう、使わないのではなく使えないのだ。
太公望はにょほにょほと奇声をあげつつ囮となり逃げ……
「太公望、こいつがどうなっても良いのかね?」
背後の声にはっとして振り向くと、先程で体力を使い果たした富樫が藍染によって捕まり人質となっていた。
- 466 :アルジャーノンに花束を(修正ver)7/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:53:39 ID:a+NzAOU70
- まだ走って逃げる程度は出来そうに見えたのだが、富樫にその体力は残っておらず、見せかけの空威張りだったらしい。
「太公望っ!俺に構わず先に行け、お前はみんなに必要とされる者だ!!」
「ドアホゥ、おぬしをおいて行けるはずもあるまい」
海で流された時、体力が尽きるまで自分を背負って泳いでくれた富樫の広い背中を思い出す。
「――藍染、おぬしの目的は参加者の支給品とその能力だったじゃな。わしらは見ての通りなんにも持っとらん。ならば、何が今度は目的だ」
「ククク、君に其れを教える利があると思っているのかい?」
「あるとも。人質を取っているからには、わしに其れだけの価値があるということだろう」
捕まっている富樫を挟んで二人の視線が静かに火花を散らす。
力対力の戦いではなく、如何に相手の向こう側まで透かせるかの死合。
「君は何か勘違いしているようだ。私はどんな条件を出されても彼を解放する気なんて更々無い。お得意の交渉に持っていこうとしても無駄だよ」
「つまり今回は、わし等を殺すことに意義があると」
前回にはなく今回合うまでに出来た自分達を殺す意義。
だが、支給品を持たない自分達を狙う自分を狙う意図とは?
「――わしらしらしか持っていない物……情報か。おぬしにしか脱出する手段がないという事、だな」
「太公望っ!聞いただろう、お前が此処にいる利点は何処にもない!さっさと退け!」
「しかし、利はないと解っていても退けぬのがお前だ、太公望。違うか?」
勝ったとばかり、微笑む藍染。
そして、反論できずに迷う太公望。
富樫の言うとおり、此処にいて一緒に殺されることに利点は何一つ無い。
だが、先程自分のミスで潮に流されたのを、背負って泳いでくれたのが富樫なのだ。
本当の反撃というのは生き延び、藍染の企みを事前に読んで其れを防ぐことにあるのだろう。
しかし、とてもではないが其の選択肢を……
- 467 :アルジャーノンに花束を(修正ver)8/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:54:24 ID:a+NzAOU70
- 「うぉぉぉぉおおおぉ!!!」
叫び、捕まってから今まで大人しくして溜めていたかすかな体力で富樫が藍染に抵抗していた。
「動くな。この首筋に当てられてる刀が解らないのか!?」
「へっ、死んで本望。死ぬことで太公望が逃げてくれるのならば、幾らでも甦って死んでやる!」
「早まるなっ富樫!!」
その太公望の声を聞き届けた富樫はニヤリと笑い、首筋に当てられていた斬魄刀"鏡花水月"を両手で掴むと、勢い良く腹筋目がけて突き刺した。
「ぬっ!!」
藍染が慌てて刀を抜こうとするが、富樫の両握力と腹筋で挟まれた刀はなかなか抜けそうにない。
富樫は腹に力を込め、声の変わりに血を吐きながら太公望に退けと眼で伝える。
「――すまんの、富樫」
その謝罪は身を挺してまで逃がしてくれようとした事ではない。
富樫の意図を男気を理解して尚、助けに向かう自分の愚かさに謝っていた。
- 468 :アルジャーノンに花束を(修正ver)9/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 18:55:13 ID:a+NzAOU70
- 「藍染!!」
自分の元へ駆けてくる太公望を見て、咄嗟に刀ごと富樫を捨て、腰に差したもう一差しの刀"雪走り"に手をかけた。
相手は刀、それに対して自分は徒手空拳。
元から策も、武器も何も無い。
――刀を抜く。
唯一、相手の行動が読め無防備な瞬間に合わせて身体ごとぶつける。
「ぐっ!」
とても大ダメージを与えるような改心の体当たりではなかったのだが、その衝撃でさえひびの入った肋骨には十分な衝撃であった。
「ほぅ、その痛がりよう。既にダメージを得ているようじゃの」
よろめき膝を付いた藍染を視界にいれつつ、太公望は富樫に駆け寄った。
「た、たい……こ……ぅ」
「おぬしはもう喋るな」
「こ……れを」
血を更に吐きつつ、富樫が差し出した物は嘗て自身の腹に刺していた刀。
「富樫っ!!」
見ると、栓を外された水槽のように、腹に穿たれた裂傷から血が噴き出していた。
これで逃げろと伝える前に刀を差しだして富樫は気を失った。
「――富樫」
疲れと出血から意識が墜ちた富樫であったが、このままでいくといずれ死んでしまうであろう。
自分のミスなのに富樫が体を張って逃がしてくれようとした。
このまま死なせるわけにはいかない。
- 469 :アルジャーノンに花束を(修正ver)10/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 19:00:00 ID:a+NzAOU70
- 「藍染、おぬし帰ると言っていたな」
富樫が差し出してくれた刀を握りしめ、藍染に対して向き直る。
「わしらの世界を調べてそれで、支給品を配布してる様な主催者が脱出方法を残していると思うか?」
起きあがった藍染に対して斬魄刀を振るうが、所詮使い慣れてない獲物。
