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【2次】漫画SS総合スレへようこそpart34【創作】

108 :やさぐれ獅子 〜十一日目〜:2006/02/03(金) 18:56:11 ID:/O6llOtV0
 恐怖と疑念。ふたつが渦巻く両者のやり取りには、半ば濁った気配がたむろしていた。
ジャブを寸止めし合うが如き、痛みこそ伴わない間接的な緊張感。
 本音と建前を使い分け、あくまでも弱みは出さず、切り札も出さず。
 お互いに「いつ来るか」と逃げ腰で刹那的に対応しているので、会話は耳に入っては抜
けていく。あとでどんな話をしたかを質問したら、まずまちがいなく「覚えていない」と
返ってくるだろう。
 男女による、命と貞操を賭けた大一番。ずるずると長引き、日没まで食い込んでしまっ
た。
「……すっかり話し込んじゃいましたね」
「え、あぁ。もうすっかり暗いな」
 井上が島に出現してから、分針が三周はしただろうか。
「ここは電気もねぇし、朝も早い。もう寝るとするか」
「えっ!」過剰に反応する井上。
「いや、変な意味じゃねぇぞ。誤解すんなって!」同じく過剰に反応する加藤。
 気まずく、黙り込む二人。特に井上にとっては深刻なミスであった。今の過剰反応が、
むざむざ加藤の心に眠る狼(ウルフ)を呼び覚ましてしまったのではないか、と。
「わ、分かってますよ。ただ、いつもどうやって寝てるのかな、と思いまして……」
 これで上手く取り繕えるか、と加藤を見やる井上。
「え、もうこのまま眠るんだよ。暖かいから布団もいらねぇ。さっき、話したろ?」
 しまった。井上は痛感した。もし、会話した内容を覚えていないことを悟られれば、機
嫌を損ねてしまうかもしれない。すなわち、危険
 しまった。加藤もしくじったような表情をする。そういえば、まだ話してなかったかも
しれない。曖昧な記憶を辿っても、答えは出てこない。なにせ、なにを喋ったかなど九割
五分は忘れてしまっている。あまり適当に相手をして、監視が届かないところへ行かれる
と厄介だ。
「あっ、思い出しました! さっき、おっしゃってましたよね。ごめんなさい!」とっさ
に、保身のため嘘をつく井上。
「え。いや気にすんな」不安を残しながらも、ほっと胸をなで下ろす加藤。
 この後は(互いにぼろを出さぬために)ろくに会話も交わさず、就寝となった。どちら
とも眼を閉じながらも、限界まで睡魔と格闘していたのはいうまでもない。

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