立ち上がった藍染に難なく捌かれて、今度は太公望が体勢を崩した。
「脱出はするのではない、脱出させる様にするのだ。」
そういって、身体を起こした太公望が藍染にもう一撃と加えに駆ける。
「――何が言いたい?」
「おぬしの脱出方法がなにかは知らんが果たしてそれで大丈夫かの、と」
藍染はその太刀筋を刀身で反らし、太刀筋を外された太公望が隙を生じてしまう。
だが、それに追い打ちをかけない藍染を見て、太公望はかかったと確信する。
そう全て出鱈目であり、はったりである。
- 470 :アルジャーノンに花束を(修正ver)11/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 19:01:27 ID:a+NzAOU70
- 「――わしらには確実に脱出させる様にする手段がある」
「ほぅ」
端から見たら子供と大人の剣の稽古に見えるかも知れない。
力一杯に太刀を構え挑む太公望に、それを見事に捌きつつ相手に手を加えない藍染。
「おぬしなら言っている意味がわかろう」
「はったりかも知れぬその意見を聞くために見逃せと?却下だ」
またも捌かれ砂浜に片膝を付く太公望であったが、その表情はまだ死んではいなかった。
「ふふふ、甘いぞ藍染。わしを殺し、そこに転がっている富樫から情報を手に入れるという選択肢もある」
「――そんな話聞くと思っているのか?」
「先程言ったであろう。脱出はするのではない、脱出させる様にするのだ――この話を聞いた時点でおぬしの負けなのじゃよ」
そう言い終わると太公望は立ち上がり、富樫を人質に取ったときに藍染が見せた勝ち誇った笑みを返した。
「なに、悪い条件ではなかろう。おぬしはこの男を応急処置してこの場さえ助けたらよいのだ」
そう言って太公望は幾度目になろうか藍染に向かって駆け出した。
藍染が同じく幾度目になる様に"雪走り"の刀身で太公望の剣戟を反らそうとした。
だが、幾度と突撃してコツを掴んでいた太公望は"雪走り"の刀身に斬魄刀の刀身が当たった瞬間、手首を返して剣筋を変更して反らされるのを防いだ。
「実際の所おぬしが恐れていたのは、わしの頭脳ってのもあるじゃろ。わしが殺せるのならおぬしにとって悪い交換条件でもあるまい」
鍔迫り合いのまま藍染に顔を近づけてニヤリと笑う。
- 471 :アルジャーノンに花束を(修正ver)12/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 19:02:13 ID:a+NzAOU70
- 「――喰えぬ男だ」
そのまま太公望の刀を上に跳ね上げて、返す刀で一刀の元斬り捨てる。
だが、その顔は決して勝者の表情ではなかった。
試合に勝って勝負に負けた。
結局はこの男の言うとおり脱出させる様にを助けるしかなくなった。
計画を練っていた時からその事は頭にあったのだが、太公望に指摘されることで改めて不安になってくる。
主催者側が大虚の反膜を無効にされていたら自分の手では首輪をどうにも出来なくなる。
なら、この男が実践してみたとおり脱出はするのではなく、脱出させる様にした方が安全性は増す。
問題はその脱出させる様にする方法なのだが、もしも死に損ないの男がそれを知っているのなら儲けものだ。
「――太公望、私の完敗だよ」
そう言って倒れている富樫に歩み寄り、ホイミと唱えた。
力はなるべく使いたくなかったのだが、この男をこの状態から助けるには其れしかなかった。
体力はこの後人集めする時、戦いさえしなければ十分に回復するだろう。
その間この男には適当な場所で眠っていて貰えば良いことだ。
太公望の残した言葉がはったりだろうと真実だろうと、問いただした後にこの男は始末すればいい。
藍染は富樫が頭に付けていた学ランを刀で切り裂くとロープ代わりに厳重に締め上げ、適当な海の監視小屋に突っ込んだ。
計画を邪魔する最大の障害は取り除かれ、更に置きみやげまで残してくれた。
客観的に見れば利点だらけの結果に終わったのだが、藍染の表情は晴れる事はなかった。
- 472 :アルジャーノンに花束を(修正ver)13/13 ◆wTwYJ1x.Jg :2006/02/07(火) 19:02:52 ID:a+NzAOU70
- 【大阪府海岸/1日目・午後】
【富樫源次@魁!男塾】
状態:疲労大。腹筋と両掌に裂傷。出血多量。学ランで緊迫中
装備:
道具:
思考:1男塾の仲間を探す
【藍染惣右介@ブリーチ】
状態:骨一本にひび・中度の疲労(戦闘に軽い支障あり)
装備:斬魄刀@ブリーチ、刀「雪走り」@ONE PIECE
道具:荷物一式(食料二人分 1/8消費)・盤古幡@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
思考:1.琵琶湖に人を集める
2.琵琶湖へ向かう
3.計画の実行
4.富樫から脱出の方法を聞き出す
【太公望@封神演義 死亡確認】
【残り90人】
- 473 :アルジャーノンに花束を:2006/02/07(火) 19:50:03 ID:Kbf8vpGp0
- 怖い映画を借りてきて
あまりの怖さにボリュームを落とそうとリモコンのボタンを押したら
画面にカタカナで
「 オ ン リ ョ ウ 」
- 474 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:00:15 ID:GnP6V3PA0
- ──わしは・・・死んだ・・・のか?
──ここはどこだ?
──見渡す限りの闇
──これが死?
「よう」
静かなる部屋に凛と響き渡る声が突如した。
その声の方向を向けば、闇の中に一人の男が佇んでいた。
- 475 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:00:49 ID:GnP6V3PA0
- 「王天・・君?」
そこに居た男に、先ほどまで参加していた最悪のゲームに名を連ねていなかった男に太公望は驚きを隠せなかった。
「オメーの魂魄はこの空間に閉じ込めた」
そう静かに言い放った。
少しの静寂が空間を満たしたあと
太公望は少し落ち着きを取り戻そうとしていた。
「ふむ。一つ聞きたいが、わしはまだ死んでおらぬのか?」
「まぁ、そう急ぐなよ。話をしようぜ。何の話がいい?
そうだな、さっきまでオメーが参加していたゲームの話なんてどうだい?」
そういうと王天君はそう言い放つとニヤリと口元を歪めてみせた。
「俺は、ゲームにこそ参加できなかったがお前たちが経験していたことを感じていたよ」
「感じていた?」
「お前ももう気づいているんだろ?オレはあんたの心の闇を映す鏡、あんたはオレの心を映す鏡だってことがな」
突然の言葉に太公望は動揺を隠せなかった。
「な、何を言っておる!い、意味が分からぬ。おぬしの言いようを聞いておるとまるで・・・」
「まぁ、待て順序立てて話してやってやるよ」
「・・・このゲームとはなんなのだ?」
太公望は己の境遇よりも、まず皆のことを思って行動するできるように質問した。
「オレも詳しくはわからねえ・・・。お前らが送られた場所も、『主催者』の居る場所も詳しくはこちらからじゃ感知できなかった。
だが、オレはこれと似たようなことをしていたやつを知っている」
それは新たな事実であった。
それから王天君は、自分と太公望がかつて一人の人間・・・「始まりの人」の一人であったこと、
そして女禍という歴史を操り続けてきた人の話を聞いた。
「それでは・・・わしらの世界は何度もその女禍というものによって繰り返されていたというのか!?」
「まぁ、そういうこった。そしてこの主催者も女禍と同じ・・・または似たような力を持ってゲームを操作しているんだと思う」
しばしの思案のあと
「ということは、女禍と同じようにこの世界のどこかから奴らはワシらを操っているということか!?」
「まぁ、その可能性が高いってこったな」
- 476 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:01:44 ID:GnP6V3PA0
- 王天君と会ってから、早3時間は経っただろうか。太公望はある不安が頭をよぎった。
「王天君、ゲームは・・・ゲームの状況はどうなっとる!?」
太公望は仲間の冨樫のことを思い出した。
(あやつ・・・まさか死んでおらぬだろうな・・・)
「ふっ、安心しな。この空間は外界とは時間の流れが違う。向こうではまだ1秒も経ってないはずだ」
太公望は少し安堵したような表情をみせた。
「それで・・・王天君よ。ワシはどうすればいい・・・?」
王天君口元に相変わらず笑みを浮かべながら、それでいて少し疲れたような・・・悲しいような表情を垣間見せた。
そして二人だけの静かなる世界に終わりを告げるかのようにはっきりとした口調で言った。
「王奕に戻ろうぜ。肉体がまだ向こうに残っている以上、今ならお前と融合して一つになることであの世界に帰ることができるだろう。」
「・・・嫌じゃ。・・・と普段なら言っておるところじゃが、肉体が無ければ公主も冨樫も守れぬからのう」
それはある種の決意が込められていた。どうなるかなどわからない。自分が自分ではなくなるかもしれない不安。
死よりも苦しいかもしれぬ行い。
そんな不安を押し殺してはっきりと言い放った。
「融合しよう王天君」
王天君はこうなることがわかっていたかのように、満足気な顔をしていた。
そして二人の手が合わせられる。
二人だけの静寂な世界。いや、元は一つであったのか。
静寂をかき消すかのような光。
万物の闇を打ち消すかのような力強い光がその空間を満たした。
- 477 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:02:49 ID:GnP6V3PA0
- ─── ざばーん、ざばーん
波打ち寄せる浜辺に、一人の男が立ち上がった。
彼の人の名は王奕。かつて太公望と呼ばれた男。
力を持つことで、心に闇を持つことで・・・いや持ったからこそ放てるオーラがある。
人を引き付けるオーラ。
彼の人はこのゲームの舞台に再び降り立った。
- 478 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:06:53 ID:GnP6V3PA0
- 【太公望(王奕)@封神演義】
[状態]健康
[道具]:無し
[装備]:無し
[思考]1:冨樫と合流
2:信頼できる仲間を探す
3:脱出方法を見つける
- 479 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:09:02 ID:GnP6V3PA0
- 修正
>>474-478
タイトル:傍観者、いざ出陣せん
- 480 : ◆drwetRDQqY :2006/02/07(火) 20:12:19 ID:GnP6V3PA0
- 更に修正
>>477-478
─── ざばーん、ざばーん
波打ち寄せる浜辺に、一人の男が立ち上がった。
彼の人の名は王奕。かつて太公望と呼ばれた男。
変わったのは、名だけではない。
彼の人は力を得た。
彼の人は心に闇を持った。
彼の人はもはや「太公望」ではないのかもしれない。
【太公望(王奕)@封神演義】
[状態]健康
[道具]:無し
[装備]:無し
[思考]1:状況確認
- 481 :作者の都合により名無しです:2006/02/07(火) 20:22:12 ID:GNiK9/b10
- >>460-472
こちらは作者が来るまで暫定NG
>>474-480
無効です。
- 482 :作者の都合により名無しです:2006/02/07(火) 20:26:46 ID:h+grVvOb0
- >>481は無効です
てか作者来ただろ、ボケが!
- 483 :作者の都合により名無しです:2006/02/07(火) 22:18:42 ID:LCVP1hfC0
- >>482は無効です。
- 484 :作者の都合により名無しです:2006/02/07(火) 22:40:07 ID:IVxBWP7iO
- >>483は無効です
- 485 :作者の都合により名無しです:2006/02/07(火) 23:06:23 ID:ZmUMa2Fz0
- >>484は無効です
- 486 :作者の都合により名無しです:2006/02/07(火) 23:34:44 ID:vFr5S+270
- ナルト「うおぁぁあああああ!」気絶から解放されたナルトは九尾の力を解放、去って行くシシオの首を・・真っ二つに切り裂いた。
ナルト「うおぁああああああああああああ!」
シシオ 死亡確認
- 487 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 00:00:08 ID:/QkaD5Vn0
- 撃破キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
- 488 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 00:10:01 ID:gd2Dg7feO
- >>485は無効です
- 489 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 00:19:24 ID:VY4CIBdd0
- >486は有効です。
- 490 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 00:38:03 ID:hMT1FHjj0
- >>486は保留です。
- 491 :血溜まる部屋、そして恐慌の世界 ◆2XEqsKa.CM :2006/02/08(水) 01:27:16 ID:BXJ1lWfW0
- その部屋には血が溜まっている。明らかに人間用のサイズではない牢に、仰々しい言語が書かれた札。そして、その内には―――――。
「―――――?」
その少年が目を覚ましたとき、最初に目に入ったのは赤色だった。
周りの薄暗さなど関係なく、ただただ紅い。
赤色が、目の前に迫っている。
「俺ってば――確か―――」
ズキン。
何かを思い出そうとすると、頭が痛んだ。一瞬思考を止め、また思い出そうとする。
確か――殺し合いの舞台に立たされて――ズキン―――跡部と、一輝に会って――――銃声―――激痛―――ズキン!―――ピエロと全身タイツ―――同属の男―――殺す―――同属?違う!俺は!―――――ズキン!!!!!!
少年は、起き上がった。
薄暗い周りを見渡すと、跡部が履いていた靴と、そこから伸びる足が見えた。
「跡部!」
少年は、この世界で初めて出会った、同い年の仲間の名を呼び、彼に近づいていく。
1歩。
2歩。
3歩目で、少年は友の顔を見た。
顔のあるべき場所を見た。
しかしそこには、顔はなく、見えるのは紅い血と、それよりもずっと紅く見える【何か】が在るだけだった。
「え」
少年は、それを目にした瞬間、先ほど思い出せなかったことを思い出す。
――――グウゥ・・・!!ウオオオオオオオオオ・・・!!―――――。
- 492 :血溜まる部屋、そして恐慌の世界 ◆2XEqsKa.CM :2006/02/08(水) 01:27:51 ID:BXJ1lWfW0
- 「違う」
少年はとっさに言葉で自分の考えを否定する。
「あいつだってばよ!あいつが殺したんだ!」
後ずさり、何かを踏みつける。ぐにゃりと、肌と肉の感触。いくつかに分かれている。
「―――――手?」
誰の手だ?まさか、一輝もあいつに――?
振り向いて、少年は見る。―――彼言うところの【あいつ】を。
化け物ながら、美しさを残していた風貌は見るも無残。
半眼に刺さる棒切れ、全身に残る打撲傷。
「あ、あ、あああああああああああっ!」
何故こいつが死んでいる?
(その答えは明白だろう)
(我等がこいつを殺した)
(その少年も―――――)
「俺じゃ、俺じゃない!」
(殺したいと望んだだろう?)
(ならばどちらにせよ同じこと)
(もう何も考えるな)
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
少年は走り出す。必死で自分の内から聞こえる狂気の声から逃れようと、ただ走る。
荷物も何も放り捨て、疲労すら忘れ、ただ駆ける。
- 493 :血溜まる部屋、そして恐慌の世界 ◆2XEqsKa.CM :2006/02/08(水) 01:28:27 ID:BXJ1lWfW0
- どのくらい走っただろうか、少年は立ち止まる。
まだ狂声は止んでいない、ならば何故立ち止まったか。
足元に、瓦礫に埋もれている人間が居たからだ。
足だけが見えている。
「・・・・・・この、服、は」
確か、自分達を襲った、ピエロの男の物。
周りを見回すと、目に映るのは自分がいた市街地。
「何だ、そんなに走った訳じゃ・・・」
言いかけて、がらり、と瓦礫が崩れる音がする。
――――罠か!
とっさにそこから離れると同時に、体をそちらに向ける少年。
狂気に満ちたピエロの貌。ピエロの首。ピエロの肩。ピエロの腕。ピエロの腹。
だが、その下には何もない。
「・・・・・・」
少年は、足だけが見えている人間の足を、半ば投げやりに引き摺る。
ピエロの足先。ピエロの足首。ピエロの腿。ピエロの尻。ピエロの腰。
そして、その上には何もない。
強引に絶対的な力でぶち切られている。
こんなことが人間にできるのか?
(人間には難しいだろうなぁ、小僧)
「黙れ」
少年は、平静を保つため、何度か深呼吸をする。
そして、自分の記憶に最後に残る建物へと入った。かすかな希望を持ちながら。
- 494 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 01:30:08 ID:hMT1FHjj0
- 残念ながら今書かれているSSは無効です。
- 495 :血溜まる部屋、そして恐慌の世界 ◆2XEqsKa.CM :2006/02/08(水) 01:31:36 ID:BXJ1lWfW0
- 記憶を頼りに、少年は自分のいた部屋を探し当てた。ドアの前で立ちどまる。
(たのむ、一輝・・・俺がやったんじゃない、そう言ってくれ!)
ガチャリ
(ああ、よかった!)
一輝はそこにいた。こちらに背を向けて、立っている。背中に血痕がついている、怪我したなら早く治療しないと―――。
駆け寄って少年は声をかける、返事が返ってこない。
「一輝?」
体力を消耗しすぎて立ったまま気を失っているのか?
少年は、無意識に一つの結論を避けて考える。
それは、防衛本能ではなく、逃走本能。
少年は立ち尽くす一輝の正面に回る。
焦点が合わず、瞳孔の開いた目。胸部に、正面から見て初めて判る握りこぶしより少し小さな穴が。まるで、鋭利な爪が貫いたかのように。
一輝は死んでいた。
――――結論は、出た。
「俺が殺した」
(そうだ)
「仲間も、敵も」
(見境なしに)
「何が九尾だ、そんな物は関係ない。――――殺したのは、俺だ」
(ここに、来い)
少年、うずまきナルトは意識の底に沈んでいく。
- 496 :血溜まる部屋、そして恐慌の世界 ◆2XEqsKa.CM :2006/02/08(水) 01:33:02 ID:BXJ1lWfW0
- その部屋には血が溜まっている。明らかに人間用のサイズではない牢に、仰々しい言語が書かれた札。そして、その内には―――――。
巨大な気に、それに恥じぬ巨体。【尾獣】と呼ばれる中でも格段の能力を持つ、大妖怪。
名を、【九尾の狐】。
(小僧、念のためにもう一度聞く、何をしにここに来た?)
その大妖怪は、一人の人間と会話をしていた。
「力がほしいんだってば・・・」
人間、うずまきナルトは淡々と答える。人形のように変化なき表情で。
(力か。何故欲す?)
「・・・生き残るため、死なないため」
(ふん・・・それでは駄目だな。正直に言え、後一回だけチャンスをやる)
ナルトは、しばし黙った後、打って変わって感情的に喋りだした。
「俺が、跡部を、一輝を、仲間を殺したんだってばよ!自分の知らない内に!抑えきれないんだ、てめぇの力が!」
「だから、きっと俺は殺しちまう!シカマルも、サクラちゃんも!こんな気持ちにはもうなりたくないんだよ!もう何も考えたくないんだ!俺はサクラちゃんを殺した後――――正気に戻りたくなんてない!!だから、もう二度と俺に戻れないぐらいの、チャクラをくれ!!」
ナルトは、全てを吐き出した。九尾が満足そうに眼を細める。
(クァハハハハハハハ!愉快、愉快!貴様が前に来たときとはまるで違うではないか!それでこそわしの人柱よ!)
(だが―――――)
九尾は、とてつもない怒りの念を顕にする。
(この下らんゲームの主催者どもの仕業か、九尾のチャクラがせいぜい二割程度しか出せん)
「じゃあ、駄目なのか!?」
ナルトは焦る。それを見て、九尾はニタリと笑う。
(案ずるな、貴様の望みは叶う。心の底から、わが開放を望め。主催者ども、元から掛けられていた封印すら弱めておる)
(もう一つ、この世界で貴様がかけられた封印は、わしが解除してやる。そうすれば、チャクラと体は無理でも、意思だけなら交換できる。)
「お前の、解放・・・・・・」
(怖いか?)
ナルトは、自分の世界で今まで出会った人々の顔を思い出す。
イルカ先生―――――。許してくれ、なんて口が裂けてもいえない。
エロ仙人 ――――――。俺、やっぱり火影になれない。
我愛羅――――――――。お前に、偉そうなこと言って、俺はこれだ。
サスケ――――――――。大蛇丸は、九尾がここで殺す。せめて、お前だけでも元に戻ってくれ。
「いや――――やるってばよ」
かくしてナルトは、自分の全てから逃走した。
- 497 :血溜まる部屋、そして恐慌の世界 ◆2XEqsKa.CM :2006/02/08(水) 01:33:45 ID:BXJ1lWfW0
- 太陽が少し傾いた頃、廃墟と化した部屋で一人の少年が立ち上がった。
「さーて、まずはチャクラの回復からだってばよ」
その口調は、うずまきナルト。
(こうもうまくいくとはな。壺毒の世界で、小僧の邪気が高まった、と言ったところか)
その心は九尾。
「見てろよ主催者め!必ずみんなの敵はとってやるってばよ!あの狐野郎、簡単に死にやがって!」
(主催者ども――――――このわしをこのような見世物にした落とし前と、表に出させてくれたお礼、紅蓮の業火で同時に清算してくれる。
だがまずは――――あの同属!わしの一尾分にも匹敵するチャクラが込められた尻尾、アレなら奴が死した後もそこそこチャクラが残っているだろう)
こうして、九尾は血溜まる部屋から抜け出し、ナルトは恐慌の世界から抜け出したのであった。
【福岡県(市街地)/2時過ぎ】
【うずまきナルト@NARUTO】
[状態]:空腹 体力チャクラ大消耗、九尾の意思
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
[思考] 1、主催者を殺害する
2、サクラ、シカマルを探し、可能なら利用する
3、玉藻の尻尾(玉藻がぬ〜べ〜世界で九尾の狐からもらった命。)を喰らい、チャクラを回復する。
4、参加者はチャクラが十分なら積極的に殺害する
[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。肉体的に瀕死、またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)
玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたと言う見解です。
そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。
あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。
- 498 :誘導:2006/02/08(水) 14:16:03 ID:EclbMZ3i0
-
ジャンプキャラ・バトルロワイアル感想議論スレ PART.13
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1139374634/
- 499 :三つ首の竜(ドラゴン) ◆KM6UV2z/Zo :2006/02/08(水) 18:29:12 ID:kWQ/E3KD0
- 太公望が殺された。
凶報が届いた時、いぶし銀はナイフを研いでいた。
彼は普段からナイフをいじくっている。
──これさえあれば俺だって漫画キャラクターみたいに強くなれる──
という浅はかな妄想に浸るために。
しかし、太公望を殺された事を知ったいぶし銀は沸騰する。
馬鹿な。
太公望が死ぬ………?
ありえん。
川が高い所から低い所へと流れるように─────
地球が太陽の周りを回っているように─────
俺が世界中の人間から愛されているように─────
太公望はあの下賤なるバトルロワイヤルを看破し、強大無比な主催者を打倒する筆頭であるはずだ!
いや、なければならない!
これは法則である。
法則を乱す輩は<<死>>あるのみ。
「<<三頭政治>>を召集せねば!」
三頭政治──バトルロワイヤルを運営する影の支配者3名。
彼らの権力は(ネット上では)絶対とも言われている。
真っ赤に充血した目つきで、いぶし銀は二件しかアドレスが入っていない携帯電話をかけた。
その相手とは<<悪ノリ五光石>><<死神ゲドー>>。
- 500 :三つ首の竜(ドラゴン) ◆KM6UV2z/Zo :2006/02/08(水) 18:29:50 ID:kWQ/E3KD0
-
悪ノリ五光石は電話を受け取った。
彼はグラビアアイドルのポスターにアレを押しつけるという、
変態プレイの真っ最中だったが、バトルロワイヤルの危機ならば中止も止む無し。
「おう、すぐに向かう!」
死神ゲドーも電話を受け取った。
彼は孤独である。彼は誰も必要としない。
ただこれは、彼が誰にも必要とされていない現実を認めたくないから言っているだけなのだが。
とにかく、死神ゲドーも電話を取った。
「ラジャー、俺達のバトロワを守ろうぜ!」
- 501 :三つ首の竜(ドラゴン) ◆KM6UV2z/Zo :2006/02/08(水) 18:30:43 ID:kWQ/E3KD0
- かくして三頭政治は集まった。
集合場所はファミレスでも喫茶店でもカラオケボックスでもない。
夜の公園。彼らは金がないので、会議はいつもここで行うのだ。
「会議を始める」
いぶし銀が爪をナイフでグリグリと削りながら喜ぶ。
「太公望が殺されたんだって?」
死神ゲドーが裏返った声で言った。彼は緊張すると声が裏返るのだ。
「許せねぇ…俺達がいなければ、奴ら、何も出来ねぇ蛆虫じゃねえか」
悪ノリ五光石が怒りを露にする。
「うむ、何としても太公望を生き返らせるか、死んだのをなかった事にせねばならん」
彼らトリオにとって太公望は神。
彼らトリオは神に仕える神官。
何としても、殺してはならない。
神がいなくなれば、世は混沌が蔓延し、滅亡は火を見るより明らかである。
「みんなネットに繋げぃ!砲撃!」
まずトリオは、渦潮に目をつけた。
渦潮にミサイルを集中砲火し、渦潮は爆砕された。
第2次攻撃は藍染。完全催眠に対し寝る間も惜しまず抗議メールを送り、藍染をノイローゼにすることに成功。
第3次攻撃はボロ船。爆撃機で休まずナパーム弾を射込み、何とか撃沈。
- 502 :三つ首の竜(ドラゴン) ◆KM6UV2z/Zo :2006/02/08(水) 18:31:34 ID:kWQ/E3KD0
- 以上でだいたい主力は潰したが、悪の芽は根から絶たねば意味が無い。
徹底的に焼き尽くす。彼らのモットー【弱い者に強く、強い者に弱く】
挙句、太公望殺したらこのスレで書くの止めると脅迫文を送りつける徹底振り。
稀に天才的な理論屋が完璧な理論で反論してくるが、そういう奴は、
「そもそも質が悪い」
と一蹴する。
神は絶対なのだから。
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」 「NG!」
NGコールを録音したラジカセを真夜中に流す嫌がらせだって忘れない。
引越しおばさんありがとう!
- 503 :三つ首の竜(ドラゴン) ◆KM6UV2z/Zo :2006/02/08(水) 18:32:06 ID:kWQ/E3KD0
- 【ネット/バトロワスレ/一日中】
【チーム名=三頭政治】
【いぶし銀@現実世界】
[状態]不健康(いつも顔色が悪い)
[装備]ナイフ@刃渡り15センチ
[道具]パソコン
[思考]1:太公望を復活させる
2:いずれビッグになってやる
【死神ゲドー@現実世界】
[状態]不健康(インポ)
[装備]汚れたブリーフ@100円ショップ
[道具]パソコン
[思考]1:太公望を復活させる
2:ピザを腹一杯食べる
【悪ノリ五光石@現実世界】
[状態]不健康(ドライアイ)
[装備]哺乳瓶@これを使わないと飲み物を飲めない
[道具]パソコン
[思考]1:太公望を復活させる
2:封神演義は実際にあった話だと信じている
- 504 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 18:46:35 ID:pwsnIyT0O
- >>499-503
どう見ても無効です。本当にありがとうございました
- 505 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 20:42:22 ID:jxTfLZ280
- >>460-473
「アルジャーノンに花束を」は議論スレの議論の結果無効になりました。
- 506 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 21:06:09 ID:6hir8hvN0
- 議論はまだ終わっていないので、>>505は無効です。
- 507 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 21:08:02 ID:SIFQabtO0
- >>506は無効です
- 508 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 21:19:29 ID:6hir8hvN0
- 議論はまだ終わっていないので、>>507は無効です。
- 509 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 21:28:01 ID:zMS6Dhg00
- >>506は無効です
- 510 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 21:33:53 ID:6hir8hvN0
- 議論はまだ終わっていないので、>>509は無効です。
- 511 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 21:39:00 ID:qw3PspAG0
- >>506は無効です
- 512 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 22:25:41 ID:6hir8hvN0
- 議論はまだ終わっていないので、無効宣言はは無効です。
- 513 :作者の都合により名無しです:2006/02/08(水) 22:27:02 ID:68Cz2PCJ0
- 6hir8hvN0はただの荒らしなので、6hir8hvN0の発言は全て無効です。
- 514 :発狂 ◆wUsugvmOUY :2006/02/09(木) 02:01:53 ID:dE2qSYof0
- なんで太公望殺すんだよ!
ルックス良し、性格良し、知能も東大生以上。なんで殺すんだよ!
完全版だって出てるし、なんで殺すんだよ!
なんで太公望殺すんだよ!
死神如きに殺されるわけねーだろ!
BLEACHなんて白いだけじゃねーか!
トーンも使えない漫画家が描いたザコキャラに、なんで太公望が殺されるんだよ!
分かってんのか、おい!
そもそも死神ってなんだよ!
道士と死神、どっちが強いかなんてわざわざ比べるまでもないだろ!
なんで太公望が殺されるんだよ!
太公望は強いんだよ!
頭良いんだよ!
風とか操るんだよ!
始まりの人なんだよ!
孫悟空みたいな頭からっぽ猿や、ルフィみたいな伸びるしか能のないクズと一緒にすんな!
なんで太公望殺すんだよ!
だいたい今回だって富樫とかいうザコだけ死んでりゃ良かったんだ!
男塾なんて三流漫画と封神を一緒にすんな!
なんで殺すんだ!
太公望は他の漫画キャラのメシアになるんだよ!
大抵漫画の主役って、無駄にキザだったり熱血だったりする!
でも太公望は違う!
ギャグもやれるし、シリアスもやれる、オールマイティな存在なんだ!
分かってんのか!
そして脱出して、王天君と合体して主催者を倒すんだよ!
そして復活の玉でみんなを生き返らせてめでたしってやりたかったのに!
なんで殺すんだ!
分かってんのか!
太公望は死なない!
- 515 :発狂 ◆wUsugvmOUY :2006/02/09(木) 02:02:58 ID:dE2qSYof0
- 分かってんのか!
そして脱出して、王天君と合体して主催者を倒すんだよ!
そして復活の玉でみんなを生き返らせてめでたしってやりたかったのに!
なんで殺すんだ!
分かってんのか!
太公望は死なない!
こんなバトロワなんかよりよっぽど過酷な修羅場を生き抜いてきたんだ!
死ぬわけがない!
なんで殺すんだ!
責任者、出てこい!
だいたいバトロワなんて無意味なんだ!
太公望が活躍すりゃいいんだ!
でも、一応他の漫画も立ててやるためにわざわざ参加してやってんだ!
ふざけんな!
今すぐ太公望を生き返らせろ!
じゃなきゃ、どんな手を使ってでもこのバトロワを潰す!
後継者なんているか!
ヒッキーL如きが太公望になれるか!
が…ま…とか言って死んでりゃいいんだ!
太公望を生き返らせろ!
なんで殺したんだ!
嫉妬か!
太公望が優れすぎてるから、嫉妬なのか!
ふざけんな!
お前ら如きが嫉妬して良いキャラじゃないんだ!
ひれ伏せ!
敬え!
なんで殺した!
絶対NGにしてやる!
- 516 :発狂 ◆wUsugvmOUY :2006/02/09(木) 02:03:37 ID:dE2qSYof0
- 【いぶし銀@現実世界】
[状態]狂戦士化
[装備]封神演義全巻@拝見用・布教用・保存用
[道具]指サック
[思考]1:太公望崇拝
2:太公望を侮辱するSSの排除
3:太公望による主催者打倒エンドは全部私一人に書かせて下さい
4:他バトロワ住民への軽蔑
5:某所では静観すると言いましたが、実はNGNG言いまくってました
6:封神キャラはみんな俺が守る
7:横山光輝の殷周伝説は糞
- 517 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 07:09:03 ID:FlNqzFWA0
- >>516
バロスwwwwwwwwwww
- 518 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 08:14:19 ID:qNsL6pvd0
- >>516
テラワロス
- 519 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:08:42 ID:g3rKwx280
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- 520 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:09:56 ID:g3rKwx280
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- 521 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:10:41 ID:g3rKwx280
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- 522 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:11:43 ID:g3rKwx280
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- 523 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:12:36 ID:g3rKwx280
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- 524 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:17:37 ID:M74BNzI/0
- 分かってんのか!
そして脱出して、王天君と合体して主催者を倒すんだよ!
そして復活の玉でみんなを生き返らせてめでたしってやりたかったのに!
なんで殺すんだ!
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だいたいバトロワなんて無意味なんだ!
太公望が活躍すりゃいいんだ!
でも、一応他の漫画も立ててやるためにわざわざ参加してやってんだ!
ふざけんな!
今すぐ太公望を生き返らせろ!
じゃなきゃ、どんな手を使ってでもこのバトロワを潰す!
後継者なんているか!
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ひれ伏せ!
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- 525 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:24:31 ID:M74BNzI/0
- 分かってんのか!
そして脱出して、王天君と合体して主催者を倒すんだよ!
そして復活の玉でみんなを生き返らせてめでたしってやりたかったのに!
なんで殺すんだ!
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だいたいバトロワなんて無意味なんだ!
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でも、一応他の漫画も立ててやるためにわざわざ参加してやってんだ!
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今すぐ太公望を生き返らせろ!
じゃなきゃ、どんな手を使ってでもこのバトロワを潰す!
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- 526 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 10:33:42 ID:raJMiOKq0
- 太公望厨乙
- 527 :作者の都合により名無しです:2006/02/09(木) 11:28:11 ID:+YAs//5j0
- そして孫ごくうが生き残る
- 528 :リバーザー:2006/02/09(木) 12:15:18 ID:ZGIs8hQ+0
- ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/6133
↑のTRPG掲示板の管理人です。
このサイト、不評で人が来ないから漫画「リバーズ・エッジ」の街を舞台にした
戦いのフィールドにしましょう。GURPSというTRPGさえ覚えたら、
その汎用ルールと、そのゲームに熟練した僕が作った掲示板のハウスルールでどんなキャラクターでも対戦や乱戦が出来ます。
これ、色んなところにもコピペして人を募ってください。岡崎京子ファンとかが居ても
趣旨は変更になった旨お伝えください。
- 529 : ◆ydnwjktyVk :2006/02/09(木) 13:21:21 ID:26RwxeCs0
- コンコン。
「失礼します」
とある新人作家が、社長室に入ってきた。
「あ、あの………作品を書いてきました」
とても緊張している。
緊張をほぐすように、社長はにっこりと笑った。
新人作家はほっと一息つき、封筒に入った原稿を差し出す。
「新人はすばらしい…未来を───可能性を───秘めていますから」
社長は原稿を読み始めた。
ところが、菩薩像のようであった社長の表情がみるみるうちに鬼の形相へ変化する。
「これは…どういう事かな?」
「え!?」
「何故、太公望を書いている…?」
「だって、バトロワの登場人物ですから………」
「馬鹿がッ!!!!!」
社長は新人作家の髪を鷲掴みにし、頭を机の角に何度も何度もぶつけた。
「太公望を書いて良いのは俺だけなんだ!!!」
額から血がドバドバと流れ出る。
「てめーらクズ作家はどうでもいいキャラだけ書いてりゃいいんだ!!!」
頭蓋骨が割れる。
「分かってんのか、あぁ!!!??」
脳味噌が垂れ流れる。
新人作家はとうに絶命していたが、怒りは収まらなかった。
- 530 :銀色の悪魔 ◆ydnwjktyVk :2006/02/09(木) 13:21:57 ID:26RwxeCs0
- 「フゥ……フゥ………」
社長がベルを鳴らすと、すぐさま忍者っぽい格好をした人間が飛んできた。
「隠者です。いぶし銀様、任務をどうぞ」
「あぁ………またやってしまった。死体を処理してくれるか」
「仰せのままに」
隠者は死体を持ち去り、消えていった。
すると、カーテンに隠れていた死神ゲドーが笑い掛けてきた。
「またやったのか、いぶし銀。これで何人目だ?新人を潰したのは」
「いちいち覚えてられるか。ゴミを何g捨てたか覚えてる奴なんているか?」
「そりゃそうだ。でも、何故太公望に拘る?あれだって漫画キャラに過ぎないだろ?」
いぶし銀は死神ゲドーを睨み付けた。
「太公望は漫画のキャラなんかじゃない。唯一神だ!!!
我ら凡庸で卑小で下劣な万民を救ってくださるイエス・キリストだ!!!
藤崎竜とて太公望様によって漫画を描かされていただけの事!!!
そして、彼を小説として書いていいのは、神の申し子である私だけなのだ!!!!!」
迫力だけで死神ゲドーは漏らしていた。
すると、カーペットに隠れていた悪ノリ五光石が出てきた。
「しかし、どうする?このままでは新人はいなくなるぞ」
「全く問題ない。後は私が全部書く」
「それじゃリレーじゃないだろう」
いぶし銀は悪ノリ五光石を睨み付けた。
「リレー!? はなから俺はそんなものをするつもりはない!!!
クズ作家共はクズキャラを適当に消去してりゃ良かったんだ!!!
それなのにどんどん図に乗って、俺が書くはずの太公望まで書きやがる!!!
そして、彼を小説として書いていいのは、神の申し子である私だけなのだ!!!!!」
悪ノリ五光石は跪いた。
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